説明

有機EL表示装置及びその製造方法

【課題】輝度ムラ補正パラメータを生成するための製造コストを低減し、経時変化による輝度ムラが抑制された有機EL表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】有機EL表示装置の製造方法であって、有機EL素子と駆動トランジスタとを含む複数の画素を有する表示パネルの代表電流−電圧特性を取得する第1ステップと、表示パネルを複数の分割領域に分割し、各分割領域の電流−輝度特性から算出される発光効率及びオフセット輝度値を分割領域ごとに求める第2ステップと、各画素の発光輝度を所定の測定装置で測定し各画素の輝度−電圧特性を求める第3ステップと、上記代表電流−電圧特性の各電流値に発光効率を乗算してオフセット輝度値を加算することにより各分割領域の輝度−電圧特性を求める第4ステップと、各画素の輝度−電圧特性が当該画素を含む分割領域の輝度−電圧特性となるような補正パラメータを各画素について求める第5ステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機EL表示装置及びその製造方法に関し、特にアクティブマトリクス型の有機EL表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電流駆動型の発光素子を用いた画像表示装置として、有機EL素子を用いた画像表示装置(有機ELディスプレイ)が知られている。この有機ELディスプレイは、視野角特性が良好で、消費電力が少ないという利点を有するため、次世代のFPD(Flat Panal Display)候補として注目されている。
【0003】
有機ELディスプレイでは、通常、画素を構成する有機EL素子がマトリクス状に配置される。複数の行電極(走査線)と複数の列電極(データ線)との交点に有機EL素子を設け、選択した行電極と複数の列電極との間にデータ信号に相当する電圧を印加するようにして有機EL素子を駆動するものをパッシブマトリクス型の有機ELディスプレイと呼ぶ。
【0004】
一方、複数の走査線と複数のデータ線との交点に薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を設け、このTFTに駆動トランジスタのゲートを接続し、選択した走査線を通じてこのTFTをオンさせてデータ線からデータ信号を駆動トランジスタに入力し、その駆動トランジスタによって有機EL素子を駆動するものをアクティブマトリクス型の有機ELディスプレイと呼ぶ。
【0005】
各行電極(走査線)を選択している期間のみ、それに接続された有機EL素子が発光するパッシブマトリクス型の有機ELディスプレイとは異なり、アクティブマトリクス型の有機ELディスプレイでは、次の走査(選択)まで有機EL素子を発光させることが可能であるため、デューティ比が上がってもディスプレイの輝度減少を招くようなことはない。従って、低電圧で駆動できるので、低消費電力化が可能となる。しかしながら、アクティブマトリクス型の有機ELディスプレイでは、駆動トランジスタや有機EL素子の特性のばらつきに起因して、同じデータ信号を与えても、各画素において有機EL素子の輝度が異なり、輝度ムラが発生するという欠点がある。
【0006】
従来の有機ELディスプレイにおける、製造工程で生じる駆動トランジスタや有機EL素子の特性のばらつき(以下、特性の不均一と総称する)による輝度ムラの補償方法としては、複雑な画素回路による補償、外部メモリでの補償などが代表的である。
【0007】
しかし、複雑な画素回路は歩留まりを下げてしまう。また、各画素の有機EL素子の発光効率の不均一を補償できない。
【0008】
上記理由により、外部メモリにより、画素ごとに特性の不均一を補償する方法がいくつか提案されている。
【0009】
例えば、特許文献1に開示された電気光学装置、電気光学装置の駆動方法、電気光学装置の製造方法、及び電子機器では、電流プログラム画素回路において、最低1種類の入力電流で各画素の輝度が測定され、測定された各画素の輝度比が記憶容量に記憶され、その輝度比に基づいて画像データが補正され、その補正後の画像データにより、電流プログラム画素回路の駆動がなされている。これにより、輝度ムラが抑制され、均一な表示を可能にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−283816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、かかる解決手段では、外部メモリを用いた輝度ムラの補償において、輝度、もしくは電流の初期測定が必要となる。
【0012】
電流を初期測定して輝度ムラを補正する場合、回路全体の寄生容量や配線抵抗を考慮して精度よく所望の電流を測定するには、初期測定の時間を長くとらなければならない。よって、補正精度を保ちながら輝度ムラの補償を実行すると、製造コストの増加につながるという問題がある。特に、パネルが大画面になるほど、また、入力階調が増えるほど、パネル全面を測定する時間がかかり、製造コストに大きな負担がかかるという課題を有する。
【0013】
また、各画素の電流を初期測定せずに、電圧入力に対して輝度を初期測定して輝度ムラを補正する場合、駆動トランジスタ及び有機EL素子の双方のばらつきをまとめて測定することとなり、双方のばらつきをまとめて補正することが可能となる。
【0014】
図19は、有機ELディスプレイにおける、従来の補正方法の一例を説明する図である。補正前において、有機ELディスプレイは、有機EL素子に起因する輝度分布と駆動トランジスタに起因する輝度分布の双方を反映した輝度分布を有している。これに対し、電圧入力に対して輝度を測定する従来の補正方法では、有機EL素子のばらつき及び駆動トランジスタのばらつきの双方が補正されるので、補正後の有機ELディスプレイは、均一な輝度分布を有する。しかしながら、上記均一な輝度分布を得るためには、有機EL素子に流れる電流を画素ごとに異ならせることになる。この場合、有機EL素子への電流負荷が画素ごとに異なることになり、有機EL素子の寿命による輝度劣化のばらつきを助長させることになり、かえって、経時変化による輝度ムラの発生を誘発させてしまうという課題を有する。
【0015】
本発明は上記の課題に鑑み、輝度ムラ補正パラメータを生成するための製造コストを低減し、経時変化による輝度ムラが抑制された有機EL表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る有機EL表示装置は、発光素子と前記発光素子への電流の供給を制御する電圧駆動の駆動素子とを含む画素を複数含む表示パネル全体に共通する代表電流−電圧特性を取得する第1ステップと、前記表示パネルを複数の分割領域に分割し、各画素に含まれる駆動素子に電圧を印加し、各分割領域に流れた電流及び前記電流が流れた場合の各分割領域から発光される光の輝度を測定して各分割領域の電流−輝度特性を求め、当該電流−輝度特性の傾きである発光効率、及び、当該電流−輝度特性の輝度軸切片であるオフセット輝度値を前記各分割領域について求める第2ステップと、前記表示パネルに含まれる複数の画素の各々から発光される光の輝度を所定の測定装置で測定し、各画素の輝度−電圧特性を求める第3ステップと、前記代表電流−電圧特性の各電流値に前記各分割領域について求められた前記発光効率を乗算し、当該乗算値に前記各分割領域について求められた前記オフセット輝度値を加算することにより、前記各分割領域について輝度−電圧特性を求める第4ステップと、前記第3ステップで求められた、対象となる画素の輝度−電圧特性が、前記第4ステップで求められた、前記対象となる画素を含む分割領域の輝度−電圧特性となるような補正パラメータを、前記対象となる画素について求める第5ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の有機EL表示装置及びその製造方法によれば、寿命が発光電流に依存する有機EL素子の電流負荷を画素間で等しくするので、寿命による輝度劣化のばらつきを抑制できる。
【0018】
また、補正パラメータを生成するにあたり、各画素の電流を測定する必要がないので、補正パラメータ生成のための測定時間を短縮化でき製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る有機EL表示装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図2】表示部の有する画素の回路構成の一例及びその周辺回路との接続を示す図である。
【図3】本発明の有機EL表示装置の製造方法に使用される製造システムの機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の製造方法を説明する動作フローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の製造方法における前半の工程で得られる特性を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の製造方法における後半の工程で得られる特性を説明する図である。
【図7】(a)は、代表I−V特性を取得する第1の具体的方法を説明する動作フローチャートである。(b)は、代表I−V特性を取得する第2の具体的方法を説明する動作フローチャートである。
【図8】(a)は、各分割領域のI−L変換式の係数を求める第1の具体的方法を説明する動作フローチャートである。(b)は、各分割領域のI−L変換式の係数を求める第2の具体的方法を説明する動作フローチャートである。
【図9】(a)は、各画素のL−V特性を求める第1の具体的方法を説明する動作フローチャートである。(b)は、各画素のL−V特性を求める場合の、撮像された画像を説明する図である。
【図10】(a)は、各画素のL−V特性を求める第2の具体的方法を説明する動作フローチャートである。(b)は、各画素のL−V特性を求める場合の、撮像された画像を説明する図である。(c)は、選択された測定画素の状態遷移図である。
【図11】分割領域境界部に存在する画素の係数を重み付けする方法を説明する図である。
【図12】(a)は、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の製造方法において、電圧ゲイン及び電圧オフセットの補正値を求める場合の輝度−電圧特性を示すグラフである。(b)は、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の製造方法において、輝度ゲインの補正値を求める場合の輝度−電圧特性を示すグラフである。
【図13】(a)は、従来の製造方法にて補正パラメータを生成する場合のオフセット量及びオフセット幅を表すグラフである。(b)は、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の製造方法にて補正パラメータを生成する場合のオフセット量及びオフセット幅を表すグラフである。
【図14】本発明の有機EL表示装置の製造方法で補正された有機EL表示装置の効果を説明する図である。
【図15】(a)は、発光層を蒸着で形成した場合の、表示パネル上の輝度分布を表す図である。(b)は、発光層をインクジェット印刷で形成した場合の、表示パネル上の輝度分布を表す図である。
【図16】本発明の実施の形態2に係る有機EL表示装置の、表示動作時における電圧ゲイン及びオフセットの補正動作を説明する図である。
【図17】本発明の実施の形態2に係る有機EL表示装置の、表示動作時における輝度ゲインの補正動作を説明する図である。
【図18】本発明の有機EL表示装置を内蔵した薄型フラットTVの外観図である。
【図19】従来の補正方法で補正された有機EL表示装置の効果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一態様に係る有機EL表示装置の製造方法は、発光素子と前記発光素子への電流の供給を制御する電圧駆動の駆動素子とを含む画素を複数含む表示パネル全体に共通する代表電流−電圧特性を取得する第1ステップと、前記表示パネルを複数の分割領域に分割し、各画素に含まれる駆動素子に電圧を印加し、各分割領域に流れた電流及び前記電流が流れた場合の各分割領域から発光される光の輝度を測定して各分割領域の電流−輝度特性を求め、当該電流−輝度特性の傾きである発光効率、及び、当該電流−輝度特性の輝度軸切片であるオフセット輝度値を前記各分割領域について求める第2ステップと、前記表示パネルに含まれる複数の画素の各々から発光される光の輝度を所定の測定装置で測定し、各画素の輝度−電圧特性を求める第3ステップと、前記代表電流−電圧特性の各電流値に前記各分割領域について求められた前記発光効率を乗算し、当該乗算値に前記各分割領域について求められた前記オフセット輝度値を加算することにより、前記各分割領域について輝度−電圧特性を求める第4ステップと、前記第3ステップで求められた、対象となる画素の輝度−電圧特性が、前記第4ステップで求められた、前記対象となる画素を含む分割領域の輝度−電圧特性となるような補正パラメータを、前記対象となる画素について求める第5ステップとを含むことを特徴とする。
【0021】
表示パネルに含まれる各画素から発光される光の輝度を測定して各画素の輝度−電圧特性を求める場合、各画素の輝度−電圧特性は、各画素に含まれる発光素子のばらつき及びこの発光素子を駆動する駆動素子であるTFTのばらつきの双方を反映している。
【0022】
これら発光素子のばらつき及び上記TFTのばらつきの双方を補正する補正パラメータを求め、この補正パラメータを用いて外部からの映像信号を補正した場合、当該補正は各発光素子のばらつきを含めた補正となっている。よって、この補正によれば、表示パネル全体に対して同一階調である映像信号に対して各発光素子から発光される光の輝度が均一になる。
【0023】
しかし、各発光素子の特性ばらつきにより、同一の電流を流した場合の輝度は各発光素子間で異なるので、表示パネル全体に対して同一階調である映像信号に対して各発光素子の輝度を均一にする補正を行った場合、各発光素子に流れる電流量が変わることになる。よってこの場合には、発光素子の寿命が電流量に依存するという観点から、時間が経過するにつれて各発光素子の寿命にばらつきが生じる。この各発光素子の寿命のばらつきが、結果的には輝度ムラとして画面上に現れるようになる。
【0024】
そこで、本態様では、主としてTFTのばらつきのみを補正し、表示パネル全体に対して同一階調である映像信号に対して各発光素子に流れる電流量については均一にすることにした。これは、TFTのばらつきは各TFT間で大きいが、発光素子のばらつきは各発光素子間で非常に小さく、TFTのばらつきのみ補正できれば、発光素子のばらつきまで補正しなくとも人間の見た目には均一な画像を表示できることによるものである。
【0025】
本態様では、まず、表示パネルの全画素に共通の代表電流−電圧特性を設定する。次に、各分割領域に電流を流した場合の輝度を各分割領域について測定し、各分割領域の発光効率及びオフセット輝度値を求める。ここで、オフセット輝度値とは、上記発光効率の傾きを有する電流−輝度直線と、電流値が0である輝度軸とが交叉する輝度値である。即ち、各分割領域の発光効率及びオフセット輝度値の違いから分割領域間の発光素子のばらつきを把握する。
【0026】
次に、所定の測定装置にて表示パネルに含まれる各画素からの発光輝度を測定して、各画素の輝度−電圧特性を求める。
【0027】
その後に、測定した各分割領域の発光効率を、上記代表電流−電圧特性の電流値に乗算し、当該乗算値に、測定した各分割領域のオフセット輝度値を加算することにより各分割領域の輝度−電圧特性を求める。
【0028】
その上で、各画素の輝度−電圧特性が、この各分割領域の輝度−電圧特性となるような補正パラメータを求める。これにより、各分割領域の電流−電圧特性が、上記表示パネル全体に共通の代表電流−電圧特性となる。
【0029】
即ち、対象となる画素を含む分割領域の輝度−電圧特性は、測定した発光素子のばらつきを含んだ特性である。従って、対象となる画素の輝度−電圧特性が、対象となる画素を含む分割領域の輝度−電圧特性となるような補正パラメータを求めるということは、前記発光素子のばらつきをほとんど含まない前記TFTのばらつきを主として補正する補正パラメータを求めるということになる。換言すれば、発光素子のばらつきを除いたTFTのばらつきを補正する補正パラメータを求めるということになる。
【0030】
これにより、指定された同一階調に対して各発光素子に流れる電流を一定にできるので、複数の発光素子間にかかる電流負荷を一定にできる。そのため、各発光素子に流れる電流を均一にすることができ、時間が経つにつれて各発光素子の寿命がばらつくのを抑制できる。その結果、画面上に各発光素子の寿命のばらつきに起因する輝度ムラが表示されるのを防止できる。
【0031】
また、本態様では、TFTのばらつきを補正するための補正パラメータを得るために、各画素におけるTFTのばらつき自体を測定するのではなく、各画素における、発光素子のばらつき及びTFTのばらつきの双方を含む輝度−電圧特性と、各分割領域における発光素子の発光効率及びオフセット輝度値とを測定している。即ち、各分割領域の発光効率及びオフセット輝度値は、表示パネルを複数の分割領域に分割して、各分割領域に流れる電流及びこの電流が流れた場合の輝度を各分割領域について測定することで求めることができる。換言すれば、各分割領域の発光効率及びオフセット輝度値を求めることで、各分割領域の間の発光素子のばらつきを把握することができる。これは、発光素子は画素毎というよりはある一定の領域毎にばらつくからである。また、各画素の電圧−輝度特性は、CCDカメラなどを用いることで、複数画素を同時に測定することができる。これにより、各画素に電圧を印加し、各画素に流れる電流を測定することによりTFTのばらつきを測定する場合に比べて、補正パラメータの測定時間を大幅に短縮することができる。また、気にならない程度の輝度傾斜を無理やり補正しないことで、電力削減も期待できる。
【0032】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示装置の製造方法は、前記第3ステップにおいて、前記表示パネルに含まれる複数の画素に対し所定の電圧を印加することにより、前記複数の画素を同時に発光させ、前記複数の画素から同時に発光される光を所定の測定装置で撮像させ、前記撮像されて得られた画像を取得し、前記取得した画像から前記複数の画素の各々の輝度を特定し、前記所定の電圧及び特定された前記複数の画素の各々の輝度を用いて前記複数の画素の各々の輝度−電圧特性を求めることが好ましい。
【0033】
本態様によれば、画素ごとの輝度−電圧特性を取得するにあたり、所定の電圧を印加して画素ごとの発光を撮像することなく、発光パネルの全画素の一斉発光を一度に撮像する。そして、撮像された画像から、各画素の発光を分離する画像処理により各画素の発光輝度を特定する。よって、撮像時間を大幅に短縮化できるので、上記第3ステップで規定された、画素ごとの輝度−電圧特性を取得する工程を大幅に簡略化することが可能となる。
【0034】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示装置の製造方法は、前記所定の測定装置はイメージセンサであることが好ましい。
【0035】
本態様によれば、低ノイズ、高感度及び高解像度で、全画素からの発光画像を取得できるので、各画素の発光を分離する画像処理により高精度な各画素の輝度−電圧特性を取得できる。
【0036】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示装置の製造方法は、前記第4ステップにおいて、前記対象となる画素の表示パネルにおける位置を判断し、前記対象となる画素が、当該画素を含まない他の周辺分割領域との境界位置近傍に存在する場合、前記対象となる画素が含まれる分割領域の発光効率及びオフセット輝度値と前記他の周辺分割領域の発光効率及びオフセット輝度値とで重み付けして前記対象となる画素の発光効率及びオフセット輝度値を求め、前記代表電流−電圧特性の各電流値に前記対象となる画素の発光効率を乗算し、当該乗算値に前記対象となる画素のオフセット輝度値を加算することにより、前記対象となる画素の補正パラメータを求める際の目標となる輝度‐電圧特性を前記対象となる画素について求め、前記第5ステップにおいて、前記第3ステップで求められた、前記対象となる画素の輝度−電圧特性が、前記第4ステップで求められた、前記対象となる画素の目標となる輝度−電圧特性となるような補正パラメータを、前記対象となる画素について求めてもよい。
【0037】
各分割領域の発光効率だけを用いて分割領域内に含まれる各画素の補正パラメータを求め、各画素の映像信号を補正した場合、目標となる輝度‐電圧特性は分割領域毎に異なるので、その目標となる輝度‐電圧特性の違いを反映した各分割領域の境界が画面上に現れ、なめらかな画像を表示できない場合が想定される。
【0038】
本態様によると、対象画素の位置を判断し、当該画素が他の周辺分割領域との境界位置近傍に存在する場合、当該画素が含まれる分割領域の発光効率及びオフセット輝度値と、隣接する他の分割領域の発光効率及びオフセット輝度値とに基づいて当該画素の発光効率及びオフセット輝度値を求める。そして、表示パネル全体に共通する代表電圧−電流特性の各電流値に上記対象画素の発光効率を乗算し、当該乗算値に対象画素のオフセット輝度値を加算することにより、対象画素の補正パラメータを求める際の目標となる輝度‐電圧特性を前記対象となる画素について求め、対象画素の輝度−電圧特性が、上記目標となる輝度‐電圧特性となるような補正パラメータを求める。
【0039】
これにより、他の周辺分割領域との境界位置近傍に存在する画素の発光効率及びオフセット輝度値を、各分割領域の発光効率及びオフセット輝度値ではなく、当該画素が含まれる分割領域の発光効率及びオフセット輝度値と隣接する他の周辺分割領域の発光効率及びオフセット輝度値とに基づいて求められた発光効率及びオフセット輝度値とするので、分割領域の境界近傍に配置されている画素間のばらつきをなだらかにすることができる。そのため、画面上に分割領域の境界が現れるのを防止でき、なめらかな画像を表示することができる。
【0040】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示装置の製造方法は、前記第4ステップにおいて、前記対象となる画素の発光効率及びオフセット輝度値を求める際、前記対象となる画素が前記他の周辺分割領域との境界位置に近いほど、前記他の周辺分割領域の発光効率及びオフセット輝度値を多く加味して重み付けしてもよい。
【0041】
本態様によると、対象画素の発光効率及びオフセット輝度値を求める際、当該画素が隣接する他の周辺分割領域との境界位置に近いほど、上記他の周辺分割領域の発光効率及びオフセット輝度値を多く加味して重み付けする。よって、よりなめらかな画像を表示することができる。
【0042】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示装置の製造方法は、前記第4ステップにおいて、前記対象となる画素の発光効率及びオフセット輝度値を求める際、前記対象となる画素から前記対象となる画素を含む分割領域の中心位置までの距離と、前記対象となる画素から前記他の周辺分割領域の中心位置までの距離との比に応じて前記対象となる画素の発光効率及びオフセット輝度値を求めてもよい。
【0043】
本態様によると、対象となる画素の発光効率及びオフセット輝度値を求める際、当該画素から当該画素の属する分割領域の中心位置までの距離と、当該画素から隣接する他の周辺分割領域の中心位置までの距離との比に応じて当該画素の発光効率及びオフセット輝度値を求める。
【0044】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示装置の製造方法は、前記第2ステップでは、前記各分割領域の発光効率及びオフセット輝度値として、同一条件で製造される他の有機EL表示装置の製造方法において求められた前記発光効率及び前記オフセット輝度値を利用してもよい。
【0045】
本態様によると、ある有機EL表示装置の製造方法で求められた各分割領域の発光効率及びオフセット輝度値を、当該装置と同一条件で製造される他の有機EL表示装置の製造方法で利用するので、複数の表示パネルの補正パラメータを測定する毎に、各表示パネルについて各分割領域の発光効率及びオフセット輝度値を求める手間を省くことができる。その結果、本装置の製造プロセスを短縮できる。
【0046】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示装置の製造方法は、前記第1ステップでは、前記代表電流−電圧特性として、同一条件で製造される他の有機EL表示装置の製造方法において取得された代表電流−電圧特性を利用してもよい。
【0047】
本態様によると、一の有機EL表示装置の製造方法で求められた代表電流−電圧特性を、上記一の有機EL表示装置と同一条件で製造される他の有機EL表示装置の製造方法で利用するので、複数の表示パネルの補正パラメータを測定するたびに代表電流−電圧特性を設定する手間を省くことができる。その結果、本装置の製造プロセスを短縮できる。
【0048】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示装置の製造方法は、さらに、前記第5ステップにおいて求められた各画素の前記補正パラメータを、前記表示パネルに用いられる所定のメモリに書き込む第6ステップを含むものである。
【0049】
本態様によると、各画素の補正パラメータを、表示パネルに用いられる所定のメモリに書き込む。
【0050】
上述のように、表示パネルを複数の分割領域に分割し、各分割領域内で共通の特性を示す発光効率を代表電流−電圧特性の各電流値に乗算し、当該乗算値にオフセット輝度値を加算して各分割領域の輝度−電圧特性を求めている。よって、表示パネル全体に共通する代表電圧−輝度特性を用いて補正パラメータを求める場合に比べて、各画素の補正パラメータによる補正量は小さくなる。そのため、各画素の補正パラメータの値が示す範囲は小さくなり、補正パラメータの値に割り当てるメモリのbit数を減らすことができる。その結果、メモリの容量を小さくすることができ、製造コストを下げることができる。
【0051】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示装置の製造方法は、前記第1ステップにおいて、複数の測定用画素に複数の電圧を印加して各測定用画素に電流を流し、前記複数の電圧の各々について前記各測定用画素に流れた電流を測定し、前記各測定用画素の電流−電圧特性を平均化することにより前記代表電流−電圧特性を求めてもよい。
【0052】
本態様によると、代表電流−電圧特性を、複数の電圧を印加して複数の測定用画素に電流を流し、当該複数の測定用画素について得られた電流−電圧特性を平均化することにより求める。これにより、表示パネルに含まれる全ての画素の電流を測定するのではなく、複数の測定用画素についてのみ電流を測定するので、表示パネル全体に共通する代表電流−電圧特性を設定するまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0053】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示装置の製造方法は、前記第1ステップにおいて、複数の測定用画素に複数の共通電圧を同時に印加して各測定用画素に電流を流し、前記複数の共通電圧の各々について前記各測定用画素に流れた電流の合計値を測定し、前記各測定用画素に流れた電流の合計値を前記測定用画素の数で除算することにより前記代表電流−電圧特性を求めてもよい。
【0054】
本態様によると、表示パネル全体に共通する代表電流−電圧特性を、複数の測定用画素に複数の共通電圧を一斉に印加して、各測定用画素に流れた電流の合計値を測定し、測定された電流の合計値を測定用画素の数で除算することにより求めてもよい。
【0055】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示装置の製造方法は、前記補正パラメータは、前記第3ステップで求められた前記対象となる画素の輝度−電圧特性の電圧と、前記第4ステップで求められた前記対象となる画素が含まれる分割領域の輝度−電圧特性の電圧との比を示したパラメータを含んでもよい。
【0056】
本態様によると、補正パラメータを、上記第3ステップで求められた、対象となる画素が含まれる分割領域の輝度−電圧特性に対する、上記第4ステップで求められた対象となる画素の輝度−電圧特性の電圧増幅率を示すゲインとするものである。
【0057】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示装置の製造方法は、前記補正パラメータは、前記第3ステップで求められた前記対象となる画素の輝度−電圧特性の輝度と、前記第4ステップで求められた前記対象となる画素が含まれる分割領域の輝度−電圧特性の輝度との比を示したパラメータを含んでもよい。
【0058】
本態様によると、補正パラメータを、上記第3ステップで求められた対象となる画素が含まれる分割領域の輝度−電圧特性に対する、上記第4ステップで求められた対象となる画素の輝度−電圧特性の輝度増幅率を示すゲインとするものである。
【0059】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示装置の製造方法は、前記補正パラメータは、前記第3ステップで求められた前記対象となる画素の輝度−電圧特性の電圧と、前記第4ステップで求められた前記対象となる画素が含まれる分割領域の輝度−電圧特性の電圧との差を示したパラメータを含んでもよい。
【0060】
本態様によると、補正パラメータを、上記第3ステップで求められた対象となる画素が含まれる分割領域の輝度−電圧特性に対する、上記第4ステップで求められた対象となる画素の輝度−電圧特性の電圧のシフト量を示すオフセットとするものである。
【0061】
また、本発明は、このような特徴的なステップを含む有機EL表示装置の製造方法として実現することができるだけでなく、当該製造方法に含まれる特徴的なステップを手段として生成された補正パラメータを有する有機EL表示装置としても、上記と同様の効果を奏す。
【0062】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明に係る有機EL表示装置の有する表示パネルの輝度ばらつきを補正するための補正パラメータを生成し、当該補正パラメータを有機EL表示装置内に格納する製造工程を説明する。上記格納された補正パラメータは、当該有機EL表示装置が出荷された後の表示動作にて使用される。
【0063】
以下説明する製造工程は、(1)表示パネル全体に共通する代表電流−電圧特性を取得する第1ステップと、(2)表示パネルを複数の分割領域に分割し、各画素に含まれる駆動素子に電圧を印加し、各分割領域に流れた電流及び当該分割領域からの発光輝度を測定することにより各分割領域の電流−輝度特性を求め、当該電流−輝度特性から電流−輝度変換式を各分割領域について求める第2ステップと、(3)各画素からの発光輝度を所定の測定装置で測定し、各画素の輝度−電圧特性を求める第3ステップと、(4)上記代表電流−電圧特性と各分割領域の電流−輝度変換式とから、各分割領域の輝度−電圧特性を求める第4ステップと、(5)第3ステップで求められた、対象画素の輝度−電圧特性が、第4ステップで求められた、当該画素を含む分割領域の輝度−電圧特性となるような補正パラメータを、上記対象画素について求める第5ステップと、(6)第5ステップにおいて求められた各画素の補正パラメータを、所定のメモリに書き込む第6ステップとを含む。これにより、指定された同一階調に対して各発光素子に流れる電流を一定にできるので、発光素子間で電流負荷を一定にできる。そのため、表示パネルの有する発光素子の経時ムラを抑制できる。
【0064】
以下、本発明の実施の形態に係る有機EL表示装置及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0065】
図1は、本発明の実施の形態に係る有機EL表示装置1の電気的な構成を示すブロック図である。同図における有機EL表示装置1は、制御回路12と、表示パネル11とを備える。制御回路12はメモリ121を有する。表示パネル11は、走査線駆動回路111と、データ線駆動回路112と、表示部113とを備える。なお、メモリ121は、有機EL表示装置1内であって制御回路12の外部に配置されていてもよい。
【0066】
制御回路12は、メモリ121、走査線駆動回路111、及びデータ線駆動回路112の制御を行う機能を有する。メモリ121には、本実施の形態で説明する製造方法による製造工程の完了後には、本発明の有機EL表示装置の製造方法により生成された補正パラメータが記憶される。制御回路12は、表示動作時には、メモリ121に書き込まれた補正パラメータを読み出し、外部から入力された映像信号データを、その補正パラメータに基づいて補正して、データ線駆動回路112へと出力する。
【0067】
また、制御回路12は、製造工程においては、外部の情報処理装置と通信することにより、当該情報処理装置の指示に従って表示パネル11を駆動する機能を有する。
【0068】
表示部113は、複数の画素を備え、外部から有機EL表示装置1へ入力された映像信号に基づいて画像を表示する。
【0069】
図2は、表示部の有する画素の回路構成の一例及びその周辺回路との接続を示す図である。同図における画素208は、走査線200と、データ線201と、電源線202と、選択トランジスタ203と、駆動トランジスタ204と、有機EL素子205と、保持容量素子206と、共通電極207とを備える。また、周辺回路は、走査線駆動回路111と、データ線駆動回路112とを備える。
【0070】
走査線駆動回路111は、走査線200に接続されており、画素208の選択トランジスタ203の導通及び非導通を制御する機能を有する。
【0071】
データ線駆動回路112は、データ線201に接続されており、データ電圧を出力して、駆動トランジスタ204に流れる信号電流を決定する機能を有する。
【0072】
選択トランジスタ203は、ゲートが、走査線200に接続されており、データ線201のデータ電圧を駆動トランジスタ204のゲートに供給するタイミングを制御する機能を有する。
【0073】
駆動トランジスタ204は、駆動素子として機能し、駆動トランジスタ204のゲートは、選択トランジスタ203を介してデータ線201に接続され、ソースが有機EL素子205のアノードに接続され、ドレインが、電源線202に接続されている。これにより、駆動トランジスタ204は、ゲートに供給されたデータ電圧を、そのデータ電圧に対応した信号電流に変換し、変換された信号電流を有機EL素子205に供給する。
【0074】
有機EL素子205は、発光素子として機能し、有機EL素子205のカソードは、共通電極207に接続されている。
【0075】
保持容量素子206は、電源線202と駆動トランジスタ204のゲート端子との間に接続されている。保持容量素子206は、例えば、選択トランジスタ203がオフ状態となった後も、直前のゲート電圧を維持し、継続して駆動トランジスタ204から有機EL素子205へ駆動電流を供給させる機能を有する。
【0076】
なお、図1、図2には記載されていないが、電源線202は電源に接続されている。また、共通電極207も別の電源に接続されている。
【0077】
データ線駆動回路112から供給されたデータ電圧は、選択トランジスタ203を介して駆動トランジスタ204のゲート端子へと印加される。駆動トランジスタ204は、そのデータ電圧に応じた電流を、ソース−ドレイン端子間に流す。この電流が、有機EL素子205へと流れることにより、その電流に応じた発光輝度で、有機EL素子205が発光する。
【0078】
次に、本発明の有機EL表示装置の製造方法を実現する製造システムを説明する。
図3は、本発明の有機EL表示装置の製造方法に使用される製造システムの機能ブロック図である。同図に記載された製造システムは、情報処理装置2と、撮像装置3と、電流計4と、表示パネル11と、制御回路12とを備える。
【0079】
情報処理装置2は、演算部21と、記憶部22と、通信部23とを備え、補正パラメータを生成するまでの工程を制御する機能を有する。情報処理装置2としては、例えば、パーソナルコンピュータが適用される。
【0080】
撮像装置3は、情報処理装置2の通信部23からの制御信号により、表示パネル11を撮像し、撮像された画像データを通信部23へ出力する。撮像装置3としては、例えば、CCDカメラや輝度計が適用される。
【0081】
電流計4は、情報処理装置2の通信部23及び制御回路12からの制御信号により、各画素の駆動トランジスタ204及び有機EL素子205を流れる電流を測定し、測定された電流値データを通信部23へ出力する。
【0082】
情報処理装置2は、有機EL表示装置1内の制御回路12、撮像装置3及び電流計4へ通信部23を介して制御信号を出力し、制御回路12、撮像装置3及び電流計4から測定データを取得して当該測定データを記憶部22に格納し、格納された測定データをもとに演算部21で演算して各種特性値やパラメータを算出する。なお、制御回路12は、有機EL表示装置1に内蔵されない制御回路を使用してもよい。
【0083】
具体的には、後述する代表電流−電圧特性(以下、代表I−V特性と記す。)の設定時には、情報処理装置2は、測定画素へ与える電圧値の制御及び測定画素を流れる電流を測定する電流計4の制御を行い、測定電流値を受信する。なお、このときには、撮像装置3は設けていなくてもよい。また、後述する有機EL素子の電流−輝度特性(以下、I−L特性と記す。)の測定時には、情報処理装置2は、測定画素へ与える電圧値の制御、撮像装置3の制御、及び電流計4の制御を行い、測定輝度値と測定電流値とを受信する。また、各画素の輝度−電圧特性(以下、L−V特性と記す。)の測定時には、情報処理装置2は、測定画素へ与える電圧値の制御、撮像装置3の制御を行い、測定輝度値を受信する。
【0084】
制御回路12は、情報処理装置2からの制御信号により、表示パネル11の有する画素208へ与える電圧値を制御する。また、制御回路12は、情報処理装置2で生成された補正パラメータをメモリ121へ書き込む機能を有する。
【0085】
次に、本発明の有機EL表示装置の製造方法を説明する。
図4は、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の製造方法を説明する動作フローチャートである。また、図5は、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の製造方法における前半の工程で得られる特性を説明する図である。また、図6は、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の製造方法における後半の工程で得られる特性を説明する図である。
【0086】
図4には、有機EL表示装置1の有する表示パネルの輝度ばらつきを補正するための効果的な補正パラメータを生成し、当該補正パラメータを有機EL表示装置1内に格納するまでの工程が記載されている。上記効果的な補正パラメータとは、有機EL素子205の経時劣化を抑制すべく、主に駆動トランジスタ204のばらつきを補正するものであるが、画素208ごとに電流測定せずに生成されるものである。上記補正パラメータを生成するため、本製造方法では、表示部113を、複数の画素208を有する分割領域に分割し、当該分割領域ごとのI−L特性を特定している。なお、この分割領域は、有機EL素子205の形成工程に起因して発生する表示パネル11上の緩やかな輝度傾斜をもとに分割されるものである。そして最終的には、分割領域ごとのI−L特性から導出された分割領域ごとのL−V特性と、各画素のL−V特性とを比較することにより、主に駆動トランジスタ204のばらつきに起因した補正パラメータを生成するものである。
【0087】
以下、図4に従って、製造工程を説明していく。
まず、情報処理装置2は、発光素子である有機EL素子205と当該素子への電流の供給を制御する電圧駆動の駆動素子である駆動トランジスタ204とを含む画素を、複数含む表示部113全体に共通する代表I−V特性を取得して設定する(S01)。ステップS01は、第1ステップに相当する。図5(a)において、表示部113全体に共通する代表I−V特性が表されている。この代表I−V特性は、駆動トランジスタ204のゲートに印加される電圧に対するドレイン電流の特性であり、非線形な特性となっている。
【0088】
図7(a)は、代表I−V特性を取得する第1の具体的方法を説明する動作フローチャートである。本方法では、表示部113の有する複数の画素から、代表I−V特性を決定するための測定用画素を抽出する。この測定用画素は、1つであってもよいし、規則性に従い、または無作為に選択された複数の画素であってもよい。
【0089】
まず、情報処理装置2は、制御回路12に対し測定用画素へデータ電圧を印加させて当該画素に電流を流させ、当該画素の有機EL素子205を発光させる(S11)。
【0090】
次に、情報処理装置2は、電流計4に対し、ステップS11の電流を測定させる(S12)。上記ステップS11及びS12を、異なるデータ電圧において複数回実行させる。また、上記ステップS11及びS12を、複数の測定用画素で一斉に実行してもよいし、測定用画素ごとに繰り返して実行してもよい。
【0091】
次に、情報処理装置2は、上記ステップS11及びS12において得られたデータ電圧及び対応する電流より、演算部21にて測定用画素ごとのI−V特性を求める(S13)。
【0092】
次に、情報処理装置2は、複数の測定用画素の各々について得られたI−V特性を平均化することにより代表I−V特性を求める(S14)。
【0093】
図7(b)は、代表I−V特性を取得する第2の具体的方法を説明する動作フローチャートである。本方法においても、表示部113の有する複数の画素から、代表I−V特性を決定するための測定用画素を抽出する。この測定用画素は、1つであってもよいし、規則性に従い、または無作為に選択された複数の画素であってもよい。
【0094】
まず、情報処理装置2は、制御回路12に対し複数の測定用画素へ共通のデータ電圧を同時に印加させて当該複数の画素に一斉に電流を流させ、当該複数の画素の有機EL素子205を同時発光させる(S15)。
【0095】
次に、情報処理装置2は、電流計4に対し、ステップS15における各測定用画素の合計電流を測定させる(S16)。上記ステップS15及びS16を、異なるデータ電圧において複数回実行させる。
【0096】
次に、情報処理装置2は、演算部21にて、上記ステップS15及びS16において得られた合計電流値を複数の測定用画素数で除算する(S17)。
【0097】
次に、ステップS17をデータ電圧ごとに実行させることにより、代表I−V特性を求める(S18)。
【0098】
図7(a)及び図7(b)に記載された方法で代表I−V特性を求めることにより、表示部113に含まれる全ての画素の電流を測定するのではなく、複数の測定用画素についてのみ電流を測定するので、表示部113全体に共通する代表I−V特性を設定するまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0099】
なお、代表I−V特性を取得する第1及び第2の具体的方法は、本発明の有機EL表示装置ごとにしなくてもよい。例えば、代表I−V特性として、同一条件で製造される他の有機EL表示装置の製造方法において取得された代表I−V特性を自己の有機EL表示装置の代表I−V特性としてそのまま利用してもよい。これにより、ある有機EL表示装置の製造方法で求められた代表I−V特性を、当該装置と同一条件で製造される他の有機EL表示装置の製造方法で利用するので、複数の表示パネルの補正パラメータを測定するたびに代表I−V特性を設定する手間を省くことができる。その結果、本装置の製造プロセスを短縮できる。
【0100】
再び、図4に戻って、製造工程を説明していく。
次に、情報処理装置2は、表示パネルを複数の分割領域に分割し、各画素に含まれる駆動トランジスタ204に電圧を印加させ、各分割領域に流れた電流及びそのときの当該分割領域からの発光輝度を測定させることにより各分割領域のI−L特性を求め、当該I−L特性からI−L変換式を各分割領域について求める(S02)。ステップS02は、第2ステップに相当する。ステップS02が実行されることにより、図5(b)に記載された、各分割領域のI−L特性が得られる。このI−L特性は、発光効率として定義される傾きp、及び、当該I−L特性の輝度軸切片であるオフセット輝度値qを用いて、
L=p*I+q (式1)
で表される一次関数で近似される。図5(c)に記載されたマトリクスは、上述した各分割領域のI−L特性を式1で近似して算出した、各分割領域のI−L変換式の係数(p,q)である。
【0101】
図8(a)は、各分割領域のI−L変換式の係数を求める第1の具体的方法を説明する動作フローチャートである。本方法では、分割領域の有する複数の画素から、当該分割領域のI−L特性を決定するための測定用画素を抽出する。この測定用画素は、1つであってもよいし、規則性に従い、または無作為に選択された複数の画素であってもよい。また、当該分割領域の有する全ての画素であってもよい。
【0102】
まず、情報処理装置2は、制御回路12に対し上記測定用画素へ一斉にデータ電圧を印加させて当該画素に電流を流させ、当該画素の有機EL素子205を発光させる(S21)。
【0103】
次に、情報処理装置2は、電流計4に対し、ステップS21の電流を測定させる(S22)。このとき、測定用画素が、分割領域の全画素である場合や、選択された複数の画素である場合には、合計電流値を測定させる。上記ステップS21及びS22を、異なるデータ電圧において複数回実行させる。
【0104】
次に、情報処理装置2は、撮像装置3に対し、ステップS21の発光を撮像させる(S23)。上記ステップS21〜S23を、異なるデータ電圧において複数回実行させる。
【0105】
次に、情報処理装置2は、上記ステップS22及びS23において得られた電流及び対応する輝度より、演算部21にて分割領域ごとのI−L特性を求め、上述したI−L変換式の係数(p,q)を分割領域ごとに求める(S24)。なお、分割領域の有する測定用画素が、分割領域の全画素である場合や、選択された複数の画素である場合には、合計電流値を測定用画素数で除算した平均電流値をIとして分割領域ごとのI−L特性を求める。
【0106】
図8(b)は、各分割領域のI−L変換式の係数を求める第2の具体的方法を説明する動作フローチャートである。図8(b)に記載された方法は、図8(a)に記載された方法と比較して、ステップS21〜S23を1回行うだけである点のみが異なる。本方法が適用されるのは、I−L特性が原点を通過する一次式、つまりオフセット輝度値qが0であると仮定される場合に適用される。なお、本方法でも、分割領域の有する複数の画素から、当該分割領域のI−L特性を決定するための測定用画素を抽出する。この測定用画素は、1つであってもよいし、規則性に従い、または無作為に選択された複数の画素であってもよい。また、当該分割領域の有する全ての画素であってもよい。
【0107】
なお、各分割領域のI−L変換式の係数を求める第1及び第2の具体的方法は、本発明の有機EL表示装置ごとにしなくてもよい。例えば、上記係数として、同一条件で製造される他の有機EL表示装置の製造方法において取得された各分割領域のI−L変換式の係数を自己の有機EL表示装置の係数としてそのまま利用してもよい。これにより、ある有機EL表示装置の製造方法で求められた各分割領域の発光効率及びオフセット輝度値を、当該有機EL表示装置と同一条件で製造される他の有機EL表示装置の製造方法で利用するので、複数の表示パネルの補正パラメータを測定するごとに、各表示パネルについて各分割領域の発光効率及びオフセット輝度値を求める手間を省くことができる。その結果、本装置の製造プロセスを短縮できる。
【0108】
再び、図4に戻って、製造工程を説明していく。
次に、情報処理装置2は、表示部113の有する各画素から発光される光の輝度を撮像装置3で測定させ、各画素のL−V特性を求める(S03)。ステップS03は、第3ステップに相当する。このとき、各画素のL−V特性を画素ごとに電圧印加してそのときの輝度を測定すると、画素数分の測定回数が必要となり、測定時間及び製造コストが大きくなる。本実施の形態では、画素数分の測定回数を要さずに、全画素を一括した測定で各画素のL−V特性を特定できる。
【0109】
図9(a)は、各画素のL−V特性を求める第1の具体的方法を説明する動作フローチャートである。また、図9(b)は、各画素のL−V特性を求める場合の、撮像された画像を説明する図である。
【0110】
まず、情報処理装置2は、測定する色を選択する(S31)。本実施の形態では、R(赤色)、G(緑色)及びB(青色)のサブ画素で構成された画素208からなる表示部113を想定している。
【0111】
次に、情報処理装置2は、測定する階調を選択する(S32)。
次に、情報処理装置2は、選択された色のサブ画素全てに対し、選択された階調に応じた電圧を印加することにより、当該サブ画素全てを同時に発光させる(S33)。
【0112】
次に、情報処理装置2は、上記サブ画素全てから同時に発光される光を撮像装置3で撮像させる(S36)。図9(b)には、赤色が選択された場合の、ある階調における表示部113の発光状態を、撮像装置3が撮像した画像が示されている。図面全体に表された格子模様は、撮像装置3の受光部の画素単位を示している。撮像されたRサブ画素に対し、撮像装置3の受光部の画素単位が十分小さいことにより、本画像から、各Rサブ画素の輝度を特定できる。
【0113】
次に、情報処理装置2は、測定階調を変更し(S38でNo)、上記ステップS33及びステップS36を実行する。
【0114】
また、必要とする測定階調の全てにおいて上記ステップS33及びステップS36が終了した場合(S38でYes)、測定対象の色を変更し(S39でNo)、ステップS32〜ステップS38を実行する。
【0115】
また、全色において、上記ステップS32〜ステップS38が終了した場合(S39でYes)、情報処理装置2は、上記ステップS31〜S39で得られた画像を取得し、取得した画像から各画素の輝度を特定する(S40)。本ステップでは、例えば、領域(2,1)の画素の輝度値は、領域(2,1)に属する撮像素子の画素の出力値の平均値として算出される。
【0116】
本方法によれば、画素ごとのL−V特性を取得するにあたり、所定の電圧を印加して画素ごとの発光を撮像することなく、発光パネルの全サブ画素の一斉発光を一度に撮像する。そして、撮像された画像から、各画素の発光を分離する画像処理により各サブ画素の発光輝度を特定する。よって、撮像時間を大幅に短縮化できるので、画素ごとのL−V特性を取得する工程を大幅に簡略化することが可能となる。
【0117】
図10(a)は、各画素のL−V特性を求める第2の具体的方法を説明する動作フローチャートである。また、図10(b)は、各画素のL−V特性を求める場合の、撮像された画像を説明する図である。また、図10(c)は、選択された測定画素の状態遷移図である。図10(a)に記載された方法は、図9(a)に記載された方法と比較して、ステップS34及びステップS37が付加されている点のみが異なる。つまり、図10(a)に記載された方法は、選択された色及び選択された階調において、対応する全てのサブ画素を一斉に発光させて撮像画像を取得するのではなく、当該全てのサブ画素の発光を、複数回に分割して発光させて複数枚の撮像画像を得るものである。本方法によれば、隣接画素の発光の干渉を回避して各画素の高精度な輝度値を算出することが可能となる。
【0118】
なお、図9(a)及び図10(a)で示された各画素のL−V特性の算出方法において使用される撮像装置3は、イメージセンサであることが好ましく、さらには、CCDカメラであることがより好ましい。これにより、低ノイズ、高感度及び高解像度で、全画素からの発光画像を取得できるので、各画素の発光を分離する画像処理により高精度な各画素のL−V特性を取得できる。
【0119】
再び、図4に戻って、製造工程を説明していく。
次に、情報処理装置2は、補正パラメータを生成すべき対象となる画素が、当該画素の属しない他の分割領域との境界にない場合(ステップS04でYes)、ステップS01で設定された代表I−V特性と、ステップS02で求められた、対象画素の属する分割領域のI−L変換式とから、当該分割領域のL−V特性を求める。つまり、表示部113を代表する代表I−V特性を用いて、各分割領域のI−L特性のIをVにパラメータ変換して、当該分割領域のL−V特性を取得する。
【0120】
図5(d)を用いて、上記パラメータ変換を具体的に説明する。例えば、図5(c)に記載された係数(p,q)の分割領域マトリクスにおいて、向かって左上の分割領域(係数(10,−2))のL−V特性は以下のように算出される。まず、代表I−V特性のパラメータIに傾きpを乗算する。そして、乗算された値に、オフセット輝度値qを加算する。これにより、代表I−V特性のパラメータIは、各分割領域のLにパラメータ変換される。以上により、各分割領域のL−V特性が算出される(S05)。ステップS05は、第4ステップに相当する。
【0121】
そして、情報処理装置2は、演算部21にて、ステップS03で求められた、各画素のL−V特性が、ステップS05で求められた、各画素の属する分割領域のL−V特性となるような補正パラメータを、各画素について算出する(S06)。ステップS06は、第5ステップに相当する。
【0122】
一方、情報処理装置2は、補正パラメータを生成すべき対象となる画素が、当該画素の属しない他の分割領域との境界付近である場合(ステップS04でNo)、ステップS01で設定された代表I−V特性と、ステップS02で求められた、対象画素の属する分割領域のI−L変換式と、上記他の分割領域のI−L変換式とから、当該画素の補正パラメータを求める際の目標となるL−V特性を求める。図11を用いて、上記パラメータ変換を具体的に説明する。
【0123】
図11は、分割領域境界部に存在する画素の係数を重み付けする方法を説明する図である。同図のように、画素1が分割領域1〜4の境界領域に存在する場合、上記ステップS05及びS06用いて補正パラメータを作成すると、補正後の画像において分割領域の境界付近での輝度差が認識されてしまう可能性がある。本方法では、画素1の補正パラメータの生成に際して、画素1の属する分割領域1のL−V特性を、補正目標となるL−V特性とするのではなく、隣接する分割領域間で傾きp及びオフセット輝度値qの重み付けを施したI−L特性から導出されたL−V特性を補正目標となるL−V特性とする。具体的には、重み付けされたI−L変換式の係数(p1,q1)を用いて画素1の補正目標となるL−V特性を算出する(S07)。図11では、例えば、隣接する分割領域1〜4の係数(p,q)を用いて、重み付けされたI−L変換式の係数p1は、
p1={(10+8)/2+(14+2)/2}/2=8.5 (式2)
となる。また、重み付けされたI−L変換式の係数q1は、
q1={((−2)+(−5))/2+((−3)+(−4))/2}/2=−3.5
(式3)
となる。
【0124】
次に、情報処理装置2は、ステップS01で設定された代表I−V特性と、ステップS07で重み付けされたI−L変換式の係数(p1,q1)とから、補正目標となるL−V特性を求める。つまり、表示部113を代表する代表I−V特性を用いて、重み付けされたI−L特性のIをVにパラメータ変換して、補正目標となるL−V特性を取得する。この場合、係数(p1,q1)の分割領域マトリクスにおいて、代表I−V特性のIに傾きp1を乗算する。そして、乗算された値に、オフセット輝度値q1を加算する。これにより、代表I−V特性のパラメータIは、補正目標のLにパラメータ変換される。以上により、補正目標となるL−V特性が算出される(S08)。ステップS04、S07及びS08は、第4ステップに相当する。
【0125】
そして、情報処理装置2は、演算部21にて、ステップS03で求められた、各画素のL−V特性が、ステップS08で求められた、補正目標となるL−V特性となるような補正パラメータを、各画素について算出する(S09)。ステップS09は、第5ステップに相当する。ステップS07〜S09により、分割領域の境界近傍に配置されている画素間のばらつきをなだらかにすることができる。そのため、画面上に分割領域の境界が現れるのを防止でき、なめらかな画像を表示することができる。
【0126】
なお、ステップS07において、補正対象となる画素の傾きp1及びオフセット輝度値q1を求める際、当該画素が他の周辺分割領域との境界位置に近いほど、当該他の周辺分割領域の発光効率及びオフセット輝度値を多く加味して重み付けすることが好ましい。
【0127】
また、ステップS07において、補正対象となる画素の傾きp1及びオフセット輝度値q1を求める際、当該画素から当該画素を含む分割領域の中心位置までの距離と、当該画素から他の周辺分割領域の中心位置までの距離との比に応じて当該画素の発光効率及びオフセット輝度値を求めてもよい。これらの重み付けにより、よりなめらかな画像を表示することができる。
【0128】
ここで、ステップS06及びステップS09において算出される補正パラメータについて説明する。
【0129】
図12(a)は、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の製造方法において、電圧ゲイン及び電圧オフセットの補正値を求める場合の輝度−電圧特性を示すグラフである。同図において、補正パラメータは、上記ステップS03で求められた、補正対象となる画素のL−V特性の電圧値と、ステップS05またはステップS08で求められた、分割領域または補正目標となるL−V特性の電圧値との比を示した電圧ゲインを含んでいる。また、さらに、 図12(a)に記載された補正パラメータは、上記ステップS03で求められた、補正対象となる画素のL−V特性の電圧値と、ステップS05またはステップS08で求められた、分割領域または補正目標となるL−V特性の電圧値との差を示した電圧オフセットを含んでいる。
【0130】
図12(b)は、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の製造方法において、輝度ゲインの補正値を求める場合の輝度−電圧特性を示すグラフである。同図において、補正パラメータは、上記ステップS03で求められた、補正対象となる画素のL−V特性の輝度値と、ステップS05またはステップS08で求められた、分割領域または補正目標となるL−V特性の輝度値との比を示した輝度ゲインを含んでいる。
【0131】
なお、上述した補正パラメータは、図12(a)及び図12(b)に記載された組み合わせに限定されるものではなく、電圧ゲイン、電圧オフセット及び輝度ゲインの3種類のうち少なくとも1種類を含む構成であればよい。
【0132】
再び、図4に戻って、製造工程を説明する。
最後に、情報処理装置2は、ステップS06及びステップS09において求められた各画素の補正パラメータを、有機EL表示装置1のメモリ121に書き込む(S10)。ステップS10は、第6ステップに相当する。具体的には、図6(f)に記載されたように、メモリ121には、例えば、画素ごとに(電圧ゲイン、電圧オフセット)で構成される補正パラメータが、表示部113(M行×N列)のマトリクスに対応して格納される。
【0133】
図13(a)は、従来の製造方法にて補正パラメータを生成する場合のオフセット量及びオフセット幅を表すグラフである。また、図13(b)は、本発明の実施の形態に係る有機EL表示装置の製造方法にて補正パラメータを生成する場合のオフセット量及びオフセット幅を表すグラフである。本発明の有機EL装置の製造方法では、各分割領域内で共通の特性を示す発光効率を代表電流−電圧特性の各電流値に乗算し、当該乗算値にオフセット輝度値を加算して各分割領域の輝度−電圧特性を求めている。よって、図13(a)に記載された、代表電圧−輝度特性を補正目標として補正パラメータを求める場合に比べて、図13(b)に記載された、各画素の補正パラメータによる補正量は小さくなる。そのため、各画素の補正パラメータの値が示す範囲(図ではオフセット幅)は小さくなり、補正パラメータの値に割り当てるメモリのbit数を減らすことができる。その結果、メモリ121の容量を小さくすることができ、製造コストを下げることができる。
【0134】
従来の補正パラメータの生成方法では、表示パネルに含まれる各画素から発光される光の輝度を測定して求められた各画素の輝度−電圧特性は、有機EL素子のばらつき及び駆動トランジスタのばらつきの双方を反映している。この双方のばらつきを補正する補正パラメータを求め、この補正パラメータを用いて外部からの映像信号を補正した場合、当該補正は有機EL素子のばらつきを含めた補正となっている。よって、この補正によれば、表示パネル全体に対して同一階調である映像信号に対して有機EL素子から発光される光の輝度は均一になる。
【0135】
しかし、有機EL素子の特性ばらつきにより、同一の電流を流した場合の輝度は有機EL素子間で異なるので、有機EL素子に流れる電流量が変わることになる。よってこの場合には、有機EL素子の寿命が電流量に依存するという観点から、時間が経過するにつれて各発光素子の寿命にばらつきが生じる。この寿命のばらつきが、結果的には輝度ムラとして画面上に現れるようになる。
【0136】
そこで、本態様では、駆動トランジスタのばらつきのみを補正し、同一階調である映像信号に対して各有機EL素子に流れる電流量については均一にすることにした。これは、駆動トランジスタのばらつきは各素子間で大きいが、有機EL素子のばらつきは各素子間で非常に小さく、駆動トランジスタのばらつきのみ補正できれば、有機EL素子のばらつきまで補正しなくても人間の見た目には均一な画像を表示できることによるものである。
【0137】
本実施の形態によれば、補正対象となる画素を含む分割領域のL−V特性は、有機EL素子のばらつきを含んだ特性である。従って、補正対象となる画素のL−V特性が、当該画素を含む分割領域のL−V特性となるような補正パラメータを求めるということは、駆動トランジスタのばらつきを主として補正する補正パラメータを求めるということである。
【0138】
図14は、本発明の有機EL表示装置の製造方法で補正された有機EL表示装置の効果を説明する図である。補正前において、有機EL表示装置の表示パネルは、有機EL素子に起因する輝度分布と駆動トランジスタに起因する輝度分布の双方を反映した輝度分布を有している。これに対し、本発明の有機EL表示装置の製造方法では、駆動トランジスタのばらつきが主として補正されるので、補正後の表示パネルは、有機EL素子の特性ばらつきによる輝度傾斜は残るものの、指定された同一階調に対して各有機EL素子に流れる電流を一定にできるので、有機EL素子間にかかる電流負荷を一定にできる。そのため、各有機EL素子に流れる電流を均一にすることができ、時間が経つにつれて前記表示パネルに含まれる各発光素子の寿命がばらつくのを抑制できる。その結果、画面上に各発光素子の寿命のばらつきに起因する輝度ムラが表示されるのを防止できる。なお、補正後の表示パネルにおいて残存する、有機EL素子の特性ばらつきによる輝度傾斜は、人間の視覚では認識されないような輝度傾斜である。
【0139】
また、本態様では、駆動トランジスタのばらつきを補正するための補正パラメータを得るために、各画素における駆動トランジスタのばらつき自体を測定するのではなく、各画素における、有機EL素子のばらつき及び駆動トランジスタのばらつきの双方を含むL−V特性と、各分割領域の有機EL素子の発光効率及びオフセット輝度値とを測定している。即ち、各分割領域の発光効率及びオフセット輝度値は、表示パネルを複数の分割領域に分割して、各分割領域に流れる電流及びこの電流が流れた場合の輝度を各分割領域について測定することで求めている。換言すれば、各分割領域の発光効率及びオフセット輝度値を求めることで、各分割領域の間の発光素子のばらつきを把握することができる。これは、有機EL素子は画素毎というよりはある一定の領域毎にばらつくからである。また、各画素のL−V特性は、CCDカメラなどを用いることで、複数画素を同時に測定することができる。これにより、各画素に電圧を印加し、各画素に流れる電流を測定することにより駆動トランジスタのばらつきを測定する場合に比べて、補正パラメータの測定時間を大幅に短縮することができる。
【0140】
なお、本発明の有機EL表示装置の製造方法において、表示パネルを分割領域に分割しているが、当該分割は、有機EL素子の特性ばらつきによる輝度傾斜を反映させた分割であることが好ましい。
【0141】
図15(a)は、発光層を蒸着で形成した場合の、表示パネル上の輝度分布を表す図である。発光層を蒸着で形成した場合、表示部113の中央部の発光層膜厚が厚くなり、同心円状の膜厚分布が生じる。よって、有機EL素子の発光効率及びオフセット輝度値は、同心円状の分布をもつ。この場合には、分割領域を、図15(a)に示すような同心円状に分割することにより、結果的には、駆動トランジスタ204のばらつきを主として補正するための補正パラメータを高精度に得ることが可能となる。
【0142】
一方、図15(b)は、発光層をインクジェット印刷で形成した場合の、表示パネル上の輝度分布を表す図である。インクジェットヘッドを走査し、表示部113に発光層を印刷する場合、インク乾燥時の環境の違い等で、走査方向に発光効率が変化する。また、各インクジェットヘッドのノズルの射出量が、インクジェットヘッドの長軸方向になだらかにばらつくことにより、走査方向に垂直な方向にも、発光効率が変化する。このような、発光効率分布が単調でない場合には、分割領域を、細かく分割することが望ましい。これにより、結果的には、駆動トランジスタのばらつきを主として補正するための補正パラメータを高精度に得ることが可能となる。
【0143】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の有機EL表示装置の製造方法により生成された補正パラメータを用いて、有機EL表示装置が表示パネルを表示動作させる場合について説明する。
【0144】
図16は、本発明の実施の形態2に係る有機EL表示装置の、表示動作時における電圧ゲイン及び電圧オフセットの補正動作を説明する図である。
【0145】
制御回路12は、メモリ121から、実施の形態1で格納された補正パラメータ(電圧ゲイン、電圧オフセット)を読み出し、映像信号に対応するデータ電圧に電圧ゲインを乗算し、その後乗算値に電圧オフセットを加算して、データ線駆動回路112に出力する。これにより、指定された同一階調に対して複数の有機EL素子の各々に流れる電流を一定にできるので、有機EL素子間にかかる電流負荷を一定にできる。そのため、各有機EL素子に流れる電流を均一にすることができ、時間が経つにつれて表示パネルに含まれる各有機EL素子の寿命がばらつくのを抑制できる。その結果、画面上に各有機EL素子の寿命のばらつきに起因する輝度ムラが表示されるのを防止できる。
【0146】
図17は、本発明の実施の形態2に係る有機EL表示装置の、表示動作時における輝度ゲインの補正動作を説明する図である。
【0147】
制御回路101は、外部から入力された映像信号を各画素に対応した電圧信号に補正変換する。メモリ102は、各画素部に対応する輝度ゲイン及び代表LUTを格納する。
【0148】
同図における制御回路101は、補正変換ブロック601と駆動回路用タイミングコントローラ615とを備える。まず、補正変換ブロック601の機能について述べる。映像信号が外部から入力されると、補正変換ブロック601により、メモリ102に格納された映像-輝度変換LUTから、当該映像信号に対応した輝度信号が読み出される。そして、当該輝度信号に対してメモリ102から各々対応する輝度ゲインを読み出して演算して、当該輝度信号を全画素部で共通の基準輝度に補正する。補正変換ブロック601は、画素位置検出部611と、映像−輝度変換部612と、乗算部613と、輝度−電圧変換部614とを備える。
【0149】
画素位置検出部611は、外部から入力された映像信号と同時に入力された同期信号により、当該映像信号の画素位置情報が検出される。ここで、検出された画素位置がa行b列であると仮定する。
【0150】
映像−輝度変換部612は、メモリ102に格納された映像-輝度変換LUTから、当該映像信号に対応した輝度信号を読み出す。
【0151】
乗算部613は、実施の形態1でメモリ102に格納された、各画素部に対応する輝度ゲインと、当該輝度信号とを乗算することにより、当該輝度信号を補正する。具体的には、a行b列の輝度ゲインkとa行b列の輝度信号値が乗算され、補正後のa行b列の輝度信号が生成される。
【0152】
なお、乗算部613は、実施の形態1でメモリ102に格納された、各画素部に対応する輝度ゲインと、外部から入力された映像信号が変換された輝度信号とを除算するなど、乗算以外の演算により、当該輝度信号を補正してもよい。
【0153】
輝度−電圧変換部614は、メモリ102に格納されている代表変換カーブに基づき導出された代表LUTにより、乗算部613から出力された補正後のa行b列の輝度信号に対応したa行b列の電圧信号を読み出す。
【0154】
最後に、制御回路101は、この変換されたa行b列の電圧信号をデータ線駆動回路112に出力する。当該電圧信号は、アナログ電圧に変換されてデータ線駆動回路へ入力される、もしくは、データ線駆動回路内でアナログ電圧に変換される。そして、データ線駆動回路112から、各画素へデータ電圧として供給される。
【0155】
本態様によると、上記補正変換ブロック601により、外部から入力された映像信号を画素部毎に輝度信号に変換し、画像部毎の輝度信号を所定の基準輝度に補正する。その上で、補正された各画像部の輝度信号を電圧信号に変換し、この変換された電圧信号をデータ線の駆動回路に出力する。
【0156】
これにより、画素部毎に記憶するデータは、各画素部に対応する輝度ゲインであって各画素部に対応する映像信号の輝度を所定の基準輝度にするための輝度ゲインである。そのため、従来のような、映像信号に対応した輝度信号を電圧信号に変換する輝度信号−電圧信号変換テーブルを画素部毎に用意する必要はなくなり、画素部毎に用意するデータ量は大幅に削減できる。そして、前記複数の画素部に共通する電圧−輝度特性を表す代表変換カーブに対応する所定の情報を、前記複数の画素部に共通して有している。これもデータ量として僅かである。
【0157】
そのため、表示パネルの画素部毎にばらつく輝度を補正して全画面で共通の輝度の映像信号を得るための補正に必要なデータの量を大幅に減少させることができる。これにより、製造コストを大幅に削減できる。その結果、製造コストおよび駆動時の処理負担を軽減して、画面全体にわたって均一な表示を実現できる。
【0158】
また、複数の画素部に共通する電圧−輝度特性に対応する代表変換カーブを表した所定の情報が、複数の画素部に共通して一つであるので、メモリ容量を必要最小限までに削減できる。
【0159】
ここで、上記補正変換ブロック601で用いられた輝度ゲインは、本発明の有機EL表示装置の製造方法で生成されメモリに格納された補正パラメータである。また、代表変換カーブは、本発明の有機EL表示装置の製造方法におけるステップS01において設定された代表I−V特性であってもよい。
【0160】
図17に記載された、輝度ゲインを補正パラメータとした場合においても、指定された同一階調に対して複数の有機EL素子の各々に流れる電流を一定にできるので、有機EL素子間にかかる電流負荷を一定にできる。そのため、各有機EL素子に流れる電流を均一にすることができ、時間が経つにつれて表示パネルに含まれる各有機EL素子の寿命がばらつくのを抑制できる。その結果、画面上に各有機EL素子の寿命のばらつきに起因する輝度ムラが表示されるのを防止できる。
【0161】
以上実施の形態1及び2について述べてきたが、本発明に係る有機EL表示装置及びその製造方法は、上記実施の形態に限定されるものではない。上述した実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本発明に係る有機EL表示装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0162】
例えば、本発明に係る有機EL表示装置及びその製造方法は、図18に記載されたような薄型フラットTVに内蔵される。本発明に係る有機EL表示装置及びその製造方法により、輝度ムラが抑制された長寿命のディスプレイを備えた低コストの薄型フラットTVが実現される。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明は、特に有機EL表示装置を内蔵する有機ELフラットパネルディスプレイに有用であり、画質の均一性が要求されるディスプレイの表示装置及びその製造方法として用いるのに最適である。
【符号の説明】
【0164】
1 有機EL表示装置
2 情報処理装置
3 撮像装置
4 電流計
12、101 制御回路
21 演算部
22 記憶部
23 通信部
11 表示パネル
111 走査線駆動回路
112 データ線駆動回路
113 表示部
121、102 メモリ
200 走査線
201 データ線
202 電源線
203 選択トランジスタ
204 駆動トランジスタ
205 有機EL素子
206 保持容量素子
207 共通電極
208 画素
601 補正変換ブロック
611 画素位置検出部
612 映像−輝度変換部
613 乗算部
614 輝度−電圧変換部
615 駆動回路用タイミングコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と前記発光素子への電流の供給を制御する電圧駆動の駆動素子とを含む画素を複数含む表示パネル全体に共通する代表電流−電圧特性を取得する第1ステップと、
前記表示パネルを複数の分割領域に分割し、各画素に含まれる駆動素子に電圧を印加し、各分割領域に流れた電流及び前記電流が流れた場合の各分割領域から発光される光の輝度を測定して各分割領域の電流−輝度特性を求め、当該電流−輝度特性の傾きである発光効率、及び、当該電流−輝度特性の輝度軸切片であるオフセット輝度値を前記各分割領域について求める第2ステップと、
前記表示パネルに含まれる複数の画素の各々から発光される光の輝度を所定の測定装置で測定し、各画素の輝度−電圧特性を求める第3ステップと、
前記代表電流−電圧特性の各電流値に前記各分割領域について求められた前記発光効率を乗算し、当該乗算値に前記各分割領域について求められた前記オフセット輝度値を加算することにより、前記各分割領域について輝度−電圧特性を求める第4ステップと、
前記第3ステップで求められた、対象となる画素の輝度−電圧特性が、前記第4ステップで求められた、前記対象となる画素を含む分割領域の輝度−電圧特性となるような補正パラメータを、前記対象となる画素について求める第5ステップと、を含む
有機EL表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記第3ステップにおいて、
前記表示パネルに含まれる複数の画素に対し所定の電圧を印加することにより、前記複数の画素を同時に発光させ、
前記複数の画素から同時に発光される光を所定の測定装置で撮像させ、
前記撮像されて得られた画像を取得し、
前記取得した画像から前記複数の画素の各々の輝度を特定し、
前記所定の電圧及び特定された前記複数の画素の各々の輝度を用いて前記複数の画素の各々の輝度−電圧特性を求める
請求項1に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記所定の測定装置はイメージセンサである
請求項2に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記第4ステップにおいて、
前記対象となる画素の表示パネルにおける位置を判断し、前記対象となる画素が、当該画素を含まない他の周辺分割領域との境界位置近傍に存在する場合、前記対象となる画素が含まれる分割領域の発光効率及びオフセット輝度値と前記他の周辺分割領域の発光効率及びオフセット輝度値とで重み付けして前記対象となる画素の発光効率及びオフセット輝度値を求め、
前記代表電流−電圧特性の各電流値に前記対象となる画素の発光効率を乗算し、当該乗算値に前記対象となる画素のオフセット輝度値を加算することにより、前記対象となる画素の補正パラメータを求める際の目標となる輝度‐電圧特性を前記対象となる画素について求め、
前記第5ステップにおいて、
前記第3ステップで求められた、前記対象となる画素の輝度−電圧特性が、前記第4ステップで求められた、前記対象となる画素の目標となる輝度−電圧特性となるような補正パラメータを、前記対象となる画素について求める
請求項2または3に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記第4ステップにおいて、
前記対象となる画素の発光効率及びオフセット輝度値を求める際、前記対象となる画素が前記他の周辺分割領域との境界位置に近いほど、前記他の周辺分割領域の発光効率及びオフセット輝度値を多く加味して重み付けする
請求項4に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記第4ステップにおいて、
前記対象となる画素の発光効率及びオフセット輝度値を求める際、前記対象となる画素から前記対象となる画素を含む分割領域の中心位置までの距離と、前記対象となる画素から前記他の周辺分割領域の中心位置までの距離との比に応じて前記対象となる画素の発光効率及びオフセット輝度値を求める
請求項5に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2ステップでは、
前記各分割領域の発光効率及びオフセット輝度値として、同一条件で製造される他の有機EL表示装置の製造方法において求められた前記発光効率及び前記オフセット輝度値を利用する
請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1ステップでは、
前記代表電流−電圧特性として、同一条件で製造される他の有機EL表示装置の製造方法において取得された代表電流−電圧特性を利用する
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項9】
さらに、
前記第5ステップにおいて求められた各画素の前記補正パラメータを、前記表示パネルに用いられる所定のメモリに書き込む第6ステップ、を含む
請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1ステップにおいて、
複数の測定用画素に複数の電圧を印加して各測定用画素に電流を流し、
前記複数の電圧の各々について前記各測定用画素に流れた電流を測定し、
前記各測定用画素の電流−電圧特性を平均化することにより前記代表電流−電圧特性を求める
請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1ステップにおいて、
複数の測定用画素に複数の共通電圧を同時に印加して各測定用画素に電流を流し、
前記複数の共通電圧の各々について前記各測定用画素に流れた電流の合計値を測定し、
前記各測定用画素に流れた電流の合計値を前記測定用画素の数で除算することにより前記代表電流−電圧特性を求める
請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記補正パラメータは、前記第3ステップで求められた前記対象となる画素の輝度−電圧特性の電圧と、前記第4ステップで求められた前記対象となる画素が含まれる分割領域の輝度−電圧特性の電圧との比を示したパラメータを含む
請求項1〜11のうちいずれか1項に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記補正パラメータは、前記第3ステップで求められた前記対象となる画素の輝度−電圧特性の輝度と、前記第4ステップで求められた前記対象となる画素が含まれる分割領域の輝度−電圧特性の輝度との比を示したパラメータを含む
請求項1〜11のうちいずれか1項に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記補正パラメータは、前記第3ステップで求められた前記対象となる画素の輝度−電圧特性の電圧と、前記第4ステップで求められた前記対象となる画素が含まれる分割領域の輝度−電圧特性の電圧との差を示したパラメータを含む
請求項1〜13のうちいずれか1項に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項15】
発光素子と前記発光素子への電流の供給を制御する駆動素子とを含む複数の画素と、
前記複数の画素の各々に信号電圧を供給するための複数のデータ線と、
前記複数の画素の各々に走査信号を供給するための複数の走査線と、
前記複数のデータ線に前記信号電圧を供給するデータ線駆動回路と、
前記複数の走査線に前記走査信号を供給する走査線駆動回路と、
所定の補正パラメータを前記複数の画素毎に格納する記憶部と、
外部から入力された映像信号に対して前記記憶部から前記複数の画素の各々に対応する前記所定の補正パラメータを読み出して、前記複数の画素の各々に対応する映像信号を補正する補正部とを備え、
前記所定の補正パラメータは、
前記複数の画素を含む表示パネル全体に共通する代表電流−電圧特性を設定する第1ステップと、
前記表示パネルを複数の分割領域に分割し、各画素に含まれる前記駆動素子に電圧を印加し、各分割領域に流れた電流及び前記電流が流れた場合の各分割領域から発光される光の輝度を測定し、各分割領域の電流−輝度特性を求め、当該電流−輝度特性の傾きである発光効率、及び、当該電流−輝度特性の輝度軸切片であるオフセット輝度値を前記各分割領域について求める第2ステップと、
前記表示パネルに含まれる複数の画素の各々から発光される光の輝度を所定の測定装置で測定し、各画素の輝度−電圧特性を求める第3ステップと、
前記代表電流−電圧特性の各電流値に前記各分割領域について求められた前記発光効率を乗算し、当該乗算値に前記各分割領域について求められた前記オフセット輝度値を加算することにより、前記各分割領域について輝度−電圧特性を求める第4ステップと、
対象となる画素の輝度−電圧特性が、前記対象となる画素を含む分割領域の輝度−電圧特性となるような補正パラメータを、前記対象となる画素について求める第5ステップとにより生成される
有機EL表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−203510(P2011−203510A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70961(P2010−70961)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】