説明

有糸分裂の進行を阻止するためのピリドベンゾアゼピン化合物および方法

本発明は、癌を処置する化合物および方法に関する。特に、本発明は、Auroraキナーゼを阻害する化合物、これらの化合物を含有する薬学的組成物、およびこれらの化合物を使用して癌を処置する方法を提供する。ある実施形態において、本発明の化合物は、有糸分裂の進行を阻止するためのピリドベンゾアゼピン化合物である。ある実施形態において、本発明の組成物は、本発明の化合物と、薬学的に受容可能なキャリアとを含有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(優先権の主張)
本願は、2006年8月9日に出願された米国仮特許出願番号60/836,605に対する優先権を主張する。この米国仮特許出願は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、癌の処置のための化合物および方法に関する。特に、本発明は、Auroraキナーゼ酵素を阻害する化合物、これらの化合物を含有する薬学的組成物、および癌を治療するためのこれらの化合物の使用方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
米国癌協会によれば、2004年において、推定140万人のアメリカ人が新たに癌と診断され、約560,000人の犠牲者が癌で死亡した。医学の進歩によって、癌の生存率が改善されたものの、引き続いて、より有効な新しい処置が必要とされている。
【0004】
癌は、制御されない細胞の再生により特徴付けられる。有糸分裂は、一連の複雑な事象が染色体の2個の娘細胞への分離の正確さを保証する、細胞周期における段階である。いくつかの現在の癌治療(タキサンおよびビンカアルカロイドが挙げられる)は、有糸分裂の機構を阻害するように作用する。有糸分裂の進行は、主に、タンパク質分解により、そして有糸分裂キナーゼで媒介されるリン酸化事象により、調節される。Auroraキナーゼファミリーのメンバー(例えば、Aurora A、Aurora B、Aurora C)は、中心体の分離、紡錘体の動力学、紡錘体アセンブリのチェックポイント、染色体の整列、および細胞質分裂の調節によって、有糸分裂の進行を調節する(非特許文献1;非特許文献2)。Auroraキナーゼの過剰発現および/または増幅は、大腸癌および乳癌のものを含めたいくつかの腫瘍型における腫瘍形成と関連している(非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5)。さらに、腫瘍細胞においてAuroraキナーゼを阻害すると、有糸分裂の停止およびアポトーシスが生じ、このことは、これらのキナーゼが癌治療に対する重要な標的であることを示唆している(非特許文献6;非特許文献7)。事実上全ての悪性疾患の進行における有糸分裂の中心的な役割を考えると、これらのAuroraキナーゼのインヒビターは、広範囲のヒトの腫瘍にわたって用途を有すると予想される。それゆえ、新しいAuroraキナーゼインヒビターが必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Dutertreら、Oncogene、2002年、第21巻、p.6175
【非特許文献2】Berdnikら、Curr.Biol、2002年、第12巻、p.640
【非特許文献3】Warnerら、Mol.Cancer Ther.、2003年、第2巻、p.589
【非特許文献4】Bischoffら、EMBO、1998年、第17巻、p.3062
【非特許文献5】Senら、Cancer Res.、2002年、第94巻、p.1320
【非特許文献6】Ditchfield、J.Cell Biol、2003年、第161巻、p.267
【非特許文献7】Harringtonら、Nature Med.、2004年、第1巻
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の説明)
本発明は、Auroraキナーゼを阻害する化合物を提供する。これらの化合物は、インビトロまたはインビボでAuroraキナーゼを阻害するのに有用であり、特に、癌を含めた細胞増殖障害の処置に有用である。本発明のAuroraキナーゼインヒビターは、式(I):
【0007】
【化1】

またはそれらの薬学的に受容可能な塩を有し、式(I)において、環A、環C、および変数R、R、Rf1、Rf2、R、R、Q、Z、およびGの各々は、下記の値を有する。
【0008】
f1は、水素であるか、またはRf1およびRf2は、一緒になって、結合を形成する。
【0009】
f2は、水素であるか、またはRf2は、Rf1またはRのいずれかと共に、結合を形成する。
【0010】
およびRの各々は、独立して、水素、フルオロ、または必要に応じて置換されたC1〜6脂肪族であるか;またはRおよびRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、必要に応じて置換された3員〜6員脂環式環を形成するか;またはRおよびRf2は、一緒になって、結合を形成する。
【0011】
QおよびZのうちの一方は、−N−であり、そして他方は、−CH−である。
【0012】
Gは、Rf1が水素である場合には、水素、必要に応じて置換された脂肪族または環Bであり;そしてGは、Rf1とRf2とが一緒になって結合を形成する場合には、水素、−OR、−N(R、−SR、必要に応じて置換された脂肪族、または環Bである。
【0013】
環Aは、置換または非置換の5員または6員のアリール環、ヘテロアリール環、脂環式環またはヘテロシクリル環である。
【0014】
環Bは、置換または非置換のアリール環、ヘテロアリール環、脂環式環またはヘテロシクリル環である。
【0015】
環Cは、置換または非置換のアリール環、ヘテロアリール環、ヘテロシクリル環または脂環式環である。
【0016】
は、水素、−C(O)R、−CO、−SO、またはC1〜3脂肪族であり、このC1〜3脂肪族は、0個〜2個の置換基を有し、この置換基は、独立して、RまたはRから選択される。
【0017】
は、水素、−OR、−N(R、−SR、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−N(R)SO、−N(R)SON(R、またはC1〜3脂肪族であり、このC1〜3脂肪族は、必要に応じて、RまたはRで置換されている。
【0018】
は、C1〜6脂肪族、あるいは必要に応じて置換されたアリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基である。
【0019】
各Rは、独立して、−ハロ、−OH、−O(C1〜3アルキル)、−CN、−N(R、−C(O)(C1〜3アルキル)、−COH、−CO(C1〜3アルキル)、−C(O)NH、および−C(O)NH(C1〜3アルキル)からなる群より選択される。
【0020】
各Rは、独立して、水素、または、必要に応じて置換された脂肪族基、アリール基、ヘテロアリール基もしくはヘテロシクリル基であるか;あるいは同じ窒素原子上の2個のRは、この窒素原子と一緒になって、必要に応じて置換された5員〜6員ヘテロアリール環または4員〜8員ヘテロシクリル環を形成し、この環は、この窒素原子に加えて、0個〜2個の環ヘテロ原子を有し、この環ヘテロ原子は、N、OおよびSから選択される。
【0021】
各Rは、独立して、水素、あるいは必要に応じて置換された脂肪族基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基である。
【0022】
各Rは、独立して、必要に応じて置換された脂肪族基またはアリール基である。
【0023】
各Rは、独立して、必要に応じて置換されたアリール基、ヘテロシクリル基またはヘテロアリール基である。
【0024】
本発明は、さらに、式(I)の化合物を含有する薬学的組成物、ならびにAuroraキナーゼ活性を阻害するため、およびAuroraキナーゼ媒介障害を処置するための本願化合物の使用を提供する。
【0025】
本発明の化合物には、上で一般的に記述したものが挙げられ、さらに、本明細書中で開示したクラス、下位分類および種により例示される。本明細書中で使用する用語は、特に明記しない限り、以下で定義する意味に従う。
【0026】
本明細書中で使用する「Auroraキナーゼ」との用語は、有糸分裂の進行に関与する、関連したセリン/トレオニンキナーゼのファミリーのいずれか1つを意味する。細胞分裂において役割を果たす種々の細胞タンパク質は、Auroraキナーゼ酵素によるリン酸化のための基質であり、これらには、ヒストンH3、p 53、CENP−A、ミオシンII調節軽鎖、タンパク質ホスファターゼ−1、TPX−2、INCENP、サルビビン(survivin)、トポイソメラーゼIIα、ビメンチン、MBD−3、MgcRacGAP、デスミン、Ajuba、XIEg5(Xenopus中)、Ndc10p(発芽酵母中)、およびD−TACC(Drosophila中)が挙げられるが、これらに限定されない。Auroraキナーゼ酵素はまた、それ自体、例えばThr288における、自己リン酸化のための基質である。特に明記しない限り、「Auroraキナーゼ」との用語は、任意の種に由来の任意のAuroraキナーゼタンパク質を意味し、これらには、Aurora A、Aurora BおよびAurora Cが挙げられ、好ましくは、Aurora AまたはAurora Bが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、このAuroraキナーゼは、ヒトAuroraキナーゼである。
【0027】
「Auroraキナーゼインヒビター」または「Auroraキナーゼのインヒビター」との用語は、本明細書中で規定した構造を有する化合物であって、Auroraキナーゼと相互作用してその酵素活性を阻害できる化合物を意味するように使用される。Auroraキナーゼ酵素活性を阻害するとは、Auroraキナーゼが基質ペプチドまたはタンパク質をリン酸化する能力を低下させることを意味する。種々の実施形態では、Auroraキナーゼ活性のこのような低下は、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%である。種々の実施形態では、Auroraキナーゼ酵素活性を低下させるのに必要なAuroraキナーゼインヒビターの濃度は、約1μM未満、約500nM未満、約100nM未満、または約50nM未満である。
【0028】
いくつかの実施形態では、このようなインヒビターは、選択的であり、すなわち、Auroraキナーゼインヒビターは、他の無関係の生物学的効果(例えば、異なるキナーゼの酵素活性の低下)を生じるのに必要な濃度よりも低い濃度で、Auroraキナーゼが基質ペプチドまたはタンパク質をリン酸化する能力を低下させる。いくつかの実施形態では、このAuroraキナーゼインヒビターはまた、別のキナーゼ(好ましくは、癌に関係しているキナーゼ)の酵素活性を低下させる。
【0029】
「約」との用語は、本明細書中にて、ほぼ、およそ、ざっと、または大体を意味するように使用される。「約」との用語が数値範囲に関連して使用されるとき、それは、示された数値の上または下に境界を広げることにより、その範囲を変える。一般に、「約」との用語は、本明細書中にて、10%の変動だけ述べられた値の上または下に数値を変えるように使用される。
【0030】
本明細書中で使用する「含む」との用語は、「含むがそれに限定されない」ことを意味する。
【0031】
本明細書中で使用する「脂肪族」との用語は、直鎖、分枝または環状のC1〜12炭化水素(これは、完全に飽和しているか、または1個以上の不飽和単位を含有するが、芳香族ではない)を意味する。例えば、適切な脂肪族基には、置換または非置換の直鎖、分枝または環状のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基およびそれらの混成体(例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニル)が挙げられる。種々の実施形態では、脂肪族基は、1個〜12個、1個〜8個、1個〜6個、1個〜4個または1個〜3個の炭素を有する。
【0032】
「アルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」との用語は、単独で、またはそれより大きい部分の一部として使用され、1個〜12個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の脂肪族基を意味する。本発明の目的のために、「アルキル」との用語は、脂肪族基を分子の残りの部分に結合する炭素原子が飽和炭素原子である場合に使用される。しかしながら、アルキル基は、他の炭素原子において、不飽和を含み得る。それゆえ、アルキル基には、メチル、エチル、プロピル、アリル、プロパルギル、ブチル、ペンチルおよびヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本発明の目的のために、「アルケニル」との用語は、脂肪族基を分子の残りの部分に結合する炭素原子が炭素−炭素二重結合の一部を形成する場合に使用される。アルケニル基には、ビニル、1−プロペニル、1−ブテニル、1−ペンテニルおよび1−ヘキセニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
本発明の目的のために、「アルキニル」との用語は、脂肪族基を分子の残りの部分に結合する炭素原子が炭素−炭素三重結合の一部を形成する場合に使用される。アルキニル基には、エチニル、1−プロピニル、1−ブチニル、1−ペンチニルおよび1−ヘキシニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
「シクロ脂肪族」、「炭素環」、「カルボシクリル」、「カルボシクロ」または「炭素環式」との用語は、単独で、またはそれより大きい部分の一部として使用され、3員〜約14員を有する飽和または部分不飽和の脂環式系環を意味し、ここで、この脂肪族環系は、必要に応じて、置換されている。シクロ脂肪族基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチル、シクロオクテニルおよびシクロオクタジエニルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、このシクロアルキルは、3個〜6個の炭素を有する。「シクロ脂肪族」、「炭素環」、「カルボシクリル」、「カルボシクロ」または「炭素環式」との用語はまた、1個以上の芳香族環または非芳香族環に縮合された脂肪族環(例えば、デカヒドロナフチルまたはテトラヒドロナフチル)を包含し、ここで、そのラジカルまたは結合点は、この脂肪族環上にある。
【0036】
「ハロ脂肪族」、「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」および「ハロアルコキシ」との用語は、1個以上のハロゲン原子で置換され得る、場合によって脂肪族基、アルキル基、アルケニル基またはアルコキシ基を意味する。本明細書中で使用する「ハロゲン」または「ハロ」との用語は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0037】
「アリール」および「アル−」との用語は、単独で、またはそれより大きい部分(例えば、「アラルキル」、「アラルコキシ」または「アリールオキシアルキル」)の一部として使用され、1個〜3個の芳香族環を含むC〜C14芳香族部分を意味し、これらは、必要に応じて、置換されている。好ましくは、このアリール基は、C6〜10アリール基である。アリール基には、フェニル、ナフチルおよびアントラセニルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中で使用する「アリール」との用語はまた、芳香族環が1個以上のヘテロアリール環、シクロ脂肪族環またはヘテロシクリル環に縮合された基を含み、ここで、そのラジカルまたは結合点は、この芳香族環上にある。このような縮合環系の非限定的な例には、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、フルオレニル、インダニル、フェナントリジニル、テトラヒドロナフチル、インドリニル、フェノキサジニル、ベンゾジオキサニルおよびベンゾジオキソリルが挙げられる。アリール基は、単環式、二環式、三環式または多環式、好ましくは、単環式、二環式または三環式、さらに好ましくは、単環式または二環式であり得る。「アリール」との用語は、「アリール基」、「アリール環」および「芳香族環」との用語と交換可能に使用され得る。
【0038】
「アラルキル」基または「アリールアルキル」基は、アルキル基に共有結合されたアリール基を含み、それらのいずれかは、独立して、必要に応じて、置換されている。好ましくは、このアラルキル基は、C6〜10アリール(C1〜6)アルキルであり、これらには、ベンジル、フェネチルおよびナフチルメチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
「ヘテロアリール」および「ヘテロアル−」との用語は、単独で、またはそれより大きい部分(例えば、ヘテロアラルキルまたは「ヘテロアラルコキシ」)の一部として使用され、5個〜14個の環原子、好ましくは、5個、6個、9個または10個の環原子を有し、環状配置で共有された6個、10個または14個のπ電子を有し、また、1個以上の炭素原子に加えて、1個〜4個のヘテロ原子を有する、芳香族基を意味する。「ヘテロ原子」との用語は、窒素、酸素または硫黄を意味し、これは、窒素または硫黄の任意の酸化形態、および塩基性窒素の任意の四級化形態を含む。ヘテロアリール基には、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニルおよびプテリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中で使用する「ヘテロアリール」および「ヘテロアル−」との用語はまた、ヘテロ芳香族環が1個以上のヘテロアリール環、シクロ脂肪族環またはヘテロシクリル環に縮合された基を含み、ここで、そのラジカルまたは結合点は、このヘテロ芳香族環上にある。非限定的な例には、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H−キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、およびピリド[2,3−b]−1,4−オキサジン−3(4H)−オンが挙げられる。ヘテロアリール基は、単環式、二環式、三環式または多環式、好ましくは、単環式、二環式または三環式、さらに好ましくは、単環式または二環式であり得る。「ヘテロアリール」との用語は、「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」、および「ヘテロ芳香族」との用語と交換可能に使用され得、これらの用語のいずれかは、必要に応じて置換された環を含む。「ヘテロアラルキル」との用語は、ヘテロアリールで置換されたアルキル基を意味し、ここで、そのアルキル部分およびヘテロアリール部分は、独立して、必要に応じて、置換されている。
【0040】
本明細書中で使用する「ヘテロサイクル」、「ヘテロシクリル」、「複素環式ラジカル」および「複素環式環」との用語は、交換可能に使用され、そして安定な3員〜7員の単環式または縮合7員〜10員もしくは架橋6員〜10員の二環式複素環部分を意味し、これは、飽和または部分不飽和のいずれかであり、そして炭素原子に加えて、1個以上、好ましくは、1個〜4個のヘテロ原子(これは、上で定義した)を有する。複素環の環原子に関連して使用されるとき、「窒素」との用語は、置換された窒素を含む。例として、酸素、硫黄または窒素から選択される0個〜3個のヘテロ原子を有する飽和または部分不飽和の環では、その窒素は、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリル中のもののように)、NH(ピロリジニル中のもののように)またはNR(N置換ピロリジニル中のもののように)であり得る。
【0041】
複素環式環は、安定な構造を生じる任意のヘテロ原子または炭素原子において、そのペンダント基に結合でき、この環原子のいずれかは、必要に応じて、置換され得る。このような飽和または部分不飽和の複素環式ラジカルの例には、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、ピロリドニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニルおよびキヌクリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。「ヘテロサイクル」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクリル環」、「複素環式基」、「複素環式部分」および「複素環式ラジカル」との用語は、本明細書中では、交換可能に使用され、そしてまた、ヘテロシクリル環が1個以上のアリール環、ヘテロアリール環またはシクロ脂肪族環に縮合した基(例えば、インドリニル、3H−インドリル、クロマニル、フェナントリジニルまたはテトラヒドロキノリニル)を含み、ここで、そのラジカルまたは結合点は、このヘテロシクリル環上にある。ヘテロシクリル基は、単環式、二環式、三環式または多環式、好ましくは、単環式、二環式または三環式、さらに好ましくは、単環式または二環式であり得る。「ヘテロシクリルアルキル」との用語は、ヘテロシクリルで置換されたアルキル基を意味し、ここで、そのアルキル部分およびヘテロシクリル部分は、独立して、必要に応じて、置換されている。
【0042】
本明細書中で使用する「部分不飽和」との用語は、環原子間に少なくとも1個の二重結合または三重結合を含む環部分を意味する。「部分不飽和」との用語は、複数の不飽和部位を有する環を包含すると解釈されるが、アリール部分またはヘテロアリール部分(これらは、本明細書中で定義されるとおりである)を含むとは解釈されない。
【0043】
「リンカー基」または「リンカー」との用語は、化合物の2つの部分を連結する有機部分を意味する。リンカーは、典型的には、原子(例えば、酸素または硫黄)、単位(例えば、−NH−、−CH−、−C(O)−、−C(O)NH−)、または原子鎖(例えば、アルキレン鎖)を含む。リンカーの分子量は、典型的には、約14〜200の範囲、好ましくは、14〜96の範囲であり、約6原子までの長さを有する。いくつかの実施形態では、このリンカーは、C1〜6アルキレン鎖である。
【0044】
「アルキレン」との用語は、二価アルキル基を意味する。「アルキレン鎖」は、ポリメチレン基、すなわち、−(CH−であり、ここで、nは、正の整数であり、好ましくは、1〜6、1〜4、1〜3、1〜2、または2〜3である。置換アルキレン鎖とは、1個以上のメチレン水素原子が置換基で置き換えられたポリメチレン基である。適切な置換基には、置換脂肪族基について下に記載されるものが挙げられる。アルキレン鎖はまた、1つ以上の位置で、脂肪族基または置換脂肪族基で置換され得る。
【0045】
アルキレン鎖はまた、必要に応じて、官能基で中断され得る。内部メチレン単位が官能基で置き換えられる場合、このアルキレン鎖は、官能基で「中断」されている。適切な「中断する官能基」の例には、−C(R)=C(RΛ)−、−C≡C−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)N(R)−、−N(R)−、−N(R)CO−、−N(R)C(O)N(R)−、−N(R)CO−、−C(O)N(R)−、−C(O)−、−C(O)−C(O)−、−CO−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)N(R)−、−C(NR)=N、−C(OR)=N−、−N(R)−N(R)−または−N(R)S(O)−が挙げられる。各Rは、独立して、水素、または必要に応じて置換された脂肪族基、アリール基、ヘテロアリール基もしくはヘテロシクリル基であるか、あるいは同じ窒素原子上の2個のRは、この窒素原子と一緒になって、5員〜8員の芳香族環または非芳香族環を形成し、この環は、この窒素原子に加えて、0個〜2個の環ヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、N、OおよびSから選択される。各Rは、独立して、水素、あるいは必要に応じて置換された脂肪族基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基である。各RΛは、独立して、水素、−CO、−C(O)N(Rであるか、あるいは、必要に応じて置換された脂肪族基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基である。
【0046】
−O−で「中断」されたC3〜6アルキレン鎖の例には、−CHOCH−、−CHO(CH、−CHO(CH−、−CHO(CH−、−(CHOCH−、−(CHO(CH−、−(CHO(CH−、−(CHO(CH)−、−(CHO(CH−および−(CHO(CH)−が挙げられる。官能基で「中断」されたアルキレン鎖の他の例には、−CHGCH−、−CHG(CH−、−CHG(CH、−CHG(CH、−(CHGCH−、−(CHG(CH、−(CHG(CH、−(CHG(CH)−、−(CHG(CH−および−(CHG(CH)−が挙げられ、ここで、Gは、上で列挙した「中断する」官能基の1個である。
【0047】
本明細書中で使用する「置換された」との用語は、その置換が安定な化合物または化学的に実現可能な化合物を生じるという条件で、指定された部分の1個以上の水素が置き換えられていることを意味する。安定な化合物または化学的に実現可能な化合物とは、水分または化学的に反応性の条件なしで約−80℃〜約+40℃の温度で少なくとも1週間保持したとき、化学構造が実質的に変化しないもの、または患者に治療的または予防的に投与するのに有用であるように十分に長くその完全性を維持する化合物である。本明細書中で使用する「1個以上の置換基」との語句は、安定性および化学的実現可能性の上記条件を満たすという条件で、1個から、利用可能な結合部位の数に基づいて可能な置換基の最大数までに等しい置換基の数を意味する。
【0048】
アリール基(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどにおけるアリール部分を含めて)またはヘテロアリール基(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシなどにおけるヘテロアリール部分を含めて)は、1個以上の置換基を含有し得る。アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の適切な置換基の例には、−ハロ、−NO、−CN、−R、−C(R)=C(R)(RΛ)、−C≡C−RΛ、−OR、−SR、−S(O)R、−SO、−SO、−SON(R、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−O−CO、−OC(O)N(R、−O−C(O)R、−CO、−C(O)−C(O)R、−C(O)R、−C(O)N(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)R、−C(=NR)−N(R、−C(=NR)−OR、−N(R)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R、−NRSO、−NRSON(R、−P(O)(R、−P(O)(OR、−O−P(O)−ORおよび−P(O)(NR)−N(Rが挙げられるか、または2個の隣接する置換基は、それらの間にある原子と一緒になって、5員〜6員の不飽和環または部分不飽和環を形成し、この環は、0個〜3個の環原子を有し、この環原子は、N、OおよびSからなる群より選択される。このような置換基では、Rは、必要に応じて置換された脂肪族基またはアリール基であり、そしてR、RおよびRΛは、上で定義したとおりである。
【0049】
脂肪族基または非芳香族複素環式環は、1個以上の置換基で置換され得る。脂肪族基または非芳香族複素環式環の飽和炭素上の適切な置換基の例には、アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素について上で列挙したもの、および以下が挙げられるが、これらに限定されない:=O、=S、=C(R、=N−NHR、=N−N(R、=N−OR、=N−NHC(O)R、=N−NHCO、=N−NHSOまたは=N−Rであって、ここで、各RおよびRは、上で定義したとおりである。
【0050】
非芳香族複素環式環の窒素原子上の適切な置換基には、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)−C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(Rおよび−NRSOが挙げられる。ここで、各Rは、上で定義したとおりである。
【0051】
本発明の特定の化合物が互変異性形態で存在し得、これらの化合物の全てのこのような互変異性形態は、本発明の範囲内であることは、当業者に明らかとなる。特に明記しない限り、本明細書中で描写した構造はまた、その構造の全ての立体異性形態(すなわち、各非対称中心に対するR立体配置およびS立体配置)を含むことを意味する。従って、本発明の化合物の単一の立体化学異性体ならびに鏡像異性体およびジアステレオマーの混合物は、本発明の範囲内である。一例として、Rf1が水素である式(I)の化合物は、環Bを持つ炭素原子において、R立体配置またはS立体配置を有し得る。RおよびSの両方の立体化学異性体、ならびにそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0052】
特に明記しない限り、本明細書中で描写した構造はまた、1個以上の同位体が富んだ原子の存在のみが異なる化合物を含むことを意味する。例えば、水素原子を重水素または三重水素で置き換えるかあるいは炭素原子を13Cまたは14Cに富んだ炭素で置き換えたこと以外は本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
【0053】
特に明記しない限り、本明細書中で描写した構造はまた、描写した化合物の溶媒和形態および水和形態を含むことを意味する。また、式(I)の化合物の薬学的に受容可能な塩、ならびにこのような塩の溶媒和形態および水和形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)の化合物に関し、ここで、Rは、水素、−OR、−N(R、−SR、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−N(R)SO、−N(R)SON(R、またはC1〜3脂肪族であり、このC1〜3脂肪族は、必要に応じて、RまたはRで置換されている。いくつかの実施形態では、Rは、水素、またはC1〜3脂肪族であり、このC1〜3脂肪族は、必要に応じて、RまたはRで置換されている。特定の実施形態では、Rは、水素である。
【0055】
いくつかの実施形態では、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、フルオロ、またはC1〜6脂肪族から選択され、このC1〜6脂肪族は、必要に応じて、1個または2個のRで置換されている。他のいくつかの実施形態では、RおよびRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、必要に応じて置換された3員〜6員の脂環式環を形成する。他のいくつかの実施形態では、RおよびRf2は、一緒になって、結合を形成する。いくつかの実施形態では、RおよびRは、それぞれ、水素である。特定の実施形態では、R、RおよびRは、それぞれ、水素である。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)の化合物に関し、ここで、Rf1は、水素であり、そしてRf2は、水素であるか、またはRf2およびRは、一緒になって、結合を形成し、そしてGは、水素、必要に応じて置換された脂肪族、または環Bである。
【0057】
他のいくつかの実施形態は、式(I)の化合物に関し、ここで、Rf1およびRf2は、一緒になって、結合を形成し、そしてGは、水素、−SR、−OR、−N(R、または必要に応じて置換された脂肪族である。このような実施形態では、Gは、好ましくは、水素、−OR、−N(R、または必要に応じて置換された脂肪族である。さらに好ましくは、Gは、−H、−OH、−NH、−O(C1〜3アルキル)、−NH(C1〜3アルキル)、−N(C1〜3アルキル)、C1〜3アルキル、C1〜3フルオロアルキル、−O−L−R、−N(C1〜3アルキル)−L−R、または−L−Rであり、ここで、Lは、共有結合またはC1〜3アルキレンである。
【0058】
本発明の他の実施形態は、式(II):
【0059】
【化2】

により特徴付けられる式(I)の化合物の亜属、またはそれらの薬学的に受容可能な塩に関し、式(II)において、変数R、RおよびRは、式(I)について上で定義したとおりである。式(I)および(II)における環A、環Bおよび環Cに対する値および好ましい値は、以下に記載される。
【0060】
環Aは、置換または非置換の5員または6員のアリール、ヘテロアリール、脂環式環またはヘテロシクリル環である。環Aの例には、フラノ、ジヒドロフラノ、チエノ、ジヒドロチエノ、シクロペンテノ、シクロヘキセノ、2H−ピロロ、ピロロ、ピロリノ、ピロリジノ、オキサゾロ、チアゾロ、イミダゾロ、イミダゾリノ、イミダゾリジノ、ピラゾロ、ピラゾリノ、ピラゾリジノ、イソオキサゾロ、イソチアゾロ、オキサジアゾロ、トリアゾロ、チアジアゾロ、2H−ピラノ、4H−ピラノ、ベンゾ、ピリジノ、ピペリジノ、ジオキサノ、モルホリノ、ジチアノ、チオモルホリノ、ピリダジノ、ピリミジノ、ピラジノ、ピペラジノおよびトリアジノが挙げられ、これらの基のいずれかは、置換または非置換であり得る。環Aに対する好ましい値には、フラノ、チエノ、ピロロ、オキサゾロ、チアゾロ、イミダゾロ、ピラゾロ、イソオキサゾロ、イソチアゾロ、トリアゾロ、ベンゾ、ピリジノ、ピリダジノ、ピリミジノおよびピラジノからなる群より選択される置換環または非置換環が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
環Aは、置換または非置換であり得る。いくつかの実施形態では、環A内の各置換可能な飽和環炭素原子は、非置換であるか、あるいは=O、=S、=C(R、=N−N(R、=N−OR、=N−NHC(O)R、=N−NHCO、=N−NHSO、=N−Rまたは−Rで置換されており、ここで、R、R、RおよびRは、以下で定義されるとおりである。環A内の各置換可能な不飽和環炭素原子は、非置換であるか、または−Rで置換されている。環A内の各置換可能な環窒素原子は、非置換であるか、または−R9bで置換されている。環A内の1個の環窒素原子は、必要に応じて、酸化されている。各R9bは、独立して、−C(O)R、−C(O)N(R、−CO、−SO、−SON(R、またはC1〜4脂肪族であり、このC1〜4脂肪族は、必要に応じて、RまたはRで置換されている。
【0062】
各Rは、独立して、R2b、必要に応じて置換された脂肪族、または必要に応じて置換されたアリール基、ヘテロシクリル基もしくはヘテロアリール基であるか;あるいは2個の隣接するRは、介在する環原子と一緒になって、必要に応じて置換された縮合4員〜8員芳香族環または非芳香族環を形成し、この環は、0個〜3個の環ヘテロ原子を有し、この環ヘテロ原子は、O、NおよびSからなる群より選択される。
【0063】
各R2bは、独立して、−ハロ、−NO、−CN、−C(R)=C(R、−C(R)=C(R)(R10)、−C≡C−R、−C≡C−R10、−OR、−SR、−S(O)R、−SO、−SON(R、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−O−CO、−OC(O)N(R、−O−C(O)R、−CO、−C(O)−C(O)R、−C(O)R、−C(O)N(R、−C(=NR)−N(R、−C(=NR)−OR、−N(R)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)SO、−N(R)SON(R、−P(O)(R、または−P(O)(ORである。
【0064】
各Rは、独立して、−ハロ、−OH、−O(C1〜3アルキル)、−CN、−N(R、−C(O)(C1〜3アルキル)、−COH、−CO(C1〜3アルキル)、−C(O)NH、および−C(O)NH(C1〜3アルキル)からなる群より選択される。
【0065】
各Rは、独立して、水素、または、必要に応じて置換された脂肪族基、アリール基、ヘテロアリール基もしくはヘテロシクリル基である;あるいは同じ窒素原子上の2個のRは、この窒素原子と一緒になって、必要に応じて置換された5員〜6員ヘテロアリールまたは4員〜8員ヘテロシクリル環を形成し、この環は、この窒素原子に加えて、0個〜2個の環ヘテロ原子を有し、この環ヘテロ原子は、N、OおよびSから選択される。
【0066】
各Rは、独立して、水素、あるいは必要に応じて置換された脂肪族基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基である。
【0067】
各Rは、独立して、必要に応じて置換された脂肪族基またはアリール基である。
【0068】
各Rは、独立して、必要に応じて置換されたアリール基、ヘテロシクリル基またはヘテロアリール基である。
【0069】
各R10は、独立して、−COまたは−C(O)N(Rである。
【0070】
いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、C1〜6脂肪族、C1〜6フルオロ脂肪族、−R2b、−R7b、−T−R2b、および−T−R7bからなる群より選択される;または2個の隣接するRは、介在する環原子と一緒になって、必要に応じて置換された縮合4員〜8員芳香族環または非芳香族環を形成し、この環は、0個〜3個の環ヘテロ原子を有し、この環ヘテロ原子は、O、NおよびSからなる群より選択される。変数R2bは、上記のとおりであり、そしてTおよびR7bは、以下に記載されている。
【0071】
は、C1〜6アルキレン鎖であり、このC1〜6アルキレン鎖は、必要に応じて、RまたはR3bで置換されており、ここで、Tまたはその一部は、必要に応じて、3員〜7員環の部分を形成する。
【0072】
各Rは、独立して、−ハロ、−OH、−O(C1〜3アルキル)、−CN、−N(R、−C(O)(C1〜3アルキル)、−COH、−CO(C1〜3アルキル)、−C(O)NH、および−C(O)NH(C1〜3アルキル)からなる群より選択される。
【0073】
各R3bは、独立して、C1〜3脂肪族であり、このC1〜3脂肪族は、必要に応じて、RまたはRで置換されているか、あるいは同じ炭素原子上の2個の置換基R3bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3員〜6員炭素環式環を形成する。
【0074】
各R7bは、独立して、必要に応じて置換されたアリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基である。
【0075】
いくつかの実施形態では、環Aは、0個〜3個、0個〜2個または0個〜1個の置換基Rで置換されており、ここで、置換基Rは、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、C1〜3脂肪族、−R2b、−R7b、−T−R2b、および−T−R7bからなる群より選択され、ここで、Tは、C1〜3アルキレン鎖であり、このC1〜3アルキレン鎖は、必要に応じて、フルオロで置換されている。いくつかの実施形態では、2個の隣接するRは、介在する環原子と一緒になって、必要に応じて置換された縮合4員〜8員芳香族環または非芳香族環を形成し、この環は、0個〜3個の環ヘテロ原子を有し、この環ヘテロ原子は、O、NおよびSからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、C1〜3脂肪族、−R2b、および−T−R2bからなる群より選択され、ここで、Tは、C1〜3アルキレン鎖であり、このC1〜3アルキレン鎖は、必要に応じて、フルオロで置換されている。いくつかのこのような実施形態では、各R2bは、独立して、−ハロ、−NO、−C(R)=C(R、−C≡C−R、−ORおよび−N(Rからなる群より選択される。
【0076】
いくつかの実施形態では、環Aは、0個〜2個の置換基Rで置換されている。いくつかのこのような実施形態では、各Rは、独立して、C1〜3脂肪族またはR2bであり、そして各R2bは、独立して、−ハロ、−NO、−C(R)=C(R、−C≡C−R、−OR、および−N(Rからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3フルオロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族である。特定の好ましい実施形態では、環Aは、0個、1個または2個の置換基、好ましくは、0個または1個の置換基で置換されており、この置換基は、独立して、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、トリフルオロメチル、およびメトキシからなる群より選択される。
【0077】
環A部分の特定の例は、表1で示す。見やすくするために、環炭素原子上の任意の置換基Rおよび環窒素原子上のR9bは、示していない。
【0078】
(表1.環A部分の例)
【0079】
【化3】

【0080】
【化4】

いくつかの実施形態では、上記環A部分のうちの1個における2個の隣接するRは、介在する環原子と一緒になって、必要に応じて置換された縮合4員〜8員芳香族または非芳香族縮合環を形成し、その結果、環Aは、二環式部分となる。このような二環式部分の特定の例は、表2で示し、それらの部分のいずれかは、任意の置換可能な環炭素原子および任意の置換可能な環窒素原子において、必要に応じて、置換されている。
【0081】
(表2.二環式環A部分の例)
【0082】
【化5】

【0083】
【化6】

いくつかの実施形態では、本発明は、式(III):
【0084】
【化7】

により規定される式(I)の亜属、またはそれらの薬学的に受容可能な塩に関し、式(III)において、環Aは、0個〜3個のRで置換されている。環BおよびC、ならびに変数R、RおよびRは、式(I)について上で定義したとおりである。
【0085】
特定のこのような実施形態では、環Aは、式A−iを有する:
【0086】
【化8】

ここで、Rb2およびRb3の各々は、独立して、水素またはRである。いくつかの実施形態では、Rb2およびRb3の各々は、独立して、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3フルオロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族である。特定の実施形態では、Rb2およびRb3の各々は、独立して、水素、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、トリフルオロメチル、およびメトキシからなる群より選択される。他のいくつかの実施形態では、Rb2およびRb3は、介在する環炭素原子と一緒になって、必要に応じて置換された縮合4員〜8員芳香族環または非芳香族環を形成し、この環は、0個〜3個の環ヘテロ原子を有し、この環ヘテロ原子は、O、NおよびSからなる群より選択される。
【0087】
上記式(I)〜(III)の化合物において、環Bは、単環式、二環式または三環式環系である。いくつかの実施形態では、環Bがこの式の残りの部分と結合する結合点は、環B部分のアリール環またはヘテロアリール環上にある。他の実施形態では、この結合点は、ヘテロシクリル環または脂環式環上にある。好ましくは、環Bは、単環式または二環式である。
【0088】
環B内の各置換可能な飽和環炭素原子は、非置換であるか、または=O、=S、=C(R、=N−N(R、=N−OR、=N−NHC(O)R、=N−NHCO、=N−NHSO、=N−Rまたは−Rで置換されている。環B内の各置換可能な不飽和環炭素原子は、非置換であるか、または−Rで置換されている。環B内の置換可能な環窒素原子は、非置換であるか、または−R9cで置換されており、そして環B内の1個の環窒素原子は、必要に応じて、酸化されている。各R9cは、独立して、−C(O)R、−C(O)N(R、−CO、−SO、−SON(R、またはC1〜4脂肪族であり、このC1〜4脂肪族は、必要に応じて、RまたはRで置換されている。環Bは、非置換であり得るか、またはその成分環のいずれか1個以上において置換され得、ここで、この置換基は、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、環Bは、0個〜2個の独立して選択されたRと、0個〜3個の独立して選択されたR2cまたはC1〜6脂肪族基とで置換されている。変数R、R、R、RおよびRは、環Aについて上で定義したとおりであり、そしてRおよびR2cは、以下で定義されている。
【0089】
各Rは、独立して、R2c、必要に応じて置換されたC1〜6脂肪族、あるいは必要に応じて置換されたアリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基である。
【0090】
各R2cは、独立して、−ハロ、−NO、−CN、−C(R)=C(R、−C(R)=C(R)(R10)、−C≡C−R、−C≡C−R10、−OR、−SR、−S(O)R、−SO、−SON(R、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−O−CO、−OC(O)N(R、−O−C(O)R、−CO、−C(O)−C(O)R、−C(O)R、−C(O)N(R、−C(=NR)−N(R、−C(=NR)−OR、−N(R)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)SO、−N(R)SON(R、−P(O)(R、または−P(O)(ORである。
【0091】
いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、C1〜6脂肪族、R2c、R7c、−T−R2c、および−T−R7cからなる群より選択され、ここで、R2cは、上に記載されたとおりであり、そしてTおよびR7cは、以下に記載される。
【0092】
は、C1〜6アルキレン鎖であり、このC1〜6アルキレン鎖は、必要に応じて、RまたはR3bで置換されており、ここで、Tまたはその一部は、必要に応じて、3員〜7員環の部分を形成する。
【0093】
各Rは、独立して、−ハロ、−OH、−O(C1〜3アルキル)、−CN、−N(R、−C(O)(C1〜3アルキル)、−COH、−CO(C1〜3アルキル)、−C(O)NH、および−C(O)NH(C1〜3アルキル)からなる群より選択される。
【0094】
各R3bは、独立して、C1〜3脂肪族であり、このC1〜3脂肪族は、必要に応じて、RまたはRで置換されているか、または同じ炭素原子上の2個の置換基R3bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3員〜6員炭素環式環を形成する。
【0095】
各R7cは、独立して、必要に応じて置換されたアリール基、ヘテロシクリル基またはヘテロアリール基である。
【0096】
いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、C1〜3脂肪族、R2c、R7c、−T−R2c、および−T−R7cからなる群より選択され、ここで、Tは、C1〜3アルキレン鎖であり、このC1〜3アルキレン鎖は、必要に応じて、フルオロで置換されている。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、C1〜3脂肪族、R2c、および−T−R2cからなる群より選択され、ここで、Tは、C1〜3アルキレン鎖であり、このC1〜3アルキレン鎖は、必要に応じて、フルオロで置換されている。いくつかの実施形態では、各R2cは、独立して、−ハロ、−NO、−C(R)=C(R、−C≡C−R、−OR、および−N(Rからなる群より選択される。
【0097】
いくつかの実施形態では、環Bは、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、フェニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、プリニル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、およびプテリジニルからなる群より選択される、置換または非置換の単環式あるいは二環式のアリール環またはヘテロアリール環である。
【0098】
いくつかの実施形態では、環Bは、単環式の5員または6員のアリール環またはヘテロアリール環であり、この環は、0個〜2個の独立して選択されたRと、0個〜2個の独立して選択されたR2cまたはC1〜6脂肪族基とで置換されている。特定のこのような実施形態では、環Bは、置換または非置換のフェニル環またはピリジル環である。
【0099】
いくつかの実施形態では、環Bは、0個〜2個の置換基Rで置換されている。いくつかのこのような実施形態では、各Rは、独立して、C1〜3脂肪族またはR2cであり、そして各R2cは、独立して、−ハロ、−NO、−C(R)=C(R、−C≡C−R、−OR、および−N(Rからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3ハロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族である。特定の好ましい実施形態では、環Bは、0個、1個または2個の置換基で置換されており、この置換基は、独立して、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、トリフルオロメチル、およびメトキシからなる群より選択される。
【0100】
いくつかの実施形態では、環Bは、式B−iを有する:
【0101】
【化9】

ここで、Rc1およびRc5の各々は、独立して、水素またはRである。いくつかの実施形態では、Rc1およびRc5の各々は、独立して、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3フルオロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族である。特定の実施形態では、Rc1およびRc5の各々は、独立して、水素、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、トリフルオロメチル、およびメトキシからなる群より選択される。
【0102】
いくつかの実施形態において、式(III)の化合物は、式(IV):
【0103】
【化10】

により規定される。式IVにおいて、環Aは、0個〜2個の独立して選択されるRで置換されており、そして環Bは、0個〜2個の独立して選択されるRで置換されている。いくつかの実施形態において、式(IV)の化合物は、以下の特徴(a)〜(c):
(a) 各Rは、独立して、C1〜3脂肪族、R2b、R7b、−T−R2b、および−T−R7bからなる群より選択され、ここでTは、フルオロで必要に応じて置換されたC1〜3アルキレン鎖であり、そして各R2bは、独立して、−ハロ、−NO、−C(R)=C(R、−C≡C−R、−OR、および−N(Rからなる群より選択されること;
(b) 各Rは、独立して、C1〜3脂肪族、R2c、R7c、−T−R2c、および−T−R7cからなる群より選択され、ここでTは、フルオロで必要に応じて置換されたC1〜3アルキレン鎖であり、そして各R2cは、独立して、−ハロ、−NO、−C(R)=C(R、−C≡C−R、−OR、および−N(Rからなる群より選択されること;ならびに
(c) Rは水素であること、
のうちの少なくとも1つにより特徴付けられる。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態は、式(V):
【0105】
【化11】

により規定される式(IV)の化合物の下位部類に関し、式(V)において、Rb2およびRb3は、各々独立して、水素またはRであり;Rc1およびRc5は、各々独立して、水素またはRであり;そして環C、R、R、およびRは、任意の前述の式について上に記載された値および好ましい値を有する。
【0106】
いくつかの実施形態において、式(V)における各Rは、C1〜3脂肪族、C1〜3フルオロ脂肪族、およびR2bからなる群より選択され;そして各Rは、C1〜3脂肪族、C1〜3 フルオロ脂肪族、およびR2cからなる群より選択される。特定のこのような実施形態において、R2bおよびR2cは、各々独立して、−ハロ、−NO、−C(R)=C(R、−C≡C−R、−OR、および−N(Rからなる群より選択される。
【0107】
いくつかの実施形態において、本発明は、Rが水素であり;Rb2およびRb3は、各々独立して、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3 フルオロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここでRは、水素またはC1〜3脂肪族であり;そしてRc1およびRc5は、各々独立して、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3 フルオロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここでRは、水素またはC1〜3脂肪族である、式(V)の化合物に関する。いくつかの実施形態において、Rb3およびRc1は、各々独立して、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3 フルオロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここでRは、水素またはC1〜3脂肪族である。特定のこのような実施形態において、Rb2は水素であり、Rc5は、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3 フルオロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、そしてRb3およびRc1は、各々独立して、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3 フルオロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここでRは、水素またはC1〜3脂肪族である。特定の実施形態において、Rb2は水素であり、Rc2は、水素、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、トリフルオロメチル、またはメトキシであり、そしてRb3およびRc1は、各々独立して、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、トリフルオロメチル、またはメトキシである。
【0108】
上記式(I)〜(V)の化合物において、環Cは、置換または非置換の単環式、二環式または三環式環系である。いくつかの実施形態では、環Cがこの式の残りの部分と結合する結合点は、環C部分のアリール環またはヘテロアリール環上にある。他の実施形態では、この結合点は、ヘテロシクリル環または脂環式環上にある。好ましくは、環Cは、単環式または二環式である。
【0109】
環C内の各置換可能な飽和環炭素原子は、非置換であるか、または=O、=S、=C(R、=N−N(R、=N−OR、=N−NHC(O)R、=N−NHCO、=N−NHSO、=N−Rまたは−Rで置換されている。環C内の各置換可能な不飽和環炭素原子は、非置換であるか、または−Rで置換されている。環C内の置換可能な環窒素原子は、非置換であるか、または−R9dで置換されており、そして環C内の1個の環窒素原子は、必要に応じて、酸化されている。各R9dは、独立して、−C(O)R、−C(O)N(R、−CO、−SO、−SON(R、またはC1〜4脂肪族であり、このC1〜4脂肪族は、必要に応じて、RまたはRで置換されている。環Cは、非置換であり得るか、またはその成分環のいずれか1個以上において置換され得、ここで、この置換基は、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、環Cは、0個〜2個の独立して選択されたRdと、0個〜3個の独立して選択されたR2dまたはC1〜6脂肪族基とで置換されている。変数R、R、R、RおよびRは、環Aおよび環Bについて上に記載されたとおりであり、そしてRおよびR2dは、以下に記載される。
【0110】
各Rは、独立して、R2d、必要に応じて置換された脂肪族、あるいは必要に応じて置換されたアリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基である。
【0111】
各R2dは、独立して、−ハロ、−NO、−CN、−C(R)=C(R、−C(R)=C(R(R10)、−C≡C−R、−C≡C−R10、−OR、−SR、−S(O)R、−SO、−SON(R、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−O−CO、−OC(O)N(R、−O−C(O)R、−CO、−C(O)−C(O)R、−C(O)R、−C(O)N(R、−C(=NR)−N(R、−C(=NR)−OR、−N(R)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)SO、−N(R)SON(R、−P(O)(R、または−P(O)(ORである。さらに、R2dは、−SO、−C(O)N(R)C(=NR)−N(Rまたは−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)Rであり得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、C1〜6脂肪族、R2d、R7d、−T−R2d、−T−R7d、−V−T−R2d、および−V−T−R7dからなる群より選択され、ここで、R2dは、上で定義したとおりであり、そしてT、T、VおよびR7dは、以下に記載される。
【0113】
は、C1〜6アルキレン鎖であり、このC1〜6アルキレン鎖は、必要に応じて、RまたはR3bで置換されており、ここで、このアルキレン鎖は、必要に応じて、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−SON(R)−、−N(R)−、−N(R)C(O)−、−NRC(O)N(R)−、−N(R)CO−、−C(O)N(R)−、−C(O)−、−C(O)−C(O)−、−CO−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)N(R)−、−N(R)−N(R)−、−N(R)SO−、または−SON(R)−で中断されており、ここで、Tまたはその一部は、必要に応じて、3員〜7員環の部分を形成する。
【0114】
は、C1〜6アルキレン鎖であり、このC1〜6アルキレン鎖は、必要に応じて、RまたはR3bで置換されており、ここで、このアルキレン鎖は、必要に応じて、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−SON(R)−、−N(R)−、−N(R)C(O)−、−NRC(O)N(R)−、−N(R)CO−、−C(O)N(R)−、−C(O)−、−C(O)−C(O)−、−CO−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)N(R)−、−N(R)−N(R)−、−N(R)SO−、または−SON(R)−で中断されており、ここで、Tまたはその一部は、必要に応じて、3員〜7員環の部分を形成する。
【0115】
Vは、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−SON(R)−、−N(R)−、−N(R)C(O)−、−NRC(O)N(R)−、−N(R)CO−、−C(O)N(R)−、−C(O)−、−C(O)−C(O)−、−CO−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)N(R)−、−C(NR)=N−、−C(OR)=N−、−N(R)−N(R)−、−N(R)−SO−、−N(R)SON(R)−、−P(O)(R)−、−P(O)(OR)−O−、−P(O)−O−、または−P(O)(NR)−N(R)−である。
【0116】
各R3bは、独立して、C1〜3脂肪族であり、このC1〜3脂肪族は、必要に応じて、RまたはRで置換されているか、または同じ炭素原子上の2個の置換基R3bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3員〜6員炭素環式環を形成する。
【0117】
各R7dは、独立して、必要に応じて置換されたアリール基、ヘテロシクリル基またはヘテロアリール基である。
【0118】
いくつかの実施形態では、各R2dは、独立して、−ハロ、−OR、−N(R、−N(R)C(O)−、−CO、−C(O)N(R、および−SON(Rからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、各R2dは、独立して、−ハロ、−OR、−N(R、−N(R)CO−、−CO、−C(O)N(R、および−SON(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(Rまたは−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)Rである。
【0119】
いくつかの実施形態では、Tは、C1〜6アルキレン鎖であり、このC1〜6アルキレン鎖は、必要に応じて、1個または2個の置換基R3bで置換されており、この置換基R3bは、独立して、−ハロ、−C1〜3脂肪族、−OH、および−O(C1〜3脂肪族)からなる群より選択されるか、または同じ炭素原子上の2個の置換基R3bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3員〜6員炭素環式環を形成する。いくつかの実施形態では、Tは、必要に応じて、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−O−、−C(O)−、−C(O)N(R)−、−N(R)C(O)−または−N(R)−で中断されている。
【0120】
いくつかの実施形態では、Vは、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−O−、−N(R)−、−C(O)−、−N(R)C(O)−、または−C(O)N(R)−である。いくつかの実施形態では、Tは、C1〜4アルキレン鎖であり、このC1〜4アルキレン鎖は、必要に応じて、1個または2個のR3bで置換されており、R3bは、独立して、−ハロ、−C1〜3脂肪族、−OH、および−O(C1〜3脂肪族)からなる群より選択されるか、または同じ炭素原子上の2個の置換基R3bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3員〜6員炭素環式環を形成する。いくつかの実施形態では、Tは、C1〜4アルキレン鎖であり、このC1〜4アルキレン鎖は、必要に応じて、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−O−、−C(O)−、−C(O)N(R)−、−N(R)C(O)−または−N(R)−で中断されている。
【0121】
いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、C1〜3脂肪族、R2d、R7d、−T−R2d、−T−R7d、−V−T−R2d、および−V−T−R7dからなる群より選択され、ここでR2dは、−ハロ、−OR、−N(R、−N(R)C(O)−、−CO、−C(O)N(R、および−SON(Rからなる群より選択される。さらに、R2dは、−SO、−C(O)N(R)C(=NR)−N(Rまたは−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)Rであり得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、環Cは、少なくとも1個のR7dで置換されており、R7dは、以下からなる群より選択される:
【0123】
【化12】

これらの基のいずれかは、必要に応じて、任意の置換可能な環炭素原子または環窒素原子上で、置換されている。
【0124】
いくつかの実施形態では、環Cは、少なくとも1個の−T−R2dまたは−T−R7dで置換されており、ここで:
は、C1〜6アルキレン鎖であり、ここで、Tは、必要に応じて、1個または2個の置換基R3bで置換されており、この置換基R3bは、独立して、−ハロ、−C1〜3脂肪族、−OH、および−O(C1〜3脂肪族)からなる群より選択されるか、または同じ炭素原子上の2個の置換基R3bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3員〜6員炭素環式環を形成し、ここで、Tは、必要に応じて、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−O−、−C(O)−、−N(R)C(O)R−、−N(R)C(O)−または−N(R)−で中断されている;そして
2dは、−ハロ、−OR、−N(R、−N(R)C(O)−、−CO、−C(O)N(R、−SON(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、および−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)Rからなる群より選択される。
【0125】
特定のこのような実施形態では、環Cは、1個の−T−R2dまたは−T−R7dと、必要に応じて、1個の他の置換基とで置換されており、この他の置換基は、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族である。いくつかの実施形態では、Tは、C1〜6アルキレン鎖であり、このC1〜6アルキレン鎖は、必要に応じて、−C(O)N(R)−または−N(R)C(O)−で中断されている。
【0126】
いくつかの実施形態では、環Cは、少なくとも1個の−V−T−R2dまたは−V−T−R7dで置換されており、ここで:
Vは、−N(R)−、−O−、−C(O)N(R)−、−C(O)−、または−C≡C−である;
は、C1〜4アルキレン鎖であり、このC1〜4アルキレン鎖は、必要に応じて、1個または2個の置換基R3bで置換されており、この置換基R3bは、独立して、−ハロ、−C1〜3脂肪族、−OH、および−O(C1〜3脂肪族)からなる群より選択されるか、または同じ炭素原子上の2個の置換基R3bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3員〜6員炭素環式環を形成する;そして
2dは、−ハロ、−OR、−N(R、−N(R)C(O)R、−CO、−C(O)N(R、および−SON(Rからなる群より選択される。
【0127】
特定のこのような実施形態では、環Cは、1個の−V−T−R2dまたは−V−T−R7dと、必要に応じて、1個の他の置換基とで置換されており、この他の置換基は、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族である。
【0128】
いくつかの実施形態では、環Cは、−V−T−R2dで置換されており、ここで、Vは、−C(O)N(R−であり、Tは、C2〜4アルキレン鎖であり、そしてR2dは、−N(Rである。各Rは、独立して、水素またはC1〜3脂肪族であるか、または−N(Rは、必要に応じて置換された5員〜6員ヘテロアリール環または4員〜8員ヘテロシクリル環であり、この環は、この窒素に加えて、0個〜2個の環ヘテロ原子を有し、この環ヘテロ原子は、N、OおよびSから選択される。特定のこのような実施形態では、−N(Rは、必要に応じて置換されたヘテロシクリルであり、このヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニルおよびモルホリニルからなる群より選択される。他の特定のこのような実施形態では、−N(Rは、必要に応じて置換されたヘテロシクリルであり、このヘテロシクリルは、ピロリジニルおよびアゼチジニルから選択される。
【0129】
他の実施形態では、環Cは、−V−T−R7dで置換されており、ここで、Vは、−C(O)N(R)−であり、Tは、C2〜4アルキレン鎖であり、そしてR7dは、必要に応じて置換された4員〜8員ヘテロシクリルまたは必要に応じて置換された5員〜6員ヘテロアリールである。特定のこのような実施形態では、R7dは、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリルおよびピラゾリルからなる群より選択される。他の特定のこのような実施形態では、R7dは、6員〜8員二環式ヘテロシクリルである。
【0130】
いくつかの実施形態では、環Cは、1個または2個の置換基で置換されており、この置換基は、独立して、C1〜3脂肪族、−ハロ、−OR、−CO、−C(O)N(R、および−SON(Rからなる群より選択される。これらの実施形態における環Cの置換基について可能なさらなる選択肢には、−C(=NR)N(R、−NRC(O)R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(Rおよび−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)Rが挙げられる。いくつかの実施形態では、環Cは、−CO、−C(O)N(R、−C(=NR)N(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)R、および−NRC(O)Rからなる群より選択される少なくとも1個の置換基で置換されている。特定の実施形態では、環Cは、少なくとも1個の−COで置換されており、ここで、Rは、水素またはC1〜6脂肪族である。
【0131】
いくつかの実施形態では、環Cは、少なくとも1個の−C(O)−N(R、−C(=NR)N(R、または−NRC(O)Rで置換されており、ここで、−N(Rは、必要に応じて置換された4員〜8員ヘテロシクリル環であり、この環は、この窒素原子に加えて、0個〜2個の環ヘテロ原子を有し、この環ヘテロ原子は、N、OおよびSから選択され、そしてRは、必要に応じて置換された4員〜8員窒素含有ヘテロシクリル環である。いくつかのこのような実施形態では、−N(Rは、必要に応じて置換されたヘテロシクリルであり、このヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリジニルおよびアゼチジニルからなる群より選択される。他のいくつかのこのような実施形態では、−N(Rは、架橋二環式ヘテロシクリルまたはスピロ二環式ヘテロシクリルである。
【0132】
特定の実施形態では、環Cは、式D−iを有する少なくとも1個の置換基で置換されている:
【0133】
【化13】

ここで:
環Dは、必要に応じて、1個または2個の環炭素原子上で置換されている;
Xは、OまたはNHである;
は、水素、−C(O)R、−C(O)N(R、−CO、−SO、−SON(R、あるいは必要に応じて置換された脂肪族基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基である。
【0134】
いくつかの実施形態では、式D−i内の環Dは、1個または2個の置換基で置換されており、この置換基は、C1〜3脂肪族、−CO、−C(O)N(R、および−T−Rからなる群より選択され、ここで、Tは、C1〜3アルキレン鎖であり、そしてRは、−OR、−N(R、−CO、または−C(O)N(Rである。いくつかのこのような実施形態では、式D−i内の環Dは、1個または2個の置換基で置換されており、この置換基は、C1〜3脂肪族、−COH、−CO(C1〜3アルキル)、−C(O)N(C1〜3アルキル)、−C(O)NH(C1〜3アルキル)、−C(O)NH、−(C1〜3アルキル)−OH、−(C1〜3アルキレン)−O(C1〜3アルキル)、−(C1〜3アルキレン)−NH、−(C1〜3アルキレン)−NH(C1〜3アルキル)、−(C1〜3アルキレン)−N(C1〜3アルキル)、−(C1〜3アルキレン)−COH、−(C1〜3アルキレン)−CO(C1〜3アルキル)、−(C1〜3アルキレン)CONH、−(C1〜3アルキレン)−C(O)NH(C1〜3アルキル)、および−(C1〜3アルキレン)−C(O)N(C1〜3アルキル)からなる群より選択される。
【0135】
特定の他の実施形態では、環Cは、以下の式D−ii〜D−vのうちの1つを有する少なくとも1個の置換基で置換されている:
【0136】
【化14】

ここで:
環Dは、必要に応じて、1個または2個の置換可能な環炭素原子上で置換されている;
Xは、OまたはNHである;
は、Rまたは−T−Rである;
は、C1〜3アルキレン鎖であり、このC1〜3アルキレン鎖は、必要に応じて、RまたはR3bで置換されている;そして
は、−N(Rまたは−C(O)N(Rである;そして
は、水素、−CO、C(O)N(R、−C(O)R、またはC1〜3脂肪族であり、このC1〜3脂肪族は、必要に応じて、RもしくはRで置換されている;あるいはRおよびWは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、4員〜7員の脂環式環またはヘテロシクリル環を形成する。
【0137】
いくつかの実施形態では、式D−ii〜D−v内の環Dは、1個または2個の置換基で置換されており、この置換基は、C1〜3脂肪族、−CO、−C(O)N(R、−OR、−N(R、および−T−Rからなる群より選択され、ここで、Tは、C1〜3アルキレン鎖であり、そしてRは、−OR、−N(R、−CO、または−C(O)N(Rである。
【0138】
特定の実施形態では、環C上の少なくとも1個の置換基は、以下からなる群より選択される:
【0139】
【化15】

【0140】
【化16】

ここで、Xは、OまたはNHである。
【0141】
特定の実施形態では、環C上の少なくとも1個の置換基は、以下からなる群より選択される:
【0142】
【化17】

ここで、Xは、OまたはNHであり、そして各R4zは、独立して、水素または−CHである。
【0143】
特定の実施形態では、環C上の少なくとも1個の置換基は、以下からなる群より選択される:
【0144】
【化18】

ここで、Xは、OまたはNHであり、そして各R4zは、独立して、水素または−CHである。
【0145】
いくつかの実施形態では、環Cは、少なくとも1個の−C(O)N(Rまたは−C(=NH)N(Rで置換されており、ここで、一方のRは、水素またはC1〜3アルキルであり、そして他方のRは、必要に応じて置換されたヘテロシクリルまたはヘテロシクリルアルキルである。いくつかのこのような実施形態では、環Cは、以下からなる群より選択される少なくとも1個の置換基で置換されている:
【0146】
【化19】

ここで、Xは、OまたはNHである。
【0147】
他のいくつかのこのような実施形態では、環Cが、以下からなる群より選択される少なくとも1個の置換基で置換されている:
【0148】
【化20】

ここで、Xは、OまたはNHであり、そして各R4zは、独立して、HまたはCHである。
【0149】
いくつかの実施形態では、環Cは、二環式アリール基であり、この二環式アリール基は、0個〜2個の独立して選択されたRと、0個〜3個の独立して選択されたR2dまたはC1〜6脂肪族基とで置換されている。いくつかのこのような実施形態では、環Cは、フェニル環であり、このフェニル環は、5員または6員の炭素環式環、ヘテロアリール環またはヘテロシクリル環と縮合されており、ここで、各環は、独立して、置換されているか、または非置換である。特定のこのような実施形態では、環Cは、必要に応じて置換されたベンゾジオキサニル環またはベンゾジオキソリル環である。他の特定のこのような実施形態では、環Cは、必要に応じて置換されたベンゾイミダゾリル環、ベンゾチアゾリル環、ベンゾオキサゾリル環またはフタルイミジル環であり、ここで、環Cは、二環式環C部分のベンゾ環において、式(I)または(II)の残りと結合されている。
【0150】
他のいくつかの実施形態では、環Cは、単環式の5員または6員のアリール環またはヘテロアリール環であり、この環は、0個〜2個の独立して選択された置換基Rと、0個〜2個の独立して選択されたR2dまたはC1〜6脂肪族基とで置換されている。いくつかのこのような実施形態では、環Cは、必要に応じて置換されたヘテロアリール環であり、この環は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピラゾリルおよびオキサゾリルからなる群より選択される。他のいくつかの実施形態では、環Cは、置換または非置換のフェニル環である。いくつかの実施形態では、環Cは、単環式5員または6員のアリール環またはヘテロアリール環であり、この環は、上で定義したような、0個、1個または2個の置換基Rで置換されている。
【0151】
さらに他の実施形態では、環Cは、単環式の5員または6員のヘテロシクリル環または脂環式環であり、この環は、0個〜2個の独立して選択された置換基Rと、0個〜2個の独立して選択されたR2dまたはC1〜6脂肪族基とで置換されている。
【0152】
本発明のいくつかの実施形態は、式(VI):
【0153】
【化21】

により規定される式(I)の化合物の下位部類に関し、式(VI)において、
は、水素、C1〜6脂肪族、およびR2dからなる群より選択され;
およびRは、各々独立して、水素またはRであり;そして
環Aおよび環B、ならびに変数Q、Z、およびRは、式(I)〜(V)について上に記載された値および好ましい値を有する。
【0154】
いくつかのこのような実施形態では、本発明は、式(VI)の化合物に関し、ここで:
またはR2d内の各Rは、水素、C1〜3アルキル、または5員もしくは6員のアリール環またはヘテロアリール環であるか;あるいは同じ窒素原子上の2個のRは、この窒素原子と一緒になって、必要に応じて置換された5員〜6員ヘテロアリール環または4員〜8員ヘテロシクリル環を形成し、この環は、この窒素原子に加えて、0個〜2個の環ヘテロ原子を有し、この環ヘテロ原子は、N、OおよびSから選択される;そして
またはR2d内の各Rは、水素、C1〜3アルキル、あるいは5員または6員のアリール環またはヘテロアリール環である。
【0155】
いくつかのこのような実施形態では、RまたはR2d内の同じ窒素原子上の2個のRは、この窒素原子と一緒になって、必要に応じて置換されたピペリジニル環、ピペラジニル環またはモルホリニル環を形成する。
【0156】
いくつかの実施形態では、本発明は、式(VI)の化合物に関し、ここで:
環Aは、0個〜2個のRで置換されており、ここで、各Rは、独立して、C1〜3脂肪族、R2b、R7b、−T−R2b、および−T−R7bからなる群より選択され、ここで、Tは、C1〜3アルキレン鎖である;
環Bは、単環式の5員または6員のアリール環またはヘテロアリール環であり、この環は、0個〜2個の独立して選択されたRで置換されており、ここで、各Rは、独立して、C1〜3脂肪族、R2c、R7c、−T−R2c、および−T−R7cで置換されており、ここで、Tは、C1〜3アルキレン鎖である;そして
は、水素である。
【0157】
いくつかのこのような実施形態では、各Rは、独立して、C1〜3脂肪族、R2b、および−T−R2bからなる群より選択され、そして各Rは、独立して、C1〜3脂肪族、R2c、および−T−R2cからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、各R2bは、独立して、−ハロ、−NO、−C(R)=C(R、−C≡C−R、−OR、および−N(Rからなる群より選択され、そして各R2cは、独立して、−ハロ、−NO、−C(R)=C(R、−C≡C−R、−OR、および−N(Rからなる群より選択される。
【0158】
いくつかの実施形態では、本発明は、RおよびRがR7dである、式(VI)の化合物に関する。いくつかのこのような実施形態では、Rは、水素であり、そしてR7dは、テトラゾリルである。
【0159】
いくつかの実施形態では、本発明は、式(VI)の化合物に関し、ここで、Rは、水素であり、RおよびRの一方は、式−T−R2dまたは−T−R7dを有し、そしてRおよびRの他方は、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族である。いくつかの実施形態では、Tは、C1〜6アルキレン鎖であり、このC1〜6アルキレン鎖は、必要に応じて、−C(O)N(R)−または−N(R)C(O)−で中断されている。
【0160】
いくつかの実施形態では、本発明は、式(VI)の化合物に関し、ここで、Rは、水素であり、RおよびRの一方は、式−V−T−R2dを有し、そしてRおよびRの他方は、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族である。いくつかのこのような実施形態では、Vは、−C(O)N(R)−であり、Tは、C2〜4アルキレン鎖であり、そしてR2dは、−N(Rであり、ここで、各Rは、独立して、水素またはC1〜3脂肪族であるか、あるいは−N(Rは、必要に応じて置換された5員〜6員ヘテロアリール環または4員〜8員ヘテロシクリル環であり、この環は、この窒素に加えて、0個〜2個の環ヘテロ原子を有し、この環ヘテロ原子は、N、OおよびSから選択される。特定のこのような実施形態では、−N(Rは、必要に応じて置換されたヘテロシクリルであり、このヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニルおよびモルホリニルからなる群より選択される。他の特定のこのような実施形態では、−N(Rは、必要に応じて置換されたヘテロシクリルであり、このヘテロシクリルは、ピロリジニルおよびアゼチジニルから選択される。
【0161】
他のいくつかの実施形態では、本発明は、式(VI)の化合物に関し、ここで、Rは、水素であり、RおよびRの一方は、式−V−T−R7dを有し、そしてRおよびRの他方は、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族である。特定のこのような実施形態では、Vは、−C(O)N(R)−であり、Tは、C2〜4アルキレン鎖であり、そしてR7dは、必要に応じて置換された4員〜8員ヘテロシクリルまたは必要に応じて置換された5員〜6員ヘテロアリールである。特定のこのような実施形態では、R7dは、必要に応じて置換されたヘテロアリールであり、このヘテロアリールは、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリルおよびピラゾリルからなる群より選択される。他の特定のこのような実施形態では、R7dは、6員〜8員架橋二環式ヘテロシクリルである。
【0162】
いくつかの実施形態では、本発明は、式(VI)の化合物に関し、ここで、Rは、水素であり、そしてRおよびRのうちの少なくとも1個は、−CO、−C(O)N(R、−C(=NR)N(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R)C(O)R、および−N(R)C(O)Rからなる群より選択される。いくつかのこのような実施形態では、RおよびRのうちの少なくとも1個は、−COであり、ここで、Rは、水素またはC1〜6脂肪族である。いくつかの実施形態では、Rは、水素であり、Rは、−COであり、そしてRは、水素、ハロ、C1〜3脂肪族、および−ORからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、RおよびRの各々は、水素であり、そしてRは、−COである。
【0163】
いくつかの実施形態では、Rは、水素であり、そしてRおよびRのうちの1個は、−C(O)−N(Rまたは−C(=NR)N(Rであり、ここで、−N(Rは、必要に応じて置換されたヘテロシクリルであり、このヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリジニルおよびアゼチジニルからなる群より選択される。いくつかのこのような実施形態では、RおよびRのうちの1個は、上で定義したような、式D−i〜D−vのうちの1つを有する。特定のこのような実施形態では、RおよびRのうちの1個は、式D−1〜D−51のうちの1つを有するか、または以下の表3において描写された化合物のいずれかの関連位置で含められた式を有する。
【0164】
本発明のいくつかの実施形態は、以下の特徴(a)〜(f):
(a) Rが、水素またはC1〜3アルキルであること;
(b) Rf1とRf2とが一緒になって結合を形成すること;
(c) 環Aが0〜2個のRで置換されており、ここで各Rは、独立して、C1〜3脂肪族、R2b、R7b、−T−R2b、および−T−R7bからなる群より選択され、ここでTがC1〜3アルキレン鎖であること;
(d) 環Bが、単環式の5員または6員のアリール環またはヘテロアリール環であり、この環が、0〜2個のRで置換されており、ここで各Rは、独立して、C1〜3脂肪族、R2c、R7c、−T−R2c、および−T−R7cからなる群より選択され、ここでTはC1〜3アルキレン鎖であること;
(e) 環Cが単環式または二環式のアリール環またはヘテロアリール環であり、この環が、0個〜2個の独立して選択されるR、および0個〜2個の独立して選択されるR2dまたはC1〜6脂肪族基で置換されていること;ならびに
(f) Rが水素であること、
のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つによって特徴付けられる、式(I)の化合物に関する。
【0165】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、上記特徴(a)〜(f)の6つ全てにより特徴付けられる。
【0166】
本発明のいくつかの実施形態は、式(VII):
【0167】
【化22】

により規定される式(I)の化合物の下位部類に関し、式(VII)において、
は、水素である;
b2およびRb3の各々は、独立して、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3フルオロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族である;そして
c1およびRc5の各々は、独立して、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3フルオロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族である;
は、水素、C1〜6脂肪族、およびR2dからなる群より選択される;そして
およびRの各々は、独立して、水素またはRである。
【0168】
いくつかの実施形態では、本発明は、式(VII)の化合物に関し、ここで、RおよびRのうちの少なくとも1個は、式−V−T−R2dまたは−V−T−R7dを有し、ここで:
Vは、−C(O)N(R)−である;
は、C2〜4アルキレン鎖である;
2dは、−N(Rであり、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族であるか、あるいは同じ窒素原子上の2個のRは、この窒素原子と一緒になって、必要に応じて置換された4員〜8員ヘテロシクリル環または5員〜6員ヘテロアリール環を形成し、この環は、この窒素に加えて、0個〜2個の環ヘテロ原子を有し、この環ヘテロ原子は、N、OおよびSから選択される;そして
7dは、必要に応じて置換された4員〜8員ヘテロシクリルまたは必要に応じて置換された5員〜6員ヘテロアリールである。
【0169】
他のいくつかの実施形態では、本発明は、式(VIII)の化合物に関し、ここで、Rは、水素であり、そしてRおよびRのうちの少なくとも1個は、−CO、−C(O)N(R、−C(=NR)N(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R)C(O)R、または−N(R)C(O)Rからなる群より選択される。
【0170】
特定の実施形態では、本発明は、式(VIII)の化合物に関し、ここで:
、Rb2、RおよびRは、それぞれ、水素である;
b3およびRc1は、それぞれ独立して、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3フルオロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族である;
c5は、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3フルオロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族である;そして
は、−COH、−C(O)N(R、−C(=NR)N(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、または−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)Rであり、ここで、Rは、必要に応じて置換された4員〜8員窒素含有ヘテロシクリル環であり、そして−N(Rは、必要に応じて置換された4員〜8員ヘテロシクリル環であり、この環は、この窒素原子に加えて、0個〜2個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、N、OおよびSから選択される。
【0171】
本発明のいくつかの実施形態は、式(VIII):
【0172】
【化23】

により規定される式(I)の化合物の下位部類に関し、式(VIII)において、
環Aは、置換または非置換の、5員または6員のアリール環、ヘテロアリール環、脂環式環、複素環式環であり;
環Bは、0個〜2個の独立して選択されるR、および0〜3個の独立して選択されるR2cまたはC1〜6 脂肪族基で置換されており;
環Cは、0個〜2個の独立して選択されるR、および0〜3個の独立して選択されるR2dまたはC1〜6 脂肪族基で置換されており;そして
、R2c、R、R2d、R、R、およびRの各々は、式(I)〜(VII)について上に記載された値および好ましい値を有する。
【0173】
本明細書中で記述した変数に関する好ましい値の任意の組み合わせを含む化合物は、本発明の範囲内に入ると見なされる。
【0174】
表3は、式(V)の化合物の具体例を示す。
【0175】
(表3.Auroraキナーゼインヒビター)
【0176】
【化24】

【0177】
【化25】

【0178】
【化26】

【0179】
【化27】

【0180】
【化28】

【0181】
【化29】

【0182】
【化30】

【0183】
【化31】

【0184】
【化32】

【0185】
【化33】

【0186】
【化34】

【0187】
【化35】

【0188】
【化36】

上記表3の化合物はまた、以下の化学名により、同定され得る:
【0189】
【数1】

【0190】
【数2】

【0191】
【数3】

【0192】
【数4】

本発明の化合物は、当業者に公知の方法により、および/または以下のスキーム1で示した合成経路を参照することにより、調製され得る。当業者は、下記の反応の各々に対して、反応条件の変動(溶媒、試薬、触媒および反応温度の変動を含めて)が可能であり得ることを認識する。代替合成経路もまた、可能である。
【0193】
以下のスキーム1は、式vまたは式ixの化合物の調製のための一般的な合成経路を図示する。このスキームにおいて、環Aおよび環Bの各々は、必要に応じて置換されたフェニル環である。当業者は、工程2および/または工程2aにおけるケトン反応物質の適切な選択により、環Aおよび環Bのうちの一方または両方がフェニル以外のものである式vまたは式ivの特定の化合物が、スキーム1に概説される経路と類似の経路によって調製され得ることを理解する。当業者は、工程4および/または工程4aにおけるアミン反応物質の適切な選択によって、環Cがフェニル以外のものである式vまたは式ixの特定の化合物が、スキーム1に概説される経路と類似の経路によって調製され得ることをさらに理解する。
【0194】
(スキーム1:7−フェニル−5H−ピリド[3,2−d]-[2]--ベンゾアゼピン−2−アミンおよび7−フェニル−5H−ピリド[3,4−d]-[2]-ベンゾアゼピン−2−アミンの合成のための一般的な経路)
【0195】
【化37】

化合物(i)の合成のための方法は、文献(Caddickら,Tetrahedron,2003,59,5417)に記載されている。ボロン酸(ii)の調製は、Peukertら,J.Med.Chem.2003,46,486に記載されるように、化合物(i)のt−ブチルリチウムでのリチウム化、および引き続くボロン酸トリアルキルエステルとの反応により達成され得る。あるいは、位置異性体(vi)が、Kondoら,JACS 1999,121,3539またはFortら,Tet.Lett.2000,41,303により記載されるように、化合物(i)の直接のオルトメタル化、および引き続くボロン酸トリアルキルエステルとの反応によって、調製され得る。
【0196】
化合物(iii)または(vii)は、工程2および2aに示されるように、それぞれ化合物(ii)または(vi)と、適切に置換されたo−ヨードジアリールケトンとの、パラジウムにより媒介されるカップリングにより調製され得る。
【0197】
化合物(iii)または(vii)からのBOC保護基の除去、および引き続く、それぞれ工程3および3aに示されるようなピリドベンゾアゼピン(iv)および(viii)への環化は、強酸(例えば、トリフルオロ酢酸)での処理により達成され得る。
【0198】
化合物(v)または(ix)は、工程4および4aに示されるように、文献(例えば、Buchwaldら,Org.Lett.2005,7,3965およびYinら,Org.Lett.2002,4,3481)に記載されるように、それぞれ化合物(iv)または(viii)の、適切に置換されたアミンでのパラジウムにより媒介されるアミノ化により調製され得る。
【0199】
本発明の化合物は、Auroraキナーゼのインヒビターである。これらの化合物は、それらがAuroraキナーゼを結合および/または阻害する能力について、インビトロまたはインビボでアッセイされ得る。インビトロアッセイには、Auroraキナーゼが基質タンパク質またはペプチドをリン酸化する能力の阻害を測定するアッセイが挙げられる。代替的なインビトロアッセイは、この化合物がAuroraキナーゼを結合する能力を定量する。インヒビターの結合は、結合前にそのインヒビターを放射標識し、このインヒビター/Auroraキナーゼ複合体を単離し、そして結合した放射標識の量を決定することにより、測定され得る。あるいは、インヒビターの結合は、競争実験(ここで、新しいインヒビターは、既知の放射性リガンドに結合されたAuroraキナーゼと一緒にインキュベートされる)を実行することにより、決定され得る。これらの化合物はまた、それらがAuroraキナーゼ活性により媒介される細胞機能または生理学的機能に影響を与える能力について、アッセイされ得る。これらの活性の各々のアッセイは、実施例で記述されており、そして/または当該分野で公知である。
【0200】
従って、別の局面では、本発明は、細胞内のAuroraキナーゼ活性を阻害する方法を提供し、この方法は、Auroraキナーゼの阻害が望まれる細胞を式(I)のAuroraキナーゼインヒビターと接触させる工程を包含する。いくつかの実施形態では、このAuroraキナーゼインヒビターは、細胞内のAuroraキナーゼファミリーの全ての酵素と相互作用してその活性を低下させる。他のいくつかの実施形態では、このAuroraキナーゼインヒビターは、細胞内の全てではないAuroraキナーゼ酵素と相互作用してその活性を低下させる。特定の好ましい実施形態において、Auroraキナーゼインヒビターは、細胞内の1つのAuroraキナーゼ酵素を選択的に阻害する。
【0201】
好ましくは、本発明のこの局面による方法は、接触した細胞の細胞増殖の阻害を引き起こす。「細胞増殖を阻害する」との語句は、Auroraキナーゼのインヒビターが、このインヒビターと接触していない細胞と比較して、接触した細胞の細胞数または細胞成長を阻害する能力を意味するように、使用される。細胞増殖の評価は、細胞カウンターを使用して細胞の数を数えることにより、または細胞生存率のアッセイ(例えば、MTTアッセイ、XTTアッセイもしくはWSTアッセイ)により、行うことができる。これらの細胞が固形成長(例えば、固形腫瘍または臓器)内にある場合、細胞増殖のこのような評価は、例えばノギスを使ってその成長を測定し、そして接触した細胞の成長のサイズと接触していない細胞とを比較することにより、行うことができる。
【0202】
好ましくは、このインヒビターと接触した細胞の成長は、接触していない細胞の成長と比較して、少なくとも約50%遅延される。種々の実施形態では、接触した細胞の細胞増殖は、接触していない細胞と比較したとき、少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%阻害される。いくつかの実施形態では、「細胞増殖を阻害する」との語句は、接触していない細胞と比較される場合の、接触した細胞の数の減少を含む。それゆえ、接触した細胞における細胞増殖を阻害するAuroraキナーゼのインヒビターは、接触した細胞が成長遅延を受けること、成長の阻害を受けること、プログラム化した細胞死(すなわち、アポトーシス)を受けること、または壊死性の細胞死を受けるみことを誘発し得る。
【0203】
別の局面では、本発明は、上で定義した式(I)の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩と薬学的に受容可能なキャリアとを含有する薬学的組成物を提供する。
【0204】
これらの組成物において、本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩が使用される場合、これらの塩は、好ましくは、無機または有機の酸および塩基から誘導される。適切な塩の概説については、例えば、Bergeら、J.Pharm.Sci.66:1−19(1977)およびRemington:The Science and Practice of Pharmacy,第20版,編者A.Gennaro,Lippincott Williams & Wilkins,2000を参照のこと。
【0205】
適切な酸付加塩の非限定的な例には、以下が挙げられる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ルコヘプタン酸塩(lucoheptanoate)、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン塩酸、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、3−フェニル−プロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレートおよびウンデカン酸塩。
【0206】
適切な塩基付加塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基(例えば、ジシクロヘキシルアミン、N−メチル−D−グルカミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、およびコリン)との塩、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リジン)との塩などが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、環Cが−COHで置換されている式(VII)の化合物は、対応するナトリウム塩として、処方され得る。
【0207】
また、塩基性窒素含有基は、以下のような試薬で四級化され得る:ハロゲン化低級アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピルおよびブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物);硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチルおよび硫酸ジアミル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物)、ハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)など。それにより、水溶性または油溶性あるいは水分散性または油分散性の生成物が得られる。
【0208】
「薬学的に受容可能なキャリア」との用語は、本明細書中にて、レシピエント被験体(好ましくは、哺乳動物、さらに好ましくは、ヒト)と適合性であり、そして活性剤の活性を終わらせることなく、この活性剤を標的部位に送達するのに適切である、物質を意味するように使用される。このキャリアに付随した毒性効果または悪影響は、たとえあったとしても、好ましくは、この活性剤の目的用途に対する合理的な危険度/受益度比率と釣り合っている。
【0209】
本発明の薬学的組成物は、当該分野で周知の方法(例えば、特に、従来の顆粒化、混合、溶解、カプセル化、凍結乾燥または乳化のプロセス)により、製造され得る。組成物は、種々の形態(顆粒、沈殿物、または微粒子、粉末(凍結乾燥粉末、回転乾燥粉末または噴霧乾燥粉末、非晶質粉末を含めて)、錠剤、カプセル剤、シロップ、坐剤、注入液、乳濁液、エリキシル剤、懸濁液または溶液を含めて)で、生成され得る。処方物は、必要に応じて、安定剤、pH調節剤、界面活性剤、生物学的利用能向上剤およびそれらの組み合わせを含有し得る。
【0210】
医薬処方物は、液体(例えば、これには、油、水、アルコール、およびそれらの組み合わせがあるが、これらに限定されない)を使用して、液体懸濁液または溶液として、調製され得る。薬学的に受容可能な界面活性剤、懸濁剤または乳化剤は、経口投与または非経口投与のために、加えられ得る。懸濁液は、油を含有し得る。このような油には、落花生油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油およびオリーブ油が挙げられるが、これらに限定されない。懸濁液製剤はまた、脂肪酸のエステル(例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、脂肪酸グリセリドおよびアセチル脂肪酸グリセリド)を含有し得る。懸濁液処方物は、アルコールを含有し得、これには、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサデシルアルコール、グリセリンおよびプロピレングリコールがあるが、これらに限定されない。エーテル(これには、例えば、ポリ(エチレングリコール)があるが、これに限定されない)、石油炭化水素(例えば、鉱油およびワセリン);ならびに水もまた、懸濁液処方物で使用され得る。
【0211】
これらの組成物で使用され得る薬学的に受容可能なキャリアには、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸塩または炭酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、または電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリルレート、蝋、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロック重合体、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0212】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、哺乳動物(好ましくは、ヒト)に医薬投与するために処方される。本発明のこのような薬学的組成物は、経口的に、非経口的に、吸入噴霧により、局所的に、直腸から、鼻から、頬から、膣から、または移植したレザバを介して、投与され得る。本明細書中で使用する「非経口的」との用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、鞘内、肝臓内、病巣内および頭蓋内の注射方法または注入方法を含める。好ましくは、これらの組成物は、経口的、静脈内または皮下で投与される。本発明の処方物は、短時間作用性、高速放出性または長時間作用性であるように設計され得る。さらに、化合物は、全身的な手段ではなく局所的な手段(例えば、腫瘍部位での(例えば、注射による)投与)で、投与され得る。
【0213】
本発明の組成物の無菌の注射可能な形態は、水性懸濁液または油性懸濁液であり得る。この懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、当該分野で公知の方法に従って、処方され得る。この無菌の注射可能な製剤はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に適切な希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液であり得る。使用され得る適切な賦形剤および溶媒には、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、従来、溶媒または懸濁媒体として、無菌の非揮発性油が使用されている。この目的には、いずれかのブランドの非揮発性油が使用でき、これには、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが含まれる。脂肪酸(例えば、オレイン酸)およびそのグリセリド誘導体は、天然の薬学的に受容可能な油(例えば、オリーブ油またはひまし油、特に、それらのポリオキシエチレン化した型)と同様に、注射可能物の調製に有用である。これらの油溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロース)または類似の分散剤(これらは、乳濁液または懸濁液を含めた薬学的に受容可能な剤形を処方する際に、通例、使用される)を含有できる。他の通例使用される界面活性剤(例えば、Tweens、Spansおよび他の乳化剤)または生物学的利用能向上剤(これらは、薬学的に受容可能な固体、液状または他の剤形を製造する際に、通例使用される)もまた、処方の目的のために、使用され得る。化合物は、注射(例えば、巨丸剤の注射または連続注入)による非経口投与用に処方され得る。注射用の単位剤形は、アンプルまたは多用量容器内で存在し得る。
【0214】
本発明の薬学的組成物は、いずれかの経口的に適切な剤形(これには、カプセル、錠剤、および水性懸濁液および水性溶液が含まれるが、それらに限定されない)で、投与され得る。経口用途のための錠剤の場合には、通常使用されるキャリアには、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、典型的には、添加される。カプセル形態での経口投与については、有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。経口用途に水性懸濁液が必要なとき、その活性成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。望ましいなら、ある種の甘味料、矯味矯臭剤または着色剤を添加してもよい。
【0215】
あるいは、本発明の薬学的組成物はまた、直腸投与のための坐剤の形態で投与され得る。坐剤は、この試薬と、適切な非刺激性の賦形剤(これは、室温で固体であるが、直腸温では液体であり、従って、直腸で融けて薬物を放出する)と混合することにより、調製され得る。このような物質には、ココアバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0216】
本発明の薬学的組成物はまた、特に、治療の標的が局所的な適用により容易にアクセスされ得る領域または器官(目、皮膚または下部腸道の疾患を含めて)を含むとき、局所的に投与され得る。これらの領域または器官のそれぞれについて、適切な局所処方物は、容易に調製される。
【0217】
下部腸道に対する局所適用は、直腸坐剤処方物(上記)により、または適切な浣腸処方物にて、行われ得る。局所的な経皮膚パッチもまた、使用され得る。局所的に適用するためには、この薬学的組成物は、1種以上のキャリアに懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適切な軟膏として、処方され得る。本発明の化合物の局所投与用のキャリアには、鉱油、液状石油、ホワイト石油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋および水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、この薬学的組成物は、1種またはそれ以上の薬学的に適切なキャリアに懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適切なローションまたはクリームとして処方され得る。適切なキャリアには、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステル蝋、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0218】
眼科用途には、この薬学的組成物は、防腐剤(例えば、ベンジルアルコニウムクロリド)と共にまたはそれなしで、pHを調整した等張性無菌生理食塩水中の微細化懸濁液として、または、好ましくは、pHを調整した等張性無菌生理食塩水中の溶液として、処方され得る。あるいは、眼科用途には、この薬学的組成物は、軟膏(例えば、ペトロラタム)として処方され得る。
【0219】
本発明の薬学的組成物はまた、鼻エアロゾルまたは鼻吸入により、投与され得る。このような組成物は、製薬処方の当該分野で周知の技術に従って、調製され、生理食塩水中の溶液として、ベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の通常の可溶化剤または分散剤を使用して、調製され得る。
【0220】
本発明の薬学的組成物は、Auroraキナーゼ媒介障害に関連した治療用途で、特に有用である。本明細書中で使用する「Auroraキナーゼ媒介障害」との用語は、Auroraキナーゼの発現または活性の増加により引き起こされるか特徴付けられる任意の障害、疾患または状態、あるいはAuroraキナーゼ活性が必要な任意の障害、疾患または状態を含む。「Auroraキナーゼ媒介障害」との用語はまた、Auroraキナーゼ活性の阻害が有益である任意の障害、疾患または病態を含む。Auroraキナーゼ媒介障害には、増殖障害が挙げられる。増殖障害の非限定的な例には、慢性炎症性増殖障害(例えば、乾癬および関節リウマチ);増殖性眼科障害(例えば、糖尿病性網膜症);良性増殖障害(例えば、血管腫);および癌が挙げられる。
【0221】
好ましくは、この組成物は、Auroraキナーゼ媒介障害に罹っている患者、あるいはその再発を発症または経験するリスクがある患者に投与するために、処方される。本明細書中で使用する「患者」との用語は、動物、好ましくは、哺乳動物、さらに好ましくは、ヒトを意味する。本発明の好ましい薬学的組成物は、経口投与、静脈内投与または皮下投与用に処方されたものである。しかしながら、治療有効量の本発明の化合物を含有する上記剤形はいずれも、慣用的な実験法の範囲内であり、従って、本発明の範囲内である。いくつかの実施形態では、本発明の薬学的組成物は、さらに、他の治療薬を含有し得る。好ましくは、このような他の治療薬は、処置される疾患または状態がある患者に通常投与されるものである。
【0222】
「治療有効量」とは、Auroraキナーゼ活性またはAuroraキナーゼ媒介障害の重症度の検出可能な低下を引き起こすのに十分な量を意味する。必要なAuroraキナーゼインヒビターの量は、所定細胞型に対するインヒビターの有効性および障害を治療する必要がある時間の長さに依存している。任意の特定の患者のための特定の投薬量および治療レジメンは、種々の要因(使用される特定の化合物の活性、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および常食、投与時間、排泄率、薬剤の組合せ、治療する医師の判断、処置される特定の疾患の重篤度を含む)に依存することもまた理解できるはずである。本発明の組成物中に存在するさらなる治療薬の量は、典型的には、その治療薬を唯一の活性剤として含有する組成物で通常投与される量以下である。好ましくは、追加治療薬の量は、その治療薬を唯一の活性剤として含有する組成物中に通常存在している量の約50%〜約100%の範囲である。
【0223】
別の局面では、本発明は、Auroraキナーゼ媒介障害の患者またはAuroraキナーゼ媒介障害を発症するかその再発を経験するリスクがある患者を治療する方法を提供する。この方法は、この患者に、本発明の化合物または薬学的組成物を投与する工程を包含する。本発明の化合物および薬学的組成物は、上述のように、例えば、増殖障害に罹った患者において、有益な治療または予防効果を達成するのに使用され得る。本発明の化合物および薬学的組成物は、癌の処置に特に有用である。
【0224】
本明細書中で使用する「癌」との用語は、制御できないまたは規制できない細胞の増殖、細胞分化の低下、周囲の組織に侵入する不適切な能力、および/または異所部位で新たな成長を確立する能力により特徴付けられる細胞障害を意味する。「癌」との用語は、固形腫瘍および血液媒介腫瘍を含むが、これらに限定されない。「癌」との用語は、皮膚、組織、臓器、骨、軟骨、血液および血管の疾患を包含する。「癌」との用語は、さらに、原発性癌および転移性癌を包含する。
【0225】
本発明の方法で治療され得る固形腫瘍の非限定的な例には、膵臓癌;膀胱癌;結腸直腸癌;乳癌(転移性乳癌を含めて);前立腺癌(アンドロゲン依存性およびアンドロゲン非依存性前立腺癌を含めて);腎臓癌(例えば、転移性腎細胞癌腫を含めて);肝細胞癌;肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、細気管支肺胞上皮癌(BAC)および肺の腺癌を含めて);卵巣癌(例えば、進行性上皮性腹膜癌または原発性腹膜癌を含めて);子宮頚癌;胃癌;食道癌;頭頸部癌(例えば、頭部および頸部の扁平上皮癌を含めて);黒色腫;神経内分泌癌(転移性神経内分泌腫瘍を含めて);脳腫瘍(例えば、神経膠腫、退形成乏突起膠腫、成体多形神経膠芽腫および成体退形成星状細胞腫を含めて);骨癌;および軟部組織肉腫が挙げられる。
【0226】
他のいくつかの実施形態では、この癌は、血液悪性腫瘍である。血液悪性腫瘍の非限定的な例には、急性骨髄性白血病(AML);慢性骨髄性白血病(CML)(加速CMLおよびCML急性転化期(CML−BP)を含めて);急性リンパ性白血病(ALL);慢性リンパ球性白血病(CLL);ホジキン病(HD);非ホジキンリンパ腫(NHL)(濾胞性リンパ腫および外套細胞リンパ腫を含めて);B細胞リンパ腫;T細胞リンパ腫;多発性骨髄腫(MM);ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症;骨髄異形成症候群(MDS)(不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴う不応性貧血(RARS)、過剰芽細胞を伴う不応性貧血(RAEB)、および形質転換におけるRAEB(RAEB−T)を含めて);および骨髄増殖性症候群が挙げられる。
【0227】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物または組成物は、Auroraキナーゼの活性が増幅される癌を処置するのに使用される。いくつかの実施形態では、本発明の化合物または組成物は、結腸直腸癌、卵巣癌、乳癌、胃癌、前立腺癌および膵臓癌からなる群より選択される癌に罹っている患者、あるいはその再発を発症または経験するリスクがある患者を処置するのに使用される。特定の実施形態では、この癌は、乳癌、結腸直腸癌および膵臓癌からなる群より選択される。
【0228】
いくつかの実施形態では、本発明のAuroraキナーゼインヒビターは、別の治療薬と共に、投与される。他の治療薬もまた、Auroraキナーゼを阻害し得るか、または異なる機構により作用し得る。いくつかの実施形態では、他の治療薬は、処置される疾患または状態に罹った患者に通常投与される治療薬である。本発明のAuroraキナーゼインヒビターは、単一剤形または別個の剤形で、他の治療薬と共に投与され得る。別個の剤形で投与される場合、他の治療薬は、本発明のAuroraキナーゼインヒビターの投与前、投与と同時、または投与に続いて、投与され得る。
【0229】
いくつかの実施形態では、本発明のAuroraキナーゼインヒビターは、細胞傷害性薬、放射線療法および免疫療法からなる群より選択される治療因子と共に、投与される。本発明のAuroraキナーゼインヒビターと併用するのに適切な細胞傷害性薬の非限定的な例には、以下が挙げられる:代謝拮抗薬(例えば、カペシタビン、ゲムシタビン、5−フルオロウラシルまたは5−フルオロウラシル/ロイコボリン、フルダラビン、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、およびメトトレキセートを含めて);トポイソメラーゼインヒビター(例えば、エトポシド、テニポシド、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、ドキソルビシン、およびダウノルビシンを含めて);ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチンを含めて);タキサン(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセルを含めて);白金薬剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンを含めて);抗生物質(例えば、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、マイトマイシンC、アドリアマイシン、ダウノルビシン、イダルビシン、ドキソルビシンおよびPEG化されたリポソームのドキソルビシンを含めて);アルキル化剤(例えば、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、チオテパ、イホスファミド、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、デカルバジンおよびシクロホスファミド);サリドマイドおよび関連類似物(例えば、CC−5013およびCC−4047を含めて);タンパク質チロシンキナーゼインヒビター(例えば、イマチニブメシレートおよびゲフィチニブを含めて);抗体(例えば、トラスツヅマブ、リツキシマブ、セツキシマブおよびベバシズマブを含めて);ミトキサントロン;デキサメサゾン;プレドニゾン;およびテモゾロマイド。
【0230】
本発明をさらに詳細に理解するために、以下の調製実施例および試験実施例を示す。これらの実施例は、特定の化合物をいかにして製造または試験するかを例示しており、いずれの様式でも、本発明の範囲を限定すると解釈すべきではない。
【実施例】
【0231】
(定義)
AcOH 酢酸
ATP アデノシン三リン酸
BSA ウシ血清アルブミン
Boc tert−ブトキシカルボニル
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DTT ジチオスレイトール
EDTA エチレンジアミン四酢酸
EtOAc 酢酸エチル
EtOジエチルエーテル
MeOH メタノール
MTT メチルチアゾールテトラゾリウム
XTT 2,3−ビス(2−メトキシ−4−ニトロ−5−スルホフェニル)−2
H−テトラゾリウム−5−カルボキサニリド内部塩
WST (4−[3−(4−ヨードフェニル)−2−(4−ニトロフェニル)−
2H−5−テトラゾリオ]−1,3−ベンゼン二スルホン酸ナトリウム塩
PKA cAMP依存性タンパク質キナーゼ
PPA ポリリン酸
TBTU O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウ
ロニウムヘキサフルオロボレート
THF テトラヒドロフラン
h 時間
min 分間
m/z 質量対電荷
MS 質量スペクトル
HRMS 高解像度質量スペクトル。
【0232】
(実施例1:4−{[9−クロロ−7−(2,6−ジフルオロフェニル)−5H−ピリド[3,4−d]-[2]-ベンゾアゼピン−2−イル]--アミノ}-安息香酸)
(工程1:[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]カルバミン酸tert−ブチルの合成)
【0233】
【化38】

6−クロロニコチノニトリル(2.77g,0.02mol)のメタノール(150mL)中の攪拌溶液に、0℃で、ジ−t−ブチルジカーボネート(8.73g,0.04mol)および塩化ニッケル(II)六水和物(475mg,0.002mol)を添加した。次いで、ホウ素化水素ナトリウム(5.30g,0.14mol)を、30分間かけて少しずつ添加した。得られた反応混合物(微細に分割された黒色沈殿物を含む)を室温まで温め、そしてさらに1時間攪拌したままにした。次いで、N−(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン(2.16mL,0.02mol)を添加し、そしてこの混合物を30分間攪拌した。この反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮した。この得られた紫色残渣に、酢酸エチル(200mL)および飽和重炭酸ナトリウム溶液(200mL)を添加した。この混合物を分液漏斗に移し、そしてその有機層をさらなる飽和重炭酸ナトリウム(200mL)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そしてロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた残渣をジクロロメタンに溶解し、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンから15%酢酸エチル/ジクロロメタンの溶出勾配)で精製して、[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]カルバミン酸tert−ブチルを白色固体として得た(3.30g,収率67%)。この生成物の構造を、NMRおよびMSにより確認した。
【0234】
(工程2:(5−{[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]-メチル}-−2−クロロピリジン−4−イル)ボロン酸の合成)
【0235】
【化39】

[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]カルバミン酸tert−ブチル(1.00g,0.004mol)を、オーブンで乾燥させた50mLの丸底フラスコ中で、無水テトラヒドロフラン(20mL)に溶解した。この溶液を窒素雰囲気下で攪拌し、そして−78℃まで冷却した。tert−ブチルリチウム(ペンタン中1.7M,5.1mL,0.009mol)を、シリンジを介してゆっくりと添加した。この添加の間に、この反応溶液は黄色になり、次いで暗橙色になった。得られた溶液を−77℃で10分間攪拌し、次いで、−20℃までゆっくりと温めた。ホウ酸トリイソプロピル(3.79mL,0.017mol)を、シリンジを介して急激に添加し、そしてこの混合物を攪拌しながら室温まで温めた。この反応物を0℃まで冷却し、そしてよく攪拌しながら、水中1.00Mの塩酸(8.65mL)をゆっくりと添加することによって、クエンチした。次いで、この反応混合物を分液漏斗中の水(100mL)に添加し、そして酢酸エチル(3×75mL)で抽出した。これらの抽出物を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、そして減圧下で乾燥させて、1.15g(収率97%)の(5−{[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]-メチル}-−2−クロロピリジン−4−イル)ボロン酸を橙色泡状物として得た。この生成物の構造をNMRおよびMSにより確認し、そしてさらに精製せずに使用した。
【0236】
(工程3:({6−クロロ−4−[4−クロロ−2−(2,6−ジフルオロベンゾイル)-フェニル]--ピリジン−3−イル}-メチル)カルバミン酸tert−ブチルの合成)
【0237】
【化40】

50mLの1つ口丸底フラスコに、1,2−ジメトキシエタン(10mL)を入れた。この溶媒を窒素でパージし、次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(0)(80.7mg,0.07mmol)および(5−クロロ−2−ヨード−フェニル)−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−メタノン(528mg,1.40mmol)を添加した。この混合物を窒素雰囲気下で15分間攪拌し、次いで、(5−{[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]-メチル}-−2−クロロピリジン−4−イル)ボロン酸(600.0mg,2.09mmol)および水中2.00Mの炭酸ナトリウム(1.40mL)を添加し、そしてこの混合物を加熱還流し、そして5時間攪拌した。次いで、この反応物を室温まで冷却し、そして一晩静置した。この反応物を塩化メチレン(30mL)で希釈し、次いで分液漏斗に移し、そして水(2×30mL)で洗浄した。その有機部分を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮して、粗生成物を橙色油状物として得た。この粗生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンから15%酢酸エチル/ジクロロメタンの溶出勾配)により精製して、165mg(24%)の({6−クロロ−4−[4−クロロ−2−(2,6−ジフルオロベンゾイル)フェニル]-ピリジン−3−イル}-メチル)カルバミン酸tert−ブチルを褐色ガラス状固体として得た。この生成物の構造を、NMRおよびMSにより確認した。
【0238】
(工程4:2,9−ジクロロ−7−(2,6−ジフルオロフェニル)−5H−ピリド[3,4−d]-[2]ベンゾアゼピンの合成)
【0239】
【化41】

({6−クロロ−4−[4−クロロ−2−(2,6−ジフルオロベンゾイル)フェニル]-ピリジン−3−イル}-メチル)カルバミン酸tert−ブチル(165.0mg,0.3345mmol)を塩化メチレン(5mL)に溶解した。トリフルオロ酢酸(5mL,0.06mol)を添加し、そしてこの反応物を窒素雰囲気下で一晩、室温で攪拌した。水(20mL)および塩化メチレン(15mL)を添加し、そして、固体の炭酸ナトリウム(4.50g,0.04mol)を攪拌しながらゆっくりと添加しながら、得られた混合物を攪拌した。得られた塩基性混合物を室温で30分間攪拌し、次いで分液漏斗に移した。その有機層を分離し、そしてその水相を、さらなる塩化メチレン(10mL)で抽出した。この有機抽出物を合わせ、水(10mL)およびブライン(10mL)で洗浄した。この有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧中で濃縮した。得られた白色固体を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンから7.5%酢酸エチル/ジクロロメタンの溶出勾配)により精製して、2,9−ジクロロ−7−(2,6−ジフルオロフェニル)−5H−ピリド[3,4−d]-[2]ベンゾアゼピン(108mg,86%)を白色固体として得た。この生成物の構造を、NMRおよびMSにより確認した。
【0240】
(工程5:4−{[9−クロロ−7−(2,6−ジフルオロフェニル)−5H−ピリド[3,4−d]-[2]--ベンゾアゼピン−2−イル]-アミノ}安息香酸エチルの合成)
【0241】
【化42】

トルエン(3.5mL)を、2,9−ジクロロ−7−(2,6−ジフルオロフェニル)−5H−ピリド[3,4−d]-[2]ベンゾアゼピン(69.0mg,0.18mmol)およびp−アミノ安息香酸エチル(60.9mg,0.369mmol)に添加し、そしてこの溶液を攪拌し、そして窒素で15分間パージした。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(16.9mg,0.02mol)および2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリ−i−プロピル−1,1’−ビフェニル(17.6mg,0.04mmol)を添加し、続いて粉末の炭酸セシウム(179.8mg,0.55mmol)を添加し、そしてこの反応物を100℃で一晩攪拌した。この反応物を室温まで冷却し、そして塩化メチレン(5mL)で希釈した。この混合物を濾過し、濃縮し、そしてシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンから30%酢酸エチル/ジクロロメタンの溶出勾配)により精製して、黄色固体(32mg,収率34%)を得た。
【0242】
(工程6:4−{[9−クロロ−7−(2,6−ジフルオロフェニル)−5H−ピリド[3,4−d]-[2]-ベンゾアゼピン−2−イル]--アミノ}-安息香酸の合成)
【0243】
【化43】

4−{[9−クロロ−7−(2,6−ジフルオロフェニル)−5H−ピリド[3,4−d]-[2]-ベンゾアゼピン−2−イル]-アミノ}安息香酸エチル(30.0mg,0.06mmol)を、メタノール(1.0mL)とテトラヒドロフラン(2.0mL)との混合物に、攪拌しながら溶解した。水中2.00Mの水酸化リチウム(0.635mL,1.27mmol)を添加し、そしてこの黄色がかった溶液を、室温で、窒素雰囲気下で一晩攪拌した。水(50mL)を、攪拌しながらこの反応溶液に添加し、次いで、1N HClを滴下して、この混合物をpH2まで酸性化した。生じた沈殿物をガラス漏斗に収集し、水で洗浄し、そして風乾して、30mgの淡橙色粉末を得た。この粗生成物を逆相クロマトグラフィーにより精製して、4−{[9−クロロ−7−(2,6−ジフルオロフェニル)−5H−ピリド[3,4−d]-[2]-ベンゾアゼピン−2−イル]-アミノ}-安息香酸(7.1mg,収率28%)をオフホワイトの固体として得た。この生成物の構造を、NMRおよびMSにより確認した。
【0244】
(実施例2:Auroraキナーゼ酵素の発現および精製)
(Aurora A酵素の発現および精製)
アミノ末端ヘキサヒスチジンタグを有する組換えマウスAurora A(His−Aurora A)を、標準的なバキュロウイルスベクターおよび昆虫細胞発現系(Bac−to−Bac(登録商標)、Invitrogen)を用いて発現させた。
【0245】
可溶性の組換えマウスAurora Aを、製造業者によって記載されるとおりにNi−NTAアガロース(Qiagen)を用いて昆虫細胞から精製し、S75サイズの排除カラム(Amersham Pharmacia Biotech)を通じてさらに精製した。
【0246】
(Aurora B酵素の発現および精製)
アミノ末端ヘキサヒスチジンタグを有する組換えマウスAurora B(His−Aurora B)を、標準的なバキュロウイルスベクターおよび昆虫細胞発現系(Bac−to−Bac(登録商標)、Invitrogen)を用いて発現させた。
【0247】
可溶性の組換えマウスAurora Bを、製造業者によって記載されるとおりにNi−NTAアガロース(Qiagen)を用いて昆虫細胞から精製した。
【0248】
(実施例3:Auroraキナーゼ酵素アッセイ)
(Aurora A DELFIA(登録商標)キナーゼアッセイ)
マウスAurora A酵素反応は、合計25μLであり、25mM Tris−HCl(pH8.5)、2.5mM MgCl、0.05%Surfact−AMPS−20、5mM フッ化ナトリウム、5mM DTT、250μM ATP、10μM ペプチド基質(ビオチン−β−Ala−QTRRKSTGGKAPR−NH)、および500pM 組換えマウスAurora A酵素を含んだ。Auroraインヒビターを含む酵素反応混合物およびAuroraインヒビターを含まない酵素反応混合物を、室温で15分間インキュベートし、その後、100μLの停止用緩衝液(1% BSA、0.05%Surfact−AMPS−20、および100mM EDTA)で終結させた。合計100μLの酵素反応混合物をNeutravidinでコーティングされた96ウェルプレート(Pierce)のウェルに移し、室温で30分間インキュベートした。これらのウェルを洗浄用緩衝液(25mM Tris、150mM 塩化ナトリウム、および0.1%Tween 20)で洗浄し、1%BSA、0.05%Surfact−AMPS−20、抗ホスホ−PKAウサギポリクローナル抗体(1:2000、New England Biolabs)、およびユーロピウムで標識した抗ウサギIgG(1:2000、Perkin Elmer)を含む100μLの抗体反応混合物とともに、1時間インキュベートした。これらのウェルを洗浄し、次いで、結合したユーロピウムを100μLのEnhancement Solution(Perkin Elmer)を用いて遊離させた。ユーロピウムの定量を、WallacTM EnVision(Perkin Elmer)を用いて行った。
【0249】
(Aurora B DELFIA(登録商標)キナーゼアッセイ)
マウスAurora B酵素反応は、合計25μLであり、25mM Tris−HCl(pH8.5)、2.5mM MgCl、0.025%Surfact−AMPS−20(Pierce)、1%グリセロール、1mM DTT、1mM ATP、3μM ペプチド基質(ビオチン−β−Ala−QTRRKSTGGKAPR−NH)、および20nM 組換えマウスAurora B酵素を含んだ。Auroraインヒビターを含む酵素反応混合物およびAuroraインヒビターを含まない酵素反応混合物を、室温で3時間インキュベートし、その後、100μLの停止用緩衝液(1% BSA、0.05%Surfact−AMPS−20、および100mM EDTA)で終結させた。合計100μLの酵素反応混合物をNeutravidinでコーティングされた96ウェルプレート(Pierce)のウェルに移し、室温で30分間インキュベートした。これらのウェルを洗浄用緩衝液(25mM Tris、150mM 塩化ナトリウム、および0.1%Tween 20)で洗浄し、1%BSA、0.05%Surfact−AMPS−20、抗ホスホ−PKAウサギポリクローナル抗体(1:2000、New England Biolabs)、およびユーロピウムで標識した抗ウサギIgG(1:2000、Perkin Elmer)を含む100μLの抗体反応混合物とともに、1時間インキュベートした。これらのウェルを洗浄し、次いで、結合したユーロピウムを100μLのEnhancement Solution(Perkin Elmer)を用いて遊離させた。ユーロピウムの定量を、WallacTM EnVision(Perkin Elmer)を用いて行った。
【0250】
(実施例4:細胞アッセイ)
(Auroraリン酸化アッセイ)
全細胞系におけるAurora A活性またはAurora B活性の阻害は、Aurora基質のリン酸化の減少を決定することによって評価され得る。例えば、セリン10におけるヒストンH3のリン酸化の減少を決定するために、Aurora B基質を使用して全細胞系におけるAurora B活性の阻害が測定され得る。あるいは、任意の既知のAurora B基質が、Aurora B活性の阻害を評価するために、同様のアッセイ法で使用され得る。同様に、Aurora A阻害は、類似の方法および検出用の既知のAurora A基質を用いて決定され得る。
【0251】
特定の実施例において、HeLa細胞を96ウェルの細胞培養プレートに播種し(10×10細胞/ウェル)、37℃で一晩インキュベートする。細胞をAuroraインヒビターとともに37℃で1時間インキュベートし、4%パラホルムアルデヒドで10分間固定し、次いで、PBS中の0.5%TritonX−100で透過処理する。細胞をマウス抗pHisH3(1:120、Cell Signaling Technologies)およびウサギ抗有糸分裂マーカー(1:120、Millennium Pharmaceuticals Inc.)抗体とともに、室温で1時間インキュベートする。PBSで洗浄した後、細胞を抗ウサギIgG Alexa 488(1:180、Molecular Probes)および抗マウスIgG Alexa 594(1:180)で、室温で1時間染色する。次いで、DNAをHoechst溶液(2μg/mL)で染色する。pHisH3および抗有糸分裂陽性細胞のパーセンテージを、Discovery IおよびMetaMorph(Universal Imaging Corp.)を用いて定量する。Aurora B阻害を、pHisH3陽性細胞の減少を計算することによって決定する。
【0252】
(抗増殖アッセイ)
10%ウシ胎仔血清(Invitrogen)を補充した100μLの適切な細胞培養培地(HCT−116についてはMcCoy’s 5A、Invitrogen)中のHCT−116(1000)または他の腫瘍細胞を、96ウェルの細胞培養プレートのウェルに播種し、37℃で一晩インキュベートする。Auroraインヒビターをウェルに添加し、このプレートを37℃で96時間インキュベートする。製造業者によって記載されるとおりに、MTTまたはWST試薬(10μL、Roche)を各ウェルに添加し、37℃で4時間インキュベートする。MTTについて、代謝色素を製造業者の指示書(Roche)にしたがって一晩可溶化(solublize)させる。各ウェルについての光学密度を、分光光度計(Molecular Devices)を用いて、MTTについて595nm(一次)および690nm(参照)で、そしてWSTについて450nmで読み取る。MTTについて、参照光学密度の値を、一次波長での値から減算する。阻害パーセントを、DMSOコントロールに由来する100%に設定した値を用いて計算する。
【0253】
(実施例5:インビボアッセイ)
(インビボ腫瘍効力モデル)
100μLのリン酸緩衝化生理食塩水中のHCT−116(1×10)または他の腫瘍細胞を、雌性のCD−1ヌードマウス(5〜8週齢、Charles River)の右背部の側腹部の皮下スペースに、23gaの針を用いて無菌注射する。接種の7日後から、腫瘍をノギスを用いて週に2回測定する。腫瘍体積を、標準的な手順(0.5×(長さ×幅))を用いて計算する。腫瘍が約200mmの体積に到達した場合、マウスに種々の用量およびスケジュールで、Auroraキナーゼインヒビター(100μL)を尾静脈に静脈内注射する。すべてのコントロール群には、ビヒクルのみを与える。腫瘍サイズおよび体重を、週に2回測定し、コントロールの腫瘍が約2000mmに達したときに、研究を終了する。
【0254】
前述の発明は、明瞭にし理解し易くする目的のために、ある程度詳細に記述されているものの、これらの特定の実施形態は、限定ではなく、例示と見なされるべきである。当業者は、本開示を読むことにより、本発明の範囲(これは、具体的な実施形態ではなく、添付の特許請求の範囲により、規定される)から逸脱することなく、形式および詳細において、種々の変更を行うことができることを理解する。
【0255】
本明細書中で引用した特許および科学文献は、当業者に利用可能な知見を確立する。特に明記しない限り、本明細書中で使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解している意味と同じ意味を有する。本明細書中で引用した登録特許、出願、および参考文献の内容は、各々が具体的かつ個別に本明細書中に参考として援用されているような同じ範囲まで、本明細書中に参考として援用される。矛盾がある場合、本開示(定義を含めて)が優先する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化44】

の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩であって、式(I)において、
f1は、水素であるか、またはRf1およびRf2は、一緒になって、結合を形成し;
f2は、水素であるか、またはRf2は、Rf1もしくはRのいずれかと共に、結合を形成し;
およびRの各々は、独立して、水素、フルオロ、もしくは必要に応じて置換されたC1〜6脂肪族であるか;またはRおよびRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、必要に応じて置換された3員〜6員脂環式環を形成するか;またはRおよびRf2は、一緒になって、結合を形成し;
Gは、Rf1が水素であるとき、水素、必要に応じて置換された脂肪族または環Bであり;そしてGは、Rf1およびRf2が一緒になって結合を形成するとき、水素、−OR、−N(R、−SR、必要に応じて置換された脂肪族、または環Bであり;
環Aは、置換または非置換の5員または6員のアリール環、ヘテロアリール環、脂環式環またはヘテロシクリル環であり;
環Bは、置換または非置換のアリール環、ヘテロアリール環、ヘテロシクリル環または脂環式環であり;
環Cは、置換または非置換のアリール環、ヘテロアリール環、ヘテロシクリル環または脂環式環であり;
は、水素、−C(O)R、−CO、−SO、またはC1〜3脂肪族であり、該C1〜3脂肪族は、0個〜2個の置換基を有し、該置換基は、独立して、RまたはRから選択され;
は、水素、−OR、−N(R、−SR、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−N(R)SO、−N(R)SON(R、またはC1〜3脂肪族であり、該C1〜3脂肪族は、必要に応じて、RまたはRで置換されており;
は、C1〜6脂肪族、あるいは必要に応じて置換されたアリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基であり;
各Rは、独立して、−ハロ、−OH、−O(C1〜3アルキル)、−CN、−N(R、−C(O)(C1〜3アルキル)、−COH、−CO(C1〜3アルキル)、−C(O)NH、および−C(O)NH(C1〜3アルキル)からなる群より選択され;
各Rは、独立して、水素または必要に応じて置換された脂肪族基、アリール基、ヘテロアリール基もしくはヘテロシクリル基であるか;あるいは同じ窒素原子上の2個のRは、該窒素原子と一緒になって、必要に応じて置換された5員〜6員ヘテロアリール環または4員〜8員ヘテロシクリル環を形成し、該環は、該窒素原子に加えて、0個〜2個の環ヘテロ原子を有し、該環ヘテロ原子は、N、OおよびSから選択され;
各Rは、独立して、水素、あるいは必要に応じて置換された脂肪族基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基であり;
各Rは、独立して、必要に応じて置換された脂肪族基またはアリール基であり;そして
各Rは、独立して、必要に応じて置換されたアリール基、ヘテロシクリル基またはヘテロアリール基である、
化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、
およびRの各々は、独立して、水素、フルオロ、もしくはC1〜6脂肪族から選択され、該C1〜6脂肪族は、必要に応じて、1個もしくは2個のRで置換されているか;またはRおよびRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、必要に応じて置換された3員〜6員脂環式環を形成し;
は、水素、−OH、−NHR、−SH、またはC1〜3脂肪族であり、該C1〜3脂肪族は、必要に応じて、RまたはRで置換されており;
f1およびRf2は、一緒になって、結合を形成し;
Gは、−H、−OH、−NH、−O(C1〜3アルキル)、−NH(C1〜3アルキル)、−N(C1〜3アルキル)、C1〜3アルキル、C1〜3フルオロアルキル、−O−L−R、−N(C1〜3アルキル)−L−R、または−L−Rであり;そして
は、共有結合またはC1〜3アルキレンである、
化合物。
【請求項3】
式(II):
【化45】

またはそれらの薬学的に受容可能な塩を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
環Aが、フラノ、ジヒドロフラノ、チエノ、ジヒドロチエノ、シクロペンテノ、シクロヘキセノ、2H−ピロロ、ピロロ、ピロリノ、ピロリジノ、オキサゾロ、チアゾロ、イミダゾロ、イミダゾリノ、イミダゾリジノ、ピラゾロ、ピラゾリノ、ピラゾリジノ、イソオキサゾロ、イソチアゾロ、オキサジアゾロ、トリアゾロ、チアジアゾロ、2H−ピラノ、4H−ピラノ、ベンゾ、ピリジノ、ピペリジノ、ジオキサノ、モルホリノ、ジチアノ、チオモルホリノ、ピリダジノ、ピリミジノ、ピラジノ、ピペラジノおよびトリアジノからなる群より選択される置換環または非置換環である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
環Aが、フラノ、チエノ、ピロロ、オキサゾロ、チアゾロ、イミダゾロ、ピラゾロ、イソオキサゾロ、イソチアゾロ、トリアゾロ、ベンゾ、ピリジノ、ピリダジノ、ピリミジノおよびピラジノからなる群より選択される置換環または非置換環である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
請求項5に記載の化合物であって、
環A内の各置換可能な飽和環炭素原子は、非置換であるか、または=O、=S、=C(R、=N−N(R、=N−OR、=N−NHC(O)R、=N−NHCO、=N−NHSO、=N−Rもしくは−Rで置換されており;
環A内の各置換可能な不飽和環炭素原子は、非置換であるか、または−Rで置換されており;
環A内の置換可能な環窒素原子は、非置換であるか、または−R9bで置換されており;
環A内の1個の環窒素原子は、必要に応じて、酸化されており;
各Rは、独立して、−ハロ、−NO、−CN、−C(R)=C(R、−C(R)=C(R)(R10)、−C≡C−R、−C≡C−R10、−OR、−SR、−S(O)R、−SO、−SON(R、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−O−CO、−OC(O)N(R、−O−C(O)R、−CO、−C(O)−C(O)R、−C(O)R、−C(O)N(R、−C(=NR)−N(R、−C(=NR)−OR、−N(R)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)SO、−N(R)SON(R、−P(O)(R、−P(O)(OR、必要に応じて置換された脂肪族、または必要に応じて置換されたアリール基、ヘテロシクリル基もしくはヘテロアリール基であり;あるいは2個の隣接するRは、介在する環原子と一緒になって、必要に応じて置換された縮合4員〜8員芳香族環または非芳香族環を形成し、該芳香族環は、0個〜3個の環ヘテロ原子を有し、該環ヘテロ原子は、O、NおよびSからなる群より選択され;
各Rは、独立して、−ハロ、−OH、−O(C1〜3アルキル)、−CN、−N(R、−C(O)(C1〜3アルキル)、−COH、−CO(C1〜3アルキル)、−C(O)NH、および−C(O)NH(C1〜3アルキル)からなる群より選択され;
各Rは、独立して、水素、あるいは、必要に応じて置換された脂肪族基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基であるか;または同じ窒素原子上の2個のRは、該窒素原子と一緒になって、必要に応じて置換された5員〜6員ヘテロアリールまたは4員〜8員ヘテロシクリルを形成し、該ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、該窒素原子に加えて、0個〜2個の環ヘテロ原子を有し、該環ヘテロ原子は、N、OおよびSから選択され;
各Rは、独立して、水素、あるいは必要に応じて置換された脂肪族基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基であり;
各Rは、独立して、必要に応じて置換された脂肪族基またはアリール基であり;
各Rは、独立して、必要に応じて置換されたアリール基、ヘテロシクリル基またはヘテロアリール基であり;
各R9bは、独立して、−C(O)R、−C(O)N(R、−CO、−SO、−SON(R、またはC1〜4脂肪族であり、該C1〜4脂肪族は、必要に応じて、RまたはRで置換されており;そして
各R10は、独立して、−COまたは−C(O)N(Rである、
化合物。
【請求項7】
請求項6に記載の化合物であって、
各Rは、独立して、C1〜6脂肪族、C1〜6フルオロ脂肪族、−R2b、−R7b、−T−R2b、および−T−R7bからなる群より選択されるか;または2個の隣接するRは、介在する環原子と一緒になって、必要に応じて置換された縮合4員〜8員芳香族環または非芳香族環を形成し、該環は、0個〜3個の環ヘテロ原子を有し、該環ヘテロ原子は、O、NおよびSからなる群より選択され;
は、C1〜6アルキレン鎖であり、該C1〜6アルキレン鎖は、必要に応じて、RまたはR3bで置換されており、ここで、Tまたはその一部は、必要に応じて、3員〜7員環の部分を形成し;
各R3bは、独立して、C1〜3脂肪族であり、該C1〜3脂肪族は、必要に応じて、RまたはRで置換されているか、または同じ炭素原子上の2個の置換基R3bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3員〜6員炭素環式環を形成し;
各R2bは、独立して、−ハロ、−NO、−CN、−C(R)=C(R、−C(R)=C(R)(R10)、−C≡C−R、−C≡C−R10、−OR、−SR、−S(O)R、−SO、−SON(R、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−O−CO、−OC(O)N(R、−O−C(O)R、−CO、−C(O)−C(O)R、−C(O)R、−C(O)N(R、−C(=NR)−N(R、−C(=NR)−OR、−N(R)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)SO、−N(R)SON(R、−P(O)(R、または−P(O)(ORであり;そして
各R7bは、独立して、必要に応じて置換されたアリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基である、
化合物。
【請求項8】
環Aが、
【化46】

【化47】

からなる群より選択され、これらの基のいずれかは、必要に応じて、任意の置換可能な環炭素原子および任意の置換可能な環窒素原子上で、置換されている、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
環Aが、
【化48】

からなる群より選択され、これらの基のいずれかは、必要に応じて、任意の置換可能な環炭素原子および任意の置換可能な環窒素原子上で、置換されている、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
式(III)
【化49】

またはそれらの薬学的に受容可能な塩を有し、式(III)において、環Aは、0個〜3個のRで置換されている、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
請求項10に記載の化合物であって、
環Bは、単環式または二環式のアリール環、ヘテロアリール環、ヘテロシクリル環または脂環式環であり;
環B内の各置換可能な飽和環炭素原子は、非置換であるか、または=O、=S、=C(RもしくはRで置換されており;
環B内の各置換可能な不飽和環炭素原子は、非置換であるか、またはRで置換されており;
環B内の各置換可能な環窒素原子は、非置換であるか、またはR9cで置換されており;
各Rは、独立して、C1〜6脂肪族、R2c、R7c、−T−R2c、および−T−R7cからなる群より選択され;
は、C1〜6アルキレン鎖であり、該C1〜6アルキレン鎖は、必要に応じて、RまたはR3bで置換されており、ここで、Tまたはその一部は、必要に応じて、3員〜7員環の部分を形成し;
2cは、−ハロ、−NO、−CN、−C(R)=C(R、−C(R)=C(R)(R10)、−C≡C−R、−C≡C−R10、−OR、−SR、−S(O)R、−SO、−SON(R、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−O−CO、−OC(O)N(R、−O−C(O)R、−CO、−C(O)−C(O)R、−C(O)R、−C(O)N(R、−C(=NR)−N(R、−C(=NR)−OR、−N(R)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)SO、−N(R)SON(R、−P(O)(R、または−P(O)(ORであり;
各R7cは、独立して、必要に応じて置換されたアリール基、ヘテロシクリル基またはヘテロアリール基であり;
各R9cは、独立して、−C(O)R、−C(O)N(R、−CO、−SO、−SON(R、またはC1〜4脂肪族であり、該C1〜4脂肪族は、必要に応じて、RまたはRで置換されており;そして
環Cは、単環式または二環式のアリール環、ヘテロアリール環、ヘテロシクリル環または脂環式環であり;
環C内の各置換可能な飽和環炭素原子は、非置換であるか、または=O、=S、=C(RまたはRで置換されており;
環C内の各置換可能な不飽和環炭素原子は、非置換であるか、またはRで置換されており;
環C内の各置換可能な環窒素原子は、非置換であるか、またはR9dで置換されており;
各Rは、独立して、C1〜6脂肪族、R2d、R7d、−T−R2d、−T−R7d、−V−T−R2d、および−V−T−R7dからなる群より選択され;
は、C1〜6アルキレン鎖であり、該C1〜6アルキレン鎖は、必要に応じて、RまたはR3bで置換されており、ここで、該アルキレン鎖は、必要に応じて、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−SON(R)−、−N(R)−、−N(R)C(O)−、−NRC(O)N(R)−、−N(R)CO−、−C(O)N(R)−、−C(O)−、−C(O)−C(O)−、−CO−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)N(R)−、−N(R)−N(R)−、−N(R)SO−、または−SON(R)−で中断されており、ここで、Tまたはその一部は、必要に応じて、3員〜7員環の部分を形成し;
は、C1〜6アルキレン鎖であり、該C1〜6アルキレン鎖は、必要に応じて、RまたはR3bで置換されており、ここで、該アルキレン鎖は、必要に応じて、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−SON(R)−、−N(R)−、−N(R)C(O)−、−NRC(O)N(R)−、−N(R)CO−、−C(O)N(R)−、−C(O)−、−C(O)−C(O)−、−CO−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)N(R)−、−N(R)−N(R)−、−N(R)SO−、または−SON(R)−で中断されており、ここで、Tまたはその一部は、必要に応じて、3員〜7員環の部分を形成し;
Vは、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−SON(R)−、−N(R)−、−N(R)C(O)−、−NRC(O)N(R)−、−N(R)CO−、−C(O)N(R)−、−C(O)−、−C(O)−C(O)−、−CO−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)N(R)−、−C(NR)=N−、−C(OR)=N−、−N(R)−N(R)−、−N(R)−SO−、−N(R)SON(R)−、−P(O)(R)−、−P(O)(OR)−O−、−P(O)−O−、または−P(O)(NR)−N(R)−であり;
2dは、−ハロ、−NO、−CN、−C(R)=C(R、−C(R)=C(R)(R10)、−C≡C−R、−C≡C−R10、−OR、−SR、−S(O)R、−SO、−SO、−SON(R、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−O−CO、−OC(O)N(R、−O−C(O)R、−CO、−C(O)−C(O)R、−C(O)R、−C(O)N(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)R、−C(=NR)−N(R、−C(=NR)−OR、−N(R)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)SO、−N(R)SON(R、−P(O)(R、または−P(O)(ORであり;
各R7dは、独立して、必要に応じて置換されたアリール基、ヘテロシクリル基またはヘテロアリール基であり;そして
各R9dは、独立して、−C(O)R、−C(O)N(R、−CO、−SO、−SON(R、またはC1〜4脂肪族であり、該C1〜4脂肪族は、必要に応じて、RまたはRで置換されている、
化合物。
【請求項12】
環Bが、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、フェニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、プリニル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、およびプテリジニルからなる群より選択される置換または非置換の単環式または二環式のアリール環またはヘテロアリール環である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
環Bが、置換または非置換のフェニル環またはピリジル環である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
式(IV):
【化50】

を有し、式(IV)において、
環Aは、0個〜2個の独立して選択されたRで置換されており;そして
環Bは、0個〜2個の独立して選択されたRで置換されている、
請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
以下の特徴:
(a)各Rは、独立して、C1〜3脂肪族、R2b、R7b、−T−R2b、および−T−R7bからなる群より選択され、ここで、Tは、C1〜3アルキレン鎖であり、該C1〜3アルキレン鎖は、必要に応じて、フルオロで置換されており、そして各R2bは、独立して、−ハロ、−NO、−C(R)=C(R、−C≡C−R、−C≡C−R、−OR、−N(R、−CO、および−C(O)N(R)からなる群より選択されること;
(b)各Rは、独立して、C1〜3脂肪族、R2c、R7c、−T−R2c、および−T−R7cからなる群より選択され、ここで、Tは、C1〜3アルキレン鎖であり、該C1〜3アルキレン鎖は、必要に応じて、フルオロで置換されており、そして各R2cは、独立して、−ハロ、−NO、−C(R)=(R、−C≡C−R、−OR、および−N(Rからなる群より選択されること;ならびに
(c)Rは、水素であること、
の少なくとも1つにより特徴付けられる、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
式(V):
【化51】

を有し、式(V)において、
b2およびRb3の各々は、独立して、水素またはRであり;
は、C1〜3脂肪族、C1〜3フルオロ脂肪族、およびR2bからなる群より選択され;
2bは、−ハロ、−NO、−C(R)=(R、−C≡C−R、−OR、−N(R、−CO、−C(O)N(Rからなる群より選択され;
c1およびRc5の各々は、独立して、水素またはRであり;
は、C1〜3脂肪族、C1〜3フルオロ脂肪族、およびR2cからなる群より選択され;そして
2cは、−ハロ、−NO、−C(R)=C(R、−C≡C−R、−OR、および−N(Rからなる群より選択される、
請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
請求項16に記載の化合物であって、
は、水素であり;
b2およびRb3の各々は、独立して、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3フルオロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族であり;そして
c1およびRc5の各々は、独立して、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3フルオロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族である、
化合物。
【請求項18】
b3およびRc1の各々が、独立して、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3フルオロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rが、水素またはC1〜3脂肪族である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
b3およびRc1の各々が、独立して、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、トリフルオロメチル、またはメトキシである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
請求項10に記載の化合物であって、ここで:
環Cは、単環式または二環式のアリール環、ヘテロアリール環、ヘテロシクリル環または炭素環式環であり、該環は、0個〜2個の独立して選択された置換基Rと、0個〜2個の独立して選択されたR2dまたはC1〜6脂肪族基とで置換されており;
各Rは、独立して、C1〜3脂肪族、R2d、R7d、−T−R2d、−T−R7d、−V−T−R2d、および−V−T−R7dからなる群より選択され;
Vは、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−O−、−N(R)−、−C(O)−または−C(O)N(R)−であり;
は、C1〜6アルキレン鎖であり、ここで、Tは、必要に応じて、1個または2個の置換基で置換されており、該置換基は、独立して、−ハロ、−C1〜3脂肪族、−OH、および−O(C1〜3アルキル)からなる群より選択されるか、または同じ炭素原子上の2個の置換基は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3員〜6員炭素環式環を形成し、ここで、Tは、必要に応じて、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−O−、−C(O)−、−C(O)N(R)−、−N(R)C(O)−または−N(R)−で中断されており;そして
は、C1〜4アルキレン鎖であり、ここで、Tは、必要に応じて、1個または2個の置換基で置換されており、該置換基は、独立して、−ハロ、−C1〜3脂肪族、−OH、および−O(C1〜3アルキル)からなる群より選択されるか、または同じ炭素原子上の2個の置換基は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3員〜6員炭素環式環を形成し、ここで、Tは、必要に応じて、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−O−、−C(O)−、−C(O)N(R)−、−N(R)C(O)−または−N(R)−で中断されており;
2dは、−ハロ、−NO、−CN、−C(R)=C(R、−C≡C−R、−OR、−SR、−S(O)R、−SO、−SO、−SON(R、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−O−CO、−OC(O)N(R、−O−C(O)R、−CO、−C(O)−C(O)R、−C(O)R、−C(O)N(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)R、−C(=NR)−N(R、−C(=NR)−OR、−N(R)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)SO、−N(R)SON(R、−P(O)(R、−P(O)(ORであり;そして
各R7dは、独立して、必要に応じて置換されたアリール基、ヘテロシクリル基またはヘテロアリール基である、
化合物。
【請求項21】
環Cが、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、およびフタルイミジルからなる群より選択される置換環または非置換環である、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
請求項21に記載の化合物であって、
各Rは、独立して、C1〜3脂肪族、R2d、R7d、−T−R2d、−T−R7d、−V−T−R2d、および−V−T−R7dからなる群より選択され;そして
各R2dは、独立して、−ハロ、−OR、−CO、−C(O)N(R、−SON(R、−C(=NR)N(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)R、および−NRC(O)Rからなる群より選択される、
化合物。
【請求項23】
環Cが、少なくとも1個のR7dで置換されており、R7dが、
【化52】

からなる群より選択され、これらの基のいずれかは、必要に応じて、任意の置換可能な環炭素および環窒素原子上で、置換されている、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
環Cが、少なくとも1個の−T−R2dまたは−T−R7dで置換されている、請求項22に記載の化合物であって、
は、C1〜6アルキレン鎖であり、ここで、Tは、必要に応じて、1個または2個の置換基R3bで置換されており、該置換基R3bは、独立して、−ハロ、−C1〜3脂肪族、−OH、および−O(C1〜3脂肪族)からなる群より選択されるか、または同じ炭素原子上の2個の置換基R3bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3員〜6員炭素環式環を形成し、ここで、Tは、必要に応じて、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−O−、−C(O)−、−N(R)C(O)R−、−N(R)C(O)−または−N(R)−で中断されており;そして
2dは、−ハロ、−OR、−N(R、−N(R)C(O)−、−CO、−C(O)N(R、−SON(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、および−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)Rからなる群より選択される、
化合物。
【請求項25】
環Cが、1個の−T−R2dまたは−T−R7dと、必要に応じて、1個の他の置換基とで置換されており、該他の置換基が、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rが、水素またはC1〜3脂肪族である、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
環Cが、少なくとも1個の−V−T−R2dまたは−V−T−R7dで置換されている、請求項22に記載の化合物であって、
Vは、−N(R)−、−O−、−C(O)N(R)−、−C(O)−、または−C≡C−であり;
は、C1〜4アルキレン鎖であり、該C1〜4アルキレン鎖は、必要に応じて、1個または2個の置換基R3bで置換されており、該置換基R3bは、独立して、−ハロ、−C1〜3脂肪族、−OH、および−O(C1〜3脂肪族)からなる群より選択されるか、または同じ炭素原子上の2個の置換基R3bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3員〜6員炭素環式環を形成し;そして
2dは、−ハロ、−OR、−N(R、−NRC(O)R、−CO、−C(O)N(R、および−SON(Rからなる群より選択される、
化合物。
【請求項27】
環Cが、1個の−V−T−R2dまたは−V−T−R7dと、必要に応じて、1個の他の置換基とで置換されており、該他の置換基が、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rが、水素またはC1〜3脂肪族である、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
請求項27に記載の化合物であって、
Vは、−C(O)N(R)−であり;
は、C2〜4アルキレン鎖であり;
2dは、−N(Rであり、ここで、各Rは、独立して、水素またはC1〜3脂肪族であるか、または−N(Rは、必要に応じて置換された5員〜6員ヘテロアリール環または4員〜8員ヘテロシクリル環であり、該環は、該窒素に加えて、0個〜2個の環ヘテロ原子を有し、該環ヘテロ原子は、N、OおよびSから選択され;そして
7dは、必要に応じて置換された4員〜8員ヘテロシクリルまたは必要に応じて置換された5員〜6員ヘテロアリールである、
化合物。
【請求項29】
請求項28に記載の化合物であって、ここで:
2dは、−N(Rであり、そして−N(Rは、必要に応じて置換されたヘテロシクリルであり、該ヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリジニルおよびアゼチジニルからなる群より選択され;そして
7dは、必要に応じて置換されたヘテロアリールであり、該ヘテロアリールは、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリルおよびピラゾリルからなる群より選択される、
化合物。
【請求項30】
環Cが、1個または2個の置換基で置換されており、該置換基が、独立して、C1〜3脂肪族、−ハロ、−OR、−CO、−C(O)N(R、−SON(R、−C(=NR)N(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)R、および−NRC(O)Rからなる群より選択される、請求項22に記載の化合物。
【請求項31】
環Cが、少なくとも1個の置換基で置換されており、該置換基が、−CO、−C(O)N(R、−C(=NR)N(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)R、および−NRC(O)Rからなる群より選択される、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
環Cが、少なくとも1個の−COで置換されており、ここで、Rが、水素またはC1〜6脂肪族である、請求項30に記載の化合物。
【請求項33】
請求項30に記載の化合物であって、
環Cは、少なくとも1個の−C(O)−N(R、−C(=NR)N(R、または−NRC(O)Rで置換されており;
ここで、
−N(Rは、必要に応じて置換された4員〜8員ヘテロシクリル環であり、該環は、該窒素原子に加えて、0個〜2個の環ヘテロ原子を有し、該環ヘテロ原子は、N、OおよびSから選択され;そして
は、4員〜8員窒素含有ヘテロシクリル環である、
化合物。
【請求項34】
環Cが、少なくとも1個の−C(O)N(Rまたは−C(=NR)N(Rで置換されており、そして−N(Rが、必要に応じて置換されたヘテロシクリルであり、該ヘテロシクリルが、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリジニルおよびアゼチジニルからなる群より選択される、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
環Cが、次式:
【化53】

を有する少なくとも1個の置換基で置換されており、
環Dは、必要に応じて、1個または2個の環炭素原子上で置換されており;
Xは、OまたはNHであり;
は、水素、−C(O)R、−C(O)N(R、−CO、−SO、−SON(R、あるいは必要に応じて置換された脂肪族基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基である、
請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
環Cが、次式:
【化54】

を有する少なくとも1個の置換基で置換されており、
環Dは、必要に応じて、1個または2個の置換可能な環炭素原子上で置換されており;
Xは、OまたはNHであり;
は、Rまたは−T−Rであり;
は、C1〜3アルキレン鎖であり、該C1〜3アルキレン鎖は、必要に応じて、RまたはR3bで置換されており;そして
は、−N(Rまたは−C(O)N(Rであり;そして
は、水素、−CO、C(O)N(R、−C(O)R、またはC1〜3脂肪族であり、該C1〜3脂肪族は、必要に応じて、RまたはRで置換されているか;またはRおよびWは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、4員〜7員の脂環式環またはヘテロシクリル環を形成する、
請求項34に記載の化合物。
【請求項37】
環C上の少なくとも1個の置換基が、
【化55】

からなる群より選択され、ここで、Xは、OまたはNHである、請求項34に記載の化合物。
【請求項38】
環C上の少なくとも1個の置換基が、
【化56】

からなる群より選択され、ここで、Xは、OまたはNHであり、そして各R4zは、独立して、水素または−CHである、請求項34に記載の化合物。
【請求項39】
環Cが、
【化57】

からなる群より選択される基で置換されており、ここで、Xは、OまたはNHであり、そして各R4zは、独立して、水素または−CHである、請求項33に記載の化合物。
【請求項40】
環Cが、少なくとも1個の−C(O)N(Rまたは−C(=NH)N(Rで置換されており、ここで、一方のRが、水素またはC1〜3アルキルであり、そして他方のRが、必要に応じて置換されたヘテロシクリルまたはヘテロシクリルアルキルである、請求項34に記載の化合物。
【請求項41】
環Cが、
【化58】

からなる群より選択される少なくとも1個の置換基で置換されており、ここで、Xは、OまたはNHである、請求項40に記載の化合物。
【請求項42】
環Cが、
【化59】

からなる群より選択される少なくとも1個の置換基で置換されており、ここで、Xは、OまたはNHであり、そして各R4zは、独立して、HまたはCHである、請求項40に記載の化合物。
【請求項43】
式(VI):
【化60】

を有し、式(VI)において、
は、水素、C1〜6脂肪族、およびR2dからなる群より選択され;
およびRの各々は、独立して、水素またはRであり;
各Rは、独立して、C1〜3脂肪族、R2d、R7d、−T−R2d、−T−R7d、−V−T−R2d、および−V−T−R7dからなる群より選択され;そして
各R2dは、独立して、−ハロ、−OR、−CO、−C(O)N(R、−SON(R、−C(=NR)N(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)R、および−NRC(O)Rからなる群より選択される、
請求項10に記載の化合物。
【請求項44】
が、水素であり;
が、−CO、−C(O)N(R、−C(=NR)N(R、または−N(R)C(O)Rであり;そして
が、水素、ハロ、C1〜3脂肪族、または−ORである、
請求項43に記載の化合物。
【請求項45】
式(VII):
【化61】

を有する、請求項43に記載の化合物であって、
は、水素であり;
b2およびRb3の各々は、独立して、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3フルオロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族であり;
c1およびRc5の各々は、独立して、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3フルオロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族であり;
は、水素、C1〜6脂肪族、およびR2dからなる群より選択され;そして
およびRの各々は、独立して、水素またはRである、
化合物。
【請求項46】
、RおよびRの各々が、独立して、水素、C1〜3脂肪族、−ハロ、−OR、−CO、−C(O)N(R、−SON(R、−C(=NR)N(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)R、および−N(R)C(O)Rからなる群より選択される、請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
およびRの少なくとも1個が、−CO、−C(O)N(R、−C(=NR)N(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R)C(O)R、および−N(R)C(O)Rからなる群より選択される、請求項46に記載の化合物。
【請求項48】
、Rb2、およびRは、それぞれ、水素であり;
b3およびRc1は、それぞれ独立して、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3フルオロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族であり;
c5は、水素、−ハロ、C1〜3脂肪族、C1〜3フルオロ脂肪族、および−ORからなる群より選択され、ここで、Rは、水素またはC1〜3脂肪族であり;そして
は、−COH、−C(O)N(R、−C(=NR)N(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、または−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)Rであり、ここで、Rは、必要に応じて置換された4員〜8員窒素含有ヘテロシクリル環であり、そして−N(Rは、必要に応じて置換された4員〜8員ヘテロシクリル環であり、該環は、該窒素原子に加えて、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、N、OおよびSから選択され;そして
は、水素、ハロ、C1〜3脂肪族、または−ORである、
請求項45に記載の化合物。
【請求項49】
式(VIII):
【化62】

を有する、請求項3に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩であって、式(VIII)において、
環Bは、0個〜2個の独立して選択されたRと、0個〜3個の独立して選択されたR2cまたはC1〜6脂肪族基とで置換されており;
各Rは、独立して、C1〜6脂肪族、R2c、R7c、−T−R2c、および−T−R7cからなる群より選択され;
は、C1〜6アルキレン鎖であり、該C1〜6アルキレン鎖は、必要に応じて、RまたはR3bで置換されており、ここで、Tまたはその一部は、必要に応じて、3員〜7員環の部分を形成し;
2cは、−ハロ、−NO、−CN、−C(R)=C(R、−C(R)=C(R)(R10)、−C≡C−R、−C≡C−R10、−OR、−SR、−S(O)R、−SO、−SON(R、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−O−CO、−OC(O)N(R、−O−C(O)R、−CO、−C(O)−C(O)R、−C(O)R、−C(O)N(R、−C(=NR)−N(R、−C(=NR)−OR、−N(R)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)SO、−N(R)SON(R、−P(O)(R、または−P(O)(ORであり;
各R7cは、独立して、必要に応じて置換されたアリール基、ヘテロシクリル基またはヘテロアリール基であり;
環Cは、0個〜2個の独立して選択されたRと、0個〜3個の独立して選択されたR2dまたはC1〜6脂肪族基とで置換されており;
各Rは、独立して、C1〜6脂肪族、R2d、R7d、−T−R2d、−T−R7d、−V−T−R2d、および−V−T−R7dからなる群より選択され;
は、C1〜6アルキレン鎖であり、該C1〜6アルキレン鎖は、必要に応じて、RまたはR3bで置換されており、ここで、該アルキレン鎖は、必要に応じて、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−O−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−SON(R)−、−N(R)−、−N(R)C(O)−、−NRC(O)N(R)−、−N(R)CO−、−C(O)N(R)−、−C(O)−、−C(O)−C(O)−、−CO−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)N(R)−、−N(R)−N(R)−、−N(R)SO−、または−SON(R)−で中断されており、ここで、Tまたはその一部は、必要に応じて、3員〜7員環の部分を形成し;
は、C1〜6アルキレン鎖であり、該C1〜6アルキレン鎖は、必要に応じて、RまたはR3bで置換されており、ここで、該アルキレン鎖は、必要に応じて、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−SON(R)−、−N(R)−、−N(R)C(O)−、−NRC(O)N(R)−、−N(R)CO−、−C(O)N(R)−、−C(O)−、−C(O)−C(O)−、−CO−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)N(R)−、−N(R)−N(R)−、−N(R)SO−、または−SON(R)−で中断されており、ここで、Tまたはその一部は、必要に応じて、3員〜7員環の部分を形成し;
Vは、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−SON(R)−、−N(R)−、−N(R)C(O)−、−NRC(O)N(R)−、−N(R)CO−、−C(O)N(R)−、−C(O)−、−C(O)−C(O)−、−CO−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)N(R)−、−C(NR)=N−、−C(OR)=N−、−N(R)−N(R)−、−N(R)−SO−、−N(R)SON(R)−、−P(O)(R)−、−P(O)(OR)−O−、−P(O)−O−、または−P(O)(NR)−N(R)−であり;
2dは、−ハロ、−NO、−CN、−C(R)=C(R、−C(R)=C(R)(R10)、−C≡C−R、−C≡C−R10、−OR、−SR、−S(O)R、−SO、−SO、−SON(R、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−O−CO、−OC(O)N(R、−O−C(O)R、−CO、−C(O)−C(O)R、−C(O)R、−C(O)N(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)R、−C(=NR)−N(R、−C(=NR)−OR、−N(R)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)SO、−N(R)SON(R、−P(O)(R、または−P(O)(ORであり;
各R7dは、独立して、必要に応じて置換されたアリール基、ヘテロシクリル基またはヘテロアリール基であり;
各R3bは、独立して、C1〜3脂肪族であり、該C1〜3脂肪族は、必要に応じて、RまたはRで置換されているか、または同じ炭素原子上の2個の置換基R3bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3員〜6員炭素環式環を形成し;そして
各R10は、独立して、−COまたは−C(O)N(Rである、
化合物。
【請求項50】
請求項1に記載の化合物と薬学的に受容可能なキャリアとを含有する、薬学的組成物。
【請求項51】
細胞におけるAuroraキナーゼ活性を阻害する方法であって、Auroraキナーゼの阻害が望まれている細胞と、請求項1に記載の化合物とを接触させる工程を包含する、方法。
【請求項52】
Auroraキナーゼ媒介障害の処置を必要とする患者においてAuroraキナーゼ媒介障害を処置する方法であって、該患者に、治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項53】
前記Auroraキナーゼ媒介障害が、癌である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記癌が、結腸直腸癌、卵巣癌、乳癌、胃癌、前立腺癌、および膵臓癌からなる群から選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記癌が、乳癌、結腸直腸癌、および膵臓癌からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。

【公表番号】特表2010−500352(P2010−500352A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523802(P2009−523802)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/017432
【国際公開番号】WO2008/021038
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(500287639)ミレニアム・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (98)
【氏名又は名称原語表記】MILLENNIUM PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】