説明

有糸分裂モータータンパク質(mitoticmotorprotein)の調節剤としてのテトラヒドロベンゾイソオキサゾールおよびテトラヒドロインダゾール誘導体

式Iの化合物であって、式中、A1、A2,R1、X1、X2、X3、Y、R2、Cyおよびnが、請求項1で説明した意味を有する化合物は、とりわけ、腫瘍の治療のために使用し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、価値のある特性、特に薬剤の調製のために使用し得る特性を有する新規の化合物を見出す目的を有していた。
【0002】
本発明は、式Iの化合物、ならびに有糸分裂モータータンパク質、特に有糸分裂モータータンパク質Eg5の阻害、制御および/または調節が関与する疾患の治療および予防のためのその使用、さらにこの化合物を含む医薬組成物に関する。
【0003】
詳細には、本発明は、好ましくは1種または複数の有糸分裂モータータンパク質を阻害、制御および/または調節する式Iの化合物、この化合物を含む組成物、ならびに血管形成、癌、腫瘍の形成、成長および増殖、動脈硬化、眼疾患、脈絡膜血管新生および糖尿病性網膜症、炎症性疾患、関節炎、神経変性、再狭窄、創傷治癒または移植片拒絶反応などの疾患および病訴を治療するためのその使用方法に関する。特に、本発明の化合物は、癌疾患の治療または予防に好適である。
【0004】
有糸分裂の間、様々なキネシンが、染色体の正確で協調的な整列および分離に関与する紡錘体装置の形成およびダイナミクスを制御する。有糸分裂モータータンパク質−Eg5−の特異的な阻害が、紡錘糸の崩壊につながることが観察された。この結果、染色体は娘細胞に亘って正確に分布することがもはやできなくなる。この結果、有糸分裂は停止し、したがって細胞死を引き起こす恐れがある。モータータンパク質Eg5の上方調節は、例えば、乳房、肺および結腸の腫瘍の組織において記載されている。Eg5は有糸分裂特異的な機能を有するので、Eg5阻害によって影響を受けるのは、主に急速に分裂している細胞であって、完全に分化した細胞ではない。さらに、Eg5は、有糸分裂微小管(紡錘体装置)の運動だけを制御し、細胞骨格の運動は制御しない。このことは、例えば、タキソールの場合に観察されるような、神経障害が発生しないか、または弱められた程度でしか発生しないため、本発明の化合物の副作用プロフィールにとって重要である。したがって、本発明の化合物によるEg5の阻害は、悪性腫瘍の治療にとって関連のある治療コンセプトである。
【0005】
一般に、例えば、単球性白血病、脳、泌尿生殖器、リンパ系、胃、喉頭の癌、ならびに肺腺癌および小細胞肺癌を含めた肺癌などの、全ての固形および非固形の腫瘍は、式Iの化合物で治療し得る。さらなる例としては、前立腺、膵臓および乳腺の癌が挙げられる。
【0006】
驚いたことに、本発明の化合物が有糸分裂モータータンパク質、特にEg5の特異的な阻害をもたらすことが見出された。本発明の化合物は、好ましくは、例えば、本明細書で記載するアッセイによって容易に検出し得る、有利な生物学的活性を示す。そのようなアッセイでは、本発明の化合物は、好適な範囲、好ましくはミクロモルの範囲、そしてより好ましくはナノモルの範囲のIC50値によって通常は証明される阻害効果を好ましくは示し、そして引き起こす。
【0007】
本明細書で論じているように、本発明の化合物の効果は様々な疾患に関係する。したがって、本発明の化合物は、1種または複数の有糸分裂モータータンパク質、特にEg5の阻害によって影響を受ける疾患の予防および/または治療に有用である。
【0008】
したがって、本発明は、前記疾患の治療および/または予防における薬剤および/または薬剤有効成分としての本発明の化合物、ならびに前記疾患を治療および/または予防するための医薬品の調製のための本発明の化合物の使用、さらにそのような化合物の投与を必要としている患者への本発明の1種または複数の化合物の投与を含む前記疾患の治療方法にも関する。
【0009】
本発明の化合物は、異種移植腫瘍モデルにおいて有利な効果を有することを明らかにし得る。
【0010】
宿主または患者は、任意の哺乳類種、例えば、霊長類種、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを含めた齧歯類;ウサギ、ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどに属し得る。動物モデルは実験的調査の関心の対象であり、ヒトの疾患の治療のためのモデルを提供する。
【0011】
本発明の化合物を用いた処置に対する特定の細胞の感受性は、インビトロで試験することによって求め得る。通常は、有効成分が細胞死を誘発するか細胞遊走を阻害するのに十分な時間、通常は約1時間と1週間との間、その細胞の培養液を様々な濃度で本発明の化合物と混合する。インビトロで試験するために、生検標本からの培養細胞を使用し得る。次いで、その処置後に残っている生存細胞を数える。
【0012】
その用量は、使用する特定の化合物、特定の疾患、患者の状態などに応じて変動する。通常、治療用量は、患者の生存力を維持しながら、標的組織における望ましくない細胞集団を大幅に減少させるために十分である。その治療は、一般に、相当な減少が起こるまで、例えば、負荷細胞量の少なくとも約50%が減少するまで継続し、体内で望ましくない細胞がほとんど検出されなくなるまで継続し得る。
【0013】
発明の概要
式Iの化合物
【0014】
【化1】

【0015】
であって、式中、
1、A2は、互いに独立に、N、OまたはSを表し、
1、X2、X3は、互いに独立に、単結合、NR3−NR3、NR3、O、Sまたは以下の基
【0016】
【化2】

【0017】
のうちの1種を表し、
Yは、C=O、SO、SO2、(CR12n
【0018】
【化3】

【0019】
を表し、
Cyは、H、炭素環式または複素環式(heberocyclic)の、飽和基、不飽和基または芳香族基を表し、これらの基は非置換でもよく、またはアルキル、Hal、CN、OH;OR、OCF3、CF3、COORもしくは(CR12n−Y−X1−(CR12n−Q基による一置換もしくは多置換でもよい、
Qは、H、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールを表し、
R、R1は、H、アルキル、Hal、アルコキシ、OH、アルケニル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキルを表し、
2、R3は、(CH2n−Q、(CH2n−Cyまたは(CH2nNR2を表し、
Halは、F、BrまたはClを表し、
nは、0、1、2、3、4、5、6、7、または8を表し、
mは、1または2を表し、
および
pは、0、1または2を表す化合物、
ならびに医薬として有用なその誘導体、その溶媒和物、その互変異性体、その塩およびその立体異性体、ただしあらゆる比率のそれらの混合物も含める。
【0020】
本発明はまた、これらの化合物の、光学活性体、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマーならびに水和物および溶媒和物に関する。化合物の溶媒和物という用語は、相互引力により形成される、式Iの化合物上への不活性溶媒分子の内転(adduction)を意味するものと受け取られる。溶媒和物は、例えば、一水和物もしくは二水和物またはアルコキシドである。
【0021】
医薬として有用な誘導体という用語は、例えば、本発明の化合物の塩を、およびいわゆるプロドラッグ化合物をも意味するものと受け取られる。
【0022】
プロドラッグ誘導体という用語は、例えば、アルキルまたはアシル基、糖またはオリゴペプチドによって修飾されており、生体内で急激に開裂されて、本発明の有効な化合物を形成する、式Iの化合物を意味するものと受け取られる。
【0023】
これらは、例えば、Int.J.Pharm.115、61−67(1995)に記載されているように、本発明の化合物の生分解性高分子誘導体も含む。
【0024】
類似化合物は、例えば、Tetrahedron Lett.1988,29,5855−5858、Tetrahedron Lett.2003,44,217−219、J.Org.Chem.1997,62,4880−4882、J.Org.Chem.1999,64,6462−6467、Chem.Lett.1995,423−424、J.Org.Chem.2000,65,5009−5013、Chem.Lett.2003,32,222−223、US2003149069A1に記載されているが、癌治療との関係で述べられておらず、および/または本発明に必要不可欠な特徴を含んでいない。
【0025】
「有効量」という表現は、例えば、研究者または医師によって探究または所望されている生物学的または医学的反応を組織、系、動物またはヒトにおいて引き起こす薬剤または医薬有効成分の量を表す。
【0026】
さらに、「治療有効量」という表現は、ヒトまたは他の哺乳類において以下の効果のうちの少なくとも1種を引き起こす量(この量を摂取していない対象と比較した)を表す。疾患、症候群、状態、病訴、障害または副作用の治療、治癒、予防または除去における改善、あるいはまた疾患、病訴または障害の進行の減速。
【0027】
「治療有効量」という用語は、通常の生理的機能を増大または強化するために有効な量も包含する。
【0028】
本発明は、式Iの化合物の混合物、例えば、2種のジアステレオマーの、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4,1:5、1:10、1:100または1:1000の比での混合物の使用にも関する。
【0029】
これらは、特に好ましくは、立体異性体化合物の混合物である。
【0030】
本発明は、式Iの化合物およびその塩と、特許請求の範囲に記載の式Iの化合物ならびに医薬として有用なその誘導体、その塩、その溶媒和物およびその立体異性体の調製のためのプロセスとに関し、式IIの化合物
【0031】
【化4】

【0032】
であって、その式II中、
1、A2、R1、およびX1が上述した意味を有する化合物を、
式IIIの化合物
H−Y−X2−(CR22n−X3−Cy
であって、その式III中、
Y、X2、R2、X3およびCyが上述した意味を有する化合物と、
好ましくは例えば、N−(3−ジアルキルアミノアルキル)(3−dialkylamimoalkyl)−N’−アルキルカルボジイミド、特にN−(3ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドなどの活性化剤(reagent’)の存在下
で反応させることを特徴とする。
【0033】
上記のプロセスによって得ることができる式Iの化合物のジアステレオマーおよびエナンチオマーの混合物は、好ましくはクロマトグラフィーまたは結晶化によって分離する。
【0034】
所望の場合、上記のプロセスによって得た式Iの塩基および酸をその塩に転換する。
【0035】
上記および下記で、基であるHal、R、R1、R2、R3、X1、X2、X3、Y、Q、Cy、m、nおよびpは、明白に別段の定めがない限り、式Iについて示した意味を有する。個別の基がある化合物内で何回も出現する場合、その各基は、互いに独立に、示した意味を採る。
【0036】
アルキルは、好ましくは分岐していない(直鎖)かまたは分岐しており、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のC原子を有する。アルキルは、好ましくはメチル、さらにはエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、またさらにはペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル、さらに好ましくは、例えばトリフルオロメチルを表す。
【0037】
アルキルは、極めて特に好ましくは、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルを表す。アルキルは、シクロアルキルも表す。
【0038】
シクロアルキルは、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを表すが、特にシクロペンチルを表す。
【0039】
R、R1、R2は、好ましくはH、アルキル、CF3、OCF3、SCN、CN、OH、Oアルキル−OCOアルキル、OCOH、Hal、SCF3、また好ましくはt−ブチル、−CH(CH3)CH2CH3、イソプロピル、エチルまたはメチルを表す。特に、R1はt−ブチル、イソプロピル、エチル、CF3、メチル、Br、Cl、SCF3、CH(CH3)CH2CH3、n−プロピル、OCH3、SCH3、n−ブチル、−SCN、CH2CNを表す。R1は、特に好ましくはt−ブチル、イソプロピル、エチルまたはCF3を表す。
【0040】
1、A2は、好ましくは互いに独立に、OまたはNを表す。A1およびA2は、特に好ましくは同一ではない。
【0041】
R3は、好ましくはH、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、(CH2nQまたは(CH2nN(R12を表す。
【0042】
1、X2は、好ましくは、NR3、Oまたは以下の基
【0043】
【化5】

【0044】
を表す。
【0045】
Xは、好ましくは単結合または(CH2nを表す。
【0046】
Yは、好ましくはC=Oまたは
【0047】
【化6】

【0048】
を表す。
【0049】
Cyは、好ましくは置換または非置換の、シクロペンチル、アリールまたはヘテロアリールを表す。特に、Cyは、以下の基
【0050】
【化7】

【0051】
のうちの1種を表し、
その基中、qは1または2を表す。
【0052】
Y−X2−(CR22n−X基が単結合を表す式Iの化合物が優先される。
【0053】
Qは、好ましくはアリールまたはヘテロアリールを表す。
【0054】
uは、好ましくは0、1または2を表す。
【0055】
mは、好ましくは1を表す。
【0056】
pは、好ましくは1を表す。
【0057】
アリールは、好ましくはフェニル、ナフチルまたはビフェニルを表し、そのそれぞれが非置換であるか、またはHal、A、OH、OA、NH2、NO2、CN、COOH、COOA、CONH2、NHCOA、NHCONH2、NHSO2A、CHO、COA、SO2NH2、SO2A、−CH2−COOHもしくは−OCH2−COOHによって一置換、二置換もしくは三置換されている。
【0058】
アリールは、好ましくはフェニル、o−、m−もしくはp−トリル、o−、m−もしくはp−エチルフェニル、o−、m−もしくはp−プロピルフェニル、o−、m−もしくはp−イソプロピルフェニル、o−、m−もしくはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−もしくはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−もしくはp−メトキシフェニル、o−、m−もしくはp−ニトロフェニル、o−、m−もしくはp−アミノフェニル、o−、m−もしくはp−(N−メチルアミノ)フェニル、o−、m−もしくはp−(N−メチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−もしくはp−アセトアミドフェニル、o−、m−もしくはp−メトキシフェニル、o−、m−もしくはp−エトキシフェニル、o−、m−もしくはp−エトキシカルボニルフェニル、o−、m−もしくはp−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、o−、m−もしくはp−(N,N−ジメチル−アミノカルボニル)フェニル、o−、m−もしくはp−(N−エチルアミノ)フェニル、o−、m−もしくはp−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル、o−、m−もしくはp−フルオロフェニル、o−、m−もしくはp−ブロモフェニル、o−、m−もしくはp−クロロフェニル、o−、m−もしくはp−(メチルスルホンアミド)フェニル、o−、m−もしくはp−(メチルスルホニル)フェニル、さらに好ましくは2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジブロモフェニル、2,4−もしくは2,5−ジニトロフェニル、2,5−もしくは3,4−ジメトキシフェニル、3−ニトロ−4−クロロフェニル、3−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−3−クロロ−、2−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−5−クロロ−もしくは2−アミノ−6−クロロフェニル、2−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノ−もしくは3−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノフェニル、2,3−ジアミノフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリクロロフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル、p−ヨードフェニル、3,6−ジクロロ−4−アミノフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、3−ブロモ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニル、3−フルオロ−4−メトキシフェニル、3−アミノ−6−メチルフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニルまたは2,5−ジメチル−4−クロロフェニルを表す。
【0059】
ヘテロアリールは、好ましくは、非置換であるか、またはHal、A、NO2、NHA、NA2、OA、COOAもしくはCNによって一置換、二置換もしくは三置換されている、1個または複数のN、Oおよび/またはS原子を有する単環式または二環式の芳香族複素環を表す。
【0060】
ヘテロアリールは、特に好ましくは、非置換であるか、またはHal、A、NHA、NA2、NO2、COOAもしくはベンジルによって一置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、1個のN、SまたはO原子を有する単環式飽和または芳香族複素環を表す。
【0061】
さらなる置換に関係なく、非置換のヘテロアリールは、例えば、2−もしくは3−フリル、2−もしくは3−チエニル、1−、2−もしくは3−ピロリル、1−、2、4−もしくは5−イミダゾリル、1−、3−、4−もしくは5−ピラゾリル、2−、4−もしくは5−オキサゾリル、3−、4−もしくは5−イソオキサゾリル、2−、4−もしくは5−チアゾリル、3−、4−もしくは5−イソチアゾリル、2−、3−もしくは4−ピリジル、2−、4−、5−もしくは6−ピリミジニル、さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−もしくは−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−もしくは5−イル、1−もしくは5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−もしくは−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−もしくは−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−もしくは−5−イル、3−もしくは4−ピラダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−インドリル、4−もしくは5−イソインドリル、1−、2−、4−もしくは5−ベンズイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾオキサゾリル、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−もしくは7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キナゾリニル、5−もしくは6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−もしくは8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、さらに好ましくは1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−もしくは−5−イルまたは2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イルを表す。
【0062】
Halは、好ましくはF、ClまたはBr、特に好ましくはFまたはClを表す。
【0063】
本発明を通して、複数回登場する全ての基は同一でも異なっていてもよく、すなわち、互いに独立である。
【0064】
前記式Iの化合物は、1個または複数のキラル中心を有することができ、したがって、様々な立体異性体の形態で存在する。式Iは、これらの形態の全てを包含する。
【0065】
式Iの特に好ましい化合物は、部分式(sub−formulae)IAからICのものであり、
【0066】
【化8−1】

【0067】
【化8−2】

【0068】
その部分式中、R1、X1、X2、X3、Y、R2およびCyは、上述した意味を有する。
【0069】
さらに、式Iの化合物およびまたその調製のための出発物質は、文献(例えば、Houben−Weyl,Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry],Georg−Thieme−Verlag,Stuttgartなどの標準的な著作)に記載されているような、それ自体が知られている方法により、正確に言うと、知られていて、かつ前記反応に好適な反応条件下で調製される。ここでより詳細に述べられていない、それ自体が知られている変法をここで使用することもできる。
【0070】
所望の場合、その出発物質を、その反応の混合物から単離しないために、反応系内でも形成し得るが、その代り、直ちに式Iの化合物にさらに転換する。
【0071】
その反応は、一般に、不活性溶媒中で、好ましくはN−(3−アルキルアミノアルキル)−N’−アルキルカルボジイミド、特にN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドなどの活性化剤の存在下で実施される。使用する条件によって、反応時間は数分間と14日間との間であり、反応温度は約0°と180°との間、通常は0°と100°との間、特に好ましくは0℃と70℃との間である。
【0072】
好適な不活性溶媒は、例えば、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレンなどの炭化水素、トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタンなどの塩素化炭化水素、または前記溶媒の混合物である。
【0073】
所望の場合、式Iの化合物中の機能的に修飾されたアミノおよび/またはヒドロキシル基を、従来の方法によって、加溶媒分解または水素化分解によって遊離し得る。これは、例えば、水、水/THFまたは水/ジオキサン中で、0と100°との間の温度でNaOHまたはKOHを使用して実施し得る。
【0074】
エステルのアルデヒドもしくはアルコールへの還元、またはニトリルのアルデヒドもしくはアミンへの還元は、当業者に知られている方法で実施され、有機化学の標準的な著作に記載されている。
【0075】
本発明の前記化合物は、その最終的な非塩形態で使用し得る。一方、本発明は、その技術分野で知られている手順で様々な有機および無機の酸および塩基から誘導し得る、その医薬として許容可能な塩の形態での、この化合物の使用も包含する。式Iの化合物の医薬として許容可能な塩の形態は、大部分が従来の方法で調製される。式Iの化合物がカルボキシル基を含有する場合、その好適な塩のうちの1種は、対応する塩基付加塩を生じるために、その化合物を好適な塩基と反応させることによって形成し得る。そのような塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含めたアルカリ金属水酸化物、水酸化バリウムおよび水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物、例えばカリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、ならびに、ピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンなどの様々な有機塩基である。式Iの化合物のアルミニウム塩は同様に含まれる。式Iの特定の化合物の場合、この化合物を医薬として許容可能な有機および無機の酸、例えば、塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素などのハロゲン化水素、硫酸(塩)、硝酸(塩)またはリン酸(塩)などの他の鉱酸およびその対応する塩、ならびにエタンスルホン酸(塩)、トルエンスルホン酸(塩)およびベンゼンスルホン酸(塩)などのアルキル−およびモノアリールスルホン酸(塩)、ならびに酢酸(塩)、トリフルオロ酢酸(塩)、酒石酸(塩)、マレイン酸(塩)、コハク酸(塩)、クエン酸(塩)、安息香酸(塩)、サリチル酸(塩)、アスコルビン酸(塩)などの他の有機酸およびその対応する塩で処理することによって酸付加塩を形成し得る。したがって、式Iの化合物の医薬として許容可能な酸付加塩としては、以下の、酢酸塩、アジピン酸塩,アルギン酸塩、アルギニン酸塩(arginate)、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、二水素リン酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクテル酸塩(galacterate)(粘液酸から)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、半コハク酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、一水素リン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩が挙げられるが、これは限定を表すものではない。
【0076】
さらに、本発明の化合物の塩基塩としては、アルミニウム、アンモニア、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛の塩が挙げられるが、これは限定を表すことを意図していない。上述した塩のうち、アンモニウム;アルカリ金属塩ナトリウムおよびカリウム、ならびにアルカリ土類金属塩カルシウムおよびマグネシウムが優先される。医薬として許容可能な有機非毒性塩基から誘導される、式Iの化合物の塩としては、第1級、第2級および第3級アミン、天然置換アミンも含む置換アミン、環状アミン、および塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リドカイン、リシン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)、の塩が挙げられるが、これは限定を表すことを意図していない。
【0077】
窒素含有塩基性基を含有する本発明の化合物は、例えば、塩化、臭化およびヨウ化、メチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチルなどの(C1〜C4)アルキルハロゲン化物、例えば、ジメチル、ジエチルおよびジアミル硫酸などのジ(C1〜C4)アルキル硫酸、例えば、塩化、臭化およびヨウ化、デシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリールなどの(C10〜C18)アルキルハロゲン化物、ならびに、例えば、塩化ベンジルおよび臭化フェネチルなどのアリール(C1〜C4)アルキルハロゲン化物などの試剤を使用して4級化し得る。本発明の水溶性および油溶性の化合物は両方とも、そのような塩を使用して調製し得る。
【0078】
好ましい上述した医薬塩としては、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、半コハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバル酸塩、リン酸ナトリウム、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸塩、トシラートおよびトロメタミンが挙げられるが、これは限定を表すことを意図していない。
【0079】
式Iの塩基性化合物の酸付加塩は、遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させ、従来通りに塩の形成を引き起こすことによって調製される。前記遊離塩基は、その塩の形態をある塩基と接触させ、従来通りにその遊離塩基を分離することによって再生し得る。遊離塩基の形態は、極性溶媒中での溶解度などの特定の物理的特性に関して、その対応する塩の形態とは特定の点について異なるが、しかしながら、本発明の目的に対しては、その塩は他の点ではそのそれぞれの遊離塩基の形態と一致する。
【0080】
述べたように、式Iの化合物の医薬として許容可能な塩基付加塩は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミンなどの、金属またはアミンで形成する。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミンは、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0081】
本発明の酸性化合物の塩基付加塩は、遊離酸の形態を十分な量の所望の塩基と接触させ、従来通りにその塩の形成を引き起こすことによって調製される。前記遊離酸は、その塩の形態をある酸と接触させ、従来通りにその遊離酸を分離することによって再生し得る。遊離酸の形態は、極性溶媒中での溶解度などの特定の物理的特性に関して、その対応する塩の形態とは特定の点について異なるが、しかしながら、本発明の目的に対しては、その塩は他の点ではそのそれぞれの遊離酸の形態に一致する。
【0082】
本発明の化合物が、この種の医薬として許容可能な塩を形成可能な複数の基を含有する場合、本発明は、複数の塩も包含する。通常の複数の塩の形態としては、例えば、酸性酒石酸塩、二酢酸塩、二フマル酸塩、ジメグルミン、二リン酸塩、二ナトリウムおよび三塩酸塩が挙げられるが、これは限定を表すことを意図していない。
【0083】
上述したものに関しては、本発明に関連した「医薬として許容可能な塩」という表現が、もし、特に、式Iの化合物の塩の形態が、以前に使用した、有効成分の任意の他の塩の形態または有効成分の遊離形態と比較して、有効成分に改善した薬物速度論的特性を付与するのであるならば、式Iの化合物の塩のうちの1種の形態で式Iの化合物を含む有効成分を意味するものと受け取られていることが理解できる。有効成分の医薬として許容可能な塩の形態は、この有効成分に、以前は有していなかった所望の薬物速度論的特性を最初に提供することもでき、体内におけるその治療効果に関して、この有効成分の薬力学に対して正の影響を有することさえできる。
【0084】
本発明は、少なくとも1種の式Iの化合物、および/または医薬として有用なその誘導体、その溶媒和物およびその立体異性体、ただしあらゆる比率のそれらの混合物も含める、ならびに、場合により賦形剤および/または補助剤を含む薬剤にさらに関する。
【0085】
医薬製剤(pharmaceutical formulation)は、用量単位(dosage unit)ごとに所定の量の有効成分を含む、用量単位の形態で投与し得る。そのような単位は、治療する条件、投与の方法ならびに患者の年齢、体重および状態に応じて、本発明の化合物を、例えば、0.5mgから1g、好ましくは1mgから700mg、特に好ましくは5mgから100mg含むか、または、医薬製剤は、用量単位ごとに所定の量の有効成分を含む、用量単位の形態で投与することができる。好ましい用量単位製剤は、上述したように、有効成分の、その対応する画分(fraction)、または、1日量もしくは分割用量(part−dose)、を含む製剤である。さらに、この種の医薬製剤は、医薬品業界で一般に知られているプロセスのうちの1種を使用して調製し得る。
【0086】
医薬製剤は、任意の所望の好適な方法、例えば、経口(頬側もしくは舌下を含む)、経直腸、経鼻、局所的(頬側、舌下もしくは経皮を含む)、経腟または非経口(皮下、筋肉内、静脈内もしくは皮内を含む)の方法を介した投与に適合させることができる。そのような製剤は、医薬品業界で知られている全てのプロセスを使用して、例えば、有効成分を(1種または複数の)賦形剤または(1種または複数の)補助剤と組み合せることによって調製し得る。
【0087】
経口投与用に適合させた医薬製剤は、例えば、カプセルもしくは錠剤、粉末もしくは顆粒、水性もしくは非水性液体中の、溶液もしくは懸濁液、食用泡もしくは含泡食品(foam food)、または、水中油液体エマルジョンもしくは油中水液体エマルジョンなどの別々の単位として投与し得る。
【0088】
したがって、例えば、錠剤またはカプセルの形態での経口投与の場合、有効成分の構成成分は、例えば、エタノール、グリセロール、水などの、経口、非毒性および医薬として許容可能な不活性賦形剤と組み合せ得る。粉末は、前記化合物を好適な微細な大きさに微粉砕し、それを、例えば、デンプンまたはマンニトールなどの、例えば、食用炭水化物などの、同様の方法で微粉砕した医薬的賦形剤と混合することによって、調製する。香料、保存料、分散剤および染料は、同様に存在し得る。
【0089】
カプセルは、上述したように粉末混合物を調製し、成形したゼラチンの殻をそれで充填することによって製造する。例えば、高度分散性ケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固形のポリエチレングリコールなどの流動促進剤および潤滑剤は、充填作業の前にその粉末混合物に添加し得る。例えば、寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤は、カプセルを摂取した後の薬剤の有効性を向上させるために、同様に添加し得る。
【0090】
さらに、所望の場合、または必要な場合、好適な結合剤、潤滑剤および崩壊剤ならびに染料は、同様に混合物中に組み込むことができる。好適な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、例えばグルコースまたはβ−ラクトースなどの天然糖、トウモロコシから作られた甘味料、例えばアラビアゴム、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなどの天然および合成のゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。これらの剤形で使用する潤滑剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、そこに限定はしないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、その混合物を顆粒化または乾式プレスし、潤滑剤および崩壊剤を添加し、錠剤を得るためにその混合物全体をプレスすることによって製剤化する。粉末混合物は、上述したように、適切な方法で微粉砕した化合物を希釈剤または基剤(base)と混合し、場合により、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンもしくはポリビニルピロリドンなどの結合剤、例えばパラフィンなど溶解遅延剤、例えば第4級塩などの吸収促進剤、および/または例えばベントナイト、カオリンもしくはリン酸二カルシウムなどの吸収剤(absorbant)とも混合することによって調製する。その粉末混合物は、例えば、シロップ、デンプンペースト、アカシアゴム粘液(acadia mucilage)またはセルロースの溶液または高分子材料などの結合剤でそれを湿らせ、それを篩に通してプレスすることによって顆粒化し得る。顆粒化の代替として、その粉末混合物は、錠剤成形機にかけて、顆粒を形成するために分散された不均一形状の塊を生じることができる。その顆粒は、錠剤鋳型(tablet casting mould)への固着を予防するために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまた鉱油の添加によって潤滑にし得る。次いで、その潤滑にした混合物は、錠剤を生じるようにプレスする。本発明の化合物は、顆粒化または乾式プレスのステップを実施せずに、易流動性の不活性賦形剤と組み合せて、次いで、錠剤を生じるように直接プレスすることもできる。セラック密封層、糖もしくは高分子材料の層およびワックスの光沢層からなる透明または不透明の保護層が存在し得る。染料は、異なる用量単位を識別できるようにするために、これらの被膜に添加し得る。
【0091】
例えば、溶液、シロップおよびエリキシル剤などの経口液体は、一定量がその化合物の事前に指定した量を含むように、用量単位の形態で調製し得る。シロップは、その化合物を好適な風味の水性溶液中で溶解することによって調製することができ、一方で、エリキシル剤は、非毒性のアルコール性の媒体を使用することによって調製する。懸濁液は、非毒性媒体中でのその化合物の分散によって製剤化し得る。例えばエトキシル化イソステアリールアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなどの可溶化剤および乳化剤、保存料、例えばペパーミント油などの香料添加剤または天然甘味料もしくはサッカリン、または他の人工甘味料などは、同様に添加し得る。
【0092】
経口投与用の用量単位製剤は、所望の場合、マイクロカプセルに入れることができる。この製剤は、例えば、高分子、ワックスなどの中の粒子材料の包埋または被覆によって、放出を延長または遅延するように調製することもできる。
【0093】
式Iの化合物およびその塩、その溶媒和物およびその生理学的機能性誘導体は、例えば小さな単層小嚢、大きな単層小嚢および多重膜小嚢などのリポソーム送達系の形態で投与することもできる。リポソームは、例えばコレステロール、ステアリールアミンまたはホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成し得る。
【0094】
式Iの化合物およびその塩、その溶媒和物およびその生理学的機能性誘導体は、その化合物の分子が結合されているモノクローナル抗体を個別の担体として使用して送達することもできる。その化合物は、標的薬剤担体としての可溶性ポリマーに結合させることもできる。そのようなポリマーは、パルミトイル基によって置換された、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノールまたはポリエチレンオキシドポリリシンを包含してもよい。その化合物は、薬剤の制御放出を達成するために好適なある種類の生分解性ポリマー、例えばポリ乳酸、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリヒドロキシピラン、ポリシアノアクリレートおよびヒドロゲルの架橋または両親媒性のブロックコポリマー、にさらに結合されてもよい。
【0095】
経皮投与に適合した医薬製剤は、受益者(recipient)の表皮との長時間の密接な接触のために、独立した硬膏として塗布し得る。したがって、例えば、その有効成分は、Pharmaceutical Research,3(6),318(1986)で一般的な用語で記載されているように、イオン導入によってその硬膏から送達し得る。
【0096】
局所投与に適合した医薬化合物は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾルまたは油として製剤化し得る。
【0097】
眼または他の外部組織、例えば口および皮膚の治療のために、その製剤は、好ましくは局所性軟膏またはクリームとして塗布される。軟膏を得るための製剤化の場合、その有効成分は、パラフィン系または水混和性のクリーム基剤のいずれかと使用し得る。代替として、その有効成分は、水中油クリーム基剤または油中水基剤を用いてクリームを得るように製剤化し得る。
【0098】
眼への局所適用用の医薬製剤としては、その有効成分が好適な担体中、特に水性溶媒中に溶解または懸濁されている点眼剤が挙げられる。
【0099】
口内への局所適用に適合した医薬製剤は、ロゼンジ剤、トローチ剤および口内洗浄薬を包含する。
【0100】
直腸投与に適合した医薬製剤は、座剤または浣腸剤の形態で投与し得る。
【0101】
担体物質が固体である、経鼻投与に適合した医薬製剤は、嗅剤が摂取される様式、すなわち鼻の近くに保持する粉末を含有する容器からの鼻腔を介した急速な吸入によって投与する、例えば、20〜500ミクロンの範囲の粒径を有する粗末を含む。液体を担体物質とする鼻用スプレーまたは点鼻薬として投与するための好適な製剤は、水または油中の有効成分溶液を包含する。
【0102】
吸入による投与に適合した医薬製剤は、エアロゾル、ネブライザーまたは吸入器を有する様々な型の加圧ディスペンサーによって生成し得る、微細な粒子状の粉塵またはミストを包含する。
【0103】
経腟投与に適合した医薬製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡またはスプレー製剤として投与し得る。
【0104】
非経口的投与に適合した医薬製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および溶質を含む水性および非水性の無菌注射液、またこれらを用いることによって、その製剤は治療を受ける受益者の血液と等浸透圧の状態にされる、ならびに懸濁媒体および増粘剤を含み得る水性および非水性の無菌注射液が挙げられる。その製剤は、無菌担体液体、例えば注射目的の水の使用直前の添加のみが必要であるように、単用量または多用量の容器、例えば密封アンプルおよびバイアルで投与し、凍結乾燥(凍結乾燥)状態で保存し得る。処方に従って調製した注射液および懸濁液は、無菌の粉末、顆粒および錠剤から調製し得る。
【0105】
その製剤が、上で特に述べた成分の他に、製剤の特定の型に関して本発明の技術分野で一般的な他の試剤を含むこともできることは言うまでもない。したがって、例えば、経口投与に好適な製剤は、香料を含んでもよい。
【0106】
式Iの化合物の治療効果のある量は、例えば動物の年齢および体重、治療を必要とする厳密な状態およびその重症度、その製剤の性質および投与の方法を含めた、多くの因子によって決まり、最終的には治療する医師または獣医師が決定する。しかし、腫瘍性増殖、例えば結腸または乳腺の癌の治療に対する本発明の化合物の有効量は、通常、1日当たり受益者(哺乳類)の体重の0.1から100mg/kgの範囲であり、特に通常は1日当たり体重の1から10mg/kgの範囲である。したがって、70kgの重さの成体哺乳類の1日当たりの実際の量は、通常、70と700mgの間であり、この量は、合計の1日量が同じになるように、1日当たりの単用量として、またはより一般的には1日当たりの一連の部分用量(例えば、2、3、4、5または6回など)として投与し得る。塩もしくは溶媒和物またはその生理学的機能性誘導体の有効量は、本発明の化合物の有効量それ自体の画分として求めることができる。類似の用量が上述した他の状態の治療に好適であると想定し得る。
【0107】
本発明は、さらに、少なくとも1種の式Iの化合物、および/または医薬として有用なその誘導体、その溶媒和物およびその立体異性体、ただしあらゆる比率のそれらの混合物も含める、ならびに少なくとも1種の追加の薬剤有効成分を含む薬剤に関する。
【0108】
本発明は、
(a)式Iの化合物、および/または医薬として有用なその誘導体、その溶媒和物およびその立体異性体、ただしあらゆる比率のそれらの混合物も含める、の有効量と、
(b)追加の薬剤有効成分の有効量
との別々のパックからなるセット(キット)にも関する。
【0109】
そのセットは、箱、個々の瓶、袋またはアンプルなどの好適な容器を含む。そのセットは、例えば、それぞれが式Iの化合物、および/または医薬として有用なその誘導体、その溶媒和物およびその立体異性体、ただしあらゆる比率のそれらの混合物も含める、の有効量、さらに溶解または凍結乾燥の形態で他の薬剤有効成分の有効量を含有する別々のアンプルを含み得る。
【0110】
表1の薬剤は、好ましくは、これに限らないが、式Iの化合物と併用される。式Iと表1の薬剤の組合せは、式Vの化合物とも併用し得る。
【0111】
【表1−1】

【0112】
【表1−2】

【0113】
【表1−3】

【0114】
【表1−4】

【0115】
【表1−5】

【0116】
【表1−6】

【0117】
式Iの化合物は、好ましくは既知の抗癌剤と併用される。
【0118】
これらの既知の抗癌剤としては、以下の、エストロゲン受容体調節剤、アンドロゲン受容体調節剤、レチノイド受容体調節剤、細胞傷害剤、抗増殖剤、プレニルタンパク質転移酵素阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤および他の血管形成阻害剤が挙げられる。本発明の化合物は、放射線治療と同時の投与に特に好適である。放射線治療と組み合せたVEGFの阻害の相乗効果は、専門家によって記載されている(WO00/61186参照)。
【0119】
「エストロゲン受容体調節剤」は、機序を問わず、受容体へのエストロゲンの結合を妨害または阻害する化合物を意味する。エストロゲン受容体調節剤の例としては、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)−エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]フェニル2,2−ジメチルプロパノアート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンおよびSH646が挙げられるが、しかしこれらに限定はされない。
【0120】
「アンドロゲン受容体調節剤」は、機序を問わず、受容体へのアンドロゲンの結合を妨害または阻害する化合物を意味する。アンドロゲン受容体調節剤の例としては、フィナステライドおよび他の5α−還元酵素阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾールおよび酢酸アビラテロンが挙げられる。
【0121】
「レチノイド受容体調節剤」は、機序を問わず、受容体へのレチノイドの結合を妨害または阻害する化合物を意味する。そのようなレチノイド受容体調節剤の例としては、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX237553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチンアミドおよびN−4−カルボキシフェニルレチンアミドが挙げられる。
【0122】
「細胞傷害剤」は、細胞機能へ直接作用して主に細胞死をもたらすか、または、細胞縮瞳(myosis)を阻害もしくは妨害する化合物を意味し、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、挿入剤、マイクロチューブリン(microtubulin)阻害剤およびトポイソメラーゼ阻害剤を含む。
【0123】
細胞傷害剤の例としては、チラパジミン(tirapazimine)、セルテネフ(sertenef)、カケクチン、イホスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモズルシトール、ラニムスチン、ホテムスチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロマイド、ヘプタプラチン(heptaplatin)、エストラムスチン、トシル酸インプロスルファン、トロホスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム(dibrospidium chloride)、プミテパ、ロバプラチン(lobaplatin)、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシホスファミド(dexifosfamide)、シス−アミンジクロロ(2−メチルピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルホスファミド、GPX100、(トランス、トランス、トランス)ビス−μ(mu)−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−μ−[ジアミン白金(II)]ビス−[ジアミン(クロロ)白金(II)]4塩化物、ジアリジジニルスペルミン(diarizidinylspermine),三酸化砒素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド(pinafide)、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン(antineoplastone)、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−l0−ヒドロキシカルミノマイシン、アンナマイシン、ガラルビシン(galarubicin)、エリナフィド、MEN10755および4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニルダウノルビシンが挙げられるが、これらには限定はされない(WO00/50032参照)。
【0124】
マイクロチューブリン阻害剤の例としては、パクリタキセル、硫酸ビンデシン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール(docetaxol)、リゾキシン、ドラスタチン、イセチオン酸ミボブリン、アウリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258およびBMS188797が挙げられる。
【0125】
トポイソメラーゼ阻害剤のいくつかの例としては、トポテカン、ヒカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソベンジリデンシャールトルーシン、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)−ジオン、ルルトテカン、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトセシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシエトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)−エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オンおよびジメスナが挙げられる。
【0126】
「抗増殖剤」としては、G3139、ODN698、RVASKRAS、GEM23Iおよび1NX3001などのアンチセンスのRNAおよびDNAオリゴヌクレオチド、ならびにエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキサート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクホスファート、ホステアビン(fosteabine)ナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフル、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン(nelzarabine)、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]−グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン(aplidine)、エクチナサイジン、トロキサシタビン、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b]−1,4−チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1、11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル−酢酸エステル、スウェインソニン、ロメトレキソール、デクスラゾキサン、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシンおよび3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンなどの代謝拮抗剤が挙げられる。「抗増殖剤」としては、トラスツヅマブなどの「血管形成阻害剤」として列挙したもの以外の、増殖因子に対するモノクローナル抗体、および組換えウィルス媒介遺伝子転移を介して放出され得るp53などの腫瘍抑制遺伝子も挙げられる(例えば、米国特許第6,069,134号参照)。
【0127】
腫瘍疾患の治療および予防のために本発明の化合物の使用が特に好ましい。
【0128】
腫瘍は、好ましくは、扁平上皮、膀胱、胃、腎臓の腫瘍、頭頚部、食道、子宮頚部(cervix)、甲状腺、腸、肝臓、脳、前立腺、尿生殖路、リンパ系、胃、喉頭および/または肺の腫瘍の群から選択される。
【0129】
腫瘍は、さらに好ましくは、肺腺癌、小細胞肺癌、膵癌、神経膠芽腫、結腸癌および乳癌の群から選択される。
【0130】
さらに、血液および免疫系の腫瘍の治療、好ましくは急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病および/または慢性リンパ性白血病の群から選択される腫瘍の治療のための使用が好ましい。
【0131】
本発明は、
a)1種または複数の式Iの化合物、および
b)1種もしくは複数の式Vの化合物またはその酸付加塩、特に塩酸塩、
の投与による、癌などの新生物を有する患者の治療方法も包含し、
【0132】
【化9】

【0133】
その式V中、Y’およびZ’それぞれが、互いに独立に、OまたはNを表し、R6およびR7それぞれが、互いに独立に、H、OH、ハロゲン、OC1−10−アルキル、OCF3、NO2またはNH2を表し、Sが、2と6の間の整数(両端を含む)を表し、R8およびR9それぞれが、互いに独立に、好ましくはメタまたはパラ配置であり、群
【0134】
【化10】

【0135】
から選択され、この群では、第1および第2の化合物が、新生物の増殖を阻害するのに十分な量で、同時にまたは互いに14日間以内に投与される。
【0136】
式Iの化合物の式Vの化合物と他のペンタミジン(pentamedine)類似体との併用は、新生組織形成の阻害において相乗効果を生じる。式Vの化合物を含む併用は、例えば、WO02058684で述べられている。
【0137】
ペンタミジンまたはその誘導体の作用機構は、現時点では明確に説明されておらず、ペンタミジンまたはその誘導体は、DNA、RNAおよびタンパク質合成の減少をもたらすため、多面的な作用を有するように思われる。ペンタミジンがPRL1、−2および3ホスファターゼ(Pathakら、2002)およびチロシンホスファターゼの有能な阻害剤であり、その過剰発現がヒトにおける新生物悪性腫瘍を伴うことが最近記載された。一方、ペンタミジンがDNA副溝に結合する薬剤であり(Puckowskaら、2004)、遺伝子発現および/またはDNA合成の妨害を介してその作用を発揮可能であることが記載された。
【0138】
他の好適なペンタミジン類似体としては、スチルバミジン(G−1)およびヒドロキシスチルバミジン(G−2)ならびにそのインドール類似体(例えばG−3)
【0139】
【化11−1】

【0140】
【化11−2】

【0141】
が挙げられる。各アミジン単位は、互いに独立に、上でR8およびR11に関して定義した単位のうちの1種によって置き換え得る。ベンズイミダゾールおよびペンタミジンの場合のように、スチルバミジン、ヒドロキシスチルバミジンの塩およびそのインドール誘導体も、本発明のプロセスに好適である。好ましい塩としては、例えば、二塩酸塩およびメタンスルホン酸塩が挙げられる。
【0142】
さらに他の類似体は、米国特許第5,428,051号、同第5,521,189号、同第5,602,172号、同第5,643,935号、同第5,723,495号、同第5,843,980号、同第6,172,104号および同第6,326,395号または米国特許出願公開第2002/0019437A1号のうちの1つに示されている式に該当するものであり、これらはそれぞれ参考資料の方法によりそっくりそのまま含まれる。例示的な類似体としては、1,5−ビス(4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)ペンタン、1,3−ビス(4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)−プロパン、1,3−ビス(2’−メトキシ−4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4’−(N−ヒドロキシアミジノ)−フェノキシ)ペンタン、1,4−ビス(4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)ブタン、1,3−ビス(4’−(4−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)プロパン、1,3−ビス(2’−メトキシ−4’−(N−ヒドロキシ−アミジノ)フェノキシ)プロパン、2,5−ビス[4−アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[4−アミジノ−フェニル]フランビスアミドオキシム、2,5−ビス[4−アミジノフェニル]フランビス−O−メチル−アミドオキシム、2,5−ビス[4−アミジノフェニル]フランビス−O−エチルアミドオキシム、2,8−ジアミジノジベンゾチオフェン、2,8−ビス(N−イソプロピルアミジノ)カルバゾール、2,8−ビス−(N−ヒドロキシアミジノ)カルバゾール、2,8−ビス(2−イミダゾリニル)ジベンゾチオフェン、2,8−ビス(2−イミダゾリニル)−5,5−ジオキソジベンゾチオフェン、3,7−ジアミジノジベンゾチオ−フェン、3,7−ビス(N−イソプロピルアミジノ)ジベンゾチオフェン、3,7−ビス(N−ヒドロキシ−アミジノ)ジベンゾチオフェン、3,7−ジアミノジベンゾチオフェン、3,7−ジブロモ−ジベンゾチオフェン、3,7−ジシアノジベンゾチオフェン、2,8−ジアミジノジベンゾ−フラン、2,8−ジ(2−イミダゾリニル)ジベンゾフラン、2,8−ジ(N−イソプロピルアミジノ)ジベンゾ−フラン、2,8−ジ(N−ヒドロキシルアミジノ)ジベンゾフラン、3,7−ジ(2−イミダゾリニル)ジベンゾ−フラン、3,7−ジ(イソプロピルアミジノ)ジベンゾフラン、3,7−ジ(A−ヒドロキシルアミジノ)−ジベンゾフラン、2,8−ジシアノジベンゾフラン、4,4’−ジブロモ−2,2’−ジニトロビフェニル、2−メトキシ−2’−ニトロ−4,4’−ジブロモビフェニル、2−メトキシ−2’−アミノ−4,4’−ジブロモ−ビフェニル、3,7−ジブロモジベンゾフラン、3,7−ジシアノジベンゾフラン、2,5−ビス(5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル)ピロール、2,5−ビス[5−(2−イミダゾリニル)−2−ベンズイミダ−ゾリル]ピロール、2,6−ビス[5−(2−イミダゾリニル)−2−ベンズイミダゾリル]ピリジン、1−メチル−2,5−ビス(5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル)ピロール、1−メチル−2,5−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]ピロール、1−メチル−2,5−ビス[5−(1,4,5,6−テトラヒドロ−2−ピリミ−ジニル)−2−ベンズイミダゾリル]ピロール、2,6−ビス(5−アミジノ−2−ベンズイミダゾイル)ピリジン、2,6−ビス[5−(1,4,5,6−テトラヒドロ−2−ピリミジニル)−2−ベンズイミダゾリル]ピリジン、2,5−ビス−(5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル)フラン、2,5−ビス[5−(2−イミダゾリニル)−2−ベンズイミダゾ−リル]フラン、2,5−ビス(5−N−イソプロピルアミジノ−2−ベンズイミダゾリル)フラン、2,5−ビス(4−グアニルフェニル)フラン、2,5−ビス(4−グアニルフェニル)−3,4−ジメチルフラン、2,5−ジ−p−[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジル)フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(2−イミダゾリニル)フェニル]−フラン、2,5−[ビス{4−(2−テトラヒドロピリミジニル)}フェニル]−p−(トリルオキシ)フラン、2,5−[ビス−{4−(2−イミダゾリニル)}フェニル]−3−p−(トリルオキシ)フラン、2,5−ビス{4−[5−(N−2−アミノエチル−アミド)ベンズイミダゾール−2−イル]フェニル}フラン、2,5−ビス[4−(3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)フェニル]フラン、2,5−ビス(4−N,N−ジメチルカルボキシヒドラジドフェニル)−フラン、2,5−ビス{4−[2−(N−2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニル]フェニル}フラン、2,5−ビス[4−(N−イソプロピルアミジノ)フェニル]フラン、2,5−ビス{4−[3−(ジメチルアミノプロピル)アミジノ]−フェニル}フラン、2,5−ビス{4−[N−(3−アミノプロピル)アミジノ]フェニル}フラン、2,5−ビス[2−(イミダゾリニル)フェニル]−3,4−ビス(メトキシメチル)フラン、2,5−ビス[4−N−(ジメチル−アミノエチル)グアニル]フェニルフラン、2,5−ビス{4−[(N−2−ヒドロキシエチル)グアニル]フェニル}−フラン、2,5−ビス[4−N−(シクロプロピルグアニル)フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(N,N−ジエチル−アミノプロピル)グアニル]フェニルフラン、2,5−ビス{4−[2−(N−エチルイミダゾリニル)]フェニル}−フラン、2,5−ビス{4−[N−(3−ペンチルグアニル)]}フェニルフラン、2,5−ビス[4−(2−イミダゾリニル)−フェニル]−3−メトキシフラン、2,5−ビス[4−(N−イソプロピルアミジノ)フェニル]−3−メチル−フラン、
ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]メタン、ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズ−イミダゾリル]メタン、1,2−ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]エタン、1,2−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]エタン、1,3−ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]−プロパン、1,3−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]プロパン、1,4−ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]プロパン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダ−ゾリル]ブタン、1,8−ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]オクタン、トランス−1,2−ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]エテン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−1−ブテン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−2−ブテン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−1−メチルブタン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−2−エチルブタン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−1−メチル−1−ブテン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−2,3−ジエチル−2−ブテン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−1,3−ブタジエン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−2−メチル−1,3−ブタジエン、ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]メタン、1,2−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]エタン、1,3−ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]プロパン、1,3−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズ−イミダゾリル]プロパン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]ブタン、1,4−ビス−[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−1−ブテン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズ−イミダゾリル]−2−ブテン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−1−メチル−ブタン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−2−エチルブタン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−1−メチル−1−ブテン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−2,3−ジエチル−2−ブテン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミ−ダゾリル]−1,3−ブタジエンおよび1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−2−メチル−1,3−ブタジエン、2,4−ビス(4−グアニルフェニル)ピリミジン、2,4−ビス(4−イミダ−ゾリン−2−イル)ピリミジン、2,4−ビス[(テトラヒドロピリミジニル−2−イル)フェニル]ピリミジン、2−(4−[N−i−プロピルグアニル]フェニル)−4−(2−メトキシ−4−[N−i−プロピルグアニル]フェニル)−ピリミジン、4−(N−シクロペンチルアミジノ)−1,2−フェニレンジアミン、2,5−ビス[2−(5−アミジノ)ベンズイミダゾイル]フラン、2,5−ビス[2−{5−(2−イミダゾリノ)}ベンズイミダゾイル]−フラン、2,5−ビス[2−(5−N−イソプロピルアミジノ)ベンズイミダゾイル]フラン、2,5−ビス[2−(5−N−シクロペンチルアミジノ)ベンズイミダゾイル]フラン、2,5−ビス[2−(5−アミジノ)ベンズイミダ−ゾイル]ピロール、2,5−ビス[2−{5−(2−イミダゾリノ)}ベンズイミダゾイル]ピロール、2,5−ビス[2−(5−N−イソプロピルアミジノ)ベンズイミダゾイル]ピロール、2,5−ビス[2−(5−N−シクロペンチル−アミジノ)ベンズイミダゾイル]ピロール、1−メチル−2,5−ビス[2−(5−アミジノ)ベンズイミダ−ゾイル]ピロール、2,5−ビス[2−{5−(2−イミダゾリノ)}ベンズイミダゾイル]−1−メチルピロール、2,5−ビス[2−(5−N−シクロペンチルアミジノ)ベンズイミダゾイル]−1−メチルピロール、2,5−ビス[2−(5−N−イソプロピルアミジノ)ベンズイミダゾイル]チオフェン、2,6−ビス[2−{5−(2−イミダゾリノ)}−ベンズイミダゾイル]ピリジン、2,6−ビス[2−(5−アミジノ)ベンズイミダゾイル]ピリジン、4,4’−ビス−[2−(5−N−イソプロピルアミジノ)ベンズイミダゾイル]−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ビス[2−(5−N−シクロペンチルアミジノ)ベンズイミダゾイル]−2,5−ジフェニルフラン、2,5−ビス[2−(5−アミジノ)−ベンズイミダゾイル]ベンゾ[b]フラン、2,5−ビス[2−(5−N−シクロペンチルアミジノ)ベンズ−イミダゾイル]ベンゾ[b]フラン、2,7−ビス[2−(5−N−イソプロピルアミジノ)ベンズイミダゾイル]−フッ素、2,5−ビス[4−(3−(N−モルホリノプロピル)カルバモイル)フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(2−N,N−ジメチルアミノエチルカルバモイル)フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(3−N,N−ジメチルアミノプロピルカルバモイル)フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(3−N−メチル−3−N−フェニルアミノプロピルカルバモイル)フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(3−N,N8,N11−トリメチル−アミノプロピルカルバモイル)フェニル]フラン、2,5−ビス[3−アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス−[3−(N−イソプロピルアミジノ)アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[3−[(N−(2−ジメチルアミノ−エチル)アミジノ)フェニルフラン、2,5−ビス[4−(N−2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル)−アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[4−(N−チオエチルカルボニル)アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[4−(N−ベンジルオキシカルボニル)アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[4−(N−フェノキシ−カルボニル)アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[4−(N−(4−フルオロ)フェノキシカルボニル)−アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[4−(N−(4−メトキシ)フェノキシカルボニル)アミジノ−フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(1−アセトキシエトキシカルボニル)アミジノフェニル]フランおよび2,5−ビス[4−(N−(3−フルオロ)フェノキシカルボニル)アミジノフェニル]フランが挙げられる。上記の化合物のうちの1種の調製プロセスは、米国特許第5,428,051号、同第5,521,189号、同第5,602,172号、同第5,643,935号、同第5,723,495号、同第5,843,980号、同第6,172,104号および同第6,326,395号または米国特許出願公開第2002/0019437A1号に記載されている。
【0143】
ペンタミジン代謝物質は、本発明の抗増殖性の併用において同様に好適である。ペンタミジンは、体内で少なくとも7種の1次代謝産物へと急速に代謝させられる。これらの代謝産物の中には、ペンタミジンと共通して1種または複数の効果を有するものがある。ペンタミジン代謝物質は、ベンズイミダゾールまたはその類似体と併用すると、抗増殖作用を有する。
【0144】
7種のペンタミジン類似体を以下に示す。
【0145】
【化12】

【0146】
式Iおよび式Vの化合物またはその類似体およびその代謝物の本発明の併用は、新生物の治療に好適である。併用療法は、単独でまたは他の療法(例えば手術、放射線治療、化学療法、生物学的療法)と組み合せて実施し得る。さらに、新生物を発現させる危険性が高い人(例えば、遺伝的にかかりやすい人または以前に新生物を有していた人)は、新生物形成を阻害または遅延させるために、予防的治療を受け得る。
【0147】
本発明は同様に、キネシンATPアーゼEg5/KSPの、式Vの化合物、ペンタミジン、その類似体および/またはその代謝物質との併用に関する。
【0148】
その併用における各化合物の用量および投与頻度は、独立に制御し得る。例えば、1種の化合物は経口的に1日に3回投与してよく、一方で第2の化合物は、筋肉注射で1日に1回投与してもよい。これらの化合物は、合わせて製剤化してもよく、その結果両方の化合物を投与することになる。
【0149】
本発明の抗増殖性の併用は、医薬品パッケージの構成要素としても提供し得る。2つの薬剤は、一緒にしてまたは別々に、個々の投与量(dosage amount)で製剤化し得る。
【0150】
別の態様では、本発明は、抗増殖剤と併用した式(I)および(V)の化合物の投与により、癌などの新生物を有する患者の治療方法も包含する。好適な抗増殖剤としては、表1に記載したものを包含する。
【0151】
上記および下記では、全ての温度は℃で示している。以下の例では、「従来の後処理」は、必要であれば、水を添加し、必要であれば、2と10の間の値にpHを調製し、最終生成物の構成に応じて、混合物を酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、相を分離し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥して蒸発させ、そして、生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーおよび/または結晶化によって精製することを意味する。シリカゲル上のRf値は、溶離剤:酢酸エチル/メタノールが9:1である。
質量分析(MS): EI(電子衝撃イオン化)M+
FAB(高速原子衝撃)(M+H)+
ESI(エレクトロスプレーイオン化)(M+H)+
APCI−MS(大気圧化学イオン化−質量分析)(M+H)+
例1
N−(3−ヒドロキシベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]イソオキサゾール−3−カルボキサミドの合成
【0152】
【化13】

【0153】
市販の酸1(100mg、0.60mmol)、アミン2(73.6mg、0.60mmol)およびN−メチルモルホリン(0.07ml、0.60mmol)を、DMF(5ml)中に溶解し、引き続いてN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(115mg、0.06mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(80.0mg、0.06mmol)を添加した。その混合物をRTで15h攪拌し、水を使用して沈殿させた。その残留物を濾過し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/シクロヘキサン)によって精製し、無色の固体としてアニド(anide)3を得た。
【0154】
例2
N−[2−(2−ジメチルアミノエチルカルバモイル)−1−(3−ヒドロキシフェニル)−エチル]−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]イソオキサゾール−3−カルボキサミドの合成
【0155】
【化14】

【0156】
b.化合物4を、酸1および3−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルから手順aと同じように得た。
【0157】
化合物4(40mg、0.12mmol)およびN,N−ジメチルエチレンジアミン(0.5ml)を、圧力フラスコ中で100℃で12h攪拌した。酢酸エチルを、その冷却した溶液に添加し、その混合物を水で洗浄、乾燥、濾過し、蒸発乾固させた。その残留物を、EtOH/水から再結晶化し、無色の固体を得て、それを化合物5とした。
【0158】
例3
N−((1S,2S)−2−メチルアミノインダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ−[d]イソオキサゾール−3−カルボキサミドの合成
【0159】
【化15】

【0160】
c.化合物6を、酸1およびシス−1−アミノ−2−インダノールから手順a.と同じように得た。
【0161】
化合物6(158mg、0.53mmol)を、最初にジクロロメタン(5ml)に添加し、トリエチルアミン(0.06ml、0.80mmol)を添加し、塩化メタンスルホニル(0.15ml、10.06mmol、1mlのDCMに溶解)を0℃で滴下した。引き続いて、その混合物をRTで12h攪拌した。その混合物を蒸発乾固させ、その残留物を酢酸エチル中で処理し、水で洗浄した。その有機相を乾燥させ、濾過して蒸発乾固させた。その残留物(未精製物質約140mg)を、さらに精製せずに次の反応で使用した。
【0162】
前記未精製物質の半分(70mg)を、メチルアミン(EtOH中の33%溶液、1ml)中で処理し、圧力フラスコ中で100℃で8h攪拌した。その溶液を蒸発乾固させ、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/シクロヘキサン)によって直接精製し、無色の固体(7)42mgを得た。
【0163】
例4
3−(4−フェニル−4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]−イソオキサゾールの合成
【0164】
【化16】

【0165】
d.化合物8を、酸1および2−ペニルグリシノール(2−penylglycinol)から手順a.と同じように得た。
【0166】
化合物8(106mg、0.37mmol)をジクロロメタン(5ml)中で溶解し、塩化チオニル(0.06ml、0.89mmol)を添加し、その混合物を圧力フラスコ中で70℃で2h攪拌した。そのバッチは冷却しておき、その混合物にNaHCO3飽和溶液を添加した。その有機相を分離し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過して蒸発乾固させた。この残留物をMeOH(5ml)中で溶解し、NaOH(約15mg、0.37mmol)を添加し、その混合物を残して圧力フラスコ中で70℃でさらに2h攪拌した。そのバッチは冷却しておき、蒸発乾固させた。その残留物をDCM(5ml)中で処理し、NaHCO3飽和溶液で2回抽出した。その有機相をNa2SO4上で乾燥させ、濾過して蒸発乾固させた。引き続いて、その生成物を、酢酸エチル/シクロヘキサンから結晶化させ、無色の固体として化合物9を得た。
【0167】
例5
ヒドラジンも、酸1を使用して手順a.と同じように、対応するカルボヒドラジドに転換することができる。
【0168】
例6
N−(2−メチルベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インダゾール−3−カルボキサミドの合成
【0169】
【化17】

【0170】
e.a.と同じように、市販品10(50mg、0.28mmol)を、N−メチルモルホリン(1eq)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(1eq)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1eq)を使用して、2−メチルベンジルアミン(34l、0.28mmol)と反応させた。その生成物は、水の添加後に反応液からきれいに晶出し、無色の固体としてアミド11を生じた。
【0171】
例7
5−エチル−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[c]イソオキサゾール−3−カルボン酸の合成
【0172】
【化18】

【0173】
f.ナトリウムエトキシド(EtOH中の20%溶液14ml)を氷で冷却しながら最初に添加し、そして、シュウ酸ジエチル(4.91ml、36.3mmol)および4−エチルシクロヘキサノン(5.00ml、36.3mmol)の溶液を、攪拌し、氷で冷却しながらゆっくりと滴下した。滴下で添加している間、温度を5℃未満に維持した。引き続いて、その反応混合物をゆっくりとRTにし、さらに15h攪拌した。その反応混合物を、氷と10mlの濃H2SO4の混合物中に注ぎ、DCMで2回抽出した。その有機相をNaHCO3飽和溶液を用いて再度洗浄し、乾燥し、濾過し、蒸発乾固させた。その未精製物質を、さらに精製せずにさらに反応させた(g.参照)。
【0174】
g.前記未精製物質14(6.8g、30.1mmol)を酢酸(10ml)中に溶解し、水5ml中に溶解した塩化ヒドロキシルアンモニウム(2.09g、30.1mmol)を氷で冷却しながらゆっくりと滴下した。引き続いて、その混合物を、還流させながら一晩攪拌した。RTまで冷却した後、その反応混合物を氷/水中に注ぎ、NaHCO3飽和溶液を用いて中和した。次いで、その混合物を、ジクロロメタンを用いて2回抽出し、酢酸エチルを用いて1回抽出した。混ぜ合せた有機相を、Na2SO4上で乾燥させ、濾過して蒸発乾固させた。その残留物は、少量の所望の酸および対応するエチルエステルからなっており、これは廃棄した。
【0175】
その水性相を、2NのHClを使用して再酸性化し、酢酸エチルを用いて何回も抽出した。混ぜ合せた有機相をNa2SO4上で乾燥させ、濾過して蒸発させ、黄色がかった個体として化合物15を得た。
【0176】
例8
f.およびg.と同じように、シクロヘキサノンを4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[c]イソオキサゾール−3−カルボン酸に転換した。両方の酸を、a.、b.、c.およびd.と同じようにさらに反応させた。
【0177】
例9
1−(4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]イソオキサゾール−3−イル)−3−o−トリル尿素およびN−(4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]イソオキサゾール−3−イル)−2−o−トリルアセトアミドの合成
【0178】
【化19】

【0179】
h.2−オキソシクロヘキサンカルボニトリル16(1.00g、8.12mmol)および塩化ヒドロキシルアンモニウム(0.56g、8.12mmol)を酢酸(1ml)中で処理し、圧力フラスコ中で60℃で15h攪拌した。その混合物を蒸発乾固させ、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/シクロヘキサン)によって直接精製した。化合物17を、無色の固体として単離した。
【0180】
i.化合物17(130mg、0.94mmol)をDCM(2ml)中で溶解し、そして、o−トリルイソシアネート(138mg、1.04mmol)をRTで添加した。RTで12h後、その混合物を蒸発乾固させ、カラムクロマトグラフィーで精製し、化合物18を得た。
【0181】
j.前記アミン17(130mg、0.94mmol)をDCM(2ml)中で処理し、トリエチルアミンをRTで添加し(0.16ml、1.13mmol)、その混合物を0℃まで冷却した。DCM(1ml)中に溶解したo−トリルアセチルクロリド(166mg、0.99mmol)を、この混合物に滴下で添加し、RTでさらに12h攪拌した。その反応混合物を水で2回洗浄し、乾燥し、濾過し、蒸発乾固させた。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/シクロヘキサン)による後処理により、無色の固体としてアミド19を得た。
【0182】
本発明の以下の化合物は、対応する前駆体を使用して同じように得られる。
分子構造
【0183】
【化20−1】

【0184】
【化20−2】

【0185】
【化20−3】

【0186】
【化20−4】

【0187】
【化20−5】

【0188】
【化20−6】

【0189】
【化20−7】

【0190】
【化20−8】

【0191】
【化20−9】

【0192】
【化20−10】

【0193】
【化20−11】

【0194】
【化20−12】

【0195】
【化20−13】

【0196】
【化20−14】

【0197】
【化20−15】

【0198】
【化20−16】

【0199】
【化20−17】

【0200】
【化20−18】

【0201】
【化20−19】

【0202】
【化20−20】

【0203】
【化20−21】

【0204】
【化20−22】

【0205】
【化20−23】

【0206】
【化20−24】

【0207】
【化20−25】

【0208】
以下の例は、薬剤に関する。
【0209】
例C:注射バイアル
再蒸留水(bidistilled water)3l中のリン酸水素二ナトリウム5gおよび式Iの有効成分100gの溶液を、2N塩酸を使用してpH6.5に調整し、無菌濾過し、注射バイアル中へ移し、無菌状態で凍結乾燥し、無菌状態で密封する。各注射バイアルは、有効成分5mgを含有する。
【0210】
例D:座剤
大豆レシチン100gおよびカカオバター1400gと式Iの有効成分20gとの混合物を融解し、型に注いで冷却させる。各座剤は、有効成分20mgを含有する。
【0211】
例E:溶液
溶液を、再蒸留水940ml中の塩化ベンザルコニウム0.1g、Na2HPO4・12H2O28.48g、NaH2PO4・2H2O9.38gおよび式1の有効成分1gから調製する。そのpHを6.8に調整し、その溶液を1lまで作り、照射滅菌によって滅菌する。この溶液は、点眼剤の形態で使用し得る。
【0212】
例F:軟膏
式Iの有効成分500mgを、無菌状態でワセリン99.5gと混合する。
【0213】
例G:錠剤
式Iの有効成分1kg、ラクトース4kg、ジャガイモデンプン1.2kg、タルク0.2kgおよびステアリン酸マグネシウム0.1kgの混合物を、従来通りにプレスして、各錠剤が有効成分10mgを含有するように錠剤を得る。
【0214】
例H:糖衣錠
錠剤を例Eと同じようにプレスし、引き続いて、従来通りにスクロース、ジャガイモデンプン、タルク、トラガカントおよび染料の被覆物を用いて被覆する。
【0215】
例I:カプセル剤
式Iの有効成分2kgを、各カプセル剤が有効成分20mgを含有するように硬質ゼラチンカプセル中に従来通りに導入する。
【0216】
例J:アンプル剤
再蒸留水60l中の式Iの有効成分1kgの溶液を無菌濾過し、アンプル中へ移し、無菌状態で凍結乾燥させ、無菌状態で密封する。各アンプル剤は、有効成分10mgを含有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】

であって、式中、
1、A2は、互いに独立に、N、OまたはSを表し、
1、X2、X3は、互いに独立に、単結合、NR3−NR3、NR3、O、Sまたは以下の基
【化2】

のうちの1種を表し、
Yは、C=O、SO、SO2、(CR12n
【化3】

を表し、
Cyは、H、炭素環式または複素環式(heberocyclic)の、飽和基、不飽和基または芳香族基を表し、これらの基は非置換でもよく、またはアルキル、Hal、CN、OH;OR、OCF3、CF3、COORもしくは(CR12n−Y−X1−(CR12n−Q基による一置換もしくは多置換でもよい、
Qは、H、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールを表し、
R、R1、R2、R3は、H、アルキル、Hal、アルコキシ、OH、アルケニル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、(CH2n−Q、(CH2n−Cyまたは(CH2nNR2を表し、
Halは、F、BrまたはClを表し、
nは、0、1、2、3、4、5、6、7、または8を表し、
mは、1または2を表し、
および
pは、0、1または2を表す化合物、
ならびに医薬として有用なその誘導体、その溶媒和物、その互変異性体、その塩およびその立体異性体、ただしあらゆる比率のそれらの混合物も含める。
【請求項2】
1、A2が、Oおよび/またはNを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1およびR2が、H、アルキル、CF3、OCF3、OCOH、HalまたはSCF3を表す、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
3が、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、(CH2nQまたは(CH2nNR2を表し、ここで、Q、R1およびnが、請求項1で示した意味を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
1、X2が、NR3、Oまたは以下の基
【化4】

を表し、R3、mおよびpが、請求項1で示した意味を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
3が、単結合または(CH2nを表し、nが、請求項1で示した意味を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Yが、C=O、SO、SO2、(CR12n
【化5】

を表す、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Cyが、置換または非置換の、シクロペンチル シクロヘキシル、アリールまたはヘテロアリールを表す、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
Qが、アリールまたはヘテロアリールを表す、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
Y−X2−(CR22n−X基が、単結合を表す、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
部分式(sub−formulae)IAからICの化合物であって、
【化6−1】

【化6−2】

該部分式中、R1、X1、X2、X3、Y、R2およびCyが、請求項1で示した意味を有する化合物。
【請求項12】
請求項1から11に記載の式Iの化合物、ならびに医薬として有用なその誘導体、その塩、その溶媒和物、その互変異性体およびその立体異性体、の調製プロセスであって、
式IIの化合物
【化7】

であって、該式II中、A1、A2およびX1が請求項1で示した意味を有する化合物を、
式IIIの化合物
H−Y−X2−(CR22n−X3−Cy
であって、該式III中、Y、X2、R2、X3およびCyが、請求項1で示した意味を有する化合物と、
ならびに/または、場合により、該式Iの塩基もしくは酸を、その塩のうちの1種に転換することを特徴とする、調製プロセス。
【請求項13】
少なくとも1種の請求項1から11に記載の式Iの化合物、ならびに/または医薬として有用なその誘導体、その塩、その溶媒和物、その互変異性体およびその立体異性体、ただしあらゆる比率のそれらの混合物も含める、場合により賦形剤および/または補助剤をも含む薬剤。
【請求項14】
1種または複数の式Iの化合物、および1種または複数の式Vの化合物の量、その類似体および/またはその代謝物質を含む混合物、
【化8】

該式V中、Y’およびZ’それぞれが、互いに独立に、OまたはNを表し、R9およびR10それぞれが、互いに独立に、H、OH、ハロゲン、OC1−10−アルキル、OCF3,NO2またはNH2を表し、sが、2と6の間の整数(両端を含む)を表し、R8およびR11それぞれが、互いに独立に、メタまたはパラ配位にあり、次の群
【化9】

から選択される。
【請求項15】
使用される前記式Vの化合物が、ペンタミジンまたはその塩である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
有糸分裂モータータンパク質Eg5の阻害、制御ならびに/または調節(modulation)によって影響され得る疾患の治療用の薬剤を調製するための、請求項14に記載の前記混合物の使用、または請求項1から11に記載の化合物、ならびに医薬として有用なその誘導体、その塩、その溶媒和物、その互変異性体およびその立体異性体、ただしあらゆる比率のそれらの混合物も含める、の使用。
【請求項17】
癌疾患の治療および予防用の薬剤の調製のための、請求項14に記載の前記混合物の使用、または請求項1から11に記載の化合物の使用。
【請求項18】
前記癌疾患が、扁平上皮、膀胱、胃、腎臓、頭頸部、食道、子宮頚部、甲状腺、腸、肝臓、脳、前立腺、尿生殖路、リンパ系、胃、喉頭および/または肺の腫瘍の群からの腫瘍を伴う、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記腫瘍が、単球性白血病、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫および乳腺癌および結腸(colo)癌の群から生じる、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
治療する前記癌疾患が、血液および免疫系の腫瘍である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記腫瘍が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病および/または慢性リンパ性白血病の群から生じる、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
1種または複数の式Vの化合物、その類似体および/またはその代謝物質、の治療有効量と併用する、腫瘍の治療用の薬剤を調製するための、請求項1から11に記載の式Iの化合物ならびに/または生理学的に許容可能なその塩およびその溶媒和物の使用であって、
【化10】

該式V中、Y’およびZ’それぞれが、互いに独立に、OまたはNを表し、R9およびR10それぞれが、互いに独立に、H、OH、ハロゲン、OC1−10−アルキル、OCF3,NO2またはNH2を表し、sが、2と6の間の整数(両端を含む)を表し、R8およびR11それぞれが、互いに独立に、メタまたはパラ配位にあり、次の群
【化11】

から選択され、
前記式Iの化合物および前記式Vの化合物、その類似体および/またはその代謝物質が、腫瘍または他の過剰増殖性細胞の増殖を阻害するのに十分な量で、同時にまたは互いに14日間以内に投与される、使用。
【請求項23】
使用される前記式Vの化合物が、ペンタミジンまたはその塩である、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
腫瘍の治療用の薬剤の調製のための、請求項1から11に記載の式Iの化合物ならびに/または生理学的に許容可能なその塩およびその溶媒和物の使用であって、
治療有効量の式Iの化合物が、放射線治療、ならびに1)エストロゲン受容体調節剤、2)アンドロゲン受容体調節剤、3)レチノイド受容体調節剤、4)細胞傷害剤、5)抗増殖剤、6)プレニルタンパク質転移酵素阻害剤、7)HMG−CoA還元酵素阻害剤、8)HIVプロテアーゼ阻害剤、9)逆転写酵素阻害剤および10)他の血管形成阻害剤、の群からの化合物と併用して投与される、使用。

【公表番号】特表2010−513335(P2010−513335A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541799(P2009−541799)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際出願番号】PCT/EP2007/010122
【国際公開番号】WO2008/080455
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】