説明

木材乾燥装置の制御装置及び制御方法

【課題】木材の用途や種類等に応じて最適な乾燥を行うことが可能な木材乾燥装置の制御装置および制御方法を提供する。
【解決手段】木材Wが収納される乾燥室1から排気された水分含有空気を送風機5により循環させ、水分含有空気を冷却除湿した後に加熱して加熱除湿空気を乾燥室に戻し、木材ごとに設定された最適な温度と湿度とを含む乾燥スケジュールに基づき木材Wを乾燥する木材乾燥装置の制御装置であって、木材の乾燥速度を重視した高速乾燥モードと木材の品質を重視した高品質乾燥モードとを含む複数の乾燥モードから一の乾燥モードを選択する乾燥モード選択手段と、複数の乾燥モードごとにそれぞれ制御ロジックが設定され、乾燥モード選択手段で選択された乾燥モードに対応する制御ロジックを用いて送風機5の回転数を演算する回転数演算手段とを備え、回転数演算手段で演算された回転数となるように送風機5を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥室内に収納された木材を乾燥する木材乾燥装置の制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、木材を人工乾燥する際には、乾燥室内に木材を収納し、加熱源を用いて乾燥室内の温度を上げて木材を乾燥させている。さらに、木材を高品質な状態に仕上げるには、乾燥室内の温度調整に加えて湿度調整が重要である。例えば、乾燥時間に対して含水率が直線的な低下をみせるように均等に木材を乾燥させることによって割れや反り、あるいは変色を防ぎ、乾燥木材を高品質化することが可能となる。
【0003】
しかし、乾燥過程における木材の状況によって除湿量が変化するため、一定の加熱量、除湿量で乾燥させても含水率は直線的に低下しない。したがって、高品質の乾燥木材を得るためには、乾燥過程に対応した最適な加熱量と除湿量からなる乾燥スケジュールに基づき乾燥装置を運転する必要があった。この乾燥スケジュールは、乾燥対象である木材の種類や特性等によって決定されるものであり木材によって異なるため、木材ごとに設定された乾燥スケジュールに沿って乾燥室内の温度と湿度とを調整することが重要である。
【0004】
木材の温湿度制御を可能とした乾燥装置として、従来よりヒートポンプを用いた装置が知られている。これは、主としてヒートポンプの凝縮器で外気を加熱して乾燥室内に加熱空気を送り木材の温度調整を行なうとともに、木材から出た水分で高温となった空気を乾燥室外に排出し、蒸発器で冷却除湿することにより湿度調整を行なうものである。
【0005】
しかしながら上記した従来の乾燥装置は、乾燥室内の高温となった空気を外部に放出し、再循環して使用しないため、排気による熱ロスが多く、加熱源の投入エネルギーが多くなる欠点を持っている。
そこで、乾燥室内の空気を一部循環させることによりエネルギー消費を低減し熱効率を向上させることを可能とした乾燥装置が特許文献1(特開2007−192464号公報)に開示されている。
【0006】
この乾燥装置は、乾燥室内の空気を冷却除湿器に導入しヒートポンプの蒸発側で空気を冷却除湿した後、この空気を空気加熱器に導入しヒートポンプの凝縮側で加熱して加熱空気を乾燥室内に供給する構成となっている。さらにこの装置では、ヒートポンプにCO冷媒を用いており、蒸発工程後に超臨界圧まで圧縮したCO冷媒の保有熱を、乾燥室内に設置したエアヒータの熱源として供給することにより温度調整を行ない、また乾燥室内に加湿器を設置して湿度調整を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−192464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の乾燥装置はエネルギー効率の観点からは有効であるが、この特許文献1を始めとする従来の乾燥装置においては、乾燥処理の温度と湿度の両方を乾燥スケジュールに正確に追従させることは困難であるという問題があった。
その理由の一つとして、湿度の追従性の問題が挙げられる。木材の乾燥に影響を与える湿度は相対湿度であることから、一般的には乾燥室内の湿度調整には相対湿度が用いられることが多い。ところが、相対湿度は温度によって変化するため、湿度調整とは別に温度調整によっても湿度が変化してしまう。
【0009】
例えば、乾燥室内の温度を乾燥スケジュールに従って上昇させると、温度上昇にともない相対湿度が低下するため湿度調整が湿度低下に追い付かず、実際の湿度が設定湿度を下回ってしまうことがある。また、スギ等の含水量の多い木材を乾燥させる場合、乾燥スケジュールの除湿量が乾燥装置の能力以上となることがある。この場合、乾燥スケジュールに則って乾燥処理を行うことができず、乾燥時間の延長が余儀なくされ、処理効率の低下を招いてしまう。
このように、実際の運転においては、乾燥スケジュールに則って温度調整と湿度調整とを同時に精度良く行うことは難しかった。
【0010】
一般的に、木材乾燥技術における最も重要な点として、乾燥時間と品質が挙げられる。すなわち、「できるだけ早く」、「高品質」の乾燥木材を製造することが重要とされている。乾燥時間を短くすることで乾燥コストも低減でき、一方、高品質の乾燥木材を製造することで製品価値を高くすることができる。ここで、原則として、乾燥時間は主に温度に依存し、品質は主に湿度に依存することが知られている。つまり、乾燥コストを抑えるためには温度を高くして乾燥時間を短くし、木材の品質を高くするためには、割れや反り、あるいは変色等のような乾燥過程に生じる欠点が発生しないように湿度を高精度で調整する必要がある。
しかしながら、上記したように温度調整と湿度調整とを同時に精度良く行うことは困難であったため、従来は乾燥コストが不要に嵩んだり、要求される品質の乾燥木材が得られなかったりという問題が生じることがあった。
【0011】
また、木材の乾燥処理においては、木材の種類によって性質が異なるためそれぞれ注意すべき点がある。例えば、スギやヒノキ等の針葉樹は広葉樹に比べて含水量が多く、且つ割れが発生しにくいという性質を有する。また、ホワイトオーク等の広葉樹は針葉樹に比べて組織構造が複雑で材質的に割れが発生しやすい。これらを考慮して乾燥スケジュールが設定されるが、上記したように温度調整と湿度調整とを同時に精度良く行うことは困難であったため、乾燥スケジュールからのずれにより割れが発生してしまったり、乾燥効率の低下を招いたりするおそれがある。
【0012】
さらに、木材の乾燥処理において注意すべき他の点として、木材の用途によるものがある。例えば、家具や内装材等の品質が要求される木材においては、割れや反り、あるいは変色等のような乾燥過程に生じる欠点が発生しないように乾燥させることが求められ、建築資材や構造材等の低コストが要求される場合には、乾燥時間をできるだけ短くすることが求められる。
しかしながら、従来の木材乾燥装置においては、エネルギー効率の向上等のように装置側の要求は満たしても、上記したように木材の種類や用途等に応じて最適な乾燥を行うことができる装置は提案されていなかった。
【0013】
したがって、本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、木材の用途や種類等に応じて最適な乾燥を行うことが可能な木材乾燥装置の制御装置および制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明に係る木材乾燥装置の制御装置は、木材が収納される乾燥室と、前記乾燥室から排気された水分含有空気を冷却除湿する冷却除湿器と、前記冷却除湿器からの冷却除湿空気を加熱するエアヒータと、前記乾燥室から排気された空気が前記冷却除湿器および前記エアヒータを通って前記乾燥室内に戻される空気流を形成する送風機とを備え、前記乾燥室内に戻される加熱除湿空気により、前記木材ごとに設定された最適な温度と湿度とを含む乾燥スケジュールに基づき前記木材を乾燥する木材乾燥装置の制御装置であって、前記木材の乾燥速度を重視した高速乾燥モードと前記木材の品質を重視した高品質乾燥モードとを含む複数の乾燥モードから一の乾燥モードを選択する乾燥モード選択手段と、前記複数の乾燥モードごとにそれぞれ制御ロジックが設定され、前記乾燥モード選択手段で選択された乾燥モードに対応する前記制御ロジックを用いて前記送風機の回転数を演算する回転数演算手段とを備え、前記回転数演算手段で演算された回転数となるように前記送風機を制御することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、乾燥スケジュールに基づき木材を乾燥する構成を有しており、原則としては冷却除湿器とエアヒータのそれぞれにおいて除湿量と加熱量を調整し、乾燥室内を乾燥スケジュールに則った温度および湿度となるように維持している。しかし、上記したように木材の乾燥処理においては、乾燥スケジュールに則って温度と湿度の両方を精度良く調整することは困難である。
そこで本発明では、乾燥モード選択手段により、高速乾燥モードと高品質乾燥モードとを含む複数の乾燥モードを予め設定しておき、品質を優先させるのか、あるいは乾燥時間(乾燥コスト)を優先させるのか、など最も優先度の高い要求に対応した乾燥モードを選択可能としている。これにより、木材の用途や種類等に応じて最適な乾燥を行うことが可能となる。例えば、家具や内装材等の品質が要求される木材においては、割れや反り、あるいは変色等のような乾燥過程に生じる欠点が発生しないように乾燥させる必要があるため、高品質乾燥モードを選択して高品質の乾燥木材を生成する。一方、建築資材や構造材等の低コストが要求される木材においては、高速乾燥モードを選択して乾燥コストを抑えるようにする。
【0016】
また、本発明では、乾燥モードに対応した制御ロジックに基づいて送風機の回転数を制御する構成としている。送風機の回転数を制御すると、冷却除湿器およびエアヒータを通過する空気量が増減し、乾燥室から排出される空気の冷却除湿量または加熱量が増減する。この作用を用いて、冷却除湿器とエアヒータのそれぞれにおける温湿度調整とは別に、送風機の回転数制御により加熱除湿空気の温度と湿度を微調整するようになっている。送風機の回転数は微細な調整も可能であるため、加熱除湿空気の温度と湿度を精度良く微調整することが可能である。これにより、木材乾燥において最も優先度の高い要求(例えば乾燥コストまたは品質等)に応じることができる高精度の制御が可能となる。
【0017】
また、前記乾燥室内の温度を検出する第1の温度検出手段を備え、前記高速乾燥モードの前記制御ロジックは、前記第1の温度検出手段の検出温度が、前記乾燥スケジュールに基づいて設定された第1の設定温度以上となるように前記送風機の回転数を制御する構成であることが好ましい。
【0018】
このように、乾燥室内の検出温度が第1の設定温度以上となるように送風機の回転数を制御することにより、乾燥室内の温度を木材乾燥に必要な温度以上に確実に維持し、高速乾燥を可能とする。本構成では、例えば、乾燥室内の検出温度が第1の設定温度未満となったら送風機の回転数を上昇させる。これにより、エアヒータを通過する空気量が増加し、一旦エアヒータ出口の空気温度が低下する。ここでエアヒータは乾燥スケジュールの設定温度まで加熱しようとするため加熱量を強制的に増加する。これにより、乾燥室内へ与えられる加熱量が増大し、高速乾燥が可能となる。一方、乾燥室内の検出温度が第1の設定温度以上である場合には、既に乾燥速度が速い状態であるため送風機の回転数を維持する。これにより高速乾燥を継続的に続行可能となる。
【0019】
さらに、前記エアヒータ入口側の冷却除湿空気の温度を検出する第2の温度検出手段を備え、前記高品質乾燥モードの前記制御ロジックは、前記第2の温度検出手段の検出温度が前記乾燥室内の設定温度より低く設定された第2の設定温度となるように前記送風機の回転数を制御する構成であることが好ましい。
【0020】
このように、エアヒータ入口側の冷却除湿空気の検出温度が第2の設定温度となるように送風機の回転数を制御することにより、冷却除湿空気の温度が必ず乾燥室内の温度より低くなる。これは、冷却除湿器で確実に冷却除湿が行われていることを意味する。したがって、冷却除湿器での湿度調整を精度良く行うことが可能となる。
本構成では、例えば、冷却除湿空気の検出温度が第2の設定温度を超過する場合には、送風機の回転数を低下させる。これにより、冷却除湿器を通過する空気量が減少し、除湿量が低下する。一方、エアヒータを通過する空気量も減少するため、加熱量が減少して乾燥室内温度が低下し、乾燥室内の相対湿度が上昇する。
一方、冷却除湿空気の検出温度が第2の設定温度を下回る場合には送風機の回転数を増加させる。これにより、冷却除湿器を通過する空気量が増加し、除湿量が増加する。一方、エアヒータを通過する空気量も増加するため、加熱量が増加して乾燥室内温度が上昇し、乾燥室内の相対湿度が低減する。
上記したように送風機の回転数を制御することにより、乾燥室内の湿度を緻密に制御可能となる。
【0021】
さらにまた、前記エアヒータ入口側の冷却除湿空気の温度を検出する第2の温度検出手段と、前記エアヒータ出口側の加熱除湿空気の温度を検出する第3の温度検出手段とを備え、前記複数の乾燥モードは前記木材の乾燥速度および品質をともに加味した通常乾燥モードをさらに含み、前記通常乾燥モードの前記制御ロジックは、前記第2の温度検出手段の検出温度と前記第3の温度検出手段の検出温度との温度差が予め設定されている設定温度差となるように前記送風機の回転数を制御する構成であることが好ましい。
【0022】
本構成では、複数の乾燥モードが、木材の乾燥速度および品質をともに加味した通常乾燥モードを含んでいる。この通常乾燥モードは、乾燥時間および品質の観点から、高速乾燥モードと高品質乾燥モードの間に位置するモードであり、このモードを含むことによりモード選択の幅が広がり、製品として要求される品質またはコスト等においてより最適な乾燥処理を行うことが可能となる。
【0023】
また、前記乾燥モード選択手段にて、前記木材の用途または種類に応じて前記乾燥モードが選択されることが好ましい。
このように、乾燥モードが木材の用途または種類に応じて選択されることにより、要求される品質またはコストに応じて最適な乾燥処理を行うことが可能となる。
【0024】
さらに、前記乾燥室内の温度を検出する第1の温度検出手段と、前記冷却除湿器に冷熱を供給する蒸発器、圧縮機、前記エアヒータおよび膨張弁を含むヒートポンプと、前記エアヒータ出口側の加熱除湿空気の温度設定値に基づいて前記圧縮機の回転数を制御する圧縮機制御手段とを備え、前記第1の温度検出手段の検出温度が前記乾燥スケジュールの設定温度範囲から外れた状態が一定時間以上継続される場合に、前記加熱除湿空気の前記温度設定値を変更することが好ましい。
【0025】
このように、加熱除湿空気の温度調整に際して、乾燥室内の検出温度が乾燥スケジュールの設定温度範囲から外れた状態が一定時間以上継続される場合に、加熱除湿空気の温度設定値を変更する構成とすることにより、送風機の回転数制御に対する応答遅れを考慮した制御を行うことが可能となり、制御精度の向上が可能となる。
【0026】
本発明に係る木材乾燥装置の制御方法は、木材が収納される乾燥室から排気された水分含有空気を送風機により前記乾燥室外部で循環させ、前記水分含有空気を冷却除湿器で冷却除湿した後冷却除湿空気をエアヒータで加熱して加熱除湿空気を前記乾燥室内に戻すようにし、前記加熱除湿空気により、前記木材ごとに設定された最適な温度と湿度とを含む乾燥スケジュールに基づき前記木材を乾燥する木材乾燥装置の制御方法であって、前記木材の乾燥速度を重視した高速乾燥モードと前記木材の品質を重視した高品質乾燥モードとを含む複数の乾燥モードを有し、前記複数の乾燥モードごとにそれぞれ制御ロジックが設定されており、前記複数の乾燥モードから前記木材の用途または種類に応じて一の乾燥モードを選択し、該選択された乾燥モードに対応する前記制御ロジックに基づいて前記送風機の回転数を制御することを特徴とする。
【0027】
また、前記高速乾燥モードでは、前記乾燥室内の検出温度が前記乾燥スケジュールの設定温度以上となるように前記送風機の回転数を制御し、前記高品質乾燥モードでは、前記乾燥室内の検出湿度が前記乾燥スケジュールの設定湿度に沿うように前記送風機の回転数を制御することが好ましい。
さらに、前記複数の乾燥モードは前記木材の乾燥速度および品質をともに加味した通常乾燥モードをさらに含み、前記通常乾燥モードでは、前記乾燥室内の検出温度および検出湿度が前記乾燥スケジュールの設定温度および設定湿度にともに近づくように前記送風機の回転数を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
以上記載のように本発明によれば、高速乾燥モードと高品質乾燥モードとを含む複数の乾燥モードから最も優先度の高い要求に対応した乾燥モードを選択可能としている。これにより、木材の用途や種類等に応じて最適な乾燥を行うことが可能となる。
また、乾燥モードに基づいて送風機の回転数を制御する構成としているため、加熱除湿空気の温度と湿度を精度よく微調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る制御装置を含む木材乾燥装置の全体構成図である。
【図2】木材の乾燥スケジュールの一例を示すグラフである。
【図3】本発明の実施形態における制御装置の具体的構成例を示す図である。
【図4】高速乾燥モードの制御ロジックにおける制御ブロック線図である。
【図5】高速乾燥モード運転時の乾燥スケジュールに対する追従性を説明する図であり、(A)は乾燥スケジュールの設定温度と乾燥室内の検出温度を示すグラフで、(B)は乾燥スケジュールの設定湿度と乾燥室内の検出湿度を示すグラフである。
【図6】高品質乾燥モードの制御ロジックにおける制御ブロック線図である。
【図7】高品質乾燥モード運転時の乾燥スケジュールに対する追従性を説明する図であり、(A)は乾燥スケジュールの設定温度と乾燥室内の検出温度を示すグラフで、(B)は乾燥スケジュールの設定湿度と乾燥室内の検出湿度を示すグラフである。
【図8】通常乾燥モードの制御ロジックにおける制御ブロック線図である。
【図9】通常乾燥モード運転時の乾燥スケジュールに対する追従性を説明する図であり、(A)は乾燥スケジュールの設定温度と乾燥室内の検出温度を示すグラフで、(B)は乾燥スケジュールの設定湿度と乾燥室内の検出湿度を示すグラフである。
【図10】木材種類に応じた乾燥スケジュールの一例を示し、(A)はスギの乾燥スケジュールを示す図で、(B)はホワイトオークの乾燥スケジュールを示す図である。
【図11】木材用途に応じた乾燥スケジュールの一例を示し、(A)は内装用木材の乾燥スケジュールを示す図で、(B)は一般建築用材の乾燥スケジュールを示す図で、(C)は変色を許容する一般建築用材の乾燥スケジュールを示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る木材乾燥装置の制御方法を示すフローチャートである。
【図13】加熱除湿空気の温度設定値の変更方法を説明するための図であり、(A)は乾燥室内の設定温度と検出温度を示すグラフで、(B)は加熱除湿空気の変更前設定温度と変更後設定温度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を例示的に詳しく説明する。但しこの実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0031】
まず最初に、図1を参照して本発明の実施形態に係る木材乾燥装置の全体構成を説明する。
この木材乾燥装置は、主に、木材Wが収納される乾燥室1と、乾燥室1から排気された空気が循環する空気ライン3と、空気ライン3上に配置され、乾燥室1から排気された空気を冷却除湿する冷却除湿器4、及び冷却除湿器4から排出された空気を加熱するエアヒータ15と、空気ライン3上で空気を循環させる送風機5とを備える。
【0032】
また、木材乾燥装置は、冷却除湿器4に冷熱を供給するとともにエアヒータ15に温熱を供給するヒートポンプ10を有している。
このヒートポンプ10は、一次冷媒が流通する冷媒ライン20と、この冷媒ライン20上に順に配置された膨張弁11と蒸発器12と圧縮機14とエアヒータ15と含む。さらにヒートポンプ10は、補助熱交換器16と内部熱交換器13とを有していてもよい。
【0033】
ヒートポンプ10の冷媒ライン20を循環する一次冷媒には、例えばCO冷媒、アンモニア冷媒、フロン冷媒等等を用いることができるが、本実施形態では特にCO冷媒を用いることが好ましく、さらに好適にはCO冷媒の超臨界サイクルのヒートポンプを用いるとよい。これは、100℃付近の熱源を取り出すことができるためである。
また、蒸発器12で回収した冷熱を冷却除湿器4に運ぶ媒体には、水若しくはブラインを用いることが好ましいが(木材凝縮液(木酢液)には腐食成分が含まれるため)、2次冷媒を用いることもできる。なお、本実施形態では一例として、この媒体に水を用いる場合を示している。
【0034】
次に、各構成要素を詳細に説明する。
乾燥室1には、含水体である木材Wが収納される。好適には、木材Wは、木材間に空気が流通するように互いに間隔をあけて設置されている。乾燥室1内には、空気の循環流が形成されるように仕切り1aが設けられ、仕切り1aで形成される循環流路には乾燥室循環ファン2が配置されている。また、乾燥室1には、乾燥室1内の温度を検出する第1の温度センサ41と、乾燥室1内の湿度を検出する湿度センサ49とが配置されている。
【0035】
この乾燥室1には空気ライン3が接続されており、空気ライン3を含めて乾燥室1は密閉系となっている。木材Wから生じた水分を含む水分含有空気は乾燥室1から空気ライン3に排気される。この水分含有空気は冷却除湿器4で冷却除湿され、冷却除湿空気はエアヒータ15で加熱され、これにより温湿度調整された加熱除湿空気が得られる。この加熱除湿空気は乾燥室1に戻される。
送風機5は、空気ライン3を流れる空気量を調整するものであり、例えば、ファンやブロワが用いられる。この送風機5には、その回転数を制御するインバータ制御部45が設けられている。すなわち、インバータ制御部45により送風機5が回転数制御されることによって、空気ライン3を流れる空気量が調整されるようになっている。なお、図1には、冷却除湿器4とエアヒータ15の間の空気ライン3に送風機5を設置した場合を示しているが、送風機5の位置はここに限定されるものではなく、空気ライン3上の空気流を形成可能な位置であれば何れに設置してもよい。
【0036】
ヒートポンプ10には、上述したように、冷媒ライン20に、膨張弁11、蒸発器12、圧縮機14、エアヒータ15、補助熱交換器16が介設されている。
蒸発器12では、ヒートポンプ10を循環する一次冷媒と、水循環ライン31、34を循環する水とが熱交換される。すなわち、蒸発器12では、膨張弁11で減圧された一次冷媒の蒸発熱により水が冷却される。そして、冷熱を保有する水は水循環ライン31、34を通って冷却除湿器4に送られ、冷却除湿器4で乾燥室1から排気された水分含有空気と水が熱交換されて、水分含有空気が冷却除湿される。
【0037】
ここで、水循環ライン31、34上には水貯留タンク30が介設されており、ここで冷熱が蓄熱されるようになっている。具体的には水循環ラインは、蒸発器12と水貯留タンク30との間を水が循環する第1の水循環ライン34と、水貯留タンク30と冷却除湿器4との間を水が循環する第2の水循環ライン31とを含む。第1の水循環ライン34上にはポンプ35が設けられ、第2の水循環ライン31上にはポンプ32が設けられ、それぞれのポンプ32、35を制御することにより、冷却除湿器4に供給する冷熱量を制御するようになっている。
【0038】
さらに、第1の水循環ライン34は、蒸発器12をバイパスするバイパスラインを有しており、バイパスラインの分岐点に三方弁36が配設されている。この三方弁36により、水貯留タンク30から排出された水が蒸発器12を通って水貯留タンク30に戻るラインと、蒸発器12を通らずに水貯留タンク30に戻るラインとが選択的に設定される。同様に、第2の水循環ライン31は、冷却除湿器4をバイパスするバイパスラインを有しており、バイパスラインの分岐点に三方弁33が配設されている。この三方弁33により、水貯留タンク30から排出された水が冷却除湿器4を通って水貯留タンク30に戻るラインと、冷却除湿器4を通らずに水貯留タンク30に戻るラインとが選択的に設定される。これらの三方弁33、35の制御によっても冷却除湿器4に供給する冷熱量を制御することができる。
【0039】
圧縮機14には、蒸発器12からの低圧気体が導入され、この低圧気体を圧縮して高温高圧気体を生成する。また、圧縮機14には、その回転数を制御するインバータ制御部46が設けられている。
なお、蒸発器12と圧縮機14の間に内部熱交換器13を設けてもよい。内部熱交換器13は、膨張弁11に導入される直前の一次冷媒と、蒸発器12から排出された直後の一次冷媒とを熱交換させる。
エアヒータ15では、ヒートポンプ10を循環する一次冷媒と、空気ライン3を循環する空気とが熱交換される。すなわち、エアヒータ15では、圧縮機11から吐出された一次冷媒の凝縮熱により、冷却除湿器4から排出された除湿空気が加熱される。
【0040】
補助熱交換器16は、ファン16aで外気を取り込み、外気と一次冷媒とを熱交換する。この補助熱交換器16は、木材乾燥装置の運転方式によってその機能が切り替えられる構成としてもよい。例えば補助熱交換器16は、ファン16aがOFFにされて単なる冷媒通路の一部として機能させてもよいし、ファン16aがONにされるとともにエアヒータ15を通過した一次冷媒が供給され、一次冷媒を外気によりさらに冷却する放熱手段として機能させてもよい。また、ファン16aがONにされるとともに膨張弁11で減圧された一次冷媒が供給され、一次冷媒を外気により加温して蒸発させる蒸発手段として機能させてもよい。
【0041】
次いで、上記した構成を有する木材乾燥装置を制御する制御装置の構成について説明する。
制御装置は、木材ごとに設定された最適な温度と湿度とを含む乾燥スケジュールに基づいて木材の乾燥を制御する装置であり、第1コントローラ50と、第2コントローラ61と、第3コントローラ62とを含む。第1コントローラ50と第2コントローラ61と第3コントローラ63とはそれぞれ独立して制御を行う構成となっている。
また、制御装置は、上記したように乾燥室1内の温度を検出する第1の温度センサ41と、エアヒータ入口側の冷却除湿空気の温度を検出する第2の温度センサ42と、エアヒータ出口側の加熱除湿空気の温度を検出する第3の温度センサ43とを含んでいてもよい。
【0042】
第1コントローラ50は、インバータ制御部45に制御信号を供給し、送風機5の回転数を制御するものである。この構成については後述する。
第2コントローラ61は、第2の温度センサ43の検出温度に基づいて演算した制御信号を圧縮機14のインバータ制御部46に供給し、圧縮機14の回転数を制御するものである。具体的には、第2コントローラ61は、エアヒータ出口側の加熱除湿空気の検出温度が予め設定された温度設定値となるような圧縮機14の回転数を演算し、インバータ制御部46に制御信号を出力する。インバータ制御部46では、この制御信号に基づいて圧縮機14の回転数を制御する。
第3コントローラ62は、水貯留タンク30内の温度を水温検出センサ44で検出し、この温度に基づいて三方弁33、36、若しくはポンプ32、35を制御するものである。
【0043】
ここで、乾燥スケジュールの一例を図2に示す。
乾燥スケジュールは、木材の種類(樹種、産地等)または用途ごとに設定されており、対象となる木材の乾燥に際して最適な設定温度と設定湿度とが時系列に配置された構成を有する。設定温度と設定湿度は、乾燥室内の温度と湿度で表わされてもよいし、加熱量と除湿量で表わされてもよい。本実施形態では一例として、乾燥室内の温度と湿度で表わすこととする。
図2に例示する乾燥スケジュールにおいては、設定温度は乾燥時間が進むにつれて徐々に上昇するが、乾燥初期に比べて乾燥後期は温度上昇幅が小さくなっている。一方、設定湿度は乾燥時間が進むにつれて徐々に下降するが、乾燥初期に比べて乾燥後期は湿度下降幅が小さくなっている。
【0044】
上記した構成を有する制御装置では、原則として第2コントローラ61および第3コントローラ62により、冷却除湿器4とエアヒータ15のそれぞれにおいて除湿量と加熱量を調整し、乾燥室1内を乾燥スケジュールに則った温度および湿度となるように調整している。
しかし、木材の乾燥処理においては、乾燥スケジュールに則って温度と湿度の両方を精度良く調整することは困難である。
そこで本実施形態では、第1コントローラ50において、品質を優先させるのか、あるいは乾燥時間(乾燥コスト)を優先させるのか、など乾燥処理において最も優先度の高い要求に対応した温湿度の微調整を行う構成となっている。
【0045】
図3を参照して、第1コントローラ50の構成例を具体的に説明する。
第1コントローラ50は、予め設定された複数の乾燥モードから一の乾燥モードを選択する乾燥モード選択手段51と、選択された乾燥モードに対応する制御ロジックを用いて送風機の回転数を演算する回転数演算手段52とを有する。
複数の乾燥モードは、高速乾燥モードと高品質乾燥モードとを含む。好適には、通常乾燥モードを含んでいるとよい。
【0046】
この第1コントローラ50では、まず入力手段65からの入力信号に応じて、乾燥モード選択手段51で複数の乾燥モードから一の乾燥モードを選択する。そして、回転数演算手段52にて、乾燥モード選択手段51で選択された乾燥モードに対応した制御ロジックを用いて、送風機5の回転数を演算する。このとき、回転数演算手段52には、制御ロジックの演算に必要とされる、第1の温度センサ41の検出温度、第2の温度センサ42の検出温度、第3の温度センサ43の検出温度の少なくともいずれかが入力され、この検出温度を用いて演算を行うようになっている。回転数演算手段52の演算により生成された制御信号は、送風機5のインバータ制御部45に出力される。インバータ制御部45では、この制御信号に基づいて送風機5の回転数制御を行う。
【0047】
このように上記構成によれば、木材の用途や種類等に応じて最適な乾燥を行うことが可能となる。例えば、家具や内装材等の品質が要求される木材においては、割れや反り、あるいは変色等のような乾燥過程に生じる欠点が発生しないように乾燥させる必要があるため、高品質乾燥モードを選択して高品質の乾燥木材を生成する。一方、建築資材や構造材等の低コストが要求される木材においては、高速乾燥モードを選択して乾燥コストを抑えるようにする。
【0048】
また、本構成では、乾燥モードに対応した制御ロジックに基づいて送風機5の回転数を制御する構成としている。送風機5の回転数を制御すると、冷却除湿器4およびエアヒータ15を通過する空気量が増減し、乾燥室1から排出される空気の冷却除湿量または加熱量が増減する。この作用を用いて、冷却除湿器4とエアヒータ15のそれぞれにおける温湿度調整とは別に、送風機5の回転数制御により加熱除湿空気の温度と湿度を微調整するようになっている。送風機5の回転数は微細な調整も可能であるため、加熱除湿空気の温度と湿度を精度良く微調整することが可能である。これにより、木材乾燥において最も優先度の高い要求(例えば乾燥コストまたは品質等)に応じることができる高精度の制御が可能となる。
【0049】
次に、図4乃至図9を参照して、各乾燥モードの制御ロジックについて詳細に説明する。
図4は、高速乾燥モードの制御ブロック線図である。
高速乾燥モードにおいては、第1の温度センサ41の検出温度Tが、乾燥木材の乾燥スケジュールに基づいて設定された第1の設定温度TSV1以上となるように、送風機5の回転数を制御する。
より具体的には、まずPID演算部521に第1の温度センサ41で検出した乾燥室内の検出温度Tと、第1の設定温度TSV1とが入力される。PID演算部521では、乾燥室内の検出温度Tと、第1の設定温度TSV1との偏差に基づいてPID演算を行って制御信号を生成し、インバータ制御部45に出力する。なお、ここでは乾燥室内の検出温度Tが第1の設定温度TSV1に近づくように制御する場合を示している。
【0050】
このように、高速乾燥モードにおいては、乾燥室内の検出温度Tが第1の設定温度TSV1以上となるように送風機5の回転数を制御することにより、乾燥室内の温度を木材乾燥に必要な温度以上に確実に維持し、高速乾燥を可能とする。
送風機5の制御においては、例えば、乾燥室内の検出温度Tが第1の設定温度未満TSV1となったら送風機5の回転数を上昇させる。これにより、エアヒータ15を通過する空気量が増加し、一旦エアヒータ出口の空気温度が低下する。ここでエアヒータ15は乾燥スケジュールの設定温度TSV1まで加熱しようとするため加熱量を強制的に増加する。これにより、乾燥室内へ与えられる加熱量が増大し、高速乾燥が可能となる。一方、乾燥室内の検出温度Tが第1の設定温度TSV1以上である場合には、既に乾燥速度が速い状態であるため送風機5の回転数を維持する。これにより高速乾燥を継続的に続行可能となる。
【0051】
図5は高速乾燥モード運転時の乾燥スケジュールに対する追従性を説明する図であり、(A)は乾燥スケジュールの設定温度と乾燥室内の検出温度を示すグラフで、(B)は乾燥スケジュールの設定湿度と乾燥室内の検出湿度を示すグラフである。
上記した高速乾燥制御ロジックを実行することによって、乾燥室内の検出温度および検出湿度は、乾燥スケジュールの設定温度および設定湿度に対して図示されるような追従性を示す。図5(A)に示すように、乾燥室内の検出温度は乾燥スケジュールの設定温度に沿って、若しくは設定温度を上回るように変化する。一方、図5(B)に示すように、乾燥室内の検出湿度は乾燥スケジュールの設定湿度を下回って変化する。これは、乾燥室内の温度を高く維持するために湿度の追従性を一部犠牲にしているからである。このように、高速乾燥モードにおいては、乾燥室内の検出温度が乾燥スケジュールの設定温度以上となるように制御しているため、乾燥時間の短縮が可能となる。
【0052】
図6は、高品質乾燥モードの制御ロジックにおける制御ブロック線図である。
高品質乾燥モードにおいては、第2の温度センサ42で検出する温度Tが乾燥室内温度より低く設定された第2の設定温度TSV2となるように、送風機5の回転数を制御する。
より具体的には、まずPID演算部522に第2の温度センサ42で検出したエアヒータ入口側の冷却除湿空気の検出温度Tと、第2の設定温度TSV2とが入力される。PID演算部522では、第2の温度センサ42で検出した乾燥室内の温度Tと、第2の設定温度TSV2との偏差に基づいてPID演算を行って制御信号を生成し、インバータ制御部45に出力する。このとき、第1の温度センサ41の検出温度Tが第2の温度センサ42の検出温度Tより大きい場合にのみ制御信号を出力するスイッチ523を設けてもよい。
【0053】
送風機5の制御においては、例えば、冷却除湿空気の検出温度Tが第2の設定温度TSV2を超過する場合には、送風機5の回転数を低下させる。これにより、冷却除湿器4を通過する空気量が減少し、除湿量が低下する。一方、エアヒータ15を通過する空気量も減少するため、加熱量が減少して乾燥室内温度が低下し、乾燥室1内の相対湿度が上昇する。
一方、冷却除湿空気の検出温度Tが第2の設定温度TSV2を下回る場合には送風機の回転数を増加させる。これにより、冷却除湿器4を通過する空気量が増加し、除湿量が増加する。一方、エアヒータ15を通過する空気量も増加するため、加熱量が増加して乾燥室内温度が上昇し、乾燥室1内の相対湿度が低減する。
上記したように送風機5の回転数を制御することにより、乾燥スケジュールの設定湿度に応じて乾燥室1内の湿度を緻密に制御可能となる。
【0054】
図7は高品質乾燥モード運転時の乾燥スケジュールに対する追従性を説明する図であり、(A)は乾燥スケジュールの設定温度と乾燥室内の検出温度を示すグラフで、(B)は乾燥スケジュールの設定湿度と乾燥室内の検出湿度を示すグラフである。
上記した高品質燥制御ロジックを実行することによって、乾燥室内の検出温度および検出湿度は、乾燥スケジュールの設定温度および設定湿度に対して図示されるような追従性を示す。図7(A)に示すように、乾燥室内の検出温度は乾燥スケジュールの設定温度を下回って変化する。一方、図7(B)に示すように、乾燥室内の検出湿度は乾燥スケジュールの設定湿度に精度良く沿って変化する。これは、乾燥室内の湿度調整を優先的に行っているからである。このように、高品質乾燥モードにおいては、乾燥室内の検出湿度が乾燥スケジュールの設定湿度に沿うように制御しているため、割れや反り、あるいは変色等のような乾燥過程に生じる欠点が発生しにくく、高品質の乾燥木材を製造することが可能となる。
【0055】
図8は、通常乾燥モードの制御ロジックにおける制御ブロック線図である。
通常乾燥モードは、乾燥時間および品質の観点から、高速乾燥モードと高品質乾燥モードの間に位置するモードである。
通常乾燥モードにおいては、第2の温度センサ42の検出温度Tと、第3の温度センサ43の検出温度Tとの温度差が予め設定されている設定温度差となるように、送風機5の回転数を制御する。
より具体的には、まずPID演算部524に、第2の温度センサ42で検出したエアヒータ入口側の冷却除湿空気の検出温度Tと第3の温度センサ43で検出したエアヒータ出口側の加熱除湿空気の検出温度Tとの温度差と、設定温度差TSV3とが入力される。PID演算部522では、冷却除湿空気の検出温度Tと加熱除湿空気の検出温度Tとの温度差と、設定温度差TSV3との偏差に基づいてPID演算を行って制御信号を生成し、インバータ制御部45に出力する。
【0056】
このように、複数の乾燥モードが、木材の乾燥速度および品質をともに加味した通常乾燥モードを含んでいることにより、モード選択の幅が広がり、製品として要求される品質またはコスト等においてより最適な乾燥処理を行うことが可能となる。
また、通常乾燥モードでは、冷却除湿空気の検出温度Tと加熱除湿空気の検出温度Tとの温度差が一定となるように制御しているため、エアヒータ15での加熱量を一定に保持することができ、安定した温湿度調整が可能となる。
【0057】
図9は通常乾燥モード運転時の乾燥スケジュールに対する追従性を説明する図であり、(A)は乾燥スケジュールの設定温度と乾燥室内の検出温度を示すグラフで、(B)は乾燥スケジュールの設定湿度と乾燥室内の検出湿度を示すグラフである。
上記した通常燥制御ロジックを実行することによって、乾燥室内の検出温度および検出湿度は、乾燥スケジュールの設定温度および設定湿度に対して図示されるような追従性を示す。図9(A)に示すように、乾燥室内の検出温度は乾燥スケジュールの設定温度をわずかに下回って変化する。一方、図5(B)に示すように、乾燥室内の検出湿度は乾燥スケジュールの設定湿度をわずかに下回って変化する。これは、乾燥室内の温度と湿度とをともにバランス良く沿わせるように制御したためであり、これにより乾燥コストと品質との両方を考慮した木材乾燥を行うことが可能となる。
【0058】
また、本実施形態において、乾燥モード選択手段51にて、木材の用途または種類に応じて乾燥モードが選択されることが好ましい。
ここで、木材の種類が乾燥処理に与える影響について説明する。
一般的に、木材は針葉樹と広葉樹に大別される。
スギやヒノキ等の針葉樹は、広葉樹に比べて密度は低く比較的速やかに乾燥するため、水分の蒸発に伴う木材の収縮による歪み量が少ない。そのため乾燥中の割れや欠点発生を抑制しやすいので乾燥時間が短い。ただし含水量は広葉樹よりも多い。この含水量は針葉樹を乾燥するときに最も影響を与える因子である。含水量の多い木材の乾燥処理を行う場合は、除去すべき水分量を予め計算により推定する必要がある。針葉樹は乾燥過程での欠点が生じにくいことから乾燥温度を比較的高めに設定可能であるが、含水量が多いことから乾燥過程における単位時間あたりの蒸発水分量は多くなる。そこで、除湿能力が高い機器が必要であるが、この除湿量が木材乾燥装置の能力以上で運転することを想定した場合、木材乾燥装置の制御装置に組み込んだ乾燥スケジュ−ルに則って運転ができなくなり、乾燥時間の延長が余儀なくされて、効率低下を招いてしまう。そこで、このような場合に本実施形態の高速乾燥モードを選択することで乾燥時間の短縮が可能となり、乾燥コストを削減することができる。ここで、一例として、図10(A)にスギの乾燥スケジュールを示す。
【0059】
ホワイトオ−ク等の広葉樹は針葉樹に比べて密度は高く、基本的に乾燥速度は遅い。これは木材内部での蒸気の移動が組織構造により複雑になるからである。乾燥速度を早めようと温度を高くすると、広葉樹は針葉樹に比べて組織構造が複雑で材質的に割れが発生しやすいので、割れや欠点の発生が生じやすい。このように広葉樹は、水分含有量は少ないが乾燥時間は長くなる。しかし比較的低い温度で乾燥するため、機械的な除湿量は少ないと言える。しかし湿度調整に関しては、木材に割れを生じさせないために湿度を精度良く制御する必要がある。したがって、本実施形態の高品質乾燥モードを選択することで、高精度で湿度調整を行うことができ、割れや反り、あるいは変色等の乾燥過程に生じる欠点の発生を防ぎ、高品質の乾燥木材を製造することが可能となる。一例として、図10(B)にホワイトオークの乾燥スケジュールを示す。
図10(A)と図10(B)とを比較して、ホワイトオークはスギの乾燥処理時間に約2〜3倍長くかかることがわかる。
【0060】
このように、木材の種類に応じて乾燥モードを選択する際には、スギやヒノキ等の針葉樹の乾燥処理には高速乾燥モードを選択し、ホワイトオーク等の広葉樹の乾燥処理には高品質乾燥モードを選択することが好ましい。これにより、木材に対応した最短の乾燥時間で且つ品質の高い乾燥木材を製造することが可能となる。
【0061】
一方、木材の用途から乾燥処理に求められる性能については既に述べているが、家具や内装材等の品質が要求される木材においては、割れや反り、あるいは変色等のような乾燥過程に生じる欠点が発生しないように乾燥させる必要があるため、高品質乾燥モードを選択して高品質の乾燥木材を生成する。一方、建築資材や構造材等の低コストが要求される木材においては、高速乾燥モードを選択して乾燥コストを抑えるようにすることが好ましい。一例として、図11に木材の用途に応じた乾燥スケジュールを示す。図11(A)は内装用木材の乾燥スケジュールを示す図で、(B)は一般建築用材の乾燥スケジュールを示す図で、(C)は変色を許容する一般建築用材の乾燥スケジュールを示す図である。
【0062】
次に、図12のフローチャートを参照して、本発明の実施形態に係る木材乾燥装置の制御方法を説明する。
まず、ステップS1として、制御装置は現時点での乾燥装置の運転方式を判断し、乾燥運転中か否かを判断する。ここで、乾燥装置の運転方式としては、例えば、立ち上げ時に乾燥室内温度を所定温度まで上昇させる立ち上げ運転、木材の乾燥を行う際に乾燥室内の温湿度調整を行う乾燥運転、乾燥装置の除霜を行うデフロスト運転等がある。このとき、乾燥運転は複数の運転方式を有していてもよい。これらの運転方式は、ヒートポンプ10内における補助熱交換器16の使い方によって切り替えることができる。例えば、図1に示す構成においては、乾燥運転時に補助熱交換器16のファン16aをONにすることによって補助熱交換器16を空冷式放熱手段として機能させ、一方ファン16aをOFFにすることによって補助熱交換器16を冷媒ラインの一部として機能させる。これにより乾燥運転時の冷熱バランスを変更した異なる運転方式とすることができる。また、乾燥装置を加熱運転する場合は、冷媒ライン20から蒸発器12を切り離すとともに補助熱交換器16が膨張弁11と内部熱交換器13との間に介在するように冷媒ライン20を変更し、さらに補助熱交換器16のファン16aをONにすることによって、補助熱交換器16を蒸発手段として機能させ、乾燥装置の加熱運転を行うことができる。
【0063】
ステップS1で乾燥運転であることを判断したら、ステップS2として、遅延タイマで設定されている遅延時間が経過したか否かを判断する。ここでは、制御装置は予め設定されている遅延時間が経過するまで次ステップの制御を行わないようになっている。この遅延制御は、例えば、ステップS1とステップS3との間で冷媒ライン20の切り替え等の変更があった場合に、変更動作が完了するまで待機するために行われる。
次いで、ステップS3で乾燥モード選択手段51により、通常乾燥モードと高速乾燥モードと高品質乾燥モードとから一の乾燥モードを選択する。
【0064】
ステップS3で通常乾燥モードが選択された場合、ステップS4として、第2の温度センサ42で検出したエアヒータ入口側の冷却除湿空気の検出温度Tと第3の温度センサ43で検出したエアヒータ出口側の加熱除湿空気の検出温度Tとの温度差と、設定温度差TSV3とが回転数演算手段52に入力される。そして、ステップS7で、冷却除湿空気の検出温度Tと加熱除湿空気の検出温度Tとの温度差と、設定温度差TSV3との偏差に基づいてPID演算を行う。
【0065】
さらに、ステップS8で、送風機5の回転数RCSと、回転数下限値RCSminおよび回転数上限値RCSmaxとをそれぞれ比較し、送風機5の回転数RCSが回転数下限値RCSmin以上且つ回転数上限値RCSmax以下であれば回転数を維持する。一方、送風機5の回転数RCSが回転数下限値RCSmin未満であれば、送風機5の回転数RCSが回転数下限値RCSminとなるように回転数を上昇させる。他方、送風機5の回転数RCSが回転数上限値RCSmax超過であれば、送風機5の回転数RCSが回転数上限値RCSmaxとなるように回転数を低下させる。
【0066】
ステップS3で高速乾燥モードが選択された場合、ステップS5として、第1の温度センサ41で検出した乾燥室内の検出温度Tと、第1の設定温度TSV1とが回転数演算手段52に入力される。そして、ステップS7で、乾燥室内の検出温度Tと第1の設定温度TSV1との偏差に基づいてPID演算を行う。なお、ステップS8以降は上記と同様の手順で行うようにする。
【0067】
ステップS3で高品質乾燥モードが選択された場合、ステップS6として、第2の温度センサ42で検出したエアヒータ入口側の冷却除湿空気の検出温度Tと、第2の設定温度TSV2とが回転数演算手段52に入力される。そして、ステップS7で、第2の温度センサ42で検出した乾燥室内の温度Tと、第2の設定温度TSV2との偏差に基づいてPID演算を行う。なお、ステップS8以降は上記と同様の手順で行うようにする。
【0068】
上記したように本実施形態によれば、高速乾燥モードと高品質乾燥モードとを含む複数の乾燥モードから最も優先度の高い要求に対応した乾燥モードを選択可能としている。これにより、木材の用途や種類等に応じて最適な乾燥を行うことが可能となる。
また、乾燥モードに基づいて送風機の回転数を制御する構成としているため、加熱除湿空気の温度と湿度を精度よく微調整することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態の変形例として、第1の温度センサ41で検出される乾燥室1内の検出温度が、乾燥スケジュールの設定温度範囲から外れた状態が一定時間以上継続される場合に、加熱除湿空気の温度設定値を変更するようにしてもよい。
ここで、エアヒータ出口側の加熱除湿空気は、第2コントローラ61で圧縮機14の回転数を制御することにより予め設定された温度度設定値となるように温度調整されている。この温度設定値は、加熱除湿空気により乾燥室内が乾燥スケジュールの設定温度となるように予め設定されたものである。
【0070】
図13は加熱除湿空気の温度設定値の変更方法を説明するための図であり、(A)は乾燥室内の設定温度と検出温度を示すグラフで、(B)は加熱除湿空気の変更前設定温度と変更後設定温度を示すグラフである。
図13(A)に示すように、時刻tから時間tαが経過する間、乾燥室内の検出温度が乾燥スケジュールの設定温度を常に下回っている場合、図13(B)に示すように、時刻tから時間tαが経過した時刻tにて、加熱除湿空気の温度設定値を増加させる変更を行う。
一方、図13(A)に示すように、時刻tから時間tβが経過する間、乾燥室内の検出温度が乾燥スケジュールの設定温度を常に上回っている場合、図13(B)に示すように、時刻tから時間tβが経過した時刻tにて、加熱除湿空気の温度設定値を減少させる変更を行う。なお、時間tαまたは時間tβは予め設定されているものである。
【0071】
このように、加熱除湿空気の温度調整に際して、乾燥室内の検出温度が乾燥スケジュールの設定温度範囲から外れた状態が一定時間以上継続される場合に、加熱除湿空気の温度設定値を変更する構成とすることにより、送風機5の回転数制御に対する応答遅れを考慮した制御を行うことが可能となり、制御精度の向上が可能となる。
【符号の説明】
【0072】
1 乾燥室
3 空気ライン
4 冷却除湿器
10 ヒートポンプ
11 膨張弁
12 蒸発器
14 圧縮機
15 エアヒータ
16 補助熱交換器
20 冷媒ライン
30 水貯留タンク
31、34 水循環ライン
32、35 ポンプ
41 第1の温度センサ
42 第2の温度センサ
43 第3の温度センサ
44 水温センサ
50 第1コントローラ
51 乾燥モード選択手段
52 回転数演算手段
61 第2コントローラ
62 第3コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材が収納される乾燥室と、前記乾燥室から排気された水分含有空気を冷却除湿する冷却除湿器と、前記冷却除湿器からの冷却除湿空気を加熱するエアヒータと、前記乾燥室から排気された空気が前記冷却除湿器および前記エアヒータを通って前記乾燥室内に戻される空気流を形成する送風機とを備え、前記乾燥室内に戻される加熱除湿空気により、前記木材ごとに設定された最適な温度と湿度とを含む乾燥スケジュールに基づき前記木材を乾燥する木材乾燥装置の制御装置であって、
前記木材の乾燥速度を重視した高速乾燥モードと前記木材の品質を重視した高品質乾燥モードとを含む複数の乾燥モードから一の乾燥モードを選択する乾燥モード選択手段と、
前記複数の乾燥モードごとにそれぞれ制御ロジックが設定され、前記乾燥モード選択手段で選択された乾燥モードに対応する前記制御ロジックを用いて前記送風機の回転数を演算する回転数演算手段とを備え、
前記回転数演算手段で演算された回転数となるように前記送風機を制御することを特徴とする木材乾燥装置の制御装置。
【請求項2】
前記乾燥室内の温度を検出する第1の温度検出手段を備え、
前記高速乾燥モードの前記制御ロジックは、前記第1の温度検出手段の検出温度が、前記乾燥スケジュールに基づいて設定された第1の設定温度以上となるように前記送風機の回転数を制御する構成であることを特徴とする請求項1に記載の木材乾燥装置の制御装置。
【請求項3】
前記エアヒータ入口側の冷却除湿空気の温度を検出する第2の温度検出手段を備え、
前記高品質乾燥モードの前記制御ロジックは、前記第2の温度検出手段の検出温度が前記乾燥室内の設定温度より低く設定された第2の設定温度となるように前記送風機の回転数を制御する構成であることを特徴とする請求項1または2に記載の木材乾燥装置の制御装置。
【請求項4】
前記エアヒータ入口側の冷却除湿空気の温度を検出する第2の温度検出手段と、
前記エアヒータ出口側の加熱除湿空気の温度を検出する第3の温度検出手段とを備え、
前記複数の乾燥モードは前記木材の乾燥速度および品質をともに加味した通常乾燥モードをさらに含み、
前記通常乾燥モードの前記制御ロジックは、前記第2の温度検出手段の検出温度と前記第3の温度検出手段の検出温度との温度差が予め設定されている設定温度差となるように前記送風機の回転数を制御する構成であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の木材乾燥装置の制御装置。
【請求項5】
前記乾燥モード選択手段にて、前記木材の用途または種類に応じて前記乾燥モードが選択されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の木材乾燥装置の制御装置。
【請求項6】
前記乾燥室内の温度を検出する第1の温度検出手段と、
前記冷却除湿器に冷熱を供給する蒸発器、圧縮機、前記エアヒータおよび膨張弁を含むヒートポンプと、
前記エアヒータ出口側の加熱除湿空気の温度設定値に基づいて前記圧縮機の回転数を制御する圧縮機制御手段とを備え、
前記第1の温度検出手段の検出温度が前記乾燥スケジュールの設定温度範囲から外れた状態が一定時間以上継続される場合に、前記加熱除湿空気の前記温度設定値を変更することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の木材乾燥装置の制御装置。
【請求項7】
木材が収納される乾燥室から排気された水分含有空気を送風機により前記乾燥室外部で循環させ、前記水分含有空気を冷却除湿器で冷却除湿した後冷却除湿空気をエアヒータで加熱して加熱除湿空気を前記乾燥室内に戻すようにし、前記加熱除湿空気により、前記木材ごとに設定された最適な温度と湿度とを含む乾燥スケジュールに基づき前記木材を乾燥する木材乾燥装置の制御方法であって、
前記木材の乾燥速度を重視した高速乾燥モードと前記木材の品質を重視した高品質乾燥モードとを含む複数の乾燥モードを有し、前記複数の乾燥モードごとにそれぞれ制御ロジックが設定されており、
前記複数の乾燥モードから前記木材の用途または種類に応じて一の乾燥モードを選択し、該選択された乾燥モードに対応する前記制御ロジックに基づいて前記送風機の回転数を制御することを特徴とする木材乾燥装置の制御方法。
【請求項8】
前記高速乾燥モードでは、前記乾燥室内の検出温度が前記乾燥スケジュールの設定温度以上となるように前記送風機の回転数を制御し、
前記高品質乾燥モードでは、前記乾燥室内の検出湿度が前記乾燥スケジュールの設定湿度に沿うように前記送風機の回転数を制御することを特徴とする請求項7に記載の木材乾燥装置の制御方法。
【請求項9】
前記複数の乾燥モードは前記木材の乾燥速度および品質をともに加味した通常乾燥モードをさらに含み、
前記通常乾燥モードでは、前記乾燥室内の検出温度および検出湿度が前記乾燥スケジュールの設定温度および設定湿度にともに近づくように前記送風機の回転数を制御することを特徴とする請求項7または8に記載の木材乾燥装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−2776(P2013−2776A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136573(P2011−136573)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、農林水産省「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発委託事業、ヒートポンプを応用した低環境負荷型木材加工装置の開発」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000148357)株式会社前川製作所 (267)
【出願人】(501186173)独立行政法人森林総合研究所 (91)
【Fターム(参考)】