説明

末梢血流改善剤および抹消血流改善作用を有する食品組成物

【課題】 末梢血流障害による冷感、痺れ、疼痛、皮膚障害などの症状に対し、副作用がなく、末梢血流改善作用を有し、かつ通常の食生活において摂取しやすい食品組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 鶏抽出物の乾燥粉末を有効成分として含有することを特徴とする末梢血流改善剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鶏抽出物の乾燥粉末を有効成分とする血流改善作用を有する食品組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
我々人間は、常にエネルギーを消費して日常生活を営んでいる。このため、体内では個々の細胞が代謝を行うために必要な栄養素や酸素の補給を行い、代謝により生じた不要物や二酸化炭素を排出せねばならない。これらの物質の運搬を担っているのが血液であり、毛細血管を通過する際、細胞外液を介して、細胞との間で物質交換を行っている。血液は、その他にも、ホルモンを受容臓器組織に運搬する役割や体熱を運搬し、体内に熱を平等に分配する役割も担っている。また、白血球の貪食作用やリンパ球の抗体産生を通じ、細菌感染の防御および異物の処理を行っている(中野昭一「図説・ヒトのからだ」医歯薬出版株式会社(2001))。
【0003】
上記のように、血液を通じた物質のやり取りを担う毛細血管の血流は生体機能の維持に重要な役割を果たすが、その血流を抑制する原因となるのは、血液粘性の増加、動脈硬化、自律神経活動の異常である(中野昭一「図説・病気の成立ちとからだI」医歯薬出版株式会社(2001)および中野昭一「図説・病気の成立ちとからだII」医歯薬出版株式会社(2002))。これらの原因により末梢血流障害が起きると、血液が組織末端まで流れにくくなるため、冷感、痺れ、疼痛、皮膚障害などの諸症状が引き起こされる。さらに、これらの障害の程度が増大すると、高血圧、血栓、脳血管障害などの重篤な病気に至る。従って、積極的に末梢血流を増加させることは、物質の運搬や体温の維持といった機能を高めるだけでなく、冷感、痺れ、疼痛、皮膚障害といった軽微な症状の予防や生活習慣病予防のためにも重要となる(菊池佑二 「血液をサラサラにする生活術」 株式会社講談社(2002))。
【0004】
重篤な末梢血流障害を治療するためには、ニコチン酸系、プロスタグランジン製剤、α遮断薬、β刺激薬、膵臓性循環系ホルモンなどの医薬品が用いられる場合もあるが(高久史麿ら「治療薬マニュアル2004」医学書院(2004))、一般にこのような医薬品は副作用が懸念され、病気とまでは言えない亜健康人においては、より安全な食品を用いることが望まれる。このような背景において、末梢血流改善作用を有する安全な食品が望まれていた。
【0005】
既に血流改善作用を有する食品について多くのものが報告されている。例えば、トコトリエノール、ケルセチン、大豆イソフラボン、ブドウ種子ポリフェノール(非特許文献1)、ムラサキイモ由来水性溶媒抽出物(特許文献1)、テアニン(特許文献2)、グルコサミン塩または誘導体(特許文献3)、コラーゲンペプチド(特許文献4)、プロアントシアニジン(特許文献5)、カモミール抽出エキス(特許文献6)、ニンニク卵黄(特許文献7)、リンゴ抽出物(特許文献8)などである。しかしながら、前記の素材は苦味、渋味の点で官能上好ましくないため、通常は錠剤やカプセル剤などとして摂取する必要があり、嚥下機能の低下した老齢者では摂取しにくいといった課題を有していた。従って、末梢血流障害の予防が可能であり、日常の食生活で無理なくおいしく摂取できる食品の開発が望まれていた。
【0006】
一方、鶏抽出物は、東南アジアを中心として古くから滋養強壮のために用いられており、抗精神疲労効果(非特許文献2)、抗肉体疲労効果(非特許文献3)、高血圧予防効果(非特許文献4)、肥満予防効果(特許文献9)、貧血改善効果(非特許文献5)、母乳改善効果(非特許文献6)などが報告されている。しかし、これまでに鶏抽出物の末梢血流改善作用は見出されていなかった。
【非特許文献1】FoodStyle21 編集部, FoodStyle21, 9, 58-64 (2005)
【非特許文献2】Nagai, H. et al., Appl. Human Sci., 15, 281-286 (1996)
【非特許文献3】鈴木康弘ら, 体育学研究, 49, 159-169 (2004)
【非特許文献4】Matsumura, Y. et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 66, 1108-1110 (2002)
【非特許文献5】Geissler, C. et al., Int. J. Food Sci. Nutr., 47, 351-360 (1996)
【非特許文献6】Chao, J. C., J. Nutr. Biochem., 15, 37-44 (2004)
【特許文献1】特開2001−145471号公報
【特許文献2】特開2001−316256号公報
【特許文献3】特開2002−97143号公報
【特許文献4】特開2002−371011号公報
【特許文献5】特開2003−128560号公報
【特許文献6】特開2005−68069号公報
【特許文献7】特開2006−213604号公報
【特許文献8】特開2006−306747号公報
【特許文献9】特開2003−102435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前項記載の背景技術下に、本発明は、末梢血流改善作用を有し、副作用がなく、通常の食生活においておいしく摂取しやすい食品組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前項記載の課題を解決すべく鋭意研究した結果、鶏抽出物を継続摂取することにより末梢血流改善作用が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明者らは鶏抽出物の効能について鋭意検討した結果、これにきわめて優れた末梢血流改善作用があること、および一定の条件下での鶏の熱水抽出物が官能的に優れていることを新規に見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
鶏抽出物については、これまでその末梢血流改善作用については、検討されておらず、その点で本発明は極めて特異的なものである。
【0010】
すなわち、本発明は、熱水抽出した鶏抽出物を有効成分として含有することを特徴とする末梢血流改善剤に関する。また、本発明は、鶏抽出物を乾燥粉末化したことを特徴とするもの、さらにはそのヒドロキシプロリン量がアンセリンとカルノシンの合計量に対して0.3重量倍以上であることを特徴とするもの、さらに、その有効量が1日当り摂取量としてアンセリンとカルノシンをそれらの合計量で200mg以上、そしてヒドロキシプロリンを125mg以上含有することを特徴とするものに関する。また、これらの鶏抽出物の乾燥粉末を日常的に摂取しやすくするために調製した食品組成物、例えば、鶏抽出物の乾燥粉末に、他の食品素材、調味素材、酸化防止剤、着色料、香料、香辛料抽出物、甘味料、酸味料、調味料、乳化剤、増粘剤、製造用剤、賦形剤などを添加し、顆粒化、カプセル化または錠剤化して得られる固体状食品組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、副作用がなく、末梢血流改善作用を有し、かつ通常の食生活においておいしく摂取しやすい、鶏抽出物を含有する食品組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明で言う鶏(Gallus gallus var. domesticus)とは、コーニッシュ、プリマスロック、烏骨鶏、シャモ、薩摩、比内鶏などの肉用種、白色レグホン、イサブラウン、ボリスブラウン、ワーレンなどの産卵種を指す(秋庭隆「食材図典」小学館(1995))。また、通常は、内臓、頭部、足部、羽根を除去した丸鶏を材料として熱水抽出に供するが、丸鶏から分離したがらや肉の両者を併せて、もしくは一方を単独で熱水抽出に供することもできる。
【0014】
ここで言う熱水抽出とは、90〜120℃で適当な時間抽出するものである。ここに適当な時間は、抽出液中のアンセリンとカルノシンの合計量に対するヒドロキシプロリンの量が少なくとも約0.3重量倍となる時間から抽出液中におけるヒドロキシプロリンの量の増加が見られなくなる時間までの間の所望の時間である。先に一定の条件といったのはこのことを差す(なお、後掲実施例1参照)。所与の場合における適当な時間は、当業者であれば事前の予備実験により容易に定めることができる。
【0015】
また、熱水抽出時には、味覚的な特徴付与や安定性向上のために、適宜、野菜類(ニンニク、タマネギ、ニンジン、セロリーなど)、香辛料(胡椒、ローレル、タイム、ローズマリー、セージなど)、調味料(塩、グルタミン酸ナトリウムなど)、増粘剤(ゼラチン、グアーガムなど)、抗酸化剤(トコフェロール、セージ抽出物など)などを添加しても良い。
【0016】
このようにして得られた粗鶏抽出物から雑味成分を除き、清澄な液体を得る目的で固形残渣や油の除去を行う。そのような除去法としては、静置分離、濾過、遠心分離などが用いられる。次に、このようにして得られた分離鶏抽出物は使い勝手を良くするために適宜濃縮する。そのような濃縮法としては、蒸発濃縮、膜濃縮、凍結濃縮などが用いられ、Brix 5〜50程度に濃縮される。
【0017】
濃縮鶏抽出物は更なる使い勝手の向上を目的に所望により乾燥粉末化する。そのような乾燥法としては、噴霧乾燥、凍結乾燥、ドラム乾燥、減圧ドラム乾燥、真空ベルト乾燥などが用いられる。乾燥時に賦形剤を用いることができ、そのような賦形剤としては、グルコース、スクロース、トレハロース、マルトース、ラクトース、デキストリン、シクロデキストリン、澱粉などの糖質やゼラチン、カゼイン、それらの部分分解物などのペプチドまたはタンパク質が挙げられ、これらを乾燥粉末鶏抽出物に対し例えば1〜200%の範囲で添加することができる。乾燥物の粉砕法としては、衝撃式粉砕、せん断式粉砕、圧縮式粉砕、磨砕式粉砕などが用いられる。
【0018】
このようにして得られた鶏抽出物の乾燥粉末は、その固形分に占める鶏抽出物のヒドロキシプロリン量がアンセリンとカルノシンの合計量に対して0.3重量倍以上であることを特徴とする。また、鶏抽出物の乾燥粉末が、1日当り投与量として、アンセリンとカルノシンをそれらの合計量として200mg以上、そしてヒドロキシプロリンを125mg以上含有することが好ましく、これ未満の摂取量では本発明の抹消血流改善効果を期待できない。これは、市販されているチキンコンソメ(味の素株式会社製)が、アンセリンとカルノシンをそれらの合計量として約40mg、そしてヒドロキシプロリンを約40mg含有しているものの、末梢血流改善効果が報告されていないことから明らかである。
【0019】
本発明の末梢血流改善作用を有する食品組成物は鶏抽出物の乾燥粉末を含有するが、その食品組成物の形態としては,例えば、畜産加工品(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)、水産加工品(ちくわ,かまぼこ、はんぺんなど)、菓子類(クッキー、ケーキ、キャンデーなど)、飲料(果汁飲料、清涼飲料、栄養ドリンク、ゼリー飲料、スープなど)、乳製品(ヨーグルト、チーズ、バターなど)、主食類(パン、麺類、ご飯など)、惣菜類(ギョウザ、シュウマイ、ハンバーグなど)などが例示され、配合量としては、摂取者の体重、年齢、症状などに応じて適宜調整することができるが、一般に1〜50%程度とされる。上記の形態の他、顆粒状、粉状、カプセル状、錠剤などであってもよく、この場合の配合量としては、摂取者の体重、年齢、症状などに応じて適宜調整することができるが、一般に1〜50%程度とされる。これらの食品はそれぞれ常法に準じて調製することができる。
【0020】
本発明の末梢血流改善作用を有する食品組成物には、本発明の効果を妨げない範囲内で、鶏抽出物の乾燥粉末に種々の食品素材や食品添加物を添加することができる。このようなものとしては、糖類(グルコース、スクロース、トレハロース、でんぷん、デキストリン、シクロデキストリンなど)、油脂類(植物油、魚油、動物油など)、タンパク質(大豆タンパク質、乳タンパク質など)、ビタミン(ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビオチン、パントテン酸、アスコルビン酸、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、β−カロテンなど)、ミネラル(カルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、亜鉛、銅、クロム、ヨウ素、セレン、マンガン、モリブデンなど)、食物繊維(セルロース、ペクチン、寒天など)などの栄養成分;食品としての機能(味、食感、物性、安全性、保存性など)を付与するための食品素材(乾燥野菜、粉乳など)、調味素材(胡椒、ローズマリー、タイム、セイジ、粉末醤油、粉末味噌、粉末酒、砂糖、食塩、各種エキス粉など)、酸化防止剤(α−トコフェロール、セージ抽出物など)、着色料(カラメル色素、アナトー色素、ペニバナ色素、パプリカ色素など)、香料、香辛料抽出物、甘味料(アスパルテーム、アセスルファムKなど)、酸味料(クエン酸、酢酸など)、調味料(グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸など)、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、レシチンなど)、増粘剤(グアーガム、ゼラチンなど)、製造用剤(二酸化ケイ素、デキストリンなど)を挙げることができる。当然のことながら、これらに限らず、その他の食品素材や食品添加物を配合することもできる。さらに、血流改善作用のある他の素材(トコトリエノール、ケルセチン、大豆イソフラボン、ブドウ種子ポリフェノール、ムラサキイモ由来水性溶媒抽出物、グルコサミン塩または誘導体、コラーゲンペプチド、プロアントシアニジン、カモミール抽出エキス、ニンニク卵黄、リンゴ抽出物など)やその他の健康増進作用を有する素材と組合わせて使用することも可能である。
【実施例】
【0021】
以下の実施例により本発明を更に説明する。
【0022】
実施例1: 鶏抽出物の成分割合の検討
内臓、頭部、足部および羽根を除去した白色レグホンの成鶏丸鶏75kg、および抗酸化剤の株式会社八代社製ミックストコフェロール「YASHIRO MDE-4000」5gを120kgの水に投入し加熱した。水温が100℃に達した後、98±2℃にて9時間抽出を行なった。
【0023】
鶏抽出液中のアンセリンとカルノシンは主に筋肉に由来する可溶性物質であり、比較的容易に抽出されるため、肉由来の可溶性成分の量と挙動を共にする(Plowman, J. E. and Close, E. A., J. Sci., J. Food Agric., 45, 69-78(1988))。また、ヒドロキシプロリンは骨、腱および皮膚に由来するゼラチンの成分であり、熱可溶性タンパク質の量と挙動を共にする(田中秀幸ら 「食品と開発」 36, 58-60(2001))。従って、これらの成分の量を特定すれば、鶏抽出物の成分的な特性を現すことができる。
【0024】
図1に示すように、アンセリンとカルノシンは比較的初期に大部分が抽出され、3〜9時間の間、ほぼ一定値であった。一方、ヒドロキシプロリンは、少なくとも9時間までは経時的に増加することがわかった。ヒドロキシプロリンはコク味を付与するゼラチンの構成成分であり、4時間以降の抽出液が味覚的に良好であったことから、熱水抽出の時間は4時間以上必要なことが明らかとなった。また、4時間目の抽出液中のヒドロキシプロリン量とアンセリンとカルノシンの合計量との比は0.3であったことから、ヒドロキシプロリン量はアンセリンとカルノシンの合計量に対して良好な味覚のために0.3倍量以上必要なことがわかった。
【0025】
実施例2: 鶏抽出物粉末Aの作成
鶏抽出物粉末Aは、以下の方法で作成した。内臓、頭部、足部および羽根を除去した白色レグホンの成鶏丸鶏1400kgおよび株式会社八代社製ミックストコフェロール「YASHIRO MDE-4000」94gを2400kgの水に投入し加熱した。水温が100℃に達した後、98±1℃にて7時間抽出を行った。濾布濾過を行った後、1時間静置することにより油を分離させ、抽出液を回収した。この抽出液を沸騰させて水分を蒸発させることにより、約500kgまで濃縮した。これを遠心式薄膜真空蒸発装置にて約320kg(Brix 15)まで濃縮し、殺菌のために85℃にて15分間加熱した後、ポリ袋に3kgずつ充填した。これを凍結した後、棚温50℃にて24時間の凍結乾燥を行った。この凍結乾燥物を粉砕機にて粉砕し、約40kgの鶏抽出物粉末Aを得た。本鶏抽出物粉末Aのアンセリンとカルノシン、およびヒドロキシプロリン含量を表1に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
実施例3: 鶏抽出物粉末Bの作成
内臓、頭部、足部および羽根を除去した白色レグホンの成鶏丸鶏5kgおよびニンニク40gを17.0kgの水に投入して加熱した。随時あくを取り除き、水温が100℃に達した後、タマネギ900g、ニンジン400g、セロリ200g、ポロネギ(約10cm)2枚、セロリ葉の部分(約10cm)1本、パセリの茎3本、タイム3本、ローレル2枚、ローズマリー2本、丁子5個、食塩10gおよび粒胡椒5gを加えた後、98±2℃にて4時間の抽出を行った。この抽出液を濾布により濾過し、浮いた油を取り除き、ビニール袋に充填した。これを凍結後、棚温50℃にて24時間の凍結乾燥を行った。本鶏抽出物粉末Bのアンセリンとカルノシン、およびヒドロキシプロリン含量も表1に示す。
【0028】
実施例4: 末梢皮膚血流改善作用の確認
被験者30名(20.5±1.4歳、男性7名、女性23名)に対して対照食または試験食を2週間継続摂取させ、摂取前後の血流量を測定した。試験食として、実施例2にて調製した本発明の鶏抽出物粉末A2.7g(アンセリンとカルノシン200mg、そしてヒドロキシプロリン125mgを含有)を食塩にて調味した粉末を、そして対照食として、チキンフレーバー、カラメル色素、デキストリンおよび食塩にて、風味、外観、カロリーおよび食塩分が試験食と識別できないように調整した粉末を使用した。これらの被験食を、摂取直前に150mLのお湯に溶解し、1日1回ずつ摂取させた。なお、これらの被験食の成分分析値を表2に示した。血流量としては、PERIMED社製レーザードップラー血流画像化装置「PeriScan PIM II」を用いて、手の甲の皮膚血流量を測定した。
【0029】
結果を表3に示す。表の値は、平均値±標準偏差であり、本測定装置で得られた信号強度(mV)で示し、数値が大きいほど、血流量が多いことを意味する。なお、摂取前に比べて危険率0.01未満で差を示した値には**、危険率0.001未満で差を示した値には***、そして対照食に比べて危険率0.001未満で差を示した値については###を記した。
【0030】
【表2】

【0031】
表3に示したように、試験食および対照食共に摂取後は摂取前と比較して有意に血流量が増加したが、摂取後の試験食の血流量は、対照食と比較して有意に高い値を示した。このことから、本発明の末梢血流改善作用を有する食品組成物は、末梢血流量増加作用、すなわち末梢血流改善作用を有することが明らかとなった。
【0032】
【表3】

【0033】
実施例5: 粉末スープ包装食品の作成
実施例2で作成した鶏抽出物粉末A100重量部に対して、食塩33重量部、ローレル粉末0.22重量部、カレー粉末0.37重量部および胡椒粉末0.74重量部を添加、混合し、粉末スープ食品を作成した。この粉末3.7gをアルミパウチに充填し、粉末スープ包装食品を作成した。なお、この粉末スープ包装食品中に含まれるアンセリンとカルノシンの合計量は200mgそしてヒドロキシプロリン125mgであった。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば末梢血流改善作用を有する食品組成物を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】鶏抽出時の成分量の推移を示したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鶏の熱水抽出物の乾燥粉末を有効成分として含有することを特徴とする末梢血流改善剤。
【請求項2】
該鶏の熱水抽出物の乾燥粉末のヒドロキシプロリン量がアンセリンとカルノシンの合計量に対して0.3重量倍以上であることを特徴とする請求項1記載の末梢血流改善剤。
【請求項3】
該鶏の熱水抽出物の乾燥粉末が、1日当り投与量として、アンセリンとカルノシンの合計量を200mg以上、そしてヒドロキシプロリンを125mg以上含有することを特徴とする請求項1記載の末梢血流改善剤。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の末梢血流改善剤を含有することを特徴とする固体状食品組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2008−156292(P2008−156292A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347477(P2006−347477)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(591101504)クノール食品株式会社 (29)
【Fターム(参考)】