説明

杭用チャックの制御方法、および同装置

【課題】 振動式杭打抜機用の起振機に装着されているチャックを回転させる機構を改良して、該チャックを支持しているベアリングが小容量のものでも充分な耐久性を発揮することができ、かつ、該チャックに把持されている杭のz軸周り回転角位置を、地球基準で容易に制御できるようにする。
【解決手段】 チャック4の回転軸4bにブレーキ胴6aを固着するとともに、該回転軸に対してスプライン8を介してドリブン歯車7を取り付け、駆動モータMによって回転駆動する。前記のブレーキ胴6aを、固定シュー6b及び可動シュー6cで制動することにより、起振機に対してチャックを強固に固定する。前記駆動モータMの正,逆転・停止は、ジャイロ機構Jによる回動角位置検出信号αに基づき、自動制御回路CPUによって行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起振機にチャックを設置した構造の振動式杭打抜機において、チャックに把持されている杭の垂直軸周り回転角位置を、地球基準で制御する方法および同装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図2は、多数の杭を並べて打ち込んでいる状態を説明するための模式的な平面図である。なお、後に説明するが、列設されている多数の杭を順次に引き抜く状態も、この図2と同様である。
符号1を付して示したのは杭である。この例の杭は、並べて打ち込んだとき相互に連結するための杭継手1aが設けられている。本図2の状態で杭1は、これから打ち込むために集積され、地上に寝かされている。
ショベルカー2は、車体2aに対して起伏回動自在に軸支されたブーム2bの先端に、アーム2cが屈伸自在に軸着されている。該アームの先端にはバケット(図外)が装着されるようになっているのであるが、該バケットに代えて種々のフロントアタッチメント(クラッシャ、ブレーカ等)が着脱される。
【0003】
この図の例では、起振機3とチャック4とから成る振動式杭打機が装着されている。
上記のチャック4に把持されている杭1tは、起振機3に隠れているので破線で描いてある。
前記の振動式杭打機を装着されたアームおよびブームは、車体2aと一緒に、円弧矢印ωのように360度旋回可能であり、旋回半径Lは伸縮可能であるから、ショベルカー2の運転操作によって、前記の保持されている杭1tを法線(杭打ち予定線)PLまで運搬することができる。
符号1a,1b,1c〜1hを付して示したのは順次に打ち込まれた多数の杭である。
【0004】
ショベルカー2の車体が旋回可能であり、かつ、ブーム,アームが起伏・屈伸して旋回半径Lを伸縮させることができるので、図示の円弧ωの内側の任意の箇所に「チャック4により吊持されている杭1t」を搬送して打ち込むことができる(ただし、ショベルカー自体に干渉しない限り)。
ショベルカー2は自走可能であるから、図示の円弧ωの外側に杭打ちする場合は、杭打ち予定地点の近くまで走行すればよい。
【0005】
ところが、吊持されている杭1tを杭打ち予定線(法線PL)まで搬送しただけでは足りない場合が有る。
例えば普通の電柱のように円柱状の杭であれば、長手方向の中心線周りの回転体であるから、軸周りの回転角位置が問題にならない。しかし、例えば角杭であれば回転角位置が規制される。特に鋼矢板の場合は裏表(凸側と凹側)が有るので、360度の方位規制が必要である。
【0006】
説明の便宜上、水平な直交座標を考える。本例では南北線N−Sと、東西線E−Wとを想定した。
この図の状態で、ブーム,アームは北西を向いている。
いま、図示のチャック4で吊持されている杭1tを、杭1cの位置に打設するために、車体2aを旋回させてブーム,アームをo−q方向に向けると、吊持されていた杭の姿勢は線o−qにほぼ直角となり、法線PLと一致しない。
【0007】
順次に打ち進んで、杭1hを打設するために、ブーム,アームを線o−r方向に向けると、吊持されている杭の姿勢は線o−rにほぼ直角となる。このようにして、杭1a.1b.1c……と打ち進むに従って、ブーム,アームに対するチャック4の取り付け角度を変化させねばならない。特に矢板の場合は、杭1aと杭1bとの表裏を反転させなければならず、更に杭1bと杭1c、杭1cと杭1d……というように、杭1本ごとに表裏を反転させなければならない。
【0008】
その上、多数の杭を順次に打ち進んで、法線PLから法線PCに入るときは更に方向変換に対応して杭の回転角位置を制御しなければならない。
この段落で以上に考察したのは、多数の杭1a〜杭1hを打ち込む場合である。しかし、既に打設されている多数の杭1a〜杭1hを引き抜く場合にも同様の問題(杭の回転角位置制御)が有る。
こうした事情から、起振機3に対するチャック4の取り付け角度(把持した杭の、長手方向中心線周りの回転角位置)を任意に調節し得る構造が必要である。
このため、チャックを起振機に対して回転自在に取り付けるとともに、該チャックを回転させる駆動手段を設けた構造の振動杭打抜機が製作され、広く用いられている。
また、油圧を利用してチャックの回動をロックする機構が工夫されているが、チャックを回動させる構造については別段の考慮が為されていない。
【特許文献1】 特開平10−147933号公報
【特許文献2】 特開平10−96233号公報
【特許文献3】 特開平9−158183号公報
【特許文献4】 特開平8−246455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来例のチャック回転角位置調節装置には、次のような問題点が有った(図2参照)。
(イ)起振機3に対してチャック4がベアリング(図外)を介して垂直軸周りの回転自在に支持された構造、または、歯車によってチャックを回動させる構造であった。このため、起振機で発生した振動はベアリングや歯車機構を激しく振動させる。
従ってベアリングや歯車機構は、杭打抜きのための激しい振動を受ける。このため、ベアリングや歯車機構の耐用命数が短い。
また、長い耐用命数を得るために大容量のベアリングや歯車機構を用いると、機械装置が大形・大重量になり、製造コストが高価である。
(ロ)先に述べたように、多数の杭1a,1b,1c……を順次に打込み(又は引抜き)する際、杭1本ごとに杭の吊持角度を変えなければならない。この問題は、起振機に対するチャックの角位置を記憶させておいても解決しない。すなわち、地球を基準としてチャックの回転角位置を一定ならしめるように制御しなければならない(先に述べた法線が地面に対して設定されているからである)。
【0010】
本発明は以上に述べた事情に鑑みて為されたものであって、その目的とするところは、
(イ)小形軽量で安価な、しかも耐久性に優れたチャック回動方法、および同装置を提供し、併せて、
(ロ)起振機に対するチャックの回転角位置を、地球基準の記憶の基づいて制御する方法、および同装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明装置の構成は、(図1参照)起振機3に取り付けられて、杭1を把持するチャック4において、
チャックに把持された杭の中心線をz軸とし、
チャックに設けられた、z軸と同心の回転軸4bと、
上記回転軸に対して同心に固着されたブレーキ胴6aと、
起振機に対して固着された部材に設置されたブレーキシュー6b,6cと、
前記回転軸を回転駆動する手段と、を具備していて、
前記ブレーキシューを作動さると、起振機とチャックとが強固に結合され、
上記ブレーキシューを解放すると、起振機とチャックとが相対的に回動可能になって、前記回転駆動手段により、チャックをz軸周りに回動せしめ得るようになっていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明装置の構成は、前記請求項1の発明装置の構成要件に加えて、(図1参照)z軸回りの回動を検出し得るセンサを備えたジャイロ機構(J)と、
上記ジャイロ機構の検出信号を入力され、「前記ブレーキシューの駆動用機器および前記チャック回転駆動手段」に対して作動指令信号を出力する自動制御回路(CPU)と、を具備していることを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明その構成は、前記請求項1または請求項2の発明装置の構成要件に加えて、(図1参照)前記ブレーキ胴6aと回転駆動手段との間に、
z軸周りの回転を伝動し、z軸方向の動きを伝動しない継手手段(本図1の例ではスプライン8)が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に係る発明方法の構成は、起振機に取り付けられて杭を把持するチャック)の垂直軸(z)周りの回転角位置を、地球基準で制御する方法において、
前記請求項2に係る制御装置を用いる。すなわち、
予め、(図1参照)チャック4に設けられたz軸と同心の回転軸4bに対応させて、ブレーキ胴6aをz軸と同心に固着するとともに、起振機3に対して固着された部材にブレーキシュー6b,6cを設置し、かつ、上記回転軸4bを回転駆動する手段(本例では駆動モータM及び減速歯車群(7,9)を設け、
さらに、前記起振機に対してジャイロ機構Jを設置しておき、
チャックが把持した杭を所望の回転角位置ならしめた状態における、起振機3の回転角位置を地球基準で前記ジャイロ機構Jに記憶させておき、
多数の杭を順次に打ち抜く場合、各杭ごとに前記回転駆動手段によってチャックを回転させながら、ジャイロ機構の記憶に基づいてチャックの回転角位置を制御することを特徴とする。
同様の操作を、多数の既設杭の抜取作業に適用することもでき、本請求項4の技術的範囲に属する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明装置によれば、ブレーキを作動させることによってチャックを起振機に対して強固に結合することができるので、この状態で杭の打抜きを行なえば、チャックを支持しているベアリングに振動荷重を加えることが無い。従って、小容量で安価なベアリングを用いても充分な耐久性が得られる。
そして、上記のブレーキを解放すると、チャックは起振機に対して自在に回動し得るようになるから、該チャックの回動角位置を任意に調節することができる。
【0016】
請求項2の発明装置によると、ジャイロ機構が地球基準の回転角位置を記憶する機能を有しているから、z軸周りの地球基準角位置を検出することができる。その検出信号を自動制御回路に入力して、該自動制御回路によりチャック回転駆動手段に指令信号を与えると、チャックの回転角位置を地球基準で自動的に制御することができる。
【0017】
請求項3の発明装置によると、回転駆動手段に振動が伝動されないので、該回転駆動手段が振動によって損耗を早める虞れが無い。
その上、杭を振動させる為に発生させた振動が、回転駆動手段によって無駄に消費されない。その結果、杭打抜機のエネルギー効率が改善され、ひいては地球温暖化防止に貢献し得る。
【0018】
請求項4の発明方法によると、杭を把持するチャックの回転角位置を地球基準で制御することができる。
杭打抜き作業における法線(杭の列設線)は一般に、地面上に設定される。このため、上記のように地球基準の角位置制御ができれば、杭打抜機を支持している機械装置(例えばショベルカー)の姿勢如何に拘わらず、しかも、作業員に格別の熟練を要しないで、多数の杭を正確に列設することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明に係る制御装置の1実施形態を模式的に描いた垂直断面図である。模式化してあるから、写実的な投影図ではない。
チャック4は、起振機3に対し、回転機構5を介して設置されている。
チャック4の内部構造は図示を省略してあるが、1対の把持爪4aで杭1を挟持するようになっている。z−zは、把持されている杭1の長手方向の中心線である。
回転機構5のケース5aは、充分な剛性を有するように鋼板で作られ、起振機3に対して強固に結合されている。
本発明において強固に結合するとは、緩衝部材や摺動対偶を介在させることなく一体的に結合することをいう。
【0020】
チャック4には回転軸4aが一体的に連設されていて、この回転軸はz軸と同心に位置するよう、回転機構のケース5aに対して回転可能にベアリング11で支持されている。
上記回転軸4bに対して同心に、ブレーキ胴6aが固着されている。
上記のブレーキ胴に対応して、固定シュ−6bと可動シュ−6cとが配置されている。
固定シュ−6bは回転機構のケース5aに固着されている。
可動シュ−6cはブレーキレバー6dに装着されており、該ブレーキレバーはケース5aに対して軸支されている。ブレーキシリンダ6eは、上記ブレーキレバーを傾動させることにより、前記可動シュ−6cをブレーキ胴6aに押圧する。
【0021】
上述の構造機構により、ブレーキ機構6が作動すると回転機構のケース5aがチャックの回転軸4bに対して強固に結合される。
すなわち、ブレーキ機構の作動により、チャック4が起振機3に対して強固に結合される。
このため、起振機3で発生した振動は、回転機構ケース5aおよびブレーキ機構6を経てチャック4に伝動され、ベアリング11は振動荷重を負荷されない。従って、該ベアリング11が格別に大容量のものでなくても耐久性に開する不具合を生じない。
【0022】
前記回転軸4bに対して、ドリブン歯車7が、スプライン8を介して装着されている。
ドライブ歯車9は上記ドリブン歯車7に噛合し、駆動モータMによって回転駆動される。
前記ブレーキ機構6を解放(ブレーキシューをブレーキ胴から離間させること)して、前記駆動モータMを回転させると、チャック4はz軸回りに回動する。
従来技術においては、駆動モータをロックするなどして停止させるとチャックは回らなくなると考えられていたが、本発明においてはブレーキ機構6を作動させてチャックの回動を止める。その理由は、本発明におけるブレーキ機構は単に回転を制動するだけでなく、振動を伝えるという役目を受け持っているからである。
【0023】
回転機構のケース5aに対してジャイロ機構Jが設置されている。本発明を実施する場合、ジャイロ機構は必ずしも回転機構に装着しなくても良いが、起振機に固着されている部材に配置することが望ましい。この場合の固着とは、z軸周りの相対的な回動を阻止して取り付ける意である。
本例のジャイロ機構Jは、その回転軸をz軸に直交させ、スプリング10を介して設置されている。このジャイロ機構は後に説明するようにz軸周りの回転角位置を検出する役目を持っているので、起振機2に対してz軸周りの相対的な回動を規制して装着する。
そして、なるべくはz軸方向の振動を緩衝できるように装着する。
【0024】
前記のジャイロ機構Jは、その水平軸を一定の方向に向けている。そして、この軸方向を基準として、起振機3のz軸周りの回動を検出するセンサ(市販品)を備えている。
起振機3のz軸周りの回動の検出信号αは、自動制御回路CPUに入力される。
自動制御回路CPUは、入力された検出信号αに基づき、予め与えられているプログラムに従って、制御指令信号β,および同γを出力する。
ブレーキ機構6のブレーキシリンダ6eは、油圧制御弁Vを介して油圧源に接続されており、該油圧制御弁によって伸縮作動せしめられる。本例においては、ブレーキシリンダ6eが収縮するとブレーキ機能が発揮され、伸長するとブレーキが解放されるようになっている。
【0025】
自動制御回路CPUは、指令信号βによって駆動モータMの正,逆転・停止を行なわせる。また、指令信号γによって油圧制御弁Vを介してブレーキシリンダ6eを伸縮させ、ブレーキ機構6の作動・解放を行なわせる。
次に、本発明の制御装置を用いて多数の杭の回動角を制御した1実施形態を説明する。(図1,図2を併せて参照)
起振機3に装着されたチャック4によって杭1tを吊持し、最初の杭1aの位置に搬送する。搬送は、ショベルカー2の旋回と、ブーム・アームの起伏・屈伸とによって行なわれる。
【0026】
最初の杭(1a)は、作業監督者の号令と現場班長の誘導とにより、相応の手間暇を掛けて法線PLに合わせる。この最初の工程は従来技術におけると同様に行なえば良い。
最初の杭(1a)を法線PLに合わせたならば、その時の「起振機3に対するチャック4の回動角位置」を自動制御装置PCUに記憶させる。
図示を省略するが、ケース5aに設置されて回転軸4bの回動角位置(ケース5aに対する相対的な値)を検出する角度センサを併用すれば好都合である。
【0027】
一旦、法線PLの方位を自動制御回路CPUに覚え込ませれば、第2番目の杭1b以降は、回転角位置信号αが所定の値となるように駆動モータMを制御して、チャック4を起振機3に対して回転させることにより、該チャック4に把持されている杭の方位を、地球基準で制御して法線PLに合わせる。
この場合、杭1本ごとに、先に述べたようにして、
ブレーキ機構6を解放して、チャック4のz軸周りの回動をフリーにする操作と、
駆動モータMを回転させてチャック4の回転角位置を所望の値ならしめる(杭の方位を法線PLに揃える)操作と、
ブレーキ機構6を作動させて、チャック4と起振機3とを強固に結合する操作と、を、繰り返して行なう。
【0028】
法線PLに沿って順次に杭を打ち込み、方向変換点Pに到達すると、図示の角θは工事計画書で与えられているから、自動制御回路CPUが計算して指令信号βを修正し、法線PCに合わせて杭打ち作業を続行する。
法線(図示省略)が曲線であっても、該曲線は工事計画書に特定されているから、自動制御回路CPUによってチャックの回動角位置を適宜に制御しつつ、曲線法線に沿って杭を列設する。
【0029】
以上は、多数の杭1a,1b…1hを順次に打ち込んでゆく場合について説明したが、
法線PLに沿って列設されている多数の既設杭1a,1b…1hを順次に引き抜く場合にも、該既設杭の天端に対してチャックの開口部(1対の把持爪4a,同4aの間)を合わせなければならない。
このような作業におけるチャックの回動角位置の調節も、前述した打ち込み作業におけると同様にして行なえば良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】 本発明に係る杭用チャックの制御装置の1実施形態を示し、模式的に描いた断面図
【図2】 ショベルカーに装着された振動式杭打機によって多数の杭を並べて打ち込んでいる状態の模式的な平面図
【符号の説明】
【0031】
1…杭
1a〜1h…列設された多数の杭
1s…杭継手
1t…吊持されている杭
2…ショベルカー
2a…車体
2b…ブーム
2c…アーム
3…起振機
4…チャック
4a…把持爪
4b…回転軸
5…回動機構
5a…ケース
6…ブレーキ機構
6a…ブレーキ胴
6b…固定シュー
6c…可動シュー
6d…ブレーキレバー
6e…ブレーキシリンダ
7…ドリブン歯車
8…スプライン
9…ドライブ歯車
10…スプリング
11…ベアリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起振機(3)に取り付けられて、杭(1)を把持するチャック(4)において、
チャックに把持された杭の中心線をz軸とし、
チャックに設けられた、z軸と同心の回転軸(4b)と、
上記回転軸に対して同心に固着されたブレーキ胴(6a)と、
起振機に対して固着された部材に設置されたブレーキシュー(6b,6c)と、
前記回転軸を回転駆動する手段と、を具備していて、
前記ブレーキシューを作動させると、起振機とチャックとが強固に結合され、
上記ブレーキシューを解放すると、起振機とチャックとが相対的に回動可能になって、前記回転駆動手段により、チャックをz軸周りに回動せしめ得るようになっていることを特徴とする、杭用チャックの制御装置。
【請求項2】
z軸回りの回動を検出し得るセンサを備えたジャイロ機構(J)と、
上記ジャイロ機構の検出信号を入力されて、「前記ブレーキシューの駆動用機器および前記チャック回転駆動手段」に対する作動指令信号を出力する自動制御回路(CPU)と、を具備していることを特徴とする、請求項1に記載した杭用チャックの制御装置。
【請求項3】
前記ブレーキ胴(6a)と回転駆動手段との間に、
z軸周りの回転を伝動し、z軸方向の動きを伝動しない継手手段が設けられていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載した杭用チャックの制御装置。
【請求項4】
起振機(3)に取り付けられて杭(1)を把持するチャック(4)の、垂直軸(z)周りの回転角位置を、地球基準で制御する方法において、
チャックに設けられたz軸と同心の回転軸(4b)に対して、予め、ブレーキ胴(6a)をz軸と同心に固着するとともに、起振機に対して固着された部材にブレーキシュー(6b,6c)を設置し、かつ、上記回転軸(4b)を回転駆動する手段を設け、
さらに、前記起振機に対してジャイロ機構(J)を設置しておき、
チャックが把持した杭を所望の回転角位置ならしめた状態における、起振機の地球基準回転角位置を前記ジャイロ機構に記憶させておき、
多数の杭を順次に打ち抜く場合、各杭ごとに前記回転駆動手段によってチャックを回転させながら、ジャイロ機構の記憶に基づいて回転角位置を制御することを特徴とする、杭用チャックの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−307613(P2006−307613A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−160360(P2005−160360)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【出願人】(391002122)調和工業株式会社 (43)
【Fターム(参考)】