板材の接合方法
【課題】板材の厚さ誤差、板材の搬送誤差等に起因する、板材の接合不良を、防止乃至は大幅に軽減させる。
【解決手段】接合すべき板材A5、A6の端面を、夫々スカーフ状に形成すると共に、板材A6のスカーフ面a6へ、接着剤Cを塗布し、次いで、双方の板材A5、A6のスカーフ面a5、a6を重ね合わせると共に、前記接着剤Cの性状に適応する加熱機能又は冷却機能を具備した一対の加圧部材1、2を用いて、板材5、6の表裏面から、重ね合わせたスカーフ面a5、a6を熱圧又は冷圧することにより、前記接着剤Cを硬化させて、板材A5、A6を接合するに際し、前記一対の加圧部材1、2の加圧面1a、2aの長さL1、L2を、正常な厚さTを有する板材A5の表裏面に対する前記スカーフ面1aの投影長さLよりも、適宜寸法αだけ短く設定し、主として各板材A5、A6のスカーフ面a5、a6の中央を中心とする大部分を、限定的に熱圧又は冷圧する。
【解決手段】接合すべき板材A5、A6の端面を、夫々スカーフ状に形成すると共に、板材A6のスカーフ面a6へ、接着剤Cを塗布し、次いで、双方の板材A5、A6のスカーフ面a5、a6を重ね合わせると共に、前記接着剤Cの性状に適応する加熱機能又は冷却機能を具備した一対の加圧部材1、2を用いて、板材5、6の表裏面から、重ね合わせたスカーフ面a5、a6を熱圧又は冷圧することにより、前記接着剤Cを硬化させて、板材A5、A6を接合するに際し、前記一対の加圧部材1、2の加圧面1a、2aの長さL1、L2を、正常な厚さTを有する板材A5の表裏面に対する前記スカーフ面1aの投影長さLよりも、適宜寸法αだけ短く設定し、主として各板材A5、A6のスカーフ面a5、a6の中央を中心とする大部分を、限定的に熱圧又は冷圧する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板材の接合方法の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ベニヤ単板、合板、単板積層材、繊維板等の板材を処理対象とし、接合すべき双方の板材の端面を、夫々スカーフ状(斜面状)に形成すると共に、少なくともいずれか片方の板材のスカーフ面へ、熱硬化性接着剤、熱可塑性接着剤等の適宜の接着剤を塗布し、次いで、双方の板材のスカーフ面同士を重ね合わせると共に、前記接着剤の性状に適応する加熱機能又は冷却機能を具備した一対の加圧部材を用いて、板材の表裏面から、重ね合わせたスカーフ面を熱圧又は冷圧することにより、前記接着剤を硬化させて、板材を接合する接合方法が公知となっており、例えば特許文献1、特許文献2等には、ベニヤ単板を順に縦継ぎする(繊維方向と同方向へ接ぎ合わせする)技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3429378号公報
【特許文献2】特開平10−128706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、接合すべき板材は、若干の厚さ誤差を有するのが通例であり、また、各板材のスカーフ面同士を重ね合わせる際にも、板材の搬送距離の誤差等に起因して、相互の位置に若干のズレ(誤差)が生じることがあるのに対して、従来のこの種の接合方法に用いられている加圧部材は、前記各文献の図面の記載からも明らかな如く、いずれも、正常な厚さを有する板材の表裏面に対するスカーフ面の投影長さと同等乃至は同等以上の長さの加圧面を具備するものであったことから、後述する如く、板材の厚さやスカーフ面の重なり具合等の条件が、特定の要件を満たしている場合には、特に問題が発生する虞はないが、前記条件が、特定の要件から外れた場合には、所望通りの熱圧作用又は冷圧作用を奏することができず、接合が不完全となる欠点があった。
【0005】
詳述すると、例えば図11に例示する如く、先行する板材B1の厚さt1と、スカーフ面b2に接着剤Cが塗布された後続する板材B2の厚さt2とが、誤差なく正常値Tに揃っており、而も双方の板材B1とB2のスカーフ面b1とb2が、ぴったり重なり合う適正位置に於て重ね合わされている場合、或は例えば図12に例示する如く、接合すべき双方の板材B1とB2の厚さt1、t2が、誤差なく正常値Tに揃っており、而も双方の板材B1とB2のスカーフ面b1とb2が、適正位置よりも若干余分に重複して重ね合わされている場合等については、たとえ上下一対の加圧部材3、4の加圧面3a、4aの長さL3、L4が、正常な厚さTを有する板材B1、B2に形成されたスカーフ面b1、b2の投影長さ(板材の表裏面に対する投影長さ)Lと同等乃至は同等以上であっても、所望通りの熱圧作用又は冷圧作用を奏することができ、接合に格別不都合は生じない。
【0006】
また、例えば図13に例示する如く、接合すべき板材B3又はB4のいずれか一方、例えば板材B4の厚さt4が、正常値Tに比べて誤差β1だけ厚いものの、正常な厚さt3(=T)を有する板材B3のスカーフ面b3の先端側(尖端側)と、前記板材B4のスカーフ面b4の基端側(板材本体側)とがぴったり重なり合う位置に於て重ね合わされている場合、或は例えば図14に例示する如く、接合すべき板材B5又はB6のいずれか一方、例えば板材B6の厚さt6が、正常値Tに比べて誤差β2だけ薄いものの、該板材B6のスカーフ面b6の先端側と、正常な厚さt5(=T)を有する板材B5のスカーフ面b5の基端側とがぴったり重なり合う位置に於て重ね合わされている場合等も、たとえ一対の加圧部材3、4の加圧面3a、4aの長さL3、L4が、正常な厚さTを有する板材B3、B5に形成されたスカーフ面b3、b5の投影長さLと同等乃至は同等以上であっても、概ね所望通りの熱圧作用又は冷圧作用を奏することができ、接合に著しい不都合は生じない。
【0007】
ところが、例えば図15に例示する如く、接合すべき双方の板材B1とB2の厚さt1、t2が、誤差なく正常値Tに揃ってはいるものの、双方の板材B1とB2のスカーフ面b1とb2が、適正位置よりも若干離れた位置に於て重ね合わされている場合、或は例えば図16に例示する如く、接合すべき板材B3又はB4のいずれか一方、例えば板材B4の厚さt4が、正常値Tに比べて誤差β1だけ厚く、而も該板材B4のスカーフ面b4の基端側と、正常な厚さt3(=T)を有する板材B3のスカーフ面b3の先端側とが離れた位置に於て重ね合わされている場合、更には例えば図17に例示する如く、接合すべき板材B5又はB6のいずれか一方、例えば板材B6の厚さt6が、正常値Tに比べて誤差β2だけ薄く、而も該板材B6のスカーフ面b6の先端側と、正常な厚さt5(=T)を有する板材B5のスカーフ面b5の基端側とが離れた位置に於て重ね合わされている場合等にあっては、一対の加圧部材3、4の加圧面3a、4aの長さL3、L4が、正常な厚さTを有する板材B1、B2、B3、B5に形成されたスカーフ面b1、b2、b3、b5の投影長さLと同等乃至は同等以上であると、重ね合わされたスカーフ面b1とb2、或はスカーフ面b3とb4、或はスカーフ面b5とb6に、必要十分な加圧力が加わり難く、所望通りの熱圧作用又は冷圧作用を奏することができないので、結果的に、接合が不完全となる欠点があった。
【0008】
因に、述上の如き欠点の発生を回避する対処手段の一つとして、加圧部材が当接する板材の局部を押し潰すに足るほどの、強力な加圧力を以って、加圧部材を板材に押圧する手段が挙げられるが、斯様な手段を用いる為には、幅の広い加圧部材(例えばベニヤ単板を縦継ぎする場合は、合板・単板積層材等の寸法に適応する1m〜1.3m程度)に強力な加圧力を付与するに足るほどの、頑強な構造が必要となるから、接合機械が大型化し、且つ、消費エネルギも冗費される不具合が生じるのみならず、全ての接合板材に、程度の差こそあれ、加圧部材の圧痕が残存する結果となるので(最も丈夫な板材を押し潰すに足るほどの、強力な加圧力を付与すると、軟弱な板材の場合は、致命的な破壊や塑性変形が発生し易い)、接合板材の品質を劣化させる不都合も誘発する下策である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記従来の板材の接合方法に顕在する欠点を解消すべく開発したものであって、具体的には、接合すべき双方の板材の端面を、夫々スカーフ状に形成すると共に、少なくともいずれか片方の板材のスカーフ面へ、熱硬化性接着剤、熱可塑性接着剤等の適宜の接着剤を塗布し、次いで、双方の板材のスカーフ面同士を重ね合わせると共に、前記接着剤の性状に適応する加熱機能又は冷却機能を具備した一対の加圧部材を用いて、板材の表裏面から、重ね合わせたスカーフ面を熱圧又は冷圧することにより、前記接着剤を硬化させて、板材を接合する接合方法であって、前記一対の加圧部材の内の、少なくともいずれか片方の加圧部材の加圧面の長さを、正常な厚さを有する板材の表裏面に対する前記スカーフ面の投影長さよりも、適宜寸法だけ短く設定し、専ら各板材のスカーフ面の中央を中心とする大部分を、限定的に熱圧又は冷圧することにより、接着剤の硬化を図ることを特徴とする板材の接合方法(請求項1)と、加圧部材の加圧面の中央を、各板材のスカーフ面を重ね合わせる基準位置に定めて、各板材のスカーフ面の中央乃至は略中央を、前記基準位置に合わせながら、各板材のスカーフ面を重ね合わせて成る請求項1記載の板材の接合方法(請求項2)と、双方の加圧部材とも、加圧面の長さを、正常な厚さを有する板材の表裏面に対する前記スカーフ面の投影長さよりも、適宜寸法だけ短く設定して成る請求項1又は請求項2記載の板材の接合方法(請求項3)と、片方の加圧部材のみ、加圧面の長さを、正常な厚さを有する板材の表裏面に対する前記スカーフ面の投影長さよりも、適宜寸法だけ短く設定して成る請求項1又は請求項2記載の板材の接合方法(請求項4)とを提案する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に係る板材の接合方法によれば、少なくともいずれか片方の加圧部材の加圧面の長さを、正常な厚さを有する板材の表裏面に対するスカーフ面の投影長さよりも、適宜寸法だけ短く設定し、専ら各板材のスカーフ面の中央を中心とする大部分を、限定的に熱圧又は冷圧することにより、接着剤の硬化を図るものであるから、たとえ板材の厚さや重なり具合などが、正規の条件から外れていても、少なくともいずれか片方の板材に於けるスカーフ面の端部を除いた、各板材のスカーフ面の中央を中心とする大部分には、直接的に必要十分な熱圧作用又は冷圧作用を付与することができ、また、直接的に加圧力が及ばない、少なくともいずれか片方の板材に於けるスカーフ面の端部についても、加圧部材の加圧面から最も離れている、各板材のスカーフ面の中央部へ、必要十分な熱圧作用又は冷圧作用を付与し得る熱圧期間又は冷圧期間を以ってすれば、板材自体を介して間接的に、相応の加熱作用又は冷却作用を付与し得るので、総じて、接合が不完全となる虞を解消することができる。
【0011】
他方、板材の厚さや重なり具合などが、正規の条件に合致している場合については、常に各板材のスカーフ面の両端部に、直接的に加圧力が及ばないものの、加圧部材の加圧面から最も離れている、各板材のスカーフ面の中央部へ、必要十分な熱圧作用又は冷圧作用を付与し得る熱圧期間又は冷圧期間を以ってすれば、各スカーフ面の両端部へも、板材自体を介して間接的に、相応の加熱作用又は冷却作用を付与し得るので、接着剤の硬化に著しい支障はなく、接合が不完全となる虞はない。
【0012】
尚、加圧部材の加圧面の長さを短くする寸法については、板材厚さの許容誤差、各板材のスカーフ面を重ね合わせる重合位置の許容精度、スカーフ角などの条件に適応させるように、実験に基づいて定めるのが好ましく、接合に支障が生じない許容範囲内に於て、短くする寸法を最少とするのが望ましいが、いずれにしても、本発明の請求項1に係る板材の接合方法の実施に際して、加圧部材による加圧力が直接的に及ばなくなる部分を、可及的に狭小化、分散化(スカーフ面の前後に分散)するには、請求項2に開示する如く、加圧部材の加圧面の中央を、各板材のスカーフ面を重ね合わせる基準位置に定めて、各板材のスカーフ面の中央乃至は略中央を、前記基準位置に合わせながら、各板材のスカーフ面を重ね合わせるのが好ましい。
【0013】
また、本発明の請求項1又は請求項2に係る板材の接合方法の実施に際して、請求項3に開示する如く、双方の加圧部材とも、加圧面の長さを、適宜寸法だけ短く設定する形態によれば、板材の厚さや重なり具合などの条件が、特定の要件から外れた場合であっても、板材を局部的に湾曲させることなく、加圧部材による加圧力を、各板材のスカーフ面の中央を中心とする大部分に付与することができるので、実用的に好ましいが、請求項4に開示する如く、片方の加圧部材のみ、加圧面の長さを、適宜寸法だけ短く設定する形態としても、実用的に著しい支障はない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る板材の接合方法の行程を示した行程説明図である。
【図2】本発明に係る板材の接合方法の行程を示した行程説明図である。
【図3】本発明に係る板材の接合方法の行程を示した行程説明図である。
【図4】本発明に係る板材の接合方法の行程を示した行程説明図である。
【図5】本発明に係る板材の接合方法の行程を示した行程説明図である。
【図6】本発明に係る板材の接合方法の行程を示した行程説明図である。
【図7】本発明に係る板材の接合方法の行程を示した行程説明図である。
【図8】本発明に係る板材の接合方法の行程を示した行程説明図である。
【図9】本発明に係る板材の接合方法の行程を示した行程説明図である。
【図10】板材のスカーフ面同士を重ね合わせる手段の側面説明図である。
【図11】従前の板材の接合方法に係る行程を示した行程説明図である。
【図12】従前の板材の接合方法に係る行程を示した行程説明図である。
【図13】従前の板材の接合方法に係る行程を示した行程説明図である。
【図14】従前の板材の接合方法に係る行程を示した行程説明図である。
【図15】従前の板材の接合方法に係る行程を示した行程説明図である。
【図16】従前の板材の接合方法に係る行程を示した行程説明図である。
【図17】従前の板材の接合方法に係る行程を示した行程説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を図面に例示した実施の一例と共に更に詳述するが、接合すべき双方の板材の端面を、夫々スカーフ状に形成する手段、少なくともいずれか片方の板材のスカーフ面へ、熱硬化性接着剤、熱可塑性接着剤等の適宜の接着剤を塗布する手段、双方の板材のスカーフ面同士を重ね合わせる手段、加圧部材を加熱又は冷却する手段等については、既に多くの文献、多数の実用機等を介して、種々の手段が公知となっており、本発明に於ては、それら従来公知の手段のいずれを用いても差支えないことから、説明の冗長化を避ける便宜上、前記各手段については、特段の制約なく従来公知の手段を採用できることを明記して、図示及び詳細な説明を省略する。但し、本発明の請求項2に係る板材の接合方法に直接関連する手段については、後に改めて言及する。
【実施例】
【0016】
本発明に係る板材の接合方法は、例えば図1〜図7に例示する如く、上下一対の加圧部材1、2の加圧面1a、2aの長さL1、L2を、正常な厚さt1、t2、t3、t5を有する板材A1、A2、A3、A5の表裏面に対するスカーフ面a1、a2、a3、a5の投影長さLよりも、適宜寸法αだけ短く設定し、専ら(主として)各板材のスカーフ面の中央を中心とする大部分を、限定的に熱圧又は冷圧することにより、接着剤の硬化を図るものであり、たとえ板材の厚さや重なり具合などが、正規の条件から外れていても、各板材のスカーフ面の中央を中心とする大部分には、必要十分な熱圧作用又は冷圧作用を付与し得るので、接合が不完全となる虞を解消することができる。
【0017】
詳述すると、例えば図1に例示する如く、先行する板材A1の厚さt1と、スカーフ面a2に接着剤Cが塗布された後続する板材A2の厚さt2とが、誤差なく正常値Tに揃っており、而も双方の板材A1とA2のスカーフ面a1とa2が、ぴったり重なり合う適正位置に於て重ね合わされている場合、或は例えば図2に例示する如く、接合すべき双方の板材A1とA2の厚さt1、t2が、誤差なく正常値Tに揃っており、而も双方の板材A1とA2のスカーフ面a1とa2が、適正位置よりも若干余分に重複して重ね合わされている場合等については、たとえ一対の加圧部材1、2の加圧面1a、2aの長さL1、L2が、正常な厚さTを有する板材A1、A2に形成されたスカーフ面a1、a2の投影長さ(板材の表裏面に対する投影長さ)Lよりも適宜寸法αだけ短くても、各板材A1、A2のスカーフ面a1、a2の中央を中心とする大部分には、直接的に所望通りの熱圧作用又は冷圧作用を付与することができ、また、各スカーフ面a1、a2の端部には、直接的に加圧力が及ばないものの、各スカーフ面a1、a2の中央部へ、必要十分な熱圧作用又は冷圧作用を付与し得る熱圧期間又は冷圧期間を以ってすれば、各スカーフ面a1、a2の端部へも、板材自体を介して間接的に、相応の加熱作用又は冷却作用を付与することができるので、接合に格別不都合は生じない。
【0018】
また、例えば図3に例示する如く、接合すべき板材A3又はA4のいずれか一方、例えば板材A4の厚さt4が、正常値Tに比べて誤差β1だけ厚いものの、正常な厚さt3(=T)を有する板材A3のスカーフ面a3の先端側(尖端側)と、前記板材A4のスカーフ面a4の基端側(板材本体側)とがぴったり重なり合う位置に於て重ね合わされている場合、或は例えば図4に例示する如く、接合すべき板材A5又はA6のいずれか一方、例えば板材A6の厚さt6が、正常値Tに比べて誤差β2だけ薄いものの、該板材A6のスカーフ面a6の先端側と、正常な厚さt5(=T)を有する板材A5のスカーフ面a5の基端側とがぴったり重なり合う位置に於て重ね合わされている場合等も、たとえ一対の加圧部材1、2の加圧面1a、2aの長さL1、L2が、正常な厚さTを有する板材A3、A5に形成されたスカーフ面a3、a5の投影長さLよりも適宜寸法αだけ短くても、やはり、各板材A3、A4、A5、A6のスカーフ面a3、a4、a5、a6の中央を中心とする大部分には、直接的に所望通りの熱圧作用又は冷圧作用を付与することができ、また、各スカーフ面a3、a4、a5、a6の端部には、直接的に加圧力が及ばない場合もあり得るが、各スカーフ面a3、a4、a5、a6の中央部へ、必要十分な熱圧作用又は冷圧作用を付与し得る熱圧期間又は冷圧期間を以ってすれば、各スカーフ面a3、a4、a5、a6の端部へも、板材自体を介して間接的に、相応の加熱作用又は冷却作用を付与することができるので、接合に格別不都合は生じない。
【0019】
また更に、例えば図5に例示する如く、接合すべき双方の板材A1とA2の厚さt1、t2が、誤差なく正常値Tに揃ってはいるものの、双方の板材A1とA2のスカーフ面a1とa2が、適正位置よりも若干離れた位置に於て重ね合わされている場合、或は例えば図6に例示する如く、接合すべき板材A3又はA4のいずれか一方、例えば板材A4の厚さt4が、正常値Tに比べて誤差β1だけ厚く、而も該板材A4のスカーフ面a4の基端側と、正常な厚さt3を有する板材A3のスカーフ面a3の先端側とが離れた位置に於て重ね合わされている場合、更には例えば図7に例示する如く、接合すべき板材A5又はA6のいずれか一方、例えば板材A6の厚さt6が、正常値Tに比べて誤差β2だけ薄く、而も該板材A6のスカーフ面a6の先端側と、正常な厚さt5を有する板材A5のスカーフ面a5の基端側とが離れた位置に於て重ね合わされている場合等についても、やはり、各板材A1、A2、A3、A4、A5、A6のスカーフ面a1、a2、a3、a4、a5、a6の中央を中心とする大部分には、直接的に所望通りの熱圧作用又は冷圧作用を付与することができ、また、各スカーフ面a1、a2、a3、a4、a5、a6の端部には、直接的に加圧力が及ばない場合もあり得るが、各スカーフ面a1、a2、a3、a4、a5、a6の中央部へ、必要十分な熱圧作用又は冷圧作用を付与し得る熱圧期間又は冷圧期間を以ってすれば、各スカーフ面a1、a2、a3、a4、a5、a6の端部へも、板材自体を介して間接的に、相応の加熱作用又は冷却作用を付与することができるので、接合に格別不都合は生じない。
【0020】
前記図5〜図7の図示例からも明らかな如く、一対の加圧部材の双方共に、加圧面の長さを、適宜寸法だけ短く設定する形態によれば、板材の厚さや重なり具合などの条件が、特定の要件から外れた場合であっても、板材を局部的に湾曲させることなく、加圧部材による加圧力を、各板材のスカーフ面の中央を中心とする大部分に付与することができるので、実用的に好ましいが、たとえ、片方の加圧部材のみ、加圧面の長さを、適宜寸法だけ短く設定する形態としても、実用的に著しい支障はない。
【0021】
即ち、例えば図8に例示する如く、先記図5の実施例に於ける上方の加圧部材1に代えて、正常な厚さを有する板材の表裏面に対するスカーフ面の投影長さLと同等乃至は同等以上の長さL10から成る、加圧面10aを有する加圧部材10を備える構成によると、正常な厚さt1(=T)、t2(=T)を有する板材A1とA2のスカーフ面a1とa2が、適正位置よりも若干離れた位置に於て重ね合わされている場合、或は図示は省略したが、接合すべき板材のいずれか一方、例えば後続する板材の厚さが、正常値に比べて若干厚く、而も該後続する板材のスカーフ面の基端側と、先行する正常な厚さを有する板材のスカーフ面の先端側とが離れた位置に於て重ね合わされている場合等については、各スカーフ面(a1、a2)の段差に起因して、該段差の高い箇所が加圧部材10に当接する側の板材(A2)が局部的に湾曲することになり、或は例えば図9に例示する如く、先記図7の実施例に於ける下方の加圧部材2に代えて、正常な厚さを有する板材の表裏面に対するスカーフ面の投影長さLと同等乃至は同等以上の長さL20から成る、加圧面20aを有する加圧部材20を備える構成によると、接合すべき板材A5又はA6のいずれか一方、例えば板材A6の厚さt6が、正常値Tに比べて誤差β2だけ薄く、而も該板材A6のスカーフ面a6の先端側と、正常な厚さt5を有する板材A5のスカーフ面a5の基端側とが離れた位置に於て重ね合わされている場合、或は図示は省略したが、正常な厚さを有する双方の板材の各スカーフ面が、適正位置よりも若干離れた位置に於て重ね合わされている場合等に於て、各スカーフ面(a5、a6)の段差に起因して、該段差の高い箇所が加圧部材20に当接する側の板材(A5)が局部的に湾曲することになるが、該湾曲を一時的に許容する余裕について配慮すれば、いずれの場合も、実用的に著しい支障はない。
【0022】
尚、加圧部材の加圧面の長さを短くする寸法については、板材厚さの許容誤差、各板材のスカーフ面を重ね合わせる重合位置の許容精度、板材の剛性、スカーフ角などの諸条件に適応させるように、実験に基づいて定めるのが好ましく、接合に支障が生じない許容範囲内に於て、短くする寸法を最少とするのが望ましい。また、図示は省略したが、必要に応じては、加圧部材の角部の圧接に起因する、板材の損傷を回避すべく、加圧部材の加圧面の前後に、適宜の面取り加工を施しても差支えなく、この場合の加圧面の長さとは、面取り部分の投影長さを除いた長さを指すことになるが、いずれにしても、本発明の請求項1に係る板材の接合方法の実施に際して、加圧部材による加圧力が直接的に及ばなくなる部分を、可及的に狭小化、分散化するには、請求項2に開示する如く、加圧部材の加圧面の中央を、各板材のスカーフ面を重ね合わせる基準位置に定めて、各板材のスカーフ面の中央乃至は略中央を、前記基準位置に合わせながら、各板材のスカーフ面を重ね合わせるのが好ましく、前記各実施例のように、各板材をスカーフ面の長さ方向へ間歇的に搬送しながら、順々に接合を実施する態様を採る場合には、先記特許文献1に開示される如き、位置合わせ手段を用いることにより、各板材のスカーフ面の中央乃至は略中央を、前記基準位置に合わせることができる。
【0023】
詳述すると、例えば図10に例示する如く、正常な厚さTを有する板材A1、A2に、スカーフ角度θのスカーフ面a1、a2を形成した場合は、任意定位置Mに於ける板材A1の後端側スカーフ面a1の突端(先端)から、加圧部材1の加圧面1aの中央に設定した基準位置Nまでの距離Sに対して、補正値h(=L/2)=T/2・tanθを減算した距離だけ、先行する板材A1を搬送して停止させると共に、前記任意定位置Mに於ける後続する板材A2の前端側スカーフ面a2の突端(先端)から、前記基準位置Nまでの距離Sに対して、補正値h(=L/2)=T/2・tanθを加算した距離だけ、板材A2を搬送して停止させる搬送形態によれば、たとえ、各板材A1、A2の搬送距離に若干の誤差が生じることがあっても、各板材A1、A2のスカーフ面a1、a2のほぼ中央を、前記基準位置に合わせることができ、また、図示は省略したが、正常な厚さに対して、プラス又はマイナスの若干の厚さ誤差を有する板材につても、図10の例に準じて、同様の補正値を減算若しくは加算した距離だけ、各板材を搬送して停止させる搬送形態によれば、やはり、各板材の搬送距離に若干の誤差が生じることがあっても、各板材のスカーフ面の略中央を、前記基準位置に合わせることができる。
【0024】
尚、図10に於て、図中、5は、反射型光電管式検知器等から成る板材端縁検知器であって、各板材のスカーフ面の突端が、前記任意定位置Mに到来してことを検知して、板材の搬送部材(図示省略)に付設した、サーボモータ等から成る搬送部材用の駆動源(図示省略)の作動を制御する制御機構(図示省略)に、板材の検知信号を発信する。
【0025】
因に、前記各実施例は、いずれも、各板材をスカーフ面の長さ方向と同方向へ間歇的に搬送しながら、接合を繰り返す態様であるが、本発明に係る板材の接合方法は、斯様な態様での実施のみに限定するものではなく、図示は省略したが、先記特許文献2に開示される如く、後続する板材を、スカーフ面の幅方向へ搬送してから、先行する板材のスカーフ面と、後続する板材のスカーフ面とを重ね合わせて接合すると共に、接合を終えた板材を、スカーフ面の長さ方向と同方向へ搬送する態様に於て実施することも当然可能であり、斯様な態様による場合は、正常な厚さを有して後続する板材のスカーフ面の中央と基準位置とを、当初から、機械的に一致させるのが基本であるから、接合を終えた板材を、スカーフ面の長さ方向と同方向へ搬送する際にのみ、先述の如く、先記補正値を減算した距離だけ、都度搬送するようにすれば、やはり、各板材の厚さに若干の厚さ誤差があったり、或は接合済みの板材の搬送距離に若干の誤差が生じることがあっても、各板材のスカーフ面の中央乃至は略中央を、前記基準位置に合わせることができる。
【0026】
また、本発明に係る板材の接合方法は、各板材のスカーフ面の中央乃至は略中央を、前記基準位置に合わせる態様での実施のみに限定するものではなく、図示は省略したが、各板材のスカーフ面の中央が、常に、前記基準位置よりも板材搬送方向の上手側又は下手側に幾分偏る態様であっても、板材の厚さや重なり具合などの条件が、特定の要件から外れた場合の適応性には優れるので、従前の板材の接合方法に比べれば有効であり、相応の実用性はある。
【0027】
勿論、各板材の厚さや、各板材に形成するスカーフ面の角度などについても、特段の制約はなく、更に、接着剤の種類についても特段の制約はなく、公知の種々の接着剤を、適当な塗布手段を介して、適量づつ塗布すれば足り、必要に応じては、接合すべき双方の板材のスカーフ面に、夫々塗布する態様としても差支えない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上明らかな如く、本発明に係る板材の接合方法は、各種の板材を処理対象として、実用的に不可避である板材の厚さ誤差、板材の搬送誤差等に起因する接合不良を、防止或は大幅に軽減させることを可能にしたものであり、斯界に於ける本発明の実施効果は多大である。
【符号の説明】
【0029】
1、2、10、20 :本発明の実施に用いる加圧部材
1a、2a、10a、20a :本発明の実施に用いる加圧部材の加圧面
3、4 :従前の接合方法の実施に用いる加圧部材
3a、4a :従前の接合方法の実施に用いる加圧部材の加圧面
5 :板材端縁検知器
A1〜A6、B1〜B6 :板材
a1〜a6、b1〜b6 :板材のスカーフ面
h :補正値
L :正常な厚さを有する板材のスカーフ面の投影長さ
L1、L2、L10、L20 :本発明の実施に用いる加圧部材の加圧面の長さ
L3、L4 :従前の接合方法の実施に用いる加圧部材の加圧面の長さ
M :任意定位置
N :各板材のスカーフ面を重ね合わせる基準位置
S :任意定位置から基準位置までの距離
T :板材の正常な厚さ
t1〜t6 :板材の厚さ
α :加圧部材の加圧面の長さを短くするのに適した適宜寸法
β1、β2 :板材の厚さ誤差
θ :板材のスカーフ面の角度
【技術分野】
【0001】
本発明は、板材の接合方法の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ベニヤ単板、合板、単板積層材、繊維板等の板材を処理対象とし、接合すべき双方の板材の端面を、夫々スカーフ状(斜面状)に形成すると共に、少なくともいずれか片方の板材のスカーフ面へ、熱硬化性接着剤、熱可塑性接着剤等の適宜の接着剤を塗布し、次いで、双方の板材のスカーフ面同士を重ね合わせると共に、前記接着剤の性状に適応する加熱機能又は冷却機能を具備した一対の加圧部材を用いて、板材の表裏面から、重ね合わせたスカーフ面を熱圧又は冷圧することにより、前記接着剤を硬化させて、板材を接合する接合方法が公知となっており、例えば特許文献1、特許文献2等には、ベニヤ単板を順に縦継ぎする(繊維方向と同方向へ接ぎ合わせする)技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3429378号公報
【特許文献2】特開平10−128706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、接合すべき板材は、若干の厚さ誤差を有するのが通例であり、また、各板材のスカーフ面同士を重ね合わせる際にも、板材の搬送距離の誤差等に起因して、相互の位置に若干のズレ(誤差)が生じることがあるのに対して、従来のこの種の接合方法に用いられている加圧部材は、前記各文献の図面の記載からも明らかな如く、いずれも、正常な厚さを有する板材の表裏面に対するスカーフ面の投影長さと同等乃至は同等以上の長さの加圧面を具備するものであったことから、後述する如く、板材の厚さやスカーフ面の重なり具合等の条件が、特定の要件を満たしている場合には、特に問題が発生する虞はないが、前記条件が、特定の要件から外れた場合には、所望通りの熱圧作用又は冷圧作用を奏することができず、接合が不完全となる欠点があった。
【0005】
詳述すると、例えば図11に例示する如く、先行する板材B1の厚さt1と、スカーフ面b2に接着剤Cが塗布された後続する板材B2の厚さt2とが、誤差なく正常値Tに揃っており、而も双方の板材B1とB2のスカーフ面b1とb2が、ぴったり重なり合う適正位置に於て重ね合わされている場合、或は例えば図12に例示する如く、接合すべき双方の板材B1とB2の厚さt1、t2が、誤差なく正常値Tに揃っており、而も双方の板材B1とB2のスカーフ面b1とb2が、適正位置よりも若干余分に重複して重ね合わされている場合等については、たとえ上下一対の加圧部材3、4の加圧面3a、4aの長さL3、L4が、正常な厚さTを有する板材B1、B2に形成されたスカーフ面b1、b2の投影長さ(板材の表裏面に対する投影長さ)Lと同等乃至は同等以上であっても、所望通りの熱圧作用又は冷圧作用を奏することができ、接合に格別不都合は生じない。
【0006】
また、例えば図13に例示する如く、接合すべき板材B3又はB4のいずれか一方、例えば板材B4の厚さt4が、正常値Tに比べて誤差β1だけ厚いものの、正常な厚さt3(=T)を有する板材B3のスカーフ面b3の先端側(尖端側)と、前記板材B4のスカーフ面b4の基端側(板材本体側)とがぴったり重なり合う位置に於て重ね合わされている場合、或は例えば図14に例示する如く、接合すべき板材B5又はB6のいずれか一方、例えば板材B6の厚さt6が、正常値Tに比べて誤差β2だけ薄いものの、該板材B6のスカーフ面b6の先端側と、正常な厚さt5(=T)を有する板材B5のスカーフ面b5の基端側とがぴったり重なり合う位置に於て重ね合わされている場合等も、たとえ一対の加圧部材3、4の加圧面3a、4aの長さL3、L4が、正常な厚さTを有する板材B3、B5に形成されたスカーフ面b3、b5の投影長さLと同等乃至は同等以上であっても、概ね所望通りの熱圧作用又は冷圧作用を奏することができ、接合に著しい不都合は生じない。
【0007】
ところが、例えば図15に例示する如く、接合すべき双方の板材B1とB2の厚さt1、t2が、誤差なく正常値Tに揃ってはいるものの、双方の板材B1とB2のスカーフ面b1とb2が、適正位置よりも若干離れた位置に於て重ね合わされている場合、或は例えば図16に例示する如く、接合すべき板材B3又はB4のいずれか一方、例えば板材B4の厚さt4が、正常値Tに比べて誤差β1だけ厚く、而も該板材B4のスカーフ面b4の基端側と、正常な厚さt3(=T)を有する板材B3のスカーフ面b3の先端側とが離れた位置に於て重ね合わされている場合、更には例えば図17に例示する如く、接合すべき板材B5又はB6のいずれか一方、例えば板材B6の厚さt6が、正常値Tに比べて誤差β2だけ薄く、而も該板材B6のスカーフ面b6の先端側と、正常な厚さt5(=T)を有する板材B5のスカーフ面b5の基端側とが離れた位置に於て重ね合わされている場合等にあっては、一対の加圧部材3、4の加圧面3a、4aの長さL3、L4が、正常な厚さTを有する板材B1、B2、B3、B5に形成されたスカーフ面b1、b2、b3、b5の投影長さLと同等乃至は同等以上であると、重ね合わされたスカーフ面b1とb2、或はスカーフ面b3とb4、或はスカーフ面b5とb6に、必要十分な加圧力が加わり難く、所望通りの熱圧作用又は冷圧作用を奏することができないので、結果的に、接合が不完全となる欠点があった。
【0008】
因に、述上の如き欠点の発生を回避する対処手段の一つとして、加圧部材が当接する板材の局部を押し潰すに足るほどの、強力な加圧力を以って、加圧部材を板材に押圧する手段が挙げられるが、斯様な手段を用いる為には、幅の広い加圧部材(例えばベニヤ単板を縦継ぎする場合は、合板・単板積層材等の寸法に適応する1m〜1.3m程度)に強力な加圧力を付与するに足るほどの、頑強な構造が必要となるから、接合機械が大型化し、且つ、消費エネルギも冗費される不具合が生じるのみならず、全ての接合板材に、程度の差こそあれ、加圧部材の圧痕が残存する結果となるので(最も丈夫な板材を押し潰すに足るほどの、強力な加圧力を付与すると、軟弱な板材の場合は、致命的な破壊や塑性変形が発生し易い)、接合板材の品質を劣化させる不都合も誘発する下策である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記従来の板材の接合方法に顕在する欠点を解消すべく開発したものであって、具体的には、接合すべき双方の板材の端面を、夫々スカーフ状に形成すると共に、少なくともいずれか片方の板材のスカーフ面へ、熱硬化性接着剤、熱可塑性接着剤等の適宜の接着剤を塗布し、次いで、双方の板材のスカーフ面同士を重ね合わせると共に、前記接着剤の性状に適応する加熱機能又は冷却機能を具備した一対の加圧部材を用いて、板材の表裏面から、重ね合わせたスカーフ面を熱圧又は冷圧することにより、前記接着剤を硬化させて、板材を接合する接合方法であって、前記一対の加圧部材の内の、少なくともいずれか片方の加圧部材の加圧面の長さを、正常な厚さを有する板材の表裏面に対する前記スカーフ面の投影長さよりも、適宜寸法だけ短く設定し、専ら各板材のスカーフ面の中央を中心とする大部分を、限定的に熱圧又は冷圧することにより、接着剤の硬化を図ることを特徴とする板材の接合方法(請求項1)と、加圧部材の加圧面の中央を、各板材のスカーフ面を重ね合わせる基準位置に定めて、各板材のスカーフ面の中央乃至は略中央を、前記基準位置に合わせながら、各板材のスカーフ面を重ね合わせて成る請求項1記載の板材の接合方法(請求項2)と、双方の加圧部材とも、加圧面の長さを、正常な厚さを有する板材の表裏面に対する前記スカーフ面の投影長さよりも、適宜寸法だけ短く設定して成る請求項1又は請求項2記載の板材の接合方法(請求項3)と、片方の加圧部材のみ、加圧面の長さを、正常な厚さを有する板材の表裏面に対する前記スカーフ面の投影長さよりも、適宜寸法だけ短く設定して成る請求項1又は請求項2記載の板材の接合方法(請求項4)とを提案する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に係る板材の接合方法によれば、少なくともいずれか片方の加圧部材の加圧面の長さを、正常な厚さを有する板材の表裏面に対するスカーフ面の投影長さよりも、適宜寸法だけ短く設定し、専ら各板材のスカーフ面の中央を中心とする大部分を、限定的に熱圧又は冷圧することにより、接着剤の硬化を図るものであるから、たとえ板材の厚さや重なり具合などが、正規の条件から外れていても、少なくともいずれか片方の板材に於けるスカーフ面の端部を除いた、各板材のスカーフ面の中央を中心とする大部分には、直接的に必要十分な熱圧作用又は冷圧作用を付与することができ、また、直接的に加圧力が及ばない、少なくともいずれか片方の板材に於けるスカーフ面の端部についても、加圧部材の加圧面から最も離れている、各板材のスカーフ面の中央部へ、必要十分な熱圧作用又は冷圧作用を付与し得る熱圧期間又は冷圧期間を以ってすれば、板材自体を介して間接的に、相応の加熱作用又は冷却作用を付与し得るので、総じて、接合が不完全となる虞を解消することができる。
【0011】
他方、板材の厚さや重なり具合などが、正規の条件に合致している場合については、常に各板材のスカーフ面の両端部に、直接的に加圧力が及ばないものの、加圧部材の加圧面から最も離れている、各板材のスカーフ面の中央部へ、必要十分な熱圧作用又は冷圧作用を付与し得る熱圧期間又は冷圧期間を以ってすれば、各スカーフ面の両端部へも、板材自体を介して間接的に、相応の加熱作用又は冷却作用を付与し得るので、接着剤の硬化に著しい支障はなく、接合が不完全となる虞はない。
【0012】
尚、加圧部材の加圧面の長さを短くする寸法については、板材厚さの許容誤差、各板材のスカーフ面を重ね合わせる重合位置の許容精度、スカーフ角などの条件に適応させるように、実験に基づいて定めるのが好ましく、接合に支障が生じない許容範囲内に於て、短くする寸法を最少とするのが望ましいが、いずれにしても、本発明の請求項1に係る板材の接合方法の実施に際して、加圧部材による加圧力が直接的に及ばなくなる部分を、可及的に狭小化、分散化(スカーフ面の前後に分散)するには、請求項2に開示する如く、加圧部材の加圧面の中央を、各板材のスカーフ面を重ね合わせる基準位置に定めて、各板材のスカーフ面の中央乃至は略中央を、前記基準位置に合わせながら、各板材のスカーフ面を重ね合わせるのが好ましい。
【0013】
また、本発明の請求項1又は請求項2に係る板材の接合方法の実施に際して、請求項3に開示する如く、双方の加圧部材とも、加圧面の長さを、適宜寸法だけ短く設定する形態によれば、板材の厚さや重なり具合などの条件が、特定の要件から外れた場合であっても、板材を局部的に湾曲させることなく、加圧部材による加圧力を、各板材のスカーフ面の中央を中心とする大部分に付与することができるので、実用的に好ましいが、請求項4に開示する如く、片方の加圧部材のみ、加圧面の長さを、適宜寸法だけ短く設定する形態としても、実用的に著しい支障はない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る板材の接合方法の行程を示した行程説明図である。
【図2】本発明に係る板材の接合方法の行程を示した行程説明図である。
【図3】本発明に係る板材の接合方法の行程を示した行程説明図である。
【図4】本発明に係る板材の接合方法の行程を示した行程説明図である。
【図5】本発明に係る板材の接合方法の行程を示した行程説明図である。
【図6】本発明に係る板材の接合方法の行程を示した行程説明図である。
【図7】本発明に係る板材の接合方法の行程を示した行程説明図である。
【図8】本発明に係る板材の接合方法の行程を示した行程説明図である。
【図9】本発明に係る板材の接合方法の行程を示した行程説明図である。
【図10】板材のスカーフ面同士を重ね合わせる手段の側面説明図である。
【図11】従前の板材の接合方法に係る行程を示した行程説明図である。
【図12】従前の板材の接合方法に係る行程を示した行程説明図である。
【図13】従前の板材の接合方法に係る行程を示した行程説明図である。
【図14】従前の板材の接合方法に係る行程を示した行程説明図である。
【図15】従前の板材の接合方法に係る行程を示した行程説明図である。
【図16】従前の板材の接合方法に係る行程を示した行程説明図である。
【図17】従前の板材の接合方法に係る行程を示した行程説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を図面に例示した実施の一例と共に更に詳述するが、接合すべき双方の板材の端面を、夫々スカーフ状に形成する手段、少なくともいずれか片方の板材のスカーフ面へ、熱硬化性接着剤、熱可塑性接着剤等の適宜の接着剤を塗布する手段、双方の板材のスカーフ面同士を重ね合わせる手段、加圧部材を加熱又は冷却する手段等については、既に多くの文献、多数の実用機等を介して、種々の手段が公知となっており、本発明に於ては、それら従来公知の手段のいずれを用いても差支えないことから、説明の冗長化を避ける便宜上、前記各手段については、特段の制約なく従来公知の手段を採用できることを明記して、図示及び詳細な説明を省略する。但し、本発明の請求項2に係る板材の接合方法に直接関連する手段については、後に改めて言及する。
【実施例】
【0016】
本発明に係る板材の接合方法は、例えば図1〜図7に例示する如く、上下一対の加圧部材1、2の加圧面1a、2aの長さL1、L2を、正常な厚さt1、t2、t3、t5を有する板材A1、A2、A3、A5の表裏面に対するスカーフ面a1、a2、a3、a5の投影長さLよりも、適宜寸法αだけ短く設定し、専ら(主として)各板材のスカーフ面の中央を中心とする大部分を、限定的に熱圧又は冷圧することにより、接着剤の硬化を図るものであり、たとえ板材の厚さや重なり具合などが、正規の条件から外れていても、各板材のスカーフ面の中央を中心とする大部分には、必要十分な熱圧作用又は冷圧作用を付与し得るので、接合が不完全となる虞を解消することができる。
【0017】
詳述すると、例えば図1に例示する如く、先行する板材A1の厚さt1と、スカーフ面a2に接着剤Cが塗布された後続する板材A2の厚さt2とが、誤差なく正常値Tに揃っており、而も双方の板材A1とA2のスカーフ面a1とa2が、ぴったり重なり合う適正位置に於て重ね合わされている場合、或は例えば図2に例示する如く、接合すべき双方の板材A1とA2の厚さt1、t2が、誤差なく正常値Tに揃っており、而も双方の板材A1とA2のスカーフ面a1とa2が、適正位置よりも若干余分に重複して重ね合わされている場合等については、たとえ一対の加圧部材1、2の加圧面1a、2aの長さL1、L2が、正常な厚さTを有する板材A1、A2に形成されたスカーフ面a1、a2の投影長さ(板材の表裏面に対する投影長さ)Lよりも適宜寸法αだけ短くても、各板材A1、A2のスカーフ面a1、a2の中央を中心とする大部分には、直接的に所望通りの熱圧作用又は冷圧作用を付与することができ、また、各スカーフ面a1、a2の端部には、直接的に加圧力が及ばないものの、各スカーフ面a1、a2の中央部へ、必要十分な熱圧作用又は冷圧作用を付与し得る熱圧期間又は冷圧期間を以ってすれば、各スカーフ面a1、a2の端部へも、板材自体を介して間接的に、相応の加熱作用又は冷却作用を付与することができるので、接合に格別不都合は生じない。
【0018】
また、例えば図3に例示する如く、接合すべき板材A3又はA4のいずれか一方、例えば板材A4の厚さt4が、正常値Tに比べて誤差β1だけ厚いものの、正常な厚さt3(=T)を有する板材A3のスカーフ面a3の先端側(尖端側)と、前記板材A4のスカーフ面a4の基端側(板材本体側)とがぴったり重なり合う位置に於て重ね合わされている場合、或は例えば図4に例示する如く、接合すべき板材A5又はA6のいずれか一方、例えば板材A6の厚さt6が、正常値Tに比べて誤差β2だけ薄いものの、該板材A6のスカーフ面a6の先端側と、正常な厚さt5(=T)を有する板材A5のスカーフ面a5の基端側とがぴったり重なり合う位置に於て重ね合わされている場合等も、たとえ一対の加圧部材1、2の加圧面1a、2aの長さL1、L2が、正常な厚さTを有する板材A3、A5に形成されたスカーフ面a3、a5の投影長さLよりも適宜寸法αだけ短くても、やはり、各板材A3、A4、A5、A6のスカーフ面a3、a4、a5、a6の中央を中心とする大部分には、直接的に所望通りの熱圧作用又は冷圧作用を付与することができ、また、各スカーフ面a3、a4、a5、a6の端部には、直接的に加圧力が及ばない場合もあり得るが、各スカーフ面a3、a4、a5、a6の中央部へ、必要十分な熱圧作用又は冷圧作用を付与し得る熱圧期間又は冷圧期間を以ってすれば、各スカーフ面a3、a4、a5、a6の端部へも、板材自体を介して間接的に、相応の加熱作用又は冷却作用を付与することができるので、接合に格別不都合は生じない。
【0019】
また更に、例えば図5に例示する如く、接合すべき双方の板材A1とA2の厚さt1、t2が、誤差なく正常値Tに揃ってはいるものの、双方の板材A1とA2のスカーフ面a1とa2が、適正位置よりも若干離れた位置に於て重ね合わされている場合、或は例えば図6に例示する如く、接合すべき板材A3又はA4のいずれか一方、例えば板材A4の厚さt4が、正常値Tに比べて誤差β1だけ厚く、而も該板材A4のスカーフ面a4の基端側と、正常な厚さt3を有する板材A3のスカーフ面a3の先端側とが離れた位置に於て重ね合わされている場合、更には例えば図7に例示する如く、接合すべき板材A5又はA6のいずれか一方、例えば板材A6の厚さt6が、正常値Tに比べて誤差β2だけ薄く、而も該板材A6のスカーフ面a6の先端側と、正常な厚さt5を有する板材A5のスカーフ面a5の基端側とが離れた位置に於て重ね合わされている場合等についても、やはり、各板材A1、A2、A3、A4、A5、A6のスカーフ面a1、a2、a3、a4、a5、a6の中央を中心とする大部分には、直接的に所望通りの熱圧作用又は冷圧作用を付与することができ、また、各スカーフ面a1、a2、a3、a4、a5、a6の端部には、直接的に加圧力が及ばない場合もあり得るが、各スカーフ面a1、a2、a3、a4、a5、a6の中央部へ、必要十分な熱圧作用又は冷圧作用を付与し得る熱圧期間又は冷圧期間を以ってすれば、各スカーフ面a1、a2、a3、a4、a5、a6の端部へも、板材自体を介して間接的に、相応の加熱作用又は冷却作用を付与することができるので、接合に格別不都合は生じない。
【0020】
前記図5〜図7の図示例からも明らかな如く、一対の加圧部材の双方共に、加圧面の長さを、適宜寸法だけ短く設定する形態によれば、板材の厚さや重なり具合などの条件が、特定の要件から外れた場合であっても、板材を局部的に湾曲させることなく、加圧部材による加圧力を、各板材のスカーフ面の中央を中心とする大部分に付与することができるので、実用的に好ましいが、たとえ、片方の加圧部材のみ、加圧面の長さを、適宜寸法だけ短く設定する形態としても、実用的に著しい支障はない。
【0021】
即ち、例えば図8に例示する如く、先記図5の実施例に於ける上方の加圧部材1に代えて、正常な厚さを有する板材の表裏面に対するスカーフ面の投影長さLと同等乃至は同等以上の長さL10から成る、加圧面10aを有する加圧部材10を備える構成によると、正常な厚さt1(=T)、t2(=T)を有する板材A1とA2のスカーフ面a1とa2が、適正位置よりも若干離れた位置に於て重ね合わされている場合、或は図示は省略したが、接合すべき板材のいずれか一方、例えば後続する板材の厚さが、正常値に比べて若干厚く、而も該後続する板材のスカーフ面の基端側と、先行する正常な厚さを有する板材のスカーフ面の先端側とが離れた位置に於て重ね合わされている場合等については、各スカーフ面(a1、a2)の段差に起因して、該段差の高い箇所が加圧部材10に当接する側の板材(A2)が局部的に湾曲することになり、或は例えば図9に例示する如く、先記図7の実施例に於ける下方の加圧部材2に代えて、正常な厚さを有する板材の表裏面に対するスカーフ面の投影長さLと同等乃至は同等以上の長さL20から成る、加圧面20aを有する加圧部材20を備える構成によると、接合すべき板材A5又はA6のいずれか一方、例えば板材A6の厚さt6が、正常値Tに比べて誤差β2だけ薄く、而も該板材A6のスカーフ面a6の先端側と、正常な厚さt5を有する板材A5のスカーフ面a5の基端側とが離れた位置に於て重ね合わされている場合、或は図示は省略したが、正常な厚さを有する双方の板材の各スカーフ面が、適正位置よりも若干離れた位置に於て重ね合わされている場合等に於て、各スカーフ面(a5、a6)の段差に起因して、該段差の高い箇所が加圧部材20に当接する側の板材(A5)が局部的に湾曲することになるが、該湾曲を一時的に許容する余裕について配慮すれば、いずれの場合も、実用的に著しい支障はない。
【0022】
尚、加圧部材の加圧面の長さを短くする寸法については、板材厚さの許容誤差、各板材のスカーフ面を重ね合わせる重合位置の許容精度、板材の剛性、スカーフ角などの諸条件に適応させるように、実験に基づいて定めるのが好ましく、接合に支障が生じない許容範囲内に於て、短くする寸法を最少とするのが望ましい。また、図示は省略したが、必要に応じては、加圧部材の角部の圧接に起因する、板材の損傷を回避すべく、加圧部材の加圧面の前後に、適宜の面取り加工を施しても差支えなく、この場合の加圧面の長さとは、面取り部分の投影長さを除いた長さを指すことになるが、いずれにしても、本発明の請求項1に係る板材の接合方法の実施に際して、加圧部材による加圧力が直接的に及ばなくなる部分を、可及的に狭小化、分散化するには、請求項2に開示する如く、加圧部材の加圧面の中央を、各板材のスカーフ面を重ね合わせる基準位置に定めて、各板材のスカーフ面の中央乃至は略中央を、前記基準位置に合わせながら、各板材のスカーフ面を重ね合わせるのが好ましく、前記各実施例のように、各板材をスカーフ面の長さ方向へ間歇的に搬送しながら、順々に接合を実施する態様を採る場合には、先記特許文献1に開示される如き、位置合わせ手段を用いることにより、各板材のスカーフ面の中央乃至は略中央を、前記基準位置に合わせることができる。
【0023】
詳述すると、例えば図10に例示する如く、正常な厚さTを有する板材A1、A2に、スカーフ角度θのスカーフ面a1、a2を形成した場合は、任意定位置Mに於ける板材A1の後端側スカーフ面a1の突端(先端)から、加圧部材1の加圧面1aの中央に設定した基準位置Nまでの距離Sに対して、補正値h(=L/2)=T/2・tanθを減算した距離だけ、先行する板材A1を搬送して停止させると共に、前記任意定位置Mに於ける後続する板材A2の前端側スカーフ面a2の突端(先端)から、前記基準位置Nまでの距離Sに対して、補正値h(=L/2)=T/2・tanθを加算した距離だけ、板材A2を搬送して停止させる搬送形態によれば、たとえ、各板材A1、A2の搬送距離に若干の誤差が生じることがあっても、各板材A1、A2のスカーフ面a1、a2のほぼ中央を、前記基準位置に合わせることができ、また、図示は省略したが、正常な厚さに対して、プラス又はマイナスの若干の厚さ誤差を有する板材につても、図10の例に準じて、同様の補正値を減算若しくは加算した距離だけ、各板材を搬送して停止させる搬送形態によれば、やはり、各板材の搬送距離に若干の誤差が生じることがあっても、各板材のスカーフ面の略中央を、前記基準位置に合わせることができる。
【0024】
尚、図10に於て、図中、5は、反射型光電管式検知器等から成る板材端縁検知器であって、各板材のスカーフ面の突端が、前記任意定位置Mに到来してことを検知して、板材の搬送部材(図示省略)に付設した、サーボモータ等から成る搬送部材用の駆動源(図示省略)の作動を制御する制御機構(図示省略)に、板材の検知信号を発信する。
【0025】
因に、前記各実施例は、いずれも、各板材をスカーフ面の長さ方向と同方向へ間歇的に搬送しながら、接合を繰り返す態様であるが、本発明に係る板材の接合方法は、斯様な態様での実施のみに限定するものではなく、図示は省略したが、先記特許文献2に開示される如く、後続する板材を、スカーフ面の幅方向へ搬送してから、先行する板材のスカーフ面と、後続する板材のスカーフ面とを重ね合わせて接合すると共に、接合を終えた板材を、スカーフ面の長さ方向と同方向へ搬送する態様に於て実施することも当然可能であり、斯様な態様による場合は、正常な厚さを有して後続する板材のスカーフ面の中央と基準位置とを、当初から、機械的に一致させるのが基本であるから、接合を終えた板材を、スカーフ面の長さ方向と同方向へ搬送する際にのみ、先述の如く、先記補正値を減算した距離だけ、都度搬送するようにすれば、やはり、各板材の厚さに若干の厚さ誤差があったり、或は接合済みの板材の搬送距離に若干の誤差が生じることがあっても、各板材のスカーフ面の中央乃至は略中央を、前記基準位置に合わせることができる。
【0026】
また、本発明に係る板材の接合方法は、各板材のスカーフ面の中央乃至は略中央を、前記基準位置に合わせる態様での実施のみに限定するものではなく、図示は省略したが、各板材のスカーフ面の中央が、常に、前記基準位置よりも板材搬送方向の上手側又は下手側に幾分偏る態様であっても、板材の厚さや重なり具合などの条件が、特定の要件から外れた場合の適応性には優れるので、従前の板材の接合方法に比べれば有効であり、相応の実用性はある。
【0027】
勿論、各板材の厚さや、各板材に形成するスカーフ面の角度などについても、特段の制約はなく、更に、接着剤の種類についても特段の制約はなく、公知の種々の接着剤を、適当な塗布手段を介して、適量づつ塗布すれば足り、必要に応じては、接合すべき双方の板材のスカーフ面に、夫々塗布する態様としても差支えない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上明らかな如く、本発明に係る板材の接合方法は、各種の板材を処理対象として、実用的に不可避である板材の厚さ誤差、板材の搬送誤差等に起因する接合不良を、防止或は大幅に軽減させることを可能にしたものであり、斯界に於ける本発明の実施効果は多大である。
【符号の説明】
【0029】
1、2、10、20 :本発明の実施に用いる加圧部材
1a、2a、10a、20a :本発明の実施に用いる加圧部材の加圧面
3、4 :従前の接合方法の実施に用いる加圧部材
3a、4a :従前の接合方法の実施に用いる加圧部材の加圧面
5 :板材端縁検知器
A1〜A6、B1〜B6 :板材
a1〜a6、b1〜b6 :板材のスカーフ面
h :補正値
L :正常な厚さを有する板材のスカーフ面の投影長さ
L1、L2、L10、L20 :本発明の実施に用いる加圧部材の加圧面の長さ
L3、L4 :従前の接合方法の実施に用いる加圧部材の加圧面の長さ
M :任意定位置
N :各板材のスカーフ面を重ね合わせる基準位置
S :任意定位置から基準位置までの距離
T :板材の正常な厚さ
t1〜t6 :板材の厚さ
α :加圧部材の加圧面の長さを短くするのに適した適宜寸法
β1、β2 :板材の厚さ誤差
θ :板材のスカーフ面の角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合すべき双方の板材の端面を、夫々スカーフ状に形成すると共に、少なくともいずれか片方の板材のスカーフ面へ、熱硬化性接着剤、熱可塑性接着剤等の適宜の接着剤を塗布し、次いで、双方の板材のスカーフ面同士を重ね合わせると共に、前記接着剤の性状に適応する加熱機能又は冷却機能を具備した一対の加圧部材を用いて、板材の表裏面から、重ね合わせたスカーフ面を熱圧又は冷圧することにより、前記接着剤を硬化させて、板材を接合する接合方法であって、前記一対の加圧部材の内の、少なくともいずれか片方の加圧部材の加圧面の長さを、正常な厚さを有する板材の表裏面に対する前記スカーフ面の投影長さよりも、適宜寸法だけ短く設定し、専ら各板材のスカーフ面の中央を中心とする大部分を、限定的に熱圧又は冷圧することにより、接着剤の硬化を図ることを特徴とする板材の接合方法。
【請求項2】
加圧部材の加圧面の中央を、各板材のスカーフ面を重ね合わせる基準位置に定めて、各板材のスカーフ面の中央乃至は略中央を、前記基準位置に合わせながら、各板材のスカーフ面を重ね合わせて成る請求項1記載の板材の接合方法。
【請求項3】
双方の加圧部材とも、加圧面の長さを、正常な厚さを有する板材の表裏面に対する前記スカーフ面の投影長さよりも、適宜寸法だけ短く設定して成る請求項1又は請求項2記載のスカーフ板材の接合方法。
【請求項4】
片方の加圧部材のみ、加圧面の長さを、正常な厚さを有する板材の表裏面に対する前記スカーフ面の投影長さよりも、適宜寸法だけ短く設定して成る請求項1又は請求項2記載のスカーフ板材の接合方法。
【請求項1】
接合すべき双方の板材の端面を、夫々スカーフ状に形成すると共に、少なくともいずれか片方の板材のスカーフ面へ、熱硬化性接着剤、熱可塑性接着剤等の適宜の接着剤を塗布し、次いで、双方の板材のスカーフ面同士を重ね合わせると共に、前記接着剤の性状に適応する加熱機能又は冷却機能を具備した一対の加圧部材を用いて、板材の表裏面から、重ね合わせたスカーフ面を熱圧又は冷圧することにより、前記接着剤を硬化させて、板材を接合する接合方法であって、前記一対の加圧部材の内の、少なくともいずれか片方の加圧部材の加圧面の長さを、正常な厚さを有する板材の表裏面に対する前記スカーフ面の投影長さよりも、適宜寸法だけ短く設定し、専ら各板材のスカーフ面の中央を中心とする大部分を、限定的に熱圧又は冷圧することにより、接着剤の硬化を図ることを特徴とする板材の接合方法。
【請求項2】
加圧部材の加圧面の中央を、各板材のスカーフ面を重ね合わせる基準位置に定めて、各板材のスカーフ面の中央乃至は略中央を、前記基準位置に合わせながら、各板材のスカーフ面を重ね合わせて成る請求項1記載の板材の接合方法。
【請求項3】
双方の加圧部材とも、加圧面の長さを、正常な厚さを有する板材の表裏面に対する前記スカーフ面の投影長さよりも、適宜寸法だけ短く設定して成る請求項1又は請求項2記載のスカーフ板材の接合方法。
【請求項4】
片方の加圧部材のみ、加圧面の長さを、正常な厚さを有する板材の表裏面に対する前記スカーフ面の投影長さよりも、適宜寸法だけ短く設定して成る請求項1又は請求項2記載のスカーフ板材の接合方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−274420(P2010−274420A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125924(P2009−125924)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000155182)株式会社名南製作所 (77)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000155182)株式会社名南製作所 (77)
【Fターム(参考)】
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