説明

板状フィラーを含む樹脂組成物及びフィルム

【課題】 廃棄処理性、ガスバリアー性及びプッシュスルー性等に優れたPTP用の蓋を提供する。
【解決手段】ポリプロピレン樹脂と、該ポリプロピレン樹脂100重量部に対して10〜200重量部の、平均アスペクト比が10以上で且つ平均長径が0.1〜20μmの板状フィラーとを含む、プッシュスルーパッケージの蓋用の樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプッシュスルーパッケージの蓋用の樹脂組成物及び該組成物から得られるフィルムに関する。詳細には、所定の処理を施されたクレイ(層状粘土)等の板状フィラーを含むポリプロピレン系組成物と、該組成物から得られるガスバリアー性等に優れるフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、食品等を包装するために、プッシュスルーパッケージ(PTP:Push Through Package)が広く用いられている。これは、プラスチックシートを成形してなる収納部と、通常アルミニウム箔からなる蓋部から構成される。収納部に医薬等の内容物を収納して、収納部上端の平面部と該蓋材とを接着剤を用いて加熱接着することにより、PTPが得られる。該PTPに収納された内容物は、収納部を指で押すことにより、アルミ蓋を突き破って取り出される。
【0003】
上記従来のPTPでは、蓋材がアルミ箔であり、収納部がプラスチックであるため、廃棄又はリサイクルする際に、分別処理が必要であり、煩瑣であった。そこで、蓋材もプラスチック製にすることが望まれてきたが、通常のプラスチックシートは蓋材としては強度が強過ぎて、そのままでは内容物の取り出し時のプッシュスルー性、即ち、収納部に錠剤等の内容物を充填し、蓋と接着した後の内容物の取り出し時の蓋の破れ易さを意味する。
【0004】
プラスチックシートに該プッシュスルー性を付与する方法として、シートに無機フィラー等を配合する方法が知られている(特許文献1〜4)。
【0005】
しかし、これらの文献に記載されたプラスチックシートは、アルミ箔が有する諸特性に劣る。例えば内容物の雰囲気水蒸気の吸湿や酸素による酸化を防ぐガスバリアー性に劣る。また、蓋と収納部上端の平面部と加熱等により接着する工程で、接着部の加熱効率が悪いため接着加工速度が低く生産性が低い。生産性を高めるために加熱温度を高めると、蓋及び/又は収納部の熱変形を誘発してPTP成形加工性を損ねる。さらにはプラスチックを使用した本来の目的である使用後の焼却処理においても無機フィラーが炉内に灰分として残り堆積や閉塞などを起こすため廃棄処理性が充分解決されたとは言い難い。一方、フィルムのガスバリアー性に関しては、板状のフィラーを配合することによって、水バリア性を向上する方法が提案されているが(非特許文献1)、上記のプッシュスルー性能、成形加工性等の問題がある。
【特許文献1】特開平09−058744公報
【特許文献2】特開平09−240727公報
【特許文献3】特開平10−101132公報
【特許文献4】特開平10−101133公報
【非特許文献1】豊田中研レビュー Vol.29、No.1、49‐57(1994.3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明はPTP用蓋材として好適な成形加工性及び廃棄処理性を有する樹脂組成物、該組成物から得られるガスバリアー性及びプッシュスルー性に優れたフィルム、及び、該フィルムから得られるPTP用蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、 ポリプロピレン樹脂と、該ポリプロピレン樹脂100重量部に対して10〜200重量部の、平均アスペクト比が10以上で且つ平均長径が0.1〜20μmの板状フィラーとを含む、プッシュスルーパッケージの蓋用の樹脂組成物である。
好ましくは、上記ポリプロピレン樹脂が、ポリプロピレンホモポリマー又はポリプロピレンホモポリマーとエチレン−シクロオレフィン共重合体とのブレンドである。また、上記板状フィラーが、タルク、カオリン、マイカ、クレイ、黒鉛、及びガラスフレークからなる群より選ばれることが好ましく、より好ましくは黒鉛である。
また、本発明は上記樹脂組成物からなるフィルム及び該フィルムからなるプッシュスルーパッケージの蓋である。
【発明の効果】
【0008】
上記本発明のフィルムは、ガスバリアー性、プッシュスルー性に優れ、PTPの蓋として好適である。特に、黒鉛を含むものは廃棄処理性にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で使用されるポリプロピレン樹脂は、プロピレンホモポリマーあるいはプロピレンと共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体又はブロック共重合体を包含する。これらの立体構造には特に制限はなく、イソタクチック、アタクチック、シンジオタクチックあるいはこれらの混在した構造の重合体でもかまわない。共重合可能な他の単量体としては、エチレンやブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1等の炭素数4〜12のα−オレフィン;及びジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン、エチリデンノルボルネン等のジエン類が挙げられる。ランダム共重合体としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体やプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体などが挙げられ、ブロック共重合体としては、プロピレン−エチレンブロック共重合体やリアクタータイプのポリプロピレン系エラストマーなどが挙げられる。また、これらのポリプロピレン系樹脂の2種類以上、又は、他のポリオレフィン系樹脂、例えばエチレン系単独および共重合体、ブテン系単独および共重合体、4−メチル−ペンテン−1系単独および共重合体、シクロオレフィン系単独および共重合体、等をポリプロピレン系樹脂の性質を損なわない範囲、一般に総樹脂分の40重量%以下、とのブレンドであってもよい。好ましくはポリプロピレンホモポリマー又はポリプロピレンホモポリマーとエチレン−シクロオレフィン共重合体とのブレンドが使用される。
【0010】
本発明のフィルムは、フィラーを含む。フィラーを含むことによって、樹脂組成物物の熱伝導率が高くなり、又、成形加工性も向上する。さらに、本発明におけるフィラーは、板状であることを特徴とする。球状フィラーによってもガスの透過はある程度妨害される。しかし板状フィラーは、フィルム成形時における機械方向に配向するために、得られるフィルムのガスバリアー性がより高い。また、光の透過も効率良く遮られるため、内容物の隠蔽性に優れることが見出された。即ち、従来のフィラー入りのPTPでは、蓋を通してPTPの内容物が見えるため、蓋上に印刷された表示内容が明瞭に識別できないという問題があった。これに対して、板状フィラーを含むフィルムでは、透明性が悪く内容物が見え難いので、印刷された表示を明瞭に識別できる。それと同時に、内容物の光による変質も防止される。板状には、平板状、薄片状、鱗片状を含む。該板状フィラーのアスペクト比(=フィラーの長径/フィラーの厚さ、以下、単に「アスペクト比」という)が10以上、好ましくは15以上である。アスペクト比が前記下限値未満では、ガスバリアー性の改良効果が低い。また、フィラーの長径は、約0.1〜約20μm、好ましくは0.3〜15μmである。長径が前記下限値未満ではガスバリアー性の改良効果が低く、前記上限値を超えるとポリプロピレン系樹脂フィルムの成形性、プッシュスルー性能に適した強度が得られない場合がある。なお、本発明において長径及びアスペクト比は、フィラー10粒について、実体顕微鏡により測定して平均した平均長径及び平均アスペクト比であり、以下、単に長径及びアスペクト比という。
【0011】
フィラーとしては、タルク、カオリン、マイカ、クレイ、セリサイト、ガラスフレーク、合成ハイドロタルサイト、各種金属箔、黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素、板状酸化鉄、板状炭酸カルシウム、板状水酸化アルミニウム等が挙げられる。なかでも、タルク、カオリン、マイカ、クレイ、黒鉛、及びガラスフレークが好ましく、廃棄処理をポリプロピレンと一括してできる点で黒鉛がより好ましい。
【0012】
該フィラーの添加量としては、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、10〜200重量部、好ましくは20〜180重量部である。添加量が前記下限値未満では、ガスバリアー性、プッシュスルー性、成形性の改良効果が十分ではなく、前記上限値を超えるとフィルムの強度、フィルム成形性、及び、PTP成形加工性を損ねる場合がある。樹脂中へのフィラーの分散性を向上するために、予め使用する樹脂に応じて、脂肪酸ワックス、シランカップリング剤などの表面処理を施しても良い。
【0013】
フィラーの他に、本発明のフィルムには、本発明の目的を損なわない範囲で、フィラー相溶化剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等の添加剤を適宜混合してもかまわない。
【0014】
本発明のフィルムは、公知の方法により調製することができる。例えば、ポリプロピレン系樹脂ペレット或いは粉体と板状のフィラー、所望により各種添加剤、をバンバリーミキサー等で混合分散した後、熱溶融押し出し工法、カレンダー工法、熱板プレス工法等で溶融混練し、ギャップや圧延力調整により厚さを調整してフィルムを得る。また板状フィラーの分散を向上するため、フィラーを樹脂と混合した後、2軸押出機により溶融混練して、マスターペレットを作製した後、上記フィルム成形法によりフィルム化しても良い。成形機から溶融しているポリプロピレン系樹脂フィルムを採り出す際の溶融張力がフィルム搬送速度に合わずにフィルムが破断するおそれがある場合は、別途支持フィルム材を用意し、該支持フィルムに溶融状態でポリプロピレンフィルムを仮熱接着して冷却後支持フィルムを剥離してもよい。
【0015】
本発明のポリプロピレン系樹脂フィルムの厚さは0.01〜0.2mmであり、好ましくは0.03〜0.1mmである。フィルム厚さが前記下限値未満では、ポリプロピレン系樹脂フィルムの成形性や強度、ガスバリアー性が十分ではなく、一方前記上限値を超えると、プッシュスルー性、PTP成形加工性を損ねる場合があり、また、厚みの割にはガスバリアー性が高くならず、非経済的である。
【0016】
得られたフィルムは、公知の方法によりPTPの蓋に成形することができる。収納部は、例えば、ポリプロピレンホモポリマーを熱プラグ加熱して、圧空加圧することによって成形する。該収納部の上端平面部に、本発明のフィルムを、ポケット型ロールと加熱ニップロールを用いてシールする。なお、収納部を構成する底材との接着性及び/又は表示・絵柄印刷性を向上するために、本発明のフィルムには、プロピレン−ブテン共重合体、酸、水酸基、アミノ基、エポキシ基等の官能基で変性されたポリプロピレン系樹脂、低軟化点、低結晶性もしくは低分子量のポリプロピレン系樹脂の薄いフィルムを、共押出し、押出しラミネート、熱ラミネート、コーティング等の方法により、ラミネートし、該積層されたフィルムを介して底材と接着してもよい。また、火焔処理、コロナ処理、もしくはクロム酸処理等の表面処理を施してもよい。
【0017】
以下、実施例によって、本発明をより詳細に説明する。
評価方法
(1)隠蔽性
上記成形加工性評価において作成したPTPを蓋材の上から目視観察して、錠剤の輪郭が明瞭に観察されるか否かを下記基準により評価した。
A:錠剤の輪郭が明瞭に観察されない。
B:錠剤の輪郭が明瞭に観察される。
(2)ガスバリアー性
JIS K−7129に準じて40℃90%相対湿度下でのポリプロピレン系樹脂フィルムの透湿度を測定して、以下の判定を行った。
A:0.8(g/m2)/24hr以下。
B:0.8(g/m2)/24hrを超えて5g/m2/24hr以下。
C:(g/m2)/24hrを超える。
(3)PTP成形加工性
PTP成形機により、厚さ0.4mmのポリプロピレンホモポリマーシートを、熱プラグ加熱と圧空加圧して収納部を成形し、内容物(錠剤)を装填した後、ポケット型ロールと加熱ロールのニップロールにより、該収納部の上端縁部と蓋材とをシールしてPTPを得た。ここで、PTP成形条件は、収納部成形工程熱プラグ温度180℃、シール工程加熱ロール温度230℃、機械速度3.8m/minで行った。得られたPTPの収納部の縁の接着状態を目視により、および蓋材を実際に手で持って剥離した感触および強度により評価して、以下の基準により評価した。
A:破断なく密着しており、蓋材を剥がすと切れるか一部底材に取られる等の変形を伴い大きな剥離抵抗があった。
B:破断なく密着しているが、蓋材を剥がすと蓋材の変形や破壊なく軽く剥がれた。
C:破断しているか、収納部以外の周辺にかけて密着せず浮いており、抵抗無く剥がれた。
(4)プッシュスルー性
上述の方法で得られたPTPの収納部を指で押して内容物を取出し、以下の基準により官能評価した。
A:アルミ箔系の市販PTPと同様の押出し力で破れた蓋材に引掛かることなく内容物を取り出せた
B:押出し力が大きいか、引掛かりがあるか、いずれかであったが、内容物を取り出せた
C:押出し力が大きく、かつ引掛かりがあり、内容物を容易に取り出せなかった
(5)廃棄処理性
700℃の加熱炉にポリプロピレン系樹脂フィルムを入れて燃焼させ、燃焼残量率(=燃焼残さ重量/燃焼前重量×100)測定と炉内への貼り付き状態を目視評価して、以下の判定を行った。
A:燃焼残量率が2%以下で、炉内への貼り付きなし
B:燃焼残量率が2%以下だが、炉内への貼り付きあり
C:燃焼残量率が2%を超える
(6)フィルム強度
JIS K−7127に準じて23℃下で速度5mm/minにおけるポリプロピレン系樹脂フィルムの引っ張り強度を測定して、以下の判定を行った。
A:10MPa以上
C:10MPa未満
(7)総合評価
下記基準により、総合的な評価を行った。
A:上記評価5項目においてCなし
B:上記評価5項目においてC1つ
C:上記評価5項目においてC2つ以上
【実施例1】
【0018】
ポリプロピレンホモポリマー(融点165℃)100重量部に、板状のフィラーとしてマイカ(アスペクト比40、長径15μm)50重量部、添加剤としてフェノール系酸化防止剤0.1重量部を添加して混合し、Tダイ2軸押出機を用いてシリンダー温度200℃(供給側)〜250℃(Tダイ側)、Tダイ温度240℃で溶融混練およびフィルム押出成形し、50℃のロールで冷却しながら引き取って厚さ0.20mmのポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。
【実施例2】
【0019】
板状のフィラーとしてマイカ(アスペクト比20、長径0.3μm)を100重量部添加した点、ポリプロピレン系樹脂フィルムの厚さを0.02mmとした点、該フィルム押出成形後に50℃のロールで冷却しながら、同時に厚さ100μmのPETフィルムを該冷却ロールに沿わせながら供給してポリプロピレン系樹脂フィルムを該PETフィルムと熱融着しながら積層状態で引き取って、冷却後PETフィルムを剥がした点を除き、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。
【実施例3】
【0020】
板状のフィラーとしてガラスフレーク(アスペクト比100、長径5μm)を20重量部添加し、厚さ0.05mmのポリプロピレン系樹脂フィルムとした以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。
【実施例4】
【0021】
板状のフィラーとしてガラスフレーク(アスペクト比100、長径5μm)を180重量部添加し、厚さ0.05mmのポリプロピレン系樹脂フィルムとした以外は、実施例2と同様にしてポリプロピレン系樹脂フィルムを得て
【実施例5】
【0022】
板状のフィラーとして黒鉛(アスペクト比15、長径10μm)を50重量部添加し、厚さ0.05mmのポリプロピレン系樹脂フィルムとした以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。
【実施例6】
【0023】
ポリプロピレンホモポリマー(融点165℃)70重量部とエチレン・シクロオレフィン共重合体(ガラス転移点80℃)30重量部との混合樹脂を使用した以外は、実施例5同様にしてポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。
【実施例7】
【0024】
ダイをマルチマニホールドダイに変更し、実施例5と同様にして得たポリプロピレン系樹脂フィルムと、同時にプロピレン・ブテン共重合体(軟化点107℃)を共押し出しし、各々の厚さが0.05mm、0.003mm、計0.053mmの積層ポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。PTP成形加工性、プッシュスルー性評価においては、プロピレン・ブテン共重合体側をPTP底材との接着面とした。
【実施例8】
【0025】
ポリプロピレンホモポリマーを40重量部、エチレン環状オレフィンランダムコポリマー(ガラス転移点105℃)を60重量部とした以外は実施例2と同様にポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。
【0026】
比較例1
特開平10−101133号公報記載の配合組成で、球状フィラーの炭酸カルシウム(アスペクト比1、長径2μm)20重量部を使用し、厚さ0.05mmのポリプロピレン系樹脂フィルムとした以外は、実施例2と同様にしてポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。
【0027】
参考例1
板状のフィラーとしてマイカ(アスペクト比40、長径30μm)50重量部を添加し、厚さ0.05mmのポリプロピレン系樹脂フィルムとした以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。
【0028】
参考例2
板状のフィラーとしてクレイ(アスペクト比100以上、長径0.05μm)20重量部を添加し、厚さ0.05mmのポリプロピレン系樹脂フィルムとした以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。
【0029】
参考例3
板状のフィラーとして黒鉛(アスペクト比15、長径10μm)5重量部を添加し、厚さ0.05mmのポリプロピレン系樹脂フィルムとした以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。
【0030】
参考例4
板状のフィラーとして黒鉛(アスペクト比15、長径10μm)250重量部を添加し、厚さ0.05mmのポリプロピレン系樹脂フィルムとした以外は、実施例2と同様にしてポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。
【0031】
参考例5
板状のフィラーとしてマイカ(アスペクト比20、長径0.3μm)50重量部を添加し、厚さ0.008mmのポリプロピレン系樹脂フィルムとした以外は、実施例2と同様にしてポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。PTPに作製することができず、PTP成形性は評価できなかった。
【0032】
参考例6
板状のフィラーとしてマイカ(アスペクト比20、長径0.3μm)50重量部を添加し、厚さ0.25mmのポリプロピレン系樹脂フィルムとした以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。
【0033】
下表に評価結果を示す。
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0034】
上表から分かるように、本発明の樹脂組成物から得られるフィルムは、隠蔽性、ガスバリアー性、プッシュスルー性等に優れ、PTPの蓋として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン樹脂と、該ポリプロピレン樹脂100重量部に対して10〜200重量部の、平均アスペクト比が10以上で且つ平均長径が0.1〜20μmの板状フィラーとを含む、プッシュスルーパッケージの蓋用の樹脂組成物。
【請求項2】
ポリプロピレン樹脂が、ポリプロピレンホモポリマー又はポリプロピレンホモポリマーとエチレン−シクロオレフィン共重合体とのブレンド樹脂である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
板状フィラーが、タルク、カオリン、マイカ、クレイ、黒鉛、及びガラスフレークからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の樹脂組成物。
【請求項4】
板状フィラーが、黒鉛である請求項3記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物からなり、厚さ0.01〜0.2mmを有するフィルム。
【請求項6】
請求項5記載のフィルムからなるプッシュスルーパッケージの蓋。

【公開番号】特開2006−52292(P2006−52292A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−234284(P2004−234284)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】