板状体の製造方法、燃焼筒の製造方法、ガスタービン燃焼器およびガスタービン
【課題】板状体における溝詰まりの発生を抑制し、品質および生産性の向上を図ることができる板状体の製造方法、燃焼筒の製造方法、ガスタービン燃焼器およびガスタービンを提供する。
【解決手段】一の板41における一方の面に溝61を形成する工程と、溝61の内部に充填部71を配置する工程と、一の板41における一方の面と他の板42との間に接合材81を配置し、接合材81を溶融させることにより、一の板41および他の板42を接合して流路を有する板状体33Uとする工程と、充填部71を溝61から取り除く工程と、を有することを特徴とする。
【解決手段】一の板41における一方の面に溝61を形成する工程と、溝61の内部に充填部71を配置する工程と、一の板41における一方の面と他の板42との間に接合材81を配置し、接合材81を溶融させることにより、一の板41および他の板42を接合して流路を有する板状体33Uとする工程と、充填部71を溝61から取り除く工程と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状体の製造方法、燃焼筒の製造方法、ガスタービン燃焼器およびガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン燃焼器や、ジェットエンジンや、宇宙関連機器などにおける高温環境に晒される領域の構成部材として、両表面の間に冷却流体が流れる流路を形成した板状体が使用されている。当該流路に冷却流体を流すことにより板状体が冷却されるため、上述のような高温環境に晒される領域にも板状体を用いることができる。
【0003】
例えば、ガスタービン燃焼器における燃焼筒は、約1500℃という高温環境下で使用されるため、燃焼筒は冷却機能を有する上述の板状体を用いて形成されている。
具体的には、複数枚(例えば2枚)の板状体をそれぞれ曲面状の板に形成した後に、これら曲面状の板を接合して組み立てることにより、1本の円筒状の燃焼筒が形成されている。隣接する板状体の接合には、レーザ溶接などの公知の溶接方法が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3831638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の板状体は、少なくとも一方に流路を構成する溝が形成された2枚の板を接合、例えば液相拡散接合することにより形成されている。この2枚の板を接合するプロセスで要求される品質としては、接合に用いられるロウ材による流路の詰まりが発生していないこと、2枚の板が接合していること、が挙げられる。
【0006】
接合後の板状体が上述の品質を満たしているか否か、割れの発生の有無などの確認は、超音波探傷試験や、X線写真の画像処理や、流路を流れる検査流体の流量計測などの非破壊検査によって行われている。
【0007】
このような非破壊検査の結果、流路詰まりの発生や、2枚の板の非接合発生などの品質不良が認められた場合には、当該板状体に対して補修が行われる。しかしながら、品質不良が補修不可能な程度に達している場合には、当該板状体は補修されることなく廃棄される。
【0008】
例えば、接合プロセスにおいて、2枚の板の間に配置されるロウ材の分布にばらつきがあると、流路詰まりや、非接合が発生しやすい。具体的には、ロウ材の量が多い場合には、余分なロウ材が流路内に流入して流路詰まりを発生させる原因となる一方、ロウ材の量が少ない場合には、2枚の板の非接合が発生する原因となる。
【0009】
補修を行う必要がある板状体、および、廃棄する必要がある板状体の数が増えると、板状体、および、板状体を用いて製造されるガスタービン燃焼器の製造工程に混乱が生じるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、板状体における溝詰まりの発生を抑制し、品質および生産性の向上を図ることができる板状体の製造方法、燃焼筒の製造方法、ガスタービン燃焼器およびガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の板状体の製造方法は、一の板における一方の面に溝を形成する工程と、前記溝の内部に充填部を配置する工程と、前記一の板における前記一方の面と他の板との間に接合材を配置し、当該接合材を溶融させることにより、前記一の板および前記他の板を接合して流路を有する板状体とする工程と、前記充填部を前記溝から取り除く工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、一の板および他の板を接合する際に、溶けた接合材の一部が溝、つまり流路に流入すると、溶けた接合材は流路の壁面と充填部との隙間に流入して固化する。そして当該接合の後に、流路から充填部を取り除くと、流路の内部に充填部の形状をした空洞が形成される。
【0013】
上記発明においては、前記充填部の表面には、前記接合材との接合を防止する接合防止層が設けられていることが望ましい。
【0014】
本発明によれば、接合防止層を設けていない場合と比較して、溝から充填部を取り除きやすくなる。
ここで、接合防止層としては、電解ニッケルめっきにより形成されたニッケル(Ni)層や、窒化ホウ素(BN)コーティングなどを例示することができる。
【0015】
上記発明においては、前記充填部は内部に複数の空隙を有し、溶融した前記接合材が前記空隙の内部に流入することが望ましい。
【0016】
本発明によれば、溶けて流路の壁面と充填部との隙間に流入した接合材は、さらに、充填部の内部の複数の空隙に流入して固化する。そして空隙で固化した接合材は、充填部とともに溝から取り除かれる。
【0017】
本発明の板状体の製造方法は、一の板における一方の面に溝を形成する工程と、前記一の板における前記一方の面と他の板との間に接合材を配置し、当該接合材を溶融させることにより、前記一の板および前記他の板を接合して流路を有する板状体とする工程と、前記接合材を溶融させる前に、前記溝の壁面上への溶融された前記接合材の流入を抑制する流れ防止材を、前記溝の壁面に配置する工程と、を有することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、一の板および他の板を接合する際に、溶けた接合材は流れ防止材により溝の壁面上への流入が抑制される。そのため、溶けた接合材により流路が埋められることが防止される。
【0019】
本発明の燃焼筒の製造方法は、上記本発明の板状体の製造方法により製造された前記板状体を燃焼筒の一部の形状に成形する工程と、前記成形された板状体を組み合わせて前記燃焼筒を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、上記本発明の板状体の製造方法により製造された板状体を用いて燃焼筒を製造するため、板状体における流路詰まりの発生を抑制でき、燃焼筒の品質および生産性の向上を図ることができる。
【0021】
本発明の燃焼筒の製造方法は、一の板における一方の面に溝を形成する工程と、前記溝の内部に充填部を配置する工程と、接合材を用いて前記一の板における前記一方の面に他の板を接合して流路を有する板状体とする工程と、前記板状体を燃焼筒の一部の形状に成形する工程と、前記充填部を前記溝から取り除く工程と、前記成形された板状体を組み合わせて前記燃焼筒を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、板状体を燃焼筒の一部の形状、つまり曲面状の板に形成した後に、充填部は溝から取り除かれる。言い換えると、板状体を曲面状の板に形成する際に、流路の内部に充填材が配置されているため、充填材によって流路の内部空間が保持され、流路の潰れが防止される。
【0023】
本発明のガスタービン燃焼器は、燃料を噴射するノズル部と、上記本発明の燃焼筒の製造方法により製造され、内部で空気と噴射された燃料とを混合して燃焼させる燃焼筒と、が設けられていることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、上記本発明の燃焼筒の製造方法により製造された燃焼筒を用いているため、板状体における流路詰まりの発生を抑制でき、ガスタービン燃焼器の品質および生産性の向上を図ることができる。
【0025】
本発明のガスタービンは、空気を圧縮する圧縮機と、該圧縮機から供給された圧縮空気、および、外部から供給された燃料を混合して燃焼させ燃焼ガスを生成する請求項7に記載のガスタービン燃焼器と、前記燃焼ガスが有するエネルギの一部を、回転駆動力に変換するタービン部と、前記タービン部から前記回転駆動力を前記圧縮機に伝達する回転軸と、が設けられていることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、上記本発明のガスタービン燃焼器を用いているため、板状体における流路詰まりの発生を抑制でき、ガスタービンの品質および生産性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の板状体の製造方法、燃焼筒の製造方法、ガスタービン燃焼器およびガスタービンによれば、溝の内部に充填部を配置して一の板および前記他の板を接合した後に、溝の内部から充填部を取り除くことにより、板状体における溝詰まりの発生を抑制し、品質および生産性の向上を図ることができるという効果を奏する。
溝の内部に流れ防止材を配置して一の板および前記他の板を接合することにより、板状体における溝詰まりの発生を抑制し、品質および生産性の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態のガスタービンの構成を説明する模式図である。
【図2】図1の燃焼器、タービン部、および燃焼器の構成を説明する模式図である。
【図3】図2の尾筒の構成を説明する斜視図である。
【図4】図3の尾筒を構成するパネルの構成を説明する分解図である。
【図5】図3の上面パネル等の構成を説明する断面図である。
【図6】図3の上面パネル等の構成を説明する平面視図である。
【図7】図5の外板における構成を説明する断面図である。
【図8】図7の外板の溝に流路保護部が配置された状態を説明する断面図である。
【図9】図8の流路保護部の構成を説明する模式図である。
【図10】外板と内板との接合を説明する模式図である。
【図11】外板と内板との接合を説明する模式図である。
【図12】図11の流路からの流路保護部の取り除きを説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係るガスタービンついて図1から図12を参照して説明する。
図1は、本実施形態のガスタービンの構成を説明する模式図である。
本実施形態では、図1に示すように、本発明のガスタービン1を、発電機Gを駆動するものに適用して説明するが、ガスタービン1により駆動される対象は、発電機Gに限定されるものではなく、他の機器であってもよい。
【0030】
ガスタービン1には、図1に示すように、圧縮機2と、燃焼器(ガスタービン燃焼器)3と、タービン部4と、回転軸5と、が主に設けられている。
【0031】
圧縮機2は、外部の空気である大気を吸入して圧縮し、圧縮された空気を燃焼器3に供給するものである。
圧縮機2には、図1に示すように、圧縮機2に流入する大気の流量を調節する入口案内翼(図示せず)や、流入した大気を圧縮する1段動翼(図示せず)、および1段静翼(図示せず)など、が設けられている。
【0032】
図2は、図1の燃焼器、タービン部、および燃焼器の構成を説明する模式図である。
燃焼器3は、図1および図2に示すように、圧縮機2により圧縮された空気、および、外部から供給された燃料を混合させ、混合された混合気を燃焼させることにより、高温のガスを生成するものである。
【0033】
燃焼器3は、図1および図2に示すように、圧縮機2により圧縮された空気、および、外部から供給された燃料を混合させ、燃焼させることにより、高温ガス(燃焼ガス)を生成するものである。
燃焼器3には、図2に示すように、空気入口31と、ノズル部32と、尾筒(燃焼筒)33と、が主に設けられている。
【0034】
空気入口31は、図2に示すように、圧縮機2により圧縮された空気を、尾筒33の内部に導くものであって、ノズル部32の周囲に環状に配置されたものである。さらに、空気入口31は、尾筒33の内部に流入する空気に、旋回方向の流速成分を与えるとともに、尾筒33の内部に循環流れを形成するものである。
なお、空気入口31としては、公知の形状を用いることができ、特に限定するものではない。
【0035】
ノズル部32は、図2に示すように、外部から供給された燃料を尾筒33の内部に向けて噴霧するものである。ノズル部32から噴霧された燃料は、空気入口31により形成された空気の流れ等により攪拌されて、燃料と空気との混合気となる。
なお、ノズル部32としては、公知の形状を用いることができ、特に限定するものではない。
【0036】
図3は、図2の尾筒の構成を説明する斜視図である。
尾筒33は、図2および図3に示すように、空気入口31およびノズル部32からタービン部4の流入部に向かって延びる流路を形成するものである。言い換えると、尾筒33は、その内部を、燃料と空気の混合気や、当該混合気の燃焼により生成される高温ガスが流れるものである。
【0037】
尾筒33は、ノズル部32側の断面が円状に形成され、タービン部4側の断面が矩形状に形成され、ノズル部32からタービン部4に向かって断面形状が連続して変化する筒状の部材である。
【0038】
図4は、図3の尾筒を構成するパネルの構成を説明する分解図である。
尾筒33は、図3および図4に示すように、上面パネル(板状体)33U、下面パネル(板状体)33D、右面パネル(板状体)33R、および、左面パネル(板状体)33Lから構成されているものである。
【0039】
上面パネル33Uは、尾筒33を周方向に4分割した板状の部材であって、尾筒33の上側の側面、言い換えると、燃焼器3がガスタービン1に配置された場合における径方向外側の側面を構成するものである。
上面パネル33Uの中央には、バイパス弁(図示せず)に連通する貫通孔33Hが形成されている。
【0040】
下面パネル33Dは、尾筒33を周方向に4分割した板状の部材であって、尾筒33の下側の側面、言い換えると、燃焼器3がガスタービン1に配置された場合における径方向内側の側面を構成するものである。
【0041】
右面パネル33Rは、尾筒33を周方向に4分割した板状の部材であって、尾筒33の右側の側面、言い換えると、燃焼器3がガスタービン1に配置された場合に、圧縮機2からタービン部4に向かって右側の側面を構成するものである。
【0042】
左面パネル33Lは、尾筒33を周方向に4分割した板状の部材であって、尾筒33の左側の側面、言い換えると、燃焼器3がガスタービン1に配置された場合に、圧縮機2からタービン部4に向かって左側の側面を構成するものである。
【0043】
具体的には、ノズル部32側の断面が円状に形成され、タービン部4側の断面が矩形状に形成された尾筒33を構成するために、上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33R、および、左面パネル33Lにおけるノズル部32側の断面は円弧状に形成され、タービン部4側の断面は直線状に形成されている。
【0044】
さらに、上述の上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33R、および、左面パネル33Lは、レーザ溶接により接続され、尾筒33を構成している。
具体的には、上面パネル33Uには、隣接する右面パネル33Rおよび左面パネル33Lがレーザ溶接され、下面パネル33Dには、隣接する右面パネル33Rおよび左面パネル33Lがレーザ溶接されている。
【0045】
図5は、図3の上面パネル等の構成を説明する断面図である。図6は、図3の上面パネル等の構成を説明する平面視図である。
上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33R、および、左面パネル33Lの基本的構成は同じである。
そのため、ここでは上面パネル33Uについてのみ、図5および図6を参照しながら説明し、その他の下面パネル33D、右面パネル33R、および、左面パネル33Lについては説明を省略する。
【0046】
上面パネル33Uには、図5および図6に示すように、外板(一の板)41と、内板(他の板)42と、が設けられている。
【0047】
外板41は、尾筒33の外周面側に配置された板状の部材であり、耐熱性を有する金属や合金などから形成されたものである。本実施形態ではNi基合金、例えば、トミロイ(登録商標)や、ハステロイ(登録商標)や、HA−230や、GTD−222や、IN−617や、Nimonic263などから形成されている例に適用して説明する。
外板41における内板42と対向する面には、冷却空気などの冷却媒体が流れる流路51を構成する複数の溝61が並んで形成されているとともに、外板41には複数の溝61の一部と連通する外貫通孔65が設けられている。
【0048】
溝61は、図5の断面視において、底部が円弧状に形成された溝である。このように、溝61の底部を円弧状にすることで、例えば、溝61の断面形状を矩形や台形とした場合と比較して、角部が形成されないため、応力集中が発生しにくくなる。
【0049】
なお、溝61の断面形状は、上述のように底部が円弧状に形成された形状に限られることなく、断面が矩形や台形に形成されていてもよく、特に限定するものではない。
溝61の断面形状が矩形や台形に形成されていると、底部が円弧状に形成された場合と比較して、溝61から形成される流路51の流路面積を増やすことが容易となる。
【0050】
外貫通孔65は、外板41および内板42が接合された際に形成される流路51と、尾筒33の外周面側の空間とを繋ぐ貫通孔である。
【0051】
内板42は、燃焼筒の内周面側に配置された板状の部材であり、耐熱性を有する金属や合金などから形成されたものである。本実施形態ではNi基合金、例えば、トミロイ(登録商標)や、ハステロイ(登録商標)や、HA−230や、GTD−222や、IN−617や、Nimonic263などから形成されている例に適用して説明する。
内板42は、外板41における溝61が形成された面と、ロウ付けにより拡散接合され、溝61を覆うことにより、流路51を形成するものである。
【0052】
内板42には、外板41に設けられた複数の溝61の一部と対向する位置に内貫通孔66が設けられている。
内貫通孔66は、外板41および内板42が接合された際に形成される流路51と、尾筒33の内周面側の空間とを繋ぐ貫通孔である。
【0053】
なお、本実施形態では、カン型の燃焼器3に適用して説明しているが、カン型の燃焼器3に限定されることなく、アニュラ型の燃焼器など、他の形式の燃焼器に適用してもよく、特に限定するものではない。
【0054】
タービン部4は、図1および図2に示すように、燃焼器3により生成された高温ガスの供給を受けて回転駆動力を発生させ、発生した回転駆動力を回転軸5に伝達するものである。
【0055】
回転軸5は、図1に示すように、タービン部4により発生された回転駆動力を圧縮機2および発電機Gに伝達するものである。
なお、回転軸5としては、公知の構成を用いることができ、特にその構成を限定するものではない。
【0056】
次に、本実施形態の特徴である尾筒33の製造方法について説明する。
尾筒33を製造する場合には、最初に上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33Rおよび左面パネル33Lを構成する板状体を形成し、その後に、尾筒33が形成される。
【0057】
図7は、図5の外板における構成を説明する断面図である。
具体的には、図7に示すように、平板状の外板41に溝61が切削加工される。溝61は並んで配置されるように形成されるとともに、尾筒33を構成した際に、隣接する溝同士の間隔が等しくなるように形成される。
【0058】
図8は、図7の外板の溝に流路保護部が配置された状態を説明する断面図である。図9は、図8の流路保護部の構成を説明する模式図である。
その後、図8に示すように、溝61の内部に流路保護部(充填部)71が配置される。
流路保護部71は、図9に示すように、銅を円柱状に形成した銅棒72と、銅棒72の円周面(表面)に形成されたニッケル層(接合防止層)73と、が設けられている。
ニッケル層73は、銅棒72に対して電解ニッケルめっきにより形成されたものである。
【0059】
このように流路保護部71として銅棒72を用いることで、流路保護部71の銅棒72にホウ素を吸収することができる。
ロウ材81に含まれているホウ素は、拡散接合の際に外板41および内板42に拡散する。このとき、外板41や内板42のうちホウ素の濃度が高い領域が形成されると、当該領域はホウ素により硬化してしまい、後述するプレス形成時に外板41や内板42に割れが発生するおそれがある。
そこで、上述のホウ素の一部を銅棒72に吸収させることにより、外板41や内板42の硬化を抑制して、割れの発生を防止することができる。
【0060】
さらにニッケル層73を設けることで、流路保護部71にニッケル層73を設けていない場合と比較して、流路51から流路保護部71を取り除きやすくなる。
【0061】
なお、上述のように、流路保護部71は銅棒72の表面にニッケル層73を設けたものであってもよいし、ニッケル層73の代わりに窒化ホウ素コーティング層(接合防止層)など、後述するロウ材81に対して接合しにくい性質を有する材料から形成された層が設けられたものであってもよく、特に限定するものではない。
【0062】
図10および図11は、外板と内板との接合を説明する模式図である。
次に、外板41の溝61が形成された面に、図10に示すように、内板42が接合されて上面パネル33U等を構成する板状体が形成される。
【0063】
つまり、外板41における外板41の溝61が形成された面であって、内板42と接触する部分にロウ材(接合材)81を配置し、ロウ材81を挟むように外板41および内板42が配置される。その後、図11に示すように、外板41、内板42およびロウ材81は加熱されながら、外板41および内板42が互いに接近する方向に、プレス機により押し付けられ拡散接合される。
【0064】
具体的には、外板41および内板42が互いに接近する方向に押し付けるとともに、外板41、内板42およびロウ材81を約1130℃に加熱した状態を、約7時間維持することにより、上述の拡散接合が行われる。
【0065】
ここで、ロウ材81は、融点降下元素(例えば、B、Si、P等)を含むものであり、外板41や内板42の組成に応じて選択される。外板41や内板42がNi基合金から形成されている場合には、日立金属株式会社製のNi−B8や、Metglas Inc.製のMetglas(登録商標)MBF−20 Nickel−Based Brazing Foilなどを例示することができる。
【0066】
図12は、図11の流路からの流路保護部の取り除きを説明する模式図である。
外板41および内板42が接合されると、その後に、図12に示すように、流路51(溝61の内部)から流路保護部71の取り除きが行われる。
つまり、流路51の開口端から流路保護部71が引っ張り出される。図12においては、上方に向って流路保護部71が引っ張り出される。
【0067】
本実施形態における流路保護部71の取り除きを行う際の外板41および内板42の温度は室温を例示することができるが、室温に限定されることなく、より高い温度、例えば400℃程度であってもよく、特に限定するものではない。
【0068】
このように、外板41に内板42を接合し、流路保護部71を取り除くことにより、流路51を有する板状体が形成される。
【0069】
次に、平板状の板状体をプレス成型することにより、それぞれ異なる曲面形状を有する上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33Rおよび左面パネル33Lが形成される。
【0070】
プレス形成された上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33Rおよび左面パネル33Lは、その後、尾筒33を構成するように配置されて仮合わせされる。
【0071】
仮合わせ後、上面パネル33Uおよび右面パネル33R、右面パネル33Rおよび下面パネル33D、下面パネル33Dおよび左面パネル33Lがレーザ溶接により接合され、尾筒33となる。
例えば、上面パネル33Uと、右面パネル33Rと、をレーザ溶接することにより、溶接部64において上面パネル33Uと右面パネル33Rとが接合される。
【0072】
次に、上記の構成からなるガスタービン1における一般的な運転について説明する。
ガスタービン1は、図1に示すように、圧縮機2が回転駆動されることにより大気(空気)を吸入する。吸入された大気は、圧縮機2により圧縮されるとともに、燃焼器3に向かって送り出される。
【0073】
燃焼器3に流入された圧縮された空気は、尾筒33の内部において、燃焼器3において外部から供給された燃料と混合される。空気および燃料の混合気は燃焼器3において燃焼され、燃焼熱により高温ガスが生成される。
【0074】
燃焼器3において生成された高温ガスは、尾筒33の内部を通過して、下流のタービン部4に供給される。タービン部4は高温ガスにより回転駆動され、その回転駆動力は回転軸5に伝達される。回転軸5は、タービン部4において抽出された回転駆動力を圧縮機2および発電機Gに伝達する。
【0075】
次に、本実施形態に係る流路51による冷却について説明する。
尾筒33を構成する上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33Rおよび左面パネル33Lの流路51には、外部から冷却流体である冷却空気が供給される。
冷却空気は、流路51を流れることにより、尾筒33を構成する上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33Rおよび左面パネル33Lを冷却し、燃焼熱や高温ガスの熱からこれらのパネルを保護する。
【0076】
冷却に用いられた冷却空気は、流路51から回収されてもよいし、高温ガスとともにタービン部4に供給されてもよく、特に限定するものではない。
【0077】
上記の構成によれば、外板41および内板42を接合する際に、溶けたロウ材81の一部が溝61、つまり流路51に流入すると、溶けたロウ材81は流路51の壁面と流路保護部71との隙間に流入して固化する。そして外板41および内板42の接合後に、流路51から流路保護部71を取り除くと、流路51の内部に流路保護部71の形状をした空洞が形成される。その結果、上面パネル33U等を構成する板状体における流路51の詰まり発生を抑制し、上面パネル33U等を構成する板状体、尾筒33、燃焼器3、および、ガスタービン1の品質および生産性の向上を図ることができる。
【0078】
なお、上述の実施形態のように、流路保護部71として、銅棒72およびニッケル層73から形成されたものであってもよいし、金属ワイヤを集めて棒状に形成して内部に空隙を形成したもの、例えば、銅線をより合わせて棒状に形成したものであってもよく、特に限定するものではない。
【0079】
このようにすることにより、溶けて流路51の壁面と流路保護部71との隙間に流入したロウ材81は、さらに、流路保護部71の内部の複数の空隙に流入して固化する。そして空隙で固化したロウ材81は、流路保護部71とともに流路51から取り除かれる。
【0080】
なお、上述の実施形態のように、形成された溝61の内部に流路保護部71を配置することにより、ロウ材81による流路51の詰まりを防止してもよいし、流路保護部71を配置する代わりに、溝61の壁面に溶けたロウ材81が流れ込むことを防止する流れ防止材を塗布、あるいは、配置することにより、ロウ材81による流路51の詰まりを防止してもよく、特に限定するものではない。
【0081】
流れ防止材を用いることにより、外板41および内板42を接合する際に、溶けたロウ材81は溝61の壁面上への流入が抑制される。そのため、溶けたロウ材81により流路51が埋められることを防止できる。
【0082】
〔第1の実施形態の変形例〕
次に、本発明の第1の実施形態の変形例について説明する。
本実施形態のガスタービンの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、尾筒の製造方法が異なっている。よって、本実施形態においては尾筒の製造方法のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素等には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0083】
ここで、本変形例の特徴である尾筒33の製造方法について説明する。
平板状の外板41に溝61を切削加工して、溝61の内部に流路保護部71を配置し、外板41に内板42を接合して上面パネル33U等を構成する板状体を形成する工程までは、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する(図7から図10参照。)。
【0084】
上面パネル33U等を構成する板状体が形成されると、流路51(溝61の内部)の内部に流路保護部71を配置した状態で、平板状の板状体をプレス成型することにより、それぞれ異なる曲面形状を有する上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33Rおよび左面パネル33Lが形成される。
【0085】
その後、プレス成形された上面パネル33U等の流路51の内部から流路保護部71の取り除きが行われる。
そして、上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33Rおよび左面パネル33Lは、尾筒33を構成するように配置されて仮合わせされ、レーザ溶接により接合されて尾筒33となる。
【0086】
上記の構成によれば、上面パネル33U等を構成する板状体を尾筒33の一部の形状、つまり上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33Rおよび左面パネル33Lにプレス成形した後に、流路保護部71は流路51から取り除かれる。言い換えると、上面パネル33U等を構成する板状体を上面パネル33U等にプレス成形する際に、流路51の内部に流路保護部71が配置されているため、流路保護部71によって流路51の内部空間が保持され、流路51の潰れを防止することができる。
そのため、尾筒33における流路51詰まりの発生を抑制し、品質および生産性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0087】
1 ガスタービン
2 圧縮機
3 燃焼器(ガスタービン燃焼器)
4 タービン部
5 回転軸
32 ノズル部
33 尾筒(燃焼筒)
33U 上面パネル(板状体)
33D 下面パネル(板状体)
33R 右面パネル(板状体)
33L 左面パネル(板状体)
41 外板(一の板)
42 内板(他の板)
51 流路
61 溝
71 流路保護部(充填部)
73 ニッケル層(接合防止層)
81 ロウ材(接合材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状体の製造方法、燃焼筒の製造方法、ガスタービン燃焼器およびガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン燃焼器や、ジェットエンジンや、宇宙関連機器などにおける高温環境に晒される領域の構成部材として、両表面の間に冷却流体が流れる流路を形成した板状体が使用されている。当該流路に冷却流体を流すことにより板状体が冷却されるため、上述のような高温環境に晒される領域にも板状体を用いることができる。
【0003】
例えば、ガスタービン燃焼器における燃焼筒は、約1500℃という高温環境下で使用されるため、燃焼筒は冷却機能を有する上述の板状体を用いて形成されている。
具体的には、複数枚(例えば2枚)の板状体をそれぞれ曲面状の板に形成した後に、これら曲面状の板を接合して組み立てることにより、1本の円筒状の燃焼筒が形成されている。隣接する板状体の接合には、レーザ溶接などの公知の溶接方法が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3831638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の板状体は、少なくとも一方に流路を構成する溝が形成された2枚の板を接合、例えば液相拡散接合することにより形成されている。この2枚の板を接合するプロセスで要求される品質としては、接合に用いられるロウ材による流路の詰まりが発生していないこと、2枚の板が接合していること、が挙げられる。
【0006】
接合後の板状体が上述の品質を満たしているか否か、割れの発生の有無などの確認は、超音波探傷試験や、X線写真の画像処理や、流路を流れる検査流体の流量計測などの非破壊検査によって行われている。
【0007】
このような非破壊検査の結果、流路詰まりの発生や、2枚の板の非接合発生などの品質不良が認められた場合には、当該板状体に対して補修が行われる。しかしながら、品質不良が補修不可能な程度に達している場合には、当該板状体は補修されることなく廃棄される。
【0008】
例えば、接合プロセスにおいて、2枚の板の間に配置されるロウ材の分布にばらつきがあると、流路詰まりや、非接合が発生しやすい。具体的には、ロウ材の量が多い場合には、余分なロウ材が流路内に流入して流路詰まりを発生させる原因となる一方、ロウ材の量が少ない場合には、2枚の板の非接合が発生する原因となる。
【0009】
補修を行う必要がある板状体、および、廃棄する必要がある板状体の数が増えると、板状体、および、板状体を用いて製造されるガスタービン燃焼器の製造工程に混乱が生じるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、板状体における溝詰まりの発生を抑制し、品質および生産性の向上を図ることができる板状体の製造方法、燃焼筒の製造方法、ガスタービン燃焼器およびガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の板状体の製造方法は、一の板における一方の面に溝を形成する工程と、前記溝の内部に充填部を配置する工程と、前記一の板における前記一方の面と他の板との間に接合材を配置し、当該接合材を溶融させることにより、前記一の板および前記他の板を接合して流路を有する板状体とする工程と、前記充填部を前記溝から取り除く工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、一の板および他の板を接合する際に、溶けた接合材の一部が溝、つまり流路に流入すると、溶けた接合材は流路の壁面と充填部との隙間に流入して固化する。そして当該接合の後に、流路から充填部を取り除くと、流路の内部に充填部の形状をした空洞が形成される。
【0013】
上記発明においては、前記充填部の表面には、前記接合材との接合を防止する接合防止層が設けられていることが望ましい。
【0014】
本発明によれば、接合防止層を設けていない場合と比較して、溝から充填部を取り除きやすくなる。
ここで、接合防止層としては、電解ニッケルめっきにより形成されたニッケル(Ni)層や、窒化ホウ素(BN)コーティングなどを例示することができる。
【0015】
上記発明においては、前記充填部は内部に複数の空隙を有し、溶融した前記接合材が前記空隙の内部に流入することが望ましい。
【0016】
本発明によれば、溶けて流路の壁面と充填部との隙間に流入した接合材は、さらに、充填部の内部の複数の空隙に流入して固化する。そして空隙で固化した接合材は、充填部とともに溝から取り除かれる。
【0017】
本発明の板状体の製造方法は、一の板における一方の面に溝を形成する工程と、前記一の板における前記一方の面と他の板との間に接合材を配置し、当該接合材を溶融させることにより、前記一の板および前記他の板を接合して流路を有する板状体とする工程と、前記接合材を溶融させる前に、前記溝の壁面上への溶融された前記接合材の流入を抑制する流れ防止材を、前記溝の壁面に配置する工程と、を有することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、一の板および他の板を接合する際に、溶けた接合材は流れ防止材により溝の壁面上への流入が抑制される。そのため、溶けた接合材により流路が埋められることが防止される。
【0019】
本発明の燃焼筒の製造方法は、上記本発明の板状体の製造方法により製造された前記板状体を燃焼筒の一部の形状に成形する工程と、前記成形された板状体を組み合わせて前記燃焼筒を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、上記本発明の板状体の製造方法により製造された板状体を用いて燃焼筒を製造するため、板状体における流路詰まりの発生を抑制でき、燃焼筒の品質および生産性の向上を図ることができる。
【0021】
本発明の燃焼筒の製造方法は、一の板における一方の面に溝を形成する工程と、前記溝の内部に充填部を配置する工程と、接合材を用いて前記一の板における前記一方の面に他の板を接合して流路を有する板状体とする工程と、前記板状体を燃焼筒の一部の形状に成形する工程と、前記充填部を前記溝から取り除く工程と、前記成形された板状体を組み合わせて前記燃焼筒を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、板状体を燃焼筒の一部の形状、つまり曲面状の板に形成した後に、充填部は溝から取り除かれる。言い換えると、板状体を曲面状の板に形成する際に、流路の内部に充填材が配置されているため、充填材によって流路の内部空間が保持され、流路の潰れが防止される。
【0023】
本発明のガスタービン燃焼器は、燃料を噴射するノズル部と、上記本発明の燃焼筒の製造方法により製造され、内部で空気と噴射された燃料とを混合して燃焼させる燃焼筒と、が設けられていることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、上記本発明の燃焼筒の製造方法により製造された燃焼筒を用いているため、板状体における流路詰まりの発生を抑制でき、ガスタービン燃焼器の品質および生産性の向上を図ることができる。
【0025】
本発明のガスタービンは、空気を圧縮する圧縮機と、該圧縮機から供給された圧縮空気、および、外部から供給された燃料を混合して燃焼させ燃焼ガスを生成する請求項7に記載のガスタービン燃焼器と、前記燃焼ガスが有するエネルギの一部を、回転駆動力に変換するタービン部と、前記タービン部から前記回転駆動力を前記圧縮機に伝達する回転軸と、が設けられていることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、上記本発明のガスタービン燃焼器を用いているため、板状体における流路詰まりの発生を抑制でき、ガスタービンの品質および生産性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の板状体の製造方法、燃焼筒の製造方法、ガスタービン燃焼器およびガスタービンによれば、溝の内部に充填部を配置して一の板および前記他の板を接合した後に、溝の内部から充填部を取り除くことにより、板状体における溝詰まりの発生を抑制し、品質および生産性の向上を図ることができるという効果を奏する。
溝の内部に流れ防止材を配置して一の板および前記他の板を接合することにより、板状体における溝詰まりの発生を抑制し、品質および生産性の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態のガスタービンの構成を説明する模式図である。
【図2】図1の燃焼器、タービン部、および燃焼器の構成を説明する模式図である。
【図3】図2の尾筒の構成を説明する斜視図である。
【図4】図3の尾筒を構成するパネルの構成を説明する分解図である。
【図5】図3の上面パネル等の構成を説明する断面図である。
【図6】図3の上面パネル等の構成を説明する平面視図である。
【図7】図5の外板における構成を説明する断面図である。
【図8】図7の外板の溝に流路保護部が配置された状態を説明する断面図である。
【図9】図8の流路保護部の構成を説明する模式図である。
【図10】外板と内板との接合を説明する模式図である。
【図11】外板と内板との接合を説明する模式図である。
【図12】図11の流路からの流路保護部の取り除きを説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係るガスタービンついて図1から図12を参照して説明する。
図1は、本実施形態のガスタービンの構成を説明する模式図である。
本実施形態では、図1に示すように、本発明のガスタービン1を、発電機Gを駆動するものに適用して説明するが、ガスタービン1により駆動される対象は、発電機Gに限定されるものではなく、他の機器であってもよい。
【0030】
ガスタービン1には、図1に示すように、圧縮機2と、燃焼器(ガスタービン燃焼器)3と、タービン部4と、回転軸5と、が主に設けられている。
【0031】
圧縮機2は、外部の空気である大気を吸入して圧縮し、圧縮された空気を燃焼器3に供給するものである。
圧縮機2には、図1に示すように、圧縮機2に流入する大気の流量を調節する入口案内翼(図示せず)や、流入した大気を圧縮する1段動翼(図示せず)、および1段静翼(図示せず)など、が設けられている。
【0032】
図2は、図1の燃焼器、タービン部、および燃焼器の構成を説明する模式図である。
燃焼器3は、図1および図2に示すように、圧縮機2により圧縮された空気、および、外部から供給された燃料を混合させ、混合された混合気を燃焼させることにより、高温のガスを生成するものである。
【0033】
燃焼器3は、図1および図2に示すように、圧縮機2により圧縮された空気、および、外部から供給された燃料を混合させ、燃焼させることにより、高温ガス(燃焼ガス)を生成するものである。
燃焼器3には、図2に示すように、空気入口31と、ノズル部32と、尾筒(燃焼筒)33と、が主に設けられている。
【0034】
空気入口31は、図2に示すように、圧縮機2により圧縮された空気を、尾筒33の内部に導くものであって、ノズル部32の周囲に環状に配置されたものである。さらに、空気入口31は、尾筒33の内部に流入する空気に、旋回方向の流速成分を与えるとともに、尾筒33の内部に循環流れを形成するものである。
なお、空気入口31としては、公知の形状を用いることができ、特に限定するものではない。
【0035】
ノズル部32は、図2に示すように、外部から供給された燃料を尾筒33の内部に向けて噴霧するものである。ノズル部32から噴霧された燃料は、空気入口31により形成された空気の流れ等により攪拌されて、燃料と空気との混合気となる。
なお、ノズル部32としては、公知の形状を用いることができ、特に限定するものではない。
【0036】
図3は、図2の尾筒の構成を説明する斜視図である。
尾筒33は、図2および図3に示すように、空気入口31およびノズル部32からタービン部4の流入部に向かって延びる流路を形成するものである。言い換えると、尾筒33は、その内部を、燃料と空気の混合気や、当該混合気の燃焼により生成される高温ガスが流れるものである。
【0037】
尾筒33は、ノズル部32側の断面が円状に形成され、タービン部4側の断面が矩形状に形成され、ノズル部32からタービン部4に向かって断面形状が連続して変化する筒状の部材である。
【0038】
図4は、図3の尾筒を構成するパネルの構成を説明する分解図である。
尾筒33は、図3および図4に示すように、上面パネル(板状体)33U、下面パネル(板状体)33D、右面パネル(板状体)33R、および、左面パネル(板状体)33Lから構成されているものである。
【0039】
上面パネル33Uは、尾筒33を周方向に4分割した板状の部材であって、尾筒33の上側の側面、言い換えると、燃焼器3がガスタービン1に配置された場合における径方向外側の側面を構成するものである。
上面パネル33Uの中央には、バイパス弁(図示せず)に連通する貫通孔33Hが形成されている。
【0040】
下面パネル33Dは、尾筒33を周方向に4分割した板状の部材であって、尾筒33の下側の側面、言い換えると、燃焼器3がガスタービン1に配置された場合における径方向内側の側面を構成するものである。
【0041】
右面パネル33Rは、尾筒33を周方向に4分割した板状の部材であって、尾筒33の右側の側面、言い換えると、燃焼器3がガスタービン1に配置された場合に、圧縮機2からタービン部4に向かって右側の側面を構成するものである。
【0042】
左面パネル33Lは、尾筒33を周方向に4分割した板状の部材であって、尾筒33の左側の側面、言い換えると、燃焼器3がガスタービン1に配置された場合に、圧縮機2からタービン部4に向かって左側の側面を構成するものである。
【0043】
具体的には、ノズル部32側の断面が円状に形成され、タービン部4側の断面が矩形状に形成された尾筒33を構成するために、上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33R、および、左面パネル33Lにおけるノズル部32側の断面は円弧状に形成され、タービン部4側の断面は直線状に形成されている。
【0044】
さらに、上述の上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33R、および、左面パネル33Lは、レーザ溶接により接続され、尾筒33を構成している。
具体的には、上面パネル33Uには、隣接する右面パネル33Rおよび左面パネル33Lがレーザ溶接され、下面パネル33Dには、隣接する右面パネル33Rおよび左面パネル33Lがレーザ溶接されている。
【0045】
図5は、図3の上面パネル等の構成を説明する断面図である。図6は、図3の上面パネル等の構成を説明する平面視図である。
上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33R、および、左面パネル33Lの基本的構成は同じである。
そのため、ここでは上面パネル33Uについてのみ、図5および図6を参照しながら説明し、その他の下面パネル33D、右面パネル33R、および、左面パネル33Lについては説明を省略する。
【0046】
上面パネル33Uには、図5および図6に示すように、外板(一の板)41と、内板(他の板)42と、が設けられている。
【0047】
外板41は、尾筒33の外周面側に配置された板状の部材であり、耐熱性を有する金属や合金などから形成されたものである。本実施形態ではNi基合金、例えば、トミロイ(登録商標)や、ハステロイ(登録商標)や、HA−230や、GTD−222や、IN−617や、Nimonic263などから形成されている例に適用して説明する。
外板41における内板42と対向する面には、冷却空気などの冷却媒体が流れる流路51を構成する複数の溝61が並んで形成されているとともに、外板41には複数の溝61の一部と連通する外貫通孔65が設けられている。
【0048】
溝61は、図5の断面視において、底部が円弧状に形成された溝である。このように、溝61の底部を円弧状にすることで、例えば、溝61の断面形状を矩形や台形とした場合と比較して、角部が形成されないため、応力集中が発生しにくくなる。
【0049】
なお、溝61の断面形状は、上述のように底部が円弧状に形成された形状に限られることなく、断面が矩形や台形に形成されていてもよく、特に限定するものではない。
溝61の断面形状が矩形や台形に形成されていると、底部が円弧状に形成された場合と比較して、溝61から形成される流路51の流路面積を増やすことが容易となる。
【0050】
外貫通孔65は、外板41および内板42が接合された際に形成される流路51と、尾筒33の外周面側の空間とを繋ぐ貫通孔である。
【0051】
内板42は、燃焼筒の内周面側に配置された板状の部材であり、耐熱性を有する金属や合金などから形成されたものである。本実施形態ではNi基合金、例えば、トミロイ(登録商標)や、ハステロイ(登録商標)や、HA−230や、GTD−222や、IN−617や、Nimonic263などから形成されている例に適用して説明する。
内板42は、外板41における溝61が形成された面と、ロウ付けにより拡散接合され、溝61を覆うことにより、流路51を形成するものである。
【0052】
内板42には、外板41に設けられた複数の溝61の一部と対向する位置に内貫通孔66が設けられている。
内貫通孔66は、外板41および内板42が接合された際に形成される流路51と、尾筒33の内周面側の空間とを繋ぐ貫通孔である。
【0053】
なお、本実施形態では、カン型の燃焼器3に適用して説明しているが、カン型の燃焼器3に限定されることなく、アニュラ型の燃焼器など、他の形式の燃焼器に適用してもよく、特に限定するものではない。
【0054】
タービン部4は、図1および図2に示すように、燃焼器3により生成された高温ガスの供給を受けて回転駆動力を発生させ、発生した回転駆動力を回転軸5に伝達するものである。
【0055】
回転軸5は、図1に示すように、タービン部4により発生された回転駆動力を圧縮機2および発電機Gに伝達するものである。
なお、回転軸5としては、公知の構成を用いることができ、特にその構成を限定するものではない。
【0056】
次に、本実施形態の特徴である尾筒33の製造方法について説明する。
尾筒33を製造する場合には、最初に上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33Rおよび左面パネル33Lを構成する板状体を形成し、その後に、尾筒33が形成される。
【0057】
図7は、図5の外板における構成を説明する断面図である。
具体的には、図7に示すように、平板状の外板41に溝61が切削加工される。溝61は並んで配置されるように形成されるとともに、尾筒33を構成した際に、隣接する溝同士の間隔が等しくなるように形成される。
【0058】
図8は、図7の外板の溝に流路保護部が配置された状態を説明する断面図である。図9は、図8の流路保護部の構成を説明する模式図である。
その後、図8に示すように、溝61の内部に流路保護部(充填部)71が配置される。
流路保護部71は、図9に示すように、銅を円柱状に形成した銅棒72と、銅棒72の円周面(表面)に形成されたニッケル層(接合防止層)73と、が設けられている。
ニッケル層73は、銅棒72に対して電解ニッケルめっきにより形成されたものである。
【0059】
このように流路保護部71として銅棒72を用いることで、流路保護部71の銅棒72にホウ素を吸収することができる。
ロウ材81に含まれているホウ素は、拡散接合の際に外板41および内板42に拡散する。このとき、外板41や内板42のうちホウ素の濃度が高い領域が形成されると、当該領域はホウ素により硬化してしまい、後述するプレス形成時に外板41や内板42に割れが発生するおそれがある。
そこで、上述のホウ素の一部を銅棒72に吸収させることにより、外板41や内板42の硬化を抑制して、割れの発生を防止することができる。
【0060】
さらにニッケル層73を設けることで、流路保護部71にニッケル層73を設けていない場合と比較して、流路51から流路保護部71を取り除きやすくなる。
【0061】
なお、上述のように、流路保護部71は銅棒72の表面にニッケル層73を設けたものであってもよいし、ニッケル層73の代わりに窒化ホウ素コーティング層(接合防止層)など、後述するロウ材81に対して接合しにくい性質を有する材料から形成された層が設けられたものであってもよく、特に限定するものではない。
【0062】
図10および図11は、外板と内板との接合を説明する模式図である。
次に、外板41の溝61が形成された面に、図10に示すように、内板42が接合されて上面パネル33U等を構成する板状体が形成される。
【0063】
つまり、外板41における外板41の溝61が形成された面であって、内板42と接触する部分にロウ材(接合材)81を配置し、ロウ材81を挟むように外板41および内板42が配置される。その後、図11に示すように、外板41、内板42およびロウ材81は加熱されながら、外板41および内板42が互いに接近する方向に、プレス機により押し付けられ拡散接合される。
【0064】
具体的には、外板41および内板42が互いに接近する方向に押し付けるとともに、外板41、内板42およびロウ材81を約1130℃に加熱した状態を、約7時間維持することにより、上述の拡散接合が行われる。
【0065】
ここで、ロウ材81は、融点降下元素(例えば、B、Si、P等)を含むものであり、外板41や内板42の組成に応じて選択される。外板41や内板42がNi基合金から形成されている場合には、日立金属株式会社製のNi−B8や、Metglas Inc.製のMetglas(登録商標)MBF−20 Nickel−Based Brazing Foilなどを例示することができる。
【0066】
図12は、図11の流路からの流路保護部の取り除きを説明する模式図である。
外板41および内板42が接合されると、その後に、図12に示すように、流路51(溝61の内部)から流路保護部71の取り除きが行われる。
つまり、流路51の開口端から流路保護部71が引っ張り出される。図12においては、上方に向って流路保護部71が引っ張り出される。
【0067】
本実施形態における流路保護部71の取り除きを行う際の外板41および内板42の温度は室温を例示することができるが、室温に限定されることなく、より高い温度、例えば400℃程度であってもよく、特に限定するものではない。
【0068】
このように、外板41に内板42を接合し、流路保護部71を取り除くことにより、流路51を有する板状体が形成される。
【0069】
次に、平板状の板状体をプレス成型することにより、それぞれ異なる曲面形状を有する上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33Rおよび左面パネル33Lが形成される。
【0070】
プレス形成された上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33Rおよび左面パネル33Lは、その後、尾筒33を構成するように配置されて仮合わせされる。
【0071】
仮合わせ後、上面パネル33Uおよび右面パネル33R、右面パネル33Rおよび下面パネル33D、下面パネル33Dおよび左面パネル33Lがレーザ溶接により接合され、尾筒33となる。
例えば、上面パネル33Uと、右面パネル33Rと、をレーザ溶接することにより、溶接部64において上面パネル33Uと右面パネル33Rとが接合される。
【0072】
次に、上記の構成からなるガスタービン1における一般的な運転について説明する。
ガスタービン1は、図1に示すように、圧縮機2が回転駆動されることにより大気(空気)を吸入する。吸入された大気は、圧縮機2により圧縮されるとともに、燃焼器3に向かって送り出される。
【0073】
燃焼器3に流入された圧縮された空気は、尾筒33の内部において、燃焼器3において外部から供給された燃料と混合される。空気および燃料の混合気は燃焼器3において燃焼され、燃焼熱により高温ガスが生成される。
【0074】
燃焼器3において生成された高温ガスは、尾筒33の内部を通過して、下流のタービン部4に供給される。タービン部4は高温ガスにより回転駆動され、その回転駆動力は回転軸5に伝達される。回転軸5は、タービン部4において抽出された回転駆動力を圧縮機2および発電機Gに伝達する。
【0075】
次に、本実施形態に係る流路51による冷却について説明する。
尾筒33を構成する上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33Rおよび左面パネル33Lの流路51には、外部から冷却流体である冷却空気が供給される。
冷却空気は、流路51を流れることにより、尾筒33を構成する上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33Rおよび左面パネル33Lを冷却し、燃焼熱や高温ガスの熱からこれらのパネルを保護する。
【0076】
冷却に用いられた冷却空気は、流路51から回収されてもよいし、高温ガスとともにタービン部4に供給されてもよく、特に限定するものではない。
【0077】
上記の構成によれば、外板41および内板42を接合する際に、溶けたロウ材81の一部が溝61、つまり流路51に流入すると、溶けたロウ材81は流路51の壁面と流路保護部71との隙間に流入して固化する。そして外板41および内板42の接合後に、流路51から流路保護部71を取り除くと、流路51の内部に流路保護部71の形状をした空洞が形成される。その結果、上面パネル33U等を構成する板状体における流路51の詰まり発生を抑制し、上面パネル33U等を構成する板状体、尾筒33、燃焼器3、および、ガスタービン1の品質および生産性の向上を図ることができる。
【0078】
なお、上述の実施形態のように、流路保護部71として、銅棒72およびニッケル層73から形成されたものであってもよいし、金属ワイヤを集めて棒状に形成して内部に空隙を形成したもの、例えば、銅線をより合わせて棒状に形成したものであってもよく、特に限定するものではない。
【0079】
このようにすることにより、溶けて流路51の壁面と流路保護部71との隙間に流入したロウ材81は、さらに、流路保護部71の内部の複数の空隙に流入して固化する。そして空隙で固化したロウ材81は、流路保護部71とともに流路51から取り除かれる。
【0080】
なお、上述の実施形態のように、形成された溝61の内部に流路保護部71を配置することにより、ロウ材81による流路51の詰まりを防止してもよいし、流路保護部71を配置する代わりに、溝61の壁面に溶けたロウ材81が流れ込むことを防止する流れ防止材を塗布、あるいは、配置することにより、ロウ材81による流路51の詰まりを防止してもよく、特に限定するものではない。
【0081】
流れ防止材を用いることにより、外板41および内板42を接合する際に、溶けたロウ材81は溝61の壁面上への流入が抑制される。そのため、溶けたロウ材81により流路51が埋められることを防止できる。
【0082】
〔第1の実施形態の変形例〕
次に、本発明の第1の実施形態の変形例について説明する。
本実施形態のガスタービンの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、尾筒の製造方法が異なっている。よって、本実施形態においては尾筒の製造方法のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素等には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0083】
ここで、本変形例の特徴である尾筒33の製造方法について説明する。
平板状の外板41に溝61を切削加工して、溝61の内部に流路保護部71を配置し、外板41に内板42を接合して上面パネル33U等を構成する板状体を形成する工程までは、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する(図7から図10参照。)。
【0084】
上面パネル33U等を構成する板状体が形成されると、流路51(溝61の内部)の内部に流路保護部71を配置した状態で、平板状の板状体をプレス成型することにより、それぞれ異なる曲面形状を有する上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33Rおよび左面パネル33Lが形成される。
【0085】
その後、プレス成形された上面パネル33U等の流路51の内部から流路保護部71の取り除きが行われる。
そして、上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33Rおよび左面パネル33Lは、尾筒33を構成するように配置されて仮合わせされ、レーザ溶接により接合されて尾筒33となる。
【0086】
上記の構成によれば、上面パネル33U等を構成する板状体を尾筒33の一部の形状、つまり上面パネル33U、下面パネル33D、右面パネル33Rおよび左面パネル33Lにプレス成形した後に、流路保護部71は流路51から取り除かれる。言い換えると、上面パネル33U等を構成する板状体を上面パネル33U等にプレス成形する際に、流路51の内部に流路保護部71が配置されているため、流路保護部71によって流路51の内部空間が保持され、流路51の潰れを防止することができる。
そのため、尾筒33における流路51詰まりの発生を抑制し、品質および生産性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0087】
1 ガスタービン
2 圧縮機
3 燃焼器(ガスタービン燃焼器)
4 タービン部
5 回転軸
32 ノズル部
33 尾筒(燃焼筒)
33U 上面パネル(板状体)
33D 下面パネル(板状体)
33R 右面パネル(板状体)
33L 左面パネル(板状体)
41 外板(一の板)
42 内板(他の板)
51 流路
61 溝
71 流路保護部(充填部)
73 ニッケル層(接合防止層)
81 ロウ材(接合材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の板における一方の面に溝を形成する工程と、
前記溝の内部に充填部を配置する工程と、
前記一の板における前記一方の面と他の板との間に接合材を配置し、当該接合材を溶融させることにより、前記一の板および前記他の板を接合して流路を有する板状体とする工程と、
前記充填部を前記溝から取り除く工程と、
を有することを特徴とする板状体の製造方法。
【請求項2】
前記充填部の表面には、前記接合材との接合を防止する接合防止層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の板状体の製造方法。
【請求項3】
前記充填部は内部に複数の空隙を有し、溶融した前記接合材が前記空隙の内部に流入することを特徴とする請求項1記載の板状体の製造方法。
【請求項4】
一の板における一方の面に溝を形成する工程と、
前記一の板における前記一方の面と他の板との間に接合材を配置し、当該接合材を溶融させることにより、前記一の板および前記他の板を接合して流路を有する板状体とする工程と、
前記接合材を溶融させる前に、前記溝の壁面上への溶融された前記接合材の流入を抑制する流れ防止材を、前記溝の壁面に配置する工程と、
を有することを特徴とする板状体の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の板状体の製造方法により製造された前記板状体を燃焼筒の一部の形状に成形する工程と、
前記成形された板状体を組み合わせて前記燃焼筒を形成する工程と、
を有することを特徴とする燃焼筒の製造方法。
【請求項6】
一の板における一方の面に溝を形成する工程と、
前記溝の内部に充填部を配置する工程と、
接合材を用いて前記一の板における前記一方の面に他の板を接合して流路を有する板状体とする工程と、
前記板状体を燃焼筒の一部の形状に成形する工程と、
前記充填部を前記溝から取り除く工程と、
前記成形された板状体を組み合わせて前記燃焼筒を形成する工程と、
を有することを特徴とする燃焼筒の製造方法。
【請求項7】
燃料を噴射するノズル部と、
請求項5または請求項6に記載の燃焼筒の製造方法により製造され、内部で空気と噴射された燃料とを混合して燃焼させる燃焼筒と、
が設けられていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項8】
空気を圧縮する圧縮機と、
該圧縮機から供給された圧縮空気、および、外部から供給された燃料を混合して燃焼させ燃焼ガスを生成する請求項7に記載のガスタービン燃焼器と、
前記燃焼ガスが有するエネルギの一部を、回転駆動力に変換するタービン部と、
前記タービン部から前記回転駆動力を前記圧縮機に伝達する回転軸と、
が設けられていることを特徴とするガスタービン。
【請求項1】
一の板における一方の面に溝を形成する工程と、
前記溝の内部に充填部を配置する工程と、
前記一の板における前記一方の面と他の板との間に接合材を配置し、当該接合材を溶融させることにより、前記一の板および前記他の板を接合して流路を有する板状体とする工程と、
前記充填部を前記溝から取り除く工程と、
を有することを特徴とする板状体の製造方法。
【請求項2】
前記充填部の表面には、前記接合材との接合を防止する接合防止層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の板状体の製造方法。
【請求項3】
前記充填部は内部に複数の空隙を有し、溶融した前記接合材が前記空隙の内部に流入することを特徴とする請求項1記載の板状体の製造方法。
【請求項4】
一の板における一方の面に溝を形成する工程と、
前記一の板における前記一方の面と他の板との間に接合材を配置し、当該接合材を溶融させることにより、前記一の板および前記他の板を接合して流路を有する板状体とする工程と、
前記接合材を溶融させる前に、前記溝の壁面上への溶融された前記接合材の流入を抑制する流れ防止材を、前記溝の壁面に配置する工程と、
を有することを特徴とする板状体の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の板状体の製造方法により製造された前記板状体を燃焼筒の一部の形状に成形する工程と、
前記成形された板状体を組み合わせて前記燃焼筒を形成する工程と、
を有することを特徴とする燃焼筒の製造方法。
【請求項6】
一の板における一方の面に溝を形成する工程と、
前記溝の内部に充填部を配置する工程と、
接合材を用いて前記一の板における前記一方の面に他の板を接合して流路を有する板状体とする工程と、
前記板状体を燃焼筒の一部の形状に成形する工程と、
前記充填部を前記溝から取り除く工程と、
前記成形された板状体を組み合わせて前記燃焼筒を形成する工程と、
を有することを特徴とする燃焼筒の製造方法。
【請求項7】
燃料を噴射するノズル部と、
請求項5または請求項6に記載の燃焼筒の製造方法により製造され、内部で空気と噴射された燃料とを混合して燃焼させる燃焼筒と、
が設けられていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項8】
空気を圧縮する圧縮機と、
該圧縮機から供給された圧縮空気、および、外部から供給された燃料を混合して燃焼させ燃焼ガスを生成する請求項7に記載のガスタービン燃焼器と、
前記燃焼ガスが有するエネルギの一部を、回転駆動力に変換するタービン部と、
前記タービン部から前記回転駆動力を前記圧縮機に伝達する回転軸と、
が設けられていることを特徴とするガスタービン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−274311(P2010−274311A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130520(P2009−130520)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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