説明

板状被処理材の取扱装置

【課題】他の装置との非干渉領域を拡大して作業性と安全性を大幅に改善する板状被処理材の取扱装置を提供する。
【解決手段】水平走行本体HSに旋回ポストCPを装着し、旋回ポストCPに水平旋回アームCAを装着し、その先端に旋回首振可能に横断面がコ字型の竪フレームTFを連結装着し、竪フレームTFの下端部に長尺ボックスTBを傾動可能に装着する回動駆動連結機構XKを設け、長尺ボックスTBに板状被処理材Wの下端縁と上端縁を上下の挟持爪HTで挟持支持・開放する挟持爪機構KKを装着し、挟持爪機構KKは、長尺ボックスTB内に上下駆動機構を内装し、長尺ボックスTBの外側の縦長手方向に移動可能に左右一対の爪保持リングTRを設け、爪保持リングTRの前面に上下一対の挟持爪HTを装着し、爪保持リングTRの後部を長尺ボックスTBの後側からボックスTB内に挿入し挿入部をスクリューに連結してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は板状被処理材を常に縦状態にして平面的占有領域を必要最小にして安全迅速正確に可能とする板状被処理材の取扱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
板状の被処理材を多数の連続処理工程で所定の処理を自動的に順次施すには、各工程における該被処理材の所定の姿勢、高さ等に正確に調整し且つ維持しながら移載し、受け渡し、搬送する所謂移載装置が不可欠である。
例えば、板状の被処理材を、前工程から受け取り、それを所定の各処理ポジションに受け渡し、各種の処理を施した後に後工程に渡す等の移載装置は、前工程と後工程間において、(1),前工程のアンローダー部と後工程のローダー部に対して所定サイズの被処理材を直接載置部に移載するための載置部平面拡縮動作と昇降動作、(2),前工程と後工程間の被処理材搬送走行動作、(3),被処理材を処理ポジションに受け渡しするための旋回動作、昇降動作、前後動作などの精密動作機能が要求される。
板状の被処理材例えばマザーガラス(液晶用のフォトマスクガラス以下マザーガラスと言う)等の取扱装置は、マザーガラスが重量体のため堅牢でしかも迅速正確に精度良いマザーガラスの位置管理が要求される。
【0003】
而して、従来の代表的装置は、レール式搬送走行装置の基部中央に、旋回用回転縦軸装置を介して、平行シフトリンク機構式昇降装置を設け、これの上部リンク軸支持部材にパンタグラフリンク式平面前後動装置の後部軸着部材を装着し、拡縮リンク(パンタグラフ)式の平面前後動装置の全部軸着部材に板状被処理材の水平載置用水平アーム2本の後部を片支持装着したものである。
【0004】
しかし、従来のマザーガラス等の板状被処理材の取扱装置は、上記のニーズから大型なものとなりがちで、しかもマザーガラスを常に水平状態にして取り扱うため、平面的占有領域が広く、迅速正確なマザーガラスの取り扱いが困難で効率が悪く、且つ前後工程や近傍の機器との干渉トラブルが惹起する。
つまり前記した従来例の移載装置は、走行レールに挟持ガイドを摺動装着した走行台車に設けた平行シフトリンク機構式昇降装置とそれの上に旋回用回転縦軸装置とが複雑構造でそれ自体の高さ占有領域が大きいため、載置用の一対の水平アームの昇降下限位置がこれで制約を受け走行フロアレベルから大きく離れた高い位置となり昇降デッドゾーンが大きく昇降自由度が狭い。
【0005】
また平行シフトリンク機構式昇降装置は、上中下3本の水平主軸で上下主リンク棹を連結し、各主リンク棹に平行な上下補助リンク棹を対応する上中下部リンク軸支持部材に各1本の水平補助軸、で連結した複雑な機構であるため、上方の載置用水平アームに板状被処理材を載置した際の加重に対する緩衝変形量が大きく、載置用水平アームを前傾変位させる結果、板状被処理材の取り扱い重量が大きく制約される。このことは左右各一対の前後リンク棹を接近離間用の鉛直主軸で連結した拡縮リンク式平面前後動装置によっても同様な問題が発生するため該重量制限が更に厳しく液晶用の大型のフォトマスクガラス等の移載は困難である。
【0006】
上記の構造に起因する問題は、移載装置自体の搬送走行動作、旋回動作、昇降動作、前後動作などによる該被処理材の姿勢、高さ調整精度の低下に繋がり、正確に所定値にすること及びそれを維持することが困難であり、水平状にした板状被処理材の不安定な取り扱いを余儀なくされる。
【0007】
そこで本発明者等は次の課題を掲げて特許文献1に紹介の板状被処理材の取扱装置を開発した。
(1)、平面的占有領域を必要最小にするため板状被処理材を常に縦状態にして前工程から受け取り、装置内で収容保持し、搬送走行し、中間工程に受け渡し、次工程に移載することを安全迅速正確に可能とする機構を採用し板状被処理材の取扱装置を提供する。
(2)、また取扱装置自体の搬送走行動作、旋回動作、昇降動作、前後動作などによる該被処理材の3次元位置管理を正確に把握して、該被処理材の姿勢、高さ調整の各位置制御精度を向上させ、正確に所定位置及び姿勢値にすること及びそれを維持し、板状被処理材の極めて安定したしかも精度の良い前記各種取り扱い動作を可能にすること。
(3)、しかも板状被処理材の挟持爪機構は、駆動・作動要部から塵埃が発生してもそれの外部飛散を確実に防止して、板状被処理材の塵埃汚染を未然に防止する機構を提供する。
(4)、さらに取り扱う板状被処理材のサイズ構成及び重量を格段に広げて挟持支持可能領域を幅広く確保すること。
【0008】
この板状被処理材の取扱装置の構成は、図5に示す如く、水平走行本体HSに旋回ポストCPを装着し、旋回ポストCPに回転肘EBつき水平旋回アームCAを装着し、回転肘つき水平旋回アームCAの先端に旋回首振可能にL型の竪フレームTFを縦軸TJにより軸装着し、竪フレームTFの下部に長尺ボックスTBの下部を横軸で連結すると共に竪フレームTFの上部に長尺ボックスTBの中央部をスクリュー式前後駆動機構SKとユニバーサル式連結機構URとからなる前後回動駆動連結機構FBで連結装着し、長尺ボックスTBに板状被処理材の下端縁と上端縁を上下の挟持爪HTで挟持支持・開放する挟持爪機構を装着し、挟持爪機構は、長尺ボックスTB内にモータJK1とスクリューJK2式の上下駆動機構JKを内装し、長尺ボックスTBの外側の縦長手方向に移動可能に上下一対の爪保持リングTRを設け、各爪保持リングTRの前面に挟持爪HTを装着し、爪保持リングTRの後部を長尺ボックスTBの後側からボックスTB内に挿入し上記の上下駆動機構JKのスクリューJK2に連結してなる。また、旋回ポストCPと回転肘つき水平旋回アームCAと竪フレームTFの各水平旋回装着部にエンコーダと電磁ブレーキを付設してなるものであった。
【0009】
上記構成による基本的な板状被処理材の移載操作は、前部の竪フレームTFに設けた操作台付の操作ハンドルを作業員が握って手動操作するが、前記水平旋回アームCAの中間と先端の各関節に設けた上記エンコーダを活用して、予め入力されている操作軌跡に基づいて移載操作し、また稼動可能な安全領域を登録しておくことにより、その範囲外にはみ出そうとした際は、電磁ブレーキにより稼動を停止させ他の装置等との衝突を未然に防止することが出来るものである。
【0010】
一方、他の装置との受け渡しは、支持台を用いて挟持爪機構で支持した板状被処理材を垂直状態にしたまま或いは斜めに傾斜させた状態で所定の高さにして行うようになっているが、ある程度までの大きさのマザーガラスであれば支持台の高さを変更することなくマザーガラスを下基準にて設置する装置に、又は中心基準にて設置する装置に、又はその両方の装置への受け渡しが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開5008−280147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながらこの板状被処理材の取扱装置は、受け取り装置への受け渡しにおいて次の課題が発生した。
受け取り装置への板状被処理材の受け渡しにおける長尺ボックスの操作は、首振の竪フレームの中央部と長尺ボックスの背面に連結装着した前後回動駆動連結機構によって行うが、板状被処理材の受け渡しパターンが垂直状態から所定の傾斜状態にするパターン以外に、垂直状態から水平状態にするパターンが加わる等多義に亘る状況にある。更に板状被処理材のサイズ構成も多種多様である趨勢の中で、長尺ボックスの傾動速度に限界があり迅速な受け渡しが困難になってきた。
また、板状被処理材を挟持爪機構で支持する長尺ボックスの前後回動駆動連結機構は、スクリュー式前後駆動機構とユニバーサル式連結機構とからなる複雑構造でしかも竪フレームの中央部と長尺ボックス背面中央部との間に常に延在するため長尺ボックスを傾動中及び傾斜した状態での旋回動作においては前後回動駆動連結機構自体の移動スペースが必要となりこれがデッドゾーンを形成し他の装置との干渉領域となるために非干渉領域が狭く作業性と安全性の改善が急務となった。更に、特に広面積で薄手の板状被処理材の取り扱いは、傾動作動中に左右、前後の振動が発生することもあり、板状被処理材への品質への影響、及び安全性への配慮も一段と厳しいものになっている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明はこの課題を克服する優れた板状被処理材の取扱装置を提供するものでありその特徴とするところは次の(1)のとおりである。
(1)、水平走行本体(HS)に旋回ポスト(CP)を装着し、旋回ポスト(CP)に回転肘つき水平旋回アーム(CA)を装着し、回転肘つき水平旋回アーム(CA)の先端に旋回首振の竪フレーム(TF)を装着し、竪フレーム(TF)に長尺ボックスTBを傾動可能に装着し、長尺ボックス(TB)に板状被処理材(Wの下端と上端を上下の挟持爪(HT)で挟持支持・開放する挟持爪機構を装着してなる板状被処理材の取扱装置において、前記竪フレーム(TF)の下部に設置して長尺ボックスTBの下端部を中心に回転傾斜させる回動駆動連結機構XKとして、前記竪フレーム(TF)の前部の下部に両側部に亘る回転支承軸(100)と、前記回転支承軸(100)に回転可能に連結し前記長尺ボックス(TB)の下部を固定支承する軸受け部(TBJ)と、前記軸受け部(TBJ)の軸方向の両側部に一端部を固定連結して並列配置した一対のクランクアーム(300)と、前記クランクアーム(300)の他端部に前端部を回転可能に軸連結したピストンシャフト(200)と、前記ピストンシャフト(200)の後端部に軸連結したピストンシャフト軸受部材(400)と、前記ピストンシャフト軸受部材(400)の両側の上下に設けた被ガイド部材(500)と、前記被ガイド部材(500)の各々を前後水平摺動自在に嵌合装着し互いに平行関係に設けた二対のガイドレール(600)と、前記ガイドレール(600)と平行に設けられ前記ピストンシャフト軸受部材(400)の下部に螺合連結して回転により前記ピストンシャフト軸受部材(400)を水平に前進・後退させるスクリューシャフト(700)と、前記スクリューシャフト(700)に連結して回転作動させる正逆回転駆動装置(800)とを設けたことを特徴とする板状被処理材の取扱装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明の板状被処理材の取扱装置において、板状被処理材を挟持爪機構で支持する長尺ボックスの回動駆動連結機構XKは、前記堅牢簡易な構成により、板状被処理材(W)を含む長尺ボックス(TB)の荷重を軸受け部(TBJ)を介して回転支承軸(100)により安定支承し、長尺ボックス(TB)の傾動駆動負荷は一対のクランクアーム(300)に左右均等に受け、これをピストンシャフト(200)の前部軸着部から後部軸着部及びピストンシャフト軸受部材(400)を介してピストンシャフト軸受部材(400)の両側上下部の二対の被ガイド部材(500)とガイドレール(600)とスクリューシャフト(700)に均等に分散緩衝支承して受けて、長尺ボックス(TB)がその傾動中及び停止時に左右及び前後に揺動することを確実に防止して板状被処理材を安全確実に保持して落下事故等を防止するものである。
これにより長尺ボックスの前記回動駆動連結機構は、長尺ボックスの微細な傾動操作と傾動速度の高速化を正確に可能にし、他の装置への迅速で正確安全な受け渡しを可能にしたので、多種多様な板状被処理材の多義な受け渡しパターンの実行を品質に悪影響を与えることなく実現し、しかも竪フレームと長尺ボックス背面との間にデッドゾーン形成を皆無にした完全な自由空間を確保して他の装置との非干渉領域を拡大して作業性と安全性を大幅に改善したものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例の全体を示す側面説明図である。
【図2】図1の要部:長尺ボックスの回動駆動連結機構を示す側断面説明図である。
【図3】長尺ボックスの回動駆動連結機構の部材構成を簡易に示す説明図であり、(1)は図2と同様の側断面説明図であり、(2)は(1)の矢視A−Aから見た横断面説明図であり、(3)は(1)の矢視B−Bから見た正逆回転駆動装置の伝動機構の背面説明図であり、(4)は(1)の矢視C−Cから見た一対のクランクアームと、ピストンシャフトと、ピストンシャフト軸受部材と、一対の被ガイド部材との配置関係を示す平面説明図であり、(5)は(2)の矢視D−Dから見たピストンシャフト軸受部材とスクリューシャフトとの配置関係示す平面説明図であり、(6)は(2)の矢視E−Eから見た正逆回転駆動装置の配置を示す平面説明図である。
【図4】図3に示すクッション座120の詳細側面図(1)と、同図矢視F1−F1とF2−F2から見た縦断面図(2)である。
【図5】従来例を示す概念的な全体側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態を以下に示す実施例により詳細に説明紹介する。
【実施例】
【0017】
本実施例を図1から図3にて紹介する。
図1は本発明の実施例の全体を示す側面説明図であり、図2は、図1の要部の長尺ボックスの回動駆動連結機構を示す側断面説明図である。
図3は、長尺ボックスの回動駆動連結機構XKの部材構成を簡易に示す説明図であり、(1)は図2と同様の側断面説明図であり、(2)は(1)の矢視A−Aから見た横断面説明図であり、(3)は(1)の矢視B−Bから見た正逆回転駆動装置の伝動機構の背面説明図であり、(4)は(1)の矢視C−Cから見た一対のクランクアームと、ピストンシャフトと、ピストンシャフト軸受部材と、一対の被ガイド部材との配置関係を示す平面説明図であり、(5)は(2)の矢視D−Dから見たピストンシャフト軸受部材とスクリューシャフトとの配置関係示す平面説明図であり、(6)は(2)の矢視E−Eから見た正逆回転駆動装置の配置を示す平面説明図である。
【0018】
図1において、被処理材の取扱装置の前提の基本条件は、水平走行本体HSに旋回ポストCPを装着し、旋回ポストCPに回転肘EBつき水平旋回アームCAを装着し、回転肘つき水平旋回アームCAの先端に旋回首振可能に横断面がコ字型の竪フレームTFを縦軸J1で連結装着し、竪フレームTFのコ字型の下部に長尺ボックスTBを収容し、竪フレームTFの下端部に長尺ボックスTBを傾動可能に装着する回動駆動連結機構XKを設け、長尺ボックスTBに板状被処理材Wの下端縁と上端縁を上下の挟持爪HTで挟持支持・開放する挟持爪機構KKを装着し、挟持爪機構KKは、長尺ボックスTB内に図5と同様のモータスクリュー式の上下駆動機構を内装し、長尺ボックスTBの外側の縦長手方向に移動可能に左右一対の爪保持リングTRを設け、爪保持リングTRの前面に上下一対の挟持爪HTを装着し、爪保持リングTRの後部を長尺ボックスTBの後側からボックスTB内に挿入し挿入部を上下駆動機構のスクリューに連結してなる。また、旋回ポストCPと回転肘つき水平旋回アームCAと竪フレームTFの各水平旋回装着部にエンコーダと電磁ブレーキを付設してなる。
【0019】
而して、竪フレームTFに装備する長尺ボックスTBの回動駆動連結機構XKは、竪フレームTFの下部を構成する架構GKに設けられ、長尺ボックスTBをその下部を中心にして直立状態から水平状態までの任意の傾動位置に回動させる。
【0020】
この回動駆動連結機構XKは、図3に詳細に示すように次の(1)〜(8)から構成してなる。
(1)、竪フレームTFの前部の下部に設けた軸受部材101により水平状態で回転可能に軸受支持し、長尺ボックスTBの下部に設けた軸受けTBJを回転可能に支承した基軸の回転支承軸100。
(2)、長尺ボックスTBの回転方向に前後進するピストンシャフト200。
(3)、一端部を前記長尺ボックスTBの軸受けTBJに固定連結し他端部をピストンシャフト200の前部とを軸連結してピストンシャフト200の前後動を軸受けTBJの回転動作に換える一対のクランクアーム300。
(4)、ピストンシャフト200の後部を軸401で回転可能に連結するピストンシャフト軸受部材400。
(5)、ピストンシャフト軸受部材400の両側の上下に装着した二対の被ガイド部材500。
(6)、二対の被ガイド部材500を水平に前後摺動自在に嵌合してガイドし互いに平行関係にした二対のガイドレール600。
(7)、ガイドレール600と平行に水平に設け、ピストンシャフト軸受部材400の下部に螺合して回転動作によりピストンシャフト軸受部材400を水平に進退移動させるスクリューシャフト700。
(8)、架構GKの後部定位置に設置しスクリューシャフト700を正逆回転作動させる正逆回転駆動装置800。
【0021】
而して、回転支承軸100は、長尺ボックスTBの全荷重を支承するが挟持爪HTで板状被処理材Wを保持した状態の長尺ボックスTBを傾動させる場合の回転基軸であり被処理材Wを保持しての傾動の際は、軸受101を保持する架構GKの先端部の下部に設けたクッション座130を、荷重受車KUCの荷重受台KDの上部湾曲周面KD1内に収容載置して安定保持される。クッション座130の構成は図4(1)と(2)により詳細に説明する。
【0022】
図4(1)と(2)において、回転支承軸100は、両側を架構GKの先端部の両側に設けた軸受101により回転可能に支持される。クッション座130は、一対の脚部120と水平座板125とスプリング機構126、127と湾曲クッション板128とリミットスイッチ129とからなる。各脚部120は、側面から見て半円盤状を示す断面L型の部材であり上部両側を各軸受101の内側に位置し下部を架構GKの先端部の直下に位置して締め具で固定されており、架構GKの先端部に図示していないが充分な強度のネジにより別途固定装着する。
図に示す121〜124は荷重受台KDに長尺ボックスTB本体を載せる際に、長尺ボックスTB本体の前後左右の挿入用のガイドである。
【0023】
両方の脚部120の下部間には水平座板125を梁設し、水平座板125の左右両側の下面部には、スプリング機構126、127を設置し、スプリング機構126、127は湾曲クッション板128を吊持する。湾曲クッション板128が、荷重受け台KDの上部湾曲周面KD1内に収容載置され荷重で微小上移動し両脚部130の下面に当接すると両リミットスイッチ129からの着床信号で長尺ボックスTBの下降移動を停止させるのである。
前記一対のクランクアーム300は、ピストンシャフト200の前後進動作を長尺ボックスTBの回転傾動動作に変換する伝動リンクであり、例えば、L型のエルボ部材、三角片部材、上下に¬型(鍵型)の連結部を設けた連結部材等があげられる。
本例のクランクアーム300は、上下に¬型の連結部300a、300bを点対称的に有し下の¬型連結部300aを長尺ボックスTBの下部を固定した前記回転支承軸100の左右両側部に固定して共動可能に連結し、上の¬型連結部300bをクランクアーム回転用のピストンシャフト200の先部に回転可能に軸301で装着する。
【0024】
ピストンシャフト200は、前部を回転支承軸100と平行にした軸301により一対のクランクアーム300の上の¬型連結部300bを回転可能に支持し、後部を回転支承軸100と平行にした軸401によりピストンシャフト軸受部材400と連結し、ピストンシャフト軸受部材400の下部に螺合接続したスクリューシャフト700の回転により前後進して一対のクランクアーム300を安定的に回転作動させる。
【0025】
ピストンシャフト軸受部材400は、下部の軸受402をスクリューシャフト700で螺合支持され、上下左右を二対の被ガイド部材500を介して二対のガイドレール600で支持されて、スクリューシャフト700の回転によりピストンシャフト200を前後のピストン作動を安定的に行う。
【0026】
二対の被ガイド部材500はピストンシャフト軸受部材400をガイドレール600に沿って正確に水平状態を保持して前後作動させるものである。
【0027】
二対のガイドレール600は、相互に対面して平行に水平に設けて二対の被ガイド部材500を横揺れ無く縦揺れなく水平に前後作動させるものである。
【0028】
スクリューシャフト700は、水平状態にして前後端部を軸受702、703により回転自在に軸支持し、胴部を前記ピストンシャフト軸受部材400の軸受402に螺合して、正逆回転駆動装置800の回転駆動によりピストンシャフト軸受部材400を水平に前後動作させる。
【0029】
正逆回転駆動装置800は、後部の上部中央部にサーボモータ801を配置しこれの回転駆動軸802にプーリ803を装着しプーリ803にタイミングベルト804を介してスクリューシャフト700側のプーリ701に回転伝達し、タイミングベルト804のテンション調節用のスプリング押圧式のプーリ805を付設したものである。
【0030】
以上の構成により、図1に示す直立状態で板状被処理材Wを保持した長尺ボックスTBは、回動駆動連結機構における正逆回転駆動装置800の小さな正回転駆動トルクでスクリューシャフト700を回転させて前記ピストンシャフト軸受部材400とピストンシャフト200とを介してクランクアーム300を90度回転させることにより長尺ボックスTBとともに板状被処理材Wを正確且つ迅速安全に90度前方回動させて水平状態にすることができる。
またこの水平状態にした板状被処理材Wを他の装置等に移載した後は長尺ボックスTBのみであるので、正逆回転駆動装置800は小さな逆回転駆動トルクでスクリューシャフト700を逆回転させて前記ピストンシャフト軸受部材400とピストンシャフト200とを介してクランクアーム300を90度逆回動させることにより元の直立状態に正確に且つ迅速安全に復元させることができるものである。
長尺ボックスTBの90度回転において、長尺ボックスTBの下降回転の際のクランクアーム300は、回転スタートの際は、ピストンシャフト200が水平状態になることを避けてピストンシャフト200との連結軸301を回転支承軸100に軸芯を通る鉛直線に対して後方45度の傾斜角線上に位置させてピストンシャフト200を水平より2〜3度上向き状態にしてあり、回転スタート開始して連結軸301の回転角度位置が45度の際は、鉛直線上に位置してピストンシャフト200の上向き傾斜角度を最大にし、ここから連結軸301を前記上鉛直線に対して前方45度の傾斜角線上に置いて停止する際は、ピストンシャフト200を再び水平より2〜3度上向き状態にして長尺ボックスTBを水平状態にするのである。
これにより、ピストンシャフト200は、クランクアーム300を介して回転支承軸100を95度の正転・逆転を円滑に行い長尺ボックスTBを直立状態から水平状態に転動させ且つその逆の水平状態にから直立状態に転動させるのである。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の板状被処理材の取扱装置において、板状被処理材を挟持爪機構で支持する長尺ボックスの前後回動駆動連結機構は、前記堅牢簡易な構成により、板状被処理材を含む長尺ボックスの下端部を支承して傾動中心にし、長尺ボックスからの負荷を一対のクランクアームに左右均等に受けこれをピストンシャフトの前部軸着部から後部軸着部及びピストンシャフト軸受部材を介してピストンシャフト軸受部材の両側上部の一対の被ガイド部材とスクリューシャフトに均等に分散緩衝支承して受けて、長尺ボックスが傾動中及び停止時の左右及び前後に揺動することを確実に防止するものである。
これにより前後回動駆動連結機構は、長尺ボックスの正確な傾動操作と傾動速度の高速化を可能にし、他の装置への迅速で正確安全な受け渡しを可能にして、多種多様な板状被処理材の多義な受け渡しパターンの実行を品質に悪影響を与えることなく実現し、しかも竪フレームと長尺ボックス背面との間にデッドゾーンの形成を皆無にした自由区間を確保して他の装置との干渉領域を拡大して作業性と安全性を大幅に改善したものである。
これによって、当該取扱装置が本来有する機能すなわち、○マザーガラス等の板状被処理材の昇降自由度の拡大、○加重に対する緩衝変形量の低減と取り扱い重量制限の大幅な緩和、○載置姿勢の安定維持、○各種取り扱い動作の所定姿勢・高さ・平面・位置調整精度の格段な向上、○高効率、高稼働率、安全搬送処理等の機能を高位に安定維持するものであり、この種産業上の有効利用は多大なものがある。
【符号の説明】
【0032】
HS:水平走行本体 XK:回動駆動連結機構
CP:旋回ポスト 100:回転支承軸
CA:回転肘EBつき水平旋回アーム 200:ピストンシャフト
TF:コ型の竪フレーム 300:一対のクランクアーム
TB:長尺ボックス 400:ピストンシャフト軸受部材
W:板状被処理材 500:二対の被ガイド部材
HT:上下の挟持爪 600:二対のガイドレール
KK:挟持爪機構 700:スクリューシャフト
TR:左右一対の爪保持リング 800:正逆回転駆動装置
TT:上下一対の挟持爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平走行本体(HS)に旋回ポスト(CP)を装着し、旋回ポスト(CP)に回転肘つき水平旋回アーム(CA)を装着し、回転肘つき水平旋回アーム(CA)の先端に旋回首振の竪フレーム(TF)を装着し、竪フレーム(TF)に長尺ボックスTBを傾動可能に装着し、長尺ボックス(TB)に板状被処理材(Wの下端と上端を上下の挟持爪(HT)で挟持支持・開放する挟持爪機構を装着してなる板状被処理材の取扱装置において、前記竪フレーム(TF)の下部に設置して長尺ボックスTBの下端部を中心に回転傾斜させる回動駆動連結機構XKとして、前記竪フレーム(TF)の前部の下部に両側部に亘る回転支承軸(100)と、前記回転支承軸(100)に回転可能に連結し前記長尺ボックス(TB)の下部を固定支承する軸受け部(TBJ)と、前記軸受け部(TBJ)の軸方向の両側部に一端部を固定連結して並列配置した一対のクランクアーム(300)と、前記クランクアーム(300)の他端部に前端部を回転可能に軸連結したピストンシャフト(200)と、前記ピストンシャフト(200)の後端部に軸連結したピストンシャフト軸受部材(400)と、前記ピストンシャフト軸受部材(400)の両側の上下に設けた被ガイド部材(500)と、前記被ガイド部材(500)の各々を前後水平摺動自在に嵌合装着し互いに平行関係に設けた二対のガイドレール(600)と、前記ガイドレール(600)と平行に設けられ前記ピストンシャフト軸受部材(400)の下部に螺合連結して回転により前記ピストンシャフト軸受部材(400)を水平に前進・後退させるスクリューシャフト(700)と、前記スクリューシャフト(700)に連結して回転作動させる正逆回転駆動装置(800)とを設けたことを特徴とする板状被処理材の取扱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−86969(P2013−86969A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240630(P2011−240630)
【出願日】平成23年10月15日(2011.10.15)
【特許番号】特許第4992137号(P4992137)
【特許公報発行日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【出願人】(501008462)株式会社AKシステム (7)
【Fターム(参考)】