説明

板状部材の搬送装置及び搬送方法

【課題】この発明は板状部材を挟持して搬送するチャック機構と、その後端を押圧して搬送するプッシャ機構を1つの駆動モータで駆動する搬送装置を提供することにある。
【解決手段】板状部材を移動可能に支持する第1のガイドレール1と、第1のガイドレール1の側方に平行に配置された第2のガイドレール4と、第2のガイドレールに移動可能に設けられた可動体5と、可動体に設けられた板状部材を挟持して搬送するチャック機構14及びチャック機構によって所定の位置まで搬送された板状部材の後端を押圧して第1のガイドレールから排出するプッシャ機構30と、チャック機構が挟持した板状部材を第1のガイドレールの所定の位置まで搬送させてから、板状部材の後端をプッシャ機構で押圧させて第1のガイドレールから排出させるよう可動体を第2のガイドレールに沿って駆動する第1の駆動モータ11を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は板状部材をチャック機構によって挟持してガイドレールに沿って搬送した後、プッシャ機構によって後端を押圧して上記ガイドレールから排出する板状部材の搬送装置及び搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、リードフレームや樹脂製フィルム状部材などの板状部材に半導体チップなどの電子部品を実装する実装装置においては、上記板状部材を搬送する搬送装置が用いられている。搬送装置は上記基板を移動可能に支持するガイドレールを有する。このガイドレールに供給された板状部材は上記ガイドレールと平行に往復駆動されるチャック機構によって挟持されて搬送されるようになっている。
【0003】
上記板状部材がチャック機構によって実装位置に搬送されると、ここで板状部材に電子部品が実装された後、排出位置まで上記チャック機構によって挟持されて搬送される。ついで、上記板状部材は後端がプッシャによって押圧されて上記ガイドレールから排出され、たとえばマガジンなどに格納されて次工程に供給されるようになっている。
【0004】
上記板状部材を上記ガイドレールから排出してマガジンに格納する際、チャック機構によって挟持して搬送しながらマガジンに格納するようにしたのでは、板状部材の先端部がマガジンにぶつかったり、ガイドレールに引っ掛かるなどして円滑に搬送格納されない状態であっても、上記板状部材を挟持したチャック機構はそのことを検知することなく板状部材をマガジンに強制的に格納しようとする。その場合、板状部材が大きく変形し、不良品の発生原因になるということがある。
【0005】
そこで、板状部材をチャック機構によって排出位置まで搬送したならば、チャック機構に代わり、プッシャ機構によって上記板状部材の後端を押圧してガイドレールから排出するということが行われている。
【0006】
上記プッシャ機構によれば板状部材の後端を押圧する押圧力が所定値以上になったとき、そのことをセンサによって検出することができるから、板状部材が円滑に動かない状態で無理に押圧して変形させるのを防止することが可能となる。
【0007】
特許文献1には板状部材を上爪と下爪とによって上下より挟持してガイドレールに沿って搬送するチャック機構を備えた搬送装置が示されているものの、チャック機構によって排出位置まで搬送された板状部材をガイドレールから排出するとき、プッシャ機構によって後端を押圧して排出するということは示されていない。
【特許文献1】特開2004−87887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記チャック機構は、上記板状部材を上記ガイドレールに沿って搬送するため、第1の駆動機構によって上記ガイドレールに沿う方向に駆動可能に設けられている。一方、上記プッシャ機構も、第2の駆動機構によって上記ガイドレールに沿う方向に駆動可能に設けられている。
【0009】
そして、上記プッシャ機構は、上記チャック機構によって排出位置に搬送位置決めされた板状部材をガイドレールから排出する際、その板状部材の後端を押圧することができる位置から、上記ガイドレールに沿う方向に駆動される。それによって、上記板状部材は上記ガイドレールから排出されようになっている。
【0010】
しかしながら、チャック機構を第1の駆動機構によって駆動し、プッシャ機構を第2の駆動機構によって駆動する構成であると、2つの駆動機構が必要となるから、部品点数が増大して構成の複雑化や大型化、さらにはコストの増大を招くということがあった。
【0011】
この発明は、チャック機構とプッシャ機構を1つの駆動手段によって駆動することができるようにした板状部材の搬送装置及び搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、板状部材を所定方向に沿って搬送する板状部材の搬送装置であって、
上記板状部材を移動可能に支持する第1のガイド手段と、
この第1のガイド手段の側方に平行に配置された第2のガイド手段と、
この第2のガイド手段に移動可能に設けられた可動体と、
この可動体に設けられた上記板状部材を挟持して搬送するチャック機構及びこのチャック機構によって所定の位置まで搬送された上記板状部材の後端を押圧して上記第1のガイド手段から排出するプッシャ機構と、
上記チャック機構が挟持した上記板状部材を上記第1のガイド手段の所定の位置まで搬送させてから、上記板状部材の後端を上記プッシャ機構で押圧させて上記第1のガイド手段から排出させるよう上記可動体を上記第2のガイド手段に沿って駆動する駆動手段と
を具備したことを特徴とする板状部材の搬送装置にある。
【0013】
上記プッシャ機構は、上記板状部材の後端を押圧して上記第1のガイド手段から排出するときに上端部が上記板状部材の後端を押圧可能な状態に駆動されるプッシャ部材と、このプッシャ部材が上記板状部材の後端を押圧して上記第1のガイド手段から排出するときに上記プッシャ部材に加わる押圧力が所定値以上になると、そのことを検出する検出センサを備えていることが好ましい。
【0014】
上記プッシャ機構は起伏駆動されるプッシャ部材を有し、上記チャック機構よりも上記板状部材の搬送方向の下流側に配置されていて、上記板状部材の搬送方向に駆動されて上記板状部材を押圧するときには上記プッシャ部材が起上状態に駆動され、搬送方向と逆方向に駆動されて戻るときには倒伏状態に駆動されることが好ましい。
【0015】
この発明は、板状部材をチャック機構によって挟持して第1のガイド手段に沿って所定の位置まで搬送した後、プッシャ機構によって上記板状部材の後端を押圧して上記第1のガイド手段から排出する板状部材の搬送方法であって、
上記チャック機構と上記プッシャ機構を、上記第1のガイド手段に沿う方向に対して一体に駆動することを特徴とする板状部材の搬送方法にある。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、板状部材を移動可能に支持した第1のガイド手段と平行に第2のガイド手段を設け、この第2のガイド手段に可動体を移動可能に設け、この可動体にチャック機構とプッシャ機構を設けてこの可動体を駆動手段によって第2のガイド手段に沿って駆動することができるようにした。
【0017】
そのため、可動体に設けられたチャック機構とプッシャ機構を1つの駆動手段によって一体に駆動することができるから、チャック機構とプッシャ機構を別々の駆動手段によって駆動する場合に比べて構成の簡略化や小型化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、たとえばリードフレームなどの板状部材Wに半導体チップなどの電子部品を実装する実装装置などに用いられる、この発明の搬送装置の概略的構成を示す平面図である。この搬送装置は第1のガイド手段として所定間隔で平行に離間対向して配置された一対の第1のガイドレール1を有する。この第1のガイドレール1の上面の幅方向の一端部には凹状の段部2が長手方向に沿って形成されている。一対のガイドレール1には上記板状部材Wが幅方向の両端部を上記段部2に係合させて供給される。そして、板状部材Wは後述するように上記ガイドレール1に沿って搬送されるようになっている。
【0019】
上記第1のガイドレール1の側方にはベースプレート3が設けられている。このベースプレート3には第2のガイド手段を構成する一対の第2のガイドレール4が所定間隔で平行に離間し、かつ上記第1のガイドレール1と平行に配設されている。この第2のガイドレール4には板状の可動体5が下面に設けられた一対の受け部材6を移動可能に係合させて設けられている。
【0020】
上記可動体5の幅方向一端側に対応する、上記ベースプレート3の長手方向一端部には軸受体7によって従動プーリ8が回転軸線を上記第2のガイドレール4の長手方向に対して直交させて回転可能に設けられている。上記ベースプレート3の長手方向他端にはこのベースプレート3の幅方向に対して上記従動プーリ8と対応する位置に駆動プーリ9が設けられている。
【0021】
上記駆動プーリ9は第1の駆動モータ11の回転軸11aに嵌着固定されている。上記従動プーリ8と駆動プーリ9とには図1に鎖線で示すタイミングベルト12が張設されている。このタイミングベルト12の一部は上記可動体5に設けられた連結部材5aに連結固定されている。
【0022】
それによって、上記第1の駆動モータ11が作動してその回転軸11aに設けられた駆動プーリ9が回転すると、この駆動プーリ9と上記従動プーリ8に張設されたタイミングベルト12が走行するから、その走行に上記可動体5が連動するようになっている。この実施の形態では上記従動プーリ8、駆動プーリ9、第1の駆動モータ11及びタイミングベルト12によって上記可動体5を上記第2のガイドレール4に沿って往復駆動する駆動手段を構成している。
【0023】
図2に示すように、上記可動体5の幅方向他端側の上面にはチャック機構14が設けられている。このチャック機構14は上記可動体5に立設された断面形状がL字状の板状部材からなる支持体15を有する。この支持体15の高さ方向中途部の一側面には第2の駆動モータ16が回転軸16aを他側面側に突出させて設けられている。
【0024】
上記回転軸16aには第1のカム体17と第2のカム体18がそれぞれのカム面17a,18aの位相、つまり上支点と下死点の回転角度をたとえば180度ずらして嵌着されている。第1のカム体17の外周面には上用カムフォロア19が当接し、第2のカム体18の外周面には下用カムフォロア21が当接している。
【0025】
上用カムフォロア19はL字状の上用アーム22の下端となる一端に取付けられ、下用カムフォロア21は同じくL字状の下用アーム23の下端側となる一端に取付けられている。各アーム22、23の中途部は上用ガイド体24及び下用ガイド体25によってそれぞれ上下方向に移動可能に支持されている。各ガイド体24,25は上記支持体15に一端が連結された取付けアーム26の他端に設けられている。
【0026】
上記上用アーム22の他端には上記第1のガイドレール1の段部2に幅方向の両端部が支持された板状部材Wの幅方向一端部の上面に離間対向する上クランパ27が設けられ、上記下用アーム23の他端には上記板状部材Wの幅方向一端部の下面、つまり上記上クランパ27とで上記板状部材Wを挟持する下クランパ28が設けられている。
【0027】
上記第2の駆動モータ16によってその回転軸16aに設けられた第1、第2のカム体17、18が回転されると、これらカム体17、18は位相をずらして上記回転軸16aに設けられているから、各カムフォロア19、21を介して上用アーム22と下用アーム23が上下逆方向に駆動される。
【0028】
それによって、上記第2の駆動モータ16による第1、第2のカム体17、18の回転角度を設定すれば、各アーム22、23に設けられた上クランパ27と下クランパ28とによって第1のガイドレール1に支持された板状部材Wの幅方向の一端部を挟持したり、挟持状態を開放することができるようになっている。
【0029】
上クランパ27と下クランパ28とによって板状部材Wの一端部を挟持した状態で、上記第1の駆動モータ11を作動させれば、上記板状部材Wを上記第1のガイドレール1に沿って図1に矢印Aで示す排出方向に搬送することができるようになっている。
【0030】
上記可動体5の幅方向他端部の上記板状部材Wの搬送方向に沿う先端には、図1に示すように平面形状がクランク状の連結部材31の一端が連結されている。この連結部材31は上記第1のガイドレール1よりも下方に位置していて、その他端部は一対の第1のガイドレール1間に対応する位置まで延出されている。
【0031】
上記連結部材31の他端部、すなわち上クランパ27と下クランパ28よりも板状部材Wの搬送方向下流側にはプッシャ機構30が設けられている。このプッシャ機構30は、図3に示すように板面を上記第1のガイドレール1の長手方向に沿わせて取付けられた板状の取付け部材32を有する。この取付け部材32には側面形状が逆L字状のプッシャ部材33を有する。このプッシャ部材33の中途部は支軸34によって上記取付け部材32の一側面に揺動可能に支持されている。
【0032】
図4に示すように、上記プッシャ部材33の支軸34によって支持された部分よりも下端側の部分には前後方向に沿って細長い長孔35が形成され、この長孔35には連動軸36が挿通されている。この連動軸36には平面形状がコ字状で、両側辺間に上記プッシャ部材33が挿入されたホルダ37の開放端側が連結されている。このホルダ37の閉塞端側の端面にはシリンダ38の先端面から突出したロッド39が連結されている。このシリンダ38は後端が上記取付け部材32に支軸41によって揺動可能に取付けられている。
【0033】
上記シリンダ38のロッド39が後退方向に駆動されると、上記プッシャ部材33は支軸34を支点として図3に矢印Rで示す時計方向、つまり同図に鎖線で示す倒伏状態から実線で示す起立方向に回動する。
【0034】
それによって、上記プッシャ部材33の上端部に形成された押圧部33aは上記第1のガイドレール1に支持された板状部材Wを押圧することができる高さに上昇する。上記ロッド39が前進方向に駆動されれば、上記プッシャ部材33は支軸34を支点として実線で示す起立状態から、鎖線で示す倒伏状態に回動する。それによって、上記プッシャ部材33の押圧部33aは上記第1のガイドレール1に支持された板状部材Wの下面よりも下方になるから、上記プッシャ部材33が第1のガイドレール1に支持された板状部材Wにぶつかることがない。
【0035】
また、チャック機構14を板状部材Wの供給位置まで戻すとき、プッシャ部材33を倒伏させておけば、このプッシャ部材33が板状部材Wにぶつかるのを防止できる。
上記プッシャ部材33の下端と上記取付け部材32にそれぞれ突設された一対の支軸42には引張りばね43が張設されている。この引張りばね43は上記プッシャ部材33を起立方向に付勢している。なお、上記取付け部材32には、上記引張りばね43によって起立方向に付勢された上記プッシャ部材33がほぼ垂直に起立した状態で位置決めするストッパピン44が設けられている。
【0036】
上記プッシャ部材33が起立した状態でその押圧部33aが板状部材Wの後端を押圧したとき、板状部材Wが第1のガイドレール1に沿って円滑に移動すれば、上記プッシャ部材33は起立状態を維持する。
【0037】
しかしながら、プッシャ部材33によって後端が押圧された板状部材Wが第1のガイドレール1に沿って円滑に移動しない排出異常が生じると、板状部材Wからの反力が上記押圧部33aに加わり、上記プッシャ部材33が支軸34を支点として引張りばね43の付勢力に抗して図3に矢印Rで示す方向と反対側の反時計方向に回動する。このとき、プッシャ部材33とホルダ37を連結した連動軸36は、プッシャ部材33の長孔35に沿って移動する。
【0038】
上記プッシャ部材33が板状部材Wの後端を押圧したとき、排出異常が生じてプッシャ部材33が反時計方向に回動すると、そのことが検出センサ45によって検出される。この検出センサ45は図示しない投光器と受光器から構成されていて、上記取付け部材32に支持部材46によって持固定されている。
【0039】
上記プッシャ部材33が垂直に起立した状態にあるときに、上記プッシャ部材33の後端面33bに上記投光器から出射される検出光Lが照射される。後端面を照射した検出光は、その後端面33bで反射して上記受光器で受光されるようになっている。
【0040】
したがって、上記プッシャ部材33が板状部材Wの後端を押圧したとき、板状部材Wが第1のガイドレール1に沿って円滑に移動せず、その反力で上記プッシャ部材33が反時計方向に回動すると、上記受光器が検出光Lを受光しなくなるから、上記板状部材Wの排出異常が検出されるようになっている。
【0041】
上記板状部材Wの排出異常が検出されると、上記第1の駆動モータ11による可動体5の駆動が直ちに停止される。それによって、板状部材Wをプッシャ部材33によって無理に押圧して変形させるのが防止される。
【0042】
つぎに、上記構成の搬送装置によって板状部材Wを搬送する場合について説明する。
第1のガイドレール1に板状部材Wが供給されたならば、チャック機構14の上クランパ27と下クランパ28を開放させた状態で第1の駆動モータ11を作動させて可動体5を第2のガイドレール4に沿って駆動し、一対のクランパ27、28を上記板状部材Wの長手方向の中途部に位置決めする。このとき、プッシャ機構30のプッシャ部材33は第1のガイドレール1に支持された板状部材Wにぶつからないよう、シリンダ38によって図3に鎖線で示す倒伏状態に駆動されている。
【0043】
板状部材Wに対して上記チャック機構14を位置決めしたならば、第2の駆動モータ16を作動させて上クランパ27と下クランパ28によって上記板状部材Wの上下面を挟持させる。ついで、第1の駆動モータ11を作動させて上記可動体5を第2のガイドレール4に沿って矢印Aで示す板状部材Wの排出方向に駆動し、その先端が第1のガイドレール1の端部に対応する位置、つまり排出位置まで搬送する。この位置位ある板状部材Wを図1に鎖線で示す。
【0044】
板状部材Wを排出位置まで搬送したならば、上クランパ27と下クランパ28を開き、プッシャ機構30のプッシャ部材33が板状部材Wの後端から外れる位置まで、上記可動体5を第1の駆動モータ11によって後退方向に駆動する。
【0045】
ついで、プッシャ機構30のシリンダ38の突出方向に付勢されたロッド39を後退方向に作動させ、上記プッシャ部材33を図3に鎖線で示す倒伏状態から実線で示す起立状態に回動させる。プッシャ部材33を起立させたならば、上記可動体5を前進方向、つまり板状部材Wを第1のガイドレール1から排出する方向へ駆動する。
【0046】
板状部材Wが第1のガイドレール1に沿って円滑に移動すれば、プッシャ部材33は引張りばね43の付勢力によって起立状態が維持された状態で、上記板状部材Wの後端を押圧し続けるから、板状部材Wは第1のガイドレール1から排出されて図1に鎖線で示すマガジン48などに格納される。
【0047】
プッシャ部材33によって押圧された上記板状部材Wが第1のガイドレール1やマガジン48などに引っ掛かり、円滑に排出されなくなる排出異常が生じると、その反力がプッシャ部材33に加わることで、このプッシャ部材33が引張りばね43の付勢力に抗して反時計方向に回動する。
【0048】
プッシャ部材33が反時計方向に回動すると、そのことが検出センサ45によって検出されるから、その検出信号によって第1の駆動モータ11による可動体5の駆動、つまりプッシャ機構30の駆動が直ちに停止される。それによって、第1のガイドレール1やマガジンなどに引っ掛かった板状部材Wが無理に押圧されて変形するのが阻止されるから、不良品の発生を防止することができる。
【0049】
第1のガイドレール1と平行に第2のガイドレール4が設けられ、第2のガイドレール4には第1の駆動モータ11によって上記第2のガイドレール4に沿って駆動される可動体5が設けられている。そして、可動体5にはチャック機構14とプッシャ機構30が設けられ、この可動体5を第1の駆動モータ11によって第1のガイドレール1に沿って駆動できるようにした。
【0050】
そのため、チャック機構14によって板状部材Wを第1のガイドレール1に沿って搬送すること、及びチャック機構14によって第1のガイドレール1の排出位置まで搬送された板状部材Wをプッシャ機構30によって上記第1のガイドレール1から排出することを、第1の駆動モータ11によって上記可動体5を第2のガイドレール4に沿って駆動することで行なうことができる。
【0051】
すなわち、チャック機構14とプッシャ機構30を可動体5に対して一体に設けたことで、これらを第1の駆動モータ11だけによって駆動することができる。そのため、チャック機構14とプッシャ機構30を別々の駆動モータによって駆動する場合に比べて部品点数の減少、装置の小型化及びコストの低減を図ることが可能となる。
【0052】
上記一実施の形態ではプッシャ機構のプッシャ部材を取付け部材に回動可能に設け、シリンダによって倒伏状態に駆動することで、第1のガイドレールに支持された板状部材に干渉しない状態とし、起立状態に駆動することで板状部材の後端を押圧することができるようにしたが、上記プッシャ部材を上下方向に変位可能に設け、たとえばシリンダ等の駆動源によって板状部材に干渉しない下降状態と、板状部材の後端を押圧することができる上昇状態に駆動するようにしてもよい。
【0053】
また、プッシャ機構は、チャック機構よりも板状部材の搬送方向の下流側に設けるようにしているが、上記プッシャ機構をそのプッシャ部材の押圧部がチャック機構の上下クランパの上記板状部材の搬送方向の下流端の近傍に位置するよう配置する。
【0054】
それによって、上下クランパが閉状態と閉状態を繰り返して板状部材をピッチ送りし、その板状部材が上下クランパの下流端から外れたならば、それと同時に、プッシャ機構のプッシャ部材を起立させれば、チャック機構とプッシャ機構が設けられた可動体を後退方向に駆動することなく、上記プッシャ部材によって直ちに板状部材を押圧して第1のガイドレールから排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明の一実施の形態の搬送装置の概略的構成を示す平面図。
【図2】板状部材を挟持して搬送するチャック機構の側面図。
【図3】板状部材の後端を押圧して搬送するプッシャ機構の側面図。
【図4】プッシャ機構を構成するプッシャ部材とホルダの分解斜視図。
【符号の説明】
【0056】
1…第1のガイドレール(第1のガイド手段)、4…第2のガイドレール(第2のガイド手段)、5…可動体、11…第1の駆動モータ(駆動手段)、14…チャック機構、27…上クランパ、28…下クランパ、30…プッシャ機構、33…プッシャ部材、45…検出センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材を所定方向に沿って搬送する板状部材の搬送装置であって、
上記板状部材を移動可能に支持する第1のガイド手段と、
この第1のガイド手段の側方に平行に配置された第2のガイド手段と、
この第2のガイド手段に移動可能に設けられた可動体と、
この可動体に設けられた上記板状部材を挟持して搬送するチャック機構及びこのチャック機構によって所定の位置まで搬送された上記板状部材の後端を押圧して上記第1のガイド手段から排出するプッシャ機構と、
上記チャック機構が挟持した上記板状部材を上記第1のガイド手段の所定の位置まで搬送させてから、上記板状部材の後端を上記プッシャ機構で押圧させて上記第1のガイド手段から排出させるよう上記可動体を上記第2のガイド手段に沿って駆動する駆動手段と
を具備したことを特徴とする板状部材の搬送装置。
【請求項2】
上記プッシャ機構は、上記板状部材の後端を押圧して上記第1のガイド手段から排出するときに上端部が上記板状部材の後端を押圧可能な状態に駆動されるプッシャ部材と、このプッシャ部材が上記板状部材の後端を押圧して上記第1のガイド手段から排出するときに上記プッシャ部材に加わる押圧力が所定値以上になると、そのことを検出する検出センサを備えていることを特徴とする請求項1記載の板状部材の搬送装置。
【請求項3】
上記プッシャ機構は起伏駆動されるプッシャ部材を有し、上記チャック機構よりも上記板状部材の搬送方向の下流側に配置されていて、上記板状部材の搬送方向に駆動されて上記板状部材を押圧するときには上記プッシャ部材が起上状態に駆動され、搬送方向と逆方向に駆動されて戻るときには倒伏状態に駆動されることを特徴とする請求項1記載の板状部材の搬送装置。
【請求項4】
板状部材をチャック機構によって挟持して第1のガイド手段に沿って所定の位置まで搬送した後、プッシャ機構によって上記板状部材の後端を押圧して上記第1のガイド手段から排出する板状部材の搬送方法であって、
上記チャック機構と上記プッシャ機構を、上記第1のガイド手段に沿う方向に対して一体に駆動することを特徴とする板状部材の搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−295639(P2009−295639A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145145(P2008−145145)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】