説明

板金工程作業支援システム

【課題】板金工程において、作業者が探している対象板材の位置、あるいは部品名などの希望の情報を即座に認識することを可能とした板金工程作業支援システムを提供する。
【解決手段】素材板材Wから切り抜き加工された部品板材wを取り扱う板金工程に用いられる。複数の部品板材wを識別する識別情報と表示装置8の画面Gに表示するための表示用情報Fと対応させて記憶したデータベース7を設ける。端末機3には、部品板材wを撮像する撮像手段4と、この撮像手段4により撮像された画像に基づき前記部品板材wの識別情報を得る識別情報入手手段14を設ける。この識別情報入手手段14で得た識別情報をデータベース7と照合して表示用情報Fを求め、表示装置8の画面Gに、部品板材wの撮像画像またはネスティング配置図等の画像である板材画像Gwを表示すると共に、この板材画像Gwに合わせて表示用情報の表示を行う合わせ表示手段12を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パンチプレスやレーザ加工機等の板材加工機で素材板材から複数の部品板材を切り抜き加工した後、後工程に送る際などに部品板材等を識別する板金工程作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パンチプレス等で素材板材から複数の部品板材を切り抜き加工する場合、板材加工機からの搬出の便利のために、部品板材の周囲の一部を未加工とすることで、部品板材が素材板材の周辺部と繋がった部品板材配列体としている。この部品板材配列体を、板材加工機から搬出した後、各部品板材を繋がり部分で切り離し、後工程へ送るための経路や台車等に仕分けする。
上記の未加工の部分を残さずに、部品板材を完全に切り抜いた場合も、板材加工機からのアンローダによる搬出場所に、加工時と同じ配列で部品板材を並べ、いわゆる姿置きとし、上記と同様に仕分けすることがある。
【0003】
この仕分けを行うときに、従来は、部品板材を識別するために、ネスティング配置図から形状を目視で確認して、部品名を特定したり、部品板材に直接にラベルや刻印等のマークを施し、識別していた。
【0004】
また、素材板材から部品板材を切り抜き加工した後、素材板材の残り部分が多い場合、その残り部分を長方形状の端材に形状を整え、所定の位置に保管しておいて素材として再利用する。この端材の識別も、作業者が目視で行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−10680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来は、上記のように作業者が目視で形状や、マーク、文字データを照合し、判断していため、仕分けに時間がかかり、ミスを発生する可能性も高い。部品板材配列体から目的の部品板材を探し出す場合も、その配置を認識するのに時間がかかる。1枚の素材板材から多数枚の部品板材が切り抜かれる場合も多く、似た形状の部品板材も多いため、目視による識別では判断が難しい。
【0007】
この発明の目的は、板金工程において、作業者が探している対象板材の位置、あるいは部品名などの希望の情報を即座に認識することを可能とした板金工程作業支援システムを提供することである。
この発明の他の目的は、加工後の複数の部品板材が並んだ部品板材配列体から、作業者が探している部品板材の配置が即座に分かるようにすることである。
この発明のさらに他の目的は、部品板材がどのような組上がり製品に用いられるものであるかが、一目で分かるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の板金工程作業支援システムは、素材板材(W)から切り抜き加工された部品板材(w)である対象板材、または前記素材板材(W)から前記部品板材(w)が切り抜かれた残りの端材(ws)である対象板材(w,ws)を取り扱う板金工程に用いられる板金工程作業支援システムであって、データベース(7)と、撮像手段(4)と、識別情報入手手段(14)とを備える。
データベース(7)は、複数の前記対象板材を識別するための識別情報(ID)と表示装置(8)の画面(G)に表示するための表示用情報(F)とを対応させて記憶したものである。
撮像手段(4)は対象板材(w,ws)を撮像する手段である。
識別情報入手手段(14)は、撮像手段(4)により撮像された画像に基づき前記対象板材(w,ws)の識別情報を得る手段である。
合わせ表示手段(12)は、前記識別情報入手手段(14)で得た識別情報で前記データベース(7)と照合して前記表示用情報(F)を求め、表示装置(8)の画面(G)に、前記撮像手段(4)で撮像した対象板材(w,ws)の撮像画像である板材画像(Ww)、または前記撮像画像に対応する表示用の画像である板材画像(Gw)に合わせて前記表示用情報(F)の表示を行う手段である。
上記の「合わせて前記表示用情報(F)の表示を行う」とは、対象板材の撮像画像または表示用画像に一部または全体を重ねるか、または近接させて表示を行うことである。前記撮像画像に対応する表示用の画像は、例えばネスティング配置図等の画像である。
【0009】
この構成によると、作業者の操作により、前記撮像手段(4)が板金工程の対象板材を撮像して画像を得ると共に、この画像から、識別情報入手手段(14)で対象板材の識別情報(ID)を得る。これにより、合わせ表示手段(12)は、前記識別情報入手手段(14)で得た識別情報(ID)で前記データベース(7)と照合して前記表示用情報(F)を求め、表示装置(8)の画面(G)に、前記撮像手段(4)で得た対象板材の撮像画像またはこの撮像画像に対応する表示用の画像である板材画像(Gw)に合わせて前記表示用情報(F)の表示を行う。
このように、表示装置(8)の画面に、撮像した対象板材の画像、またはその表示用の画像である板材画像(Gw)が表示されると共に、この板材画像(Gw)に合わせて前記表示用情報(F)の画像(Ga,Gc,Gt)が重なり状態等で合わせて表示される。そのため、前記表示用情報(F)を適宜の情報とすることで、作業者は、探している対象板材の位置、あるいは部品名などの希望の情報を即座に認識することができる。
【0010】
この発明において、前記板金工程は、素材板材(W)から切り抜かれる複数の部品板材(w)が素材板材(W)と一部(a)が繋がった状態、または繋がりはないが加工時と同じ配列とされた部品板材配列体(WO)を取り扱う過程であり、前記合わせ表示手段(12)に対して識別を希望する対象板材の識別情報(ID)を入力する識別希望板材指定手段(13)を設け、前記合わせ表示手段(12)は、前記表示装置(8)の画面(G)に、前記撮像手段(4)で得た部品板材配列体(WO)の画像を表示すると共に、前記識別希望板材指定手段(13)から入力された識別希望の識別情報(ID)に基づき、部品板材配列体(WO)の画像の中で前記識別希望の部品板材(w)を区別して表示する画像を前記識別希望の部品板材(w)の画像部分に合わせて表示するようにしても良い。
この構成の場合、表示装置(8)の画面に、部品板材配列体(WO)の画像が表示され、かつその中で識別希望の部品板材(w)を区別して表示する画像が、識別希望の部品板材(w)の画像部分に合わせて表示される。区別して表示する画像は、例えば、識別希望の部品板材(w)の一部または全体につき、明度や色相を変える表示やマークを付す表示である。そのため、作業者は、表示装置(8)の画面の画面(G)を見ることで、部品板材配列体(WO)の中から、作業者が探している部品板材(w)の配置が即座に分かる。
【0011】
この発明において、前記データベース(7)における前記表示用情報(F)として、識別情報(ID)に対応する対象板材となる部品板材(w)を用いて組み立てられる組上がり製品の画像(Gc)を含み、前記合わせ表示手段(12)は、前記認識手段(11)で得た対象板材の撮像画像またはこの撮像画像に対応する表示用の画像である板材画像(Gw)に合わせて、前記組上がり製品の画像(Gc)を表示するようにしても良い。
この構成の場合、表示装置(8)の画面(G)に、撮像手段(4)で得た対象板材の撮像画像またはこの撮像画像に対応する表示用の画像である板材画像(Gw)が表示されると共に、この板材画像(Gw)に合わせて製品の画像(Gc)が表示される。そのため、部品板材(w)がどのような組上がり製品に用いられるものであるかが、一目で分かる。
【発明の効果】
【0012】
この発明の板金工程作業支援システムは、素材板材から切り抜き加工された部品板材である対象板材、または前記素材板材から前記部品板材が切り抜かれた残りの端材である対象板材を取り扱う板金工程に用いられる板金工程作業支援システムであって、複数の前記対象板材を識別するための識別情報と表示装置の画面に表示するための表示用情報とを対応させて記憶したデータベースと、前記対象板材を撮像する撮像手段と、この撮像手段により撮像された画像に基づき前記対象板材の識別情報を得る識別情報入手手段と、この識別情報入手手段で得た識別情報で前記データベースと照合して前記表示用情報を求め、前記表示装置の画面に、前記撮像手段で撮像した対象板材の撮像画像である板材画像、または前記撮像画像に対応する表示用の画像である板材画像に合わせて前記表示用情報の表示を行う合わせ表示手段とを備えるため、板金工程において、作業者が探している対象板材の位置、あるいは部品名などの希望の情報を即座に認識することができる。
【0013】
前記板金工程が、素材板材から切り抜かれる複数の部品板材が素材板材と一部が繋がった状態、または繋がりはないが加工時と同じ配列とされた部品板材配列体を取り扱う過程であり、前記合わせ表示手段に対して識別を希望する対象板材の識別情報を入力する識別希望板材指定手段を設け、前記合わせ表示手段は、前記表示装置の画面に、前記撮像手段で撮像した部品板材配列体の画像、または前記撮像画像に対応する表示用の画像による部品板材配列体の画像を表示すると共に、前記識別希望板材指定手段から入力された識別希望の識別情報に基づき、部品板材配列体の画像の中で前記識別希望の部品板材を区別して表示する画像を前記識別希望の部品板材の画像部分に合わせて表示する場合は、加工後の複数の部品板材が並んだ部品板材配列体から、作業者が探している部品板材の配置が即座に分かる。
【0014】
前記データベースにおける前記表示用情報として、識別情報に対応する対象板材となる部品板材を用いて組み立てられる組上がり製品の画像を含み、前記合わせ表示手段は、前記認識手段で得た対象板材の撮像画像またはこの撮像画像に対応する表示用の画像である板材画像に合わせて、前記組上がり製品の画像を表示するようにした場合は、部品板材がどのような組上がり製品に用いられるものであるかが、一目で分かる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施形態に係る板金工程作業支援システムの概念図とその対象となる板金工程の説明図である。
【図2】同板金工程作業支援システムのハードウェア構成例の説明図である。
【図3】同板金工程における部品板材と素材板材の一部とを示す平面図である。
【図4】同板金工程作業支援システムの認識手段により対象板材を識別する方法の一例の説明図である。
【図5】同板金工程作業支援システムの合わせ表示手段による表示例の他の例を示す説明図である。
【図6】同板金工程作業支援システムの認識手段による認識方法と合わせ表示手段による表示例の他の例を示す説明図である。
【図7】板金工程の端材の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の一実施形態を図1ないし図6と共に説明する。図2において、この板金工程作業支援システムは、ネットワーク1で繋がったサーバ2と端末機3とを備える。端末機3は複数台であっても1台であっても良い。ネットワーク1は、工場内等に限られるローカルエリアネットワークであっても、インターネット等の広域ネットワークであっても良く、また接続形態は有線であっても無線であっても良い。端末機3は、パーソナルコンピュータや、スマートフォン等の携帯型の情報処理機器である。端末機3には、その端末機本体内に一体に組み込まれるか、また端末機本体に接続されたウェブカメラやその他の固体撮像素子によるカメラ等の撮像手段4が設けられる。このような端末機3が、図1(A)に示すように、板金工程中に設置され、または板金工程で携帯して用いられる。
【0017】
板金工程は、図1(A)に概念的に示すように、板材加工機5で素材板材Wから切り抜き加工された板材である部品板材wからなる対象板材を取り扱う工程である。対象板材は、後に説明する端材(図7)であっても良い。板材加工機5は、パンチプレスまたはレーザ加工機等の切り抜き加工が可能な加工機である。
前記板金工程は、具体的には、素材板材Wから切り抜かれる複数の部品板材wが、図3に示すようにに素材板材Wと一部が未切り抜き部分aとされて繋がった状態の部品板材配列体WOを扱う過程である。同図は、パンチ加工の例であり、部品板材wの周囲がパンチ加工による穴hとして打ち抜かれ、穴hを前記未切り抜き部分aで非連続としたものである。未切り抜き部分aは、ミクロジョイント等と称される小さな部分であり、作業者により部品板材配列体WOを揺する等の作業を行うことで、工具を使うことなく切断可能である。
【0018】
この部品板材配列体WOは、図1(A)のように、板材加工機5から搬出された仕分け作業位置Pで、未切り抜き部分aを切断して各部品板材wに分離し、各部品板材wを、その部品板材wの種類に応じて各後工程への搬送場所Qに仕分けする。この仕分けに、この実施形態の板金工程作業支援システムが適用される。前記後工程は、溶接工程や、曲げ工程、組み立て工程等である。
なお、部品板材配列体WOは、前記のような未切り抜き部分aで繋がったものではなくて、板材加工機5による加工時と同じ配列、つまり素材板材Wに対する各部品板材wのネスティング(「板取り」とも言う)の配列と同じ配列(いわゆる「姿置き」)で仕分け作業位置Pに配列されたものであっても良い。その場合、板材加工機5に対して設けられたアンローダ(図示せず)により、前記姿置きの搬出が行われる。
【0019】
部品板材配列体WOの各部品板材wには、これら部品板材wを識別する識別情報IDを示す識別用マークmが付される。識別用マークmは、板材加工機5が備えるマーク付与機6によって付される。識別情報IDは、英数字等で定められる部品番号等である。識別用マークmは、部品板材wの表面に直接に施した印刷や刻印であっても、部品板材wの表面に張られたラベルであっても良い。識別用マークmには、より具体的には、カラーコードや、1次元または二次元のバーコードが用いられるが、部品板材配列体WOの全体を撮像した画像から複数の識別用マークmを読み取り可能なものが好ましい。現在の技術で、この同時読み取りが可能なものとしてはカラーコードが挙げられる。カラーコードは、1列の縞状、または縦横のマトリクス状に区分した各区画内毎に特定の色を施したものであり、各区画部分の位置と色の組合わせによって多数個の識別を可能としたものである。部品板材wに対して識別用マークmを施す位置は、部品板材wの基準位置O(図3)、例えば部品板材wにおける素材板材Wの左右方向(X方向)および前後方向(Y方向)の一端となる角部から、左右方向および前後方向に一定の距離となる位置を、識別用マークmの基準位置とすることが好ましい。
【0020】
図1(B)において、サーバ2はデータベース7を有している。データベース7は、前記複数の部品板材wを識別する識別情報ID毎に対応させて表示用情報Fを記憶し、識別情報IDによって表示用情報Fを検索可能とした手段である。表示用情報Fは、端末機3の表示装置8の画面Gに表示する情報である。表示用情報Fには、識別情報IDによって特定される部品板材wを加工する素材板材Wに対し、各部品板材wをどのように配置したかを示した図であるネスティング配置図等のネスティングデータや、部品板材配列体WOの中で識別希望の部品板材wを示す区別用画像Gaの情報、製品の斜視図や三面図などの画像Gc、吹き出し部表示画像Gt等の情報とされる。
【0021】
端末機3は、ハードウェア構成として、演算処理部9、入力手段10、表示装置8、および前記撮像手段4を有している。演算処理部9は、CPU(中央処理装置)やこれに実行されるプログラム等で構成される。入力手段10は、キーボードやマウスまたは表示装置8上に設けられるタッチパネル等である。表示装置8は、液晶ディスプレイ等の画像を表示可能な装置である。
【0022】
端末機3は、機能達成手段として、認識手段11、合わせ表示手段12、識別希望板材指定手段13、およびサーバ2に対する通信手段(図示せず)を有している。認識手段11は、演算処理部9に設けられた識別情報入手手段14と、前記撮像手段4とで構成される。認識手段11は、その全体が前記演算処理部9とは別に設けられたもので合っても良い。前記合わせ表示手段12および識別希望板材指定手段13は、前記演算処理部9に設けられる。識別希望板材指定手段13についても、演算処理部9とは別に設けられたものであっても良い。
【0023】
認識手段11は、板金工程にあって前記対象板材である部品板材wを撮像して画像を得ると共に、この部品板材wの識別情報を得る手段である。図示の例では、認識手段11の識別情報入手手段14は、撮像手段4で撮像した部品板材配列体WOの画像データから、部品板材配列体WOの各識別用マークmを認識し、識別用マークmで示される識別情報を解読する機能を備える。すなわち、部品板材配列体WOの複数の部品板材wに設けられた識別用マークmを同時に識別可能とされている。
なお、認識手段11は、識別用マークmを読み取る構成に代えて、撮像手段4で撮像した部品板材wの画像を処理して形状を認識し、その認識画像と登録画像GR(図4)とのパターンマッチング等により、部品板材wの形状に対応する識別情報を得るものとしても良い。また、認識手段11は、撮像手段4とは別に設けられたバーコードリーダ等の、識別用マークmの読み取り専用の手段であっても良い。
【0024】
合わせ表示手段12は、認識手段11の識別情報入手手段14で得た識別情報IDで前記データベース7と照合して前記表示用情報Fを求め、表示装置8の画面Gに、認識手段11の撮像手段4で得た部品板材wの撮像画像またはこの撮像画像に対応する表示用の画像である板材画像Gwの表示を行わせ、これら撮像画像または表示用の画像である板材画像Gwに合わせて前記表示用情報Fの表示を行う手段である。撮像画像に対応する表示用の板材画像Gwは、例えばネスティング配置図に相当する画像である。合わせ表示手段12における、前記データベース7との照合を行う部分が照合部15であり、表示を行わせる手段が表示処理部16である。
合わせ表示手段12は、この実施形態では、表示装置8の画面Gに、認識手段11で得た部品板材配列体WOの画像を表示すると共に、前記識別希望板材指定手段13から入力された識別希望の識別情報に基づき、部品板材配列体WOの画像の中で前記識別希望の部品板材wを区別して表示する画像Gaを、前記識別希望の部品板材wの板材画像Gwに合わせて表示する。
【0025】
識別希望板材指定手段13は、合わせ表示手段12に対して識別を希望する対象板材である部品板材wの識別情報を入力する手段である。識別希望板材指定手段13は、キーボード等の入力手段10から識別情報を入力するものであっても、また作業の指示書17(図2参照)から、この指示書17に記載された部品板材wの識別情報を読み取るものであっても良い。指示書17からの識別情報の読み取りは、指示書17に記載された文字から読み取るようにしても、また指示書17に設けられたバーコード等のマークから読みと来るようにしても良い。指示書17に記載された文字から読み取る場合、前記撮像手段4で指示書17を撮像し、その画像から識別情報を読み取るようにしても良い。
【0026】
また、この実施形態では、データベース7における前記表示用情報Fとして、識別情報IDに対応する対象板材となる部品板材wを用いて組み立てられる組上がり製品の画像Gcを含み、前記合わせ表示手段12は、認識手段11で得た部品板材wの撮像画像またはこの撮像画像に対応する表示用の画像である板材画像Gwに合わせて、前記製品の画像Gcを表示するようにしている。
【0027】
次に、上記構成の作用,効果は、および構成についての補足の説明をする。まず、仕分け作業位置P(図1(A))にある部品板材配列体WOの中で、作業の指示書17(図2)によって指示された部品板材wがどの位置にあるかを作業者が認識するための場合を説明する。
【0028】
作業指示書17を作業者が読み取ってキーボード等の入力手段10から文字入力を行うことにより、または端末機3で作業指示書17を撮像することで、認識希望板材指定手段13により、識別を希望する部品板材wの識別情報IDを入力する。また、仕分け作業位置Pにある部品板材配列体WOを端末機3の撮像手段4で撮像する。
【0029】
認識手段11の識別情報入手手段14は、部品板材配列体WOの画像における各部品板材wの識別用マークmを認識し、各部品板材wの識別情報IDを認識する。これは、識別用マークmがカラーコード等である場合に可能である。識別用マークmを施さずに、部品板材wの形状認識によって識別情報IDを認識するようにしても良い。例えば、撮像手段4で撮像した部品板材配列体WOの画像を処理して、各部品板材wの形状を認識し、その認識画像と画像登録手段19(図4)に複数登録されている中の各登録画像GRとのパターンマッチング等により、部品板材wの形状に対応する識別情報を得る。
【0030】
合わせ表示手段12は、認識手段11で得た識別情報IDでデータベース7と照合し、表示用情報Fを求め、表示装置8の画面Gに、図1(B)に画像G1の例を示すように、認識手段11で得た部品板材配列体WOの撮像画像を表示し、またはこの撮像画像に対応する表示用の画像である板材画像Gwを表示する。撮像画像に対応する表示用の板材画像は、前述のようにネスティング配置図に相当する図である。ネスティング配置図に相当する図とは、ネスティング配置図か、またはネスティング配置図を簡略化した図である。
【0031】
合わせ表示手段12は、この画面Gに表示された部品板材配列体WOの板材画像Gwに合わせて、前記表示用情報Fの表示を行う。この表示用情報Fにより表示される画像Gaは、この例では、識別希望板材指定手段13から入力された識別希望の部品板材wを他の部品板材wと区別して表示する画像Gaである。この区別して表示する画像Gaは、例えば、識別希望の部品板材wの画像の一部を、他の部品板材wの画像と異なる色等で示したものとされる。色相、彩度、明度のいずれかを異ならせるようにすれば良い。例えば、区別して表示する画像Gaは、光った部分とする。なお、区別して表示する画像Gaを施す位置は、部品板材wの基準位置や識別用マークmに対して定めておけば、部品板材wの形状が認識されていなくても、板材画像Gwに合わせて表示が可能である。部品板材wの形状が認識されている場合は、区別して表示する画像Gaは、図5に斜線で示すように、識別希望の部品板材wの画像の全体を、他の部品板材wの画像Gwと異なる色等で示すようにしても良い。
【0032】
このように、区別して表示する画像Gaを施すことで、部品板材配列体WOの中で、作業の指示書17(図2)によって指示された部品板材wがどの位置にあるかが、作業者によって一目で認識できる。そのため、迅速に仕分けが行える。図1(B)では、簡明のために、部品板材配列体WO中の部品板材wの数を少なくして示してあるが、実際には部品板材配列体WO中の部品板材wの数が十数個や数十個になる場合もあり、そのような多数の場合でも、上記の区別して表示する画像Gaにより、一目で認識できる。
【0033】
この他に、図1(B)の画像G2のように、合わせ表示手段12は、前記認識手段11で得た部品板材wの撮像画像またはこの撮像画像に対応する表示用の画像である板材画像Gwに合わせて、この部品板材wを用いて組み立てられる製品の立体図等の画像Gcを表示するようにしても良い。同図の例では、製品の画像Gcは、部品板材画像Wwに重ねて表示している。また、この例では、部品板材配列体WOの全体の画像Gwoの中で、識別対象の部品板材wの画像Gwに製品の画像Gcを重ねるようにしたが、画面Gに部品板材配列体WOの中の複数の部品板材wのうち、識別対象の部品板材wの板材画像Gwのみを表示し、その部品板材wの板材画像Gwに製品の画像Gcを重ねて表示しても良い。これより、部品板材wがどのような組上がり製品に用いられるものであるかが、一目で分かる。
【0034】
さらに、図1(B)の画像G3のように、合わせ表示手段12は、前記認識手段11で得た部品板材wの撮像画像またはこの撮像画像に対応する表示用の画像である板材画像Gwに合わせて、部品名称、部品板材wの部品番号、部品板材wが用いられる製品の情報、部品板材wの素材の情報等の、部品板材wに関する定められた情報を、吹き出し表示画像Gtとして表示するようにしても良い。これにより、部品板材wに関して知りたい情報が一目で分かる。
【0035】
図6は、部品板材wの撮像画像に重ねて表示する具体例を示す。これは、図6(A)のように、ネスティングされた部品板材wやパレット(図示せず)に積載されている複数の部品板材wの配列体WOが、複数枚重ねて配置されていて、そのうちの最上段の部品板材配列体WOの中ら、特定の部品板材wを探す場合である。なお、この例では、素材板材Wの一部が、既に部品板材wが切り抜かれた抜き後穴whとなっている。
この場合に、端末機3の撮像手段4で撮像して合わせ表示手段12(図1)により、表示装置8の画面Gに部品板材wの並びを表示させる。これと共に、認識希望板材指定手段13に探している部品板材wの部品名等を入力または選択することで、合わせ表示手段12の機能により、図6(B)に破線で示す範囲の部品板材wの画像Gwが点滅する。これにより、探している部品板材wが、作業者が瞬時に特定できる。
【0036】
図6(C)の例を説明する。図1の認識希望板材指定手段13は、撮像手段4で撮像して表示装置8の画面Gに表示されている部品板材wの板材画像Gwを、マウスやタッチパネル等からなる入力手段10で選択させるようにし、選択の入力がなされると、設定された情報一覧メニュー(図示せず)を画面Gに表示する。そのメニューから参照したい情報が、入力手段10からの入力で選択されることで、部品名等の文字情報を入力しなくても、必要な情報を参照することができる。例えば、図6(C)では、部品板材wを指示して、表示されたメニューから「立体図参照」のメニューを選択することで、画面上に、その部品板材wが使用された製品の立体図の画像Gcが表示される。これと同様に、展開図や、三面図、その他の情報をメニューから引き出すことができる。
【0037】
なお、上記実施形態では、対象板材が部品板材wである場合につき説明したが、対象板材は、図7(B)に示すような端材wsであっても良い。板金工程では、同図(A)のように、素材板材Wから部品板材wを切り抜き加工した後、素材板材Wの残り部分が多い場合、その残り部分を、一点鎖線で示す切断線Lで切断することで、長方形状の端材wsに形状を整えることがある。この端材wsは、所定の位置に保管しておいて素材として再利用する。このような端材wsが複数枚ある場合に、その中から希望の端材wsを探す場合や、その端材wsに関する情報を知りたい場合、この発明の板金工程作業支援システムを適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…ネットワーク
2…サーバ
3…端末機
4…撮像手段
5…板材加工機
6…マーク付与機
7…データベース
8…表示装置
9…演算処理部
10…入力手段
11…認識手段
12…合わせ表示手段
13…識別希望板材指定手段
17…指示書
a…未切り抜き部分
m…識別用マーク
F…表示用情報
G…画面
G1〜G3…画像
Gc…組上がり製品の画像
Gt…吹き出し部表示画像
Gw…板材画像
Ga…区別して表示する画像
Gwo…部品板材配列体の画像
GR…登録画像
ID…識別情報
P…仕分け作業位置
W…素材板材
WO…部品板材配列体
w…部品板材
ws…端材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素材板材から切り抜き加工された部品板材である対象板材、または前記素材板材から前記部品板材が切り抜かれた残りの端材である対象板材を取り扱う板金工程に用いられる板金工程作業支援システムであって、
複数の前記対象板材を識別するための識別情報と表示装置の画面に表示するための表示用情報とを対応させて記憶したデータベースと、
前記対象板材を撮像する撮像手段と、
この撮像手段により撮像された画像に基づき前記対象板材の識別情報を得る識別情報入手手段と、
この識別情報入手手段で得た識別情報で前記データベースと照合して前記表示用情報を求め、前記表示装置の画面に、前記撮像手段で撮像した対象板材の撮像画像である板材画像、または前記撮像画像に対応する表示用の画像である板材画像に合わせて前記表示用情報の表示を行う合わせ表示手段、
とを備えた板金工程作業支援システム。
【請求項2】
前記板金工程は、素材板材から切り抜かれる複数の部品板材が素材板材と一部が繋がった状態、または繋がりはないが加工時と同じ配列とされた部品板材配列体を取り扱う過程であり、
前記合わせ表示手段に対して識別を希望する対象板材の識別情報を入力する識別希望板材指定手段を設け、
前記合わせ表示手段は、前記表示装置の画面に、前記撮像手段で撮像した部品板材配列体の画像、または前記撮像画像に対応する表示用の画像による部品板材配列体の画像を表示すると共に、前記識別希望板材指定手段から入力された識別希望の識別情報に基づき、部品板材配列体の画像の中で前記識別希望の部品板材を区別して表示する画像を前記識別希望の部品板材の画像部分に合わせて表示する
請求項1記載の板金工程作業支援システム。
【請求項3】
前記データベースにおける前記表示用情報として、識別情報に対応する対象板材となる部品板材を用いて組み立てられる組上がり製品の画像を含み、前記合わせ表示手段は、前記認識手段で得た対象板材の撮像画像またはこの撮像画像に対応する表示用の画像である板材画像に合わせて、前記組上がり製品の画像を表示する請求項1または請求項2記載の板金工程作業支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−218037(P2012−218037A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87158(P2011−87158)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】