説明

枚葉紙状基材を仕上げ加工するための装置および方法

【課題】印刷枚葉紙に打ち抜き、エンボス、溝付け、または目打ちなどの機械的な加工をインラインで行うためのモジュール型加工装置であって、印刷枚葉紙がくわえによって加工胴に引き渡されることなく、加工を受けるために加工間隙に導入されるモジュール型加工装置を提供する。
【解決手段】当該モジュール型加工装置は輪転式加工装置として実現され、該加工装置において印刷枚葉紙は二つの回転する加工ローラの間に導入される。加工間隙を通過する際に加工器具部材が作用し、該加工器具部材によって印刷枚葉紙の加工が行われる。モジュール型加工装置を簡略化するために二つの加工胴はくわえを有さない構成となっている。印刷枚葉紙を搬送するために印刷枚葉紙は搬送手段によってモジュール型加工装置へ、および二つの加工胴の間の加工間隙内に導入される。搬送手段は好適に平坦な経路において作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1および6に記載の仕上げ加工のための装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
枚葉紙印刷機において例えば裁断、打ち抜き、エンボスなどによって枚葉紙状基材の仕上げ加工が行われる。このとき基材は回転する二つの加工ローラの間に導入可能であって、加工ローラの間の作用間隙を通過する際に加工されることによって加工が行われる。このような場合、印刷枚葉紙の形状の基材はリニアモータを備えた加工装置またはキャリッジ型くわえを備えたリンク鎖によって二つの回転する加工ローラの間の加工間隙に導入され、場合によって再び搬送される。
【0003】
印刷機においてインラインで行われる後続の加工、例えば印刷工程および場合によってニス引き工程の直後に行われる梱包材のための裁断部を製造するための打ち抜き加工などがすでに知られている。特許文献1は、無端のウェブ状材料からあらゆる種類の梱包材のための印刷された裁断部を自動的に製造するための機械を開示している。このとき印刷装置における印刷と打ち抜き装置との間でニス引き工程が行われる。
【0004】
特許文献2には、印刷装置の胴の印刷間隙を通過して搬送される枚葉紙状の材料に、胴上に貼り付けた目打ち用の帯状体または溝付け器具を用いて目打ちまたは溝付けを行うことを可能にする装置が開示されている。これは特殊な応用例として設計されたものであり、一枚の枚葉紙全体から個々の裁断部を切り離すための打ち抜き器具の使用は想定されていない。しかしながらこの発明から、加工を行う胴の一つに固定されているくわえを用いて、印刷枚葉紙を加工間隙を通過するようにガイドすることが知られている。
【0005】
特許文献3は、回転する二つの胴を備えた加工装置を開示している。これらの胴には打ち抜きおよび/あるいはエンボス加工用の版を備えた柔軟性を有するプレートが張設されており、胴に設けられたこれらのプレートは加工間隙を形成し、当該加工間隙において枚葉紙の変形または打ち抜きが行われる。印刷画線部に対する見当を正確に定めるために少なくとも一つの胴はくわえを有し、くわえによって枚葉紙は加工間隙を通過するようにガイドされる。当該発明で見出された解決を印刷機に対して直接的にインライン結合させることは当該特許文献には記載されていないが、印刷された枚葉紙を打ち抜くことが言及されている。
【0006】
特許文献4は、枚葉紙印刷機のニス引き装置であって、ニス引き装置として、あるいは打ち抜き、溝付け、目打ち加工を行うための加工装置として選択的に使用できる装置を記載している。この装置の不利点は当該ニス引き装置の使用が、加工のみか、ニス引きかのどちらかのためになることである。しかしながら印刷枚葉紙に機械的な加工を行う必要がある場合、先ずニス引きを行うことが推奨される。それにより加工器具が印刷インキで汚れたり、色移りしたりすることが避けられる。とはいえこのような方法を取ると、少なくとも二つのニス引き装置と機械的な加工の前にニスを乾燥させるための相応の乾燥経路とを備えた二重ニス引き装置を必要とすることになる。この発明によって見出された解決によって、ニスのための通常の乾燥経路、すなわちニス引き装置から排紙装置パイル上への枚葉紙の降下に至る経路を用いることはできない。この発明によって見出された解決のさらなる不利点は2倍の大きさの圧胴を備えた機械において、例えば母型と父型とを備えたスタンピング工程では、版胴に設けられたプレートを、圧胴を構成する胴の半分にそれぞれ設けられている二つのプレートに対して調整しなければならないことである。このような装着工程は非常に時間がかかるとともに技術的に扱いが困難である。圧胴に手が届きにくいこともさらにこの工程を困難にする。
【0007】
特許文献5は、特に、最後の印刷またはニス引き装置に直接的に接続する特殊な打ち抜き装置を有する枚葉紙印刷機を開示している。この発明においても排紙装置における乾燥経路を使用することはできない。この発明によって見出された解決もまた、印刷枚葉紙に機械的な加工を行う必要がない場合に不利点を有する。印刷枚葉紙は打ち抜き装置を通過するようにガイドされなければならないので、加工のための胴が離間するように移動した場合に、印刷枚葉紙に衝突する危険が常に存在するという結果を招く。また打ち抜き装置の特殊な構成のために、既存の枚葉紙印刷機に後から装備することも実現が容易ではない。
【0008】
特許文献6は、排紙装置の枚葉紙上昇部に設けられている打ち抜きおよび加工装置を示している。印刷枚葉紙は本来の打ち抜き工程に至るまで、欠落のない状態で胴を介して搬送され、機械的な加工の後に初めて搬送機構に渡される。このような機構の有利点は優れた操作性と、不要部を除去するためのアセンブリを設けるための自由空間が存在することである。この発明に係る機構の不利点は特に、特殊なアセンブリであるために高いコストを払わなければ既存の印刷機に後から取り付けられないことである。排紙装置の乾燥経路も使用することができないので、この発明に係る機構においてはニス引き装置もしくは最後の印刷装置の後にさらにもう一つのモジュール型乾燥装置が設けられている。しかしながら、印刷製品の仕上げ加工の際にしばしば要求されるような高度なニスの光沢のために必要とされる経路の長さが不足している点を除いても、実際の経験からニスの乾燥のためには単独のモジュール型乾燥装置では不十分な場合が多いことが明らかになっている。
【0009】
前記のすべての実施の形態に共通する点は、それらが枚葉紙印刷機に関するものである限り、少なくとも一つのくわえを備えた少なくとも一つの加工胴が設けられており、当該くわえは印刷枚葉紙が加工装置を通過して搬送されるようにする。この種の枚葉紙の搬送の主な有利点は、胴および渡し部材に固定されるとともに噛合しているくわえ桟を用いて胴から胴への正確な引渡しを行うことにより、非常に良好な見当が得られることである。このような有利点に対して、機械設計上のコストは相当大きなものになる。印刷装置同士の間の搬送のために渡し部材または中間胴が必要とされるためである。枚葉紙を案内する必要から、印刷装置同士の間で枚葉紙を循環経路上に保持する箱型枚葉紙案内部(ガイドケース)や、印刷装置に進入する前に印刷胴上に枚葉紙を固定する印刷胴送風装置などのコストの嵩む装置を設けざるを得ない。
【0010】
胴を用いてくわえによる搬送を行うものとは別の方法として、枚葉紙をチェーン、ベルトまたはロープに懸吊されているキャリッジ型くわえを用いて機械全体または機械の部分を通過するように搬送するやり方がある。
【0011】
チェーン搬送部を備えた枚葉紙搬送機構はすでに久しく知られている。例えば1982年には特許文献7において「多色刷り両面印刷のための輪転印刷機」が開示されている。この印刷機において枚葉紙は搬送チェーンによってガイドされる。しかしながらチェーンのような歯付き部材を備えた搬送手段の不利点は、運転中にチェーンが長くなり、歯付き部材は多少なりともピッチ誤差を有することである。したがって印刷装置の胴とキャリッジ型くわえとを確実に同期させる必要がある。
【0012】
特許文献8から、枚葉紙を加工するこの種の印刷機が知られている。印刷機を通過するように枚葉紙を搬送するための単独のくわえ開閉部を備えるとともにチェーンによってガイドされるキャリッジ型くわえは一時的に印刷装置の圧胴によってロックされ、それによって胴の表面とチェーンの周速を同期させる。特許文献9には、キャリッジ型くわえを機械的に固定するための装置を備えた枚葉紙印刷機が記載されている。当該枚葉紙印刷機ではキャリッジ型くわえはチェーンに設けられた保持リンクに懸吊されており、調整可能な固定装置は角柱体と支持ねじを有しており、当該角柱体と支持ねじに対して保持リンクが引き付けられる。例えば特許文献10に開示されているように、さらなるこの種の固定装置が知られている。当該固定装置は形状接続による係合によって動きの非同一性を調整すべきものであるが、これらの固定装置は全て保守整備のコストが嵩み、印刷運転中に見当の品質が変動する可能性があるという不利点を有する。これらの機械的な固定装置が常に磨耗する状況に置かれているためである。
【0013】
特許文献9において、特に無端のチェーンを用いて枚葉紙の走行を波形に行うことが選択されている。これによって、キャリッジ型くわえと印刷胴とを同期させるために使える時間を長くすることができるためである。
【0014】
特許文献11または特許文献12から、無端の枚葉紙ガイドを備えた印刷機のさらなる形態が知られている。これらの特許文献に記載された輪転印刷機の特徴は、無端であるとともに直線的に印刷装置を通過するように移動される搬送手段に固定されたキャリッジ型くわえを用いて枚葉紙のガイドが行われることである。このとき胴と搬送手段の表面速度の同期化は、胴と搬送手段の駆動装置によって同期化が実現されることによって、機械的な調整部材を有することなく行われる。キャリッジ型くわえは印刷装置を通過する際、自由に走行する。印刷装置は単独の駆動装置を備えていてよく、個々の印刷装置は同期化バーによって互いに連結されている。
【0015】
平坦な枚葉紙ガイドを備えた枚葉紙印刷機であって、搬送ベルトに固定されたキャリッジ型くわえによって枚葉紙の搬送が行われるものが特許文献13に開示されている。さらに同期のための方法が開示されており、当該方法によれば搬送ベルトの枚葉紙走行方向において離間した二つの場所において信号が得られ、これらの信号に基づいて搬送ベルトの速度と長さは胴の回転数と円周に応じて調整される。胴は一定の速度で駆動される。搬送ベルトの長さは搬送ベルトと方向転換歯車の温度制御によって適合される。このような制御は非常にコストが嵩み、実現困難であると想定される。
【0016】
チェーンや搬送ベルトのような搬送手段に懸吊されたキャリッジ型くわえに替わるものとして、リニアモータによって機械を通過するように移動されるキャリッジ型くわえもあり得る。このようなキャリッジ型くわえの駆動は、例えば特許文献14に記載されている。リニアモータによるキャリッジ型くわえの駆動の有利点は、個々のキャリッジ型くわえを一定の部分にわたって誤差を調整する目的で別個に制御できるということである。キャリッジ型くわえの同期は、光ポインターを用いて胴から信号を読み取り、この信号をキャリッジ型くわえの搬送を制御するために用いることによって行われる。胴の回転数が一定の場合、同期化は胴の回転数に応じてキャリッジ型くわえを追従させることによって実現される。リニアモータは素晴らしい可能性を提供するものであるが、制御コストが高いという制限もある。リニアモータもまたコストの嵩む装置である。
【0017】
特許文献15には、枚葉紙印刷機のためのリニアモータのさらなる特徴が開示されている。当該枚葉紙印刷機では制御コストまたはエネルギーコストが著しく減少している。当該発明の枚葉紙ガイド機構は平行に設けられた二つのガイドレールを備えており、ガイドレールにはそれぞれ電気的なリニアモータの走行部を形成している推進部材が案内されている。磁化可能な材料によってリンク鎖として形成されている推進部材の駆動はガイドレールの外部に設けられているコイルを備えた駆動ステーションによって行われ、前記コイルはリニアモータのステータを形成している。
【0018】
印刷装置の駆動は歯車列または単独駆動部を介して行われる。輪転印刷機のための単独駆動部は、特に特許文献16「フレキソ印刷機およびその使用」から、フレキソ印刷機のためのものが知られている。特許文献17には、特に単独駆動部を備えたロール紙印刷機における回転数制御が開示されている。特許文献18には、枚葉紙印刷機の印刷装置のための単独駆動部の制御が記載されており、当該制御の特徴は個々の印刷装置に回転数を変更可能な単独駆動部が配設されていることである。特許文献19には、枚葉紙を加工する印刷機のための単独駆動部が記載されており、当該単独駆動部においては版胴のみ、および場合によってインキ装置が単独駆動部を介して駆動される一方、転写胴と版胴は歯車列を介して機械的に連結を保持し続ける。枚葉紙を案内する印刷胴において単独駆動が設けられていないと、必ず個々の胴のくわえが互いに係合しなくなるという危険が発生し、それによって機械が損傷する結果となる。特許文献19においては、このような損傷の可能性が排除されているが、それは枚葉紙を案内する全ての印刷胴と、これらの印刷胴に直接的に当接している胴が機械的な歯車列を介して連結された状態に保たれていることによる。単独駆動部は枚葉紙およびロール紙を加工する輪転印刷機に対して最もよく知られたものである。
【0019】
特許文献20には、枚葉紙状の材料の引渡しを同期させるための装置が記載されている。当該特許に記載された印刷機において枚葉紙状の材料のための搬送機構は単独駆動部を有しており、この単独駆動部は枚葉紙を加工する機械の枚葉紙状の材料を加工するステーションに設けられている胴とは別個に駆動されている。少なくとも枚葉紙状の材料を送る搬送装置と胴との同期化が実現される。胴もまた単独駆動部を有している。キャリッジ型くわえと胴との同期化は概ね同期歯車装置によって行われる。見当の正確さは互いに同期されたコストの嵩む駆動部によって実現される。このように印刷機において単独駆動と、当該特許の場合はリニアモータによって駆動されるキャリッジ型くわえを用いた枚葉紙の搬送とを組み合わせることは知られている。
【特許文献1】独国特許発明第435716号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第2341326号明細書
【特許文献3】米国特許第3383991号明細書
【特許文献4】独国特許発明第4138278号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第10306493号明細書
【特許文献6】独国実用新案第202004018763号明細書
【特許文献7】独国特許発明第80616号明細書
【特許文献8】米国特許第2138405号明細書
【特許文献9】独国特許発明第3936345号明細書
【特許文献10】独国特許出願公開第3636578号明細書
【特許文献11】米国特許第737521号明細書
【特許文献12】独国特許出願公開第1930317号明細書
【特許文献13】独国特許出願公開第19511682号明細書
【特許文献14】独国特許出願公開第2501963号明細書
【特許文献15】独国特許出願公開第19722376号明細書
【特許文献16】独国特許出願公開第19527199号明細書
【特許文献17】独国特許出願公開第2046131号明細書
【特許文献18】独国特許出願公開第1146959号明細書
【特許文献19】独国特許発明第19623224号明細書
【特許文献20】独国特許出願公開第10155033号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の課題は、印刷機において印刷枚葉紙に打ち抜き、エンボス、溝付け、または目打ちなどの機械的な加工をインラインで行うためのモジュール型加工装置であって、印刷枚葉紙がくわえによって加工胴に引き渡されることなく、加工を受けるために加工間隙に導入されるモジュール型加工装置を提供することである。本発明はさらに、搬送手段と単一または複数の加工胴との同期化のための手段を記載している。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記の課題は請求項1に記載の特徴を備えた装置および請求項6に記載の特徴を備えた方法によって解決される。
【0022】
有利なさらなる態様は従属請求項に記載されている。
【0023】
前記の点に鑑み、本発明は枚葉紙印刷機において枚葉紙状基材に例えば裁断、打ち抜き、エンボスなどの仕上げ加工を行うための装置および方法に関する。このとき基材は回転する二つの加工ローラの間に導入可能であって、加工ローラの間の作用間隙を通過する際に加工されることによって基材の仕上げ加工が行われる。このとき印刷枚葉紙は加工装置を通過してリニアモータまたはキャリッジ型くわえを備えたリンク鎖によって二つの回転する加工ローラの間の加工間隙に導入され、場合によって再び搬出される。
【0024】
本発明によって見出された解決は、枚葉紙を搬送手段によって、印刷機において印刷枚葉紙に機械的な加工を行うための加工装置の加工間隙に導入するものである。このとき印刷枚葉紙は搬送手段によって共に回転する加工胴のうちの一つに引き渡されることがない。
【0025】
本発明でいうところの搬送手段は、キャリッジ型くわえを備えたリンク鎖、搬送ベルト、またはリニアモータによって搬送されるキャリッジ型くわえであってよい。
【0026】
本発明によって見出された解決の大きな利点は、この解決が構成上の大きな変更なしに枚葉紙印刷機の排紙装置に組み込めるということであり、それによって必然的に排紙装置におけるチェーンガイドなどの搬送装置の構成を高いコストを投じて変更する必要がなくなる。搬送装置は枚葉紙とともに加工ステーションを通過するのであるから、モジュール型加工装置もまた妥当なコストによって既存の排紙装置の構造に組み込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明に関する唯一の図面は関連する記号リストに基づいて本発明に係る装置を形成するための部材を示している。
【0028】
排紙装置1は、版胴2と圧胴3とを備えた印刷装置に接続されている。枚葉紙案内胴4は、印刷枚葉紙をキャリッジ型くわえコンベヤ機構5に引き渡し、該キャリッジ型くわえコンベヤ機構は印刷枚葉紙を排紙装置パイル7の方向に搬送する。さらなるチェーンコンベヤ機構6が、加工された印刷枚葉紙を排紙装置パイル7の上に降下させるために設けられている。コンベヤ機構6,7の領域には、下方に設けられている加工胴8と上方に設けられている加工胴9とを備えたモジュール型加工装置が設けられている。モジュール型加工装置は、印刷枚葉紙に例えば打ち抜き、溝付け、目打ち、またはエンボス加工を施すために用いられる。打ち抜き加工の際には、打ち抜き廃棄部を上方に設けられている加工胴9から除去するための吸引装置10が用いられる。さらに打ち抜かれた廃棄部は、送り出し装置12を介して廃棄部排出装置11に廃棄処理することもできる。
モジュール型加工装置においてより良い加工可能性が得られるように枚葉紙を処理するために、紫外線乾燥装置13および/あるいは赤外線乾燥装置14がキャリッジ型くわえ搬送機構5の領域に設けられていてもよい。
このようなユニットは、モジュール15として排紙装置1に設けられている。本図において上方に設けられている加工胴9および下方に設けられている加工胴8は、これらの胴の作用間隙が、キャリッジ型くわえコンベヤ機構5およびチェーンコンベヤ機構6の下方の移動経路の高さにほぼ一致するように設けられている。加工胴8,9はくわえ装置を有していない。印刷枚葉紙は、加工胴8,9の間の作用間隙の平面に設けられたコンベヤ機構から作用間隙を通過するように搬送される。したがって本発明では単独の無端のコンベヤ機構が設けられていてもよい。そのような単独の無端のコンベヤ機構は印刷枚葉紙をくわえ開閉部に把持してモジュール型加工装置を通過するようにガイドする。
【0029】
このときモジュール型加工装置の少なくとも一つの胴は溝を有しており、この溝によって搬送手段、例えば側面がチェーンに懸吊されたキャリッジ型くわえは、加工胴に衝突することなく通過することができる。
【0030】
モジュール型加工装置と搬送装置との同期化のみを確実に行う必要がある。チェーンのような歯付き部材を備えた搬送手段には、運転中にチェーンが長くなり、歯付き部材は多少なりともピッチ誤差を有するという不利点がある。
【0031】
モジュール型加工装置を打ち抜き加工のためにしか用いる必要がないような単純な応用例においては、印刷枚葉紙の通過は同期化を実現しないで行うことができる。その理由は打ち抜きの正確さに対する要求は通常、印刷において要求される見当の正確さよりも著しく小さいものだからである。しかしながら印刷画線部に対して見当通りに実現する必要のあるエンボス加工を行いたいような場合は、搬送手段と加工装置の位置とを同期化させるための手段を講じなければならない。チェーン搬送機構の見当の正確さは、厳選され前もって延ばされたチェーンを用いることによって向上させることができる。不利な点はこのような高品質のチェーンは通常使用されるチェーンよりも著しく高価である場合が多いことである。
【0032】
別の取り組みとして、搬送手段に対してある程度の位置の誤差を許容し、好適な手段によって加工間隙を通過する際の同期化を確実に実現するという方法がある。これは例えば搬送手段が一時的に加工胴によってロックされることによって行われる。通常の方法は、キャリッジ型くわえを備えたチェーンガイドのためのものであり、キャリッジ型くわえは保持リンクによってチェーンに懸吊されており、これらの保持リンクは、ストッパねじまたは角柱体などの機械的手段に対して位置調整される。別な機械的な方法も考えられる。例えばキャリッジ型くわえによるキャリッジ型くわえ搬送の場合に、キャリッジ型くわえ自体が係合面を有し、この係合面が少なくとも一つの加工胴の胴溝に設けられている単一または複数の係合面に当接しながら位置調整されるというものである。
【0033】
同期化のための別な方法は、キャリッジ型くわえ機構または搬送手段の位置が、加工装置の加工間隙に進入する前に一つまたは複数のセンサによって検知され、位置の誤差が、加工胴の位置調整部によって補正されるというものである。このような解決の有利点は、搬送手段における誤差が許容され、誤差の修正が加工装置の胴の調整を介して行われることである。このようにして、生産を持続させるときに当然変化し得る一定の誤差が許容され、加工装置における単独駆動部によって調整される。
【0034】
このような概念を実行する方法は、少なくとも一つまたは二つの加工胴が制御可能な単独駆動部を備え、当該単独駆動部が加工胴の位置をダイナミックに変更できるというものである。このとき制御可能な単独駆動部は、キャリッジ型くわえなどの搬送手段が、加工装置に進入する前の位置を検知する複数のセンサもしくは単独のセンサから、当該搬送手段の目標位置に対する初期値を得る。また、このような解決は、良好に実施に移すことができる。その理由は、例えば搬送手段の位置の検出と加工胴への進入との間の経路上でわずかな位置の誤差があっても、それらは要求される許容誤差を考慮した場合に問題なく容認できるためである。
【0035】
単独のセンサもしくは複数のセンサによって検出された信号は、単数または複数の単独駆動部を運転するために用いられ、それによって加工胴と搬送手段とは互いに同期化した状態になり、搬送手段がモジュール型加工装置を問題なく通過することができるようになる。この点は実数によるガイド軸(Reale Leitachse)を用いた単独駆動部制御の特徴である。このときガイド信号は例えばキャリッジ型くわえなどの搬送手段の位置設定によって、あるいはモジュール型加工装置に進入する前の枚葉紙の位置設定によって与えられる。
【0036】
単独駆動部が欠如している場合、または例えばキャリッジ型くわえなどの搬送手段が時間通りに到着しない場合に、モジュール型加工装置において衝突の問題が生じる。エラー信号は単独駆動部から発信される場合があるが、このとき例えば駆動部が欠如していると、エラー信号は緊急制御部に転送され、緊急制御部によってただちに衝突を回避するための緊急プログラムが開始される。エラーが発生するもう一方の場合、すなわちキャリッジ型くわえが正しい位置にない場合は、例えば印刷タワーの前に少なくとも一つのセンサが配置され、このセンサをキャリッジ型くわえが短時間の枠内で通過しなければならないようにすれば検出することができる。この時間枠が超過されるか、またはキャリッジ型くわえが早く到着しすぎて誤差が大きすぎ、そのために枠内の残り時間では単一または複数の単独駆動部による修正がもはや不可能であるとき、単独駆動部の欠如の場合と同一の緊急プログラムが実施される。
【0037】
緊急プログラムのための解決は個々の胴の駆動の構想に応じて異なっていてよい。一つの可能性として、加工胴が自発的に離接され、それによってキャリッジ型くわえがそれほど大きな損傷を生じさせることなく加工装置を通過することができるという方法がある。歯車列を介して加工装置を機械的に連結することなく単独駆動部を用いる場合、あるいは印刷機の印刷装置もしくはニス引き装置に対して別の好適な力の伝達方法を用いる場合、このような離間の動きはより簡単に実現される。加工胴の離接は、空気圧、液圧、電気によってモータあるいはリニアモータを介して行われる。
【0038】
さらに別の解決では、加工装置がバネ付勢された歯車またはバックラッシュが比較的大きな歯車と係合しており、それによっていずれの場合にも、例えば単独駆動部が欠如している場合にも、搬送手段が衝突することなく通過することが保証されている。このとき単独駆動部は、搬送手段もしくは印刷枚葉紙と加工胴との同期化を歯車またはバネのバックラッシュの枠内でのみ実現する。予想される位置の誤差が比較的小さい場合は、このような解決は、高い確実性と良好な同期化を同時に提供すると思われる。
【0039】
打ち抜き運転においてモジュール型加工装置を通過した後、打ち抜き加工された全型の枚葉紙はさらに搬送され、排紙パイル上に降下される。代替的に、枚葉紙は加工間隙を通過した後に、場合によっては拡開手段を利用して少なくとも一つの有用部と少なくとも一つの廃棄部とに分離することができる。モジュール型加工装置を通過する搬送手段は、少なくとも一つの有用部と少なくとも一つの廃棄部とへの分離が行われた後、少なくとも一つの廃棄部の分離部を搬送するために用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る装置を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 排紙装置
2 版胴
3 圧胴
4 枚葉紙案内胴
5 キャリッジ型くわえコンベヤ機構
6 チェーンコンベヤ機構
7 排紙装置パイル
8 加工胴
9 加工胴
10 吸引装置
11 廃棄部排出装置
12 送り出し装置
13 紫外線乾燥装置
14 赤外線乾燥装置
15 モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機において、印刷および場合によってニス引きされた印刷枚葉紙に打ち抜き、溝付け、目打ち、エンボスなどの加工を行うためのモジュール型加工装置であって、
前記モジュール型加工装置は輪転式加工装置であり、前記モジュール型加工装置において前記印刷枚葉紙は、二つの回転する加工ローラの間の加工間隙に導入可能であって、該加工間隙を通過する際に作用する加工器具部材によって加工されるモジュール型加工装置において、
二つの加工胴はくわえを有しておらず、前記印刷枚葉紙は搬送手段によって前記モジュール型加工装置へ、および前記二つの加工胴の間の加工間隙内に導入されることを特徴とするモジュール型加工装置。
【請求項2】
前記搬送手段は両側において循環する歯付チェーン、コンベヤベルト、またはコンベヤロープとして形成されており、前記歯付チェーン、コンベヤベルト、またはコンベヤロープの間にはキャリッジ型くわえまたは空気圧による吸引プレートが前記印刷枚葉紙をガイドするために前縁に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のモジュール型加工装置。
【請求項3】
少なくとも一つの加工胴は胴溝を有し、該胴溝によって前記搬送手段は前記加工間隙を衝突することなく通過できることを特徴とする請求項1に記載のモジュール型加工装置。
【請求項4】
少なくとも一つの加工胴は、制御可能な単独駆動部を有していることを特徴とする請求項1に記載のモジュール型加工装置。
【請求項5】
前記モジュール型加工装置は、比較的大きなバックラッシュを有する歯車またはバネ付勢された歯車を介して前記印刷機と連結されており、通常は前記単独駆動部によって駆動が行われ、機械的な連結は、エラーが発生した場合にモジュール型加工装置と搬送手段との衝突を回避するためにのみ用いられることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のモジュール型加工装置。
【請求項6】
請求項1から4に記載のモジュール型加工装置において搬送手段を同期化させるための方法であって、
一つまたは複数のセンサによって前記搬送手段の位置または前記印刷枚葉紙の位置が前記進入の前に決定されることによって、前記同期化は実数によるガイド軸の原理に従って行われ、得られた単一の信号もしくは複数の信号が前記モジュール型加工装置の位置の制御のために用いられ、それによって搬送手段とモジュール型加工装置が正確に、またはある程度の誤差の範囲内で互いに同期化されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の搬送手段を同期化させるための方法において、
前記同期化は、少なくとも一つの加工胴に設けられた機械的な角柱体またはストッパによって行われ、前記角柱体またはストッパにおいて前記搬送手段が位置調整されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6に記載の衝突を回避するための方法であって、
前記モジュール型加工装置の駆動装置が欠如している場合、または搬送手段においてエラーがある場合、少なくとも一つの加工胴が自発的に空気圧、電気、液圧、または機械によって離接され、それによって前記搬送手段と衝突する危険がなくなることを特徴とする方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−132777(P2008−132777A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282226(P2007−282226)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(599011584)エム・アー・エヌ・ローラント・ドルックマシーネン・アクチエンゲゼルシャフト (257)
【Fターム(参考)】