説明

架橋した溶液キャストポリマーフィルムを連続的に調製するための方法及び装置

架橋した溶媒キャストフィルムを連続的に調製する方法及びシステムを開示する。方法は、ポリマー溶液の圧力をかけた流れを連続的に提供する工程、架橋剤を含む液体流れと、ポリマー溶液の圧力をかけた流れを連続的に合わせる工程、ポリマー溶液と液体流れの組み合わせをインラインで混合する工程、結果得られる混合物を連続的に移動する表面に対して連続的に適用する工程、次いで混合物から溶媒を蒸発させてポリマーフィルムを形成する工程を含む。システムは、以下を含む:(i)ポリマー溶液の供給と連絡する液体における第一のポンプ、移動するキャスティング表面に対して近接して堆積されたポリマー溶液を継続して堆積するためのキャスティング金型、及びポリマー溶液をポンプからキャスティング金型へのポリマー溶液用の流路を提供する第一の導管を含む、継続したポリマー溶液キャスティングシステム;(ii)架橋剤を含んだ第二の液体成分の供給を保持するための第二のリザーバー、第二の液体成分の供給に連絡する液体における可変速度の第二のポンプ、ニードル弁、及びリザーバーから第二のポンプ次いでニードル弁を介して出口に対する第二の液体成分用の流路を提供する第二の導管を含む、第二の液体成分注入システム;(iii)第二の液体成分の注入システムの出口を継続したポリマー溶液キャスティングシステムの第一の導管に接続する導管の接合部、該接合部は、第一のポンプの下流に設置される;及び(iv)キャスティング金型及び導管の接合部の間に配置されたインラインミキサー。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関係する出願の相互参照)
2005年10月19日に出願した、米国仮特許出願第60/728,138号の35 U.S.C§119(e)のの利益を、本出願で主張する。
【0002】
(背景)
開示の背景
この開示は、一般に、フィルムを作るためのポリマーの連続的な溶液キャスティングのための方法及び装置に関する。より具体的には、この開示は、架橋したポリマーフィルム、例えばポリビニルアルコールを連続的に製造するための、第二の薬剤、例えば架橋剤を、キャスティング金型(casting die)のちょうど上流でポリマー溶液の流れの中に注入するための方法及び装置に関する。
【0003】
関係する技術の簡単な説明
プラスチック材料を製造するための一般的な技術は数十年間使用されてきたが、溶媒−フィルムキャスティング(solvent-film casting)は、益々興味が持たれている。その理由の一つは、水溶性の包装及び他の関係した適用の分野における特別な要求が、この技術でのみ満たすことができることである。
薄いプラスチックフィルムを製造するための連続的な方法の進歩は、19世紀の終わりから始まった新たな写真工業に密接に関連した。その当時、他の技術は工業フィルムの形成に対して利用できず、ポリマー化学もまだ初期段階であった。2つの異なる技術がまもなく開発された:(1)輪又は大きなドラム上のキャスティング;及び(2)フレキシブルな金属製のエンドレスベルト上でのキャスティング。驚くことに、両方の技術とも、第三の技術である移動するプラスチックフィルム上でのキャスティングと共に、今日未だに使用されている。しかしながら、熱可塑性のポリマーフィルムの製造のための押し出し技術の進歩により、溶媒キャスティング方法の重要性は低下した。今日、溶媒キャスティングは、隙間の市場及び特別かつ高い品質を要求するフィルムに対して使用される特別な製造方法である。
【0004】
典型的な溶媒キャスティングシステムは、有機溶媒、例えばアセトン、アニリン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ベンゼン、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、エチレンジクロライド、トルエン、テトラヒドロフラン等を利用する。このような溶媒は、通常、複合溶媒の蒸気の回収及び溶剤に戻すシステム(rehabilitation system)を必要とする。更に、人間及び環境がこれらの溶媒に曝露されることは、最も望まれない。一次溶媒としての水の使用は、これらのデメリットを解消できる。従って、回収及び溶媒に戻すシステムは全く必要なく、環境及び人間の曝露は問題ではない。
圧延、押し出し、プラスチゾルキャストシステム及びオルガノゾルキャストシステムを含む、フィルムを形成するための他の多くの方法が存在する。押し出し及び圧延は、ポリマーを溶融し、冷却する前にプラスチックを成型する方法である。プラスチゾル及びオルガノゾルキャスティング法は、可塑剤のマトリックス中でポリマーを溶融する工程を含み、及びその後に可塑剤の溶解作用がフィルムを形成する。
【0005】
以前の方法及び装置において、ベースポリマー及び第二の成分、例えば可塑剤、フィラー、界面活性剤、活性剤(actives)及び着色剤を含む、ゆくゆくは移動する面上にキャストされる溶液は、タンク中の水とベースポリマー及び第二の成分を合わせる工程、次いでこれらを混合する工程により調製される。次いで、均一な溶液又は懸濁液を、ポンプで、脱気及び濾過を含む1以上の操作に通し、次いで移動する面、例えば移動するベルト(traveling belt)上にキャスティングするための、溶液キャスティング金型に送られる。
ポリビニルアルコール(PVOH)膜は、電池セパレーターとして脱塩、水からの有機溶媒及びフェノールの分離、イオン交換において、及び生物医学的な用途において有用であることが分かっている。PVOHは膜として良好な候補であり、それは容易に処理することができ、高い機械的安定性を示し及び非毒性だからである。PVOHは親水性が高いため、変性していない膜は、水で非常に膨潤した状態になる。以前は、PVOH膜は、種々の方法、例えばバッチの化学的方法、照射及び熱処理により変性してきた。マクロスケールにおいて、PVOH膜の厚さ、細孔構造及び架橋の種類は、溶媒の移動に影響することが見出された。
【0006】
(概要)
本開示の一側面は、ポリマー溶液の圧力をかけた流れを連続的に供給する工程、ポリマー溶液の圧力をかけた流れと、架橋剤を含んだ液体の流れを合わせる工程、ポリマー溶液と液体の流れの組み合わせをインラインで混合する工程、結果得られたポリマー溶液と架橋剤の均一な混合物を、移動する面に対して連続的に提供する工程、次いで混合物から溶媒を蒸発させる工程を含む、第二の成分を有した溶媒キャストフィルムを連続的に調製する方法を与える。
本開示の他の側面は、架橋剤を含んだポリマー溶液を、溶媒を蒸発させて架橋したフィルムを形成するための基体上にキャスティングする改良した方法を提供し、その改良点は架橋剤をポリマー溶液の流れの中に連続的に注入する工程、結果得られたポリマー溶液の流れと架橋剤をインラインで混合する工程、次いで結果得られたポリマー溶液を移動する面上にキャスティングして、架橋したフィルムを連続的に製造する工程を含む。
【0007】
さらなる側面及び利点は、図面と共に与えられる、以下の詳細な説明の概観から当業者に明らかであろう。方法、システム及び改良点が、種々の形態における態様であることが可能である一方で、以後の記載は、本開示が説明に役立つが、本明細書に記載する具体的な態様に本発明を制限することを意図しないことの理解と共に、具体的な態様を含む。
【0008】
(詳細な説明)
本発明は、一般に、1以上の第二の成分を含んだポリマーフィルムを連続的に形成するための、溶液キャスティングのための方法及び装置に関する。
溶液キャスト工程は、従来の融解工程が持っていない、いくつかの独特の特徴を与える。溶媒キャスティングにおいて、フィルムの形成は、溶解性に依存するが、溶融には依存しない。従って、広い範囲のポリマーアロイが、溶媒キャスティングにより製造できる。フィルムを形成するための流動性は溶媒により与えられるため、純粋な樹脂フィルムは、加熱、安定化剤、可塑剤又は潤滑剤により、粗悪化することなく製造できる。最終製品に対して有利である添加剤のみが、ポリマーに取り込まれる必要がある。
溶媒キャスティングは、優れた寸法安定性、加えてピンホール、ゲル及び他の欠点を削減し又はこれら欠点から解放するフィルムを提供できる。溶媒キャスティング工程により製造されるフィルムに本来備わっている非常に低い熱履歴(heat history)に起因して、この工程は、フィルムに対して延長した耐用年数も提供できる。
【0009】
この方法は、一般に、キャスティング表面に向けたポリマー溶液の供給を連続的にポンプでくむ工程、ポリマー溶液の供給と、1以上の第二の成分とを連続的に合わせる工程、この組み合わせを混合する工程、次いで合わせた溶液をキャスティング表面に堆積させる工程の段階を含む。好ましくは、第二の成分は架橋剤を含む。
架橋したフィルム、特に架橋したPVOHの製造のための以前の方法及びシステムは、回分式で行われた。本明細書に記載する方法では、1以上の架橋剤を、フィルムを形成して架橋させる前に、溶液中のベースポリマーを含んだ流れの中に連続的に注入する。この方法及びシステムの種々の態様により達成できる利点の1つは、フィルム設計のより効果的な変更及び新規の設計の製造のためのシステムの調製による、異なる種類のフィルムの創造における、架橋したフィルムの連続的な製造における、及び製品の品質の一貫性における柔軟性及び能率の利点である。
【0010】
一態様において、方法は、ポリマー溶液の圧力をかけた流れを連続的に提供する工程、ポリマー溶液の圧力をかけた流れと第二の成分を含んだ液体の流れを連続的に合わせる工程、ポリマー溶液及び液体の流れの組み合わせをインラインで均一に混合する工程、結果得られたポリマー溶液と第二の成分の均一な混合物を、連続的に移動する面に連続的に適用する工程、次いで混合物から溶媒を蒸発させてポリマーフィルムを形成する工程を含む。第二の成分が架橋剤を含む場合、架橋はポリマー溶液中への架橋剤の導入に基づいて開始し、フィルム形成後、及び製品フィルムがキャスティング表面から除去され回収された後(例えば、ロールに巻き取られる)でさえ、続いても良い。
ポリマー溶液は、適切な溶媒中のポリマーの十分に均一な混合物のいかなるものでもある。用語“ポリマー溶液”は、本明細書において、他に記載する場合を除き、本明細書で記載するような第二の成分の連続的な注入をする前の溶液を意味する。開示する方法及びシステムは、水に溶解した水溶性ポリマー、例えばポリビニルアルコール(PVOH)に対して理想的に適している。PVOHの溶液の水含有量は、好ましくは約60質量%から約85質量%の範囲内である。適切な水溶性材料は、ポリマー、コポリマー及びこれらの誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0011】
例えば、水溶性材料としては、水溶性コポリマー及び他のこれらの誘導体を含む、以下の群から選択されるポリマーが挙げられる;ポリビニルアルコール類、ポリエチレンオキシド類、デキストラン類、デンプン類、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及び他セルロースエーテル類)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ペクチン、アルギネート、タンパク質及び誘導体化した(derivatized)タンパク質(例えばゼラチン、コーンゼイン(cornzein)、乳漿タンパク)。
他のポリマー溶液が、開示されたシステムで使用するために適切である一方で、架橋したPVOHフィルムの製造に特に関連して、本明細書において態様が記載される。
ポリビニルアルコール又はそのコポリマーを使用する場合、結果としてPVOHが部分的に又は完全に加水分解される。ポリビニルアルコール(PVOH)は、一般に、ポリビニルアセテートの、通常は加水分解又は鹸化と言われるアルコール分解により調製された合成樹脂である。
【0012】
実際上全てのアセテート基がアルコール基に転換(例えば、98%より高い程度の加水分解)された、完全に加水分解されたPVOHは、強く水素結合し、熱湯中にのみ溶解、例えば約60℃以上の温度で急速に溶解する高い結晶性のポリマーである。
アセテート基の十分な数が、ポリビニルアセテートの加水分解の後に残ることが許容される場合、結果としてPVOHポリマーは部分的に加水分解されたものとして知られ、PVOHは、より弱く水素結合され、及び低い結晶性であり、かつ冷水で溶解性、例えば約10℃以上の温度で急速に溶解する。
部分的に加水分解されたPVOHの種類は、技術的にビニルアルコール−ビニルアセテートコポリマーであるが、完全に及び部分的に加水分解されたPVOHの両方の種類は、普通PVOHホモポリマーと言われる。
【0013】
水溶性フィルムから製造できる、多くの化学的に異なる種類の製品が存在するため、ポリマー溶液は、異なる方法で調製されなければならない。すなわち、PVOH樹脂、架橋剤、可塑剤システム及び他の成分は変えることができ、及び異なる製品の特徴を有したフィルムの、高い水膨潤性のハイドロゲルタイプのフィルムから硬い膜フィルムまでの範囲を提供できる。
“水溶性”は、水にさらされた場合、溶解又はその最も小さい成分に分解し始めるフィルムを意味する。ポリビニルアルコール(PVOH)は親水性ポリマーであり、及びその製造において典型的に使用される可塑剤は、水に対する親和性も有する。PVOHは、湿った環境から水分を吸収し、及び乾燥した環境に対して水分を放出するであろう。含水率が増加する(湿度と同等)と共に、PVOHフィルムは、急速に柔らかく及びより弾力性になり、引っ張り特性を消失し、極限伸びが増加する傾向にある。また、PVOHフィルムの摩擦係数は、含水率の増加に伴って増加するであろう。
【0014】
ポリマー溶液は、溶媒(群)及びベースポリマー樹脂(群)から成り、又は実質的にこれらから成り、1以上の架橋剤及び任意の第二の薬剤は、フィルムを形成する表面上に適用する前に、ポリマー溶液の流れの中に注入される。他の態様において、ポリマー溶液は、幅広い処方における利用が見出される通常の工程補助、例えば可塑剤、滑剤、剥離剤、フィラー、増量剤、ブロッキング防止剤、タック防止剤、消泡剤及び他の機能的又は装飾的な成分を、その意図される目的に適切な量で含むことができ、及びフィルムが形成される表面上に適用される前に、1以上の架橋剤が、ポリマー溶液の給送管の流れの中に注入され次いで混合される。
水溶性ポリマーとしてのPVOHに対して、架橋剤は、PVOHのヒドロキシル基と化学結合を形成できるいかなる化学薬品であって良い。
【0015】
このような架橋剤は、モノアルデヒド類(例えば、ホルムアルデヒド、ヒドロキシアセトアルデヒド及びヒドロキシアジプアルデヒド(hydroxyadipaldehyde))、ジアルデヒド類(例えば、グリオキサル、グルタルアルデヒド及びコハク酸ジアルデヒド)、アルデヒド含有樹脂(例えば、トリメチロールメラミン、メラミンホルムアルデヒド)、多官能基のカルボン酸(例えば、ジカルボン酸、例えばマレイン酸、オキサル酸、マロン酸及びコハク酸)、クエン酸、グリシジル及び他の二官能のメタクリレート類、N-ラクタムカルボキシレート、ジチオール(例えば、m-ベンゾジチオール)、ウレア−ホルムアルデヒド及びメラミンホルムアルデヒド、ジメチルウレア、ジ−イソシアネート、ホウ酸及びボレート、多価アニオンの塩(例えばアンモニウムジルコニウムカーボネート)、無機ポリイオン(例えば、モリブデート及びタングステート)、第二銅塩及び他の第1B族の塩、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂(ポリアゼチジンプレポリマー)及びこれらのいかなる組み合わせを含むが、これらに限定されない。本方法の一態様においては、ジアルデヒド(例えば、グリオキサル、グルタルアルデヒド又は両方)が好ましい。
【0016】
いくつかの架橋剤が、ヒドロキシル基との直接の縮合反応を受けて、共有結合を形成する(例えば、カルボン酸とのエステル化反応及びアルデヒドとのアセタール化(acetalization)反応)。他の架橋剤は、以下の官能基の1以上を有することができる:不安定な極性の共有結合性相互作用を介した複合体を形成する官能基、イオン相互作用を介して架橋する官能基及び水素結合の相互作用を介して架橋する官能基、並びにそのような架橋剤の組み合わせが挙げられる。このような全ての種類の架橋剤は、本明細書で記載する方法での使用が考えられる。水溶性ポリアミドエピクロルヒドリンの例は、Wilmington,DelwareのHercules,Inc.による商標名POLYCUP 172のもと入手可能である。
前記架橋剤は、ポリビニルアルコール及び本明細書で記載する他の多くの水溶性ポリマーに対して特に適切であるが、他の架橋剤は、記載した水溶性ポリマーとは他のポリマーに対してより適切又は便利であって良く、及び更に他の架橋剤が、溶液キャスト及び架橋できる他のポリマーに対してより適切で又はより便利であっても良い。例えば、アルギネートは、単一のカルシウム塩により非常に便利に架橋する。更に、本技術で知られるように、種々の架橋剤が、触媒、例えばアルデヒド架橋剤を有する酸触媒と共に使用される。
【0017】
架橋剤は、好ましくは、水溶性ポリマーの質量に基づいて、最大で約10質量%、例えば約1質量%から約10質量%、又は5質量%から約10質量%の量で存在する。例えば、水溶性ポリアミド−エピクロルヒドリンは、好ましくはPVOHポリマーの約7-10質量%の量で使用される。他の例として、ホウ酸が、好ましくはPVOHポリマー約5%の量で使用される。
他の第二の成分は、着色剤、例えばポリマー溶液に溶解できる着色剤(例えば、酸性染料、直接染料、塩基性染料、他の水溶性染料又はこれらの組み合わせ)及び/又はポリマー溶液に不溶性の着色剤であることができる。
他の態様において、第二の成分が不溶性の粒子であり得ることを意図する。例えば、粒子は、結果得られるフィルムに対して、所望の装飾的な外観を与えるために使用できる。従って、特性、例えば着色、反射、蛍光、透明、オパール色、真珠光沢等の1以上を有する粒子が適切である。不溶性の顔料が、意図される粒子物質の1種である。粒子は、球、結晶、不規則及び平面を含むいかなる形態を有することができる。
【0018】
他の態様において、第二の成分は、溶解性の粒子であり得ることを意図する。例えば、着色した水溶性材料(例えばPVOH又はアラビアゴム)の削り屑又はフレークを使用でき、かつそれをキャスティングまでに完全に溶解して結果得られるフィルムに色の付いた又は着色したフィルムを与えることができ、又はこれらをキャスティングまでに部分的に溶解して、フィルムに不均一な外観を与えることができる。他の例において、マイクロカプセルは、第二の成分として使用できる。結果として、比較的柔らかいシェル(例えば、ゼラチン)を有するマイクロカプセルを、混合段階で導入し及び剪断して、色又は他の薬剤(例えば、匂い、架橋剤)をポリマー混合物中に放つことができる。キャスティング前の剪断の程度及びタイミングを利用して、結果得られるフィルムの特性を制御できる。比較的硬いシェル(例えば、ある程度架橋したゼラチン)を有する、色を含んだマイクロカプセルを使用して、ポリマー溶液に色を導入し、及び結果得られるフィルムに不均一な外観を与えることができる。水溶性マイクロカプセル又は微小球は、好ましくは、ポリマー水溶液中に注入する前に、非水性キャリアー(例えば、グリコール)中にスラリー化される(slurried)。
【0019】
一態様において、粒子は、1μmから100μmの平均粒径を有し得る。他の態様において、粒子は、4μmから25μmの平均粒径を有し得る。ポリマー溶液中に注入される液体中の不溶性の粒子の第二成分の固形物含有量は、好ましくは、ポリマー溶液の合計質量に基づいて、約3質量%〜約10質量%の範囲内にある。他の第二の薬剤は、可塑剤、滑剤、剥離剤、フィラー、増量剤、ブロッキング防止剤、タック防止剤、消泡剤及び他の機能性又は装飾性成分、及びこれらのいかなる組み合わから選択できる。
第二の成分を含んだ液体の流れは、いかなる所望の形態、例えば、溶液、懸濁液、乳液、ゾル及びゲルの形態をとることができるが、これらに限定されない。
第二の成分は、典型的には、最終的なフィルム製品に望まれるであろうよりも、さらにより高い濃度で液体中に存在し、これは液体注入の比較的低い流動速度をもたらすであろう。従って、第二の成分を含んだ液体は、典型的には、ポリマー溶液に対する第二の成分の比較的低い割合で、ポリマー溶液の流れの中に注入されるであろう。例えば、その割合は、ポリマー溶液に対する第二の成分、例えば水溶性の染料の、容積により約1:10から約1:100であり得る。架橋剤に関して、架橋剤とポリマー溶液の割合は、例えば、約0.3:10から約0.3:100であり得る。一態様において、第二の成分を含んだ液体の流動速度が1時間当たり数リットルから数十リットルのオーダーであり得るのに対して、ポリマー溶液の流動速度は、1時間当たり数百リットルのオーダーである。例えば、第二の成分として溶解性染料を含んだ液体の流動速度は、ポリマー溶液の流動速度が約379l/hr(100gal/hr)である場合に、約2l/hr(0.5gal/hr)から約19l/hr(5gal/hr)の範囲であり得る。
【0020】
液体の流れは、好ましくは、その体積流量が正確に測定できるように、十分な粘度を有する。一態様において、第二の成分を含んだ液体の流れの粘度が、85℃(185°F)で少なくとも0.03Pa・s(30cps)、例えば85℃(185°F)で約0.07Pa・s(70cps)から0.08Pa・s(80cps)であり得ることが意図される。液体が、第二の成分が水溶性の成分、例えば水溶性の染料である場合に、グリコール、例えばプロピレングリコールを含み、粘度を所望の範囲に調整できることが意図される。
第二の成分を含んだ液体とは対照的に、ポリマー溶液は、典型的には、比較的高い粘度及び高い固形物含量を有する。例えば、ポリマー溶液は、少なくとも約20wt%、又は約25wt%から約40wt%の固形物含量を有し得る。粘度は、例えば、85℃(185°F)で少なくとも30Pa・s(30,000cps)、例えば85℃(185°F)で約40Pa・s(40,000cps)から約50Pa・s(50,000cps)であり得る。
ダイカスト法において、圧力をかけたポリマー溶液の圧力は、典型的には比較的高く、例えば少なくとも0.7MPa(100psi)、又は約0.7MPaから約1.4MPa(約100psiから約200psi)であり得る。本明細書に記載する方法及びシステムの一態様において、第二の成分を含んだ液体を加圧して、注入時点のポリマー溶液の流れの圧力を超えることにより、そのように加圧されたポリマー溶液の流れの中に、第二の成分が正確かつ確実に注入される。加圧の程度は、好ましくは少なくとも120%(例えば0.7MPa(100psi)のポリマー溶液の圧力に対して、0.8Mpa(120psi))である。
【0021】
方法は、いかなる適切な装置、例えば、バンドキャスティングシステム(band casting system)、図面との関係で以下記載されるであろう特別の態様により行うことができる。バンドキャスティングシステムの好ましい態様は、混合システム、連続金属バンド(continuous metal band)をぴんと張った状態にし、かつドラムの回転によって移動する、少なくとも第一及び第二の回転ドラムを含んだバンドキャスティングマシン、ポリマーのアプリケーター、例えば調節可能なシート押し出しダイ又は金属バンドに対してタンクからポリマー溶液を適用するために使用する他の装置、及びシート押し出しダイの下流で金属バンドの少なくとも一部を取り囲む乾燥室を含む。
全体的な溶媒キャスティングシステムは、一般に数字“10”で参照される。他の構成要素は、明細書及び図面の全体を通して、同様にかつ一貫して番号付けされる。本明細書に開示されるいくつかの態様が、特定の連続的なバンドキャスティングシステム、例えばCarpentersville、IllunoisのBerndorf Belt Systemsにより設計かつ製造される機械を用いた使用について記載する一方で、他のそのようなバンドキャスティングシステムが、記載した方法及び装置の実施に適合できる。
【0022】
本開示による溶媒キャスティングのためのシステムの一般的な構成要素が、図1を参照して記載できる。溶媒バンドキャスティングシステム10の態様は、ポリマー溶液を混合及び貯蔵するための混合システム12で始まる。混合システム12は、単一のタンクであることができ、又は好ましい態様においては多数のタンク及び付属配管、ポンプ、及びタンク間のポリマー溶液の流れを制御するためのバルブを含んでも良い。混合システム12に隣接して、第一及び第二の回転ドラム16及び18を含むバンドキャスティングマシン14が示され、金属バンド20の連続した輪がぴんと張った状態になりかつドラム16及び18の回転で移動する。混合システム12及びキャスティングマシン14の間には、導管の接合部84によりポリマー溶液の供給ライン13と連結された注入システム82(概略的に示される)が示される。接合部84の下流は、インラインミキサー86(図1に概略的にかつ図4にスタティックミキサー(static mixer)として断面図で示される)であり、キャスティング金型22のちょうど前に配置される。導管の接合部84は多岐管であって良く、多くの第二の成分又は成分の混合物のための接続された注入システム82を有し、そのような成分又は成分の混合物のそれぞれは、独立にポリマー溶液の給送管に対して添加される。多くの第二の成分は、粘度、成分の相互作用及び所望の製品フィルムの目標とする特性に対する潜在的な効果に起因して、ポリマー溶液の給送管システムの種々の点(例えば、アプリケーター、例えばキャスティング金型からの距離で測定されるように)で注入することもできる。
【0023】
コーティング機器、例えばキャスティング金型22(例えば、シートー押し出しダイ)を使用して、キャスティングマシン14の金属バンド20に対して、ポリマー溶液を適用する。給送管ライン13は混合システム12及び注入システム82を金型22に連結し、混合システム12から、種々の任意の構成要素及び操作を介して金型22にポリマー溶液を供給するために使用される。金型22(図2参照)は、内部チャンバー(図示せず)及び金型22の全体に延びるスロット形状のオリフィス11を含む。オリフィス11のギャップ(例えば、調節可能な垂直高さにより決定される)は、金型22の幅全体にわたって変動可能であり、キャスティングシステム10により製造されるフィルムの厚さの制御を補助するために使用される。ギャップを監視し及び/又は調整できる。
シート押し出しダイ22の金属バンド20ダウンラインの輪の一部を取り囲む、乾燥室24が示される。示される態様の乾燥室24は、アップライン(upline)領域26とダウンラインの領域28を含む。各領域26、28は、空気吸入口32の近くに配置されるヒーター(バーナー)30、及び空気吹き出し口38の近くに配置される排気用送風機34を含む。常に乾燥室24の中の金属バンド20の一部が、進行しかつ一連のサポートローラー又は遊動輪40により支持される。図1に示される態様は、遊動輪の組み合わせで表される一連の遊動輪40を含み、遊動輪の回転を監視するためのセンサーと接続される。
フィルムは、末端ドラム(テールドラム(tail drum))18で除去される。
【0024】
示した態様において、ベースポリマー溶液は、バッチ操作で最初に混合される。混合を、混合システム12(図1を参照されたい)で行う。示した態様において、混合システム12は、バルクハンドリングステーション(bulk handling station)44、混合タンク72を有すミキサー46、貯蔵タンク(hold tank)48及びランタンク(run tank)50を含む。バルクハンドリングステーション44(図1に概略的に示す)は、少なくとも所望の溶液のためのポリマーの原料成分を保持するために使用し、及び他の第二の成分を含んでも良い。これら成分は、種々の樹脂、ポリマー、可塑剤及び他の添加剤を含むことができる。従って、バルクハンドリングステーション44は、それぞれ1以上の異なる成分に対応した、多くの容器又はタンクを含むことができる。それぞれのタンク又は容器は、所望の成分を混合タンク72に輸送するために、ミキサー46と流体の流れが連通している。加えて、種々の成分は、混合タンク72中に手動で供給されても良い。
【0025】
ミキサー46は、ジャケット付き混合タンク72を含む。ミキサー46は、ミックスモーター(mix motor)78、ミキサーシャフト74及び多数の混合羽根76も含む。混合シャフト74上の種々の混合羽根76は、高い剪断力の混合と、溶液の上下移動の組み合わせを提供して、混合を促進する。混合シャフト74及び羽根76は、ハウジング内の中心に配置され、及び実施可能なようにミックスモーター78と接続される。好ましくは、モーター78は、少なくとも約111.855kW(約150馬力)の強力なモーターである。適切なモーターは、Fullerton, CaliforniaのMorehouse-Cowlesから入手できる。ミックスタンク72へ成分を供給する手段、及び溶液の供給手段は、導管、例えば種々のポンプとの組み合わせにおいて供給源と目的地の間で、それぞれ配管80及び13を含むことができ、これは当業者にとって明らかであろう。
【0026】
バッチ混合過程は、水並びに可塑剤、つや消し剤及び界面活性剤等を含むことができる種々の成分で、ミックスタンク72を充填し又は満たすことにより開始する。これらの成分は、所望の生成物の粘度、相互作用及び目標とする特性に対するそれらの潜在的な影響に起因して、混合過程の異なる時に添加することを必要として良い。水の質は、混合過程に加えて生成される生成物の品質の両方に影響し得る。溶液又は懸濁液の温度を、制御された範囲に維持して、樹脂の効果的な分散が促進される。次いで、ポリマー樹脂は、混合羽根76によりもたらされる急速な攪拌の下添加される。種々の量の水を、樹脂を添加する間中添加して、混合過程を補助して良い。
樹脂を添加し終えた後、タンクの温度の設定点を調整して、樹脂の溶解を促進する。樹脂が溶解するに従って、粘度は一般的に増加するため、ミックスモーター78の速度を上げて、溶液又はミックスタンク72にダメージを与えることなく、適切な溶液の動きを維持する必要がある。
【0027】
混合した溶液のバッチを生成するために要求される時間は、バッチサイズ及び樹脂の種類に依存する。次いで、ポリマー溶液の混合したバッチは、ミックスタンク72から貯蔵タンク48又はランタンク50にポンプでくみ上げられるが、典型的には貯蔵タンク48にくみ上げられる。
貯蔵タンク48は、溶液を貯蔵して、泡立ち(例えば、気泡)及び他の欠点(例えば、ゲル又は温度変化に起因した影響)が頂点まで上昇することを許容して、溶液から分離するために、典型的に使用される。これは、溶液が溶液を維持するための中程度の攪拌を受けている間、好ましく起こる。典型的には、貯蔵タンク48は、凝固を防ぐための水又は蒸気ジャケットの使用を介して、85℃(185°F)の温度で維持される。他の加熱方法が許容される。かき混ぜ機又は攪拌機(図示せず)は、溶液の凝固を最小限にすることを助け、及びタンク全体にわたり均一な温度を維持しても良い。温度及び攪拌の両方は、好ましくは監視され及び制御器36により制御される。給送管ライン13は、貯蔵タンク48からランタンク50に流れ、そこから、溶液が連続的にバンド20の上にキャスティングするための金型22にポンプでくみ上げられる。1以上のフィルター47を、貯蔵タンク48とランタンク50の間、ランタンク50と接合部84の間、接合部84と金型22の間、又はこれらの箇所の多数に配置して良い。第二の成分が不溶性の粒子を含む場合、好ましくはフィルターは、接合部84と金型22の間に配置されない。
【0028】
注入システム及び関連する供給及び混合部材の態様は、図4(正面図)及び図5(平面図)に示される。注入システムは、第二の成分を含んだ液体の供給を保持するためのリザーバータンク90を含む。第二の成分を含んだ液体がリザーバータンク90の中で不均一になり得る傾向がある場合(例えば、顔料の沈降又はエマルションの分離)、タンクは結合した攪拌機又はミキサーを含むことができる(例えば、攪拌機、タンク内エダクター、又はいかなる他の適切なミキサー;図示せず)。
容積移送式のギアポンプ92、及び種々の周波数駆動(図示せず)を有する関連したA/Cモーター94は、給送管ラインの導管96を介してタンク90から液体を供給する。液体注入量に対する正確な制御が要求されない態様において、他の種類のポンプ、例えば蠕動ポンプが使用できる。ニードル弁98を、ポンプ92及びポリマー溶液供給管ライン導管13を有する接合部84の間の液体経路中に配置して、液体の圧力を制御する。
図示した注入システム82は、種々の任意の構成要素も含む。液体圧力は、ゲージ100で監視される。示したシステムの態様は、容積式流量計(volumetric gear flow meter)102、及びニードル弁98と接合部84の間に配置された逆止め弁104を含む。
【0029】
ある態様と共に、注入及びポリマー溶液と組み合わせる前に、第二の成分を含んだ液体を加熱することが望ましい。従って、圧力ゲージ100及びニードル弁98の間に配置されたヒーター106を有する注入システム82を示す。
注入時におけるポリマー溶液の圧力は、ゲージ110で監視され、インラインミキサー86の後の下流の圧力がゲージ112で監視される。インラインミキサー86は、好ましくはスタティックミキサーであり、かつポリマー溶液と第二の成分の均一な混合を提供するため、いかなる所望の長さのものであることができる。
好ましい制御計画において、液体供給の圧力を、ニードル弁98をポリマー溶液圧力の約120%の量に手動で調整することにより調整し、次いで制御器(例えば、比例制御器、積分制御器、微分制御器)を使用して、液体の流量を所望のセットポイントに調節する。例えば、PIDフィードバックループ(feedback loop)を、ギアフローメーター(gear flow meter)102を用いて液体の容積流速を監視して、及びポンプモーター94の速度を制御して、所望の液体の容積流速のセットポイントを達成することにより確立できる。
【0030】
代わりの制御計画において、ポリマー流れの容積流速は、接合部84の上流及び下流で測定でき、及びポンプモーター94の速度を調整して、流速間の所望の差異を達成できる。
バンドキャスティングマシン14は、更に図3を参照して理解される。キャスティングマシン14は、第一の又は先頭のドラム16と第二の又は末端のドラム18を含む。先頭のドラム16と末端のドラム18の周囲で伸びるのは、金属バンドの連続的な輪20である。ドラム16及び18は、矢印で示された方向に進行し、バンド20の同じ回転を課す。好ましい態様において、ドラムは、約165.1cm(65インチ)の幅及び121.92cm(48インチ)の直径であり、及びバンド20は、約154.94cm(61インチ)の幅で約99.06m(325フィート)の外周である。適切なバンドキャスティングマシンは、Carpentersville, IllinoisのBerndorf Belt Systemsから入手可能である。
第一の又は先頭のドラム16は、好ましくは空洞であり、ポリマー溶液をコーティング又はキャスティングする前に、バンド20をプレヒートすることを許容する。第二の又は末端のドラム18は、好ましくは最終的なフィルム製品の除去を補助するために冷却される。
【0031】
図3に示すように、金属バンド20の輪は、生産又は上側の部分21と、回帰(return)又は下側の部分23を有する。バンドの外側表面25は、乾燥する間適用されたポリマー溶液を支持するために使用する。多数の遊動輪40(図1を参照されたい)は、バンド20の上側部分の底面に沿って配置して、バンド20を支持する。遊動輪40を(例えば、回転を監視するためのポジションセンサーにより)監視して、バンド20の動きを決定しても良い。バンド20は非常に高価な装置の部品であり得るため、バンド20にダメージを与える傾向のある製造のいかなる複雑な状態、例えば回転を止める遊動輪(例えば、バンドを、遊動輪全体で引きずること、又はバンドを、ドラム16、18の端から離れさせること)は、監視することと適切な制御動作をとることにより避けることができる。
PVOH溶液をキャスティングするために、バンド20は、典型的には、先頭のドラム16での約52℃(125°F)の温度から、末端のドラム18での約102℃(215°F)の温度で進行し得る。これらの温度変化は、ドラム16及び18上のバンド20のトラッキングに影響を及ぼし得る。バンド20の直径が変わるに従って−更に加熱又は冷却に益々起因して−バンド20は、ドラムの一末端から外れ得る。従って、バンドは、好ましくは、ステンレス鋼で製造して、先端のドラム16及び末端のドラム18の間で現れるシステムの温度勾配の変化に対処する。所望の熱膨張のパラメーターを有する、他の金属、合金、プラスチック又はゴムは、キャスティングバンド20の構造に対して適切であり得る。
【0032】
溶媒キャスティングの過程は、バンド表面25上のポリマー溶液の層の適用で生じる。これは、ポリマー溶液のアプリケーター、例えばシート押し出しダイ22又は他のコーティング機器の使用により達成される。適切な金型22は、Chippewa, Falls, WisconsinのExtrusion Dies Inc.又はOrange, TexasのCloeren Incorporatedから市場で入手可能である。シート押し出しダイ22は、バンド20の全体でポリマー溶液の連続したカーテンを被覆(堆積)する。金型22(図2を参照されたい)は、これを介して溶液が流れる内部の経路(internal channel)(図示せず)を含む。この経路の末端が、金型22の幅全体に延びる、スロット形状のオリフィス11である。スロットの上側表面は、へり53により形成され、及びスロットの下側表面55との関係で変形可能で、スロットの開口11の寸法を変更することを許容する。金型の幅方向を横切る一連のねじ込みボルト(threaded bolt)52は、ボルトの回転方向に従ってスロットの開口部の寸法を変化させるために使用する。更に、ボルト52を加熱又は冷却して、スロット11の厚さを制御して良い。ボルトの制御された拡張及び縮小は、スロット11の寸法を変えることができる。金型のギャップ、金型の圧力、及びバンド表面に対する入射角度を含む、フィルムの品質及び厚さに影響するいくつかのパラメーターは、金型で対応できる。当業者は、正確な調節を行い、所望のフィルムの品質及び厚さを容易に達成できる。シート押し出しダイが好ましい態様であるが、他のデバイスを使用して、ポリマー溶液をバンド表面に適用して良い。
【0033】
先の記載は、理解を明確にするためにのみ与えられ、これらからの不必要な制限は一切理解されず、本発明の範囲内での変形が当業者にとって明らかであろう。
明細書全体を通して、組成物は成分又は材料を含んだものとして記載され、組成物が、他に記載しない限り、いかなる列挙された成分又は材料から成る、又は実質的になることができることが意図される。
本明細書で開示した方法の実施、及びその個々のステップは、手動及び/又は電子機器の助けと共に行うことができる。過程が特定の態様に関して記載されたが、当業者は、方法に関する動作の実施の他の方法を使用して良いことを容易に理解するであろう。例えば、種々の段階の順序は、本方法の範囲又は精神を外れることなく変更して良い。更に、いくつかの個々のステップを合わせて、除いて、又は更に付加的な工程に分割できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本開示による溶媒キャスティングのためのシステムの例を示す。
【図2】図2は、キャスティングポリマー溶液用の調整可能なシート押し出しダイ(sheeting die)のある態様を示す。
【図3】図3は、基本のバンドキャスティングマシンにおけるドラムとバンドの関係の例を示す。
【図4】図4(正面図)は、注入システム及び連結した給送管及び成分を混合するインラインを示す。
【図5】図5(平面図)は、注入システム及び連結した給送管及び成分を混合するインラインを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋した溶媒キャストフィルムを連続的に調製する方法であって、以下の工程を含む方法:
ポリマー溶液の圧力をかけた流れを連続的に供給する工程;
前記ポリマー溶液の圧力をかけた流れと、架橋剤を含んだ液体の流れを連続的に組み合わせる工程;
ポリマー溶液と前記架橋剤を含んだ液体の流れの組み合わせを、インラインで混合する工程;
結果得られたポリマー溶液と架橋剤の均一な混合物を、連続的に移動する面に連続的に適用する工程;次いで
適用した混合物から溶媒を蒸発させて、架橋したポリマーフィルムを形成する工程。
【請求項2】
ポリマー溶液が、水溶性ポリマー及び溶媒として水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリマー溶液が、ポリビニルアルコール、そのコポリマー及びこれらの混合物から成る群より選択されるポリマーを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ポリマー溶液が、ポリビニルアルコールを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
架橋剤が、アルデヒド、アルデヒドを含む樹脂、多官能のカルボン酸、二官能のメタクリレート、N-ラクタムカルボキシレート、ジチオール、ジメチルウレア、ジイソシアネート、ボレート、多価アニオンの塩、無機ポリイオン、1B族の塩、ポリアミド-エピクロルヒドリン樹脂及びこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
架橋剤が、アルデヒド、アルデヒドを含む樹脂、ジカルボン酸及びこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
架橋剤がアルデヒドを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
架橋剤がジアルデヒドを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
架橋剤がグリオキサル、グルタルアルデヒド又はこれらの混合物を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
架橋剤が、ポリマーの質量に基づいて最大で約10質量%の量で存在する、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
架橋剤が、ポリマーの質量に基づいて、約5質量%から10質量%の範囲の量で存在する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
液体の流れがさらにグリコールを含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
グリコールがプロピレングリコールである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
液体の流れが、85℃(185°F)で少なくとも約0.03Pa・s(30cps)の粘度を有する、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
液体の流れが、85℃(185°F)で約0.07Pa・s(70cps)から約0.08Pa・s(80cps)の粘度を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマー溶液を約1:10から約1:100の容積比率で組み合わせるために液体流れを供給する工程を含む、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記混合の工程が、均一な混合の工程を含む、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
架橋剤が、マイクロカプセルとして液体流れ中に供給され、及び混合工程が更にポリマー溶液と液体流れの組み合わせを剪断し、マイクロカプセルから架橋剤をポリマー流れ中に放出する工程を含む、請求項1から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
約1:10から約1:100の容積比率で前記ポリマー溶液と組み合わせるために液体流れを供給する工程を含む請求項1に記載の方法であって、ポリマー溶液が、ポリビニルアルコール及び溶媒として水を含み;架橋剤がアルデヒド、アルデヒドを含む樹脂、多価カルボン酸、二官能のメタクリレート、N-ラクタムカルボキシレート、ジチオール、ジメチルウレア、ジイソシアネート、ボレート、多価アニオンの塩、無機ポリイオン、1B属の塩、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、及びこれらの組み合わせから成る群より選択され;液体流れが更にグリコールを含む方法。
【請求項20】
架橋剤を含んだポリマー溶液を、溶媒を蒸発させて架橋したフィルムを形成するための基体上にキャスティングする方法における、架橋剤をポリマー溶液の流れに連続的に注入する工程、結果得られるポリマー溶液の流れと架橋剤をインラインで混合する工程、次いで結果得られるポリマー溶液を移動する基体の上にキャスティングして架橋したフィルムを連続的に製造する工程を含む改良点。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−512577(P2009−512577A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536678(P2008−536678)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/039470
【国際公開番号】WO2007/047231
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508122415)モノソル リミテッド ライアビリティ カンパニー (8)
【Fターム(参考)】