説明

柔軟なマルチメディア・データ・ルーティングを伴うネットワクーク

【課題】
ストリーミング・データを使用する複数のサブスクライバ間における通信のためのディジタル・ネットワークが、送信機である少なくとも1つのサブスクライバ及び受信機である少なくとも1つのサブスクライバを有する。
【解決手段】
少なくとも1つの送信機が、起動されて、その後にブロードキャスト若しくはマルチキャストの形式でストリーミング・データをネットワーク内へ供給するように構成されている。更に、少なくとも1つの受信機が、起動されて、その後に、そのデータ・フォーマットに適合するストリーミング・データをネットワークから選択し、選択したストリーミング・データをネットワークから読み取るように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリーミング・データ(streaming data)、特に、マルチメディア・データ並びに関連サービスを配信するためのネットワーク並びにネットワーク・インターフェース、及びネットワークを操作する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マルチメディア応用が可能であり、複数の異なるサブスクライバを有する、特に、乗り物又は建物内での、最近のネットワークでは、ユーザが、プラグアンドプレイ(plug−and−play;ユーザが繋いだら(plug)何か特別なことをしなくても(play)実行する)機能をこれまで以上に要求するようになっている。このことは、異なるマルチメディア機器が、簡単にバス・システム(bus system)と接続が可能となることが望ましいこと、言い換えるとユーザの側にそれ以上のことをする必要がないことを意味する。更に、現在のところまだ知られていない機能を有する将来的な機器でさえも、そのバス・システムへの接続が可能とならなければならない。
【0003】
特許文献1においては、無線ネットワーク(ワイヤレスLAN)を経由する衛星テレビジョン信号の配信システムが記述されている。衛星アンテナに接続されたセット−トップ・ボックス(set−top box)は、それぞれの接続されたテレビジョン受像機に対応したそれぞれの復調器を有する。この復調器は、衛星アンテナが受信した信号の中から、テレビジョン受像機が選択したテレビジョン・チャンネルの信号を、ディジタル・データへ変換し、それをテレビジョン受像機へ送信する。このポイント−ツー−ポイント(point−to−point)通信を用いれば、テレビジョン受像機が、セット−トップ・ボックスの割り当て済み復調器を直接コントロールし、続いて対応するテレビジョン・プログラムをそこから受信することができる。ネットワークの定められる帯域幅条件は、与えられたテレビジョン受像機の数から結果的にもたらされる。
【0004】
しかしながら、高々セット−トップ・ボックスが有する復調器の数に等しい数のテレビジョン受像機しかそこへ接続することができない。従って、システムの拡張に狭い限定が課せられる。例えば、DVDプレーヤといった、異種の機器を伴う拡張は可能でない。同様に、将来的なマルチメディア機器をこのバス・システムへ接続することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO01/56297公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、マルチメディア応用の可能な種々の機器をバス・システムへ単純に接続することができるような、マルチメディア・アプリケーションを包含し得るネットワークを設計するという目的に基づいている。好ましくは、接続が、ユーザ側の介入を更に伴うことなく可能とならなければならない。本発明の別の目標は、上記種類のディジタル・ネットワークに用いられるサブスクライバ(subscriber)を設計すること、及び上記種類のネットワークを操作する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記の目的が上記種類のディジタル・ネットワークで達成される。当該ディジタル・ネットワークは:ネットワーク内へデータを送出するように作られた送信機である少なくとも1つのサブスクライバ;及び、ネットワークからデータを受信するように作られた受信機である少なくとも1つのサブスクライバを有するディジタル・ネットワークで、ストリーミング・データを使用する複数のサブスクライバ間における通信のためのディジタル・ネットワークである。本発明によれば、このディジタル・ネットワークにおいて、少なくとも1つの送信機が、ネットワークへ接続されて、自動又は手動で起動された後に、ブロードキャスト若しくはマルチキャストの形式でストリーミング・データをネットワーク内へ供給するように構成されており;かつ、少なくとも1つの受信機が、サブスクライバに適合したデータ・ストリームを選択するように構成され、かつ、ネットワークへ接続されて、自動又は手動で起動された後に、ネットワークから、そのデータ・ストリームのストリーミング・データを読み取るように構成されている。本発明で「適合した」という言葉が「互換性がある、即ち、取り扱うことができる」ことを意味していることは言うまでもない。
【0008】
本発明によれば、上記別の目的が、次に示すサブスクライバを用いて達成される。当該サブスクライバは、ネットワーク内へデータを送出するように作られた送信機である少なくとも1つのサブスクライバ;及び、ネットワークからデータを受信するように作られた受信機である少なくとも1つのサブスクライバを有するサブスクライバで、ストリーミング・データを使用する複数のサブスクライバ間における通信のためのディジタル・ネットワークに用いられるサブスクライバである。本発明によれば、このサブスクライバにおいて、サブスクライバは、ネットワークへ接続されて、自動又は手動で起動された後に、ブロードキャスト若しくはマルチキャストの形式でストリーミング・データをネットワーク内へ供給するように構成された送信機である。
【0009】
最後に、本発明によれば、上記別の目的が、次に示すネットワークを操作する方法を用いて達成される。当該方法は:送信機である少なくとも1つのサブスクライバがネットワーク内へデータを送出する工程;及び、受信機である少なくとも1つのサブスクライバがネットワークからデータを受信する工程を有する操作方法で、ストリーミング・データを使用する複数のサブスクライバ間における通信のためのディジタルネットワークを操作する方法である。
【0010】
本発明によれば、ネットワークを操作するこの方法に、更に次の工程を含む操作方法である:送信機である少なくとも1つのネットワーク・サブスクライバをネットワークへ接続する工程;送信機であるその少なくとも1つのネットワーク・サブスクライバを起動する工程;送信機であるその少なくとも1つのネットワーク・サブスクライバを用いてストリーミング・データを送出する工程;受信機である少なくとも1つのネットワーク・サブスクライバをネットワークへ接続する工程;受信機であるその少なくとも1つのネットワーク・サブスクライバを起動する工程;及び、受信機であるそのネットワーク・サブスクライバを用いてネットワークからストリーミング・データを受信する工程。
【0011】
本発明に従ったディジタル・ネットワークは、ストリーミング・データを使用する複数のサブスクライバ(ネットワーク・ノード)の間の通信の要求を満たす。ここでは、ストリーミング・データを、ネットワークを介し、リアルタイム・オペレーションの可能なデータ・ストリームとして送信されるデータであると理解する。これらのストリーミング・データは、好ましくは、マルチメディア・データ、例えば、オーディオ若しくはビデオ信号等の送信の要求を満たす。ネットワークは、複数のサブスクライバ、データを送出するように構成されている少なくとも1つのサブスクライバ(送信機)、データを受信するように構成されている少なくとも1つの別のサブスクライバ(受信機)を有する。少なくとも1つのサブスクライバは、送信機として、それがネットワークへ接続されるか、或いは起動されるとすぐにネットワークにストリーミング・データを自動的に送出するように構成されている。これらのストリーミング・データの送出は、好ましくは、ブロードキャスト又はマルチキャストとしてもたらされる。更に、少なくとも1つのサブスクライバが、ネットワークへ接続されるか、或いは起動された後にネットワークからストリーミング・データを読み取る受信機となるように構成されている。このためには、この受信機は、ネットワーク上の利用可能なストリーミング・データから、この受信機に適合するデータ、従ってこの受信機が更に処理することが可能なデータを選択する。
【0012】
このことは、送信機としてのサブスクライバ、即ち、送信機が、ネットワークへ接続されると、続いて、ネットワークへストリーミング・データを方向性なく送信を開始することを意味する。従って、任意の所望の送信機を簡単な方法でネットワークへ接続することができる。それらがネットワークへ接続されると、続いて、それらは独立にデータの送出を開始する。従って、例えば、CDプレーヤが、ネットワークへ録音済み音楽の送出を開始することになる。同様にDVDプレーヤは、録画済みビデオの再生を開始し、それをネットワークへ供給することができる。ラジオ受信機は、接続された直後に、プリセットされ組み込まれたプログラムを開始することができる。
【0013】
従って、受信機としてのサブスクライバ、即ち、受信機は、ネットワークへ接続されるか、或いは起動されるとすぐに、ネットワークからストリーミング・データの受信を開始することができる。そのためには、この受信機に適合するデータ・ストリームがネットワークのデータ・トラフィックから選択され、評価される。この実施例を用いれば、ネットワークを簡単な方法で組み立てることができ、またネットワークのシャット・ダウン若しくは新規構成を伴うことなくネットワークが機能している間に個別のサブスクライバを追加したり、或いは取り外したりすることもできる。更に、ネットワークの中央管理を必要としない。
【0014】
ネットワーク・サブスクライバの起動は、自動的に、例えば、接続のプロセスによって、電源電圧の印加によって、或いは起動信号によってもたらすことができる。この種類の起動信号は、例えば、CDプレーヤの場合であれば、機器の再生準備完了時に送出されるようにできる。同様に、ユーザ若しくはアプリケーションによって、直接起動信号が送出されることも可能である。また同様に、バス・システムの他のサブスクライバからの、特に、中央コントロール・ユニットからの起動信号も可能である。これにおいて、その印加は、方向性の持つ通信又は方向性の持たない通信のいずれによっても達成することが可能である。
【0015】
本発明に従ったネットワークの単純性は、次の例によって立証される:例えば、第1のサブスクライバとしてCDプレーヤがネットワークに接続される、次に、それは、CDからのオーディオ・データをネットワークへ送出を開始する。ネットワーク上に受信機がまだ存在しないことから、このデータがそれ以上に使用されることはない。しかしながら、受信サブスクライバが応答しないときに従来の方向性を持つ通信を伴うネットワークの場合のように、そのCDプレーヤに対して失敗が示されることはない。その後、オーディオ増幅器がネットワークへ接続されると、それが、それにとって使用可能なデータ・ストリームを探す。その結果それは、CDプレーヤのデータ・ストリームを認識し、受信する。このとき、更にビデオ・ディスプレイがネットワークへ接続されると、それもまた適合するデータ・ストリーム、即ち、ビデオ・データ・ストリームを探す。しかしながら、そのネットワークにまだビデオ・ソースが接続されていないことから、それを見つけることができない。ここで、例えば、DVDプレーヤがネットワークへ接続されると、それが、ビデオ・データ・ストリームの送出を開始する。このとき、それがビデオ・ディスプレイによって適合性があるとして認識され、表示のために受信される。
【0016】
本発明に従ったネットワークは、好ましくは、光学バス・システム上に、更に好ましくは、リング・バス上に構築される。ストリーミング・データがそのような同期バス・システムでほとんど排他的にマルチキャスト若しくはブロードキャストとして配信可能であることから、同期バス・システムは特に好ましい。
【0017】
本発明の別の有利な実施例においては、少なくとも1つのサブスクライバが、同時に送信機及び受信機となるように構成される。この種のサブスクライバは、例えば、ラジオ受信機及びオーディオ増幅器を有する自動車ラジオである。この場合においてオーディオ増幅器は、バスから単に受信し、かつ、ラジオ受信機から最初に生じたこともあるオーディオ・データを再生することから、オーディオ増幅器は、論理的にラジオ受信機から完全に分断することができる。その場合にオーディオ増幅器が、ラジオ受信機からのデータと別のソース、例えば、CDプレーヤからのデータを区別する必要はない。このようにして、個別の機器の、実質的により広いモジュール化を達成することができる。
【0018】
本発明の更に別の有利な実施例は、複数の受信機及び/又は複数の送信機を随意に有する少なくとも1つのサブスクライバを提供する。この種類の送信機又は受信機は、物理的なネットワーク・ノード(サブスクライバ)と同一である必要はない。従って、受信機は、例えば、別の、オーディオ又はビデオ・フォーマットのコーダ−デコーダとすることができる。例えば、オーディオ増幅器を組み込んだビデオ・ディスプレイを、物理的なネットワーク・ノード(サブスクライバ)とし、同時に、例えば、AVI、DIVx、又はMPEGのようなビデオ・フォーマット、及びMP3のようなオーディオ・フォーマットをも含む種々のコーダ−デコーダを有するようにできる。このようにして、ネットワークの種々のデータ・ストリームからより広い選択が可能になる。例えば、ネットワークにビデオ・ソースがまだ接続されていない場合には、オーディオ・ソースを再生することもできる。当然のことながら、ユーザによって、複数のオーディオ及びビデオ・ソースから所望のオーディオ又はビデオ・ソースが選択されることも可能となる。
【0019】
更に、ネットワーク・サブスクライバが、コーディングのためのコンバータとして使用されることも可能である。従って、それが、例えば、圧縮されていないビデオ・データの受信機を有することができる。更にまた、受信機によって受信された圧縮されていないビデオ・データを圧縮された形式でネットワークに送出する送信機を提供することも可能である。同様に、例えば、受信されたビデオ信号からオーディオ信号を分離し、独立した信号としてネットワーク上に置くことができる。この種類のコンバータにおいては、異なる機器とのコーディングに関する互換性が単純な方法並びに態様で達成される。
【0020】
本発明の更に別の有利な実施例においては、少なくとも1つのサブスクライバが、問い合わせによって1乃至複数の送信機又は受信機から追加の情報を獲得するための送信機又は受信機として作られている。同様に少なくとも1つの送信機が、受信機によって問い合わせが行われたときに、それに対して利用可能な、或いは実際に送信されたデータ・ストリームに関する情報を送信するように作られている。この代わりとして、送信機が連続的に、或いは所定の時間間隔において、データ・ストリームとともに、送出されるデータ・ストリームに関する基本情報を送出することも可能であり、受信機が送出されたその基本情報を評価することができる。同じ方法により、送信機の動作状態に関する情報を発行してもよい。このようにして受信機は、実際に送信されたか、或いは可能なデータ・ストリームについて1乃至複数の送信機に問い合わせることができる。この問い合わせは、方向性を持たないリンク(ブロードキャスト、マルチキャスト)として、或いは、送信機が既知のとき、若しくは、例えば、受信されたデータ・ストリームを基に識別可能なときにあっては方向性を持つリンクとして、随意に行うことができる。送信機と受信機の間において交換される情報は、好ましくは、送信されるデータのフォーマットに関連するか、或いはまた内容、例えば、タイトル、インタプリタ、パフォーマンスの持続時間などに関連する。受信機による問い合わせに対して送信機によって送出される応答は、個別のデータ・パッケージとして送るか、或いはデータ・ストリーム内に組み込むこともできる。同様に送信機を、特定の時間間隔において、送信機が発行したデータ・ストリームに関する情報を、好ましくは、ブロードキャストによって配信するように構成することが可能である。類似の方法に従って、受信機もまた、動作状態を送信機へ、或いは他のネットワーク・サブスクライバへ伝達することができる。好ましくは、この問い合わせが、固定ネットワーク・アドレス等のように、少なくともそのネットワーク内において標準化されたメカニズムによってもたらされる。
【0021】
本発明の更に別の有利な実施例においては、少なくとも1つの受信機が、特定のデータ・ストリームの内容を評価する機能があり、またその評価を基にそれに適合するデータ・ストリームを選択するように作られる。この種の機能のこの種類の受信機は、データ・ストリーム、或いは好ましくは、それらのヘッダを評価し、かつそれ自身の可能なデータ・フォーマットとの互換性をチェックすることができる。受信機は、それと互換性のあるデータ・ストリームを識別した場合に、それを再生することが可能である。
【0022】
本発明の更に別の有利な実施例は、複数の適合するデータ・ストリームがある場合に、少なくとも、受信するデータ・ストリーム若しくは複数のデータ・ストリームを所定の評価基準、例えば、優先順位等を基礎として選択するように作られた受信機を提供する。例えば、ビデオ・ディスプレイは、ビデオ・ストリーミング・データの再生について、オーディオ・ストリーミング・データの再生よりも高い優先順位を有する。従って、例えば、オーディオ増幅器が組み込まれたビデオ・ディスプレイは、最初にビデオ・データ・ストリームの再生を試みる。しかしながら、ネットワーク上にその種のデータ・ストリームが識別できなかった場合には、それが、利用可能なオーディオ・データ・ストリームを再生する。その後、適合するビデオ・データ・ストリームがネットワーク上に置かれると、ビデオ・ディスプレイは、それへの切り替えを行うことができる。更に、同一カテゴリの異なるデータ・フォーマットに対して異なる優先順位を割り当てることさえ可能である。従って、例えば、ビデオ・ディスプレイが、低い解像度のビデオ・データ・ストリームの再生から、より高い優先順位を有する高い解像度のビデオ・データ・ストリームの再生へ切り替えることができる。基本的に、この他の評価基準に従って再生のコントロールがされるようにしてもよい。
【0023】
本発明の更に別の実施例は、ユーザによって行われるストリーミング・データの選択を提供する。好都合には、受信機がユーザへ、受信可能なストリーミング・データのリスティングを提供し、ユーザへ、例えば、メニューの形式で、適切なチャンネルの選択肢を与える。同様に、ネットワーク上に置かれる送信機のストリーミング・データの選択もまた、好都合にはユーザが行うこともできる。
【0024】
本発明の別の実施例においては、個別の送信機からのストリーミング・データの送出、及び/又は個別の受信機からのストリーミング・データの受信を随意にコントロールするサブスクライバ、例えば、コントロール・ユニットが提供される。この種類のコントロール・ユニットは、独立したユニットとして、或いは独立したサブスクライバとして構成されるものであってもよく、或いはまた送信機及び/又は受信機へ割り当てられるものであってもよい。
【0025】
このコントロール・ユニットは、例えば、ネットワーク上に存在するCDプレーヤに対して、選択された音楽をネットワークへ送信するストリーミング・データとして再生することを要求できる。更に、そのために適切なオーディオ増幅器をコントロールして、対応するストリーミング・データを選択させることも可能である。好ましくは、コントロール・ユニットが、例えば、新しいリンクの場合或いは送信機又は受信機の起動の場合にも、それらの関係する種々のパラメータ、例えば、データ・フォーマット、使用可能なタイトル等の問い合わせを行うように構成されている。この種類の問い合わせは、特定の間隔においてブロードキャストによって行うことも可能である。この種類のコントロールはまた、送信機の帯域幅、即ち、ネットワークへのデータ量のコントロールを含み、更に個別の送信機並びに受信機のネットワークからの切断、又はそれへの接続のコントロールを含む。このコントロール機能を実行するために、コントロール・ユニットは、都合よくは起動されている状態か若しくは待ち状態かのバス・サブスクライバ(送信機又は受信機)を識別するように構成される。更にまた、都合良くはコントロール・ユニットが、それらの送信機が起動されている状態か若しくは待ち状態かをシグナリングするための少なくとも1つの機能を有する。コントロールを簡単にするため、このコントロール・ユニットは、好ましくは、所定の送信機/受信機の組み合わせを設定するように構成される。組み合わは、例えば、外部から、或いはオペレータによっても設定されるか、要求されてもよい。同様にまた、所定の論理オペレーションがユーザによって設定されてもよく、或いは任意の所望の送信機/受信機の組み合わせが、外部信号を用いて設定されてもよい。特に有利な実施例においては、コントロール・ユニットが帯域幅の重なりを認識し、解決することができる。解決は、例えば、ネットワークの同期帯域幅を広げることによって、或いはまた1乃至複数の送信機の帯域幅を縮小することによって、又は1乃至複数の送信機を停止することによって行うことができる。この種類の解決は、ユーザのコントロールの下に、或いは記憶済みの決定基準に従って行うことができる。
【0026】
本発明の別の実施例は、送信帯域幅、即ち、データ量をコントロールする機能、特に、その増加若しくは減少をコントロールする機能を有する少なくとも1つの送信機を提供する。この機能は、好ましくは、受信機によって、例えば、受信時に受信に関する情報を特定時間間隔で関連する送信機へ送信する受信機によってコントロールされる。これは、ウォッチドッグ(watchdog)機能に匹敵する。例えば、所定の時間間隔内に受信する情報が送信されなくなったときには(タイムアウト)、送信機は、それがすでに必要なくなったと推定し、相応じて帯域幅を縮小し、或いはそれ自体をオフに切り替える。同様に、そのデータが、限定された形式でのみその先の処理が可能となる場合には、縮小した帯域幅でそれらを送信することができる。更に、例えば、新しいデータ・ソースを求めている受信機からブロードキャストによってその再起動が行われるようにできる。同様に、受信機による要求に応答して、帯域幅を増加し、かつそれとともに送信品質を向上させることができる。受信機によるこの機能のコントロールの代わりに、送信機は、それが送ったデータが受信機によって受信若しくは使用されたか否か、或いはどのようにそれが行われたかを独立に確かめてもよい。これは、例えば、ルーティング・テーブルからの情報に基づいたり、或いは、例えば、PING等のような選択的通信によっても行うことができる。更に、当然のことながら帯域幅のコントロールを、ユーザ若しくはアプリケーションによって行うこともできる。従って、例えば、ユーザ自身が、機器自体の所望の帯域幅を選択すること、或いはその機器を停止することさえも可能である。このためには、随意に、停止される機器(サブスクライバ)を完全にオフにするか、或いはスタンバイ・モードで動作させる。従って、この種類のサブスクライバは、それ以降のストリーミング・データの送出を行うことができなくなるが、それでもなお、追加の情報若しくはその他のネットワーク・トラフィックに関する問い合わせに対して応答することはできる。この代わりに、停止されたサブスクライバは、空のデータ・ストリーム(ヌル・パターン)若しくは有用な内容はないが、例えば、所定の、或いはランダム・パターン(アイドル・パターン)のデータ・ストリームを送出することができる。
【0027】
本発明の別の有利な実施例においては、少なくとも1つの送信機が、ネットワーク負荷が限界値を超えたときに、独立にその送信帯域幅を縮小し、それとともにネットワークへ送出するデータ・トラフィックを下げるように構成されている。同様にこの縮小を、ネットワーク負荷に依存する別の作用と比例させて、或いはそれに従って行うこともできる。これを用いれば、ネットワークの過負荷を防止することが可能になる。
【0028】
本発明の別の要旨は、ディジタル・ネットワークの送信機としてのサブスクライバの設計である。その起動及び/又はネットワークへのその接続に続いて、この種類の送信機は、ブロードキャスト又はマルチキャストの形式でストリーミング・データを供給し始める。
【0029】
本発明の追加の要旨は、ディジタル・ネットワークの受信機としてのサブスクライバの設計である。その起動及び/又はネットワークへのその接続に続いて、この種類の受信機は、ネットワークからストリーミング・データを読み込む。
【0030】
また、本発明の要旨は、ネットワークを操作する方法であり、送信機として設計されたネットワーク・サブスクライバの接続並びにその起動、及びそのネットワーク・サブスクライバによるネットワーク内へのストリーミング・データの送出を有する。更に、受信機として設計された少なくとも1つのネットワーク・サブスクライバがネットワークに接続されて起動され、このネットワーク・サブスクライバによってネットワークからストリーミング・データが受信される。ここでは、送信機又は受信機の接続若しくは起動の時間的なシーケンスがまったく影響しない。従って、例えば、最初に送信機が接続されて起動され、その後に受信機が接続されて起動されてもよい。同様に、送信機及び受信機の接続並びに起動のシーケンスについても相互に交換することができる。また、例えば、受信機が最初に接続され、次に送信機が接続され、その後に受信機が起動され、最後に送信機が起動されてもよい。当然のことながら、有効なデータの受信は、送信機からの送出があった後においてのみ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に従ったデバイスを一般的な形式で示した概略図である。
【図2】リング・バスの例に関して本発明を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下においては、本発明を、包括的な発明の概念を限定することなく、例を示す手段として図面を参照した実施例に関して説明する。
【0033】
図1は、本発明に従ったデバイスを略図形式で示している。ネットワーク・サブスクライバ1a(ネットワーク・ノードとしても指定される)は、他のネットワーク・サブスクライバとの通信のためのリンク2a,2cを有する。この通信は、例えば、光リンク並びに電気リンクを介して、或いはまた、例えば、無線リンクを用いて行うことができる。同様に、図示された2つの単方向リンクに代わる両方向リンクも考えられる。
【0034】
更に、ネットワーク・サブスクライバは、ネットワーク・インターフェース4及びアプリケーション3も有する。これにおいて、このアプリケーションは、このネットワーク・サブスクライバの複数の異なる機能を代表している。従って、これらは、例えば、ラジオ受信機、CD若しくはDVDプレーヤ、或いはまたデータのコーディング若しくはレコーディング用のソフトウエアであってもよい。
【0035】
ネットワーク・インターフェース4は、他のネットワーク・サブスクライバと物理的にリンクする通信ハードウエアを有する物理レイヤ5を有する。更にネットワーク・インターフェース4は、データの送出若しくは受信のための送信機若しくは受信機6をそれぞれ有する。送信機若しくは受信機と物理レイヤ5のエレメントの間の通信は、内部通信通路7a,7bを介して行われる。アプリケーション3とネットワーク・インターフェース4の通信は、外部通信通路8a,8bを介して可能になる。
【0036】
図2は、複数のノード(node)の相互接続をリング・バスの形式で例示している。個別のノード1a,1b,1cは、リングの形式で相互接続されたリンク2a,2b,2cを介して通信する。従って、第1のノード1aは、第1のリンク2aを使用して第2のノード1bへ情報を送信することができる。このノードは、第2のリンク2bを介して第3のノード1cへ情報を送信することができる。この円は、第3のノードと第1のノードの間の第3のリンク2cによって閉じられる。
【符号の説明】
【0037】
1a,1b,1c ネットワーク・サブスクライバ
2a,2b,2c 他のネットワーク・サブスクライバへのリンク
3 アプリケーション
4 ネットワーク・インターフェース
5 物理レイヤ
6 送信機若しくは受信機
7a,7b 送信機若しくは受信機と物理レイヤの通信通路
8a,8b ネットワーク・インターフェースとアプリケーションの間の通信通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリーミング・データを使用する複数のサブスクライバ間における通信のためのディジタル・ネットワークであって:
前記ネットワーク内へデータを送出するように作られた送信機である、少なくとも1つのサブスクライバ;、及び
前記ネットワークからデータを受信するように作られた受信機である、少なくとも1つのサブスクライバ;
を有するディジタル・ネットワークにおいて、
少なくとも1つの送信機が、前記ネットワークへ接続されて、自動又は手動で起動された後に、ブロードキャスト若しくはマルチキャストの形式でストリーミング・データを前記ネットワーク内へ供給するように構成され;かつ、
少なくとも1つの受信機が、前記ネットワークへ接続されて、自動又は手動で起動された後に、前記サブスクライバに適合したデータ・ストリームを選択して、前記ネットワークから前記データ・ストリームのストリーミング・データを読み取るよう構成されていることを特徴とするディジタル・ネットワーク。
【請求項2】
少なくとも1つのサブスクライバは、複数の送信機及び複数の受信機の中の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項1に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項3】
少なくとも1つのサブスクライバ(1a,1b,1c)は、ストリーミング・データを受信するように構成され、かつ記録済みの形式で受信したデータを送出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項4】
少なくとも1つのサブスクライバは、前記サブスクライバの機能、前記サブスクライバの状態、及びそれが送出したストリーミング・データの内容の中の少なくとも1つに関する問い合わせなどの追加の情報を送出するための送信機となるように作られていることを特徴とする請求項1に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項5】
前記サブスクライバの少なくとも1つは、個別のデータ・パッケージの形式若しくはストリーミング・データ内に組み込まれた形式のいずれかにおける追加情報を随意にユニキャスト、マルチキャスト、若しくはブリードキャストとして送出するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項6】
少なくとも1つのサブスクライバは、前記サブスクライバの機能及び前記サブスクライバの状態の中の少なくとも1つに関する問い合わせなどの追加の情報を送出するための受信機であることを特徴とする請求項1に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項7】
少なくとも1つのサブスクライバは、他のサブスクライバからのヘッダなどの追加の情報を受信若しくは該情報のデータを評価するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項8】
少なくとも1つのサブスクライバは、他のサブスクライバからの追加の情報を要求する機能を有することを特徴とする請求項7に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項9】
少なくとも1つの受信機と適合したデータ・ストリームを、前記追加の情報若しくはネットワーク内で送信されたテーブルに基づいて選択するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項10】
少なくとも1つのサブスクライバは、所定の評価基準に従って、ヘッダなどの特定のデータ・ストリームの内容を評価して、かつそれに適合するデータ・ストリームを選択する機能を有する受信機であることを特徴とする請求項1に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項11】
少なくとも1つのサブスクライバは、所定の評価基準に従って、それに適合するデータ・ストリームの選択を行うように構成された受信機であることを特徴とする請求項1に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項12】
少なくとも1つのサブスクライバは、起動されているか、或いは停止されている送信機から受信されることになるデータ・ストリームの選択がユーザによって行われるように構成された受信機であることを特徴とする請求項1に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項13】
少なくとも1つのサブスクライバは、ユーザに、受信されるデータ・ストリームの選択肢を、適合するデータ・ストリームのリストすることを含むメニューの形式で提供することを特徴とする請求項12に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項14】
少なくとも1つの送信機が、その送信帯域幅と一致させる少なくとも1つの機能を有することを特徴とする請求項1に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項15】
前記少なくとも1つの送信機は、前記送信帯域幅の増加及び前記送信帯域幅の減少の中の少なくとも一方に関して、その送信帯域幅と一致させる少なくとも1つの機能を有することを特徴とする請求項14に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項16】
前記少なくとも1つの送信機は、その送信を停止する機能を有することを特徴とする請求項14に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項17】
少なくとも1つの送信機が、それによって送出されたデータが使用されているかを分析するための少なくとも1つの機能を有することを特徴とする請求項1に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項18】
前記データが使用されているかは、他のネットワーク・サブスクライバに問い合わせを行うことで使用されていることとなることを特徴とする請求項17に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項19】
前記使用されているかは、受信機に問い合わせを行うことで使用されていることとなることを特徴とする請求項17に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項20】
前記使用されているかは、ルーティング・テーブルからの情報に基づいて評価を行うことで使用されていることとなることを特徴とする請求項17に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項21】
特定の時間間隔内において、いずれかの受信機によって
−前記送信機の信号が受信されない場合か、或いは
−前記送信機の信号がそれ以上処理されない場合か、又は
−少なくとも限られた範囲で、それ以上処理されない場合に、
少なくとも1つの送信機が
−送信機を停止するための、若しくは
−少なくとも送信機の帯域幅を縮小するための
少なくとも1つの機能を有することを特徴とする請求項14に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項22】
少なくとも1つのサブスクライバは、サブスクライバを送信機若しくは受信機として、随意に単独若しくはグループでコントロールし、かつそれらを必要に応じて起動し、若しくは停止するために提供されていることを特徴とする請求項1に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項23】
少なくとも1つのサブスクライバは、特定のデータをストリーミング・データとして前記ネットワーク内に送信するか、或いは前記ネットワークから特定のストリーミング・データを受信可能とするように、少なくとも1つの送信機若しくは受信機を適切にコントロールするために提供されていることを特徴とする請求項1に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項24】
前記少なくとも1つのサブスクライバは、コントロールを実行して、互いに対して送信機及び受信機の割り当てを設定することを特徴とする請求項23に記載のディジタル・ネットワーク。
【請求項25】
ストリーミング・データを使用する複数のサブスクライバ間における通信のためのディジタル・ネットワークに関するサブスクライバであって:
前記ネットワーク内へデータを送出するように作られた送信機である、少なくとも1つのサブスクライバ;及び、
前記ネットワークからデータを受信するように作られた受信機である、少なくとも1つのサブスクライバ;
を有するディジタル・ネットワークに関するサブスクライバおいて、
前記サブスクライバは、前記ネットワークへ接続されて、自動又は手動で起動された後に、ブロードキャスト若しくはマルチキャストの形式でストリーミング・データを前記ネットワーク内へ供給するように構成された送信機であることを特徴とするサブスクライバ。
【請求項26】
ストリーミング・データを使用する複数のサブスクライバ間における通信のためのディジタル・ネットワークに関するサブスクライバであって:
前記ネットワーク内へデータを送出するよう作られた送信機である、少なくとも1つのサブスクライバ;及び、
前記ネットワークからデータを受信するよう作られた受信機である、少なくとも1つのサブスクライバ;
を有するディジタル・ネットワークに関するサブスクライバにおいて、
前記サブスクライバが、前記ネットワークへ接続されて、自動又は手動で起動された後に、前記ネットワークからストリーミング・データを読み取るように構成された受信機であることを特徴とするサブスクライバ。
【請求項27】
ストリーミング・データを使用する複数のサブスクライバ間における通信のためのディジタル・ネットワークを:
送信機である少なくとも1つのサブスクライバによって前記ネットワーク内へデータを送出する工程;、及び
受信機である少なくとも1つのサブスクライバによって前記ネットワークからデータを受信する工程;によって操作する方法において、更に:
送信機である少なくとも1つのネットワーク・サブスクライバを前記ネットワークへ接続する工程;
前記送信機である前記少なくとも1つのネットワーク・サブスクライバを起動する工程;
送信機である前記少なくとも1つのネットワーク・サブスクライバを用いてストリーミング・データを送出する工程;
受信機である少なくとも1つのネットワーク・サブスクライバを前記ネットワークへ接続する工程;
前記受信機である前記少なくとも1つのネットワーク・サブスクライバを起動する工程;、及び
受信機である前記ネットワーク・サブスクライバを用いて前記ネットワークからストリーミング・データを受信する工程;
を有することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−100292(P2012−100292A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−269865(P2011−269865)
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【分割の表示】特願2005−116325(P2005−116325)の分割
【原出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(508246814)エスエムエスシー・ヨーロッパ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (8)
【Fターム(参考)】