説明

校正装置及び真直形状測定装置

【課題】3点法プローブのゼロ点校正を3点法の環境に対するロバスト性を維持しながら、迅速に、精度よく、かつ簡便に実現できる校正装置及び真直形状測定装置を提供する。
【解決手段】校正対象となる3つの変位センサSS1〜SS3を円板CP1〜CP3に対して相対的に固定し、回転角θ=0度において3つの円板CP1〜CP3の円周を、各変位センサセンサSS1〜SS3を用いて測定して第1の測定値を求め、且つ回転角θ=180度において3つの円板CP1〜CP3の円周を、変位センサセンサSS1〜SS3を用いて測定して第2の測定値を求め、第1の測定値と第2の測定値とに基づいて、前記変位センサを校正できる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真直形状を測定するための3点法プローブのゼロ点校正技術に関する。
【背景技術】
【0002】
3つの変位センサを用いた3点法プローブにより被測定対象を精度良く形状測定を行うためには、3つの変位センサのうち1つの変位センサのゼロ点が、残りの変位センサのゼロ点を結ぶ直線からずれることによる放物線誤差を取り除くために、ゼロ点を校正する必要がある。ここで、そのゼロ点を校正する手法として、既知の直線形状を基準にする方法、3点法による測定と改良型反転法による測定を併用してゼロ点誤差を求める方法、既知の幅を基準にして、その幅を構成する2本の直線を、3点法プローブを反転させることで2回測定して得られる幅の長手方向の変化形状を得て、既知の幅と比較してゼロ点を決める方法がある。これらは、別の方法で得た直線や幅の基準を用いている。
【0003】
また、測定しようとする円筒の直線母線を2組の3点法プローブを円筒の中心に向けて対向させて同時に真直度を3点法で測定し、円筒を180度回転させてもう一度同じ母線を測定することで真直形状測定データからゼロ点も求める手法なども開発されている。かかる手法によれば、ゼロ点をリアルタイムで求めることができる。なお、上記の既知の幅基準を用いる方法でも、被測定面と対向させてダミーの面を設置しその場で幅を測定しながら、プローブを反転して3点法で幅を構成する両側の直線母線を測定する方法もあり、これは準リアルタイムのゼロ点調整方法といえる。
【0004】
その他に,水準器を用いて、走査運動軌跡の両端の傾斜の差を測定して、3点法で得た走査運動軌跡の両端での傾斜の差と比較して、ゼロ点を算出する方法も知られている。水準器の代わりにオートコリメータと反射鏡を用いて走査運動軌跡の両端の傾斜の差を測定する方法も成立する。代表的なゼロ点校正方法を特許文献1に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−308703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、既知の基準を用いてゼロ点誤差を校正する方法では、校正後に被測定対象を測定する場所にプローブを移動して実際の測定を行うまでのゼロ点の変化が問題になる。幅を基準にしてプローブを反転させる方法でも、反転前後の3点法での測定中のゼロ点変化が影響して正確なゼロ点が決め難い。
【0007】
一方、リアルタイムでゼロ点を決めることのできる測定対象の円筒を回転する方法では、円筒を回転しながら180度で対向する2本の円筒の直線母線を測定するならプローブのゼロ点のドリフトの影響は小さくなるが、円筒以外には簡単には適用できないことと、重力によるたわみが存在する方向については、反転法固有の問題が生じて正しい形状が得られないことが難点である。さらに2対の3点法プローブを必要とするため合計6個の変位センサが必要となり費用対効果の観点からも問題がある。
【0008】
これに対し、走査運動軌跡の両端の傾斜を補正する方法は環境が整えば精度の高い方法となる。しかし、水準器では、3点法プロープでは除去できる機械的な外乱振動が測定誤差になり、オートコリメータでは空気の揺らぎが誤差要因になるなど、3点法の要求する以外の環境の整備がゼロ点検出のために必要になるという難点がある.
【0009】
発明は、このような従来法の問題に鑑みなされたもので、3点法プローブのゼロ点校正を3点法の環境に対するロバスト性を維持しながら、迅速に、精度よく、かつ簡便に実現できる校正装置及び真直形状測定装置を提供する目的でなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の校正装置は、
校正対象となる3つの変位センサを保持するベースと、
直径が所定の一か所以上の回転角位置で校正されている3つ以上の円板と、
前記ベースに対して回転可能に支持され、所望の間隔で前記前記円板を取り付けた回転軸と、を有し、
校正対象となる3つの変位センサを前記円板に対して相対的に固定し、前記所定の回転角位置において前記3つ以上の円板の円周を、各変位センサを用いて測定して第1の測定値を求め、且つ前記所定の回転角位置から180度回転させた回転角位置において、前記3つ以上の円板の円周を、各変位センサを用いて測定して第2の測定値を求め、前記第1の測定値と前記第2の測定値とに基づいて、前記変位センサを校正できることを特徴とする。
【0011】
本発明の原理について説明する。図1は本発明の数学的原理を説明するための図である。直径の相対差が既知の3つの円板CP1〜CP3が、一点鎖線で略図する回転軸SH上に3点法プローブのセンサSS1〜SS3の間隔と等しい間隔で固定配置されており、センサSS1〜SS3は円板CP1〜CP3の円周に対峙して、その位置を測定可能となっている。熱膨張係数が小さい素材からなる円板CP1〜CP3は、その直径が所定の回転角位置(図ではその直径が水平面内にあるときを回転角位置θ=0としている)で予め校正されている。不図示の回転角センサが、回転軸SHの回転位置を測定可能となっている。なお、図1では、原理の説明を簡単にするために円板直径差は省略し、センサの間隔(したがって円板の間隔)が等しい場合の3点法を示している。
【0012】
回転角位置θ=0度の状態を図1(a)に、回転角位置θ=180度の位置に回転軸が回転した状態を図1(b)に示す。図1(a)、(b)では、変位センサSS1〜SS3のプローブの感度軸方向は水平面内にあり、回転軸SHの重力の影響によるたわみの影響は図では現れていない。
【0013】
これに対し、変位センサSS1〜SS3のプローブの感度軸方向を90度回転させ鉛直方向にして、回転角位置θ=90度の位置に回転軸が回転した状態を図1(c)に示し、回転角位置θ=270度の位置に回転軸が回転した状態を図1(d)に示す。従って、図1(c)の状態では、図1(a)に示す位置と同じ円周の位置を変位センサが測定し、図1(d)では、図1(b)に示す位置と同じ円周の位置を変位センサが測定することになるが、回転軸SHの重力の影響によるたわみの影響が加わることになる。
【0014】
以下、変位センサのゼロ点校正について説明する。ここで、回転軸SHに対する円板CP1〜CP3の取り付けの誤差により、中央の円板CP2が両側の円板CP1,CP2に対してΔRだけ、図1(a)ではプローブ側に近寄り、図(b)では同じ量だけ遠ざかっているものとする。また、両側の変位センサSS1、SS3のゼロ点位置を結ぶ直線の位置に対して、中央の変位センサSS2のゼロ点が、距離P0だけ回転軸SHから遠ざかっているものとする。このとき,回転軸SHの回転角度位置をθとして、3つの変位センサSS1、SS2、SS3の出力を、それぞれmA(θ),mB(θ),mC(θ)とする。
【0015】
まず、図1(a)に示す状態では,3点法プローブの差動出力(第1の測定値)をm(0)とすると、幾何学的関係より、
m(0)=mA(0)−2mB(0)+mC(0)=ΔR+P0 (1)
と表せる。
【0016】
次に、図1(a)に示す状態から回転軸SHが180度回転した図1(b)に示す状態では,3点法プローブの差動出力(第2の測定値)をm(π)とすると、幾何学的関係より、
m(π)=mA(π)−2mB(π)+mC(π)=−ΔR+P0 (2)
と表せる。
【0017】
P0が両者の平均値であるから、(1)、(2)式よりΔRを消去すると、以下の式でP0(位置ズレ)を求めることができる。
P0={m(0)+m(π)}/2 (3)
【0018】
求められたP0だけ、変位センサSS2を移動させることで、両側の変位センサSS1、SS3のゼロ点位置を結ぶ直線の位置に一致させることができる。このように、ズレ量P0を求めて変位センサの位置ズレを補正することを、3点プローブのゼロ点校正という。尚、式(1)、(2)では表現を簡単にするため3つの円板の直径差が無い場合を示しているが、実際には既知の直径差の校正値を用いて式(3)のP0を補正することになる。具体的には両側の円板の半径の平均値と中央の円板の半径の差だけP0を補正することになる。すなわち、校正の結果として中央の円板の直径を基準にして両側の円板の直径差がΔ1、Δ3であったとすると、センサの間隔が等しいことから、補正値は(Δ1+Δ3)/4となるので、これを用いてP0を補正すればよい。
【0019】
次に、変位センサSS1〜SS3の感度軸が、鉛直方向に向いている場合について検討する。図1(c)、(d)に示す状態の場合、回転軸SHの重力のたわみの影響が出る。このたわみによって、両側の円板CP1,CP3に対して中央の円板CP2が距離δだけ変位センサSS2から遠ざかる。
【0020】
まず、図1(c)に示す状態では,3点法プローブの差動出力(第3の測定値)をm(0)とすると、幾何学的関係より、
m(0)=mA(0)−2mB(0)+mC(0)=2(ΔR+P0+δ) (4)
と表せる。
【0021】
次に、図1(d)に示す状態では,3点法プローブの差動出力(第4の測定値)をm(π)とすると、幾何学的関係より、
m(π)=mA(π)−2mB(π)+mC(π)=2(−ΔR+P0+δ) (5)
と表せる。
【0022】
(4)、(5)式より、ΔRを消去すると、以下の式でP0を求めることができる。
P0={m(0)+m(π)}/4+δ (6)
これは、中央の円板CP2の直径が見かけ上2δだけ小さくなったように見えることを示している。ズレ量P0は(3)式より既知であるため、これを(3)式に代入してδを求めることができる。以上の説明では直径が校正されている理想の場合で説明したが、半径法で真円形状が校正された円板を用いても同様の効果が得られる。円周を整数等分する回転角度位置での値から平均半径を算出することも類似の効果がある。
【0023】
本発明によれば、変位センサの感度軸が水平面内にあるゼロ点を基準に、その感度軸を鉛直方向に設置した場合のゼロ点の移動(回転軸の撓み)δの影響を補正することができる。
【0024】
以上の説明では、回転角度位置θ=0を通る直径の3つの円板における相互差が校正済みという条件で原理を説明したが、複数の回転角度位置での直径の前記相互差が校正されていれば、複数の前記回転角度位置での直径差の校正値を使って変位センサ間のゼロ点の校正結果の平均値を校正値とすることもできる。その時、例えば式(3)の一つの直径に対応する2か所の回転角度位置でのセンサの読みの代わりに前記複数の回転角度位置での読みの平均値を用いる。前記直径の相互差が校正されている回転角度位置が十分に多くて、一回転にわたる平均の直径の3つの円板における相互差が校正されていれば、変位センサ間のゼロ点誤差の調整には、その平均直径差を用いることもできる。
【0025】
従って、半径法で真円度を測定する方法で得た平均半径を円板の直径の代わりの校正値に用いても、同様の校正装置が構成できることは言うまでもない。なお、これらの平均直径や平均半径を用いるときも円板の校正の際の直径または半径の読み取り角度位置を再現して同じ位置でのゼロ点を校正すべき変位センサの読みをとる方が精度の観点からは好ましい。
【0026】
本発明によれば、測定の際に特別の基準を必要としない、円板間の直径の差だけを用いるので、精度の高い安定した3点法ローブのゼロ点校正装置が構成できる。また、本発明によれば、半径法による汎用の真円度測定機で得られる平均半径の円板間の差を平均直径の差に代用できるので、簡便に3点法プローブのゼロ点校正装置が構成できる。
【0027】
従って本発明の校正装置は、前記3個以上の円板の平均直径あるいは平均半径の相互差が校正されていて、前記3つの変位センサの相互のゼロ点位置を前記平均直径あるいは平均半径の相互差を用いて校正することを特徴とする。
【0028】
更に本発明の校正装置は、前記回転軸は2点で支持されており、重力により前記回転軸のたわみが生じたときに、重力方向のたわみが等しくなる3か所に前記円板をそれぞれ取り付けたことを特徴とする。
【0029】
更に図1(a)〜(d)に示すようにして、本発明の校正装置は、校正対象となる3つの変位センサを感度軸が水平方向に向くように前記円板に対して相対的に固定し、前記所定の回転角位置において前記3つ以上の円板の円周を、各変位センサを用いて測定して第1の測定値を求め、且つ前記所定の回転角位置に対して180度回転させた前記3つ以上の円板の円周を、各変位センサを用いて測定して第2の測定値を求め、前記第1の測定値と前記第2の測定値とに基づいて、1つの変位センサの位置ズレを求め、
更に校正対象となる3つの変位センサを感度軸が鉛直方向に向くように前記円板に対して相対的に固定し、前記所定の回転角位置において前記3つ以上の円板の円周を、各変位センサを用いて測定して第3の測定値を求め、且つ前記所定の回転角位置に対して180度回転させた前記3つ以上の円板の円周を、各変位センサを用いて測定して第4の測定値を求め、前記第3の測定値と前記第4の測定値と、前記1つの変位センサの位置ズレに基づいて、前記回転軸の撓みによる前記円板の変位量を求めることができることを特徴とする。尚、「感度軸」とは、変位センサならそのセンサが検出する点を通り、そのセンサが検出する変位の方向を指す軸を言う。変位センサは、デジタルマイクロメータのように接触式でも良いし、非接触式でも良い。
【0030】
本発明の真直形状測定装置は、上述の校正装置によって構成された変位センサを用いていることを特徴とする。
【0031】
本発明では、寸法の変化が小さい3個の円板,あるいは円筒の軸方向の定められた3箇所の直径を幅基準として用いることができる。必要なセンサの数を増やさないため3つの円板あるいは円筒状3か所の円断面の直径差を予め校正して用いると好ましい。本発明では、校正に用いる円筒の軸方向への走査はせず、必要最小限の長さの校正用回転軸を利用することができる。また、3点法が本来持つ振動や空気の揺らぎに対するロバスト性を保つため、水準器やオートコリメータの助けを借りずに校正を行うことができる。3点法プローブが校正用回転軸ヘ簡単に迅速にアクセスできるように,プローブの近傍へ校正装置を設置できる構造とすると好ましい。
【0032】
本発明は、熱膨張係数が十分小さい素材で作られていて、その直径が所定の一か所以上の回転角位置で校正されている円板と、所望の間隔で3個以上の前記円板が取り付けられる一つの回転軸と、前記回転軸の前記所定の回転角位置を検知することのできる信号発生部とを備えていると好ましい。
【0033】
本発明は、回転軸を2点支持し、そのとき重力によるたわみが等しくなる軸上の3か所に前記円板を取り付けることで重力によるたわみの影響を極小にすると好ましい。
【0034】
本発明は、前記回転軸の回転中に生じる軸のたわみ変形の再現誤差を検出するために前記円板に向けて固定された一個以上の変位センサを備えると好ましい。
【0035】
本発明は、前記3個の円板を回転軸に取り付けた状態で対向する2つのセンサで直径を測定する際に180度回転した2か所で測定して平均を出す方法で、鉛直方向と水平方向の見かけの直径の違いを校正しておき,3点法プローブのゼロ点校正の際のプローブの感度方向における重力によるたわみの影響を計算で補正することができると好ましい。
【0036】
本発明は、被測定物の搭載されたテーブルと相対的に移動する3点法プローブを保持するコラムに取り付けられ、前記テーブルに対してプローブと一体的に相対移動すると好ましい。
【発明の効果】
【0037】
本発明ではプローブが、重力によるたわみの影響を受けない水平面内に感度軸のある場合には、3点法プローブで180度対向した2か所で得た読みの3点法としての差動出力の平均値を用い、予め校正された3か所の直径の差から決まる理論上の前記差動出力を基準にしてゼロ点を校正するので校正中のセンサ出力のドリフトの影響は受け難い。
【0038】
本発明では、水平方向以外にプローブの感度軸を置いた場合の重力による回転軸のたわみ量を水平方向で得たゼロ点との違いから検出しておきプローブ感度軸の方向の違いによる見かけの直径差の変化を修正して任意の方向でのゼロ点を校正することができる。
【0039】
本発明では水準器やオートコリメータを必要としないので、外乱振動や空気の揺らぎの影響を受け難い3点法本来のロバスト性を保持できる。
【0040】
本発明では被測定対象をゼロ点校正に用いないので、任意の形をした回転できない被測定対象にも3点法が適用でき、その形状を測定出来る。
【0041】
本発明では、ゼロ点校正用の回転軸を3点法プローブの傍に比較的簡易に保持して用いることができるため、測定作業中でも必要に応じて迅速にゼロ点校正を繰り返すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照して、本発明にかかる実施の形態を説明する。図2は本発明の実施形態にかかる校正装置を示す図である。図2において、ベースBS上に、支持台SP1,SP2が固定されている。支持台SP1,SP2は上縁にV字状の切欠VL1、VL2を有している。切欠VL1、VL2内には、回転軸SHが水平に載置されている。
【0043】
回転軸SHの外周には、熱膨張係数がゼロに近い3つの円板CP1〜CP3が固定されている。尚、切欠VL1、VL2の間隔及び位置は、3つの円板CP1〜CP3の固定点における回転軸SHの重力によるたわみ量が等しくなる(つまり3つの固定点を結ぶと水平線になる)ように設定されている。
【0044】
更にベースBS上には、センサホルダHLが固定されている。センサホルダHLは、3つの変位センサSS1〜SS3を保持したコラムCLを支持している。3つの変位センサSS1〜SS3は、それぞれ3つの円板CP1〜CP3の外周に対向するように配置されている。図示していないが、回転軸SHの回転角位置を検出する回転角センサを設けても良い。変位センサSS1〜SS3の感度軸を鉛直方向とするには、ベースBSを鉛直方向に立てればよい。
【0045】
本実施の形態によれば、図1を参照して説明した校正方法にて、3つの変位センサSS1〜SS3について校正を行える。
【0046】
回転軸SHに回転を与えるための手段は手動でも、電動モータでも有効である。電動の場合連続的に回転する方式も、所定の回転角度間隔でステップ上に回転と停止を繰り返す方式でもよい。前者ではデータ収録のタイミングを決めるトリガ信号を別途発生する必要があるが、後者では静止時にサンプリングをするようにプログラムされていればよい。
【0047】
なお、円板3個の代わりに必要な長さの円筒を用いて円筒の軸方向の所定の3か所の相互直径差を校正して用いてもよいのは言うまでもない。また、円板外周上に回転角度目盛の役目をする切り込みを等間隔で刻み3点法プローブの一つの変位センサの出力からトリガ信号を得る形態も好ましい。円板は3つ以上あれば足りる。更に、回転軸上に円板を軸線方向に移動可能に取り付けて、隣接する円板の間にスペーサを挿入し、円板の間隔を任意に設定するようにしても良い。
【0048】
図3は、このようにして校正された変位センサSS1〜SS3を用いた真直形状測定装置を示す図である。図3に示すように、基台BSTに対して直進する移動ステージSTに直定規SCを設置し、同時に、この直定規SCの水平面内にある面に、校正した3点法プローブ(3本の並列したセンサSS1〜SS3)を対向させて直定規SCの表面形状と共に、移動ステージSTの移動の際のピッチングを測定する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の数学的原理を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる校正装置を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は上面図である。
【図3】校正された変位センサSS1〜SS3を用いた真直形状測定装置を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
BS ベース
BST 基台
CL コラム
CP1〜CP3 円板
HL センサホルダ
MR 反射鏡
SC 直定規
SH 回転軸
SP1,SP2 支持台
SS1〜SS3 センサ
ST 移動ステージ
VL1、VL2 切欠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
校正対象となる3つの変位センサを保持するベースと、
直径が所定の一か所以上の回転角位置で校正されている3つ以上の円板と、
前記ベースに対して回転可能に支持され、所望の間隔で前記円板を取り付けた回転軸と、を有し、
校正対象となる3つの変位センサを前記円板に対して相対的に固定し、前記所定の回転角位置において前記3つ以上の円板の円周を、各変位センサを用いて測定して第1の測定値を求め、且つ前記所定の回転角位置から180度回転させた回転角位置において、前記3つ以上の円板の円周を、各変位センサを用いて測定して第2の測定値を求め、前記第1の測定値と前記第2の測定値とに基づいて、前記変位センサの相互のゼロ点位置を校正できることを特徴とする校正装置。
【請求項2】
前記3個以上の円板の平均直径あるいは平均半径の相互差が校正されていて、前記3つの変位センサの相互のゼロ点位置を前記平均直径あるいは平均半径の相互差を用いて校正することを特徴とする請求項1に記載の校正装置
【請求項3】
前記回転軸は2点で支持されており、重力により前記回転軸のたわみが生じたときに、重力方向のたわみ量が等しくなる3か所に前記円板をそれぞれ取り付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の校正装置。
【請求項4】
校正対象となる3つの変位センサを感度軸が水平方向に向くように前記円板に対して相対的に固定し、前記所定の回転角位置において前記3つ以上の円板の円周を、各変位センサを用いて測定して第1の測定値を求め、且つ前記所定の回転角位置に対して180度回転させた前記3つ以上の円板の円周を、各変位センサを用いて測定して第2の測定値を求め、前記第1の測定値と前記第2の測定値とに基づいて、1つの変位センサの位置ズレを求め、
更に校正対象となる3つの変位センサを感度軸が鉛直方向に向くように前記円板に対して相対的に固定し、前記所定の回転角位置において前記3つ以上の円板の円周を、各変位センサを用いて測定して第3の測定値を求め、且つ前記所定の回転角位置に対して180度回転させた前記3つ以上の円板の円周を、各変位センサを用いて測定して第4の測定値を求め、前記第3の測定値と前記第4の測定値と、前記1つの変位センサの位置ズレとに基づいて、前記回転軸の撓みによる前記円板の変位量を求めることができることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の校正装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の校正装置によって構成された変位センサを用いていることを特徴とする真直形状測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−286430(P2010−286430A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142045(P2009−142045)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000150604)株式会社ナガセインテグレックス (35)
【出願人】(597122518)
【出願人】(508364369)
【出願人】(591238981)
【Fターム(参考)】