説明

格闘玩具

【課題】ゲームを実行する場所が限定されることがなく、玩具を3次元的に動かしてダイナミックな格闘ゲームを展開することができる、新しい発想の格闘玩具を提供すること。
【解決手段】格闘人形体Aの胴体部1には頭部2、両腕部3及び付け根に歯車37を設けた両脚部4を回動可能に取り付け、格闘人形体Aを駆動する駆動装置Bには上記格闘人形体Aを連結する連結部Cを設け、該連結部Cには駆動回転体11と係合軸14とを配置し、駆動装置Bの後面には上記駆動回転体11を回転させる操作杆15を配置するとともに上記操作杆15の操作に連動して上記連結部Cを回転させるか否かを選択する選択部材16を設け、格闘人形体Aと駆動装置Bとを連結したときには上記駆動回転体11は上記脚部4の従動回転体37に連係し、操作杆15の操作で脚部4が回動するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、格闘玩具、詳しくは格闘人形体を駆動装置に連結し、駆動装置を操作することにより格闘人形体が作動する格闘玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人形体を格闘させて遊ぶ格闘ゲーム玩具が提案されている(例えば、特許文献1)。この格闘ゲーム玩具は、人形体とエアーポンプとをホースで連結し、エアーポンプに設けた押しボタンの押圧操作によってエアーポンプからホースを介してエアーを人形体に送り込み、このエアーによって人形体に設けた左右の手突出し機構が夫々作動するよう形成するとともに、作動体に設けた左右の移動機構が、左右の手突出し機構に夫々連係して作動するようにしたもので、相手の人形体の頭を、左右の突出し腕の突出し動作によって押圧し、相手の人形体の頭を人形体の上部から脱落させるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−95597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする問題点は、上述の格闘ゲーム玩具は、左右の突き出し腕の突出動作で相手の人形対を攻撃するもので、その攻撃パターンは二次元的な動きで変化に乏しいとともに、ポンプを押し操作してエアーを送出するためスピードが緩慢になる問題があり、しかも、ゲームを展開する場所は平らなスペースが必要になり、ゲームを行なう場所も限定される問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決し、ゲームを実行する場所が限定されることがなく、人形対を3次元的に動かしてダイナミックな格闘ゲームを展開することができる、新しい発想の格闘玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明に係る格闘玩具は、格闘人形体と、該格闘人形体を駆動する駆動装置とからなる、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)上記駆動装置は装置本体の前面に上記格闘人形体を連結する連結部を設け、該連結部の前面には円板状の駆動回転体と、該駆動回転体の支軸に並設されるとともに支軸を中心に周回可能な係合軸とが前方に突出して配置され、駆動装置の後面には上記駆動回転体を回転させる操作杆が配置されていること
(ロ)上記格闘人形体は胴体部に頭部が左右に、両腕部及び両脚部がそれぞれ前後に回動可能に取り付けられ、両脚部の付け根には上記駆動回転体に連係可能な円板状の従動回転体を設けたこと
(ハ)上記駆動装置には上記支軸の回転に連動して上記連結部を回転させるか否かを選択する選択部材を設けたこと
(二)上記胴体部の背部には、上記支軸と係合軸とにそれぞれ係合する係合凹部と、係合孔とが形成され、係合孔の内部には上記係合軸を係止する係止部が設けられていること
(ホ)上記係止部は上記頭部の回動に連係して作動し、頭部の回動時には該係止部は上記係合軸の係止を解除すること
(へ)上記駆動装置の駆動回転体は上記支軸を上記係合凹部に、係合軸を係合孔に係合させ、該係合軸を上記係止部で係止したときには上記駆動回転体は上記脚部の従動回転体に連係すること
【0007】
なお、前記係合孔の内部にはバネ部材を配置し、前記係合軸の係止が解除されたときには上記バネ部材に付勢されて前記人形玩具体は前記駆動装置から離脱することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、駆動装置に格闘人形体を連結し、操作杆を回すと、駆動回転体に連係した脚部の従動回転体が回転させられ脚部が回動するので、操作杆を右に回すのか、左に回すのか、さらに選択部材を押しながら操作杆を回すのか、選択部材を押さずに回すのかで格闘人形体を3次元の動きで駆動させることができ、スピード感ある格闘を実現することができる格闘玩具を実現することができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、格闘人形体がバネ部材に付勢されて駆動装置から離脱することにより格闘ゲームは決着するので、決着した後は負けたにもかかわらず引き続き格闘人形体を作動させるような不正行為はできないので正確に勝敗を判定することができる格闘玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る格闘玩具の構成を説明する斜視図
【図2】格闘人形体の分解斜視図
【図3】駆動装置の分解斜視図
【図4】上記格闘玩具の要部断面図
【図5】(a)〜(c)は駆動装置の作動状態を説明する要部断面図
【図6】(a)(b)は格闘人形体と駆動装置との連結を説明する斜視図
【図7】(a)(b)は頭部と係合軸との関係を説明する要部断面図
【図8】(a)(b)は格闘玩具の仕様態様を説明する斜視図
【図9】格闘玩具の仕様態様を説明する斜視図
【図10】(a)(b)は格闘玩具の仕様態様を説明する斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明に係る格闘玩具の一例を示し、この格闘玩具は格闘人形体Aと、この格闘人形体Aを駆動する駆動装置Bとから構成されている。
【0012】
格闘人形体Aは胴体部1に頭部2が左右に、両腕部3、3及び両脚部4、4が前後に回動可能に取り付けられているもので、脚部4の付け根には歯車で構成された円板状の従動回転体(以下、歯車という)37が形成されている。
【0013】
格闘人形体Aの胴体部1は、図2に示すように、前胴体部1aと後胴体部1bとから構成され、前胴体部1aには、頭部2を支持する軸受20、プッシュピン21を押し出すバネ部材22を保持する保持部23が形成され、保持部23には外側からガイド部材24が嵌めあわされ、プッシュピン21がガイド部材24にガイドされて前後にスライド移動できるようになっており、前胴体部1aの両側部には上下に腕部3を軸支する軸孔25と脚部4を軸支する軸孔26とがそれぞれ形成されている。後胴体部1bには頭部2を支持する軸受20、後述する駆動装置Bに設けた支軸12の先端部が係合する係合凹部27、係合軸14を差し込む係合孔28が形成され、両側部には上下に腕部3を軸支する軸孔25と脚部4を軸支する軸孔26とがそれぞれ形成されている。
【0014】
頭部2は支持板30の上端に取り付けられ、この支持板30に形成された支軸31が胴体部1に形成された軸受20に軸支され、頭部2は支軸31を中心に左右に回動できるように配置され、この支持板30の下部には係合孔28から差し込まれた後述する駆動装置Bの係合軸14に形成された係合溝14aに係合し、係合軸14の抜けを阻止する係止部32が設けられ、係止部32の下端に形成されたフック33にはスプリング34の一端が掛けられ、係合孔28から差し込まれた係合軸14に係止部32が係合するように付勢している。
【0015】
両腕部3(3a、3b)は支軸35が胴体部1に形成された軸孔25に回動可能に軸支され、自重で常に下方に回動するように支持されている。
【0016】
両脚部4(4a、4b)は支軸36が胴体部1に形成された軸孔26に回動可能に軸支されるとともに、脚部4a、4bの上端には支軸36と同軸に歯車37が形成されている。
【0017】
駆動装置Bは、片手で掴める大きさの角筒状に形成された装置本体10の前面には上記格闘人形体を連結する連結部Cが配置され、この連結部Cの前面にはクラウン歯車で構成される円板状の駆動回転体(以下、駆動歯車という)11と、該駆動歯車11を支持する支軸12と、連結部Cに形成されたリンク13の先端部に設けられ支軸12と同心円で周回可能な係合軸14とが前方に突出して配置され、装置本体10の後面には上記駆動歯車11を回転させる操作杆15が配置され、上面には上記駆動歯車11の回転に連動して上記連結部C全体を回転させるか否かを選択する選択部材16が配置されている。
【0018】
図3、図4に示すように、支軸12の先端部12aは胴体部1に形成された係合凹部27に係合できる大きさに形成され、後端部12bは駆動歯車11を貫通し、操作杆に15に固定された金属棒40の先端に固定され、操作杆15を回すと、操作杆15と同じ方向に駆動歯車11が回るようになっている。この駆動歯車11はワッシャ41、スプリング42、ワッシャ43とからなるクラッチ44を介して、連結部Cの中心に形成された係合凹部46に後部11aが入り込むように形成され、操作杆15を回したとき駆動歯車11の回転はクラッチ44を介して連結部Cに伝達され、駆動歯車11の回転に連動して連結部Cが回転するようになっている。この連結部Cにはリンク13を介して係合軸14が設けてあるので、この係合軸14は連結部Cと一体で回転するようになっている(図5(a)参照)。
【0019】
選択部材16は弾性を有する長板状の樹脂を若干湾曲させ先端16aを下方に曲折したもので、先端16aを装置本体10の上面に形成された開口部10aから内部に没入させた状態で装置本体10の上面に固定されている。
【0020】
そして、連結部Cの後端周面にはギヤ47が周設され、選択部材16を押下すると先端16aに形成された爪50がギヤ47に噛み合って、連結部Cの回転を阻止するようになっており、この状態で操作杆15を回すと、駆動歯車11のみが回転し、クラッチ44を介した連結部Cは回転しないようになっている(図5(b)参照)。
【0021】
また、図5(c)に示すように、操作杆15を後方に引き操作すると、連結部Cは制止板51に当接して後方に引かれることはないが駆動歯車11はスプリング42を圧縮しながら後方に引かれるようになっている。
【0022】
次に上記構成の格闘玩具の使用態様について説明する。図6(a)に示すように、駆動装置Bの係合軸14の先端を格闘人形体Aの胴体部1の背中に形成された係合孔28に、プッシュピン21を押し込みながらバネ部材22を収縮させて差し込み、支軸12の先端を係合凹部27に差し込む。
【0023】
充分差し込んだ状態では係合軸14の先端部に形成された係合溝14aに頭部2の下方にある係止部32が係合し(図7(a)参照)、格闘人形体Aと駆動装置Bとが連結した状態になる(図6(b)参照)。このとき、駆動歯車11は脚部4の歯車37に噛みあった状態になる。
【0024】
格闘人形体Aと駆動装置Bとが連結した状態で、図8(a)に示すように、操作杆15を後方に引き操作すると、図5(c)に示すように、連結部Cは制止板51に当接して後方に引かれることはないが駆動歯車11はスプリング42を圧縮しながら後方に引かれるので、駆動歯車11と脚部4の歯車37との噛みあいが外れるので、脚部4は自重で下方に回動し、格闘人形体Aを起立させた状態にすることができる。この状態をリセット状態と称する。
【0025】
図8(b)は、選択部材16を押下しない状態で、操作杆15を回した状態を示し、この状態では、図5(a)に示すように、操作杆15を回したとき駆動歯車11の回転はクラッチ44を介して連結部Cに伝達され、駆動歯車11の回転に連動して連結部Cが回転し、この連結部Cにリンク13を介して設けてある係合軸14も連結部Cと一体で回転するので、格闘人形体Aは支軸12を中心に係合軸14とともに回転させることができる。
【0026】
一方、図9は、選択部材16を押下した状態で、操作杆15を回した状態を示し、この状態では、図5(b)に示すように、選択部材16の先端16aに形成された爪50がギヤ47に噛み合って、連結部Cの回転を阻止しているので操作杆15を左右に回すと、駆動歯車11のみが回転し、格闘人形体Aは回転することなく左右の脚部4を互いに相反する方向(前後方向)に回動させることができる。
【0027】
格闘人形体Aを駆動装置Bに連結し、選択部材16を押した状態で操作杆15を左右に回すか、選択部材16を押さない状態で操作杆15を左右に回すか、或いは操作杆15を引き操作するかで、格闘人形体Aを回転させないで脚部のみを前後に回動させるか、脚部を前に回動させた状態で格闘人形体Aを左右に回動させるか、或いは回動した脚部をリセットするか、様々な選択を瞬時に選択して人形玩具の状態を変えることができるので、図10(a)に示すように、対戦相手の格闘人形体A´と対戦させる際、互いに選択部材16を押さずに操作杆15を回すのか、選択部材16を押しながら操作杆15を回すのか、格闘人形体Aをどの状態まで回したときに左右の脚部のどちらを前方に回動させるか、脚部を回動させた状態で人形玩具全体を回すかなど瞬時に判断して脚部4で対戦相手の頭部2を攻撃すればよい。
【0028】
そして、図10(a)の状態で、左脚部4bが前に出た状態で、格闘人形体Aを左に回転させて相手の格闘人形体A´の頭部2に左脚部を当てると、格闘人形体A´の頭部2が回動して、すると、図7(b)に示すように、係合孔28から差し込まれた係合軸14の係合溝14aに係合していた頭部2を支持する支持板30の係止部32が、係合溝14aから外れるので、バネ部材22の弾発力でプッシュピン21が係合軸14を勢いよく押し戻すので、相対的に係合軸14から人形玩具が離脱し、図10(b)に示すように、駆動装置から離脱した人形玩具は落下して格闘は終了することになる。
【0029】
上述したように、駆動装置に格闘人形体を連結し、操作杆を回して格闘人形体を駆動する際、操作杆を右に回すのか、左に回すのか、さらに選択部材を押しながら操作杆を回すのか、操作杆を押さずに回すのかで格闘人形体を3次元の動きで駆動させることができ、スピード感ある格闘を実現することができる。しかも格闘ゲームは格闘人形体が駆動装置から離脱することにより決着するので、決着した後は負けたにもかかわらず引き続き格闘人形体を作動させるような不正行為はできないので正確に勝敗を判定することができる。 そして、駆動装置を手で持って格闘人形体を駆動させることができるので、遊ぶ場所が限定されず、感触が直接手に伝わるので遊戯者自信も格闘しているイメージが湧く新しい発想の格闘玩具を実現することができる。
【0030】
なお、上述の格闘玩具では、駆動回転体をクラウン歯車からなる駆動歯車11で構成し、従動回転体を駆動歯車11に噛合する歯車34で構成したが、この駆動回転体と従動回転体とは駆動回転体の回転を従動回転体に伝達することができるものであれば駆動歯車11と歯車37に限定されるものではなく、ゴムなどの摩擦力のある素材を円板状に形成して用いても構わないし、円板状の基材の周囲にゴムなどの摩擦力のある素材を配設しても構わない。
【符号の説明】
【0031】
1 胴体部
2 頭部
3 腕部
4 脚部
11 駆動回転体(駆動歯車)
12 支軸
14 係合軸
15 操作杆
16 選択部材
22 バネ部材
27 係合凹部
28 係合孔
32 係止部
37 従動回転体(歯車)
A 格闘人形体
B 駆動装置
C 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格闘人形体と、該格闘人形体を駆動する駆動装置とからなる、以下の要件を備えることを特徴とする格闘玩具。
(イ)上記駆動装置は装置本体の前面に上記格闘人形体を連結する連結部を設け、該連結部の前面には円板状の駆動回転体と、該駆動回転体の支軸に並設されるとともに支軸を中心に周回可能な係合軸とが前方に突出して配置され、駆動装置の後面には上記駆動回転体を回転させる操作杆が配置されていること
(ロ)上記格闘人形体は胴体部に頭部が左右に、両腕部及び両脚部がそれぞれ前後に回動可能に取り付けられ、両脚部の付け根には上記駆動回転体に連係可能な円板状の従動回転体を設けたこと
(ハ)上記駆動装置には上記支軸の回転に連動して上記連結部を回転させるか否かを選択する選択部材を設けたこと
(二)上記胴体部の背部には、上記支軸と係合軸とにそれぞれ係合する係合凹部と、係合孔とが形成され、係合孔の内部には上記係合軸を係止する係止部が設けられていること
(ホ)上記係止部は上記頭部の回動に連係して作動し、頭部の回動時には該係止部は上記係合軸の係止を解除すること
(へ)上記駆動装置の駆動回転体は上記支軸を上記係合凹部に、係合軸を係合孔に係合させ、該係合軸を上記係止部で係止したときには上記駆動回転体は上記脚部の従動回転体に連係すること
【請求項2】
前記係合孔の内部にはバネ部材を配置し、前記係合軸の係止が解除されたときには上記バネ部材に付勢されて前記人形玩具体は前記駆動装置から離脱する、請求項1記載の格闘玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−166968(P2010−166968A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10159(P2009−10159)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000132633)株式会社センテクリエイションズ (21)
【Fターム(参考)】