説明

桁ブロック及びその桁ブロックを用いた鋼橋架設方法

【課題】支持構造体上での効率的な作業が可能となる桁ブロック及びその桁ブロックを用いた鋼橋架設方法を提供するものである。
【解決手段】対向して配置された第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bと、中央部に設けられた第1ヒンジ部材300により屈曲可能となるヒンジ付き横部材200とを有し、ヒンジ付き横部材200の一端部が第2ヒンジ部材400によって第1の主桁架設ブロック100aの所定部位に連結されると共にヒンジ付き横部材200の他端部が第3ヒンジ部材500によって第2の主桁架設ブロック100bの所定部位に連結された桁ブロックを用いて鋼橋を架設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼橋を架設する際に用いられる桁ブロックとその桁ブロックを用いた鋼橋架設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼橋、例えば鈑桁橋(プレートガーター橋)は、断面I状となる鋼製の主桁が用いられ、例えば、図1に示すように平行に配列された主桁1a、1b、1cと、端対傾構2a、2b、中間対傾構3a、3b、3c、3d、3e、3f、分配横桁4a、4b等の鋼製の横部材とが連結された構造となっている。このような鈑桁橋の一般的な架設方法として、クレーンベント工法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。このクレーンベント工法は、図2に示すように、橋台10及び橋脚11、12の下部工や橋脚11、12間に架設されたベント13、14の上に桁構成部材C(主桁架設ブロック、及び対傾構、分配横桁等の横部材)を順次桁架設用クレーン20にて吊り上げて設置し、それら桁構成部材Cを高力ボルトや溶接等によって連結して、図1に示すような鈑桁橋を組み上げていくものである。なお、ベント13、14は、鈑桁橋の組み上げ完了後に撤去される。
【非特許文献1】「わかりやすい鋼橋の架設」 財団法人日本橋梁建設協会 平成9年3月、p1−p7
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、クレーンベント工法に従った鋼橋架設方法では、一般に、主桁1a(1b、1c)を構成すべき所定長の主桁架設ブロックと横部材(対傾構、分配横桁等)とをそれぞれ個別的に吊り上げて桁支持構造体(橋台10、橋脚11、12、ベント13、14)上にてそれぞれの設置及び組み付け行なうようにしている。このため、桁支持構造体上での作業が必ずしも効率的になされ得るものではなかった。なお、主桁架設ブロックとは、桁支持構造体上に架設用クレーンにて一回で吊り上げる、所定の長さの主桁の部材のことをいう。輸送における制限を考慮した寸法で工場製作された主桁部材を、単独で、もしくは多くの場合複数地上にて連結(地組立て)して主桁架設ブロックとする。
【0004】
例えば、鋼橋を架設する過程で主桁架設ブロックを単体で桁支持構造体上に載置させておく状況が発生するが、その単体で載置される主桁架設ブロックが横倒れ座屈を起こす危険性があることから、当該主桁架設ブロックを長くすること、ひいては(ベントを含む)桁支持構造体の間隔を長くすることが困難な場合が多い。従って、所定の長さの鋼橋を架設するために必要な、主桁架設ブロックの数やベント設置基数が多くなり、主桁架設ブロック吊り上げ、その桁支持構造体上での連結、更にはベントの設置、撤去のため等の作業量が多くなって、能率的な作業が難しい。
【0005】
また、主桁架設ブロックが桁支持構造体上に載置された後に架設クレーンにて吊り上げられた横部材を各主桁架設ブロックの所定位置に組み付ける際に比較的手間のかかる位置決め作業を高所にて行なわなければならない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、桁支持構造体上での効率的な作業が可能となる桁ブロック及びその桁ブロックを用いた鋼橋架設方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る桁ブロックは、対向して配置された第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックと、中央部に設けられた第1ヒンジ部材により屈曲可能となるヒンジ付き横部材とを有し、前記ヒンジ付き横部材の一端部が第2ヒンジ部材によって前記第1の主桁架設ブロックの所定部位に連結されると共に前記ヒンジ付き横部材の他端部が第3ヒンジ部材によって前記第2の主桁架設ブロックの所定部位に連結された構成となる。
【0008】
このような構成により、第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとを近づけてヒンジ付き横部材を屈曲させた状態で桁ブロックを桁支持構造体上に吊り上げて設置することができ、その後、第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとを引き離すことによって屈曲した状態のヒンジ付き横部材を直状にすることができる。
【0009】
また、本発明に係る桁ブロックにおいて、一端部がヒンジ部材によって前記第1の主桁架設ブロックの他の所定部位に連結され、所定長の可回動横部材を有する構成とすることができる。
【0010】
このような構成により、第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとを近づけてヒンジ付き横部材を屈曲させた状態、かつ、可回動横部材を回動させて前記第1の主桁架設ブロックに沿わせた状態で桁ブロックを桁支持構造体上に吊り上げて載置することができ、その後、第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとを引き離すことによって屈曲した状態のヒンジ付き横部材を直状にすると共にヒンジ部材を軸にして前記可回動横部材を所定位置まで回動させることができる。
【0011】
本発明に係る桁ブロックは、主桁架設ブロックと、一端部がヒンジ部材によって当該主桁架設ブロックの所定部位に連結され、所定長の可回動横部材とを有する構成となる。
【0012】
このような構成により、可回動横部材を主桁架設ブロックに沿わせた状態で桁ブロックを桁支持構造体上に吊り上げて載置することができ、その後、ヒンジ部材を軸にして前記可回動横部材を所定位置まで回動させて、例えば前記主桁架設ブロックに直交する状態にすることができる。
【0013】
本発明に係る鋼橋架設方法は、対向して配置された第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックと、中央部に設けられた第1ヒンジ部材により屈曲可能となるヒンジ付き横部材とを有し、前記ヒンジ付き横部材の一端部が第2ヒンジ部材によって前記第1の主桁架設ブロックの所定部位に連結されると共に前記ヒンジ付き横部材の他端部が第3ヒンジ部材によって前記第2の主桁架設ブロックの所定部位に連結された桁ブロックを組立てる工程と、前記桁ブロックを、前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックとを近づけて前記ヒンジ付き横部材を屈曲させた状態で、桁支持構造体に載置する工程と、前記桁支持構造体上にて前記桁ブロックにおける前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックとを前記ヒンジ付き横部材が直状になるように引き離す工程と、前記ヒンジ付き横部材の中央部を固定部材により固定し、前記ヒンジ付き横部材の一端部と前記第1の主桁架設ブロックとを固定し、前記ヒンジ付き横部材の他端部と前記第2の主桁架設ブロックとを固定する工程とを有する構成となる。
【0014】
このような構成により、桁ブロックは、主桁架設ブロック単体ではなく、第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとが屈曲させたヒンジ付き横部材を介して連結された状態で桁支持構造体上に載置されるようになるので、桁支持構造体上において転倒もしくは横倒れ座屈し難いものとなる。そして、桁支持構造体上において第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとをヒンジ付き横部材が直状になるように引き離した後に、前記ヒンジ付き横部材の中央部が固定部材にて固定され、前記ヒンジ付き横部材の一端部と前記第1の主桁架設ブロックとが固定され、前記ヒンジ付き横部材の他端部と前記第2の主桁架設ブロックとが固定されるので、桁ブロックの転倒もしくは横倒れ座屈し難い状態が維持されながら、第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックに対する位置合わせ作業を特に行なうことなく、ヒンジ付き横部材を屈曲することのない正規の横部材にして当該第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックに固定することができるようになる。
【0015】
前記ヒンジ付き横部材の中央部を固定部材により固定し、前記ヒンジ付き横部材の一端部と前記第1の主桁架設ブロックとを固定し、前記ヒンジ付き横部材の他端部と前記第2の主桁架設ブロックとを固定した後に、前記第1ヒンジ部材、前記第2ヒンジ部材及び前記第3ヒンジ部材は取り外しても、そのまま残してもよい。ただし、前記第1ヒンジ部材、前記第2ヒンジ部材及び前記第3ヒンジ部材は、前記ヒンジ付き横部材が正規の横部材として前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックに固定された後には特に必要がないものなので、それらは取り外しておくことが好ましい。
【0016】
本発明に係る鋼橋架設方法は、対向して配置された第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックと、中央部に設けられた第1ヒンジ部材により屈曲可能となるヒンジ付き横部材とを有し、前記ヒンジ付き横部材の一端部が第2ヒンジ部材によって前記第1の主桁架設ブロックの所定部位に連結されると共に前記ヒンジ付き横部材の他端部が第3ヒンジ部材によって前記第2の主桁架設ブロックの所定部位に連結された桁ブロックを組立てる工程と、前記桁ブロックを、前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックとを近づけて前記ヒンジ付き横部材を屈曲させた状態で、桁支持構造体に載置する工程と、前記桁支持構造体上にて前記桁ブロックにおける前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックとを所定の間隔となるように引き離す工程と、横部材を前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックとに固定する工程と、前記第2のヒンジ部材を前記第1の主桁架設ブロックから取り外すと共に第3のヒンジ部材を前記第2の主桁架設ブロックから取り外すことにより前記ヒンジ付き横部材を前記第1の主桁架設ブロック及び前記第2の主桁架設ブロックから取り外す工程とを有する構成となる。
【0017】
このような構成により、桁ブロックは、第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとが屈曲させたヒンジ付き横部材を介して連結された状態で桁支持構造体に載置されるので、桁支持構造体上において単一の主桁架設ブロックに比べて転倒もしくは横倒れ座屈し難いものとなる。そして、桁支持構造体上において第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとを所定の間隔となるように引き離した後に、横部材が前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックとに固定され、前記ヒンジ付き横部材が前記第1の主桁架設ブロック及び前記第2の主桁架設ブロックから取り外されるので、桁ブロックの転倒もしくは横倒れ座屈し難い状態が維持されながら、正規の横部材を第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックに固定することが可能となる。
【0018】
本発明に係る鋼橋架設方法は、対向して配置された第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックと、中央部に設けられた第1ヒンジ部材により屈曲可能となるヒンジ付き横部材とを有し、前記ヒンジ付き横部材の一端部が第2ヒンジ部材によって前記第1の主桁架設ブロックの所定部位に連結されると共に前記ヒンジ付き横部材の他端部が第3ヒンジ部材によって前記第2の主桁架設ブロックの所定部位に連結され、更に、一端部がヒンジ部材によって前記第1の主桁架設ブロックの他の所定部位に連結され、所定長の可回動横部材を有する桁ブロックを組立てる工程と、前記桁ブロックを、前記可回動横部材を前記第1の主桁架設ブロックに沿わせ、前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックとを近づけて前記ヒンジ付き横部材を屈曲させた状態で、桁支持構造体に載置する工程と、前記桁支持構造体上にて前記桁ブロックにおける前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックとを前記ヒンジ付き横部材が直状になるように引き離す工程と、前記可回動横部材を所定位置まで前記ヒンジ部材を軸にして回動させる工程と、前記ヒンジ付き横部材の中央部を固定部材により固定し、前記ヒンジ付き横部材の一端部と前記第1の主桁架設ブロックとを固定し、前記ヒンジ付き横部材の他端部と前記第2の主桁架設ブロックとを固定する工程と前記可回動横部材の一端部と前記第1の主桁架設ブロックとを固定する工程とを有する構成となる。
【0019】
このような構成により、桁ブロックは、可回動横部材を第1の主桁架設ブロックに沿わせ、第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとが屈曲させたヒンジ付き横部材を介して連結された状態で桁支持構造体に載置されるので、桁支持構造体上において転倒もしくは横倒れ座屈し難いものとなる。そして、桁支持構造体上において第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとをヒンジ付き横部材が直状になるように引き離した後に、前記ヒンジ付き横部材の中央部が固定部材にて固定され、前記ヒンジ付き横部材の一端部と前記第1の主桁架設ブロックとが固定され、前記ヒンジ付き横部材の他端部と前記第2の主桁架設ブロックとが固定されるので、桁ブロックの転倒もしくは横倒れ座屈し難い状態が維持されながら、第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックに対する位置合わせ作業を特に行なうことなく、ヒンジ付き横部材を屈曲することのない正規の横部材にして当該第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックに固定することができるようになる。更に、可回動横部材を所定位置まで回動させた後に、前記可回動横部材が第1の主桁架設ブロックに固定されるので、桁ブロックの転倒もしくは横倒れ座屈し難い状態が維持されながら、第1の主桁架設ブロックに対する簡単な位置合わせ作業によって可回動横部材を当該第1の主桁架設ブロックに固定することができるようになる。
【0020】
なお、可回動横部材が第2の主桁架設ブロックに向けて回動可能となるように第1の主桁架設ブロックにヒンジ接続されている場合には、前記可回動横部材の他端部は前記第2の主桁架設ブロックに固定することができる。この場合、可回動横部材は、第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとの間に設けられる正規の横部材となる。また、可回動横部材が第2の主桁架設ブロックと逆側に向けて回動可能となるように第1の主桁架設ブロックにヒンジ接続される場合には、前記可回動横部材の他端部は他の主桁架設ブロックに固定することができる。この場合、可回動横部材は、第1の主桁架設ブロックと、その第1の主桁架設ブロックを挟んで第2の主桁架設ブロックと逆側にある他の主桁架設ブロックとの間に設けられる正規の横部材となる。
【0021】
また、可回動横部材が第1の主桁架設ブロックに固定された後に、該可回動横部材を第1の主桁架設ブロックに連結するヒンジ部材は、取り外しても、そのまま残してもよい。ただし、前記ヒンジ部材は、前記可回動横部材が正規の横部材として前記第1の主桁架設ブロックに固定された後には特に必要がないものなので、それらは取り外しておくことが好ましい。
【0022】
また、本発明に係る鋼橋架設方法は、対向して配置された第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックと、中央部に設けられた第1ヒンジ部材により屈曲可能となるヒンジ付き横部材とを有し、前記ヒンジ付き横部材の一端部が第2ヒンジ部材によって前記第1の主桁架設ブロックの所定部位に連結されると共に前記ヒンジ付き横部材の他端部が第3ヒンジ部材によって前記第2の主桁架設ブロックの所定部位に連結され、更に、一端部がヒンジ部材によって前記第1の主桁架設ブロックの他の所定部位に連結され、所定長の可回動横部材を有する桁ブロックを組立てる工程と、前記桁ブロックを、前記可回動横部材を前記第1の主桁架設ブロックに沿わせ、前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックとを近づけて前記ヒンジ付き横部材を屈曲させた状態で、桁支持構造体に載置する工程と、前記桁支持構造体上にて前記桁ブロックにおける前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックとを所定の間隔となるように引き離す工程と、前記可回動横部材を所定位置まで前記ヒンジ部材を軸にして回動させる工程と、前記可回動横部材の一端部と前記第1の主桁架設ブロックとを固定し、前記可回動横部材の他端部と前記第2の主桁架設ブロックとを固定する工程と、前記第2のヒンジ部材を前記第1の主桁架設ブロックから取り外すと共に第3のヒンジ部材を前記第2の主桁架設ブロックから取り外すことにより前記ヒンジ付き横部材を前記第1の主桁架設ブロック及び前記第2の主桁架設ブロックから取り外す工程とを有する構成となる。
【0023】
このような構成により、桁ブロックは、可回動横部材を第1の主桁架設ブロックに沿わせ、第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとが屈曲させたヒンジ付き横部材を介して連結された状態で桁支持構造体に載置されるので、桁支持構造体上において転倒もしくは横倒れ座屈し難いものとなる。そして、桁支持構造体上において第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとを所定の間隔となるように引き離し、可回動横部材を所定位置まで回動させた後に、前記可回動横部材が第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックに固定されると共に前記ヒンジ付き横部材が前記第1の主桁架設ブロック及び前記第2の主桁架設ブロックから取り外されるので、桁ブロックの転倒もしくは横倒れ座屈し難い状態が維持されながら、簡単な第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックに対する位置合わせ作業によって可回動横部材を正規の横部材として当該第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックに固定することができるようになる。
【0024】
また、本発明に係る鋼橋架設方法において、横部材を前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックに固定する工程を有する構成とすることができる。
【0025】
このような構成により、可回動横部材が正規の横部材として第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックに固定された後に、横部材を前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックに固定するので、桁ブロックの転倒もしくは横倒れ座屈し難い状態が維持されながら、前記横部材を正規の横部材として第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックに固定することができるようになる。
【0026】
なお、前記横部材は、取り外したヒンジ付き横部材に代えて、第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックの前記ヒンジ付き横部材が取付けられていた部位に固定するようにしても、別の部位に固定するようにしてもよい。
【0027】
本発明に係る鋼橋架設方法は、主桁架設ブロックと、一端部がヒンジ部材によって当該主桁架設ブロックの所定部位に連結され、所定長の可回動横部材とを有する桁ブロックを組立てる工程と、前記桁ブロックを、前記可回動横部材を前記主桁架設ブロックに沿わせた状態で、桁支持構造体に載置する工程と、前記桁支持構造体上にて前記桁ブロックにおける可回動横部材を所定位置まで前記ヒンジ部材を軸にして回動させる工程と、前記可回動横部材の一端部と前記主桁架設ブロックとを固定する工程と、前記可回動横部材の他端部と他の主桁架設ブロックとを固定する工程とを有する構成となる。
【0028】
このような構成により、桁ブロックを、可回動横部材を主桁架設ブロックに沿わせた状態で、桁支持構造体上に載置し、可回動横部材を所定位置まで回動させた後に、該可回動横部材の一端部が主桁架設ブロックに固定されると共に該可回動横部材の他端部が他の主桁架設ブロックに固定されるので、主桁架設ブロックに対する位置決め作業を特に行なうことなく、可回動横部材を正規の横部材として主桁架設ブロックと他の主桁架設ブロックとに固定することができるようになる。
【発明の効果】
【0029】
対向して配置された第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックと、中央部に設けられた第1ヒンジ部材により屈曲可能となるヒンジ付き横部材とを有し、前記ヒンジ付き横部材の一端部が第2ヒンジ部材によって前記第1の主桁架設ブロックの所定部位に連結されると共に前記ヒンジ付き横部材の他端部が第3ヒンジ部材によって前記第2の主桁架設ブロックの所定部位に連結された桁ブロックを用いた本発明に係る鋼橋架設方法によれば、桁支持構造体に転倒もしくは横倒れ座屈し難い状態で載置された主桁架設ブロック(第1の主桁架設ブロック、第2の主桁架設ブロック)に対して作業を行なうことができるようになるので、主桁架設ブロックに対する転倒もしくは横倒れ座屈の防止措置の作業負担を軽減することができ、結果として桁支持構造体上での作業の効率化を図ることができるようになる。また、桁支持構造体上に載置される主桁架設ブロックが転倒もしくは横倒れ座屈し難い状態となることから、主桁架設ブロックの長さを比較的長くすること、ひいては(ベントを含む)桁支持構造体の間隔を長くすることができ、所定の長さの鋼橋を架設するために必要な主桁架設ブロック数やベントの設置基数を減らすことが可能となり、その結果、主桁架設ブロックの吊り上げ作業や、桁支持構造体上での主桁架設ブロックの連結作業、更にはベントの設置、撤去作業等の作業の量も低減でき、この点からも作業の効率化を図ることができる。
【0030】
特に、前記ヒンジ付き横部材の中央部を固定部材にて固定し、その両端部を第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックに固定して前記ヒンジ付き横部材を中央部で屈曲することのない正規の横部材にして前記第1の主桁架設ブロック及び前記第2の主桁架設ブロックに固定する場合、特段の位置決め作業を行なうことなく正規の横部材を第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックに固定することができるようになるので、桁支持構造体上での作業の更なる効率化を図ることができるようになる。
【0031】
また、主桁架設ブロックと、一端部がヒンジ部材によって前記主桁架設ブロックの所定部位に連結され、所定長さとなる可回動横部材とを有する桁ブロックを用いた本発明に係る鋼橋架設方法によれば、前記桁ブロックを、可回動横部材を主桁架設ブロックに沿わせた状態で、桁支持構造体上に載置し、その可回動横部材を所定位置まで回動させた後に、該可回動横部材の一端部を主桁架設ブロックに固定することにより、主桁架設ブロックに対する特段の位置決め作業を特に行なうことなく、可回動横部材を正規の横部材として主桁架設ブロックに固定することができるようになるので、桁支持構造体上での作業の効率化を図ることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0033】
本発明の第1の実施の形態に係る桁ブロックの基本的な構成は、図3(a)に示すようになっている。図3(a)において、この桁ブロックは、それぞれ対向して配置される第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bと、中央部に設けられた第1ヒンジ部材300により屈曲可能となるヒンジ付き横部材200とを有し、このヒンジ付き横部材200の一端部が第2ヒンジ部材400によって第1の主桁架設ブロック100aの所定部位に連結されると共にヒンジ付き横部材200の他端部が第3ヒンジ部材500によって第2の主桁架設ブロック100bの所定部位に連結された構造となっている。このような構造の桁ブロックは、第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとを近づけてヒンジ付き横部材200を屈曲させた状態で、橋台10、橋脚11、12、ベント13、14(図2参照)等の桁支持構造体上に吊り上げて載置することができ、その後、第2の主桁架設ブロック100bを横引きすることにより、第1の主桁架設ブロック100aから第2の主桁架設ブロック100bを引き離して屈曲した状態のヒンジ付き横部材200を直状にすることができる。
【0034】
本発明の第2の実施の形態に係る桁ブロックの基本的な構成は、図3(b)に示すようになっている。図3(b)において、この桁ブロックは、主桁架設ブロック100aと、一端部がヒンジ部材700によって主桁架設ブロック100aの所定部位に連結され、所定長さの可回動横部材600とを有する構造となっている。このような構造の桁ブロックは、可回動横部材600を主桁架設ブロック100aと略平行となるように当該主桁架設ブロック100aに沿わせた状態で桁支持構造体上に吊り上げて載置することができ、その後、ヒンジ部材700を軸にして可回動横部材600を所定位置まで(例えば、主桁架設ブロック100aに直交する状態になるまで)回動させることができる。この状態で、可回動横部材600の主桁架設ブロック100aに連結された端部と逆側の端部を他の主桁架設ブロック100bに連結することが可能である。
【0035】
図3(a)に示すようにヒンジ付き横部材200を有する桁ブロック(本発明の第1の実施の形態)の更に具体的な例について説明する。
【0036】
まず、対傾構としての構造を有するヒンジ付き横部材を備えた桁ブロックが図4乃至図6に示される。図4は、第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとを引き離す前の状態(a)及びそれらを引き離している状態(b)での桁ブロックを上方から見た平面図であり、図5は、ヒンジ付き横部材が直状となるように第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとが引き離された状態となる桁ブロックのヒンジ付き横部材の正面図であり、図6(a)は、図5におけるA1−A2矢視の一部切欠図であり、図6(b)は、図5におけるA3−A4矢視の図であり、図6(c)は、図5におけるB1−B2矢視の図である。
【0037】
図4(a)、(b)に示すように、この桁ブロックは、対向して配置された第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bと、中央部に設けられた第1ヒンジ部材310により屈曲可能となり対傾構としての構造を有するヒンジ付き横部材(以下、ヒンジ付き対傾構という)210とを有し、ヒンジ付き対傾構210の一端部が第2ヒンジ部材410によって第1の主桁架設ブロック100aの所定部位に連結されると共にヒンジ付き対傾構210の他端部が第3ヒンジ部材510によって第2の主桁架設ブロック100bの所定部位に連結されている。
【0038】
更に、具体的には、図5及び図6に示すように、第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bのそれぞれは、腹板(ウェッブ)103の上端縁に上フランジ101が形成されると共に腹板103の下端縁に下フランジ102が形成されて断面がI状となる鋼材にて構成されている。なお、このような形状の主桁部材が単体で、あるいは多くの場合複数連結されて所定の長さの第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bが形成される。ヒンジ付き対傾構210は、この例では、溝形鋼で構成された上弦材211、CT鋼にて構成された下弦材212、及び山形鋼にて構成された斜材213a、213bが対傾構として組立てられた構造となっている。
【0039】
上弦材211は2つの部分材211a、211bに等分割され、下弦材212もまた2つの部分材212a、212bに等分割されている。図4に示す第1ヒンジ部材310は、2つのヒンジユニット311、312にて構成されている。ヒンジユニット311のヒンジピン311aを挟んで両側に延びるブラケット311bの各端部が部分材211a、211bにボルト締め固定されることにより、上弦材211がその中央部にて屈曲可能となり(図5、図6(a)参照)、ヒンジユニット312のヒンジピン312aを挟んで両側に延びるブラケット312bの各端部が分部材212a、212bにボルト締め固定されることにより、下弦材212がその中央部にて屈曲可能となっている(図5、図6(c)参照)。その結果、ヒンジ付き対傾構210が、その中央部に設けられた第1ヒンジ部材310(ヒンジユニット311、312)により屈曲可能な構造となる。
【0040】
上弦材211における一方の部分材211aの第1の主桁架設ブロック100a側の端部にはガセット板121aが溶接等により固定されており、このガセット板121aが第1の主桁架設ブロック100aの補剛材104に当接する。上弦材211における他方の部分材211bの第2の主桁架設ブロック100b側の端部にはガセット板121bが溶接等により固定されており、このガセット板121bが第2の主桁架設ブロック100bの補剛材104に当接する。また、下弦材212における一方の部分材212aの第1の主桁架設ブロック100a側の端部にはガセット板122aが溶接等により固定されており、このガセット板122aが第1の主桁架設ブロック100aの補剛材104に当接する。更に、下弦材212における他方の部分材212bの第2の主桁架設ブロック100b側の端部にはガセット板122bが溶接等により固定されており、このガセット板122bが第2の主桁架設ブロック100bの補剛材104に当接する。
【0041】
上弦材211の各部分材211a、211bの対向する各端部にはガセット板123a、123bが溶接等により固定されている。そして、斜材213aの一端部が上弦材211の部分材211aに固定されたガセット板123aに溶接等によって固定され、斜材213aの他端部が下弦材212の部分材212aに固定されたガセット板122aに溶接等により固定されている。また、斜材213bの一端部が上弦材211の部分材211bに固定されたガセット板123bに溶接等によって固定され、斜材213bの他端部が下弦材212の部分材212bに固定されたガセット板122bに溶接等によって固定されている。
【0042】
図4に示すようにヒンジ付き対傾構210と第1の主桁架設ブロック100aとを連結する第2ヒンジ部材410は、2つのヒンジユニット411、412にて構成されている。ヒンジユニット411のヒンジピン411aを挟んで両側に延びるブラケット411bの一端部が上弦材211の部分材211aの端部にガセット板121aと一体的にボルト締め固定され、その他端部が第1の主桁架設ブロック100aの補鋼材104にガセット板121aと同厚のライナー板(図示略)と一体的にボルト締め固定されている(図5、図6(a)参照)。また、ヒンジユニット412のヒンジピン412aを挟んで両側に延びるブラケット412bの一端部が、下弦材212の部分材212aの端部に固定されたガセット板122aにボルト締め固定され、その他端部が第1の主桁架設ブロック100aの補鋼材104にガセット板122aと同厚のライナー板125aと一体的にボルト締め固定されている(図5、図6(c)参照)。これにより、当該桁ブロックは、ヒンジ付き対傾構210の一端部が第2ヒンジ部材410(ヒンジユニット411、412)によって第1の主桁架設ブロック100aの所定部位に連結された構造となる。
【0043】
図4に示すようにヒンジ付き対傾構210と第2の主桁架設ブロック100bとを連結する第3ヒンジ部材510は、2つのヒンジユニット511、512にて構成されている。ヒンジユニット511のヒンジピン511aを挟んで両側に延びるブラケット511bの一端部が上弦材211の部分材211bの端部にガセット板121bと一体的にボルト締め固定され、その他端部が第2の主桁架設ブロック100bの補鋼材104にガセット板121bと同厚のライナー板124bと一体的にボルト締め固定されている(図5、図6(b)参照)。また、ヒンジユニット512のヒンジピン512aを挟んで両側に延びるブラケット512bの一端部が、下弦材212の部分材212bの端部に固定されたガセット板122bにボルト締め固定され、その他端部が第2の主桁架設ブロック100bの補鋼材104にガセット板122bと同厚のライナー板125bと一体的にボルト締め固定されている(図5、図6(c)参照)。これにより、当該桁ブロックは、ヒンジ付き対傾構210の他端部が第3ヒンジ部材510(ヒンジユニット511、512)によって第2の主桁架設ブロック100bの所定部位に連結された構造となる。
【0044】
次に、分配横桁としての構造を有するヒンジ付き横部材を備えた桁ブロックが図7及び図8に示される。図7は、第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとを引き離す前の状態(a)及びそれらを引き離している状態(b)での桁ブロックを上方から見た平面図であり、図8は、ヒンジ付き横部材が直状となるように第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとが引き離された状態となる桁ブロックのヒンジ付き横部材の正面図(a)及びそのA1−A2矢視の一部切欠図である。
【0045】
図7(a)、(b)に示すように、この桁ブロックは、対向して配置された第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bと、中央部に設けられた第1ヒンジ部材320により屈曲可能となり分配横桁としての構造を有するヒンジ付き横部材(以下、ヒンジ付き分配横桁という)220とを有し、ヒンジ付き分配横桁220の一端部が第2ヒンジ部材420によって第1の主桁架設ブロック100bの所定部位に連結されると共にヒンジ付き分配横桁220の他端部が第3ヒンジ部材520によって第2の主桁架設ブロック100bの所定部位に連結されている。
【0046】
更に、具体的には、図8に示すように、ヒンジ付き分配横桁220は、2つの横桁部分材221、222にて構成されている。各横桁部分材221、222は、各主桁架設ブロック100a、100bと同様に、腹板221a、222aの上端縁及び下端縁に上フランジ及び下フランジが形成された断面I状の鋼材にて構成されている。第1ヒンジ部材320(図7参照)は、2つのヒンジユニット321、322にて構成されている。ヒンジユニット321のヒンジピン321aを挟んで段差をもって延びるブラケット321bの一端部が前記段差に対応した板厚のライナー板141と一体的に横桁部分材221の上フランジにボルト締め固定されており、ブラケット321bの他端部が横桁部分材222の上フランジに直接ボトル締め固定されている。また、ヒンジユニット322も同様にしてライナー板142を用いて横桁部分材221の下フランジと横桁部分材222の下フランジとに固定されている。その結果、ヒンジ付き分配横桁220が、その中央部に設けられた第1ヒンジ部材320(ヒンジユニット321、322)により屈曲可能な構造となる。
【0047】
ヒンジ付き分配横桁220と第1の主桁架設ブロック100aとを連結する第2ヒンジ部材420(図7参照)は、2つのヒンジユニット421、422にて構成されている。ヒンジユニット421のヒンジピン421aを挟んで両側に延びるブラケット421bの一端部が第1の主桁架設ブロック100aの補剛材104にボルト締め固定され、その他端部が横桁部分材221の腹板221aに補剛材104と同厚のライナー板143と一体的にボルト締め固定されている(図8(b)参照)。また、ヒンジユニット422も同様にして横桁部分材221の腹板221aと第1の主桁架設ブロック100aの補剛材104とにそれぞれボルト締め固定されている。これにより、ヒンジ付き分配横桁220の一端部が第2ヒンジ部材420(ヒンジユニット421、422)によって第1の主桁架設ブロック100aに連結された構造となる。
【0048】
ヒンジ付き分配横桁220と第2の主桁架設ブロック100bとを連結する第3ヒンジ部材520(図7参照)は、2つのヒンジユニット521、522にて構成されている。ヒンジユニット521のヒンジピン521aを挟んで両側に延びるブラケット521bの一端部が横桁部分材222の腹板222aの端部にボルト締め固定され、その他端部が第2の主桁架設ブロック100bから延びる断面I状となった鋼部材105の腹板105aにボルト締め固定されている。また、ヒンジユニット522も同様にして横桁部分材222の腹板222aの端部と鋼部材105の腹板105aにボルト締め固定されている。これにより、ヒンジ付き分配横桁220の他端部が第3ヒンジ部材520(ヒンジユニット521、522)によって第2の主桁架設ブロック100bに連結された構造となる。
【0049】
なお、図8及び後述する図11は、第1の主桁架設ブロック100aが外桁で、第2の主桁架設ブロック100bが内桁の場合を示す。ヒンジ付き分配横桁は、第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bが共に内桁であっても、また、内桁と外桁とが逆であっても、差し支えなく、全く同様に機能する。図8において、第1の主桁架設ブロック100aが内桁の場合、ヒンジ付き分配横桁220の部分材221と第1の主桁架設ブロック100aとの連結構造は、ヒンジ付き分配横桁220の部分材222と第2の主桁架設ブロック100bとの連結構造と同様となる。
【0050】
前述したようにヒンジ付き横部材200(ヒンジ付き対傾構210、ヒンジ付き分配横桁220)を有する桁ブロックを用いて鈑桁橋が次の手順に従って架設される。
【0051】
(1)架設計画の検討、決定
桁ブロックの構成(主桁架設ブロックの長さ及び数、ヒンジ付き横部材の種類、数及び位置等)、ベントの基数及び位置、使用クレーンの機種、能力、設置位置等についての検討がなされ、それらが決定される。
(2)ベント設備の設置
決定された基数のベントが決定された位置に設置される。
(3)桁ブロックの地組立て
決定された構成の桁ブロックが地上にて組立てられる。図3(a)に示すように、少なくともヒンジ付き横部材200が第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bに連結された構造となる桁ブロック、具体的には、図4乃至図6に示すような少なくともヒンジ付き対傾構210が第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bに連結された構造となる桁ブロック、あるいは、図7及び図8に示すような少なくともヒンジ付き分配横桁220が第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bに連結された構造となる桁ブロックが地上にて組立てられる。
【0052】
(4)桁ブロックの架設
第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとを近づけてヒンジ付き横部材200(ヒンジ付き対傾構210、ヒンジ付き分配横桁220)を最大限屈曲させた状態で(図4(a)、図7(a)参照)、ヒンジ付き横部材200、第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bが仮固定される。この状態で、図2に示すように、桁架設用クレーン20によって当該桁ブロックが桁構成部材Cとして下部工(橋台10、橋脚11、12)やベント13、14等の桁支持構造体上に吊り上げられて載置される。
【0053】
そして、桁支持構造体上において、例えば、第1の主桁架設ブロック100aが当該桁支持構造体に仮固定され、第2の主桁架設ブロック100bが橋軸と直交する方向に横引きされ(図4(b)、図7(b)参照)、第2の主桁架設ブロック100bが第1の主桁架設ブロック100aからヒンジ付き横部材200(ヒンジ付き対傾構210、ヒンジ付き分配横桁220)が直状となるように引き離される。例えば、ヒンジ付き対傾構210が直状となるように第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとが引き離されると、桁ブロックのヒンジ付き横部材は図5及び図6に示すような状態となり、また、例えば、ヒンジ付き分配横桁220が直状となるように第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとが引き離されると、桁ブロックのヒンジ付き分配横桁は図8に示すような状態となる。なお、第2の主桁架設ブロック100bの横引きは、横取り設備等によって行なうことができる。
【0054】
(5)横部材の固定
次いで、第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとの間で直状となったヒンジ付き横部材200の中央部が固定部材により固定され、ヒンジ付き横部材200の一端部と第1の主桁架設ブロック100aとが固定され、ヒンジ付き横部材200の他端部と第2の主桁架設ブロック100bとが固定される。これにより、ヒンジ付き横部材200が屈曲することのない正規の横部材となって第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bに固定される。
【0055】
例えば、図5及び図6に示す状態であったヒンジ付き対傾構210は、図9及び図10に示すように、第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bに正規の対傾構(横部材)となって固定される。
【0056】
即ち、上弦材211の各部分材211a、211bの上面に添接板131が渡され、その添接板131が高力ボルト等によって部分材211a、211bに固定される。ボルト締め固定されていたヒンジユニット311(図5、図6参照)が取り外され、更に、分部材211a、211b及びガセット板123a、123bに添接板132が高力ボルト等によって固定される。また、下弦材212の各部分材212a、212bに添接板133a、133b、134a、134b(図示略)、135a、135bが高力ボルト等によって固定され、ボルト締め固定されていたヒンジユニット312(図5、図6参照)が取り外される。このようにして、ヒンジ付き対傾構210の中央部が固定部材(添接板131、132、133a、133b、134a、134b、135a、135b)によって固定される。
【0057】
更に、上弦材211の部分材211aの端部に固定され、第1の主桁架設ブロック100aの補剛材104に当接するガセット板121a、下弦材212の部分材212aの端部に固定され、第1の主桁架設ブロック100aの補剛材104に当接するガセット板122aがそれぞれ、高力ボルト等によって当該補剛材104に固定される。ボルト締め固定されていたヒンジユニット411及び412(図5、図6参照)が取り外される。このようにして、ヒンジ付き対傾構210の一端部が第1の主桁架設ブロック100aに固定される。
【0058】
また、上弦材211の部分材211bの端部に固定され、第2の主桁架設ブロック100bの補剛材104に当接するガセット板121b、下弦材212の部分材212bの端部に固定され、第2の主桁架設ブロック100bの補剛材104に当接するガセット板122bがそれぞれ、高力ボルト等によって当該補剛材104に固定される。ボルト締め固定されていたヒンジユニット511及び512(図5、図6参照)が取り外される。このようにして、ヒンジ付き対傾構210の他端部が第2の主桁架設ブロック100bに固定される。
【0059】
また、例えば、図8に示す状態にあったヒンジ付き分配横桁220は、図11に示すように、第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bに正規の分配横桁(横部材)となって固定される。
【0060】
即ち、横桁部分材221、222の各腹板221a、222aを挟むように配置された添接板152a、152bが高力ボルト等によって腹板221a、222bに固定される。ヒンジユニット321、322(図8参照)が取り外され、横部分材221、222の上フランジ及び下フランジに添接板151a、151b、155a、155bが高力ボルト等によって固定される。このようにして、ヒンジ付き分配横桁220の中央部が固定部材(添接板151a、151b、152a、152b、155a、155b)によって固定される。
【0061】
更に、横桁部分材221の腹板221aの端部が第1の主桁架設ブロック100aの補剛材104に高力ボルト等によって固定され、ヒンジユニット421、422(図8参照)が取り外される。このようにして、ヒンジ付き分配横桁220の一端部が第1の主桁架設ブロック100aに固定される。
【0062】
また、横桁部分材222の上フランジと第2の主桁架設ブロック100bから延びる鋼部材105の上フランジとを挟むように配置された添接板153a、153bが高力ボルト等によってそれら上フランジに固定される。また、横桁部分材222の下フランジと第2の主桁架設ブロック100bから延びる鋼部材105の下フランジとを挟むように配置された添接板156a、156bが高力ボルト等によってそれら下フランジに固定される。その後、ボルト締め固定されていたヒンジユニット521、522(図8参照)が取り外され、横桁部分材222の腹板222aと鋼部材105の腹板105aとを挟むように配置された添接板154a、154bが高力ボルト等によって腹板222a、105aに固定される。このようにして、ヒンジ付き分配横桁220の他端部が第2の主桁架設ブロック100bに固定される。
【0063】
前述したようにしてヒンジ付き横部材200(ヒンジ付き対傾構210、ヒンジ付き分配横桁220)が屈曲することのない正規の横部材となって第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bに固定された後は、前記手順(3)〜(5)が繰り返され、順次鈑桁橋が桁支持構造体上に組立てられる。なお、キャンバー調整、高力ボルトの本締め、ベントの解体等の他の作業は公知の手法に従ってなされる。
【0064】
前記鈑桁橋の架設方法では、桁ブロックが、第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとを近づけてヒンジ付き横部材200(ヒンジ付き対傾構210、ヒンジ付き分配横桁220)を屈曲させた状態で、桁支持構造体上に載置されるようになるので、桁支持構造体上において転倒もしくは横倒れ座屈し難いものとなる。そして、桁支持構造体上において第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとをヒンジ付き横部材200(ヒンジ付き対傾構210、ヒンジ付き分配横桁220)が直状になるように引き離した後に、ヒンジ付き横部材200(ヒンジ付き対傾構210、ヒンジ付き分配横桁220)の中央部が固定部材にて固定され、ヒンジ付き横部材200(ヒンジ付き対傾構210、ヒンジ付き分配横桁220)の一端部と第1の主桁架設ブロック100aとが固定され、ヒンジ付き横部材200(ヒンジ付き対傾構210、ヒンジ付き分配横桁220)の他端部と第2の主桁架設ブロック100bとが固定されるので、桁ブロックの転倒もしくは横倒れ座屈し難い状態が維持されながら、第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロックに対する位置合わせ作業を特に行なうことなく、ヒンジ付き横部材200(ヒンジ付き対傾構210、ヒンジ付き分配横桁220)を屈曲することのない正規の横部材(対傾構、分配横桁)にして第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bに固定することができるようになる。
【0065】
このように、桁支持構造体に転倒もしくは横倒れ座屈し難い状態で載置された桁ブロックに対して作業を行なうことができるようになるので、主桁架設ブロック(第1の主桁架設ブロック100a、第2の主桁架設ブロック100b)に対する転倒もしくは横倒れ座屈の防止措置の作業負担を軽減することができ、結果として桁支持構造体上での作業の効率化を図ることができるようになる。また、特段の位置決め作業を行なうことなく正規の横部材(対傾構、分配横桁)を第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bに固定することができるようになるので、桁支持構造体上での作業の更なる効率化を図ることができるようになる。
【0066】
更に、主桁架設ブロックを桁支持構造体上にて転倒もしくは横倒れ座屈し難い状態で載置できることから、主桁架設ブロックを比較的長くすることができる。このため、設置すべきベントの基数を減らすことが可能になると共に、桁支持構造体の上で継ぐべき主桁架設ブロックの数を減らすことができるので、その点でも、作業の効率化を図ることができる。
【0067】
なお、前述した例では、ヒンジ付き横部材200(ヒンジ付き対傾構210、ヒンジ付き分配横桁220)が正規の横部材(対傾構、分配横桁)となって第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bに固定された際に、第1ヒンジ部材300(310(ヒンジユニット311、312)、320(ヒンジユニット321、322))、第2ヒンジ部材400(410(ヒンジユニット411、412)、420(ヒンジユニット421、422))、第3ヒンジ部材500(510(ヒンジユニット511、512)、520(ヒンジユニット521、522))が取り外されるものであったが、それら全部または一部を桁ユニットに取付けたままにしておいてもよい。各ヒンジ部材が取り外される場合、そのヒンジ部材は他の桁ブロックの組み立てに利用することができる。
【0068】
前述した例では、第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとは平行に配置されるものであったが、それらは対向して配置されるものであれば特に平行となる場合に限らない。架設すべき鈑桁橋の構造に応じて各桁ブロックにおける第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとの配置関係は決められる。第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロックとが平行とならない場合、第1の主桁架設ブロック100bと第2の主桁架設ブロック100bに連結されるヒンジ付き横部材の長さは、連結される位置に応じて変わる。
【0069】
また、前述した例では、ヒンジ付き横部材200(ヒンジ付き対傾構210、ヒンジ付き分配横桁220)は、平行に配置された第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとの間で直状となった際に、第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bに対して直交するものであったが、これに限定されない。対向して配置された第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとの間で直状となったヒンジ付き横部材200が、第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bに対して所定の角度をもたせることもできる。
【0070】
次に、図3(b)に示すように可回動横部材600を有する桁ブロック(本発明の第2の実施の形態)の更に具体的な例について説明する。
【0071】
まず、対傾構としての構造を有する可回動横部材を備えた桁ブロックが図12及び図13に示される。図12は、可回動横部材が主桁架設ブロックに対して直交する状態となる桁ブロックの可回動横部材の正面図であり、図13(a)は、図12におけるA1−A2矢視の一部切欠図であり、図13(b)は、図12におけるB1−B2矢視の平面図である。
【0072】
図12及び図13において、この桁ブロックは、主桁架設ブロック100aと、一端部がヒンジユニット711、712(ヒンジ部材700に相当)によって主桁架設ブロック100aの所定部位に連結された対傾構としての構造を有する可回動横部材(以下、可回動対傾構という)610とを有する。可回動対傾構610は、この例では、溝形鋼で構成された上弦材611、CT鋼で構成された下弦材612、及び山形鋼で構成された斜材613a、613bが対傾構として組立てられた構造となっている。
【0073】
上弦材611の端部にはガセット板121aが溶接等により固定されており、このガセット板121aが主桁架設ブロック100aの補剛材104に当接する。上弦材611の他端部にはガセット板121bが溶接等により固定されている。また、下弦材612の端部にはガセット板122aが溶接等により固定されており、このガセット板122aが主桁架設ブロック100aの補剛材104に当接する。下弦材612の他端部にはガセット板122bが溶接等により固定されている。更に、上弦材611の中央部にはガセット板123が溶接等により固定されている。斜材613aの一端部が上弦材611の中央部に固定されたガセット板123に溶接等により固定され、斜材613bの他端部が下弦材612の主桁架設ブロック100a側の端部に固定されたガセット板122aに溶接等によって固定されている。また、斜材613bの一端部が上弦材611の中央部に固定されたガセット板123に溶接等により固定され、斜材613bの他端部が下弦材612の主桁架設ブロック100aと逆側の端部に固定されたガセット板122bに溶接等によって固定されている。
【0074】
この桁ブロックは、ヒンジ部材700(図3(b)参照)として2つのヒンジユニット711、712を有している。ヒンジユニット711のヒンジピン711aを挟んで両側に延びるブラケット711bの一端部が上弦材611の端部にガセット板121aと一体的にボルト締め固定され、その他端部が主桁架設ブロック100aの補鋼材104にガセット板121aと同厚のライナー板(図示略)と一体的にボルト締め固定されている(図12、図13(a)参照)。また、ヒンジユニット712のヒンジピン712aを挟んで両側に延びるブラケット712bの一端部が下弦材612の端部に固定されたガセット板122aにボルト締め固定され、その他端部が主桁架設ブロック100aの補剛材104にガセット板122aと同厚のライナー板125と一体的にボルト締め固定されている(図12、図13(b)参照)。これにより、当該桁ブロックは、可回動対傾構610の一端部がヒンジ部材700(ヒンジユニット711、712)によって主桁架設ブロック100aの所定部位に連結された構造となる。
【0075】
次に、分配横桁としての構造を有する可回動横部材を備えた桁ブロックが図14に示される。図14(a)は、可回動横部材が主桁架設ブロックに対して直交する状態となる桁ブロックの正面図であり、図14(b)は、図14(a)におけるA1−A2矢視の図である。
【0076】
図14において、この桁ブロックは、主桁架設ブロック100aと、一端部がヒンジユニット721、722(ヒンジ部材700に相当)によって主桁架設ブロック100aの所定部位に連結された分配横桁としての構造を有する可回動横部材(以下、可回動分配横桁という)620とを有する。更に、具体的には、可回動分配横桁620は、主桁架設ブロック100aと同様に断面I状となる単一の鋼部材621にて構成されている。ヒンジユニット721のヒンジピン721aを挟んで両側に延びるブラケットの一端部が鋼部材621の腹板621aの端部にボルト締め固定され、その他端部が主桁架設ブロック100aの腹板103から延びる断面I状となった鋼部材171の腹板171aにボルト締め固定されている。また、ヒンジユニット722も同様に鋼部材621の腹板621aの端部と主桁架設ブロック100aの腹板103から延びる鋼部材171の腹板171aにボルト締め固定されている。これにより、当該桁ブロックは、可回動分配横桁620の一端部がヒンジ部材700(ヒンジユニット721、722)によって主桁架設ブロック100aの所定部位に連結された構造となる。
【0077】
なお、可回動分配横桁620を構成する鋼部材621の腹板621aの上端縁及び下端縁に形成された上フランジ及び下フランジは、ヒンジユニット721、722を軸とした可回動分配横桁620の回動の妨げとならないように、可回動分配横桁620が主桁架設ブロック100aに対して直交もしくは所定の角度となる状態において、主桁架設ブロック100aの腹板103から延びる鋼部材171の上フランジ及び下フランジに対して斜めに接合している(図14(a)参照)。
【0078】
前述したような可回動横部材600(可回動対傾構610、可回動分配横桁620)を有する桁ブロックを用いて次のようにして鈑桁橋の架設がなされる。
【0079】
可回動横部材600(可回動対傾構610、可回動分配横桁620)をヒンジ部材700(ヒンジユニット711、712、ヒンジユニット721、722)を軸にして回動させて主桁架設ブロック100aに沿わせる。この状態で、当該桁ブロックが桁構成部材Cとして、図2に示すように、桁仮設用クレーン20によって下部工(橋台10、橋脚11、12)やベント13、14等の桁支持構造体上に吊り上げられて載置される。桁支持構造体上において桁ブロックの主桁架設ブロック100aが、既に当該桁支持構造体上に設置された他の主桁架設ブロック100bに対して所定の位置関係となるように配置され仮固定される。そして、可回動横部材600(可回動対傾構610、可回動分配横桁620)が主桁架設ブロック100aに対して直交もしくは所定の角度となるように所定位置まで回動させられる。例えば、可回動対傾構610が主桁架設ブロック100aに対して直交もしくは所定の角度となるように回動させられると、桁ブロックは、図12及び図13に示すような状態となり、また、例えば、可回動分配横桁620が主桁架設ブロック100aに対して直交もしくは所定の角度となるように回動させられると、桁ブロックは、図14に示すような状態となる。なお、可回動横部材600(可回動対傾構610、可回動分配横桁620)の回動作業は、手動あるいは主桁架設ブロックに設置できる手動ウインチやレーバーブロック等簡易な機器によって行なうことができる。
【0080】
次いで、主桁架設ブロック100aに対して直交もしくは所定の角度となる姿勢となった可回動横部材600(可回動対傾構610、可回動分配横桁620)の一端部が主桁架設ブロック100aに固定され、その他端部が他の主桁架設ブロック100bに固定される。これにより、可回動横部材600(可回動対傾構610、可回動分配横桁620)が正規の横部材(対傾構、分配横桁)となって主桁架設ブロック100a及び他の主桁架設ブロック100bに固定される。
【0081】
例えば、図12及び図13に示す状態にあった可回動対傾構610は、図9及び図10に示す状態と同様の状態にて、主桁架設ブロック100a及び他の主桁架設ブロック100bに正規の対傾構となって固定される。即ち、上弦材211の端部に固定され、主桁架設ブロック100aの補鋼材104に当接するガセット板121a、下弦材212の端部に固定され、主桁架設ブロック100aの補鋼材104に当接するガセット板122aがそれぞれ、高力ボルト等によって当該補剛材104に固定される。ボルト締め固定されていたヒンジユニット711及び712が取り外される。また、上弦材211の他端部に固定されたガセット板121bが主桁架設ブロック100aに対向するように配置された他の主桁架設ブロック100bの補鋼材104に高力ボルト等によって固定され、下弦材212の他端部に固定されたガセット板122bが前記他の主桁架設ブロック100bの補鋼材104に高力ボルト等によって固定される。このようにして、可回動対傾構610が主桁架設ブロック100a及び他の主桁架設ブロック100bに正規の対傾構となって固定される。
【0082】
例えば、図14に示す状態にあった可回動分配横桁620は、その一端部が図15に示すように、また、その他端部が図11に示す状態と同様の状態にて、主桁架設ブロック100a及び他の主桁架設ブロック100bに正規の分配横桁となって固定される。即ち、鋼部材621の上フランジと主桁架設ブロック100aの腹板103から延びる鋼部材171の上フランジとを挟むように配置された添接板181a、181bが高力ボルト等によってそれら上フランジに固定される(図15参照)。鋼部材621の下フランジと鋼部材171の下フランジを挟むように配置された添接板182a、182bが高力ボルト等によってそられ下フランジに固定される(図15参照)。ボルト締め固定されていたヒンジユニット721、722(図14参照)が取り外され、鋼部材621の腹板621aの端部と鋼部材171の腹板171aの端部とを挟むように配置された添接板183a、183b(図示略)が高力ボルト等によってそれら腹板621a、171aに固定される。また、鋼部材621の腹板621aの他端部と他の主桁架設ブロック100bの腹板103から延びる鋼部材172の腹板172aに対して、図11に示す状態と同様の状態にて、複数の添接板が高力ボルト等にて固定される。このようにして、可回動分配横桁620が主桁架設ブロック100a及び他の主桁架設ブロック100bに正規の分配横桁となって固定される。
【0083】
このように可回動横部材600(可回動対傾構610、可回動分配横桁620)を有する桁ブロック(図12乃至図14参照)を用いた鈑桁橋の架設方法では、当該桁ブロックを、可回動横部材600(可回動対傾構610、可回動分配横桁620)を主桁架設ブロック100aに沿わせた状態で、桁支持構造体上に載置し、その可回動横部材600(可回動対傾構610、可回動分配横桁620)を主桁架設ブロック100aに対して直交もしくは所定の角度となるように回動させた後に、その可回動横部材600(可回動対傾構610、可回動分配横桁620)の一端部が主桁架設ブロック100aに固定されるので、主桁架設ブロック100aに対する位置決め作業を特に行なうことなく、可回動横部材600(可回動対傾構610、可回動分配横桁620)を正規の横部材(対傾構、分配横桁)として主桁架設ブロック100aに固定することができるようになる。そのため、桁支持構造体上での作業をより効率的に行なうことができるようになる。また、可回動横部材600を略所定量回動させれば、その可回動横部材600のヒンジ部材700の設けられた端部と逆側の端部は他の主桁架設ブロック100bの固定すべき部位の近傍に位置づけられるようになるので、他の主桁架設ブロック100bに対する位置決め作業も容易になる。この点からも効率的な作業が可能となる。
【0084】
図3(a)にその基本構成が示されるヒンジ付き横部材200を有する桁ブロック(本発明の第1の実施の形態)、あるいは、図3(b)にその基本構成が示される可回動横部材600を有する桁ブロック(本発明の第2の実施の形態)を用いて鈑桁橋の架設を行なう場合、主桁架設ブロック及び横部材が一括で、桁支持構造体上に吊り上げられて載置されるので、主桁架設ブロック及び横部材を個別に吊り上げて載置する従来の方法に比べて部材の吊り上げ作業を効率的に行なうことができる。
【0085】
図3(a)に示す構造となる桁ブロックは、第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁材100bとを近づけてヒンジ付き横部材200を屈曲させた状態で地組立てしてから吊り上げられ、また、図3(b)に示す構造となる桁ブロックは、可回動横部材600を主桁架設ブロック100aに沿わせた状態で地組み立てしてから吊り上げられるので、それぞれ地組立てヤードの面積及び吊り上げられた際の空間を占める容積がより小さいものとなり、比較的狭い場所であっても、容易に桁ブロックの吊り上げ作業を行なうことができるようになる。
【0086】
なお、第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとの間に設けるべきヒンジ付き横部材200(210、220)の数、及び主桁架設ブロック100aに連結すべき可回動横部材600(610、620)の数は、特に限定されず、主桁架設ブロックの横倒れ座屈を防止できる間隔、桁仮設用クレーン20の吊り上げ性能等に応じて適宜決めることができる。
【0087】
また、ヒンジ付き横部材200(210、220)と可回動横部材600(610、620)とを同じ桁ブロック内に構成することもできる。この場合、ヒンジ付き横部材200(210、220)の一端部が第2ヒンジ部材400(410、420)によって第1の主桁架設ブロック100aの所定部位に連結される共にヒンジ付き横部材200(210、220)の他端部が第3ヒンジ部材500(510、520)によって第2の主桁架設ブロック100bの所定部位に連結され、更に、可回動横部材600(610、620)がヒンジ部材700(ヒンジユニット711、712、ヒンジユニット721、722)によって第1の主桁架設ブロック100aの他の所定部位に連結される。
【0088】
そして、このような構造の桁ブロックを用いて鈑桁橋を架設する場合、可回動横部材600(610、620)を第1の主桁架設ブロック100aに沿わせ、第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロックとを近づけてヒンジ付き横部材200(210、220)を屈曲させた状態で、その桁ブロックを架設用クレーン20によって桁支持構造体上に吊り上げて載置する。そして、桁支持構造体上において、第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとをヒンジ付き横部材200(210、220)が直状となるように引き離した後、ヒンジ付き横部材200(210、220)及び可回動横部材600(610、620)のそれぞれが前述したように正規の横部材(対傾構、分配横桁)となって第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bに固定される。
【0089】
次に、ヒンジ付き横部材200を有する桁ブロックを用いた鈑桁橋の架設方法の変形例について説明する。この変形例は、ヒンジ付き横部材200を正規の横部材にして第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとの間に残すのではなく、第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとを引き離した後に、そのヒンジ付き横部材200を取り外してしまうものである。
【0090】
この場合、桁ブロックは、例えば図16に示すように構成される。図16において、この桁ブロックは、鈑桁構造のヒンジ付き横部材240を有する。このヒンジ付き横部材240は、断面I状となる鋼材で形成された2つの部分材241、242から構成される。一方の部分材241の腹板241aには補剛材241b、241c、241d、241eが必要に応じて取付けられる。他方の部分材242も同様に、その腹板242aには補剛材242b、242c、242d、242eが必要に応じて取付けられる。ヒンジユニット341のヒンジピン341aを挟んで両側に延びるブラケット341bの一端部が一方の部分材241の腹板241aにボルト締め固定され、その他端部が他方の部分材242の腹板242aにボルト締め固定されている。また、ヒンジユニット342も同様に各部分材241、242の腹板241a、242aにボルト締め固定されている。これにより、鈑桁構造のヒンジ付き横部材240が、その中央部に設けられた第1ヒンジ部材300(ヒンジユニット341、342)により屈曲可能な構造となる。
【0091】
ヒンジユニット441のヒンジピン441aを挟んで両側に延びるブラケット441bの一端部が一方の部分材241の腹板241aの端部にボルト締め固定され、その他端部が第1の主桁架設ブロック100aの補剛材104に固定されたガセット板197aにボルト締め固定されている。また、ヒンジユニット442も同様に、一方の部分材241の腹板241aの端部及び第1の主桁架設ブロック100aの補剛材104に固定されたガセット板198aにボルト締め固定されている。これにより、当該桁ブロックは、鈑桁構造のヒンジ付き横部材240の一端部が第2ヒンジ部材400(ヒンジユニット441、442)によって第1の主桁架設ブロック100aの所定部位に連結された構造となる。
【0092】
ヒンジユニット541のヒンジピン541aを挟んで両側に延びるブラケット541bの一端部が他方の部分材242の腹板242aの端部にボルト締め固定され、その他端部が第2の主桁架設ブロック100bの補剛材104に固定されたガセット板197bにボルト締め固定されている。また、ヒンジユニット542も同様に、他方の部分材242の腹板242aの端部及び第2の主桁架設ブロック100aの補剛材104に固定されたガセット板198bにボルト締め固定されている。これにより、当該桁ブロックは、鈑桁構造のヒンジ付き横部材240の他端部が第3ヒンジ部材500(ヒンジユニット541、542)によって第1の主桁架設ブロック100bの所定部位に連結された構造となる。
【0093】
前述したようなヒンジ付き横部材240を有する桁ブロックを用いて鈑桁橋が次のようにして架設される。
【0094】
前述した手順(1)〜(4)に従って作業が行なわれる。即ち、図16に示すような構造の桁ブロックが地上にて組立てられた後、第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとを近づけてヒンジ付き横部材240を最大限屈曲させた状態で、ヒンジ付き横部材240、第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bが仮固定される。この状態で、当該桁ブロックが桁仮設用クレーン20によって桁支持構造体(下部工等)上に吊り上げられて載置される。そして、桁支持構造体上において、第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとが所定の間隔となるように引き離される。この際、ヒンジ付き横部材240が直状になる必要はない。後述するように取付けられる正規の横部材に合わせて第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとを引き離す距離が決められる。
【0095】
第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとが所定の間隔に引き離されると、桁仮設用クレーン20によって正規の横部材(対傾構、分配横桁)が吊り上げられ、その一端部が第1の主桁架設ブロック100aの所定部位に固定され、その他端部が第2の主桁架設ブロック100bの所定部位に固定される。その後、ヒンジ付き横部材240と第1の主桁架設ブロック100aとを連結していたヒンジユニット441、442(第2ヒンジ部材)が取り外され、また、ヒンジ付き横部材240と第2の主桁架設ブロック100bとを連結していたヒンジユニット541、542(第3ヒンジ部材)が取り外される。そして、そのヒンジ付き横部材240が桁仮設用クレーン20によって桁支持構造体上から地上に下ろされる。
【0096】
以下、同様にして所定数の正規の横部材が順次第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとに固定されていく。なお、その際、第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bの前記ヒンジ付き横部材240が固定されていた部位に正規の横部材を固定することもできる(横部材の取替え)。
【0097】
このような鈑桁橋の架設方法によれば、桁ブロックが、第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとを近づけてヒンジ付き横部材240を屈曲させた状態で桁支持構造体(下部工等)に載置されるので、桁支持構造体上において単一の主桁架設ブロックに比べて転倒もしくは横倒れ座屈し難いものとなる。そして、桁支持構造体上において第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとを所定の間隔となるように引き離した後に、正規の横部材が前記第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとに固定され、ヒンジ付き横部材240が第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bから取り外されるので、桁ブロックの転倒もしくは横倒れ座屈し難い状態が維持されながら、正規の横部材を第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bに固定することが可能となる。従って、正規の横桁を第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bに取付ける作業を行なう際のそれら主桁架設ブロック100a、100bに対する転倒もしくは横倒れ座屈の防止措置の作業負担が軽減され、結果として桁支持構造体上での作業の効率化を図ることができる。また、主桁架設ブロックが転倒もしくは横倒れ座屈し難いことから、主桁架設ブロックを比較的長くすることができ、それにより、設置すべきベントの基数を減らすことが可能になると共に、桁支持構造体の上で継ぐべき主桁架設ブロックの数を減らすことができるので、その点でも、作業の効率化を図ることができる。
【0098】
なお、最終的に取り外されるヒンジ付き横部材200(240)と図3(b)、図8、図9、図14に示すような可回動横部材600(610、620)とを同じ桁ブロック内に構成することもできる。この場合、ヒンジ付き横部材200(240)の一端部が第2ヒンジ部材400(ヒンジユニット441、442)によって第1の主桁架設ブロック100aの所定部位に連結されると共にヒンジ付き横部材200(240)の他端部が第3ヒンジ部材500(ヒンジユニット541、542)によって第2の主桁架設ブロック100bに連結され、更に、可回動横部材600(610、620)がヒンジ部材700(ヒンジユニット711、712、ヒンジユニット721、722)によって第1の主桁架設ブロック100bの他の所定部位に連結される。
【0099】
そして、このような構造の桁ブロックを用いて鈑桁橋を架設する場合、可回動横部材600(610、620)を第1の主桁架設ブロック100aに沿わせ、第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロックとを近づけてヒンジ付き横部材200(240)を屈曲させた状態で、その桁ブロックを桁仮設用クレーン20によって桁支持構造体上に吊り上げて載置する。そして、桁支持構造体上において、第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとをヒンジ付き横部材200(240)が所定の間隔となるように引き離した後、可回動横部材600(610、620)が前述したように正規の横部材(対傾構、分配横桁)となって第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bに固定される。更にその後、ヒンジ付き横部材200(240)が第1の主桁架設ブロック100a及び第2の主桁架設ブロック100bから取り外される。なお、その後、正規の横部材を第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとに固定することもできる。
【0100】
第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁部100bと引き離した後にそれらから取り外すヒンジ付き横部材200の構造は、前述したような鈑桁構造に限られず、第1の主桁架設ブロック100aと第2の主桁架設ブロック100bとを引き離した際にそれらの転倒もしくは横倒れ座屈を防止するだけの強度があれば、例えば、トラス構造等、適宜決めることが可能である。
【0101】
なお、前述した例は、鈑桁橋であったが、箱桁橋であっても同様の桁ブロックを用いて同様の方法に従って架設することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上、説明したように、本発明に係る桁ブロック及びその桁ブロックを用いた鋼橋架設方法は、桁支持構造体上での作業をより効率的に行なうことができるという効果を有し、鋼橋を架設する際に用いられる桁ブロック及びその桁ブロックを用いた鋼橋架設方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】鈑桁橋の構造例を示す斜視図である。
【図2】鋼橋の架設工法として最も一般的なクレーンベント工法を概略的に示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る桁ブロックの基本的な構成例(a)及び本発明の第2の実施の形態に係る桁ブロックの基本的な構成例(b)を示す図である。
【図4】対傾構としての構造を有するヒンジ付き横部材を備えた桁ブロックの第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとを引き離す前の状態(a)及びそれらを引き離している状態(b)を上方から見た平面図である。
【図5】対傾構としての構造を有するヒンジ付き横部材が直状となるように第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとが引き離された状態の桁ブロックのヒンジ付き横部材を示す正面図である。
【図6】図5におけるA1−A2矢視の一部切欠図(a)、図5におけるA3−A4矢視の図(b)及び図5におけるB1−B2矢視の図(c)である。
【図7】分配横桁としての構造を有するヒンジ付き横部材を備えた桁ブロックの第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとを引き離す前の状態(a)及びそれらを引き離している状態(b)を上方から見た平面図である。
【図8】分配横桁としての構造を有するヒンジ付き横部材が直状となるように第1の主桁架設ブロックと第2の主桁架設ブロックとが引き離された状態の桁ブロックのヒンジ付き横部材の正面図(a)及びそのA1−A2矢視の一部切欠図(b)である。
【図9】図4乃至図6に示すヒンジ付き横部材を対傾構として第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックに固定した状態を示す正面図である。
【図10】図9におけるA1−A2矢視の一部切欠図(a)及び図9におけるB1−B2矢視の図(b)である。
【図11】図7及び図8に示すヒンジ付き横部材を分配横桁として第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックに固定した状態を示す正面図(a)及びそのA1−A2矢視の図である。
【図12】対傾構としての構造を有する可回動横部材が主桁架設ブロックに対して直交もしくは所定の角度となる状態となった桁ブロックにおける当該可回動横部材の正面図である。
【図13】図12におけるA1−A2矢視の一部切欠図(a)及び図12におけるB1−B2矢視の図である。
【図14】分配横桁としての構造を有する可回動横部材が主桁架設ブロックに対して直交もしくは所定の角度となる状態となった桁ブロックにおける当該可回動横部材の正面図(a)及びそのA1−A2矢視の図である。
【図15】図14に示す可回動横部材を主桁架設ブロックに分配横桁として固定した状態を示す正面図(中心線より左側のみ示す)である。
【図16】鈑桁構造のヒンジ付き横部材を有する桁ブロックの構造例を示す正面図(a)及びそのA1−A2矢視の一部切欠図(b)である。
【符号の説明】
【0104】
10 橋台
11、12 橋脚
13、14 ベント
20 架設用クレーン
100a 第1の主桁架設ブロック(主桁架設ブロック)
100b 第2の主桁架設ブロック
101 上フランジ
102 下フランジ
103 腹板
104 補剛材
121a、121b、122a、122b、123a、123b ガセット板
124b、125a、125b ライナー板
200 ヒンジ付き横部材
210 ヒンジ付き対傾構
211 上弦材
211a、211b 部分材
212 下弦材
212a、211b 部分材
213a、213b 斜材
131、132、133a、133b、134a、135a、135b 添接板
151a、151b、152a、152b、153a、153b、154a、154b 添接板
220 ヒンジ付き分配横桁
221、222 横桁部分材
221a、222b 腹板
300、310、320 第1ヒンジ部材
311、312、321、322 ヒンジユニット
400、410、420 第2ヒンジ部材
411、412、421、422 ヒンジユニット
500、510、520 第3ヒンジ部材
511、512、521、522 ヒンジユニット
600 可回動横部材
610 可回動対傾構
611 上弦材
612 下弦材
613a、613b 斜材
620 可回動分配横桁
621 鋼部材
711、712、721、722 ヒンジユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置された第1の主桁架設ブロック及び第2の主桁架設ブロックと、
中央部に設けられた第1ヒンジ部材により屈曲可能となるヒンジ付き横部材とを有し、
前記ヒンジ付き横部材の一端部が第2ヒンジ部材によって前記第1の主桁架設ブロックの所定部位に連結されると共に前記ヒンジ付き横部材の他端部が第3ヒンジ部材によって前記第2の主桁架設ブロックの所定部位に連結されたことを特徴とする桁ブロック。
【請求項2】
一端部がヒンジ部材によって前記第1の主桁架設ブロックの他の所定部位に連結され、所定長の可回動横部材を有することを特徴とする請求項1記載の桁ブロック。
【請求項3】
主桁架設ブロックと、
一端部がヒンジ部材によって当該主桁架設ブロックの所定部位に連結され、所定長の可回動横部材とを有することを特徴とする桁ブロック。
【請求項4】
請求項1記載の桁ブロックを組立てる工程と、
前記桁ブロックを、前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックとを近づけて前記ヒンジ付き横部材を屈曲させた状態で、桁支持構造体に載置する工程と、
前記桁支持構造体上にて前記桁ブロックにおける前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックとを前記ヒンジ付き横部材が直状になるように引き離す工程と、
前記ヒンジ付き横部材の中央部を固定部材により固定し、前記ヒンジ付き横部材の一端部と前記第1の主桁架設ブロックとを固定し、前記ヒンジ付き横部材の他端部と前記第2の主桁架設ブロックとを固定する工程とを有することを特徴とする鋼橋架設方法。
【請求項5】
請求項1記載の桁ブロックを組立てる工程と、
前記桁ブロックを、前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックとを近づけて前記ヒンジ付き横部材を屈曲させた状態で、桁支持構造体に載置する工程と、
前記桁支持構造体上にて前記桁ブロックにおける前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックとを所定の間隔となるように引き離す工程と、
横部材を前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックとに固定する工程と、
前記第2のヒンジ部材を前記第1の主桁架設ブロックから取り外すと共に第3のヒンジ部材を前記第2の主桁架設ブロックから取り外すことにより前記ヒンジ付き横部材を前記第1の主桁架設ブロック及び前記第2の主桁架設ブロックから取り外す工程とを有することを特徴とする鋼橋架設方法。
【請求項6】
請求項2記載の桁ブロックを組立てる工程と、
前記桁ブロックを、前記可回動横部材を前記第1の主桁架設ブロックに沿わせ、前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックとを近づけて前記ヒンジ付き横部材を屈曲させた状態で、桁支持構造体に載置する工程と、
前記桁支持構造体上にて前記桁ブロックにおける前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックとを前記ヒンジ付き横部材が直状になるように引き離す工程と、
前記可回動横部材を所定位置まで前記ヒンジ部材を軸にして回動させる工程と、
前記ヒンジ付き横部材の中央部を固定部材により固定し、前記ヒンジ付き横部材の一端部と前記第1の主桁架設ブロックとを固定し、前記ヒンジ付き横部材の他端部と前記第2の主桁架設ブロックとを固定する工程と
前記可回動横部材の一端部と前記第1の主桁架設ブロックとを固定する工程とを有することを特徴とする鋼橋架設方法。
【請求項7】
請求項2記載の桁ブロックを組立てる工程と、
前記桁ブロックを、前記可回動横部材を前記第1の主桁架設ブロックに沿わせ、前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックとを近づけて前記ヒンジ付き横部材を屈曲させた状態で、桁支持構造体に載置する工程と、
前記桁支持構造体上にて前記桁ブロックにおける前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックとを所定の間隔となるように引き離す工程と、
前記可回動横部材を所定位置まで前記ヒンジ部材を軸にして回動させる工程と、
前記可回動横部材の一端部と前記第1の主桁架設ブロックとを固定し、前記可回動横部材の他端部と前記第2の主桁架設ブロックとを固定する工程と、
前記第2のヒンジ部材を前記第1の主桁架設ブロックから取り外すと共に第3のヒンジ部材を前記第2の主桁架設ブロックから取り外すことにより前記ヒンジ付き横部材を前記第1の主桁架設ブロック及び前記第2の主桁架設ブロックから取り外す工程とを有することを特徴とする鋼橋架設方法。
【請求項8】
横部材を前記第1の主桁架設ブロックと前記第2の主桁架設ブロックに固定する工程を有することを特徴とする請求項7記載の鋼橋架設方法。
【請求項9】
請求項3記載の桁ブロックを組立てる工程と、
前記桁ブロックを、前記可回動横部材を前記主桁架設ブロックに沿わせた状態で、桁支持構造体に載置する工程と、
前記桁支持構造体上にて前記桁ブロックにおける可回動横部材を所定位置まで前記ヒンジ部材を軸にして回動させる工程と、
前記可回動横部材の一端部と前記主桁架設ブロックとを固定する工程と、
前記可回動横部材の他端部と他の主桁架設ブロックとを固定する工程とを有することを特徴とする鋼橋架設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−239376(P2007−239376A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65874(P2006−65874)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000171861)佐世保重工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】