桂皮種を含む抽出物および方法
本発明は、超臨界CO2抽出法によって調製した、桂皮種植物材料の抽出物に関する。1つの局面では、本発明は、図6〜85のいずれかのDirect Analysis in Real Time(DART)質量分析クロマトグラムを有する画分を含む、桂皮種抽出物に関する。さらなる実施形態では、この画分は、桂皮アルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナミルアルコール、trans−桂皮酸、酢酸シンナミル、精油、ポリフェノール、多糖類およびこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、2006年3月23日に出願された米国仮特許出願第60/785,012号および2006年12月7日に出願された同第60/873,475号(これらは、その全体が参考として本明細書に援用される)への優先権の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、部分的には、精油の含有量が高く、フェノール酸の含有量が高く、プロアントシアニジンの含有量が高く、および/または多糖類の含有量が高い桂皮種から誘導される抽出物に関し、このような抽出物の調製方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
桂皮(Cinnamomum zeylanicumまたはverum,C.aromaticumおよびC.cassia)は、熱帯の南インドおよびスリランカ原産の高さが10〜15mの低木常緑樹であり、海面から高度900mまでで生育する。樹皮はでこぼこしていて分厚く、枝は強い。若い茎には緑がかった橙色の斑点がある。葉は有柄葉であり、成長すると固くなり、上側は明るい緑色であり、下側は淡い緑色である。葉はスパイスのような香りがあり、味は辛い。果実は卵形の実であり、ブラックベリーよりも大きく、花托はドングリに似ている。果実は、熟すと、表面に白い斑点を有する青みがかった色の実になり、味はジュニパーに似ており、テレビン(terebine)の香りがする。煮ると油状物質が得られ、これは桂皮スエットと呼ばれる。根と樹皮は桂皮の香りがし、味はショウノウに似ており、これは蒸留によって単離することができる。桂皮種の薬効部分である「桂皮」は、乾燥樹皮からなり、桂皮種のコルク組織およびその下にある若い枝および茎の柔組織から分離される。
【0004】
桂皮種は、インド洋の島および南アジアから輸入され、現在では、スリランカおよびインド沿岸水域で広く栽培されている。スリランカは主要な生産国であるが、実質的な桂皮の生産は、インド、マレーシア、マダガスカルおよびセイシェル共和国で行われている。桂皮樹皮は、数千年にわたって、従来の東洋医学および西洋医学で使用されてきた。漢方(TCM)のエネルギー理論によれば、桂皮は、体内の火を補うように作用し、脾臓および腎臓を温め、整えることによって、胸部痛および腹痛、無力症による下痢および腎臓の機能低下に有効であるとされている。桂皮生薬は、TCM、伝統的なギリシャ−ヨーロッパの医薬および伝統的なインドアユルヴェーダ医薬およびウナニ医薬では、駆風薬、消化薬または健胃薬として使用されている。ドイツコミッションEは、食欲減退および消化不良の愁訴(例えば、胃腸管の軽い痙攣、腫脹および鼓腸)に対する内服使用を承認した。米国およびドイツ国では、桂皮は、薬草化合物の駆風成分および健胃成分として、水性注入液または煎じ液、アルコール液抽出物またはチンキ剤および精油を含む投薬形態で使用されている。桂皮は、複数の薬草を含む咳止め薬、風邪薬および発熱薬の成分でもある。さらに最近では、2型糖尿病(NIDDM−インスリン非依存性糖尿病)、抗酸化活性、抗血小板凝集活性、抗炎症活性、抗菌活性および抗真菌活性および脳機能の増強への桂皮の使用が、科学的な証拠によって支持された。非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18;非特許文献19;非特許文献20;非特許文献21を参照。
【0005】
桂皮樹皮の化学構成物質としては、精油(揮発性および非揮発性)、ポリフェノール酸、クマリン、ゴム、muscilage、樹脂、炭化水素(デンプン、多糖類)および灰分が挙げられる(表1)。商業的観点および生物学的観点から,精油(特に、桂皮アルデヒドおよびテルペン)およびポリフェノール酸(特に、フラボノール配糖体−プロアントシアニジンおよびフラボノイド)は、従来から、他の構成物質よりも重要であると考えられてきた。ポリフェノール化合物は、1個以上の芳香環に2個以上のヒドロキシル基(OH)を含有する。ポリフェノールおよび特定のフラボノイドの物理的性質および化学的性質、分析および生体活性については、何年も研究されている。しかし、他の化学構成物質(例えば多糖類)も、生物学的に重要な有益な効果を有する。あらゆる植物と同様に、桂皮樹皮の化学組成は、種、収穫年、天候、土壌および栽培状態によって変わる。
【0006】
表1.桂皮樹皮の主要な化学構成物質
化学構成物質 乾燥重量%
精油 1〜4%
揮発性油
Trans−桂皮アルデヒド (60〜80%)
ベンズアルデヒド
2’−ヒドロキシ桂皮アルデヒド
2−メトキシ桂皮アルデヒド
2’−ベンゾキシ桂皮アルデヒド
オイゲノール (10%まで)
Trans−桂皮酸 (5〜10%)
酢酸シンナミル
シンナミルアルコール
リナロール
1,8−シネオール
モノテルペンおよびセスキテルペン (1〜3%)
α−ピネン
β−ピネン
ボルネオール
ポリフェノール 5〜10%
フラボノール配糖体
ケンフェリトリン
ケンフェロール 3−O−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−L−ラムノピラノシド
ケンフェロール 3−O−β−D−アピオフラノシル−(1→2)−α−L−ラムノピラノシド
ケンフェロール 3−O−β−D−アピオフラノシル−(1→4)−α−L−ラムノピラノシド
フラボノイド
メチルヒドロキシカルコン
カテキン
エピカテキン
アントシアニジン
カテキン/エピカテキンオリゴマー
3−(2−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸
3−(2−ヒドロキシフェニル)−O−配糖体
プロアントシアニジン
濃縮タンニン
カルシウム−モノテルペン酒石酸塩
ゴム
粘液
樹脂
炭水化物 80〜90%
デンプン
多糖類
灰分。
【非特許文献1】Khan Aら,Diabetes Care(2003)26:3215−3218
【非特許文献2】Anderson RAら,J Agric Food Chem(2004)52:65−70
【非特許文献3】Jarville−Taylorら,J Am Coll Nutri(2001)20:327−336
【非特許文献4】Qin Rら,Horm Metab Res(2004)36:119−123
【非特許文献5】Vespohl EJら,Phytother Res(2005)19:203−206
【非特許文献6】Lee SHら,Biochem Pharmacol(2005)69:791−9
【非特許文献7】Chericoni Sら,J Agric Food Chem(2005)53:4762−4765
【非特許文献8】Lin CCら,Phytother Res(2003)17:7260730
【非特許文献9】Jayaprakasha GKら,J Agric Food Chem(2003)51:4344−4348
【非特許文献10】Huss Uら,J Nat Prod(2002)65:1517−21
【非特許文献11】Nagai Hら,Jpn J Pharmacol(1982)32:813−822
【非特許文献12】Su MJら,J Biomed Sci(1999)6:376−386
【非特許文献13】Shimada Yら,Phytomed(2004)11:404−410
【非特許文献14】Taher Mら,Med J Malayia(2004)59B:97−98
【非特許文献15】Kamath JVら,Phytother Res(2003)17:970−972
【非特許文献16】Kurokawa Mら,Eur J Pharmacol(1998)348:45−51
【非特許文献17】Simic Aら,Phytother Res(2004)18:713−717
【非特許文献18】Tabak Mら,J Ethnopharmacol(1999)67:269−277
【非特許文献19】Kong LDら,J Ethnopharmacol(2000)73:199−207
【非特許文献20】Kwon BMら,Arch Pharm Res(1998)21:147−152
【非特許文献21】Ka Hら,Cancer Lett(2003)196:143−152
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(要旨)
1つの局面では、本発明は、図6〜85のいずれかのDirect Analysis in Real Time(DART)質量分析クロマトグラムを有する画分を含む、桂皮種抽出物に関する。
【0008】
さらなる実施形態では、前記画分は、桂皮アルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナミルアルコール、trans−桂皮酸、酢酸シンナミル、精油、ポリフェノール、多糖類およびこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物を含む。
【0009】
さらなる実施形態では、前記画分は、約2重量%を超える量の桂皮アルデヒドを含む。さらなる実施形態では、前記画分は、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%または約95重量%を超える量の桂皮アルデヒドを含む。さらなる実施形態では、前記画分は、桂皮アルデヒドを約65重量%〜約95重量%含む。
【0010】
さらなる実施形態では、前記画分は、オイゲノール、2’−ヒドロキシ桂皮アルデヒド、2−メトキシ桂皮アルデヒド、2’−ベンゾキシ桂皮アルデヒド、リナロール、1,8−シネオール、α−ピネン、β−ピネンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される精油を含む。さらなる実施形態では、前記画分は、精油を約1重量%〜約5重量%含む。さらなる実施形態では、前記画分は、桂皮アルデヒドと精油とを合わせて約5重量%〜約40重量%含む。
【0011】
さらなる実施形態では、前記画分は、フラボノイド、フラボノール配糖体およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリフェノールを含む。さらなる実施形態では、フラボノイドは、3−(2−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸、3−(2−ヒドロキシフェニル)−O−配糖体、アントシアニジン、エピカテキン(epitcatechin)、カテキン、メチルヒドロキシカルコン、カテキンオリゴマー、エピカテキンオリゴマー、オリゴマープロアントシアニジン、ポリマープロアントシアニジンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される。さらなる実施形態では、フラボノール配糖体は、ケンフェリトリン(kaempferitrin)、ケンフェロール(kaempferol)3−O−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−L−ラムノピラノシド、ケンフェロール 3−O−β−D−アピオフラノシル−(1→2)−α−L−ラムノピラノシド、ケンフェロール 3−O−β−D−アピオフラノシル−(1→4)−α−L−ラムノピラノシドおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される。さらなる実施形態では、前記画分は、ポリフェノールを約20重量%〜約70重量%含む。さらなる実施形態では、前記画分は、桂皮アルデヒド約6重量%と、ポリフェノール約70重量%とを含む。さらなる実施形態では、前記画分は、桂皮アルデヒド約40重量%と、ポリフェノール約20重量%とを含む。
【0012】
さらなる実施形態では、前記画分は、グルコース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、キシロースウロン酸およびこれらの組み合わせからなる群から選択される多糖類を含む。さらなる実施形態では、前記画分は、多糖類を約30重量%含む。
【0013】
別の局面では、本発明は、本発明の桂皮種抽出物を含む食品または医薬に関する。
【0014】
別の局面では、本発明は、桂皮種植物材料を連続的に抽出し、精油画分、非タンニンポリフェノール画分および多糖類画分を得る工程を含み、この工程が、(a)超臨界二酸化炭素抽出によって桂皮種植物材料を抽出し、精油画分および第1の残留物を得る工程と、(b)桂皮種植物材料または工程(a)の第1の残留物を熱水によって抽出し、多糖類画分と第2の残留物を得る工程と、(c)桂皮種植物材料、工程(a)の第1の残留物および/または工程(b)の第2の残留物の物質を含水アルコール(hydro−alcoholic)溶液で抽出し、アフィニティー吸着プロセスを用いて精製し、非タンニンポリフェノール画分を得る工程とによる、桂皮種抽出物の調製方法に関する。
【0015】
さらなる実施形態では、工程(a)は、(1)抽出容器に粉砕した桂皮種植物材料を置く工程と、(2)超臨界条件で二酸化炭素を加える工程と、(3)前記粉砕した桂皮樹皮と前記二酸化炭素とを所定時間接触させる工程と、(4)精油画分を回収容器に集める工程とを含む。さらなる実施形態では、前記超臨界条件は、35℃〜90℃、圧力60bar〜800barの条件を含む。さらなる実施形態では、前記超臨界条件は、40℃〜80℃、圧力60bar〜500barの条件を含む。さらなる実施形態では、前記所定時間は、30分〜2.5時間である。さらなる実施形態では、前記所定時間は1時間である。さらなる実施形態では、超臨界二酸化炭素分画分離システムは、前記精油画分を分画、精製およびプロファイリングするために用いられる。
【0016】
さらなる実施形態では、工程(b)は、(1)粉砕した桂皮種植物材料または工程(a)の第1の残留物と水溶液とを、多糖類の化学構成物質を抽出するのに十分な時間接触させる工程と、(2)アルコール沈殿によって溶液から固体多糖類を分離し、精製する工程とを含む。さらなる実施形態では、前記水溶液は80℃〜100℃である。さらなる実施形態では、前記水溶液は80℃〜90℃である。さらなる実施形態では、前記時間は1〜5時間である。さらなる実施形態では、前記時間は2〜4時間である。さらなる実施形態では、前記時間は2時間である。さらなる実施形態では、前記アルコールはエタノールである。
【0017】
さらなる実施形態では、工程(c)は、(1)桂皮種植物材料、工程(a)の第1の残留物および/または工程(b)の第2の残留物と、含水アルコール溶液とを、ポリフェノールの化学構成物質を抽出するのに十分な時間接触させる工程と、(2)含水アルコール溶媒混合物から抽出したポリフェノールの化学構成物質の濃縮アルコール溶液をアフィニティー吸着樹脂カラムに通し、ポリフェノール酸が吸着される工程と、(3)精製した非タンニンポリフェノールの化学構成物質画分をアフィニティー吸着樹脂から溶出させ、アフィニティー吸着樹脂にタンニンポリフェノールを吸着させたままにする工程とを含む。
【0018】
さらなる実施形態では、前記含水アルコール溶液はエタノールおよび水を含み、エタノールの濃度は10〜95重量%である。さらなる実施形態では、前記含水アルコール溶液はエタノールおよび水を含み、エタノールの濃度は25重量%である。さらなる実施形態では、工程(1)は30℃〜100℃で行われる。さらなる実施形態では、工程(1)は60℃〜100℃で行われる。さらなる実施形態では、前記時間は1〜10時間である。さらなる実施形態では、前記時間は1〜5時間である。さらなる実施形態では、前記時間は2時間である。
【0019】
別の局面では、本発明は、本発明の方法によって調製される桂皮種抽出物に関する。
【0020】
別の局面では、本発明は、桂皮アルデヒドと、桂皮アルデヒドの1〜5重量%の桂皮酸と、桂皮アルデヒドの5〜15重量%のメチル桂皮酸と、桂皮アルデヒドの1〜5重量%のシンナミルアルコールと、桂皮アルデヒドの20〜30重量%のβ−グアネレン(gualenen)/cis−γ−ビスアバボレン(bisababolene)と、桂皮アルデヒドの1〜5重量%のピロガロールとを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0021】
別の局面では、本発明は、ピロガロールと、ピロガロールの80〜90重量%の桂皮酸と、ピロガロールの85〜95重量%のメチル桂皮酸と、ピロガロールの20〜30重量%のクマリン酸と、ピロガロールの15〜25重量%のホモバニリン酸と、ピロガロールの85〜95重量%桂皮アルデヒドと、ピロガロールの10〜15重量%の安息香酸ベンジルとを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0022】
別の局面では、本発明は、カテキンと、カテキンの5〜15重量%の桂皮酸と、カテキンの5〜15重量%のメチル桂皮酸と、カテキンの5〜15重量%のクマリン酸と、カテキンの1〜10重量%のフェルラ酸と、カテキンの1〜5重量%の2−メトキシフェノールと、カテキンの5〜15重量%のホモバニリン酸と、カテキンの20〜30重量%のバニリン酸と、カテキンの1〜5重量%のベンズアルデヒドと、カテキンの35〜45重量%の桂皮アルデヒドと、カテキンの85〜95重量%のピロガロールと、カテキンの15重量%までのカフェ酸とを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0023】
別の局面では、本発明は、β−グアネレン/cis−γ−ビスアバボレンと、β−グアネレン/cis−γ−ビスアバボレンの5〜15重量%の桂皮アルデヒドとを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0024】
別の局面では、本発明は、桂皮アルデヒドと、桂皮アルデヒドの10〜20重量%のβ−グアネレン/cis−γ−ビスアバボレンとを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0025】
別の局面では、本発明は、桂皮アルデヒドと、桂皮アルデヒドの30〜40重量%のピロガロールと、桂皮アルデヒドの1〜10重量%のカテキン/エピカテキンとを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0026】
別の局面では、本発明は、桂皮アルデヒドと、桂皮アルデヒドの1〜5重量%の桂皮酸と、桂皮アルデヒドの0.5〜5重量%のメトキシ桂皮アルデヒドと、桂皮アルデヒドの0.1〜5重量%のオイゲノールと、桂皮アルデヒドの1〜5重量%のp−シメンと、桂皮アルデヒドの0.1〜5重量%のショウノウと、桂皮アルデヒドの0.5〜5重量%のカルバクロールと、桂皮アルデヒドの25〜35重量%のカリオフィレン/フムレンと、桂皮アルデヒドの0.1〜5重量%のピロガロールと、桂皮アルデヒドの40〜50重量%の桂皮酸シンナミルとを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0027】
別の局面では、本発明は、桂皮酸シンナミルと、桂皮酸シンナミルの0.5〜5重量%のメトキシ桂皮アルデヒドと、桂皮酸シンナミルの0.1〜5重量%のシンナミルアルコールと、桂皮酸シンナミルの1〜5重量%のp−シメンと、桂皮酸シンナミルの0.1〜5重量%のリナロールと、桂皮酸シンナミルの0.1〜5重量%のショウノウと、桂皮酸シンナミルの0.5〜5重量%のカルバクロールと、桂皮酸シンナミルの70〜80重量%の桂皮アルデヒドと、桂皮酸シンナミルの45〜55重量%のカリオフィレン/フムレンと、桂皮酸シンナミルの0.1〜5重量%のピロガロールとを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0028】
別の局面では、本発明は、ピロガロールと、ピロガロールの5〜10重量%の桂皮酸と、ピロガロールの60〜70重量%のクマリン酸と、ピロガロールの1〜10重量%のフェルラ酸と、ピロガロールと、ピロガロールの5〜15重量%の2−メトキシフェノールと、ピロガロールの1〜10重量%のバニリン酸と、ピロガロールの30〜40重量%のカテキン/エピカテキンと、ピロガロールの1〜5重量%のベンズアルデヒドと、ピロガロールの5〜15重量%のアフゼレキン(afzelechin)/エピアフゼレキン(epiafzelechin)と、ピロガロールの1〜10重量%のレスベラトロルと、ピロガロールの1〜5重量%のバニリンとを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0029】
別の局面では、本発明は、ピロガロールと、ピロガロールの0.5〜5重量%の桂皮酸と、ピロガロールの10〜20重量%のクマリン酸と、ピロガロールの0.5〜5重量%のフェルラ酸と、ピロガロールの1〜5重量%の2−メトキシフェノールと、ピロガロールの0.5〜5重量%のホモ/イソバニリン酸と、ピロガロールの1〜10重量%のバニリン酸と、ピロガロールの25〜35重量%のカテキン/エピカテキンと、ピロガロールの1〜5重量%のベンズアルデヒドと、ピロガロールの1〜5重量%の桂皮アルデヒドと、ピロガロールの0.1〜5重量%のアフゼレキン(afzelechin)/エピアフゼレキン(epiafzelechin)と、ピロガロールの65〜75重量%のバニリンとを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0030】
本開示の抽出物は、限定されないが、抗酸化活性、酸素遊離ラジカル捕捉活性、ニトロソ化阻害活性、抗変異原性活性(癌予防活性)、抗発癌活性(癌治療活性)、皮膚保護活性、老化防止活性、抗心疾患活性、抗卒中疾患活性および治療、脳の保護活性、抗脂質異状症活性、抗歯周病活性、抗骨粗鬆症活性、免疫増強活性、抗ウイルス活性、抗HIV活性および抗菌活性、抗真菌活性、抗ウイルス活性、体重コントロールおよび熱産生、抗糖尿病活性および不安の低減、気分高揚および認識促進を含む生理学的効果および薬効を与えるのに有用である。
【0031】
本開示の実施形態、他の実施形態およびそれらの特徴および特性は、以下の記載、図面および特許請求の範囲から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(発明の詳細な説明)
定義
本明細書で使用される場合、桂皮は、Cinnamomum種の植物物質から誘導された樹皮植物材料を指す。用語「桂皮」は、桂皮種と相互交換可能に使用され、桂皮植物、クローン、改変体およびスポーツ(sport)などに関する。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「1つ以上の化合物」は、少なくとも1つの化合物を意味し、例えば、限定されないが、trans−桂皮アルデヒド(桂皮種の脂溶性の精油化学構成物質)またはメチルヒドロキシカルコン(桂皮種の水溶性ポリフェノール)または桂皮種の多糖類分子であることが意図されているか、または2つ以上の化合物(例えば、trans−桂皮アルデヒドおよびメチルヒドロキシカルコン)であることが意図されている。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「画分」は、特定の物理的性質および/または化学的性質によって特徴付けられる特定の化学化合物群を含む抽出物を意味する。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「精油画分」は、桂皮および関連種から得られるかまたは誘導される、脂溶性で水不溶性の化合物を含む画分を指し、限定されないが、trans−桂皮アルデヒドと分類される化学化合物を含むものが挙げられる。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「精油副次画分」は、桂皮および関連種から得られるかまたは誘導される、脂溶性で水不溶性の化合物を含む画分を指し、限定されないが、桂皮種の精油中に見られる特定の化合物の濃度が高められた、trans−桂皮アルデヒドに分類される化学化合物を含むものが挙げられる。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「ポリフェノール画分」は、桂皮および関連種から得られるかまたは誘導される、水溶性でエタノール可溶性のポリフェノール酸化合物を含み、限定されないが、メチルヒドロキシカルコンおよびカテキンおよびエピカテキンオリゴマーのような化合物をさらに含む画分を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「多糖類画分」は、桂皮および関連種から得られるかまたは誘導される、可溶性でエタノール不溶性の多糖類化合物を含む画分を指す。
【0039】
桂皮の他の化学構成物質が、上述の抽出画分中に存在してもよい。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「精製された」画分は、特定の物理化学的性質または物理的性質または化学的性質によって特徴付けられる特定の化合物群を、前記画分の化学構成物質の20%を超える濃度で含む画分に関する。言い換えると、精製された画分は、この画分を規定する特定の物理化学的性質または物理的性質または化学的性質によって特徴付けられない化学構成物質化合物の含有量が80%未満である。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「プロフィール」は、抽出画分または副次画分に含まれる化学化合物の重量%比、または最終的な桂皮抽出物中の3種の桂皮画分の化学構成物質それぞれの重量%比を指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、「原料」は、一般的に、植物全体を単独で含むか、または葉、根(限定されないが、主根、根の先端部分(tail root)および根繊維を含む)、茎、樹皮、葉、種子および花を含む植物の1つ以上の構成物質部分の組み合わせを含む未加工の植物材料を指し、植物または構成物質部分は、生の材料、乾燥した材料、蒸した材料、加熱または他の物理的プロセスで加工し、加工しやすくした材料を含んでもよく、これらは、さらに、原形のままの原料、切り刻んだ原料、さいの目状に切った原料、製粉した原料、粉砕した原料、または植物材料の大きさおよび物理的一体性に影響を与える他の方法で加工した材料をさらに含んでもよい。時に、用語「原料」は、さらなる抽出プロセスの供給源として使用する抽出生成物を特定するために使用されてもよい。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「桂皮構成物質」は、桂皮種で見られる化学化合物を意味し、上に定義されたあらゆる化学化合物ならびに桂皮種で見られる他の化合物(限定されないが、精油化学構成物質、ポリフェノール酸および多糖類が挙げられる)を含む。
【0044】
桂皮の化学構成物質は、広範囲にわたって治療的な価値がある。近年の科学研究および臨床試験によって、以下の桂皮の種々の化学化合物、化学画分および抽出物全体について、以下に示す治療効果が示されている:NIDDM−2型糖尿病(プロアントシアニジン、メチルヒドロキシカルコン、カテキンおよびエピカテキンオリゴマー、フラボノイド、水溶性抽出物);低密度リポタンパク質の減少を含むコレステロール代謝の向上(プロアントシアニジン、メチルヒドロキシカルコン、カテキン、エピカテキンオリゴマー、フラボノイドを含むフェノール酸、水溶性抽出物);動脈損傷を引き起こす遊離ラジカルへの耐性および微小血管の機能向上(精油、桂皮アルデヒド、2’−ヒドロキシ桂皮アルデヒド、2’−メトキシ桂皮アルデヒド、フェノール酸、フラボノイド配糖体、プロアントシアニジン、フラボノイド、カテキン、エピカテキンオリゴマー、抽出物);抗血栓および抗血小板凝集(精油、桂皮アルデヒド);抗炎症活性(精油、桂皮アルデヒド、オイゲノール、1,8−シネオール、α−ピネン、β−ピネン、ボルネオール、フラボノール配糖体、抽出物);抗酸化(フェノール酸、フラボノール配糖体、プロアントシアニジン、フラボノイド、水溶性抽出物);抗アレルギー(フェノール酸、フラボノール配糖体、プロアントシアニジン、フラボノイド、水溶性抽出物);神経保護剤(水溶性抽出物);心臓結果保護剤(精油、水溶性抽出物);脳機能の増強(精油、特に揮発性油);駆風薬、食欲減退および消化不良の愁訴、嘔吐抑制、膨満および鼓脹の防止、腸運動の促進、体重減少の促進(フラボノイド、3−(2−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸、3−(2−ヒドロキシフェニル)−O−配糖体、水溶性抽出物);咳止め薬、風邪薬および発熱薬(精油、酢酸シンナミル);抗菌活性および抗真菌活性(精油、桂皮アルデヒド、オイゲノール、1,8−シネオール、β−ピネン、ボルネオール);脂肪分解および創傷治癒の促進(エタノール抽出物);および抗癌および抗通風(精油、桂皮アルデヒド、2’−ヒドロキシ桂皮アルデヒド、2’−ベンゾキシ桂皮アルデヒド、メタノール抽出物);Khan Aら,Diabetes Care 26:3215−3218,2003;Anderson RAら,J Agric Food Chem 52:65−70,2004;Jarville−Taylorら,J Am Coll Nutri 20:327−336,2001;Qin Rら,Horm Metab Res 36:119−123,2004;Vespohl EJら,Phytother Res 19:203−206,2005;Lee SHら,Biochem Pharmacol 69:791−9,2005;Chericoni Sら,J Agric Food Chem 53:4762−4765,2005;Lin CCら,Phytother Res 17:7260730,2003;Jayaprakasha GKら,J Agric Food Chem 51:4344−4348,2003;Huss Uら,J Nat Prod 65:1517−21,2002;Nagai Hら,Jpn J Pharmacol 32:813−822,1982;Su MJら,J Biomed Sci 6:376−386,1999;Shimada Yら,Phytomed 11:404−410,2004;Taher Mら,Med J Malayia 59B:97−98,2004;Kamath JVら,Phytother Res 17:970−972,2003;Kurokawa Mら,Eur J Pharmacol 348:45−51,1998;Simic Aら,Phytother Res 18:713−717,2004;Tabak Mら,J Ethnopharmacol 67:269−277,1999;Kong LDら,J Ethnopharmacol 73:199−207,2000;Kwon BMら,Arch Pharm Res 21:147−152,1998;Ka Hら,Cancer Lett 196:143−152,2003らを参照。
【0045】
アントシアニンは、多くの果物、野菜、穀物および花の赤色、紫色および青色のもととなる天然に存在する特定のフラボノイド化合物群である。例えば、果物(例えば、ブルーベリー、ビルベリー、ストロベリー、ラズベリー、ボイセンベリー、マリオンベリー、クランベリー、エルダーベリーなど)の色は、多くの異なるアントシアニンによるものである。近年、食用酸化防止剤としての健康効果のため、アントシアニン顔料に対する関心が高まってきている。例えば、ビルベリー(Vaccinium myrtillus)のアントシアニン顔料は、視力の向上、循環障害の治療に長い間使用されてきた。特定のアントシアニンおよび他のフラボノイドが抗炎症性を有するという実験による証拠が得られている。さらに、経口投与されたアントシアニンが、糖尿病および潰瘍の治療に有益であり、抗菌活性を有することが報告されている。フラボノイドがこのような望ましい性質を有することは、化学的にはこの物質の酸化防止能に関係があると考えられている。従って、ベリーおよび他の果実および野菜に関連する酸化防止特性は、そのアントシアニン含有量に起因する。
【0046】
プロアントシアニジンは、「オリゴマープロアントシアニジン」、「OPC」または「プロシアニジン」とも呼ばれ、果物、野菜、殻果、種子、花および樹皮から広く入手可能な天然に存在する別のフラボノイド化合物群である。プロアントシアニジンは、縮合タンニンとして知られるカテゴリーに属する。これらは、果物および野菜に含まれる最も一般的な種類のタンニンであり、種子および皮に大量に存在する。実際に、異なるプロアントシアニジンの混合物は、個々の単位から多くの結合した単位を有する複雑な分子(オリゴマーまたはポリマー)までが一般的に一緒に存在する。ポリマープロアントシアニジンの一般的な化学構造は、共通のC(4)−C(6)および/またはC(4)−C(8)結合で結合したフラボノイド 3−オール単位の直鎖を含む。プロアントシアニジンは、C4−C8結合および/またはC4−C6結合で結合したカテキン単位および/またはエピカテキン単位を含有するオリゴマーおよびポリマーの混合物である。これらのフラバン−3−オールは、C4−C8結合と、C7−C2間のさらなるエーテル結合とで二重に結合していてもよい。13C NMRは、ポリマープロアントシアニジンの構造を同定するのに有用であり、最近の研究では、プロアントシアニジンダイマー、トリマーおよびテトラマーの化学が解明されている。フラボノイド 3−オール単位を有するさらに分子量の大きいオリゴマーは、ほとんどの植物で主要成分であり、平均分子量が2,000ダルトンを超え、6個以上のモノマー単位を有するものが発見されている(Newmanら,Mag.Res.Chem.,25:118(1987))。かなり最近の研究では、当初は酸化防止活性が主に知られていたプロアントシアニジンの治療用途が研究されている。しかし、これらの化合物は、抗菌性、抗ウイルス性、抗発癌性、抗炎症性、抗アレルギー性および血管拡張作用を有することも報告されている。さらに、これらの化合物は、脂質の過酸化、血小板凝集、毛細血管の透過性および脆弱性を阻害し、ホスホリパーゼA2、シクロオキシダーゼおよびリポキシダーゼを含む酵素系に影響を与えることがわかった。例えば、プロアントシアニジンモノマー(すなわち、アントシアニン)およびダイマーは、毛細血管の脆弱化と関連する疾患の治療に使用されており、動物で抗炎症効果を有することも示されている(Beladi,I.ら,Ann.N.Y.Acad.Sci.,284:358(1977))。これらの報告されている知見に基づくと、オリゴマープロアントシアニジン(OPC)は、多くの状態の治療に有用な成分であると思われる(Fine,A.M.,Altern.Med.Rev.5(2):144−151(2000))。
【0047】
プロアントシアニジンは、ウイルスに対する防御効果もあると考えられる。in vitro試験では、マンサク(Hamamelis virginiana)由来プロアントシアニジンが、1型単純ヘルペス(HSV−1)ウイルスを死滅させた(Erdelmeier,C.A.,Cinatl,J.,Plant Med.June:62(3):241−5(1996);DeBruyne,T.,Pieters,L.,J.Nat.Prod.Jul:62(7):954−8(1999))。種々のタンニンの抗ウイルス活性について、構造と活性との関連を決定付けるために、別の試験が行われた。化学構造の縮合度が高いほど、抗ウイルス効果が高いことがわかった(Takechi,M.ら,Phytochemistry,24:2245−50(1985))。別の試験では、プロアントシアニジンは、抗単純ヘルペス活性を有することが示され、この試験では、単純ヘルペスのプラーク形成を減らすのに必要な50%有効投薬量は、50%細胞傷害投薬量よりも桁が2桁〜3桁少なかった(Fukuchi,K.ら,Antiviral Res.,11:285−298(1989))。
【0048】
シクロオキシゲナーゼ(COX−1、COX−2)またはプロスタグランジンエンドペルオキシドHシンターゼ(PGHS−1,PGHS−2)酵素は、植物産物の抗炎症効果を測定するために広く使用されている(Bayer,T.ら,Phytochemistry,28:2373−2378(1989);およびGoda,Y.ら,Chem.Pharm.Bull.,40:2452−2457(1992))。COX酵素は、非ステロイド系抗炎症薬物の薬理学的な標的物質である(Humes,J.L.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,78:2053−2056(1981);およびRome,L.H.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,72:4863−4865(1975))。プロスタグランジン合成に関与するシクロオキシゲナーゼの2つのアイソザイムには、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)とシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)がある(Hemler,M.ら,J.Biol.Chem.,25:251,5575−5579(1976))。選択的なCOX−2阻害剤は、主に抗炎症活性に影響を与えると考えられている(Masferrer,J.L.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,91:3228−3232(1994))。フラボノイドは、現在、抗炎症基質として研究されており、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害活性の構造的特徴について研究されている。
【0049】
桂皮は、一般的に高用量でも安全で毒性はないが、桂皮またはPeruvian balsaに高感度の個体ではアレルギー反応を誘発することがある。妊娠中および授乳中には勧められない。他の薬物との相互作用は知られていない。
【0050】
精製された精油、精製されたポリフェノールと、高濃度のフラボノール配糖体およびフラボノイド、および多糖類化学構成物質画分とを組み合わせて相乗的に作用し、生理学的および医学的に有益な、標準化された信頼性の高い量の桂皮化学構成物質を生産可能な、再現可能な新規桂皮抽出物が必要とされている。Williamson EM.Phtomedicine 8:401−409,2001。
【0051】
(抽出物)
(精油画分)
桂皮樹皮は、精油を豊富に含み、使用する植物の部位に依存して、種々の油を与える。桂皮樹皮に精油が1〜2重量%存在していると報告されている。桂皮樹皮油の主成分は、芳香族アルデヒド−3−フェニル−2(E)−プロペナール(桂皮アルデヒドとも呼ばれる)である(精油中、約60重量%)。
【0052】
最近の研究で、原料として桂皮樹皮を使用した。超臨界二酸化炭素抽出および分画の技術は、脂溶性化学物質を処理するのに有益なことは周知であるため、抽出に選択した。この抽出の有用性は、液体溶媒よりも大きな拡散係数を有し、気体に似た物質移動性と液体に似た可溶性をあわせもつことによるものである。抽出された精油構成物質は、ガスクロマトグラフィー−質量分析計で評価した。超臨界CO2によって抽出した桂皮樹皮油から、合計71の化合物を同定した。主要な桂皮アルデヒド同族体(例えば、ベンズアルデヒド(P1)、桂皮アルデヒド(P10およびP14)、シンナミルアルコール(P16)、trans−桂皮酸(P23)、酢酸シンナミル(P25))以外に、他の少量化合物(4種類のモノテルペン、16種類のセスキテルペン、9種類の脂肪酸および誘導体、および6種類のステロイド(P64およびP67-P71)も同定された。脂肪酸およびステロイドは、桂皮油で以前報告されていないものである。
【0053】
超臨界CO2は、精油画分を精製し、プロファイリングするのに優れたツールであることがわかった。これらの画分の抽出収率は、プロセス温度、圧力および溶媒/供給比によって変動する。最も高い抽出収率は、温度80℃、圧力100〜500bar、溶媒/供給比114の場合で、1.76重量%であった。抽出された桂皮樹皮の粗精油では、桂皮アルデヒドが、精製された画分の58重量%〜69重量%を占める。抽出物画分中の抽出物のステロイド化合物のうち20%までは、約40℃の低温でのみ抽出可能であることがわかった。高純度の(90%を超える)桂皮アルデヒド同族体は、60〜90℃の高温、約100barの低圧で得ることができる。脂肪酸化合物を処理するには高圧高温がよく、純度は、最も高い条件だと抽出画分の約10%まで高めることができる。
【0054】
抽出した桂皮樹皮粗精油は、一定温度で処理圧力を徐々に上げた複数段階のプロセスによって分画することもできる。結果を表2に示す。主要化合物である桂皮アルデヒド同族体は、67.1〜93.1%の範囲に入ることがわかった。他の少量化合物(例えば、セスキテルペン)は、画分の1.1〜2.7%であり、脂肪酸は0.9〜9.9%であり、ステロイドは、40℃でのみ抽出可能であり、0.0〜20.3重量%であった(相対量)。桂皮アルデヒドは、最も純度が高い場合には91.13%であり、この量は、桂皮樹皮原料の76倍の量である。
【0055】
【表2】
(フェノール酸画分)
桂皮の抗酸化活性は、フェノール酸化学構成物質の含有量に関係がある。桂皮で同定されている酸化防止性能を有する特定の植物化学物質としては、以下のフェノール酸が挙げられる。エピカテキン、カンフェン、エンゲノール、γ−テルピネン、フェノール、サリチル酸およびタンニン。さらに最近では、米国農務省は、フラボノイドの一種であり、インスリンの効果によく似た水で抽出されるA型プロシアニジンを発見した。この化合物は、単離された脂肪細胞で高いインスリン作用を有する。in−vivo試験でも、桂皮水抽出物が、グルコース吸収量を高め、部分的には骨格筋のインスリンシグナル伝達経路を高めることによってインスリン作用を高めることが示された。本発明のこの章の目的は、タンニン酸を除去することによってフェノール酸を精製することである。目的とするフェノール酸は、低血糖活性を有するプロアントシアニジンである。プロアントシアニジンは、(+)−カテキン単位および/または(−)−エピカテキン単位がC4−C8結合および/またはC4−C6結合で結合したオリゴマーおよびポリマー(B型)の混合物である。これらのフラバン−3−オールも、C4−C8結合と、C7−C2間のさらなるエーテル結合とで二重に結合していてもよい(A型)。市販のHPLC参照標準が無いため、Folin−Ciocalteu法を用いて合計フェノール酸含有量を分析し、タンパク質沈殿フェノール法を用いて合計タンニン酸含有量を分析した。Direct Analysis in Real−time(DART)質量分析によって、フェノール酸全体から個々のフェノール酸を同定し、半定量した。
【0056】
桂皮樹皮原料では、フェノール酸は合計で約4.87%存在し、このうち約2.27%が非タンニンフェノール酸であり、約2.61%がタンニン酸である。フェノール酸全体の抽出条件は、異なる溶媒、温度、pH値および複数段階プロセスの影響を試験することによって最適化した。含水エタノール(25〜75%エタノール)が最適な抽出溶媒であることがわかった。抽出溶媒として25%エタノールを用い、温度40℃で二段階プロセスを用い、溶媒供給比がそれぞれ10および5の場合に、約17.6%と最も高い抽出収率が得られることがわかった。プロセス中にpH値を変える必要はなかった。
【0057】
Sephadex LH−20デキストランビーズは、非タンニンフェノール酸をタンニン酸と分離するのに優れた媒体であることがわかった。結果を表3に示す。タンニン酸は、顕著に除去され、非タンニンフェノール酸が100%まで精製されることがわかった(原料の44倍)。
【0058】
【表3】
(多糖類画分)
桂皮多糖類−糖タンパク質画分を、水で抽出し、80%エタノールで沈殿させることによって得た。精製された桂皮多糖類−糖タンパク質画分の収率は、約3.5%であった。桂皮多糖類の純度は、0.29〜0.47gデキストラン当量/g多糖類であった(桂皮多糖類の標準物質は入手できないため、デキストランを参照標準として用いた)。桂皮多糖類の平均分子量は約2500KDaであった。この場合もAccuTOF−DART質量分析を使用して桂皮多糖類の特性を決定し、結果を図6および7に示している。
【0059】
(天然桂皮種と抽出物との比較)
本開示は、1つ以上の桂皮種から単離され精製された精油(または精油副次画分)、ポリフェノール酸および多糖類の画分の抽出物を含む。これらの個々の画分を特定の比率(プロフィール)で組み合わせて有益な組み合わせを得てもよく、現時点で知られている抽出生成物では達成できない程度に信頼性が高いか、または再現性のある抽出生成物を得ることができる。例えば、ある種由来の精油画分または精油副次画分を、同じ種または異なる種由来の精油画分または精油副次画分と、または同じ種または異なる種由来のポリフェノール酸画分と組み合わせてもよく、この組み合わせを、同じ桂皮種または異なる種由来の多糖類画分と組み合わせてもよいし、組み合わせなくてもよい。
【0060】
本開示の抽出物を、天然桂皮種に対する濃度という観点で規定してもよい。実施形態は、前記画分(精油、ポリフェノール酸または多糖類を含む)の1つ以上が、天然桂皮種植物材料よりも濃度が高い抽出物を含む。実施形態は、前記画分(精油、ポリフェノール酸または多糖類を含む)の1つ以上が、天然桂皮種植物材料よりも濃度が低い抽出物も含む。桂皮種の生体活性がある化学構成物質画分の既知の量(表1)を本開示の一例として使用する。例えば、この開示の抽出物は、精油の濃度が天然桂皮種の0.001〜50倍である画分を含み、および/または所望のポリフェノール酸濃度が天然桂皮種の0.001〜50倍である組成物を含み、および/または水溶性でエタノール不溶性の多糖類の濃度が天然桂皮種の0.001〜20倍の組成物を含む。
【0061】
本開示の抽出物は、精油の濃度が天然桂皮種の0.01〜50倍である画分を含み、および/または所望のポリフェノール酸濃度が天然桂皮種の0.01〜50倍である組成物を含み、および/または多糖類の濃度が天然桂皮種の0.01〜20倍の組成物を含む。さらに、本開示の抽出物は、天然植物材料の精油に存在する少なくとも1つ以上の化学化合物を、天然の桂皮植物材料の精油化学構成物質中に存在するよりも多い量または少ない量で含む精油化学構成物質の副次画分を含む。例えば、化学化合物であるtrans−桂皮アルデヒドは、天然桂皮植物材料では精油化学構成物質の合計重量の60重量%であるが、精油副次画分中で、副次画分の80重量%まで濃度が高められていてもよい。対照的に、trans−桂皮アルデヒドは、天然桂皮植物材料では精油化学構成物質の合計重量の60重量%であるが、精油副次画分中で、副次画分の6重量%まで濃度が下げられていてもよい(濃度が10分の1に下げられている)。本開示の抽出物は、新規な精油副次画分中の特定の化学化合物の濃度が、天然桂皮製油の化学構成物質の濃度の約1.1〜約10倍まで高められている画分、または約0.1〜約10倍まで低められている画分を含む。
【0062】
さらなる実施形態は、桂皮種の化学構成物質のプロフィール(比の分布)が、天然植物材料または現時点で入手可能な桂皮種抽出生成物とは異なる抽出物を含む。例えば、精油画分は、ポリフェノール酸濃度および/または多糖類濃度が高くても低くてもよい。同様に、ポリフェノール酸または多糖類は、新規な構成物質化学プロフィールを有する抽出物が特定の生体効果を発揮するように、他の抽出物構成物質画分と比べて多くても少なくてもよい。精油、ポリフェノールおよび/または多糖類のうち1つ以上の単離され精製された画分を組み合わせることによって、新規な精油の組み合わせを提供する抽出物を作ってもよい。
【0063】
本開示の方法は、ヒトの障害を治療し、予防するための新規桂皮抽出物を提供することを含む。例えば、2型糖尿病を治療するための新規桂皮種抽出物は、桂皮種天然植物材料または従来の既知の抽出生成物よりも、画分のポリフェノールの重量%濃度が高く、精油および多糖類の重量%濃度が低くてもよい。酸化を抑制し、血管損傷を抑制し、虚血性心血管疾患のための新規桂皮種抽出物は、天然の桂皮種天然植物材料または従来の既知の抽出生成物よりも、画分の精油およびポリフェノール酸の重量%濃度が高く、多糖類の重量%濃度が低くてもよい。新規桂皮種抽出物の別の例は、アレルギー障害を治療するためのものであり、天然の桂皮種天然植物材料または従来の既知の抽出生成物よりも、画分のポリフェノールの重量%濃度が高く、多糖類の重量%濃度が高く、精油の重量%濃度が低い。
【0064】
(抽出方法)
以下の方法を、教示されるように個々に用いてもよいし、開示される方法または当業者に既知の方法と組み合わせてもよい。抽出用の出発材料は、1つ以上の桂皮種由来の植物材料である。植物材料は、植物の任意の部位であってよいが、樹皮が最も好ましい出発材料である。
【0065】
桂皮種植物材料を抽出前工程で処理し、材料を任意の特定の形態にしてもよく、抽出に有用な任意の特定の形態がこの開示で考慮される。このような抽出前工程としては、限定されないが、材料を切り刻み、細かく刻み、みじん切りにし、粉砕し、粉末化し、切断するかまたは裂く工程が挙げられ、出発材料は、抽出前工程の前に、乾燥状態または新鮮な植物材料である。好ましい抽出前工程は、桂皮種の樹皮材料を微細粉末に粉砕および/または粉末化する工程である。出発材料または抽出前工程後の材料を乾燥させてもよいし、または水分を加えてもよい。桂皮種植物材料が抽出用の形態になれば、抽出方法は、本開示で考慮される。
【0066】
本開示の抽出方法は、本明細書に開示されるプロセスを含む。一般的に、本開示の方法は、部分的に、桂皮種植物材料が、二酸化炭素を溶媒として用いた(SCCO2)超臨界液体抽出(SFE)で抽出され、その後に1つ以上の溶媒(例えば、限定されないが、水、含水アルコール)で抽出する工程およびアフィニティーポリマー吸着抽出プロセスに進む方法を含む。本開示で考えられるさらなる他の方法は、他の有機溶媒、冷蔵化学物質、圧縮性気体、超音波、加圧液体抽出、高速向流クロマトグラフィー、分子インプリントポリマー、および他の既知の抽出方法を用いて桂皮種植物材料を抽出する方法を含む。このような技術は、当業者には知られている。1つの局面では、本開示の抽出物は、図1〜5に模式的に示される工程を含む方法によって調製されてもよい。
【0067】
本開示は、SCCO2技術を用いて、桂皮植物材料から精油および他の脂溶性化合物を濃縮(精製)し、プロファイリングするプロセスを含む。本開示は、桂皮の脂溶性化学構成物質を、例えば、高純度の精油画分(精油化学構成物質の濃度が高い)に分画することを含む。さらに、本開示は、抽出画分中の個々の化学構成物質の化学構成物質比またはプロフィールを変え得るSCCO2プロセスを含む。例えば、精油画分内の化学構成物質のSCCO2分画分離によって、特定の精油化合物を他の精油化合物よりも優先的に抽出し、特定の化合物の濃度が他の化合物の濃度よりも高い精油抽出副次画分を作ることができる。桂皮種の精油化学構成物質をSCCO2で抽出することにより、本開示で教示されるように、毒性のある有機溶媒を使用せず、抽出物を同時に分画することができる。二酸化炭素は天然にある安全な生体産物であり、多くの食品および飲料の成分である。
【0068】
上述の抽出法を実施すると、元々の桂皮種の乾燥桂皮樹皮原料で、純度95%を超える精油化学構成物質を、80%より大きな収率でSCCO2抽出精油画分に抽出することができることがわかった(工程1A)。工程1Bに教示される方法(SCCO2抽出分画プロセス)を用いると、精油化学構成物質を非常に純度の高い(>90%)精油副次画分に分画するため、精油の収率は低下した。さらに、本開示に教示されるようなSCCO2抽出および分画のプロセスによって、個々の化学化合物を含む精油化学構成物質画分の比率(プロフィール)を変え、固有の精油副次画分のプロフィールを特定の医学目的のために作ることができる。例えば、ステロイド精油化学構成物質の濃度を高め、同時に脂肪酸化合物の濃度を下げることができ、この逆も可能である。
【0069】
本開示の工程2に教示される方法を用いると、元々の桂皮種原料から水溶性画分が4.8重量%で得られ、合計フェノール酸濃度は26.0%であり、天然桂皮樹皮原料中に存在するフェノール酸化学構成物質の約10重量%が得られる。しかし、この水溶媒による抽出物は、高価値の水可溶性でエタノール不溶性の多糖類化学構成物質を含む。さらに、この抽出工程では、天然桂皮種植物材料に存在する水溶性でエタノール不溶性の多糖類を約100%得ることができる。この水溶性抽出画分の多糖類濃度は、水溶性抽出物画分の乾燥重量の約27重量%である。この水で溶出した抽出物から、95%エタノールを用いて多糖類を沈殿させ、精製された多糖類画分を集めてもよい。多糖類画分の収率は、桂皮根茎原料の重量に基づいて約1.3重量%である。参照物質としてデキストランを用いた比色分析法によれば、純度が95%を超える桂皮多糖類化合物を得ることができる。
【0070】
本開示の工程3に教示される方法を用いると、含水アルコール溶出による画分によって、元々の桂皮種原料から収率17.6%が得られ、フェノール酸の濃度は64%であり、フェノール酸の3分の1が生体活性のないタンニンである。さらに、この値から、天然桂皮種植物材料に存在するフェノール酸関連化学構成物質の約90%が得られていることになる。
【0071】
本開示の工程4に教示される方法(アフィニティー吸着抽出プロセスまたはプロセスクロマトグラフィー)を用いると、抽出画分の乾燥重量の95%を超える純度を有し、タンニンが乾燥重量の0.1%未満のポリフェノール酸画分を得ることができる。含水アルコール溶出による抽出原料から、非タンニンポリフェノール酸の約77%を抽出することができる。この値から、天然桂皮種植物材料に存在するポリフェノール酸化学構成物質の69%が得られていることになる。平均重合度によれば、精製されたポリフェノール画分は、主に生体活性のあるポリフェノールオリゴマーで構成されている。
【0072】
さらに、精製されたポリフェノール画分のポリフェノール化学構成物質をプロファイリングすることができる。例えば、高濃度のポリフェノールトリマーまたはテトラマーを含有する精製されたポリフェノール副次画分を得てもよい。このような新規な精製されたポリフェノール副次画分は、特定の医学状態に大きな価値を有することがある。
【0073】
最後に、本開示で教示される方法によれば、精油画分の所望の化学構成物質が99重量%、およびポリフェノールフェノール画分が97重量%、および多糖類画分が98重量%の桂皮種精油の化学構成物質画分、新規ポリフェノール画分または副次画分および新規多糖類画分を精製(濃縮)することができる。使用する特定の抽出環境、抽出速度、溶媒および抽出技術は、供給源となる材料の最初の化学構成物質プロフィールと、最終抽出生成物で望ましい精製度とに依存する。本開示に教示される特定の方法は、特定の属性を有する生産材料に加工される出発材料の属性中のサンプル変数によって説明されるプロセスを調整するために、典型的な通常の実験より過度の実験を行うことなく、当業者が容易に決定することができる。例えば、特定のロットの桂皮種植物材料において、精油化学物質、ポリフェノール酸および多糖類の初期濃度を、本開示に教示されるような当業者に既知の方法を用いて決定する。当業者は、精油化学構成物質の初期濃度から、本明細書に開示されるような抽出方法を用いて、最終的な桂皮種抽出生成物の所望の濃度および/または化学物質プロフィールを得るために、最終抽出精製物の精油化学構成物質の所定の量または分布(プロフィール)への変化量を決定することができる。
【0074】
桂皮の生体活性を有する化学構成物質の抽出方法の模式図を図1〜5に示す。抽出プロセスは、典型的には、限定されないが4工程である。
【0075】
(工程1:超臨界液体二酸化炭素による桂皮精油の抽出)
精油が疎水性であるため、非極性溶媒(限定されないが、SCCO2、ヘキサン、石油エーテルおよび酢酸エチル)をこの抽出プロセスで用いてもよい。精油成分のなかには揮発性のものもあるため、蒸気蒸留を抽出プロセスとして使用してもよい。
【0076】
桂皮種の樹皮からSCCO2を用いて精油化学構成物質を抽出する一般的な記載を図2の工程2Aおよび2Bに図示している。原料10は、乾燥させた粉砕桂皮樹皮(約140メッシュ)である。抽出溶媒210は純粋な二酸化炭素である。エタノールを共溶媒として使用してもよい。原料をSFE抽出容器20に入れる。パージテストおよびリークテストをした後、このプロセスは、保存容器から冷却器を通ってCO2ポンプに液化CO2を流す工程を含む。CO2は所望の圧力に圧縮されており、抽出容器中で原料に流され、圧力および温度は所定の値に維持される。抽出圧力は約60bar〜800barであり、温度は約35℃〜約90℃である。本明細書で教示されるSCCO2抽出は、好ましくは、圧力が少なくとも100bar、温度が少なくとも35℃、さらに好ましくは圧力が約60bar〜500bar、温度が約40℃〜約80℃で行われる。1段階の抽出にかかる抽出時間は、約30分〜約2.5時間、約30分〜約1時間である。溶媒対供給比は、それぞれのSCCO2抽出あたり、典型的には約60対1である。CO2は回収する。抽出され、精製され、プロファイリングされた精油化学構成物質30を収集器または分離器に集め、遮光ガラス瓶に保存し、4℃の暗い冷蔵庫で保存する。桂皮原料10の物質を1段階プロセスで抽出してもよく(図2の工程2A)、抽出され、精製された桂皮精油画分30を1個の収集SFEまたはSCCO2システム20に集めてもよく、または複数段階で抽出してもよく(図2の工程2B)、抽出され、精製され、プロファイリングされた桂皮精油副次画分50、60、70、80を1個の収集SFEシステム20で別個に順に集めてもよい。あるいは、分画SFEシステムのように、SCCO2抽出された桂皮原料材料を収集容器(分離器)に分離し、それぞれの収集器内に、それぞれに異なる割合の精油化学構成物質画分(プロフィール)を有する精製された精油副次画分を集めてもよい。残留物(残り)40を集め、保存し、さらなるプロセスに使用して、桂皮種のフェノール酸および多糖類を精製した画分を得てもよい。本開示の実施形態は、多段階SCCO2抽出を用いて、圧力60bar〜500bar、温度35℃〜90℃で桂皮種原料材料を抽出し、抽出した桂皮材料をそれぞれの段階後に集めることを含む。本開示の第2の実施形態は、分画SCCO2抽出を用いて、圧力60bar〜500bar、温度35℃〜90℃で桂皮種原料材料を抽出し、所定の条件(圧力、温度および密度)で所定の間隔(時間)で、抽出した桂皮材料を異なる容器に集めることを含む。多段階の抽出器から、または異なる収集容器(分画系)から得られた、抽出され精製された桂皮の精油副次画分を取り出し、独立して使用するか、または組み合わせて、天然の植物材料または従来の桂皮抽出生成物よりも高い濃度または低い濃度の所定の精油化学構成物質濃度を含む1つ以上の桂皮精油画分を作ることができる。典型的には、桂皮種由来の精油画分の合計収率は、1段階のSCCO2抽出では、最大値が約0.4重量%〜約1.8重量%(精油化学構成物質の85%を超える)であり、抽出物の精油化学構成物質の純度は95重量%を超える。このような抽出プロセスの結果を以下および表4に示す。手順は実施例1に記載している。
【0077】
【表4】
これらの結果は、抽出速度に対する圧力の影響を示している。抽出圧力が高いと、消費物CO2量が少ない状態で、短時間で系が平衡に達する。抽出圧力が高くなると、密度が圧力にともなって大きくなるため、合計抽出収率が増える。興味深いことに、低圧(例えば100〜300bar)では、温度が低いほど、密度が高いことに関連して収率が高くなる。高圧(例えば300〜500bar)では、温度は抽出収率にあまり影響を与えない。200barを超える圧力では、抽出収率が高く、効率もよいが、300bar未満の圧力で温度が約40〜80℃の場合に、精油化学構成物質の純度95%が達成できる。
【0078】
観察した実験範囲では、温度と密度とに競争効果があることが明らかに示されている。このことは、文献に十分に規定されており、記載されており、圧力が大きくなると、一定温度では、超臨界流体および近臨界流体の溶解力が大きくなるため、収率が上がる。温度を上げると、抽出に好ましい化合物の蒸気圧が高くなりやすい。さらに、温度が上がるにつれて、拡散係数が大きくなり、溶媒粘度が下がることによって、薬草の多孔性マトリックスから化合物が抽出されやすくなる。一方、温度が上がると、系の圧力が一定な場合、溶媒密度が下がる。
【0079】
桂皮樹皮精油の71個の化合物をGC−MS分析を用いて分離し、同定した。サンプルの質量スペクトルデータを科学文献のデータと比較して、桂皮アルデヒド、クマリンおよび酢酸シンナミルを同定した(表3および4)。桂皮アルデヒドおよびその同族体(例えば、ベンズアルデヒド(P1)、桂皮アルデヒド(P10およびP14)、シンナミルアルコール(P16)、trans−桂皮酸(P23)および酢酸シンナミル(P25))に加え、4種のモノテルペン(P6、P8およびP9)、16種のセスキテルペン(P20〜22、P26、P29、P31〜2、P35〜42およびP46)および9種の脂肪酸および脂肪酸誘導体を同定した。他の少量の芳香族および脂肪族化合物も存在していた。同定した化合物の中で、SFEによって、桂皮精油で以前に同定されていない脂肪酸およびステロイド化合物を抽出することができた。これらの化合物は、精油化学構成物質約90重量%を構成している。桂皮アルデヒドは、桂皮精油の主要な化学構成物質であり、約70〜91重量%であった。40℃および120barの条件下では多数の化合物が抽出物から同定され、これより高温および高圧条件のSFE抽出物よりも純度が約100%と高かった。温度60℃および100barのSFEで、桂皮アルデヒドの純度が90重量%を超え、ステロイド化合物は失われ、脂肪酸およびセスキテルペンの純度は低かった。ステロイド化合物は、40℃の低温でのみ抽出可能である。温度40℃および80barのSFEでは、ステロイド化合物化学構成物質の純度は、20重量%であった。対照的に、高温(60〜80℃)および高圧(500bar)のSFEでは、脂肪酸化合物が抽出されやすい。これらのデータから、SCCO2は、桂皮精油の化学構成物質をプロファイリングすることができることが示された。
【0080】
【表5−1】
【0081】
【表5−2】
【0082】
【表5−3】
【0083】
【表5−4】
【0084】
【表5−5】
【0085】
【表6−1】
【0086】
【表6−2】
注:重量%は、以下のように算出した。
【0087】
重量%=(各化合物の重量/抽出物の合計重量)×100
式中、各化合物の重量=ピーク面積率×抽出物の合計重量。
【0088】
(工程2.水溶出プロセスおよび多糖類沈殿)
桂皮種の化学構成物質の多糖類抽出画分は、「水溶性でエタノール不溶性の抽出画分」であると科学文献に定義されている。水溶媒によって溶出させ、エタノールで沈殿させるプロセスを用いた、桂皮種抽出物からの多糖類画分の抽出に関する一般的な記載を、図3の工程2に図示している。原料10または40は、天然の粉砕した桂皮種植物材料であるか、または工程1のSFE抽出プロセスから得た固体残留物である。この原料を、2段階溶出によって抽出する。溶媒は蒸留水220である。この方法では、桂皮種原料10または40と、抽出溶媒220とを抽出容器100、110に入れ、加熱し、攪拌する。100℃まで加熱してもよいし、約80℃まで、または約80〜90℃まで加熱してもよい。抽出を約1〜5時間、約2〜4時間、または約2時間行う。2段階の抽出溶液300+320を合わせ、スラリーを濾過し(120)、遠心分離処理し(130)、上清を集め、蒸発させ(140)、溶液330の化学物質の濃度が約8倍になるまで水を除去させる。次いで、無水エタノール230を用いて溶液の容積を元の容積まで戻し、最終エタノール濃度を95%にする。大きな沈殿150が見られる。溶液を遠心分離処理し(160)、デカンテーションし(170)、上清の残留物340をさらなる処理のために保存しておいてもよい。沈殿生成物350は、精製された多糖類画分であり、分子量5,000〜410,000のデキストランを参照標準に用いる比色分析法によって、多糖類を分析してもよい。実際の手順を実施例3に記載する。抽出された多糖類画分の純度は、3種の異なる分子量のデキストラン標準を用いて、それぞれ約29%、約35%および約47%であり、合計収率は、元々の天然桂皮樹皮原料の1.3重量%であった。3種類のデキストラン標準の純度測定値を合わせると、純度は95%よりも大きく、きわめて高純度である。さらに、AccuTOF−DART質量分析(実験の章を参照)を用い、精製された多糖類画分を含む化合物の分子量をさらにプロファイリングした。実際の手順は実験の章に記載している。
【0089】
(工程3.粗ポリフェノール酸画分を抽出するための含水アルコール溶出プロセス)
1つの局面では、本開示は、生体活性を有するポリフェノール酸化学構成物質の抽出および濃縮を含む。この工程の一般的な記載を図4の工程3に図示している。この工程2の抽出プロセスは、溶媒溶出プロセスである。この抽出用の原料は、桂皮種を粉砕した乾燥樹皮材料10、または精油化学構成物質の工程1のSCCO2抽出から得た残留物40または工程2の多糖類抽出−沈殿から得た残留物330+340である。抽出溶媒240は含水エタノールである。抽出溶媒は、10〜95%含水アルコールであってもよいが、25%含水エタノールが好ましい。この方法では、桂皮原料の物質と、抽出溶媒とを抽出容器400に入れ、加熱し、攪拌する。100℃まで加熱してもよいし、約90℃まで、約80℃まで、約70℃まで、約60℃まで、または約30〜50℃まで加熱してもよい。抽出を約1〜10時間、約1〜5時間、または約2時間行う。得られた抽出溶液を濾過し(410)、遠心分離処理する(420)。濾液(上清)500、520、540を生成物として集め、容積を測定し、溶媒を蒸発させた後、固体乾燥重量を測定する。抽出残留材料530を保持し、さらなる処理のために保存しておいてもよいし、廃棄してもよい。必要な場合または望ましい場合には、抽出を数回繰り返してもよい。2回以上、3回以上、4回以上などの回数繰り返してもよい。例えば、図1の工程2は、3段階プロセスを示しており、第2段階および第3段階は、同じ方法および条件を使用している。
【0090】
興味深いことに、残った桂皮アルデヒドは、この含水アルコール溶出による抽出で抽出され、このことは、精油化学構成物質の全てが、上述SFE条件を用いた比較的徹底した抽出法によって抽出されるわけではないことを示す。さらに、顕著な量のタンニンが、抽出生成物の20%を越える量抽出された。さらに、2段階の含水アルコール溶出プロセスは、ポリフェノールの抽出収率を高めるのに好ましい(生の原材料の約18重量%)。このとき、合計フェノール酸濃度は約64重量%であり、タンニン酸濃度は約20重量%である。高濃度の生体活性を有するポリフェノールを含有する精製されたポリフェノール画分を得るためには、工程3の粗ポリフェノール画分からタンニンを除去するために、さらなる処理工程(工程4)が必要である。
【0091】
(工程4.アフィニティー吸着によるポリフェノール抽出および精製のプロセス)
有益な生体活性を有するポリフェノール酸は、プロアントシアニジンである。プロアントシアニジンは、縮合タンニンとして知られている。これらの物質は、普遍的な物質であり、リグニンに次いで2番目の豊富な天然の植物性ポリフェノールである。Dubois Mら,Analytical Chem 28:350−356,1956。プロアントシアニジンは、C4−C8結合および/またはC4−C6結合で結合した(+)−カテキン単位および/または(−)−エピカテキン単位からなるオリゴマーおよびポリマー(B型)の混合物である。これらのフラバン−3−オールも、C4−C8結合と、O7−C2間のさらなるエーテル結合とで二重に結合していてもよい(A型)。プロアントシアニジンの分子量は、重合度(DPn)であらわされ、最も重要な性質の1つである。科学文献で定義されているように、DP1はモノマーであり、DP2〜10はオリゴマーであり、DP>10はポリマーである。
【0092】
桂皮ポリフェノールに関するバイオメディカル文献(上述のものを参照)では、DP4〜5(オリゴマー)は、医学的に有益な生体活性を示す。従って、工程4のプロセスでは、タンニン除去およびプロアントシアニジン抽出および精製を、各工程の合計フェノール酸濃度およびDPnを追跡することによって調べた。
【0093】
本明細書で教示されているように、含水アルコール抽出物に含まれるポリフェノール酸がアフィニティー吸着剤に吸着されるように、桂皮原料の含水アルコール抽出物と、固体アフィニティーポリマー吸着樹脂とを接触させることによって、桂皮および関連種から精製されたポリフェノール酸画分抽出物を得てもよい。次いで、結合した化学構成物質を、本明細書に教示される方法によって溶出させる。ポリフェノール酸画分化学構成物質を溶出させる前に、所望の化学構成物質が吸着したアフィニティー吸着剤を、任意の従来の様式で、抽出物の残りの成分と分離してもよい。好ましくは、吸着剤と接触させ、水性抽出物を抽出カラムまたは吸着材料床に通すことによって分離する。
【0094】
桂皮種のフェノール酸化学構成物質を精製するために、種々のアフィニティー吸着剤を利用することができる。例えば、限定されないが、Sephadex LH−20(Sigma Aldrich Co.)、「Amberlite XAD−2」(Rohm & Hass)、「Duolite S−30」(Diamond Alkai Co.)、「SP207」(Mitsubishi Chemical)、ADS−5(Nankai University,Tianjin,China)、ADS−17(Nankai University,Tianjin,China)、Dialon HP 20(Mitsubishi,Japan)およびAmberlite XAD7 HP(Rohm & Hass)が挙げられる。
【0095】
Sephadex LH020は、好ましくは、ポリフェノール酸化学構成物質に高いアフィニティーを有し、およびタンニンポリフェノールと非タンニンポリフェノールとを分離する能力があるため、クロマトグラフィープロセスで使用される。タンニンポリフェノールは、アルコール中でSephadex LH−20に吸着する。対照的に、非タンニンポリフェノールは、アルコールを用いると樹脂ビーズから溶出し、タンニンはビーズに吸着されたままである。次いで、含水アセトンを用いると、タンニンを溶出させることができる。この方法によれば、桂皮のタンニンポリフェノールと、所望な非タンニンポリフェノールとを分けることができる。従って、ポリフェノール化合物を分離し、非タンニン生体活性を有する桂皮ポリフェノールを精製するために、異なる溶出溶媒を使用することができる。Folin−Ciocalteu法およびタンパク質沈殿フェノール法を用い、粗抽出画分および溶出画分中のタンニンおよび非タンニンポリフェノールの濃度を測定することができる。
【0096】
タンニンポリフェノール酸化学構成物質を吸着剤から回収するために種々の溶出剤を利用することができるが、本開示の一局面では、溶出剤は、低分子量アルコールを含み、低分子量アルコールとしては、限定されないが、メタノール、エタノールまたはプロパノールが挙げられる。第2の局面では、溶出剤は、低分子量アルコールと水の混合物を含む。別の局面では、溶出剤は、低分子量アルコール、第2の有機溶媒および水を含む。
【0097】
非タンニンポリフェノール酸化学構成物質を吸着剤から回収するために種々の溶出剤を利用することができるが、本開示の一局面では、溶出剤は、含水アセトンを含む。
【0098】
好ましくは、桂皮種原料は、1つ以上の準備精製プロセスを受ける。このプロセスとしては、限定されないが、水性フェノール酸化学構成物質を含有する抽出物とアフィニティー吸着材料とを接触させる前の、工程1および3に記載のプロセスが挙げられる。
【0099】
本開示で教示されるようなアフィニティー吸着剤を用いると、桂皮種の非常に精製された生体活性を有するポリフェノールオリゴマー(DP2−10)酸化学構成物質が得られ、この物質には、天然の植物材料または市販の抽出生成物に通常存在している他の化学構成物質が顕著に存在しない。例えば、本開示で教示されるプロセスによって、95重量%を超える合計フェノール酸化学構成物質を含有し、タンニンポリフェノールが痕跡量しか存在しない、精製されたポリフェノール酸抽出物を得ることができる。
【0100】
ポリマーアフィニティー吸着樹脂ビーズを用いて、生体活性を有するポリフェノールを桂皮種樹皮から抽出し、精製する方法を図1の工程4に図示している。この抽出プロセスの原料は、工程3の含水アルコール溶出抽出物500+/−520+/−540から得たフェノール酸を含有する含水エタノール溶液であってもよい。吸着樹脂ビーズの適切な重量(吸着樹脂1gあたりポリフェノール酸22mg)を4〜5BVの95%エタノール250で洗浄し(浸し)た後、カラムに充填する(620)。ポリフェノール酸を含有する水溶液500+520を、元々の容積の1%になるまで、エバポレーションによって濃縮する。次いで、濃縮サンプルの容積が20倍になるまで、無水エタノール260を加え、ポリフェノールを95%エタノール溶液に溶解させる。この溶液を遠心分離処理し(640)、任意の不溶性物質を除去し、上清をローディングサンプル550として集める。ローディングサンプル550をカラムに置く(650)。カラムに完全に入れたら、カラムを95%エタノール270を用いて流速2〜3BV/時間で溶出させ(660)、生体活性を有する非タンニンポリフェノールを、定組成様式でアフィニティー吸着カラムから溶出させる。溶出液700を1BV画分で集める。ポリフェノール画分は、画分サンプルで吸収が検出されなくなるまで、それぞれUV分光器で280nm(ポリフェノール酸の波長吸収)で測定し、検出されなくなった時点で溶出を終了する。一般的に、カラムから非タンニンポリフェノールを溶出させるのに、95%エタノール7〜10BVが必要である(約3〜4時間)。溶出したカラム670を、70%含水アセトン(280)3BVで流速5BV/時間(3時間)で洗浄し(680)、樹脂ビーズに吸着したタンニンポリフェノールを溶出させる。溶出したタンニンポリフェノールを洗浄し(710)、廃棄する(730)。次いで、洗浄したカラム730を、95%エタノール250で流速5BV/時間で4〜5回洗浄し、残りの化学物質を除去し、さらなるクロマトグラフィープロセス740のために、洗浄したカラムを準備する。洗浄液720を廃棄する(730)。溶出画分の容積700は、約1BV毎に集め、これらのサンプルを、合計ポリフェノール(Folin−Ciocalteu法)、タンニンポリフェノール(タンパク質沈殿法)、DPn(チオール分解HPLC)について分析し、固体含有量および純度を調べる。
【0101】
プロアントシアニジンポリフェノール化合物のオリゴマーおよびポリマーは、広範囲の保持時間で溶出し(保持時間12〜30分)、ベースラインが変動し、カテキンおよびエピカテキンの濃度を算出する場合、クロマトグラフィーのピーク積分を正確に行うことができない。このHPLC挙動は、科学文献のほとんどのプロアントシアニジンで確認されている。しかし、チオール分解すると、HPLCクロマトグラムの解像度が明らかに向上するという証拠が示されている。チオール分解すると、プロアントシアニジンは、HPLCクロマトグラムで十分な解像度を有するピークを得るモノマーに変換される。ベンジルチオエーテルは、科学文献によれば、プロアントシアニジン構造の伸張部分から得られる(Guyot 2001参照)。DPnは、P1、P2、P3およびP4の合計面積およびカテキンおよびエピカテキンの合計面積から算出することができる。
【0102】
Sephadex LH−20は、桂皮含水アルコール抽出物に含まれるタンニンを非タンニンポリフェノール化合物と分離するのに有効なアフィニティー吸着剤であることが示されている。溶出画分F2〜F8をあわせると、約77.4%の非タンニンポリフェノール化学構成物質を回収することができ、この合わせた抽出画分から、タンニンは0.2%しか回収されない。溶出画分F2〜F8を合わせた収率は、ローディング溶液の21.5重量%であり、生の桂皮原料の3.78重量%である。非タンニンポリフェノールの純度は65重量%であり、この値は、工程3の粗ポリフェノール抽出生成物の3倍である。さらに、F6〜F8の溶出画分を合わせたものでは、95%よりも大きな純度を得ることができる。
【0103】
平均重合度(DPn)は、各溶出画分中のポリフェノールオリゴマーの大きさを示す。粗抽出物(ローディング溶液)では、大きなタンニンポリフェノールポリマーが存在するため、重合度は6.9であった。ポリフェノール溶出画分では、本質的にタンニンポリフェノールは存在しなかった。従って、精製されたポリフェノール溶出画分は、主にポリフェノールオリゴマーで構成され、ダイマー−DPn=2;トリマー−DPn=3;テトラマー−DPn=4などの混合物である。表5で示されるように、溶出画分F3〜F5ではトリマーが多く溶出し、画分F6〜F8ではテトラマーが多く溶出した。溶出画分のDPnの範囲は2.7〜4.2であり、このことは、これらの画分が、有益な生体活性を有する桂皮のプロアントシアニジンポリフェノール構成物質を非常に高純度で含有することを示すものである。さらに、異なる溶出画分を組み合わせると、表7および8に示されるように、非タンニンポリフェノールの収率および純度が異なる抽出精製物を得ることができる。
【0104】
【表7】
*溶出物1には化学構成物質が存在せず、溶媒のみであったため、表から除外した。
【0105】
【表8】
*これらの画分の組み合わせでは、合計フェノール酸には、測定可能なタンニン酸が含まれていない。
【0106】
溶液からアルコールを除去する多くの方法が当該技術分野で知られている。アルコールを回収することが望ましい場合、抽出後に、大気圧または減圧下で、蒸留によって溶液からアルコールを除去することができる。アルコールを再利用することができる。さらに、水溶液またはアルコールを除去した溶液から水を除去する多くの方法も当該技術分野で知られている。このような方法としては、限定されないが、水溶液を適切なキャリア(限定されないが、炭酸マグネシウムまたはマルトデキストリン)上でスプレー乾燥する方法が挙げられる。または、凍結乾燥または屈折性ウィンドウ(refractive window)で乾燥させることによって、液体を乾燥させることができる。
【0107】
(食品および医薬)
本発明の食品の形態として、例えば、顆粒状態、粒状態、ペースト状態、ゲル状態、固体状態または液体状態といった任意の形態に配合してもよい。これらの形態では、場合により、当業者には食品に添加できることが従来から知られている種々の基質、例えば、バインダー、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、味覚調整剤(tasting agent)、バッファー、界面活性剤、可溶化補助剤、防腐剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤またはpH調整剤などを含有してもよい。食品に添加されるエルダーベリー抽出物の量は、特に制限はないが、例えば、体重約60kgの成人の1日の摂取量として、約10mg〜5g、好ましくは、50mg〜2gであってもよい。
【0108】
特に、健康維持のための食品、機能性食品などに使用する場合には、本発明の有効成分を、本発明の所定の効果が十分に示される量で含有することが好ましい。
【0109】
本発明の医薬は、場合により、従来の既知の方法によって、例えば、固体薬剤(例えば、錠剤、顆粒、粉末、カプセルなど)または液体薬剤(例えば注射液など)として調製することができる。これらの医薬には、一般的に使用される任意の材料(例えば、バインダー、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、味覚調整剤、バッファー、界面活性剤、可溶化補助剤、防腐剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤またはpH調整剤など)が配合されてもよい。
【0110】
医薬における有効成分(桂皮抽出物)の投与量は、患者の種類、薬剤の形態、年齢、体重または適用される症状などによって変わってもよく、例えば、経口投与される場合、体重約60kgの成人では、1日に1回または数回投与され、1日に約10mg〜5g、好ましくは、1日に約50mg〜2g投与される。有効成分は、桂皮抽出物の1つまたはいくつかの成分であってもよい。
【0111】
この方法は、このような組成物を、1日に2回以上、1日に3回以上、1日に4回以上、1日に1〜15回の範囲で投与する工程も含む。このような投与は、数日間、数週間、数ヶ月、数年にわたって毎日のように連続的であってもよく、または特定の状態を治療または予防するために、特定の時間間隔に行ってもよい。例えば、ヒトに、精神集中、認知および記憶を高めるために、または2型糖尿病を処置し、予防するために、または心血管疾患の卒中を予防するために、または胃腸管障害を治療するために、または炎症性障害および関節炎(通風を含む)を治療するために、または風邪、細菌感染および真菌感染を治療するために、桂皮種抽出物を数年間、少なくとも1日に1回投与してもよい。
【0112】
上の記載は、本開示を実施する現時点で最良と考えられる態様を含む。この記載は、本開示の一般的な原理を示す目的でなされたものであり、限定する意図はないと解釈されるべきである。本開示には、さらに以下の実施例を示すが、本発明の範囲をいかなる様式にも限定するものと解釈されるべきではない。対照的に、本明細書の記載を読めば、本開示の精神に逸脱しない限り、種々の実施形態、その改変および等価物について当業者に示唆があると明らかに理解されるべきである。
【0113】
本明細書で使用されるあらゆる用語は、当業者が日常的に使用している意味に解釈されると考える。本明細書で引用した特許および特許明細書または参考文献は、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【実施例】
【0114】
(材料)
アセトン(67−64−1),≧99.5%,ACS試薬(179124);アセトニトリル(75−05−8),HPLC用,勾配グレード ≧99.9%(GC)(000687);ヘキサン(110−54−3),95+%,分光測定用グレード(248878);酢酸エチル(141−78−6),99.5+%,ACSグレード(319902);エタノール,4.8%イソプロパノールで変性(02853);エタノール(64−17−5),無水(02883);メタノール(67−56−1),99.93%,ACS HPLCグレード(4391993);および水(7732−18−5),HPLCグレード,(95304)。すべてSigma−Aldrichから購入した。
【0115】
ギ酸(64−18−6),50%溶液(09676);酢酸(64−19−7),99.7+%,ACS試薬(320099);塩酸(7647−01−0),容量測定用標準 1.0N水溶液(318949);水酸化カルシウム(7789−78−8),粉末,CA 0〜2mm,90〜95%(213268);無水塩化第二鉄(7705−08−0),97%,試薬グレード(157740);Folin−Clocalteuフェノール試薬(2N)(47641);フェノール(108−95−2)(P3653);硫酸(7664−93−9),ACS試薬,95〜97%(44719);トリエタノールアミン(102−71−6),トリエタノールアミン遊離塩基(T1377);ドデシル硫酸ナトリウム(151−21−3),最少で98.5% GC(L4509)。すべてSigma−Aldrichから購入した。炭酸ナトリウム(S263−1,Lot番号:037406)はFisher Co.から購入した。
【0116】
血清アルブミン(9048−46−8),アルブミンウシ画分V粉末 細胞培養試験済(A9418);(+)−カテキン水和物(88191−48−4),純度≧98%(C1251);没食子酸(149−91−7),ACS試薬,≧98%(HPLC);ベンジルチオール(100−53−8),99%(B25401);Trans−桂皮アルデヒド(14371−10−9),純度99+%;タンニン酸(1401−55−4),粉末(T0125)。すべてSigma−Adrichから購入した。(−)−エピカテキン93.6%(05125−550,CAS番号490−46−0)はChromadexから購入した。DINに沿うデキストラン標準5000(00269)、50,000(00891)および410,000(00895)は、Flukaから購入した。本開示で使用した化学参照標準の構造を以下に示す。
【0117】
【化1】
Sephadex LH−20:SephadexTM LH−20(Lot番号:308822,パック167600,製造番号:17−0090−01)は、Ambersham Bioscience AB Uppsala Swedenから購入した。sephadex G−25をヒドロキシプロピル化したものであり、ビーズを形成するデキストラン媒体によって調製され、有機溶媒中の天然物(例えば、ステロイド、テルペノイド、脂質および低分子量ペプチド)のゲル濾過用に特別に開発されたものである。
【0118】
(HPLC法)
クロマトグラフィーシステム:LC10ADVPポンプ、SPD−M 10AVP発光ダイオードアレイ検出器を備えたShimadzu製高速液体クロマトグラフィーLC−10AVPシステム。得られた抽出生成物を逆相Jupiter C18カラム(250×4.6mm I.D.,5μ,300Å)(Phenomenex,部品番号:00G−4053−E0,シリアル番号:2217520−3,バッチ番号:5243−17)で測定した。注入容積は10μlであり、移動相の流速は1ml/分であった。カラム温度は50℃であった。移動相は、A(0.5%ギ酸水溶液(v/v))およびB(アセトニトリル)であった。勾配は、以下のようにプログラミングした:最初の6分間は、Aを100%で維持し、6〜10分は、溶媒Bを0%から12%まで直線的に増加させ、10〜35分は、Bを12%から21%まで直線的に増加させ、35〜40分は、Bを21%から25%まで直線的に増加させ、40〜50分は、Bを100%まで直線的に増加させる。
【0119】
3種類の参照標準(カテキン、エピカテキンおよびtrans−桂皮アルデヒド)メタノールストック溶液を、標準化合物を秤量し、1mg/mlでメタノールに溶解することによって調製した。参照標準溶液を混合し、段階的に希釈し、最終濃度がそれぞれ0.75、0.5、0.1、0.05mg/mlの一連の溶液を得た。全てのストック溶液および作業溶液は7日以内に使用し、+4℃の冷蔵庫で保存し、使用前に室温に戻した。この溶液を使用し、桂皮中の化合物を同定し、定量した。(+)−カテキン(C)、(−)−エピカテキン(EC)およびtrans−桂皮アルデヒド(CAN)の保持時間は、それぞれ14.02分、15.22分および34.00分であった。0.01〜10μgの範囲で線形に沿った。回帰式および相関係数は、以下のとおりであった:(+)−カテキン:ピーク面積=465303×C(μg)−5701.4,R2=0.9996(N=6);(−)−エピカテキン:ピーク面積=124964×C(μg)−215.88,R2=0.9998(N=6);trans−桂皮アルデヒド:ピーク面積/100=69657×C(μg)−1162.1,R2=0.9997(N=6)。HPLCの結果を表9に示す。各サンプル中の参照標準の含有量は、ピーク面積に基づいて、対応する検量線から内挿によって算出した。
【0120】
【表9】
1理論段数は、以下のように算出した:N=16×(tR/w)2。tRは保持時間であり、wはピーク幅である。https://www.mn−net.com/web%5CMN−WEB−HPLCKatalog.nsf/WebE/GRUNDLAGEN。
【0121】
(GC−MS分析)
GC−MS分析は、Shimadzu製GCMS−QP2010システムを用いて行った。このシステムには、高速ガスクロマトグラフ、直接接続したGC/MSインターフェース、独立した温度コントローラがついた電子衝撃(EI)イオン源、四重極マスフィルターなどが備わっている。このシステムは、データ収集および実行後の分析についてはGCMS solution Ver.2ソフトウェアで制御されている。分離は、Agilent J&W DB−5石英ガラスキャピラリーカラム(30m×0.25mm i.d.,膜厚0.25μm)(カタログ:1225032,シリアル番号:US5285774H)を用い、以下の温度プログラムを用いて行った。初期温度は60℃であり、この温度で2分間維持し、4℃/分で120℃まで上昇させ、この温度で15分間維持し、4℃/分で240℃まで上昇させ、この温度で15分間維持し、全実行時間は77分間であった。サンプル注入温度は250℃であった。スプリットレスモードで、1分間にサンプル1μlをオートインジェクターで注入した。キャリアガスはヘリウムであり、流速は圧力60KPaで制御した。このような加圧下で、流速は1.03ml/分であり、線速度は37.1cm/分であった。MSイオン源の温度は230℃であり、GC/MSインターフェース温度は250℃であった。MS検出器は、走査速度1000AMU/秒でm/z50〜500を走査した。溶媒のカットオフ温度は3.5分であった。
【0122】
(合計フェノール酸のためのFolin−Ciocalteu法(Markar 1993))
Shimazu製UV−Vis分光光度計(UVプローブ付UV1700:S/N:A1102421982LP)を使用した。
【0123】
標準:
ストック没食子酸/水溶液を濃度1mg/mlで作成する。試験管に適切な量の没食子酸溶液を入れ、蒸留水で容積を0.5mlにし、Folin Ciocalteu試薬0.25mlを加え、次いで20重量%炭酸ナトリウム溶液1.25mlを加える。管を40分間十分に攪拌し(超音波浴で)、吸光度を725nmで記録する。データを表10に示す。
【0124】
【表10】
*没食子酸溶液の量は、吸光度の情報によるものである。
【0125】
(多糖類分析のための、Direct Analysis in Real Time(DART)質量分析)
装置:JOEL AccuTOF DART LC飛行時間型質量分析計(Joel USA,Inc.,Peabody,Massachusetts,USA)。この飛行時間型(TOF)質量分析技術は、サンプル調製を必要とせず、質量は0.00001質量単位まで正確に測定できる。
【0126】
方法:画分を捕捉し、分析するのに使用する装置の設定を以下に示す:陽イオンモードでは、DART針の電圧は3000Vであり、元素は250℃で加熱し、電極1は100V、電極2は250Vであり、ヘリウムガスの流速は7.45リットル/分(L/分)である。質量分析計の場合、オリフィス1は10Vであり、リングレンズは5Vであり、オリフィス2は3Vである。適切な60m/zで始まる解像力を得て、大きな質量範囲でも十分な解像度を得るために、ピーク電圧を600Vに設定する。マイクロチャンネルプレート検出器(MCP)の電圧を2450Vに設定する。サンプル導入前に、0.5Mカフェイン溶液標準(Sigma−Aldrich Co.,St.Louis,USA)を用いて毎朝較正を行う。較正許容値は≦5mmuである。
【0127】
滅菌ハサミでDARTヘリウムプラズマにサンプルを導入し、サンプル表面が最大限ヘリウムプラズマビームを受けるようにする。サンプルをビームに導入するために、走査作業を行う。この作業により、サンプルは、約0.5秒/走査の間、前後に繰り返し動き、サンプルの熱分解を防ぐことができる。適切な合計イオン流(TIC)の信号が検出器で観測されるまで、この動作が繰り返され、サンプルが取り除いて、ベースライン/バックグラウンドを正規化する。
【0128】
陰イオンモードの場合、DARTおよびAccuTOF MSを陰イオンモードのものに取り替える。針の電圧は3000Vであり、元素は250℃で加熱し、電極1は100V、電極2は250Vであり、ヘリウムガスの流速は7.45L/分である。質量分析計の場合、オリフィス1は−20Vであり、リングレンズは−13Vであり、オリフィス2は−5Vである。ピーク電圧は200Vである。MCP電圧を2450Vに設定する。サンプルを、陽イオンモードの場合と同じ様式で導入する。全データ分析は、装置とともに提供されたMassCenterMain Suiteソフトウェアを用いて行なう。
【0129】
(実施例1)
(工程1Aの実施例:1段階SFEによる、桂皮精油の最大抽出および精製)
(精油)
全てのSFE抽出は、圧力690barまで、温度200℃までに耐え得るように設計されたSFT 250(Supercritical Fluid Technologies,Inc.,Newark,Delaware,USA)で行った。この装置は、動的状態または静的状態のいずれでも操作できる柔軟性を有しており、超臨界条件で簡単に効率よく抽出することができる。この装置は、主にオーブン、ポンプおよびコントローラ、および収集モジュールの3つのモジュールからなる。オーブンは、1個のプレヒートカラムと、1個の100ml抽出容器とを備えている。ポンプモジュールは、300ml/分の一定流速能力を有する圧縮空気ポンプを備えている。収集モジュールは40mlガラスバイアルであり、抽出生成物を回収するために、キャップおよびセプタムで密閉されている。この装置には、マイクロメーターバルブと流速測定器とが備わっている。抽出容器の圧力および温度が監視されており、±3barおよび±1℃に維持される。
【0130】
典型的な実施例では、140メッシュのふるいにかけ、105μmより大きな粒径を有する桂皮樹皮粉末30gを、実験毎に抽出容器100mlに入れる。ガラスウールをカラムの両端に置き、固体物質が外に出ないようにする。オーブンを所望の温度まであらかじめ加熱しておき、その後に充填した容器を置いた。容器をオーブンに接続した後、抽出システムをCO2(約850psig)で加圧し、漏れ試験を行ない、パージした。システムを閉じ、空気圧型液体ポンプを用いて所望の抽出圧力まで加圧した。このシステムを約3分間放置し、平衡状態にした。サンプリングバイアル(40ml)を秤量し、サンプリングポートに接続した。CO2を速度約10SLPM(19g/分)で流し、抽出を開始した。CO2の速度は絞り弁で制御する。溶媒/供給比(中に入れた原材料の重量に対する、使用した合計CO2の重量比であると定義される)を算出した。抽出プロセス中、抽出されたサンプルを5分毎に秤量した。2回の測定間で、サンプルの重量の変化量が5%未満になったら、抽出が終了したものとした。収率は、抽出容器に入れた原材料の最初の合計重量に対する、抽出された精油の重量比であると定義した。全因子を考えた抽出法の設計は、80〜500barに対して温度40〜80℃で変えて行った。
【0131】
この実験例では、温度範囲40〜80℃、圧力範囲80〜500barで抽出条件を設定した。CO2流速は19g/分であった。結果を表11に示す。
【0132】
【表11】
(実施例2)
(工程1Bの実施例:桂皮精油の多段階SCCO2分画)
多段階SCCO2抽出/分画をSFT 250(Supercritical Fluid Technologies,Inc.,Newark,Delaware,USA)で行った。典型的な多段階抽出では、粉砕した桂皮樹皮30g(粒径は105μmより大きい)を、内容積100mlの抽出容器に入れた。抽出溶液を、抽出容器出口に取り付けた40mlの収集容器に集めた。CO2の流速を19g/分に設定した。第1の抽出工程は、圧力80barおよび温度40℃(CO2密度=0.29g/ml)で行った。この抽出工程を1時間行った。第2の抽出工程は、圧力100barおよび温度40℃(CO2密度=0.64g/ml)で行った。第2の抽出工程を1時間続けた。第3の抽出物工程は、圧力120barおよび温度40℃で1時間行った(CO2密度=0.72g/ml)。第4の抽出段階は、温度40℃および圧力300bar(CO2密度=0.92g/ml)で1時間行った。60℃および80℃でも、3段階の多段階抽出を行った。これを含む分析結果を表12に示しており、この表では、粗抽出物と多段階GC−MSデータとを同じSFE条件下で比較することができる。
【0133】
【表12】
多段階抽出の合計収率は、それぞれ原材料の重量に基づいて、各段階の収率を合計すると、40℃で約1.6重量%、60℃で約1.3重量%、80℃で約1.8重量%であった。これらの収率は、多段階プロセスで使用した溶媒−供給比が高かったため、1段階の粗抽出の収率よりも高かった。それ以外のデータには整合性がある。データから明らかなように、化学構成物質の化学化合物(例えばtrans−桂皮アルデヒド)の濃度は、これらの副次画分抽出生成物で変わってもよく、このことはSFEが桂皮精油の化学構成物質をプロファイリングすることができる能力を示している。
【0134】
【表13】
(実施例3)
(工程2の実施例 多糖類画分の抽出)
桂皮種に含まれる、水溶性でエタノール不溶性の精製された多糖類画分の溶媒抽出および化学構成成分の沈殿の典型的な実験例は以下のとおりである。60℃および300barでのSFE抽出から得た固体残留物20gを、蒸留水400mlを用いて、85℃で2時間、2段階で抽出した。2つの抽出溶液を合わせ、Fisherbrand P4濾紙(孔径4〜8μm)でスラリーを濾過し、2,000rpmで20分間遠心分離処理した。上清を集めた。Rotary evaporationを用い、透明な上清抽出溶液800mlを80mlになるまで濃縮した。次いで、無水エタノール1520mlを加え、最終エタノール濃度を95%にした。溶液を30分間放置すると、沈殿が見られた。抽出溶液を2,000rpmで20分間遠心分離処理し、上清をデカンテーションし、さらなる処理のために保存するか、または廃棄した。沈殿前および沈殿後の物質収支を出し、多糖類の収率を算出した。沈殿を集め、50℃のオーブンで12時間乾燥させた。乾燥した多糖類画分の重量を測定し、水に溶解し、参照標準としてデキストランを用いた比色法で多糖類の純度を分析した。さらに、AccuTOF−DART質量分析を用いて、多糖類画分の特性を決定した。結果を図6および図7および表14および表15に示す。
【0135】
【表14】
【0136】
【表15−1】
【0137】
【表15−2】
【0138】
【表15−3】
桂皮多糖類の収率は、元々の桂皮樹皮原料の1.3重量%であった。多糖類画分の純度は、290〜470mg/gデキストラン標準当量であり、このことは、この画分の桂皮多糖類化学構成物質の純度が95%を超えていることを示す。沈殿前と沈殿後で、溶液中の合計フェノール酸の分析値を比較すると、沈殿はフェノール酸になんら影響を与えていないようであった。多数および多種類の実験アプローチに基づいて、収率1.3%は、天然桂皮原料に含まれる水溶性でエタノール不溶性の多糖類のほぼ100%であると結論付けるのがきわめて妥当である。
【0139】
(実施例4)
(工程3の実施例:含水アルコール溶出による抽出)
桂皮種のフェノール酸化学構成物質の3段階溶媒抽出の典型的な実施例は、以下に示すとおりである。原料は、工程1の精油のSCCO2(40℃、300bar)抽出から得た、粉砕した桂皮樹皮SFE残留物2gであった。溶媒は、25%含水エタノール40mlであった。この方法では、原材料と、含水エタノール40mlとを、別々に100ml抽出容器に入れ、40℃の水浴で4時間混合した。粒子保持サイズ4〜8μmのFisherbrand P4濾紙で抽出溶液を濾過し、2000rpmで20分間遠心分離処理し、さらなる抽出のために粒子状残留物を使用した。収率の計算と、HPLC分析のために、濾液(上清)を集めた。段階1の残留物を2時間抽出し(段階2)、段階2の残留物を上述の方法を用いて2時間抽出した。物質収支、抽出物の桂皮アルデヒド(CND)、カテキン(C)およびエピカテキン(EC)HPLC分析のために上清を集めた。合計フェノール酸濃度(純度)を測定するためにFolin−Ciocalteuアッセイを用い、タンニン酸純度を測定するためにタンパク質沈殿法を用いた。結果を表16に示す。
【0140】
【表16】
注:
1.CND=trans−桂皮アルデヒド;C=(+)−カテキン;EC=(−)−エピカテキン;TPA=合計フェノール酸;TA=タンニン酸。
【0141】
2.CND、C、ECをHPLCで分析し、TPAを、Folin−Ciocalteu法で没食子酸を標準として用いて分析し、TAをタンパク質沈殿法で分析した。
【0142】
Folin−Ciocalteu法を検証するために、既知のフェノール酸、ケムフェロール(kaempherol)、カフェ酸、カテキンを濃度1mg/mlで試験した。ケムフェロールおよびカテキンを測定する際の実験誤差は2〜4%であり、カフェ酸の場合は約10%であった。それに加えて、ある参考文献(Sindhu 2006)では、合計フェノール酸を彼らの方法で抽出し、その結果は289±2.2mg没食子酸/g抽出物であり、本件の結果とかなり近い。
【0143】
(実施例5)
(工程4の実施例 精製されたポリフェノール酸画分のアフィニティー吸着による抽出)
典型的な実験では、作業溶液は、桂皮種を工程3の含水エタノール溶出した抽出物の透明含水アルコール溶液であった。アフィニティー吸着ポリマー樹脂はSephadex LH−20であった。アフィニティー吸着剤6gは、内径1.5cm、長さ100cmのカラムに充填する前に、95%エタノール(4〜5BV)であらかじめ洗浄しておいた。充填したカラムの容積は25mlであった。桂皮の25%エタノール段階I抽出物100ml+段階II抽出物の溶液(サンプル溶液2.4mg/ml)をロータリーエバポレーターで1mlになるまで濃縮し、溶媒を除去した。次いで、この濃縮した溶液に無水エタノール19mlを加え、化学構成物質を溶解させた。この溶液を2000rpmで10分間遠心分離処理し、上清を集め、最終的なポリフェノールローディング溶液(11mg/ml)とした。ローディング溶液12mlをカラムに入れた。ローディング溶液を入れたカラムを95%エタノール240mlで流速2.4BV/時間(1ml/分)で溶出時間100分間溶出させた。溶出中、8個の非タンニンポリフェノール画分(溶出画分F1〜F8と称する)を30ml溶出するごとに集めた。集めた画分で吸光が検出されなくなるまで、UV分光光度計で280nmで各画分を試験した。カラムを70%含水アセトン70mlで洗浄し、アフィニティー吸着剤に吸着したタンニンポリフェノールを流速5BV/時間(2.1ml/分)で集めた。タンニン洗浄溶液を破棄した。最後に、カラムを95%エタノール4〜5BVで洗浄し、さらなる処理を行うカラムを準備するために、任意の残った化学不純物を除去した。各ポリフェノール溶出画分を集め、分析し、結果を表17に示す。
【0144】
【表17】
*溶出物1には化学構成物質が存在せず、溶媒のみであったため、表から除外した。
【0145】
(実施例6)
以下の成分を以下の配合で混合する。
【0146】
C.cassia樹皮の抽出物 150.0mg
精油画分(10mg、乾燥重量6.6%)
ポリフェノール画分(100mg、乾燥重量66.7%)
多糖類(40mg、乾燥重量26.6%)
ステビオシド(Stevia抽出物) 12.5mg
カルボキシメチルセルロースラクトース 35.5mg
ラクトース 77.0mg
合計 275.0mg。
【0147】
桂皮種の新規抽出物は、精油画分、フェノール酸−精油画分および多糖類画分を含み、これらの重量%は天然根茎材料または従来の抽出生成物よりも大きい。任意の経口投薬形態で配合物を作ることができ、所望な生理学的効果および心理学的効果(脳機能の増強および鎮痛作用)および医学的効果(インスリン非依存性糖尿病、抗血小板凝集および抗血栓、心血管および脳血管の疾患予防および治療、抗アテローム性動脈硬化症、抗高コレステロール血症、心臓の保護、神経系の保護、抗炎症、抗アレルギー、抗関節炎、抗リウマチ症、抗通風、胃腸管障害、咳、風邪、発熱、脂肪分解、創傷治癒の促進、抗細菌、抗真菌および抗癌)のために必要な場合、1日1回または1日に15回まで投与することができる。
【0148】
(実施例7)
以下の成分を以下の配合で混合する。
【0149】
C.cassia樹皮の抽出物 150.0mg
精油画分(60mg、乾燥重量40%)
ポリフェノール画分(30mg、乾燥重量20%)
多糖類(60.0mg、乾燥重量40%)
ビタミンC 15.0mg
スクラロース 35.0mg
緑豆粉末10:1 50.0mg
モカフレーバー 40.0mg
チョコレートフレーバー 10.0mg
合計 300.0mg。
【0150】
cinnamon chuangxiongの新規抽出物は、精油画分、フェノール酸−精油画分および多糖類化学構成物質を含み、これらの重量%は天然根茎材料または従来の抽出生成物よりも大きい。任意の経口投薬形態で配合物を作ることができ、所望な生理学的効果、心理学的効果および医学的効果(上の実施例1を参照)のために必要な場合、毎日または1日に15回まで投与することができる。
【0151】
参考文献
【0152】
【化2】
【0153】
【化3】
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】図1は、桂皮抽出プロセスの例示的な模式図を示す。
【図2】図2は、精油画分を調製する例示的な方法を示す。
【図3】図3は、多糖類画分を調製する例示的な方法を示す。
【図4】図4は、溶媒溶出による抽出の例示的な方法を示す。
【図5】図5は、精製ポリフェノール画分の例示的な調製方法を示す。
【図6】図6は、桂皮多糖類のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図7】図7は、桂皮多糖類のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図8】図8は、桂皮樹皮のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図9】図9は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した桂皮樹皮の粗抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図10】図10は、75%EtOH抽出溶媒を用いた桂皮樹皮HS#147の粗抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図11】図11は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F3のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図12】図12は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F4のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図13】図13は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F5のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図14】図14は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F6のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図15】図15は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F7のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図16】図16は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F8のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図17】図17は、桂皮樹皮のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図18】図18は、75%EtOH抽出溶媒を用いた桂皮樹皮HS#147の粗抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図19】図19は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した桂皮樹皮の粗抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図20】図20は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F3のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図21】図21は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F4のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図22】図22は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F5のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図23】図23は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F6のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図24】図24は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F7のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図25】図25は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F8のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図26】図26は、Mountain Rose Herbsから商業的に購入した桂皮スティックのAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図27】図27は、40℃、100barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図28】図28は、40℃、300barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図29】図29は、40℃、500barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図30】図30は、60℃、100barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図31】図31は、60℃、300barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図32】図32は、60℃、500barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図33】図33は、80℃、100barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図34】図34は、80℃、300barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図35】図35は、80℃、500barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図36】図36は、粗桂皮を80%EtOHで溶出した抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図37】図37は、粗桂皮のSCCO2抽出物から得た残留物を80%EtOHで溶出した抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図38】図38は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F4のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図39】図39は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F5のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図40】図40は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F6のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図41】図41は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F7のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図42】図42は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F8のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図43】図43は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F9のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図44】図44は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F10のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図45】図45は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F11のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図46】図46は、HS114から得た桂皮粗抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図47】図47は、HS114(SCCO2)から得た桂皮粗抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図48】図48は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F4のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図49】図49は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F5のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図50】図50は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F6のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図51】図51は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F7のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図52】図52は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F8のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図53】図53は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F9のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図54】図54は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F10のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図55】図55は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F11のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図56】図56は、Mountain Rose Herbsから商業的に購入した桂皮スティックのAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図57】図57は、40℃、100barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図58】図58は、40℃、300barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図59】図59は、40℃、500barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図60】図60は、60℃、100barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図61】図61は、60℃、300barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図62】図62は、60℃、500barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図63】図63は、80℃、100barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図64】図64は、80℃、300barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図65】図65は、80℃、500barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図66】図66は、粗桂皮を80%EtOHで溶出した抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図67】図67は、粗桂皮のSCCO2抽出物から得た残留物を80%EtOHで溶出した抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図68】図68は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F4のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図69】図69は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F5のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図70】図70は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F6のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図71】図71は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F7のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図72】図72は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F8のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図73】図73は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F9のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図74】図74は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F10のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図75】図75は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F11のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図76】図76は、HS114から得た桂皮粗抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図77】図77は、HS114(SCCO2)から得た桂皮粗抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図78】図78は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F4のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図79】図79は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F5のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図80】図80は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F6のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図81】図81は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F7のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図82】図82は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F8のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図83】図83は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F9のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図84】図84は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F10のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図85】図85は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F11のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、2006年3月23日に出願された米国仮特許出願第60/785,012号および2006年12月7日に出願された同第60/873,475号(これらは、その全体が参考として本明細書に援用される)への優先権の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、部分的には、精油の含有量が高く、フェノール酸の含有量が高く、プロアントシアニジンの含有量が高く、および/または多糖類の含有量が高い桂皮種から誘導される抽出物に関し、このような抽出物の調製方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
桂皮(Cinnamomum zeylanicumまたはverum,C.aromaticumおよびC.cassia)は、熱帯の南インドおよびスリランカ原産の高さが10〜15mの低木常緑樹であり、海面から高度900mまでで生育する。樹皮はでこぼこしていて分厚く、枝は強い。若い茎には緑がかった橙色の斑点がある。葉は有柄葉であり、成長すると固くなり、上側は明るい緑色であり、下側は淡い緑色である。葉はスパイスのような香りがあり、味は辛い。果実は卵形の実であり、ブラックベリーよりも大きく、花托はドングリに似ている。果実は、熟すと、表面に白い斑点を有する青みがかった色の実になり、味はジュニパーに似ており、テレビン(terebine)の香りがする。煮ると油状物質が得られ、これは桂皮スエットと呼ばれる。根と樹皮は桂皮の香りがし、味はショウノウに似ており、これは蒸留によって単離することができる。桂皮種の薬効部分である「桂皮」は、乾燥樹皮からなり、桂皮種のコルク組織およびその下にある若い枝および茎の柔組織から分離される。
【0004】
桂皮種は、インド洋の島および南アジアから輸入され、現在では、スリランカおよびインド沿岸水域で広く栽培されている。スリランカは主要な生産国であるが、実質的な桂皮の生産は、インド、マレーシア、マダガスカルおよびセイシェル共和国で行われている。桂皮樹皮は、数千年にわたって、従来の東洋医学および西洋医学で使用されてきた。漢方(TCM)のエネルギー理論によれば、桂皮は、体内の火を補うように作用し、脾臓および腎臓を温め、整えることによって、胸部痛および腹痛、無力症による下痢および腎臓の機能低下に有効であるとされている。桂皮生薬は、TCM、伝統的なギリシャ−ヨーロッパの医薬および伝統的なインドアユルヴェーダ医薬およびウナニ医薬では、駆風薬、消化薬または健胃薬として使用されている。ドイツコミッションEは、食欲減退および消化不良の愁訴(例えば、胃腸管の軽い痙攣、腫脹および鼓腸)に対する内服使用を承認した。米国およびドイツ国では、桂皮は、薬草化合物の駆風成分および健胃成分として、水性注入液または煎じ液、アルコール液抽出物またはチンキ剤および精油を含む投薬形態で使用されている。桂皮は、複数の薬草を含む咳止め薬、風邪薬および発熱薬の成分でもある。さらに最近では、2型糖尿病(NIDDM−インスリン非依存性糖尿病)、抗酸化活性、抗血小板凝集活性、抗炎症活性、抗菌活性および抗真菌活性および脳機能の増強への桂皮の使用が、科学的な証拠によって支持された。非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18;非特許文献19;非特許文献20;非特許文献21を参照。
【0005】
桂皮樹皮の化学構成物質としては、精油(揮発性および非揮発性)、ポリフェノール酸、クマリン、ゴム、muscilage、樹脂、炭化水素(デンプン、多糖類)および灰分が挙げられる(表1)。商業的観点および生物学的観点から,精油(特に、桂皮アルデヒドおよびテルペン)およびポリフェノール酸(特に、フラボノール配糖体−プロアントシアニジンおよびフラボノイド)は、従来から、他の構成物質よりも重要であると考えられてきた。ポリフェノール化合物は、1個以上の芳香環に2個以上のヒドロキシル基(OH)を含有する。ポリフェノールおよび特定のフラボノイドの物理的性質および化学的性質、分析および生体活性については、何年も研究されている。しかし、他の化学構成物質(例えば多糖類)も、生物学的に重要な有益な効果を有する。あらゆる植物と同様に、桂皮樹皮の化学組成は、種、収穫年、天候、土壌および栽培状態によって変わる。
【0006】
表1.桂皮樹皮の主要な化学構成物質
化学構成物質 乾燥重量%
精油 1〜4%
揮発性油
Trans−桂皮アルデヒド (60〜80%)
ベンズアルデヒド
2’−ヒドロキシ桂皮アルデヒド
2−メトキシ桂皮アルデヒド
2’−ベンゾキシ桂皮アルデヒド
オイゲノール (10%まで)
Trans−桂皮酸 (5〜10%)
酢酸シンナミル
シンナミルアルコール
リナロール
1,8−シネオール
モノテルペンおよびセスキテルペン (1〜3%)
α−ピネン
β−ピネン
ボルネオール
ポリフェノール 5〜10%
フラボノール配糖体
ケンフェリトリン
ケンフェロール 3−O−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−L−ラムノピラノシド
ケンフェロール 3−O−β−D−アピオフラノシル−(1→2)−α−L−ラムノピラノシド
ケンフェロール 3−O−β−D−アピオフラノシル−(1→4)−α−L−ラムノピラノシド
フラボノイド
メチルヒドロキシカルコン
カテキン
エピカテキン
アントシアニジン
カテキン/エピカテキンオリゴマー
3−(2−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸
3−(2−ヒドロキシフェニル)−O−配糖体
プロアントシアニジン
濃縮タンニン
カルシウム−モノテルペン酒石酸塩
ゴム
粘液
樹脂
炭水化物 80〜90%
デンプン
多糖類
灰分。
【非特許文献1】Khan Aら,Diabetes Care(2003)26:3215−3218
【非特許文献2】Anderson RAら,J Agric Food Chem(2004)52:65−70
【非特許文献3】Jarville−Taylorら,J Am Coll Nutri(2001)20:327−336
【非特許文献4】Qin Rら,Horm Metab Res(2004)36:119−123
【非特許文献5】Vespohl EJら,Phytother Res(2005)19:203−206
【非特許文献6】Lee SHら,Biochem Pharmacol(2005)69:791−9
【非特許文献7】Chericoni Sら,J Agric Food Chem(2005)53:4762−4765
【非特許文献8】Lin CCら,Phytother Res(2003)17:7260730
【非特許文献9】Jayaprakasha GKら,J Agric Food Chem(2003)51:4344−4348
【非特許文献10】Huss Uら,J Nat Prod(2002)65:1517−21
【非特許文献11】Nagai Hら,Jpn J Pharmacol(1982)32:813−822
【非特許文献12】Su MJら,J Biomed Sci(1999)6:376−386
【非特許文献13】Shimada Yら,Phytomed(2004)11:404−410
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【非特許文献15】Kamath JVら,Phytother Res(2003)17:970−972
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【非特許文献18】Tabak Mら,J Ethnopharmacol(1999)67:269−277
【非特許文献19】Kong LDら,J Ethnopharmacol(2000)73:199−207
【非特許文献20】Kwon BMら,Arch Pharm Res(1998)21:147−152
【非特許文献21】Ka Hら,Cancer Lett(2003)196:143−152
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(要旨)
1つの局面では、本発明は、図6〜85のいずれかのDirect Analysis in Real Time(DART)質量分析クロマトグラムを有する画分を含む、桂皮種抽出物に関する。
【0008】
さらなる実施形態では、前記画分は、桂皮アルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナミルアルコール、trans−桂皮酸、酢酸シンナミル、精油、ポリフェノール、多糖類およびこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物を含む。
【0009】
さらなる実施形態では、前記画分は、約2重量%を超える量の桂皮アルデヒドを含む。さらなる実施形態では、前記画分は、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%または約95重量%を超える量の桂皮アルデヒドを含む。さらなる実施形態では、前記画分は、桂皮アルデヒドを約65重量%〜約95重量%含む。
【0010】
さらなる実施形態では、前記画分は、オイゲノール、2’−ヒドロキシ桂皮アルデヒド、2−メトキシ桂皮アルデヒド、2’−ベンゾキシ桂皮アルデヒド、リナロール、1,8−シネオール、α−ピネン、β−ピネンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される精油を含む。さらなる実施形態では、前記画分は、精油を約1重量%〜約5重量%含む。さらなる実施形態では、前記画分は、桂皮アルデヒドと精油とを合わせて約5重量%〜約40重量%含む。
【0011】
さらなる実施形態では、前記画分は、フラボノイド、フラボノール配糖体およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリフェノールを含む。さらなる実施形態では、フラボノイドは、3−(2−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸、3−(2−ヒドロキシフェニル)−O−配糖体、アントシアニジン、エピカテキン(epitcatechin)、カテキン、メチルヒドロキシカルコン、カテキンオリゴマー、エピカテキンオリゴマー、オリゴマープロアントシアニジン、ポリマープロアントシアニジンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される。さらなる実施形態では、フラボノール配糖体は、ケンフェリトリン(kaempferitrin)、ケンフェロール(kaempferol)3−O−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−L−ラムノピラノシド、ケンフェロール 3−O−β−D−アピオフラノシル−(1→2)−α−L−ラムノピラノシド、ケンフェロール 3−O−β−D−アピオフラノシル−(1→4)−α−L−ラムノピラノシドおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される。さらなる実施形態では、前記画分は、ポリフェノールを約20重量%〜約70重量%含む。さらなる実施形態では、前記画分は、桂皮アルデヒド約6重量%と、ポリフェノール約70重量%とを含む。さらなる実施形態では、前記画分は、桂皮アルデヒド約40重量%と、ポリフェノール約20重量%とを含む。
【0012】
さらなる実施形態では、前記画分は、グルコース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、キシロースウロン酸およびこれらの組み合わせからなる群から選択される多糖類を含む。さらなる実施形態では、前記画分は、多糖類を約30重量%含む。
【0013】
別の局面では、本発明は、本発明の桂皮種抽出物を含む食品または医薬に関する。
【0014】
別の局面では、本発明は、桂皮種植物材料を連続的に抽出し、精油画分、非タンニンポリフェノール画分および多糖類画分を得る工程を含み、この工程が、(a)超臨界二酸化炭素抽出によって桂皮種植物材料を抽出し、精油画分および第1の残留物を得る工程と、(b)桂皮種植物材料または工程(a)の第1の残留物を熱水によって抽出し、多糖類画分と第2の残留物を得る工程と、(c)桂皮種植物材料、工程(a)の第1の残留物および/または工程(b)の第2の残留物の物質を含水アルコール(hydro−alcoholic)溶液で抽出し、アフィニティー吸着プロセスを用いて精製し、非タンニンポリフェノール画分を得る工程とによる、桂皮種抽出物の調製方法に関する。
【0015】
さらなる実施形態では、工程(a)は、(1)抽出容器に粉砕した桂皮種植物材料を置く工程と、(2)超臨界条件で二酸化炭素を加える工程と、(3)前記粉砕した桂皮樹皮と前記二酸化炭素とを所定時間接触させる工程と、(4)精油画分を回収容器に集める工程とを含む。さらなる実施形態では、前記超臨界条件は、35℃〜90℃、圧力60bar〜800barの条件を含む。さらなる実施形態では、前記超臨界条件は、40℃〜80℃、圧力60bar〜500barの条件を含む。さらなる実施形態では、前記所定時間は、30分〜2.5時間である。さらなる実施形態では、前記所定時間は1時間である。さらなる実施形態では、超臨界二酸化炭素分画分離システムは、前記精油画分を分画、精製およびプロファイリングするために用いられる。
【0016】
さらなる実施形態では、工程(b)は、(1)粉砕した桂皮種植物材料または工程(a)の第1の残留物と水溶液とを、多糖類の化学構成物質を抽出するのに十分な時間接触させる工程と、(2)アルコール沈殿によって溶液から固体多糖類を分離し、精製する工程とを含む。さらなる実施形態では、前記水溶液は80℃〜100℃である。さらなる実施形態では、前記水溶液は80℃〜90℃である。さらなる実施形態では、前記時間は1〜5時間である。さらなる実施形態では、前記時間は2〜4時間である。さらなる実施形態では、前記時間は2時間である。さらなる実施形態では、前記アルコールはエタノールである。
【0017】
さらなる実施形態では、工程(c)は、(1)桂皮種植物材料、工程(a)の第1の残留物および/または工程(b)の第2の残留物と、含水アルコール溶液とを、ポリフェノールの化学構成物質を抽出するのに十分な時間接触させる工程と、(2)含水アルコール溶媒混合物から抽出したポリフェノールの化学構成物質の濃縮アルコール溶液をアフィニティー吸着樹脂カラムに通し、ポリフェノール酸が吸着される工程と、(3)精製した非タンニンポリフェノールの化学構成物質画分をアフィニティー吸着樹脂から溶出させ、アフィニティー吸着樹脂にタンニンポリフェノールを吸着させたままにする工程とを含む。
【0018】
さらなる実施形態では、前記含水アルコール溶液はエタノールおよび水を含み、エタノールの濃度は10〜95重量%である。さらなる実施形態では、前記含水アルコール溶液はエタノールおよび水を含み、エタノールの濃度は25重量%である。さらなる実施形態では、工程(1)は30℃〜100℃で行われる。さらなる実施形態では、工程(1)は60℃〜100℃で行われる。さらなる実施形態では、前記時間は1〜10時間である。さらなる実施形態では、前記時間は1〜5時間である。さらなる実施形態では、前記時間は2時間である。
【0019】
別の局面では、本発明は、本発明の方法によって調製される桂皮種抽出物に関する。
【0020】
別の局面では、本発明は、桂皮アルデヒドと、桂皮アルデヒドの1〜5重量%の桂皮酸と、桂皮アルデヒドの5〜15重量%のメチル桂皮酸と、桂皮アルデヒドの1〜5重量%のシンナミルアルコールと、桂皮アルデヒドの20〜30重量%のβ−グアネレン(gualenen)/cis−γ−ビスアバボレン(bisababolene)と、桂皮アルデヒドの1〜5重量%のピロガロールとを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0021】
別の局面では、本発明は、ピロガロールと、ピロガロールの80〜90重量%の桂皮酸と、ピロガロールの85〜95重量%のメチル桂皮酸と、ピロガロールの20〜30重量%のクマリン酸と、ピロガロールの15〜25重量%のホモバニリン酸と、ピロガロールの85〜95重量%桂皮アルデヒドと、ピロガロールの10〜15重量%の安息香酸ベンジルとを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0022】
別の局面では、本発明は、カテキンと、カテキンの5〜15重量%の桂皮酸と、カテキンの5〜15重量%のメチル桂皮酸と、カテキンの5〜15重量%のクマリン酸と、カテキンの1〜10重量%のフェルラ酸と、カテキンの1〜5重量%の2−メトキシフェノールと、カテキンの5〜15重量%のホモバニリン酸と、カテキンの20〜30重量%のバニリン酸と、カテキンの1〜5重量%のベンズアルデヒドと、カテキンの35〜45重量%の桂皮アルデヒドと、カテキンの85〜95重量%のピロガロールと、カテキンの15重量%までのカフェ酸とを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0023】
別の局面では、本発明は、β−グアネレン/cis−γ−ビスアバボレンと、β−グアネレン/cis−γ−ビスアバボレンの5〜15重量%の桂皮アルデヒドとを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0024】
別の局面では、本発明は、桂皮アルデヒドと、桂皮アルデヒドの10〜20重量%のβ−グアネレン/cis−γ−ビスアバボレンとを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0025】
別の局面では、本発明は、桂皮アルデヒドと、桂皮アルデヒドの30〜40重量%のピロガロールと、桂皮アルデヒドの1〜10重量%のカテキン/エピカテキンとを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0026】
別の局面では、本発明は、桂皮アルデヒドと、桂皮アルデヒドの1〜5重量%の桂皮酸と、桂皮アルデヒドの0.5〜5重量%のメトキシ桂皮アルデヒドと、桂皮アルデヒドの0.1〜5重量%のオイゲノールと、桂皮アルデヒドの1〜5重量%のp−シメンと、桂皮アルデヒドの0.1〜5重量%のショウノウと、桂皮アルデヒドの0.5〜5重量%のカルバクロールと、桂皮アルデヒドの25〜35重量%のカリオフィレン/フムレンと、桂皮アルデヒドの0.1〜5重量%のピロガロールと、桂皮アルデヒドの40〜50重量%の桂皮酸シンナミルとを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0027】
別の局面では、本発明は、桂皮酸シンナミルと、桂皮酸シンナミルの0.5〜5重量%のメトキシ桂皮アルデヒドと、桂皮酸シンナミルの0.1〜5重量%のシンナミルアルコールと、桂皮酸シンナミルの1〜5重量%のp−シメンと、桂皮酸シンナミルの0.1〜5重量%のリナロールと、桂皮酸シンナミルの0.1〜5重量%のショウノウと、桂皮酸シンナミルの0.5〜5重量%のカルバクロールと、桂皮酸シンナミルの70〜80重量%の桂皮アルデヒドと、桂皮酸シンナミルの45〜55重量%のカリオフィレン/フムレンと、桂皮酸シンナミルの0.1〜5重量%のピロガロールとを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0028】
別の局面では、本発明は、ピロガロールと、ピロガロールの5〜10重量%の桂皮酸と、ピロガロールの60〜70重量%のクマリン酸と、ピロガロールの1〜10重量%のフェルラ酸と、ピロガロールと、ピロガロールの5〜15重量%の2−メトキシフェノールと、ピロガロールの1〜10重量%のバニリン酸と、ピロガロールの30〜40重量%のカテキン/エピカテキンと、ピロガロールの1〜5重量%のベンズアルデヒドと、ピロガロールの5〜15重量%のアフゼレキン(afzelechin)/エピアフゼレキン(epiafzelechin)と、ピロガロールの1〜10重量%のレスベラトロルと、ピロガロールの1〜5重量%のバニリンとを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0029】
別の局面では、本発明は、ピロガロールと、ピロガロールの0.5〜5重量%の桂皮酸と、ピロガロールの10〜20重量%のクマリン酸と、ピロガロールの0.5〜5重量%のフェルラ酸と、ピロガロールの1〜5重量%の2−メトキシフェノールと、ピロガロールの0.5〜5重量%のホモ/イソバニリン酸と、ピロガロールの1〜10重量%のバニリン酸と、ピロガロールの25〜35重量%のカテキン/エピカテキンと、ピロガロールの1〜5重量%のベンズアルデヒドと、ピロガロールの1〜5重量%の桂皮アルデヒドと、ピロガロールの0.1〜5重量%のアフゼレキン(afzelechin)/エピアフゼレキン(epiafzelechin)と、ピロガロールの65〜75重量%のバニリンとを含む、桂皮種抽出物に関する。
【0030】
本開示の抽出物は、限定されないが、抗酸化活性、酸素遊離ラジカル捕捉活性、ニトロソ化阻害活性、抗変異原性活性(癌予防活性)、抗発癌活性(癌治療活性)、皮膚保護活性、老化防止活性、抗心疾患活性、抗卒中疾患活性および治療、脳の保護活性、抗脂質異状症活性、抗歯周病活性、抗骨粗鬆症活性、免疫増強活性、抗ウイルス活性、抗HIV活性および抗菌活性、抗真菌活性、抗ウイルス活性、体重コントロールおよび熱産生、抗糖尿病活性および不安の低減、気分高揚および認識促進を含む生理学的効果および薬効を与えるのに有用である。
【0031】
本開示の実施形態、他の実施形態およびそれらの特徴および特性は、以下の記載、図面および特許請求の範囲から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(発明の詳細な説明)
定義
本明細書で使用される場合、桂皮は、Cinnamomum種の植物物質から誘導された樹皮植物材料を指す。用語「桂皮」は、桂皮種と相互交換可能に使用され、桂皮植物、クローン、改変体およびスポーツ(sport)などに関する。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「1つ以上の化合物」は、少なくとも1つの化合物を意味し、例えば、限定されないが、trans−桂皮アルデヒド(桂皮種の脂溶性の精油化学構成物質)またはメチルヒドロキシカルコン(桂皮種の水溶性ポリフェノール)または桂皮種の多糖類分子であることが意図されているか、または2つ以上の化合物(例えば、trans−桂皮アルデヒドおよびメチルヒドロキシカルコン)であることが意図されている。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「画分」は、特定の物理的性質および/または化学的性質によって特徴付けられる特定の化学化合物群を含む抽出物を意味する。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「精油画分」は、桂皮および関連種から得られるかまたは誘導される、脂溶性で水不溶性の化合物を含む画分を指し、限定されないが、trans−桂皮アルデヒドと分類される化学化合物を含むものが挙げられる。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「精油副次画分」は、桂皮および関連種から得られるかまたは誘導される、脂溶性で水不溶性の化合物を含む画分を指し、限定されないが、桂皮種の精油中に見られる特定の化合物の濃度が高められた、trans−桂皮アルデヒドに分類される化学化合物を含むものが挙げられる。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「ポリフェノール画分」は、桂皮および関連種から得られるかまたは誘導される、水溶性でエタノール可溶性のポリフェノール酸化合物を含み、限定されないが、メチルヒドロキシカルコンおよびカテキンおよびエピカテキンオリゴマーのような化合物をさらに含む画分を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「多糖類画分」は、桂皮および関連種から得られるかまたは誘導される、可溶性でエタノール不溶性の多糖類化合物を含む画分を指す。
【0039】
桂皮の他の化学構成物質が、上述の抽出画分中に存在してもよい。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「精製された」画分は、特定の物理化学的性質または物理的性質または化学的性質によって特徴付けられる特定の化合物群を、前記画分の化学構成物質の20%を超える濃度で含む画分に関する。言い換えると、精製された画分は、この画分を規定する特定の物理化学的性質または物理的性質または化学的性質によって特徴付けられない化学構成物質化合物の含有量が80%未満である。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「プロフィール」は、抽出画分または副次画分に含まれる化学化合物の重量%比、または最終的な桂皮抽出物中の3種の桂皮画分の化学構成物質それぞれの重量%比を指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、「原料」は、一般的に、植物全体を単独で含むか、または葉、根(限定されないが、主根、根の先端部分(tail root)および根繊維を含む)、茎、樹皮、葉、種子および花を含む植物の1つ以上の構成物質部分の組み合わせを含む未加工の植物材料を指し、植物または構成物質部分は、生の材料、乾燥した材料、蒸した材料、加熱または他の物理的プロセスで加工し、加工しやすくした材料を含んでもよく、これらは、さらに、原形のままの原料、切り刻んだ原料、さいの目状に切った原料、製粉した原料、粉砕した原料、または植物材料の大きさおよび物理的一体性に影響を与える他の方法で加工した材料をさらに含んでもよい。時に、用語「原料」は、さらなる抽出プロセスの供給源として使用する抽出生成物を特定するために使用されてもよい。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「桂皮構成物質」は、桂皮種で見られる化学化合物を意味し、上に定義されたあらゆる化学化合物ならびに桂皮種で見られる他の化合物(限定されないが、精油化学構成物質、ポリフェノール酸および多糖類が挙げられる)を含む。
【0044】
桂皮の化学構成物質は、広範囲にわたって治療的な価値がある。近年の科学研究および臨床試験によって、以下の桂皮の種々の化学化合物、化学画分および抽出物全体について、以下に示す治療効果が示されている:NIDDM−2型糖尿病(プロアントシアニジン、メチルヒドロキシカルコン、カテキンおよびエピカテキンオリゴマー、フラボノイド、水溶性抽出物);低密度リポタンパク質の減少を含むコレステロール代謝の向上(プロアントシアニジン、メチルヒドロキシカルコン、カテキン、エピカテキンオリゴマー、フラボノイドを含むフェノール酸、水溶性抽出物);動脈損傷を引き起こす遊離ラジカルへの耐性および微小血管の機能向上(精油、桂皮アルデヒド、2’−ヒドロキシ桂皮アルデヒド、2’−メトキシ桂皮アルデヒド、フェノール酸、フラボノイド配糖体、プロアントシアニジン、フラボノイド、カテキン、エピカテキンオリゴマー、抽出物);抗血栓および抗血小板凝集(精油、桂皮アルデヒド);抗炎症活性(精油、桂皮アルデヒド、オイゲノール、1,8−シネオール、α−ピネン、β−ピネン、ボルネオール、フラボノール配糖体、抽出物);抗酸化(フェノール酸、フラボノール配糖体、プロアントシアニジン、フラボノイド、水溶性抽出物);抗アレルギー(フェノール酸、フラボノール配糖体、プロアントシアニジン、フラボノイド、水溶性抽出物);神経保護剤(水溶性抽出物);心臓結果保護剤(精油、水溶性抽出物);脳機能の増強(精油、特に揮発性油);駆風薬、食欲減退および消化不良の愁訴、嘔吐抑制、膨満および鼓脹の防止、腸運動の促進、体重減少の促進(フラボノイド、3−(2−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸、3−(2−ヒドロキシフェニル)−O−配糖体、水溶性抽出物);咳止め薬、風邪薬および発熱薬(精油、酢酸シンナミル);抗菌活性および抗真菌活性(精油、桂皮アルデヒド、オイゲノール、1,8−シネオール、β−ピネン、ボルネオール);脂肪分解および創傷治癒の促進(エタノール抽出物);および抗癌および抗通風(精油、桂皮アルデヒド、2’−ヒドロキシ桂皮アルデヒド、2’−ベンゾキシ桂皮アルデヒド、メタノール抽出物);Khan Aら,Diabetes Care 26:3215−3218,2003;Anderson RAら,J Agric Food Chem 52:65−70,2004;Jarville−Taylorら,J Am Coll Nutri 20:327−336,2001;Qin Rら,Horm Metab Res 36:119−123,2004;Vespohl EJら,Phytother Res 19:203−206,2005;Lee SHら,Biochem Pharmacol 69:791−9,2005;Chericoni Sら,J Agric Food Chem 53:4762−4765,2005;Lin CCら,Phytother Res 17:7260730,2003;Jayaprakasha GKら,J Agric Food Chem 51:4344−4348,2003;Huss Uら,J Nat Prod 65:1517−21,2002;Nagai Hら,Jpn J Pharmacol 32:813−822,1982;Su MJら,J Biomed Sci 6:376−386,1999;Shimada Yら,Phytomed 11:404−410,2004;Taher Mら,Med J Malayia 59B:97−98,2004;Kamath JVら,Phytother Res 17:970−972,2003;Kurokawa Mら,Eur J Pharmacol 348:45−51,1998;Simic Aら,Phytother Res 18:713−717,2004;Tabak Mら,J Ethnopharmacol 67:269−277,1999;Kong LDら,J Ethnopharmacol 73:199−207,2000;Kwon BMら,Arch Pharm Res 21:147−152,1998;Ka Hら,Cancer Lett 196:143−152,2003らを参照。
【0045】
アントシアニンは、多くの果物、野菜、穀物および花の赤色、紫色および青色のもととなる天然に存在する特定のフラボノイド化合物群である。例えば、果物(例えば、ブルーベリー、ビルベリー、ストロベリー、ラズベリー、ボイセンベリー、マリオンベリー、クランベリー、エルダーベリーなど)の色は、多くの異なるアントシアニンによるものである。近年、食用酸化防止剤としての健康効果のため、アントシアニン顔料に対する関心が高まってきている。例えば、ビルベリー(Vaccinium myrtillus)のアントシアニン顔料は、視力の向上、循環障害の治療に長い間使用されてきた。特定のアントシアニンおよび他のフラボノイドが抗炎症性を有するという実験による証拠が得られている。さらに、経口投与されたアントシアニンが、糖尿病および潰瘍の治療に有益であり、抗菌活性を有することが報告されている。フラボノイドがこのような望ましい性質を有することは、化学的にはこの物質の酸化防止能に関係があると考えられている。従って、ベリーおよび他の果実および野菜に関連する酸化防止特性は、そのアントシアニン含有量に起因する。
【0046】
プロアントシアニジンは、「オリゴマープロアントシアニジン」、「OPC」または「プロシアニジン」とも呼ばれ、果物、野菜、殻果、種子、花および樹皮から広く入手可能な天然に存在する別のフラボノイド化合物群である。プロアントシアニジンは、縮合タンニンとして知られるカテゴリーに属する。これらは、果物および野菜に含まれる最も一般的な種類のタンニンであり、種子および皮に大量に存在する。実際に、異なるプロアントシアニジンの混合物は、個々の単位から多くの結合した単位を有する複雑な分子(オリゴマーまたはポリマー)までが一般的に一緒に存在する。ポリマープロアントシアニジンの一般的な化学構造は、共通のC(4)−C(6)および/またはC(4)−C(8)結合で結合したフラボノイド 3−オール単位の直鎖を含む。プロアントシアニジンは、C4−C8結合および/またはC4−C6結合で結合したカテキン単位および/またはエピカテキン単位を含有するオリゴマーおよびポリマーの混合物である。これらのフラバン−3−オールは、C4−C8結合と、C7−C2間のさらなるエーテル結合とで二重に結合していてもよい。13C NMRは、ポリマープロアントシアニジンの構造を同定するのに有用であり、最近の研究では、プロアントシアニジンダイマー、トリマーおよびテトラマーの化学が解明されている。フラボノイド 3−オール単位を有するさらに分子量の大きいオリゴマーは、ほとんどの植物で主要成分であり、平均分子量が2,000ダルトンを超え、6個以上のモノマー単位を有するものが発見されている(Newmanら,Mag.Res.Chem.,25:118(1987))。かなり最近の研究では、当初は酸化防止活性が主に知られていたプロアントシアニジンの治療用途が研究されている。しかし、これらの化合物は、抗菌性、抗ウイルス性、抗発癌性、抗炎症性、抗アレルギー性および血管拡張作用を有することも報告されている。さらに、これらの化合物は、脂質の過酸化、血小板凝集、毛細血管の透過性および脆弱性を阻害し、ホスホリパーゼA2、シクロオキシダーゼおよびリポキシダーゼを含む酵素系に影響を与えることがわかった。例えば、プロアントシアニジンモノマー(すなわち、アントシアニン)およびダイマーは、毛細血管の脆弱化と関連する疾患の治療に使用されており、動物で抗炎症効果を有することも示されている(Beladi,I.ら,Ann.N.Y.Acad.Sci.,284:358(1977))。これらの報告されている知見に基づくと、オリゴマープロアントシアニジン(OPC)は、多くの状態の治療に有用な成分であると思われる(Fine,A.M.,Altern.Med.Rev.5(2):144−151(2000))。
【0047】
プロアントシアニジンは、ウイルスに対する防御効果もあると考えられる。in vitro試験では、マンサク(Hamamelis virginiana)由来プロアントシアニジンが、1型単純ヘルペス(HSV−1)ウイルスを死滅させた(Erdelmeier,C.A.,Cinatl,J.,Plant Med.June:62(3):241−5(1996);DeBruyne,T.,Pieters,L.,J.Nat.Prod.Jul:62(7):954−8(1999))。種々のタンニンの抗ウイルス活性について、構造と活性との関連を決定付けるために、別の試験が行われた。化学構造の縮合度が高いほど、抗ウイルス効果が高いことがわかった(Takechi,M.ら,Phytochemistry,24:2245−50(1985))。別の試験では、プロアントシアニジンは、抗単純ヘルペス活性を有することが示され、この試験では、単純ヘルペスのプラーク形成を減らすのに必要な50%有効投薬量は、50%細胞傷害投薬量よりも桁が2桁〜3桁少なかった(Fukuchi,K.ら,Antiviral Res.,11:285−298(1989))。
【0048】
シクロオキシゲナーゼ(COX−1、COX−2)またはプロスタグランジンエンドペルオキシドHシンターゼ(PGHS−1,PGHS−2)酵素は、植物産物の抗炎症効果を測定するために広く使用されている(Bayer,T.ら,Phytochemistry,28:2373−2378(1989);およびGoda,Y.ら,Chem.Pharm.Bull.,40:2452−2457(1992))。COX酵素は、非ステロイド系抗炎症薬物の薬理学的な標的物質である(Humes,J.L.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,78:2053−2056(1981);およびRome,L.H.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,72:4863−4865(1975))。プロスタグランジン合成に関与するシクロオキシゲナーゼの2つのアイソザイムには、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)とシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)がある(Hemler,M.ら,J.Biol.Chem.,25:251,5575−5579(1976))。選択的なCOX−2阻害剤は、主に抗炎症活性に影響を与えると考えられている(Masferrer,J.L.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,91:3228−3232(1994))。フラボノイドは、現在、抗炎症基質として研究されており、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害活性の構造的特徴について研究されている。
【0049】
桂皮は、一般的に高用量でも安全で毒性はないが、桂皮またはPeruvian balsaに高感度の個体ではアレルギー反応を誘発することがある。妊娠中および授乳中には勧められない。他の薬物との相互作用は知られていない。
【0050】
精製された精油、精製されたポリフェノールと、高濃度のフラボノール配糖体およびフラボノイド、および多糖類化学構成物質画分とを組み合わせて相乗的に作用し、生理学的および医学的に有益な、標準化された信頼性の高い量の桂皮化学構成物質を生産可能な、再現可能な新規桂皮抽出物が必要とされている。Williamson EM.Phtomedicine 8:401−409,2001。
【0051】
(抽出物)
(精油画分)
桂皮樹皮は、精油を豊富に含み、使用する植物の部位に依存して、種々の油を与える。桂皮樹皮に精油が1〜2重量%存在していると報告されている。桂皮樹皮油の主成分は、芳香族アルデヒド−3−フェニル−2(E)−プロペナール(桂皮アルデヒドとも呼ばれる)である(精油中、約60重量%)。
【0052】
最近の研究で、原料として桂皮樹皮を使用した。超臨界二酸化炭素抽出および分画の技術は、脂溶性化学物質を処理するのに有益なことは周知であるため、抽出に選択した。この抽出の有用性は、液体溶媒よりも大きな拡散係数を有し、気体に似た物質移動性と液体に似た可溶性をあわせもつことによるものである。抽出された精油構成物質は、ガスクロマトグラフィー−質量分析計で評価した。超臨界CO2によって抽出した桂皮樹皮油から、合計71の化合物を同定した。主要な桂皮アルデヒド同族体(例えば、ベンズアルデヒド(P1)、桂皮アルデヒド(P10およびP14)、シンナミルアルコール(P16)、trans−桂皮酸(P23)、酢酸シンナミル(P25))以外に、他の少量化合物(4種類のモノテルペン、16種類のセスキテルペン、9種類の脂肪酸および誘導体、および6種類のステロイド(P64およびP67-P71)も同定された。脂肪酸およびステロイドは、桂皮油で以前報告されていないものである。
【0053】
超臨界CO2は、精油画分を精製し、プロファイリングするのに優れたツールであることがわかった。これらの画分の抽出収率は、プロセス温度、圧力および溶媒/供給比によって変動する。最も高い抽出収率は、温度80℃、圧力100〜500bar、溶媒/供給比114の場合で、1.76重量%であった。抽出された桂皮樹皮の粗精油では、桂皮アルデヒドが、精製された画分の58重量%〜69重量%を占める。抽出物画分中の抽出物のステロイド化合物のうち20%までは、約40℃の低温でのみ抽出可能であることがわかった。高純度の(90%を超える)桂皮アルデヒド同族体は、60〜90℃の高温、約100barの低圧で得ることができる。脂肪酸化合物を処理するには高圧高温がよく、純度は、最も高い条件だと抽出画分の約10%まで高めることができる。
【0054】
抽出した桂皮樹皮粗精油は、一定温度で処理圧力を徐々に上げた複数段階のプロセスによって分画することもできる。結果を表2に示す。主要化合物である桂皮アルデヒド同族体は、67.1〜93.1%の範囲に入ることがわかった。他の少量化合物(例えば、セスキテルペン)は、画分の1.1〜2.7%であり、脂肪酸は0.9〜9.9%であり、ステロイドは、40℃でのみ抽出可能であり、0.0〜20.3重量%であった(相対量)。桂皮アルデヒドは、最も純度が高い場合には91.13%であり、この量は、桂皮樹皮原料の76倍の量である。
【0055】
【表2】
(フェノール酸画分)
桂皮の抗酸化活性は、フェノール酸化学構成物質の含有量に関係がある。桂皮で同定されている酸化防止性能を有する特定の植物化学物質としては、以下のフェノール酸が挙げられる。エピカテキン、カンフェン、エンゲノール、γ−テルピネン、フェノール、サリチル酸およびタンニン。さらに最近では、米国農務省は、フラボノイドの一種であり、インスリンの効果によく似た水で抽出されるA型プロシアニジンを発見した。この化合物は、単離された脂肪細胞で高いインスリン作用を有する。in−vivo試験でも、桂皮水抽出物が、グルコース吸収量を高め、部分的には骨格筋のインスリンシグナル伝達経路を高めることによってインスリン作用を高めることが示された。本発明のこの章の目的は、タンニン酸を除去することによってフェノール酸を精製することである。目的とするフェノール酸は、低血糖活性を有するプロアントシアニジンである。プロアントシアニジンは、(+)−カテキン単位および/または(−)−エピカテキン単位がC4−C8結合および/またはC4−C6結合で結合したオリゴマーおよびポリマー(B型)の混合物である。これらのフラバン−3−オールも、C4−C8結合と、C7−C2間のさらなるエーテル結合とで二重に結合していてもよい(A型)。市販のHPLC参照標準が無いため、Folin−Ciocalteu法を用いて合計フェノール酸含有量を分析し、タンパク質沈殿フェノール法を用いて合計タンニン酸含有量を分析した。Direct Analysis in Real−time(DART)質量分析によって、フェノール酸全体から個々のフェノール酸を同定し、半定量した。
【0056】
桂皮樹皮原料では、フェノール酸は合計で約4.87%存在し、このうち約2.27%が非タンニンフェノール酸であり、約2.61%がタンニン酸である。フェノール酸全体の抽出条件は、異なる溶媒、温度、pH値および複数段階プロセスの影響を試験することによって最適化した。含水エタノール(25〜75%エタノール)が最適な抽出溶媒であることがわかった。抽出溶媒として25%エタノールを用い、温度40℃で二段階プロセスを用い、溶媒供給比がそれぞれ10および5の場合に、約17.6%と最も高い抽出収率が得られることがわかった。プロセス中にpH値を変える必要はなかった。
【0057】
Sephadex LH−20デキストランビーズは、非タンニンフェノール酸をタンニン酸と分離するのに優れた媒体であることがわかった。結果を表3に示す。タンニン酸は、顕著に除去され、非タンニンフェノール酸が100%まで精製されることがわかった(原料の44倍)。
【0058】
【表3】
(多糖類画分)
桂皮多糖類−糖タンパク質画分を、水で抽出し、80%エタノールで沈殿させることによって得た。精製された桂皮多糖類−糖タンパク質画分の収率は、約3.5%であった。桂皮多糖類の純度は、0.29〜0.47gデキストラン当量/g多糖類であった(桂皮多糖類の標準物質は入手できないため、デキストランを参照標準として用いた)。桂皮多糖類の平均分子量は約2500KDaであった。この場合もAccuTOF−DART質量分析を使用して桂皮多糖類の特性を決定し、結果を図6および7に示している。
【0059】
(天然桂皮種と抽出物との比較)
本開示は、1つ以上の桂皮種から単離され精製された精油(または精油副次画分)、ポリフェノール酸および多糖類の画分の抽出物を含む。これらの個々の画分を特定の比率(プロフィール)で組み合わせて有益な組み合わせを得てもよく、現時点で知られている抽出生成物では達成できない程度に信頼性が高いか、または再現性のある抽出生成物を得ることができる。例えば、ある種由来の精油画分または精油副次画分を、同じ種または異なる種由来の精油画分または精油副次画分と、または同じ種または異なる種由来のポリフェノール酸画分と組み合わせてもよく、この組み合わせを、同じ桂皮種または異なる種由来の多糖類画分と組み合わせてもよいし、組み合わせなくてもよい。
【0060】
本開示の抽出物を、天然桂皮種に対する濃度という観点で規定してもよい。実施形態は、前記画分(精油、ポリフェノール酸または多糖類を含む)の1つ以上が、天然桂皮種植物材料よりも濃度が高い抽出物を含む。実施形態は、前記画分(精油、ポリフェノール酸または多糖類を含む)の1つ以上が、天然桂皮種植物材料よりも濃度が低い抽出物も含む。桂皮種の生体活性がある化学構成物質画分の既知の量(表1)を本開示の一例として使用する。例えば、この開示の抽出物は、精油の濃度が天然桂皮種の0.001〜50倍である画分を含み、および/または所望のポリフェノール酸濃度が天然桂皮種の0.001〜50倍である組成物を含み、および/または水溶性でエタノール不溶性の多糖類の濃度が天然桂皮種の0.001〜20倍の組成物を含む。
【0061】
本開示の抽出物は、精油の濃度が天然桂皮種の0.01〜50倍である画分を含み、および/または所望のポリフェノール酸濃度が天然桂皮種の0.01〜50倍である組成物を含み、および/または多糖類の濃度が天然桂皮種の0.01〜20倍の組成物を含む。さらに、本開示の抽出物は、天然植物材料の精油に存在する少なくとも1つ以上の化学化合物を、天然の桂皮植物材料の精油化学構成物質中に存在するよりも多い量または少ない量で含む精油化学構成物質の副次画分を含む。例えば、化学化合物であるtrans−桂皮アルデヒドは、天然桂皮植物材料では精油化学構成物質の合計重量の60重量%であるが、精油副次画分中で、副次画分の80重量%まで濃度が高められていてもよい。対照的に、trans−桂皮アルデヒドは、天然桂皮植物材料では精油化学構成物質の合計重量の60重量%であるが、精油副次画分中で、副次画分の6重量%まで濃度が下げられていてもよい(濃度が10分の1に下げられている)。本開示の抽出物は、新規な精油副次画分中の特定の化学化合物の濃度が、天然桂皮製油の化学構成物質の濃度の約1.1〜約10倍まで高められている画分、または約0.1〜約10倍まで低められている画分を含む。
【0062】
さらなる実施形態は、桂皮種の化学構成物質のプロフィール(比の分布)が、天然植物材料または現時点で入手可能な桂皮種抽出生成物とは異なる抽出物を含む。例えば、精油画分は、ポリフェノール酸濃度および/または多糖類濃度が高くても低くてもよい。同様に、ポリフェノール酸または多糖類は、新規な構成物質化学プロフィールを有する抽出物が特定の生体効果を発揮するように、他の抽出物構成物質画分と比べて多くても少なくてもよい。精油、ポリフェノールおよび/または多糖類のうち1つ以上の単離され精製された画分を組み合わせることによって、新規な精油の組み合わせを提供する抽出物を作ってもよい。
【0063】
本開示の方法は、ヒトの障害を治療し、予防するための新規桂皮抽出物を提供することを含む。例えば、2型糖尿病を治療するための新規桂皮種抽出物は、桂皮種天然植物材料または従来の既知の抽出生成物よりも、画分のポリフェノールの重量%濃度が高く、精油および多糖類の重量%濃度が低くてもよい。酸化を抑制し、血管損傷を抑制し、虚血性心血管疾患のための新規桂皮種抽出物は、天然の桂皮種天然植物材料または従来の既知の抽出生成物よりも、画分の精油およびポリフェノール酸の重量%濃度が高く、多糖類の重量%濃度が低くてもよい。新規桂皮種抽出物の別の例は、アレルギー障害を治療するためのものであり、天然の桂皮種天然植物材料または従来の既知の抽出生成物よりも、画分のポリフェノールの重量%濃度が高く、多糖類の重量%濃度が高く、精油の重量%濃度が低い。
【0064】
(抽出方法)
以下の方法を、教示されるように個々に用いてもよいし、開示される方法または当業者に既知の方法と組み合わせてもよい。抽出用の出発材料は、1つ以上の桂皮種由来の植物材料である。植物材料は、植物の任意の部位であってよいが、樹皮が最も好ましい出発材料である。
【0065】
桂皮種植物材料を抽出前工程で処理し、材料を任意の特定の形態にしてもよく、抽出に有用な任意の特定の形態がこの開示で考慮される。このような抽出前工程としては、限定されないが、材料を切り刻み、細かく刻み、みじん切りにし、粉砕し、粉末化し、切断するかまたは裂く工程が挙げられ、出発材料は、抽出前工程の前に、乾燥状態または新鮮な植物材料である。好ましい抽出前工程は、桂皮種の樹皮材料を微細粉末に粉砕および/または粉末化する工程である。出発材料または抽出前工程後の材料を乾燥させてもよいし、または水分を加えてもよい。桂皮種植物材料が抽出用の形態になれば、抽出方法は、本開示で考慮される。
【0066】
本開示の抽出方法は、本明細書に開示されるプロセスを含む。一般的に、本開示の方法は、部分的に、桂皮種植物材料が、二酸化炭素を溶媒として用いた(SCCO2)超臨界液体抽出(SFE)で抽出され、その後に1つ以上の溶媒(例えば、限定されないが、水、含水アルコール)で抽出する工程およびアフィニティーポリマー吸着抽出プロセスに進む方法を含む。本開示で考えられるさらなる他の方法は、他の有機溶媒、冷蔵化学物質、圧縮性気体、超音波、加圧液体抽出、高速向流クロマトグラフィー、分子インプリントポリマー、および他の既知の抽出方法を用いて桂皮種植物材料を抽出する方法を含む。このような技術は、当業者には知られている。1つの局面では、本開示の抽出物は、図1〜5に模式的に示される工程を含む方法によって調製されてもよい。
【0067】
本開示は、SCCO2技術を用いて、桂皮植物材料から精油および他の脂溶性化合物を濃縮(精製)し、プロファイリングするプロセスを含む。本開示は、桂皮の脂溶性化学構成物質を、例えば、高純度の精油画分(精油化学構成物質の濃度が高い)に分画することを含む。さらに、本開示は、抽出画分中の個々の化学構成物質の化学構成物質比またはプロフィールを変え得るSCCO2プロセスを含む。例えば、精油画分内の化学構成物質のSCCO2分画分離によって、特定の精油化合物を他の精油化合物よりも優先的に抽出し、特定の化合物の濃度が他の化合物の濃度よりも高い精油抽出副次画分を作ることができる。桂皮種の精油化学構成物質をSCCO2で抽出することにより、本開示で教示されるように、毒性のある有機溶媒を使用せず、抽出物を同時に分画することができる。二酸化炭素は天然にある安全な生体産物であり、多くの食品および飲料の成分である。
【0068】
上述の抽出法を実施すると、元々の桂皮種の乾燥桂皮樹皮原料で、純度95%を超える精油化学構成物質を、80%より大きな収率でSCCO2抽出精油画分に抽出することができることがわかった(工程1A)。工程1Bに教示される方法(SCCO2抽出分画プロセス)を用いると、精油化学構成物質を非常に純度の高い(>90%)精油副次画分に分画するため、精油の収率は低下した。さらに、本開示に教示されるようなSCCO2抽出および分画のプロセスによって、個々の化学化合物を含む精油化学構成物質画分の比率(プロフィール)を変え、固有の精油副次画分のプロフィールを特定の医学目的のために作ることができる。例えば、ステロイド精油化学構成物質の濃度を高め、同時に脂肪酸化合物の濃度を下げることができ、この逆も可能である。
【0069】
本開示の工程2に教示される方法を用いると、元々の桂皮種原料から水溶性画分が4.8重量%で得られ、合計フェノール酸濃度は26.0%であり、天然桂皮樹皮原料中に存在するフェノール酸化学構成物質の約10重量%が得られる。しかし、この水溶媒による抽出物は、高価値の水可溶性でエタノール不溶性の多糖類化学構成物質を含む。さらに、この抽出工程では、天然桂皮種植物材料に存在する水溶性でエタノール不溶性の多糖類を約100%得ることができる。この水溶性抽出画分の多糖類濃度は、水溶性抽出物画分の乾燥重量の約27重量%である。この水で溶出した抽出物から、95%エタノールを用いて多糖類を沈殿させ、精製された多糖類画分を集めてもよい。多糖類画分の収率は、桂皮根茎原料の重量に基づいて約1.3重量%である。参照物質としてデキストランを用いた比色分析法によれば、純度が95%を超える桂皮多糖類化合物を得ることができる。
【0070】
本開示の工程3に教示される方法を用いると、含水アルコール溶出による画分によって、元々の桂皮種原料から収率17.6%が得られ、フェノール酸の濃度は64%であり、フェノール酸の3分の1が生体活性のないタンニンである。さらに、この値から、天然桂皮種植物材料に存在するフェノール酸関連化学構成物質の約90%が得られていることになる。
【0071】
本開示の工程4に教示される方法(アフィニティー吸着抽出プロセスまたはプロセスクロマトグラフィー)を用いると、抽出画分の乾燥重量の95%を超える純度を有し、タンニンが乾燥重量の0.1%未満のポリフェノール酸画分を得ることができる。含水アルコール溶出による抽出原料から、非タンニンポリフェノール酸の約77%を抽出することができる。この値から、天然桂皮種植物材料に存在するポリフェノール酸化学構成物質の69%が得られていることになる。平均重合度によれば、精製されたポリフェノール画分は、主に生体活性のあるポリフェノールオリゴマーで構成されている。
【0072】
さらに、精製されたポリフェノール画分のポリフェノール化学構成物質をプロファイリングすることができる。例えば、高濃度のポリフェノールトリマーまたはテトラマーを含有する精製されたポリフェノール副次画分を得てもよい。このような新規な精製されたポリフェノール副次画分は、特定の医学状態に大きな価値を有することがある。
【0073】
最後に、本開示で教示される方法によれば、精油画分の所望の化学構成物質が99重量%、およびポリフェノールフェノール画分が97重量%、および多糖類画分が98重量%の桂皮種精油の化学構成物質画分、新規ポリフェノール画分または副次画分および新規多糖類画分を精製(濃縮)することができる。使用する特定の抽出環境、抽出速度、溶媒および抽出技術は、供給源となる材料の最初の化学構成物質プロフィールと、最終抽出生成物で望ましい精製度とに依存する。本開示に教示される特定の方法は、特定の属性を有する生産材料に加工される出発材料の属性中のサンプル変数によって説明されるプロセスを調整するために、典型的な通常の実験より過度の実験を行うことなく、当業者が容易に決定することができる。例えば、特定のロットの桂皮種植物材料において、精油化学物質、ポリフェノール酸および多糖類の初期濃度を、本開示に教示されるような当業者に既知の方法を用いて決定する。当業者は、精油化学構成物質の初期濃度から、本明細書に開示されるような抽出方法を用いて、最終的な桂皮種抽出生成物の所望の濃度および/または化学物質プロフィールを得るために、最終抽出精製物の精油化学構成物質の所定の量または分布(プロフィール)への変化量を決定することができる。
【0074】
桂皮の生体活性を有する化学構成物質の抽出方法の模式図を図1〜5に示す。抽出プロセスは、典型的には、限定されないが4工程である。
【0075】
(工程1:超臨界液体二酸化炭素による桂皮精油の抽出)
精油が疎水性であるため、非極性溶媒(限定されないが、SCCO2、ヘキサン、石油エーテルおよび酢酸エチル)をこの抽出プロセスで用いてもよい。精油成分のなかには揮発性のものもあるため、蒸気蒸留を抽出プロセスとして使用してもよい。
【0076】
桂皮種の樹皮からSCCO2を用いて精油化学構成物質を抽出する一般的な記載を図2の工程2Aおよび2Bに図示している。原料10は、乾燥させた粉砕桂皮樹皮(約140メッシュ)である。抽出溶媒210は純粋な二酸化炭素である。エタノールを共溶媒として使用してもよい。原料をSFE抽出容器20に入れる。パージテストおよびリークテストをした後、このプロセスは、保存容器から冷却器を通ってCO2ポンプに液化CO2を流す工程を含む。CO2は所望の圧力に圧縮されており、抽出容器中で原料に流され、圧力および温度は所定の値に維持される。抽出圧力は約60bar〜800barであり、温度は約35℃〜約90℃である。本明細書で教示されるSCCO2抽出は、好ましくは、圧力が少なくとも100bar、温度が少なくとも35℃、さらに好ましくは圧力が約60bar〜500bar、温度が約40℃〜約80℃で行われる。1段階の抽出にかかる抽出時間は、約30分〜約2.5時間、約30分〜約1時間である。溶媒対供給比は、それぞれのSCCO2抽出あたり、典型的には約60対1である。CO2は回収する。抽出され、精製され、プロファイリングされた精油化学構成物質30を収集器または分離器に集め、遮光ガラス瓶に保存し、4℃の暗い冷蔵庫で保存する。桂皮原料10の物質を1段階プロセスで抽出してもよく(図2の工程2A)、抽出され、精製された桂皮精油画分30を1個の収集SFEまたはSCCO2システム20に集めてもよく、または複数段階で抽出してもよく(図2の工程2B)、抽出され、精製され、プロファイリングされた桂皮精油副次画分50、60、70、80を1個の収集SFEシステム20で別個に順に集めてもよい。あるいは、分画SFEシステムのように、SCCO2抽出された桂皮原料材料を収集容器(分離器)に分離し、それぞれの収集器内に、それぞれに異なる割合の精油化学構成物質画分(プロフィール)を有する精製された精油副次画分を集めてもよい。残留物(残り)40を集め、保存し、さらなるプロセスに使用して、桂皮種のフェノール酸および多糖類を精製した画分を得てもよい。本開示の実施形態は、多段階SCCO2抽出を用いて、圧力60bar〜500bar、温度35℃〜90℃で桂皮種原料材料を抽出し、抽出した桂皮材料をそれぞれの段階後に集めることを含む。本開示の第2の実施形態は、分画SCCO2抽出を用いて、圧力60bar〜500bar、温度35℃〜90℃で桂皮種原料材料を抽出し、所定の条件(圧力、温度および密度)で所定の間隔(時間)で、抽出した桂皮材料を異なる容器に集めることを含む。多段階の抽出器から、または異なる収集容器(分画系)から得られた、抽出され精製された桂皮の精油副次画分を取り出し、独立して使用するか、または組み合わせて、天然の植物材料または従来の桂皮抽出生成物よりも高い濃度または低い濃度の所定の精油化学構成物質濃度を含む1つ以上の桂皮精油画分を作ることができる。典型的には、桂皮種由来の精油画分の合計収率は、1段階のSCCO2抽出では、最大値が約0.4重量%〜約1.8重量%(精油化学構成物質の85%を超える)であり、抽出物の精油化学構成物質の純度は95重量%を超える。このような抽出プロセスの結果を以下および表4に示す。手順は実施例1に記載している。
【0077】
【表4】
これらの結果は、抽出速度に対する圧力の影響を示している。抽出圧力が高いと、消費物CO2量が少ない状態で、短時間で系が平衡に達する。抽出圧力が高くなると、密度が圧力にともなって大きくなるため、合計抽出収率が増える。興味深いことに、低圧(例えば100〜300bar)では、温度が低いほど、密度が高いことに関連して収率が高くなる。高圧(例えば300〜500bar)では、温度は抽出収率にあまり影響を与えない。200barを超える圧力では、抽出収率が高く、効率もよいが、300bar未満の圧力で温度が約40〜80℃の場合に、精油化学構成物質の純度95%が達成できる。
【0078】
観察した実験範囲では、温度と密度とに競争効果があることが明らかに示されている。このことは、文献に十分に規定されており、記載されており、圧力が大きくなると、一定温度では、超臨界流体および近臨界流体の溶解力が大きくなるため、収率が上がる。温度を上げると、抽出に好ましい化合物の蒸気圧が高くなりやすい。さらに、温度が上がるにつれて、拡散係数が大きくなり、溶媒粘度が下がることによって、薬草の多孔性マトリックスから化合物が抽出されやすくなる。一方、温度が上がると、系の圧力が一定な場合、溶媒密度が下がる。
【0079】
桂皮樹皮精油の71個の化合物をGC−MS分析を用いて分離し、同定した。サンプルの質量スペクトルデータを科学文献のデータと比較して、桂皮アルデヒド、クマリンおよび酢酸シンナミルを同定した(表3および4)。桂皮アルデヒドおよびその同族体(例えば、ベンズアルデヒド(P1)、桂皮アルデヒド(P10およびP14)、シンナミルアルコール(P16)、trans−桂皮酸(P23)および酢酸シンナミル(P25))に加え、4種のモノテルペン(P6、P8およびP9)、16種のセスキテルペン(P20〜22、P26、P29、P31〜2、P35〜42およびP46)および9種の脂肪酸および脂肪酸誘導体を同定した。他の少量の芳香族および脂肪族化合物も存在していた。同定した化合物の中で、SFEによって、桂皮精油で以前に同定されていない脂肪酸およびステロイド化合物を抽出することができた。これらの化合物は、精油化学構成物質約90重量%を構成している。桂皮アルデヒドは、桂皮精油の主要な化学構成物質であり、約70〜91重量%であった。40℃および120barの条件下では多数の化合物が抽出物から同定され、これより高温および高圧条件のSFE抽出物よりも純度が約100%と高かった。温度60℃および100barのSFEで、桂皮アルデヒドの純度が90重量%を超え、ステロイド化合物は失われ、脂肪酸およびセスキテルペンの純度は低かった。ステロイド化合物は、40℃の低温でのみ抽出可能である。温度40℃および80barのSFEでは、ステロイド化合物化学構成物質の純度は、20重量%であった。対照的に、高温(60〜80℃)および高圧(500bar)のSFEでは、脂肪酸化合物が抽出されやすい。これらのデータから、SCCO2は、桂皮精油の化学構成物質をプロファイリングすることができることが示された。
【0080】
【表5−1】
【0081】
【表5−2】
【0082】
【表5−3】
【0083】
【表5−4】
【0084】
【表5−5】
【0085】
【表6−1】
【0086】
【表6−2】
注:重量%は、以下のように算出した。
【0087】
重量%=(各化合物の重量/抽出物の合計重量)×100
式中、各化合物の重量=ピーク面積率×抽出物の合計重量。
【0088】
(工程2.水溶出プロセスおよび多糖類沈殿)
桂皮種の化学構成物質の多糖類抽出画分は、「水溶性でエタノール不溶性の抽出画分」であると科学文献に定義されている。水溶媒によって溶出させ、エタノールで沈殿させるプロセスを用いた、桂皮種抽出物からの多糖類画分の抽出に関する一般的な記載を、図3の工程2に図示している。原料10または40は、天然の粉砕した桂皮種植物材料であるか、または工程1のSFE抽出プロセスから得た固体残留物である。この原料を、2段階溶出によって抽出する。溶媒は蒸留水220である。この方法では、桂皮種原料10または40と、抽出溶媒220とを抽出容器100、110に入れ、加熱し、攪拌する。100℃まで加熱してもよいし、約80℃まで、または約80〜90℃まで加熱してもよい。抽出を約1〜5時間、約2〜4時間、または約2時間行う。2段階の抽出溶液300+320を合わせ、スラリーを濾過し(120)、遠心分離処理し(130)、上清を集め、蒸発させ(140)、溶液330の化学物質の濃度が約8倍になるまで水を除去させる。次いで、無水エタノール230を用いて溶液の容積を元の容積まで戻し、最終エタノール濃度を95%にする。大きな沈殿150が見られる。溶液を遠心分離処理し(160)、デカンテーションし(170)、上清の残留物340をさらなる処理のために保存しておいてもよい。沈殿生成物350は、精製された多糖類画分であり、分子量5,000〜410,000のデキストランを参照標準に用いる比色分析法によって、多糖類を分析してもよい。実際の手順を実施例3に記載する。抽出された多糖類画分の純度は、3種の異なる分子量のデキストラン標準を用いて、それぞれ約29%、約35%および約47%であり、合計収率は、元々の天然桂皮樹皮原料の1.3重量%であった。3種類のデキストラン標準の純度測定値を合わせると、純度は95%よりも大きく、きわめて高純度である。さらに、AccuTOF−DART質量分析(実験の章を参照)を用い、精製された多糖類画分を含む化合物の分子量をさらにプロファイリングした。実際の手順は実験の章に記載している。
【0089】
(工程3.粗ポリフェノール酸画分を抽出するための含水アルコール溶出プロセス)
1つの局面では、本開示は、生体活性を有するポリフェノール酸化学構成物質の抽出および濃縮を含む。この工程の一般的な記載を図4の工程3に図示している。この工程2の抽出プロセスは、溶媒溶出プロセスである。この抽出用の原料は、桂皮種を粉砕した乾燥樹皮材料10、または精油化学構成物質の工程1のSCCO2抽出から得た残留物40または工程2の多糖類抽出−沈殿から得た残留物330+340である。抽出溶媒240は含水エタノールである。抽出溶媒は、10〜95%含水アルコールであってもよいが、25%含水エタノールが好ましい。この方法では、桂皮原料の物質と、抽出溶媒とを抽出容器400に入れ、加熱し、攪拌する。100℃まで加熱してもよいし、約90℃まで、約80℃まで、約70℃まで、約60℃まで、または約30〜50℃まで加熱してもよい。抽出を約1〜10時間、約1〜5時間、または約2時間行う。得られた抽出溶液を濾過し(410)、遠心分離処理する(420)。濾液(上清)500、520、540を生成物として集め、容積を測定し、溶媒を蒸発させた後、固体乾燥重量を測定する。抽出残留材料530を保持し、さらなる処理のために保存しておいてもよいし、廃棄してもよい。必要な場合または望ましい場合には、抽出を数回繰り返してもよい。2回以上、3回以上、4回以上などの回数繰り返してもよい。例えば、図1の工程2は、3段階プロセスを示しており、第2段階および第3段階は、同じ方法および条件を使用している。
【0090】
興味深いことに、残った桂皮アルデヒドは、この含水アルコール溶出による抽出で抽出され、このことは、精油化学構成物質の全てが、上述SFE条件を用いた比較的徹底した抽出法によって抽出されるわけではないことを示す。さらに、顕著な量のタンニンが、抽出生成物の20%を越える量抽出された。さらに、2段階の含水アルコール溶出プロセスは、ポリフェノールの抽出収率を高めるのに好ましい(生の原材料の約18重量%)。このとき、合計フェノール酸濃度は約64重量%であり、タンニン酸濃度は約20重量%である。高濃度の生体活性を有するポリフェノールを含有する精製されたポリフェノール画分を得るためには、工程3の粗ポリフェノール画分からタンニンを除去するために、さらなる処理工程(工程4)が必要である。
【0091】
(工程4.アフィニティー吸着によるポリフェノール抽出および精製のプロセス)
有益な生体活性を有するポリフェノール酸は、プロアントシアニジンである。プロアントシアニジンは、縮合タンニンとして知られている。これらの物質は、普遍的な物質であり、リグニンに次いで2番目の豊富な天然の植物性ポリフェノールである。Dubois Mら,Analytical Chem 28:350−356,1956。プロアントシアニジンは、C4−C8結合および/またはC4−C6結合で結合した(+)−カテキン単位および/または(−)−エピカテキン単位からなるオリゴマーおよびポリマー(B型)の混合物である。これらのフラバン−3−オールも、C4−C8結合と、O7−C2間のさらなるエーテル結合とで二重に結合していてもよい(A型)。プロアントシアニジンの分子量は、重合度(DPn)であらわされ、最も重要な性質の1つである。科学文献で定義されているように、DP1はモノマーであり、DP2〜10はオリゴマーであり、DP>10はポリマーである。
【0092】
桂皮ポリフェノールに関するバイオメディカル文献(上述のものを参照)では、DP4〜5(オリゴマー)は、医学的に有益な生体活性を示す。従って、工程4のプロセスでは、タンニン除去およびプロアントシアニジン抽出および精製を、各工程の合計フェノール酸濃度およびDPnを追跡することによって調べた。
【0093】
本明細書で教示されているように、含水アルコール抽出物に含まれるポリフェノール酸がアフィニティー吸着剤に吸着されるように、桂皮原料の含水アルコール抽出物と、固体アフィニティーポリマー吸着樹脂とを接触させることによって、桂皮および関連種から精製されたポリフェノール酸画分抽出物を得てもよい。次いで、結合した化学構成物質を、本明細書に教示される方法によって溶出させる。ポリフェノール酸画分化学構成物質を溶出させる前に、所望の化学構成物質が吸着したアフィニティー吸着剤を、任意の従来の様式で、抽出物の残りの成分と分離してもよい。好ましくは、吸着剤と接触させ、水性抽出物を抽出カラムまたは吸着材料床に通すことによって分離する。
【0094】
桂皮種のフェノール酸化学構成物質を精製するために、種々のアフィニティー吸着剤を利用することができる。例えば、限定されないが、Sephadex LH−20(Sigma Aldrich Co.)、「Amberlite XAD−2」(Rohm & Hass)、「Duolite S−30」(Diamond Alkai Co.)、「SP207」(Mitsubishi Chemical)、ADS−5(Nankai University,Tianjin,China)、ADS−17(Nankai University,Tianjin,China)、Dialon HP 20(Mitsubishi,Japan)およびAmberlite XAD7 HP(Rohm & Hass)が挙げられる。
【0095】
Sephadex LH020は、好ましくは、ポリフェノール酸化学構成物質に高いアフィニティーを有し、およびタンニンポリフェノールと非タンニンポリフェノールとを分離する能力があるため、クロマトグラフィープロセスで使用される。タンニンポリフェノールは、アルコール中でSephadex LH−20に吸着する。対照的に、非タンニンポリフェノールは、アルコールを用いると樹脂ビーズから溶出し、タンニンはビーズに吸着されたままである。次いで、含水アセトンを用いると、タンニンを溶出させることができる。この方法によれば、桂皮のタンニンポリフェノールと、所望な非タンニンポリフェノールとを分けることができる。従って、ポリフェノール化合物を分離し、非タンニン生体活性を有する桂皮ポリフェノールを精製するために、異なる溶出溶媒を使用することができる。Folin−Ciocalteu法およびタンパク質沈殿フェノール法を用い、粗抽出画分および溶出画分中のタンニンおよび非タンニンポリフェノールの濃度を測定することができる。
【0096】
タンニンポリフェノール酸化学構成物質を吸着剤から回収するために種々の溶出剤を利用することができるが、本開示の一局面では、溶出剤は、低分子量アルコールを含み、低分子量アルコールとしては、限定されないが、メタノール、エタノールまたはプロパノールが挙げられる。第2の局面では、溶出剤は、低分子量アルコールと水の混合物を含む。別の局面では、溶出剤は、低分子量アルコール、第2の有機溶媒および水を含む。
【0097】
非タンニンポリフェノール酸化学構成物質を吸着剤から回収するために種々の溶出剤を利用することができるが、本開示の一局面では、溶出剤は、含水アセトンを含む。
【0098】
好ましくは、桂皮種原料は、1つ以上の準備精製プロセスを受ける。このプロセスとしては、限定されないが、水性フェノール酸化学構成物質を含有する抽出物とアフィニティー吸着材料とを接触させる前の、工程1および3に記載のプロセスが挙げられる。
【0099】
本開示で教示されるようなアフィニティー吸着剤を用いると、桂皮種の非常に精製された生体活性を有するポリフェノールオリゴマー(DP2−10)酸化学構成物質が得られ、この物質には、天然の植物材料または市販の抽出生成物に通常存在している他の化学構成物質が顕著に存在しない。例えば、本開示で教示されるプロセスによって、95重量%を超える合計フェノール酸化学構成物質を含有し、タンニンポリフェノールが痕跡量しか存在しない、精製されたポリフェノール酸抽出物を得ることができる。
【0100】
ポリマーアフィニティー吸着樹脂ビーズを用いて、生体活性を有するポリフェノールを桂皮種樹皮から抽出し、精製する方法を図1の工程4に図示している。この抽出プロセスの原料は、工程3の含水アルコール溶出抽出物500+/−520+/−540から得たフェノール酸を含有する含水エタノール溶液であってもよい。吸着樹脂ビーズの適切な重量(吸着樹脂1gあたりポリフェノール酸22mg)を4〜5BVの95%エタノール250で洗浄し(浸し)た後、カラムに充填する(620)。ポリフェノール酸を含有する水溶液500+520を、元々の容積の1%になるまで、エバポレーションによって濃縮する。次いで、濃縮サンプルの容積が20倍になるまで、無水エタノール260を加え、ポリフェノールを95%エタノール溶液に溶解させる。この溶液を遠心分離処理し(640)、任意の不溶性物質を除去し、上清をローディングサンプル550として集める。ローディングサンプル550をカラムに置く(650)。カラムに完全に入れたら、カラムを95%エタノール270を用いて流速2〜3BV/時間で溶出させ(660)、生体活性を有する非タンニンポリフェノールを、定組成様式でアフィニティー吸着カラムから溶出させる。溶出液700を1BV画分で集める。ポリフェノール画分は、画分サンプルで吸収が検出されなくなるまで、それぞれUV分光器で280nm(ポリフェノール酸の波長吸収)で測定し、検出されなくなった時点で溶出を終了する。一般的に、カラムから非タンニンポリフェノールを溶出させるのに、95%エタノール7〜10BVが必要である(約3〜4時間)。溶出したカラム670を、70%含水アセトン(280)3BVで流速5BV/時間(3時間)で洗浄し(680)、樹脂ビーズに吸着したタンニンポリフェノールを溶出させる。溶出したタンニンポリフェノールを洗浄し(710)、廃棄する(730)。次いで、洗浄したカラム730を、95%エタノール250で流速5BV/時間で4〜5回洗浄し、残りの化学物質を除去し、さらなるクロマトグラフィープロセス740のために、洗浄したカラムを準備する。洗浄液720を廃棄する(730)。溶出画分の容積700は、約1BV毎に集め、これらのサンプルを、合計ポリフェノール(Folin−Ciocalteu法)、タンニンポリフェノール(タンパク質沈殿法)、DPn(チオール分解HPLC)について分析し、固体含有量および純度を調べる。
【0101】
プロアントシアニジンポリフェノール化合物のオリゴマーおよびポリマーは、広範囲の保持時間で溶出し(保持時間12〜30分)、ベースラインが変動し、カテキンおよびエピカテキンの濃度を算出する場合、クロマトグラフィーのピーク積分を正確に行うことができない。このHPLC挙動は、科学文献のほとんどのプロアントシアニジンで確認されている。しかし、チオール分解すると、HPLCクロマトグラムの解像度が明らかに向上するという証拠が示されている。チオール分解すると、プロアントシアニジンは、HPLCクロマトグラムで十分な解像度を有するピークを得るモノマーに変換される。ベンジルチオエーテルは、科学文献によれば、プロアントシアニジン構造の伸張部分から得られる(Guyot 2001参照)。DPnは、P1、P2、P3およびP4の合計面積およびカテキンおよびエピカテキンの合計面積から算出することができる。
【0102】
Sephadex LH−20は、桂皮含水アルコール抽出物に含まれるタンニンを非タンニンポリフェノール化合物と分離するのに有効なアフィニティー吸着剤であることが示されている。溶出画分F2〜F8をあわせると、約77.4%の非タンニンポリフェノール化学構成物質を回収することができ、この合わせた抽出画分から、タンニンは0.2%しか回収されない。溶出画分F2〜F8を合わせた収率は、ローディング溶液の21.5重量%であり、生の桂皮原料の3.78重量%である。非タンニンポリフェノールの純度は65重量%であり、この値は、工程3の粗ポリフェノール抽出生成物の3倍である。さらに、F6〜F8の溶出画分を合わせたものでは、95%よりも大きな純度を得ることができる。
【0103】
平均重合度(DPn)は、各溶出画分中のポリフェノールオリゴマーの大きさを示す。粗抽出物(ローディング溶液)では、大きなタンニンポリフェノールポリマーが存在するため、重合度は6.9であった。ポリフェノール溶出画分では、本質的にタンニンポリフェノールは存在しなかった。従って、精製されたポリフェノール溶出画分は、主にポリフェノールオリゴマーで構成され、ダイマー−DPn=2;トリマー−DPn=3;テトラマー−DPn=4などの混合物である。表5で示されるように、溶出画分F3〜F5ではトリマーが多く溶出し、画分F6〜F8ではテトラマーが多く溶出した。溶出画分のDPnの範囲は2.7〜4.2であり、このことは、これらの画分が、有益な生体活性を有する桂皮のプロアントシアニジンポリフェノール構成物質を非常に高純度で含有することを示すものである。さらに、異なる溶出画分を組み合わせると、表7および8に示されるように、非タンニンポリフェノールの収率および純度が異なる抽出精製物を得ることができる。
【0104】
【表7】
*溶出物1には化学構成物質が存在せず、溶媒のみであったため、表から除外した。
【0105】
【表8】
*これらの画分の組み合わせでは、合計フェノール酸には、測定可能なタンニン酸が含まれていない。
【0106】
溶液からアルコールを除去する多くの方法が当該技術分野で知られている。アルコールを回収することが望ましい場合、抽出後に、大気圧または減圧下で、蒸留によって溶液からアルコールを除去することができる。アルコールを再利用することができる。さらに、水溶液またはアルコールを除去した溶液から水を除去する多くの方法も当該技術分野で知られている。このような方法としては、限定されないが、水溶液を適切なキャリア(限定されないが、炭酸マグネシウムまたはマルトデキストリン)上でスプレー乾燥する方法が挙げられる。または、凍結乾燥または屈折性ウィンドウ(refractive window)で乾燥させることによって、液体を乾燥させることができる。
【0107】
(食品および医薬)
本発明の食品の形態として、例えば、顆粒状態、粒状態、ペースト状態、ゲル状態、固体状態または液体状態といった任意の形態に配合してもよい。これらの形態では、場合により、当業者には食品に添加できることが従来から知られている種々の基質、例えば、バインダー、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、味覚調整剤(tasting agent)、バッファー、界面活性剤、可溶化補助剤、防腐剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤またはpH調整剤などを含有してもよい。食品に添加されるエルダーベリー抽出物の量は、特に制限はないが、例えば、体重約60kgの成人の1日の摂取量として、約10mg〜5g、好ましくは、50mg〜2gであってもよい。
【0108】
特に、健康維持のための食品、機能性食品などに使用する場合には、本発明の有効成分を、本発明の所定の効果が十分に示される量で含有することが好ましい。
【0109】
本発明の医薬は、場合により、従来の既知の方法によって、例えば、固体薬剤(例えば、錠剤、顆粒、粉末、カプセルなど)または液体薬剤(例えば注射液など)として調製することができる。これらの医薬には、一般的に使用される任意の材料(例えば、バインダー、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、味覚調整剤、バッファー、界面活性剤、可溶化補助剤、防腐剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤またはpH調整剤など)が配合されてもよい。
【0110】
医薬における有効成分(桂皮抽出物)の投与量は、患者の種類、薬剤の形態、年齢、体重または適用される症状などによって変わってもよく、例えば、経口投与される場合、体重約60kgの成人では、1日に1回または数回投与され、1日に約10mg〜5g、好ましくは、1日に約50mg〜2g投与される。有効成分は、桂皮抽出物の1つまたはいくつかの成分であってもよい。
【0111】
この方法は、このような組成物を、1日に2回以上、1日に3回以上、1日に4回以上、1日に1〜15回の範囲で投与する工程も含む。このような投与は、数日間、数週間、数ヶ月、数年にわたって毎日のように連続的であってもよく、または特定の状態を治療または予防するために、特定の時間間隔に行ってもよい。例えば、ヒトに、精神集中、認知および記憶を高めるために、または2型糖尿病を処置し、予防するために、または心血管疾患の卒中を予防するために、または胃腸管障害を治療するために、または炎症性障害および関節炎(通風を含む)を治療するために、または風邪、細菌感染および真菌感染を治療するために、桂皮種抽出物を数年間、少なくとも1日に1回投与してもよい。
【0112】
上の記載は、本開示を実施する現時点で最良と考えられる態様を含む。この記載は、本開示の一般的な原理を示す目的でなされたものであり、限定する意図はないと解釈されるべきである。本開示には、さらに以下の実施例を示すが、本発明の範囲をいかなる様式にも限定するものと解釈されるべきではない。対照的に、本明細書の記載を読めば、本開示の精神に逸脱しない限り、種々の実施形態、その改変および等価物について当業者に示唆があると明らかに理解されるべきである。
【0113】
本明細書で使用されるあらゆる用語は、当業者が日常的に使用している意味に解釈されると考える。本明細書で引用した特許および特許明細書または参考文献は、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【実施例】
【0114】
(材料)
アセトン(67−64−1),≧99.5%,ACS試薬(179124);アセトニトリル(75−05−8),HPLC用,勾配グレード ≧99.9%(GC)(000687);ヘキサン(110−54−3),95+%,分光測定用グレード(248878);酢酸エチル(141−78−6),99.5+%,ACSグレード(319902);エタノール,4.8%イソプロパノールで変性(02853);エタノール(64−17−5),無水(02883);メタノール(67−56−1),99.93%,ACS HPLCグレード(4391993);および水(7732−18−5),HPLCグレード,(95304)。すべてSigma−Aldrichから購入した。
【0115】
ギ酸(64−18−6),50%溶液(09676);酢酸(64−19−7),99.7+%,ACS試薬(320099);塩酸(7647−01−0),容量測定用標準 1.0N水溶液(318949);水酸化カルシウム(7789−78−8),粉末,CA 0〜2mm,90〜95%(213268);無水塩化第二鉄(7705−08−0),97%,試薬グレード(157740);Folin−Clocalteuフェノール試薬(2N)(47641);フェノール(108−95−2)(P3653);硫酸(7664−93−9),ACS試薬,95〜97%(44719);トリエタノールアミン(102−71−6),トリエタノールアミン遊離塩基(T1377);ドデシル硫酸ナトリウム(151−21−3),最少で98.5% GC(L4509)。すべてSigma−Aldrichから購入した。炭酸ナトリウム(S263−1,Lot番号:037406)はFisher Co.から購入した。
【0116】
血清アルブミン(9048−46−8),アルブミンウシ画分V粉末 細胞培養試験済(A9418);(+)−カテキン水和物(88191−48−4),純度≧98%(C1251);没食子酸(149−91−7),ACS試薬,≧98%(HPLC);ベンジルチオール(100−53−8),99%(B25401);Trans−桂皮アルデヒド(14371−10−9),純度99+%;タンニン酸(1401−55−4),粉末(T0125)。すべてSigma−Adrichから購入した。(−)−エピカテキン93.6%(05125−550,CAS番号490−46−0)はChromadexから購入した。DINに沿うデキストラン標準5000(00269)、50,000(00891)および410,000(00895)は、Flukaから購入した。本開示で使用した化学参照標準の構造を以下に示す。
【0117】
【化1】
Sephadex LH−20:SephadexTM LH−20(Lot番号:308822,パック167600,製造番号:17−0090−01)は、Ambersham Bioscience AB Uppsala Swedenから購入した。sephadex G−25をヒドロキシプロピル化したものであり、ビーズを形成するデキストラン媒体によって調製され、有機溶媒中の天然物(例えば、ステロイド、テルペノイド、脂質および低分子量ペプチド)のゲル濾過用に特別に開発されたものである。
【0118】
(HPLC法)
クロマトグラフィーシステム:LC10ADVPポンプ、SPD−M 10AVP発光ダイオードアレイ検出器を備えたShimadzu製高速液体クロマトグラフィーLC−10AVPシステム。得られた抽出生成物を逆相Jupiter C18カラム(250×4.6mm I.D.,5μ,300Å)(Phenomenex,部品番号:00G−4053−E0,シリアル番号:2217520−3,バッチ番号:5243−17)で測定した。注入容積は10μlであり、移動相の流速は1ml/分であった。カラム温度は50℃であった。移動相は、A(0.5%ギ酸水溶液(v/v))およびB(アセトニトリル)であった。勾配は、以下のようにプログラミングした:最初の6分間は、Aを100%で維持し、6〜10分は、溶媒Bを0%から12%まで直線的に増加させ、10〜35分は、Bを12%から21%まで直線的に増加させ、35〜40分は、Bを21%から25%まで直線的に増加させ、40〜50分は、Bを100%まで直線的に増加させる。
【0119】
3種類の参照標準(カテキン、エピカテキンおよびtrans−桂皮アルデヒド)メタノールストック溶液を、標準化合物を秤量し、1mg/mlでメタノールに溶解することによって調製した。参照標準溶液を混合し、段階的に希釈し、最終濃度がそれぞれ0.75、0.5、0.1、0.05mg/mlの一連の溶液を得た。全てのストック溶液および作業溶液は7日以内に使用し、+4℃の冷蔵庫で保存し、使用前に室温に戻した。この溶液を使用し、桂皮中の化合物を同定し、定量した。(+)−カテキン(C)、(−)−エピカテキン(EC)およびtrans−桂皮アルデヒド(CAN)の保持時間は、それぞれ14.02分、15.22分および34.00分であった。0.01〜10μgの範囲で線形に沿った。回帰式および相関係数は、以下のとおりであった:(+)−カテキン:ピーク面積=465303×C(μg)−5701.4,R2=0.9996(N=6);(−)−エピカテキン:ピーク面積=124964×C(μg)−215.88,R2=0.9998(N=6);trans−桂皮アルデヒド:ピーク面積/100=69657×C(μg)−1162.1,R2=0.9997(N=6)。HPLCの結果を表9に示す。各サンプル中の参照標準の含有量は、ピーク面積に基づいて、対応する検量線から内挿によって算出した。
【0120】
【表9】
1理論段数は、以下のように算出した:N=16×(tR/w)2。tRは保持時間であり、wはピーク幅である。https://www.mn−net.com/web%5CMN−WEB−HPLCKatalog.nsf/WebE/GRUNDLAGEN。
【0121】
(GC−MS分析)
GC−MS分析は、Shimadzu製GCMS−QP2010システムを用いて行った。このシステムには、高速ガスクロマトグラフ、直接接続したGC/MSインターフェース、独立した温度コントローラがついた電子衝撃(EI)イオン源、四重極マスフィルターなどが備わっている。このシステムは、データ収集および実行後の分析についてはGCMS solution Ver.2ソフトウェアで制御されている。分離は、Agilent J&W DB−5石英ガラスキャピラリーカラム(30m×0.25mm i.d.,膜厚0.25μm)(カタログ:1225032,シリアル番号:US5285774H)を用い、以下の温度プログラムを用いて行った。初期温度は60℃であり、この温度で2分間維持し、4℃/分で120℃まで上昇させ、この温度で15分間維持し、4℃/分で240℃まで上昇させ、この温度で15分間維持し、全実行時間は77分間であった。サンプル注入温度は250℃であった。スプリットレスモードで、1分間にサンプル1μlをオートインジェクターで注入した。キャリアガスはヘリウムであり、流速は圧力60KPaで制御した。このような加圧下で、流速は1.03ml/分であり、線速度は37.1cm/分であった。MSイオン源の温度は230℃であり、GC/MSインターフェース温度は250℃であった。MS検出器は、走査速度1000AMU/秒でm/z50〜500を走査した。溶媒のカットオフ温度は3.5分であった。
【0122】
(合計フェノール酸のためのFolin−Ciocalteu法(Markar 1993))
Shimazu製UV−Vis分光光度計(UVプローブ付UV1700:S/N:A1102421982LP)を使用した。
【0123】
標準:
ストック没食子酸/水溶液を濃度1mg/mlで作成する。試験管に適切な量の没食子酸溶液を入れ、蒸留水で容積を0.5mlにし、Folin Ciocalteu試薬0.25mlを加え、次いで20重量%炭酸ナトリウム溶液1.25mlを加える。管を40分間十分に攪拌し(超音波浴で)、吸光度を725nmで記録する。データを表10に示す。
【0124】
【表10】
*没食子酸溶液の量は、吸光度の情報によるものである。
【0125】
(多糖類分析のための、Direct Analysis in Real Time(DART)質量分析)
装置:JOEL AccuTOF DART LC飛行時間型質量分析計(Joel USA,Inc.,Peabody,Massachusetts,USA)。この飛行時間型(TOF)質量分析技術は、サンプル調製を必要とせず、質量は0.00001質量単位まで正確に測定できる。
【0126】
方法:画分を捕捉し、分析するのに使用する装置の設定を以下に示す:陽イオンモードでは、DART針の電圧は3000Vであり、元素は250℃で加熱し、電極1は100V、電極2は250Vであり、ヘリウムガスの流速は7.45リットル/分(L/分)である。質量分析計の場合、オリフィス1は10Vであり、リングレンズは5Vであり、オリフィス2は3Vである。適切な60m/zで始まる解像力を得て、大きな質量範囲でも十分な解像度を得るために、ピーク電圧を600Vに設定する。マイクロチャンネルプレート検出器(MCP)の電圧を2450Vに設定する。サンプル導入前に、0.5Mカフェイン溶液標準(Sigma−Aldrich Co.,St.Louis,USA)を用いて毎朝較正を行う。較正許容値は≦5mmuである。
【0127】
滅菌ハサミでDARTヘリウムプラズマにサンプルを導入し、サンプル表面が最大限ヘリウムプラズマビームを受けるようにする。サンプルをビームに導入するために、走査作業を行う。この作業により、サンプルは、約0.5秒/走査の間、前後に繰り返し動き、サンプルの熱分解を防ぐことができる。適切な合計イオン流(TIC)の信号が検出器で観測されるまで、この動作が繰り返され、サンプルが取り除いて、ベースライン/バックグラウンドを正規化する。
【0128】
陰イオンモードの場合、DARTおよびAccuTOF MSを陰イオンモードのものに取り替える。針の電圧は3000Vであり、元素は250℃で加熱し、電極1は100V、電極2は250Vであり、ヘリウムガスの流速は7.45L/分である。質量分析計の場合、オリフィス1は−20Vであり、リングレンズは−13Vであり、オリフィス2は−5Vである。ピーク電圧は200Vである。MCP電圧を2450Vに設定する。サンプルを、陽イオンモードの場合と同じ様式で導入する。全データ分析は、装置とともに提供されたMassCenterMain Suiteソフトウェアを用いて行なう。
【0129】
(実施例1)
(工程1Aの実施例:1段階SFEによる、桂皮精油の最大抽出および精製)
(精油)
全てのSFE抽出は、圧力690barまで、温度200℃までに耐え得るように設計されたSFT 250(Supercritical Fluid Technologies,Inc.,Newark,Delaware,USA)で行った。この装置は、動的状態または静的状態のいずれでも操作できる柔軟性を有しており、超臨界条件で簡単に効率よく抽出することができる。この装置は、主にオーブン、ポンプおよびコントローラ、および収集モジュールの3つのモジュールからなる。オーブンは、1個のプレヒートカラムと、1個の100ml抽出容器とを備えている。ポンプモジュールは、300ml/分の一定流速能力を有する圧縮空気ポンプを備えている。収集モジュールは40mlガラスバイアルであり、抽出生成物を回収するために、キャップおよびセプタムで密閉されている。この装置には、マイクロメーターバルブと流速測定器とが備わっている。抽出容器の圧力および温度が監視されており、±3barおよび±1℃に維持される。
【0130】
典型的な実施例では、140メッシュのふるいにかけ、105μmより大きな粒径を有する桂皮樹皮粉末30gを、実験毎に抽出容器100mlに入れる。ガラスウールをカラムの両端に置き、固体物質が外に出ないようにする。オーブンを所望の温度まであらかじめ加熱しておき、その後に充填した容器を置いた。容器をオーブンに接続した後、抽出システムをCO2(約850psig)で加圧し、漏れ試験を行ない、パージした。システムを閉じ、空気圧型液体ポンプを用いて所望の抽出圧力まで加圧した。このシステムを約3分間放置し、平衡状態にした。サンプリングバイアル(40ml)を秤量し、サンプリングポートに接続した。CO2を速度約10SLPM(19g/分)で流し、抽出を開始した。CO2の速度は絞り弁で制御する。溶媒/供給比(中に入れた原材料の重量に対する、使用した合計CO2の重量比であると定義される)を算出した。抽出プロセス中、抽出されたサンプルを5分毎に秤量した。2回の測定間で、サンプルの重量の変化量が5%未満になったら、抽出が終了したものとした。収率は、抽出容器に入れた原材料の最初の合計重量に対する、抽出された精油の重量比であると定義した。全因子を考えた抽出法の設計は、80〜500barに対して温度40〜80℃で変えて行った。
【0131】
この実験例では、温度範囲40〜80℃、圧力範囲80〜500barで抽出条件を設定した。CO2流速は19g/分であった。結果を表11に示す。
【0132】
【表11】
(実施例2)
(工程1Bの実施例:桂皮精油の多段階SCCO2分画)
多段階SCCO2抽出/分画をSFT 250(Supercritical Fluid Technologies,Inc.,Newark,Delaware,USA)で行った。典型的な多段階抽出では、粉砕した桂皮樹皮30g(粒径は105μmより大きい)を、内容積100mlの抽出容器に入れた。抽出溶液を、抽出容器出口に取り付けた40mlの収集容器に集めた。CO2の流速を19g/分に設定した。第1の抽出工程は、圧力80barおよび温度40℃(CO2密度=0.29g/ml)で行った。この抽出工程を1時間行った。第2の抽出工程は、圧力100barおよび温度40℃(CO2密度=0.64g/ml)で行った。第2の抽出工程を1時間続けた。第3の抽出物工程は、圧力120barおよび温度40℃で1時間行った(CO2密度=0.72g/ml)。第4の抽出段階は、温度40℃および圧力300bar(CO2密度=0.92g/ml)で1時間行った。60℃および80℃でも、3段階の多段階抽出を行った。これを含む分析結果を表12に示しており、この表では、粗抽出物と多段階GC−MSデータとを同じSFE条件下で比較することができる。
【0133】
【表12】
多段階抽出の合計収率は、それぞれ原材料の重量に基づいて、各段階の収率を合計すると、40℃で約1.6重量%、60℃で約1.3重量%、80℃で約1.8重量%であった。これらの収率は、多段階プロセスで使用した溶媒−供給比が高かったため、1段階の粗抽出の収率よりも高かった。それ以外のデータには整合性がある。データから明らかなように、化学構成物質の化学化合物(例えばtrans−桂皮アルデヒド)の濃度は、これらの副次画分抽出生成物で変わってもよく、このことはSFEが桂皮精油の化学構成物質をプロファイリングすることができる能力を示している。
【0134】
【表13】
(実施例3)
(工程2の実施例 多糖類画分の抽出)
桂皮種に含まれる、水溶性でエタノール不溶性の精製された多糖類画分の溶媒抽出および化学構成成分の沈殿の典型的な実験例は以下のとおりである。60℃および300barでのSFE抽出から得た固体残留物20gを、蒸留水400mlを用いて、85℃で2時間、2段階で抽出した。2つの抽出溶液を合わせ、Fisherbrand P4濾紙(孔径4〜8μm)でスラリーを濾過し、2,000rpmで20分間遠心分離処理した。上清を集めた。Rotary evaporationを用い、透明な上清抽出溶液800mlを80mlになるまで濃縮した。次いで、無水エタノール1520mlを加え、最終エタノール濃度を95%にした。溶液を30分間放置すると、沈殿が見られた。抽出溶液を2,000rpmで20分間遠心分離処理し、上清をデカンテーションし、さらなる処理のために保存するか、または廃棄した。沈殿前および沈殿後の物質収支を出し、多糖類の収率を算出した。沈殿を集め、50℃のオーブンで12時間乾燥させた。乾燥した多糖類画分の重量を測定し、水に溶解し、参照標準としてデキストランを用いた比色法で多糖類の純度を分析した。さらに、AccuTOF−DART質量分析を用いて、多糖類画分の特性を決定した。結果を図6および図7および表14および表15に示す。
【0135】
【表14】
【0136】
【表15−1】
【0137】
【表15−2】
【0138】
【表15−3】
桂皮多糖類の収率は、元々の桂皮樹皮原料の1.3重量%であった。多糖類画分の純度は、290〜470mg/gデキストラン標準当量であり、このことは、この画分の桂皮多糖類化学構成物質の純度が95%を超えていることを示す。沈殿前と沈殿後で、溶液中の合計フェノール酸の分析値を比較すると、沈殿はフェノール酸になんら影響を与えていないようであった。多数および多種類の実験アプローチに基づいて、収率1.3%は、天然桂皮原料に含まれる水溶性でエタノール不溶性の多糖類のほぼ100%であると結論付けるのがきわめて妥当である。
【0139】
(実施例4)
(工程3の実施例:含水アルコール溶出による抽出)
桂皮種のフェノール酸化学構成物質の3段階溶媒抽出の典型的な実施例は、以下に示すとおりである。原料は、工程1の精油のSCCO2(40℃、300bar)抽出から得た、粉砕した桂皮樹皮SFE残留物2gであった。溶媒は、25%含水エタノール40mlであった。この方法では、原材料と、含水エタノール40mlとを、別々に100ml抽出容器に入れ、40℃の水浴で4時間混合した。粒子保持サイズ4〜8μmのFisherbrand P4濾紙で抽出溶液を濾過し、2000rpmで20分間遠心分離処理し、さらなる抽出のために粒子状残留物を使用した。収率の計算と、HPLC分析のために、濾液(上清)を集めた。段階1の残留物を2時間抽出し(段階2)、段階2の残留物を上述の方法を用いて2時間抽出した。物質収支、抽出物の桂皮アルデヒド(CND)、カテキン(C)およびエピカテキン(EC)HPLC分析のために上清を集めた。合計フェノール酸濃度(純度)を測定するためにFolin−Ciocalteuアッセイを用い、タンニン酸純度を測定するためにタンパク質沈殿法を用いた。結果を表16に示す。
【0140】
【表16】
注:
1.CND=trans−桂皮アルデヒド;C=(+)−カテキン;EC=(−)−エピカテキン;TPA=合計フェノール酸;TA=タンニン酸。
【0141】
2.CND、C、ECをHPLCで分析し、TPAを、Folin−Ciocalteu法で没食子酸を標準として用いて分析し、TAをタンパク質沈殿法で分析した。
【0142】
Folin−Ciocalteu法を検証するために、既知のフェノール酸、ケムフェロール(kaempherol)、カフェ酸、カテキンを濃度1mg/mlで試験した。ケムフェロールおよびカテキンを測定する際の実験誤差は2〜4%であり、カフェ酸の場合は約10%であった。それに加えて、ある参考文献(Sindhu 2006)では、合計フェノール酸を彼らの方法で抽出し、その結果は289±2.2mg没食子酸/g抽出物であり、本件の結果とかなり近い。
【0143】
(実施例5)
(工程4の実施例 精製されたポリフェノール酸画分のアフィニティー吸着による抽出)
典型的な実験では、作業溶液は、桂皮種を工程3の含水エタノール溶出した抽出物の透明含水アルコール溶液であった。アフィニティー吸着ポリマー樹脂はSephadex LH−20であった。アフィニティー吸着剤6gは、内径1.5cm、長さ100cmのカラムに充填する前に、95%エタノール(4〜5BV)であらかじめ洗浄しておいた。充填したカラムの容積は25mlであった。桂皮の25%エタノール段階I抽出物100ml+段階II抽出物の溶液(サンプル溶液2.4mg/ml)をロータリーエバポレーターで1mlになるまで濃縮し、溶媒を除去した。次いで、この濃縮した溶液に無水エタノール19mlを加え、化学構成物質を溶解させた。この溶液を2000rpmで10分間遠心分離処理し、上清を集め、最終的なポリフェノールローディング溶液(11mg/ml)とした。ローディング溶液12mlをカラムに入れた。ローディング溶液を入れたカラムを95%エタノール240mlで流速2.4BV/時間(1ml/分)で溶出時間100分間溶出させた。溶出中、8個の非タンニンポリフェノール画分(溶出画分F1〜F8と称する)を30ml溶出するごとに集めた。集めた画分で吸光が検出されなくなるまで、UV分光光度計で280nmで各画分を試験した。カラムを70%含水アセトン70mlで洗浄し、アフィニティー吸着剤に吸着したタンニンポリフェノールを流速5BV/時間(2.1ml/分)で集めた。タンニン洗浄溶液を破棄した。最後に、カラムを95%エタノール4〜5BVで洗浄し、さらなる処理を行うカラムを準備するために、任意の残った化学不純物を除去した。各ポリフェノール溶出画分を集め、分析し、結果を表17に示す。
【0144】
【表17】
*溶出物1には化学構成物質が存在せず、溶媒のみであったため、表から除外した。
【0145】
(実施例6)
以下の成分を以下の配合で混合する。
【0146】
C.cassia樹皮の抽出物 150.0mg
精油画分(10mg、乾燥重量6.6%)
ポリフェノール画分(100mg、乾燥重量66.7%)
多糖類(40mg、乾燥重量26.6%)
ステビオシド(Stevia抽出物) 12.5mg
カルボキシメチルセルロースラクトース 35.5mg
ラクトース 77.0mg
合計 275.0mg。
【0147】
桂皮種の新規抽出物は、精油画分、フェノール酸−精油画分および多糖類画分を含み、これらの重量%は天然根茎材料または従来の抽出生成物よりも大きい。任意の経口投薬形態で配合物を作ることができ、所望な生理学的効果および心理学的効果(脳機能の増強および鎮痛作用)および医学的効果(インスリン非依存性糖尿病、抗血小板凝集および抗血栓、心血管および脳血管の疾患予防および治療、抗アテローム性動脈硬化症、抗高コレステロール血症、心臓の保護、神経系の保護、抗炎症、抗アレルギー、抗関節炎、抗リウマチ症、抗通風、胃腸管障害、咳、風邪、発熱、脂肪分解、創傷治癒の促進、抗細菌、抗真菌および抗癌)のために必要な場合、1日1回または1日に15回まで投与することができる。
【0148】
(実施例7)
以下の成分を以下の配合で混合する。
【0149】
C.cassia樹皮の抽出物 150.0mg
精油画分(60mg、乾燥重量40%)
ポリフェノール画分(30mg、乾燥重量20%)
多糖類(60.0mg、乾燥重量40%)
ビタミンC 15.0mg
スクラロース 35.0mg
緑豆粉末10:1 50.0mg
モカフレーバー 40.0mg
チョコレートフレーバー 10.0mg
合計 300.0mg。
【0150】
cinnamon chuangxiongの新規抽出物は、精油画分、フェノール酸−精油画分および多糖類化学構成物質を含み、これらの重量%は天然根茎材料または従来の抽出生成物よりも大きい。任意の経口投薬形態で配合物を作ることができ、所望な生理学的効果、心理学的効果および医学的効果(上の実施例1を参照)のために必要な場合、毎日または1日に15回まで投与することができる。
【0151】
参考文献
【0152】
【化2】
【0153】
【化3】
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】図1は、桂皮抽出プロセスの例示的な模式図を示す。
【図2】図2は、精油画分を調製する例示的な方法を示す。
【図3】図3は、多糖類画分を調製する例示的な方法を示す。
【図4】図4は、溶媒溶出による抽出の例示的な方法を示す。
【図5】図5は、精製ポリフェノール画分の例示的な調製方法を示す。
【図6】図6は、桂皮多糖類のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図7】図7は、桂皮多糖類のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図8】図8は、桂皮樹皮のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図9】図9は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した桂皮樹皮の粗抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図10】図10は、75%EtOH抽出溶媒を用いた桂皮樹皮HS#147の粗抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図11】図11は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F3のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図12】図12は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F4のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図13】図13は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F5のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図14】図14は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F6のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図15】図15は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F7のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図16】図16は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F8のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図17】図17は、桂皮樹皮のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図18】図18は、75%EtOH抽出溶媒を用いた桂皮樹皮HS#147の粗抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図19】図19は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した桂皮樹皮の粗抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図20】図20は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F3のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図21】図21は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F4のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図22】図22は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F5のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図23】図23は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F6のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図24】図24は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F7のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図25】図25は、Sephadex LH−20充填材料を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した画分F8のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図26】図26は、Mountain Rose Herbsから商業的に購入した桂皮スティックのAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図27】図27は、40℃、100barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図28】図28は、40℃、300barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図29】図29は、40℃、500barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図30】図30は、60℃、100barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図31】図31は、60℃、300barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図32】図32は、60℃、500barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図33】図33は、80℃、100barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図34】図34は、80℃、300barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図35】図35は、80℃、500barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図36】図36は、粗桂皮を80%EtOHで溶出した抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図37】図37は、粗桂皮のSCCO2抽出物から得た残留物を80%EtOHで溶出した抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図38】図38は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F4のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図39】図39は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F5のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図40】図40は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F6のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図41】図41は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F7のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図42】図42は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F8のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図43】図43は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F9のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図44】図44は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F10のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図45】図45は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F11のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図46】図46は、HS114から得た桂皮粗抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図47】図47は、HS114(SCCO2)から得た桂皮粗抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図48】図48は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F4のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図49】図49は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F5のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図50】図50は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F6のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図51】図51は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F7のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図52】図52は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F8のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図53】図53は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F9のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図54】図54は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F10のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図55】図55は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F11のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)を示す。
【図56】図56は、Mountain Rose Herbsから商業的に購入した桂皮スティックのAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図57】図57は、40℃、100barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図58】図58は、40℃、300barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図59】図59は、40℃、500barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図60】図60は、60℃、100barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図61】図61は、60℃、300barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図62】図62は、60℃、500barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図63】図63は、80℃、100barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図64】図64は、80℃、300barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図65】図65は、80℃、500barでSCCO2法によって抽出した桂皮精油のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図66】図66は、粗桂皮を80%EtOHで溶出した抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図67】図67は、粗桂皮のSCCO2抽出物から得た残留物を80%EtOHで溶出した抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図68】図68は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F4のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図69】図69は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F5のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図70】図70は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F6のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図71】図71は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F7のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図72】図72は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F8のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図73】図73は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F9のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図74】図74は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F10のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図75】図75は、Sephadex LH−20充填材料を用いた、HS114 SCCO2残留物の桂皮エタノール溶出画分F11のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図76】図76は、HS114から得た桂皮粗抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図77】図77は、HS114(SCCO2)から得た桂皮粗抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図78】図78は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F4のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図79】図79は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F5のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図80】図80は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F6のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図81】図81は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F7のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図82】図82は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F8のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図83】図83は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F9のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図84】図84は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F10のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【図85】図85は、Sepadex LH−20から得た、チオール分解した後の桂皮エタノール溶出画分F11のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図6〜85のいずれかのDirect Analysis in Real Time(DART)質量分析クロマトグラムを有する画分を含む、桂皮種(species)抽出物。
【請求項2】
前記画分が、桂皮アルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナミルアルコール、trans−桂皮酸、酢酸シンナミル、精油、ポリフェノール、多糖類およびこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物を含む、請求項1に記載の桂皮種抽出物。
【請求項3】
前記画分が、約2重量%を超える量の桂皮アルデヒドを含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項4】
前記画分が、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%または約95重量%を超える量の桂皮アルデヒドを含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項5】
前記画分が、桂皮アルデヒドを約65重量%〜約95重量%含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項6】
前記画分が、オイゲノール、2’−ヒドロキシ桂皮アルデヒド、2−メトキシ桂皮アルデヒド、2’−ベンゾキシ桂皮アルデヒド、リナロール、1,8−シネオール、α−ピネン、β−ピネンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される精油を含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項7】
前記画分が、精油を約1重量%〜約5重量%含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項8】
前記画分が、桂皮アルデヒドと精油とを合わせて約5重量%〜約40重量%含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項9】
前記画分が、フラボノイド、フラボノール配糖体およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリフェノールを含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項10】
前記画分が、ポリフェノールを約20重量%〜約70重量%含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項11】
前記画分が、桂皮アルデヒド約6重量%と、ポリフェノール約70重量%とを含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項12】
前記画分が、桂皮アルデヒド約40重量%と、ポリフェノール約20重量%とを含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項13】
前記画分が、グルコース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、キシロースウロン酸およびこれらの組み合わせからなる群から選択される多糖類を含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項14】
前記画分が、多糖類を約30重量%含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項15】
前記フラボノイドが、3−(2−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸、3−(2−ヒドロキシフェニル)−O−配糖体、アントシアニジン、エピカテキン(epitcatechin)、カテキン、メチルヒドロキシカルコン、カテキンオリゴマー、エピカテキンオリゴマー、オリゴマープロアントシアニジン、ポリマープロアントシアニジンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の桂皮種抽出物。
【請求項16】
前記フラボノール配糖体が、ケンフェリトリン、ケンフェロール 3−O−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−L−ラムノピラノシド、ケンフェロール 3−O−β−D−アピオフラノシル−(1→2)−α−L−ラムノピラノシド、ケンフェロール 3−O−β−D−アピオフラノシル−(1→4)−α−L−ラムノピラノシドおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の桂皮種抽出物。
【請求項17】
請求項1の桂皮種抽出物を含む食品または医薬。
【請求項18】
桂皮種植物材料を連続的に抽出し、精油画分、非タンニンポリフェノール画分および多糖類画分を得る工程を含み、該工程が、
(a)超臨界二酸化炭素抽出によって桂皮種植物材料を抽出し、該精油画分および第1の残留物を得る工程と、
(b)桂皮種植物材料または工程(a)の第1の残留物を約70℃〜約90℃の水によって抽出し、多糖類をアルコールで沈殿させ、該多糖類画分と第2の残留物を得る工程と、
(c)桂皮種植物材料、工程(a)の第1の残留物および/または工程(b)の第2の残留物を含水アルコール溶液で抽出し、該抽出物をアフィニティー吸着プロセスを用いて精製し、該非タンニンポリフェノール画分を得る工程とによる、桂皮種抽出物の調製方法。
【請求項19】
工程(a)が、
(1)抽出容器に粉砕した桂皮種植物材料を入れる工程と、
(2)超臨界条件で二酸化炭素を加える工程と、
(3)該粉砕した桂皮樹皮と該二酸化炭素とを所定時間接触させる工程と、
(4)精油画分を回収容器に集める工程とを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
超臨界条件が、35℃〜90℃、圧力60bar〜800barを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
超臨界条件が、40℃〜80℃、圧力60bar〜500barを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記所定時間が、30分〜2.5時間である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記所定時間が1時間である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
超臨界二酸化炭素分画分離システムが、前記精油画分を分画、精製およびプロファイリングするために用いられる、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
工程(b)が、
(1)粉砕した桂皮種植物材料または工程(a)の第1の残留物と水とを、多糖類の化学構成物質を抽出するのに十分な時間接触させる工程と、
(2)アルコール沈殿によって溶液から固体多糖類を分離し、精製する工程とを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記水が70℃〜90℃である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記水が80℃〜90℃である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記時間が1〜5時間である、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記時間が2〜4時間である、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記時間が2時間である、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記アルコールがエタノールである、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
工程(c)が、
(1)桂皮種植物材料、工程(a)の第1の残留物および/または工程(b)の第2の残留物と、含水アルコール溶液とを、ポリフェノールの化学構成物質を抽出するのに十分な時間接触させる工程と、
(2)含水アルコール溶媒混合物から抽出したポリフェノールの化学構成物質の濃縮アルコール溶液をアフィニティー吸着樹脂カラムに通す工程であって、該ポリフェノール酸が吸着される、工程と、
(3)該精製した非タンニンポリフェノールの化学構成物質画分を該アフィニティー吸着樹脂から溶出させ、該アフィニティー吸着樹脂にタンニンポリフェノールを吸着させたままにする工程とを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項33】
前記含水アルコール溶液がエタノールおよび水を含み、該エタノールの濃度が10〜95重量%である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記含水アルコール溶液がエタノールおよび水を含み、該エタノールの濃度が25重量%である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
工程(1)が30℃〜100℃で行われる、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
工程(1)が60℃〜100℃で行われる、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記時間が1〜10時間である、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記時間が1〜5時間である、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記時間が2時間である、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
請求項18に記載の方法によって調製される桂皮種抽出物。
【請求項41】
桂皮アルデヒドと、該桂皮アルデヒドの1〜5重量%の桂皮酸と、該桂皮アルデヒドの5〜15重量%のメチル桂皮酸と、該桂皮アルデヒドの1〜5重量%のシンナミルアルコールと、該桂皮アルデヒドの20〜30重量%のβ−グアネレン/cis−γ−ビスアバボレンと、該桂皮アルデヒドの1〜5重量%のピロガロールとを含む、桂皮種抽出物。
【請求項42】
ピロガロールと、該ピロガロールの80〜90重量%の桂皮酸と、該ピロガロールの85〜95重量%のメチル桂皮酸と、該ピロガロールの20〜30重量%のクマリン酸と、該ピロガロールの15〜25重量%のホモバニリン酸と、該ピロガロールの85〜95重量%桂皮アルデヒドと、該ピロガロールの10〜15重量%の安息香酸ベンジルとを含む、桂皮種抽出物。
【請求項43】
カテキンと、該カテキンの5〜15重量%の桂皮酸と、該カテキンの5〜15重量%のメチル桂皮酸と、該カテキンの5〜15重量%のクマリン酸と、該カテキンの1〜10重量%のフェルラ酸と、該カテキンの1〜5重量%の2−メトキシフェノールと、該カテキンの5〜15重量%のホモバニリン酸と、該カテキンの20〜30重量%のバニリン酸と、該カテキンの1〜5重量%のベンズアルデヒドと、該カテキンの35〜45重量%の桂皮アルデヒドと、該カテキンの85〜95重量%のピロガロールと、該カテキンの15重量%までのカフェ酸とを含む、桂皮種抽出物。
【請求項44】
β−グアネレン/cis−γ−ビスアバボレンと、該β−グアネレン/cis−γ−ビスアバボレンの5〜15重量%の桂皮アルデヒドとを含む、桂皮種抽出物。
【請求項45】
桂皮アルデヒドと、桂皮アルデヒドの10〜20重量%のβ−グアネレン/cis−γ−ビスアバボレンとを含む、桂皮種抽出物。
【請求項46】
桂皮アルデヒドと、該桂皮アルデヒドの30〜40重量%のピロガロールと、桂皮アルデヒドの1〜10重量%のカテキン/エピカテキンとを含む、桂皮種抽出物。
【請求項47】
桂皮アルデヒドと、該桂皮アルデヒドの1〜5重量%の桂皮酸と、該桂皮アルデヒドの0.5〜5重量%のメトキシ桂皮アルデヒドと、該桂皮アルデヒドの0.1〜5重量%のオイゲノールと、該桂皮アルデヒドの1〜5重量%のp−シメンと、該桂皮アルデヒドの0.1〜5重量%のショウノウと、該桂皮アルデヒドの0.5〜5重量%のカルバクロールと、該桂皮アルデヒドの25〜35重量%のカリオフィレン/フムレンと、該桂皮アルデヒドの0.1〜5重量%のピロガロールと、該桂皮アルデヒドの40〜50重量%の桂皮酸シンナミルとを含む、桂皮種抽出物。
【請求項48】
桂皮酸シンナミルと、該桂皮酸シンナミルの0.5〜5重量%のメトキシ桂皮アルデヒドと、該桂皮酸シンナミルの0.1〜5重量%のシンナミルアルコールと、該桂皮酸シンナミルの1〜5重量%のp−シメンと、該桂皮酸シンナミルの0.1〜5重量%のリナロールと、該桂皮酸シンナミルの0.1〜5重量%のショウノウと、該桂皮酸シンナミルの0.5〜5重量%のカルバクロールと、該桂皮酸シンナミルの70〜80重量%の桂皮アルデヒドと、該桂皮酸シンナミルの45〜55重量%のカリオフィレン/フムレンと、該桂皮酸シンナミルの0.1〜5重量%のピロガロールとを含む、桂皮種抽出物。
【請求項49】
ピロガロールと、該ピロガロールの5〜10重量%の桂皮酸と、該ピロガロールの60〜70重量%のクマリン酸と、該ピロガロールの1〜10重量%のフェルラ酸と、該ピロガロールの5〜15重量%の2−メトキシフェノールと、該ピロガロールの1〜10重量%のバニリン酸と、該ピロガロールの30〜40重量%のカテキン/エピカテキンと、該ピロガロールの1〜5重量%のベンズアルデヒドと、該ピロガロールの5〜15重量%のアフゼレキン/エピアフゼレキンと、該ピロガロールの1〜10重量%のレスベラトロルと、該ピロガロールの1〜5重量%のバニリンとを含む、桂皮種抽出物。
【請求項50】
ピロガロールと、該ピロガロールの0.5〜5重量%の桂皮酸と、該ピロガロールの10〜20重量%のクマリン酸と、該ピロガロールの0.5〜5重量%のフェルラ酸と、該ピロガロールの1〜5重量%の2−メトキシフェノールと、該ピロガロールの0.5〜5重量%のホモ/イソバニリン酸と、該ピロガロールの1〜10重量%のバニリン酸と、該ピロガロールの25〜35重量%のカテキン/エピカテキンと、該ピロガロールの1〜5重量%のベンズアルデヒドと、該ピロガロールの1〜5重量%の桂皮アルデヒドと、該ピロガロールの0.1〜5重量%のアフゼレキン/エピアフゼレキンと、該ピロガロールの65〜75重量%のバニリンとを含む、桂皮種抽出物。
【請求項1】
図6〜85のいずれかのDirect Analysis in Real Time(DART)質量分析クロマトグラムを有する画分を含む、桂皮種(species)抽出物。
【請求項2】
前記画分が、桂皮アルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナミルアルコール、trans−桂皮酸、酢酸シンナミル、精油、ポリフェノール、多糖類およびこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物を含む、請求項1に記載の桂皮種抽出物。
【請求項3】
前記画分が、約2重量%を超える量の桂皮アルデヒドを含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項4】
前記画分が、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%または約95重量%を超える量の桂皮アルデヒドを含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項5】
前記画分が、桂皮アルデヒドを約65重量%〜約95重量%含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項6】
前記画分が、オイゲノール、2’−ヒドロキシ桂皮アルデヒド、2−メトキシ桂皮アルデヒド、2’−ベンゾキシ桂皮アルデヒド、リナロール、1,8−シネオール、α−ピネン、β−ピネンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される精油を含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項7】
前記画分が、精油を約1重量%〜約5重量%含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項8】
前記画分が、桂皮アルデヒドと精油とを合わせて約5重量%〜約40重量%含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項9】
前記画分が、フラボノイド、フラボノール配糖体およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリフェノールを含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項10】
前記画分が、ポリフェノールを約20重量%〜約70重量%含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項11】
前記画分が、桂皮アルデヒド約6重量%と、ポリフェノール約70重量%とを含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項12】
前記画分が、桂皮アルデヒド約40重量%と、ポリフェノール約20重量%とを含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項13】
前記画分が、グルコース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、キシロースウロン酸およびこれらの組み合わせからなる群から選択される多糖類を含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項14】
前記画分が、多糖類を約30重量%含む、請求項2に記載の桂皮種抽出物。
【請求項15】
前記フラボノイドが、3−(2−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸、3−(2−ヒドロキシフェニル)−O−配糖体、アントシアニジン、エピカテキン(epitcatechin)、カテキン、メチルヒドロキシカルコン、カテキンオリゴマー、エピカテキンオリゴマー、オリゴマープロアントシアニジン、ポリマープロアントシアニジンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の桂皮種抽出物。
【請求項16】
前記フラボノール配糖体が、ケンフェリトリン、ケンフェロール 3−O−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−L−ラムノピラノシド、ケンフェロール 3−O−β−D−アピオフラノシル−(1→2)−α−L−ラムノピラノシド、ケンフェロール 3−O−β−D−アピオフラノシル−(1→4)−α−L−ラムノピラノシドおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の桂皮種抽出物。
【請求項17】
請求項1の桂皮種抽出物を含む食品または医薬。
【請求項18】
桂皮種植物材料を連続的に抽出し、精油画分、非タンニンポリフェノール画分および多糖類画分を得る工程を含み、該工程が、
(a)超臨界二酸化炭素抽出によって桂皮種植物材料を抽出し、該精油画分および第1の残留物を得る工程と、
(b)桂皮種植物材料または工程(a)の第1の残留物を約70℃〜約90℃の水によって抽出し、多糖類をアルコールで沈殿させ、該多糖類画分と第2の残留物を得る工程と、
(c)桂皮種植物材料、工程(a)の第1の残留物および/または工程(b)の第2の残留物を含水アルコール溶液で抽出し、該抽出物をアフィニティー吸着プロセスを用いて精製し、該非タンニンポリフェノール画分を得る工程とによる、桂皮種抽出物の調製方法。
【請求項19】
工程(a)が、
(1)抽出容器に粉砕した桂皮種植物材料を入れる工程と、
(2)超臨界条件で二酸化炭素を加える工程と、
(3)該粉砕した桂皮樹皮と該二酸化炭素とを所定時間接触させる工程と、
(4)精油画分を回収容器に集める工程とを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
超臨界条件が、35℃〜90℃、圧力60bar〜800barを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
超臨界条件が、40℃〜80℃、圧力60bar〜500barを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記所定時間が、30分〜2.5時間である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記所定時間が1時間である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
超臨界二酸化炭素分画分離システムが、前記精油画分を分画、精製およびプロファイリングするために用いられる、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
工程(b)が、
(1)粉砕した桂皮種植物材料または工程(a)の第1の残留物と水とを、多糖類の化学構成物質を抽出するのに十分な時間接触させる工程と、
(2)アルコール沈殿によって溶液から固体多糖類を分離し、精製する工程とを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記水が70℃〜90℃である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記水が80℃〜90℃である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記時間が1〜5時間である、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記時間が2〜4時間である、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記時間が2時間である、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記アルコールがエタノールである、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
工程(c)が、
(1)桂皮種植物材料、工程(a)の第1の残留物および/または工程(b)の第2の残留物と、含水アルコール溶液とを、ポリフェノールの化学構成物質を抽出するのに十分な時間接触させる工程と、
(2)含水アルコール溶媒混合物から抽出したポリフェノールの化学構成物質の濃縮アルコール溶液をアフィニティー吸着樹脂カラムに通す工程であって、該ポリフェノール酸が吸着される、工程と、
(3)該精製した非タンニンポリフェノールの化学構成物質画分を該アフィニティー吸着樹脂から溶出させ、該アフィニティー吸着樹脂にタンニンポリフェノールを吸着させたままにする工程とを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項33】
前記含水アルコール溶液がエタノールおよび水を含み、該エタノールの濃度が10〜95重量%である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記含水アルコール溶液がエタノールおよび水を含み、該エタノールの濃度が25重量%である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
工程(1)が30℃〜100℃で行われる、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
工程(1)が60℃〜100℃で行われる、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記時間が1〜10時間である、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記時間が1〜5時間である、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記時間が2時間である、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
請求項18に記載の方法によって調製される桂皮種抽出物。
【請求項41】
桂皮アルデヒドと、該桂皮アルデヒドの1〜5重量%の桂皮酸と、該桂皮アルデヒドの5〜15重量%のメチル桂皮酸と、該桂皮アルデヒドの1〜5重量%のシンナミルアルコールと、該桂皮アルデヒドの20〜30重量%のβ−グアネレン/cis−γ−ビスアバボレンと、該桂皮アルデヒドの1〜5重量%のピロガロールとを含む、桂皮種抽出物。
【請求項42】
ピロガロールと、該ピロガロールの80〜90重量%の桂皮酸と、該ピロガロールの85〜95重量%のメチル桂皮酸と、該ピロガロールの20〜30重量%のクマリン酸と、該ピロガロールの15〜25重量%のホモバニリン酸と、該ピロガロールの85〜95重量%桂皮アルデヒドと、該ピロガロールの10〜15重量%の安息香酸ベンジルとを含む、桂皮種抽出物。
【請求項43】
カテキンと、該カテキンの5〜15重量%の桂皮酸と、該カテキンの5〜15重量%のメチル桂皮酸と、該カテキンの5〜15重量%のクマリン酸と、該カテキンの1〜10重量%のフェルラ酸と、該カテキンの1〜5重量%の2−メトキシフェノールと、該カテキンの5〜15重量%のホモバニリン酸と、該カテキンの20〜30重量%のバニリン酸と、該カテキンの1〜5重量%のベンズアルデヒドと、該カテキンの35〜45重量%の桂皮アルデヒドと、該カテキンの85〜95重量%のピロガロールと、該カテキンの15重量%までのカフェ酸とを含む、桂皮種抽出物。
【請求項44】
β−グアネレン/cis−γ−ビスアバボレンと、該β−グアネレン/cis−γ−ビスアバボレンの5〜15重量%の桂皮アルデヒドとを含む、桂皮種抽出物。
【請求項45】
桂皮アルデヒドと、桂皮アルデヒドの10〜20重量%のβ−グアネレン/cis−γ−ビスアバボレンとを含む、桂皮種抽出物。
【請求項46】
桂皮アルデヒドと、該桂皮アルデヒドの30〜40重量%のピロガロールと、桂皮アルデヒドの1〜10重量%のカテキン/エピカテキンとを含む、桂皮種抽出物。
【請求項47】
桂皮アルデヒドと、該桂皮アルデヒドの1〜5重量%の桂皮酸と、該桂皮アルデヒドの0.5〜5重量%のメトキシ桂皮アルデヒドと、該桂皮アルデヒドの0.1〜5重量%のオイゲノールと、該桂皮アルデヒドの1〜5重量%のp−シメンと、該桂皮アルデヒドの0.1〜5重量%のショウノウと、該桂皮アルデヒドの0.5〜5重量%のカルバクロールと、該桂皮アルデヒドの25〜35重量%のカリオフィレン/フムレンと、該桂皮アルデヒドの0.1〜5重量%のピロガロールと、該桂皮アルデヒドの40〜50重量%の桂皮酸シンナミルとを含む、桂皮種抽出物。
【請求項48】
桂皮酸シンナミルと、該桂皮酸シンナミルの0.5〜5重量%のメトキシ桂皮アルデヒドと、該桂皮酸シンナミルの0.1〜5重量%のシンナミルアルコールと、該桂皮酸シンナミルの1〜5重量%のp−シメンと、該桂皮酸シンナミルの0.1〜5重量%のリナロールと、該桂皮酸シンナミルの0.1〜5重量%のショウノウと、該桂皮酸シンナミルの0.5〜5重量%のカルバクロールと、該桂皮酸シンナミルの70〜80重量%の桂皮アルデヒドと、該桂皮酸シンナミルの45〜55重量%のカリオフィレン/フムレンと、該桂皮酸シンナミルの0.1〜5重量%のピロガロールとを含む、桂皮種抽出物。
【請求項49】
ピロガロールと、該ピロガロールの5〜10重量%の桂皮酸と、該ピロガロールの60〜70重量%のクマリン酸と、該ピロガロールの1〜10重量%のフェルラ酸と、該ピロガロールの5〜15重量%の2−メトキシフェノールと、該ピロガロールの1〜10重量%のバニリン酸と、該ピロガロールの30〜40重量%のカテキン/エピカテキンと、該ピロガロールの1〜5重量%のベンズアルデヒドと、該ピロガロールの5〜15重量%のアフゼレキン/エピアフゼレキンと、該ピロガロールの1〜10重量%のレスベラトロルと、該ピロガロールの1〜5重量%のバニリンとを含む、桂皮種抽出物。
【請求項50】
ピロガロールと、該ピロガロールの0.5〜5重量%の桂皮酸と、該ピロガロールの10〜20重量%のクマリン酸と、該ピロガロールの0.5〜5重量%のフェルラ酸と、該ピロガロールの1〜5重量%の2−メトキシフェノールと、該ピロガロールの0.5〜5重量%のホモ/イソバニリン酸と、該ピロガロールの1〜10重量%のバニリン酸と、該ピロガロールの25〜35重量%のカテキン/エピカテキンと、該ピロガロールの1〜5重量%のベンズアルデヒドと、該ピロガロールの1〜5重量%の桂皮アルデヒドと、該ピロガロールの0.1〜5重量%のアフゼレキン/エピアフゼレキンと、該ピロガロールの65〜75重量%のバニリンとを含む、桂皮種抽出物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
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【図57】
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【図78】
【図79】
【図80】
【図81】
【図82】
【図83】
【図84】
【図85】
【公表番号】特表2009−531331(P2009−531331A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501757(P2009−501757)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/064832
【国際公開番号】WO2007/109804
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(508083459)ハーバルサイエンス シンガポール ピーティーイー. リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】HERBALSCIENCE SINGAPORE PTE.LTD.
【住所又は居所原語表記】1004 Collier Center Way, Suite200, Naples, FL 34110 USA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/064832
【国際公開番号】WO2007/109804
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(508083459)ハーバルサイエンス シンガポール ピーティーイー. リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】HERBALSCIENCE SINGAPORE PTE.LTD.
【住所又は居所原語表記】1004 Collier Center Way, Suite200, Naples, FL 34110 USA
【Fターム(参考)】
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