説明

梱包される部材の位置固定材

【課題】製造に手間がかからず、しかも、運搬中に衝撃により破損する恐れのない梱包される部材の位置固定材を提供する。
【解決手段】梱包される部材の凸部を囲む凸片が形成される梱包される部材の位置固定材において、位置固定材は紙板材を主体とする第1の板部材1と、紙板材より高剛性の第2の板部材2からなり、第1の板部材には一本の直線状の縦切込み1aと、縦切込みの両端で直線部がT字形に連なり直線部の両端部が互いに離れるように形成された二本の対向する横切込み1b、1bが設けられており、各切り込みを切り離して二本の横切込みの対向する両端間で90°折り曲げることにより対向する2枚の凸部1c、1cが形成され、第2の板部材には二本の横切込みの直線部間に密接に入り込む90°折り曲げられた2枚の凸部2aが形成されており、第1の板部材の二枚の凸部と第2の板部材の二枚の凸部とが梱包される部材の凸部を囲むように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は梱包される部材の位置固定材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の凸部を有する部材を梱包するときに用いる梱包される部材の位置固定材の例を図4〜図6により説明する。図4は従来の梱包される部材の位置固定材を構成する部材を示す斜視図、図5(a)は同位置固定材を構成する他の部材を示す斜視図、図5(b)は同他の部材の他の状態を示す斜視図、図6は同位置固定材の使用状態を示す分解斜視図である。
【0003】
図4に示す第2の板部材2は薄い金属板で形成され、2枚の凸部2aが対向するように立設されている。図5(a)に示す第1の板部材5はダンポール紙で形成されており、縦切込み5aと前記縦切込み5aの両端にT字形に連なる二本の横切込み5b、5bが形成されている。
【0004】
上記の平板状の第1の板部材5の各切込みを切り離し、二本の横切込み5b、5bの両端間を結ぶ(図5(a)に点線で示す)線で折り曲げることにより、図5(b)に示すように平板部から垂直に下がる二枚の凸部5c、5cが形成される。
【0005】
図6に示すように、図4に示す第2の板部材2を図4に示す姿勢から裏返した状態で、第1の板部材5の上に重ね、段ボール箱6に収容された梱包される部材の上に重ねる。このとき、第2の板部材2の凸部2a、2aは第1の板部材5の夫々の横切込み5b、5bに密接する。また、第1の板部材5の両端は略段ボール箱6の深さとなるように折り曲げられている。
【0006】
このように梱包状態で第1の板部材5の凸部5c、5cおよび第2の板部材2の凸部2a、2aは段ボール箱6に収容された梱包される部材の上部に突出する凸部を囲み梱包される部材の段ボール箱6での位置を固定する。
【0007】
上記梱包される部材の位置固定材の第2の板部材2の凸部2a、2aと第1の板部材5の夫々の横切込み5b、5bとの位置関係を図7(a)に示す。位置固定材はこの状態で使用されているが、運搬途中に衝撃を受けると、第2の板部材2に慣性力が発生する。
【0008】
このため、第2の板部材2の凸部2a、2aは第2の板部材2の凸部2a、2aを形成した四角形の穴の隅に衝突する。そして、段ボール紙の弾性変形で延びる長さは少ないので、穴の縁が延びる余地がなく、板部材2の凸部2a、2aの撃力により第2の板部材2の穴の縁が図7(b)に示すように裂けてしまうという問題があった。
【0009】
特開2000−153878号公報に開示された段ボール緩衝材は、一枚の段ボール紙を端部より互いに平行な折れ線で巻き付けるように折り込み、隙間のない渦巻き状の積層構造体に形成されている。
【0010】
このような段ボール緩衝材に穴を設け、梱包される部材の凸部をこの穴に突入させて梱包される部材の位置を固定することもできる。しかしながらこの段ボール緩衝材は中実に形成されるため、材料の使用量が多くなり、また、渦巻き状の積層構造体に形成する手間もかかるという問題が発生する。
【特許文献1】特開2000−153878、段落0010〜段落0013、図1〜図3
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この発明は上記した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、製造に手間がかからず、しかも、運搬中に衝撃により破損する恐れのない梱包される部材の位置固定材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の梱包される部材の位置固定材は、梱包される部材の周辺部に配置され、前記梱包される部材の凸部を囲む凸片が形成される梱包される部材の位置固定材において、前記位置固定材は紙板材を主体とする第1の板部材と、紙板材より高剛性の第2の板部材からなり、前記第1の板部材には一本の直線状の縦切込みと、前記縦切込みの両端で直線部がT字形に連なり前記直線部の両端部が互いに離れるように形成された二本の対向する横切込みが設けられており、前記各切り込みを切り離して二本の横切込みの対向する両端間で90°折り曲げることにより対向する2枚の凸部が形成され、前記第2の板部材には前記二本の横切込みの直線部間に密接に入り込む90°折り曲げられた2枚の凸部が形成されており、前記第1の板部材の二枚の凸部と前記第2の板部材の二枚の凸部とが前記梱包される部材の凸部を囲むように構成されたものである。
【0013】
また、前記梱包される部材の位置固定材において、ダンボール箱に梱包される部材とダンボール箱の蓋との間に配置されるものである。
【0014】
また、前記各梱包される部材の位置固定材において、前記第1の板部材がダンボール紙で構成されているものである。
【0015】
また、同各梱包される部材の位置固定材において、前記第1の板部材がコートボールで構成されているものである。
【0016】
また、前記各梱包される部材の位置固定材において、前記第2の板部材が金属板で構成されているものである。
【0017】
また、前記各梱包される部材の位置固定材において、前記二本の横切込みが漏斗断面を突き合わせた形状に形成されているものである。
【0018】
また、同各梱包される部材の位置固定材において、前記二本の横切込みがラッパ断面を突き合わせた形状に形成されているものである。
【0019】
また、同各梱包される部材の位置固定材において、前記二本の横切込みがクランク形状に形成されているものである。
【発明の効果】
【0020】
この発明の梱包される部材の位置固定材によれば、製造に手間がかからず、しかも、運搬中に衝撃により破損する恐れがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下この発明を実施するための最良の形態を実施例に即して説明する。
【実施例1】
【0022】
図1(a)はこの発明の実施例1である梱包される部材の位置固定材の部分を示す平面図、図1(b)同部分の他の状態を示す平面図である。
【0023】
図1(a)に示すように、第1の板部材1には、縦切込み1aと縦切込み1aの両端で直線部がT字形に連なり漏斗断面を突き合わせた形状に形成された二本の対向する横切込み1b、1bが設けられている。
【0024】
このような、切込みを切り離し、切込みの両端間を折曲げて形成された穴に図4で説明した金属板の第2の板部材2の凸部2a、2aが横切込み1b、1bの直線部と密接するようにして、第1の板部材1と第2の板部材2を重ねると、図1(b)に示すように、第2の板部材2の凸部2a、2aは第1の板部材1の穴の隅ではなく、辺と当接するようになる。
【0025】
このように形成された位置固定材は図6で説明したように、段ボール箱に収容される梱包される部材と段ボール箱の蓋の間に配置され、第2の板部材2の凸部2a、2aと第1の板部材1の凸部1c、1cが梱包される部材の凸部を囲んで梱包される部材の位置を固定する。
【0026】
第2の板部材2の凸部2a、2aは第1の板部材1の穴の隅ではなく、辺と当接しているので、第1の板部材1の凸部2a、2aと当接部分は弾性曲げ変形することにより衝撃力を緩和することができる。この例では第2の板部材2の凸部2a、2aと当接する第1の板部材1の横切込み1b、1bの直線部を比較的に長くすることができ、第2の板部材2の凸部2a、2aを第1の板部材1で強く支持できる。
【実施例2】
【0027】
図2はこの発明の実施例2である梱包される部材の位置固定材の部分を示す平面図である。この例では、第1の板部材3に、縦切込み3aと第1の板部材3の縦切込み3aの両端で直線部がT字形に連なりラッパ断面を突き合わせた形状に形成された二本の対向する横切込み3b、3bが設けられている。
【0028】
この第1の板部材3も実施例1の第1の板部材1と同様に用いることができる。この例では第1の板部材3の横切込み3b、3bが滑らかに形成されているので、第1の板部材3の穴の周囲の応力集中や摩耗が防止できる。
【実施例3】
【0029】
図3はこの発明の実施例3である梱包される部材の位置固定材の部分を示す平面図である。この例では第1の板部材4に、第1の板部材4の縦切込み4aの両端で直線部がT字形に連なりクランク形状に形成され二本の対向する横切込み4b、4bが設けられている。
【0030】
この第1の板部材4も実施例1の第1の板部材1と同様に用いることができる。この例では第1の板部材4の横切込み4b、4bがクランク形状に形成されているので、第1の板部材4の金型製造コストが安くなる。
【0031】
実施例は以上のように構成されているが発明はこれに限られず、例えば、第1の板部材は段ボール紙の替わりに、段ボール紙に樹脂がコーティングされたコートボールを用いることもできる。また、第2の板部材2を硬質のプラスチック材料で作ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1(a)はこの発明の実施例1である梱包される部材の位置固定材の部分を示す平面図、図1(b)同部分の他の状態を示す平面図である。
【図2】この発明の実施例2である梱包される部材の位置固定材の部分を示す平面図である。
【図3】この発明の実施例3である梱包される部材の位置固定材の部分を示す平面図である。
【図4】従来の梱包される部材の位置固定材を構成する部材を示す斜視図である。
【図5】図5(a)は同位置固定材を構成する他の部材を示す斜視図、図5(b)は同他の部材の他の状態を示す斜視図である。
【図6】同位置固定材の使用状態を示す分解斜視図である。
【図7】図7(a)は同位置固定材の使用状態を示す部分平面図、図7(b)は同位置固定材の他の使用状態を示す部分平面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 第1の板部材、1a 縦切込み、1b 横切込み、1c 凸部
2 第2の板部材、2a 凸部
3 第1の板部材、3a 縦切込み、3b 横切込み
4 第1の板部材、4a 縦切込み、4b 横切込み
5 第1の板部材、5a 縦切込み、5b 横切込み、5c 凸部
6 ダンボール箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包される部材の周辺部に配置され、前記梱包される部材の凸部を囲む凸片が形成される梱包される部材の位置固定材において、前記位置固定材は紙板材を主体とする第1の板部材と、紙板材より高剛性の第2の板部材からなり、前記第1の板部材には一本の直線状の縦切込みと、前記縦切込みの両端で直線部がT字形に連なり前記直線部の両端部が互いに離れるように形成された二本の対向する横切込みが設けられており、前記各切り込みを切り離して二本の横切込みの対向する両端間で90°折り曲げることにより対向する2枚の凸部が形成され、前記第2の板部材には前記二本の横切込みの直線部間に密接に入り込む90°折り曲げられた2枚の凸部が形成されており、前記第1の板部材の二枚の凸部と前記第2の板部材の二枚の凸部とが前記梱包される部材の凸部を囲むように構成された梱包される部材の位置固定材。
【請求項2】
ダンボール箱に梱包される部材とダンボール箱の蓋との間に配置される請求項1の梱包される部材の位置固定材。
【請求項3】
前記第1の板部材がダンボール紙で構成されている請求項1または2の梱包される部材の位置固定材。
【請求項4】
前記第1の板部材がコートボールで構成されている請求項1または2の梱包される部材の位置固定材。
【請求項5】
前記第2の板部材が金属板で構成されている請求項1から4のいずれかに記載された梱包される部材の位置固定材。
【請求項6】
前記二本の横切込みが漏斗断面を突き合わせた形状に形成されている請求項1から5のいずれかに記載された梱包される部材の位置固定材。
【請求項7】
前記二本の横切込みがラッパ断面を突き合わせた形状に形成されている請求項1から5のいずれかに記載された梱包される部材の位置固定材。
【請求項8】
前記二本の横切込みがクランク形状に形成されている請求項1から5のいずれかに記載された梱包される部材の位置固定材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−234616(P2009−234616A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82624(P2008−82624)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】