説明

梱包物の移送装置及びこれに用いるケーサー装置

【課題】包装材の開口端部へのガイドの噛み込みを防止することが可能なケーサー装置を提供する。
【解決手段】コンベア装置にて搬送されるパック品2を、その開口端部2aが前後となる向きで、ガイド14により案内しつつプッシャにて側方のカートン上に送り出す構成を有し、ガイド14がスリット14aによって複数のブロック14bに分断されているケーサー装置において、ガイド14の幅寸法(B)を、パック品2とガイド14とが接触し得る範囲内にてパック品2の開口端部2aと飲料缶3との間に生じ得る隙間量Aよりも大きく設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶飲料のパック品等の梱包物をガイドに沿って移動させることが可能な移送装置及びこれを用いたケーサー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
併走する一対のコンベアの一方にて飲料缶等の物品を、他方のコンベアにて梱包用のカートンをそれぞれ搬送し、一方のコンベアの物品群を他方のコンベア上のカートンに押し込み、そのカートンを成形して箱詰商品を製造するケーサー装置が知られている(例えば特許文献1及び2参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第2960931号公報
【特許文献2】特開平5−193624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のケーサー装置では、飲料缶群のパック品のように、複数の物品を板紙状の包装材で巻き束ねた梱包物をベルトコンベアで搬送し、そのコンベアの搬送面からカートンに向かって梱包物を押し込むことがある。梱包物を円滑に移動させるため、梱包物の搬送面には梱包物を押し込む方向に沿って薄板状のガイドが設けられている。しかも、そのガイドは押し込み方向に沿って複数のスリットが設けられることにより櫛歯状を呈していることがある。一方、上記のパック品等の梱包物は、その両端が包装材で覆われることなく物品が露出する形態であることが多い。しかも、包装材を巻き締めても梱包物の側面で包装材が幾らか膨らむため、包物の開口端部では包装材と物品との間に隙間が生じがちである。そのため、梱包物を押し込む過程で包装材と物品との隙間にガイドが噛み込み、包装材が損傷するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、梱包物の開口端部へのガイドの噛み込みを防止することが可能な梱包物の移送装置及びケーサー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の移送装置は、複数の物品(3)の周囲に板状の包装材(4)を巻き付けた形態の梱包物(2)を、前記包装材で覆われていない開口端部(2a)を前後にして移動させる移動手段(16)と、前記移動手段による前記梱包物の送り方向に延びて当該梱包物を案内するガイド(14)とを具備し、前記ガイドは、前記送り方向と直交する特定方向に当該ガイドを貫くスリット(14a)により複数のブロック(14b)に分断されている梱包物の移送装置であって、前記ガイドの前記特定方向における幅寸法(B)が、前記梱包物の前記開口端部と前記物品との間に生じ得る前記特定方向の隙間量(A)よりも大きく設定されることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
また、本発明のケーサー装置は、複数の物品(3)の周囲に板状の包装材(4)を巻き付けた形態の梱包物(2)を、前記包装材で覆われていない開口端部(2a)が搬送方向と直交する横断方向を向くようにして搬送する梱包物コンベア(10)と、前記梱包物コンベア上の前記梱包物を、前記横断方向に送り出して該梱包物コンベアの側方に位置するカートン(6)上へ移動させる移動手段(16)と、を具備し、前記梱包物コンベアの搬送面(12a)上には、前記横断方向に延びるガイド(14)が設けられ、前記ガイドは、前記搬送方向に当該ガイドを貫くスリット(14a)により複数のブロック(14b)に分断されているケーサー装置(1)であって、前記ガイドの前記搬送方向における幅寸法(B)が、前記梱包物の前記開口端部と前記物品との間に生じ得る前記搬送方向の隙間量(A)よりも大きく設定されることにより、上述した課題を解決する。
【0008】
本発明によれば、梱包物の物品と包装材との間に生じ得る隙間量よりもガイドの幅寸法が大きいため、梱包物をガイドで案内しつつ移動手段にて移動させるときにガイドが梱包物の隙間に噛み込むおそれがなくなる。
【0009】
本発明の一形態においては、前記ブロックの前記梱包物と接触する面(14c)側でかつ前記梱包物と前記送り方向又は前記横断方向に関して対向する側の角が湾曲部(14d)とされてもよい。これによれば、ガイドと包装材とが接触しても包装材が引っ掛からず、梱包物を円滑に移送することができる。
【0010】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0011】
以上に説明したように、本発明によれば、梱包物の物品と包装材との間に生じ得る隙間量よりもガイドの幅寸法を大きく設定したことにより、梱包物をガイドで案内しつつ移動させるときにガイドが梱包物の隙間に噛み込むおそれがなくなる。これにより、梱包物を円滑に移送することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明の一形態に係る移送装置が適用されたケーサー装置の要部を示している。ケーサー装置1は、互いに平行な第1コンベア装置10と第2コンベア装置20とを有している。第1コンベア装置10は、梱包物としてのパック品2を所定方向(図中の矢印F方向)に搬送することにより、梱包物コンベアとして機能する。図2に示したように、パック品2は、内容物が充填された複数本(一例として6本)の飲料缶3を2列に並べた状態で、それらの飲料缶3の周囲に板紙状の包装材4を巻き付けた形態を有している。包装材4は、底板4a、天板4b及び一対の側板4cを有している。パック品2の両端には、包装材4にて覆われることなく飲料缶3が露出した開口端部2aが存在する。底板4a及び天板4bと側板4cとの間には、飲料缶3を抜け止めするための抜け止め片4dが設けられている。一方、図1に示すように、第2コンベア装置20は、所定数のパック品2を梱包するためのカートン6をパック品2と同一方向に同一速度で搬送する。カートン6は予め途中まで折られた状態で第2コンベア装置20により搬送される。なお、図1では一つのカートン6のみを図示するが、実際には複数のカートン6が一定間隔で搬送される。
【0013】
第1コンベア10は複数のプレート11を連ねた無端ベルト状の搬送体12を有している。搬送体12は不図示の駆動装置により所定の速度で走行駆動される。その搬送体12の上面が搬送面12aとして機能する。プレート11間には、搬送面12a上を第1コンベア装置10の搬送方向と直交する横断方向に延びる複数本のガイド14が設けられている。第1コンベア装置10の搬送方向に関するガイド14同士の間隔は、5枚のプレート11に相当する広幅部S1と、1枚のプレート11に相当する狭幅部S2とが交互に存在するように設定されている。広幅部S1とこれを挟む一対のガイド14とにより一つの搬送区画15が構成される。各搬送区画15には、上流側の供給装置(不図示)からパック品2が供給される。一つの搬送区画15に対して4つのパック品2が縦横2個の配列で供給される(図3も参照)。なお、各パック品2は、その開口端部2aをコンベア10の横断方向、すなわちガイド14の長手方向に向けるようにして搬送区画15に供給される。
【0014】
さらに、第1コンベア10の各搬送区画15には、移動手段としてのプッシャ16が設けられている。プッシャ16は、搬送面12aの裏面側に配置された不図示のプッシャ駆動機構により、搬送面12aに沿ってコンベア10の横断方向に往復駆動される。図3にも示したように、プッシャ16が第2コンベア装置20に向かって前進、すなわち図3の矢印P方向(送り方向に相当する。)に駆動されることにより、搬送区画15内のパック品2がガイド14に案内されつつ移動して第1コンベア装置10から第2コンベア装置20のカートン6上に押し込まれる。その後、第2コンベア装置20の下流側の製函機構(不図示)にてカートン6が成形されることにより、4つのパック品2を含んだ箱詰製品が完成する。
【0015】
図4にも示したように、各ガイド14には、長手方向に沿って複数のスリット14aが設けられている。それらのスリット14aにより、各ガイド14の搬送面12a上に突出する部分は、ガイド14の長手方向に沿って複数のブロック14bに分断されている。スリット14aは、例えば搬送面12a上にレール17を設置する目的で設けられている。レール17は、飲料缶3を包装材4にて包装することなく、1本ずつばら荷の状態で搬送する際にそれらの飲料缶3を案内するといった目的で設置される。パック品2を搬送する場合、レール17は搬送面12a上から取り外される。
【0016】
パック品2とガイド14との関係を図5に示す。包装材4の側板4cの端縁には、内側(飲料缶3側)への折り返し部4eが形成されている。上述した抜け止め片4d(図2参照)は、折り返し部4eの先端からさらに折り返されて底板4a及び天板4bまで延ばされている。図6に示したように、包装材4にて飲料缶3群を包装した場合、その側板4cは、底板4a及び天板4b(図では省略)と連結される上下端部に比して中間部が外側に膨らむ形状を呈する。これにより、側板4cと飲料缶3との間には隙間7が生じる。ガイド14の搬送方向に関する幅寸法Bは、同一方向に関する隙間量Aよりも大きく設定されている。隙間量Aは、側板4cの端縁の内側の点X1からガイド14の幅方向に延長線Lを延ばし、その延長線Lと飲料缶3との接点をX2としたときの点X1、X2間の距離で定義することができる。なお、図6に示したように、隙間量Aは、側板4cがガイド14と接する高さ方向の範囲内における隙間量でよい。例えば、側板4cが弧状に膨らんでいる場合には、ガイド14の上端と同一高さに仮想線Lを延ばして点X1、X2を定義すればよい。隙間量Aに関してパック品2に個体差が存在する場合には、パック品2に生じ得る隙間量、つまり隙間7が最も大きくなるときの隙間量を基準として、ガイド14の幅寸法Bをそれよりも大きく設定すればよい。
【0017】
図4及び図5に示したように、ガイド14の各ブロック14bの搬送区画15に臨む案内面、言い換えれば、パック品2と接する案内面14c側でかつ横断方向に関してパック品2と対向する側の角には湾曲部14dが形成されている。湾曲部14dはブロック14bの全高(搬送面12aから上端までの高さ)に亘って延びている。湾曲部14dは、水平方向の横断面が円弧状となるように形成されている。湾曲部14dの曲率半径は、ブロック14bの幅Bの範囲内で許容される限りにおいて極力大きく設定されている。ガイド14の材質は適宜でよいが、例えば樹脂にてガイド14を形成することができる。
【0018】
以上の構成のケーサー装置1においては、ガイド14の幅寸法Bが上記のように設定されているので、プッシャ16にてパック品2を搬送面12a上で第2コンベア20側に押し込む際に、パック品2の隙間7にガイド14が噛み込むおそれを排除することができる。しかも、ガイド14の各ブロック14bには湾曲部14dが設けられているので、ガイド14と包装材4とが接触しても包装材4がガイド14の角に引っ掛からない。これにより、パック品2を搬送面12aに沿ってカートン6上まで円滑に移送することができる。ちなみに、一例として、充填量350mlの6本の飲料缶3を梱包したパック品2を対象とする場合、ガイド14の幅寸法Bを15mmに設定することにより、隙間7へのガイド14の噛み込みを防止できることが確認されている。
【0019】
本発明は上述した形態に限ることなく、適宜の形態にて実施することができる。例えば、梱包物は、飲料缶のパック品に限ることなく、複数の物品の周囲に包装材を巻き付けた形態であって、かつ両端には開口端部が存在する梱包物であればよい。ガイドのスリットの個数、形状、大きさは適宜でよい。スリットが設けられている目的も、上述したレールの設置に限らない。本発明の移送装置は、ケーサー装置に組み込まれる例に限ることなく、スリットが存在するガイドを利用しつつ、梱包物をその開口端部が前後となる向きで移動させる構成を備えている限りにおいて、本発明の移送装置を適用することができる。例えば、上記の形態ではコンベアにて搬送される梱包物を移動手段で送り出す例を示しているが、定位置に設置された梱包物をガイドで案内しつつプッシャ等の移動手段にて移動させる形態の移送装置に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一形態に係る移送装置が適用されたケーサー装置の要部を示す斜視図。
【図2】梱包物の一例であるパック品の斜視図。
【図3】パック品をカートン上に送り出す過程を示す図。
【図4】ガイドの斜視図。
【図5】ガイドとパック品との関係を拡大して示す図。
【図6】パック品の送り方向からガイドとパック品との関係をみた様子を示す図。
【符号の説明】
【0021】
1 ケーサー装置
2 パック品(梱包物)
2a 開口端部
3 飲料缶(物品)
4 包装材
4c 側板
6 カートン
7 梱包物の隙間
10 第1コンベア装置(梱包物コンベア)
11 プレート
12 搬送体
12a 搬送面
14 ガイド
14a スリット
14b ブロック
14c 案内面
14d 湾曲部
15 各搬送区画
16 プッシャ(移動手段)
20 第2コンベア装置
A 隙間量
B ガイドの幅寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品の周囲に板状の包装材を巻き付けた形態の梱包物を、前記包装材で覆われていない開口端部を前後にして移動させる移動手段と、前記移動手段による前記梱包物の送り方向に延びて当該梱包物を案内するガイドとを具備し、前記ガイドは、前記送り方向と直交する特定方向に当該ガイドを貫くスリットにより複数のブロックに分断されている梱包物の移送装置であって、
前記ガイドの前記特定方向における幅寸法が、前記梱包物の前記開口端部と前記物品との間に生じ得る前記特定方向の隙間量よりも大きく設定されている梱包物の移送装置。
【請求項2】
前記ブロックの前記梱包物と接触する面側でかつ前記梱包物と前記送り方向に関して対向する側の角が湾曲部とされている請求項1に記載の梱包物の移送装置。
【請求項3】
複数の物品の周囲に板状の包装材を巻き付けた形態の梱包物を、前記包装材で覆われていない開口端部が搬送方向と直交する横断方向を向くようにして搬送する梱包物コンベアと、
前記梱包物コンベア上の前記梱包物を、前記横断方向に送り出して該梱包物コンベアの側方に位置するカートン上へ移動させる移動手段と、を具備し、
前記梱包物コンベアの搬送面上には、前記横断方向に延びるガイドが設けられ、前記ガイドは、前記搬送方向に当該ガイドを貫くスリットにより複数のブロックに分断されているケーサー装置であって、
前記ガイドの前記搬送方向における幅寸法が、前記梱包物の前記開口端部と前記物品との間に生じ得る前記搬送方向の隙間量よりも大きく設定されているケーサー装置。
【請求項4】
前記ブロックの前記梱包物と接触する面側でかつ前記梱包物と前記横断方向に関して対向する側の角が湾曲部とされている請求項3に記載のケーサー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−155615(P2010−155615A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333696(P2008−333696)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【出願人】(392032100)キリンエンジニアリング株式会社 (54)
【Fターム(参考)】