梱包用トレイ
【課題】梱包用トレイを、商品を収納した状態で落下や振動により衝撃が加わっても側壁が外れることはなく、かつ組立が容易なものにする。
【解決手段】梱包用トレイ1に、一枚の段ボールシートを複数回折り曲げることにより、側壁間に上下に複数の平面部7,8,9を形成し、上下中間の第2平面部8を凹部底面として上方に開口した収納凹部10を形成する。凹部底面に直線状の差込用孔11を形成する。さらに、収納凹部10の上縁から連続し、内側に折り込むことにより、収納凹部10の側面の1つを構成する仕切板12を設け、仕切板12の底辺12aからさらに内側に折り込んで、第2平面部8に重なると共に、先端15aが第1側壁3又は第3側壁5(外周の側壁)内面に当接する保持片15を設ける。仕切板12の底辺12aから突出する差込突部13を差込用孔11に差し込む。
【解決手段】梱包用トレイ1に、一枚の段ボールシートを複数回折り曲げることにより、側壁間に上下に複数の平面部7,8,9を形成し、上下中間の第2平面部8を凹部底面として上方に開口した収納凹部10を形成する。凹部底面に直線状の差込用孔11を形成する。さらに、収納凹部10の上縁から連続し、内側に折り込むことにより、収納凹部10の側面の1つを構成する仕切板12を設け、仕切板12の底辺12aからさらに内側に折り込んで、第2平面部8に重なると共に、先端15aが第1側壁3又は第3側壁5(外周の側壁)内面に当接する保持片15を設ける。仕切板12の底辺12aから突出する差込突部13を差込用孔11に差し込む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
携帯電話機などの電子機器を梱包するための梱包用トレイであって、特にその輸送時の落下や振動対策に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、梱包関係においては環境負荷を減らすために、段ボールのような容易にリサイクルできる材料を使用し、梱包材料や接着剤をできるだけ使用しないようにしている。
【0003】
例えば、特許文献1は、一枚の段ボールを複雑に折り曲げ、孔に差込み口を挿入することにより結合し、接着剤の使用を避けたり、ステップル等の金属での結合を避けている。また、商品の梱包に使用する商品保護枠として、未使用時の折畳み形態から使用時の製品収容凹所を備える箱枠形態になるように、簡単な操作で容易に組み立てることができ、かつ箱枠形態での剛性が大きく形態安定性に優れ、商品を適度な緩衝状態で確実に固定でき、また商品が複数の製品パーツを1セットにしたものであっても、各製品パーツに対応した大きさの異なる複数の製品収容凹所を簡単に構成できるものとなっている。
【特許文献1】特開2006−16040公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1は、製品収容凹所に電子機器等の製品を収納した状態で落下等の衝撃が加わると、上下両側から仕切板で狭持されているものの、仕切板の差込量が十分とはいえないので、製品が仕切板に衝突して仕切板が差込孔から外れ、製品が仕切板を越えるおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、梱包用トレイを、組立が極めて容易で落下や振動に強いものとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために第1の発明では、一枚のシートを複数回折り曲げることにより、外周の側壁間に上下に複数の平面部が形成され、
該複数の平面部のうち、上下中間の平面部を底面として上方に開口した収納凹部が形成される梱包用トレイを対象とする。
【0007】
そして、上記梱包用トレイにおいて、
上記収納凹部を形成する底面には、直線状の差込用孔が形成され、
上記収納凹部の上縁から連続し、内側に折り込むことにより、収納凹部の側面の1つを構成する仕切板と、
上記仕切板の底辺に連続し、該底辺からさらに内側に折り込まれ、上記上下中間の平面部に重なると共に、先端が上記外周の側壁内面に当接する保持片と、
上記仕切板の底辺の折り曲げ線よりも突出し、上記差込用孔に差し込まれる差込突部とが形成されている。
【0008】
上記の構成によると、収納凹部の上縁から連続する仕切板を内側に折り曲げ、さらに、仕切板の底辺を折り曲げ、その底辺の折り曲げ線から差込突部を突出させると共に、折り曲げ線に連続する保持片を上下中間の平面部に重ねながら、その先端を外周の側壁内面に当接させ、差込突部を収納凹部の底面に設けた差込用孔に挿入する。このことで、仕切板が堅固に固定され、製品を梱包した状態で落下や振動により、収納凹部を広げる方向へ仕切板に力が加わっても、保持片が側壁内面に当接しているので、それ以上仕切板は広がらず、差込突部が差込用孔から容易に外れない。逆に収納凹部を狭める方向に力が加わっても、その力は底面に当接する保持片に分散されるので、差込突部が差込用孔から容易に外れない。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、
上記保持片の先端には、指先を掛けるための指掛用切欠が形成されている。
【0010】
上記の構成によると、仕切板及び仕切板に連続する保持片を内側に折り曲げる際に指掛用切欠に指先を掛けることで、折り曲げ作業が容易に行われる。
【0011】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記差込用孔及び仕切板は、上記収納凹部に複数組設けられている。
【0012】
上記の構成によると、収納凹部を外周側壁の角部に設けず、対向する側壁を仕切板とするときにも、組立が容易である。
【0013】
第4の発明では、第1乃至第3の発明のいずれか1つにおいて、
上記収納凹部には、携帯電話機が収納される。
【0014】
すなわち、携帯電話機は、携帯電話機本体だけでなく、付属部品であるケーブル、電装品、電池等も梱包される。特に比重の大きい携帯電話機本体や電池パックは、落下や振動による外力を受けて仕切板を越えやすいが、本発明の構成により、仕切板が外れることはないので、携帯電話機の運搬が容易である。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によると、一枚のシートを複数回折り曲げ、収納凹部の底面に設けた差込用孔に仕切板底辺の差込突部を挿入すると共に、仕切板に連続する保持片を上下中間の平面部に重ね、その先端を外周の側壁内面に当接させ、仕切板を確実に固定するようにした。このため、組立が極めて容易であると共に、保持片と差込突部との相乗効果で、落下、振動に強い梱包用トレイが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1及び図2は本発明の実施形態の梱包用トレイ1を示し、図3に折り畳む前の段ボールシート2を示す。
【0018】
梱包用トレイ1は、一枚の段ボールシート2を複数回折り曲げることにより、直方体状に組み立てられる。具体的には、梱包用トレイ1は、外周を囲む第1〜第4側壁3,4,5,6と、上下に並んだ第1〜第3平面部7,8,9とを有する。
【0019】
第1側壁3及び第3側壁5は、梱包用トレイ1の幅方向を塞ぐもので、先端にそれぞれ折り込み用のフラップ部3a,5aを備えている。フラップ部3a,5aは、梱包用トレイ1の幅方向に延びる幅方向折曲線31で折り曲げ可能となっている。第2側壁4は、梱包用トレイ1の底面を構成する第3平面部9に連続し、この第3平面部9は、糊付用のフラップ部9aを備えている。第4側壁6は、第2平面部8に連続している。第2側壁4と第3平面部9、第3平面部9とそのフラップ部9a及び第4側壁6と第2平面部8の間には、それぞれ折り曲げやすいようにH形のスリット30が複数加工されている。スリット30のないところには、長手方向に延びる長手方向折曲線32が形成されている。
【0020】
上記第1〜第3平面部7,8,9のうち、上下中間の第2平面部8を底面として上方に開口した収納凹部10が形成されている。この収納凹部10には、携帯電話機本体50が収納されるようになっている。つまり、第2平面部8は、携帯電話機本体50が収納状態でぐらつかないように、上げ底になっている。
【0021】
上記収納凹部10を形成する第2平面部8には、一対の直線状の差込用孔11が向かい合うように互いに平行に形成されている。
【0022】
上記収納凹部10の上縁には、内側に折り込むことにより、収納凹部10の側面を構成する一対の仕切板12が形成されている。仕切板12の底辺12aには、保持片15が連続して形成されている。図6に示すように、保持片15は、仕切板12を、底辺12aを折り曲げ線としてさらに内側に折り込むことにより、第2平面部8に重なると共に、先端15aが第1側壁3又は第3側壁5に当接するように構成されている。保持片15の先端15aには、指先を掛けるための半円形の指掛用切欠16が形成されている。
【0023】
保持片15を折り曲げることにより、折り曲げ線の底辺12aから差込突部13が突出するようにコ字状のスリットが設けられている。差込突部13は、差込用孔11の幅よりも若干幅が狭くなっている。このことで、仕切板12を収納凹部10上縁の幅方向折曲線31に沿って折り曲げて収納凹部10の側面とするときに、差込突部13が差込用孔11に差し込まれて抜け止めされるように構成されている。また、差込突部13を差込用孔11に差し込んだ状態で、仕切板12の底辺12aは、第2平面部8に当接している。
【0024】
第2平面部8に連続する収納凹部10の凹部長手方向側壁10aは、下端に起立部10bが切り込まれ、組み立てられたときに、その起立部10b先端が第3平面部9に当接するようになっている。
【0025】
梱包用トレイ1は、収納凹部10に並んで、付属部品であるケーブル、電装品、電池等が梱包される付属品収容部20を備えている。この付属品収容部20の底面は、最も低い第3平面部9で構成されている。付属品収容部20の収容部長手方向側壁20aは、糊付部20bを介して凹部長手方向側壁10aに連続し、下端に一対の切込部20cを備えている。この切込部20cには、第1平面部7に連続して付属品収容部20の側壁を構成する収容部幅方向側壁20dが幅方向折曲線31で折り曲げられた起立状態で差し込まれるようになっている。
【0026】
−梱包用トレイ1の組立手順−
次に、本実施形態にかかる梱包用トレイ1の組立手順について説明する。
【0027】
まず、一枚の段ボールシート2を図3に示す展開図のように切り抜き、スリット30及び幅方向折曲線31及び長手方向折曲線32を形成する。このとき、差込用孔11、仕切板12、差込突部13、起立部10b、切込部20c等も切り込み加工しておく。
【0028】
次いで、第4側壁6及び糊付部20bに糊を塗布しておく。
【0029】
次いで、長手方向折曲線32に沿って順次段ボールシート2を折り曲げる。すると、糊を塗布した第4側壁6とフラップ部9aとが貼り付けられ、糊付部20bと第1平面部7裏面とが貼り付けられる。この状態で段ボールシート2は、幅方向に折り畳み可能となり、折り畳んで第1〜第3平面部7,8,9が重なった状態の段ボールシート2を商品梱包場所に運搬すると、かさが減って運搬しやすい。
【0030】
次いで、一対の仕切板12を幅方向折曲線31に沿って内側へ折り曲げる。仕切板12を折り曲げるときには、指掛用切欠16に指先を掛けることで、折り曲げ作業が容易に行われる。まず、仕切板12の底辺12aを折り曲げ、保持片15の先端を第3平面部9に摺接させながら折り込み、底辺12aが第3平面部9に摺接する際には、仕切板12を押さえながら、差込突部13を差込用孔11に差し込む。すると、保持片15が第2平面部8に重なる。
【0031】
最後に第1側壁3のフラップ部3a及び第3側壁5のフラップ部5aを第3平面部9側に差し込んで梱包用トレイ1の組立が完了する。この段階で図6に示すように、第1側壁3及び第3側壁5のそれぞれの内面は、保持片15の先端に当接するので、保持片15がさらに水平に移動することはない。このようにして、仕切板12が堅固に保持され、製品を梱包した状態で落下や振動により外力が加わっても、差込突部13が差込用孔11から容易に外れない。
【0032】
この状態で、図4に示すように、収納凹部10に携帯電話機本体50を挿入し、付属品収容部20に付属品を収容する。この後、図5に示すように、外箱51に挿入し、外箱51の第1フラップ部51aを折り込んだ上で取扱説明書52等が収納され、第2フラップ部51bで蓋をすることで携帯電話機の梱包作業が完成する。
【0033】
このとき、携帯電話機は、携帯電話機本体50のように比重の大きいものが、落下や振動により外力を受けて仕切板12に衝撃を与えやすいが、収納凹部10を広げる方向へ仕切板12に力が加わっても、保持片15が第3側壁5内面に当接しているので、それ以上仕切板12は広がらず、差込突部13が差込用孔11から容易に外れない。逆に収納凹部10を狭める方向に力が加わっても、その力は底面(第2平面部8)に当接する保持片15に分散されるので、差込突部13が差込用孔11から容易に外れない。このため、携帯電話機本体50が収納凹部10内でぐらつくことはないので、携帯電話機等の運搬が容易である。
【0034】
−実施形態の効果−
したがって、本実施形態にかかる梱包用トレイ1によると、一枚の段ボールシート2を複数回折り曲げ、収納凹部10の底面に設けた差込用孔11に仕切板12の底辺12aの差込突部13を挿入すると共に、仕切板12に連続する保持片15を第2平面部8に重ね、その先端15aを第1側壁3又は第3側壁5に当接させ、仕切板12を確実に固定するようにした。このため、組立が極めて容易であると共に、保持片15と差込突部13との相乗効果で、落下、振動に強い梱包用トレイ1が得られる。
【0035】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0036】
すなわち、上記実施形態では、差込用孔11及び仕切板12は、上記収納凹部10に一対設けたが、収納凹部10を外周側壁の角部に設けた場合には、角部と反対側にのみ仕切板12としてもよい。
【0037】
上記実施形態では、収納凹部10に携帯電話機本体50を挿入したが、これに限定されず、PHS、PDA、PC、モバイルツール、電子辞書、電卓、複写機等幅広い用途がある。
【0038】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態にかかる梱包用トレイの斜視図である。
【図2】梱包用トレイの平面図である。
【図3】組立前の梱包用トレイの展開図である。
【図4】梱包用トレイを外箱に挿入した様子を示す斜視図である。
【図5】梱包用トレイを挿入後、取扱説明書を挿入する様子を示す斜視図である。
【図6】図2のVI−VI線断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 梱包用トレイ
2 段ボールシート(シート)
3 第1側壁
4 第2側壁
5 第3側壁
6 第4側壁
7 第1平面部
8 第2平面部(上下中間の平面部)
9 第3平面部
10 収納凹部
11 差込用孔
12 仕切板
12a 底辺
13 差込突部
15 保持片
16 指掛用切欠
50 携帯電話機本体
【技術分野】
【0001】
携帯電話機などの電子機器を梱包するための梱包用トレイであって、特にその輸送時の落下や振動対策に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、梱包関係においては環境負荷を減らすために、段ボールのような容易にリサイクルできる材料を使用し、梱包材料や接着剤をできるだけ使用しないようにしている。
【0003】
例えば、特許文献1は、一枚の段ボールを複雑に折り曲げ、孔に差込み口を挿入することにより結合し、接着剤の使用を避けたり、ステップル等の金属での結合を避けている。また、商品の梱包に使用する商品保護枠として、未使用時の折畳み形態から使用時の製品収容凹所を備える箱枠形態になるように、簡単な操作で容易に組み立てることができ、かつ箱枠形態での剛性が大きく形態安定性に優れ、商品を適度な緩衝状態で確実に固定でき、また商品が複数の製品パーツを1セットにしたものであっても、各製品パーツに対応した大きさの異なる複数の製品収容凹所を簡単に構成できるものとなっている。
【特許文献1】特開2006−16040公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1は、製品収容凹所に電子機器等の製品を収納した状態で落下等の衝撃が加わると、上下両側から仕切板で狭持されているものの、仕切板の差込量が十分とはいえないので、製品が仕切板に衝突して仕切板が差込孔から外れ、製品が仕切板を越えるおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、梱包用トレイを、組立が極めて容易で落下や振動に強いものとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために第1の発明では、一枚のシートを複数回折り曲げることにより、外周の側壁間に上下に複数の平面部が形成され、
該複数の平面部のうち、上下中間の平面部を底面として上方に開口した収納凹部が形成される梱包用トレイを対象とする。
【0007】
そして、上記梱包用トレイにおいて、
上記収納凹部を形成する底面には、直線状の差込用孔が形成され、
上記収納凹部の上縁から連続し、内側に折り込むことにより、収納凹部の側面の1つを構成する仕切板と、
上記仕切板の底辺に連続し、該底辺からさらに内側に折り込まれ、上記上下中間の平面部に重なると共に、先端が上記外周の側壁内面に当接する保持片と、
上記仕切板の底辺の折り曲げ線よりも突出し、上記差込用孔に差し込まれる差込突部とが形成されている。
【0008】
上記の構成によると、収納凹部の上縁から連続する仕切板を内側に折り曲げ、さらに、仕切板の底辺を折り曲げ、その底辺の折り曲げ線から差込突部を突出させると共に、折り曲げ線に連続する保持片を上下中間の平面部に重ねながら、その先端を外周の側壁内面に当接させ、差込突部を収納凹部の底面に設けた差込用孔に挿入する。このことで、仕切板が堅固に固定され、製品を梱包した状態で落下や振動により、収納凹部を広げる方向へ仕切板に力が加わっても、保持片が側壁内面に当接しているので、それ以上仕切板は広がらず、差込突部が差込用孔から容易に外れない。逆に収納凹部を狭める方向に力が加わっても、その力は底面に当接する保持片に分散されるので、差込突部が差込用孔から容易に外れない。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、
上記保持片の先端には、指先を掛けるための指掛用切欠が形成されている。
【0010】
上記の構成によると、仕切板及び仕切板に連続する保持片を内側に折り曲げる際に指掛用切欠に指先を掛けることで、折り曲げ作業が容易に行われる。
【0011】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記差込用孔及び仕切板は、上記収納凹部に複数組設けられている。
【0012】
上記の構成によると、収納凹部を外周側壁の角部に設けず、対向する側壁を仕切板とするときにも、組立が容易である。
【0013】
第4の発明では、第1乃至第3の発明のいずれか1つにおいて、
上記収納凹部には、携帯電話機が収納される。
【0014】
すなわち、携帯電話機は、携帯電話機本体だけでなく、付属部品であるケーブル、電装品、電池等も梱包される。特に比重の大きい携帯電話機本体や電池パックは、落下や振動による外力を受けて仕切板を越えやすいが、本発明の構成により、仕切板が外れることはないので、携帯電話機の運搬が容易である。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によると、一枚のシートを複数回折り曲げ、収納凹部の底面に設けた差込用孔に仕切板底辺の差込突部を挿入すると共に、仕切板に連続する保持片を上下中間の平面部に重ね、その先端を外周の側壁内面に当接させ、仕切板を確実に固定するようにした。このため、組立が極めて容易であると共に、保持片と差込突部との相乗効果で、落下、振動に強い梱包用トレイが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1及び図2は本発明の実施形態の梱包用トレイ1を示し、図3に折り畳む前の段ボールシート2を示す。
【0018】
梱包用トレイ1は、一枚の段ボールシート2を複数回折り曲げることにより、直方体状に組み立てられる。具体的には、梱包用トレイ1は、外周を囲む第1〜第4側壁3,4,5,6と、上下に並んだ第1〜第3平面部7,8,9とを有する。
【0019】
第1側壁3及び第3側壁5は、梱包用トレイ1の幅方向を塞ぐもので、先端にそれぞれ折り込み用のフラップ部3a,5aを備えている。フラップ部3a,5aは、梱包用トレイ1の幅方向に延びる幅方向折曲線31で折り曲げ可能となっている。第2側壁4は、梱包用トレイ1の底面を構成する第3平面部9に連続し、この第3平面部9は、糊付用のフラップ部9aを備えている。第4側壁6は、第2平面部8に連続している。第2側壁4と第3平面部9、第3平面部9とそのフラップ部9a及び第4側壁6と第2平面部8の間には、それぞれ折り曲げやすいようにH形のスリット30が複数加工されている。スリット30のないところには、長手方向に延びる長手方向折曲線32が形成されている。
【0020】
上記第1〜第3平面部7,8,9のうち、上下中間の第2平面部8を底面として上方に開口した収納凹部10が形成されている。この収納凹部10には、携帯電話機本体50が収納されるようになっている。つまり、第2平面部8は、携帯電話機本体50が収納状態でぐらつかないように、上げ底になっている。
【0021】
上記収納凹部10を形成する第2平面部8には、一対の直線状の差込用孔11が向かい合うように互いに平行に形成されている。
【0022】
上記収納凹部10の上縁には、内側に折り込むことにより、収納凹部10の側面を構成する一対の仕切板12が形成されている。仕切板12の底辺12aには、保持片15が連続して形成されている。図6に示すように、保持片15は、仕切板12を、底辺12aを折り曲げ線としてさらに内側に折り込むことにより、第2平面部8に重なると共に、先端15aが第1側壁3又は第3側壁5に当接するように構成されている。保持片15の先端15aには、指先を掛けるための半円形の指掛用切欠16が形成されている。
【0023】
保持片15を折り曲げることにより、折り曲げ線の底辺12aから差込突部13が突出するようにコ字状のスリットが設けられている。差込突部13は、差込用孔11の幅よりも若干幅が狭くなっている。このことで、仕切板12を収納凹部10上縁の幅方向折曲線31に沿って折り曲げて収納凹部10の側面とするときに、差込突部13が差込用孔11に差し込まれて抜け止めされるように構成されている。また、差込突部13を差込用孔11に差し込んだ状態で、仕切板12の底辺12aは、第2平面部8に当接している。
【0024】
第2平面部8に連続する収納凹部10の凹部長手方向側壁10aは、下端に起立部10bが切り込まれ、組み立てられたときに、その起立部10b先端が第3平面部9に当接するようになっている。
【0025】
梱包用トレイ1は、収納凹部10に並んで、付属部品であるケーブル、電装品、電池等が梱包される付属品収容部20を備えている。この付属品収容部20の底面は、最も低い第3平面部9で構成されている。付属品収容部20の収容部長手方向側壁20aは、糊付部20bを介して凹部長手方向側壁10aに連続し、下端に一対の切込部20cを備えている。この切込部20cには、第1平面部7に連続して付属品収容部20の側壁を構成する収容部幅方向側壁20dが幅方向折曲線31で折り曲げられた起立状態で差し込まれるようになっている。
【0026】
−梱包用トレイ1の組立手順−
次に、本実施形態にかかる梱包用トレイ1の組立手順について説明する。
【0027】
まず、一枚の段ボールシート2を図3に示す展開図のように切り抜き、スリット30及び幅方向折曲線31及び長手方向折曲線32を形成する。このとき、差込用孔11、仕切板12、差込突部13、起立部10b、切込部20c等も切り込み加工しておく。
【0028】
次いで、第4側壁6及び糊付部20bに糊を塗布しておく。
【0029】
次いで、長手方向折曲線32に沿って順次段ボールシート2を折り曲げる。すると、糊を塗布した第4側壁6とフラップ部9aとが貼り付けられ、糊付部20bと第1平面部7裏面とが貼り付けられる。この状態で段ボールシート2は、幅方向に折り畳み可能となり、折り畳んで第1〜第3平面部7,8,9が重なった状態の段ボールシート2を商品梱包場所に運搬すると、かさが減って運搬しやすい。
【0030】
次いで、一対の仕切板12を幅方向折曲線31に沿って内側へ折り曲げる。仕切板12を折り曲げるときには、指掛用切欠16に指先を掛けることで、折り曲げ作業が容易に行われる。まず、仕切板12の底辺12aを折り曲げ、保持片15の先端を第3平面部9に摺接させながら折り込み、底辺12aが第3平面部9に摺接する際には、仕切板12を押さえながら、差込突部13を差込用孔11に差し込む。すると、保持片15が第2平面部8に重なる。
【0031】
最後に第1側壁3のフラップ部3a及び第3側壁5のフラップ部5aを第3平面部9側に差し込んで梱包用トレイ1の組立が完了する。この段階で図6に示すように、第1側壁3及び第3側壁5のそれぞれの内面は、保持片15の先端に当接するので、保持片15がさらに水平に移動することはない。このようにして、仕切板12が堅固に保持され、製品を梱包した状態で落下や振動により外力が加わっても、差込突部13が差込用孔11から容易に外れない。
【0032】
この状態で、図4に示すように、収納凹部10に携帯電話機本体50を挿入し、付属品収容部20に付属品を収容する。この後、図5に示すように、外箱51に挿入し、外箱51の第1フラップ部51aを折り込んだ上で取扱説明書52等が収納され、第2フラップ部51bで蓋をすることで携帯電話機の梱包作業が完成する。
【0033】
このとき、携帯電話機は、携帯電話機本体50のように比重の大きいものが、落下や振動により外力を受けて仕切板12に衝撃を与えやすいが、収納凹部10を広げる方向へ仕切板12に力が加わっても、保持片15が第3側壁5内面に当接しているので、それ以上仕切板12は広がらず、差込突部13が差込用孔11から容易に外れない。逆に収納凹部10を狭める方向に力が加わっても、その力は底面(第2平面部8)に当接する保持片15に分散されるので、差込突部13が差込用孔11から容易に外れない。このため、携帯電話機本体50が収納凹部10内でぐらつくことはないので、携帯電話機等の運搬が容易である。
【0034】
−実施形態の効果−
したがって、本実施形態にかかる梱包用トレイ1によると、一枚の段ボールシート2を複数回折り曲げ、収納凹部10の底面に設けた差込用孔11に仕切板12の底辺12aの差込突部13を挿入すると共に、仕切板12に連続する保持片15を第2平面部8に重ね、その先端15aを第1側壁3又は第3側壁5に当接させ、仕切板12を確実に固定するようにした。このため、組立が極めて容易であると共に、保持片15と差込突部13との相乗効果で、落下、振動に強い梱包用トレイ1が得られる。
【0035】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0036】
すなわち、上記実施形態では、差込用孔11及び仕切板12は、上記収納凹部10に一対設けたが、収納凹部10を外周側壁の角部に設けた場合には、角部と反対側にのみ仕切板12としてもよい。
【0037】
上記実施形態では、収納凹部10に携帯電話機本体50を挿入したが、これに限定されず、PHS、PDA、PC、モバイルツール、電子辞書、電卓、複写機等幅広い用途がある。
【0038】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態にかかる梱包用トレイの斜視図である。
【図2】梱包用トレイの平面図である。
【図3】組立前の梱包用トレイの展開図である。
【図4】梱包用トレイを外箱に挿入した様子を示す斜視図である。
【図5】梱包用トレイを挿入後、取扱説明書を挿入する様子を示す斜視図である。
【図6】図2のVI−VI線断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 梱包用トレイ
2 段ボールシート(シート)
3 第1側壁
4 第2側壁
5 第3側壁
6 第4側壁
7 第1平面部
8 第2平面部(上下中間の平面部)
9 第3平面部
10 収納凹部
11 差込用孔
12 仕切板
12a 底辺
13 差込突部
15 保持片
16 指掛用切欠
50 携帯電話機本体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚のシートを複数回折り曲げることにより、外周の側壁間に上下に複数の平面部が形成され、
該複数の平面部のうち、上下中間の平面部を底面として上方に開口した収納凹部が形成される梱包用トレイであって、
上記収納凹部を形成する底面には、直線状の差込用孔が形成され、
上記収納凹部の上縁から連続し、内側に折り込むことにより、収納凹部の側面の1つを構成する仕切板と、
上記仕切板の底辺に連続し、該底辺からさらに内側に折り込まれ、上記上下中間の平面部に重なると共に、先端が上記外周の側壁内面に当接する保持片と、
上記仕切板の底辺の折り曲げ線よりも突出し、上記差込用孔に差し込まれる差込突部とが形成されている
ことを特徴とする梱包用トレイ。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包用トレイであって、
上記保持片の先端には、指先を掛けるための指掛用切欠が形成されている
ことを特徴とする梱包用トレイ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の梱包用トレイであって、
上記差込用孔及び仕切板は、上記収納凹部に複数組設けられている
ことを特徴とする梱包用トレイ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の梱包用トレイにおいて、
上記収納凹部には、携帯電話機が収納される
ことを特徴とする梱包用トレイ。
【請求項1】
一枚のシートを複数回折り曲げることにより、外周の側壁間に上下に複数の平面部が形成され、
該複数の平面部のうち、上下中間の平面部を底面として上方に開口した収納凹部が形成される梱包用トレイであって、
上記収納凹部を形成する底面には、直線状の差込用孔が形成され、
上記収納凹部の上縁から連続し、内側に折り込むことにより、収納凹部の側面の1つを構成する仕切板と、
上記仕切板の底辺に連続し、該底辺からさらに内側に折り込まれ、上記上下中間の平面部に重なると共に、先端が上記外周の側壁内面に当接する保持片と、
上記仕切板の底辺の折り曲げ線よりも突出し、上記差込用孔に差し込まれる差込突部とが形成されている
ことを特徴とする梱包用トレイ。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包用トレイであって、
上記保持片の先端には、指先を掛けるための指掛用切欠が形成されている
ことを特徴とする梱包用トレイ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の梱包用トレイであって、
上記差込用孔及び仕切板は、上記収納凹部に複数組設けられている
ことを特徴とする梱包用トレイ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の梱包用トレイにおいて、
上記収納凹部には、携帯電話機が収納される
ことを特徴とする梱包用トレイ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2009−96518(P2009−96518A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270099(P2007−270099)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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