説明

梱包部材

【課題】 外部から衝撃を受けたときであっても、被梱包物の端部が凹部の側面に突き刺さったり、あるいは被梱包物が破損することのないようにする。
【解決手段】 被梱包物が収容された本体部10の長手方向両側部に形成されている切り目21a,21bの角から端部方向へ延びる谷折り部24a,24bに、内方に向かって力を加える。すると、谷折り部24a,24bが谷折りとなると同時に、山折り部22a,23a及び山折り部22b,23bがそれぞれ山折りとなり凹部3a,3bが形成される。これによって、突片16a,16bの外側近傍に凹部3a,3bの側面が位置することとなり、被梱包物が突片16a,16bに衝突してもこの凹部3a,3bによって、突片16a,16bの折り曲げられた状態が維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は梱包部材に関し、より詳細には複写機の帯電器やローラなどの細長い部品を主に梱包する梱包部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種製品や部品を輸送する場合、段ボールを用いた梱包部材がこれまでから広く用いられている。例えば、複写機の帯電器やローラなどの軸方向に長い部品を梱包する場合には、図6に示すような、板状の段ボールを折り曲げて四角柱状に組み立てた梱包部材が用いられていた。図6に示す従来の梱包部材では、その両側端から所定距離離れた位置に、軸方向に垂直に切り目21a,21bが形成され、切り目21a,21bの上・下端から外方に向かって山折り部22a,23a及び山折り部22b,23bが形成され、切り目21a,21bの角部から外方に向かって谷折り部24a,24bが形成されている(同図(a))。なお、帯電器やローラなどの被梱包物は、梱包部材の組立て時から内包させていてもよいし、組立後に梱包部材内に差し入れてもよい。
【0003】
梱包部材内に被梱包物を収容された後、同図(b)に示すように、本体部10の両側部の谷折り部24a,24bに内方に向かって力を加えることによって、谷折り部24a,24bが谷折りとなると同時に、山折り部22a,23a及び山折り部22b,23bがそれぞれ山折りとなり凹部3a、3bが形成される。これにより、梱包部材内に収容された被梱包物は、その両側部が凹部3a,3bの側面によって位置規制され、輸送中のズレやガタツキが抑えられる。また外側面から衝撃を受けたときでも凹部3a,3bの側面によって被梱包部材に伝わる衝撃力が弱められ、被梱包物の損傷が抑えられていた。
【特許文献1】特開平11−227750号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、被梱包物の端部が鋭利な形状をしていた場合、外部から衝撃を受けたとき被梱包物の端部が凹部3a,3bの側面に突き刺さり、例えば帯電器の場合であれば帯電用のワイヤが切れるといった損傷が生じることがあった。また被梱包物がローラの場合であれば、ローラの側面から突出している軸部が凹部3a,3bに突き刺さる、あるいは衝撃力が強いときには凹部3a,3bを破壊して外部に飛び出すことがあった。
【0005】
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、外部から衝撃を受けたときであっても、被梱包物の端部が凹部の側面に突き刺さったり、あるいは凹部が破壊されたりすることのない梱包部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため第1の発明に係る梱包部材では、板状の材料を折り曲げて組み立てられてなる四角柱状の本体部を有する梱包部材であって、長方形状の底面部と、底面部の長辺側に折り部を介して接続された第1側面部と第2側面部と、第1側面部の長辺側に折り部を介して接続された上面部と、第2側面部の長辺側に折り部を介して接続された、第2側面部よりも長手方向に短いフラップとを備え、前記フラップの両短辺側に折り部を介して突片が形成され、第1側面部と上面部における、フラップの両短辺に対応する位置に、第1側面部と上面部の折り部を横切って、折り部に対して垂直に切り目が形成され、四角柱状に組み立てられた本体部の突片を内側へ折り曲げることによって被梱包物を収容する内部空間の両端を封止するとともに、第1側面部と上面部の両側部に形成した切り目によって、本体部の両側部に凹部を形成し、突片が折り曲げられた状態を凹部で維持するようにしたことを特徴とする構成とした。
【0007】
ここで、梱包部材から被梱包物を容易に取り出せるようにする観点からは、四角柱状に組み立てられた本体部における凹部の略対向位置に孔を形成し、この孔を利用して凹部に対して外方に力を加えて、凹部を解消できるようにするのが好ましい。
【0008】
また第2の発明に係る梱包部材は、筒状の本体部と、本体部の両端部から中心に向かって、軸と平行に形成された2本以上切り込みによって形成された帯状片と、この帯状片のつけ根部分が位置する本体部の周上に外周の1/2以下の切り目が形成され、帯状片を内側へ折り曲げることによって、被梱包物を収容する本体部の内部空間の両端を封止するとともに、前記切り目によって本体部の両側部に凹部を形成し、帯状部が折り曲げられた状態を凹部で維持するようにしたことを特徴とする構成とした。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明に係る梱包部材では、フラップの両短辺側に形成した突片を内側へ折り曲げることによって、被梱包物を収容する内部空間の両端を封止するので、外部から衝撃を受けた場合であっても、被梱包物の端部は、従来の凹部側面よりも面積の大きい突片に接触することになり、被梱包物の端部が突片に突き刺さったり、あるいは被梱包物が破損することが格段に抑えられる。また本体部の両側部に凹部を形成し、この凹部によって突片が折り曲げられた状態を維持するようしているので、内方から外方に向かって突片に大きな力が加わっても、突片による封止が解除することはない。
【0010】
また四角柱状に組み立てられた本体部における凹部の略対向位置に孔を形成すると、この孔を利用して凹部に対して外方に力を加えて凹部を解消できるようになり、梱包部材から被梱包物を容易に取り出せるようになる。
【0011】
また第2の発明に係る梱包部材では、本体部の両端部に形成した帯状片を内側へ折り曲げることによって、被梱包物を収容する本体部の内部空間の両端を封止するので、第1の発明と同様に、外部から衝撃を受けた場合であっても、被梱包物の端部は、従来の凹部側面よりも面積の大きい帯状片に接触することになり、被梱包物の破損が抑えられる。また、切り目によって本体部の両側部に凹部を形成し、この凹部によって帯状部が折り曲げられた状態を維持するようにしたので、内方から外方に向かって突片に大きな力が加わっても、突片による封止が解除することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の梱包部材について図に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0013】
図1は、第1の発明に係る梱包部材の一実施形態を示す展開図である。図1の梱包部材は、長方形状の底面部11の長辺側に、谷折り部71,72を介して側面部(第1側面部)12と側面部(第2側面部)13がそれぞれ接続されている。側面部12の長辺側には谷折り部73を介して上面部14が接続され、上面部14の長辺側には谷折り部76a,76bを介して、長手方向に離隔対向して2つの係合片17a,17bが形成されている。一方、側面部13の長辺側には谷折り部74を介してフラップ15が接続され、フラップ15の両短辺側には谷折り部75a,75bを介して突片16a,16bが接続している。このフラップ15の長手方向の長さは側面部13よりも短い。
【0014】
そして、側面部12と上面部14における、フラップ15の長手方向の端部に対応する位置に、切り目21a,21bが形成され、切り目21a,21bの上・下端から長手方向外方に向かって山折り部22a,23a及び山折り部22b,23bが形成され、側面部12と上面部14との境には谷折り部24a,24bが形成されている。また、側面部13とフラップ15との境界部分には、長手方向において係合片17a,17bと対応する位置に2つの差し込み孔18a,18bが穿設されている。そしてまた、底面部11と側面部13にかけて、長手方向に離隔対向して2つの孔19a,19bが穿設されている。これらの孔19a,19bは、この展開図に示された板状部材を組み立てて本体部10としたときに、凹部3a,3b(図3に図示)の対向位置となるように穿設されている。さらに側面部13とフラップ15にかけても孔19cが穿設されている。この孔19cは主に梱包部材内部を視認可能とするためのものである。
【0015】
本発明で使用する板状の材料としては、人力によって容易に折り曲げることが可能なものであれば特に限定はないが、中でも段ボールが好適に使用できる。また図1に示される梱包部材は例えば板状の段ボールを打ち抜き加工することによって作製できる。このとき各折り部にはミシン目あるいは細溝を形成しておけば組立てが容易にとなる。
【0016】
次に、本発明の梱包部材の組み立てについて説明する。図1の展開図においてまず、被梱包部材(不図示)を底面部11に載置して、谷折り部71,72によって側面部12,側面部13を略90°に折り曲げる。そして谷折り部74によってフラップ15を略90°に折り曲げた後、谷折り部75a,75bによって2つの突片16a,16bを略90°に折り曲げる。次に、谷折り部73によって上面部14を略90°に折り曲げるとともに、2つの係合片17a,17bを差し込み孔18a,18bに差入れて四角柱状の本体部10とする(図2を参照)。なお、この実施形態では、梱包部材が展開されている状態から被梱包部材を梱包部材内に載置したが、梱包部材を組み立てた後、突片16a,16bを折り曲げる前に被梱包物を内部に挿入するようにしてももちろん構わない。
【0017】
組み立てられた本体部10内に、被梱包物が収容されている状態を図3(a)に示す。この状態から、本体部10の長手方向両側部に形成されている切り目21a,21bの角から端部方向へ延びる谷折り部24a,24bに、内方に向かって力を加える。すると、同図(b)に示すように、谷折り部24a,24bが谷折りとなると同時に、山折り部22a,23a及び山折り部22b,23bがそれぞれ山折りとなり凹部3a,3bが形成される。図4に示すように、これによって、突片16aの外側近傍に凹部3aの側面が位置することとなり、被梱包物が突片16aに衝突してもこの凹部3aによって、突片16aの折り曲げられた状態が維持され、被梱包物が外に飛び出ることが防止される。
【0018】
他方、梱包部材から被梱包部材を取り出す場合、凹部3a,3bの対向位置に形成された孔19a,19bから凹部3a,3bに対して外方に向かって力を加える(図3を参照)。すると、前記とは反対に、谷折り部24a,24bが山折りとなり、山折り部22a,23a及び山折り部22b,23bがそれぞれ面一となり凹部3a,3bが解消される。これによって、突片16a,16bの折り曲げが自由となり被梱包物を中から取り出せるようになる。なお、このとき突片16a,16bは、孔19a,19bから差し入れられた作業者の指が被梱包物の端部に触れないようにし、作業者の指を保護する作用をも奏する。もちろん、梱包部材を展開して被梱包物を取り出しても構わない。
【0019】
次に、第2の発明に係る梱包部材について説明する。図5は、本発明に係る梱包部材の一実施形態を示す概説図である。この図の梱包部材は、筒状の本体部41の両端部に、中央に向かって切り込み42が形成され、これによって帯状片43が形成されている。そして帯状片43のつけ根部分が位置する本体部41の周上に切り目51a,51bが形成され、切り目51a,51bの上・下端から長手方向外方に向かって山折り部52a,53a及び山折り部52b,53bが形成され、切り目51a,51bの中央部から長手方向外方に向かって谷折り部54a,54bが形成されている。
【0020】
本体部41の材料としては特に限定はないが、前記と同様に、段ボールが好適に使用できる。また本体部41は、可撓性を有する長方形状の板状物を巻いて筒状とすればよく、その内径は被梱包物の大きさによって適宜決定すればよい。また折り部や切り目は、打ち抜き加工によって長方形状の板状物を成形する際に同時に形成するのがよく、折り部にはミシン目あるいは細溝を形成しておくことが成形加工の点から望ましい。
【0021】
このような構成の梱包部材を用いて被梱包物を梱包する場合、まず本体部41内に被梱包物を入れる(図5(a))。次に、帯状片43を内側に折り曲げて、本体部41の内部空間を封止する。そして、本体部41の両側部に形成された谷折り部54a,54bに、半径方向内方に向かって力を加える。すると、同図(b)に示すように、谷折り部54a,54bが谷折りとなると同時に、山折り部52a,53a及び山折り部52b,53bがそれぞれ山折りとなり凹部6a,6bが形成される。このときの側面図を同図(b’)に示す。この図から理解されるように、折り曲げられた帯状片43の外側近傍に凹部6a,6bの側面が位置する。これによって、被梱包物が帯状片43に衝突してもこの凹部6a,6bの側面によって、帯状片43の折り曲げられた状態が維持され、被梱包物が外に飛び出ることが有効に防止される。
【0022】
他方、被梱包物を梱包部材から取り出すときは、前述と同様に、凹部6a,6bに対して半径方向外方に向かって力を加える。すると、前記とは反対に、谷折り部54a,54bが山折りとなり、山折り部52a,53a及び山折り部52b,53bがそれぞれ面一となり凹部6a,6bが解消される。これによって、帯状片43の折り曲げが自由となり被梱包物を中から取り出せるようになる。もちろん、梱包部材を展開して被梱包物を取り出しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の発明に係る梱包部材の一例を示す展開図である。
【図2】図1の梱包部材の組立斜視図である。
【図3】図1の梱包部材の凹部形成の説明図である。
【図4】突片と凹部との関係を示す垂直断面図である。
【図5】第2の発明に係る梱包部材の一例を示す斜視図である。
【図6】従来の梱包部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
3a,3b 凹部
6a,6b 凹部
10 本体部
11 底面部
12 側面部(第1側面部)
13 側面部(第2側面部)
14 上面部
15 フラップ
16a,16b 突片
19a,19b 孔
21a,21b 切り目
41 本体部
42 切り込み
43 帯状片
51a,51b 切り目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の材料を折り曲げて組み立てられてなる四角柱状の本体部を有する梱包部材であって、
長方形状の底面部と、底面部の長辺側に折り部を介して接続された第1側面部と第2側面部と、第1側面部の長辺側に折り部を介して接続された上面部と、第2側面部の長辺側に折り部を介して接続された、第2側面部よりも長手方向に短いフラップとを備え、
前記フラップの両短辺側に折り部を介して突片が形成され、
第1側面部と上面部における、フラップの両短辺に対応する位置に、第1側面部と上面部の折り部を横切って、折り部に対して垂直に切り目が形成され、
四角柱状に組み立てられた本体部の突片を内側へ折り曲げることによって被梱包物を収容する内部空間の両端を封止するとともに、第1側面部と上面部の両側部に形成した切り目によって、本体部の両側部に凹部を形成し、突片が折り曲げられた状態をこの凹部で維持するようにしたことを特徴とする梱包部材。
【請求項2】
四角柱状に組み立てられた本体部における前記凹部の略対向位置に孔が形成された請求項1記載の梱包部材。
【請求項3】
筒状の本体部と、本体部の両端部から中心に向かって、軸と平行に形成された2本以上切り込みによって形成された帯状片と、この帯状片のつけ根部分が位置する本体部の周上に外周の1/2以下の切り目が形成され、
帯状片を内側へ折り曲げることによって、被梱包物を収容する本体部の内部空間の両端を封止するとともに、前記切り目によって本体部の両側部に凹部を形成し、帯状部が折り曲げられた状態を凹部で維持するようにしたことを特徴とする梱包部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−290393(P2006−290393A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−112553(P2005−112553)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】