説明

梱包部材

【課題】低コストな構成で梱包対象物の結露を防止すること。
【解決手段】梱包対象物(U)を被覆し、前記梱包対象物(U)の下面を支持する下側カバー(1)と前記下側カバー(1)に支持された前記梱包対象物(U)の上面及び側面を被複する上側カバー(2)と、を有する梱包部材(3)本体と、前記梱包部材(3)本体内部に設けられ、電源を必要としない発熱体(12)を支持する発熱体支持部(8,21)と、前記梱包部材(3)本体に形成され、前記梱包部材(3)の外部と前記発熱体支持部(8,21)とを連通させる窓部(11,25)とを備えた梱包部材(3)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包対象物を輸送したり倉庫で保管したりする際に梱包対象物を梱包する梱包部材に関し、特に、梱包対象物を被覆するように梱包する梱包部材に関する。
本発明は、プリンタ、FAX、複写機あるいはこれら全てまたは複数の機能を有する複合機等の画像形成装置の梱包部材として好適に使用可能である。
【背景技術】
【0002】
従来、製造された製品を客先に輸送したり、倉庫で保管したりする際に、製品を梱包しておき、製品の破損、汚損を防止したり、倉庫内で積載して保管可能にしている。画像形成装置のように、大型で、客先で設置を行うような製品(梱包対象物)では、客先で設置後すぐに使用可能な状態になることが望ましい。しかし、寒冷地や冬季で気温が低い季節では、倉庫で納品前に保管されている環境と、空調管理された客先の環境とで大幅な温度差があり、製品で結露が発生してしまうことがある。特に、画像形成装置では、熱容量が比較的大きな光学部品が実装されているので、レンズやプラテンガラス等に結露による曇りが発生しやすく曇りが発生すると、画質が劣化してしまい、設置後、すぐに使用することができない。
一度結露が発生してしまうと、乾燥させるまでに、自然乾燥では数時間、ドライヤー等の強制乾燥でも30分〜2時間程度の時間がかかり、設置作業が完了するまでに時間がかかり、大幅に無駄な工程(乾燥工程)やタイムロスが発生してしまう。
【0003】
このような問題を解決するために、下記の従来技術(J01),(J02)が従来公知である。
(J01)特許文献1(実開昭62−84981号公報)記載の技術
特許文献1には、筐体内に乾燥剤を設置し、必要な時に乾燥剤の密閉容器を開いて、乾燥剤を使用する技術が記載されている。
(J02)特許文献2(特開2001−180674号公報)記載の技術
特許文献2には、梱包部材の下面にヒータのような発熱体を着脱可能に設置し、必要に応じて梱包部材の内部を暖める技術が記載されている。
【0004】
【特許文献1】実開昭62−84981号公報
【特許文献2】特開2001−180674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(従来技術の問題点)
前記従来技術(J01)では、乾燥剤を使用しているが、温度差が非常に大きい場合には、乾燥剤では結露を防止するには不十分であるという問題がある。
前記従来技術(J02)では、電源を必要とするヒータを使用するため、保管時および輸送時に電源が必要となり、輸送作業や設置作業に手間がかかると共に、装置が大がかりなので、コストが上昇する問題がある。
【0006】
本発明は前記事情に鑑み、次の記載内容(O01)を技術的課題とする。
(O01)低コストな構成で梱包対象物の結露を防止すること。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、前記課題を解決した本発明を説明するが、本発明の構成要素には、後述の実施例の構成要素との対応を容易にするため、実施例の構成要素の符号をカッコで囲んだものを付記する。
なお、本発明を後述の実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
【0008】
(第1発明)
前記技術的課題を解決するために第1発明の梱包部材(3)は、
梱包対象物(U)を被覆する梱包部材(3)本体と、
前記梱包部材(3)本体内部に設けられ、電源を必要としない発熱体(12)を支持する発熱体支持部(8,21)と、
前記梱包部材(3)本体に形成され、前記梱包部材(3)の外部と前記発熱体支持部(8,21)とを連通させる窓部(9,25)と、
を備えたことを特徴とする。
(第1発明の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の梱包部材(3)では、梱包部材(3)本体は梱包対象物(U)を被覆する。前記梱包部材(3)本体内部に設けられた発熱体支持部(8,21)は、電源を必要としない発熱体(12)を支持する。前記梱包部材(3)本体に形成された窓部(9,25)は、前記梱包部材(3)の外部と前記発熱体支持部(8,21)とを連通させる。したがって、電源を必要としない発熱体(12)により、梱包部材(3)内部を保温できるので、梱包対象物(U)の搬入先との温度差を低減できる。この結果、電源を必要としない発熱体(12)という低コストな構成で梱包対象物(U)での結露を防止できる。
【0009】
(第1発明の形態1)
第1発明の形態1の梱包部材(3)は、第1発明において、
前記梱包対象物(U)の下面を支持する下側カバー(1)と、前記下側カバー(1)に支持された前記梱包対象物(U)の上面及び側面を被複する上側カバー(2)と、を有する前記梱包部材(3)本体と、
前記上側カバー(2)の内部に支持された前記発熱体支持部(8)と、
を備えたことを特徴とする。
(第1発明の形態1の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の形態1の梱包部材(3)では、下側カバー(1)は前記梱包対象物(U)の下面を支持する。前記梱包部材(3)本体と前記下側カバー(1)に支持された前記梱包対象物(U)の上面及び側面を被複する上側カバー(2)とを有する。前記上側カバー(2)の内部は前記発熱体支持部(8)を支持する。したがって、窓部(9)を介して前記発熱体支持部(8)に電源を必要としない発熱体(12)を出し入れすることができ、電源を必要としない発熱体(12)の設置を容易に行うことができる。
【0010】
(第1発明の形態2)
第1発明の形態2の梱包部材(3)は、第1発明において、
前記梱包対象物(U)の側壁により構成された前記発熱体支持部(21)と、
空気との接触により加熱を開始する発熱体(12)と、
前記発熱体(12)の空気との接触部を密閉する密閉部材(23)と、
前記窓部(25)を通過するように配置され且つ、前記密閉部材(23)による密閉を解除する密閉解除部材(24)と、
を備えたことを特徴とする。
(第1発明の形態2の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の形態2の梱包部材(3)では、前記梱包対象物(U)の側壁により構成された前記発熱体支持部(21)を有する。発熱体(12)は空気との接触により加熱を開始する。密閉部材(23)は前記発熱体(12)の空気との接触部を密閉する。前記窓部(25)を通過するように配置された密閉解除部材(24)は、前記密閉部材(23)による密閉を解除する。したがって、梱包部材(3)本体の外部に配置された密閉解除部材(24)により密閉部材(23)による密閉を解除できるので、前記発熱体(12)を前記梱包部材(3)本体の外部から容易に発熱させることができる。
【0011】
(第1発明の形態3)
第1発明の形態3の梱包部材(3)は、第1発明及び第1発明の形態1または形態2において、光学部材(A,ROS)を有する前記梱包対象物(U)の前記光学部材(A,ROS)の近傍に設置された前記発熱体支持部(21)および前記窓部(9,25)、
を備えたことを特徴とする。
(第1発明の形態3の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の形態2の梱包部材(3)では、光学部材(A,ROS)を有する前記発熱体支持部(21)および前記窓部(9,25)は、前記梱包対象物(U)の前記光学部材(A,ROS)の近傍に設置されている。したがって、比較的熱容量が大きい光学部材(A,ROS)での結露を効果的に防止できる。
【0012】
(第1発明の形態4)
第1発明の形態4の梱包部材(3)は、第1発明の形態1または形態2において、
前記上側カバー(2)内部を複数の空間に仕切る仕切部材(4,6)を有する前記上側カバー(2)、
を備えたことを特徴とする。
(第1発明の形態4の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の形態4の梱包部材(3)では、前記上側カバー(2)は、仕切部材(4,6)によって前記上側カバー(2)内部を複数の空間に仕切られているので、加熱・保温したい空間を効果的に加熱・保温できる。
【0013】
(第1発明の形態5)
第1発明の形態5の梱包部材(3)は、第1発明の形態4において、
断熱部材により構成された前記仕切部材(4,6)、
を備えたことを特徴とする。
(第1発明の形態5の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の形態5の梱包部材(3)では、仕切部材(4,6)が断熱部材により、構成されているので、保温効果を高めることができる。
【0014】
(第1発明の形態6)
第1発明の形態6の梱包部材(3)は、第1発明および第1発明の形態1ないし形態5のいずれかにおいて、
使い捨てカイロにより構成された前記発熱体(12)、
を備えたことを特徴とする。
(第1発明の形態6の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の形態6の梱包部材(3)では、発熱体(12)として低コストの使い捨てカイロを使用できる。
【発明の効果】
【0015】
前述の本発明は、下記の効果(E01)を奏する。
(E01)低コストな構成で梱包対象物の結露を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(実施例)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
【実施例1】
【0017】
図1は本発明の実施例1の梱包部材の説明図である。
図1において、実施例1の画像形成装置(デジタル複写機、梱包対象物)Uは、プリンタ(画像形成装置本体)U1、イメージスキャナU2、自動原稿搬送装置U3を有している。
前記自動原稿搬送装置U3は、イメージスキャナU2上面のプラテンガラスPG上に支持されている。
【0018】
前記自動原稿搬送装置U3は、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて載置される原稿給紙トレイTG1を有している。前記原稿給紙トレイTG1に載置された複数の各原稿Giは順次プラテンガラスPG上の複写位置(プラテンロールGR1の圧接位置)を通過して原稿排出ロールGR2から原稿排紙トレイTG2に排出されるように構成されている。
前記自動原稿搬送装置U3は、その後端部(図1の紙面の背面側部分)に設けた左右方向に延びるヒンジ軸(図示せず)により前記プラテンガラスPG上面に対して回動可能であり、原稿Giを作業者が手でプラテンガラスPG上に置く場合は上方に回動される。
【0019】
前記イメージスキャナU2は、ユーザがコピースタート等の作動指令信号を入力操作するUI(ユーザインタフェース)(図1参照)を有している。
前記透明なプラテンガラスPGの下方には原稿画像を読み取るための露光光学系(光学部材)Aが配置されている。
前記自動原稿搬送装置U3でプラテンガラスPG上面に搬送されて前記複写位置を通過する原稿または手動でプラテンガラスPG上に置かれた原稿(図示せず)からの反射光は、前記露光光学系Aを介して、CCD(固体撮像素子)で電気信号に変換される。
IPS(イメージプロセッシングシステム)は、CCDから入力されるR,G,B(レッド、グリーン、ブルー)の電気信号をY,M,C,K(イエロー、マゼンタ、シアン、黒)の画像データ(デジタルデータ)に変換して一時的に記憶し、前記画像データを所定のタイミングで潜像形成用の画像データとしてレーザ駆動回路DLに出力する。
レーザ駆動回路DLは、入力された画像データに応じてレーザ駆動信号をROSy〜ROSk(潜像形成装置,光学部材)のレーザダイオード(図示せず)に出力する。なお、前記UI(ユーザインタフェース)、IPSおよびレーザ駆動回路DLと、後述の現像ロールR0、転写ロールT1、2次転写ロール(シート転写部材)T2b等にバイアス電圧を印加する電源回路E等の動作はコントローラCにより制御される。
【0020】
前記IPSが出力するYMCKの4色の画像データ(レーザ駆動データ)が入力されたレーザ駆動回路DLは、入力された前記各色の画像データに応じた各色のレーザ駆動信号を所定のタイミングで、各色のROSy〜ROSk(潜像形成装置)に出力する。
【0021】
各像担持体(感光体)Py,Pm,Pc,Pkはそれぞれの帯電ロール(帯電部材)CRy〜CRkにより一様に帯電された後、前記各色のROSy〜ROSk(潜像形成装置)の出力する光ビームによりその表面に静電潜像が形成される。前記像担持体Py,Pm,Pc,Pk表面の静電潜像はそれぞれ、各現像器Gy,Gm,Gc,Gkの現像ロールRDと対向する現像領域において各色YMCKのトナー像に現像される。なお、前記各現像器Gy,Gm,Gc,Gkは、各色のトナーを収容した現像容器と、前記現像容器に回転可能に支持され且つ前記像担持体Py,Pm,Pc,Pk表面の静電潜像にトナーを搬送してトナー像に現像する現像ロールR0を有している。なお、前記各色の現像器Gy,Gm,Gc,Gkの現像容器にはトナーカートリッジTy〜Tkから各色のトナーが補給されるように構成されている。
【0022】
前記現像された各色YMCKのトナー像は、前記各像担持体Py,Pm,Pc,Pkとエンドレスの中間転写ベルト(像担持体)Bとが接触する1次転写領域Q3に搬送される。前記各1次転写領域Q3において中間転写ベルトBの裏面側に配置された1次転写ロールT1には、コントローラCにより制御される電源回路Eから所定のタイミングで現像剤の帯電極性と逆極性の1次転写電圧が印加される。前記各像担持体Py〜Pk上のトナー像は前記各1次転写ロールT1に対向する1次転写領域Q3において中間転写ベルトBに重ねて1次転写される。1次転写後の像担持体Py,Pm,Pc,Pk表面の残留トナーは、像担持体クリーナCLpで除去される。
【0023】
前記各像担持体Py〜Pk、各色のROSy〜ROSk(潜像形成装置)、各色の現像器Gy〜Gkによって、前記各像担持体Py〜Pk上に各色のトナー像を形成する各色のトナー像形成装置UY(Py+ROSy+Gy),UM(Pm+ROSm+Gm),UC(Pc+ROSc+Gc),UK(Pk+ROSk+Gk)が構成される。
【0024】
前記各色の像担持体Py,Pm,Pc,Pkの下方には左右一対のスライドレールSR,SRによりスライドフレームF1が前後方向(紙面に垂直な方向)にスライド移動可能に支持されている。スライドフレームF1にはベルトモジュールBMのベルトフレームF2が上昇した動作位置(像担持体Py〜Pkに後述する中間転写ベルトBが接触する位置)と下方に移動したメンテナンス位置(像担持体Py〜Pkから後述する中間転写ベルトBが下方に離れた位置)との間で昇降可能に支持されている。前記ベルトモジュールBMが前記ベルトメンテナンス位置に下降した状態では、前記スライドフレームF1およびこれに支持されたベルトモジュールBMを、前記像担持体PRと摩擦接触させることなく、画像形成装置本体U1に対して出入させることができるように構成されている。
前記スライドフレームF1を前後移動させる構成およびベルトモジュールBMを昇降させる構成は、従来公知(例えば、特開平8−171248号公報参照)であり、従来公知の種々の構成を採用することが可能である。
【0025】
前記ベルトモジュールBMは、前記中間転写ベルトBと、ベルト駆動ロールRd、テンションロールRt、ウォーキングロールRw、複数のアイドラロール(フリーロール)RfおよびバックアップロールT2aを含むベルト支持ロール(Rd,Rt,Rw,Rf,T2a)と、前記4個の1次転写ロールTy〜Tkとを有している。そして、前記中間転写ベルトBは前記ベルト支持ロール(Rd,Rt,Rw,Rf,T2a)により矢印Ya方向に回転移動可能に支持されている。
【0026】
前記バックアップロールT2aに接する中間転写ベルトBの表面に対向して2次転写ロール(シート転写部材)T2bが配置されており、中間転写ベルトBおよび2次転写ロールT2bの対向する領域には2次転写領域(シート転写領域)Q4が形成される。前記2次転写ロールT2bにはコントローラCにより制御される電源回路Eから所定のタイミングで現像剤の帯電極性と逆極性の2次転写電圧が印加される。前記2次転写ロールT2bに対向して配置された前記バックアップロールT2aはアース(接地)されており、前記2次転写ロールT2bに2次転写電圧が印加されたときには、前記2次転写ロールT2bおよびバックアップロールT2a間には2次転写電界が形成される。前記バックアップロールT2aおよび2次転写ロールT2bにより2次転写器T2が構成される。
前記4個の1次転写ロールTy〜Tkおよび中間転写ベルトBを含むベルトモジュールBMと、2次転写器T2等により、トナー像形成装置(UY,UM,UC,UK)の像担持体Py〜Pk表面に形成されたトナー像を記録シートSに転写する転写装置(BM+T2)が構成されている。
【0027】
プリンタ(画像形成装置本体)U1の下部には、シートSを収容したカセットトレイ(給紙トレイ)TR1〜TR3および給紙用シート搬送路SH1が設けられている。また、前記給紙用シート搬送路SH1には手差トレイ(給紙トレイ)TR4から給紙できるように構成されている。前記カセットトレイ(給紙トレイ)TR1〜TR3に収容されたシートSは、所定のタイミングでピックアップロールRpにより取り出され、さばきロールRsで1枚づつ分離されて、複数の搬送ロールRaによりレジロールRrに搬送される。また、手差トレイ(給紙トレイ)TR4から給紙されたシートは搬送ロールRaによりレジロールRrに搬送される。前記レジロールRrに搬送された記録シートSは、前記中間転写ベルトBに1次転写された多重トナー像または単色トナー像が2次転写領域Q4に移動するのにタイミングを合わせて、2次転写領域Q4に搬送される。
前記2次転写領域Q4を記録シートSが通過する際、2次転写ロールT2bに前記2次転写電圧が印加されるので、前記中間転写ベルトBに重ねて1次転写されたカラートナー像は、前記2次転写領域Q4において一括して記録シートSに2次転写される。
2次転写後の中間転写ベルトBはベルトクリーナCLbにより残留トナーが除去される。
【0028】
トナー像が2次転写された前記記録シートSは、転写後シートガイドSG、シート搬送ベルトHBにより定着装置Fに搬送される。定着装置Fは一対の圧接する加熱ロールFhおよび加圧ロールFp(図2参照)により構成される一対の定着ロールRh,Rpを有しており、前記保温ロールFhおよび加圧ロールFpの圧接領域により定着領域Q5が形成されている。前記記録シートS上のトナー像は前記定着領域Q5を通過する際に、加熱定着される。トナー像が定着された記録シートSは、排出用シート搬送路SH2または両面記録用シート搬送路SH3に搬送される。排出用シート搬送路SH2に搬送されたシートは前記排紙トレイTRhに排出され、両面記録用シート搬送路SH3に搬送されたシートは表裏反転されてから前記レジロールRrに再送される。
前記符号Rp,Rs,Ra,Rr,SG,HB,SH1,SH2,SH3等で示された要素によりシート搬送装置SHが構成されている。
前記符号SH1,SH2,SH3で示された要素によりシート搬送路(SH1〜SH3)が構成されている。また、前記符号Rp,Rs,Ra,Rr,HB等で示された要素によりシート搬送部材(Rp,Rs,Ra,Rr,HB)が構成されている。
【0029】
図1において、画像形成装置Uは、プレート状の支持台(下側カバー)1により支持されている。実施例1の支持台1は、木材や樹脂等で構成されている。前記支持台1の上部には、前記画像形成装置Uの上面及びおよび側面を被覆するように形成された上側カバー2が配置されている。前記支持台1と上側カバー2により、梱包部材3が構成されている。
【0030】
前記画像形成装置Uの露光光学系Aの高さ方向上側(Z側)に高さに対応して、前記上側カバー2の側壁2aの内側面には、内側に突出する第1仕切部材4が形成されている。また、前記上側カバー2の側壁2aの内側面には、前記画像形成装置Uの潜像形成装置ROSの高さ方向下側(−Z側)の高さに対応して、内側に突出する第2仕切部材6が支持されている。実施例1の仕切り部材4,6は断熱部材(例えば、発泡スチロールや発泡ポリウレタン)により構成されている。
したがって、第1仕切部材4および第2仕切部材6によって、前記画像形成装置Uと梱包部材3との間に形成された内部空間7は、前記第1仕切部材4および第2仕切部材6との間に形成された第1空間(保温対象空間)7aと、前記第1空間7aの上部に形成された第2空間7bと、前記第2仕切部材6の下部に形成された第3空間7cとに仕切られている。
【0031】
図2は、本発明の実施例1の要部拡大図である。
図1、図2において、前記上側カバー2の前記内壁には、発熱体支持部材8が支持されている。前記発熱体支持部材8には、ポケット状の発熱体支持部8aが形成されている。
前記発熱体支持部材8の外側方の前記上側カバー2の側壁2aには、窓部9と前記窓部9を開閉する開閉扉11が設けられている。
従って前記開閉扉11を開放した状態で、上側カバー2の外部から、発熱体支持部材8に発熱体12を投入、取出でき、投入された発熱体12は、前記発熱体支持部8aに収容できる。
実施例1の発熱体12は電源が不要な携帯型の発熱体を使用しており、例えば、市販の使い捨てカイロやいわゆる湯たんぽ等の保温材を使用できる。
【0032】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の梱包部材3では、発熱体12を発熱体支持部8に投入することで、梱包部材3内部を加熱・保温できる。
次に、実験を行って実施例1の効果を検証した。
実験は、冬季に研究室の窓際に2つの実施例1の梱包部材3を設置し、窓を開放した状態で、加熱対象空間7aの温度変化を約4日間(金曜日から月曜日)にわたって観測した。実験例1では発熱体12(市販の使い捨てカイロ)を投入し、比較例1には発熱体12を投入しなかった。
(放置時の加熱対象空間の温度・湿度測定結果)
図3は、加熱対象空間の温度・湿度測定実験の結果のグラフであり、縦軸に温度、湿度、横軸に時間をとったグラフである。なお図3では、実験例1の温度を実線、湿度を破線で表し、比較例1の温度を1点鎖線、湿度を2点鎖線で表している。
図3において、測定開始後の金曜日の夜の発熱体投入時刻t1に発熱体12が発熱体支持部8の収容部に投入された。前記発熱体12は発熱終了時t2に発熱が終了した。また、月曜日の朝の空調オン時刻t3に室内に空調が入った。したがって図3に示すように、発熱体12が発熱している期間(t1〜t2)の間は、前記加熱対象空間7aの温度が所定の温度(20℃程度)に保持された。発熱終了時刻t2の後、実験例1の加熱対象空間7aの温度は、比較例1の保温対象空間7aの温度よりも安定して高い温度で推移し、湿度も、実験例1の方が安定して低い温度で推移した(図3参照)。
【0033】
したがって、実施例1の梱包部材3では、発熱体12により、発熱体12を使用しない場合に比べて加熱対象空間7aが高温、低湿の結露しにくい状態に保持される。特に、実験例1の結果から発熱体12投入の翌日の午前中に画像形成装置Uを設置先に搬入する場合は、発熱体12が有効な状態なので、結露防止効果は極めて高い。よって、実施例1の梱包部材3により、画像形成装置Uの搬入、設置時の結露を低減可能である。この結果、設置先での結露を低減できるので、結露が発生した場合に必要だった作業をなくすことができ、設置作業を迅速化することができる。よって、搬入、設置された画像形成装置Uをユーザが速やかに使用開始できる。
また、断熱部材によって構成された第1仕切り部材4および第2仕切り部材6によって、加熱対象空間7aの保温効率が上がるため、前記梱包部材3では前記発熱体12による高い保温効果を得ることができる。特に、加熱対象空間7aは熱容量が大きく、結露の解消に時間がかかる露光光学系Aと潜像形成装置ROSの部分に配置されているので、熱容量が大きな部分を効率的に保温できる。したがって前記梱包部材3では、低コスト且つシンプルな構成で露光光学系Aまたは潜像形成装置ROS等の結露を防止することができる。
さらに、発熱体12として使い捨てカイロを使用できるので、本発明の実施例1では、使い捨てカイロという低コスト且つシンプルな構成で結露を防止することができる。
【実施例2】
【0034】
図4は本発明の実施例2の画像形成装置および梱包部材の説明図である。
図5は本発明の実施例2の要部拡大図であり、図5Aは発熱体カバー部材の開口部に密閉部材が貼付されている図、図5Bは発熱体カバー部材の開口部から密閉部材がはがされた図である。
本発明の実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
図4、図5において、前記第1仕切部材4および第2仕切部材6との間の前記画像形成装置Uの側壁(発熱体支持部)21には、内部に発熱体12を保持し且つ外側面に開口部(接触部)22aを有する発熱体カバー部材22が貼付されている。前記発熱体カバー部材22には、前記開口部22aを覆うようにシール状の密閉部材23が貼付されている。
前記密閉部材23の上部にはひも状の密閉解除部材24の一端部が接着剤等により固着されている。実施例2の前記上側カバー2には、前記実施例1の開閉扉11の代わりに、上側カバー側壁2aを貫通する窓部25が形成されている。前記密閉解除部材24の他端部は、前記窓部25を通って梱包部材3の外部に導出されている。
【0035】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の梱包部材3では、密閉部材23が貼付された状態では、前記発熱体カバー部材22内部に保持された発熱体12は、空気との接触を避けることができるため、発熱することなく保持される。前記密閉解除部材24の梱包材3の外部に導出された他端部を引っ張ることにより、前記密閉部材23は、発熱体カバー22から剥がれ、離隔する。この状態では、発熱することなく保持されていた前記発熱体12は、開口部22aを介して空気に接触し、発熱を開始する。このため実施例2では、簡単な操作で前記梱包部材3内部に保持された発熱体12を発熱させることができる。また、その日の気温や湿度等の必要に応じて密閉解除部材24を引っ張ることで臨機応変に発熱体12を発熱させることができる。したがって実施例2は、前記実施例1と同様の作用効果を奏する。
【0036】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例を下記に例示する。
(H01)前記実施例2において、画像形成装置(梱包対象物)Uの側壁21(発熱体支持部)に発熱体12を支持するように構成したが、これに限定されず、上側カバー2の内側壁(発熱体支持部)に貼付けることも可能である。
(H02)前記実施例2において、発熱体12を発熱体カバー部材22に入れたが、これに限定されず、画像形成装置(梱包対象物)Uの側壁21(発熱体支持部)に直接貼付けることも可能である。
(H03)前記実施例2において、梱包対象物Uの側壁21(発熱体支持部)に発熱体12を支持するように構成したが、これに限定されず、前記発熱体12が画像形成装置(梱包対象物)Uの内部に形成された発熱体支持部に収容することも可能である。
(H04)前記実施例において、仕切部材4,6を使用したが、省略することも可能である。また、前記仕切部材4,6は断熱性のある材料を使用することが望ましいが、これに限定されず、断熱性を持たない材料で前記仕切部材4,6を構成することも可能である。
【0037】
(H05)前記実施例において、前記発熱体12を光学部材A,ROSの位置に対応させて配置したが、これに限定されず、前記光学部材A,ROSの位置とは関係なく配置することが可能である。また、光学部材A,ROSが複数箇所に分散している場合に、前記光学部材A,ROSの位置に対応して、複数の発熱体12を配置することも可能である。
(H06)前記実施例1において、発熱体支持部材8の近傍に窓部を形成したが、これに限定されず、発熱体支持部材8の上方に離れた位置に窓部を形成して、発熱体12を落下させて投入するように構成することも可能である。なお、前記窓部には、開閉扉を設けず、開口状とすることも可能である。
(H07)前記実施例において、上側カバー2は単一部材によって構成したが、これに限定されず、上側カバー2を複数の部材により構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置および梱包部材の説明図である。
【図2】図2は、本発明の実施例1の要部拡大図である。
【図3】図3は、保温対象空間の温度・湿度測定実験の結果のグラフであり、縦軸に温度、湿度、横軸に時間をとったグラフである。なお図3では、実験例1の温度を実線、湿度を破線で表し、比較例1の温度を1点鎖線、湿度を2点鎖線で表している。
【図4】図4は本発明の実施例2の画像形成装置の説明図である。
【図5】図5は本発明の実施例2の要部拡大図であり、図5Aは発熱体カバー部材の開口部に密閉部材が貼付されている図、図5Bは発熱体カバー部材の開口部から密閉部材がはがされた図である。
【符号の説明】
【0039】
A,ROS…光学部材、
U…梱包対象物、
1…下側カバー、
2…上側カバー、
3…梱包部材、
4,6…仕切部材、
8,21…発熱体支持部、
11,25…窓部、
12…発熱体、
23…密閉部材、
24…密閉解除部材。





【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包対象物を被覆する梱包部材本体と、
前記梱包部材本体内部に設けられ、電源を必要としない発熱体を支持する発熱体支持部と、
前記梱包部材本体に形成され、前記梱包部材の外部と前記発熱体支持部とを連通させる窓部と、
を備えたことを特徴とする梱包部材。
【請求項2】
前記梱包対象物の下面を支持する下側カバーと、前記下側カバーに支持された前記梱包対象物の上面及び側面を被複する上側カバーと、を有する前記梱包部材本体と、
前記上側カバーの内部に支持された前記発熱体支持部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の梱包部材。
【請求項3】
前記梱包対象物の側壁により構成された前記発熱体支持部と、
空気との接触により加熱を開始する発熱体と、
前記発熱体の空気との接触部を密閉する密閉部材と、
前記窓部を通過するように配置され且つ、前記密閉部材による密閉を解除する密閉解除部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の梱包部材。
【請求項4】
光学部材を有する前記梱包対象物の前記光学部材の近傍に設置された前記発熱体支持部および前記窓部、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の梱包部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−216999(P2007−216999A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37787(P2006−37787)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】