説明

棚監視装置および棚監視システム

【課題】例えば棚に陳列した商品などの状態を一つひとつ確認することなしに、自動的に把握することが可能な棚監視装置を提供する。
【解決手段】棚管理装置10はX軸移動機構20と、X軸移動機構20によってx軸方向に移動するY軸移動機構30と、Y軸移動機構30によってy軸方向に移動するカメラ40とを具備する。棚監視装置10によってカメラ40を棚Rの枠F前に自動的に移動させて撮像することにより、撮像した画像によって商品の状態を管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば棚に陳列した商品などの状態を把握する棚監視装置および棚監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、店頭等に陳列された商品の棚卸しを行う場合、作業者が、陳列された商品の全てを棚から下ろして、商品の一つひとつを手に取り、商品リスト表にあるリストと対比させながらチェックを行っていた。しかし、この作業は作業者にとって非常に煩わしいという問題がある。
そこで、この作業効率の悪さを解決するものとして、棚を撮影した画像を利用して陳列状態を把握することにより、棚に商品を陳列させたままの状態を把握することのできる技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−284309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1であっても、作業者が棚を個々にデジタルカメラで撮像するという作業が生じ、必ずしも作業効率が向上したとは言えない。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、棚に平行な平面上の2軸方向に検出手段を移動させることにより、棚に収容された物品の状態を把握することが可能な棚監視装置および棚監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明が採用する棚監視装置の構成は、棚に収容された物品の状態情報を検出する検出手段と、前記棚の開口側に平行した平面上にある直交する2軸のうち、いずれか一の軸方向に前記検出手段を移動させる第1移動手段と、前記第1移動手段を他の軸方向に移動させる第2移動手段と、を備えることを特徴としている。
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明が採用する別の棚監視装置の構成は、棚に収容された物品の状態情報を検出する検出手段と、前記棚の開口側に平行した平面上にある直交する2軸のうち、いずれか一の軸方向に沿って延び、前記検出手段が移動する機構を備える第1給電レールと、前記第1給電レールを他の軸方向に移動させる機構を備える第2給電レールと、を備えることを特徴としている。
【0007】
上記構成において、前記第1給電レールは、前記一の軸方向に沿って延びる第1レール本体と、前記第1レール本体に設けられ、前記第1レール本体の伸長方向に移動可能で前記検出手段が取り付けられる第1支持体と、前記第1レール本体から前記第1支持体に電力を供給する第1電力供給手段と、前記第1レール本体または前記第1支持体の少なくともいずれか一方に設けられ、前記電力供給手段にて供給された電力を用いて前記第1支持体を前記第1レール本体に沿って走行させる第1走行手段と、前記第1支持体に設けられ、供給された電力から制御信号を抽出する第1制御信号抽出手段と、前記第1制御信号抽出手段が抽出した制御信号に基づき、前記第1走行手段による前記第1支持体の走行を制御する第1走行制御手段と、を具備し、前記第2給電レールは、前記他の軸方向に沿って延びる第2レール本体と、前記第2レール本体に設けられ、前記第2レール本体の伸長方向に移動可能で前記第1給電レールが取り付けられる第2支持体と、前記第2レール本体から前記第2支持体に電力を供給する第2電力供給手段と、前記第2レール本体または前記第2支持体の少なくともいずれか一方に設けられ、前記第2電力供給手段にて供給された電力を用いて前記第2支持体を前記第2レール本体に沿って走行させる第2走行手段と、前記第2支持体に設けられ、供給された電力から制御信号を抽出する第2制御信号抽出手段と、前記第2制御信号抽出手段が抽出した制御信号に基づき、前記第2走行手段による前記第2支持体の走行を制御する第2走行制御手段と、を具備することを特徴としている。
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明が採用する他の棚監視装置の構成は、棚に収容された物品の状態情報を検出する検出手段と、前記棚の開口側に平行した平面上にある直交する2軸のうち、いずれか一の軸方向に沿って前記検出手段が複数個並べられた第1給電レールと、前記第1給電レールを他の軸方向に移動させる機構を備える第2給電レールと、を備えることを特徴としている。
【0009】
上記構成において、前記第2給電レールは、前記他の軸方向に沿って延びるレール本体と、前記レール本体に設けられ、前記レール本体の伸長方向に移動可能で前記第1給電レールが取り付けられる支持体と、前記レール本体から前記支持体に電力を供給する電力供給手段と、前記レール本体または前記支持体の少なくともいずれか一方に設けられ、前記電力供給手段にて供給された電力を用いて前記支持体を前記レール本体に沿って走行させる走行手段と、前記支持体に設けられ、供給された電力から制御信号を抽出する制御信号抽出手段と、前記制御信号抽出手段が抽出した制御信号に基づき、前記走行手段による前記支持体の走行を制御する走行制御手段と、を具備することを特徴としている。
【0010】
上記構成において、前記レール本体には位置情報が付与され、前記支持体には前記位置情報を読み取って位置を検出する位置検出手段が設けられ、前記制御信号には位置を示す位置制御情報が含まれ、前記走行制御手段は前記位置検出手段が検出する位置が前記制御信号に含まれる位置制御情報が示す位置に対応するように前記走行手段を制御することが好ましい。
【0011】
上記構成において、前記検出手段は、棚内の物品の状態を撮像する撮像手段であることが好ましい。
【0012】
上記構成において、前記検出手段は、物品或いは棚の所定位置に貼着された被検出部から情報を読み取る読取手段であることが好ましい。
【0013】
上記構成において、前記検出手段によって検出された状態情報を収集する情報管理部を備えることが好ましい。
【0014】
上述した課題を解決するため、本発明が採用する別の棚監視システムの構成は、上記構成の棚監視装置と、前記棚監視装置から電力に重畳させて送信される状態情報を収集する情報管理装置と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、棚の開口側に平行な平面上の2軸方向に検出手段を移動させることにより、棚に収容された物品の状態情報を検出し、この情報に基づいて物品の状態を把握することができる。しかも、移動手段には位置情報が付与されているから、検出手段の位置を棚の位置に対応させれば、枠内の物品管理が容易にできる。
例えば、当該棚監視装置を商品の陳列棚に用いた場合には、商品を一つひとつ手に取って行う確認作業が省略でき、棚卸しの作業の軽減が図れる。さらに、図書館やレンタルビデオ等のように、決まったものが決まった棚に並ぶような棚の用途にあっては、指定の棚枠に決まった本やビデオがあるか否かを簡単に把握することができ、しかも軽微な作業で図書館およびレンタルビデオ店全部の在庫管理を行うことも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、図面を参照しつつ、本発明に係る実施形態について説明する。
<<実施形態>>
<構成>
1.棚監視システム
まず、本実施形態に係る棚監視システムの全体構成を、図1に基づいて説明する。
本実施形態の特徴は、棚Rの枠F11〜F34に収容された商品の状態を、カメラ40によって撮像された画像データによって把握する点、カメラ40を装着した棚監視装置10を操作して、棚Rの枠F11〜F34に対して撮像を行う点、さらに棚監視装置10の動作制御および画像データの送信をPLC(Power Line Communications;電力線搬送通信)システムを用いて行う点にある。
【0017】
ここで、棚Rは、直交するx軸・y軸方向に広がり、右側の縦列が上から純に枠F11,F12,F13,F14、真ん中の縦列が上から枠F21,F22,F23,F24、左側の縦列が上から枠F31,F32,F33,F34となる12個の枠からなる。各枠の開口側には商品の落下を防止するためのとめ板が立設され、このとめ板には、枠内に収納される商品の情報等が記憶されたバーコードBが貼着される。
また、この棚Rは背面板が所定の場所(例えば、フロアー)に固定される。
【0018】
2.棚監視装置
棚監視装置10は、天井に設置されたX軸移動機構20と、このX軸移動機構20から垂下されたY軸移動機構30とを具備する。この移動機構20,30は、後述する給電レールによって構成され、管理サーバ310(図6、参照)からの指令信号を受けて、棚Rの開口側に平行な平面上を、カメラ40を移動させる。
移動機構20,30は、後述する給電レールによって構成される。
【0019】
3.給電レール(X軸移動機構20)
次に、移動機構20,30を構成する給電レールについて説明する。なお、移動機構20,30においては、給電レールの基本構成はほぼ同様であるため、X軸移動機構20の給電レールのみを説明して、Y軸移動機構30については相違点のみを説明するものとする。
このX軸移動機構20(給電レール)は、図2に示すように、レール本体51、レール本体51の伸長方向に沿って移動する支持体60、位置検出部90(図3、参照)等を具備する。レール本体51はx軸に平行する軸線方向に伸長することになる。
支持体60には、Y軸移動機構30が取り付けられている。そして、支持体60は、内蔵したX軸モータMXの駆動により支持体60を矢印a方向(x軸方向に平行する軸線)に移動させる。
【0020】
このレール本体51は、図2および図3に示すように、その外形は下側に開口する断面略「コ」字状に形成されてx軸方向に伸長する。開口部には折り返し部が伸長方向に延びるように形成され、この各折り返し部には後述する凸部64が挿嵌される凹溝52が伸長方向に形成される。レール本体51の上面には、その内面側に支持体60のピニオン62が噛合されるラック53が、当該レール本体51の伸長方向に形成される。また、レール本体51の側面には、その各内面側に板状の給電端子54,54が給電導体として前記伸長方向に貼着される。この給電端子54には、コンセント等の商用電源(いずれも図示せず)に接続されるために、リード線55を介してプラグ56が接続されている。
【0021】
支持体60は、レール本体51内をx軸方向に摺動しつつ移動する長方形の摺動部61と、レール本体51からy軸方向に突出し、外周に雄ねじ部65Aが刻設された円柱状の突出部65とを有する。この突出部65の下面には商用電力用の雌コネクタ65Bが設けられる。この雌コネクタ65Bの端子はリード線(いずれも図示せず)を介して後述する受電端子66に接続される。これにより、雌コネクタ65Bには給電端子54および受電端子66を介して電力が供給される。
【0022】
摺動部61の上面には、ピニオン62周面の一部が突出するように設けられ、このピニオン62はX軸モータMXによって駆動される。このピニオン62は、図4に示すように、円形歯車によって形成され、X軸モータMXの軸に固定された伝達歯車63が噛合される。X軸モータMXを駆動させることによって発生する軸の回転は、伝達歯車63を介してピニオン62に伝達される。
ピニオン62は、支持体60がレール本体51に組み込まれる際、レール本体51のラック53に噛合される。X軸モータMXを正/逆に駆動させることによって、支持体60がレール本体51の伸長方向に移動し、Y軸移動機構30を矢印a方向に移動させる。(図1、参照)。
【0023】
一方、摺動部61の下面には、レール本体51の凹溝52に挿入される凸部64,64が形成される(図3、参照)。レール本体51に支持体60の摺動部61が挿入された段階で、凸部64,64が凹溝52,52にそれぞれ挿嵌されて、レール本体51に対して摺動部61のy軸方向への移動が規制される。
【0024】
また、摺動部61の各側面には、レール本体51の各給電端子54に電気的に接触する受電端子66が設けられる。この受電端子66は、挿入穴66A内に収容された円錐状の端子部66Bと、この端子部66Bを外側に付勢するバネ部66Cとを有する。そして、給電端子54および受電端子66によって電力供給手段が構成される。
さらに、摺動部61内には、後述するスレーブPLCアダプター102およびコントローラ110等の回路を構成する電子素子を実装した基板67が内蔵される。
【0025】
4.位置検出部
次に、支持体60のレール本体51の伸長方向における位置を検出する位置検出部90について説明する。
位置検出部90は、図3に示すように、支持体60側に設けた受発光部91と、レール本体51側に設けたバーコード92とからなる。バーコード92は、それぞれ異なったコード情報を示すバーコード92a,92b,…92nからなり、図5に示すように、このバーコードが受発光部91と対向するレール本体51の内側面に所定間隔毎に貼着される。本実施形態の場合、給電端子54の下側に配置され、横(x軸)方向の位置は、枠Fの中心となる位置に対応させている。なお、バーコードは二次元バーコードであってもよい。
【0026】
そして、位置検出部90では、受発光部91でバーコードを読取り、読み込んだバーコードの情報に基づき、支持体60のレール本体51における位置を検出する。このためには、予めバーコードの情報とレール本体51における位置を、コントローラ110等のROMにデータテーブルとして記憶しておく。
この位置検出部90にあっては、所定間隔毎に貼着されたバーコード92を受発光部91で読み取ることによって、レール本体51の伸長方向における支持体60の位置が断続的に検出されることになる。
【0027】
このように構成されるX軸移動機構20であっては、指令信号を受けてX軸モータMXを駆動させることにより、Y軸移動機構30を矢印a方向に移動させる。この移動は、位置検出部90における検出信号によって制御される。
【0028】
5.Y軸移動機構30
以上が、X軸移動機構20の構成であるが、このX軸移動機構20とY軸移動機構30との構造上の相違点について説明する。なお、X軸移動機構20に関する構成要素には「X」の添え字を付加し、Y軸移動機構30に関する構成要素には「Y」の添え字を添加して、識別するものとする。
【0029】
Y軸移動機構30のレール本体51Yの一端がX軸移動機構20の支持体60Xに機械的に固定されると共に、電気的にも接続される。このため、レール本体51Yの一端には、平行して電極が突出する雄コネクタ31と、この雄コネクタ31の鍔部31Aに係合される貫通型の袋状ナット32とを有し、この袋状ナットの外周面にはローレット加工が施される。そして、雌コネクタ65Bに雄コネクタ31の電極を挿入した上で、袋状ナット32を雄ねじ部65Aに螺号させることによって、Y軸移動機構30がX軸移動機構20の支持体60Xに固定される。さらに、Y軸移動機構30の支持体60Yにはカメラ40が取り付けられている。このカメラ40はCCD素子を備え、図11の点線で示す撮像範囲Sのエリアを撮像する。
また、位置検出部90のバーコード92は、縦(y軸)方向の位置は、枠Fの中心となる位置に対応させて貼着されている。
【0030】
このように構成されるY軸移動機構30であっては、指令信号を受けてY軸モータMYを駆動させることにより、カメラ40を矢印b方向に移動させる。この移動は、位置検出部90における検出信号によって制御されることになる。
【0031】
6.棚監視システムの電気構成
次に、図6を参照しつつ、棚監視システムについて説明する。
まず、PLCシステムは、送電線を介して供給される電力に、インターネット等のネットワークからの信号を重畳させて、この重畳された電力が供給される範囲においてLAN(Local Area Network:ラン)を構築する技術である。
一般的にPLCシステムは、屋内LANを構築する場合、配電盤近くに、電力への信号の重畳・電力から信号の抽出を行うマスターPLCアダプターを設置し、使用する電気機器の近くのコンセント近傍にスレーブPLCアダプターを接続する。そして、スレーブPLCアダプター102がこの電力から信号を抽出し電気機器に出力したり、電気機器側の検出信号等を電力に重畳させて送信させたりする。
本実施形態における棚監視システムでは、屋内において管理するため、管理サーバ310はマスターPLCアダプター320を介して給電線330に接続され、棚監視装置10はこの給電線330に接続される。
ここで、管理サーバ310から送信される信号には、制御信号(モータMX,MYに対する動作を指令する指令信号)やカメラ40のシャッタ動作を制御するシャッタ信号等があり、棚管理装置10から管理サーバ310に送信される信号は、Y軸移動機構30の識別信号やカメラ40のx軸・y軸方向の位置を示す検出信号、撮像信号等がある。
【0032】
次に、支持体60内の電気的な構成を説明する。ここでは、X軸移動機構20の支持体60Xについて説明して、Y軸移動機構30の支持体Yについてはその説明を省略するものとする。
支持体60Xには、交流電力VACが給電端子54および受電端子66を介して供給される。AC/DCコンバータ101Xは支持体60X内に内蔵されており、商用周波数の交流電力VACを直流電圧VDCに変換する。AC/DCコンバータ101Xは、その構成は省略するが、一般的にトランス、ブリッジ回路、レギュレータ等で構成される。変換された直流電圧VDCは、基板67Xに供給される。この基板67Xには実装された電子素子によってスレーブPLCアダプター102Xおよびコントローラ110X等の回路が構成される。
スレーブPLCアダプター102Xは、マスターPLCアダプター320と同様に、交流電力VACから信号(指令信号)を抽出すると共に、コントローラ110X側からの信号(検出信号)を電力に重畳させる。
【0033】
コントローラ110Xは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)(いずれも図示せず)を有する。CPUはROMに記憶された各種プログラムを読み出して実行する。ROMには、個々の支持体60毎に指定されたIDおよびモータのIDが記憶される。また、RAMには、検出部90Xからの検出信号に応じて、支持体60Xのx軸方向の位置を示したデータが順次更新・記憶される。
【0034】
コントローラ110Xには、その入力側に位置検出部90Xが接続され、その出力側にX軸モータMXが接続される。さらに、コントローラ110Xは、スレーブPLCアダプター102Xとの間で信号の授受を行う。
【0035】
一方、Y軸移動機構30のコントローラ110YのROMには、支持体60毎に指定されたID、モータのIDおよびカメラ40のIDが記憶される。また、RAMには、検出部90Yからの検出信号に応じて、支持体60Yのy軸方向の位置を示したデータが順次更新・記憶される。
また、スレーブPLCアダプター102Yは、交流電力VACから信号(指令信号)を抽出すると共に、コントローラ110X側からの信号(検出信号・撮像信号)を電力に重畳させる。
【0036】
ここで、管理サーバ310は、棚監視装置10の制御プログラムを始め取得した画像データに基づいて棚Rの枠F毎の在庫管理等を行う処理プログラム等が記憶エリアに格納される。さらに、この記憶エリアに棚監視装置10には、カメラ40の撮像ポイントを制御するマップを備えている。具体的には、図7に示すように、撮像ポイント1〜12を棚Rの枠F11〜F34に対応させ、その際のカメラ40の位置を撮像ポイント1;X1,Y1、撮像ポイント2;X1,Y2、撮像ポイント3;X1,Y3、…撮像ポイント12;X3,Y4といったように設定されている。この撮像ポイントは、カメラ40の撮像範囲Sの大きさによって設定される。
また、管理サーバ310では、図8に示すようなデータテーブルが生成される。このデータテーブルは、給電レール50の識別ID、モータの識別IDおよびこのモータに対する指令信号、カメラ40の識別IDおよびこのカメラ40に対する指令信号からなる。ここで、X軸モータMXの識別ID(MID)に対する指令信号は、レール本体51Xに対する支持体60Xの位置を示した値、Y軸モータMYの識別ID(MID)に対する指令信号は、レール本体51Yに対する支持体60Yの位置を示した値、カメラ40の識別ID(MID)に対する指令信号は、シャッタを動作させる信号をそれぞれ示している。
【0037】
この各機器の識別IDは、予め設定されていても、給電レール50、支持体60からの信号によって新たに設定されてもよく、管理サーバ310内で撮像ポイントのマップから算出される。そして、管理サーバ310は、モータMX,MY、カメラ40の識別IDおよびこの識別IDに対する指令信号を信号として送信する。
一方、位置検出部90がバーコードを読み取る読取部となっている場合には、前記モータMX,MYの指令信号はバーコードの読取データとなる。
【0038】
<動作>
次に、図9のシーケンスチャートに基づき、棚監視システムの具体的な動作について説明する。
本実施形態の棚監視システムの使用環境の具体例は、図書館において棚Rに書籍が収納され、閉館後に書籍の陳列状況を作業者が把握するのに用いる場合について述べる。
作業者は、X軸移動機構20の雌コネクタ65BにY軸移動機構30の雄コネクタ31の電極を挿入した上で、袋状ナット32を雄ねじ部65Aに螺号させることによって、Y軸移動機構30をX軸移動機構20の支持体60Xに固定する。これにより、図10に示すように、棚Rに対して棚監視装置10が配置されることになる。
【0039】
次に、作業者は、管理サーバ310から棚監視装置10を遠隔操作して作業を行わせる。
管理サーバ310では、棚監視装置10の制御プログラムを実行させる。管理サーバ310は記憶エリアから撮像ポイントのマップから「撮像ポイント1」の位置X1,Y1を読み出し、指令信号を生成する。この際、指令信号のヘッダには識別番号が付与される。そして、管理サーバ310は、X軸モータMXを制御する指令信号を出力すると共に、カウンタnを「1」歩進する(ステップS1)。
管理サーバ310から出力された指令信号は、マスターPLCアダプター320によって電力に重畳され、この電力は、給電線330を介して棚管理装置10に供給される。
棚管理装置10のスレーブPLCアダプター102X,102Yにおいては、電力から指令信号を抽出し、コントローラ110X,110Yで記憶されたIDに対応したIDが指令信号のヘッダに含まれているか否かを判定する(ステップS11,21,31)。コントローラ110X,110Yは、指令信号にヘッダに含まれるIDと一致するまで待機する(ステップS11,21,31;NO)。
【0040】
この場合、制御信号はX軸モータMXを駆動するための指令信号であるため、X軸移動機構20のコントローラ110Xは、指令信号を読み取り、指令信号に基づいてY軸移動機構30をx軸方向に移動させる(ステップS12)。移動完了したか否か(ステップS13)は、位置検出部90Xにおいて、指定されたバーコードが読み込まれたか否かによって判定する。そして、撮像ポイント1のX軸方向の位置にカメラ40を移動させる。そして、コントローラ110Xは、カメラ40が撮像ポイント1のX軸方向の位置に到達した際、ヘッダにモータMXのIDが付加された検出信号を出力する。スレーブPLCアダプター102Xは、検出信号を電力に重畳させて給電線330に出力する。
【0041】
マスターPLCアダプター320は、電力に重畳された検出信号を抽出し、管理サーバ310に送信する。管理サーバ310は、検出信号のヘッダに付与されたモータMXのIDから先に送信した指令信号と検出信号とが一致するかを判定し、一致する場合には次の指令信号を出力する。
【0042】
管理サーバ310は、Y軸モータMYを制御する指令信号を出力する。
管理サーバ310から出力された指令信号は、マスターPLCアダプター320によって電力に重畳され、この電力は、給電線330を介して棚管理装置10に供給される。
この場合、制御信号はY軸モータMYを駆動するための指令信号であるため、Y軸移動機構30のコントローラ110Yは、指令信号を読み取り、指令信号に基づいてカメラ40をy軸方向に移動させる(ステップS22)。移動完了したか否か(ステップS23)は、位置検出部90Yにおいて、指定されたバーコードが読み込まれたか否かによって判定する。そして、撮像ポイント1のY軸方向の位置にカメラ40を移動させる。そして、コントローラ110Yは、カメラ40が撮像ポイント1のY軸方向の位置に到達した際、ヘッダにモータMYのIDが付加された検出信号を出力する。スレーブPLCアダプター102Yは、検出信号を電力に重畳させて給電線330に出力する。
これにより、カメラは図11に示すように、枠F11を撮像する位置に移動したことになる。
【0043】
マスターPLCアダプター320は、電力に重畳された検出信号を抽出し、管理サーバ310に送信する。管理サーバ310は、検出信号のヘッダに付与されたモータMYのIDから先に送信した指令信号と検出信号とが一致するかを判定し、一致する場合には次の指令信号を出力する。
【0044】
管理サーバ310は、カメラ40による撮像を指示する指令信号を出力する。
管理サーバ310から出力された指令信号は、マスターPLCアダプター320によって電力に重畳され、この電力は、給電線330を介して棚管理装置10に供給される。
この場合、制御信号はカメラ40を駆動するための指令信号であるため、Y軸移動機構30のコントローラ110Yは、指令信号を読み取り、指令信号に基づいてカメラ40による撮像を行う(ステップS32)。そして、コントローラ110Yは、ヘッダにカメラ40のIDが付加された撮像信号を出力する。スレーブPLCアダプター102Yは、撮像信号を電力に重畳させて給電線330に出力する。
【0045】
マスターPLCアダプター320は、電力に重畳された撮像信号を抽出し、管理サーバ310に送信する。管理サーバ310は、撮像信号のヘッダに付与されたカメラ40のIDから撮像信号であることを判定し、この撮像信号を撮像ポイント1(枠F11)の画像データとして記憶する(ステップS41)。さらに、管理サーバ310は、カウンタnが「12」に達したか否かを判定する(ステップS42)。
管理サーバ310は、ステップS42の判定においてnが12に達していない場合には、撮像ポイントにおける撮像が完了していないものとして、ステップS1以降の処理を実行させ、撮像ポイント1〜12における画像データを得る。
【0046】
その後、管理サーバ310は、棚監視装置10のX軸移動機構20を固定したまま、Y軸移動機構30によりカメラ40を順次下降させ、図12および図13に示すカメラ40の位置において撮像を行い。枠F12,F13,F14における画像データを取得する。
【0047】
次に、管理サーバ310は、棚監視装置10のX軸移動機構20左に移動させ、Y軸移動機構30により下降した位置にあるカメラ40で撮像を行い、枠F24における画像データを取得する(図14)。その後、下降した位置にあるカメラ40を順次上昇させ、カメラ40の位置において撮像を行い。枠F23,F22,F21における画像データを取得する。
【0048】
さらに、管理サーバ310は、棚監視装置10のX軸移動機構20左に移動させ、Y軸移動機構30により上昇した位置にあるカメラ40で撮像を行い、枠F31における画像データを取得する。その後、上昇した位置にあるカメラ40を順次下降させ、カメラ40の位置において撮像を行い。枠F32,F33,F34における画像データを取得する。
この処理においては、走査軌跡上にカメラ40を移動させることにより(図15、参照)、撮像ポイントを1,2,3,4,8,7,6,5,9,10,11,12の順で撮像を可能にし、棚Rの枠F11〜F34の12個の画像データを得る。
管理サーバ310では、得られた画像データから重なり合う枠部を合わせる処理等を行うことにより、棚に収納された書籍の状態を画像として把握することができる。
【0049】
<実施形態の効果>
本実施形態による棚監視システムでは、X軸移動機構20およびY軸移動機構30を用いて、棚Rの開口側に平行な平面上のx軸、y軸方向にカメラ40を移動させることにより、棚Rの枠F11〜F34毎に画像データを得る。そして、得られた画像データから枠F11〜F34内に収容された書籍の管理を画像で行うことが可能となる。
【0050】
X軸移動機構20およびY軸移動機構30からなる棚監視装置10は、管理サーバ310からの指令信号によって動作制御され、撮像ポイントにて撮像された画像データも管理サーバ310にて収集されるため、完全自動化を図ることができる。
【0051】
X軸移動機構20およびY軸移動機構30は、給電レール50によって構成されており、信号の送受信は、PLCシステムを用いているため、給電線を利用して信号の授受を行うことにより、LAN等の別途配線が不要になる。
【0052】
さらに、本実施形態による棚監視システムでは、棚の形状に応じて複数個の撮像ポイントのマップを管理サーバ310に備えておけば、種々の棚の形状に応じて収容される物品の状態を画像データとして保存することができる。しかも、スーパー等での棚卸しを目的で使用する場合には、棚監視システムが自動的に画像データを撮像してくれるので、作業者が一つひとつ手に取って確認作業を省くことができる上に、画像データを解析することによって在庫管理等も可能となる。
【0053】
<<変形例>>
1.位置検出手段
前記実施形態では、位置検出手段の構成を、受発光部91とバーコード92としたが、本発明はこれに構成に限らず、種々の構成が可能である。
以下、幾つかの例を列挙する。
(1)光学センサ
透過型センサ
図16に示すように、発光部93Aと受光部93Bとが互いに対向するように配置されたフォトインタラプタを検出部93とし、この発光部93Aと受光部93Bとの間に移動するシャッタ94を配置する。ここで、支持体60側に検出部を、レール本体51にシャッタ94を設けられる。
【0054】
シャッタ94の構成は、図17(a),(b),(c)等が考えられる。
前述した位置検出部90と同様に、予め定めた所定位置にある支持体60の位置を検出する場合には、図17(a)に示すように、シャッタ94Aの伸長方向に対して所定間隔毎に貫通孔94a,94a,…を穿設する。この際、貫通孔94aの径寸法を漸次異なるように形成し、最大径の貫通孔94aよりも発光部93Aから発光する光の径(発光径)が大きくなるようにする。
また、図17(b)に示すように、シャッタ94Bにスリット94bを形成する。このスリット94bはその幅寸法が、シャッタ94Bの伸長方向一側から他側に向けて漸次小さくなるように形成し、最大幅の寸法よりも発光部93Aから発光する光の直径が大きくなるようにする。
さらに、図17(c)に示すように、シャッタ94Cの外形を伸長方向一側から他側に向けて漸次傾斜する形状とし、シャッタ94Cの最大幅の寸法よりも発光部から発光する光の直径が同じか或いは大きくなるようにする。
【0055】
このように、図17(a)のシャッタ94Aの構造にあっては、前述した位置検出部90と同様に、レール本体51の所定位置に支持体60が有ることを検出することができる。
図17(b),(c)のシャッタ94B,94Cの構造にあっては、コントローラ110等のROMに、受光部93Bからの受信信号の値に対するレール本体51の位置を予め位置情報として記憶しておき、受光部93Bでの受信信号の大きさから支持体60のレール本体51に対する位置を演算によって特定することが可能となる。
この場合には、先の位置検出部90が断続的な位置検出となるのに対し、図17(b),(c)に示すシャッタ構造の光学センサを用いることによって、連続的な受信信号が得られ、支持体60の位置が連続的に検出される。
【0056】
反射型センサ
光学センサは、透過型センサに限らず反射型センサであってもよい。この場合、図18に示すように、発光部93Cと受光部93Dとが一体となった検出部93´と、発光部からの光を反射する反射板94Dとを有する。この反射板94Dの形を、反射板が貼着される部位の伸長方向に対して反射量が変化する形状に形成する。例えば、図17(b)のスリット形状或いは図17(c)のシャッタ形状のようにすればよい。
さらに、断続的に支持体60の位置を検出したい場合には、伸長方向の所定位置に反射量が異なる反射板を貼着し、連続的に支持体60の位置を検出したい場合には、伸長方向に対して漸次反射量が変化するような形状の反射板を貼着すればよい。
【0057】
(2)磁気センサ
磁気センサを用いて位置検出部としてもよい。この場合、検出部には半導体ホール素子、半導体磁気抵抗素子等を用い、被検出部を磁性材料の部位に施された着磁部位或いは磁石とする。
被検出部となる着磁部位は、所定間隔毎に着磁させ、その着磁部位における磁場が異なるようにする。これにより、検出部からの検出信号に基づき、レール本体51の伸長方向における支持体60の位置を断続的に検出する。
また、着磁部位は、所定間隔毎に形成するのではなく、磁場が伸長方向に対して漸次変化するように着磁させることにより、検出部からは着磁部位の磁場を連続的に検出でき、レール本体51の伸長方向における支持体60の位置を連続的に検出する。
一方、被検出部が磁石の場合には、この磁石を所定間隔毎にレール本体51に貼着し、各磁石の磁場を異なるようにする。これにより、検出部からの検出信号に基づき、レール本体51の伸長方向における支持体60の位置を断続的に検出する。
【0058】
(3)その他のセンサ
位置検出手段の構成は、上記バーコード、光学センサ、磁気センサ等に限らず、レール本体51の伸長方向に対する支持体60の位置を相対的に検出するものであれば、これらに限定されるものではない。
前記各例では、センサ1個に対してシャッタ等の被検出部を変化させる場合について述べたが、逆に、発光部と受光部とを有する検出部を、レール本体51の伸長方向の所定位置毎に対向するように設け、支持体によって発光部からの光が遮蔽された部分が、支持体60が移動した位置であると特定するようにしてもよい。
さらに、レール本体51の伸長方向の所定位置毎に前述したフォトインタラプタを設け、フォトインタラプタ内の光路を遮るシャッタを支持体60側に設けるようにしてもよい。
【0059】
2.検出手段
前記実施形態では、カメラ40による撮像によって商品(書籍)の状態を管理するものとしたが、本発明はこれに限るものではない。
対象となる物品に、この物品の情報を示すバーコード或いはRFIDタグ等の被検出部を貼着し、このバーコード或いはRFIDタグから読取部で情報を読み取るようにしてもよい。
【0060】
また、カメラ40に前記被検出部を読み取る読取部41を設け、カメラ40による画像データと共に読取部41から読み取った情報データとを合わせて記憶し、このデータから在庫管理等の解析を行うようにしてもよい。
さらに、棚Rに貼着したバーコードBを読み取って棚に並んだ商品と画像データから得られた実際の商品とが一致しているか否かの識別も行うことが可能となる。
【0061】
さらに、図19に示すように、背表紙の一定の位置にRFIDタグTが貼着された書籍が枠Fに並んでいる場合、点線で示す位置を読取部が走査することにより、棚の枠F内に並んだ書籍のデータ(書籍名)を収集することが可能となる。
この読取方法は、図書館、レンタルビデオ、レンタルCD等、物品の大きさがほぼ同一で、バーコード或いはRFIDタグがほぼ一定の位置に貼着された場合に特に有効である。そして、図書館やレンタル屋における管理は、画像データによる処理を行って管理する場合と異なり、読み込んだ情報は、図書館やレンタル屋において実際に残っている物品の状況となる。これにより、受付を通して貸し出した情報と、実際に残っている物品の情報とを照合することができ、盗難に有った物品や、異なった枠Fに並んでいる物品等を抽出することが可能となる。
【0062】
さらに、RFIDタグは、無線によって読取部で情報の読み取りを行うものであるため、枠F内に乱雑に並べられた物品であっても、情報の収集が可能となり、棚卸し作業時の在庫管理等に有効的に用いることができる。
【0063】
3.カメラ40(検出手段)を複数個
前記実施形態では、Y軸移動機構30は、カメラ40(指示体60Y)をy軸方向に移動させる給電レールとして記載したが、本発明はこれに限らず、種々の構造が考えられる。
以下、幾つかの例を列挙する。
(1)Y軸移動機構30に複数個の支持体60Yを固定した位置に設け、この支持体60Yにカメラ40をそれぞれ取り付ける。具体的には、各支持体60Yの位置は、撮像ポイントのY軸位置(Y1,Y2,Y3,Y4)となるように設定する。
【0064】
これにより、Y軸方向へのカメラ40の移動がなくなり、管理サーバ310からはY軸移動機構30のx軸方向への移動するためのX軸移動機構20への指令信号と、カメラ40への撮像を指令する指令信号のみとなり管理サーバ310における処理動作の簡略を図ることができる。
【0065】
y軸方向にカメラ40を並べるのであれば、給電レールの構造に限らず、X軸移動機構20から垂下したロープの所定位置にカメラ40を固定するようにしてもよい。この際、カメラとX軸移動機構20とは電気的に別途接続される必要がある。
【0066】
4.検出手段(カメラ40)の走査軌跡
前記実施形態では、図15のように、x軸方向にY軸移動機構30を移動させた上で、Y軸移動機構30の支持体60Yをy軸方向に移動させてカメラ40を走査させるようにしたが、その走査に限るものではない。
図20に示すように、Y軸移動機構30によってカメラ40のy軸方向の位置を固定した上で、X軸移動機構20によってY軸移動機構30を移動させ、カメラ40をx軸方向に移動させてもよい。この場合には、図20に示すような走査軌跡となる。この場合、カメラ40は、撮像ポイントを1,5,9,10,6,2,3,7,11,12,8,4の順で撮像を行うことになる。
【0067】
また、図21に示す走査軌跡は、X軸移動機構20およびY軸移動機構30を共に駆動させた状態のまま撮像を行う場合の軌跡である。この場合、カメラ40の図11の点線で示す撮像範囲Sよりも広いエリアが必要となる。
【0068】
さらに、前記実施形態では、カメラ40(検出手段)をy軸方向に移動させるY軸移動機構30を、x軸方向に移動させるX軸移動機構20に取り付ける構成としたが、カメラをx軸方向に移動させるX軸移動機構20を、y軸方向に移動させるY軸移動機構30に取り付ける構成としてもよい。
【0069】
5.支持体の移動機構
前記実施形態では、支持体60の移動をラック、ピニオンによって移動させるようにしたが、本発明はこれに限らず、種々の移動機構で構成できる。
例えば、1本のレール本体51に対して1個の支持体60を取り付ける場合には、支持体60自体に移動機構を持たせることなく、レール本体51と支持体60とに移動機構を持たせることが可能となる。例えば、ボールベアリング構造によって移動機構が構成できる。この機構は、レール本体51の伸長方向に延びる雄ねじ部と、摺動部61に穿設された雌ねじ部と、前記雄ねじ部を回転させるモータによって構成する。そして、この機構にあっては、モータによって雄ねじ部を回転させることにより、螺合された雌ねじ部に雄ねじ部がねじ込まれ、レール本体51に回り止めされた摺動部61が移動するようになる。
また、レール本体51の両側に滑車を設け、各滑車間に架設したワイヤーに支持体60を固定し、一方の滑車をモータによって回動させることによって、支持体60を移動させるようにしてもい。
【0070】
さらに、Y軸移動機構30のように、支持体60Xを移動させることにより、カメラ40をy軸方向に移動させるのであれば、ロープの先端側にカメラ40を取り付け、このロープを巻き取ったり、開放したりすることにより、棚Rに対するカメラ40のy軸方向の位置を調整するようにしてもよい。この場合、カメラ40とX軸移動機構20との間には電気的な接続が必要となる。
【0071】
6.支持体への給電方式
前記実施形態では、給電手段をレール本体51に設けた板状の給電端子54と支持体60側に設けた受電端子66によって構成したが、受電端子66の端子部66Bを円錐形状に限定するものではなく、ブラシ構造であってもよく、要は支持体60側の端子がレール本体51側の端子に摺動して電気的に接続される構成であればよい。また、1本のレール本体51に対して1個の支持体60を取り付ける場合には、支持体60に対してリード線55を直接接続するようにしてもよく、この際、支持体60がレール本体51の伸長方向に移動可能なだけのリード線55に余裕を持たせればよい。
【0072】
7.支持体に取り付ける際に対象のIDを記憶する方法
前記実施形態では、レールID、モータIDおよびカメラIDの抽出については記載していないが、例えば、図2に示すように、支持体60の突出部65側に読取部を設け、この読取部に対向する面(Y軸移動機構30の雄コネクタ31の端面)に、このY軸移動機構30の情報を表すバーコードを貼着する。これにより、支持体60にY軸移動機構30を取り付ける際に、Y軸移動機構30の情報が読み込まれる。同様に、支持体60Yに読取部、カメラ40側にバーコードを貼着することにより、Y軸移動機構30の支持体60Yにカメラ40を取り付ける際にも、カメラ40の情報が抽出できる。
【0073】
8.フロアーに複数の棚が平行に並ぶ場合
前記実施形態では、1つの棚Rに対して管理を行うものとして述べた。
しかし、実際には、複数の棚Rが背中合わせに並んでいるのが普通である。そこで、本変形例では、棚監視装置10をz軸方向に移動させる機構について説明する。
フロアーには6個の棚R1,R2、棚R3,R4、棚R5,R6がそれぞれ背中合わせに配置されている。棚の横方向がx軸方向、棚の縦方向がy軸方向、並び方向(奥行き)がz軸方向とする。
【0074】
天井には、棚Rのx軸方向外側に位置する点からz軸方向に延びる一対の給電レール50Z,50Zを設ける。この給電レール50Zは前述した給電レール50とほぼ同じ構成となるので、その説明は省略し、添え字Zを付加して以下の説明に使用するものとする。
各給電レール50Zの支持体60Zには、X軸移動機構20の端部が接続される。各給電レール50Zは、管理サーバ310からの指令を受け、X軸移動機構20を位置Z1からZ6までz軸方向に順次移動させる。そして、二点鎖線の位置で固定した上で、実施形態で示した手順で画像データを棚毎に取得する。
これにより、1つの棚監視装置10で、フロアー上にあるz軸に平行に並ぶ棚Rの物品を管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施形態による棚監視装置示す斜視図である。
【図2】同実施形態による給電レールの分解斜視図である。
【図3】同実施形態による給電レールの断面図である。
【図4】図3中の矢視IV−IV方向から見た断面図である。
【図5】位置検出部の被検出部を示す図である。
【図6】同実施形態による支持体の電気的構成および給電線から支持体に供給される電気ラインを示す図である。
【図7】同実施形態による管理サーバに用意される撮像ポイントを示すテーブルである。
【図8】同実施形態による管理サーバから出力される指令信号を示すテーブルである。
【図9】同実施形態による棚監視システムの動作示すシーケンスチャートである。
【図10】同実施形態による棚監視装置の動作を示す図である。
【図11】図10に続く棚監視装置の動作を示す図である。
【図12】図11に続く棚監視装置の動作を示す図である。
【図13】図12に続く棚監視装置の動作を示す図である。
【図14】図13に続く棚監視装置の動作を示す図である。
【図15】図14に続く棚監視装置の動作を示す図である。
【図16】変形例による異なった位置検出部の構成を示す図である。
【図17】変形例による異なった位置検出部の被検出部を示す図である。
【図18】変形例によるさらに異なった位置検出部の被検出部を示す図である。
【図19】変形例による棚の枠に並んだ本を走査する場合を示す図である。
【図20】変形例によるカメラの走査軌跡を示す図である。
【図21】変形例によるカメラの走査軌跡を示す図である。
【図22】変形例による棚走査機構を移動する機構を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
10…棚監視装置、20…X軸移動機構(第2給電レール)、30…Y軸移動機構(第1給電レール)、40…カメラ(検出手段)、50…給電レール、51…レール本体、53…ラック、54…給電端子、60…支持体、62…ピニオン、66…受電端子、67…基板、90…位置検出部、91…受発光部、92…バーコード、93,93´,96…検出部、94A,94B,94C,97…シャッタ、94D…反射板、102…スレーブPLCアダプター、110…コントローラ、310…管理サーバ、320…マスターPLCアダプター、MX…X軸モータ、MY…Y軸モータ、R…棚、F…枠。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚に収容された物品の状態情報を検出する検出手段と、
前記棚の開口側に平行した平面上にある直交する2軸のうち、いずれか一の軸方向に前記検出手段を移動させる第1移動手段と、
前記第1移動手段を他の軸方向に移動させる第2移動手段と、を備える
ことを特徴とする棚監視装置。
【請求項2】
棚に収容された物品の状態情報を検出する検出手段と、
前記棚の開口側に平行した平面上にある直交する2軸のうち、いずれか一の軸方向に沿って延び、前記検出手段が移動する機構を備える第1給電レールと、
前記第1給電レールを他の軸方向に移動させる機構を備える第2給電レールと、を備える
ことを特徴とする棚監視装置。
【請求項3】
請求項2記載の棚監視装置において、
前記第1給電レールは、前記一の軸方向に沿って延びる第1レール本体と、
前記第1レール本体に設けられ、前記第1レール本体の伸長方向に移動可能で前記検出手段が取り付けられる第1支持体と、
前記第1レール本体から前記第1支持体に電力を供給する第1電力供給手段と、
前記第1レール本体または前記第1支持体の少なくともいずれか一方に設けられ、前記電力供給手段にて供給された電力を用いて前記第1支持体を前記第1レール本体に沿って走行させる第1走行手段と、
前記第1支持体に設けられ、供給された電力から制御信号を抽出する第1制御信号抽出手段と、
前記第1制御信号抽出手段が抽出した制御信号に基づき、前記第1走行手段による前記第1支持体の走行を制御する第1走行制御手段と、
を具備し、
前記第2給電レールは、前記他の軸方向に沿って延びる第2レール本体と、
前記第2レール本体に設けられ、前記第2レール本体の伸長方向に移動可能で前記第1給電レールが取り付けられる第2支持体と、
前記第2レール本体から前記第2支持体に電力を供給する第2電力供給手段と、
前記第2レール本体または前記第2支持体の少なくともいずれか一方に設けられ、前記第2電力供給手段にて供給された電力を用いて前記第2支持体を前記第2レール本体に沿って走行させる第2走行手段と、
前記第2支持体に設けられ、供給された電力から制御信号を抽出する第2制御信号抽出手段と、
前記第2制御信号抽出手段が抽出した制御信号に基づき、前記第2走行手段による前記第2支持体の走行を制御する第2走行制御手段と、
を具備する
ことを特徴とする棚監視装置。
【請求項4】
棚に収容された物品の状態情報を検出する検出手段と、
前記棚の開口側に平行した平面上にある直交する2軸のうち、いずれか一の軸方向に沿って前記検出手段が複数個並べられた第1給電レールと、
前記第1給電レールを他の軸方向に移動させる機構を備える第2給電レールと、を備える
ことを特徴とする棚監視装置。
【請求項5】
請求項4記載の棚監視装置において、
前記第2給電レールは、前記他の軸方向に沿って延びるレール本体と、
前記レール本体に設けられ、前記レール本体の伸長方向に移動可能で前記第1給電レールが取り付けられる支持体と、
前記レール本体から前記支持体に電力を供給する電力供給手段と、
前記レール本体または前記支持体の少なくともいずれか一方に設けられ、前記電力供給手段にて供給された電力を用いて前記支持体を前記レール本体に沿って走行させる走行手段と、
前記支持体に設けられ、供給された電力から制御信号を抽出する制御信号抽出手段と、
前記制御信号抽出手段が抽出した制御信号に基づき、前記走行手段による前記支持体の走行を制御する走行制御手段と、
を具備する
ことを特徴とする棚監視装置。
【請求項6】
請求項3または5に記載の棚監視装置において、
前記レール本体には位置情報が付与され、
前記支持体には前記位置情報を読み取って位置を検出する位置検出手段が設けられ、
前記制御信号には位置を示す位置制御情報が含まれ、前記走行制御手段は前記位置検出手段が検出する位置が前記制御信号に含まれる位置制御情報が示す位置に対応するように前記走行手段を制御する
ことを特徴とする棚監視装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一に記載の棚監視装置において、
前記検出手段は、棚内の物品の状態を撮像する撮像手段である
ことを特徴とする棚監視装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一に記載の棚監視装置において、
前記検出手段は、物品或いは棚の所定位置に貼着された被検出部から情報を読み取る読取手段である
ことを特徴とする棚監視装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一に記載の棚監視装置において、
前記検出手段によって検出された状態情報を収集する情報管理部を備える
ことを特徴とする棚監視装置。
【請求項10】
請求項2乃至8のいずれか一に記載の棚監視装置と、
電力に重畳させて送信される状態情報を収集する情報管理装置と、を具備する
ことを特徴とする棚監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−308262(P2008−308262A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156125(P2007−156125)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】