説明

椅子付3輪キャンバリング車

【課題】椅子に座った下肢障害者が自らの左右体重移動のみで安全にしかも確実に前進走行させて楽しめる椅子付3輪キャンバリング車を提供する。
【解決手段】舵取り軸21にハンドル20と単一前輪22aを設け,舵取り軸21の下部左右には後方に伸びた一対のトレーリングアーム2の前方を取り付け,両トレーリングアーム2の後部にはそれぞれ一対の後輪22bを設置した椅子付3輪キャンバリング車において、両トレーリングアーム2の後部にはトレーリングアーム2に固定した一対の側脚3と座部4からなる左右揺動とその復元可能な椅子を搭載することで、座部4に座った人が自らハンドル20を握り、座部4に左右に体重移動させて椅子と両脚部と後輪とトレーリングアームを同時に左右に揺動させることを繰り返すことにより車全体を前進させる椅子付3輪キャンバリング車である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下肢障害者が利用できる、座部を横揺動させて前進するスポーツ用などに利用できる椅子付3輪キャンバリング車に関する。
【背景技術】
【0002】
下肢障害者が利用できる車椅子は舵用小型前輪を前部に設け後部に大型の手動後輪を備えた一般汎用の四輪車椅子からスポーツ用の三輪車椅子がある。
これらの車椅子は何れも、手動後輪に沿って隣接してあるハンドリムを両手で握って回転駆動し、左右の回転量を変化させることで方向を変えている。
下肢障害者が自転車のようにハンドルを切って方向を自由に変更できる車椅子としてはハンドサイクルがあるが、ギヤやチェーンを使用するため機構及び操作が複雑になる。
本発明者等は、下肢障害者が自転車のようにハンドルを切って方向を自由に変更できると共に自らの体重移動により前進推進力を得て安全に走行できる車椅子の研究に着手した。
自らの体重移動により前進推進力を得る三輪車として、日本特許第3853654号公報(特許文献1)などで紹介され公知の所謂3輪キャンバリング車がある。
特許文献1で公知の3輪キャンバリング車は、舵取り軸21にハンドル20と単一前輪を設け,舵取り軸21の下部左右には後方に伸びた一対のトレーリングアーム2の前部を交互に上下回動可能に装着し,両トレーリングアーム2の後部には足乗用のペダルと後輪を設置したものである。
この3輪キャンバリング車は上記構成により、後輪上部のペダル上に運転者の両足を乗せて両足を交互に上下させると並行して体躯を左右に横揺動させながら、一対のトレーリングアームを後輪と共に上下に交互に回動させその下降回動の際の当該後輪からの反力により上昇回動側の当該後輪に前進推進力を付与して連続走行するものである。
しかし、この3輪キャンバリング車はペダル上に運転者の両足を乗せで操作するため下肢障害者は乗ることができない。
<公知文献>
【特許文献1】日本特許第3853654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、公知の椅子付3輪キャンバリング車の推進原理を応用して改良を加えたものであり、椅子に座った下肢障害者が自らの左右体重移動のみで安全にしかも確実に前進走行させて楽しめる椅子付3輪キャンバリング車を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解決する本発明の特徴とする技術条件を以下の(1)〜(2)に示す。
(1)、舵取り軸(21)にハンドル(20)と接触走行体(22a)を設け,舵取り軸(21)の下部左右には後方に伸びた一対のトレーリングアーム(2)の前部を回動可能に装着し,両トレーリングアーム(2)の後部にはそれぞれ接触走行体(22b)を設置した3輪キャンバリング車において、
両トレーリングアーム(2)の後部に左右両側の側脚部(3)と座部(4)からなる椅子を搭載し、この椅子の搭載は、椅子の左右両側の側脚部(3)をトレーリングアーム(2)の後部に固定し、各側脚部(3)の上部と座部(4)の左右両側部を左右回動可能に軸着(50)すると共に、そのいずれか一方を前後に円弧動可能に装着(51)し、トレーリングアーム(2)の上下回動に伴う前記左右両側部と座部(4)の位置関係変位を復元させる復元力発生機構(70〜72、81〜82)を椅子の搭載部に設けたことを特徴とする椅子付3輪キャンバリング車。
【0005】
(2)、舵取り軸(21)にハンドル(20)と接触走行体(22a)を設け,舵取り軸(21)の下部左右には後方に伸びた一対のトレーリングアーム(2)の前部を回動可能に装着し,両トレーリングアーム(2)の後部にはそれぞれ接触走行体(22b)を設置した3輪キャンバリング車において、
両トレーリングアーム(2)の後部に左右両側の側脚部(3)と座部(4)からなる椅子を搭載し、この椅子の搭載は、椅子の左右両側の側脚部(3)をトレーリングアーム(2)の後部に固定し、椅子の座部(4)と両側の側脚部(3)との間に座部(4)を左右に所定量移動可能に支持する座部揺動増幅機構(90〜94)を設け、各側脚部(3)の上部と座部揺動増幅機構(90〜94)を左右回動可能に軸着(50)すると共に、そのいずれか一方を前後に円弧動可能に装着(51)し、トレーリングアーム(2)の上下回動に伴う前記左右両側部と座部(4)の位置関係変位を復元させる復元力発生機構(70〜72、81〜82)を椅子の搭載部に設けたことを特徴とする椅子付3輪キャンバリング車。
【発明の効果】
【0006】
本発明の椅子付3輪キャンバリング車は、前記したシンプルな機構により、椅子に座った下肢障害者がハンドルを握りながら自らの体重を左右に移動するのみで車全体の左右横揺動を安全にしかも確実に行い連続前進走行させて楽しめる椅子付3輪キャンバリング車である。
【0007】
即ち、椅子に乗った本人自身がハンドル20を握って体を安定させながら体躯を左右に横揺動させながら、椅子の座部と両脚部の位置関係を左変位とその復元及び右変位とその復元を繰り返して、一対のトレーリングアームを後輪と共に上下に交互に回動させる。これにより、その下降回動の際の当該後輪からの反力により上昇回動側の当該後輪に前進推進力を付与することを繰り返して連続的に前進走行するものである。
【0008】
椅子の座部と両脚部の位置関係を左変位とその復元及び右変位とその復元は、椅子の搭載部に設けた復元力発生機構及びトレーリングアームと舵取り軸21との連結機構の復元回動機能により確実に行わしめるのである。
このため、前記椅子付3輪キャンバリング車は、健常者だけでなく車いす利用者など足腰の弱った人に広く活用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明において、座部4に座位固定ベルトを設けることで、運転者の腰もしくは大腿部にベルトを巻き座部揺動動作を座部4に確実に伝達でき、また乗降時障害にならぬようベルトはマジックテープなどで簡単に着脱するようにしてもよい。
【0010】
本発明において、姿勢が安定しやすいよう、トレーリングアーム2の中間部にフットレストを回動伸縮可能に設けて足置き場を確保してもよい。
以下、本発明の実施例を図面と共に詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
実施例1を図1、図2、図1−3と共に説明する。
ここで紹介する椅子付3輪キャンバリング車は、アルミ製で、接触走行体として単一前輪22a,と一対の後輪22bを用いた例であり、前輪舵取り機構と、前輪舵取り機構に前部を軸連結して交互に上下回動する後輪支持機構と、後輪支持機構に搭載した左右横揺動椅子機構とからなる。左右横揺動椅子機構における椅子は座部4については、背もたれも備えてある。
【0012】
前輪舵取り機構は、舵取り軸21にハンドル20と単一前輪22aを設け,舵取り軸21の下部には、一対の後輪支持機構を連結してある。
一対の後輪支持機構は、後方に伸びた左右一対のトレーリングアーム2を設け、両トレーリングアーム2の各後部を互いに水平状態時のニュートラル位置では平行になるように形成し、ここには後輪支持材29を固定し、後輪支持材29の下部には後輪22bを回転自由に装着したものである。
前・後車輪22a−22b間の距離は900mm、後輪22b−22b間の離間距離は430mmとしてある。
【0013】
一対のトレーリングアーム2と舵取り軸21との連結機構は、図2に示すように、舵取り軸21下部の前後に各々設けられ、舵取り軸21下部の前部連結は、突起部材21Aの左右に横支持軸27を設け、左右の横支持軸27に当該トレーリングアーム2の先端部の第一軸受け部2Aを回転可能に装着し、舵取り軸21下部の後部連結は、突起軸部材26にカップリング24を回転自在に装着し、カップリング24の左右にリンク取付軸26を設置し、リンク取付軸26に筒状の弾性物質体23を介して当該トレーリングアーム2の先端部の第二軸受け部2Bを回転自在に装着してなる。
前記筒状の弾性物質体23は、その弾性位置関係変位により横支持軸を中心とするトレーリングアーム2の上下回動を所定範囲に許容すると共に、トレーリングアーム2が互いに水平状態時のニュートラル位置を除いては、弾性位置関係変位力を常にトレーリングアーム2にその復元力として伝えるものである。
【0014】
後輪支持機構に搭載する左右横揺動椅子機構は、トレーリングアーム2の後輪支持材29をパイプを四角形にしこれに椅子の両脚部3を直立固定し、左右両側の側脚部3の上部と座部4の左右両側部を左右回動可能に軸着すると共に、そのいずれか一方を前後に円弧動可能に装着してなり、かくすることにより、トレーリングアーム2の上下回動に伴う前記左右両側部の上下離間・接近と座部の略水平状態からの若干の円弧微回動を許容する。
椅子の座部4については、背もたれも備えてある。
具体例を図3に示す。図3において一方の側脚3の上部前後に一対の座部回動軸受50を軸連結し、座部の位置決めをするとともに前後方向を軸として座部4が円弧回動できるようにする。他方の側脚3上部には上面が凸曲面を成した座部支持部材51を固定し、座部支持部材51に円弧ガイド溝51aを設け、円弧ガイド溝51aに嵌合して円弧ガイド溝に51a沿ってのみ摺動する被ガイド部材51bを有する被ガイド体51cを設け、被ガイド体51cの固定軸51dを、座部4の下部に固定した軸受50に回転可能に軸支する。これで座部4の浮き上がりを防止しながら図5に示すように、両トレーリングアーム2が上下に回動し側脚4の相対位置関係が上下に変位して両側脚3間距離が変化しても相互にねじれることなく、しかもトレーリングアーム2の上下回動に伴う座部4と座部支持部材51との相対位置関係変位を円弧ガイド溝51aと被ガイド体51cの円弧微動で吸収して座部4のねじれを防ぎ破損を防止することができる。
これら円弧ガイド溝51a、被ガイド部材51b、被ガイド体51c、固定軸51d、固定軸51d用の軸受50などは、図3以外の図には省略してある。
前記左右横揺動椅子機構を横揺動中、椅子の姿勢を常に前記ニュートラル位置に復帰させる復元力発生の機構は、椅子搭載部つまり椅子の左右両側の側脚3間に或いは側脚3と座部4間に更にはトレーリングアーム2の後輪支持材29と座部4又は側脚3上部間に張設するもので、コイルバネ、板バネ、ピストンシリンダ式バネ等のスプリング機構と場合によってはワイヤー、ロッド等の連結具と組み合わせて単数あるいは複数を設置する。
従来の3輪キャンバリング車は、体全体を使ってトレーリングアームをニュートラル位置からの上下回動を繰り返して前進推進力を付与し連続走行し、トレーリングアームのニュートラル位置への復元力は両足の上下踏み込み反動と、トレーリングアームと舵取り軸21との連結機構の回動復元力が複合されたものとなる。これに比し椅子付3輪キャンバリング車は、下肢障害者が椅子に座ってトレーリングアームを操作するため、健常者のような両足の上下踏み込み反動力を復元力にすることは不能であり、トレーリングアームと舵取り軸との連結機構の回動復元力のみでは連続して円滑確実な連続的な前進推進力は得難い。これを満足するため本発明は椅子の搭載部に、椅子をニュートラル姿勢にする復元力発生機構を設置するものでありその意義は極めて重要である。
【0015】
復元力発生の機構の具体例を図6、図7と共に詳述する。
ここで紹介する復元力発生機構は、車体を横揺動させた際にその反力を受けると共に元の位置に戻す機構であり、座部4の搭載部に設けることで、車体の交互の左右横揺動時の転倒を防ぐと共に強い反力を得るに必要充分な復元力を確実に得て前進推進力にし、安定した連続走行を可能にするものである。また座部4の横揺動幅を適正範囲に抑制させるものである。
図6に示す復元力発生機構の復元力発生原理について説明する。揺動時に座部4は側部の座部回動軸受50により左右一方を軸に回動し側脚3下部とその対角側である座部4の座部支持部材51接触側の距離が増減するため、この対角線上に圧縮弾性体を含んだ復元力発生機構を設けることで、圧縮弾性体が縮み元の位置に戻ろうとする復元力が発生する。
復元力発生機構の構造を図7と共に説明する。座部4回動軸受50側の側脚3の下部に設けた軸受80には弾性体ガイドバー71の一端を回動連結し、他端はねじ切りを行い、中間下方部には圧縮弾性体72のストッパー71aを設け弾性体ガイドバー71の上部を対角側に向けて斜め上方に伸ばし、上部から圧縮弾性体72、弾性体ガイドバー71径よりも大きな穴を開けた固定ガイド74、圧縮弾性体72の順番で通し、最後に弾性体ガイドバーと同径の穴にタップを立てたスライドガイド73とねじ固定する。スライドガイド73の左右に設けた穴には一対のガイドバー70を通し、両ガイドバー70の一端は固定ガイド74の両端と固定し、他端は座部4下部の前後に設けた軸受80と着脱ピン77で軸連結させる。また各ガイドバー70中間部のスライドガイド73の両側にはスライドガイド73のスライド範囲を制限するショック吸収部材75を固定する。これらにより座部揺動時、弾性体ガイドバー71とスライドガイド73がガイドバー70軸方向に沿ってスライドし、上下いずれかの圧縮弾性体72が固定ガイド74とスライドガイド73もしくは固定ガイド74とストッパー71aの距離が委縮され復元力が発生する機構となっている。また圧縮弾性体72の交換時は座部4とガイドバー70を連結する着脱ピン77を抜き、一対のガイドバー70を弾性体ガイドバー71の軸を中心に回しねじ固定されたスライドガイド73と弾性体ガイドバー71を分離してガイドバー70を引き抜くことで圧縮弾性体72を弾性体ガイドバー71から抜くことができるので交換が容易にできる機構となっている。
【実施例2】
【0016】
実施例2を図8、図9、図10と共に説明する。
実施例2は実施例1で構成した椅子付3輪キャンバリング車において、復元力発生機構を他の例にしたものであり、実施例1と同一部分には同一符号を付しその詳細説明は省略する。以下の実施例3及び実施例4も同様である。
図8に示す復元力発生機構の復元力発生原理は実施例1と同様の原理である。
復元力発生機構の構造は、図8、図9の様に、常に伸長状態を維持するコイルバネ式の引張弾性体81とワイヤ82により、両側脚3の下端と上端の各中央部をクロスして連結させて、クロス部は前後に位置をずらして設置してある。これにより、お互いが干渉せずに座部4にその横揺動時に復元力を発生させる。また図10の様に、両ワイヤ82を引張弾性体81のコイルバネ内部に通し対角のスプリング引掛け杭85に向けて伸ばし先端をスプリング引掛け杭85を対角線上にスライドする揺動幅決め部材84で固定することで、引張弾性体81の伸長が制限でき座部4の揺動幅を抑制する。
【実施例3】
【0017】
実施例3を図11、図12と共に説明する。
実施例3で紹介する椅子付3輪キャンバリング車は、実施例2で構成した椅子付3輪キャンバリング車の両側脚3の離間関係を正規変動させるために伸縮平行バー86を両側脚3間上下に設けて安定させたものである。伸縮平行バー86は、図示していないが中央部を二重にした一対のスライドシャフトパイプ中に伸張状態のコイルスプリングを内装し伸縮自在にしたものである。
尚、この伸縮平行バー86により車体揺動チェンジ時に、両トレーリングアーム2は後部間の距離を瞬時に変えれずに狭い間隔に委縮変位することがあるが、この委縮変位により互いのトレーリングアーム2の回動中心位置が外側にずれるため、図3に示す前端回動軸27の機能つまり舵取り軸21の前後方向の角度維持機能を保持して前記ずれを吸収する機構として、図12のように、舵取り軸21下部の前部連結は、舵取り軸21に固定した突起軸部材226にカップリング224を回転自在に装着し、カップリング224の左右にリンク取付軸224aを設置し、リンク取付軸224aに筒状の弾性物質体223を介して当該トレーリングアーム2の先端部の第一軸受け部22Aを回転自在に装着してなる。
これで車体揺動時、互いのトレーリングアーム2の回動中心がずれても筒状の弾性物質体223と23がずれ変位を確実に吸収する。
舵取り軸21下部の後部連結は、図3と同一なためその説明を省略する。
【実施例4】
【0018】
実施例4を図13、図14と共に説明する。
実施例4で紹介する椅子付3輪キャンバリング車は、実施例1で構成した椅子付3輪キャンバリング車に座部揺動増幅機構を座部4と座部回動軸受50座部支持部材51の間に設けることで座部4の左右揺動範囲を増幅させ、前進推進力を増大させたものである。
図13、図14に示す座部揺動増幅機構について説明する。側脚3上部に設けた座部回動軸受50上部にレール保持部材90の下面の一端を固定し他端を座部支持部材51で高さを支持し、レール保持部材90上部にはその左右に伸ばした一対のレール91を前後に固定し、各レール61には一対のスライドブロック92を装着し、スライドブロック92上部には座部4を固定して座部4がレールに沿って左右にスライド揺動可能にし、座部4の左右両側とレール保持部材90の側部材94間には一対の座部揺動伝達弾性体93を伸長状態で連結配置する。これにより座部揺動伝達弾性体93が座部4の左右揺動を車体に伝達するだけでなく座部4の揺動幅を制限し座部4に復元力を与える役割も果たす。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の椅子付3輪キャンバリング車は、前述のようにシンプルな機構により、椅子に座った下肢障害者が自らの左右体重移動のみで車全体の左右横揺動を安全にしかも確実に行い連続前進走行させて楽しめる椅子付3輪キャンバリング車である。
即ち、椅子に乗り、その乗った本人自身が体躯を左右に横揺動させながら、椅子とその左右の両脚部を横揺動させて一対のトレーリングアームを後輪と共に上下に交互に回動させることにより、その下降回動の際の当該後輪からの反力により上昇回動側の当該後輪に前進推進力を付与することを繰り返して連続的に前進走行するものである。
このため、前記椅子付3輪キャンバリング車は、健常者だけでなく車いす利用者など足腰の弱った人に広く活用され、この車椅子業界や車椅子スポーツ業界などの産業界に多大なる貢献をもとらすものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1の椅子付3輪キャンバリング車の全体説明図であり、復元力発生機構を省略してある。
【図2】実施例1での前輪上部の連結機構の説明図である。
【図3】実施例1の座部と側脚の連結機構の説明図であり、復元力発生機構を省略してある。
【図4】実施例1の車体右傾斜時の後方図の説明図である。
【図5】実施例1の車体右傾斜時の側面図の説明図である。
【図6】実施例1の椅子付3輪キャンバリング車の座部の復元力発生機構例の全体図である。
【図7】実施例1の復元力発生機構の分解構造図である。
【図8】実施例2の椅子付3輪キャンバリング車の座部の復元力発生機構の後方図である。
【図9】実施例2の椅子付3輪キャンバリング車の座部の復元力発生機構の側面図である。
【図10】実施例2の椅子付3輪キャンバリング車の揺動幅決め部材拡大図である。
【図11】実施例3における椅子付3輪キャンバリング車の後方図である。
【図12】実施例3における椅子付3輪キャンバリング車のトレーリングアーム前方の拡大図である。
【図13】実施例4の椅子付3輪キャンバリング車における座部揺動幅増幅装置のレールの説明図である。
【図14】実施例4の椅子付3輪キャンバリング車における座部揺動幅増幅装置の全体説明図である。
【符号の説明】
【0021】
2 トレーリングアーム
3 側脚
4 座部
20 ハンドル
21 舵取り軸
22a,22b 接触走行体
23 弾性物質体
24 カップリング
26 リンク取付軸
27 前端回動軸
29 後輪支持部
50 座部回動軸受
51 座部支持部材
70 ガイドバー
71 弾性体ガイドバー
72 圧縮弾性体
73 スライドガイド
74 固定ガイド
75 ショック吸収部材
77 着脱ピン
80 軸受
81 引張弾性体
82 ワイヤ
84 揺動幅決め部材
85 スプリング引掛け杭
86 伸縮平行バー
90 レール保持部材
91 レール
92 スライドブロック
93 座部揺動伝達弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
舵取り軸(21)にハンドル(20)と接触走行体(22a)を設け,舵取り軸(21)の下部左右には後方に伸びた一対のトレーリングアーム(2)の前部を回動可能に装着し,両トレーリングアーム(2)の後部にはそれぞれ接触走行体(22b)を設置した3輪キャンバリング車において、
両トレーリングアーム(2)の後部に左右両側の側脚部(3)と座部(4)からなる椅子を搭載し、この椅子の搭載は、椅子の左右両側の側脚部(3)をトレーリングアーム(2)の後部に固定し、各側脚部(3)の上部と座部(4)の左右両側部を左右回動可能に軸着(50)すると共に、そのいずれか一方を前後に円弧動可能に装着(51)し、トレーリングアーム(2)の上下回動に伴う前記左右両側部と座部(4)の位置関係変位を復元させる復元力発生機構(70〜72、81〜82)を椅子の搭載部に設けたことを特徴とする椅子付3輪キャンバリング車。
【請求項2】
舵取り軸(21)にハンドル(20)と接触走行体(22a)を設け,舵取り軸(21)の下部左右には後方に伸びた一対のトレーリングアーム(2)の前部を回動可能に装着し,両トレーリングアーム(2)の後部にはそれぞれ接触走行体(22b)を設置した3輪キャンバリング車において、
両トレーリングアーム(2)の後部に左右両側の側脚部(3)と座部(4)からなる椅子を搭載し、この椅子の搭載は、椅子の左右両側の側脚部(3)をトレーリングアーム(2)の後部に固定し、椅子の座部(4)と両側の側脚部(3)との間に座部(4)を左右に所定量移動可能に支持する座部揺動増幅機構(90〜94)を設け、各側脚部(3)の上部と座部揺動増幅機構(90〜94)を左右回動可能に軸着(50)すると共に、そのいずれか一方を前後に円弧動可能に装着(51)し、トレーリングアーム(2)の上下回動に伴う前記左右両側部と座部(4)の位置関係変位を復元させる復元力発生機構(70〜72、81〜82)を椅子の搭載部に設けたことを特徴とする椅子付3輪キャンバリング車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−68212(P2011−68212A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219514(P2009−219514)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(304028726)国立大学法人 大分大学 (181)
【Fターム(参考)】