説明

椅子式マッサージ機

【課題】座部前側が上下回動可能に移動する脚受部を備える椅子式マッサージ機を提供する。
【解決手段】前上がり状態で配設される座部と背もたれ部3を具備する椅子本体と、座部1前側において上下回動可能に移動する脚受部18とを備え、前記脚受部18の脚裏の支持面Sが座面1の前上がり状態より前上がり状態になるまで移動可能となるように構成した椅子式マッサージ機において、前記脚受部18には脹脛を挟持するための脹脛挟持手段が備えられ、前記脚受部の前上がり状態への移動指令を受けて前記脹脛挟持手段の挟持状態を確認し、該挟持手段が挟持状態でないと判断した場合には脹脛挟持手段の挟持動作を開始し、該脹脛挟持手段による挟持後に脚受部が前上がり状態となるように制御される脚上げモードを有するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座した被施療者にマッサージを施す椅子式マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
椅子型の本体に着座した被施療者にマッサージを施すマッサージ機にあっては、脚の施療のために座部前側において回動自在に移動する脚受部を備えているものが開発されている。
一般的には特許文献1に示すように、脚受部は座部の前側において上方に移動するものの座面より高く移動することはないが、特許文献2のように脚受部が座面の上方まで高く移動するものも開示されている。
【特許文献1】特開2003−310682号公報
【特許文献2】特開平10−248897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記特許文献2の場合、脚受部の主面で足裏を施療することを想定して構成された特殊な例であり、一般的に脚受部が脚裏を支えるために設けられた椅子式マッサージ機を考える場合、脚受部が前上がり状態になると、図5に示すように膝が曲がり脚の裏が脚受部や座面から浮き上がることが考えられるので、脚受部や座面にマッサージ機能を設けている椅子式マッサージ機の場合、脚上げ機能を有す構成は想定すらされていないのが実情である。
この発明はこのような実情を鑑み、脚上げ状態で脚に対し新規なマッサージを付与することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)本発明に係る椅子式マッサージ機は、前上がり状態で配設される座部と背もたれ部を具備する椅子本体と、座部前側において上下回動可能に移動する脚受部とを備え、前記脚受部の脚裏の支持面が座面の前上がり状態より前上がり状態になるまで移動可能となるように構成した椅子式マッサージ機において、前記脚受部には脹脛を挟持するための脹脛挟持手段が備えられ、前記脚受部の前上がり状態への移動指令を受けて脹脛挟持手段の挟持動作を開始し、該脹脛挟持手段による挟持後に脚受部が前上がり状態となるように制御される脚上げモードを有することを特徴とする。
【0005】
このように本発明によれば、本体の座部に着した被施療者は、脚が座面より高くなる位置で脚受部に支えられることが出来、脚の疲れが取れやすい状態で各部位のマッサージが可能となるだけでなく、脹脛を脚受部の支持面に押さえつけようとする力が働いた状態で脚受部が座面より前上がり状態になっていることから、脚に対して反り返る方向へ力が作用した状態で上方へ上げられ、膝の曲がりを抑制した状態で脚を上げられるので脚部のストレッチ作用を期待出来る。
更に言うと脚上げモードの特徴的な点は脚が座面より上方に上がる前に挟持されている点にある。先に脚が上がってしまうとその時点で膝が曲がり、挟持手段が適切な位置から離れてしまうので挟持出来ない可能性があるがこのように構成することでこの不都合を解消している。このことは後述する請求項2ないし3の発明においても言えることである。
【0006】
(2)また、本発明に係る椅子式マッサージ機は前上がり状態で配設される座部と背もたれ部を具備する椅子本体と、座部前側において上下回動可能に移動する脚受部とを備え、前記脚受部の脚裏の支持面が座面の前上がり状態より前上がり状態になるまで移動可能となるように構成した椅子式マッサージ機において、前記座部の両側には太腿を挟持するための太腿挟持手段が備えられ、前記脚受部の前上がり状態への移動指令を受けて太腿挟持手段の挟持動作を開始し、該太腿挟持手段による挟持後に脚受部が前上がり状態となるように制御される脚上げモードを有することを特徴とする。
【0007】
このように本発明によれば、本体の座部に着した被施療者は、脚が座面より高くなる位置で脚受部に支えられることが出来、脚の疲れが取れやすい状態で各部位のマッサージが可能となるだけでなく、太腿を脚受部の支持面に押さえつけようとする力が働いた状態で脚受部が座面より前上がり状態になっていることから、脚に対して反り返る方向へ力が作用した状態で上方へ上げられ、膝の曲がりを抑制した状態で脚を上げられるので脚部のストレッチ作用を期待出来る。
【0008】
(3)また、本発明に係る椅子式マッサージ機は前上がり状態で配設される座部と背もたれ部を具備する椅子本体と、座部前側において上下回動可能に移動する脚受部とを備え、前記脚受部の脚裏の支持面が座面の前上がり状態より前上がり状態になるまで移動可能となるように構成した椅子式マッサージ機において、前記脚受部には脹脛を挟持するための脹脛挟持手段が備えられ、また、前記座部の両側には太腿を挟持するための太腿挟持手段が備えられ、前記脚受部の前上がり状態への移動指令を受けて太腿挟持手段及び/または太腿挟持手段の挟持動作を開始し、いずれかの挟持手段による挟持後に脚受部が前上がり状態となるように制御される脚上げモードを有することを特徴とする。
【0009】
このように本発明によれば、上述の請求項1に係る発明と請求項2に係る発明のいずれかの作用を得られ、また両方の挟持手段で同時に挟持させるように制御すれば、脚上げ状態での膝の曲がりをより抑制出来る。また上述のように脹脛と太腿のいずれか一方を挟持することで膝の曲がりは抑制出来るので、例えば脹脛挟持手段で挟持させた状態では太腿挟持手段の位置に太腿が略対応しているので太腿挟持手段を挟持作用としてでなく挟持・非挟持によるマッサージ作用を与えるために使用することが可能となる。逆に太腿挟持手段で挟持した場合は脹脛挟持手段をマッサージ用に使用することが可能となる。
【0010】
(4)本発明に係る椅子式マッサージ機は必要に応じて、前記脚上げモード時に背もたれ部を起こした状態へ移動制御させることを特徴とする。
【0011】
このように本発明によれば、出来るだけ背中を起こした状態で脚を伸ばした脚上げ状態となりストレッチ効果が向上する。
【0012】
(5)本発明に係る椅子式マッサージ機は必要に応じて、前記脚受部の先端側には脚の長手方向に伸縮自在となっている足裏受部が設けられており、前記脚上げモード時に足裏受部が足裏から離れる方向に移動することを特徴とする。
【0013】
このように本発明によれば、脚上げモード時において必要となる脚を伸ばす動きに足裏受部が邪魔になることを出来るだけ防げる効果がある。
【0014】
(6)本発明に係る椅子式マッサージ機は必要に応じて、前記脹脛挟持手段と太腿挟持手段のいずれか一方もしくは両方がエアセルで構成され、エアセルに給気することで挟持させることを特徴とする。
【0015】
このように本発明によれば、挟持手段がソフトな感触となり、例えば脚受部の脚裏の支持面が、座面の前上がり状態より過度に前上がり状態になるまで移動させた場合があっても挟持が解除もしくは緩みやすく、過度な脚の反り返りを防止出来る。
【0016】
これら前記の発明の概要は、本発明に必須となる特徴を列挙したものではなく、これら複数の特徴の組み合わせも発明となり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本実施形態に係る椅子式マッサージ機は、背もたれ部及び座部を有する椅子本体と、前記座部前方側において上下回動可能とした脚載置部と、少なくとも前記椅子本体又は前記脚載置部のいずれか一方に設けられたマッサージ機構部とを備えており、前記脚載置部は、脚を受ける脚受部と、同脚受部の下端部側に配設した板状の足裏受部とを具備している。
座部は水平に対しやや前上がりになるように取り付けられており、また、脚受部の脚裏の支持面は脚載置部が最も上方に回動した状態では少なくとも座部より前上がり状態となるように構成されている。
【0018】
背もたれ部は、座部に対してリクライニング可能であり、本実施形態では、マッサージ機構として、もみ玉を備えたメカニカルなマッサージユニットを上下昇降自在、かつ前後進退自在に配設している。また、前記座部の両側には太腿を挟持するための膨張が自在な挟持手段としての太腿挟持用エアセルが配設されている。
脚載置部は、略フラットな板状体からなる足裏受部と、この足裏受部の上方に配置した平面断面視で略U字状とした半割筒状の左右脚受部とからなり、被施療者は、この左右脚受部にふくらはぎ部分を中心とする脚を保持させるとともに、足裏受部に足裏を当接させて下肢をゆったりと保持させることが可能となっている。また脚受部には脹脛を挟持するための膨張が自在な挟持手段としての脹脛挟持用エアセルが配設されている。
【0019】
脚載置部は、略フラットな板状体からなる足裏受部と、この足裏受部の上方に配置した平面断面視で略U字状とした半割筒状の左右脚受部とからなり、被施療者は、この左右脚受部にふくらはぎ部分を中心とする脚を保持させるとともに、足裏受部に足裏を当接させて下肢をゆったりと保持させることが可能となっている。また脚受部には脹脛を挟持するための膨張が自在な挟持手段としての脹脛挟持用エアセルが配設されている。
【0020】
そして、実施形態に係る椅子式マッサージ機は、足裏受部が前記脚受部との間に所定の間隙を設けて取り付けられて脚載置部が構成されている。脚載置部は脚受部と足裏受部が一括して長手方向に伸縮自在であるが、少なくとも前記足裏受部のみを伸縮自在とする構成であっても良い。
【0021】
上述した背もたれ部、座部、脚載置部にはそれぞれエアーマッサージ用のエアセルが配設されており、上述の太腿挟持用エアセルや脹脛挟持用エアセルと合わせて給排気機構により膨張、収縮が自在となっている。なお、太腿挟持用エアセルと脹脛挟持用エアセルは挟持によるマッサージ機能以外に挟持の圧力を利用に脚が不意に動くのを出来るだけ抑える挟持手段としての機能も有す。挟持手段としては上記エアセルの給排気によるもの以外に押圧片を機械的に移動させる手段等が考えられ空気圧方式に限定されるものではない。
【0022】
上述してきた椅子式マッサージ機において、本実施形態では、前記脚載置部を上下回動させるとともに、上下回動させたときの回動位置を検出するための回動位置検出センサを備えた回動手段と、前記脚載置部を被施療者の脚の長さ方向に伸縮させるとともに、伸縮させたときの前記脚載置部の前記座部前方側からの位置を検出するための伸縮位置検出センサを備えた伸縮手段と、前記回動手段及び伸縮手段の動作を制御する制御手段とを備えた構成としている。
【0023】
回動手段及び伸縮手段は、共に電動モータやシリンダなどのアクチュエータを好適に用いることができ、回動位置検出センサ及び伸縮位置検出センサについては、共に光センサを利用することができる。
【0024】
かかる構成により、本実施形態に係る椅子式マッサージ機では、脚載置部の脚受部の回動位置と足裏受部の伸縮状態を知ることが出来る。
【0025】
この椅子式マッサージ機は、背もたれ部のリクライニング機能、脚受部の回動機能、太腿挟持用エアセルと脹脛挟持用エアセルの挟持機能、及び足裏受部の伸縮機能を制御部により制御しており、使用者の判断により、または自動コース中において指令を受けると各挟持用エアセルをいずれか一方もしくは両方を膨張させた状態で脚受部が座面より前上がり状態となるように回動させる脚上げモードを実現出来る。
【0026】
この脚上げモードは、座った状態で脚を座部より上方へ上げようとする際に膝が曲がってしまうのを事前にエアセルで挟みつけることで抑止し、座部の前上がり状態より脚受部の前上がり状態を大きくすることで、脚に反るような力を与えて脚を伸ばして上方へ上げる動きを他動的に実現させ脚のストレッチ効果を期待するものである。
【0027】
なお脚上げモードにおいては、上記動作以外に背もたれ部の起き上がる方向への移動や足裏受部の足裏から離れる方向への移動が必要に応じて付加されても良い。
【0028】
まず、脚上げモード時に背もたれ部が起き上がっていると上体を起こした姿勢となるので脚のストレッチ効果が向上することになる。
【0029】
座面と背もたれ部の角度は一般的には90度程度が最も起きた状態であるが更なる効果を得るために更に鋭角になるまで背もたれ部が回動制御するようにしても良い。
【0030】
また、脚上げモード時に足裏受部が足裏から離れる方向へ移動すれば、足裏受部が脚の伸長を邪魔する虞も小さくなる。
【0031】
以上の構成は必要に応じて選択的に採用出来るものであり、足裏受部が移動しなくても上記挟みつけにより膝の曲がり具合を軽減出来れば本発明の効果を十分に期待出来る。
【0032】
なお、足裏受部を移動させない場合、脚上げモード時に足裏が足裏受部に対し押圧力が増加する方向に作用するので足裏受部にマッサージ機能を付加させている場合などではマッサージ機能を強く作用させることが出来、都合が良い。
【0033】
なお、制御手段としては、CPU、ROM、RAMなどを基板上に設けた制御回路からなり、前記アクチュエータの駆動源と電気的に接続している。また、この制御手段は、前記もみ玉を含むマッサージユニットや、足用エアバッグを含む他のエアバッグの制御などをはじめとする椅子式マッサージ機全体の駆動制御が可能である。
【0034】
そして、この制御手段である制御回路には、リモコン(リモートコントローラ)などの操作手段を電気的に接続し、被施療者による操作入力によって所望する動作が実現できるようにするとよい。
【0035】
以下、本実施形態に係るマッサージ機について、図面を参照しながらより具体的に説明する。図1は本実施形態に係る椅子式マッサージ機を示す斜視図、図2は同側面図、図3は同マッサージ機の背もたれ部及び脚載置部の回動動作を示した側面視による説明図である。
【0036】
本実施形態に係る椅子式マッサージ機は、図1〜図3に示すように、被施療者が着座する前上がり状態の座面Zを有す座部1と、床面Fに設置され、前記座部1を支持する基台部2と、前記座部1の後側に倒伏自在に連結され、リクライニング可能とした背もたれ部3とから椅子本体を構成するとともに、前記座部1の前側上部近傍に枢支部1aを設け、この枢支部1aを中心に、上下方向へ揺動可能に脚載置部4を連結している。なお、本実施形態に係る椅子式マッサージ機は、基台部2を除く各部については、必要に応じて合成皮革などを縫製して形成したカバー材により直接被覆するか、あるいは同じくカバー材で被覆したクッション部材を配設している。
【0037】
図3に示すように、前記背もたれ部3は、基端部を基台2に枢支連結して前後揺動可能とした縦フレーム30を備えており、この縦フレーム30のラック13を上下昇降自在となるように機械式のマッサージユニット11を取付けている。そして、このマッサージユニット11は左右一対のもみ玉7を備えるとともに、前後進退自在に構成されており、もみ玉7を被施療者の身体に当接させて、揉み、叩き、指圧などの各種形態のマッサージを行うことができる。
【0038】
一方脚載部4は脚受部18と、足裏受部17からなり、図3からも良く判るように、脚載置部支持体26と回動用アクチュエータ25からなる回動機構により、枢支部1aを回動軸として回動自在となっている。後述する脚上げモード時では、図3のように脚受部18の脚裏支持面Sの前上り状態が座面Zの前上がり状態以上となっている。この実施例では水平面に対し座面Zが15度前上がり状態であり、脚裏支持面Sが約25度前上がり状態である。望ましい実施例は座面Zの前上がり角度が約10度から約45度であり、脚裏支持面Sは座面Zに対し更に約5度から約20度程度前上がりとなるものまで含むものである。なお、現実の椅子式マッサージ機はクッション部材が配設されており、上記座面Zと脚裏支持面Sの関係は厳密に規定出来ないので、本発明における前上がり状態とは被施療者が脚裏支持面からの押し上げ力を感じる程度の位置関係を指す。
【0039】
上記脚載部4の回動手段は上記回動機構以外に背景技術として挙げた図5に採用されているようなリンク機構Lも含む。また、図3に示す実施例では脚上げモード時の状態を示しているので脚載部4はこれ以上の前上がり状態を可能とする構成であってももちろん良い。
【0040】
脚受部18と足裏受部17は本実施例ではやや間隙を有しているが一体的に構成されており、脚の長手方向に沿って伸縮する。なお、足裏受部17のみ伸縮させる構成であっても良い。
【0041】
また、図1に示すように、背もたれ部3の内部には、その左右上部に背中部用エアセルa1を、左右下部には腰部用エアセルa2をそれぞれ配設し、背中や腰を押圧するエアマッサージを実行可能としている。
【0042】
また、前記背もたれ部3は、左右両側に体側施療部として機能する側壁部6,6を備えており、この側壁部6の内側面には、それぞれ左右方向に2個の体側部用エアセルa3を重合状態に取付けて体側施療部として機能させている。
【0043】
なお、側壁部6は、取付基端部61側の上下長よりも先端部側の上下長を長くした略扇形形状とするとともに、座部1に着座した被施療者の上腕側方となる位置に配設し、前記取付基端部側から先端部側にかけて漸次外側方に拡開させている。
【0044】
図1に示すように、座部1は、その前部側には腿部用エアセルa4を、後部側には臀下部用エアセルa5を、座部1の左右側には前後方向に2個ずつ太腿挟持用エアセルa6、a6をそれぞれ取付けている。
【0045】
また、座部1の左右側には肘掛部5を設けており、各肘掛部5には、腕を差し入れてエアマッサージ可能とした腕施療部8を設けている。この腕施療部8、8は、それぞれ断面視略コ字状に形成されており、その内側上下面に腕用エアセルa8,a8をそれぞれ取り付けている。なお、腕を差し入れる開放部分を、本実施形態では横方向に開口しているが、上部に開口させたものとしてもよい。
a7は脚受部18の脚との対向面側に設けた脹脛挟持用エアセルであり、脹脛の側部に当接させている。エアセルは必要に応じて脚受部の底部にも設けられる。足裏受部17には足裏用エアセルa9が設けられている。
【0046】
図1及び図2において、Rはリモコンであり、被施療者が操作することにより、本マッサージ機Aにおけるマッサージ動作を含む操作全般を行うことができる。31はリモコンケースであり、背もたれ部3の右側から前方へ伸延させた支持杆32の前端に取付けられている。 この椅子式マッサージ機は、背もたれ部のリクライニング機能、脚受部(脚載部)の回動機能、太腿挟持用エアセルと脹脛挟持用エアセルの挟持機能、及び足裏受部(脚載部)の伸縮機能を制御部により制御しており、リモコンRにより、または自動コース中において制御部からの指令を受けると各挟持用エアセルをいずれか一方もしくは両方を膨張させた状態で脚受部が座面より前上がり状態となるように回動させる脚上げモードを実現出来る。
【0047】
ここで、図4を参照しながら、本実施形態に係るマッサージ機Aの制御手段である制御部Gについて以下に詳述する。
【0048】
制御部Gは前記基台部2内に配設されており、図示するように、遠隔操作可能な操作手段であるリモコンR(図1〜図3)が接続され、このリモコンRに設けた操作部Sの各操作ボタンを介して電源投入から電源オフ、及びマッサージ機Aの単機能動作からプログラミングされた自動コースなどの制御動作、さらには前記背もたれ部3のリクライニング動作及び前記脚載置部4の上下回動動作並びに脚の長さ方向への伸縮動作などをコントロールすることができる。KはリモコンRに設けた液晶パネルからなる表示部である。
【0049】
また、図示するように、制御部Gは、CPUと、各種マッサージプログラムや各種制御テーブルを格納したメモリ部G1と、前記リクライニングモータm5や脚載置部回転モータm6、脚載置部伸縮モータm7を含む各種モータなどの駆動制御を行う駆動制御部G2と、インターフェイスG3,G4とを備えている。
【0050】
前記CPUには、インターフェイスG3を介してリモコンR、背もたれ部3のリクライニング角度を検出してリクライニング位置を検知するリクライニング位置検出センサG5と、脚載置部4の上下回動角度を検出して回動位置を検知する脚載置部回動位置検出センサG6と、当該脚載置部4の伸縮位置を検出する脚載置部伸縮位置検出センサG7と、マッサージユニット11の前後方向への進退位置を検出する進退位置検出センサG8と、ロータリーエンコーダE1,E3,E4とが接続している。
【0051】
また、CPUは、インターフェイスG4を介して、脚載置部4の回動手段としての脚載置部回転モータm6と、脚載置部4を、被施療者の脚の長さ方向に伸縮させる伸縮手段としての脚載置部伸縮モータm7とを接続して、脚載置部4の上下回動動作及び伸縮動作を制御している。
【0052】
さらに、CPUは、このインターフェイスG4を介して、マッサージユニット11内に配設したもみ玉駆動ユニット9の昇降用モータm1、もみ用モータm3、叩き用モータm4、及びマッサージユニット11を進退させる進退モータm2、さらには、背もたれ部3のリクライニング動作を行うリクライニング手段であるリクライニングモータm5、エアバッグ用エアポンプ25、座部1に配設したヒータHを接続している。このヒータHにより冬などでも心地好くマッサージすることが可能となっている。
【0053】
また、CPUは、インターフェイスG4を介してエアポンプ25と接続しており、このエアポンプ25からは複数のエアセルa1〜a9に給気可能としており、図示しない電磁弁の開閉動作によってエアセルa1〜a9を膨張(膨出)・収縮可能とするとともに、エアセルa1〜a9を膨張状態(膨出状態)に保持可能とし、心地良いエアマッサージを実行可能としている。
【0054】
かかる構成により、リモコンRの操作部SOからの指令信号に基づいて、制御部Gでは、疲労回復、リフレッシュ、リラックスなどを目的として脚上げモードを含む様々なマッサージモードを組合せた複数の自動コースや指圧、もみ(もみ上げ/もみ下げ)、叩き、さすり、バイブ、ストレッチなどの基本マッサージ、さらにはローリング、エアマッサージなどの種類の異なった単独の手動マッサージを実行可能とするとともに、脚載置部4及び背もたれ部3の前後回動動作を行うことができる。
【0055】
操作部SOには脚上げモード専用の操作ボタンが配設されており、該操作ボタンを操作すると、以下に示す動作を実行する。
【0056】
まず、脚上げモードボタンの操作により座部1両側に配設された2連の太腿挟持用エアセルa6、a6が給気を受けて膨張を開始する。膨張が開始した後もしくは略同時に脚載部4が上方へ回動を開始する。
そして脚載部4の回動が進み座面Zより前上がり状態になる前に太腿挟持用エアセルa6の膨張による太腿の挟持が実行される。
よって太腿挟持用エアセルa6、a6が太腿が座面から浮き上がるのを抑えたまま脚先が上方へ上がろうとするので脚が伸びた状態で上方へ引っ張られることになり、脚裏の所謂ハムストリングスに対するストレッチ効果が得られる。
なお、この実施例においては脚載部4の回動位置を回動位置検出センサG6により常時検出可能な構成としているので座面Zより前上がりとなるタイミングをチェックし、このタイミング前に太腿挟持用エアセルa6による挟持が十分になされているように制御させることが良好に出来る。
更にはエアセル内の膨張状態を確認出来る手段(排気の有無の確認やエアセル内の圧力検知)を設ければより確実に挟持された後に脚上げ状態とすることが出来る。
以上は望ましい実施例であるが、回動位置や膨張状態の検出手段が無くても膨張の開始を早くする制御で前上がり状態となる前に挟持を実行することは可能である。
【0057】
上記実施例では太腿挟持用エアセルa6を例に挙げたが、脹脛挟持用エアセルa7でも同様の動作が可能である。
脹脛を挟持する場合、脹脛挟持用エアセルa7が脹脛を脚受部18の脚裏支持面に沿って押さえつけようしているので、脚先が前上がり状態となり、膝の曲がりを抑えられる。よって脚が伸びた状態で上方へ引っ張られることになり、脚裏の所謂ハムストリングスに対するストレッチ効果が得られる。
もちろん上記太腿挟持用エアセルa6と脹脛挟持用エアセルa7を同時に挟持手段として利用することも可能である。
【0058】
なお、上記脚上げモード時には必要に応じて背もたれ部3を起こす動作を連動させることも可能である。
背もたれ部3が起きることで被施療者は上体を起こした姿勢を強要され、脚上げモード時のストレッチ効果が更に向上する。座部1と背もたれ部3の角度は本実施例では最も狭めた状態で約90度としているが、更に鋭角な状態まで狭められる構成をとっても良い。
【0059】
次に、上記脚上げモード時には必要に応じて、足裏受部17が足裏から離れる方向に移動するように制御させることも可能である。
この場合、脚上げモードの指令を受けてただちに移動するのでなく、脚載部4の回動位置を確認し足裏受部17が床面Fに当接せずに十分伸長可能と判断してから移動開始しており、足裏が当接する虞がないように最大限移動させている。
移動は脚受部18が前上がり状態となる前に完了させておくことが望ましいが、少なくとも前上がり状態となる前に開始されれば、足裏受部17に足裏が当接する可能性が軽減される。
【0060】
なお、以上の説明において脚受部は座部の前方に回動自在に軸支された構成を示したが、座部に取り付けられる必要はなく、動作が連動可能であれば前方に置いて使用されることが前提のセパレートタイプであっても良い。
またベッドタイプであっても背もたれ部や座部が特定可能であれば、本発明においては実質的に椅子と見做すことが出来る。
【0061】
以上、本発明を、実施形態を通して説明したが、実施形態では具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではない。また、実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本実施形態に係る椅子式マッサージ機を示す斜視図である。
【図2】同側面図である。
【図3】同マッサージ機の背もたれ部及び脚載置部の回動動作を示した側面視による説明図である。
【図4】マッサージ機の駆動制御系を示すブロック図である。
【図5】従来技術を示す側面図である。
【符号の説明】
【0063】
F 床面
G 制御部
S 支持面
Z 座面
a6 太腿挟持用エアセル
a7 脹脛挟持用エアセル
1 座部
2 基台部
3 背もたれ部
4 脚載部
15 本体部
17 足裏受部
18 脚受部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前上がり状態で配設される座部と背もたれ部を具備する椅子本体と、座部前側において上下回動可能に移動する脚受部とを備え、前記脚受部の脚裏の支持面が座面の前上がり状態より前上がり状態になるまで移動可能となるように構成した椅子式マッサージ機において、前記脚受部には脹脛を挟持するための脹脛挟持手段が備えられ、前記脚受部の前上がり状態への移動指令を受けて脹脛挟持手段の挟持動作を開始し、該脹脛挟持手段による挟持後に脚受部が前上がり状態となるように制御される脚上げモードを有することを特徴とする椅子式マッサージ機
【請求項2】
前上がり状態で配設される座部と背もたれ部を具備する椅子本体と、座部前側において上下回動可能に移動する脚受部とを備え、前記脚受部の脚裏の支持面が座面の前上がり状態より前上がり状態になるまで移動可能となるように構成した椅子式マッサージ機において、前記脚受部には太腿を挟持するための太腿挟持手段が備えられ、前記脚受部の前上がり状態への移動指令を受けて太腿挟持手段の挟持動作を開始し、該太腿挟持手段による挟持後に脚受部が前上がり状態となるように制御される脚上げモードを有することを特徴とする椅子式マッサージ機
【請求項3】
前上がり状態で配設される座部と背もたれ部を具備する椅子本体と、座部前側において上下回動可能に移動する脚受部とを備え、前記脚受部の脚裏の支持面が座面の前上がり状態より前上がり状態になるまで移動可能となるように構成した椅子式マッサージ機において、前記脚受部には脹脛を挟持するための脹脛挟持手段が備えられ、また、前記座部の両側には太腿を挟持するための太腿挟持手段が備えられ、前記脚受部の前上がり状態への移動指令を受けて太腿挟持手段及び/または太腿挟持手段の挟持動作を開始し、いずれかの挟持手段による挟持後に脚受部が前上がり状態となるように制御される脚上げモードを有することを特徴とする椅子式マッサージ機。
【請求項4】
前記脚上げモード時に背もたれ部を起こした状態へ移動制御させることを特徴とする前記請求項1ないし3に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項5】
前記脚受部の先端側には脚の長手方向に伸縮自在となっている足裏受部が設けられており、前記脚上げモード時に足裏受部が足裏から離れる方向に移動することを特徴とする前記請求項1ないし4のいずれかに記載の椅子式マッサージ機。
【請求項6】
前記脹脛挟持手段と太腿挟持手段のいずれか一方もしくは両方がエアセルで構成され、エアセルに給気することで挟持させることを特徴とする前記請求項1ないし5のいずれかに記載の椅子式マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−92973(P2008−92973A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274553(P2006−274553)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】