説明

椅子式マッサージ機

【課題】
全身マッサージが可能であると共に、多数の「ツボ」が存在する「経絡」に沿って漸進的に移行しつつマッサージを連続付与して該「経絡」上のコリを効果的に解消することが可能な椅子式マッサージ機を提供する。
【解決手段】
座部11aとその後方に設けた背凭れ部12aと、座部11aの前方に設けた足載せ部13aとを備えた椅子式マッサージ機1aであって、該椅子式マッサージ機1aは、背凭れ部12aに背部及び腰部方向に昇降するマッサージ部材31aを備えた背部マッサージ機構3aを設けると共に、マッサージ部材71aと駆動部73aを備えた下腿マッサージ機構7aを座部11a及び足載せ部13aにそれぞれ備え、各下腿マッサージ機構7aを駆動部73aにより座部11a及び足載せ部13aのそれぞれに下腿の長さ方向に設けたガイドレール75aに沿って移動するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全身マッサージが可能であると共に、「経絡」に沿って漸進的に移行しつつマッサージを連続付与して該「経絡」上のコリを効果的に解消することが可能な椅子式マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、椅子式マッサージ機において、背凭れ部に昇降可能な電動の揉み玉や空気給排装置による空気の給排で膨縮する膨縮袋などから構成されるマッサージ機構を適所に設けた構成のものは主流となっており、加えて背凭れ部の他に座部や足載せ部などにも同様のマッサージ機構を配設することで下腿をもマッサージできるようにした、全身マッサージが可能な構成のものは既によく知られている。
【0003】
この種従来の椅子式マッサージ機としては、図15や図16に示したようなものがあり、例えば、図15に示した椅子式マッサージ機は、背凭れ部2、腰掛部3、肘掛部4、首筋当部5からなる椅子1の各部内に多数の各蛇腹状の伸縮筒27を内装して構成したものであり、各伸縮筒27は腰掛部3の下部に内装された空気圧発生装置6により伸縮して首筋、背部、腕部、大腿部、脚部の各所を順次指圧マッサージするようにしたものとしている。
【0004】
また、図16に示した椅子式マッサージ機は、座部2,背凭れ部3,フットレスト(足載せ部)4からなるものであり、凹状をなした座部2は、その内底部分と、内側部分に夫々空気袋(膨縮袋)2cを設けると共に、凹状をなした背凭れ部3においては、内底部分にマッサージ機構5を、内側部分に空気袋3dをそれぞれ設け、さらにフットレスト4も凹状をなしており、内底部分、内側部分、及び内下底部分のそれぞれに空気袋4dが設けられていたものとしている。
【特許文献1】特公昭44−13638号公報(第6頁、図4)
【特許文献2】特開2003−260099号公報(第9頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図14に示すように東洋医学の分野における「経絡」というものが身体の全域に渡って通っており、この「経絡」に沿って多数の「ツボ」が存在すると考えられているため、この「経絡」に沿って漸進的に移行しつつマッサージを連続付与することが望ましいとされている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の椅子式マッサージ機は、椅子本体の各所に伸縮動作する伸縮筒を設けて順次各身体部位を指圧マッサージするよう構成したものであるが、各伸縮筒間の隔たりが存在するため、該隔たりにおけるマッサージがなされず、「経絡」に沿って移行しながらの漸進的で途絶えることのないマッサージを付与することができないという課題が存在していた。
【0007】
また、上記特許文献2の椅子式マッサージ機についても同様、座部や足載せ部において膨縮動作する各膨縮袋がそれぞれ所定の位置に固設されているため、座部や足載せ部において「経絡」に沿った漸進的なマッサージができず、「経絡」上のコリを効果的に解消し得ないという問題が残存していた。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点を解消する為に成されたものであり、全身マッサージが可能であると共に、多数の「ツボ」が存在する「経絡」に沿って漸進的に移行しつつマッサージを連続付与して該「経絡」上のコリを効果的に解消することが可能な椅子式マッサージ機を提供する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の椅子式マッサージ機は、座部とその後方に設けた背凭れ部と、座部の前方に設けた足載せ部とを備えた椅子式マッサージ機であって、該椅子式マッサージ機は、背凭れ部に背部及び腰部方向に昇降するマッサージ部材を備えた背部マッサージ機構を設けると共に、マッサージ部材と駆動部を備えた下腿マッサージ機構を座部及び足載せ部にそれぞれ備え、各下腿マッサージ機構を駆動部により座部及び足載せ部のそれぞれに下腿の長さ方向に設けたガイドレールに沿って移動するようにしたものとしている。
【0010】
また、本発明の椅子式マッサージ機は、前記下腿マッサージ機構に備えた前記マッサージ部材を、該下腿マッサージ機構に備えた駆動部によってマッサージ動作させるようにしたものとしている。
【0011】
さらに、本発明の椅子式マッサージ機は、前記下腿マッサージ機構に備えた前記マッサージ部材を、傾斜状に配備される左右一対の揉み輪が下腿の左右それぞれに対応するよう同軸上に複数並設したものとしている。
【0012】
また、本発明の椅子式マッサージ機は、前記座部と前記背凭れ部及び前記足載せ部のいずれか又は全てにおいて、左右両側に突出壁を設け、該各突出壁が対向する各面にそれぞれ空気給排装置の空気給排により膨縮する膨縮袋を配設するものとしている。
【0013】
さらに、本発明の椅子式マッサージ機は、前記突出壁に配設した前記膨縮袋により背部または/及び下腿の表面側を押圧してその裏面側にある前記マッサージ部材へ背部または/及び下腿が押しつけられるよう該膨縮袋を背部または/及び下腿の表面側より表裏方向において大きく形成したものとしている。
【0014】
また、本発明の椅子式マッサージ機は、前記背凭れ部における前記突出壁に配設した前記膨縮袋を前記背部マッサージ機構の昇降方向に複数個並設したものとすると共に、これら複数の膨縮袋のうち、背部マッサージ機構の昇降移動に同期して該背部マッサージ機構に備えた前記マッサージ部材と最近接する膨縮袋のみを膨張させるよう構成している。
【0015】
さらに、本発明の椅子式マッサージ機は、前記座部又は/及び足載せ部における前記突出壁に配設した前記膨縮袋を前記下腿マッサージ機構の移動方向に複数個並設したものとすると共に、これら複数の膨縮袋のうち、下腿マッサージ機構の移動に同期して該下腿マッサージ機構に備えた前記マッサージ部材と最近接する膨縮袋のみを膨張させるよう構成している。
【発明の効果】
【0016】
よって、本発明の椅子式マッサージ機は、座部とその後方に設けた背凭れ部と、座部の前方に設けた足載せ部とを備えた椅子式マッサージ機であって、該椅子式マッサージ機は、背凭れ部に背部及び腰部方向に昇降するマッサージ部材を備えた背部マッサージ機構を設けると共に、マッサージ部材と駆動部を備えた下腿マッサージ機構を座部及び足載せ部にそれぞれ備え、各下腿マッサージ機構を駆動部により座部及び足載せ部のそれぞれに下腿の長さ方向に設けたガイドレールに沿って移動するようにしたものとしているため、全身における多数の「ツボ」が存在する「経絡」に沿って漸進的に途絶えることなくマッサージを連続付与して「経絡」上のコリを効果的に解消しつつ、下腿と共に背部全体を含む全身マッサージが実現できる。
【0017】
また、本発明の椅子式マッサージ機は、前記下腿マッサージ機構に備えた前記マッサージ部材を、該下腿マッサージ機構に備えた駆動部によってマッサージ動作させるようにしたものとしているため、下腿マッサージ機構を簡素化でき、コスト低減やメンテナンスの簡易化を図れる。
【0018】
さらに、本発明の椅子式マッサージ機は、前記下腿マッサージ機構に備えた前記マッサージ部材を、傾斜状に配備される左右一対の揉み輪が下腿の左右それぞれに対応するよう同軸上に複数並設したものとしているため、両下腿を同時に揉みほぐすマッサージが実現できる。
【0019】
また、本発明の椅子式マッサージ機は、前記座部と前記背凭れ部及び前記足載せ部のいずれか又は全てにおいて、左右両側に突出壁を設け、該各突出壁が対向する各面にそれぞれ空気給排装置の空気給排により膨縮する膨縮袋を配設するものとしているため、背部及び腰部、又は/及び下腿の各側面に対するマッサージが可能となり、さらにマッサージ範囲を拡大できる。
【0020】
さらに、本発明の椅子式マッサージ機は、前記突出壁に配設した前記膨縮袋により背部または/及び下腿の表面側を押圧してその裏面側にある前記マッサージ部材へ背部または/及び下腿が押しつけられるよう該膨縮袋を背部または/及び下腿の表面側より表裏方向において大きく形成したものとしているため、マッサージ部材におけるマッサージ力を一定に保持しながら「経絡」に沿った効果的なマッサージが実施できる。加えて、これらマッサージ部材及び突出壁に配設した膨縮袋により全体的に包み込むようなマッサージ感が得られる。
【0021】
また、本発明の椅子式マッサージ機は、前記背凭れ部における前記突出壁に配設した前記膨縮袋を前記背部マッサージ機構の昇降方向に複数個並設したものとすると共に、これら複数の膨縮袋のうち、背部マッサージ機構の昇降移動に同期して該背部マッサージ機構に備えた前記マッサージ部材と最近接する膨縮袋のみを膨張させるよう構成しているため、マッサージ部材と伴って背部から腰部にかけて集中ポイント的なマッサージ感が得られるし、所要の膨縮袋のみを活用するので前記空気給排装置の加圧負担を低減することができる。
【0022】
さらに、本発明の椅子式マッサージ機は、前記座部又は/及び足載せ部における前記突出壁に配設した前記膨縮袋を前記下腿マッサージ機構の移動方向に複数個並設したものとすると共に、これら複数の膨縮袋のうち、下腿マッサージ機構の移動に同期して該下腿マッサージ機構に備えた前記マッサージ部材と最近接する膨縮袋のみを膨張させるよう構成しているため、マッサージ部材と伴って下腿において集中ポイント的なマッサージ感が得られるし、所要の膨縮袋のみを活用するので前記空気給排装置の加圧負担を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明の椅子式マッサージ機を、図面に示す一実施形態に基づきこれを詳細に説明する。図1は本発明の椅子式マッサージ機の一実施形態を示す斜視図であり、図2は本発明の椅子式マッサージ機の一実施形態を示す使用状態図であり、図3は本発明の椅子式マッサージ機の一実施形態を示す右側面図であり、図4は本発明の椅子式マッサージ機における下腿マッサージ機構の一実施形態を示す斜視説明図であり、図5は本発明の椅子式マッサージ機における下腿マッサージ機構の一実施形態を示す部分説明図であり、図6は本発明の椅子式マッサージ機における下腿マッサージ機構の移動に関する一実施形態を示す平面説明図であり、図7は本発明の椅子式マッサージ機における下腿マッサージ機構のガイドレール上を移動する状態の一実施形態を示す側面説明図であり、図8は本発明の椅子式マッサージ機における背部マッサージ機構及び下腿マッサージ機構が移動する状態の一実施形態を示す側面説明図であり、図9は本発明の椅子式マッサージ機における背凭れ部の突出壁に設けた膨縮袋の膨縮に関する一実施形態を示す部分断面説明図であり、図10は本発明の椅子式マッサージ機における座部の一実施形態を示す断面説明図であり、図11は本発明の椅子式マッサージ機における座部に設けた膨縮袋の膨縮に関する一実施形態を示す断面説明図であり、図12は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の一実施形態を示す断面説明図であり、図13は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部に設けた膨縮袋の膨縮に関する一実施形態を示す断面説明図であり、図14は人体に存する「経絡」を示した図であり、図15及び図16は従来技術を示す参考図である。
【0024】
すなわち、図1乃至図3の実施形態で示したように、本発明の椅子式マッサージ機1aは、被施療者の臀部及び大腿部などが当接する座部11aと、その後方に被施療者の背部及び腰部、それに頭部などが当接するリクライニング可能な背凭れ部12aと、座部11aの前方に出没可能な被施療者の脛部などを載置する足載せ部13aとを備えたものである。
【0025】
また、前記座部11aの両側において、被施療者の手部や腕部を載置するための肘掛け部14aをそれぞれ立設している。
【0026】
尚、図3に示すように、前記片側の肘掛け部14aの上方にリモコンである操作部5aを立設させており、この椅子式マッサージ機1aにおける全操作を行うようにしている。
【0027】
さらに、図1に示すように前記背凭れ部12aにおいて、左右一対の揉み玉から構成するマッサージ部材31aを備えた背部及び腰部方向に昇降する背部マッサージ機構3aを設けると共に、空気給排装置41aの空気給排により膨縮する膨縮袋4aを適所に複数設けたものとしている。
【0028】
前記背部マッサージ機構3aは、前記背凭れ部12aの内部左右に設けた左右一対のガイドレール32aに沿って該背凭れ部12aの上端から下端にかけて昇降するようにしている。
【0029】
加えて、前記背部マッサージ機構3はモータ等を駆動源とした機械式の施療機構であり、前記背凭れ部12aに凭れた被施療者の首部、背部、腰部、臀部等の背面全域を、たたき、揉み、ローリング、振動、指圧などの多様な形態で施療するようにしたものである。
【0030】
また、前記空気給排装置41aは、図示していないが圧縮空気を発生させるエアポンプと、該圧縮空気を各エアホースに分配する複数の電磁弁からなる分配器と、該分配器の内部機構を電子回路により制御する電子制御回路とから主に構成され、前記座部11aの下部空間に配備している。
【0031】
前記膨縮袋4aについては、軟質樹脂やナイロンのシートによる溶着成形、または同材質のブロー成形等で製造され、前記空気給排装置3aの空気の給排気による継続的な膨縮に耐え得るものを採用している。
【0032】
よって、前記空気給排装置41aによる各前記膨縮袋4aの膨縮動作によって、前記背凭れ部12aにおける被施療者の所定部位を押圧または指圧マッサージすることができる。
【0033】
図1に示す形態の場合、前記背凭れ部12aの左右及び上下に前記各膨縮袋4aを設けており、左右の膨縮袋4a・4aが同期膨縮するようにしている。特に、背凭れ部12aの下部は被施療者の腰部が入り込むように凹部が形成されており、上下の各膨縮袋4aのうち下側左右の膨縮袋4a・4aは、該凹部の内側側面に対向するようにそれぞれ内装しているため、被施療者の腰部両側面を左右から挟圧することができるようにしている。
【0034】
他にも、図1に示すように前記左右の肘掛け部14aの上部には、必要に応じて人体の手や前腕を嵌入保持して施療するための凹部を形成する腕保持部15aを設ける事ができる。この図1の場合、該腕保持部15aの内部において、上下に各膨縮袋4aを夫々対設するよう設けて、凹部内部で人体の手や前腕に対する挟圧施療を実施するようにしている。
【0035】
また、本発明の椅子式マッサージ機1aは、図1、図6、図8に示すようにマッサージ部材71aと駆動部73aを備えた下腿マッサージ機構7aを前記座部11a及び前記足載せ部13aにそれぞれ備え、各下腿マッサージ機構7aを駆動部73aにより座部11a及び足載せ部13aのそれぞれに下腿の長さ方向に設けたガイドレール75aに沿って移動するようにしたものとしている。
【0036】
すなわち、図4に示すように前記下腿マッサージ機構7aの前記マッサージ部材71aは、傾斜状に配備される左右一対の揉み輪711a・711aを下腿の左右それぞれに対応するよう同軸上に複数並設したものである。
【0037】
また、前記駆動部73aはモータ及び変速機から主に構成するものであるが、前記下腿マッサージ機構7aの移動に限らず、前記マッサージ部材71aのマッサージ動作における駆動力を発生させるものとしている。
【0038】
よって、前記駆動部73aにおけるモータの回転が左右方向に延設する駆動軸72aに伝達され、前記揉み輪711a・711aを回転させてマッサージ動作すると共に、前記下腿マッサージ機構7a全体は前記ガイドレール75aに沿って移動することになる。
【0039】
このように、前記マッサージ部材71aを前記下腿マッサージ機構7aに備えた前記駆動部73aによってマッサージ動作させるようにしたものとしているため、機構の簡素化を図ることができる。
【0040】
前記揉み輪711a・711aは、左右対称の傾斜状に形成しているため、前記駆動軸72aの回転が伝達されると、その傾斜角度を一定周期で変化させつつ左右方向における揉み動作を発生させる。
【0041】
尚、図示しないが前記揉み輪711a・711aにおける被施療者側への当接周部は、駆動軸72aの回転が伝達しないよう空回転可能としている。
【0042】
さらに、図4、図5及び図7に示すように前記駆動軸72aの左右両端には、回転ギヤ721a・721aをそれぞれ設け、該各回転ギヤ721aは前記各ガイドレール75aに固設された各ラック751aに噛合するよう構成している。
【0043】
よって、前記各回転ギヤ721aは、図7に示すように前記駆動軸72aの回転により確実に前記各ガイドレール75aの前記各ラック751a上を回転移動するので、図6及び図8に示す如く前記座部11a及び前記足載せ部13aのそれぞれにおいて、各下腿マッサージ機構7aは滑らかに下腿の長さ方向において移動しつつ下腿全体をマッサージすることができる。
【0044】
尚、前記各下腿マッサージ機構7aの移動制御について、図示しないが該各下腿マッサージ機構7aの前記各ガイドレール75a上における位置を検知する位置センサを採用し、該位置センサで検知される検知データに基づいて前記駆動部73aを前記電子制御回路にて制御しつつ各下腿マッサージ機構7aの移動を実行するようにしている。
【0045】
尚、図4及び図5に示すように前記回転ギヤ721a・721aの後方において、前記下腿マッサージ機構7aにおける動作安定のための追従回転輪74a・74aをそれぞれ設けている。該各追従回転輪74aは、前記各ガイドレール75aに設けた溝部752aの内部で回転移動するようにしている。
【0046】
上記本発明の椅子式マッサージ機1aはさらに、前記座部11aと前記背凭れ部12a及び前記足載せ部13aのいずれか又は全てにおいて、左右両側に突出壁6aを設け、該各突出壁6aが対向する各面にそれぞれ前記空気給排装置41aの空気給排により膨縮する前記膨縮袋4aを配設するものとしている。
【0047】
すなわち、図1及び図9に示すように前記背凭れ部12aの左右両側においては、前方に向かって突出した突出壁2aを夫々配設し、該各突出壁2aが対向する各面にそれぞれ前記膨縮袋4aを配設している。
【0048】
また、前記各突出壁2aは座部11aに着座した被施療者の肩または上腕側方となる位置に配設しており、該左右の突出壁2aの内側面にそれぞれ左右方向に重合した膨縮袋4aを並列状態に埋設している。これら重合した膨縮袋4a・4aはその基端部のみを突出壁2aの基端部に取り付けているため、膨張時には重合した膨縮袋4a・4aが扇状に広がって被施療者の身体側部を挟圧しつつ、身体前方まで覆うようになる。
【0049】
よって、前記左右突出壁2aの前記膨縮袋4aは、膨縮動作により身体側部を施療する事ができるだけでなく、一定の時間において膨張状態を保つならば、被施療者の身体が前記背凭れ部12aから離れないようにしっかりと保持する事ができ、被施療者の身体を固定したままの状態で前記背部マッサージ機構3aの前記マッサージ部材31aによる背部からのマッサージを効果的に実施することができる。
【0050】
加えて、図8に示すように前記背凭れ部12aにおける前記突出壁2aに配設した前記膨縮袋4aを前記背部マッサージ機構3aの昇降方向に複数個並設したものとしている。
【0051】
そして、これら前記突出壁2aに複数並設した前記各膨縮袋4aのうち、前記背部マッサージ機構3aの昇降移動に同期して該背部マッサージ機構3aに備えた前記マッサージ部材31aと最近接する膨縮袋4aのみを膨張させるよう前記電子制御回路にて制御する。
【0052】
また、図1及び図10に示すように前記座部11aにおいて、左右両側に突出壁6aを設け、該各突出壁6aが対向する各面にそれぞれ前記空気給排装置41aの空気給排により膨縮する前記膨縮袋4aを配設している。
【0053】
前記図面で示す実施例の場合、前記座部11aにおける両下腿の中間において重合状の前記各膨縮袋4aを設けると共に、前記各突出壁6aに重合状の膨縮袋4a・4aを縦装したものとしている。
【0054】
尚、前記両下腿中間における重合状の各膨縮袋4aについては、図10に示すように下部の膨縮袋4aを左右方向において比較的大きなものを使用し、該大きな膨縮袋4aの上部左右にそれより小さな膨縮袋4a・4aを分割してそれぞれ配設した構成としている。
【0055】
よって、図11に示すように前記各突出壁6aに設けた前記各膨縮袋4aにより両下腿の側面に対する押圧マッサージが実現でき、また、各膨縮袋4aの膨縮または膨張保持により両下腿を左右から安定保持した状態で前記各揉み輪711aによる的確なマッサージをもたらすことが可能となる。
【0056】
さらに図10及び図11に示す構成は、前記突出壁6aに配設した前記膨縮袋4aにより下腿の表面側を押圧してその裏面側にある前記マッサージ部材71aへ下腿が押しつけられるよう該膨縮袋4aを下腿の表面側より表裏方向において大きく形成したものとしている。
【0057】
また、図1及び図12に示すように前記足載せ部13aにおいて、左右両側及びその中間に突出壁6aをそれぞれ設け、該各突出壁6aが対向する各面にそれぞれ前記空気給排装置41aの空気給排により膨縮する前記膨縮袋4aを重合状に縦装している。
【0058】
よって、図13に示すように前記各突出壁6aに設けた前記各膨縮袋4aにより両下腿の側面に対する押圧マッサージが実現でき、また、各膨縮袋4aの膨縮または膨張保持により両下腿を左右から安定保持した状態で前記各揉み輪711aによる的確なマッサージをもたらすことが可能となる。
【0059】
さらにこれらの図12及び図13に示す構成は、前記左右両側の突出壁6a・6aに配設した前記各膨縮袋4aにより下腿の表面側を押圧してその裏面側にある前記マッサージ部材71aへ下腿が押しつけられるよう該各膨縮袋4aを下腿の表面側より表裏方向において大きく形成したものとしている。
【0060】
上述した前記座部11aや前記足載せ部13aにおいて、さらに図8に示すように座部11a及び足載せ部13aのそれぞれの前記各突出壁2aに配設した前記膨縮袋4aを、前記各下腿マッサージ機構7aの移動方向に複数個並設することができる。
【0061】
そして、これら前記突出壁2aに複数並設した前記各膨縮袋4aのうち、前記各下腿マッサージ機構7aの移動に同期して該各下腿マッサージ機構7aに備えた前記各マッサージ部材71aと最近接する膨縮袋4aのみを膨張させるよう前記電子制御回路にて制御する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の椅子式マッサージ機の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の椅子式マッサージ機の一実施形態を示す使用状態図である。
【図3】本発明の椅子式マッサージ機の一実施形態を示す右側面図である。
【図4】本発明の椅子式マッサージ機における下腿マッサージ機構の一実施形態を示す斜視説明図である。
【図5】本発明の椅子式マッサージ機における下腿マッサージ機構の一実施形態を示す部分説明図である。
【図6】本発明の椅子式マッサージ機における下腿マッサージ機構の移動に関する一実施形態を示す平面説明図である。
【図7】本発明の椅子式マッサージ機における下腿マッサージ機構のガイドレール上を移動する状態の一実施形態を示す側面説明図である。
【図8】本発明の椅子式マッサージ機における背部マッサージ機構及び下腿マッサージ機構が移動する状態の一実施形態を示す側面説明図である。
【図9】本発明の椅子式マッサージ機における背凭れ部の突出壁に設けた膨縮袋の膨縮に関する一実施形態を示す部分断面説明図である。
【図10】本発明の椅子式マッサージ機における座部の一実施形態を示す断面説明図である。
【図11】本発明の椅子式マッサージ機における座部に設けた膨縮袋の膨縮に関する一実施形態を示す断面説明図である。
【図12】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の一実施形態を示す断面説明図である。
【図13】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部に設けた膨縮袋の膨縮に関する一実施形態を示す断面説明図である。
【図14】人体に存する「経絡」を示した図である。
【図15】従来技術を示す参考図である。
【図16】従来技術を示す参考図である。
【符号の説明】
【0063】
1a 椅子式マッサージ機
11a 座部
12a 背凭れ部
13a 足載せ部
14a 肘掛け部
15a 腕保持部
2a 突出壁
3a 背部マッサージ機構
31a マッサージ部材
32a ガイドレール
4a 膨縮袋
41a 空気給排装置
5a 操作部
6a 突出壁
7a 下腿マッサージ機構
71a マッサージ部材
711a 揉み輪
72a 駆動軸
721a 回転ギヤ
73a 駆動部
74a 追従回転輪
75a ガイドレール
751a ラック
752a 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部とその後方に設けた背凭れ部と、座部の前方に設けた足載せ部とを備えた椅子式マッサージ機であって、背凭れ部に背部及び腰部方向に昇降するマッサージ部材を備えた背部マッサージ機構を設けると共に、マッサージ部材と駆動部を備えた下腿マッサージ機構を座部及び足載せ部にそれぞれ備え、各下腿マッサージ機構を駆動部により座部及び足載せ部のそれぞれに下腿の長さ方向に設けたガイドレールに沿って移動するようにしたことを特徴とする椅子式マッサージ機。
【請求項2】
前記下腿マッサージ機構に備えた前記マッサージ部材を、該下腿マッサージ機構に備えた駆動部によってマッサージ動作させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の椅子式マッサージ機。
【請求項3】
前記下腿マッサージ機構に備えた前記マッサージ部材を、傾斜状に配備される左右一対の揉み輪が下腿の左右それぞれに対応するよう同軸上に複数並設したことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか記載の椅子式マッサージ機。
【請求項4】
前記座部と前記背凭れ部及び前記足載せ部のいずれか又は全てにおいて、左右両側に突出壁を設け、該各突出壁が対向する各面にそれぞれ空気給排装置の空気給排により膨縮する膨縮袋を配設したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか記載の椅子式マッサージ機。
【請求項5】
前記突出壁に配設した前記膨縮袋により背部または/及び下腿の表面側を押圧してその裏面側にある前記マッサージ部材へ背部または/及び下腿が押しつけられるよう該膨縮袋を背部または/及び下腿の表面側より表裏方向において大きく形成したことを特徴とする請求項4記載の椅子式マッサージ機。
【請求項6】
前記背凭れ部における前記突出壁に配設した前記膨縮袋を前記背部マッサージ機構の昇降方向に複数個並設したものとすると共に、これら複数の膨縮袋のうち、背部マッサージ機構の昇降移動に同期して該背部マッサージ機構に備えた前記マッサージ部材と最近接する膨縮袋のみを膨張させるようにしたことを特徴とする請求項4又は請求項5のいずれか記載の椅子式マッサージ機。
【請求項7】
前記座部又は/及び足載せ部における前記突出壁に配設した前記膨縮袋を前記下腿マッサージ機構の移動方向に複数個並設したものとすると共に、これら複数の膨縮袋のうち、下腿マッサージ機構の移動に同期して該下腿マッサージ機構に備えた前記マッサージ部材と最近接する膨縮袋のみを膨張させるようにしたことを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか記載の椅子式マッサージ機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−50583(P2009−50583A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221888(P2007−221888)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000136491)株式会社フジ医療器 (137)
【Fターム(参考)】