説明

植栽壁掛け

【課題】土壌や水の漏洩を防止して、室内の壁面に掛けることを可能にした植栽壁掛けを提供する。
【解決手段】壁面Fに対向する対向板11と、壁面Fから遠ざかる方向(前方)に延びる側板12a〜12dと、側板12a〜12dの先端に形成されて前方に向けて開口する開口部Kと、側板12の先端から内側に延びて開口部Kを狭める縁板13a〜13dとを有し、水密な貯水部Bを構成する容器10と、自己保持性、通気性を有し、周端縁20a〜20dが縁板12a〜12dの裏面側に係止されて開口部Kを閉鎖するマット状の表面層20と、自己保持性、通気性を有し、表面層20の裏面側に配設されるマット状の裏面層30と、保水性、通気性を有し、表面層20と裏面層30との間に挟持される中間層40と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に掛けて使用することができる植栽壁掛けに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、横向きに植物を植えた植栽ブロックが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものは、直方体状に形成されたケースの1つの面に開口部を設け、ケースの内部に、植物の根に養分を供給可能な状態でこの根を保持する保持部材(例えば、芝マット)を挿入し、この保持部材によって根の部分を保持するとともに、植物における根以外の地上に露出すべき部分を開口における保持部材よりも外側に位置するようにしている。そして、ケースを開口部が水平方向(横方向)を向くように配置している。
【0004】
ここで、ケース内に挿入される保持部材としては、水平に配置した芝マットを複数枚積層させたもののほか、任意のものを利用できるとして、明細書の段落番号0061には、以下のように記載されている。
「このような保持部材としては、任意のものを利用することができる。具体的には、たとえば、ケース11の内部に普通の土壌を充填し、その開口12を適当な蓋材で覆った構成の保持部材を挙げることができる。この場合の蓋材としては、板状体、シート、マット、フィルム、あるいは糸条をクリンプさせて絡み合わせたクリンプ状体などが好適である。具体的には、板状の木材や、ミズゴケや、織布や、不織布や、ヤシ繊維製のマットや、スポンジ製のマットなどを用いることが好適である。ケース11の内部への充填物としては、天然の土壌のほかに、マット状の人工土壌や、芝以外の植物が土壌内に根を張ることでマット状になったものや、合成樹脂製のマット材などを用いることもできる。このマット材自体が自己保持機能を有すれば、上述の蓋材は不要である。」
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−92942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の植栽ブロックは、室内に置くことを前提としていないため、保持部材として芝マットを使用した場合には、芝の根に保持された土壌が乾燥して開口部から多少なりとも落下するおそれがある。また、水をやると、水とともに土壌が開口部から、あるいはケースの材質によってはケース自体から流出するといったおそれもある。
【0007】
また、保持部材として、ケースの内側に土壌を充填し、ケースの開口部を蓋材で覆った構成を採用した場合には、蓋材によって開口部からの土壌の落下や流出は防止できたとしても、ケースからの水の漏洩を防止することができない。
【0008】
このように、特許文献1の植栽ブロックは、植物を横向きに保持することができるので、室外において壁掛けと使用することは可能であるが、土壌や水が漏洩するため、室内の壁掛けとしては使用することができない。
【0009】
そこで、本発明は、植物を横向きに保持し、土壌や水の漏洩を確実に防止して室内の壁掛けとして使用することを可能にした植栽壁掛けを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、壁面に掛けて使用可能な植栽壁掛けに関する。この発明に係る植栽壁掛けは、箱状に形成されるとともに前記壁面に掛けられた使用状態において、前記壁面に対向する対向板と、基端側が前記対向板の周縁に沿って位置するとともに先端側が前記壁面から遠ざかる方向に延びる側板と、前記側板の先端側に形成された開口部と、前記側板の先端から内側に延びて前記開口部を狭める縁板とを有し、前記対向板と前記側板と前記縁板のうちの少なくとも下部に位置する部分が水密な貯水部を構成する容器と、自己保持性、通気性を有し、周端縁が前記縁板の裏面側に係止されて前記開口部を閉鎖するマット状の表面層と、自己保持性、通気性を有し、前記表面層の裏面側に配設されるマット状の裏面層と、保水性、通気性を有し、前記表面層と前記裏面層との間に挟持される中間層と、を備えた、ことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る植栽壁掛けにおいて、前記表面層は、前記中間層への植物の根の通過を可能とする切り込みを有する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る植栽壁掛けにおいて、前記中間層に水を供給する給水チューブを有し、前記給水チューブは、先端部が閉鎖され、前記中間層に配置される中間部に水を漏洩させるための切り込みが形成され、基端部が前記表面層を貫通して外側に露出されて給水口となる、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る植栽壁掛けにおいて、前記給水チューブは、前記中間部が、前記中間層における前記植物の根が配置される部分を囲むループ状に配置されるとともに、前記切り込みが、前記ループの内側及び外側に形成されている、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に係る植栽壁掛けにおいて、前記容器は、直方体状に形成され、前記側板が、上の側板と下の側板と左の側板と右の側板とによって構成されている、ことを特徴とする。
【0015】
請求項6に係る発明は、請求項5に係る植栽壁掛けにおいて、前記表面層と前記裏面層とは、前記上の側板側の折り返し部で連結されていて、2つ折りで配設されている、ことを特徴とする。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項6に係る植栽壁掛けにおいて、前記下の側板の内面側に、前記中間層の下端につながるように、保水性を有する底部層が配設されている、ことを特徴とする。
【0017】
請求項8に係る発明は、請求項1ないし7のいずれか1項に係る植栽壁掛けにおいて、前記容器は、前記対向板における前記壁面に対面する面に、前記対向板と前記壁面との間隙を確保するスペーサを有する、ことを特徴とする。
【0018】
請求項9に係る発明は、請求項8に係る植栽壁掛けにおいて、前記スペーサの一部に、前記壁面に突設された係止具に係合される係合孔を有する、ことを特徴とする。
【0019】
請求項10に係る発明は、請求項8又は9に係る植栽壁掛けにおいて、前記スペーサは、前記容器を前記開口部が上方を向くように載置面に載置する際に、前記容器を安定的に保持する位置に配置されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、植栽壁掛けは、植物を横向きに保持することができ、さらに、土壌や水の漏洩を確実に防止することができるので、室内の壁面に掛けて使用することができる。すなわち、表面層及び裏面層は、自己保持性(適度に自身の形状を保持することができるとともに、外力による変形が可能な適度な弾性を有している性質をいう。例えば、スポンジのような性質を有している。以下同じ。)を有しているので、これら表面層と裏面層との間に、中間層を挟んだ状態で、表面層の周端縁を容器の縁板の裏面側に係止することにより、全体を、つまり表面層と裏面層と中間層とを、側板の先端側に形成された開口部(横向きの開口部)から脱落しないように保持することができる。なお、横向きの開口部とは、垂直方向の上向きの開口部(縦向きの開口部)に対して、水平方向に開口する開口部をいう。
【0021】
この状態で、植物を、その根が中間層に位置し、茎が表面層を貫通して葉が横向きの開口部から突出するように配置することで、容器に植物を横向きに植えることができる。
【0022】
また、植物の根に土が付いている場合でも、土の付いた根を中間層で包むことにより、さらに、中間層を表面層で覆うことにより、土が開口部から落下することがない。
【0023】
また、根から吸収される水は、保水性を有する中間層に保持させることができる。また、水の量が多くて中間層で保持しきれなくなった場合でも、容器の下部が水密な貯水部となっているので、容器から漏洩することがない。
【0024】
このように、植栽壁掛けは、土や水の漏洩を確実に防止できるので、室内の壁掛けとすることができる。また、植物の根を囲む表面層,裏面層,中間層はいずれも通気性を有しているので、植物の根に十分空気を供給することができる。
【0025】
請求項2の発明によれば、表面層に設けた切り込みを通して、植物の根を中間層に配置することができる。
【0026】
請求項3の発明によれば、チューブの基端部の給水口から水を入れれば、この水を切り込みを介して中間層に供給することができるので、例えば、植栽壁掛けを壁面から取り外すことなく、植物に水を遣ることができる。
【0027】
請求項4の発明によれば、中間層における根の近傍に水を効率的に供給することができる。
【0028】
請求項5の発明によれば、容器が直方体状に形成されているので、表面層及び裏面層を容器の形状に応じた矩形にすることができ、例えば、表面層や裏面層を大きなものから切り出す際に、無駄が出ない。
【0029】
請求項6の発明によれば、表面層と裏面層とは、上の側板側に設けた折り返し部で連結されて、2つ折りで配設されているので、両者が2枚に分割されている場合と比較して、容器内にセットされている表面層を容器外に引きだす際に、適度な抵抗となるため、突然全体が引き出されるようなことがない。また、下の側板側が連結されている場合と比較して、表面層を容器内に詰め込み際に、連結された上側から順に下側に向かって押し込むことができるため、作業性を向上させることができる。
【0030】
請求項7の発明によれば、下の側板の内面は、貯水部に相当するので、ここに、中間層と同様の性質を有する底部層を配設することで、貯水部に溜まった水を底部層に保持することができる。このため、植栽壁掛けを壁面から外したり壁面に掛けたりする際に、植栽壁掛けが傾斜した場合でも、水が漏洩することがない。また、例えば、折返し部が下の側板側にある場合に中間層と底部層とが折返し部によって上下に分断されるのとは異なり、中間層の下端と底部層とをつなげることができるので、底部層に保持した水を中間層に供給することができる。
【0031】
請求項8の発明によれば、スペーサによって、容器の対向板と壁面との間に間隙を形成することができるので、両者間に結露が発生して壁面を汚したり、室内温度とは必ずしも一致しない壁面からの熱が不要に容器に伝達されて植物に悪影響を与えたりすることを防止できる。このため、植物の温度管理を室温の調整で行うことが可能となる。
【0032】
請求項9の発明によれば、係合孔を設けるためのブラケット等を別個に設ける必要がなく、部品点数を減らすことができる。
【0033】
請求項10の発明によれば、スペーサを利用して、容器を、床や台上の水平な載置面に置いた場合に、容器を安定させることができる。つまり、植栽壁掛けは、壁掛けとして使用する以外に、床面や台上に載置する等の通常の使用態様にも支障なく対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】植栽壁掛け1を右斜め上方から見分解斜視図である。
【図2】(A)は植栽壁掛け1の正面図、(B)は(A)中のX−X線矢視図、(C)は植栽壁掛け1の背面図である。
【図3】容器10の展開図の一例である。
【図4】植栽壁掛け1に植物Pを植えた状態を示す、図2(B)に相当する図である。
【図5】容器10の貯水部Bに底部層41を設けた例を説明する図である。
【図6】(A)〜(D)は、スペーサの種々の態様を説明する背面図である。
【図7】4個のユニットUを容器10に詰め込んで構成した植栽壁掛け2を右斜め上方から見た斜視図である。
【図8】ユニットUを説明する斜視図である。
【図9】ボックス60の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同じ構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
<実施形態1>
【0036】
図1〜図4を参照して、本発明を適用した実施形態1の植栽壁掛け1について説明する。ここで、図1は、植栽壁掛け1を右斜め上方から見た分解斜視図である。なお、図1中の上部に矢印で示す前後左右上下は、植栽壁掛け1の前後左右上下の方向を示している。図2(A)は植栽壁掛け1の正面図、(B)は(A)中のX−X線矢視図、(C)は植栽壁掛け1の背面図である。また、図3は、容器10の展開図の一例である。また、図4は、植栽壁掛け1に植物Pを植えた状態を示す、図2(B)に相当する図である。
【0037】
植栽壁掛け1は、図1,図2に示すように、箱状の容器10と、この容器10の内側に詰め込まれた表面層20と、裏面層30と、中間層40と、給水チューブ50とを備えている。
【0038】
容器10は、直方体状(箱状)に形成されていて、図1,図2に示す使用状態(壁面Fに掛けて使用されるときの姿勢)において、壁面Fに対向する対向板11と、側板12(12a,12b,12c,12d)と、縁板13(13a,13b,13c,13d)とを有している。
【0039】
対向板11は、上下方向(縦方向)に長い矩形状に形成されている。対向板1は、その使用状態において、裏面(外面)11aが壁面Fに対面している。裏面11aには、後述するスペーサ14,15が固定されている。
【0040】
側板12全体は、基端側が対向板11の周縁に沿って位置するとともに先端側が壁面Fから遠ざかる方向(前方)に延びている。すなわち、側板12全体は、4つの側板12a〜12d、つまり上の側板12a、下の側板12b、左の側板12c、右の側板12dによって構成されていて、それぞれの基端側が対向板11の上下左右のそれぞれの辺に接続されるとともに、それぞれの先端側が前方に延びるように形成されている。側板12の先端側には、壁面Fから遠ざかる方向に向けて横向き(前向き)に開口する開口部Kが形成されている。
【0041】
縁板13全体は、側板12の先端を全周にわたって額縁状に縁取るように形成されている。縁板13全体は、4つの縁板13a,13b,13c,13dによって構成されていて、それぞれ側板12a,12b,12c,12dの先端から内側に延びるように(先端を内側に向けて屈曲させるように)形成されている。4つの縁板13a〜13dは、開口部Kの開口面積を狭めている。これにより、後述するように容器10内に詰め込まれた表面層20、裏面層30、中間層40が開口部Kから脱落しないようにしている。
【0042】
上述構成の容器10は、例えば、厚さtが1〜2mm程度のステンレス等の金属板を、図3に示すような形状の展開図に切断し、その後、二点鎖線で示す部分を谷折りとして90度屈曲させることにより、図1に示す左右の幅Wが20cm、上下の高さHが30〜50cm、前後の厚さTが5cm、縁板12の幅Aが2cmの直方体の箱状に作製することができる。
【0043】
この際、相互に隣接する2枚の側板12の継ぎ目や同じく相互に隣接する2枚の縁板13の継ぎ目は、溶接することで、容器10全体が水密となるように仕上げられている。これにより、図2(B)に示す容器10の下部の縁板13bの幅Aに対応する部分には、貯水部(水受け)Bを設けることができる。この貯水部Bは、具体的には、対向板11及び左右の側板12c,12d及び左右の縁板12c,12dのそれぞれの下部に位置する部分と、下の側板12bと、側板13bとによって囲まれる領域に形成される。
【0044】
ここで、容器10は、壁面Fに掛けられて使用されることを考慮すると、幅W及び高さHに対して、厚さTを小さく設定して、全体としての重量の増加を抑制するとともに、壁掛けとして邪魔になったり、違和感を与えたりしないようにすることが好ましい。
【0045】
容器10の対向板11の裏面11aには、左右方向の中心に、スペーサ14,15が取り付けられている。スペーサ14,15は、例えば、左右方向に長い板状の金属板(ステンレス板)を屈曲させることによって作製することができる。スペーサ14,15は、対向板11の裏面11aに固定された固定部14a,15aと、この固定部14a,15aの下端から後方に延びる連結部14b,15bと、この連結部14b,15bの後端から下方に延びて壁面Fに係止される係止部14c,15cとを有している。
【0046】
さらに上のスペーサ14には、図2(c)に示すように、係止部14cに3つの係合孔14dが穿設されている。3つの係合孔14dのうちの1つは、係止部14cの左右方向の中心に穿設され、残りの2つの係合孔14dは中心から左右に振り分けた位置に穿設されている。各係合孔14dは、円形部14eとその上端に連続する、円形部14eの直径よりも幅狭な溝部14fとを有している。係合孔14dは、図2(B)に示すように、壁面Fに突設された係止具16に係合される。係止具16は、円形部14eよりもわずかに小さい直径の頭部16dと、溝部14fよりもわずかに幅狭なネック部16fとを有している。
【0047】
容器10は、スペーサ14の中央の1つの係合孔14dを使用して、壁面Fに突設された1つの係止具16に掛けられ、または左右の2個の係合孔14dを使用して、壁面Fに突設された2つの係止具16に掛けられる。上のスペーサ14の係合孔14dの円形部14eに、係止具16の頭部16eを挿入し、係合孔14dの溝部14fに、係止具16のネック部16fを引っ掛けることにより、壁面Fに取り付けられる。この状態で、下のスペーサ15の係止部15cが壁面Fに当接されて、対向板11の裏面11aと壁面Fとの間に間隙Dが形成される。この間隙Dとしては、例えば、1cm程度確保することにより、結露が発生して壁面Fを汚染することや、室内温度とは異なる壁面Fの熱が不要に容器10側に伝達されることを防止できる。これにより、容器10に植えられた植物の温度管理を、室温の調整によって行うことが可能となる。
【0048】
また、図2(C)に示すように、上のスペーサ14及び下のスペーサ15は、容器10の重心Gを挟んで略上下に振り分けて配置され、また、それぞれ左右方向に長いので、容器10を、その開口部Kを上方に向けた姿勢でスペーサ14,15の係止部14c,15cを床面や台の上面等の水平面に載せるようにすれば、上向きに植物Pを栽培する一般的な容器としても安定して使用することができる。
【0049】
表面層20及び裏面層30は、自己保持性、通気性のあるマット状の部材によって形成されている。本実施形態では、表面層20及び裏面層30は、例えば、厚さが2cm程度で、左右の幅が容器10の左右の幅Wと略同じで、上下の長さが容器10の上下の高さHの略2倍のものを使用し、上の側板12a側に折り返し部Rを設けて連続させるとことで全体で2つ折りに構成されている。
【0050】
表面層20及び裏面層30は、自己保持性、通気性を有する外に、耐水性、耐候性、耐腐食性等を有するとよい。さらに、栽培する植物Pの根Paに付いた土壌が、乾燥した状態及び水によって流動しやすい状態であってもその漏洩を防止できる性質を有するとよい。このような性質を有する素材としては、ヤシ繊維,へちま繊維等の天然繊維、合成繊維、あるいはこれらを組み合わせたものがあげられるが、環境の点からは天然繊維が好ましく、さらに、自己保持性の点からは、ヤシ繊維をマット状に形成したもの(以下適宜「ヤシマット」という。)が一層好ましい。ヤシマットは、土木工事において主に土砂の流出を防止する目的で一般的に使用されるものであり、厚さ,密度,大きさ等について種々のものが市販されている。このため、育成する植物Pにあった通気性のものや、加工性の難易、容器10の形状や大きさに応じた詰め込みやすさ、自己保持性の大小について、適宜なものを選択することが可能である。
【0051】
表面層20には、植物Pを植える部分に切り込み21を設けて、この切り込み21をめくるようにして、植物Pの根Paを通過させて、この根Paを次に説明する中間層40に配置するようにしている。
【0052】
中間層40は、保水性、通気性を有する部材によって構成されており、表面層20と裏面層30との間に、層状に挟持されている。中間層40としては、種々の土壌を使用することも可能ではあるが、水を遣ったときに流出しにくく、また、保水性に優れることを考慮すると、乾燥水蘚を使用することが好ましい。乾燥水蘚は、繊維が紐状に絡みあっていて、また、その繊維も比較的太いため、濡らした状態で1度貼り付けるとそのまま固まった状態が保持される。また、保水性、浸透性に優れている。さらに、詰め込む量やその際の圧縮状態に応じて、保水可能な保水量を調整できるため、栽培する植物Pに好適な保水量を実現しやすいという利点もある。
【0053】
具体的には、ギュッと握った状態で水に浸して取り出すと乾きやすく、逆に、軽く握った状態で水に浸して取り出すと乾きにくい。また、表面層20と裏面層30との間で挟持する際に、たくさんの量のものを圧縮して挟み込むと保水量が少なく、逆に、量を少なくして圧縮力を小さくすると保水量が多くなる。以上のような性質を有する乾燥水蘚は、植栽壁掛け1の中間層40等として最適である。
【0054】
ここで、国産の水蘚は保護されていて、大変硬化で入手がかなり困難であるため、例えば、ニュージーランド産、チリ産、中国産等のものが一般に使用される。水蘚の等級は、品質の低い順に、AA級、AAA級、AAAA級まであり、長さによって分けられているが、本実施形態で中間層40として使用する乾燥水蘚は、AA級のもので十分である。
【0055】
上述の表面層20、裏面層30、中間層40は、容器10に対して、折り返し部Rを上に向けた状態で、まず、裏面層30を、開口部Kを介して容器10内に押し込んで対向板11の内面を覆うようにして敷く。次に、裏面層30の上(表面側)に中間層40を敷きつめる。最後に、開口部Kから表面層20を押し込んで、図1に示すように、その周端縁20a,20b,20c,20dが、縁板13a,13b,13d,13eの裏面側に適度な弾性をもって係止されるようにする。これにより、表面層20、裏面層30、中間層40が開口部Kから脱落することを防止できる。
【0056】
給水チューブ50としては、例えば、ビニルチューブを使用することができ、中間層40に配設されている。給水チューブ50は、図2(A)に示すように、先端部51が閉鎖され、中間層40に配置される中間部52に水を漏洩させるための複数の切り込み53(図1(A)ではその一部を図示)が形成され、基端部54が表面層20を貫通して外側に露出されて給水口55となっている。さらに、給水チューブ50の中間部52は、中間層40における植物Pの根Paが配置される部分を囲むループ状に形成されていて、複数の切り込み53が、ループの内側及び外側に、ループに沿って複数形成されていて、切り込み53から供給される水が、中間層40における根Paの近傍に効率よく供給されるようになっている。図示例では、ループは、略円形に形成されている。なお、ループとしては、これに限定されるものではなく、例えば、2重3重の円形や、半円形、楕円形等であってもよい。
【0057】
上述構成の植栽壁掛け1に対して、以下のようにして植物Pを植える。なお、以下の説明では、表面層20及び裏面層30がヤシマットであり、また、中間層40が乾燥水蘚(水蘚)である場合を例に説明する。
【0058】
まず、対象となる植物Pを育成用のポット(不図示)から取り出し、根Paに付着している余分な土壌をふるい落とす。なお、根Paにしっかりと付着した土壌はそのままにしておく。根Paを水に浸し、その後、根Paの周りを水蘚で包む。この状態で、表面層20の切り込み21をめくるようにして、水蘚で包んだ根を中間層40に配置する。これにより、図4に示すように、茎Pbが表面層20を貫通し、植物Pは、表面層20から外側に出ている茎Pbや葉Pcが横(前方)を向いた状態で保持される。これにより、表面層20は、植物Pが植えられた中央部分が外側に(壁面Fから遠ざかる方向に)膨らんだ状態となる。給水パイプ50の位置を修正して、その中間部52が根Paの周りを囲むようにする。
【0059】
つづいて、植物Pに水を遣る。植物Pが植えられた植栽壁掛け1を、開口部Kが上を向くように横向きに水平に寝かせて置き、表面層20側から多めに水を遣る。その後、容器10を壁面Fに掛けるのと同じ縦向きに立てる。すると、中間層40に含まれなかった余分な水が表面層20を抜けて外部に排出される。再度、容器10を水平に寝かせてしばらく放置した後、再度、容器10を縦向きに立てる。この状態でしばらく放置すると、中間層40に保持されなかった余分な水が下降して、貯水部Bに溜まり、余分な水は、下の縁板13bを超えて外部に排出される。この状態で、容器10を室内の壁面Fに掛けて作業を終了する。
【0060】
こうして植栽壁掛け1に前向き(横向き)保持された植物Pは、通常では見ることのできない面白い成長をする。例えば、植物Pが蔦類である場合、成長するに連れて、茎Pbが一旦下方に延び、その後、室内の明かり等に向かって上方に反り返る。つまり、茎Pbが釣り針状に延びる。このような興趣ある形状は、開口部が上を向いた(横置きの)通常の植栽では見ることができない。
【0061】
上述の植栽壁掛け1には、植物Pの種類によって決まる日ごと、例えば、3〜4日ごとに水を遣る。この際、上述のようにして水を遣ることも可能ではあるが、この場合は、植栽壁掛け1全体を壁面Fから取り外したり、また、水遣り後に再び掛けたりといった煩雑な作業が必要となる。
【0062】
これに対し、本実施形態では、別の水遣り方法として、給水チューブ50を使用した方法が可能である。例えば、オイル挿しのような先の尖ったスポイトを使用して、給水チューブ50の給水口55から水を供給する。こうして給水チューブ50内に供給された水は、チューブ内を巡って、切り込み53から効率よく、根Paの近傍の中間層(水蘚)40に供給される。この水遣り方法によると、植栽壁掛け1を壁面Fから取り外したり取り付けたりする煩雑な作業を行うことなく、簡単に水を遣ることができる。
【0063】
以上説明した植栽壁掛け1によると、以下のような作用効果を奏する。
【0064】
表面層20及び裏面層30は自己保持性があるので、中間層40を挟持した状態で、表面層20の周端縁20a,20b,20c,20dを容器10の縁板13a,13b,13c,13dの裏面側に係止することにより、全体を、つまり表面層20と裏面層30と中間層40とを、壁面Fから遠ざかる方向に開口する開口部Kから脱落しないように保持することができる。この状態で、植物Pを、その根Paが中間層40に位置し、茎Pbが表面層20を貫通して葉Pcが前向きの開口部Kから突出するように配置することで、容器10に植物Pを前向き(横向き)に植えることができる。
【0065】
また、植物Pの根Paに土壌が付いている場合でも、土壌の付いた根Paを中間層40で包むことにより、さらに、中間層40を表面層20で覆うことにより、土壌が開口部Kから落下するのを防止できる。
【0066】
また、根Paから吸収される水は、保水性を有する中間層40に保持させることができる。また、水の量が多くて中間層40で保持しきれなくなった場合でも、容器10の下部が水密な貯水部Bとなっているので、容器10から漏洩することがない。
【0067】
このように、植栽壁掛け1は、土壌や水の漏洩を確実に防止できるので、室内の壁掛けとすることができる。また、植物Pの根Paを囲む表面層20,裏面層30,中間層40はいずれも通気性を有しているので、植物Pの根Paに十分空気を供給することができる。
【0068】
また、給水チューブ50が植物Pの根Paを囲むようにループ状に配設され、ループの内側と外側とに複数の切り込み53が形成されているので、給水チューブ50の給水口55から水を入れれば、給水された水は、複数の切り込み53から、根Paの周りの中間層40に効率よく供給される。つまり、給水チューブ50を利用することで、植栽壁掛け1を壁面Fから取り外すことなく、効率的に水を遣ることができる。
【0069】
また、表面層20と裏面層30とは、上の側板13a側の折返し部Rで折り返されて2つ折りにされているので、両者が2枚に分割されている場合と比較して、容器10内にセットされている表面層20を容器10外に引きだす際に、適度な抵抗となるため、突然全体が引き出されるようなことがない。
【0070】
また、下の側板13b側に折返し部Rを有する場合と比較して、表面層20を容器10内に詰め込む際に、表面層20を、連結された上側から順に下側に向かって押し込むことができるため、作業性を向上させることができる。
【0071】
図5は、容器10の貯水部Bに底部層41を設けた例を説明する図である。図5に示すように、容器10の側部12bの内面側(内側)、つまり貯水部Bに、保水性を有する底部層41を設けて、中間層40の下端と連続させるとよい。これにより、貯水部Bに溜まった水を底部層41によって保持することができるので、例えば、植栽壁掛け1を取り外す際に傾けたとしても貯水部Bから水がこぼれるようなことがない。さらに、底部層41は、中間層40の下端に連続されているので、底部層41に保水した水を中間層40に供給することができる。この点からも、上述のように、表面層20と裏面層30との折返し部Rは、上の側板12a側に設けるとよい。仮に、折返し部Rが下の側板12b側にあると、この折り返し部Rによって、中間層40と底部層41とが分断されるので、底部層41に保水した水を、中間層40に供給することができなくなる。なお、底部層41の材質としては、保水機能があれば、任意のもの(例えば、スポンジ)を使用することが可能であるが、中間層40を水蘚で構成する場合には、同様に水蘚で構成することが好ましい。
【0072】
上述構成の植栽壁掛け1は、全体が水密に構成されているので、図1,図2等に示す縦向きの状態から、上下を逆にしたり、あるいは上下と左右とを交換して横長に使用したりしても、下部に位置する縁板12に対応する部分に、貯水部Bを確保することができる。したがって、4つの側部12a〜12dのうちの、どの側部12が上部に位置するようにしても、土壌や水の漏洩を確実に防止することができる。
【0073】
図6(A)〜(D)は、スペーサの種々の態様を説明する背面図である。
【0074】
例えば、図6(A)に示すように、図2(C)に示す下のスペーサ15に代えて、上のスペーサ14と同様の、係合孔14dを有するスペーサ14Aを、重心Gに対して、上のスペーサ14と対称な位置に固定する。これにより、容器10は、側部12a側と側部12b側のいずれを上に向けた縦向きでも同様に使用することができる。
【0075】
また、例えば、図6(B)に示すように、スペーサ14と同様に、スペーサ14B,14Cを、それぞれ長手方向が側部12c,12dと平行になるように、重心Gに対して振り分けて固定すれば、植栽壁掛けを横向きで、かつ上下を逆にしても同様に使用することができる。
【0076】
上述の植栽壁掛け1においては、容器10の大きさが大きくなるに連れて、貯水部(水受け)の大きさを大きくして、貯水量を多くすることが好ましい。上述では、貯水部Bの深さに相当する縁板13bの幅Aを2cmとしたが、例えば、幅Wが20cm、高さHが50cm、厚さTが5cmの容器10においては、縁板13bの幅Aを4cm、つまり、貯水部Bの深さを4cmにして貯水量を多く確保するようにするとよい。
【0077】
上述では、植栽壁掛け1を壁面Fに掛けて観賞する例を説明したが、これに代えて、イーゼル(デッサンなどで使用するスタンド)などのスタンドに掛けて、観賞するようにしてもよい。
【0078】
次に、スペーサの変形例について説明する。
【0079】
図6(A)に示す例では、図1に示す下のスペーサ15に代えて、上のスペーサ14と同形の、係合孔14dを有するスペーサ14Aを対向板11の裏面11aに固定している。下のスペーサ14Aは、上のスペーサ14とは、上下を逆にして固定している。これにより、容器10全体を、上下を逆にしても使用することができる。このように構成すれば、容器10を上下逆さにすることで、同じ植物Pであっても、異なる態様として観賞することができる。
【0080】
図6(B)に、容器10を横に倒して横長で使用する例を示す。容器10を横に倒して、その長手方向が横方向(水平方向)を向くようにし、対向板11の裏面11aに、図6(A)のスペーサ14,14Aと同様のスペーサ14B,14Cを、その長手方向が横を向くようにして固定する。この例によると、正面形状が矩形の容器1を横長で使用することができる。なお、図6(A)に示すスペーサ14,14Aと、図6(B)に示すスペーサ14B,14Cとの合計4つを対向板11の裏面11aに固定すれば、植栽壁掛け1は、4つの側部12a〜12dのうちのいずれが上部に位置する向きでも同様に使用することができる。
【0081】
また、例えば、図6(C)に示すように、図6(B)のスペーサ14B,14Cに代えて、それぞれの両端に位置する係合孔14gに、それぞれ外側を向いた溝部14hを追加したスペーサ14D,14Eを使用すれば、スペーサ14Dの右端の係合孔14gとスペーサ14Eの右端の係合孔14gのそれぞれの溝部14hを使用することで、側部12a側を上にした縦向きに取り付けることができる。さらに、この逆に、スペーサ14Dの左端の係合孔14gとスペーサ14Eの左端の係合孔14gのそれぞれの溝部14h(不図示)を使用することで、側部12b側を上にした縦向きに取り付けることができる。
【0082】
以上の説明では、容器10の正面形状が矩形である場合を例に説明したが、矩形に限らず、正方形,三角形,六角形,八角形等の任意の角型、さらには、角型に限らず、円形,楕円形、ハート形、さらにはこれらを組み合わせた形状とすることができる。なお、容器10の正面形状が正方形である場合には、例えば、図6(D)に示すように、対向板11の裏面11aに、図6(A)のスペーサ14と同様にスペーサ14を、重心Gを囲む正八角状に8個、固定することにより、側部12a〜12dのうちの任意の側部が上方に位置するように壁面Fに掛けることができる上、さらに、これらから45度傾斜させた状態でも掛けることができ、見た目を大きく変化させることができる。ただし、正面形状が矩形以外の場合には、これらの形状に合わせて表面層20,裏面層30,中間層40を構成するものとする。
【0083】
また、以上では、容器10において、側板12が対向板11に対して、直角に前方に延びる例を説明したが、これに代えて、所定の角度をもって前方に延びるように構成することも可能である。例えば、所定の角度を90度を超えるように設定して側部12が外側に傾斜するようにすれば、容器10を前広がりに構成することができ、逆に、90度未満に設定して側部12が内側に傾斜するようにすれば、容器10を前狭まりに構成することができる。
【0084】
上述では、容器10は、金属板を使用して水密に構成する例を説明したが、容器10の材質としては、水密に構成することが可能であるのを条件に、金属板の外に、合成樹脂,防水加工を施した木材等、他の任意の材質を使用することも可能である。ただし、室内の壁掛けとして使用することを考慮すると、軽くて丈夫で、インテリアとして見栄えがいいものが好ましい。
<実施形態2>
【0085】
図7〜図9を参照して、本発明を適用した実施形態2の植栽壁掛け2を説明する。このうち、図7は、4個のユニットUを容器10に詰め込んで構成した植栽壁掛け2を右斜め上方から見た斜視図である。なお、図7では、給水チューブ50及び切り込み62bの図示は省略している。図8は、ユニットUを説明する斜視図である。図9は、ボックス60の展開図である。
【0086】
実施形態1では、容器10に対して、表面層20,裏面層30,中間層40を個別に詰め込む例を説明したが、本実施形態2では、これに代えて、表面層20,裏面層30,中間層40をあらかじめユニット化し、このユニットUに植物Pを植えた状態で、容器10に嵌め込む例を説明する。なお、以下の説明では、図7に示すように、容器10は、その正面形状が正方形で、左右の幅W及び上下の高さHが20cmであり、前後の厚さTが5cmである場合、さらに、表面層20及び裏面層30がヤシマットで構成され、中間層40が水蘚で構成されている場合を例に説明する。
【0087】
ユニットUは、図8に示すように、ボックス60と、中間層40と、給水チューブ50とによって構成されている。ボックス60は、ヤシマットMを、例えば、図9に示す展開図の形状に切断し、二点鎖線で示す部分を谷折りにして屈曲させて、必要に応じて隣接する壁部を縫い合わせることにより、壁部61〜65と、これら壁部61〜65によって構成された開口部Lと、この開口部Lを閉鎖する開閉自在な扉66とによって構成されている。ボックス60の内側には、直方体状の空間が形成されていて、この空間には、中間層(水蘚)40が充填されている。このボックス60においては、壁部62が表面層20に対応し、また、壁部63が裏面層30に対応している。壁部62には、開口部Lから奥側に延びる切り込み62aが形成され、また、給水チューブ50の、給水口55を有する基端部54を貫通させるための切り込み62bが形成されている。なお、給水チューブ50としては、実施形態1の給水チューブ50と同様のものを使用することができる。植物Pは、茎Pbが切り込み62aに挿入されることで、その根(不図示)が中間層40に配置され、葉Pcが壁部62から前向きに突出するように配置される。
【0088】
ユニット60は、扉66を閉じた状態で、容器10の開口部Kから内側に詰め込まれる。図示例では、それぞれのユニットUが、その長手方向を左右方向に向け、かつ、植物Pを前方に向けた状態で、容器10内に、上下方向に4個並べて詰め込まれている。
植栽壁掛け2は、本実施形態においても、土壌や水の漏洩を確実に防止することができるので、室内の壁掛けとして使用することができる。
【0089】
さらに、本実施形態の植栽壁掛け2によると、ユニットUごとに、成長具合の異なる同種の植物Pを植えたり、色や形状の異なる種類の植物Pを植えたりすることで、植物Pの種々の変化を楽しむことができる。また、ユニットUの位置を交換することによっても簡単に、植物P全体のようすを変えることができる。さらに、例えば、植物Pが枯れた場合には、その枯れた植物PのユニットUのみを交換し、他のユニットUはそのまま使用することができるので交換作業が容易で、また経済的である。
【符号の説明】
【0090】
1 実施形態1の植栽壁掛け
2 実施形態2の植栽壁掛け
10 容器
11 対向板
12 側板
12a 上の側板
12b 下の側板
12c 左の側板
12d 右の側板
13 縁板
13a 上の縁板
13b 下の縁板
13c 左の縁板
13d 右の縁板
14,14A〜14E スペーサ
16 係止具
20 表面層
20a,20b,20c,20d 表面層の周端縁
21 切り込み
30 裏面層
40 中間層
40a 中間層の下端
41 底部層
50 給水チューブ
51 給水チューブの先端部
52 給水チューブの中間部
53 切り込み
54 給水チューブの基端部
55 給水口
B 貯水部
D 間隙
F 壁面
G 重心
K 開口部
P 植物
Pa 植物の根
Pb 植物の茎
Pc 植物の葉
R 折り返し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に掛けて使用可能な植栽壁掛けにおいて、
箱状に形成されるとともに前記壁面に掛けられた使用状態において、前記壁面に対向する対向板と、基端側が前記対向板の周縁に沿って位置するとともに先端側が前記壁面から遠ざかる方向に延びる側板と、前記側板の先端側に形成された開口部と、前記側板の先端から内側に延びて前記開口部を狭める縁板とを有し、前記対向板と前記側板と前記縁板のうちの少なくとも下部に位置する部分が水密な貯水部を構成する容器と、
自己保持性、通気性を有し、周端縁が前記縁板の裏面側に係止されて前記開口部を閉鎖するマット状の表面層と、
自己保持性、通気性を有し、前記表面層の裏面側に配設されるマット状の裏面層と、
保水性、通気性を有し、前記表面層と前記裏面層との間に挟持される中間層と、を備えた、
ことを特徴とする植栽壁掛け。
【請求項2】
前記表面層は、前記中間層への植物の根の通過を可能とする切り込みを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の植栽壁掛け。
【請求項3】
前記中間層に水を供給する給水チューブを有し、
前記給水チューブは、先端部が閉鎖され、前記中間層に配置される中間部に水を漏洩させるための切り込みが形成され、基端部が前記表面層を貫通して外側に露出されて給水口となる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の植栽壁掛け。
【請求項4】
前記給水チューブは、前記中間部が、前記中間層における前記植物の根が配置される部分を囲むループ状に配置されるとともに、前記切り込みが、前記ループの内側及び外側に形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の植栽壁掛け。
【請求項5】
前記容器は、直方体状に形成され、前記側板が、上の側板と下の側板と左の側板と右の側板とによって構成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の植栽壁掛け。
【請求項6】
前記表面層と前記裏面層とは、前記上の側板側の折り返し部で連結されていて、2つ折りで配設されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の植栽壁掛け。
【請求項7】
前記下の側板の内面側に、前記中間層の下端につながるように、保水性を有する底部層が配設されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の植栽壁掛け。
【請求項8】
前記容器は、前記対向板における前記壁面に対面する面に、前記対向板と前記壁面との間隙を確保するスペーサを有する、
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の植栽壁掛け。
【請求項9】
前記スペーサの一部に、前記壁面に突設された係止具に係合される係合孔を有する、
ことを特徴とする請求項8に記載の植栽壁掛け。
【請求項10】
前記スペーサは、前記容器を前記開口部が上方を向くように載置面に載置する際に、前記容器を安定的に保持する位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の植栽壁掛け。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−87479(P2011−87479A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−241751(P2009−241751)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【出願人】(509290913)
【Fターム(参考)】