説明

植物体抽出成分を含む衛生材料。

【課題】近年、たとえ効果は充分高くなくても簡便、有効な局所投与で有効な抗菌物の緊急開発が要請されているが、各種感染症の発症を未然に防止し、発症後もその症状のすみやかな改善を果たす簡便な衛生材料を提供することを課題とする。
【解決手段】伝統的和漢薬のうち(1)タデ科植物アイ(2)アブラナ科のIsatis tinctoria L.(3)タイセイ(4)キツネノマゴ科のリュウキュウアイ(5)トウダイグサ科の山藍の少なくとも1種またはそれらの2種以上の葉、実、茎および根をそれぞれ単独または混合、発酵工程を経過、または非経過の後、混合、粉砕、熱水抽出、濾過、濃縮、乾燥したものの混合物を適宜溶解した溶液で感染発症危険部位を噴霧、洗浄後、当該液をガーゼ、脱脂綿、生理用ナプキン、タンポンなどに発症の前、当該液を含侵させた衛生材料を接触せしめる。又その当該液、噴霧液および当該液を含侵する衛生材料を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝統的和漢薬として古くから多くのグラム陰性および陽性菌ほか各種感染微生物の感染に起因する諸感染症状の改善薬や、解熱解毒薬として広く臨床応用されてきたタデ科(Polygonaceae)植物アイ(Polygonum tinctorium AIT.)ほか関連植物体抽出成分を含む洗浄液、噴霧液、衛生材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年諸国間の政治経済的交流の活発化にともない所謂新興再興感染症の発症頻度が高まり、また同症状の重篤化傾向がみられるようになったため有効かつ適確な対策が早急に求められている。すなわち近年各種感染症の原因微生物が、以前有効であった各種抗生物質、合成抗菌剤、抗ウィルス剤に対する抵抗性を確保してきたため、疾病治療に支障をきたしているが、さりとて新規の抗生物質、抗菌剤、抗ウィルス剤の開発には莫大な研究開発費と非常に長い研究年月が必要であるため当面の課題解決に間に合わず米国国立アレルギー感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious Diseases, NIAID)世界保健機構(World Health Organization, WHO)国際連合(United Nations, UN)、各国政府は大変苦慮し、たとえ効果は充分高くなくても簡便、有効な局所投与で有効な抗菌物(Topical Microbicide)の緊急開発を強く要請している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記状態を可及的早急に解決するため、伝統的和漢薬を最新医学薬学的手法で再度精査し、各種感染症の発症を未然に防止し、発症後もその症状のすみやかな改善を果たす簡便な洗浄液、噴霧液、衛生材料を提供することにより人々の生活の質(Quality of Life)の向上ひいては医療費削減に貢献することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記課題を解決すべく伝統的和漢薬を最新の医学薬学的研究手法を用い鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、(1)タデ科(Polygonaceae)植物アイ(Polygonum tinctorium Aiton.(2)アブラナ科(Cruciferae)のIsatis tinctoria L.(3)タイセイ(Isatis indigotica Fortune)(4)キツネノマゴ科(Acanthaceae)のリュウキュウアイ(Strobilanthes cusia O. Kuntze(=Baphicacanthes cusia Bremek; Strobilanthes flaccidifolius Nees)(5)トウダイグサ科の山藍(Mercurialis leiocarpa Siebold)の少なくとも1種またはそれらの2種以上の葉、実、茎および根をそれぞれ単独または混合、発酵工程を経過、または非経過の後、混合、粉砕、熱水抽出、濾過、濃縮、乾燥したものの混合物を適宜溶解した溶液(以下、当該液と称す)で局所を洗浄、噴霧液を噴霧、当該液をガーゼ、脱脂綿、生理用ナプキン、タンポンなどに疾患発症の前(長期間、短期間を問わず)当該液を含侵させた衛生材料を接触せしめ発症を未然に防ぐ安全で有効な手段が提供される。
【発明の効果】
【0005】
本発明の伝統的和漢薬成分を含侵した水溶液(以下、当該液と称す)その噴霧液または衛生材料(以下、当該衛生材料と称する)で体表の感染危険部位を洗浄し、同部位に当該衛生材料を接触させておくと感染発生を抑制することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明で用いる(1)タデ科(Polygonaceae)植物アイ(Polygonum tinctorium AIT.(2)アブラナ科(Cruciferae)のIsatis tinctoria L.(3)タイセイ(Isatis indigotica Fortune)(4)キツネノマゴ科(Acanthaceae)のリュウキュウアイ(Strobilanthes cusia O. Kuntze(=Baphicacanthes cusia Bremek; Strobilanthes flaccidifolius Nees) (5)トウダイグサ科の山藍(Mercurialis leiocarpa Siebold)の少なくとも1種またはそれらの2種以上の葉、実、茎および根をそれぞれ単独または混合、発酵工程の経過、非経過した後、混合、粉砕、熱水抽出、濾過、濃縮、乾燥したものは単独で有効であるが、好ましくはそれぞれの少なくとも2種以上の混合物の形態で用いることによりその効果は一層向上する。
これらの混合物(以下、当該液と称す)で体表面の感染発症部位を洗浄し、噴霧投与し、さらに当該液を含侵したガーゼ、脱脂綿、生理用ナプキン、タンポンなど衛生材料を疾患発症の前(長期間、短期間を問わず)体表面上の当該部位に接触させることにより原因微生物数を低下せしめ、症状の寛快が提供される。
【0007】
本発明の上記伝統的和漢薬成分を含侵した水溶液(以下、当該液と称す)または衛生材料(以下、当該衛生材料と称す)は、感染発生の有無にかかわらず感染発生の危険性ある事態発生の前後、局所を当該液で洗浄、当該衛生材料を局所に1日数回投与される。その一回の投与量は各成分の純度、症状の程度により被投与者が症状改善を見つつ適宜調節、投与反復するものとする。
【0008】
本発明の伝統的和漢薬成分を含侵した水溶液(以下、当該液と称す)噴霧液または衛生材料(以下、当該衛生材料と称する)を医学実験書記載「抗菌活性試験」にかけ抗菌試験を実施した結果、当該液で体表面を洗浄、噴霧、当該衛生材料を接触させると当該部位での感染が抑制されることが判明した。
【0009】
本発明の伝統的和漢薬成分を含侵した水溶液(以下、当該液と称す)噴霧液または衛生材料(以下、当該衛生材料と称する)をヒト健常有志に対し以下の方法で試験した。
試験参加者:試験参加に書面で賛同した健常人20名を選び、無作為的に2群に分け、当該液で体表感染部位を1日2回噴霧洗浄し、同部位に当該衛生材料を3日間接触、感染状況を目視判定した。
その結果、当該液で局所を噴霧、洗浄、体表面上の同部位に当該衛生材料を接触させると感染発症の抑制が認められた。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝統的和漢薬である(1)タデ科(Polygonaceae)植物アイ(Polygonum tinctorium Aiton.(2)アブラナ科(Cruciferae)のIsatis tinctoria L.(3)タイセイ(Isatis indigotica Fortune)(4)キツネノマゴ科(Acanthaceae)のリュウキュウアイ(Strobilanthes cusia O. Kuntze(=Baphicacanthes cusia Bremek; Strobilanthes flaccidifolius Nees)(5)トウダイグサ科の山藍(Mercurialis leiocarpa Siebold)の少なくとも1種またはそれらの2種以上の葉、実、茎および根をそれぞれ単独または混合、発酵工程を経過、または非経過の後、混合、粉砕、熱水抽出、濾過、濃縮、乾燥したものの混合物を適宜溶解した溶液(以下、当該液と称す)、その噴霧剤。
【請求項2】
伝統的和漢薬である(1)タデ科(Polygonaceae)植物アイ(Polygonum tinctorium Aiton.(2)アブラナ科(Cruciferae)のIsatis tinctoria L.(3)タイセイ(Isatis indigotica Fortune)(4)キツネノマゴ科(Acanthaceae)のリュウキュウアイ(Strobilanthes cusia O. Kuntze(=Baphicacanthes cusia Bremek; Strobilanthes flaccidifolius Nees)(5)トウダイグサ科の山藍(Mercurialis leiocarpa Siebold)の少なくとも1種またはそれらの2種以上の葉、実、茎および根をそれぞれ単独または混合、発酵工程を経過、または非経過の後、混合、粉砕、熱水抽出、濾過、濃縮、乾燥したものの混合物を適宜溶解した溶液(以下、当該液と称す)その噴霧液、および当該液を含侵させたガーゼ、脱脂綿、生理用ナプキン、タンポンなど各種衛生材料



【公開番号】特開2007−302623(P2007−302623A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133952(P2006−133952)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(306021789)株式会社 先端医科学研究所 (1)
【Fターム(参考)】