説明

植物性医薬または補助食品の追加の医療用途

本発明は、本質的に4種類の植物性薬物からなり、場合により賦形剤を配合した植物性医薬または補助食品の追加の医療用途に関する。使用する植物性原料、植物性薬物または植物性成分は、それぞれ下記の属の種に由来する:(a)シリブム(Silybum);(b)アストラガラス(Astragalus)またはヘディセイラム(Hedysarum);(c)サルビア(Salvia);および(d)シサンドラ(Schisandra)。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、肝疾患、たとえばHCV関連の肝疾患、HBV関連の肝疾患、または薬物乱用、アルコール中毒により、もしくは糖尿病の結果として起きる肝疾患に罹患している患者の処置に使用するための、植物性医薬または補助食品に関する。より詳細には、本発明は、本質的に4種類の植物性薬物からなり、場合により賦形剤を配合した、植物性医薬の使用に関する。
【0002】
詳細には、本発明は特許請求の範囲に記載した組成物が、本出願人による先きの出願PCT/GB2005/000559(出願時には未公開)に開示した抗ウイルス活性のほかに、またはその代わりに、さらに下記のものとしての有望性を示すことを示唆する活性を臨床試験で示したという所見に関連する:
1.インターフェロンおよびリボバリン(ribivarin)(または他の免疫調節薬/抗ウイルス薬の組合わせ)による療法に対する補助療法として使用するための候補;
2.インターフェロンおよびリボバリン(または他の免疫調節薬/抗ウイルス薬の組合わせ)処置に応答しない患者の処置に使用するための候補;
3.HCVまたはHBV関連の肝疾患の独立処置に有効な候補;
4.アルコール肝を処置するための候補;
5.脂肪肝を処置するための候補。
【0003】
発明の背景
本発明者らは、本質的に4種類の植物性薬物からなる植物性医薬を開発した。通常と異なり、それらはシリブム属(Silybum)(西洋薬草)の抽出物およびわずか3種類の中国薬草を含む。本発明者らは、このように原産ではない薬草の組合わせは特に異例であると考える。
【0004】
本出願人による先きの出願PCT/GB2005/000559(この文書を本明細書に援用する)中で、この植物性医薬がレプリコンアッセイにおけるその活性(例3)に基づいて、C型肝炎の症状の緩和および原因となるC型肝炎ウイルスの活性阻害に有益であることを示した。
【0005】
定義
本明細書においては、米国厚生省、食品医薬品局、薬物評価研究センター(CDER)、2000年8月産業指針植物医薬製剤(Guidance for Industry, Botanical Drug Products)から採用した下記の定義を使用する:
有効成分:植物性の原料、薬物または医薬製剤において、意図する薬理活性または療法効果に寄与する化学成分。
【0006】
植物製品(Botanical Products、Botanical):植物材料(後記を参照)、藻類、肉眼で見える菌類、またはこれらの組合わせを含めた植物性物質を含有する、ラベルを付けた最終製品。植物製品は、一部はその意図する用途に応じて、食品、医薬、医療用具、または化粧品の場合がある。
【0007】
植物医薬製剤;植物医薬(Botanical Drug Products;Botanical Drug):医薬として使用するための植物製品;植物性薬物から製造した医薬製剤。植物医薬製剤は、液剤(たとえば茶)、散剤、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤および局所製剤など、多様な剤形で得られる。
【0008】
植物性薬物(Botanical Drug Substance):1種類以上の植物、藻類、または肉眼で見える菌類に由来する、薬物。それは植物性原料から、下記のうち1以上の方法で調製される:粉砕、煎出、圧出、水抽出、エタノール抽出、またはこれらに類する他の方法。それは、粉末、ペースト、濃縮液、ジュース、ガム、シロップ、または油など、多様な物理的形態で得ることができる。植物性薬物は、1種類以上の植物性原料から調製できる(単一薬草型および多薬草型の植物性薬物または植物性製品を参照)。植物性薬物には、天然源に由来する高度に精製された物質または化学修飾された物質は含まれない。
【0009】
植物性成分:植物性原料に由来する植物性薬物または製品の成分。
植物性原料:新鮮な、もしくは加工した(たとえば清浄処理、凍結、乾燥、またはスライスした)単一植物種の一部、または新鮮な、もしくは加工した藻類もしくは肉眼で見える菌類。
【0010】
クロマトグラフィーフィンガープリント:バッチの同一性および品質ならびにバッチ間の一貫性を確認するための基準試料または標準品に対して定性的および定量的に一致した、植物性原料または植物性薬物のクロマトグラフィープロフィール。
【0011】
補助食品(Dietary Supplement):[A]食事を補助することを意図した製品(タバコ以外)であって、下記の食物成分のうち1以上を保有または含有するもの:(A)ビタミン;(B)無機質;(C)薬草その他の植物;(D)アミノ酸;(E)全食物摂取量を増加させることにより食事を補助するためにヒトが使用する食物;または(F)項目(A)、(B)、(C)、(D)もしくは(E)に記載したいずれかの成分の濃縮物、代謝産物、構成要素、抽出物もしくは組合わせ;(2)下記のものを意味する:(A)[FD & C法令の]セクション411 (c) (1) (B) (i)に記載された形で摂取することを意図した製品;またはセクション411 (c) (1) (B) (ii)に適合する製品;一般的な食品として、または食物もしくは食事の単独アイテムとして使用するために提供されるものではない製品;および補助食品と表示された製品;ならびに(3)下記のものを含む:(A)米国公衆衛生総局法(Public Health Service Act)(42.U.S.C.262)セクション505のもとで新薬として承認された品目、またはセクション351のもとで生物製剤として認可された品目であって、その承認、認証または認可以前に、補助食品として、もしくは食品として市販されていた品目;通告およびコメントの後に、その品目をその補助食品のラベルに示した使用条件および用量で補助食品としてまたは補助食品中に使用した場合はセクション402(f)のもとで違法であることを示す規約を[FDA]が発行している場合を除く;(B)下記のものを含まない:(i)米国公衆衛生総局法(42.U.S.C.262)セクション505のもとで新薬として承認された品目、セクション507のもとで抗生物質として承認された品目、もしくはセクション351のもとで生物製剤として認可された品目;または(ii)研究のために新規な薬物、抗生物質もしくは生物製剤として許可された品目であって、それに対する実質的な臨床研究が行われており、かつそれについてそのような研究の存在が公表されており、その承認、認証、認可もしくは許可以前に、補助食品または食品として市販されていなかった品目;通告およびコメントの後に、その品目が米国公衆衛生総局法(21. U.S.C. 321(ff))のもとで適法あることを示す規約を[FDA]がその判断において発行している場合を除く。
【0012】
剤形:医薬成分(薬物)を、一般に賦形剤と共に(必須ではない)含有する医薬製剤のタイプ、たとえば錠剤、カプセル剤、液剤。
医薬(Drug):下記のものを意味する:(A)公定米国薬局方、公定米国ホメオパシー薬局方、もしくは公定国民医薬品集、またはそれらのいずれかに対する補足において認められた品目;および(B)ヒトまたは他の動物において疾患の診断、治癒、緩和、治療または予防に使用することを意図した品目;および(C)ヒトまたは他の動物の身体の構造またはいずれかの機能に影響を与えることを意図した品目(食品以外);および(D)項目(A)、(B)または(C)に特定した品目のいずれかの成分として使用することを意図した品目。[FD & C法令の]セクション403(r)の要求に従ってセクション403(r)(1)(B)および403(r)(3)、または403(r)(1)(B)および(r)(5)(D)による効能書きがなされている食品または補助食品は、ラベルまたは表示にそのような効能書きが含まれるという理由だけで、医薬ではない。セクション403(r)(6)に従って誤解を生じない真実の記述がなされている食品、食物成分または補助食品は、ラベルまたは表示にそのような効能書きが含まれるという理由だけで、項目(C)の医薬ではない(21 U.S.C. 321(g)(1))。
【0013】
薬物(Drug Substance):疾患の診断、治癒、緩和、治療または予防に際して薬理活性もしくは他の直接作用を及ぼすことを意図した、または人体の構造またはいずれかの機能に影響を与えることを意図した、有効成分(21 CFR 314.3(b))。
【0014】
医薬製剤(Drug Product):市販を意図した最終的な直接包装がなされた剤形。
食品:食品という用語は、(1)食品または飲料として使用する品目、(2)チューインガム、および(3)それらの品目の成分として使用する品目を意味する(21 U.S.C. 321(f))。
【0015】
配合:その剤形の成分(component、ingredient)および組成を列記した処方。多薬草型の植物性薬物の成分および組成は、全配合の一部となるはずである。
マーカー:植物性の原料、薬物または医薬製剤の化学成分であって、特に有効成分が未知または未同定である場合に、同定および/または品質管理の目的で用いられるもの。
【0016】
多薬草型の(植物性)薬物または医薬製剤:それぞれが植物性成分と考えられる1種類より多い植物性原料に由来する、植物性の薬物または医薬製剤。多薬草型の植物性薬物は、2種類以上の植物性原料を一緒に処理することにより、またはそれらの対応する原料から個別に処理した2種類以上の単一薬草型の植物性薬物を組み合わせることにより、調製できる。後者の場合、剤形の加工プロセス中に単一薬草型の植物性薬物を同時にまたは異なる段階で導入することができる。
【0017】
植物材料:植物または植物の一部(たとえば樹皮、木部、葉、幹、根、花、果実、種子、漿果、またはその一部)および浸出物。
単一薬草型の(植物性)薬物または医薬製剤:1種類の植物性原料に由来する、植物性の薬物または医薬製剤。したがって、単一薬草型の薬物または製剤は一般に1種類の植物性成分のみを含有する。
【0018】
さらに、用語:
本質的に・・・・からなるは、植物性原料およびそれらの誘導体の存在のみを表わすものとし、たとえば配合物中に用いる賦形剤の存在は除外される;
処置は、症状の軽減および/または病因に対する活動の両方を表わすものとする。
【0019】
本発明組成物は、西洋薬草と少数(わずか3種類)の中国薬草の組合わせを含むという点で異例である。
伝承漢方薬(Ttaditional Chinese Medicine、TCM)において、HCV感染は身体に下記の病理学的変化をもたらすとみなされる:
− 毒素および熱の血中蓄積;
− 気(生命エネルギー)および体液の消耗;
− うっ血;ならびに
− 肝臓および脾臓の機能傷害。
【0020】
これらの多様な観点に対処するために、例えば、HCV処置のための既存の植物性TCM配合物は、通常は一般に10種類以上の多数の成分を含む。実用のためには、療法効果を全く損なうことなく植物性成分または植物性薬物の数を最小限に抑えることが望ましくかつ有利であることは、明らかであろう。
【0021】
西洋薬草と中国薬草のこの特異な組合わせは、これまで知られていなかった安全性および有効性の成果を伴う。
例えば、下記に教示されるように、先行技術はもちろん西洋薬草シリブム属(Silybum)単独での使用について述べている:
Rodriguez-Perez, et al: ”慢性C型肝炎を伴うラテンアメリカ系患者のウイルス負荷に対するシリブム・マリアナム(オオアザミ)の作用”, American Journal of Gastroenterology, Vol 97, No. 9。これは、シリブム・マリアナムがC型肝炎ウイルスに対する炎症反応に保護効果をもつ可能性があることを教示している。この想定は、この薬草を摂取している対象に肝酵素の増加がないという所見に基づいていた。測定された酵素はASTおよびASLであった。
【0022】
Chavez, Mary, ”ミルクシスル(milk thistle)でC型肝炎の治療?”, Journal of Herbal Pharmacotherapy, Vol 1, No3, P.79-90。この報文には、多様な慢性疾患を伴う患者について多数の研究が示されている。それは、軽度のアルコール性肝疾患(ASTおよびALTレベルの上昇により証明)を伴う患者についての1研究で、シリマリン(silymarin)治療によりこれらの酵素レベルが有意に変化したと述べている。生検により肝硬変が確認された患者についての他の研究で、シリマリンで治療した患者はより長く生存した。
【0023】
重要な点は、この報文が”慢性C型肝炎の治療におけるシリマリン使用を支持する現在の科学的証拠は疑わしい・・・ミルクシスル抽出物はウイルス負荷を低下させない”と注釈することにより結論を出している点である。
【0024】
Fogden et al, ”代替医薬と肝臓”, Liver International 2003年8月1日, Vol 23, no 4は、シリマリンが抗炎症活性をもつため肝胆道系疾患の治療に使用されることを教示している。アルコール関連の肝疾患および肝硬変に対するそれの効果も記載されているが、その証拠、たとえば生存または生化学的変数に対する効果は混乱しているという注釈が続く。
【0025】
このようにシリマリウム(Silymarium)は単独で用いられており、結果は混乱しているが、多くの有益性をもたらす可能性をもつ製品が明らかに求められている。
Fogdenらは薬草混合物の使用も示しており、その大部分は多数の薬草を含む特に複雑なものである。
【0026】
このことは、西洋医薬の開発にとって下記の問題点を提起する:
・品質管理/標準化、および
・薬物相互作用(および安全性)。
【0027】
本発明は、西洋薬草を限られた数の中国薬草と組み合わせるという点で異例である。そのような組合わせは平均的な当業者に自明ではない。
漢方薬においては、比較的多数の薬草を使用するのが通例である。たとえば代表例は下記のものである:
CN 1,071,581A5:これは、サルビア・ミルチオリザ(丹参)(Salvia miltiorrhiza)、アストラガラス・メンブラナセウス(黄耆)(Astragalus membranaceus)およびマグノリア・バイン(magnolia vine)を含めた7種類の薬草を含有する抗肝炎薬を記載している;
CN 1,371,713A:これは、サルビア属の根、アストラガラス属の根およびシサンドラ属(Schisandra)のベリーを含めた12種類の薬草の組合わせを開示している;
CN 1,393,255A(要約);これは、アストラガラス属の根およびコウオウカ(紅黄花)(red sage)の根を含めた19種類の漢方薬材料を組み合わせている;
CN 1,166,342A5;これは、コウオウカ(紅黄花)を含めて名称が挙げられた5種類の薬草および名称が挙げられていない多数の”他の”薬草を開示している;
WO 02/32444Aは、15成分の製品を開示し、それらのうち4種類の主成分にシサンドラ属が含まれる。この文書は、関連技術の考察に際して他の中国薬草組成物に言及し、それにはトランスアミナーゼのレベルを低下させるためのGandezhi(肝得治)、すなわちスカテラリア属(Scutellaria)の根(オウゴン、黄岑)およびサルビア属の根を含有するカプセル剤、ならびにWurzi、すなわちGTPレベルを低下させるためのシサンドラ属果実抽出物が含まれる。
【0028】
他の先行技術には下記のものが含まれる:
CN 1053225;これは、シサンドラ属果実を含めた薬草12種類の医薬を開示している;
CN 1151312;これは、シサンドラ属果実を含めた薬草10種類の医薬を開示している。
【0029】
したがって、先行技術は一般に複雑な中国薬草混合物を含む。西洋薬草を限られた数の中国薬草と組み合わせるという示唆、およびそのような組合わせが安全かつ有効であるという実際の指摘は、当技術分野にはない。開示するように、少量の液体中に懸濁液を形成すべく配合できる製品の製造のために配合されたものはもちろんである。
【0030】
意外にも本発明者らは、4つの植物種のみの組合わせがC型肝炎ウイルスに対する活性を示し、さらに臨床試験において一次転帰、二次的尺度に関して活性を示し、かつ良好な安全性プロフィールを示すことを見いだした。この特異な組合わせに対する、より広範な医療用途の基礎をなすのは、これらの臨床所見である。
【0031】
発明の概要
本発明の第1観点によれば、本質的に、下記のそれぞれに由来する植物性原料、植物性薬物または植物性成分:
(a)シリブム・マリアナム(オオアザミ)(Silybum marianum)の果実;
(b)アストラガラス・メンブラナセウス・バル・モンゴリカス(内蒙黄耆)(Astragalus membranaceus var mongholicus)またはヘディセイラム・ポリボツリス(多序岩黄耆)(Hedysarum polybotrys)の根;
(c)サルビア・ミルチオリザ(丹参)(Salvia miltiorrhiza)、サルビア・ボウレヤナ(南丹参)(Salvia bowleyana)またはサルビア・プルゼワルスキー(紫丹参)(Salvia przewalskii)の根;および
(d)シサンドラ・チャイネンシス(朝鮮五味子)(Schisandra chinensis)またはシサンドラ・スフェナンテラ(南五味子)(Schisandra sphenanthera)の果実
からなる植物性医薬または補助食品の、下記のうち1以上の治療または予防に用いる医薬の製造における使用が提供される:
i)B型肝炎ウイルス関連の肝臓炎症;
ii)アルコール中毒関連の肝臓炎症;
iii)肝臓関連の代謝障害:たとえば糖尿病およびメタボリックシンドロームXを含む;
iv)脂肪肝;
v)インターフェロン/リボバリンなどの免疫調節薬/抗ウイルス薬併用療法に不応答である患者の処置;
vi)インターフェロン/リボバリンなどの併用療法に対する補助療法として;
vii)HCV関連の肝疾患;
viii)肝炎、線維症、硬変または肝細胞癌;
ix)化学療法に関連して増大した肝酵素レベルを低下させるための処置。
【0032】
シリブム・マリアナム(オオアザミ、マリアアザミ)の果実は、TCMにおいてSui Fei Ji(水飛薊)、西欧ではミルクシスル果実として知られている。
アストラガラス・メンブラナセウス・バル・モンゴリカス(内蒙黄耆、ナイモウオウギ)の根は、TCMにおいてHuang Qi(黄耆、オウギ)、西欧ではアストラガラス根として知られている。ヘディセイラム・ポリボツリス(多序岩黄耆、タジョイワオウギ)の根は、TCMにおいてHong Qiとして知られている。本明細書に開示するアストラガラス属種およびヘディセイラム属種は、TCMにおいて互いに交換使用できる。
【0033】
サルビア・ミルチオリザの根は、TCMにおいてDan Shen(丹参、タンジン)、西欧ではチャイニーズセージ(Chinese sage)根として知られている。あるいは、サルビア・ボウレヤナ(南丹参、ミナミタンジン)またはサルビア・プルゼワルスキー(紫丹参、ムラサキタンジン)を使用できる。本明細書に開示するサルビア属種も、TCMにおいて互いに交換使用できる。
【0034】
シサンドラ・チャイネンシスの果実は、TCMにおいてWu Wei Zi(五味子)、西欧ではシサンドラ(Schisandra)果実として知られている。あるいは、シサンドラ・スフェナンテラ(南五味子、ミナミゴミシ)を使用できる。本明細書に開示するシサンドラ属種も、TCMにおいて互いに交換使用できる。
【0035】
好ましい態様において、植物種は下記のものである:
(a)シリブム・マリアナム(オオアザミ);
(b)アストラガラス・メンブラナセウス・バル・モンゴリカス(内蒙黄耆);
(c)サルビア・ミルチオリザ(丹参);および
(d)シサンドラ・チャイネンシス(朝鮮五味子)。
【0036】
他の態様においては、アストラガラス・メンブラナセウス・バル・モンゴリカス(内蒙黄耆)の代わりにヘディセイラム・ポリボツリス(多序岩黄耆)を使用できる。
本発明の特に好ましい組成物は、Sui Fei Ji(水飛薊);Dan Shen(丹参);Wu Wei Zi(五味子);およびHuang Qi(黄耆)を含む。
【0037】
好ましい態様において本発明は、本質的に前記4つの植物種それぞれの植物性薬物からなる植物性医薬の形をとるが、他の態様においては、植物性薬物は本質的にそれらの種それぞれの植物性成分からなることができる。製品が補助食品である場合、4つの植物種はさらに植物性原料の形であってもよい。
【0038】
植物性医薬の場合、植物性薬物のほかに医薬的に許容できる賦形剤が存在してもよい。
補助食品の場合、植物性原料、植物性薬物または植物性成分のほかに、1以上の食物的に許容できる賦形剤が存在してもよい。
【0039】
本発明は、炎症性肝疾患、肝炎、線維症、硬変および肝細胞癌を治療または予防するのに十分な量の本発明組成物をヒトに投与することを含む、処置方法または食事補助方法をも提供する。
【0040】
特に、本発明組成物の投与は生活の質(SF36およびFFS)により患者の一次転帰を改善し、かつ二次的尺度により肝臓の炎症を軽減することが証明された。これらの二次的尺度には下記のものが含まれる:
・GGT(γグルタミルアミノトランスフェラーゼ)低下
・ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)低下
・AST(アスパルチルアミノトランスフェラーゼ)レベル低下、および
・総ビリルビンレベルの維持。
【0041】
さらに、安全性プロフィール(ヘモグロビン、白血球、血小板、クレアチニンおよび血糖に対する影響)により、それをたとえばインターフェロンおよびリボバリンとの併用療法に使用できることが指摘される。
【0042】
植物材料は、本発明組成物中にいずれか適切な形で使用できる。これは、たとえば新鮮もしくは乾燥粗植物材料、または新鮮もしくは乾燥植物材料の抽出物、すなわち植物性薬物としてであってもよい。抽出物は、好ましくは1以上の化学的マーカーに関して規定された全植物抽出物であるが、特定の画分および植物性成分も使用できる。抽出物、最も普通には植物性薬物は、一般に乾燥され、粉末状で、最も好ましくは凍結乾燥抽出物として使用される。
【0043】
植物性薬物を使用する場合、好ましくはそれを粉砕する。この態様においては、植物性薬物を乾燥させ、摩砕して粉末にする。得られた植物性薬物の粉末またはそれぞれの植物性薬物の粉末を、次いで互いに混和して、粉末状の本発明の植物性組成物を調製するのが好都合である。この粉末をそのまま、たとえばヒト対象が飲む液体に分散させて投与することができる。あるいは、この粉末を他のいずれかの好都合な剤形、たとえばカプセル剤、錠剤または顆粒剤に加工することができる。好ましい態様において、本発明者らは、比較的少量の低温液体、たとえば水に懸濁しうる、懸濁用配合物を開発した。一般にこの懸濁用配合物は、50ml未満、より一般的には25ml未満の水に懸濁させることができる。好ましくは、包装された医薬を投薬容器と共に提供する。
【0044】
植物性薬物、たとえば全抽出物は、植物材料から成分を抽出するために知られているいずれかの常法により調製できる。これらには溶剤抽出法が含まれ、これには二酸化炭素などの液化ガスを用いる超臨界流体抽出法も含まれる。1態様において、抽出物はエタノール抽出物、たとえば70%エタノールを用いて得たものである。抽出物は、最も好ましくは標準化された抽出物、たとえば標準化された全抽出物である。好ましい標準化された全抽出物は、医薬用抽出物である。
【0045】
抽出物は一般に、新鮮または乾燥植物材料、たとえば粉末状の乾燥植物材料を、適切な溶剤中で浸液または冷浸または還流し;固体残留物を溶液から分離し;溶剤を溶液から除去し;得られた濃縮物を回収することにより調製される。
【0046】
所望により、抽出液を本発明の植物性医薬または補助食品として配合する前に、たとえば噴霧乾燥または凍結乾燥(freeze drying、lyophilisation)により乾燥させてもよい。その場合、本発明組成物の1以上の構成植物種の乾燥抽出物を他の1以上の構成植物種の粉末状乾燥植物材料と混合して、ヒト対象にそのまま投与するための、またはカプセル封入もしくは打錠して単位剤形にするための、粉末を調製する。あるいは、抽出物を予備乾燥せずにそのまま使用してもよい。
【0047】
植物性原料または植物性薬物または植物性成分を、このタイプの成分に適切な常法により互いに混和することができる。植物性原料または植物性薬物または植物性成がすべて乾燥形態である場合、たとえば手で、または機械的混合機で、それらを互いに混合するのが好都合である。このタイプの混合操作は、植物性組成物の成分の一部(ただし、全部ではない)が乾燥形態である場合にも適切であろう。
【0048】
シリブム・マリアナム(オオアザミ)は、好ましくは医薬用抽出物の形で用いられ、これはたとえばイタリアの製造業者Indenaから市販されている。Indenaが製造する医薬用シリブム・マリアナム(オオアザミ)抽出物は、HPLCにより30重量%以上のシリマリン(silymarin)含量に標準化されている。医薬用抽出物は、徹底的な安全性および有効性手続きに合格しなければならない。好ましくは、本発明の実施に用いる場合、シリブム・マリアナム(オオアザミ)抽出物はHPLC分析により少なくとも30%の最低シリマリン含量をもつ。
【0049】
アストラガラス・メンブラナセウス・バル・モンゴリカス(内蒙黄耆)は、好ましくは医薬用抽出物の形で用いられ、これはたとえば中国の製造業者The Institute of Medicinal Plant Development(Haiding District, Xibeiwang, Beijing 100094, China)から市販されている。中国で製造される医薬用アストラガラス・メンブラナセウス・バル・モンゴリカス(内蒙黄耆)抽出物は、約0.4重量%のアストラガロシドIV(Astragaloside IV)含量に標準化されている。医薬用抽出物は、徹底的な安全性および有効性手続きに合格しなければならない。好ましくは、本発明の実施に用いる場合、アストラガラス・メンブラナセウス・バル・モンゴリカス(内蒙黄耆)抽出物は、0.1〜約10重量%のアストラガロシドIV含量をもつ。好ましくは、本発明の実施に用いるアストラガラス・メンブラナセウス・バル・モンゴリカス(内蒙黄耆)抽出物は、少なくとも0.4%の最低アストラガロシドIV含量をもつ。
【0050】
サルビア・ミルチオリザ(丹参)は、好ましくは医薬用抽出物の形で用いられ、これはたとえば中国の製造業者The Institute of Medicinal Plant Development(Haiding District, Xibeiwang, Beijing 100094, China)から市販されている。中国で製造される医薬用サルビア・ミルチオリザ(丹参)抽出物は、約1.5重量%のタンシノンIIa(Tanshinone IIa)含量に標準化されている。医薬用抽出物は、徹底的な安全性および有効性手続きに合格しなければならない。好ましくは、本発明の実施に用いる場合、サルビア・ミルチオリザ(丹参)抽出物は、1.5〜約50重量%のタンシノンIIa含量をもつ。好ましくは、本発明の実施に用いるサルビア・ミルチオリザ(丹参)抽出物は、少なくとも2.0%の最低タンシノンIIa含量をもつ。
【0051】
シサンドラ・チャイネンシス(朝鮮五味子)は、好ましくは医薬用抽出物の形で用いられ、これはたとえば中国の製造業者The Institute of Medicinal Plant Development(Haiding District, Xibeiwang, Beijing 100094, China)から市販されている。中国で製造される医薬用シサンドラ・チャイネンシス(朝鮮五味子)抽出物は、2.0重量%以上のシサンドロールA(Schisandrol A)含量に標準化されている。医薬用抽出物は、徹底的な安全性および有効性手続きに合格しなければならない。好ましくは、本発明の実施に用いる場合、シサンドラ・チャイネンシス(朝鮮五味子)抽出物は、1.0〜50重量%のシサンドロールA含量をもつ。好ましくは、本発明の実施に用いるシサンドラ・チャイネンシス(朝鮮五味子)抽出物は、少なくとも2.0重量%の最低シサンドロールA含量をもつ。
【0052】
本発明のそれぞれの種は健全な肝機能を支持し、組み合わせて使用すると特許請求の範囲に記載した肝臓の炎症その他の状態を処置することができる。
本発明の第2観点によれば、下記のうち1以上の軽減または予防のために患者を処置する方法であって:
i)B型肝炎ウイルス関連の肝臓炎症;
ii)アルコール中毒関連の肝臓炎症;
iii)肝臓関連の代謝障害:たとえば糖尿病およびメタボリックシンドロームXを含む;
iv)脂肪肝;
v)インターフェロン/リボバリンなどの免疫調節薬/抗ウイルス薬併用療法に不応答である患者の処置;
vi)インターフェロン/リボバリンなどの併用療法に対する補助療法として;
vii)HCV関連の肝疾患;
viii)肝炎、線維症、硬変または肝細胞癌;
ix)化学療法に関連して増大した肝酵素レベルを低下させるための処置;
本質的に、下記のそれぞれに由来する植物性原料、植物性薬物または植物性成分を患者に投与することを含む方法が提供される:
(a)シリブム・マリアナム(オオアザミ)の果実;
(b)アストラガラス・メンブラナセウス・バル・モンゴリカス(内蒙黄耆)またはヘディセイラム・ポリボツリス(多序岩黄耆)の根;
(c)サルビア・ミルチオリザ(丹参)、サルビア・ボウレヤナ(南丹参)またはサルビア・プルゼワルスキー(紫丹参)の根;および
(d)シサンドラ・チャイネンシス(朝鮮五味子)またはシサンドラ・スフェナンテラ(南五味子)の果実。
【0053】
本発明の植物性医薬または補助食品は、好ましくはすべての植物性原料または植物性成分の全重量に対して、各種を下記の量で含有する:
(a)シリブム属種22〜48%;
(b)アストラガラス属種またはヘディセイラム属種20〜63%;
(c)サルビア属種13〜48%;および
(d)シサンドラ属種2〜19%。
【0054】
より好ましくは、各種がさらに下記の量で存在する:
(a)シリブム属種30〜40%;
(b)アストラガラス属種またはヘディセイラム属種20〜30%;
(c)サルビア属種20〜30%;および
(d)シサンドラ属種7.5〜15%。
【0055】
より好ましくは、各種が下記の量で存在する:
(a)シリブム属種22%以上、より好ましくは30%以上;
(b)アストラガラス属種またはヘディセイラム属種20%以上;
(c)サルビア属種13%、より好ましくは20%以上;および
(d)シサンドラ属種2%以上、より好ましくは7.5%以上。
【0056】
本発明によれば、本発明組成物の療法有効量は、特許請求の範囲に記載した有益性を提供するのに十分であり、一方では有害な副作用を最小限に抑える量である。1態様において療法有効量は、有害な副作用を引き起こすことなく肝臓の炎症の症状を軽減もしくは緩和するのに十分な量である。
【0057】
投与量は、患者の年齢、体重、性別および状態に応じて異なるであろう。一般に植物性成分それぞれの1日量(好ましい種に関してのみ例示する)は、下記のとおりである(重量は乾燥植物性原料相当量を表わす):
シリブム・マリアナム(オオアザミ):2〜15g
アストラガラス・メンブラナセウス・バル・モンゴリカス(内蒙黄耆):9〜30g
サルビア・ミルチオリザ(丹参):9〜15g
シサンドラ・チャイネンシス(朝鮮五味子):1.5〜6g。
【0058】
当業者は投与量を容易に決定し、容易に本発明の補助食品および医薬組成物として配合することができる。
植物性原料、植物性薬物または植物性成分を、常法により医薬、補助食品または栄養剤として配合することができる。
【0059】
栄養剤は、疾患の予防または治療を含めた医学的または健康上の有益性をもたらすと考えられる食品成分、補助食品または食品である。一般に栄養剤は、消費者に健康上特定の有益性をもたらすように特別に調整される。栄養剤は一般に、微量栄養素、たとえばビタミン、無機質、薬草または植物性化学物質を、対応する普通の食品中にみられるより高い濃度で含む。その濃度は、単独摂取した場合または食事献立の一部または栄養療法のコースとして摂取した場合に一般に栄養剤が意図する健康上の有益性を最適化するように選択される。
【0060】
本発明の植物性医薬または補助食品は、食物的または医薬的に許容できるキャリヤーまたは賦形剤と混合することにより医薬または補助食品として配合することができる。そのようなキャリヤーまたは賦形剤は、溶剤、分散媒質、コーティング剤、等張剤または吸収遅延剤、甘味剤などであってよい。適切なキャリヤーは、下記を含めた広範な材料から調製できるが、これらに限定されない:希釈剤、結合剤および粘着剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、増量剤、着香剤、甘味剤、ならびに特定の剤形を調製するために必要な場合があるその他の物質、たとえば緩衝剤および吸着剤。医薬有効物質にそのような媒質および物質を使用することは、当技術分野で周知である。本発明の植物性組成物と不適合であることが知られている場合を除いて、一般的な媒質または物質をいずれも本発明に使用できる。
【0061】
たとえば固体経口剤形は、有効成分と一緒に下記のものを含有できる:希釈剤、たとえば乳糖、デキストロース、ショ糖、セルロース、トウモロコシデンプンまたはバレイショデンプン;滑沢剤、たとえばシリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウム、および/またはポリエチレングリコール;結合剤、たとえばデンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルピロリドン;崩壊剤、たとえばデンプン、アルギン酸、アルギナートまたはグリコール酸デンプンナトリウム;発泡性混合物;色素;甘味剤;湿潤剤、たとえばレシチン、ポリソルベート、ラウリルスルフェートおよびマクロゴール(ポリエチレングリコール)。それらの製剤は既知の方法で、たとえば混合、造粒、打錠、糖衣法、またはフィルムコーティング法により調製できる。
【0062】
経口投与用の分散液剤には、水性液剤、チンキ剤、シロップ剤、乳剤および懸濁液剤を含めることができる。シロップ剤は、キャリヤーとしてたとえばショ糖、あるいはショ糖とグリセロールおよび/またはマンニトールおよび/またはソルビトールを含有することができる。特に、糖尿病患者用のシロップ剤は、代謝されてグルコースになることのない物質、または代謝されてグルコースになる量がごくわずかにすぎない物質のみ、たとえばソルビトールを、キャリヤーとして含有することができる。懸濁液剤および乳剤は、キャリヤーとしてたとえば天然ガム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルアルコールを含有することができる。
【0063】
本発明の植物性医薬または補助食品は、顆粒剤または散剤として配合することも適切である。この剤形の場合、水、または他の液体、たとえば患者が飲む茶もしくはソフトドリンクに、容易にそれを分散させることができる。それを、生理的に許容できるビヒクルと共にカプセル封入、打錠または配合して、単位剤形にすることもできる。単位剤形は、1日1回投与のための療法有効量の抽出物を含むことができ、あるいは1日複数回の投与を提供するために、より少量で配合することができる。たとえば本発明組成物を錠剤、カプセル剤、シロップ剤、エリキシル剤、腸溶製剤、または他のいずれかの経口投与剤形として配合することができる。生理的に許容できるキャリヤーの例には、水、油、エマルション、アルコール、または他のいずれかの適切な材料が含まれる。
【0064】
本発明を例によりさらに説明する。以下の配合物およびデータは参考にすぎない。
詳細な記述
例1
植物性薬物からの植物性医薬の調製
シリブム・マリアナム(オオアザミ)(果実)、サルビア・ミルチオリザ(丹参)(根)、シサンドラ・チャイネンシス(朝鮮五味子)(果実)およびアストラガラス・メンブラナセウス・バル・モンゴリカス(内蒙黄耆)(根)の標準抽出物を、抽出物の目的療法力価を得るために各薬草に特別に考案された抽出法により個別に調製した。抽出物を乾燥させ、得られた乾燥粉末状抽出物を下記に示す割合で混合した(抽出物の重量および相当する乾燥植物性原料の重量の両方を示す):
(a)シリブム・マリアナム(オオアザミ);0.200〜0.250g(植物性原料12〜15gに相当)
(b)アストラガラス・メンブラナセウス・バル・モンゴリカス(内蒙黄耆);0.585〜1.95g(植物性原料9〜30gに相当)
(c)サルビア・ミルチオリザ(丹参);0.225〜0.375g(植物性原料9〜15gに相当)および
(d)シサンドラ・チャイネンシス(朝鮮五味子)0.150〜0.600g(植物性原料1.5〜6gに相当)。
【0065】
例2
懸濁用混合物としての配合
例1の噴霧乾燥した植物性薬物と下記のものを混合することにより、噴霧乾燥した植物性薬物を懸濁用剤形として配合した:
a)100重量%の粒子が60メッシュのふるいを通過し、95重量%の粒子が80メッシュのふるいを通過し、かつ70重量%の粒子が200メッシュのふるいを通過する粒度分布を有する少なくとも1種類のキサンタンガムを含む、1種類以上のゲル化剤または増粘剤;
b)1種類以上の充填剤;ならびに
c)1種類以上の湿潤剤および/または界面活性剤。
【0066】
得られた配合物(PYN17懸濁用粉末混合物と呼ぶ)は、下記のものを含有していた。
【0067】
【表1】

【0068】
例3
PYN17懸濁用粉末混合物の有効性
1サッシェの懸濁用粉末を2.5mlの水に再懸濁し、さらに1:7希釈した。不完全に溶解した懸濁液を濾過し、可溶画分を試験した;
10μlの溶液を100μlの細胞培養物において1/70の濃度で試験した。毒性判定のために1/350および1/1750の濃度も採用した;
毒性を試験するために、細胞をレプリコン細胞と共に72時間培養し、収穫の18時間前にトリチウム化チミジンを添加した。
【0069】
結果:
トリチウム化チミジン取込み
【0070】
【表2】

【0071】
レニラ(Renilla、ウミシイタケ)ルシフェラーゼの発現により測定した複製阻害
1/70希釈液は細胞に対して有毒であった(顕微鏡下で細胞が死滅したので)。レプリコンアッセイにはこの希釈度を使用せず、さらに低い希釈度を採用した。
【0072】
【表3】

【0073】
結論
1/350希釈度で41.8%の阻害が認められ、これはC型肝炎ウイルスに対する有効性を示す;
結果は、1つのきわめて低い結果(ウェル2)によりわずかに歪曲されている可能性がある;
対照(懸濁用粉末なし)も、1つの高い結果(ウェル1)により歪曲されている可能性がある;
1/350では、低い結果を含まない平均が587684であった;
高い結果(ウェル1)を含まない対照は、805143であった;
高い結果および低い結果を除くと、阻害率%は27%であった。
【0074】
例4〜7
これらは、本発明の植物性医薬に使用する植物性薬物の調製に用いた抽出法を示す。
例4
シリブム属種からの植物性薬物の調製
図10にシリブム属種の植物性薬物を調製する方法を示す。果実を抽出用に調製し、抽出を実施し、得られた溶液を濾過および濃縮する。次いでこの濃縮精製した抽出物をさらに、精製した生成物を沈殿させて濾過する清浄プロセスで処理し、濾液を乾燥させ、包装用に粉砕する。このような製品をIndena SpAから入手できる。
【0075】
例5
アストラガラス属種からの植物性薬物の調製
(ヘディセイラム属種からの植物性薬物の調製も同じ)
図11に示すように、アストラガラス属種の根材料を60℃のオーブン内で3時間乾燥させ、粉砕して粗粉末にし、ふるい(10メッシュ)を通し、フローチャートに従って抽出する。抽出法はエタノール抽出である。得られた濃縮液をエタノールに再溶解し、沈殿があれば除去し、生成物を濃縮し、乾燥させる。この方法で10%を超える固形分が得られ、アストラガロシド含量は0.4%を超える。
【0076】
例6
サルビア属種からの植物性薬物の調製
図12に示すように、サルビア属種の根材料を60℃のオーブン内で3時間乾燥させ、粉砕して粗粉末にし、ふるい(10メッシュ)を通し、フローチャートに従って抽出する。抽出法はエタノール抽出であり、得られた濃縮液を乾燥させる。この方法で4%を超える固形分が得られ、タンシノンIIA含量は1.5%を超える。
【0077】
例7
シサンドラ属種からの植物性薬物の調製
図13に示すように、サルビア属種の果実を水中で冷浸し、濾過する。濾過残留物を乾燥させ、粉末にし、エタノール抽出し、得られた濃縮液を乾燥させる。この方法で4%を超える固形分が得られ、シサンドロールA含量は2%を超える。
【0078】
例8〜11
前記業者から入手した植物性薬物および前記方法で得た植物性薬物を分析し、結果を下記に示す。
【0079】
例8
シリブム属種からの植物性薬物は、分析により下記の特性をもつことが示された。
【0080】
【表4】

【0081】
例9
アストラガラス属種からの植物性薬物は、分析により下記の特性をもつことが示された:
A)分析の確認
製品名:アストラガラス根抽出物(アストラガラス・メンブラナセウス・バル・モンゴリカス(内蒙黄耆)、Astragalus membranaceus var mongholicus)
バッチ番号:AMR-200201PE
【0082】
【表5】

【0083】
B)化学分析
製品名:アストラガラス根抽出物(アストラガラス・メンブラナセウス・バル・モンゴリカス、内蒙黄耆)
バッチ番号:AMR-200201PE
化学分析:
i)TLCフィンガープリント:アストラガラス・メンブラナセウス・バル・モンゴリカス(内蒙黄耆)のBDSのTLC図である図1を参照。左はBDS試料、右は標準化合物アストラガロシドIVである;
被験溶液の調製:
40mlのメタノールを1gの粉末抽出物に添加し、十分に振とうし、濾過する。濾液を調製済み中性酸化アルミニウムカラムに付与し、次いで中国薬局方(英語版2000)p.161, 同定法(2)に記載の方法に従う;
標準溶液:標準化合物(chemical reference standard、CRS)アストラガロシドIVをメタノールに溶解して1mg/1mlの標準溶液を調製する;
装填量:2μlの被験溶液および2μlの標準溶液を、それぞれホイル裏打ちシリカゲルF254プレート(Merck)に装填する;
展開溶剤系:クロロホルム:メタノール:水(13:7:2)(下層)
展開:混合した展開溶液をTLC槽に添加し、平衡化のために15分間放置する。TLCプレートを入れ、7.5cm展開する;
検出:
エタノール中の10%硫酸を噴霧し、105℃に加熱すると、被験溶液のTLCクロマトグラムに褐色のスポットが得られる。これは、標準溶液のスポットに位置および色が一致する。展開したTLCプレートをUV 365nm光線下で観察すると、標準化合物アストラガロシドIVおよび被験溶液の両方ともRf 0.49に橙黄色のスポットを示した。
【0084】
ii)HPLC分析
装置:Waters HPLCシステム、LC 600ポンプおよびUV検出器(486型)
カラム:Spherisorb S100Ds1、25cm×4.6mm
カラム温度:25℃
流速:1.0ml/分
検出波長:UV 200nm
移動相:アセトニトリル:水(1:2)
CRS溶液の調製:2mgのアストラガロシドIVを10mlのメスフラスコ内で移動相溶液に溶解する;
被験溶液の調製:
正確に1.0gの粉末抽出物を秤量し、50mlのメタノール中2% KOHを添加し、水浴で1時間、加熱還流し、濾過する。この操作を3回繰り返す。濾液を合わせ、溶剤を回収する。25mlの水を添加して残留物を溶解し、50mlのエーテルで洗浄する。この水溶液を25mlのn-ブタノール(水中に飽和)で3回抽出する。ブタノール溶液を合わせてそれぞれ25mlの水で2回洗浄し、次いで25mlのリン酸二水素カリウムで洗浄し、溶剤を回収する。正確に10mlの移動相溶液を残留物に添加し、十分に振とうし、ミリポア(0.45μm)で濾過し、被験溶液とする;
注入量:それぞれ20μlのCRS溶液および20μlの被験溶液を注入する;
結果:図4および5のクロマトグラムを参照。図4(BDS)は、約20分の保持時間におけるアストラガロシドIVを含めて、少なくとも10の明確に同定できるピークを示す。グラフ下面積は、少なくとも0.4重量%のアストラガロシドIVの存在を示す。図5のクロマトグラムはマーカーのみを含む対照である。
【0085】
【表6】

【0086】
例10
サルビア属種からの植物性薬物は下記の特性をもつことが分析により示された:
A)分析の確認
製品名:サルビア・ミルチオリザ根抽出物(丹参)(Salvia miltiorrhiza)
バッチ番号:SMR-200201PE
【0087】
【表7】

【0088】
B)化学分析
製品名:サルビア・ミルチオリザ根抽出物(丹参)
バッチ番号:SMR-200201PE
化学分析:
i)TLCフィンガープリント:サルビア・ミルチオリザ(丹参)のBDSのTLC図である図2を参照。左はBDS試料、右は標準化合物タンシノンIIAである;
被験溶液の調製:
1mlの酢酸エチルを100mgの粉末抽出物に添加する;
標準溶液:標準化合物(CRS)タンシノンIIAを酢酸エチルに溶解して2mg/1mlの標準溶液を調製する;
装填量:5μlの被験溶液および5μlの標準溶液を、それぞれホイル裏打ちシリカゲルプレート(Merck)に装填する;
展開溶剤系:ベンゼン:酢酸エチル(19:1)
展開:混合した展開溶液をTLC槽に添加し、平衡化のために15分間放置する。TLCプレートを入れ、7.5cm展開する;
検出:展開したプレートを風乾すると、被験溶液のTLCクロマトグラムに得られた暗赤色のスポットは、Rf 0.46における標準溶液のスポットに位置および色が一致する。
【0089】
ii)HPLC分析
装置:Waters HPLCシステム、LC 600ポンプおよびUV検出器(486型)
カラム:Spherisorb S100Ds1、25cm×4.6mm
カラム温度:25℃
流速:1.0ml/分
検出波長:UV 270nm
移動相:メタノール:水(15:5)
CRS溶液の調製:正確に10mgのタンシノンIIAを秤量して50mlの褐色メスフラスコに入れ、メタノールで溶解してその体積にする。正確に2mlを測定して25mlの褐色メスフラスコに入れ、メタノールを添加してその体積にする;
被験溶液の調製:正確に30mgの粉末抽出物を秤量して25mlのメスフラスコに入れ、18mlのメタノールを添加し、5分間、超音波処理し、次いでメタノールを添加してその体積にする;
注入量:それぞれ5μlのCRS溶液および5μlの被験溶液を注入する;
結果:図6および7のクロマトグラムを参照。図6(BDS)は、約28/29分の保持時間におけるタンシノンIIAを含めて、少なくとも6の同定できるピークを示す。グラフ下面積は、少なくとも1.5重量%のタンシノンIIAの存在を示す。図7のクロマトグラムはマーカーのみを含む対照である。
【0090】
【表8】

【0091】
例11
シサンドラ属種からの植物性薬物は下記の特性をもつことが分析により示された:
A)分析の確認
製品名:シサンドラ果実抽出物(シサンドラ・チャイネンシス(朝鮮五味子)Schisandra chinensis)
バッチ番号:SCF-200201PE
【0092】
【表9】

【0093】
B)化学分析
製品名:シサンドラ果実抽出物(シサンドラ・チャイネンシス(朝鮮五味子))
バッチ番号:SCF-200201PE
化学分析:
i)TLCフィンガープリント:シサンドラ・チャイネンシス(朝鮮五味子)のBDSのTLC図である図3を参照。左はBDS試料、右は標準化合物シサンドリンA(Schisandrin A)である;
被験溶液の調製:
20mlのクロロホルムを0.5gの粉末抽出物に添加し、10分間、超音波処理し、濾過する。濾液を蒸発乾固し、残留物を1mlのクロロホルムに溶解して被験溶液とする;
標準溶液:標準化合物(CRS)シザンドロールA(Schizandrol A)をクロロホルムに溶解して1mg/1mlの標準溶液を調製する;
装填量:2μlの被験溶液および2μlの標準溶液を、それぞれホイル裏打ちシリカゲルF254プレート(Merck)に装填する;
展開溶剤系:石油エーテル(30〜60℃):ギ酸エチル:ギ酸(15:5:1)(上層)
展開:混合した展開溶液をTLC槽に添加し、平衡化のために15分間放置する。TLCプレートを入れ、7.5cm展開する;
検出:展開したプレートを風乾し、254nmのUV下で観察すると、被験溶液のTLCクロマトグラムに得られた暗色のスポットは、Rf 0.14における標準溶液のスポットに位置および色が一致する。
【0094】
ii)HPLC分析
装置:Waters HPLCシステム、LC 600ポンプおよびUV検出器(2487型)
カラム:Spherisorb S100Ds1、25cm×4.6mm
カラム温度:25℃
流速:1.0ml/分
検出波長:UV 250nm
移動相:メタノール:水(13:7)
CRS溶液の調製:正確に15mgのシザンドロールAを秤量して50mlのメスフラスコに入れ、メタノールで溶解してその体積にし、シザンドロールA 0.3mg/mlの溶液を調製する;
被験溶液の調製:0.25gの原料粉末(Trough No.3ふるい)をメスフラスコに入れ、18mlのメタノールを添加し、20分間、超音波処理する(電力250W、周波数20 kHz)。メタノールを添加してその体積にし、十分に混合し、濾過する;
注入量:それぞれ10μlのCRS溶液および10μlの被験溶液を注入する;
結果:図8および9のクロマトグラムを参照。図8(BDS)は、約14/15分の保持時間におけるシザンドロールAを含めて、少なくとも6の同定できるピークを示す。グラフ下面積は、少なくとも2重量%のシザンドロールAの存在を示す。図9のクロマトグラムはマーカーのみを含む対照である。
【0095】
【表10】

【0096】
例12
C型肝炎患者に二重盲検プラセボ対照付き試験を実施した。各患者に1サッシェの医薬(例2)またはプラセボを1日2回、24週間投与した;
一次転帰を生活の質の得点(SF36)および(FSS)により評価した;
肝臓炎症の二次的尺度には、下記の生化学的活性の測定が含まれていた:
・GGT(γグルタミルアミノトランスフェラーゼ)
・ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)および
・AST(アスパルチルアミノトランスフェラーゼ)レベル
・総ビリルビンレベル、ならびに
・アルカリホスファターゼ。
【0097】
さらに、下記に関して安全性を評価した:
・ヘモグロビンレベル
・白血球活性
・血小板活性
・クレアチニン活性、および
・グルコースレベル。
【0098】
試験人口を次表に示す:
【0099】
【表11】

【0100】
これらの結果は図14〜24に最も明瞭に示される:
図14および15には一次転帰の結果を示す:
図14によれば、”有効薬剤”を投与された患者はより生活力(vitality、Vit)があり、全般的健康状態(general health、GE)がより良好なことが認められるであろう(目立つようにした)。彼らは(左から右へ見て)より良好な身体機能(physical functioning、PF)をもち、身体の痛み(bodily pain、BP)がより少なく;精神的健康状態(mental health、MH)および社会機能(social functioning、SF)の改善を示した;ただし身体的役割(physical role、RP)および情動的役割(emotional role、RE)は低下した。
【0101】
図15によれば、有効薬剤を投与された患者は9つすべての疲労症状得点(Fatigue Symptom Score)測定値において改善を示した。
肝臓炎症の軽減の指標となる二次的尺度を図16〜19に示す:
図16(有効薬剤を投与された患者)によれば、彼らの酵素活性が低下したことが分かる(ベースラインに対比して)。これは炎症の軽減の指標となる。
【0102】
対照的に、プラセボを投与された患者(図17)はそのような改善を示さなかった。
これは図18に最も明瞭に示される。この図では、有効薬剤を投与された患者は経時的に持続的改善を示し、一方、プラセボを投与された患者は変化を示さないか、または悪化を示した。
【0103】
実際に図19から分かるように、図19a(有効薬剤を投与された患者)を図19b(プラセボを投与された患者)と比較すると、有効薬剤を投与された患者は測定したすべての指標、特にALT、ASTおよびGGTレベルにおいて改善を示した。
【0104】
広範なマーカーについて有益な効果がみられるという事実は、下記を含めた多数の状態に関連する肝臓炎症の処置に際してこの組合わせがより幅広い有効性をもつことの指標となる:
I.B型肝炎ウイルス関連の肝臓炎症;
II.アルコール中毒関連の肝臓炎症;
III.肝臓関連の代謝障害:たとえば糖尿病およびメタボリックシンドロームXを含む;
IV.脂肪肝;
V.インターフェロン/リボバリンなどの免疫調節薬/抗ウイルス薬併用療法に不応答である患者の処置;
VI.インターフェロン/リボバリンなどの併用療法に対する補助療法として;
VII.HCV関連の肝疾患;
VIII.肝炎、線維症、硬変および肝細胞癌;
IX.化学療法に関連して増大した肝酵素レベルを低下させるための処置。
【0105】
そのような薬剤をインターフェロン/リボバリンなどの併用療法に使用できることは、得られたプラスの安全性データにより支持される。これに関して、インターフェロン/リボバリンは貴重な標準治療効果をもつものではあるが、良好なプロフィールをもたない。
【0106】
したがって本発明の医薬は:
・ヘモグロビンレベルに対して顕著な作用をもたない(図20);
・白血球レベルに対して顕著な作用をもたない(図21);
・血小板レベルに対して顕著な作用をもたない(図22);
・クレアチニンレベルに対して顕著な作用をもたない(図23);および
・グルコースレベルに対して顕著な作用をもたない(図24)。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】アストラガラス・メンブラナセウス・バル・モンゴリカス(内蒙黄耆)(Astragalus membranaceus var mongholicus)のBDSのTLC図である。
【図2】サルビア・ミルチオリザ(丹参)(Salvia miltiorrhiza)のBDSのTLC図である。
【図3】シサンドラ・チャイネンシス(朝鮮五味子)(Schisandra chinensis)のBDSのTLC図である。
【図4】アストラガラス・メンブラナセウス(Astragalus membranaceus)のBDSのHPLCクロマトグラムである。
【図5】アストラガロシド(アストラガラス・メンブラナセウス・バル・モンゴリカス(内蒙黄耆)のマーカー)のHPLCクロマトグラムである。
【図6】サルビア・ミルチオリザ(丹参)のBDSのHPLCクロマトグラムである。
【図7】タノション-IIA(Tanoshone-IIA)(サルビア・ミルチオリザ(丹参)のマーカー)のHPLCクロマトグラムである。
【図8】シサンドラ・チャイネンシス(朝鮮五味子)のBDSのHPLCクロマトグラムである。
【図9】シサンドリン(シサンドラ・チャイネンシス(朝鮮五味子)のマーカー)のHPLCクロマトグラムである。
【図10】シリブム属種に由来する植物性薬物を調製するための製造プロセスを示すフローチャートである。
【図11】アストラガラス属種に由来する植物性薬物を調製するための製造プロセスを示すフローチャートである。
【図12】サルビア属種に由来する植物性薬物を調製するための製造プロセスを示すフローチャートである。
【図13】シサンドラ属種に由来する植物性薬物を調製するための製造プロセスを示すフローチャートである。
【図14】C型肝炎患者に関する臨床試験で得た生活の質の得点(SF36)を示す。
【図15】C型肝炎患者に関する臨床試験で得た生活の質の得点(FSS)を示す。
【図16】臨床試験で”有効薬剤”を摂取している患者のALT酵素レベルの変化を示す。
【図17】臨床試験で”プラセボ”を摂取している患者のALT酵素レベルの変化を示す。
【図18】対比できるように重ねた図16と図17のデータの比較を示す。
【図19】a(有効薬剤)およびb(プラセボ)は肝臓炎症の二次的尺度となる多様な酵素の比較を示す。
【図20】ヘモグロビン安全性データを示す。
【図21】白血球安全性データを示す。
【図22】血小板安全性データを示す。
【図23】クレアチニン安全性データを示す。
【図24】グルコース安全性データを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に、下記のそれぞれに由来する植物性原料、植物性薬物または植物性成分:
(a)シリブム・マリアナム(オオアザミ)(Silybum marianum)の果実;
(b)アストラガラス・メンブラナセウス・バル・モンゴリカス(内蒙黄耆)(Astragalus membranaceus var mongholicus)またはヘディセイラム・ポリボツリス(多序岩黄耆)(Hedysarum polybotrys)の根;
(c)サルビア・ミルチオリザ(丹参)(Salvia miltiorrhiza)、サルビア・ボウレヤナ(南丹参)(Salvia bowleyana)またはサルビア・プルゼワルスキー(紫丹参)(Salvia przewalskii)の根;および
(d)シサンドラ・チャイネンシス(朝鮮五味子)(Schisandra chinensis)またはシサンドラ・スフェナンテラ(南五味子)(Schisandra sphenanthera)の果実
からなる植物性医薬または補助食品の、下記のうち1以上の治療または予防に用いる医薬の製造における使用:
i)B型肝炎ウイルス関連の肝臓炎症;
ii)アルコール中毒関連の肝臓炎症;
iii)肝臓関連の代謝障害:たとえば糖尿病およびメタボリックシンドロームXを含む;
iv)脂肪肝;
v)インターフェロン/リボバリンなどの免疫調節薬/抗ウイルス薬併用療法に不応答である患者の処置;
vi)インターフェロン/リボバリンなどの併用療法に対する補助療法として;
vii)HCV関連の肝疾患;
viii)肝炎、線維症、硬変または肝細胞癌;
ix)化学療法に関連して増大した肝酵素レベルを低下させるための処置。
【請求項2】
すべての植物性原料、植物性薬物または植物性成分の全重量に対して各種が下記の量で存在する、請求項1に記載の植物性医薬または補助食品の使用:
(a)シリブム属(Silybum)種22〜48%;
(b)アストラガラス属(Astragalus)種またはヘディセイラム属(Hedysarum)種20〜63%;
(c)サルビア属(Salvia)種13〜48%;および
(d)シサンドラ属(Schisandra)種2〜19%。
【請求項3】
各種が下記の量で存在する、請求項2に記載の植物性医薬または補助食品の使用:
(a)シリブム属(Silybum)種30〜40%;
(b)アストラガラス属(Astragalus)種またはヘディセイラム属(Hedysarum)種20〜30%;
(c)サルビア属(Salvia)種20〜30%;および
(d)シサンドラ属(Schisandra)種7.5〜15%。
【請求項4】
各種が下記の量で存在する、請求項2または3に記載の植物性医薬または補助食品の使用:
(a)シリブム属(Silybum)種35.3%±10%;
(b)アストラガラス属(Astragalus)種またはヘディセイラム属(Hedysarum)種26.5%±10%;
(c)サルビア属(Salvia)種26.5%±10%;および
(d)シサンドラ属(Schisandra)種11.7%±10%。
【請求項5】
本質的に植物性薬物からなる、前記のいずれかの請求項に記載の植物性医薬の使用。
【請求項6】
さらに賦形剤を含む、請求項5に記載の植物性医薬の使用。
【請求項7】
植物性薬物が、それぞれの植物性原料に由来する全抽出物を含む、請求項5に記載の植物性医薬の使用。
【請求項8】
植物性薬物が、それぞれの植物性原料に由来する1以上の特定の抽出画分を含む、請求項5に記載の植物性医薬の使用。
【請求項9】
植物性薬物が標準化された抽出物である、請求項5〜8のいずれかに記載の植物性医薬の使用。
【請求項10】
シリブム属(Silybum)種に由来する植物性薬物がシリビンマーカーに対して標準化されている、請求項9に記載の植物性医薬の使用。
【請求項11】
シリブム属(Silybum)種に由来する植物性薬物が、HPLC法により計算した場合に少なくとも30重量%のシリビンおよびイソシリビンを含む、請求項9に記載の植物性医薬の使用。
【請求項12】
シリブム属(Silybum)種の標準化された抽出物が、下記の、または下記のものを含有する、黄褐色粉末である、請求項9〜11のいずれかに記載の植物性医薬の使用:
(i) HPLCにより30%以上のシリビン;
(ii) 0.5%以下のペンタン可溶分;
(iii) 1%以下の硫酸塩灰分;
(iv) lOOppm以下の重金属含量;
(v)エタノール1%以下、酢酸エチル0.01%以下およびヘキサン0.01%以下の、残留有機溶媒含量;
(vi) 1000 cfu/g以下の細菌含量;ならびに
(vii) lOOcfu/g以下の真菌含量。
【請求項13】
アストラガラス属(Astragalus)種に由来する植物性薬物が、アストラガロシドIVマーカーに対して標準化されている、請求項9に記載の植物性医薬の使用。
【請求項14】
アストラガラス属(Astragalus)種に由来する植物性薬物が、HPLC法により計算して少なくとも0.4重量%のアストラガロシドIVを含む、請求項13に記載の植物性医薬の使用。
【請求項15】
アストラガラス属(Astragalus)種に由来する植物性薬物が、実質的に図1に示すTLCクロマトグラフィーフィンガープリントまたは実質的に図4に示すHPLCフィンガープリントを有する、請求項13または14に記載の植物性医薬の使用。
【請求項16】
アストラガラス属(Astragalus)種の標準化された抽出物が、下記の、または下記のものを含有する、淡黄色粉末である、請求項13〜15のいずれかに記載の植物性医薬の使用:
(i) 0.4%以上のアストラガロシドIV;
(ii) 5%以下の全灰分;
(iii) 2%以下の酸不溶性灰分;および
(iv) 1000 cfu/g以下の全生存好気性微生物数。
【請求項17】
サルビア属(Salvia)種に由来する植物性薬物が、タンシノンIIAマーカーに対して標準化されている、請求項9に記載の植物性医薬の使用。
【請求項18】
サルビア属(Salvia)種に由来する植物性薬物が、HPLC法により計算して少なくとも1.5重量%のタンシノンIIAを含む、請求項17に記載の植物性医薬の使用。
【請求項19】
サルビア属(Salvia)種に由来する植物性薬物が、実質的に図2に示すTLCクロマトグラフィーフィンガープリントまたは実質的に図6に示すHPLCフィンガープリントを有する、請求項17または18に記載の植物性医薬の使用。
【請求項20】
サルビア属(Salvia)種の標準化された抽出物が、下記の、または下記のものを含有する、濃赤色粉末である、請求項17〜19のいずれかに記載の植物性医薬の使用:
(i) HPLCにより1.5%以上のタンシノンIIA;
(ii) 5%以下の全灰分;
(iii) 2%以下の酸不溶性灰分;および
(iv) 1000 cfu/g以下の全生存好気性微生物数。
【請求項21】
シサンドラ属(Schisandra)種に由来する植物性薬物がシザンドロールAマーカーに対して標準化されている、請求項9に記載の植物性医薬の使用。
【請求項22】
シサンドラ属(Schisandra)種に由来する植物性薬物が、HPLC法により少なくとも2.0重量%のシザンドロールAを含む、請求項21に記載の植物性医薬の使用。
【請求項23】
シサンドラ属(Schisandra)種に由来する植物性薬物が、実質的に図3に示すTLCクロマトグラフィーフィンガープリントまたは実質的に図8に示すHPLCフィンガープリントを有する、請求項21または22に記載の植物性医薬の使用。
【請求項24】
シサンドラ属(Schisandra)種の標準化された抽出物が、下記の、または下記のものを含有する、赤褐色粉末である、請求項22または23に記載の植物性医薬の使用:
(i) 2.0%以上のシザンドロールA;
(ii) 5%以下の全灰分;
(iii) 2%以下の酸不溶性灰分;および
(iv) 1000 cfu/g以下の全生存好気性微生物数。
【請求項25】
標準化された抽出物それぞれが乾燥エタノール抽出物である、請求項9〜24のいずれかに記載の植物性医薬の使用。
【請求項26】
シリブム属(Silybum)種が、実質的に図10に示す方法に従って抽出された、請求項9〜25のいずれかに記載の植物性医薬の使用。
【請求項27】
アストラガラス属(Astragalus)種が、実質的に図11に示す方法に従って抽出された、請求項9〜25のいずれかに記載の植物性医薬の使用。
【請求項28】
サルビア属(Salvia)種が、実質的に図12に示す方法に従って抽出された、請求項9〜25のいずれかに記載の植物性医薬の使用。
【請求項29】
シサンドラ属(Schisandra)種が、実質的に図13に示す方法に従って抽出された、請求項9〜25のいずれかに記載の植物性医薬の使用。
【請求項30】
単位剤形で提供された、請求項9〜29のいずれかに記載の植物性医薬の使用。
【請求項31】
懸濁用粉末混合物である、請求項30に記載の植物性医薬の使用。
【請求項32】
さらに、賦形剤として下記のものを含む、請求項31に記載の植物性医薬の使用:
a) 100重量%の粒子が60メッシュのふるいを通過し、95重量%の粒子が80メッシュのふるいを通過し、かつ70重量%の粒子が200メッシュのふるいを通過する粒度分布を有する少なくとも1種類のキサンタンガムを含む、1種類以上のゲル化剤または増粘剤;
b)1種類以上の充填剤;ならびに
c)1種類以上の湿潤剤および/または界面活性剤。
【請求項33】
キサンタンガムが3.5〜4.0×lO6の分子量を有する、請求項32に記載の植物性医薬の使用。
【請求項34】
湿潤剤がポリエチレングリコールまたはマクロゴールである、請求項32に記載の植物性医薬の使用。
【請求項35】
さらに、1種類以上の崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、着香剤および粘稠剤を含む、請求項30〜34のいずれかに記載の植物性医薬の使用。
【請求項36】
サッシェ内に包装された、請求項30〜35のいずれかに記載の植物性医薬の使用。
【請求項37】
投薬容器と共に包装された、請求項30〜36のいずれかに記載の植物性医薬の使用。
【請求項38】
投薬容器が密閉用蓋を備えた、請求項37に記載の植物性医薬の使用。
【請求項39】
1回量に下記のものを含む、請求項9〜38のいずれかに記載の植物性医薬の使用:
i)シリブム属(Silybum)種に由来する植物性薬物0.20O〜0.25Og(植物性原料12〜15gに相当);
ii)アストラガラス属(Astragalus)種に由来する植物性薬物0.585〜1.95g(植物性原料9〜30gに相当);
iii)サルビア属(Salvia)種に由来する植物性薬物0.225〜0.375g(植物性原料9〜15gに相当);および
iv)シサンドラ属(Schisandra)種に由来する植物性薬物0.150〜0.60Og(植物性原料1.5〜6gに相当)。
【請求項40】
下記のうち1以上の治療または予防のために患者を処置する方法であって:
i)B型肝炎ウイルス関連の肝臓炎症;
ii)アルコール中毒関連の肝臓炎症;
iii)肝臓関連の代謝障害:たとえば糖尿病およびメタボリックシンドロームXを含む;
iv)脂肪肝;
v)インターフェロン/リボバリンなどの免疫調節薬/抗ウイルス薬併用療法に不応答である患者の処置;
vi)インターフェロン/リボバリンなどの併用療法に対する補助療法として;
vii)HCV関連の肝疾患;
viii)肝炎、線維症、硬変または肝細胞癌;
ix)化学療法に関連して増大した肝酵素レベルを低下させるための処置;
本質的に、下記のそれぞれに由来する植物性原料、植物性薬物または植物性成分からなる組成物を患者に投与することを含む方法:
(a)シリブム・マリアナム(オオアザミ)(Silybum marianum)の果実;
(b)アストラガラス・メンブラナセウス・バル・モンゴリカス(内蒙黄耆)(Astragalus membranaceus var mongholicus)またはヘディセイラム・ポリボツリス(多序岩黄耆)(Hedysarum polybotrys)の根;
(c)サルビア・ミルチオリザ(丹参)(Salvia miltiorrhiza)、サルビア・ボウレヤナ(南丹参)(Salvia bowleyana)またはサルビア・プルゼワルスキー(紫丹参)(Salvia przewalskii)の根;および
(d)シサンドラ・チャイネンシス(朝鮮五味子)(Schisandra chinensis)またはシサンドラ・スフェナンテラ(南五味子)(Schisandra sphenanthera)の果実。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2009−505972(P2009−505972A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525622(P2008−525622)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002948
【国際公開番号】WO2007/020382
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(506282263)ファイノバ・リミテッド (4)
【Fターム(参考)】