説明

植物栽培装置

【課題】複数の植物に自動的に給水を行いながら簡便に栽培できるとともに、構造が簡単で低コストで製造できる植物栽培装置を提供する。
【解決手段】栽培植物Pが植えられる複数の植栽鉢12と、内側に水を保持する上面開口の凹部空間Sの底壁26上に複数の植栽鉢12を寄せ置き状に並べて載置させる浅広形の収容部14と、収容部14の側壁28の隣接外側に閉鎖した貯水用空隙34を形成するようにジャケット壁36で形成された貯水部16と、収容部14の底部側の側壁28を横に貫通して収容部14と貯水部16とを連通する連通開口18と、貯水部16の貯水用空隙34に外部から給水できるように開閉自在に閉栓される外部給水口20と、貯水部16から収容部14への連通開口18の給水上限高さ位置を収容部の底壁高さよりも高く設定した自動給水機構22と、を含むことを特徴とする植物栽培装置10から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、室内外で植物を簡便に栽培することができる植物栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、観賞用や装飾用又は癒し効果等のために、植木鉢に花や観葉植物を植えて家庭やオフィスの室内又はベランダや庭等の屋外に設置されている。植物を栽培する際には、水遣りが重要であるが日々の水管理は面倒であり、植物を枯らしてしまうことも多い。特に、旅行や出張等で長期間不在する場合などに困る場合があった。近時では自動で植物に給水を行う技術が種々提案されており、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1の自動給水機能を持つ植木鉢では、外鉢と、下方部に取水孔が設けられた内鉢と、が着脱自在に固定される構造になっており、外鉢の内周面と内鉢の外周面との間隙が取水孔を除き外気から遮蔽された密閉空間を構成している。そして外鉢と内鉢との間隙内の水は培土を介在して働く大気圧の作用により、内鉢内の水位が取水孔より少し高い位置で内鉢内の定水位になり、植物が水を消費し内鉢内の水位が定水位より下がり取水孔の一部が培土内の外気に露出した時に、再び貯水部の水が取水孔を通じて内鉢内に移動し、その繰り返しにより、内鉢内の水位を定水位に保ちながら自動給水を図るものであった。
【0003】
【特許文献1】特開2004−57184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
植物を栽培する際には、1つの植物のみに限らず複数の植物、特に異なる種類の植物を同時に栽培したい要求が高い。しかしながら、特許文献1のような特殊な構造の植木鉢を複数個用意するとコストがかかるとともに、数が増加するに従って管理が煩わしくなっていた。さらに、個々の植木鉢の外鉢に水を補給する作業でも、培土と植物が入った重い内鉢を持ち上げて外鉢と分離し、水を外鉢に補給後、再び内鉢を固定する必要があるので、煩雑で労力、時間がかかる不便なものであった。また、内鉢を外鉢に固定する際には貯水部が密閉されていないため内鉢内の水位が定水位よりも高くなるので、植物に過剰に水を与えてしまい根が腐って植物が枯れてしまうおそれが高かった。同時に外鉢内に貯水される水量が少なくなってしまい長期的な栽培が困難となり、実用性が低い問題があった。また、単に植木鉢を大型化してしまうと種類の異なる植物の個別の管理が煩雑化してしまうことも多い結果、複数の植物を植えて視覚的にバラエティに富んだものを構成することが困難であり、需要者の要求を満たすことができなかった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、複数の植物に自動的に給水を行いながら簡便に栽培できるとともに、構造が簡単で低コストで製造できるうえ、バラエティに富んだ植物配置構成を簡単に実現できる植物栽培装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、栽培植物Pが植えられるそれぞれ独立した植栽鉢であり、底側からの吸水を可能とした複数の植栽鉢12と、周囲を囲む側壁28と底壁26とを有し、内側に水を保持する上面開口の凹部空間Sを形成し、該凹部空間S内の底壁26上に複数の植栽鉢12を寄せ置き状に並べて載置させる浅広形の収容部14と、収容部14の側壁28の隣接外側に閉鎖した貯水用空隙34を形成するようにジャケット壁36で形成された貯水部16と、収容部14の底部側の側壁28を横に貫通して収容部14と貯水部16とを連通する連通開口18と、貯水部16の貯水用空隙34に外部から給水できるように開閉自在に閉栓される外部給水口20と、貯水部16から収容部14への連通開口18の給水上限高さ位置ULを収容部の底壁高さよりも高く設定した自動給水機構22と、を含むことを特徴とする植物栽培装置10から構成される。なお外部給水口20の開閉機構は任意でよく、例えば栓や蓋部材で開閉自在に気密閉鎖する構成でもよい。連通開口18を開閉する開閉機構を設けるとよく、例えば、栓や蓋部材で開閉自在に閉鎖する構成等その他任意の構成でもよい。
【0007】
また、収容部14の凹部空間Sを上面から覆うように着脱自在に設置され、植栽鉢12(12a)の上部を開放露出させる状態で植栽鉢12(12a)を位置決め挿入させる複数の貫通孔50が穿孔された天蓋44を含むこととしてもよい。天蓋44は収容部14の平面形状に対応して形成される。天蓋44は、着脱操作が簡単なように比較的軽量であると良い。天蓋44は、一枚の板部材で構成されていても良く、複数枚の板部材を並べて構成されるようにしても良い。
【0008】
また、連通開口18を開閉する開閉栓部材48を備え、凹部空間Sを上面から覆うように天蓋44を設置した状態で開閉栓部材48による開閉操作を可能とするように天蓋に切欠き52を設けたこととしてもよい。天蓋の切欠き52の形状は例えば、円弧状、矩形状、台形状、多角形状等任意でよく、少なくとも操作者の手を出し入れできる程度の大きさを確保できればよく、余分に大きすぎない方が収容部14の水の蒸発防止やゴミ防止の点で有利である。
【0009】
また、外部給水口20は、貯水部16の一部を収容部14側に膨出させた膨出部32の上端側に設置したこととしてもよい。
【0010】
また、横向きに開設された連通開口18の給水上限高さ位置ULは収容部14の底壁26上面よりわずかに高い程度に設定されており、収容部14の底壁26に、開閉栓部材48の開閉操作を妨げない程度の凹設空隙30を設けたこととしてもよい。
【0011】
また、収容部14の中央位置に立設された支柱64を介して植栽鉢12の離隔上方位置に支持され、送風装置56と照明装置58とを球状筐体62に内蔵した風光ユニット60を備えたこととしてもよい。例えば、支柱64は、伸縮できるようにして、風光ユニット60の収容部14からの設置高さを変更できるようにしてもよい。また、風光ユニット60及び支柱64を収容部14に対して着脱できるように構成してもよい。
【0012】
また、球状筐体62には、上半球部側に吸気孔66が形成され、かつ下半球部の下方側に送風開口64が設けられ、送風装置56は下方の植栽鉢12に向けて送風方向が設定されており、さらに照明装置58は、球状筐体62の下半球部側の送風開口64を介して下方の植栽鉢12に向けて光を照らすように設定されたこととしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の植物栽培装置によれば、栽培植物が植えられるそれぞれ独立した植栽鉢であり、底側からの吸水を可能とした複数の植栽鉢と、周囲を囲む側壁と底壁とを有し、内側に水を保持する上面開口の凹部空間を形成し、該凹部空間内の底壁上に複数の植栽鉢を寄せ置き状に並べて載置させる浅広形の収容部と、収容部の側壁の隣接外側に閉鎖した貯水用空隙を形成するようにジャケット壁で形成された貯水部と、収容部の底部側の側壁を横に貫通して収容部と貯水部とを連通する連通開口と、貯水部の貯水用空隙に外部から給水できるように開閉自在に閉栓される外部給水口と、貯水部から収容部への連通開口の給水上限高さ位置を収容部の底壁高さよりも高く設定した自動給水機構と、を含む構成であるから、複数の植栽鉢に自動給水を行いながらそれらの植物を一括的に管理して簡単に栽培することができる。同時に、必要に応じて植栽鉢を収容部から挿脱して、植栽鉢ごとの植物の手入れや管理又は植物の交換等を自由に行うことができ、複数種類の植物であっても柔軟に対応してバリエーションに富んだ植物配置構成を実現でき、需要者の好みに応じた多様な植物栽培を具現できる。また、植栽鉢は例えば公知のもののように簡単な構成のものを利用できるので、装置全体の構造も簡単であり、比較的安価なコストで複数の植物への自動給水が可能な植物栽培装置を実現できる。また、外部給水口により、複数の植栽鉢を収容部に収容したままの状態でも貯水部へ簡単に給水することができ、使い勝手が良い。
【0014】
また、収容部の凹部空間を上面から覆うように着脱自在に設置され、植栽鉢の上部を開放露出させる状態で植栽鉢を位置決め挿入させる複数の貫通孔が穿孔された天蓋を含む構成とすることにより、複数の植栽鉢を位置決め配置して植栽鉢の転倒や位置ずれを防止できる。さらに、植栽鉢間の隙間を塞いで見た目を向上できるともに、収容部内に保水された水が蒸発するのをある程度防止でき長期的に植物を栽培できる。また、収容部内にゴミなどが入りにくく、収容部内の清掃やメンテナンスを長期にしうる。
【0015】
また、連通開口を開閉する開閉栓部材を備え、凹部空間を上面から覆うように天蓋を設置した状態で開閉栓部材による開閉操作を可能とするように天蓋に切欠きを設けた構成とすることにより、貯水部への給水時等の連通開口を閉鎖する必要がある際に、天蓋を取り外すことなく切欠きを介して開閉栓部材の開閉操作をスムーズに行えるので使い勝手がよい。
【0016】
また、外部給水口は、貯水部の一部を収容部側に膨出させた膨出部の上端側に設置した構成とすることにより、外部給水口が収容部内側に配置されることから、例えば、給水作業時に外部給水口からこぼれた水は収容部内に入るので、給水作業を円滑に行いやすく、室内で利用する際に床等を濡らすことがなく使い勝手もよいとともに、外部給水口が目立ちにくく見栄えもよい。
【0017】
また、横向きに開設された連通開口の給水上限高さ位置は収容部の底壁上面よりわずかに高い程度に設定されており、収容部の底壁に、開閉栓部材の開閉操作を妨げない程度の凹設空隙を設けた構成とすることにより、開閉栓部材の開閉操作性を向上して、確実かつ円滑に操作を行える。
【0018】
また、収容部の中央位置に立設された支柱を介して植栽鉢の離隔上方位置に支持され、送風装置と照明装置とを球状筐体に内蔵した風光ユニットを備えた構成とすることにより、送風装置により植物に風を送ることにより植物周りの空気の滞留を防止して新鮮な空気を送りつつ、該植物に害虫等がつくのを防止できると同時に、照明装置により、例えば、室内や日陰等でも植物育成に必要な光を照射することができ、設置場所を選ばず、健全に植物を栽培できる。また、送風装置と照明装置を球状筐体に一体化してコンパクトに構成できるとともに、植物のライトアップ効果と球状筐体の外径形状も相俟って、装置全体が独自性の高い意匠感を奏することができる。
【0019】
また、球状筐体には、上半球部側に吸気孔が形成され、かつ下半球部の下方側に送風開口が設けられ、送風装置は下方の植栽鉢に向けて送風方向が設定されており、さらに照明装置は、球状筐体の下半球部側の送風開口を介して下方の植栽鉢に向けて光を照らすように設定されたことにより、植物への送風による害虫防止効果や、照明装置による照明効果等を確実に奏しうる構成を、簡単な構造で具体的に実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下添付図面を参照しつつ本発明の植物栽培装置の一実施形態について説明する。本実施形態にかかる植物栽培装置は、例えば植物を植えた複数の植栽鉢を同時に収容して自動的に給水を行いながら栽培、管理できるものであり、室内外で広く利用できる。図1ないし図6には、本発明の植物栽培装置の一実施形態を示している。本実施形態において、図1、図2、図3に示すように、植物栽培装置10は、複数の植栽鉢12と、複数の植栽鉢12を収容する収容部14と、収容部14に隣接して設けられた貯水部16と、収容部14と貯水部16とを連通する連通開口18と、貯水部16に設けられた外部給水口20と、自動給水機構22と、を含む。
【0021】
複数の植栽鉢12は、それぞれ独立した植物栽培容器であり、例えば、花、観葉植物等の観賞用植物又は、野菜、果物等の食用植物等の種々の栽培植物Pが植えられる。各植栽鉢12は、例えば、公知の植木鉢と略同様の構造であり、土器、陶器、磁器等の陶磁器やプラスチック、ビニール等の合成樹脂等からなり、平面視円形の底壁と横断面円形で上方に向けて次第に径が大きくなる逆円錐台形状の側壁とを含み、上面を開口しつつ内側に土を入れる空間が形成されている。植栽鉢12の底壁には通水用の孔が穿孔されており、この孔を介して底側から植栽鉢内部の土に吸水を可能とし、植えられている植物Pの根へ水を補給できる。なお本実施形態では、大小2種類の植栽鉢が用いられており、例えば、大型の植栽鉢12aはある程度成長した植物が植えられ、小型の植栽鉢12bには成長初期の小さな苗等が植えられている。
【0022】
図1、図2、図3に示すように、本実施形態では、例えば、収容部14、貯水部16及び自動給水機構22等の植栽鉢12以外の構成要素は、室内の床面上やベランダ上或いは地面上に設置できるケースユニット24に一体的にまとめられて構成されている。ケースユニット24は、例えば、硬質プラスチックや陶器、金属等の硬質素材からなり略杯状に形成されている。具体的には上部側に収容部14、貯水部16等が設けられるお椀状又は略半球状のケース本体部241が形成されつつ、上下中間位置にくびれ部242が形成され、該くびれ部の下部側を次第に広げて略楕円半球状に広がった安定部243が形成されている。なお、ケースユニット24の形状は任意で良く、例えば、お椀型、円錘台形状、多角錐台形状、直方体又は立方体形状、その他の立体多角形状等、その他任意の形状でもよい。また、ある程度の高さ位置に収容部14等を配置するように支持脚等を取り付けて構成でもよい。ケースユニット24は、複数の植栽鉢12をその収容部14に収容することにより、一まとめにして比較的大きな自動給水栽培ユニットを構成するとともに、該ケースユニットの独特な形状等により意匠感を向上することもできる。ケースユニット24の下端側には複数の移動用キャスタ25が転動自在に取り付けられており、床面上等を自在に移動できる。本実施形態では、ケースユニット24は、外板で上記のような形状を形成しつつ、ケース本体部241の上部側が二重側壁構造となっており、該二重壁の内側壁内側に上面開口の収容部14が形成されるとともに、該収容部14の側方周囲を覆うように水ジャケット状の貯水部16が設けられている。
【0023】
図3、図4に示すように、収容部14は、上面を開口しかつ内側に水を保持する有底の凹部空間Sを有し、該凹部空間S内に収容・離脱自在に複数の植栽鉢12を寄せ置き状に並べて同時収容する浅広形の収容部である。収容部14は、ケースユニット24の内部側に設けられ、複数の植栽鉢12が載置される平面視円形の底壁26と、該底壁26の円周縁に沿ってある程度低い高さで立設されて側方周囲を囲む短円筒状の側壁28と、を有し、内部に浅くて広い略円柱状の凹部空間Sを形成している。側壁28は、ケースユニット24の上部側に外板から内側に離隔配置された内側壁で構成されている。収容部14の底壁26から側壁28上端までの高さは、例えば、大型植栽鉢12aの高さよりも若干低い高さで設定されており、該植栽鉢12aを底壁26上に載置した状態でその上部側が側壁28よりも上に若干突出して、栽培植物Pが外部に露出するようになっている。後述のように、底壁26の側壁28側の一部すなわち円形縁部側の一部には、植栽鉢12が載置される面よりも段下り形成されて凹設空隙30が設けられている。凹設空隙30位置に対応した側方を閉鎖している側壁の部分が内側に膨出されて膨出部32が形成されており、該膨出部の底側に横に貫通された連通開口18が開設されている。
【0024】
貯水部16は、収容部14の側壁24の隣接外側に閉鎖した貯水用空隙34を形成するようにジャケット壁36で形成されている水ジャケット状の貯水手段である。本実施形態では、収容部14の側壁28により内側が隔成されているとともに、ケースユニット24の外板の上部側すなわち二重側壁の外側壁がジャケット壁36を兼用している。収容部14の側壁28とジャケット壁36との円環状の離隔間隙が貯水用空隙34となっている。その貯水用空隙34の上面側はリング状の上縁壁38で閉鎖されてケースユニット24の上縁部を形成しているとともに、下方側は下面壁40で閉鎖されている。上縁壁38は上面が水平に形成されているが、内縁側すなわち収容部14側側壁28の上端側は、該上縁壁面より段下りした段差部42が設けられており、後述の天蓋44を嵌合状に受け入れた際に、該上縁壁38の上面と天蓋44の上面とが面一になるように設けられている。下面壁40は、収容部14の底壁26よりも若干低く、凹設空隙30の底面と略同じ高さに設定されている。
【0025】
図2、図3、図4に示すように、貯水部16の一部が収容部14側に平面視円弧状に膨出されて略円筒状の膨出部32が形成されている。膨出部32の上端側は漏斗状のテーパ壁32aが形成され、該テーパ壁の中心に貯水用空隙34へ外部から給水するための外部給水口20が上下に貫通して開口されている。膨出部32の上端は上縁壁38の上面よりも低く設定されている。外部給水口20は、常時は外栓部材46により開閉自在に閉鎖されており、貯水部16に外部から給水する際には開放される。外部給水口20が外部に露出した位置に設けられているので、貯水用空隙内に外部から給水する作業を極めて簡単に行える。また、上縁壁38に外部給水口を直接設けずに、収容部側に膨出させた膨出部に外部給水口を設けたので、ケースユニット24の独特の意匠感を損なうことがない。さらに、給水作業時に外部給水口からこぼれた水は収容部14内に入るので、室内で利用する際に床等を濡らすことがなく使い勝手もよい。なお、外栓部材46及び外部給水口20の開口縁構造は、外部給水口を密閉閉鎖する構成であれば任意でよく、例えば、外部給水口20に外栓部材46が嵌合して塞ぐ構成や、外部給水口を形成する縁部に雌ねじ(又は雄ねじ)を設けて外栓部材を該ねじ部に螺合する雄ねじ(又は雌ねじ)を有するねじ蓋で構成することとしてもよい。図1に示すように、ジャケット壁36の一部には、貯水用空隙34内の水位を確認できるように透明な確認窓43が形成されている。
【0026】
図2に示すように、連通開口18は、貯水部16の貯水用空隙34から複数の植栽鉢12が載置される収容部14内へ給水させるための給水連通路であり、上述のように収容部14の側壁28の一部である膨出部32の底部側に横に貫通して設けられている。連通開口18は、収容部の底壁26の凹部空隙30内に該開口を臨ませているとともに、その開口上端16Uが底壁26の植栽鉢の載置面より若干上方に設定されている。これにより、連通開口18を介した貯水部16から収容部14内への給水上限高さ位置ULが、収容部14の底壁26上面より例えば、数mm〜数cm程度のわずかに高い程度に設定されて自動給水機構22を構成している。この給水上限高さ位置ULは複数の植栽鉢12の底部がある程度浸かるような高さで設定される。自動給水を行う際には、外部給水口20の閉鎖状態で連通開口18を介して収容部14内に給水されて、該収容部14内の水位が上昇し、該水位WLが連通開口18を閉鎖する位置すなわち連通開口上端16aより僅かに高い水位で給水上限高さ位置ULとなり給水が自動的に止まる。植栽鉢12の植物が水を吸ったり、蒸発したりして収容部14内の水位が下がると、連通開口18が開き、空気が連通開口を介して貯水用空隙内に入ることにより貯水部から再度収容部へ自動的に給水され、収容部内には前記給水上限高さ位置ULまで貯水される。このようにして簡単な構成で収容部14内の水位WLは所定の高さ位置に常時保持されることとなり、植栽鉢の底側からの給水を長期的に行える。連通開口18は、図2、図4の仮想線で示すように、開閉栓部材48により開閉されるようになっており、例えば、常時は開放された状態で、外部給水口20を介して貯水用空隙34内に外部から給水する際に水密閉鎖される。なお、開閉栓部材48及び連通開口18の縁構造は、外部給水口を密閉閉鎖する構成であれば任意でよく、例えば、連通開口18に開閉栓部材48が嵌合して塞ぐ構成や、連通開口を形成する縁部に雌ねじ(又は雄ねじ)を設けて開閉栓部材を該ねじ部に螺合する雄ねじ(又は雌ねじ)を有するねじ蓋で構成することとしてもよい。図2、図3、図4に示すように、底壁26に設けられる凹設空隙30は、連通開口18位置に対応して例えば、平面視扇形状で、開閉栓部材48の開閉操作を妨げない程度の深さで設けられている。すなわち凹設空隙30は、底壁28上面から所定の深さで段下り凹設された立体扇形状の空間で形成されており、開閉栓部材48を開閉操作する際に作業者の手と底壁26が当たりにくく確実かつ円滑に操作を行える。凹設空隙30上方側には、植栽鉢12が配置されないことから、自在に上面開口から収容部14内に手を入れて開閉栓部材の開閉操作を行なうことができる。収容部14内に操作用空隙Saを確保しておくことで、複数の植栽鉢12を移動させることなく、簡単に開閉栓部材48の開閉操作を行える。なお、上述のように、収容部14の底壁26に設けた凹設空隙30内に連通開口18を臨ませるように設けたことから、連通開口18を比較的大きく形成しつつ、収容部14内に保持される水位を比較的浅く設定することができる。これにより、連通開口を介した収容部への給水をスムーズかつ短時間化できる一方で、水位を浅く設定することによる植栽鉢に植えた植物(特に小さな苗などの場合に)過剰に水を与えることによる根腐れ防止を図ることができ、良好に植物栽培を行える。
【0027】
図2、図3に示すように、本実施形態では、収容部14の上方側には、凹部空間Sを上面から覆うように天蓋44が着脱自在に設置されている。天蓋44は、例えば、プラスチック等の硬質素材で設けられ、収容部の内径よりやや大きい径の略円板状部材からなり、複数の貫通孔50が設けられている。貫通孔50は、大型の植栽鉢12aを上部を開放露出した状態で挿入、離脱自在に位置決め挿入させる位置決め孔であり、該植栽鉢12aの上部側の径と略同じ内径を形成されている。貫通孔50は、例えば、円板状の天蓋44の中心周りに円形配列されている。これにより、植栽鉢12aの転倒防止、位置ずれ防止を実現しつつ、開放露出させた複数の植栽鉢の植物を配置した際に独特の視覚的効果を得る。なお、貫通孔50の個数や配列は任意でよく、該貫通孔の配列を自由に設計することで、バラエティに富んだ複数の植物の配置が可能である。天蓋44の円周外縁側の一部は、該円周縁から内側に向けて円弧状に切欠き52されている。この切欠き52は、凹部空間を上面から覆うように天蓋44を設置した状態で開閉栓部材48による開閉操作を可能する操作用の切欠きであり、収容部14の側壁28の連通開口18が設けられた位置、すなわち、平面視で膨出部32の並びに底壁26の凹設空隙30に対応した位置に設定される。天蓋44の切欠き52、収容部14の側方の操作用空隙Sa、底壁26の凹設空隙30が縦に連通しており、簡便に開閉栓部材48の開閉操作を行える。さらに、天蓋44は、収容部14を覆うことにより収容部14内に保持される水が直接蒸発するのをある程度防止して、1回の貯水部16への給水で長期的に植物栽培することができる。さらに、収容部14内へゴミが入るのを防止でき清掃を含むメンテナンスを長期にしうる。また、天蓋44で収容部16の上面を覆うことにより凹部空間Sは切欠き52位置を除いて略閉鎖された空間となり、収容部周囲のジャケット状の貯水部16の構成も相俟って、該凹部空間S内の温度変化を比較的少なくすることが期待できる。よって、この閉鎖状の凹部空間内に、例えば、成長初期の小さな植物苗を栽培する小型植栽鉢12bを完全収容状に配置して閉鎖状栽培空間としての利用を図ることができる。なお、天蓋44の下面側には閉鎖状栽培空間の植物苗に光を当てる、例えば複数の発光ダイオード54等からなる内部照明装置が設けられている。この閉鎖状栽培空間内で小型植栽鉢12bによりある程度苗を生育した後に大型植栽鉢12aに移植して天蓋44の貫通孔46に挿入し、生育した植物は開放空間で露出した状態で栽培することができる。これにより、成長状態の異なる植物を同時に効率良く栽培することができ、多様な栽培形態を実現することもできる。
【0028】
図1に示すように、本実施形態では、大型植栽鉢12aに植えられる植物Pに風を送る送風装置56と同植物に光を照らす照明装置58とを一体的に備えた風光ユニット60が取り付けられている。風光ユニット60は、図5、図6に示すように、送風装置56と照明装置58とを球状筐体62に内蔵しており、収容部14の中央位置に立設された支柱64を介して植栽鉢12の離隔上方位置に支持されている。支柱64は、例えば、収容部14の底壁26の中心に立設されつつ、天蓋44の中心を貫通して、離隔上方位置まで高く延長されている。球状筐体62は、例えば、内部に送風装置及び照明装置を内蔵する球状の中空空間を有する球状殻体からなる。球状筐体62の上半球部側には、小さな円形状の吸気孔66が複数の穿孔されている。一方、下半球部側の下方は、球状筐体62の直径の略3分の2程度の径のある程度大きな送風開口68が設けられている。支柱64の上端部は該送風開口68から球状筐体内に挿入され、後述の十字状連結板82を介して支柱64上端と風光ユニット60とが連結されている。球状筐体62中空内部の上下中間位置には、内部を上下に仕切るように固定板70が水平に設置されている。固定板70の中央は、矩形状に開口70aされており、該開口70a位置に対応して送風装置56が設置されている。
【0029】
送風装置56は、例えば、矩形筒状の枠体71に支持されたモータ72の回転軸に回転羽根74を取り付けて縦方向に送風するファン装置からなり、枠体71を固定板70に図示しないねじ等を介して固定される。送風装置56が作動すると、球状筐体62に上半球部に設けられた吸気孔66から空気を吸い込みつつ、下半球部の送風開口68を介して下方の植栽鉢12aの植物に向けて風を送るように送風方向Fが設定されている。風の強さは植物にダメージを与えないように比較的弱く設定されている。送風装置56により、密集状に配置される植物に新鮮な空気を送ることができるとともに、該植物に害虫等がつくのを防止して、健全に複数の植物を栽培することができる。照明装置58は、送風装置56の送風下流側に隣接して設置されており、本実施形態では、送風装置56の枠体71の4つの隅部から下方に垂設された支持杆76を介して固定されている。照明装置58は、球状筐体62の下半球部側の送風開口68を介して下方の植栽鉢12に向けて光を照らすように設定されている。照明装置58は、例えば、中央に送風路となる矩形状の開口78aが設けられた矩形枠基盤78に複数の発光ダイオード80が照射方向を下向きに設定して取り付けられて設けられている。照明装置58により、例えば、室内や日陰等でも植物育成に必要な光を当てて健全に複数の植物を栽培できる。また、植物をライトアップすることによる意匠感の向上や室内照明や屋外灯等にも利用できる。4つの支持杆76の中間位置には、4つの端部を該支持杆76に固定させた十字状連結板82が設置されている。この十字状連結板82の交差中心に支柱44の上端が連結されており、送風装置の送風を妨げないようにしつつ風光ユニット60の支柱64による支持を実現している。なお、十字状連結板82十字交差部にねじ筒を固定し、支柱上端に雄ネジを形成して、支柱と風光ユニットとを着脱可能な構成としてもよい。この際、メンテナンス等を簡単に行なえる。また、支柱64を伸縮できる構成として、風光ユニットの設置高さを変更できるようにしてもよい。
【0030】
なお図1に示すように、風光ユニット60並びに天蓋44に取り付けた内部照明装置は、例えば、オンオフ用スイッチ84を介設した電源コード86を介して家庭用100V電源から電源供給されて作動するようになっている。さらに、電源コード86には例えば屋根等に設置されるソーラーパネル90で発電した電気を充電する充電装置92がコントローラ88を介して接続されており、家庭用電源とソーラー発電による電源とを切り換えて使用できる。
【0031】
次に、本実施形態に係る植物栽培装置10の作用について説明する。予め連通開口18を開閉栓部材48で閉鎖しておき、外部給水口20を介して貯水部16の貯水用空隙34に給水する。収容部14の上面を覆うように天蓋44を設置し、該天蓋44の貫通孔50に植物Pを植えた植栽鉢12aを挿入すると、植栽鉢12の底が底壁26上面に載置される。外部給水口20を閉鎖した状態で、開閉栓部材48を開いて連通開口18を開放すると、連通開口18を介して貯水部16から収容部14内へ給水される。自動給水機構22により、収容部14内の水位が上昇して底壁26上面よりも僅かに高い水位WLで連通開口28を水没閉鎖して給水上限高さ位置ULとなり給水が自動的に止まる。底壁上面に載置された植栽鉢12は底側が水に浸かり、底側からの給水が行われる。植栽鉢12の植物が水を吸ったり、蒸発したりして収容部14内の水位が下がると、連通開口18が開いて空気が貯水用空隙34内に入ることにより貯水部から再度収容部14内へ自動的に給水され、前記同様に給水上限高さ位置ULまで貯水される。このようにして簡単な構成で収容部14内の水位WLは所定の高さ位置に常時保持されることとなり、植栽鉢の底側からの給水を長期的に行える。必要に応じて風光ユニット60を作動させ、植物に風を送るとともに光を当てる。これにより、複数の植栽鉢12の植物に自動給水しながら、例えば、旅行や出張等で長期間留守にする場合でも植物を枯らすことなく健全に栽培できる。確認窓43で貯水部の水量を確認し、水が減っている場合には、開閉栓部材48で連通開口18を閉鎖した後、外部給水口20を開放して、外部から貯水部へ給水する。開閉栓部材48の開閉操作は、天蓋44の切欠き52及び収容部14の底壁26の凹部空隙30により、天蓋及び植栽鉢等を離脱させる必要がなく、簡便かつ確実に行える。なお、植物栽培をしない場合には、ケースユニットの上縁壁に台板等を載せてテーブルとして利用することもでき、利用形態を変換して実用性を向上できる。
【0032】
以上説明した本発明の植物栽培装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の植物栽培装置は、室内外で種々の植物を栽培するのに利用される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係る植物栽培装置の一部切欠き正面図である。
【図2】図1の植物栽培装置の要部断面拡大図である。
【図3】図1の植物栽培装置の植栽鉢と風光ユニットを省略して示した平面図である。
【図4】図1の植物栽培装置の天蓋を取り外した状態での一部拡大斜視図である。
【図5】風光ユニットの縦断面拡大図である。
【図6】図1のA−A線矢視拡大図である。
【符号の説明】
【0035】
10 植物栽培装置
12 植栽鉢
14 収容部
16 貯水部
18 連通開口
20 外部給水口
22 自動給水機構
30 凹設空隙
32 膨出部
34 貯水用空隙
36 ジャケット壁
44 天蓋
48 開閉栓部材
50 貫通孔
52 切欠き
56 送風装置
58 照明装置
60 風光ユニット
62 球状筐体
64 支柱
66 吸気孔
68 送風開口
P 植物


【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培植物が植えられるそれぞれ独立した植栽鉢であり、底側からの吸水を可能とした複数の植栽鉢と、
周囲を囲む側壁と底壁とを有し、内側に水を保持する上面開口の凹部空間を形成し、該凹部空間内の底壁上に複数の植栽鉢を寄せ置き状に並べて載置させる浅広形の収容部と、
収容部の側壁の隣接外側に閉鎖した貯水用空隙を形成するようにジャケット壁で形成された貯水部と、
収容部の底部側の側壁を横に貫通して収容部と貯水部とを連通する連通開口と、
貯水部の貯水用空隙に外部から給水できるように開閉自在に閉栓される外部給水口と、
貯水部から収容部への連通開口の給水上限高さ位置を収容部の底壁高さよりも高く設定した自動給水機構と、を含むことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項2】
収容部の凹部空間を上面から覆うように着脱自在に設置され、植栽鉢の上部を開放露出させる状態で植栽鉢を位置決め挿入させる複数の貫通孔が穿孔された天蓋を含む請求項1記載の植物栽培装置。
【請求項3】
連通開口を開閉する開閉栓部材を備え、
凹部空間を上面から覆うように天蓋を設置した状態で開閉栓部材による開閉操作を可能とするように天蓋に切欠きを設けたことを特徴とする請求項2記載の植物栽培装置。
【請求項4】
外部給水口は、貯水部の一部を収容部側に膨出させた膨出部の上端側に設置したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の植物栽培装置。
【請求項5】
横向きに開設された連通開口の給水上限高さ位置は収容部の底壁上面よりわずかに高い程度に設定されており、
収容部の底壁に、開閉栓部材の開閉操作を妨げない程度の凹設空隙を設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の植物栽培装置。
【請求項6】
収容部の中央位置に立設された支柱を介して植栽鉢の離隔上方位置に支持され、送風装置と照明装置とを球状筐体に内蔵した風光ユニットを備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の植物栽培装置。
【請求項7】
球状筐体には、上半球部側に吸気孔が形成され、かつ下半球部の下方側に送風開口が設けられ、
送風装置は下方の植栽鉢に向けて送風方向が設定されており、
さらに照明装置は、球状筐体の下半球部側の送風開口を介して下方の植栽鉢に向けて光を照らすように設定された請求項6記載の植物栽培装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−17153(P2010−17153A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182098(P2008−182098)
【出願日】平成20年7月12日(2008.7.12)
【出願人】(505276454)有限会社プランツスタイル (1)
【Fターム(参考)】