説明

植物由来成分からなるホットメルト接着シートおよびテープ

【課題】防水加工布の縫い目のシーリングに使用される接着シートであって、地球温暖化対策における環境負荷低減のためのカーボンニュートラルを達成できる、植物由来成分を含有する防水層を有するホットメルト接着可能なシートおよびそのシートをスリットしたテープを提供する。
【解決手段】植物由来成分を10〜80%含有するポリウレタン樹脂膜の防水層を有しホットメルト接着性を持つ樹脂膜を積層してなり、耐水圧がJIS 1092の静水圧法で2,000mm水柱以上であり、2,000mm水柱の耐水圧で1分間加圧して漏水がない縫目シーリング性を有するホットメルト接着シートとなす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物由来成分からなるホットメルト接着シートおよびテープに関する。より詳細には、一般スポーツ用、特にアウトドアスポーツ用の衣類、雨衣等に使用される防水加工布の縫目シーリングに用いられ、また昨今の地球温暖化対策における環境負荷の低減のために、カーボンニュートラルに寄与する植物由来成分を含有するホットメルト接着可能なシート、およびそのシートをスリットしたテープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
植物由来成分よりなる素材としてはポリ乳酸樹脂が広く知られており、生分解性を特長とする(例えば特許文献1)。
【0003】
しかし、一般スポーツ用、特にアウトドアスポーツ用の衣類、雨衣等に使用される防水加工布の縫目シーリング用のホットメルト接着可能なシートおよびそのシートをスリットしたテープにおいては、植物由来成分を取り入れて、環境負荷を低減しようとした試みはなされていなかった。
【0004】
本発明者らは、上記に鑑みて植物由来成分を使用したホットメルト接着可能なシートおよびテープの開発を試みたが、植物由来成分のみでは石油由来の原料を使用した場合と同様の耐水圧を付与することは困難であった。また、防水加工布により衣類等が製造される場合に、衣類の着用時の快適性をより向上させるために、縫目シーリング用シートおよびテープにも透湿性を求める要請もあった。
【特許文献1】特開2002−20530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、環境負荷低減可能な植物由来成分を含有する防水層を有する防水加工布の縫目シーリング用のホットメルト接着可能なシートおよびそのシートをスリットしたテープを提供しようとするものである。
【0006】
また、上記シート及びテープにおいて植物由来成分を含有する防水層に透湿性を付与されたものを提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討の結果、植物由来成分を10〜80%(重量%、以下同様)含有するポリウレタン樹脂膜を防水層に使用することにより、環境負荷低減のためのカーボンニュートラルを実現でき、特にポリウレタン樹脂のポリオール成分としてヒマシ油系ポリオールを主体として合成することにより、石油系のポリオールよりなるポリウレタン樹脂膜と同等の性能を有する防水層が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
すなわち、本発明のホットメルト接着シートは、防水加工布の縫い目のシーリングに使用される接着シートであって、植物由来成分を10〜80重量%含有するポリウレタン樹脂膜からなる防水層にホットメルト接着性を持つ樹脂膜を積層してなり、耐水圧がJIS1092の静水圧法で2,000mm水柱以上であり、2,000mm水柱の耐水圧で1分間加圧して漏水がない縫目シーリング性を有するものとする。
【0009】
上記ポリウレタン樹脂を構成するポリオール成分としてはヒマシ油ジオールが好適に用いられる。
【0010】
上記ヒマシ油ジオールはヒマシ油系ポリエーテルポリエステルジオールであって、平均水酸基数が1.8〜2.1個であり、水酸基価が41〜85mgKOH/gであることが好ましい。
【0011】
上記ポリウレタン樹脂膜の防水層は、乾式膜成形技法により形成された無孔膜とすることができる。
【0012】
上記防水層は、あるいは湿式膜成形技法により形成された多孔膜とすることもできる。
【0013】
上記湿式膜成形技法により形成された多孔膜は、JIS 1099 A−1法で3,500g/m・24H以上である透湿性を有することが好ましい。
【0014】
本発明のホットメルト接着シートは、湿式膜成形技法による多孔膜に透湿性およびホットメルト接着性を有する樹脂膜を積層してなり、耐水圧がJIS 1092の静水圧法で2,000mm水柱以上であり、2,000mm水柱の耐水圧で1分間加圧して漏水がない縫目シーリング性と、JIS 1099 A−1法で2,000g/m・24H以上である透湿性を有することが好ましい。
【0015】
本発明のホットメルト接着テープは、上記いずれかに記載のホットメルト接着シートをスリットして得られるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、植物由来成分を所定量含有することにより、環境負荷低減のためのカーボンニュートラルを実現でき、かつ石油系のポリオールよりなるポリウレタン樹脂膜を用いた場合と同等の防水性能を有するホットメルト接着可能なシートおよびそのシートをスリットしたテープが得られる。また、本発明のシートおよびテープに透湿性を付与した場合、これを用いてより快適性の高いスポーツ用衣服等を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明において防水層を形成するポリウレタン樹脂は、生分解可能なものとするために植物由来成分を主体として合成するものとし、植物由来成分は環境負荷低減の観点からはより多いほうが好ましいが、実用可能なポリウレタン樹脂とするために、下限10%、上限80%とする。環境負荷低減とポリウレタン樹脂の性能との兼ね合いを考慮すると、25〜65%が好ましい。
【0018】
特に、ポリウレタン樹脂のポリオール成分としてヒマシ油系ポリオールを主として用い、かつポリウレタン樹脂を湿式製膜することにより多孔質の透湿性膜が得られ、これを防水層とすることにより、透湿性をも有するホットメルト接着可能なシートおよびそのシートをスリットしたテープが得られる。
【0019】
なお、ヒマシ油系ポリオールの原料であるヒマシ油1kg当りの炭酸ガス吸収量は、16kg(日本熱帯農業学会第94回講演会「ヒマにおける乾物生産およびその分配に及ぼす栽培密度の影響、並びにCO吸収量および太陽エネルギー利用効率」(平成15年9月)の推算による)であり、カーボンニュートラルの点で有用性が高い。ちなみに、カーボンニュートラルの代表的なポリ乳酸の炭酸ガス吸収量は、1.83kg(炭酸ガス排出量=炭酸ガス吸収量として)、また、ケフナの炭酸ガス吸収量は1.5kgであるので、ヒマシ油の吸収力は格段に大きい。
【0020】
ヒマシ油は、主に次式で表されるリシノレイン酸のトリグリセライドである。
【化1】

【0021】
また、リシノレイン酸は次式で表される構造を有する化合物である。
【化2】

【0022】
本発明でいうヒマシ油ジオールとはヒマシ油に由来するジオールであり、中でもヒマシ油系ポリエーテルポリエステルジオールであって、平均水酸基数が1.8〜2.1個であり、水酸基価が41〜85mgKOH/gであるものが好ましく、特に平均水酸基数が1.95〜2.05個のものを好適に用いることができる。水酸基数が2.1個を越えると3価のポリオールの分枝あるいは架橋構造の生成のために、樹脂膜を形成するためのコーティングに適したポリウレタン樹脂を得ることが困難となる。すなわち、本発明で用いるウレタン樹脂は、構造が線状であり、分枝あるいは架橋構造をあまり持たず、布帛にコーティング可能な溶液の粘性を持つことが好ましい。分枝構造が増加すると粘性が大きくなり、コーティングに適さなくなる。また、架橋構造になると極微量でも粘性変化が起こり、少量でも粘性変化が大きく、さらに架橋量が増加するとウレタン樹脂溶液を得ることができなくなる。
【0023】
上記植物由来成分を含有するポリウレタン樹脂を得るための方法としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)やジメチルスルホキシド(DMSO)等に代表される極性溶剤や、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、キシレン等の溶剤に、ヒマシ油ジオール等の2価の植物由来ポリオールを溶解し、ここに2価のイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート:MDI、水添MDIなど)を添加し、充分に反応させ、末端にイソシアネートまたは、水酸基を有するプレポリマーを調製したのち、ジオール(石油由来のエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等、植物由来の1,3−プロパンジオール、1,2−ヘキサンジオール等)、又は2価のイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添MDIなど)を添加し、鎖長延長反応で重合度を上げる方法を用いることができる。
【0024】
上記において、2価の植物由来ポリオールと2価のイソシアネートとを反応させてプレポリマーを形成する際には、必要に応じて、2価の植物由来ポリオールに加えて、それ以外のポリオール、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールを共重合することも可能である。より具体的には、2価の石油由来のポリオールである、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリカプロラクトンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が共重合可能である。あるいはポリカーボネートポリオール、シリコーン系ポリオール、フッ素系ポリオール、ポリアミド系ポリオール等を共重合して用いることもできる。これら植物由来ポリオール以外のポリオールはポリオール全量中50重量%(固形分比)以下の割合で混合可能であるが、植物由来比率を低減しないためにも、混合量は25重量%(固形分比)以下であることが望ましい。
【0025】
しかし、植物由来成分を含有するポリウレタン樹脂の重合方法については、これらの方法に特に限定されるものではない。
【0026】
透湿性を有する防水層を得るには、例えば植物由来成分を含有するポリウレタン樹脂から湿式膜成形技法(以下、湿式法と記載する)により微多孔質膜を得る方法が用いられる。また、植物由来成分を含有するポリウレタン樹脂を重合する際に、ポリエチレングリコールよりなるポリオールを共重合することにより、乾式法により透湿性を有する無孔膜を得ることもできる。
【0027】
より具体的には、植物由来成分を含有するポリウレタン樹脂を水に可溶な極性溶剤(DMF、DMSO等)に溶解してなるポリウレタン樹脂溶液を離型布等にコーティングし、これを水中あるいは、極性溶媒を含有する水溶液中で湿式ゲル化させることにより透湿性と防水性を併せ持つ微多孔質膜を形成することができる。
【0028】
あるいは、植物由来成分を含有するポリウレタン樹脂をポリエチレングリコールよりなるポリオールを共重合することにより透湿性のポリウレタン樹脂とし、これを溶解する溶剤で溶解してなるポリウレタン樹脂溶液を離型紙等にコーティングし、この溶剤を乾燥させて透湿性と防水性を併せ持つ無孔質膜を形成する方法等があるが、特に限定されるものではない。
【0029】
上記防水層には、必要に応じて、シリカ微粉末、撥水剤、顔料、マット剤等の添加剤を適宜添加することもできる。
【0030】
本発明のホットメルト接着シートおよびテープを製造するには、離型布、離型紙にコーティング等で形成した防水層にホットメルト接着性を有する樹脂膜を積層する方法が挙げられるが、これに限定されない。
【0031】
ホットメルト接着性を有する樹脂膜を構成する樹脂としては、ホットメルト接着性を持つ樹脂が特に制限なく使用できるが、好ましい例としては、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。
【0032】
なおコーティング方法としては、ナイフコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、リバースロールコーティングなどの各種のコーティング方法が適宜使用できる。
【0033】
本発明における防水層は、実用上の防水の点から耐水圧が2,000mm水柱以上であることが好ましい。また、防水層に透水性を付与する場合は、透湿度としてJIS 1099 A−1法で3,500g/m・24hrs以上、もしくは、B−1法で4,000g/m・24hrs以上の透湿性を有することが望ましい。
【0034】
また、本発明のホットメルト接着シートは、耐水圧がJIS 1092の静水圧法で2,000mm水柱以上であり、2,000mm水柱の耐水圧で1分間加圧して漏水がない縫目シーリング性を有することが好ましく、必要に応じてJIS 1099 A−1法で2,000g/m・24H以上である透湿性を有するものとすることが好ましい。
【実施例】
【0035】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0036】
なお、以下の実施例及び明細書中に記載の耐水圧および透湿度の測定方法としては、特記した以外は以下のものを用いた;
(1)耐水圧:JIS規格L 1092
(2)透湿度:JIS規格L 1099のA−1法
【0037】
〈植物由来ポリウレタン樹脂25%溶液1〉
ヒマシ油ジオール1(伊藤製油(株)製、PH−5002、平均水酸基数:2.03個、水酸基価:43mgKOH/g)25gとヒマシ油ジオール2(伊藤製油(株)製、H−56、平均水酸基数:2.03個、水酸基価:83mgKOH/g)25g、ポリブチレンアジペート(日本ポリウレタン(株)製、ニッポランN−4060)50g、及びDMF250gを1リットルのセパラブルコルベンに入れて溶解し、45℃に調温しながらMDI56.1gを添加し、おおよそ1時間、45℃で反応させ、プレポリマーとした。この後温度を60℃に昇温し、エチレングリコール10.7gを添加し、60℃で鎖長延長反応をさせ、粘度上昇に合せてDMF250gを分割添加しながら重合を行った。約8時間で重合が終わり、植物由来率30.0%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂25%溶液が得られた。
【0038】
〈植物由来ポリウレタン樹脂25%溶液2〉
ヒマシ油ジオール1(伊藤製油(株)製、PH−5002、平均水酸基数:2.03個、水酸基価:43mgKOH/g)40gとヒマシ油ジオール2(伊藤製油(株)製、H−56、平均水酸基数:2.03個、水酸基価:83mgKOH/g)40g、ポリブチレンアジペート(日本ポリウレタン(株)製、ニッポランN−4060)20g及びDMF250gを1リットルのセパラブルコルベンに入れて溶解し、45℃に調温しながらMDI57.6gを添加し、おおよそ1時間、45℃で反応させ、プレポリマーとした。この後温度を60℃に昇温し、エチレングリコール10.9gを添加し、60℃で鎖長延長反応をさせ、粘度上昇に合せてDMF256gを分割添加しながら重合を行った。約8時間で重合が終わり、植物由来率47.5%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂25%溶液が得られた。
【0039】
〈植物由来ポリウレタン樹脂25%溶液3〉
ヒマシ油ジオール1(伊藤製油(株)製、PH−5002、平均水酸基数:2.03個、水酸基価:43mgKOH/g)50gとヒマシ油ジオール2(伊藤製油(株)製、H−56、平均水酸基数:2.03個、水酸基価:83mgKOH/g)50g、及びDMF250gを1リットルのセパラブルコルベンに入れて溶解し、45℃に調温しながらMDI58.6gを添加し、おおよそ1時間、45℃で反応させ、プレポリマーとした。この後温度を60℃に昇温し、エチレングリコール10.9gを添加し、60℃で鎖長延長反応をさせ、粘度上昇に合せてDMF259gを分割添加しながら重合を行った。約8時間で重合が終わり、植物由来率58.9%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂25%溶液が得られた。
【0040】
〈植物由来ポリウレタン樹脂25%溶液4〉
ヒマシ油ジオール1(伊藤製油(株)製、PH−5002、平均水酸基数:2.03個、水酸基価:43mgKOH/g)80gとヒマシ油ジオール2(伊藤製油(株)製、H−56、平均水酸基数:2.03個、水酸基価:83mgKOH/g)20g、及びDMF220gを1リットルのセパラブルコルベンに入れて溶解し、45℃に調温しながらMDI48.7gを添加し、おおよそ1時間、45℃で反応させ、プレポリマーとした。この後温度を60℃に昇温し、エチレングリコール9.2gを添加し、60℃で鎖長延長反応をさせ、粘度上昇に合せてDMF254gを分割添加しながら重合を行った。約8時間で重合が終わり、植物由来率63.3%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂25%溶液が得られた。
【0041】
〈石油由来ポリウレタン樹脂25%溶液〉
ポリブチレンアジペート(日本ポリウレタン(株)製、ニッポランN−4060)100gとDMF250gを1リットルのセパラブルコルベンに入れて溶解し、45℃に調温しながらMDI53.6gを添加し、おおよそ1時間、45℃で反応させプレポリマーとした。この後温度を60℃に昇温し、エチレングリコール10.2gを添加し、60℃で鎖長延長反応をさせ、粘度上昇に合せてDMF241gを分割添加しながら重合を行った。約8時間で重合が終わり、石油由来ポリウレタン樹脂25%溶液が得られた。
【0042】
[実施例1]
上記〈植物由来ポリウレタン樹脂25%溶液1〉100重量部にMEK30重量部で希釈し調整した塗工液を、離型紙にナイフオーバーロール方式にて160g/mで塗布し、約120℃で乾燥し、無孔質膜が離型紙上に得られた。この無孔質膜は、厚みが約30μmで耐水圧が150kPa以上(JIS 1092 高耐水圧法、離型布を当て布にして測定)で透湿度は450g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。また、この防水層の植物由来比率は、30.0%である。
【0043】
次に、ホットメルトポリウレタン溶液(大日本インキ化学工業株式会社製、パンデックスT−5102S)を、40μmの厚みに設定されたTダイ押し出し装置よりシート状に押し出し、上記の離型紙上の無孔質膜と積層した。このシートは厚みは約70μmで耐水圧が150kPa以上(JIS 1092 高耐水圧法、離型布を当て布にして測定)で透湿度は350g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0044】
このシートをスリットして20mm幅のテープを作り、熱風式のテーピングマシン(クインライト電子精工株式会社製、QHP−778L、ノズル温度450℃、ノズルエア圧40kPa、ロール温度加温なし/常温、ロール抑え圧290kPa、スピード3m/分)を用いて、透湿防水加工布(湿式凝固法によるポリウレタンコーティング品、A−1透湿度8,000g/m・24H)の縫目を熱風によりシーリングしたもののそれぞれについて、耐水圧試験機(JIS 1092 静水圧法)にて2,000mm水柱に加圧して耐水圧を3分間ホールドしてシール部分より漏水を測定し、透湿防水加工布Aに漏水のないことを確認した。また、透湿防水加工布にシートを全面に150℃で熱圧着したものの透湿度は330g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0045】
[実施例2]
上記〈植物由来ポリウレタン樹脂25%溶液2〉100重量部にMEK30重量部で希釈し調整した塗工液を、離型紙にナイフオーバーロール方式にて160g/mで塗布し、約120℃で乾燥し、無孔質膜が離型紙上に得られた。この無孔質膜は、厚みが約30μmで耐水圧が150kPa以上(JIS 1092 高耐水圧法、離型布を当て布にして測定)で透湿度は380g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。また、この防水層の植物由来比率は、47.5%である。
【0046】
次に、ホットメルトポリウレタン溶液(大日本インキ化学工業株式会社製、パンデックスT−5102S)を、40μmの厚みに設定されたTダイ押し出し装置よりシート状に押し出し、上記の離型紙上の無孔質膜と積層した。このシートは厚みは約80μmで耐水圧が150kPa以上(JIS 1092 高耐水圧法、離型布を当て布にして測定)であり、透湿度は300g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0047】
このシートをスリットして20mm幅のテープを作り、熱風式のテーピングマシン(クインライト電子精工株式会社製、QHP−778L、ノズル温度450℃、ノズルエア圧40kPa、ロール温度加温なし/常温、ロール抑え圧290kPa、スピード3m/分)を用いて、透湿防水加工布(湿式凝固法によるポリウレタンコーティング品、A−1透湿度8,000g/m・24H)の縫目を熱風によりシーリングしたもののそれぞれについて、耐水圧試験機(JIS 1092 静水圧法)にて2,000mm水柱に加圧して耐水圧を3分間ホールドしてシール部分より漏水を測定し、透湿防水加工布に漏水のないことを確認した。また、透湿防水加工布Aにシートを全面に150℃で熱圧着したものの透湿度は280g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0048】
[実施例3]
上記〈植物由来ポリウレタン樹脂25%溶液3〉100重量部にMEK30重量部で希釈し調整した塗工液を、離型紙にナイフオーバーロール方式にて160g/mで塗布し、約120℃で乾燥し離型紙上に得られた。この無孔質膜は、厚みが約30μmで耐水圧が150kPa以上(JIS 1092 高耐水圧法、離型布を当て布にして測定)であり、透湿度は310g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。また、この防水層の植物由来比率は、58.9%となる。
【0049】
次に、ホットメルトポリウレタン溶液(大日本インキ化学工業株式会社製、パンデックスT−5102S)を、40μmの厚みに設定されたTダイ押し出し装置よりシート状に押し出し、上記の離型紙上の無孔質膜と積層した。このシートは厚みは約80μmで耐水圧が150kPa以上(JIS 1092 高耐水圧法、離型布を当て布にして測定)で透湿度は270g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0050】
このシートをスリットして、20mm幅のテープを作り、熱風式のテーピングマシン(クインライト電子精工株式会社製、QHP−778L、ノズル温度450℃、ノズルエア圧40kPa、ロール温度加温なし/常温、ロール抑え圧290kPa、スピード3m/分)を用いて、透湿防水加工布(湿式凝固法によるポリウレタンコーティング品、A−1透湿度8,000g/m・24H)の縫目を熱風によりシーリングしたもののそれぞれについて、耐水圧試験機(JIS 1092 静水圧法)にて2,000mm水柱に加圧して耐水圧を3分間ホールドしてシール部分より漏水を測定し、透湿防水加工布Aに漏水のないことを確認した。また、透湿防水加工布にシートを全面に150℃で熱圧着したものの透湿度は250g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0051】
[実施例4]
上記〈植物由来ポリウレタン樹脂25%溶液4〉100重量部にMEK30重量部で希釈し調整した塗工液を、離型紙にナイフオーバーロール方式にて160g/mで塗布し、約120℃で乾燥し、無孔質膜が離型紙上に得られた。この無孔質膜は、厚みが約30μmで耐水圧が150kPa以上(JIS 1092 高耐水圧法、離型布を当て布にして測定)で透湿度は300g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。また、この防水層の植物由来比率は、63.3%である。
【0052】
次に、ホットメルトポリウレタン溶液(大日本インキ化学工業株式会社製、パンデックスT−5102S)を、40μmの厚みに設定されたTダイ押し出し装置よりシート状に押し出し、上記の離型紙上の無孔質膜と積層した。このシートは厚みは約80μmで耐水圧が150kPa以上(JIS 1092 高耐水圧法、離型布を当て布にして測定)で透湿度は260g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0053】
このシートをスリットして20mm幅のテープを作り、熱風式のテーピングマシン(クインライト電子精工株式会社製、QHP−778L、ノズル温度450℃、ノズルエア圧40kPa、ロール温度加温なし/常温、ロール抑え圧290kPa、スピード3m/分)を用いて、透湿防水加工布(湿式凝固法によるポリウレタンコーティング品、A−1透湿度8,000g/m・24H)の縫目を熱風によりシーリングしたもののそれぞれについて、耐水圧試験機(JIS 1092 静水圧法)にて2,000mm水柱に加圧して耐水圧を3分間ホールドしてシール部分より漏水を測定し、透湿防水加工布Aに漏水のないことを確認した。また、透湿防水加工布にシートを全面に150℃で熱圧着したものの透湿度は220g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0054】
[実施例5]
上記〈植物由来ポリウレタン樹脂25%溶液1〉100重量部にシリカ微粉末(富士シリシア化学工業(株)製、サイリシア350)3.5重量部を添加、DMF25重量部で充分に浸漬、ホモミキサーで約15分間分散攪拌後、フッ素撥水剤(大日精化工業(株)製、ダイアロマーFF−121D)1重量部と顔料(大日本インキ化学工業(株)製、DILAC WHITE L 7551)2重量部、架橋剤(日本ポリウレタン(株)製、コロネートHL)1重量部を添加攪拌し、植物由来率24.5%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂配合溶液を、タテヨコともに84デシテックスの糸よりなるポリエステル平織物を精錬、セット後、フッ素撥水剤(ダイキン工業株式会社製、ユニダインTG−410)5重量%と水95重量%よりなる撥水液に絞り率約50%でパディング処理し、約120℃で乾燥後、片面を190℃で2回カレンダー処理した離型布のカレンダー面にナイフオーバーロール方式にて160g/mで塗布した。これをN,N−ジメチルホルムアミドの15重量%水溶液の浸漬して凝固多孔膜化した後、N,N−ジメチルホルムアミドをほとんど残留しないように湯洗し、約120℃で乾燥して透湿性と耐水性を合せ持つ多孔質膜が離型布上に得られた。この孔質膜は、厚みが約40μmで耐水圧が80kPa(離型布より剥離せずに測定)で透湿度は9,870g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。また、この防水層の植物由来比率は、24.5%となる。
【0055】
次に、透湿性を有しホットメルト接着性を持つポリウレタン溶液(大日精化工業株式会社製、ハイムレンY−611−63、12μmの膜厚で透湿度が7,000g/m・24H以上(JIS1099 A−1)で、軟化温度は143℃である)100重量部、N,N−ジメチルホルムアミド40重量部よりなる塗工液を、離型紙に乾燥後40μmの膜厚になる様に塗布、乾燥し、離型紙上に透湿性を有しホットメルト接着性を持つ樹脂膜が得られた。この膜の透湿度は4,100g/m・24H(JIS1099 A−1)であった。
【0056】
透湿性と耐水性を合せ持つ多孔質膜を離型布より剥離し得られたシートを、離型紙上の40μmの透湿性を有しホットメルト接着性を持つ樹脂膜と120℃で熱圧着積層し、透湿性を有しホットメルト接着可能で透湿防水加工布の縫目シーリング性能を有するシートとした。このシートは厚みが約75μmで耐水圧が100kPa以上(JIS 1092 高耐水圧法、離型布を当て布にして測定)で、透湿度は3,820g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0057】
このシートをスリットし20mm幅のテープを作り、熱風式のテーピングマシン(クインライト電子精工株式会社製、QHP−778L、ノズル温度450℃、ノズルエア圧40kPa、ロール温度加温なし/常温、ロール抑え圧290kPa、スピード3m/分)を用いて、透湿防水加工布(湿式凝固法によるポリウレタンコーティング品、A−1透湿度8,000g/m・24H)の縫目を熱風によりシーリングしたもののそれぞれについて、耐水圧試験機(JIS 1092 静水圧法)にて2,000mm水柱に加圧して耐水圧を3分間ホールドしてシール部分より漏水を測定し、透湿防水加工布に漏水のないことを確認した。また、透湿防水加工布Aにシートを全面に150℃で熱圧着したものの透湿度は3,380g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0058】
[実施例6]
上記〈植物由来ポリウレタン樹脂25%溶液2〉100重量部にシリカ微粉末(富士シリシア化学工業(株)製、サイリシア350)3.5重量部を添加、DMF25重量部で充分に浸漬、ホモミキサーで約15分間分散攪拌後、フッ素撥水剤(大日精化工業(株)製、ダイアロマーFF−121D)1重量部と顔料(大日本インキ化学工業(株)製、DILAC WHITE L 7551)2重量部、架橋剤(日本ポリウレタン(株)製、コロネートHL)1重量部を添加攪拌し、植物由来率38.8%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂配合溶液を、タテヨコともに84デシテックスの糸よりなるポリエステル平織物を精錬、セット後、フッ素系撥水剤(ダイキン工業株式会社製、ユニダインTG−410)5重量%と水95重量%よりなる撥水液に絞り率約50%でパディング処理し、約120℃で乾燥後、片面を190℃で2回カレンダー処理した離型布のカレンダー面にナイフオーバーロール方式にて160g/m塗布した。これをN,N−ジメチルホルムアミドの15重量%水溶液の浸漬し凝固多孔膜化した後、N,N−ジメチルホルムアミドをほとんど残留しないように湯洗し、約120℃で乾燥して透湿性と耐水性を合せ持つ多孔質膜が離型布上に得られた。この孔質膜は、厚みが約40μmで耐水圧が74kPa(離型布より剥離せずに測定)で透湿度は8,330g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。また、この防水層の植物由来比率は、38.8%となる。
【0059】
次に、透湿性を有しホットメルト接着性を持つポリウレタン溶液(大日精化工業株式会社製、ハイムレンY−611−63、12μmの膜厚で透湿度が7,000g/m・24H以上(JIS 1099 A−1)で、軟化温度は143℃である)100重量部、N,N−ジメチルホルムアミド40重量部よりなる塗工液を、離型紙に乾燥後40μmの膜厚になる様に塗布、乾燥し、離型紙上に透湿性を有しホットメルト接着性を持つ樹脂膜が得られた。この膜の透湿度は4,100g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0060】
透湿性と耐水性を合せ持つ多孔質膜を離型布より剥離し得られたシートを、離型紙上の40μmの透湿性を有しホットメルト接着性を持つ樹脂膜と120℃で熱圧着積層し透湿性を有しホットメルト接着可能で透湿防水加工布の縫目シーリング性能を有するシートとした。このシートは厚みが約75μmで耐水圧が100kPa以上(JIS 1092 高耐水圧法、離型布を当て布にして測定)で透湿度は3,460g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0061】
このシートを20mm幅にスリットしたテープを作り、熱風式のテーピングマシン(クインライト電子精工株式会社製、QHP−778L、ノズル温度450℃、ノズルエア圧40kPa、ロール温度加温なし/常温、ロール抑え圧290kPa、スピード3m/分)を用いて、透湿防水加工布(湿式凝固法によるポリウレタンコーティング品、A−1透湿度8,000g/m・24H)の縫目を熱風によりシーリングしたもののそれぞれについて、耐水圧試験機(JIS 1092 静水圧法)にて2,000mm水柱に加圧して耐水圧を3分間ホールドしてシール部分より漏水を測定し、透湿防水加工布に漏水のないことを確認した。また、透湿防水加工布Aにシートを全面に150℃で熱圧着したものの透湿度は3,080g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0062】
[実施例7]
上記〈植物由来ポリウレタン樹脂25%溶液3〉100重量部にシリカ微粉末(富士シリシア化学工業(株)製、サイリシア350)3.5重量部を添加、DMF25重量部で充分に浸漬、ホモミキサーで約15分間分散攪拌後、フッ素系撥水剤(大日精化工業(株)製、ダイアロマーFF−121D)1重量部と顔料(大日本インキ化学工業(株)製、DILAC WHITE L 7551)2重量部、架橋剤(日本ポリウレタン(株)製、コロネートHL)1重量部を添加攪拌し、植物由来率48.1%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂配合溶液を、タテヨコともに84デシテックスの糸よりなるポリエステル平織物を精錬、セット後、フッ素系撥水剤(ダイキン工業株式会社製、ユニダインTG−410)5重量%と水95重量%よりなる撥水液に絞り率約50%でパディング処理し、約120℃で乾燥後、片面を190℃で2回カレンダー処理した離型布のカレンダー面にナイフオーバーロール方式にて160g/mで塗布した。これをN,N−ジメチルホルムアミドの15重量%水溶液の浸漬し凝固多孔膜化した後、N,N−ジメチルホルムアミドをほとんど残留しないように湯洗し、約120℃で乾燥して透湿性と耐水性を合せ持つ多孔質膜が離型布上に得られた。この孔質膜は、厚みが約40μmで耐水圧が60kPa(離型布より剥離せずに測定)で透湿度は7,560g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。また、この防水層の植物由来比率は、48.1%である。
【0063】
次に、透湿性を有しホットメルト接着性を持つポリウレタン溶液(大日精化工業株式会社製、ハイムレンY−611−63、12μmの膜厚で透湿度が7,000g/m・24H以上(JIS 1099 A−1)で、軟化温度は143℃である)100重量部、N,N−ジメチルホルムアミド40重量部よりなる塗工液を、離型紙に乾燥後40μmの膜厚になる様に塗布、乾燥し、離型紙上に透湿性を有しホットメルト接着性を持つ樹脂膜が得られた。この膜の透湿度は4,100g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0064】
透湿性と耐水性を合せ持つ多孔質膜を離型布より剥離し得られたシートを、離型紙上の40μmの透湿性を有しホットメルト接着性を持つ樹脂膜と120℃で熱圧着積層し透湿性を有しホットメルト接着可能で透湿防水加工布の縫目シーリング性能を有するシートとした。このシートは厚みが約75μmで耐水圧が100kPa以上(JIS1092 高耐水圧法、離型布を当て布にして測定)で透湿度は3,210g/m・24H(JIS1099 A−1)であった。
【0065】
このシートをスリットして20mm幅のテープを作り、熱風式のテーピングマシン(クインライト電子精工株式会社製、QHP−778L、ノズル温度450℃、ノズルエア圧40kPa、ロール温度加温なし/常温、ロール抑え圧290kPa、スピード3m/分)を用いて、透湿防水加工布(湿式凝固法によるポリウレタンコーティング品、A−1透湿度8,000g/m・24H)の縫目を熱風によりシーリングしたもののそれぞれについて、耐水圧試験機(JIS 1092 静水圧法)にて2,000mm水柱に加圧して耐水圧を3分間ホールドしてシール部分より漏水を測定し、透湿防水加工布に漏水のないことを確認した。また、透湿防水加工布Aにシートを全面に150℃で熱圧着したものの透湿度は2,790g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0066】
[実施例8]
上記〈植物由来ポリウレタン樹脂25%溶液4〉100重量部にシリカ微粉末(富士シリシア化学工業(株)製、サイリシア350)3.5重量部を添加、DMF25重量部で充分に浸漬、ホモミキサーで約15分間分散攪拌後、フッ素系撥水剤(大日精化工業(株)製、ダイアロマーFF−121D)1重量部と顔料(大日本インキ化学工業(株)製、DILAC WHITE L 7551)2重量部、架橋剤(日本ポリウレタン(株)製、コロネートHL)1重量部を添加攪拌し、植物由来率51.8%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂配合溶液を、タテヨコともに84デシテックスの糸よりなるポリエステル平織物を精錬、セット後、フッ素系撥水剤(ダイキン工業株式会社製、ユニダインTG−410)5重量%と水95重量%よりなる撥水液に絞り率約50%でパディング処理し、約120℃で乾燥後、片面を190℃で2回カレンダー処理した離型布のカレンダー面にナイフオーバーロール方式にて160g/mで塗布した。これをN,N−ジメチルホルムアミドの15重量%水溶液の浸漬し凝固多孔膜化した後、N,N−ジメチルホルムアミドをほとんど残留しないように湯洗し、約120℃で乾燥して透湿性と耐水性を合せ持つ多孔質膜が離型布上に得られた。この孔質膜は、厚みが約40μmで耐水圧が56kPa(離型布より剥離せずに測定)で透湿度は7,130g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。また、この防水層の植物由来比率は、51.8%である。
【0067】
次に、透湿性を有しホットメルト接着性を持つポリウレタン溶液(大日精化工業株式会社製、ハイムレンY−611−63、12μmの膜厚で透湿度が7,000g/m・24H以上(JIS 1099 A−1)で、軟化温度は143℃である)100重量部、N,N−ジメチルホルムアミド40重量部よりなる塗工液を、離型紙に乾燥後40μmの膜厚になる様に塗布、乾燥し、離型紙上に透湿性を有しホットメルト接着性を持つ樹脂膜が得られた。この膜の透湿度は4,100g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0068】
透湿性と耐水性を合せ持つ多孔質膜を離型布より剥離し得られたシートを、離型紙上の40μmの透湿性を有しホットメルト接着性を持つ樹脂膜と120℃で熱圧着積層し透湿性を有しホットメルト接着可能で透湿防水加工布の縫目シーリング性能を有するシートとした。このシートは厚みが約75μmで耐水圧が100kPa以上(JIS 1092 高耐水圧法、離型布を当て布にして測定)で透湿度は3,040g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0069】
このシートをスリットして20mm幅のテープを作り、熱風式のテーピングマシン(クインライト電子精工株式会社製、QHP−778L、ノズル温度450℃、ノズルエア圧40kPa、ロール温度加温なし/常温、ロール抑え圧290kPa、スピード3m/分)を用いて、透湿防水加工布(湿式凝固法によるポリウレタンコーティング品、A−1透湿度8,000g/m・24H)の縫目を熱風によりシーリングしたもののそれぞれについて、耐水圧試験機(JIS 1092 静水圧法)にて2,000mm水柱に加圧して耐水圧を3分間ホールドしてシール部分より漏水を測定し、透湿防水加工布に漏水のないことを確認した。また、透湿防水加工布Aにシートを全面に150℃で熱圧着したものの透湿度は2,620g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0070】
[比較例1]
上記(石油由来ポリウレタン樹脂25%溶液)100重量部にMEK30重量部で希釈し調整した塗工液を、離型紙にナイフオーバーロール方式にて160g/mの塗布量で塗布し、約120℃で乾燥し離型紙上に無孔質膜を得た。この無孔質膜は、厚みが約30μmで耐水圧が150kPa以上(JIS 1092 高耐水圧法、離型布を当て布にして測定)で透湿度は520g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。また、この防水層の植物由来比率は0%である。
【0071】
次に、ホットメルトポリウレタン溶液(大日本インキ化学工業株式会社製、パンデックスT−5102S)を、40μmの厚みに設定されたTダイ押し出し装置よりシート状に押し出し、上記の離型紙上の無孔質膜と積層した。このシートは厚みは約70μmで耐水圧が150kPa以上(JIS 1092 高耐水圧法、離型布を当て布にして測定)で透湿度は410g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0072】
このシートをスリットして20mm幅のテープを作り、熱風式のテーピングマシン(クインライト電子精工株式会社製、QHP−778L、ノズル温度450℃、ノズルエア圧40kPa、ロール温度加温なし/常温、ロール抑え圧290kPa、スピード3m/分)を用いて、透湿防水加工布(湿式凝固法によるポリウレタンコーティング品、A−1透湿度8,000g/m・24H)の縫目を熱風によりシーリングしたもののそれぞれについて、耐水圧試験機(JIS 1092 静水圧法)にて2,000mm水柱に加圧して耐水圧を3分間ホールドしてシール部分より漏水を測定し、透湿防水加工布に漏水のないことを確認した。また、透湿防水加工布Aにシートを全面に150℃で熱圧着したものの透湿度は380g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0073】
[比較例2]
上記〈石油由来ポリウレタン樹脂25%溶液〉100重量部にシリカ微粉末(富士シリシア化学工業(株)製、サイリシア350)3.5重量部を添加、DMF25重量部で充分に浸漬、ホモミキサーで約15分間分散攪拌後、フッ素撥水剤(大日精化工業(株)製、ダイアロマーFF−121D)1重量部と顔料(大日本インキ化学工業(株)製、DILAC WHITE L 7551)2重量部、架橋剤(日本ポリウレタン(株)製、コロネートHL)1重量部を添加攪拌し、植物由来率0%(固形分中比率)のポリウレタン樹脂配合溶液を、タテヨコともに84デシテックスの糸よりなるポリエステル平織物を精錬、セット後、フッ素系撥水剤(ダイキン工業株式会社製、ユニダインTG−410)5重量%と水95重量%よりなる撥水液に絞り率約50%でパディング処理し、約120℃で乾燥後、片面を190℃で2回カレンダー処理した離型布のカレンダー面にナイフオーバーロール方式にて160g/mで塗布した。これをN,N−ジメチルホルムアミドの15重量%水溶液の浸漬し凝固多孔膜化した後、N,N−ジメチルホルムアミドをほとんど残留しないように湯洗し、約120℃で乾燥して多孔質膜が離型布上に得られた。この孔質膜は、厚みが約40μmで耐水圧が78kPa(離型布より剥離せずに測定)で透湿度は9,320g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。また、この防水層の植物由来比率は0%である。
【0074】
次に、透湿性を有しホットメルト接着性を持つポリウレタン溶液(大日精化工業株式会社製、ハイムレンY−611−63、12μmの膜厚で透湿度が7,000g/m・24H以上(JIS 1099 A−1)で、軟化温度は143℃である)100重量部、N,N−ジメチルホルムアミド40重量部よりなる塗工液を、離型紙に乾燥後40μmの膜厚になる様に塗布、乾燥し、離型紙上に透湿性を有しホットメルト接着性を持つ樹脂膜が得られた。この膜の透湿度は4,100g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0075】
上記多孔質膜を離型布より剥離し得られたシートを、離型紙上の40μmの透湿性を有しホットメルト接着性を持つ樹脂膜と120℃で熱圧着積層し、透湿性を有しホットメルト接着可能で透湿防水加工布の縫目シーリング性能を有するシートとした。このシートは厚みが約75μmで耐水圧が100kPa以上(JIS 1092 高耐水圧法、離型布を当て布にして測定)で透湿度は3,650g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0076】
このシートをスリットして20mm幅のテープを作り、熱風式のテーピングマシン(クインライト電子精工株式会社製、QHP−778L、ノズル温度450℃、ノズルエア圧40kPa、ロール温度加温なし/常温、ロール抑え圧290kPa、スピード3m/分)を用いて、透湿防水加工布(湿式凝固法によるポリウレタンコーティング品、A−1透湿度8,000g/m・24H)の縫目を熱風によりシーリングしたもののそれぞれについて、耐水圧試験機(JIS 1092 静水圧法)にて2,000mm水柱に加圧して耐水圧を3分間ホールドしてシール部分より漏水を測定し、透湿防水加工布に漏水のないことを確認した。また、透湿防水加工布Aにシートを全面に150℃で熱圧着したものの透湿度は3,430g/m・24H(JIS 1099 A−1)であった。
【0077】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のホットメルト接着可能なシートおよびテープは、一般スポーツ用および特にアウトドアスポーツ用衣類、雨衣等に好適に使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水加工布の縫い目のシーリングに使用される接着シートであって、
植物由来成分を10〜80重量%含有するポリウレタン樹脂膜からなる防水層にホットメルト接着性を持つ樹脂膜を積層してなり、耐水圧がJIS 1092の静水圧法で2,000mm水柱以上であり、2,000mm水柱の耐水圧で1分間加圧して漏水がない縫目シーリング性を有することを特徴とするホットメルト接着シート。
【請求項2】
前記ポリウレタン樹脂を構成するポリオール成分としてヒマシ油ジオールを用いたことを特徴とする、請求項1に記載のホットメルト接着シート。
【請求項3】
前記ヒマシ油ジオールがヒマシ油系ポリエーテルポリエステルジオールであって、平均水酸基数が1.8〜2.1個であり、水酸基価が41〜85mgKOH/gであることを特徴とする、請求項2に記載のホットメルト接着シート。
【請求項4】
前記ポリウレタン樹脂膜の防水層が、乾式膜成形技法により形成された無孔膜であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のホットメルト接着シート。
【請求項5】
前記ポリウレタン樹脂膜の防水層が、湿式膜成形技法により形成された多孔膜であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のホットメルト接着シート。
【請求項6】
前記湿式膜成形技法により形成された多孔膜が、JIS 1099 A−1法で3,500g/m・24H以上である透湿性を有することを特徴とする、請求項5に記載のホットメルト接着シート。
【請求項7】
前記湿式膜成形技法により形成された多孔膜にホットメルト接着性を有する樹脂膜を積層してなり、耐水圧がJIS 1092の静水圧法で2,000mm水柱以上であり、2,000mm水柱の耐水圧で1分間加圧して漏水がない縫目シーリング性と、JIS 1099 A−1法で2,000g/m・24H以上である透湿性を有することを特徴とする、請求項6に記載のホットメルト接着シート。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のホットメルト接着シートをスリットして得られるホットメルト接着テープ。

【公開番号】特開2009−155645(P2009−155645A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310903(P2008−310903)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(591086407)東レコーテックス株式会社 (29)
【Fターム(参考)】