椎間板インプラント
本発明は、椎間板インプラントに関し、これは、椎間板に関するベースプレートの可能な変位とは独立して、動作の自然な自由性を模倣しそしてベースプレートに関する椎間板の並進および/または回転変位を容易にする。この変位を達成するために、椎間板は、並進および/または回転変位が起き得るように、インプラントの内部に位置する固定エレメントによってベースプレート上に取り付けられる。さらに、トッププレートと椎間板との間のベアリング表面は球面であり、したがって接触表面を最大にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然の椎間板の動作の自由度が最良の可能な様式で模倣されるように設計された人工椎間板に関する。
【背景技術】
【0002】
脊柱は、人体の動作の物理的中心を表す。これは、体重を支え、複雑な動作を実行可能であり、そしてそれに作用する力を吸収および相殺し得る。
【0003】
ヒトの脊柱は、全部で24個の椎骨、仙骨、および尾骨からなる。個々の椎骨は、椎間板によって隔てられている。椎骨は、5つの部分、すなわち、頚椎(7個の頚椎骨、C1−C7)、胸椎(12個の胸椎骨、Th1−Th12)、腰椎(5個の腰椎骨、L1−L5)、仙骨、および尾骨に分けられている。
【0004】
各椎骨は、骨椎体、脊髄にかかる椎弓、各側の横突起、および背面に向いた棘突起からなる。
【0005】
医療の特別な分野の外科、整形外科および脳神経外科において、外傷性、リウマチ性、または変性性の変化した脊柱の人工椎間板置換は、手術手順の1つである。
【0006】
従来技術によれば、脊柱は、圧迫された領域において硬直する。疼痛領域は、プレートまたは桿状体材料の補助で架橋されて、運動不足のためしだいに硬直する。硬直は、椎体においては腹側で(腹面に向かって位置した、腹面側で)、または椎弓(椎弓根)の領域においては背側で(背中に属する、背面に向かって位置して)、通常発生する。
【0007】
椎間板の人工置換においては、内因性材料(線維輪および髄核)が、外科手術によって除去され、そして代用物が代わりに挿入される。ほとんどの場合、堅いケージがここに使用され、これは、システムに依存して、骨セメントまたは細片骨で満たされる。
【0008】
公知のシステムにおいて、動作のそれぞれのセグメントの硬直/癒着が、病状の治療に容認されることは不都合である。形態および機能に関しての脊柱の修復は達成されない。このような手術の結果は、制限された可動および「隣接椎間板症候群」(硬直したセグメントから生じる動作の力を支えなければならないという事実の結果として無理に使用されるのと同様に引き起こされる癒着に隣接する椎間板コンパートメントの椎間板疾患)である。
【0009】
近年、椎体セグメントの可動性の維持を意図するシステムが創造され、傷害を受けた椎間板の領域において2つの椎骨の強直な結合を避けている。この種のシステムは、主として、堅い外部被覆によって取り囲まれた粘性または変形可能な材料を使用する。
【0010】
US2002/0128715A1は、例えば、変形可能な弾性の内部体からなる人工椎間板を開示し、これは、一定の所定の制限内で変形され得、そして堅い外部スケルトンによって取り囲まれている。この人工椎間板によって、天然の動作の自由度は、内部体の所定の制限された変形によって達成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
すべての公知の人工椎間板において改善されなければならないことは、天然の椎骨セグメントの動作の可能性の模倣である。これまで、天然の椎骨セグメントによって示される動作の自由度を人工椎間板インプラントに与えることができなかった。公知のインプラントの不十分な機能性によっては、脊柱の可動は、最適な様式に回復されない。相殺され得ない運動中に生じる最大荷重は、椎体中へのインプラントの沈下を引き起こす。これに加えて、公知のシステムでは、これらが荷重に対して安定ではなく脊柱に作用する不変荷重に対抗できないか、あるいは材料が生体適合性に対する必要条件を満たさないという問題が生じる。さらに、成長する行動は未だ不十分であり、そしてこれらの過程は、神経根上で作用する圧力を再度生じさせ得る。
【0012】
本発明の目的は、最大限の解剖学的適合性を達成し、かつ不変荷重下でさえも最良の可能な様式で天然の椎間板の動作自由度を模倣し、したがって、天然の椎間板と永続的に置換できる椎間板インプラントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は、請求項1および2のそれぞれに記載の椎間板インプラント、および請求項14に記載のそれらの使用を提供することにより解決される。本発明のさらなる好都合な実施態様、局面および詳細は、従属請求項、詳細な説明、実施例、および図面から明らかである。
【0014】
本発明は、回転運動および/または曲げ運動の間に、関節重力中心が、天然の脊椎セグメントの場合と同様に変動され得ることを特徴とする椎間板インプラントに関する。
【0015】
脊椎セグメントの複雑な運動は、例えば、瞬間回転中心(ICR)の移動によって示され得る。本発明の椎間板インプラントは、最良の可能な様式で天然の動作自由度を模倣するので、本発明は単に、本発明の椎間板インプラントが、天然の脊椎セグメントの場合に可能である動作を可能にするということで表され得る。
【0016】
回転動作とは別に、天然の脊椎セグメントは並進動作もまた可能であるので、物理量によってこれらの動作過程を記載することが必要である。これらの物理量の1つは、瞬間動作中心または瞬間動作中心の移動である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、本明細書中に記載の椎間板インプラントは、天然の脊椎セグメントの場合に可能であるのと同じ様式で、しかし、先行技術の椎間板インプラントの場合では不可能な様式で、瞬間動作中心の移動を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
脊椎関節の動作自由度は多様であり、複雑な動作可能性および複雑な動作パターンを生じる。脊椎セグメントの動作は、空間軸(いわゆるIHA(瞬間螺旋軸))の周囲の直接回転動作および該軸に沿った直接並進動作として記載され得る。
【0019】
可能な屈曲伸展動作、両側側面傾斜動作、および回転動作とともに、異なる強度の逆説的な動作パターンがこの部位全体において生じる。
【0020】
頚部領域、胸部領域および腰部領域のセグメントのこれらの動作構造の場合、螺旋軸の瞬間位置(IHA)のパラメータとして、IHAの回転角、方向および位置、ならびに螺旋ピッチが考慮されなければならない。基本的に、セグメント可動性は、直接螺旋表面によって示され得る。しかし、力系の外部パラメータ(すなわち、力、トルク、力作用線の方向および位置)は、時間の関数として定常保持され得る。
【0021】
屈曲伸展動作、両側側面傾斜動作、および/または回転動作の間のIHAの位置または移動が求められれば、例えば、L3/4脊椎セグメントについては、図2に示す曲線が作成される。
【0022】
屈曲脊椎セグメントの軸回転は、運動学的に制限される。矢状方向に配置された関節は、回転の増大と共にIHAを無理に背面部に移動させる機械的ガイドを生じる(図2を参照のこと)。このため、IHAに対する断面二次モーメントおよびしたがって脊椎セグメントの回転剛性は増大し、それによって、トルクのさらなる増大が減少角度の増大を引き起こす。屈曲の場合、IHAは、腹側弓で1つの関節から別の関節に進むが(図2の曲線経路1を参照のこと)、伸展の場合、IHAは、背側弓上で移動する(図2の曲線経路2を参照のこと)。ここでは、40mmから60mmを超える移動距離で移動され得る。関節の切除後、IHAは、再度、椎間板中心に位置する(図2の3の黒領域を参照のこと)。
【0023】
初期の脊椎セグメント剛性(軸回転角α=0)は、十分に高い軸前荷重の屈曲/伸展位置によって設定される:伸展(図2の曲線経路2を参照のこと)は平回転角トルク[α(T)]を伴い、そして屈曲は急勾配α(T)に至る。作用線が後部にシフトすることにより、予荷重量を変更する必要なくセグメントを硬直させる。これは、関節部のガイド変更が、背側に初期IHAを変位し、そして断面二次モーメントを増大させるからである。
【0024】
軸回転の増大は、先導脊椎関節への圧縮荷重の増大を引き起こす。軸回転角αが大きい場合、IHAは、荷重された関節に沿って移動するので、関節表面が回転するにつれて、運動学的に摩擦の問題を自然と解消している。運動復帰の場合、付着摩擦は生じ得ず、そして回転摩擦は、滑り摩擦よりも小さい(M. Mansour, D. Kubein-Meesenburg, St. Spiering, J. Fanghanel, H. Nagerl BIOmaterialien, 2003, 4(3), 229)。
【0025】
このような運動学的動作は、先行技術の従来の椎間板インプラントによっては可能であり得ない。しかし、本発明によれば、本明細書中に記載の椎間板インプラントは、このような並進動作を可能にする。したがって、本発明の椎間板インプラントは、天然の椎間板を用いる場合と同様にIHAの動作を可能にする。
【0026】
本発明の実施態様では、天然の脊椎セグメントの場合に可能である移動が、並進的に動作可能な方法でベースプレート上に椎間板を据えることにより達成される。
【0027】
本発明の椎間板インプラントでは、螺旋軸(IHA)は、天然の脊椎セグメントの場合と同様に移動し得る。したがって、本発明の椎間板インプラントの場合、螺旋軸(IHA)は、背側または腹側弓に沿って移動し得る。
【0028】
IHAは、運動中心(ICR:瞬時回転中心)の定常的な変更と共に並進運動および回転運動を考慮し、それにより、連続的に動作を記載できる。したがって、IHAと共に2つの硬い椎体間のセグメント動作を記録することは、真の回転軸の表示を可能にする。これは、複雑な三次元動作を可視化する方法である。
【0029】
脊椎セグメントの場合の中心軌跡パターンまたはICR(ICR:瞬時回転中心)の移動のパターンを調べると、瞬時運動中心について、例えば、図5に示す逆説的な動作パターンが生じる。濃色ドットおよびそれらの間にある連結線は、ここでの回転中心の移動を示している。
【0030】
本発明の椎間板インプラントの創意のあるデザインの結果として、天然の脊椎セグメントの場合と同じ動作パターンが、本発明の人工脊椎セグメントの場合でも可能である。天然の動作パターン(すなわち、中心軌跡パターン)のこの最良の可能な模倣は、本発明にしたがってベースプレートに椎間板を据えることにより可能とされる。
【0031】
平面で回転動作および並進動作を行う物体の場合、ICR(瞬間回転中心)は、特定の固定状態での回転中心の瞬間位置をいう。
【0032】
平面で平面回転動作(すなわち、平面物体の回転動作)を観察すると、該平面物体の個々の部の動作は、該平面に垂直に伸びる回転軸周囲の回転動作として示され得る。該回転軸は、特定の点(ICR)で平面と交差する。この平面物体上の特定の点の空間位置は、例えば、それらの速度によって定義され得る。例えば、2点AおよびBの速度が分かっていて、そしてこれらの2点が互いの上に位置していない場合(図4aを参照のこと)、ICRは、点Aを通る点Aの速度ベクトル[v(A)]に垂直な直線および点Bを通る点Bの速度ベクトル[v(B)]に垂直な第2の直線を引き、そしてこれら2つの直線の交点を求めることにより求められ得る。これら2つの線の交点がICRである。
【0033】
速度ベクトルv(A)およびv(B)がベクトルABに対して垂直に伸び、そして両速度ベクトルの長さが分かっている場合、ベクトルABと、2つの速度ベクトルの2つの極値を通って伸びている直線との交点で、ICRが得られる(図4bを参照のこと)。
【0034】
さらに、平面で回転動作および並進動作を行う物体について、IAR(瞬間回転軸)とは、並進が行われていない瞬間観測法の場合にその物体が回転する軸をいう。
【0035】
瞬間回転中心(ICR)は、例えば、図5に示されるように、屈曲および伸展の場合に、特徴的な経路を示す。例えば、脊椎セグメントの右側の勾配の場合における逆説的な随伴回転は、通常、左手回転を生じ、ここでは、棘突起が右側に変位される。
【0036】
本発明の椎間板インプラントは、それらが天然の脊椎セグメントによってもまた行われるような瞬間回転中心(ICR)の移動動作を可能にする。したがって、本発明は、天然の脊椎セグメントの場合で行われるのと同じICRの移動動作を可能にする椎間板インプラントの提供にある。
【0037】
該移動動作は、ベースプレート上に椎間板を動作可能に据えることにより可能とされる。このことを以下に詳述する。
【0038】
本発明の人工椎間板は、好ましくは、3つの部分で構成される。椎間板インプラントの中央部分は、椎間板によって形成され、椎間板は、好ましくは、並進運動および回転運動の両方が可能であるように、ベースプレート上に据えられる。
【0039】
ベースプレートに対する椎間板の該並進運動および/または回転運動は、椎間板に対する被覆プレートの可能な動作とは独立している。したがって、本発明の椎間板インプラントの3部分の全てが、相互に動かされ得、それにより、脊柱の天然の動作自由度が、最良の可能な様式で模倣され得る。
【0040】
椎間板およびベースプレートの相互の並進動作が可能であるようにベースプレート上に椎間板を据えることは、種々の方法で実現され得る。
【0041】
1つの実現方法は、固定手段の使用を含む。固定手段としては、ジャーナル、バルジ加工、保持デバイス、ピン、フランジなど、ならびにベースプレート上で椎間板の並進動作を制限するために他の考えられる手段が用いられ得る。これらの手段は、好ましくは、ベースプレート上に取り付けられる。
【0042】
ベースプレートは、好ましくは中心に配置されたガイドおよび/または収容ピンを有し得る。これは、ねじり軸の方向に伸びている。中心に位置づけする代わりに、このガイドおよび/または収容ピンはまた、中心以外に、例えば、背側または腹側に変位されるようにして、取り付けられ得る。該ピンは、好ましくは、直径が2〜15、好ましくは3〜12mm、より好ましくは5〜10mm、および特に好ましくは6〜9mmであり、そして高さが1〜5mm、好ましくは2〜4mm、および特に好ましくは3〜4mmである。さらに、このようなピンは、好ましくは、円筒形状または円錐形状を有するが、一般には、楕円体の形状も使用され得る。個々のピンは、ベースプレート上の実質的に中心に配置されるべきである。
【0043】
本発明によれば、椎間板は、ピンまたは固定手段を収容するのに適切な凹部を有し、該凹部は、ピンの直径よりも大きな直径を有するべきである。このような凹部は、好ましくは、O型から楕円形までの範囲のデザインを有するが、円形デザインもまた有し得る。O型または楕円形のデザインの場合、側面方向の半径は、前後屈方向の半径よりも小さい。
【0044】
好ましくは、前後屈方向の凹部の半径の長さは、ピンの半径の長さの1〜3倍である。側面方向での凹部の半径は、ピンの半径と比較して、ピンの半径と同じサイズであるか、または2倍までの大きさである。
【0045】
椎間板における凹部のデザインがベースプレートのピンに比較して大きいため、該ピンは、凹部によって規定される制限内で動き得、またはむしろ、該椎間板が、ベースプレート上で並進するように、該制限内で動き得る。
【0046】
これらの関係を絶対数で表すと、椎間板は、好ましくは、ベースプレート上で、側面方向に0〜10mm、好ましくは1〜6mm、より好ましくは2〜5mm、および特に好ましくは3〜4mm、そして前屈方向ならびに後屈方向に2〜15mm、好ましくは3〜10mm、より好ましくは4〜7mm、および特に好ましくは5〜6mm動き得る。この数値は、一方の極位置から他方の極位置までの総距離をいう。この半分の長さは、中心位置から極位置まで移動される。
【0047】
しかし、ベースプレート上の実質的な中心に取り付けられたピンの形態での固定手段は、ベースプレート上の椎間板の回転動作を制限しないが、ねじり軸周囲の回転動作は、天然の状態によっておよび/またはさらなる固定手段によって決定される。このような固定手段は、好ましくは、ベースプレート上に取り付けられる。インプラント上で回転が技術的には制限されないとしても、自由回転は、もちろん、生理学的に存在する構造によって制限される。本発明の椎間板インプラントは、両方向に3度まで、好ましくは1〜2度、および特に好ましくは約1.5度の回転動作を可能にする。
【0048】
固定手段は、1つのピン、ジャーナル、フランジなどの1つからなり得るだけでなく、これらの固定手段の2つ以上を含むこともあり得る。特に、椎間板によって完全に被覆される固定手段が好ましい。ベースプレート上またはベースプレートの縁に配置された側面制限(例えば、エッジ、保持デバイス、ビーズ、レールなどの形態で)は、あまり好ましくない。なぜなら、これらは、組織の吸着点となり、組織および/または軟骨が異常増殖され得、それにより、ベースプレート上の椎間板の運動性が再度制限されるからである。したがって、特に、完全に被覆された、すなわち、組織、軟骨および筋肉が接近可能でない固定手段が好ましい。固定手段は、それらが、例えば、インプラントの内部に位置している、例えば、椎間板によって被覆されている場合に、完全に被覆される。
【0049】
さらなる好ましい実施態様は、好ましくは背側または腹側に偏るように、ベースプレート上に取り付けられた2つのピンを含む。相応して、椎間板は、ピンの直径に比較して大きい直径を有する2つの凹部を有する。それにより、椎間板は、凹部内で並進するように、ピンの周囲を自由に動き得る。ここでは、並進動作および機械的または解剖学的軸周囲の回転動作は、凹部の境界内で可能である。この実施態様の場合、理論的に可能な360度の自由回転はもはや行われ得ない。
【0050】
2つのピンの代わりに、3つ以上であっても用いられ得る。これは、概して、ベースプレート上に等距離で取り付けられる。さらに、ピンの代わりに、側面保持デバイスもまた提供され得る。この場合、ベースプレート上に側面固定される保持デバイスによって制限されるベースプレートの表面積は、その上にある椎間板の表面積よりも大きいものとされる。それにより、椎間板は、側面保持デバイスの境界内でベースプレート上またはベースプレートに対する並進動作および/または回転動作を行い得る。このような保持デバイスは、例えば、縁部に連続または非連続に配されたビーズ、または隆起エッジであり得る。
【0051】
椎間板は、図7および図8に示すような円形または円筒状の形状を有する必要はないが、代わりに、卵形から隅のあるもの、角ばったものからバナナ形、平面状から弓なり形、非対称から正方形または矩形までの範囲の所望の一般的なデザインを有し得る。さらに、椎間板は、先細りされ(すなわち、厚さを変えられ)得、特に背側方向に先細りされ得る。椎間板の可能な基本形状は、例えば、欧州特許公報EP0505634B1の図2および図3(a)〜(e)に開示されている。さらに、椎間板の可能な基本形状は均一な厚さを有する必要はなく、そのため、椎間板の異なる場所はまた異なる厚さを有し得る。これは、例えば、3mm、6mm、9mm、または12mmであり得る。さらに、椎間板は、好ましくは非変形性である。
【0052】
好ましい実施態様は、椎間板の接合表面と被覆プレートの接合表面とが、それぞれの楕円体の部分表面上に各々位置するように、被覆プレートが椎間板上に据えられている椎間板インプラントを含む。
【0053】
「接合表面」とは、可能な動作と共に対応する他の表面に接触し得る、椎間板の表面または被覆プレートの表面をいう。
【0054】
互いに接触する椎間板の接合表面および被覆プレートの接合表面は、楕円体、好ましくは球体の表面の部分に位置している。
【0055】
接触表面とは、椎間板および被覆プレートの特定の固定位置で、これらの2つの部分が互いに接触する領域をいうことが意図される。
【0056】
それに対して、椎間板の接合表面は、被覆プレートに対する椎間板の任意の可能な位置で被覆プレートの表面と接触し得る椎間板の全表面である。
【0057】
したがって、被覆プレートの接合表面は、椎間板に対する被覆プレートの任意の可能な位置で椎間板の表面と接触し得る被覆プレートの全表面である。
【0058】
本発明によれば、被覆プレートの接合表面は、楕円体、好ましくは、圧縮型(a=b>c)の回転楕円体または伸長型(a=b<c)の楕円体の部分表面上に、特に好ましくは球体表面区画(a=b=c)上に位置している。ここで、「a」は、x軸(前後屈軸)方向の半径をいい、「b」は、y軸(ねじり軸)方向の半径をいい、そして「c」は、z軸(側面軸)方向の半径をいう。同じことが、対応する様式で椎間板の接合表面にあてはまる。
【0059】
本発明によれば、被覆プレートの接合表面が位置している楕円体表面または球体表面の半径(a、bおよびc;またはaおよびc;またはa)が椎間板の接合表面が位置している楕円体表面または球体表面の半径(a’、b’およびc’;またはa’およびc’;またはa’)と同じサイズを有することがさらに重要である。
【0060】
特に好ましくは、被覆プレートの接合表面は、球体表面区画に位置し、そして椎間板の接合表面も球体表面区画に位置し、さらに、これらの両球体表面区画は、特に好ましくは同じ半径を有する。
【0061】
椎間板および被覆プレートの接合表面が位置している球体表面区画の半径は、R=15〜45mmの大きさを有する。椎間板インプラントのサイズに依存して、半径も相応して増大する。腰部領域の椎間板インプラントは、25〜45mmの半径を有し、胸部領域の椎間板インプラントは、20〜40mmの半径を有し、そして頚部領域の椎間板インプラントは、15〜35mmの半径を有する。
【0062】
接触表面は、少なくとも400mm2の面積、好ましくは少なくとも450mm2の面積、より好ましくは少なくとも500mm2の面積、および特に好ましくは少なくとも550mm2の面積である。ここで、接触表面は、インプラントのサイズに依存し、したがって大きな椎間板インプラントほど大きな接触表面を有することも考慮に入れなければならない。このサイズの接触表面は、機械的荷重を椎間板に分配し、そしてインプラントにより長い耐久性を生じる。
【0063】
本発明によるデザインによって、被覆プレートと椎間板との間の接触表面は、点状または線形の接触表面ではなく、代わりに球体の接触表面が作出されるので、複雑な動作の場合でさえも最大化される。
【0064】
基本的に、そのために、2つの実施態様が考えられる。第一の可能性によれば、被覆プレートの接合表面は、凸状または平凸状に設計され得、そして被覆プレートに接合する椎間板の表面は、凹状または平凹状に設計され得る(図10を参照のこと);あるいは他には、被覆プレートの接合表面は、凹状または平凹状に設計され、そして被覆プレートに接合する椎間板の表面は、凸状または平凸状に設計される(図11を参照のこと)。第一の実施態様が、ここでは好ましい。
【0065】
さらに、被覆プレートまたは椎間板の接合表面が凹状デザインの場合、接触表面は、接合表面に対応することが特に好ましい。この実施態様では、椎間板および被覆プレートのそれぞれの接合表面が位置しているそれぞれの球体表面区画の半径が、実質的に同一である。
【0066】
したがって、椎間板インプラントの好ましい実施態様は、ベースプレート、椎間板、および被覆プレートを備え、ここで該椎間板は、並進動作および/または回転動作が可能であるようにベースプレート上に据えられ、そして該被覆プレートは、椎間板の接合表面および被覆プレートの接合表面が各々、それぞれの楕円体部分表面、好ましくは球体表面上に位置するように、椎間板上に据えられている。
【0067】
さらに、本発明による実施態様では、被覆プレートは、互いに関して平行な位置から始まって、ベースプレートに対して20度まで傾斜され得る。
【0068】
さらに、図10に示すような先細型の被覆プレートおよびベースプレートが好ましい。脊椎セグメントの天然形状をより良好に模倣するために、被覆プレートおよびベースプレートは、それらの腹側側部がそれらの背側側部よりも厚い。被覆プレートまたはベースプレート、または被覆プレートおよびベースプレートの両方において、好ましくは、それらの腹側側部がそれらの背側側部の2倍の厚さを有する。あるいは、被覆プレートまたはベースプレート、または被覆プレートおよびベースプレートの両方が、背側端部から腹側端部まで3%、好ましくは6%、および特に好ましくは8%の傾斜を有する。向かい合っている被覆プレートおよびベースプレートの側部が面取り部を有さず、そして向かい合っていない被覆プレートおよびベースプレートの側部が面取りされることが、特に好ましい。別の好ましい実施態様では、ベースプレートのみまたは被覆プレートのみが先細型である。被覆プレートおよび/またはベースプレートの面取り部は、10度までであり得、2〜8度が好ましい(腹側が広く背側が先細になる)。さらに、脊柱の湾曲に従って、被覆プレートおよび/またはベースプレートの傾斜が生理学的状態に適合されることが、好ましい。ここで好ましくは、被覆プレートが頭蓋方向に(頭に向かって)、ベースプレートが尾方向に(足に向かって)有するのとは異なる度の偏角を有している。側方から眺めると、脊柱は、二重Sの形である(脊柱後湾/脊柱前湾)。特に腰椎の領域(脊柱前湾)では、椎骨が、相互に腹側方向に開放されたある角度で存在する。対応する椎間区域を理想的に供するために、インプラントは、これらの椎骨が相互にある角度内にあるように、その被覆プレートおよびベースプレートと適合可能であるべきである。その背景は、インプラントに理想的な力衝撃を提供すること、椎間板の脱臼の危険性を最小限にすること、および生理学に従って脊柱の椎間構造を調整することである。これらの局面は、インプラントの耐久性に加わる。椎間区域が解剖学的構造に従って満たされる場合、および椎間板が理想的に荷重される場合、椎間板のポリエチレンの摩損が減少される。ポリエチレンの椎間板または他の高分子材料の椎間板も最も激しく摩損を受けるので、本発明の特に好ましい実施態様は、金属の椎間板(必要に応じてセラミックコーティングで被覆された)を使用する。
【0069】
さらに、ベースプレートおよび被覆プレートは、骨に面している表面に凸状屈曲部を有することが好ましい。骨に対する被覆プレートの凸状屈曲部が特に好ましい。これは、椎骨もまた屈曲部(凹状)を有し、それにより、骨へのインプラントの固結が防止され得るからである。骨柱(bony trabeculum)の構造が生理学的に荷重され、骨の表面成長のためにより多くの表面が利用可能となり、そしてインプラントの脱臼危険性が低くなることが利点である。それにより、凸状は、好ましくは、1〜5mmの範囲にあり、すなわち、高さがもっとも高い位置で5mmまでである。
【0070】
被覆プレートと椎間板との相互の動作の可能性に加え、椎間板およびベースプレートは、相互に動き得る。本発明の椎間板インプラントは、椎間板が、椎間板がねじり軸の軸周囲を数度だけ水平面で回転され得るように、ベースプレート上に据えられるように設計される。
【0071】
ベースプレートおよびカバープレートの相互の動作は、その間に楕円体(最適な場合では球体)が位置する2つの同一の平行プレートの動作に匹敵し得、ここでは、それぞれのプレートが、プレートの中心で楕円体または球体と接触する。これらのプレートの相互の動作は、本発明の椎間板インプラントのベースプレートおよび被覆プレートの相互の動作と匹敵し得る。ここでは、ベースプレートおよび被覆プレートのデザインのため、側方曲げ動作および後屈動作が、前屈動作よりも小さな程度でのみ行われ得る。
【0072】
ベースプレートおよび被覆プレートは、最大で10度、好ましくは8度まで、より好ましくは6度まで、および特に好ましくは4度までで、相互に回転され得る。
【0073】
側面方向での曲げ動作は、中心位置から始まって両側に8度まで、好ましくは12度まで、および特に好ましくは15度までで行われ得る。
【0074】
後屈曲げ動作は、中心位置から始まって10度まで、好ましくは15度まで、および特に好ましくは20度までで行われ得る。
【0075】
前屈曲げ動作は、中心位置から始まって20度まで、好ましくは25度まで、および特に好ましくは30度までで行われ得る。さらに、椎間板は、好ましくは、可能な動作の全てにおいて、被覆プレートがベースプレートと接触しないようなサイズを有するように設計される。さらに、被覆プレートおよびベースプレートの端部は、互いから離れて向かい合っている隅に、偏角を有する(図10を参照のこと)。ベースプレートおよび被覆プレートの端部のこの偏角および椎間板のデザインは、本発明のインプラントの長期操作性のために重要である。被覆プレートおよびベースプレートの接触する各々の摩砕(衝突)が、摩損を生じたり、粒子からより大きなインプラント片までの放出を生じたりし、これらは、インプラントの耐久性を劇的に減少させるからである。さらに、椎間板の脱臼の場合は、ベースプレートおよび被覆プレートが互いに接触し、そして上昇した被覆プレートに起因して被覆プレートと椎間板との間の接触面積が減少する場合に生じ得る。したがって、前出の理由のため、被覆プレートおよびベースプレートの衝突は、必ず防止されるべきである。
【0076】
さらに、椎間板は、好ましくは、剛性プラスチック、好ましくはポリエチレン、および特に好ましくは高分子量ポリエチレン(UHMWPE)で製造され得る。
【0077】
「超高分子量ポリエチレン」との呼称は、確実には明確でない。HDPE(高密度PE)は、現在、200,000g/mol未満の分子量を有するPEをいう。DIN ISO 11542によれば、0.1g/10分未満のメルトマスフローレート(これは、106g/molより大きな分子量に相当する)を有するPEは、UHMWPEと定義される。ASTM D 4020によれば、限界は、3.1×106g/molである。市販のUHMWPEの示された平均分子量は、3.5×106g/molと107g/molとの間である。これは、製造業者および用いられる測定方法に依存する。超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)は、ISO 5834−2規格に従うポリエチレンであり、Chirulen(登録商標)およびTIVAR(登録商標)Premiumは、体内補綴で使用するためのPEUHMWの高純度インプラント材料である。好ましい接合パートナーとして、それらは、人工股関節、膝関節、肘関節、および肩関節で使用される。
【0078】
さらに好ましい実施態様では、チタンまたはチタン合金もまた、椎間板を作製するために使用される。チタンまたはチタン合金のベースプレート、チタンまたはチタン合金の被覆プレート、およびチタンまたはチタン合金の椎間板を有するこれらのさらに好ましい実施態様では、いわゆる硬質−硬質対が、被覆プレートと椎間板との間、そしてまたベースプレートと椎間板との間にも作出される。これらの系において、チタンまたはチタン合金がセラミックコーティングと共に提供されることがさらに特に好ましい。基本的に、椎間板のために高分子を使用しないが、金属または金属合金を使用する実施態様が好ましく、好ましくは、セラミックコーティングと共に提供される。
【0079】
医薬品製造で承認されたチタン材料は、特にDIN ISO 5832−3に適合すべきである。原則として、医薬品材料としてのチタンおよびチタン合金の承認は、DIN ISO 5832−1から5832−12規格によって統制される。
【0080】
純チタンとは別に、チタン合金(例えば、Ti−6Al−4V、Ti−Nb−Ta−Zr、Ti−Al6−Nb7(ISO 5832−11に従う)またはTi−29Nb−13Ta−4.6Zr)もまた、本発明に従って用いられ得る。チタン部分が少なくとも50質量%、より好ましくは65質量%、さらにより好ましくは80質量%、および特に好ましくは90質量%であるチタン合金が好ましい。さらに、椎間板インプラント全体を作製するために純粋または医用チタンを使用することが好ましい。
【0081】
ベースプレートおよび被覆プレートは、セメントで固められるか、あるいは骨中に移植され得るか、またはセメントなしで脊椎骨に固定化され得る。ここで、セメントなしの固着が好ましい。
【0082】
さらに、チタンは、ベースプレートおよび/または被覆プレートの本体部の材料として用いられる。本発明のベースプレートおよび被覆プレートの本体部の材料としてのチタンは、生物学的に不活性であり、したがって、骨と共に定着するようになり、セメントなしでも固着でき、そして無アレルギーである。
【0083】
生体適合性の不活性な材料を選択することにより、インプラント上への生理学的組織の受容は、本質的に改善される。耐摩擦応力に特に適した材料の使用により、人工材料の摩耗が最小限になり、したがって、インプラントの耐久性(実用寿命)が本質的に延長される。
【0084】
骨細胞は、50〜400μmの範囲の開口粗さを有する構造化表面が提供される場合、生体適合性材料上に直接固着し得る。
【0085】
ベースプレートおよび被覆プレートが骨と共に定着することを可能にするために(特にセメントなしでの固定の場合)、骨に面しているベースプレートおよび被覆プレートの表面は、少なくともRz 50μm、好ましくは少なくともRz 60μmの粗さを有する。もちろん、海綿金属(spongiosa metal)までの他の粗さ度合いもまた、使用され得る。
【0086】
粗さは、RzまたはRaのいずれかとして示される(DIN 4762、4768、4775、ISO 4288)。Rzとは、平均粗さ深度をいう。平均粗さ深度Rzは、互いに隣接しているいくつかの個々の測定距離のうちの最大の個々の粗さ深度の算術平均である。これに対して、Raとは、算術平均高をいう。Raは、一般に認められ、国際的に用いられている粗さパラメータである。これは、基準距離内のプロフィール変量の絶対値の算術平均値である。測定数値Raは、同じ粗さプロフィールで決定されたRz値よりも常に小さい。
【0087】
本発明の椎間板インプラントのベースプレートおよび/または被覆プレートは、好ましくは、金属コーティングまたはセラミックコーティングで被覆される。これらは、種々の層またはコートの個数、または種々の層またはコートの厚さを有し得る。セラミックコーティングは、好ましくは半金属および金属または金属合金の窒化物、炭化物、およびリン化物を含む。セラミックコーティングの例は、窒化ホウ素、チタン−ニオブ−ニトリド、チタン−カルシウム−ホスフィド(Ti−Ca−P)、Cr−Al−N、Ti−Al−N、Cr−N、TiAlN−CrN、Ti−Al−C、Cr−C、TiAlC−CrC、Zr−Hf−N、Ti−Hf−C−N、Si−C−N−Ti、Si−C−N、およびDLC(ダイヤモンド様炭素)である。さらに好ましくは、チタン−ニオブ−ニトリド(Ti−Nb−N)のセラミックコートまたは層は、コーティングとして適用される。
【0088】
ベースプレートおよび被覆プレートの接合表面がチタン−ニオブ−ニトリド(Ti−Nb−N)で被覆されることが特に好ましい。
【0089】
特に接合インプラント表面のこのセラミックコーティングは、一般に使用される材料よりも数倍高い硬度を有する。この硬度の結果、表面は、高度に研磨可能であり、そしてチタン摩損から保護される。
【0090】
本発明によれば、接合コンパートメントの幾何学的形態は、摩耗を受ける表面が最大になり得るように選択される。これは、本発明によれば、関節パートナーの幾何学的形態が、被覆プレートと椎間板との間の平らな接触表面、および椎間板と被覆プレートとの間の楕円体表面区域(好ましくは、球体区域)を介して摩擦応力を受ける面積が最大になる(これは最終的に摩耗を減少させる)ように、選択されることを意味する。これは、単位面積当たりで作用する力の減少を生じ、このため、摩損の減少の結果としてインプラントの実用寿命に明確な効果を有する。椎間板インプラントの選択されたおよび個々に適合した幾何学的形態(特に、椎間板の幾何学的形態)および手術中のインプラントの正確な位置決めによって、各椎体セグメントの相互間の生理学的可動性のある対応が、最良の可能な様式で達成される。天然の椎間板およびその可動性のこのほぼ完全な模倣によって、骨−インプラントの境界に作用する力はかなり減少し、これは、インプラントの長寿(摩耗の減少およびゆるみ過程の最小化)に明確な効果を有する。
【0091】
先行技術の補綴物は、ほとんどが背中に最大限2つのレベルでしか挿入され得ない。本発明の椎間板インプラントは、背骨に2つより多くのレベルでも挿入され得る。この場合、個々の椎間板インプラントは、それらのそれぞれの位置に対してサイズおよび幾何学的形態に関して適合化され、それにより、脊柱疾患、脊柱損傷、および脊柱の疾病もまた、このような複数のインプラントによって治療され得る。
【0092】
本発明の椎間板インプラントまたは本発明の椎間板インプラントのセットにより治療され得る該脊柱疾患、脊柱損傷、および脊柱の疾病としては、例えば、脊柱側湾症(すなわち、脊柱の側方湾曲、背骨の湾曲とも呼ばれる)、椎間板ヘルニア(隣接した椎体または神経根に対する椎間板の髄核の脱出をいう)、および脊柱後湾症(後方への脊柱の湾曲を意味する)が挙げられる。
【0093】
さらに、本発明の椎間板インプラントにより、以下の脊柱疾患、脊柱損傷、および脊柱の疾病が治療され得る:椎間板脱出(すなわち、椎間板疾病)、椎間板黒化(Black Disc)(X線写真で黒くなる変性椎間板)、自然変形(すなわち、疾病、骨変または腫脹による椎体の変形)、腰痛症(またはより一般的には、腰部リウマチまたは腰痛と呼ばれ、これは、重度で、ほとんどの場合では背中および腰部に突然に痛みが生じる、ほぼ一般には、腰痛症は、椎間板変化から生じる)、変形性脊椎症(すなわち、運動時に重度の疼痛を伴う椎体および椎間板の疾病)、加齢性猫背(すなわち、更年期(閉経期)後のホルモン状態変化による骨萎縮によって引き起こされる老年女性の脊柱の湾曲)、脊椎脊髄炎(すなわち、椎骨および脊髄の炎症)、骨軟骨症(これは、椎間板の変化および変性をいう)、および骨線維症(これは、若年者の骨格の疾病を称する)、脊椎披裂(椎体披裂としても知られる、特に、脊柱の先天的披裂形成)、脊柱前湾症(専門家には、中空の背部により引き起こされる脊柱の前方湾曲を意味する)、脊椎下垂(すなわち、椎骨幅全体にわたる椎体の滑りであり、ほとんどの場合、仙骨上の第五腰椎)、土方骨折と称される剥離骨折(ほとんどの場合、第七頚椎または第一胸椎の棘突起で、重度の過緊張により引き起こされる)、脊髄髄膜瘤(これは、専門家には、椎弓の先天的奇形として理解されている)、上腕痛(これは、頚椎の領域における変化による腕および肩の疼痛をいう)、バーストルップ症候群(これは、棘突起の幅拡大および組織の粉砕を伴う脊柱の前方湾曲を意味し、それらの間で、ほとんどの場合、重度の背中の疼痛および圧力下での棘突起の疼痛を伴う)、脊椎強直(これは、体幹、腕、および脚での重度の疼痛および四肢筋の麻痺を伴う脊柱の骨硬直をいう)、ショイエルマン病(これは、専門家の間では、個体の椎体(好ましくは、若年者の胸椎)の骨および軟骨の炎症をいう)、頚部症候群(すなわち、頚椎の領域における軟部の疾病)、腰椎後彎(すなわち、腰椎の領域における脊柱の湾曲)、斜頚(すなわち、曲がり首、しばしばリウマチに基づく)、ならびにベヒテレフ病(これは、慢性炎症脊髄病をいい、脊柱器官全体の変化および硬直を引き起こす)。
【実施例】
【0094】
本発明の椎間板インプラントの好ましい実施態様を実施例によって記載する。記載した実施例は、本発明の好ましい実施態様を示すものとして考慮されなければならないが、保護範囲をこれらの実施態様に制限しない。
【0095】
(実施例1)
本発明の椎間板インプラントの実施態様は、図9に示す被覆プレート、図7および図8に示す椎間板、および図6に示すベースプレートからなる。
【0096】
この椎間板インプラントは、L3/4脊椎セグメントを置換するのに適したサイズを有する。実施例1に記載の椎間板インプラントのより小さな実施態様は、困難なく当業者によって製造され得る。より小さな実施態様において、特に椎間板と被覆プレートとの間であるが、椎間板とベースプレートとの間でも、接触表面は、このより小さな実施態様のサイズに対応して同様に小さくなり得る。同じことが、側面方向および前後屈方向での並進動作についての上記の値に当てはまる。
【0097】
被覆プレートは、医用工学で用いられるチタンからなる。骨に面している被覆プレートの表面は粗く、したがって、骨細胞をその中または表面上で増殖させることが可能である。粗さRzは約60±5μmである。被覆プレートの接合表面は、図9に示されるように平凸に設計され、そしてTi−Nb−Nのセラミックコートで被覆される。コートの厚さは3〜5μmである。
【0098】
被覆プレートの接合表面は、R=25mmの半径を有する球体表面区域上に位置する。
【0099】
ベースプレートもまた、チタンからなり、そして図6に示すような形状を有する。骨に面しているベースプレートの表面は、約60±5μmの粗さRzを有する粗さに設計される。椎間板の支持表面は、Ti−Nb−Nのセラミックコーティングで被覆される。コートの厚さは3〜5μmである。
【0100】
図6から明らかなように、椎間板に面している脛骨成分の表面は、中心に位置したピンから離れて平面状である。該ピンは、高さ5mmおよび直径7mmを有する円筒形状を有する。このピンも、Ti−Nb−Nのセラミックコーティングで被覆される。ベースプレートは、図10に示すように、矩形で示されるが、もちろん、他の外形も有し得、そして厚さも変更し得る。
【0101】
椎間板は、図7および図8に示すようなデザインを有する。図7は、ベースプレートのガイドおよび/または収容ピンを収容するための円筒凹部を有する椎間板の底部表面を示す。図8は、凹面設計された接合表面を有する椎間板の頂部側を示す。接合表面は、半径Rを有する球体表面区域上に位置する。椎間板の接合凹部表面上に破線で図示した同心円は、この表面が球体表面の一部であることを明確にしている。椎間板は、UHMWPEからなる。被覆プレートに面している椎間板の側部は、凹状に設計され、そして半径25mmを有する。R=25mmを有する椎間板の凹状のくぼみは、これもまたR=25mmを有するカバープレートのバルジ加工した凸状を収容し、球体表面区域上に位置している接触表面を作出する。これらが一緒になって作出された接触表面は、約450mm2になる。それにより、荷重は、椎間板上の点や線ではなく面全体に分配される。
【0102】
椎間板の凹状のくぼみの接合表面全体が、接触表面に相当する。
【0103】
さらに、図8に示すように、椎間板は、ベースプレートに面しているその側部上に凹部を有する。該凹部は、ベースプレートのピンを収容するために提供される。該ピンは図6に示される。
【0104】
ベースプレートのピンの直径に比較して椎間板の凹部の直径の方が大きいため、椎間板は、ベースプレート上で回転動作および並進動作の両方を行うことができる。回転動作は、生理学的に約1.5度に制限される。
【0105】
ベースプレート上のピンは、直径7mmを有する。椎間板中の凹部は、側面方向に11mmおよび前後屈方向に13mmの直径を有する。したがって、側面方向では、凹部は、ピンの直径の1.57倍の直径を有し、そして前後屈方向では、ピンの直径の1.86倍の直径を有する。
【0106】
中心位置から始めて、椎間板はベースプレート上で、側面方向に2mm、またはむしろ一方の極位置から他方の極位置まで全体として4mm動き得る。中心位置から始めて、椎間板はベースプレート上で、後屈方向に3mmおよび前屈方向に3mm、またはむしろ背側極位置から腹側極位置まで全体として6mm動き得る。
【0107】
曲げ動作が生じる場合、ベースプレートおよび被覆プレートは、相互に20度まで傾斜され得る。複雑な動作は、天然のL3/4脊椎セグメントの場合で行われるようなIHAの移動を引き起こす。同じことが、瞬間回転中心(ICR)に当てはまる。
【0108】
したがって、本発明の実施態様は、天然の脊椎セグメントの場合に存在するのとまさに同様の、動作に対する自由度を可能にする。ここでは、複雑な動作の場合でさえも、椎間板上の荷重ピークは、互いの頂部にある椎間板および被覆プレートの球体表面によって回避される。
【0109】
(実施例2)
L2/3脊椎セグメントのための本発明の椎間板インプラントのさらなる実施態様は、図10に示されるような、被覆プレート、椎間板、およびベースプレートからなる。
【0110】
被覆プレートは、ISO 5832−11によるチタン合金Ti−Al6−Nb7からなる。骨に面している被覆プレートの表面は粗く、粗さRzは約55±5μmである。被覆プレートの接合表面は、平凸に設計され、そして約6μm厚のセラミックコーティングで被覆される。Ti−Ca−PまたはSi−C−N−TiまたはDLCをセラミックコーティングとして用いた。
【0111】
被覆プレートの接合表面は、R=24mmの半径を有する球体表面区域上に位置する。
【0112】
ベースプレートもまた、Ti−Al6−Nb7からなる。骨に面しているベースプレートの表面は粗く、粗さRzは約55±5μmである。椎間板の支持表面は、Ti−Ca−PまたはSi−C−N−TiまたはDLCのセラミックコーティングで被覆される。コーティングの厚さは約6μmである。さらに、グラウンドプレートは、直径5.5mmおよび高さ4mmを有するガイドピンを有する。このピンもTi−Ca−PまたはSi−C−N−TiまたはDLCで被覆される。
【0113】
被覆プレートは、骨に面している側部に最大3.5mmの高さの凸面屈曲部を有する。さらに、被覆プレートは、8度の傾斜度を有し、そしてその腹側側部は、その背側側部のほぼ2倍の厚さである。また、ベースプレートは、背側方向に先細りする形態を有する6度の面取り部を有する。
【0114】
椎間板もまた、ISO 5832−11によるTi−Al6−Nb7からなり、Ti−Ca−PまたはSi−C−N−TiまたはDLCのセラミックコーティングを有する。コーティングの厚さは約6μmである。
【0115】
椎間板は、その底部側に、側面方向に直径7mmおよび腹側−背側に直径10mmを有する卵形凹部を有する。被覆プレートに対する接触表面は約440mm2である。
【0116】
(実施例3)
Th5/6脊椎セグメントのための本発明の椎間板インプラントのさらなる実施態様は、図10に示されるような、被覆プレート、椎間板、およびベースプレートからなる。
【0117】
被覆プレートは、ISO 5832−11によるチタン合金Ti−Al6−Nb7からなる。骨に面している被覆プレートの表面は粗く、粗さRzは約65±5μmである。被覆プレートの接合表面は、平凸に設計され、そして4μm厚を有するTi−Al−Nのセラミックコーティングで被覆される。
【0118】
被覆プレートの接合表面は、R=22mmの半径を有する球体表面区域上に位置する。
【0119】
ベースプレートもまた、Ti−Al6−Nb7からなる。骨に面しているベースプレートの表面は、約65±5μmの粗さRzを有する粗さに設計される。椎間板の支持表面は、Ti−Al−Nのセラミックコーティングで被覆される。コートの厚さは4μmである。それに加えて、ベースプレートは、直径6mmおよび高さ4mmを有するガイドピンを有する。このピンもTi−Al−Nで被覆される。
【0120】
椎間板は、UHMWPEまたはチタンまたはISO 5832−11によるTi−Al6−Nb7からなる。チタンを材料として用いる場合、椎間板は、全体的に、または少なくとも下側および上側のその接合表面上で、Ti−Nb−Nのセラミックコーティングで被覆される。コートの厚さは、3〜5μmである。Ti−Al6−Nb7を用いる場合、Ti−Al−Nのセラミックコーティングは、少なくとも接合表面上に塗布される。
【0121】
椎間板は、その底部側に、側面方向に直径7mmおよび腹側−背側に直径12mmを有する卵形凹部を有する。したがって、椎間板は、側面方向に各側0.5mm動き得、または絶対的に1.0mmの距離で移動し得、一方、腹側方向に3mmの並進動作が可能であり、そして背側方向に3mmの並進動作が可能であり、またはむしろ、6mmの距離で背側極点から腹側極点まで移動し得る。
【0122】
被覆プレートと接合する表面は、R=22mmの半径を有する凹状に設計される。少なくとも420mm2の接触表面が生じる。
【0123】
被覆プレートおよび底部プレートは、背側方向にわずかに先細りしており、相互に2度まで回転され得、そして相互に15度まで傾斜され得る。
【0124】
椎間板インプラントのこれらの複雑な回転動作および曲げ動作の場合、IHAは、天然の脊椎セグメントの場合と同じ移動動作を行う。したがって、本発明の実施態様は、天然の脊椎セグメントの場合に存在するのとまさに同様の動作に対する自由度を可能にする。複雑な動作の場合でさえも、椎間板上の荷重ピークが、互いの頂部にある椎間板および被覆プレートの球体表面によって回避される。
【0125】
(実施例4)
C2/3脊椎セグメントのための本発明の椎間板インプラントのさらなる実施態様は、図11に示されるような、被覆プレート、椎間板、およびベースプレートからなる。
【0126】
被覆プレートおよび底部プレートは、チタン合金Ti−29Nb−13Ta−4.6Zrからなる。骨に面している被覆プレートの表面は粗く、約55±5μmの粗さRzを有する。被覆プレートおよび底部プレートの接合表面は、約3μmの厚さを有するTi−Hf−C−NまたはZr−Hf−Nのコーティングと共に提供される。
【0127】
被覆プレートは、平凸に設計され、半径18mmを有するバルジを有する。
【0128】
椎間板は、UHMWPEまたはチタンまたはISO 5832−11によるTi−Al6−Nb7、またはTi−29Nb−13Ta−4.6Zrからなる。チタンまたはチタン合金を材料として用いる場合、椎間板は、全体的に、または少なくとも下側および上側のその接合表面上で、セラミックコーティングで被覆される。
【0129】
椎間板は、平凸に設計され、球体表面上に位置し、そして被覆プレートの接合表面が位置している球体表面と同じ半径を有する接合表面を有する。接触表面は、少なくとも400mm2のサイズを有する。
【0130】
ガイドピンを収容するのに適した椎間板中の円形凹部は、直径6mmを有する。
【0131】
ベースプレート上に取り付けられた円筒状ガイドピンは、高さ3mmおよび直径4mmを有する。これらの大きさのため、ガイドピンまたは椎間板は、ベースプレート上で水平に並進して中心位置から進んで任意の方向に1mm動き得る。回転動作は、1度まで可能である。
【0132】
したがって、人工頚部脊椎インプラントは、天然のC2/3脊椎セグメントによって行われるような運動を行い得、そして瞬間回転中心(ICR)およびIHAは、天然の脊椎セグメントの場合と同じ移動動作を生じる。
【0133】
(実施例5)
ベースプレートおよび被覆プレートの材料およびデザインは、実施例1〜3に記載のものと同様である。異なる点は、被覆プレート上で、腹側および/または背側および/または側面方向に偏った2つまたは3つの固定手段を、中心に取り付けられた1つの固定手段の代わりに用いることである。
【0134】
したがって、椎間板は、固定手段を収容するための1つの凹部を有するだけでなく、代わりに複数の凹部を有する。
【0135】
底部プレートでは、例えば、2つの円筒ピンが、側面方向に偏るように取り付けられる。各ピンは、直径4mmおよび高さ4mmを有する。椎間板は、2つの円形、卵形、または三日月形の凹部を有する。この凹部は、該ピンを収容するのに適し、そして椎間板が、ベースプレート上で側面方向に1〜2mmおよび腹側−背側方向に2〜6mmの並進動作を行い得るような大きさとされる。
【0136】
これらの2つのピンは、約1.5度に回転を制限する。
【0137】
この実施態様もまた、天然の脊椎セグメントの場合に行われるような運動を可能にし、これは、IHAまたはICRの経路から見られ得る。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】椎体、脊椎管、椎弓、横突起、および棘突起を有する2つの椎骨、ならびに随伴した椎間板を示す。
【図2】L3/4椎間板を通る水平断面、および回転動作の場合のIHA移動を示す。屈曲の場合、IHAは、1つの関節から別の関節まで腹側弓で進むが(1)、伸展の場合、背側弓で進む(2)。移動距離は、40mmから60mmを超えるまでであり得る。切除後、IHAは、椎間板の中心に位置する(3)[図2および本文は、M. Mansour, D. Kubein-Meesenburg, St. Spiering, J. Fanghanel, H. Nagerl BIOmaterialien, 2003, 4 (3), 229による刊行物から採った]。
【図3】L1〜L4およびL5のレベルにおける脊椎関節の腹側断面および背側断面をそれぞれ示す。L5のレベルでは、関節は、むしろ正面へ向かって伸展していることが明らかである。軸回転は約1.5°を伴い、そこでは、約1度を伴う他の腰椎セグメントL1〜L4におけるよりも高い[図3および本文は、M. Krismer, C. Haid, M. Ogon, H. Behensky, C. Wimmer, Orthopadie 1997, 26, 516-520による刊行物から採った]。
【図4】平面にある2点の速度ベクトルによってICR(瞬間回転中心)を求める可能性を示す。
【図5】Gertzbeinによる屈曲または伸展の場合の瞬間回転中心(ICR:瞬間回転中心)を示す。濃色ドットおよび濃色の連結線は、動作に依存する回転中心の移動を示している。[図5および本文は、M. Krismer, C. Haid, M. Ogon, H. Behensky, C. Wimmer, Orthopadie 1997, 26, 516-520による刊行物から採った]。
【図6】インプラントの遠位のベースプレートを示す。回転動作および並進動作の両方を可能にする椎間板の中心収容に適した足場を示す。
【図7】ベースプレートに面している側から見た椎間板を示す。ベースプレート上に取り付けられる固定手段(例えば、ピン)を収容するのに適した円形凹部を示す。
【図8】被覆プレートに面している側から見た椎間板を示す。椎間板の凹形に設計された接合表面を示す。半径Rは、被覆プレートと接合する椎間板の表面が、球体表面区域上に位置することを示している。
【図9】平凸に設計されたその接合表面を有する、椎間板に面している表面を有する被覆プレートを示す。凸状の中心に配置されたバルジ加工は、図8による椎間板の接合表面と同じ半径を有し、これにより、被覆プレートの接合表面は、半径Rを有する球体表面区域上に位置する。
【図10】椎間板インプラントの本発明による実施態様を示す。
【図11】本発明の椎間板インプラントのさらなる実施態様を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然の椎間板の動作の自由度が最良の可能な様式で模倣されるように設計された人工椎間板に関する。
【背景技術】
【0002】
脊柱は、人体の動作の物理的中心を表す。これは、体重を支え、複雑な動作を実行可能であり、そしてそれに作用する力を吸収および相殺し得る。
【0003】
ヒトの脊柱は、全部で24個の椎骨、仙骨、および尾骨からなる。個々の椎骨は、椎間板によって隔てられている。椎骨は、5つの部分、すなわち、頚椎(7個の頚椎骨、C1−C7)、胸椎(12個の胸椎骨、Th1−Th12)、腰椎(5個の腰椎骨、L1−L5)、仙骨、および尾骨に分けられている。
【0004】
各椎骨は、骨椎体、脊髄にかかる椎弓、各側の横突起、および背面に向いた棘突起からなる。
【0005】
医療の特別な分野の外科、整形外科および脳神経外科において、外傷性、リウマチ性、または変性性の変化した脊柱の人工椎間板置換は、手術手順の1つである。
【0006】
従来技術によれば、脊柱は、圧迫された領域において硬直する。疼痛領域は、プレートまたは桿状体材料の補助で架橋されて、運動不足のためしだいに硬直する。硬直は、椎体においては腹側で(腹面に向かって位置した、腹面側で)、または椎弓(椎弓根)の領域においては背側で(背中に属する、背面に向かって位置して)、通常発生する。
【0007】
椎間板の人工置換においては、内因性材料(線維輪および髄核)が、外科手術によって除去され、そして代用物が代わりに挿入される。ほとんどの場合、堅いケージがここに使用され、これは、システムに依存して、骨セメントまたは細片骨で満たされる。
【0008】
公知のシステムにおいて、動作のそれぞれのセグメントの硬直/癒着が、病状の治療に容認されることは不都合である。形態および機能に関しての脊柱の修復は達成されない。このような手術の結果は、制限された可動および「隣接椎間板症候群」(硬直したセグメントから生じる動作の力を支えなければならないという事実の結果として無理に使用されるのと同様に引き起こされる癒着に隣接する椎間板コンパートメントの椎間板疾患)である。
【0009】
近年、椎体セグメントの可動性の維持を意図するシステムが創造され、傷害を受けた椎間板の領域において2つの椎骨の強直な結合を避けている。この種のシステムは、主として、堅い外部被覆によって取り囲まれた粘性または変形可能な材料を使用する。
【0010】
US2002/0128715A1は、例えば、変形可能な弾性の内部体からなる人工椎間板を開示し、これは、一定の所定の制限内で変形され得、そして堅い外部スケルトンによって取り囲まれている。この人工椎間板によって、天然の動作の自由度は、内部体の所定の制限された変形によって達成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
すべての公知の人工椎間板において改善されなければならないことは、天然の椎骨セグメントの動作の可能性の模倣である。これまで、天然の椎骨セグメントによって示される動作の自由度を人工椎間板インプラントに与えることができなかった。公知のインプラントの不十分な機能性によっては、脊柱の可動は、最適な様式に回復されない。相殺され得ない運動中に生じる最大荷重は、椎体中へのインプラントの沈下を引き起こす。これに加えて、公知のシステムでは、これらが荷重に対して安定ではなく脊柱に作用する不変荷重に対抗できないか、あるいは材料が生体適合性に対する必要条件を満たさないという問題が生じる。さらに、成長する行動は未だ不十分であり、そしてこれらの過程は、神経根上で作用する圧力を再度生じさせ得る。
【0012】
本発明の目的は、最大限の解剖学的適合性を達成し、かつ不変荷重下でさえも最良の可能な様式で天然の椎間板の動作自由度を模倣し、したがって、天然の椎間板と永続的に置換できる椎間板インプラントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は、請求項1および2のそれぞれに記載の椎間板インプラント、および請求項14に記載のそれらの使用を提供することにより解決される。本発明のさらなる好都合な実施態様、局面および詳細は、従属請求項、詳細な説明、実施例、および図面から明らかである。
【0014】
本発明は、回転運動および/または曲げ運動の間に、関節重力中心が、天然の脊椎セグメントの場合と同様に変動され得ることを特徴とする椎間板インプラントに関する。
【0015】
脊椎セグメントの複雑な運動は、例えば、瞬間回転中心(ICR)の移動によって示され得る。本発明の椎間板インプラントは、最良の可能な様式で天然の動作自由度を模倣するので、本発明は単に、本発明の椎間板インプラントが、天然の脊椎セグメントの場合に可能である動作を可能にするということで表され得る。
【0016】
回転動作とは別に、天然の脊椎セグメントは並進動作もまた可能であるので、物理量によってこれらの動作過程を記載することが必要である。これらの物理量の1つは、瞬間動作中心または瞬間動作中心の移動である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、本明細書中に記載の椎間板インプラントは、天然の脊椎セグメントの場合に可能であるのと同じ様式で、しかし、先行技術の椎間板インプラントの場合では不可能な様式で、瞬間動作中心の移動を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
脊椎関節の動作自由度は多様であり、複雑な動作可能性および複雑な動作パターンを生じる。脊椎セグメントの動作は、空間軸(いわゆるIHA(瞬間螺旋軸))の周囲の直接回転動作および該軸に沿った直接並進動作として記載され得る。
【0019】
可能な屈曲伸展動作、両側側面傾斜動作、および回転動作とともに、異なる強度の逆説的な動作パターンがこの部位全体において生じる。
【0020】
頚部領域、胸部領域および腰部領域のセグメントのこれらの動作構造の場合、螺旋軸の瞬間位置(IHA)のパラメータとして、IHAの回転角、方向および位置、ならびに螺旋ピッチが考慮されなければならない。基本的に、セグメント可動性は、直接螺旋表面によって示され得る。しかし、力系の外部パラメータ(すなわち、力、トルク、力作用線の方向および位置)は、時間の関数として定常保持され得る。
【0021】
屈曲伸展動作、両側側面傾斜動作、および/または回転動作の間のIHAの位置または移動が求められれば、例えば、L3/4脊椎セグメントについては、図2に示す曲線が作成される。
【0022】
屈曲脊椎セグメントの軸回転は、運動学的に制限される。矢状方向に配置された関節は、回転の増大と共にIHAを無理に背面部に移動させる機械的ガイドを生じる(図2を参照のこと)。このため、IHAに対する断面二次モーメントおよびしたがって脊椎セグメントの回転剛性は増大し、それによって、トルクのさらなる増大が減少角度の増大を引き起こす。屈曲の場合、IHAは、腹側弓で1つの関節から別の関節に進むが(図2の曲線経路1を参照のこと)、伸展の場合、IHAは、背側弓上で移動する(図2の曲線経路2を参照のこと)。ここでは、40mmから60mmを超える移動距離で移動され得る。関節の切除後、IHAは、再度、椎間板中心に位置する(図2の3の黒領域を参照のこと)。
【0023】
初期の脊椎セグメント剛性(軸回転角α=0)は、十分に高い軸前荷重の屈曲/伸展位置によって設定される:伸展(図2の曲線経路2を参照のこと)は平回転角トルク[α(T)]を伴い、そして屈曲は急勾配α(T)に至る。作用線が後部にシフトすることにより、予荷重量を変更する必要なくセグメントを硬直させる。これは、関節部のガイド変更が、背側に初期IHAを変位し、そして断面二次モーメントを増大させるからである。
【0024】
軸回転の増大は、先導脊椎関節への圧縮荷重の増大を引き起こす。軸回転角αが大きい場合、IHAは、荷重された関節に沿って移動するので、関節表面が回転するにつれて、運動学的に摩擦の問題を自然と解消している。運動復帰の場合、付着摩擦は生じ得ず、そして回転摩擦は、滑り摩擦よりも小さい(M. Mansour, D. Kubein-Meesenburg, St. Spiering, J. Fanghanel, H. Nagerl BIOmaterialien, 2003, 4(3), 229)。
【0025】
このような運動学的動作は、先行技術の従来の椎間板インプラントによっては可能であり得ない。しかし、本発明によれば、本明細書中に記載の椎間板インプラントは、このような並進動作を可能にする。したがって、本発明の椎間板インプラントは、天然の椎間板を用いる場合と同様にIHAの動作を可能にする。
【0026】
本発明の実施態様では、天然の脊椎セグメントの場合に可能である移動が、並進的に動作可能な方法でベースプレート上に椎間板を据えることにより達成される。
【0027】
本発明の椎間板インプラントでは、螺旋軸(IHA)は、天然の脊椎セグメントの場合と同様に移動し得る。したがって、本発明の椎間板インプラントの場合、螺旋軸(IHA)は、背側または腹側弓に沿って移動し得る。
【0028】
IHAは、運動中心(ICR:瞬時回転中心)の定常的な変更と共に並進運動および回転運動を考慮し、それにより、連続的に動作を記載できる。したがって、IHAと共に2つの硬い椎体間のセグメント動作を記録することは、真の回転軸の表示を可能にする。これは、複雑な三次元動作を可視化する方法である。
【0029】
脊椎セグメントの場合の中心軌跡パターンまたはICR(ICR:瞬時回転中心)の移動のパターンを調べると、瞬時運動中心について、例えば、図5に示す逆説的な動作パターンが生じる。濃色ドットおよびそれらの間にある連結線は、ここでの回転中心の移動を示している。
【0030】
本発明の椎間板インプラントの創意のあるデザインの結果として、天然の脊椎セグメントの場合と同じ動作パターンが、本発明の人工脊椎セグメントの場合でも可能である。天然の動作パターン(すなわち、中心軌跡パターン)のこの最良の可能な模倣は、本発明にしたがってベースプレートに椎間板を据えることにより可能とされる。
【0031】
平面で回転動作および並進動作を行う物体の場合、ICR(瞬間回転中心)は、特定の固定状態での回転中心の瞬間位置をいう。
【0032】
平面で平面回転動作(すなわち、平面物体の回転動作)を観察すると、該平面物体の個々の部の動作は、該平面に垂直に伸びる回転軸周囲の回転動作として示され得る。該回転軸は、特定の点(ICR)で平面と交差する。この平面物体上の特定の点の空間位置は、例えば、それらの速度によって定義され得る。例えば、2点AおよびBの速度が分かっていて、そしてこれらの2点が互いの上に位置していない場合(図4aを参照のこと)、ICRは、点Aを通る点Aの速度ベクトル[v(A)]に垂直な直線および点Bを通る点Bの速度ベクトル[v(B)]に垂直な第2の直線を引き、そしてこれら2つの直線の交点を求めることにより求められ得る。これら2つの線の交点がICRである。
【0033】
速度ベクトルv(A)およびv(B)がベクトルABに対して垂直に伸び、そして両速度ベクトルの長さが分かっている場合、ベクトルABと、2つの速度ベクトルの2つの極値を通って伸びている直線との交点で、ICRが得られる(図4bを参照のこと)。
【0034】
さらに、平面で回転動作および並進動作を行う物体について、IAR(瞬間回転軸)とは、並進が行われていない瞬間観測法の場合にその物体が回転する軸をいう。
【0035】
瞬間回転中心(ICR)は、例えば、図5に示されるように、屈曲および伸展の場合に、特徴的な経路を示す。例えば、脊椎セグメントの右側の勾配の場合における逆説的な随伴回転は、通常、左手回転を生じ、ここでは、棘突起が右側に変位される。
【0036】
本発明の椎間板インプラントは、それらが天然の脊椎セグメントによってもまた行われるような瞬間回転中心(ICR)の移動動作を可能にする。したがって、本発明は、天然の脊椎セグメントの場合で行われるのと同じICRの移動動作を可能にする椎間板インプラントの提供にある。
【0037】
該移動動作は、ベースプレート上に椎間板を動作可能に据えることにより可能とされる。このことを以下に詳述する。
【0038】
本発明の人工椎間板は、好ましくは、3つの部分で構成される。椎間板インプラントの中央部分は、椎間板によって形成され、椎間板は、好ましくは、並進運動および回転運動の両方が可能であるように、ベースプレート上に据えられる。
【0039】
ベースプレートに対する椎間板の該並進運動および/または回転運動は、椎間板に対する被覆プレートの可能な動作とは独立している。したがって、本発明の椎間板インプラントの3部分の全てが、相互に動かされ得、それにより、脊柱の天然の動作自由度が、最良の可能な様式で模倣され得る。
【0040】
椎間板およびベースプレートの相互の並進動作が可能であるようにベースプレート上に椎間板を据えることは、種々の方法で実現され得る。
【0041】
1つの実現方法は、固定手段の使用を含む。固定手段としては、ジャーナル、バルジ加工、保持デバイス、ピン、フランジなど、ならびにベースプレート上で椎間板の並進動作を制限するために他の考えられる手段が用いられ得る。これらの手段は、好ましくは、ベースプレート上に取り付けられる。
【0042】
ベースプレートは、好ましくは中心に配置されたガイドおよび/または収容ピンを有し得る。これは、ねじり軸の方向に伸びている。中心に位置づけする代わりに、このガイドおよび/または収容ピンはまた、中心以外に、例えば、背側または腹側に変位されるようにして、取り付けられ得る。該ピンは、好ましくは、直径が2〜15、好ましくは3〜12mm、より好ましくは5〜10mm、および特に好ましくは6〜9mmであり、そして高さが1〜5mm、好ましくは2〜4mm、および特に好ましくは3〜4mmである。さらに、このようなピンは、好ましくは、円筒形状または円錐形状を有するが、一般には、楕円体の形状も使用され得る。個々のピンは、ベースプレート上の実質的に中心に配置されるべきである。
【0043】
本発明によれば、椎間板は、ピンまたは固定手段を収容するのに適切な凹部を有し、該凹部は、ピンの直径よりも大きな直径を有するべきである。このような凹部は、好ましくは、O型から楕円形までの範囲のデザインを有するが、円形デザインもまた有し得る。O型または楕円形のデザインの場合、側面方向の半径は、前後屈方向の半径よりも小さい。
【0044】
好ましくは、前後屈方向の凹部の半径の長さは、ピンの半径の長さの1〜3倍である。側面方向での凹部の半径は、ピンの半径と比較して、ピンの半径と同じサイズであるか、または2倍までの大きさである。
【0045】
椎間板における凹部のデザインがベースプレートのピンに比較して大きいため、該ピンは、凹部によって規定される制限内で動き得、またはむしろ、該椎間板が、ベースプレート上で並進するように、該制限内で動き得る。
【0046】
これらの関係を絶対数で表すと、椎間板は、好ましくは、ベースプレート上で、側面方向に0〜10mm、好ましくは1〜6mm、より好ましくは2〜5mm、および特に好ましくは3〜4mm、そして前屈方向ならびに後屈方向に2〜15mm、好ましくは3〜10mm、より好ましくは4〜7mm、および特に好ましくは5〜6mm動き得る。この数値は、一方の極位置から他方の極位置までの総距離をいう。この半分の長さは、中心位置から極位置まで移動される。
【0047】
しかし、ベースプレート上の実質的な中心に取り付けられたピンの形態での固定手段は、ベースプレート上の椎間板の回転動作を制限しないが、ねじり軸周囲の回転動作は、天然の状態によっておよび/またはさらなる固定手段によって決定される。このような固定手段は、好ましくは、ベースプレート上に取り付けられる。インプラント上で回転が技術的には制限されないとしても、自由回転は、もちろん、生理学的に存在する構造によって制限される。本発明の椎間板インプラントは、両方向に3度まで、好ましくは1〜2度、および特に好ましくは約1.5度の回転動作を可能にする。
【0048】
固定手段は、1つのピン、ジャーナル、フランジなどの1つからなり得るだけでなく、これらの固定手段の2つ以上を含むこともあり得る。特に、椎間板によって完全に被覆される固定手段が好ましい。ベースプレート上またはベースプレートの縁に配置された側面制限(例えば、エッジ、保持デバイス、ビーズ、レールなどの形態で)は、あまり好ましくない。なぜなら、これらは、組織の吸着点となり、組織および/または軟骨が異常増殖され得、それにより、ベースプレート上の椎間板の運動性が再度制限されるからである。したがって、特に、完全に被覆された、すなわち、組織、軟骨および筋肉が接近可能でない固定手段が好ましい。固定手段は、それらが、例えば、インプラントの内部に位置している、例えば、椎間板によって被覆されている場合に、完全に被覆される。
【0049】
さらなる好ましい実施態様は、好ましくは背側または腹側に偏るように、ベースプレート上に取り付けられた2つのピンを含む。相応して、椎間板は、ピンの直径に比較して大きい直径を有する2つの凹部を有する。それにより、椎間板は、凹部内で並進するように、ピンの周囲を自由に動き得る。ここでは、並進動作および機械的または解剖学的軸周囲の回転動作は、凹部の境界内で可能である。この実施態様の場合、理論的に可能な360度の自由回転はもはや行われ得ない。
【0050】
2つのピンの代わりに、3つ以上であっても用いられ得る。これは、概して、ベースプレート上に等距離で取り付けられる。さらに、ピンの代わりに、側面保持デバイスもまた提供され得る。この場合、ベースプレート上に側面固定される保持デバイスによって制限されるベースプレートの表面積は、その上にある椎間板の表面積よりも大きいものとされる。それにより、椎間板は、側面保持デバイスの境界内でベースプレート上またはベースプレートに対する並進動作および/または回転動作を行い得る。このような保持デバイスは、例えば、縁部に連続または非連続に配されたビーズ、または隆起エッジであり得る。
【0051】
椎間板は、図7および図8に示すような円形または円筒状の形状を有する必要はないが、代わりに、卵形から隅のあるもの、角ばったものからバナナ形、平面状から弓なり形、非対称から正方形または矩形までの範囲の所望の一般的なデザインを有し得る。さらに、椎間板は、先細りされ(すなわち、厚さを変えられ)得、特に背側方向に先細りされ得る。椎間板の可能な基本形状は、例えば、欧州特許公報EP0505634B1の図2および図3(a)〜(e)に開示されている。さらに、椎間板の可能な基本形状は均一な厚さを有する必要はなく、そのため、椎間板の異なる場所はまた異なる厚さを有し得る。これは、例えば、3mm、6mm、9mm、または12mmであり得る。さらに、椎間板は、好ましくは非変形性である。
【0052】
好ましい実施態様は、椎間板の接合表面と被覆プレートの接合表面とが、それぞれの楕円体の部分表面上に各々位置するように、被覆プレートが椎間板上に据えられている椎間板インプラントを含む。
【0053】
「接合表面」とは、可能な動作と共に対応する他の表面に接触し得る、椎間板の表面または被覆プレートの表面をいう。
【0054】
互いに接触する椎間板の接合表面および被覆プレートの接合表面は、楕円体、好ましくは球体の表面の部分に位置している。
【0055】
接触表面とは、椎間板および被覆プレートの特定の固定位置で、これらの2つの部分が互いに接触する領域をいうことが意図される。
【0056】
それに対して、椎間板の接合表面は、被覆プレートに対する椎間板の任意の可能な位置で被覆プレートの表面と接触し得る椎間板の全表面である。
【0057】
したがって、被覆プレートの接合表面は、椎間板に対する被覆プレートの任意の可能な位置で椎間板の表面と接触し得る被覆プレートの全表面である。
【0058】
本発明によれば、被覆プレートの接合表面は、楕円体、好ましくは、圧縮型(a=b>c)の回転楕円体または伸長型(a=b<c)の楕円体の部分表面上に、特に好ましくは球体表面区画(a=b=c)上に位置している。ここで、「a」は、x軸(前後屈軸)方向の半径をいい、「b」は、y軸(ねじり軸)方向の半径をいい、そして「c」は、z軸(側面軸)方向の半径をいう。同じことが、対応する様式で椎間板の接合表面にあてはまる。
【0059】
本発明によれば、被覆プレートの接合表面が位置している楕円体表面または球体表面の半径(a、bおよびc;またはaおよびc;またはa)が椎間板の接合表面が位置している楕円体表面または球体表面の半径(a’、b’およびc’;またはa’およびc’;またはa’)と同じサイズを有することがさらに重要である。
【0060】
特に好ましくは、被覆プレートの接合表面は、球体表面区画に位置し、そして椎間板の接合表面も球体表面区画に位置し、さらに、これらの両球体表面区画は、特に好ましくは同じ半径を有する。
【0061】
椎間板および被覆プレートの接合表面が位置している球体表面区画の半径は、R=15〜45mmの大きさを有する。椎間板インプラントのサイズに依存して、半径も相応して増大する。腰部領域の椎間板インプラントは、25〜45mmの半径を有し、胸部領域の椎間板インプラントは、20〜40mmの半径を有し、そして頚部領域の椎間板インプラントは、15〜35mmの半径を有する。
【0062】
接触表面は、少なくとも400mm2の面積、好ましくは少なくとも450mm2の面積、より好ましくは少なくとも500mm2の面積、および特に好ましくは少なくとも550mm2の面積である。ここで、接触表面は、インプラントのサイズに依存し、したがって大きな椎間板インプラントほど大きな接触表面を有することも考慮に入れなければならない。このサイズの接触表面は、機械的荷重を椎間板に分配し、そしてインプラントにより長い耐久性を生じる。
【0063】
本発明によるデザインによって、被覆プレートと椎間板との間の接触表面は、点状または線形の接触表面ではなく、代わりに球体の接触表面が作出されるので、複雑な動作の場合でさえも最大化される。
【0064】
基本的に、そのために、2つの実施態様が考えられる。第一の可能性によれば、被覆プレートの接合表面は、凸状または平凸状に設計され得、そして被覆プレートに接合する椎間板の表面は、凹状または平凹状に設計され得る(図10を参照のこと);あるいは他には、被覆プレートの接合表面は、凹状または平凹状に設計され、そして被覆プレートに接合する椎間板の表面は、凸状または平凸状に設計される(図11を参照のこと)。第一の実施態様が、ここでは好ましい。
【0065】
さらに、被覆プレートまたは椎間板の接合表面が凹状デザインの場合、接触表面は、接合表面に対応することが特に好ましい。この実施態様では、椎間板および被覆プレートのそれぞれの接合表面が位置しているそれぞれの球体表面区画の半径が、実質的に同一である。
【0066】
したがって、椎間板インプラントの好ましい実施態様は、ベースプレート、椎間板、および被覆プレートを備え、ここで該椎間板は、並進動作および/または回転動作が可能であるようにベースプレート上に据えられ、そして該被覆プレートは、椎間板の接合表面および被覆プレートの接合表面が各々、それぞれの楕円体部分表面、好ましくは球体表面上に位置するように、椎間板上に据えられている。
【0067】
さらに、本発明による実施態様では、被覆プレートは、互いに関して平行な位置から始まって、ベースプレートに対して20度まで傾斜され得る。
【0068】
さらに、図10に示すような先細型の被覆プレートおよびベースプレートが好ましい。脊椎セグメントの天然形状をより良好に模倣するために、被覆プレートおよびベースプレートは、それらの腹側側部がそれらの背側側部よりも厚い。被覆プレートまたはベースプレート、または被覆プレートおよびベースプレートの両方において、好ましくは、それらの腹側側部がそれらの背側側部の2倍の厚さを有する。あるいは、被覆プレートまたはベースプレート、または被覆プレートおよびベースプレートの両方が、背側端部から腹側端部まで3%、好ましくは6%、および特に好ましくは8%の傾斜を有する。向かい合っている被覆プレートおよびベースプレートの側部が面取り部を有さず、そして向かい合っていない被覆プレートおよびベースプレートの側部が面取りされることが、特に好ましい。別の好ましい実施態様では、ベースプレートのみまたは被覆プレートのみが先細型である。被覆プレートおよび/またはベースプレートの面取り部は、10度までであり得、2〜8度が好ましい(腹側が広く背側が先細になる)。さらに、脊柱の湾曲に従って、被覆プレートおよび/またはベースプレートの傾斜が生理学的状態に適合されることが、好ましい。ここで好ましくは、被覆プレートが頭蓋方向に(頭に向かって)、ベースプレートが尾方向に(足に向かって)有するのとは異なる度の偏角を有している。側方から眺めると、脊柱は、二重Sの形である(脊柱後湾/脊柱前湾)。特に腰椎の領域(脊柱前湾)では、椎骨が、相互に腹側方向に開放されたある角度で存在する。対応する椎間区域を理想的に供するために、インプラントは、これらの椎骨が相互にある角度内にあるように、その被覆プレートおよびベースプレートと適合可能であるべきである。その背景は、インプラントに理想的な力衝撃を提供すること、椎間板の脱臼の危険性を最小限にすること、および生理学に従って脊柱の椎間構造を調整することである。これらの局面は、インプラントの耐久性に加わる。椎間区域が解剖学的構造に従って満たされる場合、および椎間板が理想的に荷重される場合、椎間板のポリエチレンの摩損が減少される。ポリエチレンの椎間板または他の高分子材料の椎間板も最も激しく摩損を受けるので、本発明の特に好ましい実施態様は、金属の椎間板(必要に応じてセラミックコーティングで被覆された)を使用する。
【0069】
さらに、ベースプレートおよび被覆プレートは、骨に面している表面に凸状屈曲部を有することが好ましい。骨に対する被覆プレートの凸状屈曲部が特に好ましい。これは、椎骨もまた屈曲部(凹状)を有し、それにより、骨へのインプラントの固結が防止され得るからである。骨柱(bony trabeculum)の構造が生理学的に荷重され、骨の表面成長のためにより多くの表面が利用可能となり、そしてインプラントの脱臼危険性が低くなることが利点である。それにより、凸状は、好ましくは、1〜5mmの範囲にあり、すなわち、高さがもっとも高い位置で5mmまでである。
【0070】
被覆プレートと椎間板との相互の動作の可能性に加え、椎間板およびベースプレートは、相互に動き得る。本発明の椎間板インプラントは、椎間板が、椎間板がねじり軸の軸周囲を数度だけ水平面で回転され得るように、ベースプレート上に据えられるように設計される。
【0071】
ベースプレートおよびカバープレートの相互の動作は、その間に楕円体(最適な場合では球体)が位置する2つの同一の平行プレートの動作に匹敵し得、ここでは、それぞれのプレートが、プレートの中心で楕円体または球体と接触する。これらのプレートの相互の動作は、本発明の椎間板インプラントのベースプレートおよび被覆プレートの相互の動作と匹敵し得る。ここでは、ベースプレートおよび被覆プレートのデザインのため、側方曲げ動作および後屈動作が、前屈動作よりも小さな程度でのみ行われ得る。
【0072】
ベースプレートおよび被覆プレートは、最大で10度、好ましくは8度まで、より好ましくは6度まで、および特に好ましくは4度までで、相互に回転され得る。
【0073】
側面方向での曲げ動作は、中心位置から始まって両側に8度まで、好ましくは12度まで、および特に好ましくは15度までで行われ得る。
【0074】
後屈曲げ動作は、中心位置から始まって10度まで、好ましくは15度まで、および特に好ましくは20度までで行われ得る。
【0075】
前屈曲げ動作は、中心位置から始まって20度まで、好ましくは25度まで、および特に好ましくは30度までで行われ得る。さらに、椎間板は、好ましくは、可能な動作の全てにおいて、被覆プレートがベースプレートと接触しないようなサイズを有するように設計される。さらに、被覆プレートおよびベースプレートの端部は、互いから離れて向かい合っている隅に、偏角を有する(図10を参照のこと)。ベースプレートおよび被覆プレートの端部のこの偏角および椎間板のデザインは、本発明のインプラントの長期操作性のために重要である。被覆プレートおよびベースプレートの接触する各々の摩砕(衝突)が、摩損を生じたり、粒子からより大きなインプラント片までの放出を生じたりし、これらは、インプラントの耐久性を劇的に減少させるからである。さらに、椎間板の脱臼の場合は、ベースプレートおよび被覆プレートが互いに接触し、そして上昇した被覆プレートに起因して被覆プレートと椎間板との間の接触面積が減少する場合に生じ得る。したがって、前出の理由のため、被覆プレートおよびベースプレートの衝突は、必ず防止されるべきである。
【0076】
さらに、椎間板は、好ましくは、剛性プラスチック、好ましくはポリエチレン、および特に好ましくは高分子量ポリエチレン(UHMWPE)で製造され得る。
【0077】
「超高分子量ポリエチレン」との呼称は、確実には明確でない。HDPE(高密度PE)は、現在、200,000g/mol未満の分子量を有するPEをいう。DIN ISO 11542によれば、0.1g/10分未満のメルトマスフローレート(これは、106g/molより大きな分子量に相当する)を有するPEは、UHMWPEと定義される。ASTM D 4020によれば、限界は、3.1×106g/molである。市販のUHMWPEの示された平均分子量は、3.5×106g/molと107g/molとの間である。これは、製造業者および用いられる測定方法に依存する。超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)は、ISO 5834−2規格に従うポリエチレンであり、Chirulen(登録商標)およびTIVAR(登録商標)Premiumは、体内補綴で使用するためのPEUHMWの高純度インプラント材料である。好ましい接合パートナーとして、それらは、人工股関節、膝関節、肘関節、および肩関節で使用される。
【0078】
さらに好ましい実施態様では、チタンまたはチタン合金もまた、椎間板を作製するために使用される。チタンまたはチタン合金のベースプレート、チタンまたはチタン合金の被覆プレート、およびチタンまたはチタン合金の椎間板を有するこれらのさらに好ましい実施態様では、いわゆる硬質−硬質対が、被覆プレートと椎間板との間、そしてまたベースプレートと椎間板との間にも作出される。これらの系において、チタンまたはチタン合金がセラミックコーティングと共に提供されることがさらに特に好ましい。基本的に、椎間板のために高分子を使用しないが、金属または金属合金を使用する実施態様が好ましく、好ましくは、セラミックコーティングと共に提供される。
【0079】
医薬品製造で承認されたチタン材料は、特にDIN ISO 5832−3に適合すべきである。原則として、医薬品材料としてのチタンおよびチタン合金の承認は、DIN ISO 5832−1から5832−12規格によって統制される。
【0080】
純チタンとは別に、チタン合金(例えば、Ti−6Al−4V、Ti−Nb−Ta−Zr、Ti−Al6−Nb7(ISO 5832−11に従う)またはTi−29Nb−13Ta−4.6Zr)もまた、本発明に従って用いられ得る。チタン部分が少なくとも50質量%、より好ましくは65質量%、さらにより好ましくは80質量%、および特に好ましくは90質量%であるチタン合金が好ましい。さらに、椎間板インプラント全体を作製するために純粋または医用チタンを使用することが好ましい。
【0081】
ベースプレートおよび被覆プレートは、セメントで固められるか、あるいは骨中に移植され得るか、またはセメントなしで脊椎骨に固定化され得る。ここで、セメントなしの固着が好ましい。
【0082】
さらに、チタンは、ベースプレートおよび/または被覆プレートの本体部の材料として用いられる。本発明のベースプレートおよび被覆プレートの本体部の材料としてのチタンは、生物学的に不活性であり、したがって、骨と共に定着するようになり、セメントなしでも固着でき、そして無アレルギーである。
【0083】
生体適合性の不活性な材料を選択することにより、インプラント上への生理学的組織の受容は、本質的に改善される。耐摩擦応力に特に適した材料の使用により、人工材料の摩耗が最小限になり、したがって、インプラントの耐久性(実用寿命)が本質的に延長される。
【0084】
骨細胞は、50〜400μmの範囲の開口粗さを有する構造化表面が提供される場合、生体適合性材料上に直接固着し得る。
【0085】
ベースプレートおよび被覆プレートが骨と共に定着することを可能にするために(特にセメントなしでの固定の場合)、骨に面しているベースプレートおよび被覆プレートの表面は、少なくともRz 50μm、好ましくは少なくともRz 60μmの粗さを有する。もちろん、海綿金属(spongiosa metal)までの他の粗さ度合いもまた、使用され得る。
【0086】
粗さは、RzまたはRaのいずれかとして示される(DIN 4762、4768、4775、ISO 4288)。Rzとは、平均粗さ深度をいう。平均粗さ深度Rzは、互いに隣接しているいくつかの個々の測定距離のうちの最大の個々の粗さ深度の算術平均である。これに対して、Raとは、算術平均高をいう。Raは、一般に認められ、国際的に用いられている粗さパラメータである。これは、基準距離内のプロフィール変量の絶対値の算術平均値である。測定数値Raは、同じ粗さプロフィールで決定されたRz値よりも常に小さい。
【0087】
本発明の椎間板インプラントのベースプレートおよび/または被覆プレートは、好ましくは、金属コーティングまたはセラミックコーティングで被覆される。これらは、種々の層またはコートの個数、または種々の層またはコートの厚さを有し得る。セラミックコーティングは、好ましくは半金属および金属または金属合金の窒化物、炭化物、およびリン化物を含む。セラミックコーティングの例は、窒化ホウ素、チタン−ニオブ−ニトリド、チタン−カルシウム−ホスフィド(Ti−Ca−P)、Cr−Al−N、Ti−Al−N、Cr−N、TiAlN−CrN、Ti−Al−C、Cr−C、TiAlC−CrC、Zr−Hf−N、Ti−Hf−C−N、Si−C−N−Ti、Si−C−N、およびDLC(ダイヤモンド様炭素)である。さらに好ましくは、チタン−ニオブ−ニトリド(Ti−Nb−N)のセラミックコートまたは層は、コーティングとして適用される。
【0088】
ベースプレートおよび被覆プレートの接合表面がチタン−ニオブ−ニトリド(Ti−Nb−N)で被覆されることが特に好ましい。
【0089】
特に接合インプラント表面のこのセラミックコーティングは、一般に使用される材料よりも数倍高い硬度を有する。この硬度の結果、表面は、高度に研磨可能であり、そしてチタン摩損から保護される。
【0090】
本発明によれば、接合コンパートメントの幾何学的形態は、摩耗を受ける表面が最大になり得るように選択される。これは、本発明によれば、関節パートナーの幾何学的形態が、被覆プレートと椎間板との間の平らな接触表面、および椎間板と被覆プレートとの間の楕円体表面区域(好ましくは、球体区域)を介して摩擦応力を受ける面積が最大になる(これは最終的に摩耗を減少させる)ように、選択されることを意味する。これは、単位面積当たりで作用する力の減少を生じ、このため、摩損の減少の結果としてインプラントの実用寿命に明確な効果を有する。椎間板インプラントの選択されたおよび個々に適合した幾何学的形態(特に、椎間板の幾何学的形態)および手術中のインプラントの正確な位置決めによって、各椎体セグメントの相互間の生理学的可動性のある対応が、最良の可能な様式で達成される。天然の椎間板およびその可動性のこのほぼ完全な模倣によって、骨−インプラントの境界に作用する力はかなり減少し、これは、インプラントの長寿(摩耗の減少およびゆるみ過程の最小化)に明確な効果を有する。
【0091】
先行技術の補綴物は、ほとんどが背中に最大限2つのレベルでしか挿入され得ない。本発明の椎間板インプラントは、背骨に2つより多くのレベルでも挿入され得る。この場合、個々の椎間板インプラントは、それらのそれぞれの位置に対してサイズおよび幾何学的形態に関して適合化され、それにより、脊柱疾患、脊柱損傷、および脊柱の疾病もまた、このような複数のインプラントによって治療され得る。
【0092】
本発明の椎間板インプラントまたは本発明の椎間板インプラントのセットにより治療され得る該脊柱疾患、脊柱損傷、および脊柱の疾病としては、例えば、脊柱側湾症(すなわち、脊柱の側方湾曲、背骨の湾曲とも呼ばれる)、椎間板ヘルニア(隣接した椎体または神経根に対する椎間板の髄核の脱出をいう)、および脊柱後湾症(後方への脊柱の湾曲を意味する)が挙げられる。
【0093】
さらに、本発明の椎間板インプラントにより、以下の脊柱疾患、脊柱損傷、および脊柱の疾病が治療され得る:椎間板脱出(すなわち、椎間板疾病)、椎間板黒化(Black Disc)(X線写真で黒くなる変性椎間板)、自然変形(すなわち、疾病、骨変または腫脹による椎体の変形)、腰痛症(またはより一般的には、腰部リウマチまたは腰痛と呼ばれ、これは、重度で、ほとんどの場合では背中および腰部に突然に痛みが生じる、ほぼ一般には、腰痛症は、椎間板変化から生じる)、変形性脊椎症(すなわち、運動時に重度の疼痛を伴う椎体および椎間板の疾病)、加齢性猫背(すなわち、更年期(閉経期)後のホルモン状態変化による骨萎縮によって引き起こされる老年女性の脊柱の湾曲)、脊椎脊髄炎(すなわち、椎骨および脊髄の炎症)、骨軟骨症(これは、椎間板の変化および変性をいう)、および骨線維症(これは、若年者の骨格の疾病を称する)、脊椎披裂(椎体披裂としても知られる、特に、脊柱の先天的披裂形成)、脊柱前湾症(専門家には、中空の背部により引き起こされる脊柱の前方湾曲を意味する)、脊椎下垂(すなわち、椎骨幅全体にわたる椎体の滑りであり、ほとんどの場合、仙骨上の第五腰椎)、土方骨折と称される剥離骨折(ほとんどの場合、第七頚椎または第一胸椎の棘突起で、重度の過緊張により引き起こされる)、脊髄髄膜瘤(これは、専門家には、椎弓の先天的奇形として理解されている)、上腕痛(これは、頚椎の領域における変化による腕および肩の疼痛をいう)、バーストルップ症候群(これは、棘突起の幅拡大および組織の粉砕を伴う脊柱の前方湾曲を意味し、それらの間で、ほとんどの場合、重度の背中の疼痛および圧力下での棘突起の疼痛を伴う)、脊椎強直(これは、体幹、腕、および脚での重度の疼痛および四肢筋の麻痺を伴う脊柱の骨硬直をいう)、ショイエルマン病(これは、専門家の間では、個体の椎体(好ましくは、若年者の胸椎)の骨および軟骨の炎症をいう)、頚部症候群(すなわち、頚椎の領域における軟部の疾病)、腰椎後彎(すなわち、腰椎の領域における脊柱の湾曲)、斜頚(すなわち、曲がり首、しばしばリウマチに基づく)、ならびにベヒテレフ病(これは、慢性炎症脊髄病をいい、脊柱器官全体の変化および硬直を引き起こす)。
【実施例】
【0094】
本発明の椎間板インプラントの好ましい実施態様を実施例によって記載する。記載した実施例は、本発明の好ましい実施態様を示すものとして考慮されなければならないが、保護範囲をこれらの実施態様に制限しない。
【0095】
(実施例1)
本発明の椎間板インプラントの実施態様は、図9に示す被覆プレート、図7および図8に示す椎間板、および図6に示すベースプレートからなる。
【0096】
この椎間板インプラントは、L3/4脊椎セグメントを置換するのに適したサイズを有する。実施例1に記載の椎間板インプラントのより小さな実施態様は、困難なく当業者によって製造され得る。より小さな実施態様において、特に椎間板と被覆プレートとの間であるが、椎間板とベースプレートとの間でも、接触表面は、このより小さな実施態様のサイズに対応して同様に小さくなり得る。同じことが、側面方向および前後屈方向での並進動作についての上記の値に当てはまる。
【0097】
被覆プレートは、医用工学で用いられるチタンからなる。骨に面している被覆プレートの表面は粗く、したがって、骨細胞をその中または表面上で増殖させることが可能である。粗さRzは約60±5μmである。被覆プレートの接合表面は、図9に示されるように平凸に設計され、そしてTi−Nb−Nのセラミックコートで被覆される。コートの厚さは3〜5μmである。
【0098】
被覆プレートの接合表面は、R=25mmの半径を有する球体表面区域上に位置する。
【0099】
ベースプレートもまた、チタンからなり、そして図6に示すような形状を有する。骨に面しているベースプレートの表面は、約60±5μmの粗さRzを有する粗さに設計される。椎間板の支持表面は、Ti−Nb−Nのセラミックコーティングで被覆される。コートの厚さは3〜5μmである。
【0100】
図6から明らかなように、椎間板に面している脛骨成分の表面は、中心に位置したピンから離れて平面状である。該ピンは、高さ5mmおよび直径7mmを有する円筒形状を有する。このピンも、Ti−Nb−Nのセラミックコーティングで被覆される。ベースプレートは、図10に示すように、矩形で示されるが、もちろん、他の外形も有し得、そして厚さも変更し得る。
【0101】
椎間板は、図7および図8に示すようなデザインを有する。図7は、ベースプレートのガイドおよび/または収容ピンを収容するための円筒凹部を有する椎間板の底部表面を示す。図8は、凹面設計された接合表面を有する椎間板の頂部側を示す。接合表面は、半径Rを有する球体表面区域上に位置する。椎間板の接合凹部表面上に破線で図示した同心円は、この表面が球体表面の一部であることを明確にしている。椎間板は、UHMWPEからなる。被覆プレートに面している椎間板の側部は、凹状に設計され、そして半径25mmを有する。R=25mmを有する椎間板の凹状のくぼみは、これもまたR=25mmを有するカバープレートのバルジ加工した凸状を収容し、球体表面区域上に位置している接触表面を作出する。これらが一緒になって作出された接触表面は、約450mm2になる。それにより、荷重は、椎間板上の点や線ではなく面全体に分配される。
【0102】
椎間板の凹状のくぼみの接合表面全体が、接触表面に相当する。
【0103】
さらに、図8に示すように、椎間板は、ベースプレートに面しているその側部上に凹部を有する。該凹部は、ベースプレートのピンを収容するために提供される。該ピンは図6に示される。
【0104】
ベースプレートのピンの直径に比較して椎間板の凹部の直径の方が大きいため、椎間板は、ベースプレート上で回転動作および並進動作の両方を行うことができる。回転動作は、生理学的に約1.5度に制限される。
【0105】
ベースプレート上のピンは、直径7mmを有する。椎間板中の凹部は、側面方向に11mmおよび前後屈方向に13mmの直径を有する。したがって、側面方向では、凹部は、ピンの直径の1.57倍の直径を有し、そして前後屈方向では、ピンの直径の1.86倍の直径を有する。
【0106】
中心位置から始めて、椎間板はベースプレート上で、側面方向に2mm、またはむしろ一方の極位置から他方の極位置まで全体として4mm動き得る。中心位置から始めて、椎間板はベースプレート上で、後屈方向に3mmおよび前屈方向に3mm、またはむしろ背側極位置から腹側極位置まで全体として6mm動き得る。
【0107】
曲げ動作が生じる場合、ベースプレートおよび被覆プレートは、相互に20度まで傾斜され得る。複雑な動作は、天然のL3/4脊椎セグメントの場合で行われるようなIHAの移動を引き起こす。同じことが、瞬間回転中心(ICR)に当てはまる。
【0108】
したがって、本発明の実施態様は、天然の脊椎セグメントの場合に存在するのとまさに同様の、動作に対する自由度を可能にする。ここでは、複雑な動作の場合でさえも、椎間板上の荷重ピークは、互いの頂部にある椎間板および被覆プレートの球体表面によって回避される。
【0109】
(実施例2)
L2/3脊椎セグメントのための本発明の椎間板インプラントのさらなる実施態様は、図10に示されるような、被覆プレート、椎間板、およびベースプレートからなる。
【0110】
被覆プレートは、ISO 5832−11によるチタン合金Ti−Al6−Nb7からなる。骨に面している被覆プレートの表面は粗く、粗さRzは約55±5μmである。被覆プレートの接合表面は、平凸に設計され、そして約6μm厚のセラミックコーティングで被覆される。Ti−Ca−PまたはSi−C−N−TiまたはDLCをセラミックコーティングとして用いた。
【0111】
被覆プレートの接合表面は、R=24mmの半径を有する球体表面区域上に位置する。
【0112】
ベースプレートもまた、Ti−Al6−Nb7からなる。骨に面しているベースプレートの表面は粗く、粗さRzは約55±5μmである。椎間板の支持表面は、Ti−Ca−PまたはSi−C−N−TiまたはDLCのセラミックコーティングで被覆される。コーティングの厚さは約6μmである。さらに、グラウンドプレートは、直径5.5mmおよび高さ4mmを有するガイドピンを有する。このピンもTi−Ca−PまたはSi−C−N−TiまたはDLCで被覆される。
【0113】
被覆プレートは、骨に面している側部に最大3.5mmの高さの凸面屈曲部を有する。さらに、被覆プレートは、8度の傾斜度を有し、そしてその腹側側部は、その背側側部のほぼ2倍の厚さである。また、ベースプレートは、背側方向に先細りする形態を有する6度の面取り部を有する。
【0114】
椎間板もまた、ISO 5832−11によるTi−Al6−Nb7からなり、Ti−Ca−PまたはSi−C−N−TiまたはDLCのセラミックコーティングを有する。コーティングの厚さは約6μmである。
【0115】
椎間板は、その底部側に、側面方向に直径7mmおよび腹側−背側に直径10mmを有する卵形凹部を有する。被覆プレートに対する接触表面は約440mm2である。
【0116】
(実施例3)
Th5/6脊椎セグメントのための本発明の椎間板インプラントのさらなる実施態様は、図10に示されるような、被覆プレート、椎間板、およびベースプレートからなる。
【0117】
被覆プレートは、ISO 5832−11によるチタン合金Ti−Al6−Nb7からなる。骨に面している被覆プレートの表面は粗く、粗さRzは約65±5μmである。被覆プレートの接合表面は、平凸に設計され、そして4μm厚を有するTi−Al−Nのセラミックコーティングで被覆される。
【0118】
被覆プレートの接合表面は、R=22mmの半径を有する球体表面区域上に位置する。
【0119】
ベースプレートもまた、Ti−Al6−Nb7からなる。骨に面しているベースプレートの表面は、約65±5μmの粗さRzを有する粗さに設計される。椎間板の支持表面は、Ti−Al−Nのセラミックコーティングで被覆される。コートの厚さは4μmである。それに加えて、ベースプレートは、直径6mmおよび高さ4mmを有するガイドピンを有する。このピンもTi−Al−Nで被覆される。
【0120】
椎間板は、UHMWPEまたはチタンまたはISO 5832−11によるTi−Al6−Nb7からなる。チタンを材料として用いる場合、椎間板は、全体的に、または少なくとも下側および上側のその接合表面上で、Ti−Nb−Nのセラミックコーティングで被覆される。コートの厚さは、3〜5μmである。Ti−Al6−Nb7を用いる場合、Ti−Al−Nのセラミックコーティングは、少なくとも接合表面上に塗布される。
【0121】
椎間板は、その底部側に、側面方向に直径7mmおよび腹側−背側に直径12mmを有する卵形凹部を有する。したがって、椎間板は、側面方向に各側0.5mm動き得、または絶対的に1.0mmの距離で移動し得、一方、腹側方向に3mmの並進動作が可能であり、そして背側方向に3mmの並進動作が可能であり、またはむしろ、6mmの距離で背側極点から腹側極点まで移動し得る。
【0122】
被覆プレートと接合する表面は、R=22mmの半径を有する凹状に設計される。少なくとも420mm2の接触表面が生じる。
【0123】
被覆プレートおよび底部プレートは、背側方向にわずかに先細りしており、相互に2度まで回転され得、そして相互に15度まで傾斜され得る。
【0124】
椎間板インプラントのこれらの複雑な回転動作および曲げ動作の場合、IHAは、天然の脊椎セグメントの場合と同じ移動動作を行う。したがって、本発明の実施態様は、天然の脊椎セグメントの場合に存在するのとまさに同様の動作に対する自由度を可能にする。複雑な動作の場合でさえも、椎間板上の荷重ピークが、互いの頂部にある椎間板および被覆プレートの球体表面によって回避される。
【0125】
(実施例4)
C2/3脊椎セグメントのための本発明の椎間板インプラントのさらなる実施態様は、図11に示されるような、被覆プレート、椎間板、およびベースプレートからなる。
【0126】
被覆プレートおよび底部プレートは、チタン合金Ti−29Nb−13Ta−4.6Zrからなる。骨に面している被覆プレートの表面は粗く、約55±5μmの粗さRzを有する。被覆プレートおよび底部プレートの接合表面は、約3μmの厚さを有するTi−Hf−C−NまたはZr−Hf−Nのコーティングと共に提供される。
【0127】
被覆プレートは、平凸に設計され、半径18mmを有するバルジを有する。
【0128】
椎間板は、UHMWPEまたはチタンまたはISO 5832−11によるTi−Al6−Nb7、またはTi−29Nb−13Ta−4.6Zrからなる。チタンまたはチタン合金を材料として用いる場合、椎間板は、全体的に、または少なくとも下側および上側のその接合表面上で、セラミックコーティングで被覆される。
【0129】
椎間板は、平凸に設計され、球体表面上に位置し、そして被覆プレートの接合表面が位置している球体表面と同じ半径を有する接合表面を有する。接触表面は、少なくとも400mm2のサイズを有する。
【0130】
ガイドピンを収容するのに適した椎間板中の円形凹部は、直径6mmを有する。
【0131】
ベースプレート上に取り付けられた円筒状ガイドピンは、高さ3mmおよび直径4mmを有する。これらの大きさのため、ガイドピンまたは椎間板は、ベースプレート上で水平に並進して中心位置から進んで任意の方向に1mm動き得る。回転動作は、1度まで可能である。
【0132】
したがって、人工頚部脊椎インプラントは、天然のC2/3脊椎セグメントによって行われるような運動を行い得、そして瞬間回転中心(ICR)およびIHAは、天然の脊椎セグメントの場合と同じ移動動作を生じる。
【0133】
(実施例5)
ベースプレートおよび被覆プレートの材料およびデザインは、実施例1〜3に記載のものと同様である。異なる点は、被覆プレート上で、腹側および/または背側および/または側面方向に偏った2つまたは3つの固定手段を、中心に取り付けられた1つの固定手段の代わりに用いることである。
【0134】
したがって、椎間板は、固定手段を収容するための1つの凹部を有するだけでなく、代わりに複数の凹部を有する。
【0135】
底部プレートでは、例えば、2つの円筒ピンが、側面方向に偏るように取り付けられる。各ピンは、直径4mmおよび高さ4mmを有する。椎間板は、2つの円形、卵形、または三日月形の凹部を有する。この凹部は、該ピンを収容するのに適し、そして椎間板が、ベースプレート上で側面方向に1〜2mmおよび腹側−背側方向に2〜6mmの並進動作を行い得るような大きさとされる。
【0136】
これらの2つのピンは、約1.5度に回転を制限する。
【0137】
この実施態様もまた、天然の脊椎セグメントの場合に行われるような運動を可能にし、これは、IHAまたはICRの経路から見られ得る。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】椎体、脊椎管、椎弓、横突起、および棘突起を有する2つの椎骨、ならびに随伴した椎間板を示す。
【図2】L3/4椎間板を通る水平断面、および回転動作の場合のIHA移動を示す。屈曲の場合、IHAは、1つの関節から別の関節まで腹側弓で進むが(1)、伸展の場合、背側弓で進む(2)。移動距離は、40mmから60mmを超えるまでであり得る。切除後、IHAは、椎間板の中心に位置する(3)[図2および本文は、M. Mansour, D. Kubein-Meesenburg, St. Spiering, J. Fanghanel, H. Nagerl BIOmaterialien, 2003, 4 (3), 229による刊行物から採った]。
【図3】L1〜L4およびL5のレベルにおける脊椎関節の腹側断面および背側断面をそれぞれ示す。L5のレベルでは、関節は、むしろ正面へ向かって伸展していることが明らかである。軸回転は約1.5°を伴い、そこでは、約1度を伴う他の腰椎セグメントL1〜L4におけるよりも高い[図3および本文は、M. Krismer, C. Haid, M. Ogon, H. Behensky, C. Wimmer, Orthopadie 1997, 26, 516-520による刊行物から採った]。
【図4】平面にある2点の速度ベクトルによってICR(瞬間回転中心)を求める可能性を示す。
【図5】Gertzbeinによる屈曲または伸展の場合の瞬間回転中心(ICR:瞬間回転中心)を示す。濃色ドットおよび濃色の連結線は、動作に依存する回転中心の移動を示している。[図5および本文は、M. Krismer, C. Haid, M. Ogon, H. Behensky, C. Wimmer, Orthopadie 1997, 26, 516-520による刊行物から採った]。
【図6】インプラントの遠位のベースプレートを示す。回転動作および並進動作の両方を可能にする椎間板の中心収容に適した足場を示す。
【図7】ベースプレートに面している側から見た椎間板を示す。ベースプレート上に取り付けられる固定手段(例えば、ピン)を収容するのに適した円形凹部を示す。
【図8】被覆プレートに面している側から見た椎間板を示す。椎間板の凹形に設計された接合表面を示す。半径Rは、被覆プレートと接合する椎間板の表面が、球体表面区域上に位置することを示している。
【図9】平凸に設計されたその接合表面を有する、椎間板に面している表面を有する被覆プレートを示す。凸状の中心に配置されたバルジ加工は、図8による椎間板の接合表面と同じ半径を有し、これにより、被覆プレートの接合表面は、半径Rを有する球体表面区域上に位置する。
【図10】椎間板インプラントの本発明による実施態様を示す。
【図11】本発明の椎間板インプラントのさらなる実施態様を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転動作および/または曲げ動作の間に関節重力中心が変動され得る、椎間板インプラント。
【請求項2】
瞬間回転中心(ICR)の移動が、天然の脊椎セグメントの場合と同様に行われ得る、椎間板インプラント。
【請求項3】
螺旋軸(IHA)が、天然の脊椎セグメントの場合と同様に移動し得る、請求項1または2に記載の椎間板インプラント。
【請求項4】
前記螺旋軸(IHA)が、腹側弓または背側弓に沿って移動し得る、請求項1から3のいずれかに記載の椎間板インプラント。
【請求項5】
ベースプレートおよび椎間板を備え、該椎間板が、並進動作および/または回転動作が可能であるように該ベースプレート上に据えられている、請求項1から4のいずれかに記載の椎間板インプラント。
【請求項6】
前記椎間板が、並進動作および回転動作が可能であるように前記ベースプレート上に据えられている、請求項5に記載の椎間板インプラント。
【請求項7】
さらに被覆プレートを備え、該被覆プレートが、前記椎間板の接合表面および該被覆プレートの接合表面が各々、それぞれの楕円体部分表面上に位置するように、該椎間板上に据えられている、請求項1から6のいずれかに記載の椎間板インプラント。
【請求項8】
前記楕円体部分表面が球体部分表面である、請求項7に記載の椎間板インプラント。
【請求項9】
前記椎間板が、ポリエチレンまたはチタンまたはチタン合金からなる、請求項1から8のいずれかに記載の椎間板インプラント。
【請求項10】
前記ベースプレートおよび/または前記被覆プレートが、骨中に移植され得るか、またはセメントなしで骨に固定され得る、請求項1から9のいずれかに記載の椎間板インプラント。
【請求項11】
前記ベースプレートおよび/または前記被覆プレートが、チタンまたはチタン合金からなる、請求項1から10のいずれかに記載の椎間板インプラント。
【請求項12】
前記ベースプレートおよび/または前記被覆プレートおよび/または前記椎間板が、チタンまたはチタン合金からなり、セラミックコーティングで被覆されている、請求項1から11のいずれかに記載の椎間板インプラント。
【請求項13】
前記セラミックコーティングがチタン−ニオブ−ニトリド(Ti−Nb−N)である、請求項12に記載の椎間板インプラント。
【請求項14】
脊柱側湾症、椎間板ヘルニア、脊柱後湾症、椎間板脱出、椎間板黒化、自然変形、腰痛症、変形性脊椎症、加齢性猫背、脊椎脊髄炎、骨軟骨症、骨線維症、脊椎披裂、脊柱前湾症、脊椎下垂、土方骨折、脊髄髄膜瘤、上腕痛、バーストルップ症候群、脊椎強直、ショイエルマン病、頚部症候群、腰椎後彎、斜頚、およびベヒテレフ病の治療のための、請求項1から13のいずれかに記載の椎間板インプラントの使用。
【請求項1】
回転動作および/または曲げ動作の間に関節重力中心が変動され得る、椎間板インプラント。
【請求項2】
瞬間回転中心(ICR)の移動が、天然の脊椎セグメントの場合と同様に行われ得る、椎間板インプラント。
【請求項3】
螺旋軸(IHA)が、天然の脊椎セグメントの場合と同様に移動し得る、請求項1または2に記載の椎間板インプラント。
【請求項4】
前記螺旋軸(IHA)が、腹側弓または背側弓に沿って移動し得る、請求項1から3のいずれかに記載の椎間板インプラント。
【請求項5】
ベースプレートおよび椎間板を備え、該椎間板が、並進動作および/または回転動作が可能であるように該ベースプレート上に据えられている、請求項1から4のいずれかに記載の椎間板インプラント。
【請求項6】
前記椎間板が、並進動作および回転動作が可能であるように前記ベースプレート上に据えられている、請求項5に記載の椎間板インプラント。
【請求項7】
さらに被覆プレートを備え、該被覆プレートが、前記椎間板の接合表面および該被覆プレートの接合表面が各々、それぞれの楕円体部分表面上に位置するように、該椎間板上に据えられている、請求項1から6のいずれかに記載の椎間板インプラント。
【請求項8】
前記楕円体部分表面が球体部分表面である、請求項7に記載の椎間板インプラント。
【請求項9】
前記椎間板が、ポリエチレンまたはチタンまたはチタン合金からなる、請求項1から8のいずれかに記載の椎間板インプラント。
【請求項10】
前記ベースプレートおよび/または前記被覆プレートが、骨中に移植され得るか、またはセメントなしで骨に固定され得る、請求項1から9のいずれかに記載の椎間板インプラント。
【請求項11】
前記ベースプレートおよび/または前記被覆プレートが、チタンまたはチタン合金からなる、請求項1から10のいずれかに記載の椎間板インプラント。
【請求項12】
前記ベースプレートおよび/または前記被覆プレートおよび/または前記椎間板が、チタンまたはチタン合金からなり、セラミックコーティングで被覆されている、請求項1から11のいずれかに記載の椎間板インプラント。
【請求項13】
前記セラミックコーティングがチタン−ニオブ−ニトリド(Ti−Nb−N)である、請求項12に記載の椎間板インプラント。
【請求項14】
脊柱側湾症、椎間板ヘルニア、脊柱後湾症、椎間板脱出、椎間板黒化、自然変形、腰痛症、変形性脊椎症、加齢性猫背、脊椎脊髄炎、骨軟骨症、骨線維症、脊椎披裂、脊柱前湾症、脊椎下垂、土方骨折、脊髄髄膜瘤、上腕痛、バーストルップ症候群、脊椎強直、ショイエルマン病、頚部症候群、腰椎後彎、斜頚、およびベヒテレフ病の治療のための、請求項1から13のいずれかに記載の椎間板インプラントの使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−516752(P2007−516752A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545918(P2006−545918)
【出願日】平成16年12月31日(2004.12.31)
【国際出願番号】PCT/DE2004/002839
【国際公開番号】WO2005/063150
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(506224654)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月31日(2004.12.31)
【国際出願番号】PCT/DE2004/002839
【国際公開番号】WO2005/063150
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(506224654)
【Fターム(参考)】
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