説明

検体処理装置及び検体処理方法

【課題】高い精度で、かつ、効率良く、検体の状態を検出することができる検体処理装置及び検体処理方法を提供する。
【解決手段】乳び・溶血検体検出装置10は、検体25aを分析する分析処理の前に前記検体25aの画像情報を検出する撮像部41(画像検出手段)と、検出した前記画像情報に基づき、前記検体の色から前記検体25aの乳び状態または溶血状態を検出する乳び・溶血検体検出部40と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体処理装置及び検体処理方法に係り、例えば生化学分析に適用されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
生化学分析等の各種血液検査を行う検体処理装置として、例えば採血を行った後の血液から遠心分離処理によって検体として血清を採取し、検体に試薬を注入して反応を検知することで分析処理を行う分析装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
各種血液検査の際には、分析処理の前処理として、検体容器に付されたバーコードの情報を取得する読取処理や検体を検体容器から分取してサンプルカップに分注する分取・分注処理などの処理が行われる。
【0004】
ところで、検体としての血清は通常黄色く透き通る色であるが、人(患者)によって乳び・溶血なる場合がある。乳び状態の場合には検体が白濁し、溶血状態の場合には検体が赤みがかっている。乳び・溶血の状態では、分析結果に影響を及ぼすこととなるため、予め乳び・溶血の状態を把握する必要がある。一般的には、作業者の目視により検体の色を確認して乳び・溶血状態を検出する方法や、分析装置において試薬と反応した後の検体を検査することによって、乳び・溶血の状態を検出する方法が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−76185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記技術には次のような問題がある。すなわち、作業者の目視により確認して乳び・溶血状態を検査する方法では、作業者への負担が大きく、高い検出精度を維持することが難しいという問題がある。また、例えば多数の検体について目視検査をすることは困難であり、処理効率が悪い。一方、分析装置において試薬と反応した後の検体を検査することによって乳び・溶血の状態を検出する方法では、既に試薬と反応された後に検出することとなる。乳び・溶血の場合には試薬の希釈倍率などの条件が異なるため、再度分析処理をやり直す必要が生じる。このため、処理及び試薬が無駄になり効率が悪いという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、高い精度で、かつ、効率良く、検体の状態を検出することができる検体処理装置及び検体処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、検体を分析する分析処理の前に前記検体の画像情報を検出する画像検出手段と、検出した前記画像情報に基づき、前記検体の色から前記検体の乳び状態または溶血状態を検出する乳び・溶血検出手段と、を備えたことを特徴とする検体処理装置に存する。
【0009】
本発明の他の一態様は、検体を収容する検体容器を立位状態で保持して所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段を備え、前記画像検出手段は、前記搬送経路の上方に配置され、上方から前記検体を撮像して画像情報を検出することを特徴とする。
【0010】
本発明の他の一態様は、前記画像検出手段と前記検体容器との間に設けられ、前記検体容器の外周に配される第1の位置と前記検体容器の上方に退避した第2の位置との間において昇降可能であり、前記画像情報の検出の際に前記第1の位置に配され前記検体容器の外周から前記検体に光を照射する照明手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の他の一態様は、前記検体容器の側部に配されたラベルを読み取り前記検体に関する情報を取得する読取手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の他の一態様は、所定の搬送経路の前記乳び・溶血検出手段よりも下流側に設けられ、前記検体を試薬と反応させて前記検体を分析する分析処理を行う分析手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の他の一態様は、所定の搬送経路の前記乳び・溶血検出手段よりも下流側であって前記分析手段よりも上流側に設けられ、前記検体容器内の検体を分取してサンプルカップに分注する分取・分注手段と、所定の搬送経路の前記乳び・溶血検出手段よりも下流側であって前記分取・分注手段よりも上流側に設けられ、前記乳び・溶血検出の結果に応じて前記検体容器の仕分け処理を行う仕分手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の他の一態様は、検体を分析する分析処理の前に前記検体の画像情報を検出する工程と、検出した前記画像情報に基づき、前記検体の色から前記検体の乳び状態または溶血状態を検出する工程と、を備えたことを特徴とする検体処理方法に存する。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる検体状態検出装置、検体処理装置、及び検体処理方法によれば、高い精度で、かつ、効率良く、検体の状態を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る乳び・溶血検体検出装置の平面図。
【図2】同実施形態に係る乳び・溶血検体検出装置の正面図。
【図3】同実施形態に係る乳び・溶血検体検出装置の側面図。
【図4】同実施形態に係る試験管を示す側面図。
【図5】同実施形態に係る乳び・溶血検体検出部の動作を示す説明図。
【図6】同実施形態に係る乳び・溶血検体検出部の動作を示す説明図。
【図7】同実施形態に係る乳び・溶血検出処理の説明図。
【図8】本発明の一実施形態に係る検体処理ユニットを概略的に示す説明図。
【図9】同実施形態に係る仕分装置の説明図。
【図10】同実施形態に係る分取・分注装置の説明図。
【図11】同実施形態に係る検体処理ユニットの処理手順を示す説明図。
【図12】同実施形態に係る乳び・溶血検体検出装置の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態にかかる検体処理装置としての乳び・溶血検体検出装置10について、図1乃至図6を参照して説明する。なお、各図において適宜構成を拡大、縮小、省略して示している。各図中の矢印X,Y,Zはそれぞれ直交する3方向を示している。
【0018】
図1は、本実施形態にかかる乳び・溶血検体検出装置10を概略的に示す平面図、図2は乳び・溶血検体検出装置10の一部を切欠して概略的に示す正面図、図3は乳び・溶血検体検出装置10を概略的に示す側面図である。
【0019】
乳び・溶血検体検出装置10は、検体の分析処理の際に先立って予め検体の乳び状態及び溶血状態を検出する装置であり、後述するように検体の分析処理を行う検体処理装置の前処理部の1つとして用いられる。
【0020】
乳び・溶血検体検出装置10は、装置本体11と、所定の搬送経路20aに沿って試験管(検体容器)25を搬送する搬送部(搬送手段)20と、試験管25に付されたラベル27の識別情報を読み取る読取部30と、検体の乳び状態及び溶血状態を検出する乳び・溶血検体検出部(乳び・溶血検出手段)40と、各種情報を記憶する記憶部51(記憶手段)と、検出結果や識別情報などに基づき演算・判定などのデータ処理を行うデータ処理部52と、各部の動作を制御する制御部53(制御手段)と、を備えて構成されている。
【0021】
搬送部20は、装置本体11の上部に設けられたコンベヤ式のホルダ搬送機構であり、図1〜図3中X軸方向に延びる搬送経路20aに沿って一定幅に設置された一対のガイドレール21と、ガイドレール21の間において搬送経路20aにわたって配置された搬送ベルト22と、搬送ベルト22の裏側で回転駆動して搬送ベルト22を送る搬送ローラ23と、を備えて構成されている。
【0022】
試験管25を保持するホルダ24は一対のガイドレール21間に係合して立位状態に支持され、搬送ベルト22の移動に伴って搬送される。図4に示すように、検体を収容する検体容器としての試験管25は、円筒形状を成し、その側面に検体の識別情報等の各種情報を示すバーコードが表示されたラベル27が貼付されている。
【0023】
図1乃至図3に示すように、読取部30は、搬送経路20aの側部に設けられ、搬送部20によって送られる試験管25の側面に貼付されたラベル27を読み取り検体に関する各種情報を取得する複数の読取装置(読取手段)31を備えている。取得した情報は記憶部51に記録される。
【0024】
乳び・溶血検体検出部40は、搬送経路20aの上方に設けられ試験管25を撮像して検体の画像情報を取得する撮像部41(画像検出手段)と、搬送経路20aの上方に設けられ撮像の際に試験管25に光を照射する照明部(照明手段)42と、撮像部41及び照明部42を支持する支持機構43と、支持機構43を昇降する昇降シリンダ44(昇降手段)と、を備えて構成されている。
【0025】
撮像部41(画像検出手段)は、例えばカメラなどで構成され、搬送経路20aの上方に設けられている。撮像部41は、搬送経路20a上に立位状態に保持された試験管25の上方から検体25aの上面を撮像し、画像情報を取得する。取得した画像情報は、記憶部51に記録され、データ処理部52へ送られる。なお、撮像部41に送られる試験管25の上部は開口しており上方から検体が見える状態となっている。
【0026】
照明部42は、円環状に形成された円形ライト45を備え、昇降シリンダ44により支持機構43が下降して試験管25が撮影位置P1にセットされた際に試験管25の外周を囲繞する位置に配置される。この照明部42により試験管25の外周から試験管25を照らすことにより、撮像の際に検体の色を鮮明にすることで画像情報の精度を高めることができる。
【0027】
図5及び図6に示すように、支持機構43は、昇降シリンダ44の駆動に応じて、下位の撮影位置P1と上位の退避位置P2との間で往復移動可能になっている。昇降シリンダ44は、支持機構43を昇降し、撮像部41と照明部42を昇降移動させる。昇降シリンダ44は、検出対象となる試験管25が搬送経路20aに沿って搬送されて所定の処理エリアA1において停止されると、支持機構43を下降して第1の位置としての撮影位置P1にセットする。また、画像検出処理が終了すると次の試験管25が所定位置に搬送されるまでの間、支持機構43を上昇させて第2の位置としての退避位置P2にセットする。
【0028】
データ処理部52は、撮像部41で取得した画像情報に基づき検体25aの色を検出し、検体25aの状態を検出(判定)する。このとき、読取部30で取得した検体25aの識別情報と対応付けてデータ処理を行う。ここでは、一例として、検体の色が黄色の場合を正常状態として設定し、ティーチングにより判定処理を行う。例えば検体の色が赤色、桃色、橙色など、正常状態よりも赤みがかっている場合には溶血状態と判定する。一方、検体の色が桃色や乳白色など、正常状態よりも白濁している場合には乳び状態と判定する。図7に、検体識別情報としての識別番号、検出結果としての検体の色、及び判定結果としての検体の状態の対応関係の一例を示す。例えば検体1〜3のように黄色の場合には正常、検体4,5のように橙色の場合には弱溶血、検体6のように赤色の場合には溶血、検体7のように乳白色の場合には乳び、検体8のように桃色の場合には乳び及び溶血と判定される。なお、これらの検出結果及び判定結果は予め読取部30で取得した試験管25の識別情報と対応付けて記憶部51に記録され、制御部53での制御に用いられる。
【0029】
図8に、本実施形態にかかる乳び・溶血検体検出装置10を前処理装置の1つとして備える検体処理ユニット1(検体処理装置)を示す。検体処理ユニット1は、搬入された検体の反応を分析する分析装置(分析手段)61と、分析処理に先立って各種前処理を行う前処理装置で構成される前処理ユニット62とが連結路70を介して接続されている。記憶部51、データ処理部52及び制御部53は検体処理ユニット1の各装置に接続されている。
【0030】
前処理ユニット62は、所定の搬送経路20aの上流側から下流側に向かって、搬入装置63、乳び・溶血検体検出装置10、仕分装置(仕分手段)64、分取・分注装置(分取・分注手段)65、及び搬出装置66が、処理順に配置されて構成されている。それぞれの処理装置10、63〜66に、試験管25を搬送するコンベヤ式の搬送部20が設けられ、各前処理装置に設けられた複数の搬送部20の搬送経路20aが連続するように配置されている。前処理ユニット62の下流側と分析装置61は搬送経路20aに連続する連結路70を介して接続されている。
【0031】
搬入装置63はロボットアーム等の移載機構67を備えている。搬送経路20aの側部には、複数の試験管25を収容した試験管ラック68aが複数載置されたラック架設部68が設けられている。搬入装置63の移載機構67よりも下流側には開栓部69が設けられている。開栓部69は、試験管25の上部の開口に挿入されている栓体を抜き取る開栓処理を行う。
【0032】
図9に示すように、仕分装置64は、ホルダ24を搬送する搬送部20と、制御部53の制御に応じてホルダ24の搬送方向を案内する案内手段としてのゲート部71と、を備えている。搬送経路20aの途中には分岐部20bが設けられ、搬送経路20aから分岐して異なる経路を構成する分岐路20cが設けられている。ゲート部71は、制御部53の制御に応じて、乳び・溶血状態と判定された試験管25を分岐路20cに振り分けるよう切り替え動作をする。例えば、データ処理部52において乳び状態あるいは溶血状態と判別された検体25aを収容する試験管25については分岐路20cへ案内し、乳び状態でも溶血状態でもない正常な試験管25は搬送経路20aに沿って下流側の分取・分注装置65に送られるように案内される。
【0033】
図10に示すように、分取・分注装置65は、搬送経路20aに沿ってホルダ24を搬送する搬送部20と、試験管25の開口に対向するように配置された昇降可能な分取・分注チップ72を備えている。搬送経路20a上の所定位置に検体入り試験管25が配置され停止したとき、分取・分注チップ72によって検体入り試験管25から所定量の血清を分取し、別に送られてきたサンプルカップ73に分注する。血清が分注されたサンプルカップ73は、搬出装置66から搬出され、下流側の連結路70を通って分析装置61に搬入される。
【0034】
以下、図11及び図12を参照して検体処理ユニット1における処理手順を説明する。図11は検体処理ユニット1全体の処理の流れを示し、図12は乳び・溶血検体検出装置10における処理動作の流れを示している。
【0035】
まず、上流側に設けられた搬入装置63により、移載機構67によって試験管ラック68aに収納されている検体入り試験管25を把持し搬送経路20a上に移載する搬入処理が行われる。搬送経路20a上にはホルダ24が待機しており、試験管25はホルダ24にセットされる。移載された試験管25はホルダ24に保持された状態で、搬送経路20aに沿って下流側に設けられた乳び・溶血検体検出装置10の読取部30に送られる。
【0036】
読取部30において、試験管25の側面に貼付されているラベル27に表示されたバーコードなどの情報を読み取り識別情報等の各種情報を取得する読取処理が行われる。取得した情報は記憶部51に記録される。読取処理が終了した試験管25は搬送経路20aに沿って下流側の乳び・溶血検体検出部40に送られる。
【0037】
乳び・溶血検体検出部40において、検体の乳び・溶血状態を検出する乳び・溶血検出処理が行われる。以下、乳び・溶血検体検出部40における乳び・溶血検出処理について図12を参照して説明する。まず、試験管25を保持するホルダ24が搬送され(ST11)、撮像部41の直下の処理エリアA1において停止される(ST12)。
【0038】
試験管25が所定の処理エリアA1にセットされると(ST12のYes)、昇降シリンダ44によって支持機構43とともに撮像部41と照明部42とを下降させることにより、撮影位置P1にセットする(ST13)。このとき、円形ライト45の中央の空間に試験管25が挿入され、照明部42によって試験管25が外周側から照らされる(ST14)。
【0039】
この状態で、上方に位置する撮像部41において検体の画像を撮像し、画像情報を取得する(ST15)。取得した画像情報は記憶部51に記録され、データ処理部52に送られる(ST16)。
【0040】
データ処理部52は、取得した画像情報から検体の色を示すデータを算出し、検体の色に基づいて、乳び状態か否かの判定を行う(ST17)。例えば検体の色が通常の血清の色を示す所定範囲よりも白濁している数値を示す場合には乳び状態と判定し(ST17のYes)、通常の血清の色を示す場合には正常状態と判定する(ST17のNo)。
【0041】
さらに、データ処理部52は、検体の色に基づいて検体が溶血状態か否かの判定を行う(ST18)。検体の色が通常の血清の色を示す所定範囲よりも赤みがかっている数値を示す場合には溶血状態と判定し(ST18のYes)、通常の血清の色を示す場合には正常状態と判定する(ST18のNo)。
【0042】
データ処理部52にて取得された検出結果及び判定結果は予め読取部30で取得した試験管25の識別情報と対応付けて記憶部51に記録され、この判定結果に基づいてその後の処理動作が制御される(ST19)。
【0043】
ST19の動作制御の一例として、下流側に設けられた仕分装置64において、制御部53の制御により、判定結果に応じてゲート部71が切り替えられ、試験管25を振り分ける処理が成される。
【0044】
例えば、データ処理部52において乳び状態あるいは溶血状態と判別された検体25aを収容する試験管25は、ゲート部71が図9において実線で示す位置に切り替えられることにより、分岐路20cへ案内される。分岐路20cの下流側は乳び・溶血状態の検体用に正常な検体とは別工程を行う処理部へ連続している。
【0045】
一方、乳び状態でも溶血状態でもない正常な検体は、ゲート部71が図9において破線で示す位置に配置されることにより、搬送経路20aに沿って下流側の分取・分注装置65に案内される。
【0046】
図11に示す分取・分注装置65では、分取・分注チップ72によって正常な検体入りの試験管25から所定量の血清を分取し別に送られてきたサンプルカップ73に分注する分取・分注処理が行われる。血清が分注されたサンプルカップ73は、下流側の搬出装置から搬出され、下流側の連結路70を通って分析装置61に搬入される。そして、分析装置61において各種反応を検査する分析処理が行われる。
【0047】
本実施形態にかかる乳び・溶血検体検出装置10及び検体処理ユニット1によれば以下のような効果が得られる。乳び・溶血検体検出装置10によって分析処理に先立って乳び・溶血検体の検出を自動で行うため高精度かつ高効率で検体の状態を検出することができる。したがって、作業者の目視により検査する方法と比べ、作業者への負担が少なく、高い検出精度を維持すること可能である。また、多数の検体について高速で処理できるため、処理効率が良い。さらに、検体が試薬と反応する前に乳び・溶血の状態を検出するため、既に試薬と反応された後に分析装置により検出する方法と比べ、再度分析処理をやり直す必要がないので、処理及び試薬の無駄が防止できる。
【0048】
また、円形の照明部42で試験管25の外周側から光を照射しながら撮像部41により上方から撮像することによって、試験管25の側面のラベル27の配置に影響されることがなく、高い検出精度を維持できる。したがって、ティーチングなどの精度が向上する。すなわち、試験管25の側面にはラベル27が設けられていることがあり、側方から照明あるいは撮像する場合にはラベル27との位置関係により撮像結果に悪影響が出る場合があるが、本実施形態では円形ライト45で全周を照らすとともに上方から撮像することによりラベルの位置による影響を防止することができ、常に高い検出精度を維持することが出来る。仕分装置64により検出結果に応じて搬送方向を振り分けるように制御することで、適切かつ迅速な検体の処理が可能となる。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば前処理ユニット62を構成する処理装置は上述したものに限られるものではない。例えば試験管25の上部を栓体によって閉口する場合に、撮像部41よりも上流側に別途開栓装置を配置して開栓処理を行うこととしてもよい。また、1つの試験管25毎に乳び・溶血検出処理をする場合について例示したが、複数の試験管25について同時に処理を行ってもよい。また、搬送の際に複数の試験管25をラックに収容して同時に搬送してもよい。
【0050】
また、上記実施形態に例示された各構成要素を削除してもよく、各構成要素の形状、構造、材質等を変更してもよい。上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0051】
1…検体処理ユニット(検体処理装置)、10…乳び・溶血検体検出装置(検体処理装置)、11…装置本体、20…搬送部、20a…搬送経路、20b…分岐部、20c…分岐路、
21…ガイドレール、22…搬送ベルト、23…搬送ローラ、24…ホルダ、
25…試験管、27…ラベル、30…読取部、31…読取装置(読取手段)、
40…乳び・溶血検体検出部(乳び・溶血検出手段)、41…撮像部(画像検出手段)、
42…照明部(照明手段)、43…支持機構、44…昇降シリンダ、45…円形ライト、
51…記憶部(記憶手段)、52…データ処理部(判定手段)、53…制御部(制御手段)、61…分析装置(分析手段)、62…前処理ユニット、64…仕分装置(仕分け手段)、
65…分取・分注装置(分取・分注手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を分析する分析処理の前に前記検体の画像情報を検出する画像検出手段と、
検出した前記画像情報に基づき、前記検体の色から前記検体の乳び状態または溶血状態を検出する乳び・溶血検出手段と、を備えたことを特徴とする検体処理装置。
【請求項2】
検体を収容する検体容器を立位状態で保持して所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段を備え、
前記画像検出手段は、前記搬送経路の上方に配置され、上方から前記検体を撮像して画像情報を検出することを特徴とする請求項1記載の検体処理装置。
【請求項3】
前記画像検出手段と前記搬送経路との間に設けられ、前記検体容器の外周に配される第1の位置と前記検体容器の上方に退避した第2の位置との間において昇降可能であり、前記画像情報の検出の際に前記第1の位置に配され前記検体容器の外周から前記検体に光を照射する照明手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の検体処理装置。
【請求項4】
前記検体容器の側部に配されたラベルを読み取り前記検体に関する情報を取得する読取手段を備えたことを特徴とする請求項2または3記載の検体処理装置。
【請求項5】
所定の搬送経路の前記乳び・溶血検出手段よりも下流側に設けられ、前記検体を試薬と反応させて前記検体を分析する分析処理を行う分析手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載の検体処理装置。
【請求項6】
所定の搬送経路の前記乳び・溶血検出手段よりも下流側であって前記分析手段よりも上流側に設けられ、前記検体容器内の検体を分取してサンプルカップに分注する分取・分注手段と、
所定の搬送経路の前記乳び・溶血検出手段よりも下流側であって前記分取・分注手段よりも上流側に設けられ、前記乳び・溶血検出の結果に応じて前記検体容器の仕分け処理を行う仕分手段と、を備えたことを特徴とする請求項5記載の検体処理装置。
【請求項7】
検体を分析する分析処理の前に前記検体の画像情報を検出する工程と、
検出した前記画像情報に基づき、前記検体の色から前記検体の乳び状態または溶血状態を検出する工程と、を備えたことを特徴とする検体処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−281604(P2010−281604A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133274(P2009−133274)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(309007184)あおい精機株式会社 (9)
【Fターム(参考)】