検体分析装置
【課題】 検体を正確な検査内容で確実に分析できる検体分析装置の提供。
【解決手段】 読出部50は、第一設定ポジションに搬送されたラック201に保持された複数個の容器200の容器識別情報200aを列方向と反対方向から光を出射することで読み出した後、行方向搬送機構40は、第一設定ポジションに搬送された1個のラック201を行方向に移動させることで、第一設定ポジションから行方向にずれた第二設定ポジションに搬送し、読出部50は、第二設定ポジションに搬送されたラック201に保持された複数個の容器200の容器識別情報200aを列方向と反対方向から光を出射することで読み出し、制御部80は、第一設定ポジションで読み出された容器識別情報200aと、第二設定ポジションで読み出された容器識別情報200aとが同じであるか否かを判定することを特徴とする。
【解決手段】 読出部50は、第一設定ポジションに搬送されたラック201に保持された複数個の容器200の容器識別情報200aを列方向と反対方向から光を出射することで読み出した後、行方向搬送機構40は、第一設定ポジションに搬送された1個のラック201を行方向に移動させることで、第一設定ポジションから行方向にずれた第二設定ポジションに搬送し、読出部50は、第二設定ポジションに搬送されたラック201に保持された複数個の容器200の容器識別情報200aを列方向と反対方向から光を出射することで読み出し、制御部80は、第一設定ポジションで読み出された容器識別情報200aと、第二設定ポジションで読み出された容器識別情報200aとが同じであるか否かを判定することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体分析装置に関し、例えば臨床検査において患者から採取された血液や尿等の検体を分析するための検体分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検査において、患者から採取された血液や尿等の検体を分析することが行われている。このような検体は、検体の色や量等を確認するために、透明なガラス製またはプラスチック製の採血管(容器)に収容されている。図3は、採血管の一例を示す斜視図である。採血管200は、透明なガラス製またはプラスチック製の容器である。採血管200は、例えば、直径13または16mmの底面と、高さ75または100mmの円筒形状の側壁を有する。そして、採血管200の上部には、円柱形状のゴム製の蓋200bを嵌めることが可能となっている。
ところで、病院の検査室では、数多くの患者から採取された検体を毎日、分析しなければならない。すなわち、病院の検査室では、多数の採血管200を取り扱うことになる。また、検体を分析する検査内容も、各患者に応じて様々な種類A、B、・・・のものがある。よって、検査内容Aを実行しなければならない採血管200と、検査内容Bを実行しなければならない採血管200とが無作為に混じりあいながら、多数の採血管200が採取室から検査室に送り込まれてくることになる。
【0003】
そこで、採血管200の側壁には、検体が採取された患者を識別したり、収容された検体の検査内容の種類A、B、・・・を決定したりするための情報が記憶されたバーコードシール(容器識別情報)200aが、採取室の看護師等によって付されることになっている。バーコードシール200aは、例えば、縦55mm、横30mmの長方形状であり、採血管200の側壁に付される。
一方、病院の検査室には、ベルトコンベア(列方向搬送機構)等からなる検体供給装置と、検体検査装置とが組み合わされた検体処理システム(検体分析装置)が設置されている。図7は、検体処理システムの一例を示す平面図であり、図8は、図7に示す検体処理システムの一部の斜視図である。
このような検体処理システム101によれば、検査室の検査員が、ベルトコンベア30の所定の位置に採血管200を保持したラック201を次々と載置していくと、ラック201がY方向に移動していくことにより、ラック201が第一設定ポジションP1に到達し、バーコードリーダ(読出部)50がX方向に移動していきながら、第一設定ポジションP1に到達したラック201のバーコードシール200aを次々と読み出し、その後、コンピュータ(制御部)180が、読み出したバーコードシール200aに基づいて、検体検査装置60のカルーセル70にラック201を移動させるとともに、検体検査装置60で検体を次々と分析することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、図7及び図8に示す検体処理システムについて詳細に説明する。なお、図4は、ラックの一例を示す斜視図である。図5は、カルーセルの一例を示す平面図である。図9は、行方向搬送機構の一例を示す平面図である。
検体処理システム101は、5個の採血管200を保持するための多数のラック201と、ベルトコンベア30と、検体検査装置60のカルーセル70に搬送する行方向搬送機構40と、バーコードシール200a等を読み出すバーコードリーダ50と、コンピュータ180とを備える。
【0005】
ラック201は、プラスチック製のケースである。そして、ラック201は、例えば、横X110mm、縦Y20mm、高さZ65mmの略直方体形状をしている。上面にはX方向(行方向)に順番に並ぶように、第一穴部201a〜第五穴部201eが形成されている。穴部201a〜201eは、円柱形状であり、例えば直径17mm、深さZ50mmとなっている。つまり、採血管200の下半分を穴部201a〜201eに挿入することができ、その結果、5個の採血管200がX方向に並ぶように、ラック201に保持されることができるようになっている。
また、ラック201の下部には、Y方向(列方向)に貫通し、かつ、X方向(行方向)に並ぶように4個の貫通孔202が形成されている。これにより、詳細は後述するが、行方向搬送機構40の2本の棒部41が、ラック201を搬送するために4個の貫通孔202のうちの2個の貫通孔202に挿入されるようになっている。
【0006】
さらに、ラック201の前面の右部には、多数のラック201のうちからどのラック201であるかを識別するための情報が記憶されたバーコードラベル(ラック識別情報)203が、検査室の検査員等によって付されている。バーコードラベル203は、例えば、縦25mm、横15mmの長方形状である。
また、ラック201の前面には、各穴部201a〜201eと繋がる開口部がそれぞれ形成されている。そして、各穴部201a〜201eの後面側の側壁には、穴部201a〜201eに採血管200が挿入されているか否かを識別するためのバーコードラベル(容器有無情報)204a〜204e(図示は204dのみ)が、予め付されている。バーコードラベル204a〜204eは、例えば、縦30mm、横8mmの長方形状である。
【0007】
ベルトコンベア30は、2個の円柱形状のローラ31と、2個のローラ31間に掛け回された搬送ベルト32とを有する。これにより、搬送ベルト32が、モータ等の駆動手段(図示せず)によっていずれかのローラ31が駆動することにより、循環して移動する。このとき、ベルトコンベア30は、上側になっている搬送ベルト32がY方向(列方向)に移動するように、検体処理システム101において配置される。なお、搬送ベルト32のX方向(行方向)の長さは、ラック201の横幅Xと同じになっている。
このようなベルトコンベア30によれば、上側になっている搬送ベルト32の上面に、ラック201のX方向がY方向と垂直となるように、ラック201が検査員によって載置されることにより、ラック201がY方向に移動していくことになる。
また、ベルトコンベア30のY方向における中央部には、第一設定ポジションP1が設定されており、搬送してきたラック201を第一設定ポジションP1で停止させるために、X方向に伸びた停止板33が形成されている。
【0008】
バーコードリーダ50は、設定範囲の光を−Y方向(列方向と反対方向)に出射するものである。設定範囲は、例えば、長方形状であり、1度に1個のバーコード200a、203、204a〜204eを読み出すことができる。
行方向搬送機構40は、直方体形状の筐体42と、2本の棒部41と、X方向(行方向)に伸びるレール部43とを有する。筐体42は、レール部43に沿ってX方向に移動することが可能となっており、第一設定位置から第六設定位置まで段階的に1個の採血管200の横幅分ずつ移動することができ、さらに第六設定位置から第七設定位置まで移動することができるようになっている。また、2本の棒部41は、Y方向に移動可能となるように、筐体42の内部に取り付けられている。これにより、2本の棒部41が、筐体42の内部から飛び出した突出状態(図9(b)及び図9(c)参照)と、筐体42の内部に収納された収納状態(図9(a)参照)とのいずれかの状態となる。
なお、バーコードリーダ50が、筐体42の上に取り付けられている。これにより、バーコードリーダ50も、筐体42が移動すればX方向に段階的に移動することになる。
【0009】
このような行方向搬送機構40によれば、第一設定ポジションP1に1個のラック201が搬送されてきた場合に、収納状態の筐体42が第一設定位置に配置されれば、バーコードリーダ50がラック201のバーコードラベル203の前に配置されるようになっている(図9(a)参照)。また、収納状態の筐体42が、第二設定位置に移動されれば、バーコードリーダ50が第一穴部201aの採血管200のバーコードシール200aの前に配置されるようになっている。このように筐体42がX方向に第一設定位置から第六設定位置まで段階的に移動していくことで、バーコードリーダ50が穴部201b〜201eの採血管200のバーコードシール200aの前に順に配置されていくようになっている。
また、第一設定ポジションP1に1個のラック201が搬送されてきた場合に、第一設定位置に配置された収納状態の筐体42を突出状態にすれば、ラック201の2個の貫通孔202に2本の棒部41が挿入されるようになっている(図9(b)参照)。そして、突出状態の筐体42が第七設定位置に移動すれば、1個のラック201も所定の位置(カルーセル70)に移動する(図9(c)参照)。その後、第七設定位置に配置された突出状態の筐体42を収納状態にすれば、ラック201の2個の貫通孔202から2本の棒部41が外れる。つまり、ラック201がカルーセル70の所定の位置に搬送されることになる。
【0010】
カルーセル70は、中心部72aと周縁部72bとを有する円板状テーブル72と、円板状テーブル72を回転させる駆動機構(図示せず)と、10個の保持部71a〜71jとを備える。
カルーセル70の周縁部72bには反時計周りに順番に並ぶように、第一保持部71a〜第十保持部71jが形成されている。各保持部71a〜71jは、平面視でコの字形状で所定の高さ(例えば50mm)となる壁面93を備える。そして、壁面93のコの字形状の開放口部分が円板状テーブル72の側方(−B方向)となるように配置されている。つまり、1個のラック201を1個の保持部71a〜71jの壁面93に当接するように配置することができ、その結果、10個のラック201が反時計周りに並ぶように、カルーセル70に保持されるようになっている。
【0011】
そして、カルーセル70は、駆動機構によって中心部72を軸として時計周りや反時計周りで回転することが可能となっており、第一設定位置から第十設定位置まで段階的に36°ずつ矢印A方向に回転移動することができるようになっている。
このようなカルーセル70によれば、行方向搬送機構40の第七設定位置に1個のラック201が搬送される際に、カルーセル70の第一保持部71aを第七設定位置と一致するように配置させておけば、ラック201が矢印B方向から挿入されることで第一保持部71aに保持される。また、行方向搬送機構40の第七設定位置に次の1個のラック201が搬送される際に、カルーセル70の第二保持部71bを第七設定位置と一致するように配置させておけば、次のラック201が矢印B方向から挿入されることで第二保持部71bに保持される。このように10個のラック201が各保持部71a〜71jに保持されていくようになっている。つまり、50個の採血管200がカルーセル70に保持される。このとき、採血管200のバーコードシール200aが保持前に読み出されているので、カルーセル70の各位置に保持された採血管200がどの検査内容A、B、・・・を実行しなければならないことがコンピュータ180には把握されている。よって、コンピュータ180はカルーセル70を回転させることで所定の採血管200を、プローブ(検体検査装置60)の回転軌跡であるピペット操作場所PSライン上に次々と移動させながら、50個の採血管200に収容された検体を分析していくことができる。
【0012】
コンピュータ180は、CPUとメモリとを備える。また、CPUが処理する機能をブロック化して説明すると、検査内容決定部181と検査内容実行部82とを有する。
検査内容決定部181は、バーコードリーダ50で読み出されたバーコードラベル203、204a〜204eとバーコードシール200aとに基づいて、検体検査装置60でどの検体にどの検査内容を実行するかを決定する制御を行う。
例えば、第一設定ポジションP1に1個のラック201が搬送されてきた場合に、バーコードラベル203を読み出すことにより、どのラック201であるかを把握して、バーコードラベル204a〜204e或いはバーコードシール200aのいずれかを読み出すことにより、各穴部201a〜201eの採血管200に実行する検査内容A、B、・・・を把握する。そして、コンピュータ180は、行方向搬送機構40とカルーセル70とを制御しながら、カルーセル70の各保持部71a〜71jにラック201を搬送させながら、どのラック201がどの保持部71a〜71jに搬送されたかを把握する。
【0013】
検査内容実行部82は、検査内容決定部181で決定された検査内容に基づいて、検体検査装置60で検体を分析する制御を行う。
例えば、カルーセル70の保持された50個の採血管200のうちで所定の採血管200をピペット操作場所PSライン上に移動させながら、例えば、カルーセル70を回転させることで、第一保持部71aのラック201の第一穴部201aの採血管200をピペット操作場所PSライン上に移動させ、第一穴部201aの採血管200には、検査内容Aを実行し、その後、カルーセル70を回転させることで、第二保持部71bの第二穴部201bの採血管200をピペット操作場所PSライン上に移動させ、第二穴部201bの採血管200には、検査内容Bを実行していく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平10−019899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上述した検体処理システム101では、各採血管200において、正確な検査内容A、B、・・・を実行できていないことがあった。つまり、ベルトコンベア30の搬送ベルト32の上面には、多数のラック201がY方向(列方向)に並んでいる。そして、第一設定ポジションP1に1個のラック201が配置されるが、第一設定ポジションP1から−Y方向に1個のラック201の縦幅分ずれた次のポジションにも、次のラック201が配置されている。また、検査員によってラック201の各穴部201a〜201eに採血管200が挿入される際に、採血管200のバーコードシール200aがY方向を向くように挿入されることになっているが、採血管200のバーコードシール200aがY方向(前方)を向かず横に向いている場合がある。このようなときに、バーコードリーダ50が、光を−Y方向に出射すると、第一設定ポジションP1の採血管200の側壁を光が透過して、次のポジションの採血管200のバーコードシール200aを読み出してしまうことがあった。よって、ある採血管200には、次のポジションの採血管200に実行しなければならない検査内容が実行されていた。
そこで、本発明は、検体を正確な検査内容で確実に分析することができる検体分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するためになされた本発明の検体分析装置は、検体を収容するとともに、容器識別情報が付された透明な容器と、複数個の容器が行方向に並ぶように複数個の容器を保持するとともに、ラック識別情報が付されたラックと、前記ラックの行方向が列方向と垂直となり、複数個のラックが列方向に並ぶように載置されることにより、複数個のラックを列方向に移動させていくことで、第一設定ポジションに1個のラックを搬送する列方向搬送機構と、前記第一設定ポジションに搬送された1個のラックを行方向に移動させることで、検査装置に搬送する行方向搬送機構と、前記第一設定ポジションに搬送されたラックのラック識別情報と、前記第一設定ポジションに搬送されたラックに保持された複数個の容器の容器識別情報とを列方向と反対方向から光を出射することで読み出す読出部と、前記読出部で読み出されたラック識別情報及び容器識別情報に基づいて、前記検査装置で検体を分析する検査内容を決定する制御部とを備える検体分析装置であって、前記読出部は、前記第一設定ポジションに搬送されたラックに保持された複数個の容器の容器識別情報を列方向と反対方向から光を出射することで読み出した後、前記行方向搬送機構は、前記第一設定ポジションに搬送された1個のラックを行方向に移動させることで、前記第一設定ポジションから行方向にずれた第二設定ポジションに1個のラックを搬送し、前記読出部は、前記第二設定ポジションに搬送されたラックに保持された複数個の容器の容器識別情報を列方向と反対方向から光を出射することで読み出し、前記制御部は、前記第一設定ポジションで読み出された容器識別情報と、前記第二設定ポジションで読み出された容器識別情報とが同じであるか否かを判定するようにしている。
【0017】
本発明の検体分析装置によれば、まず、読出部は、第一設定ポジションに搬送されたラックに保持された容器の容器識別情報を列方向と反対方向から光を出射することで読み出す。このとき、第一設定ポジションのラックの第一穴部の後方には、次のポジションのラックの第一穴部が配置されることになる。つまり、第一設定ポジションのラックの第一穴部の容器の容器識別情報を読み出せないときには、次のポジションのラックの第一穴部の容器の容器識別情報を読み出す。
次に、行方向搬送機構は、第一設定ポジションに搬送された1個のラックを行方向に移動させることで、第一設定ポジションから行方向にずれた第二設定ポジションに搬送する。例えば、第二設定ポジションは、第一設定ポジションから行方向に1個の容器分ずれた位置である。
次に、読出部は、第二設定ポジションに搬送されたラックに保持された複数個の容器の容器識別情報を列方向と反対方向から光を出射することで読み出す。このとき、第一ラックの第一穴部の後方には、第二ラックの第二穴部が配置されることになる。つまり、第一設定ポジションのラックの第一穴部の容器の容器識別情報を読み出せないときには、次のポジションのラックの第二穴部の容器の容器識別情報を読み出す。
【0018】
最後に、制御部は、第一設定ポジションで読み出された容器識別情報と、第二設定ポジションで読み出された容器識別情報とが同じであるか否かを判定する。例えば、ラックの第一穴部の容器の容器識別情報を読み出せるときには、第一設定ポジションで読み出された容器識別情報が目的のラックの第一穴部の容器の容器識別情報となり、第二設定ポジションで読み出された容器識別情報も目的のラックの第一穴部の容器の容器識別情報となるので、同じであると判定して、すなわち目的のラックの第一穴部の容器の容器識別情報を読み出せると判定する。
一方、目的のラックの第一穴部の容器の容器識別情報を読み出せないときには、第一設定ポジションで読み出された容器識別情報が次のポジションのラックの第一穴部の容器の容器識別情報となり、第二設定ポジションで読み出された容器識別情報が、次のポジションのラックの第二穴部の容器の容器識別情報となるので、同じでないと判定して、すなわち目的のラックの第一穴部の容器の容器識別情報を読み出せていないと判定する。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の検体分析装置によれば、検体を正確な検査内容で確実に分析することができる。
【0020】
(その他の課題を解決するための手段及び効果)
また、本発明の検体分析装置は、前記第二設定ポジションは、前記第一設定ポジションから行方向に1個の容器分ずれた位置であるようにしてもよい。
本発明の検体分析装置によれば、装置の大きさを従来の装置と比べて、行方向に1個の容器の横幅分だけ大きくするだけでよくなる。
また、本発明の検体分析装置は、前記ラック識別情報及び容器識別情報は、バーコードであり、前記読出部は、バーコードリーダであるようにしてもよい。
【0021】
また、本発明の検体分析装置は、前記バーコードリーダは、設定範囲となる光を出射し、前記設定範囲は、1個のバーコードを読み出すものであるようにしてもよい。
また、本発明の検体分析装置は、前記制御部は、前記第一設定ポジションで読み出された容器識別情報と、前記第二設定ポジションで読み出された容器識別情報とが同じであると判定したときには、検査内容を実行し、一方、同じでないと判定したときには、検査内容を実行しないようにしてもよい。
そして、本発明の検体分析装置は、前記制御部は、前記第一設定ポジションで読み出された容器識別情報と、前記第二設定ポジションで読み出された容器識別情報とが同じであると判定したときには、前記検査装置にラックを搬送させ、一方、同じでないと判定したときには、警告を実行するようにしてもよい。
【0022】
さらに、本発明の検体分析装置は、前記ラックは、前記採血管が挿入されているか否かを識別するための容器有無情報が付されており、前記制御部は、前記容器有無情報を読み出すか、或いは、前記第二設定ポジションで、前記容器有無情報を読み出したときには、検査内容を実行しないようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1a】本発明に係る検体処理システムの一例を示す平面図である。
【図1b】本発明に係る検体処理システムの一例を示す平面図である。
【図2a】図1aに示す検体処理システムの一部の斜視図である。
【図2b】図1bに示す検体処理システムの一部の斜視図である。
【図2c】図2aに示すAの拡大図である。
【図2d】図2bに示すBの拡大図である。
【図3】採血管の一例を示す斜視図である。
【図4】ラックの一例を示す斜視図である。
【図5】カルーセルの一例を示す平面図である。
【図6a】搬送方法について説明するためのフローチャートである。
【図6b】搬送方法について説明するためのフローチャートである。
【図7】検体処理システムの一例を示す平面図である。
【図8】図7に示す検体処理システムの一部の斜視図である。
【図9】行方向搬送機構の一例を示す平面図である。
【図10】行方向搬送機構の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
【0025】
図1は、本発明に係る検体処理システムの一例を示す平面図であり、図2は、本発明に係る検体処理システムの一部の斜視図である。なお、図1a及び図2aは、ラックが第一設定ポジションに搬送されたときの図であり、図1b及び図2bは、ラックが第二設定ポジションに搬送されたときの図である。また、図2cは、図2aに示すAの拡大図であり、図2dは、図2bに示すBの拡大図である。上述した検体処理システム101と同様のものについては、同じ符号を付している。
検体処理システム1は、5個の採血管200を保持するための多数のラック201と、ベルトコンベア30と、検体検査装置60のカルーセル70に搬送する行方向搬送機構40と、バーコードシール200a等を読み出すバーコードリーダ50と、コンピュータ80とを備える。
【0026】
図10は、行方向搬送機構の一例を示す平面図である。行方向搬送機構40は、直方体形状の筐体42と、2本の棒部41と、X方向(行方向)に伸びるレール部43とを有する。筐体42は、レール部43に沿ってX方向に移動することが可能となっており、第一設定位置から第七設定位置まで段階的に1個の採血管200の横幅分ずつ移動することができ、さらに第七設定位置から第八設定位置まで移動することができるようになっている。また、2本の棒部41は、Y方向に移動可能となるように、筐体42の内部に取り付けられている。これにより、2本の棒部41が、筐体42の内部から飛び出した突出状態(図10(b)及び図10(c)参照)と、筐体42の内部に収納された収納状態(図10(a)参照)とのいずれかの状態となる。
なお、バーコードリーダ50が、筐体42の上に取り付けられている。これにより、バーコードリーダ50も、筐体42が移動すればX方向に段階的に移動することになる。
【0027】
このような行方向搬送機構40によれば、図1aに示すように第一設定ポジションP1に1個のラック201が搬送されてきた場合に、収納状態の筐体42が第一設定位置に配置されれば、バーコードリーダ50がラック201のバーコードラベル203の前に配置されるようになっている(図10(a)参照)。また、収納状態の筐体42が、第二設定位置に移動されれば、バーコードリーダ50が第一穴部201aの採血管200のバーコードシール200aの前に配置されるようになっている。このように筐体42がX方向に第一設定位置から第六設定位置まで段階的に移動していくことで、バーコードリーダ50が穴部201b〜201eの採血管200のバーコードシール200aの前に順に配置されていくようになっている。
また、第一設定ポジションP1に1個のラック201が搬送されてきた場合に、第一設定位置に配置された収納状態の筐体42を突出状態にすれば、ラック201の2個の貫通孔202に2本の棒部41が挿入されるようになっている(図10(b)参照)。そして、突出状態の筐体42が第二設定位置に移動すれば、1個のラック201も所定の位置(第二設定ポジションP2)に移動する。その後、第二設定位置に配置された突出状態の筐体42を収納状態にすれば、ラック201の2個の貫通孔202から2本の棒部41が外れる。つまり、ラック201が、図1bに示すように第二設定ポジションP2に搬送されることになる。
【0028】
第二設定ポジションP2に1個のラック201が搬送されてきた場合に、収納状態の筐体42が第三設定位置に配置されれば、バーコードリーダ50が第一穴部201aの採血管200のバーコードシール200aの前に配置されるようになっている。このように筐体42がX方向に第三設定位置から第七設定位置まで段階的に移動していくことで、バーコードリーダ50が穴部201b〜201eの採血管200のバーコードシール200aの前に順に配置されていくようになっている。
また、第二設定ポジションP2に1個のラック201が搬送されてきた場合に、第二設定位置に配置された収納状態の筐体42を突出状態にすれば、ラック201の2個の貫通孔202に2本の棒部41が挿入されるようになっている。そして、突出状態の筐体42が第八設定位置に移動すれば、1個のラック201も所定の位置(カルーセル70)に移動する(図10(c)参照)。その後、第八設定位置に配置された突出状態の筐体42を収納状態にすれば、ラック201の2個の貫通孔202から2本の棒部41が外れる。つまり、ラック201がカルーセル70の所定の位置に搬送されることになる。
【0029】
カルーセル70は、中心部72aと周縁部72bとを有する円板状テーブル72と、円板状テーブル72を回転させる駆動機構(図示せず)と、10個の保持部71a〜71jとを備える。
カルーセル70の周縁部72bには反時計周りに順番に並ぶように、第一保持部71a〜第十保持部71jが形成されている。各保持部71a〜71jは、平面視でコの字形状で所定の高さの壁面93を有する。そして、壁面93のコの字形状の開放口部分が円板状テーブル72の側方(−B方向)となるように配置されている。つまり、1個のラック201を1個の保持部71a〜71jの壁面93に当接するように配置することができ、その結果、10個のラック201が反時計周りに並ぶように、カルーセル70に保持されるようになっている。
【0030】
そして、カルーセル70は、中心部72を軸として時計周りや反時計周りで回転することが可能となっており、第一設定位置から第十設定位置まで段階的に36°ずつ矢印A方向に移動することができるようになっている。
このようなカルーセル70によれば、行方向搬送機構40の第八設定位置に1個のラック201が搬送される際に、カルーセル70の第一保持部71aを第八設定位置と一致するように配置させておけば、ラック201が矢印B方向から挿入されることで第一保持部71aに保持される。また、行方向搬送機構40の第八設定位置に次の1個のラック201が搬送される際に、カルーセル70の第二保持部71bを第八設定位置と一致するように配置させておけば、次のラック201が矢印B方向から挿入されることで第二保持部71bに保持される。このように10個のラック201が各保持部71a〜71jに保持されていくようになっている。つまり、50個の採血管200がカルーセル70に保持される。このとき、採血管200のバーコードシール200aが保持前に読み出されているので、カルーセル70の各位置に保持された採血管200がどの検査内容A、B、・・・を実行しなければならないことがコンピュータ80には把握されている。よって、コンピュータ80はカルーセル70を回転させることで所定の採血管200をピペット操作場所PSライン上に次々と移動させながら、50個の採血管200に収容された検体を分析していくことができる。
【0031】
コンピュータ80は、CPUとメモリとを備える。また、CPUが処理する機能をブロック化して説明すると、検査内容決定部81と検査内容実行部82とを有する。
検査内容決定部81は、バーコードリーダ50で読み出されたバーコードラベル203、204a〜204eとバーコードシール200aとに基づいて、検体検査装置60のカルーセル70にラック201を搬送させるか否かを判定するとともに、検体検査装置60のカルーセル70にラック201を搬送させた場合には、検体検査装置60でどの検体にどの検査内容を実行するかを決定する制御を行う。
例えば、第一設定ポジションP1に1個のラック201が搬送されてきた場合に、バーコードラベル203を読み出すことにより、どのラック203であるかを把握して、バーコードラベル204a〜204e或いはバーコードシール200aのいずれかを読み出す。また、第二設定ポジションP2に1個のラック201を搬送した場合に、バーコードラベル204a〜204e或いはバーコードシール200aのいずれかを読み出す。
【0032】
その後、5個の各採血管200において、第一設定ポジションP1で読み出されたバーコードシール200aと、第二設定ポジションP2で読み出されたバーコードシール200aとが同じであると判定したときには、各穴部201a〜201eの採血管200に実行する検査内容A、B、・・・を決定する。そして、コンピュータ80は、行方向搬送機構40とカルーセル70とを制御しながら、カルーセル70の各保持部71a〜71jにラック201を搬送させながら、どのラック201がどの保持部71a〜71jに搬送されたかを把握する。このとき、コンピュータ80は、第一設定ポジションP1で、ある穴部201a〜201eでバーコードラベル204a〜204eを読み出すか、或いは、第二設定ポジションP2で、ある穴部201a〜201eでバーコードラベル204a〜204eを読み出したときには、バーコードラベル204a〜204eを読み出した穴部201a〜201eにおいて、採血管200が配置されていないため検査内容を実行しない。
一方、5個の各採血管200において1個の採血管200で、第一設定ポジションP1で読み出されたバーコードシール200aと、第二設定ポジションP2で読み出されたバーコードシール200aとが同じでないと判定したときには、警告を実行する。これにより、検査員は、目的のラック201のどこかの穴部201a〜201eの採血管200のバーコードシール200aを読み出せないことを認識することができる。
【0033】
ここで、検体処理システム1によるラック201を搬送する搬送方法について説明する。図6は、搬送方法について説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS101の処理において、ラック201を搬送すべき位置が第一保持部71aであることを示すN=1とする。
次に、ステップS102の処理において、ベルトコンベア30が複数のラック201をY方向に(列方向)に移動させることで、1個のラック201を第一設定ポジションP1に搬送する。
次に、ステップS103の処理において、検査内容決定部81は、収納状態の筐体42を第一設定位置に配置する。
【0034】
次に、ステップS104の処理において、検査内容決定部81は、行方向搬送機構40を第一設定位置から第六設定位置まで段階的に1個の採血管200の横幅分ずつX方向(行方向)に移動させながら、バーコードリーダ50が、バーコードラベル203、204a〜204eとバーコードシール200aとを順番に読み出していく。
次に、ステップS105の処理において、検査内容決定部81は、収納状態の筐体42を第一設定位置に配置する。
次に、ステップS106の処理において、検査内容決定部81は、収納状態の筐体42を突出状態とし、行方向搬送機構40を第一設定位置から第二設定位置まで移動させ、突出状態の筐体42を収納状態とする。つまり、1個のラック201をX方向(行方向)に移動させることで第二設定ポジションP2に搬送する。
【0035】
次に、ステップS107の処理において、検査内容決定部81は、収納状態の筐体42を第三設定位置に配置する。
次に、ステップS108の処理において、検査内容決定部81は、行方向搬送機構40を第三設定位置から第七設定位置まで段階的に1個の採血管200の横幅分ずつX方向(行方向)に移動させながら、バーコードリーダ50が、バーコードラベル204a〜204eとバーコードシール200aとを順番に読み出していく。
次に、ステップS109の処理において、検査内容決定部81は、第一設定ポジションP1で読み出されたバーコードシール200aと、第二設定ポジションP2で読み出されたバーコードシール200aとが同じであるか否かを判定する。少なくとも1個の採血管200のバーコードシール200aが同じでないと判定したときには、ステップS110の処理において、警告を実行する。
【0036】
一方、5個の採血管200のバーコードシール200aが同じであると判定したときには、ステップS111の処理において、検査内容決定部81は、収納状態の筐体42を第二設定位置に配置する。
次に、ステップS112の処理において、検査内容決定部81は、収納状態の筐体42を突出状態とし、行方向搬送機構40を第二設定位置から第八設定位置まで移動させ、突出状態の筐体42を収納状態とする。つまり、ラック201をX方向(行方向)に移動させることでカルーセル70の第N保持部71に搬送する。
次に、ステップS113の処理において、N=10であるか否かを判定する。N=10でないと判定したときには、ステップS114の処理において、N=N+1とするとともにカルーセル70を一段階、回転移動させて、ステップS102の処理に戻る。
【0037】
一方、N=10であると判定したときには、ステップS115の処理において、検査内容実行部82は、カルーセル70で所定の採血管200をピペット操作場所PSライン上に次々と移動させながら、50個の採血管200に収容された検体を分析していく。
次に、検査を終了するか否かを判定する。検査を終了しないと判定したときには、ステップS101の処理に戻る。
一方、検査を終了すると判定したとき、或いは、ステップS110の処理において警告を実行した際には、本フローチャートを終了させる。
【0038】
以上のように、本発明の検体処理システム1によれば、検体を正確な検査内容で確実に分析することができる。
【0039】
(他の実施形態)
上述した検体処理システム1において、検査内容決定部81は、5個の各採血管200において1個の採血管200で、第一設定ポジションP1で読み出されたバーコードシール200aと、第二設定ポジションP2で読み出されたバーコードシール200aとが同じでないと判定したときには、警告を実行する構成としたが、検査内容決定部81は、第一設定ポジションP1で読み出されたバーコードシール200aと、第二設定ポジションP2で読み出されたバーコードシール200aとが同じでないと判定したときにも、カルーセルの第N保持部に搬送させるが、検査内容実行部82が該当する採血管200に収容された検体を分析しないような構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、臨床検査において患者から採取された血液や尿等の検体を分析するための検体分析装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1、101: 検体分析装置
30: ベルトコンベア(列方向搬送機構)
40: 行方向搬送機構
50: バーコードリーダ(読出部)
60: 分析検査装置
200: 採血管(容器)
200a: バーコードシール(容器識別情報)
203: バーコードラベル(ラック識別情報)
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体分析装置に関し、例えば臨床検査において患者から採取された血液や尿等の検体を分析するための検体分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検査において、患者から採取された血液や尿等の検体を分析することが行われている。このような検体は、検体の色や量等を確認するために、透明なガラス製またはプラスチック製の採血管(容器)に収容されている。図3は、採血管の一例を示す斜視図である。採血管200は、透明なガラス製またはプラスチック製の容器である。採血管200は、例えば、直径13または16mmの底面と、高さ75または100mmの円筒形状の側壁を有する。そして、採血管200の上部には、円柱形状のゴム製の蓋200bを嵌めることが可能となっている。
ところで、病院の検査室では、数多くの患者から採取された検体を毎日、分析しなければならない。すなわち、病院の検査室では、多数の採血管200を取り扱うことになる。また、検体を分析する検査内容も、各患者に応じて様々な種類A、B、・・・のものがある。よって、検査内容Aを実行しなければならない採血管200と、検査内容Bを実行しなければならない採血管200とが無作為に混じりあいながら、多数の採血管200が採取室から検査室に送り込まれてくることになる。
【0003】
そこで、採血管200の側壁には、検体が採取された患者を識別したり、収容された検体の検査内容の種類A、B、・・・を決定したりするための情報が記憶されたバーコードシール(容器識別情報)200aが、採取室の看護師等によって付されることになっている。バーコードシール200aは、例えば、縦55mm、横30mmの長方形状であり、採血管200の側壁に付される。
一方、病院の検査室には、ベルトコンベア(列方向搬送機構)等からなる検体供給装置と、検体検査装置とが組み合わされた検体処理システム(検体分析装置)が設置されている。図7は、検体処理システムの一例を示す平面図であり、図8は、図7に示す検体処理システムの一部の斜視図である。
このような検体処理システム101によれば、検査室の検査員が、ベルトコンベア30の所定の位置に採血管200を保持したラック201を次々と載置していくと、ラック201がY方向に移動していくことにより、ラック201が第一設定ポジションP1に到達し、バーコードリーダ(読出部)50がX方向に移動していきながら、第一設定ポジションP1に到達したラック201のバーコードシール200aを次々と読み出し、その後、コンピュータ(制御部)180が、読み出したバーコードシール200aに基づいて、検体検査装置60のカルーセル70にラック201を移動させるとともに、検体検査装置60で検体を次々と分析することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、図7及び図8に示す検体処理システムについて詳細に説明する。なお、図4は、ラックの一例を示す斜視図である。図5は、カルーセルの一例を示す平面図である。図9は、行方向搬送機構の一例を示す平面図である。
検体処理システム101は、5個の採血管200を保持するための多数のラック201と、ベルトコンベア30と、検体検査装置60のカルーセル70に搬送する行方向搬送機構40と、バーコードシール200a等を読み出すバーコードリーダ50と、コンピュータ180とを備える。
【0005】
ラック201は、プラスチック製のケースである。そして、ラック201は、例えば、横X110mm、縦Y20mm、高さZ65mmの略直方体形状をしている。上面にはX方向(行方向)に順番に並ぶように、第一穴部201a〜第五穴部201eが形成されている。穴部201a〜201eは、円柱形状であり、例えば直径17mm、深さZ50mmとなっている。つまり、採血管200の下半分を穴部201a〜201eに挿入することができ、その結果、5個の採血管200がX方向に並ぶように、ラック201に保持されることができるようになっている。
また、ラック201の下部には、Y方向(列方向)に貫通し、かつ、X方向(行方向)に並ぶように4個の貫通孔202が形成されている。これにより、詳細は後述するが、行方向搬送機構40の2本の棒部41が、ラック201を搬送するために4個の貫通孔202のうちの2個の貫通孔202に挿入されるようになっている。
【0006】
さらに、ラック201の前面の右部には、多数のラック201のうちからどのラック201であるかを識別するための情報が記憶されたバーコードラベル(ラック識別情報)203が、検査室の検査員等によって付されている。バーコードラベル203は、例えば、縦25mm、横15mmの長方形状である。
また、ラック201の前面には、各穴部201a〜201eと繋がる開口部がそれぞれ形成されている。そして、各穴部201a〜201eの後面側の側壁には、穴部201a〜201eに採血管200が挿入されているか否かを識別するためのバーコードラベル(容器有無情報)204a〜204e(図示は204dのみ)が、予め付されている。バーコードラベル204a〜204eは、例えば、縦30mm、横8mmの長方形状である。
【0007】
ベルトコンベア30は、2個の円柱形状のローラ31と、2個のローラ31間に掛け回された搬送ベルト32とを有する。これにより、搬送ベルト32が、モータ等の駆動手段(図示せず)によっていずれかのローラ31が駆動することにより、循環して移動する。このとき、ベルトコンベア30は、上側になっている搬送ベルト32がY方向(列方向)に移動するように、検体処理システム101において配置される。なお、搬送ベルト32のX方向(行方向)の長さは、ラック201の横幅Xと同じになっている。
このようなベルトコンベア30によれば、上側になっている搬送ベルト32の上面に、ラック201のX方向がY方向と垂直となるように、ラック201が検査員によって載置されることにより、ラック201がY方向に移動していくことになる。
また、ベルトコンベア30のY方向における中央部には、第一設定ポジションP1が設定されており、搬送してきたラック201を第一設定ポジションP1で停止させるために、X方向に伸びた停止板33が形成されている。
【0008】
バーコードリーダ50は、設定範囲の光を−Y方向(列方向と反対方向)に出射するものである。設定範囲は、例えば、長方形状であり、1度に1個のバーコード200a、203、204a〜204eを読み出すことができる。
行方向搬送機構40は、直方体形状の筐体42と、2本の棒部41と、X方向(行方向)に伸びるレール部43とを有する。筐体42は、レール部43に沿ってX方向に移動することが可能となっており、第一設定位置から第六設定位置まで段階的に1個の採血管200の横幅分ずつ移動することができ、さらに第六設定位置から第七設定位置まで移動することができるようになっている。また、2本の棒部41は、Y方向に移動可能となるように、筐体42の内部に取り付けられている。これにより、2本の棒部41が、筐体42の内部から飛び出した突出状態(図9(b)及び図9(c)参照)と、筐体42の内部に収納された収納状態(図9(a)参照)とのいずれかの状態となる。
なお、バーコードリーダ50が、筐体42の上に取り付けられている。これにより、バーコードリーダ50も、筐体42が移動すればX方向に段階的に移動することになる。
【0009】
このような行方向搬送機構40によれば、第一設定ポジションP1に1個のラック201が搬送されてきた場合に、収納状態の筐体42が第一設定位置に配置されれば、バーコードリーダ50がラック201のバーコードラベル203の前に配置されるようになっている(図9(a)参照)。また、収納状態の筐体42が、第二設定位置に移動されれば、バーコードリーダ50が第一穴部201aの採血管200のバーコードシール200aの前に配置されるようになっている。このように筐体42がX方向に第一設定位置から第六設定位置まで段階的に移動していくことで、バーコードリーダ50が穴部201b〜201eの採血管200のバーコードシール200aの前に順に配置されていくようになっている。
また、第一設定ポジションP1に1個のラック201が搬送されてきた場合に、第一設定位置に配置された収納状態の筐体42を突出状態にすれば、ラック201の2個の貫通孔202に2本の棒部41が挿入されるようになっている(図9(b)参照)。そして、突出状態の筐体42が第七設定位置に移動すれば、1個のラック201も所定の位置(カルーセル70)に移動する(図9(c)参照)。その後、第七設定位置に配置された突出状態の筐体42を収納状態にすれば、ラック201の2個の貫通孔202から2本の棒部41が外れる。つまり、ラック201がカルーセル70の所定の位置に搬送されることになる。
【0010】
カルーセル70は、中心部72aと周縁部72bとを有する円板状テーブル72と、円板状テーブル72を回転させる駆動機構(図示せず)と、10個の保持部71a〜71jとを備える。
カルーセル70の周縁部72bには反時計周りに順番に並ぶように、第一保持部71a〜第十保持部71jが形成されている。各保持部71a〜71jは、平面視でコの字形状で所定の高さ(例えば50mm)となる壁面93を備える。そして、壁面93のコの字形状の開放口部分が円板状テーブル72の側方(−B方向)となるように配置されている。つまり、1個のラック201を1個の保持部71a〜71jの壁面93に当接するように配置することができ、その結果、10個のラック201が反時計周りに並ぶように、カルーセル70に保持されるようになっている。
【0011】
そして、カルーセル70は、駆動機構によって中心部72を軸として時計周りや反時計周りで回転することが可能となっており、第一設定位置から第十設定位置まで段階的に36°ずつ矢印A方向に回転移動することができるようになっている。
このようなカルーセル70によれば、行方向搬送機構40の第七設定位置に1個のラック201が搬送される際に、カルーセル70の第一保持部71aを第七設定位置と一致するように配置させておけば、ラック201が矢印B方向から挿入されることで第一保持部71aに保持される。また、行方向搬送機構40の第七設定位置に次の1個のラック201が搬送される際に、カルーセル70の第二保持部71bを第七設定位置と一致するように配置させておけば、次のラック201が矢印B方向から挿入されることで第二保持部71bに保持される。このように10個のラック201が各保持部71a〜71jに保持されていくようになっている。つまり、50個の採血管200がカルーセル70に保持される。このとき、採血管200のバーコードシール200aが保持前に読み出されているので、カルーセル70の各位置に保持された採血管200がどの検査内容A、B、・・・を実行しなければならないことがコンピュータ180には把握されている。よって、コンピュータ180はカルーセル70を回転させることで所定の採血管200を、プローブ(検体検査装置60)の回転軌跡であるピペット操作場所PSライン上に次々と移動させながら、50個の採血管200に収容された検体を分析していくことができる。
【0012】
コンピュータ180は、CPUとメモリとを備える。また、CPUが処理する機能をブロック化して説明すると、検査内容決定部181と検査内容実行部82とを有する。
検査内容決定部181は、バーコードリーダ50で読み出されたバーコードラベル203、204a〜204eとバーコードシール200aとに基づいて、検体検査装置60でどの検体にどの検査内容を実行するかを決定する制御を行う。
例えば、第一設定ポジションP1に1個のラック201が搬送されてきた場合に、バーコードラベル203を読み出すことにより、どのラック201であるかを把握して、バーコードラベル204a〜204e或いはバーコードシール200aのいずれかを読み出すことにより、各穴部201a〜201eの採血管200に実行する検査内容A、B、・・・を把握する。そして、コンピュータ180は、行方向搬送機構40とカルーセル70とを制御しながら、カルーセル70の各保持部71a〜71jにラック201を搬送させながら、どのラック201がどの保持部71a〜71jに搬送されたかを把握する。
【0013】
検査内容実行部82は、検査内容決定部181で決定された検査内容に基づいて、検体検査装置60で検体を分析する制御を行う。
例えば、カルーセル70の保持された50個の採血管200のうちで所定の採血管200をピペット操作場所PSライン上に移動させながら、例えば、カルーセル70を回転させることで、第一保持部71aのラック201の第一穴部201aの採血管200をピペット操作場所PSライン上に移動させ、第一穴部201aの採血管200には、検査内容Aを実行し、その後、カルーセル70を回転させることで、第二保持部71bの第二穴部201bの採血管200をピペット操作場所PSライン上に移動させ、第二穴部201bの採血管200には、検査内容Bを実行していく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平10−019899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上述した検体処理システム101では、各採血管200において、正確な検査内容A、B、・・・を実行できていないことがあった。つまり、ベルトコンベア30の搬送ベルト32の上面には、多数のラック201がY方向(列方向)に並んでいる。そして、第一設定ポジションP1に1個のラック201が配置されるが、第一設定ポジションP1から−Y方向に1個のラック201の縦幅分ずれた次のポジションにも、次のラック201が配置されている。また、検査員によってラック201の各穴部201a〜201eに採血管200が挿入される際に、採血管200のバーコードシール200aがY方向を向くように挿入されることになっているが、採血管200のバーコードシール200aがY方向(前方)を向かず横に向いている場合がある。このようなときに、バーコードリーダ50が、光を−Y方向に出射すると、第一設定ポジションP1の採血管200の側壁を光が透過して、次のポジションの採血管200のバーコードシール200aを読み出してしまうことがあった。よって、ある採血管200には、次のポジションの採血管200に実行しなければならない検査内容が実行されていた。
そこで、本発明は、検体を正確な検査内容で確実に分析することができる検体分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するためになされた本発明の検体分析装置は、検体を収容するとともに、容器識別情報が付された透明な容器と、複数個の容器が行方向に並ぶように複数個の容器を保持するとともに、ラック識別情報が付されたラックと、前記ラックの行方向が列方向と垂直となり、複数個のラックが列方向に並ぶように載置されることにより、複数個のラックを列方向に移動させていくことで、第一設定ポジションに1個のラックを搬送する列方向搬送機構と、前記第一設定ポジションに搬送された1個のラックを行方向に移動させることで、検査装置に搬送する行方向搬送機構と、前記第一設定ポジションに搬送されたラックのラック識別情報と、前記第一設定ポジションに搬送されたラックに保持された複数個の容器の容器識別情報とを列方向と反対方向から光を出射することで読み出す読出部と、前記読出部で読み出されたラック識別情報及び容器識別情報に基づいて、前記検査装置で検体を分析する検査内容を決定する制御部とを備える検体分析装置であって、前記読出部は、前記第一設定ポジションに搬送されたラックに保持された複数個の容器の容器識別情報を列方向と反対方向から光を出射することで読み出した後、前記行方向搬送機構は、前記第一設定ポジションに搬送された1個のラックを行方向に移動させることで、前記第一設定ポジションから行方向にずれた第二設定ポジションに1個のラックを搬送し、前記読出部は、前記第二設定ポジションに搬送されたラックに保持された複数個の容器の容器識別情報を列方向と反対方向から光を出射することで読み出し、前記制御部は、前記第一設定ポジションで読み出された容器識別情報と、前記第二設定ポジションで読み出された容器識別情報とが同じであるか否かを判定するようにしている。
【0017】
本発明の検体分析装置によれば、まず、読出部は、第一設定ポジションに搬送されたラックに保持された容器の容器識別情報を列方向と反対方向から光を出射することで読み出す。このとき、第一設定ポジションのラックの第一穴部の後方には、次のポジションのラックの第一穴部が配置されることになる。つまり、第一設定ポジションのラックの第一穴部の容器の容器識別情報を読み出せないときには、次のポジションのラックの第一穴部の容器の容器識別情報を読み出す。
次に、行方向搬送機構は、第一設定ポジションに搬送された1個のラックを行方向に移動させることで、第一設定ポジションから行方向にずれた第二設定ポジションに搬送する。例えば、第二設定ポジションは、第一設定ポジションから行方向に1個の容器分ずれた位置である。
次に、読出部は、第二設定ポジションに搬送されたラックに保持された複数個の容器の容器識別情報を列方向と反対方向から光を出射することで読み出す。このとき、第一ラックの第一穴部の後方には、第二ラックの第二穴部が配置されることになる。つまり、第一設定ポジションのラックの第一穴部の容器の容器識別情報を読み出せないときには、次のポジションのラックの第二穴部の容器の容器識別情報を読み出す。
【0018】
最後に、制御部は、第一設定ポジションで読み出された容器識別情報と、第二設定ポジションで読み出された容器識別情報とが同じであるか否かを判定する。例えば、ラックの第一穴部の容器の容器識別情報を読み出せるときには、第一設定ポジションで読み出された容器識別情報が目的のラックの第一穴部の容器の容器識別情報となり、第二設定ポジションで読み出された容器識別情報も目的のラックの第一穴部の容器の容器識別情報となるので、同じであると判定して、すなわち目的のラックの第一穴部の容器の容器識別情報を読み出せると判定する。
一方、目的のラックの第一穴部の容器の容器識別情報を読み出せないときには、第一設定ポジションで読み出された容器識別情報が次のポジションのラックの第一穴部の容器の容器識別情報となり、第二設定ポジションで読み出された容器識別情報が、次のポジションのラックの第二穴部の容器の容器識別情報となるので、同じでないと判定して、すなわち目的のラックの第一穴部の容器の容器識別情報を読み出せていないと判定する。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の検体分析装置によれば、検体を正確な検査内容で確実に分析することができる。
【0020】
(その他の課題を解決するための手段及び効果)
また、本発明の検体分析装置は、前記第二設定ポジションは、前記第一設定ポジションから行方向に1個の容器分ずれた位置であるようにしてもよい。
本発明の検体分析装置によれば、装置の大きさを従来の装置と比べて、行方向に1個の容器の横幅分だけ大きくするだけでよくなる。
また、本発明の検体分析装置は、前記ラック識別情報及び容器識別情報は、バーコードであり、前記読出部は、バーコードリーダであるようにしてもよい。
【0021】
また、本発明の検体分析装置は、前記バーコードリーダは、設定範囲となる光を出射し、前記設定範囲は、1個のバーコードを読み出すものであるようにしてもよい。
また、本発明の検体分析装置は、前記制御部は、前記第一設定ポジションで読み出された容器識別情報と、前記第二設定ポジションで読み出された容器識別情報とが同じであると判定したときには、検査内容を実行し、一方、同じでないと判定したときには、検査内容を実行しないようにしてもよい。
そして、本発明の検体分析装置は、前記制御部は、前記第一設定ポジションで読み出された容器識別情報と、前記第二設定ポジションで読み出された容器識別情報とが同じであると判定したときには、前記検査装置にラックを搬送させ、一方、同じでないと判定したときには、警告を実行するようにしてもよい。
【0022】
さらに、本発明の検体分析装置は、前記ラックは、前記採血管が挿入されているか否かを識別するための容器有無情報が付されており、前記制御部は、前記容器有無情報を読み出すか、或いは、前記第二設定ポジションで、前記容器有無情報を読み出したときには、検査内容を実行しないようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1a】本発明に係る検体処理システムの一例を示す平面図である。
【図1b】本発明に係る検体処理システムの一例を示す平面図である。
【図2a】図1aに示す検体処理システムの一部の斜視図である。
【図2b】図1bに示す検体処理システムの一部の斜視図である。
【図2c】図2aに示すAの拡大図である。
【図2d】図2bに示すBの拡大図である。
【図3】採血管の一例を示す斜視図である。
【図4】ラックの一例を示す斜視図である。
【図5】カルーセルの一例を示す平面図である。
【図6a】搬送方法について説明するためのフローチャートである。
【図6b】搬送方法について説明するためのフローチャートである。
【図7】検体処理システムの一例を示す平面図である。
【図8】図7に示す検体処理システムの一部の斜視図である。
【図9】行方向搬送機構の一例を示す平面図である。
【図10】行方向搬送機構の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
【0025】
図1は、本発明に係る検体処理システムの一例を示す平面図であり、図2は、本発明に係る検体処理システムの一部の斜視図である。なお、図1a及び図2aは、ラックが第一設定ポジションに搬送されたときの図であり、図1b及び図2bは、ラックが第二設定ポジションに搬送されたときの図である。また、図2cは、図2aに示すAの拡大図であり、図2dは、図2bに示すBの拡大図である。上述した検体処理システム101と同様のものについては、同じ符号を付している。
検体処理システム1は、5個の採血管200を保持するための多数のラック201と、ベルトコンベア30と、検体検査装置60のカルーセル70に搬送する行方向搬送機構40と、バーコードシール200a等を読み出すバーコードリーダ50と、コンピュータ80とを備える。
【0026】
図10は、行方向搬送機構の一例を示す平面図である。行方向搬送機構40は、直方体形状の筐体42と、2本の棒部41と、X方向(行方向)に伸びるレール部43とを有する。筐体42は、レール部43に沿ってX方向に移動することが可能となっており、第一設定位置から第七設定位置まで段階的に1個の採血管200の横幅分ずつ移動することができ、さらに第七設定位置から第八設定位置まで移動することができるようになっている。また、2本の棒部41は、Y方向に移動可能となるように、筐体42の内部に取り付けられている。これにより、2本の棒部41が、筐体42の内部から飛び出した突出状態(図10(b)及び図10(c)参照)と、筐体42の内部に収納された収納状態(図10(a)参照)とのいずれかの状態となる。
なお、バーコードリーダ50が、筐体42の上に取り付けられている。これにより、バーコードリーダ50も、筐体42が移動すればX方向に段階的に移動することになる。
【0027】
このような行方向搬送機構40によれば、図1aに示すように第一設定ポジションP1に1個のラック201が搬送されてきた場合に、収納状態の筐体42が第一設定位置に配置されれば、バーコードリーダ50がラック201のバーコードラベル203の前に配置されるようになっている(図10(a)参照)。また、収納状態の筐体42が、第二設定位置に移動されれば、バーコードリーダ50が第一穴部201aの採血管200のバーコードシール200aの前に配置されるようになっている。このように筐体42がX方向に第一設定位置から第六設定位置まで段階的に移動していくことで、バーコードリーダ50が穴部201b〜201eの採血管200のバーコードシール200aの前に順に配置されていくようになっている。
また、第一設定ポジションP1に1個のラック201が搬送されてきた場合に、第一設定位置に配置された収納状態の筐体42を突出状態にすれば、ラック201の2個の貫通孔202に2本の棒部41が挿入されるようになっている(図10(b)参照)。そして、突出状態の筐体42が第二設定位置に移動すれば、1個のラック201も所定の位置(第二設定ポジションP2)に移動する。その後、第二設定位置に配置された突出状態の筐体42を収納状態にすれば、ラック201の2個の貫通孔202から2本の棒部41が外れる。つまり、ラック201が、図1bに示すように第二設定ポジションP2に搬送されることになる。
【0028】
第二設定ポジションP2に1個のラック201が搬送されてきた場合に、収納状態の筐体42が第三設定位置に配置されれば、バーコードリーダ50が第一穴部201aの採血管200のバーコードシール200aの前に配置されるようになっている。このように筐体42がX方向に第三設定位置から第七設定位置まで段階的に移動していくことで、バーコードリーダ50が穴部201b〜201eの採血管200のバーコードシール200aの前に順に配置されていくようになっている。
また、第二設定ポジションP2に1個のラック201が搬送されてきた場合に、第二設定位置に配置された収納状態の筐体42を突出状態にすれば、ラック201の2個の貫通孔202に2本の棒部41が挿入されるようになっている。そして、突出状態の筐体42が第八設定位置に移動すれば、1個のラック201も所定の位置(カルーセル70)に移動する(図10(c)参照)。その後、第八設定位置に配置された突出状態の筐体42を収納状態にすれば、ラック201の2個の貫通孔202から2本の棒部41が外れる。つまり、ラック201がカルーセル70の所定の位置に搬送されることになる。
【0029】
カルーセル70は、中心部72aと周縁部72bとを有する円板状テーブル72と、円板状テーブル72を回転させる駆動機構(図示せず)と、10個の保持部71a〜71jとを備える。
カルーセル70の周縁部72bには反時計周りに順番に並ぶように、第一保持部71a〜第十保持部71jが形成されている。各保持部71a〜71jは、平面視でコの字形状で所定の高さの壁面93を有する。そして、壁面93のコの字形状の開放口部分が円板状テーブル72の側方(−B方向)となるように配置されている。つまり、1個のラック201を1個の保持部71a〜71jの壁面93に当接するように配置することができ、その結果、10個のラック201が反時計周りに並ぶように、カルーセル70に保持されるようになっている。
【0030】
そして、カルーセル70は、中心部72を軸として時計周りや反時計周りで回転することが可能となっており、第一設定位置から第十設定位置まで段階的に36°ずつ矢印A方向に移動することができるようになっている。
このようなカルーセル70によれば、行方向搬送機構40の第八設定位置に1個のラック201が搬送される際に、カルーセル70の第一保持部71aを第八設定位置と一致するように配置させておけば、ラック201が矢印B方向から挿入されることで第一保持部71aに保持される。また、行方向搬送機構40の第八設定位置に次の1個のラック201が搬送される際に、カルーセル70の第二保持部71bを第八設定位置と一致するように配置させておけば、次のラック201が矢印B方向から挿入されることで第二保持部71bに保持される。このように10個のラック201が各保持部71a〜71jに保持されていくようになっている。つまり、50個の採血管200がカルーセル70に保持される。このとき、採血管200のバーコードシール200aが保持前に読み出されているので、カルーセル70の各位置に保持された採血管200がどの検査内容A、B、・・・を実行しなければならないことがコンピュータ80には把握されている。よって、コンピュータ80はカルーセル70を回転させることで所定の採血管200をピペット操作場所PSライン上に次々と移動させながら、50個の採血管200に収容された検体を分析していくことができる。
【0031】
コンピュータ80は、CPUとメモリとを備える。また、CPUが処理する機能をブロック化して説明すると、検査内容決定部81と検査内容実行部82とを有する。
検査内容決定部81は、バーコードリーダ50で読み出されたバーコードラベル203、204a〜204eとバーコードシール200aとに基づいて、検体検査装置60のカルーセル70にラック201を搬送させるか否かを判定するとともに、検体検査装置60のカルーセル70にラック201を搬送させた場合には、検体検査装置60でどの検体にどの検査内容を実行するかを決定する制御を行う。
例えば、第一設定ポジションP1に1個のラック201が搬送されてきた場合に、バーコードラベル203を読み出すことにより、どのラック203であるかを把握して、バーコードラベル204a〜204e或いはバーコードシール200aのいずれかを読み出す。また、第二設定ポジションP2に1個のラック201を搬送した場合に、バーコードラベル204a〜204e或いはバーコードシール200aのいずれかを読み出す。
【0032】
その後、5個の各採血管200において、第一設定ポジションP1で読み出されたバーコードシール200aと、第二設定ポジションP2で読み出されたバーコードシール200aとが同じであると判定したときには、各穴部201a〜201eの採血管200に実行する検査内容A、B、・・・を決定する。そして、コンピュータ80は、行方向搬送機構40とカルーセル70とを制御しながら、カルーセル70の各保持部71a〜71jにラック201を搬送させながら、どのラック201がどの保持部71a〜71jに搬送されたかを把握する。このとき、コンピュータ80は、第一設定ポジションP1で、ある穴部201a〜201eでバーコードラベル204a〜204eを読み出すか、或いは、第二設定ポジションP2で、ある穴部201a〜201eでバーコードラベル204a〜204eを読み出したときには、バーコードラベル204a〜204eを読み出した穴部201a〜201eにおいて、採血管200が配置されていないため検査内容を実行しない。
一方、5個の各採血管200において1個の採血管200で、第一設定ポジションP1で読み出されたバーコードシール200aと、第二設定ポジションP2で読み出されたバーコードシール200aとが同じでないと判定したときには、警告を実行する。これにより、検査員は、目的のラック201のどこかの穴部201a〜201eの採血管200のバーコードシール200aを読み出せないことを認識することができる。
【0033】
ここで、検体処理システム1によるラック201を搬送する搬送方法について説明する。図6は、搬送方法について説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS101の処理において、ラック201を搬送すべき位置が第一保持部71aであることを示すN=1とする。
次に、ステップS102の処理において、ベルトコンベア30が複数のラック201をY方向に(列方向)に移動させることで、1個のラック201を第一設定ポジションP1に搬送する。
次に、ステップS103の処理において、検査内容決定部81は、収納状態の筐体42を第一設定位置に配置する。
【0034】
次に、ステップS104の処理において、検査内容決定部81は、行方向搬送機構40を第一設定位置から第六設定位置まで段階的に1個の採血管200の横幅分ずつX方向(行方向)に移動させながら、バーコードリーダ50が、バーコードラベル203、204a〜204eとバーコードシール200aとを順番に読み出していく。
次に、ステップS105の処理において、検査内容決定部81は、収納状態の筐体42を第一設定位置に配置する。
次に、ステップS106の処理において、検査内容決定部81は、収納状態の筐体42を突出状態とし、行方向搬送機構40を第一設定位置から第二設定位置まで移動させ、突出状態の筐体42を収納状態とする。つまり、1個のラック201をX方向(行方向)に移動させることで第二設定ポジションP2に搬送する。
【0035】
次に、ステップS107の処理において、検査内容決定部81は、収納状態の筐体42を第三設定位置に配置する。
次に、ステップS108の処理において、検査内容決定部81は、行方向搬送機構40を第三設定位置から第七設定位置まで段階的に1個の採血管200の横幅分ずつX方向(行方向)に移動させながら、バーコードリーダ50が、バーコードラベル204a〜204eとバーコードシール200aとを順番に読み出していく。
次に、ステップS109の処理において、検査内容決定部81は、第一設定ポジションP1で読み出されたバーコードシール200aと、第二設定ポジションP2で読み出されたバーコードシール200aとが同じであるか否かを判定する。少なくとも1個の採血管200のバーコードシール200aが同じでないと判定したときには、ステップS110の処理において、警告を実行する。
【0036】
一方、5個の採血管200のバーコードシール200aが同じであると判定したときには、ステップS111の処理において、検査内容決定部81は、収納状態の筐体42を第二設定位置に配置する。
次に、ステップS112の処理において、検査内容決定部81は、収納状態の筐体42を突出状態とし、行方向搬送機構40を第二設定位置から第八設定位置まで移動させ、突出状態の筐体42を収納状態とする。つまり、ラック201をX方向(行方向)に移動させることでカルーセル70の第N保持部71に搬送する。
次に、ステップS113の処理において、N=10であるか否かを判定する。N=10でないと判定したときには、ステップS114の処理において、N=N+1とするとともにカルーセル70を一段階、回転移動させて、ステップS102の処理に戻る。
【0037】
一方、N=10であると判定したときには、ステップS115の処理において、検査内容実行部82は、カルーセル70で所定の採血管200をピペット操作場所PSライン上に次々と移動させながら、50個の採血管200に収容された検体を分析していく。
次に、検査を終了するか否かを判定する。検査を終了しないと判定したときには、ステップS101の処理に戻る。
一方、検査を終了すると判定したとき、或いは、ステップS110の処理において警告を実行した際には、本フローチャートを終了させる。
【0038】
以上のように、本発明の検体処理システム1によれば、検体を正確な検査内容で確実に分析することができる。
【0039】
(他の実施形態)
上述した検体処理システム1において、検査内容決定部81は、5個の各採血管200において1個の採血管200で、第一設定ポジションP1で読み出されたバーコードシール200aと、第二設定ポジションP2で読み出されたバーコードシール200aとが同じでないと判定したときには、警告を実行する構成としたが、検査内容決定部81は、第一設定ポジションP1で読み出されたバーコードシール200aと、第二設定ポジションP2で読み出されたバーコードシール200aとが同じでないと判定したときにも、カルーセルの第N保持部に搬送させるが、検査内容実行部82が該当する採血管200に収容された検体を分析しないような構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、臨床検査において患者から採取された血液や尿等の検体を分析するための検体分析装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1、101: 検体分析装置
30: ベルトコンベア(列方向搬送機構)
40: 行方向搬送機構
50: バーコードリーダ(読出部)
60: 分析検査装置
200: 採血管(容器)
200a: バーコードシール(容器識別情報)
203: バーコードラベル(ラック識別情報)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を収容するとともに、容器識別情報が付された透明な容器と、
複数個の容器が行方向に並ぶように複数個の容器を保持するとともに、ラック識別情報が付されたラックと、
前記ラックの行方向が列方向と垂直となり、複数個のラックが列方向に並ぶように載置されることにより、複数個のラックを列方向に移動させていくことで、第一設定ポジションに1個のラックを搬送する列方向搬送機構と、
前記第一設定ポジションに搬送された1個のラックを行方向に移動させることで、検査装置に搬送する行方向搬送機構と、
前記第一設定ポジションに搬送されたラックのラック識別情報と、前記第一設定ポジションに搬送されたラックに保持された複数個の容器の容器識別情報とを列方向と反対方向から光を出射することで読み出す読出部と、
前記読出部で読み出されたラック識別情報及び容器識別情報に基づいて、前記検査装置で検体を分析する検査内容を決定する制御部とを備える検体分析装置であって、
前記読出部は、前記第一設定ポジションに搬送されたラックに保持された複数個の容器の容器識別情報を列方向と反対方向から光を出射することで読み出した後、
前記行方向搬送機構は、前記第一設定ポジションに搬送された1個のラックを行方向に移動させることで、前記第一設定ポジションから行方向にずれた第二設定ポジションに1個のラックを搬送し、
前記読出部は、前記第二設定ポジションに搬送されたラックに保持された複数個の容器の容器識別情報を列方向と反対方向から光を出射することで読み出し、
前記制御部は、前記第一設定ポジションで読み出された容器識別情報と、前記第二設定ポジションで読み出された容器識別情報とが同じであるか否かを判定することを特徴とする検体分析装置。
【請求項2】
前記第二設定ポジションは、前記第一設定ポジションから行方向に1個の容器分ずれた位置であることを特徴とする請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項3】
前記ラック識別情報及び容器識別情報は、バーコードであり、
前記読出部は、バーコードリーダであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記バーコードリーダは、設定範囲となる光を出射し、
前記設定範囲は、1個のバーコードを読み出すものであることを特徴とする請求項3に記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第一設定ポジションで読み出された容器識別情報と、前記第二設定ポジションで読み出された容器識別情報とが同じであると判定したときには、検査内容を実行し、一方、同じでないと判定したときには、検査内容を実行しないことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第一設定ポジションで読み出された容器識別情報と、前記第二設定ポジションで読み出された容器識別情報とが同じであると判定したときには、前記検査装置にラックを搬送させ、
一方、同じでないと判定したときには、警告を実行することを特徴とする請求項1〜請求項4に記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記ラックは、前記採血管が挿入されているか否かを識別するための容器有無情報が付されており、
前記制御部は、前記第一設定ポジションで、前記容器有無情報を読み出すか、或いは、前記第二設定ポジションで、前記容器有無情報を読み出したときには、検査内容を実行しないことを特徴とする請求項1〜請求項6に記載の検体分析装置。
【請求項1】
検体を収容するとともに、容器識別情報が付された透明な容器と、
複数個の容器が行方向に並ぶように複数個の容器を保持するとともに、ラック識別情報が付されたラックと、
前記ラックの行方向が列方向と垂直となり、複数個のラックが列方向に並ぶように載置されることにより、複数個のラックを列方向に移動させていくことで、第一設定ポジションに1個のラックを搬送する列方向搬送機構と、
前記第一設定ポジションに搬送された1個のラックを行方向に移動させることで、検査装置に搬送する行方向搬送機構と、
前記第一設定ポジションに搬送されたラックのラック識別情報と、前記第一設定ポジションに搬送されたラックに保持された複数個の容器の容器識別情報とを列方向と反対方向から光を出射することで読み出す読出部と、
前記読出部で読み出されたラック識別情報及び容器識別情報に基づいて、前記検査装置で検体を分析する検査内容を決定する制御部とを備える検体分析装置であって、
前記読出部は、前記第一設定ポジションに搬送されたラックに保持された複数個の容器の容器識別情報を列方向と反対方向から光を出射することで読み出した後、
前記行方向搬送機構は、前記第一設定ポジションに搬送された1個のラックを行方向に移動させることで、前記第一設定ポジションから行方向にずれた第二設定ポジションに1個のラックを搬送し、
前記読出部は、前記第二設定ポジションに搬送されたラックに保持された複数個の容器の容器識別情報を列方向と反対方向から光を出射することで読み出し、
前記制御部は、前記第一設定ポジションで読み出された容器識別情報と、前記第二設定ポジションで読み出された容器識別情報とが同じであるか否かを判定することを特徴とする検体分析装置。
【請求項2】
前記第二設定ポジションは、前記第一設定ポジションから行方向に1個の容器分ずれた位置であることを特徴とする請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項3】
前記ラック識別情報及び容器識別情報は、バーコードであり、
前記読出部は、バーコードリーダであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記バーコードリーダは、設定範囲となる光を出射し、
前記設定範囲は、1個のバーコードを読み出すものであることを特徴とする請求項3に記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第一設定ポジションで読み出された容器識別情報と、前記第二設定ポジションで読み出された容器識別情報とが同じであると判定したときには、検査内容を実行し、一方、同じでないと判定したときには、検査内容を実行しないことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第一設定ポジションで読み出された容器識別情報と、前記第二設定ポジションで読み出された容器識別情報とが同じであると判定したときには、前記検査装置にラックを搬送させ、
一方、同じでないと判定したときには、警告を実行することを特徴とする請求項1〜請求項4に記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記ラックは、前記採血管が挿入されているか否かを識別するための容器有無情報が付されており、
前記制御部は、前記第一設定ポジションで、前記容器有無情報を読み出すか、或いは、前記第二設定ポジションで、前記容器有無情報を読み出したときには、検査内容を実行しないことを特徴とする請求項1〜請求項6に記載の検体分析装置。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2c】
【図2d】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2c】
【図2d】
【公開番号】特開2011−185893(P2011−185893A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54167(P2010−54167)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
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