説明

検像装置及びプログラム

【課題】医用画像の検像に際して行われてきたこれまでの修正を全体的に把握することができる技術を提供する。
【解決手段】医用画像及び当該医用画像に付帯する付帯情報を修正すると、前記修正に関する修正情報を修正履歴データベースに蓄積する。履歴データベースをもとに、蓄積された修正情報を所定の情報項目毎に集計し、さらには集計結果に基づき集表又はグラフ形式に加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像及び医用画像に付帯する付帯情報を修正する検像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、X線CT装置、超音波診断装置、磁気共鳴画像装置、核医学診断装置等の画像診断装置で撮影された医用画像のフィルムレスが進み、医用画像は、モニタに表示されて診断に供するようになってきた。フィルムレス化によって、医用画像をもとに的確な読影、診断、治療をするには、一度の検査で作成した多数の医用画像の順番を並び替えたり、濃度等の画質調整をしたりする医用画像の修正が重要である。
【0003】
医用画像は、読影時、診断時、治療時と時と場所を変えて何度も閲覧される場合が多い。医用画像は、画像診断装置で撮影された医用画像を蓄積する画像サーバから取得する。画像サーバから取得して閲覧する度に医用画像を修正することは効率的ではないため、医用画像を撮影すると、まず医用画像を検像して、修正済みの医用画像を画像サーバに蓄積する。画像診断装置や画像サーバが接続するネットワークには、医用画像を検像する検像装置が設置され、画像診断装置が医用画像を撮影すると、まず検像装置に送信される。
【0004】
検像装置では、医用画像及び該医用画像に付帯する付帯情報を表示して、その内容を修正する(例えば、「特許文献1」、「特許文献2」参照。)。付帯情報は、検査技師等がキーボードやマウス等の入力装置を用いて手入力するため、誤入力が発生し易い。また、医用画像の並び替えによって医用画像を識別する属性も変更する必要があるため、医用画像の並び替えに伴って、この付帯情報の修正も必要となる。
【0005】
医用画像の順番並び替え、画質調整、付帯情報の誤入力等の行為は、極力減らしていくように改善することが望ましい。改善の結果は、検像の労力軽減という結果ももたらす。改善には、これまで行われてきた検像によって、どのような修正が行われたかを全体的に把握し、その修正傾向を知ることが重要である。例えば、どの画像診断装置で順番並び替えや画質調整が多く発生し、どの技師が誤入力を多く発生させているか等の修正傾向がつかめれば、その対策をとりやすい。従って、検像装置で行われてきた修正を全体的に把握できる技術が要望されている。
【0006】
尚、医用画像が修正されると、その修正内容を修正対象となった医用画像に付帯情報として付帯させる技術は提示されている。この技術によると、修正対象となった医用画像を基準として、その医用画像についての修正傾向をつかむことはできる。しかし、検像装置で行われてきたこれまでの修正内容は、各医用画像とともに飛散してしまうため、行われてきた修正の傾向を全体的に把握することは困難である。
【0007】
【特許文献1】特開2004−167087号公報
【特許文献2】特開2004−171386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、医用画像の検像に際して行われてきたこれまでの修正を全体的に把握することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、画像診断装置が撮影した医用画像及び当該医用画像に付帯する付帯情報を検像する検像装置であって、前記医用画像又は前記付帯情報を修正する修正部と、前記修正に関する修正情報を蓄積する修正履歴データベースと、を備えること、を特徴とする。
【0010】
また、履歴データベースをもとに前記蓄積された修正情報を所定の情報項目毎に集計する集計部をさらに備えるようにしてもよい(請求項2記載の発明に相当。)
また、集計部の集計結果に基づき、集計結果を表又はグラフ形式に加工する図示化部をさらに備えるようにしてもよい(請求項7記載の発明に相当。)。
【発明の効果】
【0011】
本発明の検像装置は、医用画像の修正に関する修正情報を修正履歴データベースに蓄積するようにした。又は、この修正履歴データベースをもとに修正情報を集計するようにし、さらには集計結果を図示化するようにした。これにより、検像装置で行われてきたこれまでの修正を全体的に把握できる。これまでの修正を全体的に把握できることで、全体的な修正傾向を容易につかむことができ、医用画像の順番並び替え、画質調整、付帯情報の誤入力等の修正の必要を効果的に低減できる。また、修正の必要を低減することで、検像の負担を軽減することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る検像装置の好適な実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0013】
図1は、本実施形態の検像装置が接続されるネットワークを示す図である。図1に示すように、ネットワークNには、被検体内を撮影して医用画像Pを作成する画像診断装置200と、医用画像Pを検像する検像装置100と、医用画像Pを蓄積しておく画像サーバ300とが接続されている。画像診断装置200は、X線CT装置、X線診断装置、超音波診断装置、磁気共鳴画像装置、核医学診断装置等である。
【0014】
検像は、医用画像P及びこれに付帯する付帯情報Ifの内容を検査し、必要に応じて適正な内容に修正することをいう。医用画像P及び付帯情報Ifを表示させて操作者が表示内容を検査した後に操作者の入力に応じて修正することの他、検査及び修正を自動的に行うことが含まれる。
【0015】
ネットワークNは、病院内ネットワーク若しくは病院を含む病院関連施設間をつなぐ広域ネットワークであり、電子データの伝送が可能な電子通信回線である。例えばネットワークNには、電話回線網、ISDN、FDDI、専用線、移動体通信網、通信衛星回線、CATV、LAN等、又はこれらの複合が採用される。
【0016】
このネットワークNでは、画像診断装置200は、医用画像Pを検像装置100に送信する。医用画像Pには、付帯情報Ifが付帯し、共に検像装置100に送信する。検像装置100は、医用画像P及び付帯情報Ifを表示し、医師や検査技師等の操作者の検像に供し、操作者の操作に応じた修正を施してから、画像サーバ300に送信する。画像サーバ300は、受信した医用画像P及びこれに付帯する付帯情報Ifを蓄積しておく。
【0017】
検像装置100による修正は、医用画像Pの画質調整、医用画像Pに付帯する付帯情報Ifの修正である。付帯情報Ifは、医用画像の属性を示す情報であり、撮影条件の情報、医用画像Pを作成した画像診断装置200の情報、医用画像Pの情報主体たる被検体の情報、医用画像Pの内容を示す情報等である。医用画像Pには、これら各種の付帯情報Ifが付帯する。
【0018】
検像装置100は、医用画像Pとその付帯情報Ifを表示し、操作者の操作に応じて医用画像P又は付帯情報Ifを修正する。検像装置100は、修正に伴い、その修正に関する情報を修正情報Isとして修正履歴データベースDsに蓄積しておく。修正履歴データベースDsへの修正情報Isの蓄積によって、検像装置100は、ネットワークN全体を基準としたこれまでの修正履歴の参照や修正履歴の集計や集計結果の図示化をする。これにより、ネットワークN全体におけるこれまでの修正について、統計的な修正傾向を把握できる。
【0019】
図2は、この検像装置100のハードウェア構成を示す構成図である。図2に示すように、検像装置100は、ワークステーション等のコンピュータであり、演算制御部(CPU)101、外部記憶部(HDD)102、主記憶部(RAM)103を備える。
【0020】
演算制御部101の制御の下に、検像のプログラムが記憶された外部記憶部102から当該プログラムが適宜読み出され、読み出されたプログラムが主記憶部103をワークエリアとして展開される。演算制御部101は、展開されたプログラムを解読及び実行することにより演算及び装置の制御を行い、検像機能を実現する。演算制御部101の演算結果は、主記憶部103に一時的に記憶され、以降に読み出されるプログラムの情報処理の際に利用される。
【0021】
また、この検像装置100は、表示部104と通信インターフェース106とプリンタインターフェース107と入力部105とを備える。表示部104と入力部105は、図示しないコントローラを介して接続される。
【0022】
表示部104は、液晶ディスプレイやCRT等のモニタであり、演算制御部101の制御により医用画像Pとその付帯情報Ifを表示する。プリンタインターフェース107は、演算制御部101の制御により、検像装置100に接続されたプリンタ110に画像を出力させる。出力させる画像は、修正履歴データベースDsの内容、集計結果、若しくは図示化結果である。
【0023】
通信インターフェース106は、ネットワークNを介して医用画像Pの送受信を行う。受信した医用画像Pは、主記憶部103若しくは外部記憶部102に一時的に記憶される。
【0024】
入力部105は、マウスやキーボード等の入力装置であり、操作者によりコマンドや値等が入力され、このコマンドを演算制御部101に出力する。コマンドの入力又は所定処理の終了をトリガとして演算制御部101は、コマンド又は終了した処理に応じた次のプログラムを読み出し、次の処理の演算又は制御を行う。
【0025】
これら演算制御部101、主記憶部103、外部記憶部102、表示部104、通信インターフェース106、プリンタインターフェース107、入力部105は、共通線であるバスBに接続され、相互に信号の入出力が可能となっている。
【0026】
図3は、この検像装置100のプログラムの解読及び実行により実現される機能を示す機能ブロック図である。
【0027】
操作者により検像装置100が起動されると、操作者が入力部105を用いて自身の操作者名を入力し、ログオンする。主記憶部103には、ログオンメモリ11の記憶領域が確保され、主記憶部103は、ログオンメモリ11として機能する。ログオンメモリ11は、入力部15を用いて入力された操作者名を記憶する。
【0028】
検像装置100の起動後、通信インターフェース106が画像診断装置200から医用画像Pを受信すると、主記憶部103には、画像メモリ12の記憶領域が確保され、主記憶部103は、画像メモリ12として機能する。画像メモリ12は、受信した医用画像Pを記憶する。受信した医用画像Pに付帯する付帯情報Ifも共に記憶する。
【0029】
ここで記憶される付帯情報Ifは、DICOM規格に準拠し、タグと値で構成される。タグは、データ内部で論理的な要素を区切る記号であり、情報種別を示す。値は、対になったタグが示す情報種別の実体であり、文字又は数値である。
【0030】
タグが示す情報種別は、撮影条件の情報として、検査ID、シリーズID、放射線や超音波や内視鏡等の検査内容、検査日時、検査部位等がある。画像診断装置200の情報として、X線CT装置や超音波診断装置等の撮影した装置の種別、撮影した装置の装置名等がある。被検体に関する情報として、被検体氏名、被検体ID、年齢、性別等がある。医用画像Pの内容を示す情報として、画像ID、フレーム数、画素数等がある。
【0031】
操作者が入力部105を用いて検像のプログラムを実行させる検像コマンドを入力すると、演算制御部101は、修正処理部14として機能する。
【0032】
修正処理部14は、画像メモリ12から医用画像P及びこれに付帯する付帯情報Ifを読み出し、表示部104に表示させる。医用画像P及び付帯情報Ifの表示中において、操作者が入力部105を用いて、医用画像Pの画質調整の入力、又は所定の付帯情報Ifの値を修正する入力を行うと、修正処理部14は、表示部104に、画質を変更して医用画像Pを更新表示させ、又は入力された修正値を反映させて付帯情報Ifを更新表示させる。また、主記憶部103に修正内容メモリ15の記憶領域を確保し、主記憶部103を修正内容メモリ15として機能させて修正内容を記憶させる。
【0033】
図4は、修正内容メモリ15を示す図である。修正内容メモリ15は、修正内容として、修正タグ情報Ta、Tb・・・と修正値情報Sa、Sb・・・とをそれぞれ関連づけて記憶する。また、修正内容として、画質調整情報Ipを記憶する。修正タグ情報Ta、Tbは、修正対象の情報種別を示すタグであり、修正値情報Sa、Sb・・・は、入力された修正値である。画像調整情報Ipは、画像調整の内容である。修正内容メモリ15は、医用画像P又はこれに付帯する付帯情報Ifの修正の度に、その修正内容を追加して記憶する。
【0034】
操作者が入力部105を用いて修正の確定コマンドを入力すると、修正処理部14は、実際に医用画像P及び付帯情報Ifのデータ内容を修正する。修正処理部14は、修正内容メモリ15から修正タグ情報Ta及びこれと対になった修正値情報Saを読み出し、修正タグ情報Taに対応するタグで標識される付帯情報Ifの値を修正値情報Saの示す修正値に更新して、画像メモリ12に記憶させる。同様に、修正内容メモリ15に記憶される全ての修正内容についてデータ内容の修正を行い、修正内容メモリ15に記憶された修正タグ情報Tbと修正値情報Sbの修正内容、画像調整情報Ipの調整内容も医用画像P又はこれに付帯する付帯情報Ifに反映する。
【0035】
修正処理部14は、修正処理開始時に図示しないタイマーから現在日時を取得する。主記憶部103に日時メモリ16を確保し、主記憶部103を日時メモリ16として機能させ、現在日時を記憶させる。
【0036】
修正処理が終了すると、演算制御部101は、修正情報取得部17として機能する。
【0037】
修正情報取得部17は、主記憶部103に確保された各種メモリ12、15、16から修正情報Isを取得する。修正情報Isは、修正に関する情報であり、修正した付帯情報の情報種別を示す修正タグ情報Ta、Tb・・・、修正値情報Sa、Sb・・・、画質調整情報Ip、修正日時情報、修正者情報、画像診断装置200の装置種別情報、画像診断装置200の装置名情報等のログインから修正確定までの各種情報である。
【0038】
修正した付帯情報の情報種別、修正値情報、及び画質調整情報Ipは、修正内容メモリ15から取得する。修正日時情報については、日時メモリ16から現在日時を取得する。修正者情報については、ログインメモリ11からログインした操作者の操作者名を取得する。画像診断装置200の装置種別情報及び装置名情報については、画像メモリ12に記憶されている医用画像Pに付帯する付帯情報Ifから取得する。
【0039】
修正情報Isの取得が終了すると、演算制御部101は、修正履歴作成部18として機能する。
【0040】
修正履歴作成部18は、修正情報取得部17が取得した各種修正情報Isを情報項目とする修正履歴データベースDsを作成して、外部記憶部102に記憶させ、当該外部記憶部102を修正履歴データベースDsとして機能させる。既に修正履歴データベースDsが存在する場合は、既に存在する修正履歴データベースDsに修正情報Isを追加する。修正情報Isが蓄積することにより修正情報Isの束が修正履歴となり、データベース化によりその履歴を評価・分析容易とする。
【0041】
図5は、修正履歴作成部18が作成し記憶させた修正履歴データベースDsを示す図である。図5に示すように、修正履歴データベースDsは、修正情報Isを情報項目として検像毎に蓄積する。修正情報Isの情報項目は、修正者情報、修正日時情報、画像診断装置種別情報、画像診断装置機種名情報、修正した付帯情報の修正タグ情報、修正値情報、画質調整情報等、修正情報Isの種類に対応している。
【0042】
この修正履歴データベースDsが作成されることによって、検像装置100で行われてきた各修正を全体的に把握でき、ネットワークNに参加する全画像診断装置200を基準とする個別的な修正傾向や、検像装置100を操作する全操作者を基準とする個別的な修正傾向をつかむことが可能となる。
【0043】
また、操作者が入力部105を用いて集計のプログラムを実行させる集計コマンドを入力すると、演算制御部101は、集計部20として機能する。
【0044】
集計部20は、修正履歴データベースDsを読み出して、所定の情報項目別に集計する。入力部15を用いて入力された情報項目毎に集計する。集計結果は、表示部104に表示させる。操作者が入力部105を用いて紙媒体への出力コマンドを入力すると、プリンタインターフェース107を制御して、集計結果をプリンタ110へ送信させる。
【0045】
図6及び図7は、集計部20が作成した集計結果の一例を示す図である。図6は、修正者別の集計結果を示し、図7は、装置別の集計結果を示す。図6及び図7に示すように、集計は、所定の情報項目を基準として、基準となる情報項目の値毎に、その基準となる情報項目に関連づけられている他の情報項目の値毎の出現数をとる。
【0046】
例えば、図6に示すように、修正者別の集計結果は、修正者名毎に、その修正者が行ってきた修正内容を示す修正タグ情報をその種類毎にカウントする。また、例えば、図7に示すように、装置別の集計結果では、装置種別毎に、その画像診断装置由来の医用画像に対して行われてきた修正数をカウントする。修正数は、関連づけられた修正タグ情報の種別を考慮しない合計数である。
【0047】
集計処理後、操作者が入力部105を用いて図示化コマンドを入力すると、演算制御部101は、図示化部21として機能する。
【0048】
図示化部21は、集計部20が作成した集計結果を読み出して、表やグラフ等に加工する。この図示化の態様は、操作者が入力部105を用いて入力する図示する方法の選択に対応する。作成した図は、表示部104に表示させる。操作者が入力部105を用いて紙媒体への出力コマンドを入力すると、プリンタインターフェース107を制御して、作成した図をプリンタ110へ送信させる。
【0049】
図8及び図9は、図示化部21が作成した図示化の一例を示す図である。図8は修正者別の集計結果を、図9は装置別の集計結果を図示化したものである。
【0050】
例えば、図8に示すように、修正者別の集計結果を、横軸に修正者及び修正内容の別をとり、縦軸に対応する修正回数をとって、棒グラフに図示化する。また、例えば図9に示すように、装置別の修正結果を、円を装置別に修正数の比率に応じた面積に分割した円グラフに図示化する。
【0051】
図10は、この検像装置100の修正履歴データベースDsを作成するフローチャートである。検像装置100は、操作者名が入力されてログインされており、主記憶部103に操作者名が記憶されている。また、画像診断装置200から医用画像Pを受信して、主記憶部103に記憶されている。受信した医用画像P及びこれに付帯する付帯情報Ifを表示している。
【0052】
操作者が入力部105を用いて修正内容を入力すると(S01)、入力された修正内容を主記憶部103に記憶する(S02)。修正対象を特定して修正値を入力すると、修正対象を識別する修正タグ情報と修正値を主記憶部103に記憶する。医用画像Pの画質を調整すると、画質調整情報Ipを主記憶部103に記憶する。
【0053】
操作者が修正の確定を入力しない場合は(S03,No)、修正内容の入力を受け付けて、順次修正内容を主記憶部103に記憶する(S01〜S02)。
【0054】
操作者が修正の確定を入力すると(S03,Yes)、タイマーから現在日時を取得して主記憶部103に記憶する(S04)。さらに、主記憶部103に記憶されている修正内容を順次読み出して(S05)、主記憶部103に記憶された医用画像P又はこれに付帯する付帯情報Ifを順次修正する(S06)。読み出した修正内容が、修正タグ情報と修正値の対であれば、主記憶部103に記憶された医用画像Pの修正タグ情報で識別される付帯情報Ifの値を修正値に修正する。読み出した修正内容が、画質調整情報であれば、主記憶部103に記憶された医用画像Pの画質を調整する。
【0055】
修正が終了すると(S07,Yes)、主記憶部103に記憶されている修正内容と操作者名と修正の確定入力時に取得した日時を取得する(S08)。修正内容と操作者名と日時を取得すると、これらを修正情報Isとして、修正情報Isを構成する情報項目毎に外部記憶部102に記憶された修正履歴データベースDsに追加する(S09)。
【0056】
この修正履歴データベースDsを加工して、操作者の所望する情報項目の値別に他の情報項目を集計することで、修正傾向の集計結果を表示部104に表示し、又はプリンタ110で紙媒体に出力する。さらに集計結果を図示化して表示部104に表示し、又はプリンタ110で紙媒体に出力する。
【0057】
このような本実施形態に係る検像装置100の作用を図11に示す。図11は、検像装置100の作用を示す作用図である。検像装置100は、起動後にログイン入力を求め、操作者により、例えば操作者名「○田×男」が入力される。操作者名「○田×男」は、ログインメモリ11に記憶される。
【0058】
検像装置100は、起動後、医用画像Pを受信すると、当該医用画像Pを画像メモリ12に記憶し、医用画像Pを表示する。また、医用画像Pに付帯する付帯情報Ifを表示する。
【0059】
例えば、付帯情報Ifとして、患者IDタグ、画像IDタグ、装置種別タグ、及び機種名タグで区切られ、患者IDとして「1010」、画像IDとして「0006」、装置種別として「X線CT装置」、機種名として「CT−01」の値が付されていると、これらが表示される。
【0060】
表示中に、操作者が患者IDの修正値「0101」及び画像IDの修正値「0005」が入力されると、この修正値を表示に反映しつつ、修正内容メモリ15に、修正タグ情報「患者IDタグ」と患者IDの修正値「0101」及び修正タグ情報「画像IDタグ」と画像IDの修正値「0005」を記憶させる。
【0061】
操作者が修正を確定する入力をおこなうと、タイマーから現在日時「2006/01/10/15:40:32(2006年1月10日15時40分32秒)」を取得し、日時メモリ16に記憶させ、医用画像Pに付帯する患者IDタグで標識される値を修正値「0101」、画像IDタグで標識される値を修正値「0005」に書き替える。
【0062】
書き換えの修正が終了すると、ログインメモリ11から「○田×男」を取得し、日時メモリ16から「2006/01/10/15:40:32」を取得し、修正内容メモリ15から修正タグ情報「患者IDタグ」と患者IDの修正値「0101」及び修正タグ情報「画像IDタグ」と画像IDの修正値「画像IDタグ」を取得し、画像メモリ12から装置種別情報「X線CT装置」と機種名「CT―01」を取得する。
【0063】
ここでは、既に修正履歴データベースDsが作成されている。この修正履歴データベースDsは、例えば、修正者、修正日時、装置種別、機種名、修正タグ、修正値の情報項目で構成されている。
【0064】
この修正履歴データベースDsには、過去に、修正者「○田×男」が、修正日時「2005/12/24/12:20:10」に、機種名「CT−01」の装置種別「X線CT装置」で撮影された医用画像Pについて、「画像ID」で識別される値を修正値「0007」に修正したことを示す修正情報Isが履歴として蓄積されている。
【0065】
また、修正者「○本×子」が、修正日時「2006/01/7/19:28:11」に、機種名「MR−01」の装置種別「MRI装置(磁気共鳴画像装置)」で撮影された医用画像Pについて、「患者名タグ」で識別される値を修正値「△田□太」に修正し、かつ「患者名タグ」で識別される値を修正値「△田□太」に修正したことが履歴として蓄積されている。
【0066】
検像装置100は、取得した修正情報Isである修正者「○田×男」が、修正日時「2006/01/10/15:40:32」に、機種名「CT―01」の装置種別「X線CT装置」で撮影された医用画像Pについて、「患者IDタグ」で識別される値を修正値「0101」に修正し、かつ「画像IDタグ」で識別される値を修正値「画像IDタグ」に修正したことを示す修正情報Isを、この修正履歴データベースDsに情報項目別に追加する。
【0067】
このような修正履歴データベースDsを検像装置100が保持している場合に、操作者が修正者別に集計を行う入力をすると、修正履歴データベースDsの各情報項目の値を修正者別に集計して、表示若しくは紙媒体へ出力する。
【0068】
集計結果には、例えば修正者「○田×男」が過去に患者IDを1回修正し、画像IDを過去に2回修正したこと、修正者「○本×子」が過去に患者名を1回修正し、検査IDを1回修正したこと等が表される。
【0069】
また、操作者が機種別に集計した結果を円グラフ化する入力をすると、機種名「CT―01」のX線CT装置が作成した医用画像Pについて過去に2回修正があり、機種名「MR−01」のMRI装置が作成した医用画像Pについて過去に1回修正があったことを、全体的な比率として円グラフ化し、表示若しくは紙媒体出力する。
【0070】
この修正履歴データベースDs、又は集計結果、若しくはグラフや表等の図を参照することより、「○田×男」の入力ミスが他の操作者に比べて多いこと、機種名「CT―01」のX線CT装置についての入力ミスが他の画像診断装置200に比べて多いことが把握できる。
【0071】
以上のように、本実施形態の検像装置100では、修正情報Isを蓄積して修正履歴データベースDsを作成するようにした。また、この修正履データベースDsをもとに集計し、図示化するようにした。これにより、検像装置100で行われてきた各修正を全体的に把握できる。各修正を全体的に把握できることで、その修正傾向を容易につかむことができ、医用画像の順番並び替え、画質調整、付帯情報の誤入力等の修正の必要を効果的に低減できる。また、修正の必要を低減することで、検像の負担を軽減することもできる。
【0072】
尚、本実施形態において、検像装置100は、コンピュータからなりプログラムの情報処理によって各機能を実現するようにしたが、各機能の専用回路を備えるようにしてもよい。また、集計や図示化の機能は、他の汎用ソフトウェアによって実現してもよく、この場合、修正履歴データベースDsを汎用ソフトウェアが利用できるデータ形式で作成することが好適である。
【0073】
検像装置100は、本実施形態では、ネットワークNに独立した装置として備えるようにしたが、病院のネットワーク上における医用画像Pが発生し又は通る装置にその装置固有の機能の他に検像装置100の機能を持たせるようにしてもよく、例えば画像診断装置200や画像サーバ300に当該機能を持たせて検像装置100としてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、検像装置100において、医用画像P及び付帯情報Ifを表示させて、操作者が内容の検査を行って修正内容を入力するようにした。その他、医用画像P及び付帯情報Ifを表示させることなく、所定のルーチンに従って自動的に医用画像Pを検像し、修正情報Isを修正履歴データベースDsに蓄積させるようにしてもよい。
【0075】
自動的に医用画像Pを検像する検像装置100において、修正処理部14は、予め修正対象の情報とその修正値とを記憶している。修正対象の情報は、タグと値で構成される。
【0076】
通信インターフェース106が医用画像Pを受信すると、修正処理部14は、画像メモリ12上の医用画像Pと予め記憶している修正対象の情報と修正値を読み出す。更に、読み出した修正対象の情報と合致する情報を、医用画像P及びこれに付帯する付帯情報Ifから検索する。該当する情報を予め記憶している修正値に置き換え、修正内容メモリ15にその修正内容を記憶させる。修正処理部14の処理が終了すると、修正情報取得部17が修正情報Isを取得し、修正履歴作成部18が修正履歴データベースDsを作成する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本実施形態に係る検像装置を含むネットワークの構成図である。
【図2】本実施形態に係る検像装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る検像装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る検像装置が備える修正内容メモリを示す図である。
【図5】本実施形態に係る検像装置で作成される修正履歴データベースDsを示す図である。
【図6】本実施形態に係る検像装置で作成される修正情報の集計結果を示す図であり、修正者情報別の集計結果を示す一例である。
【図7】本実施形態に係る検像装置で作成される修正情報の集計結果を示す図であり、画像診断装置別の集計結果を示す一例である。
【図8】本実施形態に係る検像装置で作成される修正情報の集計結果の図示化を示す図であり、修正者別の集計結果を棒グラフ化した一例である。
【図9】本実施形態に係る検像装置で作成される修正情報の集計結果の図示化を示す図であり、装置別の集計結果を円グラフ化した一例である。
【図10】本実施形態に係る検像装置の修正履歴データベースDs作成動作を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態に係る検像装置の作用を示す作用図である。
【符号の説明】
【0078】
11 ログインメモリ
12 画像メモリ
14 修正処理部
15 修正内容メモリ
16 日時メモリ
17 修正情報取得部
18 修正履歴作成部
20 集計部
21 図示化部
100 検像装置
101 演算制御部
102 外部記憶部
103 主記憶部
104 表示部
105 入力部
106 通信インターフェース
107 プリンタインターフェース
110 プリンタ
200 画像診断装置
300 画像サーバ
B バス
N ネットワーク
P 医用画像
If 付帯情報
Is 修正情報
Ds 修正履歴データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像診断装置が撮影した医用画像及び当該医用画像に付帯する付帯情報を検像する検像装置であって、
前記医用画像又は前記付帯情報を修正する修正部と、
前記修正に関する修正情報を情報項目毎に蓄積する修正履歴データベースと、
を備えること、
を特徴とする検像装置。
【請求項2】
前記修正情報は、修正した付帯情報の種別情報、修正値情報、画質調整情報、修正日時情報、修正者情報、医用画像の画像診断装置種別情報、又は医用画像の画像診断装置機種名情報の何れか一以上の情報項目を少なくとも含むこと、
を特徴とする請求項1記載の検像装置。
【請求項3】
前記修正履歴データベースをもとに前記蓄積された修正情報を所定の情報項目毎に集計する集計部をさらに備えること、
を特徴とする請求項2記載の検像装置。
【請求項4】
前記修正情報は、修正者情報の情報項目を少なくとも含み、
前記集計部は、修正者別に前記蓄積された修正情報を集計すること、
を特徴とする請求項3記載の検像装置。
【請求項5】
前記修正情報は、医用画像の画像診断装置種別情報の情報項目を少なくとも含み、
前記集計部は、画像診断装置種別べつに前記蓄積された修正情報を集計すること、
を特徴とする請求項3記載の検像装置。
【請求項6】
前記修正情報は、修正した付帯情報の種別情報の情報項目を少なくとも含み、
前記集計部は、付帯情報の種別べつに前記蓄積された修正情報を集計すること、
を特徴とする請求項3記載の検像装置。
【請求項7】
前記集計部の集計結果に基づき、集計結果を表又はグラフ形式に加工する図示化部をさらに備えること、
を特徴とする請求項3乃至6のいずれか記載の検像装置。
【請求項8】
コンピュータからなり、画像診断装置が撮影した医用画像及び当該医用画像に付帯する付帯情報を表示して検像する検像装置を、
前記医用画像又は前記付帯情報を修正する修正部と、
前記修正に関する修正情報を蓄積する修正履歴データベースと、
して機能させること、
を特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−236603(P2007−236603A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−62661(P2006−62661)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】