説明

検出器のための較正システム

【課題】さまざまな放射源タイプからの電磁放射に応答する赤外線センサー、または、すべての広帯域検出器のための較正システムを提供する。
【解決手段】ベース部材302に固定的に取り付けられた複数の放射源304、および、ベース部材に取り付けられた位置決め機構306を含み、各放射源は異なる温度に維持され、および、電磁放射を放出するように構成され、位置決め機構は、ベース部材、及び、可動部材308に配置される複数の光学部材310に対して1自由度を有する可動部材を含み、各光学部材は放射源の1つに対応し、及び、各光学部材は少なくとも較正位置と非較正位置との間で移動可能であるように構成され、光学部材が較正位置にある場合、光学部材はその対応する放射源からの電磁放射を受信し、および、電磁放射を検出器へ反射するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府の権利)
[公表されない連邦政府関係機関]との秘密契約による米国政府の支援のもとで、本発明は完成された。米国政府は本発明に関する特定の権利を保有できる。
【0002】
本発明は、さまざまな放射源タイプからの電磁放射に応答する、赤外線(IR)センサー、または、すべての広帯域検出器のための較正システムに関する。
【背景技術】
【0003】
検出器は、典型的には、ピクセルアレーを含み、各ピクセルは、ピクセルに入射する電磁エネルギーに応答して、電流を生成または通過させるように動作可能である。ほとんどの場合に発生または通過する電流は、入射エネルギーに比例する。
【0004】
これらのピクセルは、検出器の寿命の間で、応答動作中にいくらか変動する傾向がある。測定の均一性を確実にするためには、定期的な較正が一般的には望ましい。相互にピクセルの相対的な動作性能を知ることは重要である。知らない間の性能の変化によって、電磁エネルギー源の測定は、間違ったデータになる。このように、較正が使用されるので、ピクセルは非均一性補正などでピクセル間の変化を較正でき、およびピクセル応答の経時変化を較正できる。
【0005】
典型的には、光源を、検出器または検出器近傍に配置することで較正を実施できる。光源は検出器を照明する。実験室環境の較正は典型的には配置前に実施されるが、配置後の定期的な再較正が上述した理由によって強く望まれる。
【0006】
このタイプの検出器の組み立て品は、しばしば宇宙のベースデバイスで使用されるので、複雑な較正システムはまったく望まれない。サイズおよび重量は、組み立ておよび発射コストに絶えず存在する要因である。1つの構成要素のサイズおよび重量が大きくなるほど、一般に、いくつかの他の構成要素が小さくならなければいけない。
【0007】
さらに、システムは、発射、展開中に遭遇する力に耐え、容易に保守できなくとも、繰り返し動作するように設計されなければならない。スペクトルフィルターホイールおよび案内システムなどの、検出器の機能のために強く望まれる多くの既存の構成要素もある。既存のシステムを害することのない、較正をするためのオプションも、困難であることが分かった。
【0008】
図1および図2は、検出器102を較正するために使用される、従来のシステム100を示す。図1は、非較正モードで動作するシステム100を示し、一方、図2は較正モードで動作する較正システム100を示す。
【0009】
システム100は、1つまたは複数の光源112(例えば、光源112A〜C)、ミラー110および検出器102を備える光源組み立て部品108を具備する。光源112は、光を放出するように構成される。ミラー110は、光源112からの光を受信し、および、検出器102へ光の方向を変え、または反射するように構成される。
【0010】
システム100は、検出器102を較正するために使用される2つの機構も含む。これらの機構は、光源組み立て部品回転機構104とミラー回転機構106とを含む。光源組み立て部品回転機構104は、光源112を回転または移動させて、ミラー110に照射させ、従って検出器102を照射する。すなわち、光源組み立て部品回転機構104は検出器102の視野(FOV)を光源112に向ける。ミラー回転機構106は、ミラー110を回転または移動させて、光源112からの入射光路にミラー110を入れるので、ミラー110は光源112からの光を受信し、および光を検出器102に入れる。
【0011】
システム100が較正モード中では、図2に示すように、光源112Bが光源組み立て部品回転機構104によって移動または回転され、および、ミラー110がミラー回転機構108によって移動または回転されるので、光源112Bから放出された光はミラー110で受信され、および、受信された光はミラー110で検出器102へ反射される。また、較正モード中は、光源112Aおよびミラー110は移動または回転されるので、光源112Aから放出された光はミラー110で受信され、および、ミラー110で検出器102へ反射されるとともに、光源112Cおよびミラー110は移動または回転されるので、光源112Cから放出された光はミラー110で受信され、および、ミラー110で検出器102へ反射される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
検出器102を較正するために使用される、これらの2つの個別の機構(すなわち、光源組み立て部品回転機構104とミラー回転機構106)はシステム100を複雑にし、単一機構よりも信頼性に対するさらなる懸念を招く。
【0013】
本発明の実施形態は、従来の較正システムを超える改良を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一実施形態は、検出器のための較正システムに関する。較正システムは、ベース部材、ベース部材に固定的に取り付けられる複数の放射源、およびベース部材に取り付けられる位置決め機構を含む。各放射源は異なる温度に維持され、および、電磁エネルギーを放出するように構成される。位置決め機構は、ベース部材および可動部材に配置される複数の光学部材に対して、1自由度を有する可動部材を含む。各光学部材は放射源の1つに対応し、および各光学部材は、少なくとも較正位置と非較正位置との間で移動可能であるように構成される。光学部材が較正位置にある場合には、光学部材は、その対応する放射源から電磁エネルギーを受信し、および、電磁エネルギーを検出器へ反射するように構成される。
【0015】
動作方法および構造の関連する要素の機能および部品の組み合わせ、並びに、製造の経済性ばかりではなく、本発明のこれらの態様および他の態様は、同様の参照番号がさまざまな図の対応する部品を示し、そのすべてが本明細書の一部を構成する添付図面を参照して、以下の記載および添付の特許請求の範囲を検討することによって、より明らかになるであろう。本発明の一例では、本明細書で説明される構造上の構成要素は、縮小して記載されていると考えることができる。しかしながら、多くの他の構造が可能であり、および、図面は例示、解説および説明のためにだけにあり、および、本発明の範囲を決定または制限することは意図されていないことが明確に理解されるべきである。また、本明細書に開示された1つの実施形態の特徴は、本明細書に開示された他の実施形態で使用できることは当然のことである。本明細書および特許請求の範囲で使用される、単数形の「ひとつ(a)」、「ひとつ(an)」、および「前記(the)」は、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、複数形を含む。
【0016】
単に例示に過ぎないが、対応する参照記号が対応する部分を示す、添付の概略図を参照して、種々の実施形態が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】較正センサーのための従来のシステムを示し、ここで、システムは非較正モードで動作している。
【図2】較正モードで動作する図1の従来の較正システムを示す。
【図3】本発明の実施形態による検出器のための、較正システムを示す。
【図4】図3の較正システムの別の面を示す。
【図5】図3の較正システムを示し、本発明の実施形態による可動部材およびその光学部材は収容位置にあり、および非較正モード動作にある。
【図6】図3の較正システムを示し、ここで、本発明の実施形態による可動部材は、較正モードで動作し、第1の光学部材と共に動作位置にある。
【図7】図3の較正システムを示し、ここで、本発明の実施形態による可動部材は、較正モードで動作し、第2の光学部材と共に動作位置にある。
【図8】図3の較正システムを示し、ここで、本発明の実施形態による可動部材は、較正モードで動作し、第3の光学部材と共に動作位置にある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本出願の背景技術で述べたように、従来の較正システムは少なくとも2つの自由度がある機構を備えていた。すなわち、従来の較正システムでは、2つの異なる機構を使用して検出器を較正する。1つの機構によってミラーを入射光路(すなわち、光源から)に移動させ、および別の機構が光源を移動または回転させる。これらの2つの個別の機構は較正システムを複雑にし、単一機構に対する信頼性の懸念よりも、さらなる信頼性の懸念を招く。
【0019】
本発明は、たった1つの、1自由度機構を持つ較正システムを提供する。この1自由度機構は、超小型光学部品を備える部材を移動または回転させるので、光学部品は固定黒体の方向を指し示す。従って、本出願で提案されるパドルホイール較正器は、黒体を固定させて維持し、および第2の機構を取り除くことによって、較正システムの複雑さを低減する。
【0020】
図3および図4は、本発明の実施形態による検出器328のための較正システム300を示す。
【0021】
一実施形態では、検出器328は、赤外線放射に応答するように構成される赤外線(IR)センサーである。赤外線(IR)センサーは、中波長赤外線放射、短波赤外線放射、または長波長赤外線放射に応答するように構成されることができる。例えば、検出器328は、中波長赤外線放射に応答するように構成されることができる、中波長赤外線(IR)センサーであってもよい。
【0022】
別の実施形態では、検出器328は、異なるタイプの放射源からの電磁放射に応答するように構成されることができる。例えば、検出器は、可視光またはハイパースペクトル検出器に応答するように構成される、検出器を含むことができる。検出器328は、異なる可視源からの電磁放射に応答するように構成される、可視検出器であってもよい。以下に詳細に説明されるように、異なるタイプの放射源は、例えば、可視光放射源、赤外線放射源、および黒体放射源を含むことができる。
【0023】
較正システム300は、ベース部材302、ベース部材302に固定的に取り付けられる複数の放射源304、および、ベース部材302に取り付けられる位置決め機構306を含む。各放射源304は、異なる温度で維持でき、および、電磁エネルギーを放出するように構成される。位置決め機構306は、ベース部材302に対して1自由度を有する可動部材308、および、可動部材308に配置された複数の光学部材310を含む。各光学部材310は放射源304の1つに対応し、および各光学部材310は、少なくとも較正位置と非較正位置との間で移動可能であるように構成される。光学部材310が較正位置にある場合には、光学部材310は、電磁放射またはエネルギーをその対応する放射源304から受信し、および、電磁放射またはエネルギーを検出器328に反射するように構成される。
【0024】
各放射源304は、その対応する光学部材310を介して、放射源304から放出された電磁放射またはエネルギーを検出器328が受信するように配置される。各放射源304は、検出器328が検出するために、十分な量の電磁放射またはエネルギーを放出できる、電磁放射またはエネルギー源のいずれかであり得る。
【0025】
複数の放射源304は、2つの異なるタイプの放射源を含むことができる。異なるタイプの放射源は、可視光放射源、短波赤外線放射源、および長波長放射源を含むことができる。例えば、可視光放射源は、可視(VIS)または近可視(VIS/NIR)放射を提供するように構成される。赤外線放射源は、短波長赤外線放射(SWIR)、中波長赤外線放射(MWIR)、長波長赤外線放射(LWIR)および/または超長波長赤外線(VLWIR)放射を提供するように構成される。
【0026】
各放射源304は、可視光の波長または可視光の波長よりも長い波長を有する放射線を放出することができる。例えば、各放射源304は、390ナノメートル(nm)から300マイクロメートル(μm)の範囲の波長を有する放射線を放出する。一実施形態では、各放射源304は、黒体(例えば、加熱フィラメント)源を含むことができる。別の実施形態では、各放射源304は、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード、および/または、これらの組み合わせを含むことができる。
【0027】
一実施形態では、複数の異なる放射源304が、検出器328に均一なピクセル照明を提供するように使用される。常に1つの放射源だけは使用することができるが、典型的には、複数の同時照明は均一性の較正には要求されない。複数の放射源304は、2個以上の黒体源304を含むことができる。図示した実施形態では、図3および図4に示すように、複数の放射源304は、3つの黒体源304A〜Cを含む。
【0028】
各放射源304は、異なる温度で維持できる。例えば、図示した実施形態では、3つの黒体源304A〜Cは、350K〜420Kの温度範囲に維持される比較的高温の黒体源304C、290K〜310Kの温度範囲に維持される大気黒体源304B、および、250K〜275Kの温度範囲に維持される比較的低温の黒体源304Aであり得る。一実施形態では、大気黒体源304Bは、比較的高温の黒体源304Cと比較的低温黒体源304Aとの間の温度である温度範囲に維持される。一実施形態では、各黒体源304A〜Cは、長さ0.75インチおよび幅1.1インチであってもよい。別の実施形態では、各黒体源304A〜Cは異なるサイズであってもよい。
【0029】
各放射源304は、ベース部材302に固定して取り付けられる。すなわち、各放射源304は、その光学部材310に対して固定して配置される。
【0030】
放射源がその光学部材に対して固定して維持されるこの配置は、高温放射源を加熱するために要求される電力供給を低減し、および、低温放射源に対する冷却量を低減させるように構成される。例えば、一実施形態では、個別の放射源は熱伝導材料(例えば、アルミニウムまたは銅)から生成され、および、黒色に塗布される(塗装またはコーティング)。これらの個別の放射源の温度および温度勾配は、厳重に管理され、測定される。放射源の温度は、環境温度未満または超える温度のいずれかであるので、熱冷却または加熱には、これらの放射源の温度を維持することが望まれる。真空では、伝導が熱伝達の最も効率的な方法の1つである。伝導よりも著しく効率が落ちる放射は、伝導の後の位置づけである。放射源とそれらの熱界面との熱接続は伝導性であるので、高温放射源の場合には、放射源を加熱するために要求されるパワーが低減される。低温放射源の場合には、放射源に対する熱界面温度は、黒体が回転台にあればそうであろう放射接続(例えば、放射リンクを介する)されている場合ほど低温であることは必要とされない。従って、固定黒体(放射源)を維持することは、パワーおよび冷却についてより効率的である。
【0031】
一実施形態では、放射源304A〜Cは、部材318および320を介して、ベース部材302に固定して取り付けられる。すなわち、放射源304A〜Cは、部材318および320に固定的に取り付けられ、次に、ベース部材302に固定して取り付けられる。部材318は、低温黒体源304Aと低温ラジエータ(図示せず)との間の熱界面としても機能する。部材320は、大気黒体源304Bと高温黒体源304Cとの間の熱界面として機能するように構成されるラジエータである。部材318は一般に低温熱界面と称し、および部材320は一般に高温熱界面と称する。
【0032】
一実施形態では、さまざまなラジエータ界面が排除するパワーには制限があるので、これらのラジエータ界面の分離によって、単一の効率の良いラジエータ(「低温」)が、低温黒体源304Aを受動的に冷却させるために使用されることを可能にする。部材320は、暖かい黒体源304Bと高温黒体源304Cを、効率が良くない、暖かいラジエータに取り付けるために使用できる。
【0033】
放射源304は、当業者にとっては当然の、任意の好適な断熱取り付け機構によって、ベース部材302に固定して取り付けられる。一実施形態では、取り付け機構は、これに限定されるわけではないが、溶接、インターロック取り付け、摩擦取り付け、または接着を含む。
【0034】
図4を参照すると、複数の断熱器326は、部材318とベース部材302との間、および、部材320とベース部材302との間に配置される。動作中に熱を生成する、光源選択機構モーターとのその接続によって、ベース部材302は、一般に低温および高温放射熱界面318および320とは異なる温度になる。断熱器326は、ベース部材302から低温放射熱界面または部材318への熱伝達、および、熱伝達ベース部材302から高温放射熱界面または部材320への熱伝達を最小にするように構成される。断熱器326の一例として、G−10アイソレータであってもよい。別の実施形態では、これらの断熱器326は、熱伝導率が低い、いかなる材料から形成されてもよい。断熱器326は、部材318とベース部材302との間、および、部材320とベース部材302との間で、異なる断熱性を提供できるように構成される。
【0035】
位置決め機構306は、ベース部材302に対して1自由度を有する可動部材308、および、可動部材308に配置された複数の光学部材310を含む。
【0036】
本明細書で使用する場合、1自由度とは、1方向だけに沿った可動部材308の移動(すなわち、直線または軸方向運動、または、1軸だけに沿った可動部材308の移動)または、1軸だけの周りの可動部材308の回転のいずれかをいう場合がある。6自由度は、一般に、X、YおよびZ軸に沿った軸方向運動または直線運動、および、これらの軸のそれぞれの周りの回転によって定義される。図示した実施形態では、可動部材308は、1軸の周りの可動部材308の回転を提供する1自由度である。しかしながら、X軸、Y軸およびZ軸のいずれかの軸に沿った、可動部材308の直線または軸方向運動を提供する1自由度を、可動部材308が持てることを意図している。
【0037】
一実施形態では、可動部材308は、ベース部材302を通過する軸A−A(図4に示す)に対して回転可能である。
【0038】
一実施形態では、可動部材308は、部分的なディスク形状構造の形態であってもよい。一実施形態では、可動部材308は、4分の1ディスク形状構造であってもよい。別の実施形態では、可動部材308は、2分の1ディスク形状構造であってもよい。
【0039】
光学部材310は、可動部材308に配置されている。各光学部材310は放射源304の1つ、および各光学部に対応する。部材310は、少なくとも較正位置と非較正位置との間で移動可能であるように構成される。
【0040】
一実施形態では、各光学部材310は、ファセット構造を含む。光学部材310のこのファセットミラー光学構造によって、本発明の較正システムが、可視(VIS)、近可視(VIS/NIR)、短波長赤外線(SWIR)、中波長赤外線(MWIR)、長波長赤外線(LWIR)および超長波長赤外線(VLWIR)を含む、広範囲の電磁スペクトルにわたって使用されることを可能にする。
【0041】
一実施形態では、複数の光学部材310は、2個以上の光学部材を含んでもよい。図示した実施形態では、図3および図4に示すように、複数の光学部材310が、3つの光学部材310A〜Cを含む。例えば、光学部材310A、310B、および310Cは、黒体源304A、304B、および304Cにそれぞれ対応する。システム300の光学部材310の数は、較正のために望まれる黒体または放射源の数に等しくともよく、3つに限定されるわけではない。
【0042】
光学部材310は電気で駆動される光学部材であってもよい。一実施形態では、光学部材310は、放射が検出器328に均一に受信されるように、黒体源304からの放射エネルギーの焦点を合わせるように構成される電気で駆動される能動光学部材であってもよい。
【0043】
一実施形態では、光学部材310A、310B、および310Cは、同一の形状、同一のサイズ、同一の光強度および/または同一の他の特性を有してもよい。別の実施形態では、光学部材310A、310B、および310Cは、異なる形状、異なるサイズ、異なる光強度および/または異なる他の特性を有してもよい。
【0044】
一実施形態では、光学部材310A、310B、および310Cは各黒体位置に対してカスタマイズされてもよく、その結果、潜在的な光学収差が最小になって、すべての3つの黒体の形状およびサイズを各位置で同一とすることができる。
【0045】
図6〜図8を参照して詳細に説明されるように、光学部材310が較正位置にある場合には、光学部材310は、電磁放射またはエネルギーをその対応する放射源304から受信し、および、電磁放射またはエネルギーを検出器328に反射するように構成される。
【0046】
従来のアプローチとは対照的に、パドルホイールまたは可動部材308は、各光学部材310A〜Cの背後に温度センサーだけを必要とする。これは主に、放射源304が可動部材308に取り付けられておらず、および、可動部材308に対して移動しないからである。放射源が部材308に取り付けられているとしたら、可動部材308の回転軸を横切るためにケーブルラップの形態で、ヒーターおよび温度センサーのための重要なワイヤが必要となるであろう。ケーブルラップをわたる電源ワイヤおよび信号ワイヤを低減させることによって、ケーブルラップ設計が単純化できる。
【0047】
システム300は、複数の仕切り部(図示せず)も含む。各仕切り部は2つの光学部材310の間に配置されるので、各放射源はそれに対応する光学部材だけに光を当て、他の光学部材には光を当てないことができる。例えば、図6に示すように、光学部材310Aは黒体源304Aだけによって照射され、および304Bまたは304Cによっては照射されない。
【0048】
位置決め機構306は、モーターおよびレゾルバ組み立て部品322も含む。可動部材308は、モーターおよびレゾルバ組み立て部品322に動作可能に接続されている。
【0049】
モーターは、ベース部材302に対して、可動部材308の位置を変えるように構成される。一実施形態では、モーターは、駆動力を供給し、可動部材308の位置を可変とすることを補助するように構成されるステッパモーターであってもよい。一実施形態では、モーターは、制御システム(図示せず)の指令のもとで、較正目的で、可動部材308を移動または回転させるように操作可能である。モーターおよびレゾルバ組み立て部品322は、モーターから駆動力を受け取り、較正目的で、可動部材308を移動または回転させるように結合するアクチュエータを含んでもよい。
【0050】
モーターおよびレゾルバ組み立て部品322は、例えば、回転位置などのモーター位置を検出し、および可動部材308の位置を決定するように構成されたレゾルバも含むことができる。レゾルバは、制御システムへ可動部材308の位置情報を送信することができ、制御システムはそれに応じてモーターの動作を制御する。
【0051】
図5は、可動部材308およびその光学部材が収容位置にあり、実施形態による非較正モード動作にある較正システム300を示す。
【0052】
光学部材310A、310B、および310Cが較正されない場合には、パドルまたは可動部材308は光路の外に移動する。すなわち、光学部材310A、310B、および310Cが較正されない場合には、パドルまたは可動部材308およびその光学部材310A、310B、および310Cは、防護環境(例えば、カバーの内側(図示せず))に収容される。これによって、較正間で光学部材が経験する熱環境を制御することで、光学部材310A、310B、および310Cの熱的安定性が増す。
【0053】
図6は、可動部材308が第1の光学部材310Aとともに第1の動作位置にあり、実施形態による較正モードで動作する図3の較正システムを示す。
【0054】
図6に示すように、較正は可動部材308を第1の動作位置に回転させることによって開始される。モーターおよびレゾルバ組み立て部品320は、可動部材308を第1の動作位置へ移動または回転させるように構成される。
【0055】
可動部材308が第1の動作位置にある場合には、図6に示すように、光学部材310Aは、電磁エネルギーをその対応する放射源304Aから受信し、および、電磁放射またはエネルギーを検出器328に反射するように構成される(図4に示す)。すなわち、光学部材310Aおよびその対応する放射源304Aが較正モードの動作にある場合には、光学部材310Bおよび310Cおよびその対応する放射源304Bおよび304Cの動作は非較正モードである。2つの光学部材310Aと310Bとの間に配置された仕切り部、および、光学部材310Bと310Cとの間に配置された仕切り部によって、光学部材310Aはその対応する黒体源304Aによってのみ照明され、および、他の黒体源304Bおよび304Cよっては照明されない。較正プロセス中に、図6に示されるように、可動部材308だけが(その光学部材に沿って)移動し、黒体源304A〜Cは固定されたままである。
【0056】
図7は、可動部材が、第2の光学部材310Bとともに第2の動作位置にあり、実施形態による較正モードで動作する図3の較正システムを示す。
【0057】
可動部材308は、図6に示す第1の動作位置から、図7に示す第2の動作位置へ回転または移動する。一実施形態では、可動部材308は、第1の動作位置から第2の動作位置へ約45°回転する。モーターおよびレゾルバ組み立て部品320は、第2の動作位置へ可動部材308を移動または回転させるように構成される。
【0058】
可動部材308が図7に示す第2の動作位置にある場合には、光学部材310Bは、電磁放射またはエネルギーをその対応する放射源304Bから受信し、および、電磁放射またはエネルギーを検出器328に反射するように構成される(図4に示す)。すなわち、光学部材310Bおよびその対応する放射源304Bは較正モードで動作するが、その一方で光学部材310Aおよび310C、並びに、その対応する放射源304Aおよび304Cは非較正モードで動作する。2つの光学部材310Aと310Bとの間に位置する仕切り部、および、光学部材310Bと310Cとの間に位置する仕切り部によって、光学部材310Bはその対応する黒体源304Bによってのみ照射され、および、他の黒体源304Aおよび304Cによっては照射されない。較正プロセス中、図7に示されるように、可動部材308だけが(その光学部材に沿って)移動し、黒体源304A〜Cは固定されたままである。
【0059】
図8は、可動部材308が第3の光学部材310Cとともに第3の動作位置にあり、実施形態による較正モードで動作する図3の較正システムを示す。
【0060】
可動部材308は、図7に示す第2の動作位置から、図8に示す第3の動作位置へ回転または移動する。一実施形態では、可動部材308は第2の動作位置から第3の動作位置へ約45°回転する。モーターおよびレゾルバ組み立て部品320は、可動部材308を第3の動作位置へ移動または回転させるように構成される。
【0061】
可動部材が図8に示す第3の動作位置にある場合には、光学部材310Cは、電磁放射またはエネルギーをその対応する放射源304Cから受信し、および、電磁放射またはエネルギーを検出器328に反射するように構成される(図4に示す)。すなわち、光学部材310Cおよびその対応する放射源304Cが較正モード動作である場合には、同時に光学部材310Aおよび310B並びにその対応する放射源304Aおよび304Bの動作は非較正モードである。2つの光学部材310Aと310Bとの間に配置された仕切り部、および、光学部材310Bと310Cとの間に配置された仕切り部によって、光学部材310Cはその対応する黒体源304Cによってのみ照射され、および、他の黒体源304Aおよび304Bによっては照射されない。較正プロセス中、図8に示されるように、可動部材308だけが(その光学部材に沿って)移動し、黒体源304A〜Cは固定されたままである。
【0062】
第3の動作位置で較正が実施された後に、可動部材308は約145°だけ反対方向に回転され、図5に示すように、可動部材308は収容位置(すなわち、光路の外)に移動する。
【0063】
図3〜図8に示す実施形態では、本出願は、3つの光学部材と3つの光源を備えるシステム開示する。本発明の原理は、2つの(または4つの)光学部材と2つの(または4つの)光源を備えるシステムに同様に適用できることを意図している。該システムでは、可動部材は、(3つの代わりに)2つの(または4つの)動作位置を含む。
【0064】
図3〜図8に示す実施形態では、本出願は1軸の周りに可動部材が回転するシステムを開示する。検出器を較正するために、X軸、Y軸およびZ軸のいずれかの軸に沿った直線方向または軸方向に、可動部材が移動するように構成されるシステムに、本発明の原理が適用できることを意図している。該実施形態では、可動部材は、1方向または軸に沿って、2個以上の異なる動作位置に移動する。各動作位置では、光学部材の1つが、その対応する放射源から電磁放射またはエネルギーを受信し、電磁放射またはエネルギーを検出器328に反射するように構成される。
【0065】
本明細書に開示された較正システムは、宇宙用途で使用することができる。例えば、該較正システムは、宇宙船で露出されるオンボードの較正センサーとして使用することができる。
【0066】
上述のように、本出願で開示される較正システムでは、従来使用されていた2つの機構に代わって、赤外線センサーまたは広帯域検出器などの検出器の較正を実施するために、たった1つの機構だけが使用される。これは、電気で駆動される光学部材を光路中に回転させ、異なる固定黒体に対向させることによって実現できる。
【0067】
本発明は説明のために詳細に記載されたが、該詳細な説明は説明目的のためだけにあり、本発明の概念は開示された実施形態に限定されるわけではなく、それどころか、本発明の精神および添付の特許請求の範囲内の変更、および均等である配置を含むことが意図されていることが理解されるべきである。さらに、本開示によって、可能性がある範囲で、いずれかの実施形態の1つまたは複数の特徴は、いずれかの他の実施形態の1つまたは複数の特徴と組み合わせることが可能であることが想定されていることを理解するべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出器のための較正システムであって、
ベース部材と、
前記ベース部材に固定的に取り付けられた複数の放射源であって、各放射源が異なる温度または強度レベルに維持され、および、電磁放射を放出するように構成された、放射源と、
前記ベース部材に取り付けられた位置決め機構と、を備え、
前記位置決め機構は、
前記ベース部材に対して1自由度を有する可動部材と、
前記可動部材に配置された複数の光学部材であって、各光学部材が前記放射源の1つに対応し、および、各光学部材が少なくとも較正位置と非較正位置との間で移動可能に構成された光学部材と、を備え、
前記光学部材が前記較正位置にある場合、当該光学部材は、その対応する放射源からの前記電磁放射を受信し、および、当該電磁放射を検出器へ反射するように構成される、較正システム。
【請求項2】
請求項1記載の較正システムにおいて、
前記複数の放射源は、2個以上の黒体源を含む、較正システム。
【請求項3】
請求項1記載の較正システムにおいて、
前記複数の光学部材は、2個以上の光学部材を含む、較正システム。
【請求項4】
請求項1記載の較正システムにおいて、
各光学部材は、電気で駆動される光学部材である、較正システム。
【請求項5】
請求項1記載の較正システムにおいて、
前記ベース部材に対して前記放射源を固定された位置に配置することによって、当該放射源を効率的に熱伝導制御するように構成された、較正システム。
【請求項6】
請求項2記載の較正システムにおいて、
前記複数の放射源は、3つの黒体源を含む、較正システム。
【請求項7】
請求項6記載の較正システムにおいて、
前記3つの黒体源は、比較的高温の黒体源、比較的低温の黒体源および大気黒体源を含む、較正システム。
【請求項8】
請求項1記載の較正システムにおいて、
複数の仕切り部を更に含み、
各仕切り部は2つの光学部材に間に配置され、各放射源はその対応する光学部材だけを照明する、較正システム。
【請求項9】
請求項1記載の較正システムにおいて、
前記可動部材は収容位置に移動可能に構成され、較正間で前記光学部材を熱的に安定させた、較正システム。
【請求項10】
請求項1記載の較正システムにおいて、
前記可動部材は、前記ベース部材を通過する軸に対して回転可能である、較正システム。
【請求項11】
請求項1記載の較正システムにおいて、
前記検出器は、赤外線放射に応答するように構成される赤外線(IR)センサーである、較正システム。
【請求項12】
請求項1記載の較正システムにおいて、
前記複数の放射源は、少なくとも2つの異なるタイプの放射源を含む、較正システム。
【請求項13】
請求項12記載の較正システムにおいて、
前記異なるタイプの放射源には、可視光放射源と赤外線放射源とが含まれる、較正システム。
【請求項14】
請求項12記載の較正システムにおいて、
前記赤外線放射源は、短波長赤外線放射(SWIR)、中波長赤外線放射(MWIR)、長波長赤外線放射(LWIR)および/または超長波長赤外線(VLWIR)放射を提供するように構成された、較正システム。
【請求項15】
請求項12記載の較正システムにおいて、
前記可視光放射源は、可視放射または近可視放射を提供するように構成された、較正システム。
【請求項16】
請求項1記載の較正システムにおいて、
前記検出器は、異なる可視源からの前記電磁放射に応答するように構成された可視検出器である、較正システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−47667(P2013−47667A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−135660(P2012−135660)
【出願日】平成24年6月15日(2012.6.15)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】