検出回路、センサーデバイス及び電子機器
【課題】製造プロセス変動によるバラツキ等を抑え、分解能を高く設定できる検出回路、センサーデバイス及び電子機器等の提供。
【解決手段】検出回路は、カレントミラー回路20と、カレントミラー回路20の第1のノードNA1と第1の電源ノードとの間に設けられる焦電素子C1と、カレントミラー回路20の第2のノードNA2と第1の電源ノードとの間に設けられる容量素子C2と、カレントミラー回路20を介して焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作を行う充電回路30を含む。
【解決手段】検出回路は、カレントミラー回路20と、カレントミラー回路20の第1のノードNA1と第1の電源ノードとの間に設けられる焦電素子C1と、カレントミラー回路20の第2のノードNA2と第1の電源ノードとの間に設けられる容量素子C2と、カレントミラー回路20を介して焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作を行う充電回路30を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出回路、センサーデバイス及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、焦電素子を用いた赤外線の検出回路が知られている。例えば人体からは、波長が10μm付近の赤外線が輻射されており、これを検出することで人体の存在や温度の情報を非接触で取得できる。従って、このような赤外線の検出回路を利用することで、侵入検知や物理量計測を実現できる。
【0003】
赤外線の検出回路の従来技術としては例えば特許文献1、2に開示される技術が知られている。例えば特許文献1の従来技術では、チョッパーを用いて、焦電素子への赤外線の照射・遮断を繰り返しながら、焦電素子からの焦電流を読み出す。
【0004】
しかしながら、この従来技術には、チョッパーとFPAの間の同期をとる必要があったり、チョッパーの寿命が短いなどの課題がある。
【0005】
特許文献2の従来技術では、焦電素子に対してパルス電圧を印加する方式を採用している。即ち、強誘電体により実現される焦電素子の自発分極量等は、焦電素子に入射した赤外線に起因する焦電素子の温度に応じて変化する。そこで、自発分極量等に対応して変化した焦電素子の表面電荷量を測定することで、入射した赤外線量を測定する。
【0006】
しかしながら、この従来技術では、温度変化に対する検出電圧の変化が緩やかであるため分解能を高くすることが難しく、製造プロセス変動によるバラツキ等も大きいという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭59−142427号公報
【特許文献2】特開平6−265411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の幾つかの態様によれば、製造プロセス変動によるバラツキ等を抑え、分解能を高く設定できる検出回路、センサーデバイス及び電子機器等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、カレントミラー回路と、前記カレントミラー回路の第1のノードと第1の電源ノードとの間に設けられる焦電素子と、前記カレントミラー回路の第2のノードと前記第1の電源ノードとの間に設けられる容量素子と、前記カレントミラー回路を介して前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作を行う充電回路とを含む検出回路に関係する。
【0010】
本発明の一態様によれば、カレントミラー回路の第1のノードと第1の電源ノードとの間に焦電素子が設けられ、カレントミラー回路の第2のノードと第1の電源ノードとの間に容量素子が設けられる。そして充電回路により、カレントミラー回路を介して焦電素子及び容量素子の充電動作が行われる。このようにすれば、例えば焦電素子を充電する際に流れた電流の総量を、容量素子を用いて電圧に変換することが可能になる。従って、分解能を高く設定できる検出回路を実現できる。
【0011】
また本発明の一態様では、前記充電回路により所与の充電期間だけ前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作が行われた後に、前記第2のノードから検出電圧が取得されてもよい。
【0012】
このようにすれば、所与の充電期間だけ充電動作を行い、第2のノードの電圧が安定した後に、その電圧を検出電圧として取得することが可能になる。
【0013】
また本発明の一態様では、前記第1のノード及び前記第2のノードと前記第1の電源ノードとの間に設けられ、前記焦電素子及び前記容量素子の放電動作を行う放電回路を含んでもよい。
【0014】
このようにすれば、チョッパー等を用いなくても、放電回路により焦電素子及び容量素子の放電動作を行って、充電動作による検出電圧の取得の準備を整えることが可能になる。
【0015】
また本発明の一態様では、前記放電回路は、前記第2のノードから検出電圧が取得された後に、前記焦電素子及び前記容量素子の放電動作を行ってもよい。
【0016】
このようにすれば、検出電圧が取得された後に、焦電素子及び容量素子の放電動作を行って、次の充電動作による検出電圧の取得の準備を整えることが可能になる。
【0017】
また本発明の一態様では、前記焦電素子は、赤外線が照射される焦電素子であり、前記容量素子は、赤外線から遮断された焦電素子であってもよい。
【0018】
このように容量素子として焦電素子を用いれば、製造プロセス変動によるバラツキ等を抑え、安定した検出電圧の取得が可能になる。
【0019】
また本発明の一態様では、前記カレントミラー回路は、前記充電回路と前記第1のノードとの間に設けられ、ゲート及びドレインが前記第1のノードに接続される第1のカレントミラー用トランジスターと、前記充電回路と前記第2のノードとの間に設けられ、ゲートが前記第1のノードに接続され、ドレインが前記第2のノードに接続される第2のカレントミラー用トランジスターを含んでもよい。
【0020】
このようにすれば、第1、第2のカレントミラー用トランジスターのカレントミラー比等を設定することで、検出電圧の調整等が可能になる。
【0021】
また本発明の一態様では、前記充電回路は、第2の電源ノードと前記カレントミラー回路との間に設けられ、前記焦電素子及び前記容量素子の充電期間においてオンになり、前記焦電素子及び前記容量素子の放電期間においてオフになる少なくとも1つの充電用トランジスターを含んでもよい。
【0022】
このようにすれば、充電用トランジスターのオン・オフを制御することで、焦電素子及び容量素子の充電動作等を実現できる。
【0023】
また本発明の一態様では、タイミング調整回路を含み、前記タイミング調整回路により指示される第1のタイミングで、前記充電回路が前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作を開始し、前記タイミング調整回路により指示される、前記第1のタイミングよりも遅れた第2のタイミングで、前記第2のノードから検出電圧が取得されてもよい。
【0024】
このようにすれば、第1のタイミングで焦電素子及び容量素子の充電動作を開始し、第1のタイミングよりも遅れた第2のタイミングで、第2のノードから検出電圧を取得できるようになる。
【0025】
また本発明の一態様では、タイミング調整回路を含み、前記タイミング調整回路により指示される第2のタイミングで、前記第2のノードから検出電圧が取得され、前記タイミング調整回路により指示される、前記第2のタイミングよりも遅れた第3のタイミングで、前記放電回路が前記焦電素子及び前記容量素子の放電動作を開始してもよい。
【0026】
このようにすれば、第2のタイミングで第2のノードから検出電圧を取得し、第2のタイミングよりも遅れた第3のタイミングで焦電素子及び容量素子の放電動作を開始できるようになる。
【0027】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の検出回路と、タイミング調整回路とを含み、前記タイミング調整回路により指示される第1のタイミングで、前記充電回路が前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作を開始し、前記タイミング調整回路により指示される、前記第1のタイミングよりも遅れた第2のタイミングで、前記第2のノードから検出電圧が取得されるセンサーデバイスに関係する。
【0028】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の検出回路と、タイミング調整回路とを含み、前記タイミング調整回路により指示される第2のタイミングで、前記第2のノードから検出電圧が取得され、前記タイミング調整回路により指示される、前記第2のタイミングよりも遅れた第3のタイミングで、前記放電回路が前記焦電素子及び前記容量素子の放電動作を開始するセンサーデバイスに関係する。
【0029】
また本発明の他の態様は、複数のセンサーセルが配列されるセンサーアレイと、1又は複数の行線と、1又は複数の列線と、前記1又は複数の行線に接続される行選択回路と、前記1又は複数の列線に接続される読み出し回路とを含み、前記読み出し回路には、前記1又は複数の列線の各列線に対応して容量素子が設けられ、前記複数のセンサーセルの各センサーセルは、カレントミラー回路と、前記カレントミラー回路の第1のノードと第1の電源ノードとの間に設けられる焦電素子と、前記カレントミラー回路を介して前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作を行う充電回路とを含むセンサーデバイスに関係する。
【0030】
本発明の他の態様によれば、読み出し回路には、各列線に対応して容量素子が設けられる。また各センサーセルには、カレントミラー回路と焦電素子と充電回路が設けられる。そして充電回路により、カレントミラー回路を介して焦電素子及び容量素子の充電動作が行われる。このようにすれば焦電素子を充電する際に流れた電流の総量を、容量素子を用いて電圧に変換することが可能になる。従って、分解能を高く設定できるセンサーデバイスを実現できる。
【0031】
また本発明の他の態様では、前記各センサーセルは、前記第1のノードと前記第1の電源ノードとの間に設けられ、前記焦電素子の放電動作を行うセンサーセル側放電回路を含んでもよい。
【0032】
このようにすれば、各センサーセルに設けられたセンサーセル側放電回路を用いて、各センサーセルの焦電素子の放電動作を実現できる。
【0033】
また本発明の他の態様では、前記読み出し回路は、前記列線と前記第1の電源ノードとの間に設けられ、前記容量素子の放電動作を行う読み出し回路側放電回路を含んでもよい。
【0034】
このようにすれば、読み出し回路に設けられた読み出し回路側放電回路を用いて、列線の放電動作が可能になる。
【0035】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の検出回路を含む電子機器に関係する。
【0036】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載のセンサーデバイスを含む電子機器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1(A)、図1(B)は比較例の検出回路の説明図。
【図2】図2(A)、図2(B)は焦電素子の放電特性の例。
【図3】本実施形態の検出回路の基本的な構成例。
【図4】放電回路が設けられた検出回路の構成例。
【図5】タイミング調整回路、電圧取得回路が設けられた検出回路の構成例。
【図6】本実施形態の検出回路の詳細な構成例。
【図7】本実施形態の検出回路の動作を説明する信号波形図。
【図8】焦電素子のヒステリシスループの例。
【図9】検出回路の温度−測定電圧の特性の例。
【図10】本実施形態の検出回路の詳細な他の構成例。
【図11】容量素子として焦電素子を用いる手法の説明図。
【図12】図12(A)、図12(B)はセンサーデバイスの構成例。
【図13】センサーアレイ及び読み出し回路の詳細な構成例。
【図14】本実施形態の電子機器の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0039】
1.比較例
図1(A)に、前述した特許文献2の従来技術の回路構成を比較例として示す。この比較例の検出回路は、焦電素子11、パルス発生回路12、インピーダンス変換回路13、画像信号生成部14を含む。そしてソースフォロワー回路であるインピーダンス変換回路13は、抵抗R1、R2とFETを含む。
【0040】
焦電素子11には赤外線が入射されており、焦電素子11の焦電体(強誘電体)11aには、焦電素子11の温度に応じた自発分極が発生している。そして電極11b、11cの表面電荷と電気的に中性を保っている。
【0041】
パルス発生回路12は、図1(B)に示すようなパルス信号VPを発生して、焦電素子11に電圧を印加する。なお焦電素子11にパルス信号VPの電圧が印加されていない状態では、パルス発生回路12の出力はハイインピーダンス状態に設定されている。
【0042】
図1(B)の期間TN1において、パルス発生回路12によりパルス信号VPの電圧VD0が焦電素子11に印加されると、ノードNDの電圧はVD=VD0になる。これにより、焦電素子11の電極11b、11cに電荷が引き寄せられる。具体的には、例えばプラス電位側の電極11bにプラスの電荷が引き寄せられ、マイナス電位側の電極11cにマイナスの電荷が引き寄せられて、焦電素子11の充電動作が行われる。
【0043】
次の期間TH1において、パルス発生回路12による電圧VD0の印加が停止すると、焦電素子11の電極11b、11cに引き寄せられていた充電電荷が、抵抗R1を介して放電される。例えばプラスの電荷がプラス電位側の電極11bから抵抗R1側に放電され、マイナスの電荷がマイナス電位側の電極11cから抵抗R1側に放電される。これにより抵抗R1に検出電流IDが流れ、ノードNDに発生する電圧VDが検出電圧として取得される。
【0044】
この時、図1(B)のA1に示すように、検出電圧VDの電圧変化は、焦電素子11の容量値とR1の抵抗値により決まるCRの時定数に応じた放電特性になる。そして焦電素子11の容量値は、温度が高くなるほど大きくなる。従って温度が高い場合には、図1(B)のA2に示すように、検出電圧VDの電圧変化はA1に比べて緩やかになる。
【0045】
図1(B)においてパルス信号VPの周期はTPになっており、期間TN1において焦電素子11に充電された全ての電荷が、期間TH1において放電される前に、次の期間TN2において電圧VD0が再度印加される。従って、ノードNDの電圧VDは、期間TN2の開始時には0Vにはならず、VD=VD1になる。例えば期間TH1が十分に長ければ、焦電素子11に充電されていた全ての電荷が放電され、電極11b、11cの電荷と自発分極の電荷が電気的に中和した状態になるため、VDは0Vになる。
【0046】
そして、上述のように焦電素子11の容量値は温度が高いほど大きくなる。従って、図1(B)のA1、A2から明らかなように、温度が高いほど、期間TN2の開始時におけるノードNDの電圧VDは高くなる。
【0047】
以上のように図1(A)の比較例では、焦電素子の両端に電圧(VD0)を印加することで焦電素子を充電し、その後、焦電素子を放電する際に流れる電流(ID)の量を、抵抗(R1)を用いて電圧(VD)に変換することで、赤外線の量を検出する。
【0048】
具体的には、抵抗(R1)を介して放電された電流(ID)が多ければ、焦電素子に充電された電圧(VD)は急速に低下し、放電された電流が小さければ、充電された電圧の低下は遅くなる。そこで、一定時間(図1(B)の期間TH1)だけ放電された後の焦電素子の両端の電圧(VD)を測定することで、赤外線の量を検出する。
【0049】
図2(A)に焦電素子の放電特性の例を示す。図2(A)は、図1(B)のA1、A2に示す電圧VDの特性に対応する。
【0050】
図2(A)のB1に示すように、焦電素子の放電動作の直後においては、焦電素子の両端の電圧(VD)は高くなるため、電圧の測定は容易になる。しかしながら、図2(A)のB1では、時間に対する電圧の変化が大きいため、測定誤差は大きくなる。即ち、電圧の測定タイミング(サンプリングタイミング)が変動すると、測定される電圧も大きく変化してしまう。
【0051】
一方、図2(A)のB2に示すように、ある程度、焦電素子の放電動作が進むと、今度は電圧低下が緩やかになるため、測定誤差は小さくなる。即ち、電圧の測定タイミングが変動しても、測定される電圧はそれほど大きく変化しなくなる。しかしながら、図2(A)のB2では、電圧が低くなるため、電圧の測定は困難になる。
【0052】
図2(B)は、温度に対する測定電圧の特性の周波数依存性を示す図である。つまり、図1(B)のパルス信号VPの周期TPを変化させた時の温度−測定電圧の特性を示す図である。例えば図1(B)においてパルス信号VPの周期TPが長くなり、周波数が低くなると(例えば100Hz)、測定タイミング(VD1のサンプリングタイミング)が時間的に遅れるため、測定電圧(VD1)は低くなる。一方、周期TPが短くなり、周波数が高くなると(例えば2KHz)、測定タイミングが時間的に早まるため、測定電圧は高くなる。
【0053】
また図2(B)のB3に示すように高周波数の領域(放電開始直後)では、温度−測定電圧の特性の線形性が大きく崩れ、例えば下に凸な特性になっている。一方、B4に示すように、低周波数の領域(ある程度放電が進んだタイミング)においても、温度−測定電圧の特性の線形性が崩れており、例えば上に凸な特性になっている。その理由は、焦電素子の温度特性が、元来、非線形であり、その非線形な特性が温度によって変化するからである。このように温度−測定電圧の特性が非線形であると、測定誤差が生じるおそれがある。例えば図2(B)において測定電圧がVDAである場合に、温度がTAであると測定されたり、TBであると測定されてしまう。
【0054】
また図2(A)に示す比較例の出力電圧(焦電素子の両端の電圧)は、過渡的な電流(ID)を抵抗(R1)により電圧に変換したものであり、必ずしも電流の総量を電圧に変換したものではない。従って、この出力電圧は、温度による焦電素子の表面電荷量の変化が全て反映されたものではない。従って、温度変化に対する出力電圧の変化は緩やかになる。更に低周波数の領域では、出力電圧が0Vに近づいて飽和しているため、温度勾配が、より小さくなって、温度差の検出が非常に困難になる。
【0055】
以上のように図1(A)〜図2(B)の比較例では、安定して使用できる周波数範囲が狭く、製造プロセスバラツキ等によって周波数が高周波数側或いは低周波数側にずれると、測定性能が劣化しやすい。即ちパルス信号のクロック周波数がプロセスバラツキ等により変動すると、測定精度が劣化する。更に、温度変化に対する出力電圧の変化が緩やかであるため、分解能を高くできないという課題もある。
【0056】
2.構成
以上のような課題を解決できる本実施形態の検出回路の基本的な構成を図3に示す。図3に示すように、この検出回路は、カレントミラー回路20と充電回路30を含む。更に焦電素子C1と容量素子C2を含むことができる。
【0057】
焦電素子C1(赤外線検出素子、熱検出素子、強誘電体素子)は、カレントミラー回路20の第1のノードNA1(第1のカレントミラーノード)とGNDノード(広義には第1の電源ノード)との間に設けられる。この焦電素子C1は、図1(A)と同様に、焦電体(強誘電体、焦電膜)と、焦電体の両端に設けられる第1、第2の電極とにより構成される。焦電体は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの強誘電体の膜により形成され、自発分極が発生している。そして図1(B)のA1、A2で説明したように、焦電素子C1の容量値は温度に応じて変化する。例えば赤外線の照射により温度が高くなると、焦電素子C1の容量値は大きくなる。なお焦電素子C1を、構成要素として検出回路に含ませない変形実施も可能である。
【0058】
容量素子C2は、カレントミラー回路20の第2のノードNA2(第2のカレントミラーノード)とGNDノード(第1の電源ノード)との間に設けられる。前述のように、焦電素子C1の容量値は温度変化(赤外線の変化)に応じて変化するが、容量素子C2の容量値は、温度変化に対して一定、或いは温度変化に対する容量値の変化の度合いがC1に比べて非常に小さくなっている。具体的には、後述するように容量素子C2は例えば焦電素子により実現される。そして、焦電素子C1には赤外線が照射される一方で、容量素子C2は、赤外線から遮断された焦電素子になっている。なお容量素子C2を、構成要素として検出回路に含ませない変形実施も可能である。
【0059】
カレントミラー回路20は、ノードNA1を介して焦電素子C1に流す電流IA1に対応する電流IA2(カレントミラー電流)を、ノードNA2を介して容量素子C2に流す。例えばIA1のK倍(K>0)の電流IA2を、充電電流として容量素子C2に流す。
【0060】
充電回路30は、カレントミラー回路20を介して焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作を行う。例えば充電用の制御信号XCG(負論理)がアクティブ(Lレベル)になると、充電回路30の充電動作が開始する。そしてVDDのノード(広義には第2の電源ノード)からの電流が、カレントミラー回路20を介して電流IA1、IA2として焦電素子C1、容量素子C2に流れる。これにより焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作が行われる。
【0061】
そして充電回路30により所与の充電期間だけ焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作が行われた後に、ノードNA2からの出力電圧VOUTが検出電圧として取得される。即ち、A/D変換部等の電圧取得回路が検出電圧を取得する。例えば出力電圧VOUTがサンプリングされ、サンプリングされた出力電圧VOUTのA/D変換が行われ、VOUTに対応するデジタルの検出データが取得される。
【0062】
この時、上述のように、赤外線が焦電素子C1に照射されてC1の温度が上昇し、C1の容量値が増加した場合に、容量値C2の容量値は一定或いはその変化値は非常に小さくなる。従って、赤外線の照射により焦電素子C1の温度が上昇すると、それに応じて出力電圧VOUTも大きくなるため、赤外線の量を検出することが可能になる。
【0063】
図4に、放電回路40が更に設けられた検出回路の構成例を示す。この放電回路40は、カレントミラー回路20の第1、第2のノードNA1、NA2とGNDノード(第1の電源ノード)との間に設けられる。そして焦電素子C1及び容量素子C2の放電動作を行う。
【0064】
具体的には放電回路40は、ノードNA2から検出電圧が取得された後に、焦電素子C1及び容量素子C2の放電動作を行う。例えば、図示しない制御回路により制御信号XCGがアクティブ(Lレベル)になると、充電回路30が焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作を行い、検出電圧が取得される。その後に制御信号XCGが非アクティブ(Hレベル)になると、放電回路40が焦電素子C1及び容量素子C2の放電動作を行う。これにより、C1、C2の両端の電極間の電圧差が0Vにリセットされる。その後、制御信号XCGがアクティブ(Lレベル)になると、充電回路30による焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作が行われる。
【0065】
なお図4では、1つの制御信号XCGを用いて充電動作と放電動作の両方を制御しているが、充電用の制御信号とは別の放電用の制御信号を設けて、放電回路40の放電動作を制御してもよい。
【0066】
図5に、タイミング調整回路50、電圧取得回路60が更に設けられた検出回路の構成例を示す。
【0067】
タイミング調整回路50は、検出回路の各種のタイミングを調整(指示、設定)する回路である。具体的にはタイミング調整回路50は、充電回路30の充電開始タイミングである第1のタイミングTM1や、電圧取得回路60の検出電圧取得タイミングである第2のタイミングTM2や、放電回路40の放電開始タイミングである第3のタイミングTM3などを指示する。これらの第1、第2、第3のタイミングTM1、TM2、TM3の指示は、第1、第2、第3の制御信号CNT1、CNT2、CNT3を用いて実現できる。
【0068】
なお図4で説明したように、タイミングTM1(充電開始タイミング)とタイミングTM3(放電開始タイミング)を、共通の同じ制御信号XCGを用いて指示するようにしてもよい。
【0069】
電圧取得回路60は、ノードNA2の検出電圧VOUTを取得する回路である。具体的にはタイミング調整回路50により指示されるタイミングTM2で検出電圧VOUTを取得(サンプリング)する。この電圧取得回路60は、例えばA/D変換部などにより実現できる。
【0070】
図5では、タイミング調整回路50により指示されるタイミングTM1で、充電回路30が焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作を開始する。具体的には、制御信号CNT1がタイミングTM1でアクティブになると充電動作を開始する。そしてタイミング調整回路50により指示されるタイミングTM2で、ノードNA2から検出電圧VOUTが取得される。具体的には、制御信号CNT2がタイミングTM2でアクティブになると、電圧取得回路60が検出電圧VOUTを取得する。ここでタイミングTM2はタイミングTM1よりも遅れたタイミングである。即ち制御信号CNT2は制御信号CNT1よりも遅れてアクティブになる。
【0071】
また図5では、タイミング調整回路50により指示されるタイミングTM2で、ノードNA2から検出電圧VOUTが取得され、タイミング調整回路50により指示されるタイミングTM3で、放電回路40が焦電素子C1及び容量素子C2の放電動作を開始する。具体的には、制御信号CNT2がタイミングTM2でアクティブになると、検出電圧VOUTが取得され、制御信号CNT3がタイミングTM3でアクティブになると、放電動作が開始する。ここでタイミングTM3はタイミングTM2よりも遅れたタイミングである。即ち制御信号CNT3は制御信号CNT2よりも遅れてアクティブになる。
【0072】
なお制御信号CNT1、CNT3として共通の制御信号(図4のXCG)を用いる場合には、この共通制御信号が第1の電圧レベル(例えばLレベル)になるタイミングTM1で、充電回路30が充電動作を開始し、共通制御信号が第2の電圧レベル(例えばHレベル)になるタイミングTM3で、放電回路40が放電動作を開始することになる。
【0073】
また図5では、検出回路の内部にタイミング調整回路50や電圧取得回路60を設ける場合について説明したが、検出回路の外部にタイミング調整回路50や電圧取得回路60を設けてもよい。例えば後述する図12(A)のセンサーデバイスは、カレントミラー回路20や充電回路30や放電回路40を有する検出回路と、タイミング調整回路50や電圧取得回路60を含む。この場合に、例えばタイミング調整回路50は図12(A)の制御回路150に設けられ、電圧取得回路60はA/D変換部130により実現される。
【0074】
図5のようなタイミング調整回路50を設けることで、充電回路30の充電開始タイミング(タイミングTM1)や、電圧取得回路60の検出電圧取得タイミング(タイミングTM2)や、放電回路40の放電開始タイミング(タイミングTM3)の調整や設定が可能になる。これにより、焦電素子C1や容量素子C2の特性等に応じた適正なタイミング制御を実現できる。またタイミングTM1でC1及びC2の充電動作を開始し、タイミングTM2で検出電圧VOUTを取得し、タイミングTM3でC1及びC2の放電動作を開始することで、チョッパー等を用いなくても、適正なタイミングで充電動作や放電動作を行って検出電圧VOUTを取得できるようになる。
【0075】
3.詳細な構成例
図6に、本実施形態の検出回路の詳細な構成例を示す。図6では、カレントミラー回路20、充電回路30、放電回路40の詳細な構成例が示されている。なお本実施形態の検出回路は、図6の構成には限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したり、その接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
【0076】
図6では、カレントミラー回路20は、第1のカレントミラー用トランジスターTA1と第2のカレントミラー用トランジスターTA2を含む。P型のカレントミラー用トランジスターTA1は、充電回路30(ノードNA3)とノードNA1との間に設けられ、ゲート及びドレインがノードNA1に接続される。P型のカレントミラー用トランジスターTA2は、充電回路30(ノードNA4)とノードNA2との間に設けられ、ゲートがノードNA1に接続され、ドレインがノードNA2に接続される。これらのトランジスターTA1、TA2の例えばW/L比を設定することで、カレントミラーの電流比(IA1とIA2の電流比)が設定される。
【0077】
充電回路30は、充電用トランジスターTA3、TA4を含む。これらのP型の充電用トランジスターTA3、TA4は、VCCノード(広義には第2の電源ノード)とカレントミラー回路20(ノードNA3、NA4)との間に設けられる。具体的には、充電用トランジスターTA3のドレインノードは、カレントミラー用トランジスターTA1のソースノードに接続され、充電用トランジスターTA4のドレインノードは、カレントミラー用トランジスターTA2のソースノードに接続される。
【0078】
そして充電用トランジスターTA3、TA4は、焦電素子C1及び容量素子C2の充電期間においてオンになる。またTA3、TA4はC1、C2の放電期間においてオフになる。具体的には、制御信号XCGがLレベル(アクティブ)である場合に、充電用トランジスターTA3、TA4はオンになり、XCGがHレベル(非アクティブ)である場合に、TA3、TA4はオフになる。
【0079】
なお図6では2つの充電用トランジスターTA3、TA4を設けているが、充電用トランジスターは1つでもよい。この場合には、例えば充電用トランジスターTA4を省略し、充電用トランジスターTA3のドレインノードを、カレントミラー用トランジスターTA1及びTA2のソースノードに接続すればよい。
【0080】
放電回路40は、放電用トランジスターTA5、TA6を含む。N型の放電用トランジスターTA5、TA6は、ノードNA1、NA2とGNDノード(第1の電源ノード)との間に設けられる。具体的には、放電用トランジスターTA5のドレインノードは、カレントミラー用トランジスターTA1のドレインノードに接続され、放電用トランジスターTA6のドレインノードは、カレントミラー用トランジスターTA2のドレインノードに接続される。
【0081】
そして放電用トランジスターTA5、TA6は、焦電素子C1及び容量素子C2の放電期間においてオンになる。またTA5、TA6はC1、C2の充電期間においてオフになる。具体的には、制御信号XCGがHレベル(非アクティブ)である場合に放電用トランジスターTA5、TA6はオンになり、XCGがLレベル(アクティブ)である場合にTA5、TA6はオフになる。
【0082】
以上の本実施形態の検出回路によれば、焦電素子C1の表面電荷量に依存する物理量として、焦電素子C1を充電する際に流れた電流の総量が用いられる。そしてこの電流の総量を、カレントミラー回路20を用いて取り出し、容量素子C2を用いて電圧に変換することで、赤外線の量を検出する。即ち図1(A)の比較例では、放電期間(TH1、TH2)において流れる電流を抵抗R1で電圧に変換することで、赤外線検出を実現していた。これに対して本実施形態では、充電期間において焦電素子C1を充電する際に流れた電流の総量を、容量素子C2を用いて電圧に変換することで、赤外線の量を検出している。
【0083】
図7に本実施形態の動作を説明するための信号波形例を示す。図7のD1に示すように、制御信号XCGがHレベルになると、N型の放電用トランジスターTA5、TA6がオンになり、ノードNA1、NA2がGNDレベルになることで、焦電素子C1及び容量素子C2は放電される。
【0084】
次に図7のD2に示すように制御信号XCGがLレベルになると、放電用トランジスターTA5、TA6がオフになる一方で、充電用トランジスターTA3、TA4がオンになる。これにより、カレントミラー回路20のカレントミラー用トランジスターTA1、TA2を介して焦電素子C1、容量素子C2が充電される。
【0085】
充電が開始すると、図7のD3に示すように、焦電素子C1の一端の電圧VTEはVCC−VTHP付近まで上昇して、充電が停止する。なおVTHPはP型トランジスターTA1のしきい値電圧である。このとき、焦電素子C1を充電した電流に比例する電流によって、容量素子C2が充電される。これにより、図7のD4、D5、D6に示すようにノードNA2の出力電圧VOUTが変化する。ここでD4、D5、D6は、各々、温度が低い場合、中間の場合、温度が高い場合の出力電圧である。即ち、焦電素子C1に照射される赤外線の量が多くなり、温度が高くなるにつれて、出力電圧VOUTは大きくなる。
【0086】
図1(A)の比較例では、図7のD7のような放電期間での電圧の変化を検出しているため、検出電圧の分解能を高くすることが困難になる。これに対して本実施形態では、充電期間に流れる電流の総量を電圧に変換して検出している。従って、図7のD4、D5、D6に示すように、温度変化に対する出力電圧VOUTの変化が大きくなり、検出電圧の分解能を高くできる。
【0087】
例えば焦電素子C1を充電した電荷の総量をQ1とし、容量素子C2を充電した電荷の総量をQ2とした場合に、Q1、Q2は、トランジスターTA1、TA2に流れる電流IA1、IA2を用いて、下式(1)、(2)のように表される。
【0088】
【数1】
【0089】
そして、カレントミラー回路20のカレントミラー比をKとした場合に、Q2は下式(3)のようになる。
【0090】
【数2】
【0091】
例えばトランジスターTA1のW/L比に対するTA2のW/L比の比率を1に設定すれば、K=1になり、Q2=Q1になる。また、これらのW/L比の比率を2に設定すれば、K=2になり、Q2=2・Q1になる。
【0092】
そして、C2が、その容量値がCC2である常誘電体の容量素子であり、充電期間での出力電圧の到達電圧(検出電圧)をVDTとすると、下式(4)が成り立つ。
【0093】
【数3】
【0094】
従って、上式(3)と(4)から、到達電圧VDTは下式(5)のように求められ、下式(6)に示すようにVDTは焦電素子C1の充電電荷総量Q1に比例する。
【0095】
【数4】
【0096】
そして強誘電体の焦電素子C1の容量値は温度が高くなるにつれて大きくなり、Q1も温度が高くなるにつれて大きくなる。従って、図7のD4、D5、D6に示すように、VOUTの到達電圧VDTも温度が高くなるにつれて大きくなる。
【0097】
例えば図8に強誘電体の焦電素子C1のヒステリシスループの例を示す。E1は低温の場合のヒステリシスループであり、E2は高温の場合のヒステリシスループである。図8に示すように、高温の場合のヒステリシスループでの自発分極PR2(残留分極)は、低温の場合の自発分極PR1よりも小さくなる。
【0098】
一方、図8のE3、E4等の各電圧でのヒステリシスループの傾きが、焦電素子C1の容量値(誘電率)の大きさに対応する。そしてE3、E4に示すように、高温のヒステリシスループの各電圧での傾きの方が、低温のヒステリシスループの各電圧での傾きよりも大きくなっている。即ち焦電素子C1の平均的な容量値の大きさは、高温の場合の方が大きくなる。従って、図8に示すように充電電荷総量Q1は高温での値Q1Hの方が低温での値Q1Lよりも大きくなるため、上式(6)から、高温の場合の方がVOUTの到達電圧VDTも大きくなる。
【0099】
なお図8のヒステリシスループから明らかなように、焦電素子C1の充電電荷総量Q1は下式(7)のように表すことができる。
【0100】
【数5】
【0101】
ここでCC1(VTE)は、焦電素子C1の容量値であり、図8のE3、E4に示すように各電圧での傾きに対応する値であるため、電圧VTEの関数として表すことができる。そして上式(7)のように、この容量値CC1(VTE)を、VTE=0Vから到達電圧であるVTE=VCC−VTHPまで積分した値が、焦電素子C1の充電電荷総量Q1に相当する。
【0102】
また、後に詳述するように、容量素子C2を、赤外線から遮断された焦電素子(強誘電体)で構成した場合には、容量素子C2の充電電荷総量Q2は下式(8)のように表すことができる。
【0103】
【数6】
【0104】
ここでCC2(VOUT)は、焦電素子である容量素子C2の容量値であり、出力電圧VOUTの関数として表すことができる。そして上式(8)のように、この容量値CC2(VOUT)を、VOUT=0Vから到達電圧VTDまで積分した値が、容量素子C2の充電電荷総量Q2に相当する。
【0105】
従って、上式(3)、(7)、(8)から下式(9)が成立することになる。
【0106】
【数7】
【0107】
上式(9)において、温度が上昇するとCC1(VTE)は全体的に上昇するが、温度上昇に対してCC2(VOUT)はほぼ一定になる。従って、温度が上昇するとノードNA2の到達電圧VDTが高くなる。具体的には、焦電素子C1には赤外線が照射されているため、赤外線の照射により温度が高くなるとCC1(VTE)は上昇する。一方、焦電素子で構成される容量素子C2には赤外線が照射されないため、温度は上昇せず、CC2(VOUT)はほぼ一定になる。従って、到達電圧VDTを測定することで、焦電素子C1に照射される赤外線の量を検出できる。
【0108】
以上のように本実施形態によれば、VTEがVCC−VTHPとほぼ同電位となるような十分な時間をかけて充電動作を行うことで、VOUT(VDT)は、周波数に依存しない一定の値になる。また本実施形態では、図1(A)の比較例のような焦電素子の過渡的な電圧特性の影響は現れない。従って、測定周波数に依存せずに安定した測定結果を得ることができる。
【0109】
例えば図9のF1は、本実施形態の検出回路での温度−測定電圧の特性の例である。温度が高くなるにつれて測定電圧が高くなっており、測定周波数の依存性もない。これに対して図9のF2〜F6は、図1(A)の比較例での温度−測定電圧の特性の例であり、F2が周波数が低い場合の特性であり、F6が周波数が高い場合の特性である。このように比較例では測定電圧に周波数依存性があるが、本実施形態によればこのような周波数依存性を無くすことができる。
【0110】
また本実施形態によれば、過渡的な電流の差ではなく、総電流の差を電圧に変換しているため、図9のF1に示すように、温度変化に対する測定電圧の変化量も大きくなる。このとき、図6のトランジスターTA2の電流供給能力(W/L比、カレントミラー比)や、容量素子C2の容量値を調整することで、Q1の温度変化量ΔQ1に比例したVOUTの変化量ΔVOUTを適宜調整して、温度によるΔVOUTの変化量を更に大きく設定することが可能になる。例えば最大の測定温度の場合にもVOUTが飽和しない範囲でVOUTが最大値になるように、TA2の電流供給能力やC2の容量値を調整する。こうすることで、測定のダイナミックレンジを広げることが可能になる。
【0111】
また本実施形態では図7のD8に示すように、VOUTが十分に安定した状態で、再び制御信号XCG=VCCにすることで、図6の放電用のトランジスターTA5、TA6がオンになり、焦電素子C1及び容量素子C2は再度放電され、再び測定準備が整う。従って、焦電素子C1を定期的に赤外線から遮断するチョッパーを用いなくても、焦電素子C1の温度を継続して測定することが可能になる。
【0112】
なお本実施形態の検出回路は図6の構成に限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば図10に検出回路の他の構成例を示す。
【0113】
図10の検出回路も、カレントミラー回路20と焦電素子C1と容量素子C2と充電回路30を含む。更に放電回路40を含む。
【0114】
焦電素子C1は、カレントミラー回路20のノードNB1とVCCノード(広義には第1の電源ノード)との間に設けられる。容量素子C2は、カレントミラー回路20のノードNB2とVCCノードとの間に設けられる。充電回路30は、カレントミラー回路20を介して焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作を行う。放電回路40は、ノードNB1、NB2とVCCノードとの間に設けられ、焦電素子C1及び容量素子C2の放電動作を行う。
【0115】
そして図10では、カレントミラー回路20は、N型のカレントミラー用トランジスターTB1、TB2により構成され、充電回路30は、N型の充電用トランジスターTB3により構成される。また放電回路40は、P型の放電用トランジスターTB5、TB6により構成される。そして、トランジスターTB5のドレインは焦電素子C1の一端側の電極に接続され、TB5のソースは焦電素子C1の他端側(VCC側)の電極に接続される。またトランジスターTB6のドレインは容量素子C2の一端側の電極に接続され、TB6のソースは容量素子C2の他端側の電極に接続される。
【0116】
制御信号CGがLレベル(非アクティブ)になると、トランジスターTB5がオンになり、焦電素子C1の両端の電極の電位が同電位になり、焦電素子C1の放電動作が行われる。またトランジスターTB6がオンになり、容量素子C2の両端の電極の電位が同電位になり、容量素子C2の放電動作が行われる。
【0117】
その後、制御信号CGがHレベル(アクティブ)になると、トランジスターTB5、TB6がオフになると共に、トランジスターTB3がオンになる。これにより、カレントミラー回路20を介して、焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作が行われる。そして、充電期間において焦電素子C1を充電する際に流れた電流の総量を、容量素子C2を用いて電圧に変換することで、赤外線の量を検出できる。
【0118】
4.容量素子
本実施形態では、C1は、赤外線が照射される焦電素子であり、C2は、赤外線から遮断された焦電素子であることが望ましい。即ち、容量素子C2として、赤外線検出用の焦電素子C1と同一構造であり、且つ、赤外線から遮断された焦電素子を用いる。このようにすれば、容量素子C2の製造バラツキは、焦電素子C1の製造バラツキに連動するようになる。従って、製造バラツキにより焦電素子C1の特性にバラツキが生じた場合にも、容量素子C2のバラツキとキャンセルされて、安定した測定結果を得ることが可能になる。
【0119】
例えば図11において、焦電素子C1は、強誘電体膜90と、電極91、92により形成される。即ち、強誘電体膜90を、電極91、92により挟んだ構造により、焦電素子C1が実現される。そして、この焦電素子C1には赤外線が照射される構造となっており、赤外線の照射による温度が上昇すると、C1の容量値も上昇する。
【0120】
一方、容量素子C2も、強誘電体膜94と、電極95、96により形成される。即ち、強誘電体膜94を、電極95、96により挟んだ構造により、容量素子C2が実現され、焦電素子C1と同一構造になっている。そして、この容量素子C2には赤外線が照射されない構造となっており、焦電素子C1に赤外線が照射されているときにも、容量素子C2には赤外線は照射されない。従って、前述の式(1)〜(9)等で説明したように、赤外線の照射により焦電素子C1の容量値が上昇することで、VOUTの到達電圧VDTも上昇し、焦電素子C1に照射された赤外線の量を検出できるようになる。
【0121】
なお、製造バラツキによる変動を少なくするためには、焦電素子C1と容量素子C2を、同じエリア或いは近くのエリアに形成することが望ましい。このようにすることで、焦電素子C1と容量素子C2の製造プロセスの条件・状態を近づけることが可能になる。但し、例えば焦電素子C1については、センサーアレイ等が形成されるセンサーエリアに形成し、容量素子C2については、周辺回路等が形成される回路エリアに形成することも可能である。また製造バラツキによる測定電圧の変動を低減するために、測定電圧と赤外線の量(温度)の関係についてのキャリブレーション処理を行うことが望ましい。
【0122】
5.センサーデバイス
図12(A)に本実施形態のセンサーデバイスの構成例を示す。このセンサーデバイスは、センサーアレイ100と、行選択回路(行ドライバー)110と、読み出し回路120を含む。またA/D変換部130、制御回路150を含むことができる。このセンサーデバイスを用いることで、例えばナイトビジョン機器などに用いられる赤外線カメラなどを実現できる。
【0123】
センサーアレイ100(焦点面アレイ)には、複数のセンサーセルが配列(配置)される。また複数の行線(ワード線、走査線)と複数の列線(データ線)が設けられる。なお行線及び列線の一方の本数が1本であってもい。例えば行線が1本である場合には、図12(A)において行線に沿った方向(横方向)に複数のセンサーセルが配列される。一方、列線が1本である場合には、列線に沿った方向(縦方向)に複数のセンサーセルが配列される。
【0124】
図12(B)に示すように、センサーアレイ100の各センサーセルは、各行線と各列線の交差位置に対応する場所に配置(形成)される。例えば図12(B)のセンサーセルは、行線WL1と列線DL1の交差位置に対応する場所に配置されている。他のセンサーセルも同様である。
【0125】
行選択回路110は、1又は複数の行線に接続される。そして各行線の選択動作を行う。例えば図12(B)のようなQVGA(320×240画素)のセンサーアレイ100(焦点面アレイ)を例にとれば、行線WL0、WL1、WL2・・・・WL239を順次選択(走査)する動作を行う。即ちこれらの行線を選択する信号(ワード選択信号)をセンサーアレイ100に出力する。
【0126】
読み出し回路120は、1又は複数の列線に接続される。そして各列線の読み出し動作を行う。QVGAのセンサーアレイ100を例にとれば、列線DL0、DL1、DL2・・・・DL319からの検出信号(検出電流、検出電荷)を読み出す動作を行う。
【0127】
A/D変換部130は、読み出し回路120において取得された検出電圧(測定電圧、到達電圧)をデジタルデータにA/D変換する処理を行う。そしてA/D変換後のデジタルデータDOUTを出力する。具体的には、A/D変換部130には、複数の列線の各列線に対応して各A/D変換器が設けられる。そして、各A/D変換器は、対応する列線において読み出し回路120により取得された検出電圧のA/D変換処理を行う。なお、複数の列線に対応して1つのA/D変換器を設け、この1つのA/D変換器を用いて、複数の列線の検出電圧を時分割にA/D変換してもよい。
【0128】
制御回路150(タイミング生成回路)は、各種の制御信号を生成して、行選択回路110、読み出し回路120、A/D変換部130に出力する。例えば充電や放電(リセット)の制御信号を生成して出力する。或いは、各回路のタイミングを制御する信号を生成して出力する。
【0129】
図13に、センサーアレイ100や読み出し回路120の詳細な構成例を示す。なお、図13の構成と図3〜図11で説明した本実施形態の各種構成・手法を組み合わせた変形実施も可能である。
【0130】
図13に示すように、読み出し回路120には、1又は複数の列線の各列線に対応して容量素子C2が設けられている。そして複数のセンサーセルの各センサーセルは、カレントミラー回路(TA1、TA2)と、カレントミラー回路の第1のノードNA1とGNDノード(第1の電源ノード)との間に設けられる焦電素子C1と、カレントミラー回路を介して焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作を行う充電回路(TA3)を含む。
【0131】
また各センサーセルはセンサーセル側放電回路(TA5)を含む。このセンサーセル側放電回路(TA5)は、ノードNA1とGNDノードとの間に設けられ、焦電素子C1の放電動作を行う。一方、読み出し回路120は、読み出し回路側放電回路(TA6)を含む。この読み出し回路側放電回路(TA6)は、各列線とGNDノードとの間に設けられる。例えばカレントミラー回路の第2のノードに対応する列線DL(DL0〜DL319)のノードとGNDノードとの間に設けられ、容量素子C2の放電動作を行う。
【0132】
具体的には図13では、図6のトランジスターTA4はTA3と共通化されて、充電用トランジスターは1つになっている。そして充電回路を構成するトランジスターTA3は、行線WL(WL0〜WL239)により選択されて、各センサーセル内の焦電素子C1を充電する。例えば、対応する行線WLがLレベルになると充電動作を開始する。そしてトランジスターTA1及びTA2により構成されるカレントミラー回路を介して、対応する焦電素子C1を充電する。
【0133】
またカレントミラー回路のノードNA1には、センサーセル側放電回路を構成するトランジスターTA5のドレインが接続されている。そしてトランジスターTA5は、対応する行線WLがHレベルになると放電動作を開始する。即ち焦電素子C1に充電された電荷をGND側に放電する。
【0134】
読み出し回路120には、各列線DL(DL0〜DL319)に対応して、読み出し回路側放電回路を構成するトランジスターTA6が設けられている。即ち、各列線DLには、放電用トランジスターTA6のドレインと、容量素子C2の一端側の電極が接続される。そして、放電用トランジスターTA6は、行線WLと同じタイミングで動作するリセット信号RSTによって、列線DLのノードの放電動作を行う。例えば行線WLがHレベルの場合に、リセット信号RSTもHレベルになり、読み出し回路側のN型の放電用トランジスターTA6がオンになることで、容量素子C2の放電が行われる。この時、行線WLがHレベルになることで、センサーセル側の放電用トランジスターTA5もオンになり、焦電素子C1の放電が行われる。
【0135】
その後に、行線WL及びリセット信号RSTがLレベルになると、センサーセル側の放電用トランジスターTA5及び読み出し回路側の放電用トランジスターTA6がオフになる。そしてセンサーセルの充電用トランジスターTA3がオンになることで、センサーセルのカレントミラー回路を介して、焦電素子C1及び容量素子C2の充電が行われる。そして、所与の充電期間だけ焦電素子C1及び容量素子C2の充電が行われ後に、列線DLのノードの電圧が検出電圧として取り込まれ(サンプリングされ)、取り込まれた検出電圧がA/D変換部130によりA/D変換される。このようにして、検出電圧(測定電圧)に対応するデジタルデータDOUTが取得される。
【0136】
以上の行線WLの選択処理は例えばWL0、WL1、WL2・・・・・WL239の順で行われる。例えば、まず行線WL(WL0〜WL239)及びリセット信号RSTをHレベルにして、全ての行線WLに接続されるセンサーセルの焦電素子C1と、読み出し回路120の全ての列線DL0〜DL319に対応する容量素子C2の放電動作を行う。
【0137】
その後、行線WL0及びリセット信号RSTをLレベルにして、行線WL0に接続されるセンサーセルの焦電素子C1と、読み出し回路120の全ての列線DL0〜DL319に対応する容量素子C2の充電動作を行う。この間、他の行線WL1〜WL239はHレベルを維持し、これらの行線に対応するセンサーセルにおいて充電動作が行われないようにする。そして充電期間の経過後に、列線DL0〜DL319の検出電圧を取得する。これにより、行線WL0に接続されるセンサーセルからの検出電圧が取得される。
【0138】
次に行線WL0及びリセット信号RSTをHレベルにして、行線WL0に接続されるセンサーセルの焦電素子C1と、読み出し回路120の全ての列線DL0〜DL319に対応する容量素子C2の放電動作を行う。
【0139】
その後、行線WL1及びリセット信号RSTをLレベルにして、行線WL1に接続されるセンサーセルの焦電素子C1と、読み出し回路120の全ての列線DL0〜DL319に対応する容量素子C2の充電動作を行う。この間、他の行線WL0及びWL2〜WL239はHレベルを維持し、これらの行線に対応するセンサーセルにおいて充電動作が行われないようにする。そして充電期間の経過後に、列線DL0〜DL319の検出電圧を取得する。これにより、行線WL1に接続されるセンサーセルからの検出電圧が取得される。
【0140】
次に行線WL1及びリセット信号RSTをHレベルにして、行線WL1に接続されるセンサーセルの焦電素子C1と、読み出し回路120の全ての列線DL0〜DL319に対応する容量素子C2の放電動作を行う。
【0141】
なお行線WL0〜WL239やリセット信号RSTや読み出し回路120の制御手法は、上述した手法に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【0142】
6.電子機器
図14に本実施形態のセンサーデバイスや検出回路を含む電子機器の構成例を示す。この電子機器は、光学系200、センサーデバイス210(検出回路)、画像処理部220、処理部230、記憶部240、操作部250、表示部260を含む。なお本実施形態の電子機器は図14の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば光学系、操作部、表示部等)を省略したり、他の構成要素を追加したりするなどの種々の変形実施が可能である。
【0143】
光学系200は、例えば1又は複数のレンズや、これらのレンズを駆動する駆動部などを含む。そしてセンサーデバイス210への物体像の結像などを行う。また必要であればフォーカス調整なども行う。
【0144】
センサーデバイス210は、図12(A)等で説明したものであり、物体像の撮像処理を行う。画像処理部220は、センサーデバイス210からのデジタルの画像データ(画素データ)に基づいて、画像補正処理などの各種の画像処理を行う。なおイメージセンサーとなるセンサーデバイス210の代わりに、図3〜図6等で説明した検出回路を用いてもよい。
【0145】
処理部230は、電子機器の全体の制御を行ったり、電子機器内の各ブロックの制御を行ったりする。この処理部230は、例えばCPU等により実現される。記憶部240は、各種の情報を記憶するものであり、例えば処理部230や画像処理部220のワーク領域として機能する。操作部250は、ユーザが電子機器を操作するためのインターフェースとなるものであり、例えば各種ボタンやGUI(Graphical User Interface)画面などにより実現される。表示部260は、例えばセンサーデバイス210により取得された画像やGUI画面などを表示するものであり、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの各種のディスプレイや投写型表示装置などにより実現される。
【0146】
なお本実施形態は、FPA(Focal Plane Array:焦点面アレイ)を用いた赤外線カメラや赤外線カメラを用いた電子機器に適用できる。赤外線カメラを適用した電子機器としては、例えば夜間の物体像を撮像するナイトビジョン機器、物体の温度分布を取得するサーモグラフィー機器、人の侵入を検知する侵入検知機器、物体の物理情報の解析(測定)を行う解析機器(測定機器)、火や発熱を検知するセキュリティー機器、工場などに設けられるFA(Factory Automation)機器などが想定できる。ナイトビジョン機器を車載機器に適用すれば、車の走行時に夜間の人等の姿を検知して表示することができる。またサーモグラフィー機器に適用すれば、インフルエンザ検疫等に利用することができる。
【0147】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(第1の電源ノード、第2の電源ノード等)と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また検出回路、センサーデバイス、電子機器の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0148】
C1 焦電素子、C2 容量素子、NA1 第1のノード、NA2 第2のノード、
XCG、CG 制御信号、CNT1〜CNT3 第1〜第3の制御信号、
TM1〜TM3 第1〜第3のタイミング、
TA1、TA2、TB1、TB2 カレントミラー用トランジスター、
TA3、TA4、TB3 充電用トランジスター、
TA5、TA6、TB5、TB6 放電用トランジスター、
WL0〜WL239 行線、DL0〜DL319 列線、
20 カレントミラー回路、30 充電回路、40 放電回路、
50 タイミング調整回路、60 電圧取得回路、
100 センサーアレイ、110 行選択回路、120 読み出し回路、
130 A/D変換部、150 制御回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出回路、センサーデバイス及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、焦電素子を用いた赤外線の検出回路が知られている。例えば人体からは、波長が10μm付近の赤外線が輻射されており、これを検出することで人体の存在や温度の情報を非接触で取得できる。従って、このような赤外線の検出回路を利用することで、侵入検知や物理量計測を実現できる。
【0003】
赤外線の検出回路の従来技術としては例えば特許文献1、2に開示される技術が知られている。例えば特許文献1の従来技術では、チョッパーを用いて、焦電素子への赤外線の照射・遮断を繰り返しながら、焦電素子からの焦電流を読み出す。
【0004】
しかしながら、この従来技術には、チョッパーとFPAの間の同期をとる必要があったり、チョッパーの寿命が短いなどの課題がある。
【0005】
特許文献2の従来技術では、焦電素子に対してパルス電圧を印加する方式を採用している。即ち、強誘電体により実現される焦電素子の自発分極量等は、焦電素子に入射した赤外線に起因する焦電素子の温度に応じて変化する。そこで、自発分極量等に対応して変化した焦電素子の表面電荷量を測定することで、入射した赤外線量を測定する。
【0006】
しかしながら、この従来技術では、温度変化に対する検出電圧の変化が緩やかであるため分解能を高くすることが難しく、製造プロセス変動によるバラツキ等も大きいという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭59−142427号公報
【特許文献2】特開平6−265411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の幾つかの態様によれば、製造プロセス変動によるバラツキ等を抑え、分解能を高く設定できる検出回路、センサーデバイス及び電子機器等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、カレントミラー回路と、前記カレントミラー回路の第1のノードと第1の電源ノードとの間に設けられる焦電素子と、前記カレントミラー回路の第2のノードと前記第1の電源ノードとの間に設けられる容量素子と、前記カレントミラー回路を介して前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作を行う充電回路とを含む検出回路に関係する。
【0010】
本発明の一態様によれば、カレントミラー回路の第1のノードと第1の電源ノードとの間に焦電素子が設けられ、カレントミラー回路の第2のノードと第1の電源ノードとの間に容量素子が設けられる。そして充電回路により、カレントミラー回路を介して焦電素子及び容量素子の充電動作が行われる。このようにすれば、例えば焦電素子を充電する際に流れた電流の総量を、容量素子を用いて電圧に変換することが可能になる。従って、分解能を高く設定できる検出回路を実現できる。
【0011】
また本発明の一態様では、前記充電回路により所与の充電期間だけ前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作が行われた後に、前記第2のノードから検出電圧が取得されてもよい。
【0012】
このようにすれば、所与の充電期間だけ充電動作を行い、第2のノードの電圧が安定した後に、その電圧を検出電圧として取得することが可能になる。
【0013】
また本発明の一態様では、前記第1のノード及び前記第2のノードと前記第1の電源ノードとの間に設けられ、前記焦電素子及び前記容量素子の放電動作を行う放電回路を含んでもよい。
【0014】
このようにすれば、チョッパー等を用いなくても、放電回路により焦電素子及び容量素子の放電動作を行って、充電動作による検出電圧の取得の準備を整えることが可能になる。
【0015】
また本発明の一態様では、前記放電回路は、前記第2のノードから検出電圧が取得された後に、前記焦電素子及び前記容量素子の放電動作を行ってもよい。
【0016】
このようにすれば、検出電圧が取得された後に、焦電素子及び容量素子の放電動作を行って、次の充電動作による検出電圧の取得の準備を整えることが可能になる。
【0017】
また本発明の一態様では、前記焦電素子は、赤外線が照射される焦電素子であり、前記容量素子は、赤外線から遮断された焦電素子であってもよい。
【0018】
このように容量素子として焦電素子を用いれば、製造プロセス変動によるバラツキ等を抑え、安定した検出電圧の取得が可能になる。
【0019】
また本発明の一態様では、前記カレントミラー回路は、前記充電回路と前記第1のノードとの間に設けられ、ゲート及びドレインが前記第1のノードに接続される第1のカレントミラー用トランジスターと、前記充電回路と前記第2のノードとの間に設けられ、ゲートが前記第1のノードに接続され、ドレインが前記第2のノードに接続される第2のカレントミラー用トランジスターを含んでもよい。
【0020】
このようにすれば、第1、第2のカレントミラー用トランジスターのカレントミラー比等を設定することで、検出電圧の調整等が可能になる。
【0021】
また本発明の一態様では、前記充電回路は、第2の電源ノードと前記カレントミラー回路との間に設けられ、前記焦電素子及び前記容量素子の充電期間においてオンになり、前記焦電素子及び前記容量素子の放電期間においてオフになる少なくとも1つの充電用トランジスターを含んでもよい。
【0022】
このようにすれば、充電用トランジスターのオン・オフを制御することで、焦電素子及び容量素子の充電動作等を実現できる。
【0023】
また本発明の一態様では、タイミング調整回路を含み、前記タイミング調整回路により指示される第1のタイミングで、前記充電回路が前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作を開始し、前記タイミング調整回路により指示される、前記第1のタイミングよりも遅れた第2のタイミングで、前記第2のノードから検出電圧が取得されてもよい。
【0024】
このようにすれば、第1のタイミングで焦電素子及び容量素子の充電動作を開始し、第1のタイミングよりも遅れた第2のタイミングで、第2のノードから検出電圧を取得できるようになる。
【0025】
また本発明の一態様では、タイミング調整回路を含み、前記タイミング調整回路により指示される第2のタイミングで、前記第2のノードから検出電圧が取得され、前記タイミング調整回路により指示される、前記第2のタイミングよりも遅れた第3のタイミングで、前記放電回路が前記焦電素子及び前記容量素子の放電動作を開始してもよい。
【0026】
このようにすれば、第2のタイミングで第2のノードから検出電圧を取得し、第2のタイミングよりも遅れた第3のタイミングで焦電素子及び容量素子の放電動作を開始できるようになる。
【0027】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の検出回路と、タイミング調整回路とを含み、前記タイミング調整回路により指示される第1のタイミングで、前記充電回路が前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作を開始し、前記タイミング調整回路により指示される、前記第1のタイミングよりも遅れた第2のタイミングで、前記第2のノードから検出電圧が取得されるセンサーデバイスに関係する。
【0028】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の検出回路と、タイミング調整回路とを含み、前記タイミング調整回路により指示される第2のタイミングで、前記第2のノードから検出電圧が取得され、前記タイミング調整回路により指示される、前記第2のタイミングよりも遅れた第3のタイミングで、前記放電回路が前記焦電素子及び前記容量素子の放電動作を開始するセンサーデバイスに関係する。
【0029】
また本発明の他の態様は、複数のセンサーセルが配列されるセンサーアレイと、1又は複数の行線と、1又は複数の列線と、前記1又は複数の行線に接続される行選択回路と、前記1又は複数の列線に接続される読み出し回路とを含み、前記読み出し回路には、前記1又は複数の列線の各列線に対応して容量素子が設けられ、前記複数のセンサーセルの各センサーセルは、カレントミラー回路と、前記カレントミラー回路の第1のノードと第1の電源ノードとの間に設けられる焦電素子と、前記カレントミラー回路を介して前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作を行う充電回路とを含むセンサーデバイスに関係する。
【0030】
本発明の他の態様によれば、読み出し回路には、各列線に対応して容量素子が設けられる。また各センサーセルには、カレントミラー回路と焦電素子と充電回路が設けられる。そして充電回路により、カレントミラー回路を介して焦電素子及び容量素子の充電動作が行われる。このようにすれば焦電素子を充電する際に流れた電流の総量を、容量素子を用いて電圧に変換することが可能になる。従って、分解能を高く設定できるセンサーデバイスを実現できる。
【0031】
また本発明の他の態様では、前記各センサーセルは、前記第1のノードと前記第1の電源ノードとの間に設けられ、前記焦電素子の放電動作を行うセンサーセル側放電回路を含んでもよい。
【0032】
このようにすれば、各センサーセルに設けられたセンサーセル側放電回路を用いて、各センサーセルの焦電素子の放電動作を実現できる。
【0033】
また本発明の他の態様では、前記読み出し回路は、前記列線と前記第1の電源ノードとの間に設けられ、前記容量素子の放電動作を行う読み出し回路側放電回路を含んでもよい。
【0034】
このようにすれば、読み出し回路に設けられた読み出し回路側放電回路を用いて、列線の放電動作が可能になる。
【0035】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の検出回路を含む電子機器に関係する。
【0036】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載のセンサーデバイスを含む電子機器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1(A)、図1(B)は比較例の検出回路の説明図。
【図2】図2(A)、図2(B)は焦電素子の放電特性の例。
【図3】本実施形態の検出回路の基本的な構成例。
【図4】放電回路が設けられた検出回路の構成例。
【図5】タイミング調整回路、電圧取得回路が設けられた検出回路の構成例。
【図6】本実施形態の検出回路の詳細な構成例。
【図7】本実施形態の検出回路の動作を説明する信号波形図。
【図8】焦電素子のヒステリシスループの例。
【図9】検出回路の温度−測定電圧の特性の例。
【図10】本実施形態の検出回路の詳細な他の構成例。
【図11】容量素子として焦電素子を用いる手法の説明図。
【図12】図12(A)、図12(B)はセンサーデバイスの構成例。
【図13】センサーアレイ及び読み出し回路の詳細な構成例。
【図14】本実施形態の電子機器の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0039】
1.比較例
図1(A)に、前述した特許文献2の従来技術の回路構成を比較例として示す。この比較例の検出回路は、焦電素子11、パルス発生回路12、インピーダンス変換回路13、画像信号生成部14を含む。そしてソースフォロワー回路であるインピーダンス変換回路13は、抵抗R1、R2とFETを含む。
【0040】
焦電素子11には赤外線が入射されており、焦電素子11の焦電体(強誘電体)11aには、焦電素子11の温度に応じた自発分極が発生している。そして電極11b、11cの表面電荷と電気的に中性を保っている。
【0041】
パルス発生回路12は、図1(B)に示すようなパルス信号VPを発生して、焦電素子11に電圧を印加する。なお焦電素子11にパルス信号VPの電圧が印加されていない状態では、パルス発生回路12の出力はハイインピーダンス状態に設定されている。
【0042】
図1(B)の期間TN1において、パルス発生回路12によりパルス信号VPの電圧VD0が焦電素子11に印加されると、ノードNDの電圧はVD=VD0になる。これにより、焦電素子11の電極11b、11cに電荷が引き寄せられる。具体的には、例えばプラス電位側の電極11bにプラスの電荷が引き寄せられ、マイナス電位側の電極11cにマイナスの電荷が引き寄せられて、焦電素子11の充電動作が行われる。
【0043】
次の期間TH1において、パルス発生回路12による電圧VD0の印加が停止すると、焦電素子11の電極11b、11cに引き寄せられていた充電電荷が、抵抗R1を介して放電される。例えばプラスの電荷がプラス電位側の電極11bから抵抗R1側に放電され、マイナスの電荷がマイナス電位側の電極11cから抵抗R1側に放電される。これにより抵抗R1に検出電流IDが流れ、ノードNDに発生する電圧VDが検出電圧として取得される。
【0044】
この時、図1(B)のA1に示すように、検出電圧VDの電圧変化は、焦電素子11の容量値とR1の抵抗値により決まるCRの時定数に応じた放電特性になる。そして焦電素子11の容量値は、温度が高くなるほど大きくなる。従って温度が高い場合には、図1(B)のA2に示すように、検出電圧VDの電圧変化はA1に比べて緩やかになる。
【0045】
図1(B)においてパルス信号VPの周期はTPになっており、期間TN1において焦電素子11に充電された全ての電荷が、期間TH1において放電される前に、次の期間TN2において電圧VD0が再度印加される。従って、ノードNDの電圧VDは、期間TN2の開始時には0Vにはならず、VD=VD1になる。例えば期間TH1が十分に長ければ、焦電素子11に充電されていた全ての電荷が放電され、電極11b、11cの電荷と自発分極の電荷が電気的に中和した状態になるため、VDは0Vになる。
【0046】
そして、上述のように焦電素子11の容量値は温度が高いほど大きくなる。従って、図1(B)のA1、A2から明らかなように、温度が高いほど、期間TN2の開始時におけるノードNDの電圧VDは高くなる。
【0047】
以上のように図1(A)の比較例では、焦電素子の両端に電圧(VD0)を印加することで焦電素子を充電し、その後、焦電素子を放電する際に流れる電流(ID)の量を、抵抗(R1)を用いて電圧(VD)に変換することで、赤外線の量を検出する。
【0048】
具体的には、抵抗(R1)を介して放電された電流(ID)が多ければ、焦電素子に充電された電圧(VD)は急速に低下し、放電された電流が小さければ、充電された電圧の低下は遅くなる。そこで、一定時間(図1(B)の期間TH1)だけ放電された後の焦電素子の両端の電圧(VD)を測定することで、赤外線の量を検出する。
【0049】
図2(A)に焦電素子の放電特性の例を示す。図2(A)は、図1(B)のA1、A2に示す電圧VDの特性に対応する。
【0050】
図2(A)のB1に示すように、焦電素子の放電動作の直後においては、焦電素子の両端の電圧(VD)は高くなるため、電圧の測定は容易になる。しかしながら、図2(A)のB1では、時間に対する電圧の変化が大きいため、測定誤差は大きくなる。即ち、電圧の測定タイミング(サンプリングタイミング)が変動すると、測定される電圧も大きく変化してしまう。
【0051】
一方、図2(A)のB2に示すように、ある程度、焦電素子の放電動作が進むと、今度は電圧低下が緩やかになるため、測定誤差は小さくなる。即ち、電圧の測定タイミングが変動しても、測定される電圧はそれほど大きく変化しなくなる。しかしながら、図2(A)のB2では、電圧が低くなるため、電圧の測定は困難になる。
【0052】
図2(B)は、温度に対する測定電圧の特性の周波数依存性を示す図である。つまり、図1(B)のパルス信号VPの周期TPを変化させた時の温度−測定電圧の特性を示す図である。例えば図1(B)においてパルス信号VPの周期TPが長くなり、周波数が低くなると(例えば100Hz)、測定タイミング(VD1のサンプリングタイミング)が時間的に遅れるため、測定電圧(VD1)は低くなる。一方、周期TPが短くなり、周波数が高くなると(例えば2KHz)、測定タイミングが時間的に早まるため、測定電圧は高くなる。
【0053】
また図2(B)のB3に示すように高周波数の領域(放電開始直後)では、温度−測定電圧の特性の線形性が大きく崩れ、例えば下に凸な特性になっている。一方、B4に示すように、低周波数の領域(ある程度放電が進んだタイミング)においても、温度−測定電圧の特性の線形性が崩れており、例えば上に凸な特性になっている。その理由は、焦電素子の温度特性が、元来、非線形であり、その非線形な特性が温度によって変化するからである。このように温度−測定電圧の特性が非線形であると、測定誤差が生じるおそれがある。例えば図2(B)において測定電圧がVDAである場合に、温度がTAであると測定されたり、TBであると測定されてしまう。
【0054】
また図2(A)に示す比較例の出力電圧(焦電素子の両端の電圧)は、過渡的な電流(ID)を抵抗(R1)により電圧に変換したものであり、必ずしも電流の総量を電圧に変換したものではない。従って、この出力電圧は、温度による焦電素子の表面電荷量の変化が全て反映されたものではない。従って、温度変化に対する出力電圧の変化は緩やかになる。更に低周波数の領域では、出力電圧が0Vに近づいて飽和しているため、温度勾配が、より小さくなって、温度差の検出が非常に困難になる。
【0055】
以上のように図1(A)〜図2(B)の比較例では、安定して使用できる周波数範囲が狭く、製造プロセスバラツキ等によって周波数が高周波数側或いは低周波数側にずれると、測定性能が劣化しやすい。即ちパルス信号のクロック周波数がプロセスバラツキ等により変動すると、測定精度が劣化する。更に、温度変化に対する出力電圧の変化が緩やかであるため、分解能を高くできないという課題もある。
【0056】
2.構成
以上のような課題を解決できる本実施形態の検出回路の基本的な構成を図3に示す。図3に示すように、この検出回路は、カレントミラー回路20と充電回路30を含む。更に焦電素子C1と容量素子C2を含むことができる。
【0057】
焦電素子C1(赤外線検出素子、熱検出素子、強誘電体素子)は、カレントミラー回路20の第1のノードNA1(第1のカレントミラーノード)とGNDノード(広義には第1の電源ノード)との間に設けられる。この焦電素子C1は、図1(A)と同様に、焦電体(強誘電体、焦電膜)と、焦電体の両端に設けられる第1、第2の電極とにより構成される。焦電体は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの強誘電体の膜により形成され、自発分極が発生している。そして図1(B)のA1、A2で説明したように、焦電素子C1の容量値は温度に応じて変化する。例えば赤外線の照射により温度が高くなると、焦電素子C1の容量値は大きくなる。なお焦電素子C1を、構成要素として検出回路に含ませない変形実施も可能である。
【0058】
容量素子C2は、カレントミラー回路20の第2のノードNA2(第2のカレントミラーノード)とGNDノード(第1の電源ノード)との間に設けられる。前述のように、焦電素子C1の容量値は温度変化(赤外線の変化)に応じて変化するが、容量素子C2の容量値は、温度変化に対して一定、或いは温度変化に対する容量値の変化の度合いがC1に比べて非常に小さくなっている。具体的には、後述するように容量素子C2は例えば焦電素子により実現される。そして、焦電素子C1には赤外線が照射される一方で、容量素子C2は、赤外線から遮断された焦電素子になっている。なお容量素子C2を、構成要素として検出回路に含ませない変形実施も可能である。
【0059】
カレントミラー回路20は、ノードNA1を介して焦電素子C1に流す電流IA1に対応する電流IA2(カレントミラー電流)を、ノードNA2を介して容量素子C2に流す。例えばIA1のK倍(K>0)の電流IA2を、充電電流として容量素子C2に流す。
【0060】
充電回路30は、カレントミラー回路20を介して焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作を行う。例えば充電用の制御信号XCG(負論理)がアクティブ(Lレベル)になると、充電回路30の充電動作が開始する。そしてVDDのノード(広義には第2の電源ノード)からの電流が、カレントミラー回路20を介して電流IA1、IA2として焦電素子C1、容量素子C2に流れる。これにより焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作が行われる。
【0061】
そして充電回路30により所与の充電期間だけ焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作が行われた後に、ノードNA2からの出力電圧VOUTが検出電圧として取得される。即ち、A/D変換部等の電圧取得回路が検出電圧を取得する。例えば出力電圧VOUTがサンプリングされ、サンプリングされた出力電圧VOUTのA/D変換が行われ、VOUTに対応するデジタルの検出データが取得される。
【0062】
この時、上述のように、赤外線が焦電素子C1に照射されてC1の温度が上昇し、C1の容量値が増加した場合に、容量値C2の容量値は一定或いはその変化値は非常に小さくなる。従って、赤外線の照射により焦電素子C1の温度が上昇すると、それに応じて出力電圧VOUTも大きくなるため、赤外線の量を検出することが可能になる。
【0063】
図4に、放電回路40が更に設けられた検出回路の構成例を示す。この放電回路40は、カレントミラー回路20の第1、第2のノードNA1、NA2とGNDノード(第1の電源ノード)との間に設けられる。そして焦電素子C1及び容量素子C2の放電動作を行う。
【0064】
具体的には放電回路40は、ノードNA2から検出電圧が取得された後に、焦電素子C1及び容量素子C2の放電動作を行う。例えば、図示しない制御回路により制御信号XCGがアクティブ(Lレベル)になると、充電回路30が焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作を行い、検出電圧が取得される。その後に制御信号XCGが非アクティブ(Hレベル)になると、放電回路40が焦電素子C1及び容量素子C2の放電動作を行う。これにより、C1、C2の両端の電極間の電圧差が0Vにリセットされる。その後、制御信号XCGがアクティブ(Lレベル)になると、充電回路30による焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作が行われる。
【0065】
なお図4では、1つの制御信号XCGを用いて充電動作と放電動作の両方を制御しているが、充電用の制御信号とは別の放電用の制御信号を設けて、放電回路40の放電動作を制御してもよい。
【0066】
図5に、タイミング調整回路50、電圧取得回路60が更に設けられた検出回路の構成例を示す。
【0067】
タイミング調整回路50は、検出回路の各種のタイミングを調整(指示、設定)する回路である。具体的にはタイミング調整回路50は、充電回路30の充電開始タイミングである第1のタイミングTM1や、電圧取得回路60の検出電圧取得タイミングである第2のタイミングTM2や、放電回路40の放電開始タイミングである第3のタイミングTM3などを指示する。これらの第1、第2、第3のタイミングTM1、TM2、TM3の指示は、第1、第2、第3の制御信号CNT1、CNT2、CNT3を用いて実現できる。
【0068】
なお図4で説明したように、タイミングTM1(充電開始タイミング)とタイミングTM3(放電開始タイミング)を、共通の同じ制御信号XCGを用いて指示するようにしてもよい。
【0069】
電圧取得回路60は、ノードNA2の検出電圧VOUTを取得する回路である。具体的にはタイミング調整回路50により指示されるタイミングTM2で検出電圧VOUTを取得(サンプリング)する。この電圧取得回路60は、例えばA/D変換部などにより実現できる。
【0070】
図5では、タイミング調整回路50により指示されるタイミングTM1で、充電回路30が焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作を開始する。具体的には、制御信号CNT1がタイミングTM1でアクティブになると充電動作を開始する。そしてタイミング調整回路50により指示されるタイミングTM2で、ノードNA2から検出電圧VOUTが取得される。具体的には、制御信号CNT2がタイミングTM2でアクティブになると、電圧取得回路60が検出電圧VOUTを取得する。ここでタイミングTM2はタイミングTM1よりも遅れたタイミングである。即ち制御信号CNT2は制御信号CNT1よりも遅れてアクティブになる。
【0071】
また図5では、タイミング調整回路50により指示されるタイミングTM2で、ノードNA2から検出電圧VOUTが取得され、タイミング調整回路50により指示されるタイミングTM3で、放電回路40が焦電素子C1及び容量素子C2の放電動作を開始する。具体的には、制御信号CNT2がタイミングTM2でアクティブになると、検出電圧VOUTが取得され、制御信号CNT3がタイミングTM3でアクティブになると、放電動作が開始する。ここでタイミングTM3はタイミングTM2よりも遅れたタイミングである。即ち制御信号CNT3は制御信号CNT2よりも遅れてアクティブになる。
【0072】
なお制御信号CNT1、CNT3として共通の制御信号(図4のXCG)を用いる場合には、この共通制御信号が第1の電圧レベル(例えばLレベル)になるタイミングTM1で、充電回路30が充電動作を開始し、共通制御信号が第2の電圧レベル(例えばHレベル)になるタイミングTM3で、放電回路40が放電動作を開始することになる。
【0073】
また図5では、検出回路の内部にタイミング調整回路50や電圧取得回路60を設ける場合について説明したが、検出回路の外部にタイミング調整回路50や電圧取得回路60を設けてもよい。例えば後述する図12(A)のセンサーデバイスは、カレントミラー回路20や充電回路30や放電回路40を有する検出回路と、タイミング調整回路50や電圧取得回路60を含む。この場合に、例えばタイミング調整回路50は図12(A)の制御回路150に設けられ、電圧取得回路60はA/D変換部130により実現される。
【0074】
図5のようなタイミング調整回路50を設けることで、充電回路30の充電開始タイミング(タイミングTM1)や、電圧取得回路60の検出電圧取得タイミング(タイミングTM2)や、放電回路40の放電開始タイミング(タイミングTM3)の調整や設定が可能になる。これにより、焦電素子C1や容量素子C2の特性等に応じた適正なタイミング制御を実現できる。またタイミングTM1でC1及びC2の充電動作を開始し、タイミングTM2で検出電圧VOUTを取得し、タイミングTM3でC1及びC2の放電動作を開始することで、チョッパー等を用いなくても、適正なタイミングで充電動作や放電動作を行って検出電圧VOUTを取得できるようになる。
【0075】
3.詳細な構成例
図6に、本実施形態の検出回路の詳細な構成例を示す。図6では、カレントミラー回路20、充電回路30、放電回路40の詳細な構成例が示されている。なお本実施形態の検出回路は、図6の構成には限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したり、その接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
【0076】
図6では、カレントミラー回路20は、第1のカレントミラー用トランジスターTA1と第2のカレントミラー用トランジスターTA2を含む。P型のカレントミラー用トランジスターTA1は、充電回路30(ノードNA3)とノードNA1との間に設けられ、ゲート及びドレインがノードNA1に接続される。P型のカレントミラー用トランジスターTA2は、充電回路30(ノードNA4)とノードNA2との間に設けられ、ゲートがノードNA1に接続され、ドレインがノードNA2に接続される。これらのトランジスターTA1、TA2の例えばW/L比を設定することで、カレントミラーの電流比(IA1とIA2の電流比)が設定される。
【0077】
充電回路30は、充電用トランジスターTA3、TA4を含む。これらのP型の充電用トランジスターTA3、TA4は、VCCノード(広義には第2の電源ノード)とカレントミラー回路20(ノードNA3、NA4)との間に設けられる。具体的には、充電用トランジスターTA3のドレインノードは、カレントミラー用トランジスターTA1のソースノードに接続され、充電用トランジスターTA4のドレインノードは、カレントミラー用トランジスターTA2のソースノードに接続される。
【0078】
そして充電用トランジスターTA3、TA4は、焦電素子C1及び容量素子C2の充電期間においてオンになる。またTA3、TA4はC1、C2の放電期間においてオフになる。具体的には、制御信号XCGがLレベル(アクティブ)である場合に、充電用トランジスターTA3、TA4はオンになり、XCGがHレベル(非アクティブ)である場合に、TA3、TA4はオフになる。
【0079】
なお図6では2つの充電用トランジスターTA3、TA4を設けているが、充電用トランジスターは1つでもよい。この場合には、例えば充電用トランジスターTA4を省略し、充電用トランジスターTA3のドレインノードを、カレントミラー用トランジスターTA1及びTA2のソースノードに接続すればよい。
【0080】
放電回路40は、放電用トランジスターTA5、TA6を含む。N型の放電用トランジスターTA5、TA6は、ノードNA1、NA2とGNDノード(第1の電源ノード)との間に設けられる。具体的には、放電用トランジスターTA5のドレインノードは、カレントミラー用トランジスターTA1のドレインノードに接続され、放電用トランジスターTA6のドレインノードは、カレントミラー用トランジスターTA2のドレインノードに接続される。
【0081】
そして放電用トランジスターTA5、TA6は、焦電素子C1及び容量素子C2の放電期間においてオンになる。またTA5、TA6はC1、C2の充電期間においてオフになる。具体的には、制御信号XCGがHレベル(非アクティブ)である場合に放電用トランジスターTA5、TA6はオンになり、XCGがLレベル(アクティブ)である場合にTA5、TA6はオフになる。
【0082】
以上の本実施形態の検出回路によれば、焦電素子C1の表面電荷量に依存する物理量として、焦電素子C1を充電する際に流れた電流の総量が用いられる。そしてこの電流の総量を、カレントミラー回路20を用いて取り出し、容量素子C2を用いて電圧に変換することで、赤外線の量を検出する。即ち図1(A)の比較例では、放電期間(TH1、TH2)において流れる電流を抵抗R1で電圧に変換することで、赤外線検出を実現していた。これに対して本実施形態では、充電期間において焦電素子C1を充電する際に流れた電流の総量を、容量素子C2を用いて電圧に変換することで、赤外線の量を検出している。
【0083】
図7に本実施形態の動作を説明するための信号波形例を示す。図7のD1に示すように、制御信号XCGがHレベルになると、N型の放電用トランジスターTA5、TA6がオンになり、ノードNA1、NA2がGNDレベルになることで、焦電素子C1及び容量素子C2は放電される。
【0084】
次に図7のD2に示すように制御信号XCGがLレベルになると、放電用トランジスターTA5、TA6がオフになる一方で、充電用トランジスターTA3、TA4がオンになる。これにより、カレントミラー回路20のカレントミラー用トランジスターTA1、TA2を介して焦電素子C1、容量素子C2が充電される。
【0085】
充電が開始すると、図7のD3に示すように、焦電素子C1の一端の電圧VTEはVCC−VTHP付近まで上昇して、充電が停止する。なおVTHPはP型トランジスターTA1のしきい値電圧である。このとき、焦電素子C1を充電した電流に比例する電流によって、容量素子C2が充電される。これにより、図7のD4、D5、D6に示すようにノードNA2の出力電圧VOUTが変化する。ここでD4、D5、D6は、各々、温度が低い場合、中間の場合、温度が高い場合の出力電圧である。即ち、焦電素子C1に照射される赤外線の量が多くなり、温度が高くなるにつれて、出力電圧VOUTは大きくなる。
【0086】
図1(A)の比較例では、図7のD7のような放電期間での電圧の変化を検出しているため、検出電圧の分解能を高くすることが困難になる。これに対して本実施形態では、充電期間に流れる電流の総量を電圧に変換して検出している。従って、図7のD4、D5、D6に示すように、温度変化に対する出力電圧VOUTの変化が大きくなり、検出電圧の分解能を高くできる。
【0087】
例えば焦電素子C1を充電した電荷の総量をQ1とし、容量素子C2を充電した電荷の総量をQ2とした場合に、Q1、Q2は、トランジスターTA1、TA2に流れる電流IA1、IA2を用いて、下式(1)、(2)のように表される。
【0088】
【数1】
【0089】
そして、カレントミラー回路20のカレントミラー比をKとした場合に、Q2は下式(3)のようになる。
【0090】
【数2】
【0091】
例えばトランジスターTA1のW/L比に対するTA2のW/L比の比率を1に設定すれば、K=1になり、Q2=Q1になる。また、これらのW/L比の比率を2に設定すれば、K=2になり、Q2=2・Q1になる。
【0092】
そして、C2が、その容量値がCC2である常誘電体の容量素子であり、充電期間での出力電圧の到達電圧(検出電圧)をVDTとすると、下式(4)が成り立つ。
【0093】
【数3】
【0094】
従って、上式(3)と(4)から、到達電圧VDTは下式(5)のように求められ、下式(6)に示すようにVDTは焦電素子C1の充電電荷総量Q1に比例する。
【0095】
【数4】
【0096】
そして強誘電体の焦電素子C1の容量値は温度が高くなるにつれて大きくなり、Q1も温度が高くなるにつれて大きくなる。従って、図7のD4、D5、D6に示すように、VOUTの到達電圧VDTも温度が高くなるにつれて大きくなる。
【0097】
例えば図8に強誘電体の焦電素子C1のヒステリシスループの例を示す。E1は低温の場合のヒステリシスループであり、E2は高温の場合のヒステリシスループである。図8に示すように、高温の場合のヒステリシスループでの自発分極PR2(残留分極)は、低温の場合の自発分極PR1よりも小さくなる。
【0098】
一方、図8のE3、E4等の各電圧でのヒステリシスループの傾きが、焦電素子C1の容量値(誘電率)の大きさに対応する。そしてE3、E4に示すように、高温のヒステリシスループの各電圧での傾きの方が、低温のヒステリシスループの各電圧での傾きよりも大きくなっている。即ち焦電素子C1の平均的な容量値の大きさは、高温の場合の方が大きくなる。従って、図8に示すように充電電荷総量Q1は高温での値Q1Hの方が低温での値Q1Lよりも大きくなるため、上式(6)から、高温の場合の方がVOUTの到達電圧VDTも大きくなる。
【0099】
なお図8のヒステリシスループから明らかなように、焦電素子C1の充電電荷総量Q1は下式(7)のように表すことができる。
【0100】
【数5】
【0101】
ここでCC1(VTE)は、焦電素子C1の容量値であり、図8のE3、E4に示すように各電圧での傾きに対応する値であるため、電圧VTEの関数として表すことができる。そして上式(7)のように、この容量値CC1(VTE)を、VTE=0Vから到達電圧であるVTE=VCC−VTHPまで積分した値が、焦電素子C1の充電電荷総量Q1に相当する。
【0102】
また、後に詳述するように、容量素子C2を、赤外線から遮断された焦電素子(強誘電体)で構成した場合には、容量素子C2の充電電荷総量Q2は下式(8)のように表すことができる。
【0103】
【数6】
【0104】
ここでCC2(VOUT)は、焦電素子である容量素子C2の容量値であり、出力電圧VOUTの関数として表すことができる。そして上式(8)のように、この容量値CC2(VOUT)を、VOUT=0Vから到達電圧VTDまで積分した値が、容量素子C2の充電電荷総量Q2に相当する。
【0105】
従って、上式(3)、(7)、(8)から下式(9)が成立することになる。
【0106】
【数7】
【0107】
上式(9)において、温度が上昇するとCC1(VTE)は全体的に上昇するが、温度上昇に対してCC2(VOUT)はほぼ一定になる。従って、温度が上昇するとノードNA2の到達電圧VDTが高くなる。具体的には、焦電素子C1には赤外線が照射されているため、赤外線の照射により温度が高くなるとCC1(VTE)は上昇する。一方、焦電素子で構成される容量素子C2には赤外線が照射されないため、温度は上昇せず、CC2(VOUT)はほぼ一定になる。従って、到達電圧VDTを測定することで、焦電素子C1に照射される赤外線の量を検出できる。
【0108】
以上のように本実施形態によれば、VTEがVCC−VTHPとほぼ同電位となるような十分な時間をかけて充電動作を行うことで、VOUT(VDT)は、周波数に依存しない一定の値になる。また本実施形態では、図1(A)の比較例のような焦電素子の過渡的な電圧特性の影響は現れない。従って、測定周波数に依存せずに安定した測定結果を得ることができる。
【0109】
例えば図9のF1は、本実施形態の検出回路での温度−測定電圧の特性の例である。温度が高くなるにつれて測定電圧が高くなっており、測定周波数の依存性もない。これに対して図9のF2〜F6は、図1(A)の比較例での温度−測定電圧の特性の例であり、F2が周波数が低い場合の特性であり、F6が周波数が高い場合の特性である。このように比較例では測定電圧に周波数依存性があるが、本実施形態によればこのような周波数依存性を無くすことができる。
【0110】
また本実施形態によれば、過渡的な電流の差ではなく、総電流の差を電圧に変換しているため、図9のF1に示すように、温度変化に対する測定電圧の変化量も大きくなる。このとき、図6のトランジスターTA2の電流供給能力(W/L比、カレントミラー比)や、容量素子C2の容量値を調整することで、Q1の温度変化量ΔQ1に比例したVOUTの変化量ΔVOUTを適宜調整して、温度によるΔVOUTの変化量を更に大きく設定することが可能になる。例えば最大の測定温度の場合にもVOUTが飽和しない範囲でVOUTが最大値になるように、TA2の電流供給能力やC2の容量値を調整する。こうすることで、測定のダイナミックレンジを広げることが可能になる。
【0111】
また本実施形態では図7のD8に示すように、VOUTが十分に安定した状態で、再び制御信号XCG=VCCにすることで、図6の放電用のトランジスターTA5、TA6がオンになり、焦電素子C1及び容量素子C2は再度放電され、再び測定準備が整う。従って、焦電素子C1を定期的に赤外線から遮断するチョッパーを用いなくても、焦電素子C1の温度を継続して測定することが可能になる。
【0112】
なお本実施形態の検出回路は図6の構成に限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば図10に検出回路の他の構成例を示す。
【0113】
図10の検出回路も、カレントミラー回路20と焦電素子C1と容量素子C2と充電回路30を含む。更に放電回路40を含む。
【0114】
焦電素子C1は、カレントミラー回路20のノードNB1とVCCノード(広義には第1の電源ノード)との間に設けられる。容量素子C2は、カレントミラー回路20のノードNB2とVCCノードとの間に設けられる。充電回路30は、カレントミラー回路20を介して焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作を行う。放電回路40は、ノードNB1、NB2とVCCノードとの間に設けられ、焦電素子C1及び容量素子C2の放電動作を行う。
【0115】
そして図10では、カレントミラー回路20は、N型のカレントミラー用トランジスターTB1、TB2により構成され、充電回路30は、N型の充電用トランジスターTB3により構成される。また放電回路40は、P型の放電用トランジスターTB5、TB6により構成される。そして、トランジスターTB5のドレインは焦電素子C1の一端側の電極に接続され、TB5のソースは焦電素子C1の他端側(VCC側)の電極に接続される。またトランジスターTB6のドレインは容量素子C2の一端側の電極に接続され、TB6のソースは容量素子C2の他端側の電極に接続される。
【0116】
制御信号CGがLレベル(非アクティブ)になると、トランジスターTB5がオンになり、焦電素子C1の両端の電極の電位が同電位になり、焦電素子C1の放電動作が行われる。またトランジスターTB6がオンになり、容量素子C2の両端の電極の電位が同電位になり、容量素子C2の放電動作が行われる。
【0117】
その後、制御信号CGがHレベル(アクティブ)になると、トランジスターTB5、TB6がオフになると共に、トランジスターTB3がオンになる。これにより、カレントミラー回路20を介して、焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作が行われる。そして、充電期間において焦電素子C1を充電する際に流れた電流の総量を、容量素子C2を用いて電圧に変換することで、赤外線の量を検出できる。
【0118】
4.容量素子
本実施形態では、C1は、赤外線が照射される焦電素子であり、C2は、赤外線から遮断された焦電素子であることが望ましい。即ち、容量素子C2として、赤外線検出用の焦電素子C1と同一構造であり、且つ、赤外線から遮断された焦電素子を用いる。このようにすれば、容量素子C2の製造バラツキは、焦電素子C1の製造バラツキに連動するようになる。従って、製造バラツキにより焦電素子C1の特性にバラツキが生じた場合にも、容量素子C2のバラツキとキャンセルされて、安定した測定結果を得ることが可能になる。
【0119】
例えば図11において、焦電素子C1は、強誘電体膜90と、電極91、92により形成される。即ち、強誘電体膜90を、電極91、92により挟んだ構造により、焦電素子C1が実現される。そして、この焦電素子C1には赤外線が照射される構造となっており、赤外線の照射による温度が上昇すると、C1の容量値も上昇する。
【0120】
一方、容量素子C2も、強誘電体膜94と、電極95、96により形成される。即ち、強誘電体膜94を、電極95、96により挟んだ構造により、容量素子C2が実現され、焦電素子C1と同一構造になっている。そして、この容量素子C2には赤外線が照射されない構造となっており、焦電素子C1に赤外線が照射されているときにも、容量素子C2には赤外線は照射されない。従って、前述の式(1)〜(9)等で説明したように、赤外線の照射により焦電素子C1の容量値が上昇することで、VOUTの到達電圧VDTも上昇し、焦電素子C1に照射された赤外線の量を検出できるようになる。
【0121】
なお、製造バラツキによる変動を少なくするためには、焦電素子C1と容量素子C2を、同じエリア或いは近くのエリアに形成することが望ましい。このようにすることで、焦電素子C1と容量素子C2の製造プロセスの条件・状態を近づけることが可能になる。但し、例えば焦電素子C1については、センサーアレイ等が形成されるセンサーエリアに形成し、容量素子C2については、周辺回路等が形成される回路エリアに形成することも可能である。また製造バラツキによる測定電圧の変動を低減するために、測定電圧と赤外線の量(温度)の関係についてのキャリブレーション処理を行うことが望ましい。
【0122】
5.センサーデバイス
図12(A)に本実施形態のセンサーデバイスの構成例を示す。このセンサーデバイスは、センサーアレイ100と、行選択回路(行ドライバー)110と、読み出し回路120を含む。またA/D変換部130、制御回路150を含むことができる。このセンサーデバイスを用いることで、例えばナイトビジョン機器などに用いられる赤外線カメラなどを実現できる。
【0123】
センサーアレイ100(焦点面アレイ)には、複数のセンサーセルが配列(配置)される。また複数の行線(ワード線、走査線)と複数の列線(データ線)が設けられる。なお行線及び列線の一方の本数が1本であってもい。例えば行線が1本である場合には、図12(A)において行線に沿った方向(横方向)に複数のセンサーセルが配列される。一方、列線が1本である場合には、列線に沿った方向(縦方向)に複数のセンサーセルが配列される。
【0124】
図12(B)に示すように、センサーアレイ100の各センサーセルは、各行線と各列線の交差位置に対応する場所に配置(形成)される。例えば図12(B)のセンサーセルは、行線WL1と列線DL1の交差位置に対応する場所に配置されている。他のセンサーセルも同様である。
【0125】
行選択回路110は、1又は複数の行線に接続される。そして各行線の選択動作を行う。例えば図12(B)のようなQVGA(320×240画素)のセンサーアレイ100(焦点面アレイ)を例にとれば、行線WL0、WL1、WL2・・・・WL239を順次選択(走査)する動作を行う。即ちこれらの行線を選択する信号(ワード選択信号)をセンサーアレイ100に出力する。
【0126】
読み出し回路120は、1又は複数の列線に接続される。そして各列線の読み出し動作を行う。QVGAのセンサーアレイ100を例にとれば、列線DL0、DL1、DL2・・・・DL319からの検出信号(検出電流、検出電荷)を読み出す動作を行う。
【0127】
A/D変換部130は、読み出し回路120において取得された検出電圧(測定電圧、到達電圧)をデジタルデータにA/D変換する処理を行う。そしてA/D変換後のデジタルデータDOUTを出力する。具体的には、A/D変換部130には、複数の列線の各列線に対応して各A/D変換器が設けられる。そして、各A/D変換器は、対応する列線において読み出し回路120により取得された検出電圧のA/D変換処理を行う。なお、複数の列線に対応して1つのA/D変換器を設け、この1つのA/D変換器を用いて、複数の列線の検出電圧を時分割にA/D変換してもよい。
【0128】
制御回路150(タイミング生成回路)は、各種の制御信号を生成して、行選択回路110、読み出し回路120、A/D変換部130に出力する。例えば充電や放電(リセット)の制御信号を生成して出力する。或いは、各回路のタイミングを制御する信号を生成して出力する。
【0129】
図13に、センサーアレイ100や読み出し回路120の詳細な構成例を示す。なお、図13の構成と図3〜図11で説明した本実施形態の各種構成・手法を組み合わせた変形実施も可能である。
【0130】
図13に示すように、読み出し回路120には、1又は複数の列線の各列線に対応して容量素子C2が設けられている。そして複数のセンサーセルの各センサーセルは、カレントミラー回路(TA1、TA2)と、カレントミラー回路の第1のノードNA1とGNDノード(第1の電源ノード)との間に設けられる焦電素子C1と、カレントミラー回路を介して焦電素子C1及び容量素子C2の充電動作を行う充電回路(TA3)を含む。
【0131】
また各センサーセルはセンサーセル側放電回路(TA5)を含む。このセンサーセル側放電回路(TA5)は、ノードNA1とGNDノードとの間に設けられ、焦電素子C1の放電動作を行う。一方、読み出し回路120は、読み出し回路側放電回路(TA6)を含む。この読み出し回路側放電回路(TA6)は、各列線とGNDノードとの間に設けられる。例えばカレントミラー回路の第2のノードに対応する列線DL(DL0〜DL319)のノードとGNDノードとの間に設けられ、容量素子C2の放電動作を行う。
【0132】
具体的には図13では、図6のトランジスターTA4はTA3と共通化されて、充電用トランジスターは1つになっている。そして充電回路を構成するトランジスターTA3は、行線WL(WL0〜WL239)により選択されて、各センサーセル内の焦電素子C1を充電する。例えば、対応する行線WLがLレベルになると充電動作を開始する。そしてトランジスターTA1及びTA2により構成されるカレントミラー回路を介して、対応する焦電素子C1を充電する。
【0133】
またカレントミラー回路のノードNA1には、センサーセル側放電回路を構成するトランジスターTA5のドレインが接続されている。そしてトランジスターTA5は、対応する行線WLがHレベルになると放電動作を開始する。即ち焦電素子C1に充電された電荷をGND側に放電する。
【0134】
読み出し回路120には、各列線DL(DL0〜DL319)に対応して、読み出し回路側放電回路を構成するトランジスターTA6が設けられている。即ち、各列線DLには、放電用トランジスターTA6のドレインと、容量素子C2の一端側の電極が接続される。そして、放電用トランジスターTA6は、行線WLと同じタイミングで動作するリセット信号RSTによって、列線DLのノードの放電動作を行う。例えば行線WLがHレベルの場合に、リセット信号RSTもHレベルになり、読み出し回路側のN型の放電用トランジスターTA6がオンになることで、容量素子C2の放電が行われる。この時、行線WLがHレベルになることで、センサーセル側の放電用トランジスターTA5もオンになり、焦電素子C1の放電が行われる。
【0135】
その後に、行線WL及びリセット信号RSTがLレベルになると、センサーセル側の放電用トランジスターTA5及び読み出し回路側の放電用トランジスターTA6がオフになる。そしてセンサーセルの充電用トランジスターTA3がオンになることで、センサーセルのカレントミラー回路を介して、焦電素子C1及び容量素子C2の充電が行われる。そして、所与の充電期間だけ焦電素子C1及び容量素子C2の充電が行われ後に、列線DLのノードの電圧が検出電圧として取り込まれ(サンプリングされ)、取り込まれた検出電圧がA/D変換部130によりA/D変換される。このようにして、検出電圧(測定電圧)に対応するデジタルデータDOUTが取得される。
【0136】
以上の行線WLの選択処理は例えばWL0、WL1、WL2・・・・・WL239の順で行われる。例えば、まず行線WL(WL0〜WL239)及びリセット信号RSTをHレベルにして、全ての行線WLに接続されるセンサーセルの焦電素子C1と、読み出し回路120の全ての列線DL0〜DL319に対応する容量素子C2の放電動作を行う。
【0137】
その後、行線WL0及びリセット信号RSTをLレベルにして、行線WL0に接続されるセンサーセルの焦電素子C1と、読み出し回路120の全ての列線DL0〜DL319に対応する容量素子C2の充電動作を行う。この間、他の行線WL1〜WL239はHレベルを維持し、これらの行線に対応するセンサーセルにおいて充電動作が行われないようにする。そして充電期間の経過後に、列線DL0〜DL319の検出電圧を取得する。これにより、行線WL0に接続されるセンサーセルからの検出電圧が取得される。
【0138】
次に行線WL0及びリセット信号RSTをHレベルにして、行線WL0に接続されるセンサーセルの焦電素子C1と、読み出し回路120の全ての列線DL0〜DL319に対応する容量素子C2の放電動作を行う。
【0139】
その後、行線WL1及びリセット信号RSTをLレベルにして、行線WL1に接続されるセンサーセルの焦電素子C1と、読み出し回路120の全ての列線DL0〜DL319に対応する容量素子C2の充電動作を行う。この間、他の行線WL0及びWL2〜WL239はHレベルを維持し、これらの行線に対応するセンサーセルにおいて充電動作が行われないようにする。そして充電期間の経過後に、列線DL0〜DL319の検出電圧を取得する。これにより、行線WL1に接続されるセンサーセルからの検出電圧が取得される。
【0140】
次に行線WL1及びリセット信号RSTをHレベルにして、行線WL1に接続されるセンサーセルの焦電素子C1と、読み出し回路120の全ての列線DL0〜DL319に対応する容量素子C2の放電動作を行う。
【0141】
なお行線WL0〜WL239やリセット信号RSTや読み出し回路120の制御手法は、上述した手法に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【0142】
6.電子機器
図14に本実施形態のセンサーデバイスや検出回路を含む電子機器の構成例を示す。この電子機器は、光学系200、センサーデバイス210(検出回路)、画像処理部220、処理部230、記憶部240、操作部250、表示部260を含む。なお本実施形態の電子機器は図14の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば光学系、操作部、表示部等)を省略したり、他の構成要素を追加したりするなどの種々の変形実施が可能である。
【0143】
光学系200は、例えば1又は複数のレンズや、これらのレンズを駆動する駆動部などを含む。そしてセンサーデバイス210への物体像の結像などを行う。また必要であればフォーカス調整なども行う。
【0144】
センサーデバイス210は、図12(A)等で説明したものであり、物体像の撮像処理を行う。画像処理部220は、センサーデバイス210からのデジタルの画像データ(画素データ)に基づいて、画像補正処理などの各種の画像処理を行う。なおイメージセンサーとなるセンサーデバイス210の代わりに、図3〜図6等で説明した検出回路を用いてもよい。
【0145】
処理部230は、電子機器の全体の制御を行ったり、電子機器内の各ブロックの制御を行ったりする。この処理部230は、例えばCPU等により実現される。記憶部240は、各種の情報を記憶するものであり、例えば処理部230や画像処理部220のワーク領域として機能する。操作部250は、ユーザが電子機器を操作するためのインターフェースとなるものであり、例えば各種ボタンやGUI(Graphical User Interface)画面などにより実現される。表示部260は、例えばセンサーデバイス210により取得された画像やGUI画面などを表示するものであり、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの各種のディスプレイや投写型表示装置などにより実現される。
【0146】
なお本実施形態は、FPA(Focal Plane Array:焦点面アレイ)を用いた赤外線カメラや赤外線カメラを用いた電子機器に適用できる。赤外線カメラを適用した電子機器としては、例えば夜間の物体像を撮像するナイトビジョン機器、物体の温度分布を取得するサーモグラフィー機器、人の侵入を検知する侵入検知機器、物体の物理情報の解析(測定)を行う解析機器(測定機器)、火や発熱を検知するセキュリティー機器、工場などに設けられるFA(Factory Automation)機器などが想定できる。ナイトビジョン機器を車載機器に適用すれば、車の走行時に夜間の人等の姿を検知して表示することができる。またサーモグラフィー機器に適用すれば、インフルエンザ検疫等に利用することができる。
【0147】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(第1の電源ノード、第2の電源ノード等)と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また検出回路、センサーデバイス、電子機器の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0148】
C1 焦電素子、C2 容量素子、NA1 第1のノード、NA2 第2のノード、
XCG、CG 制御信号、CNT1〜CNT3 第1〜第3の制御信号、
TM1〜TM3 第1〜第3のタイミング、
TA1、TA2、TB1、TB2 カレントミラー用トランジスター、
TA3、TA4、TB3 充電用トランジスター、
TA5、TA6、TB5、TB6 放電用トランジスター、
WL0〜WL239 行線、DL0〜DL319 列線、
20 カレントミラー回路、30 充電回路、40 放電回路、
50 タイミング調整回路、60 電圧取得回路、
100 センサーアレイ、110 行選択回路、120 読み出し回路、
130 A/D変換部、150 制御回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カレントミラー回路と、
前記カレントミラー回路の第1のノードと第1の電源ノードとの間に設けられる焦電素子と、
前記カレントミラー回路の第2のノードと前記第1の電源ノードとの間に設けられる容量素子と、
前記カレントミラー回路を介して前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作を行う充電回路と、
を含むことを特徴とする検出回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記充電回路により所与の充電期間だけ前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作が行われた後に、前記第2のノードから検出電圧が取得されることを特徴とする検出回路。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1のノード及び前記第2のノードと前記第1の電源ノードとの間に設けられ、前記焦電素子及び前記容量素子の放電動作を行う放電回路を含むことを特徴とする検出回路。
【請求項4】
請求項3において、
前記放電回路は、
前記第2のノードから検出電圧が取得された後に、前記焦電素子及び前記容量素子の放電動作を行うことを特徴とする検出回路。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記焦電素子は、赤外線が照射される焦電素子であり、
前記容量素子は、赤外線から遮断された焦電素子であることを特徴とする検出回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記カレントミラー回路は、
前記充電回路と前記第1のノードとの間に設けられ、ゲート及びドレインが前記第1のノードに接続される第1のカレントミラー用トランジスターと、
前記充電回路と前記第2のノードとの間に設けられ、ゲートが前記第1のノードに接続され、ドレインが前記第2のノードに接続される第2のカレントミラー用トランジスターを含むことを特徴とする検出回路。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記充電回路は、
第2の電源ノードと前記カレントミラー回路との間に設けられ、前記焦電素子及び前記容量素子の充電期間においてオンになり、前記焦電素子及び前記容量素子の放電期間においてオフになる少なくとも1つの充電用トランジスターを含むことを特徴とする検出回路。
【請求項8】
請求項1において、
タイミング調整回路を含み、
前記タイミング調整回路により指示される第1のタイミングで、前記充電回路が前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作を開始し、前記タイミング調整回路により指示される、前記第1のタイミングよりも遅れた第2のタイミングで、前記第2のノードから検出電圧が取得されることを特徴とする検出回路。
【請求項9】
請求項3において、
タイミング調整回路を含み、
前記タイミング調整回路により指示される第2のタイミングで、前記第2のノードから検出電圧が取得され、前記タイミング調整回路により指示される、前記第2のタイミングよりも遅れた第3のタイミングで、前記放電回路が前記焦電素子及び前記容量素子の放電動作を開始することを特徴とする検出回路。
【請求項10】
請求項1に記載の検出回路と、
タイミング調整回路とを含み、
前記タイミング調整回路により指示される第1のタイミングで、前記充電回路が前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作を開始し、前記タイミング調整回路により指示される、前記第1のタイミングよりも遅れた第2のタイミングで、前記第2のノードから検出電圧が取得されることを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項11】
請求項3に記載の検出回路と、
タイミング調整回路とを含み、
前記タイミング調整回路により指示される第2のタイミングで、前記第2のノードから検出電圧が取得され、前記タイミング調整回路により指示される、前記第2のタイミングよりも遅れた第3のタイミングで、前記放電回路が前記焦電素子及び前記容量素子の放電動作を開始することを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項12】
複数のセンサーセルが配列されるセンサーアレイと、
1又は複数の行線と、
1又は複数の列線と、
前記1又は複数の行線に接続される行選択回路と、
前記1又は複数の列線に接続される読み出し回路と、
を含み、
前記読み出し回路には、前記1又は複数の列線の各列線に対応して容量素子が設けられ、
前記複数のセンサーセルの各センサーセルは、
カレントミラー回路と、
前記カレントミラー回路の第1のノードと第1の電源ノードとの間に設けられる焦電素子と、
前記カレントミラー回路を介して前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作を行う充電回路と、
を含むことを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項13】
請求項12において、
前記各センサーセルは、
前記第1のノードと前記第1の電源ノードとの間に設けられ、前記焦電素子の放電動作を行うセンサーセル側放電回路を含むことを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項14】
請求項12又は13において、
前記読み出し回路は、
前記列線と前記第1の電源ノードとの間に設けられ、前記容量素子の放電動作を行う読み出し回路側放電回路を含むことを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項15】
請求項1乃至9のいずれかに記載の検出回路を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項16】
請求項10乃至14のいずれかに記載のセンサーデバイスを含むことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
カレントミラー回路と、
前記カレントミラー回路の第1のノードと第1の電源ノードとの間に設けられる焦電素子と、
前記カレントミラー回路の第2のノードと前記第1の電源ノードとの間に設けられる容量素子と、
前記カレントミラー回路を介して前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作を行う充電回路と、
を含むことを特徴とする検出回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記充電回路により所与の充電期間だけ前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作が行われた後に、前記第2のノードから検出電圧が取得されることを特徴とする検出回路。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1のノード及び前記第2のノードと前記第1の電源ノードとの間に設けられ、前記焦電素子及び前記容量素子の放電動作を行う放電回路を含むことを特徴とする検出回路。
【請求項4】
請求項3において、
前記放電回路は、
前記第2のノードから検出電圧が取得された後に、前記焦電素子及び前記容量素子の放電動作を行うことを特徴とする検出回路。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記焦電素子は、赤外線が照射される焦電素子であり、
前記容量素子は、赤外線から遮断された焦電素子であることを特徴とする検出回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記カレントミラー回路は、
前記充電回路と前記第1のノードとの間に設けられ、ゲート及びドレインが前記第1のノードに接続される第1のカレントミラー用トランジスターと、
前記充電回路と前記第2のノードとの間に設けられ、ゲートが前記第1のノードに接続され、ドレインが前記第2のノードに接続される第2のカレントミラー用トランジスターを含むことを特徴とする検出回路。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記充電回路は、
第2の電源ノードと前記カレントミラー回路との間に設けられ、前記焦電素子及び前記容量素子の充電期間においてオンになり、前記焦電素子及び前記容量素子の放電期間においてオフになる少なくとも1つの充電用トランジスターを含むことを特徴とする検出回路。
【請求項8】
請求項1において、
タイミング調整回路を含み、
前記タイミング調整回路により指示される第1のタイミングで、前記充電回路が前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作を開始し、前記タイミング調整回路により指示される、前記第1のタイミングよりも遅れた第2のタイミングで、前記第2のノードから検出電圧が取得されることを特徴とする検出回路。
【請求項9】
請求項3において、
タイミング調整回路を含み、
前記タイミング調整回路により指示される第2のタイミングで、前記第2のノードから検出電圧が取得され、前記タイミング調整回路により指示される、前記第2のタイミングよりも遅れた第3のタイミングで、前記放電回路が前記焦電素子及び前記容量素子の放電動作を開始することを特徴とする検出回路。
【請求項10】
請求項1に記載の検出回路と、
タイミング調整回路とを含み、
前記タイミング調整回路により指示される第1のタイミングで、前記充電回路が前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作を開始し、前記タイミング調整回路により指示される、前記第1のタイミングよりも遅れた第2のタイミングで、前記第2のノードから検出電圧が取得されることを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項11】
請求項3に記載の検出回路と、
タイミング調整回路とを含み、
前記タイミング調整回路により指示される第2のタイミングで、前記第2のノードから検出電圧が取得され、前記タイミング調整回路により指示される、前記第2のタイミングよりも遅れた第3のタイミングで、前記放電回路が前記焦電素子及び前記容量素子の放電動作を開始することを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項12】
複数のセンサーセルが配列されるセンサーアレイと、
1又は複数の行線と、
1又は複数の列線と、
前記1又は複数の行線に接続される行選択回路と、
前記1又は複数の列線に接続される読み出し回路と、
を含み、
前記読み出し回路には、前記1又は複数の列線の各列線に対応して容量素子が設けられ、
前記複数のセンサーセルの各センサーセルは、
カレントミラー回路と、
前記カレントミラー回路の第1のノードと第1の電源ノードとの間に設けられる焦電素子と、
前記カレントミラー回路を介して前記焦電素子及び前記容量素子の充電動作を行う充電回路と、
を含むことを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項13】
請求項12において、
前記各センサーセルは、
前記第1のノードと前記第1の電源ノードとの間に設けられ、前記焦電素子の放電動作を行うセンサーセル側放電回路を含むことを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項14】
請求項12又は13において、
前記読み出し回路は、
前記列線と前記第1の電源ノードとの間に設けられ、前記容量素子の放電動作を行う読み出し回路側放電回路を含むことを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項15】
請求項1乃至9のいずれかに記載の検出回路を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項16】
請求項10乃至14のいずれかに記載のセンサーデバイスを含むことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−158467(P2011−158467A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287146(P2010−287146)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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