検品ゲートシステム
【課題】特別な設備を設けることや作業者の作業量を増やすことなく、電波の漏洩を防止し、かつ、無線ICタグの読み取り率を向上させる検品ゲートシステムを提供すること。
【解決手段】検品ゲートシステム2のゲート4の両側面、天井、入口及び出口を電波遮蔽シート6で覆う。これにより、検品中、電波がゲート4外部に漏洩することがなく、不要な無線ICタグ30を誤って読み取ることがない。また、電波がゲート4内部で何度も反射しながら回り込むように伝搬するため、電子基板等の導電性の物品が収納されたバケット32に付された無線ICタグ30にも当たるようになり、読み取り率を向上させることができる。
【解決手段】検品ゲートシステム2のゲート4の両側面、天井、入口及び出口を電波遮蔽シート6で覆う。これにより、検品中、電波がゲート4外部に漏洩することがなく、不要な無線ICタグ30を誤って読み取ることがない。また、電波がゲート4内部で何度も反射しながら回り込むように伝搬するため、電子基板等の導電性の物品が収納されたバケット32に付された無線ICタグ30にも当たるようになり、読み取り率を向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UHF(Ultra High Frequency)帯RFID(Radio Frequency IDentification)技術を利用した検品ゲートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場で生産された電子基板等の電子部品、その他の物品を出荷する際、一般に、出荷する物品の種類や数量を検査する検品が行われている。従来、物品の種類や数量を記録したバーコードを物品に貼付し、バーコードに記録された物品の種類や数量を携帯型バーコードリーダを用いて読み取り、パソコン等に送信して検品を行っていた。作業員は、携帯型バーコードリーダを、物品又は複数の物品を収納したバケットに貼られているバーコードに近づけて、1枚ずつ読み取って検品作業を行っていた。しかし、この方法では、物品の生産量が増大し、検品する物品やバケット数が増えた場合、読み取り作業時間が長くなり、作業員の負担感も大きくなって作業ミスの頻度が高まるという問題があった。
【0003】
この問題を解決するものとして、通信距離が数m程度のUHF帯952MHzから954MHz(国内電波法による)の電波を使用するRFID技術を利用した検品ゲートシステムが導入された。このゲートは、物品の入出庫個所に設置され、作業者が、物品の種類や数量を記録した無線ICタグが付されたバケットの数個から数十個をハンドリフトや台車等に乗せてゲートを通過すると、ゲートに設けられた送受信機が、アンテナを介してバケットに付された無線ICタグと交信して検品を行うようになっている。これにより、検品作業の大幅な効率化が図れるようになった。
【0004】
しかし、バケット内に電子基板等の導電性の物品が収納されていた場合、これらの物品が電波を反射するため、バケットを多数積み重ねると内部まで電波が到達しにくくなり、無線ICタグの読み取り率が悪くなるという問題があった。このような問題を解決するものとして、例えば、特許文献1がある。特許文献1では、送受信機から送信された電波を、複数の反射板からなる電波指向部を経由して、検品対象の無線ICタグに照射させるようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開2007―88518公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1では、一度に検品するバケット数が多くなると外形も大きくなり、周囲全面を交信領域としてカバーすることは難しく、電波が当たらない箇所が発生しやすくなり、読み取り率が低下する可能性がある。また、一般的に、出庫個所のゲートの入口側には、出荷準備完了品置場があり、出荷準備が完了したバケットが多数積み上げて置かれている。出荷準備完了品置場が狭く、場所に余裕がないときには、ゲートの出口側にもバケットが積み上げて置かれている場合がある。このような場合、特許文献1では、ゲート外部周辺に置かれているバケットの無線ICタグも誤って読み取ってしまうという問題がある。すなわち、UHF帯の電波は遠くまで届くため、作業者自体あるいは、検品のためゲート内に山積みしてあるバケット内の導電性の物品等で反射された反射波や、アンテナからの直接波がゲート外部に漏洩し、反射、回折によって遠方に積み上げてあるバケットの無線ICタグを読み取る可能性がある。それを防止するために電波の出力を下げると、無線ICタグの読み取り率が低下する。そこで、不要な無線ICタグの読み取りを防止するための電波吸収用ボードを検品対象ではないバケットとアンテナとの間に設置すること等が考えられるが、作業者の作業量が増えることになり好ましくない。また、電波の伝搬遅延時間を計測して無線ICタグまでの距離を推定することで読み取るべき領域と、読んではいけない領域を判別するという技術があるが、伝搬遅延時間の計測用モジュールを設けると高コストとなる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、特別な設備を設けることや作業者の作業量を増やすことなく、電波の漏洩を防止し、かつ、無線ICタグの読み取り率を向上させる検品ゲートシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の検品ゲートシステムは、物品又はバケットに収納された複数の物品を検品対象として複数の検品対象が通過されるゲートと、ゲート内に設けられたアンテナと、アンテナに接続された送受信機と、送受信機と通信可能に接続された情報処理端末とを備え、送受信機は、アンテナを介して検品対象にそれぞれ付された無線ICタグと交信し、各無線ICタグに格納された識別情報と物品種類と物品数量の少なくとも1つのデータを読み取って、情報処理端末に送信するように構成された検品ゲートシステムにおいて、ゲートは、検品対象が通過される通路を形成する少なくとも左右の側面と、通路の入口に設けられた開閉可能な入口扉を備えてなり、通路の少なくとも左右の側面と入口扉は、電波遮蔽機能を備えて形成されてなることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ゲートの通路内部が電波遮蔽機能を備えた少なくとも左右の側面と入口扉で覆われているために、検品中、電波がゲート外部に漏洩することがなく、不要な無線ICタグを誤って読み取ることがない。また、電波が通路内部で何度も反射しながら回り込むように伝搬するため、電子基板等の導電性の物品が収納されたバケットに付された無線ICタグにも当たるようになり、読み取り率を向上させることができる。また、ゲート外部に電波吸収用ボードなどの特別な設備を設ける必要がなく、作業員の作業量は殆ど変わらず、現場の作業環境を損なうことがない。さらに、検品ゲートを設置する際に、アンテナと無線ICタグの交信領域形成のため、電波の出力やアンテナの取り付け位置、角度の細かい調整等を行う必要がない。
【0010】
また、ゲートは通路を形成する天井と、通路の出口に設けられた開閉可能な出口扉とを備えてなり、通路の天井と出口扉に、電波遮蔽機能を備えて形成することもできる。
【0011】
この場合において、通路の左右の側面と入口扉を、電波遮蔽機能を備えた電波遮蔽シートで形成することもできる。電波遮蔽シートは透明度が高いものが好ましい。これによれば、周囲からはゲート内部の様子が、ゲート内部の作業者からは外部の様子が見てとれるため、作業者に閉塞感を与えることがない。また、ゲート内部に照明器具等を設ける必要がない。なお、通路の天井と出口扉に電波遮蔽シートを備えることもできる。また、電波遮蔽シートに替えて、一定の大きさの開口を備えた金網で形成することもできる。
【0012】
また、入口扉は、通路の上部に設けられた駆動ロールに電波遮蔽シートを巻回して設けられ、駆動ロールにより電波遮蔽シートを巻き上げ又は巻き出して開閉する開閉装置を備えて構成することもできる。これによれば、作業者は、開閉装置を操作して入口扉を開閉することができる。また、出口扉に上記開閉装置を備えることもできる。
【0013】
また、通路の入口外部近傍に設けられた赤外線センサと、開閉装置と赤外線センサとに接続されたコントロール装置とを備え、コントロール装置は赤外線センサが人又は検品対象を感知したとき、開閉装置を駆動させて入口扉を開けるように構成することもできる。これによれば、作業者又は検品対象が、ゲートの入口に近づくだけで、開閉装置を操作することなく入口扉を開けることができる。また、出口扉に上記赤外線センサを備えることもできる。
【0014】
また、通路の入口内部近傍に設けられ、コントロール装置に接続された光電管センサを備え、コントロール装置は光電管センサが人又は検品対象の通過を感知したとき、開閉装置を駆動させて入口扉を開閉するように構成することもできる。これによれば、作業者又は検品対象が通路の入口を通過した後、開閉装置を操作することなく入口扉を閉めることができる。また、入口扉が閉じる動作中に、作業者や検品対象が光電管センサを塞いだとき、障害物が存在すると判断し、コントロール装置を介して入口扉を開けるように構成することもできる。これにより、作業者が入口扉に挟まれることを防止できる。また、通路の出口内部近傍に上記光電管センサを備えることもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、特別な設備を設けることや作業量を増やすことなく、電波の漏洩を防止し、かつ、無線ICタグの読み取り率を向上させる検品ゲートシステムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、バケットに収納された複数の電子基板等の導電性物品を検品対象とし、バケットに付された無線ICタグには識別番号(ID)が記録されており、情報処理端末としてはパソコンを適用する。
【実施例1】
【0017】
図1乃至3を参照して、本発明の検品ゲートシステム2について説明する。図1は、検品ゲートシステム2の斜視図であり、図中の矢印Aはバケットが通過する方向、点線は通信線を示す。図2(a)は、検品ゲートシステム2の平面図、図2(b)は、検品ゲートシステム2の正面図である。なお、図2(a)の平面図は、分かりやすくするために天井の電波遮蔽シート6は図示していない。図3(a)、(b)は、検品ゲートシステム2の図2(a)の点線Bでの断面を、矢印Cの方向から見た側面図である。なお、図3(a)は、ゲート4の入口が開、出口が閉、図3(b)は、入口が閉、出口が開の状態を示す。ゲート4は、鉄骨からなるフレーム構造を有する断面矩形の直方体であり、バケットが通過される通路を有する。また、ゲート4の側面と天井と入口及び出口は、電波遮蔽シート6で形成されており、ゲート4の入口及び出口の外部上部には、それぞれシートシャッター巻き上げ機8、9が設けられている。シートシャッター巻き上げ機8、9は、電波遮蔽シート6を巻き上げ、あるいは巻き出して、入口及び出口の開閉を行う。アンテナ10は、ゲート4の天井に側面方向に渡して設けられたパイプ12に保持されるものが2つ、ゲート4の側面に設けられたパイプ12に保持されるものが、両側面に1つずつあり、それぞれ通信線を介してリーダライタ14と接続されている。リーダライタ14は、ゲート4の天井に側面方向に渡して設けられた鉄骨に保持され、通信線を介してパソコン16と接続されている。パソコン16は、検品用ソフトを備え、パイプ12の上に置かれており、通信線を介してコントロールボックス18と接続されている。コントロールボックス18は、ゲート4の外部に置かれており、通信線を介してシートシャッター巻き上げ機8、9、赤外線センサ20、21及び、光電管センサ22、23、24、25に接続されている。赤外線センサ20、21は、シートシャッター巻き上げ機8、9の表面にそれぞれ設けられ、光電管センサ22はゲート4の入口外部の近傍下部に、光電管センサ23はゲート4の入口内部の近傍下に、光電管センサ24はゲート4の出口内部の近傍下部に、光電管センサ25はゲート4の出口外部の近傍下部に、それぞれ設けられている。また、光電管センサは2つ一組で側面の対向する位置に設けられ、一方は投光器であり、他方は受光器である。なお、ゲート4の入口及び出口には、電波遮蔽シート6の巻き上げ、巻き出しをスムーズにするためのシャッターガイド26、27が設けられている。
【0018】
図4は、電波遮蔽シート6の断面図及び電波遮蔽能力(Shielding Effect)の図である。電波遮蔽シート6は、線径27μmの金属線を用いて、可視光透過率68%になるようなメッシュ構造の金属繊維の布を作り、その布を厚さ0.2mm乃至0.3mmの透明な塩化ビニルシートで挟んで構成されている。電波遮蔽能力は、UHF帯周波数(953MHz)に対して約50dB程度である。
【0019】
ここで、電波遮蔽シート6の効果について、図5を参照して説明する。図5は、検品ゲートシステム2を簡略化したものである。点線の矢印は電波の伝搬を示す。ここでは、ゲート4内部に、無線ICタグ30が付された検品すべきバケット32が12箱置かれており、ゲート4外部に、検品に関係のないバケット33が置かれているとする。図5(a)は、電波遮蔽シート6が用いられてない従来の検品ゲートシステム、図5(b)は、出入口、側面、及び天井に電波遮蔽シート6が用いられている本発明の検品ゲートシステム2である。図5(a)の場合、アンテナ10から出た電波は、無線ICタグ30に当たるものもあれば、バケット32内の電子基板等に当たるものもあり、また、どこにも当たらずそのままゲート4外部に出るものもある。バケット32内の電子基板等に当たった電波は、角度によってはそのままゲート4外部に出る。このようにしてゲート4外部に出た電波は、検品に関係のないバケット33の無線ICタグ30を読み取ってしまう可能性がある。また、電波の伝搬が作業者の体や、バケット32を運ぶのにハンドリフト36を使用した際に、ハンドリフト36の根元の部分(図12(b)の点線で囲った部分)によって妨げられることにより、無線ICタグ30の場所によっては、電波が当たらない可能性がある。
【0020】
これに対し図5(b)の場合、アンテナ10から出た電波は、バケット32内の電子基板等及び側面、天井、入口及び出口に設けられた電波遮蔽シート6に当たって反射され、反射された電波は再びバケット32内の電子基板等及び電波遮蔽シート6に当たって反射され、減衰するまでこれを繰り返す。このように電波遮蔽シート6を用いることにより、ゲート4内部に電波を閉じ込めることができるので、電波がゲート4外部に出て、検品に関係のないバケット33の無線ICタグ30を読み取ることがない。また、電波が反射を繰り返すために、無線ICタグ30に様々な角度から電波が当たるようになり、無線ICタグ30の場所によらず、読み取ることができるようになる。
【0021】
図6は、シートシャッター巻き上げ機8、9と、アンテナ10と、リーダライタ14と、パソコン16と、コントロールボックス18と、赤外線センサ20、21と、光電管センサ22、23、24、25との接続関係を示した模式図である。コントロールボックス18は、赤外線センサ20、21から通知があるとシートシャッター巻き上げ機8、9を駆動させて、ゲート4の入口及び出口を開けるようになっている。また、光電管センサ22、23から通知があるとシートシャッター巻き上げ機8を駆動させてゲート4の入口を閉め、光電管センサ24、25から通知があるとシートシャッター巻き上げ機9を駆動させてゲート4の出口を閉めるようになっている。さらに、コントロールボックス18は、パソコン16と通信線を介して通信可能であり、ゲート4の入口を閉めたという通知をパソコン16に送信するようになっている。また、後述する読み取り完了の通知がパソコン16から送信されると、ゲート4の出口を開けるようになっている。
【0022】
図7(a)は、リーダライタ14及び無線ICタグ30の回路図である。図中点線で囲った部分で交信を行う。なお、ここでは、アンテナ10は図示していないが、実際のリーダライタ14と無線ICタグ30との交信は、アンテナ10を介して行われている。図7(b)は、パソコン16からリーダライタ14に送信される無線ICタグ30の読み取り開始及び読み取り終了コマンド、図7(c)は、無線ICタグ30からリーダライタ14に送信されるIDデータ、図7(d)は、リーダライタ14からパソコン16に送信されるIDデータ群である。
【0023】
ここで、図7を参照して、パソコン16を用いて無線ICタグ30のIDデータを読み取る過程を簡単に説明する。なお、これは周知技術である。パソコン16の検品用ソフトからUSB(Universal Serial Bus)等のインターフェース50、交信制御回路52を経由して符号化回路54へ、図7(b)の読み取り開始コマンドが送信される。リーダライタ14は、符号化回路54でこれを符号化して、UHF帯の電波に重畳させて、アンテナ56を介して無線ICタグ30に向けて送信する。
【0024】
ここで、UHF帯電波の無線通信手順について簡単に説明しておく。なお、この無線通信手順は、ISO/IEC180006Cとして国際標準化されている。各無線ICタグ30は、電源回路60の電力を用いて交信制御回路64により乱数を生成し、リーダライタ14からの読み取り開始コマンド受信毎に乱数を1ずつ減じて、その数値がゼロになった無線ICタグ30から順に応答を行って、複数の無線ICタグ30が同時に反応することによる通信の衝突を回避している。この方式をスロットアロハ方式という。
【0025】
無線ICタグ30は、リーダライタ14から送信された電波をアンテナ58で受信後、電源回路60で動作電力に変換し、これにより無線ICタグ30の内部回路が動き出す。リーダライタ14から送信される各種コマンドは、ASK(Amplitude Shift Keying)変調キャリア信号に重畳されているため、その信号を復号回路62で復号して、コマンドを解読し実行する。無線ICタグ30は、メモリ66に格納されたIDデータを読み出し、図7(c)のような応答データの形に整理して符号化回路68で符号化して、電波に重畳させてアンテナ58を介してリーダライタ14に向けて送信する。リーダライタ14のアンテナ70はこれを受信し、復号回路72でIDデータを抽出後、図7(d)のような読み取り開始コマンドへの応答データの形に整理して、交信制御回路52、インターフェース50を経由してパソコン16へ返信する。ここで、リーダライタ14はパソコン16に対して、無線ICタグ30からのIDデータを1つ1つ送信するのではなく、数個のIDデータをまとめて送信するように構成されている。本実施形態では、10個のデータをまとめて送る設定としたため、図7(d)のようにIDデータが10個ある。パソコン16の検品用ソフトはこれを受け取り、送信されたIDデータを認識する。
【0026】
ここで、図8のフローチャート及び図9を参照して、検品用ソフトがIDデータを、パソコン16のデータベースに登録する過程を説明する。なお、読み取られたIDデータは、図9のように、パソコン16のディスプレイに表示される検品用ソフトの画面に表示されるようになっている。図8のステップ101で無線ICタグ30を読み取り、無線ICタグ30から送信されたIDデータを認識し、ステップ102でそのIDデータと、データベースに予め格納されているIDデータと比較し、不正なものでないかを確認する。不正でなければステップ103に進み、不正であればステップ105に進む。ステップ103で、送信されたIDデータとパソコン16のディスプレイに表示されたIDデータとを比較し、同一データでなければステップ104に進み、同一データであればステップ105に進む。ステップ104で、送信されたIDデータをパソコン16のディスプレイの表示に追加する。ステップ105で、予定していた数量が読み取られたかを判定し、読み取られていればステップ106でデータベースに格納し、読み取られていなければステップ101に戻って再び無線ICタグ30を読み取り、予定していた数量が読み取られるまで繰り返す。なお、ステップ105の読み取り完了の判定は、後述するように作業者が行うため、読み取り途中でも作業者が図9の読み取り完了ボタンを押せば終了させることができる。読み取りが完了するとステップ106で、検品用ソフトはIDデータをデータベースに登録する。
【0027】
ここで、図10を参照して、検品作業までの流れについて説明する。図10(a)において、製造された電子基板は製造ラインにて、バケット32に収納され、一時的に入庫品置場に保管される。作業者は、数個のバケット32を台車に積み、製品置場へ入庫する際に入庫処理(入庫する前の検品)を行う。入庫処理には、従来のゲートシステムが使用される。一般的に、入庫処理の際に検品するバケット32の数は、一度に数箱程度と小規模であるため、従来のゲートシステムでも対応できるからであり、本発明の検品ゲートシステム2を使用してもよいことは言うまでもない。入庫されたバケット32は、製品置場で注文に合わせた数量に調整後、出荷準備完了品置場にて出荷単位に梱包できるように積み上げる。作業者は、数十個のバケット32を出庫する際に出庫処理(出庫する前の検品)を行う。本発明の検品ゲートシステム2は、この出庫処理に使用される。図10(b)は、バケット32の積み方及び無線ICタグ30の貼り方を示す図である。図10(b)は、バケット32を、1段を2箱×3箱として7段積んだ1例であり、この積み方に限るものではない。無線ICタグ30は、1つのバケット32につき1枚だけ貼る場合、積み方の配置によっては、無線ICタグ30がバケット32とバケット32の間に挟まり、読み取りが困難となる可能性がある。これを回避するために、上記のようにバケット32を積む場合は、無線ICタグ30を隣り合う側面に2枚貼り、2枚のうち1枚の無線ICタグ30が表面に出るようにバケット32を積むことで、読み取り率を上げることができる。
【0028】
次に図11のフローチャート及び図12を参照して、検品作業について説明する。作業者34は、顧客からの物品の注文数に応じて、ハンドリフト36にバケット32を積み、後ろ向きに引っ張りながら検品ゲートシステム2に近づく。ステップ201で、赤外線センサ20が作業者34を感知して、コントロールボックス18が、ゲート4の入口を開ける。ステップ202で、作業者34及びハンドリフト36が入口の通過を完了すると、光電管センサ22、23が通過完了を感知して、コントロールボックス18が入口を閉める。なお、入口が閉じる動作中に、作業者34やバケット32が光電管センサ22、23を塞いだときは、障害物が存在すると判断して、入口を開け、障害物がなくなれば再度入口を閉めるようになっている。ステップ203で、入口が閉まると、検品用ソフトにより無線ICタグ30の読み取りが開始される。ステップ204、205で、作業者34は、前述したパソコン16のディスプレイに表示される図9の画面を見て、読み取り個数が実際に積まれているバケット32の数と一致したら、キーボード等で読み取り完了のボタンを押す。ところで、ゲート4内部で電波を反射させると、複数の反射波と進行波が干渉して電波の強い個所と弱い個所が連続的に隣接して生じるため、無線ICタグ30が電波の弱い個所に当たると読めなくなる恐れがある。このときは、作業者34がハンドリフト36を僅かに移動させることで、読めなかった無線ICタグ30が、隣接する電波の強い個所へ移動するので読み取ることができるようになる。ステップ206で、読み取り完了の通知がコントロールボックス18に送信され、コントロールボックス18がゲート4の出口を開ける。ステップ207で、作業者34及びハンドリフト36が出口の通過を完了すると、光電管センサ24、25が通過完了を感知して、コントロールボックス18が出口を閉め、検品が終了する。作業者34が、ゲート4に入って検品し、ゲート4から出てくるまで10数秒程度である。
【0029】
本実施形態によれば、ゲート4の通路内部が電波遮蔽シート6で覆われているために、検品中、電波がゲート4外部に漏洩することがなく、バケット33等の不要な無線ICタグ30を誤って読み取ることがない。また、電波がゲート4内部で何度も反射しながら回り込むように伝搬するため、電子基板等の導電性の物品が収納されたバケット32に付された無線ICタグ30にも当たるようになり、読み取り率を向上させることができる。また、ゲート4外部に特別に設備を設ける必要がなく、作業員34の作業量は殆ど変わらず、現場の作業環境を損なうことがない。さらに、電波の出力やアンテナの角度の細かい調整を行う必要がない。
【0030】
また、電波遮蔽シート6は透明度が高いため、周囲からゲート4内部の様子が、ゲート4内部の作業者34からは外部の様子が見てとれるため、作業者34に閉塞感を与えることがない。また、ゲート4内部に照明器具等を設ける必要がない。
【0031】
また、シートシャッター巻き上げ機8、9がゲート4の入口及び出口の外部上部にそれぞれ設けられ、赤外線センサ20、21が、シートシャッター巻き上げ機8、9の表面にそれぞれ設けられ、光電管センサ22がゲート4の入口外部の近傍下部に、光電管センサ23がゲート4の入口内部の近傍下に、光電管センサ24がゲート4の出口内部の近傍下部に、光電管センサ25がゲート4の出口外部の近傍下部に、それぞれ設けられていることから、作業者34は、無線ICタグ30の読み取り完了の判定の作業のみで検品できる。
【0032】
本実施形態の赤外線センサ21は、検品ゲートシステム2を単なる通路として作業者が通過する際に使用する。
【0033】
なお、本実施形態では、光電管センサはゲート4の入口及び出口にそれぞれ2つ設けていたが、これにより作業者及びバケットの通過方向を検知できる。入口及び出口近傍にそれぞれ1つ設けるのみでもよい。
【0034】
また、作業者34が読み取り完了の判定を行っているが、IDデータの新たな追加がなくなってから一定の時間がたつと読み取り完了と判定するように構成することもできる。この場合、パソコン16をゲート4内部に配置しておく必要はなくなる。
【実施例2】
【0035】
実施例2について、図13を参照して説明する。本実施形態では、ゲート4の出口が開放されており、実施例1との差異は、シートシャッター巻き上げ機9と、赤外線センサ21と、光電管センサ24、25と、出口の電波遮蔽シート6を備えていない点であり、その他の構成は同じである。本実施形態は、ゲート4の出口付近に検品に関係のないバケット33が置かれていない場合に適用できる。バケット33が置かれていなければ、電波がゲート4の出口から漏洩してもなんら問題はない。なお、バケット33が置かれており誤って読み取ったとしても、そのIDデータは図8のフローチャートのステップ102又はステップ103において、排除することもできる。実証実験では、本実施形態でも無線ICタグ30の読み取り率は100%であった。
【0036】
本実施形態によれば、ゲート4の出口を開放できるので、前述したシートシャッター巻き上げ機9と、赤外線センサ21と、光電管センサ24、25と、出口の電波遮蔽シート6とが必要なくなり、検品ゲートシステム2を低コストで構成できる。また、シートシャッター巻き上げ機9を省けることから、その分の設置スペースが不要となる。さらに、作業者34が出口からゲート4の外にはみ出していても、バケット32がゲート4内部に納まっていれば、検品が可能となる。加えて、出口が開放されることにより、通気性、見通しがよくなり作業効率が向上する。
【実施例3】
【0037】
実施例3について、図14を参照して説明する。本実施形態では、実施例1のゲート4の側面及び天井の電波遮蔽シート6に替えて、開口の大きさが約1cm未満の金網を使用する。なお、理論的には、UHF帯の電波の波長の4分の1にあたる7cm未満で電波遮蔽効果を有するが、現実的に、電波遮蔽効果があるのは、約1センチ未満である。また、キャスター38を設け、検品ゲートシステム2を移動可能としている。その他の構成は、実施例1と同じである。上記の金網も電波遮蔽機能を有しているので、電波遮蔽シート6と同様の効果を奏する。
【0038】
本実施形態によれば、電波遮蔽シート6を用いるよりも低コストで構成でき、通気性も高まる。本実施形態を実施例2に適用すると、さらに低コストになる。
【0039】
実施例1乃至3では、ゲート4の天井に電波遮蔽シート6又は金網を備えた場合について説明したが、天井から電波が漏洩しても誤って外部のバケット33の無線ICタグ30を読むおそれがない場合や、読み取り率に問題がない場合は、天井を開放してもよい。また、ゲート4の通路断面は、山形又は円形でもよく、矩形に限られるものではない。無線ICタグ30には、識別番号の他に物品種類及び物品数量を格納することもできる。検品対象となる物品は、導電性物品に限られないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】検品ゲートシステムの斜視図である。
【図2】(a)は検品ゲートシステムの平面図であり、(b)は検品ゲートシステムの正面図である。
【図3】(a)は入口が開、出口が閉のときの検品ゲートシステムの側面図であり、(b)は入口が閉、出口が開のときの検品ゲートシステムの側面図である。
【図4】(a)は電波遮蔽シートの断面図であり、(b)は電波遮蔽能力を示す図である。
【図5】電波遮蔽シートの効果を説明する図である。
【図6】アンテナと、リーダライタと、パソコンと、コントロールボックスと、シートシャッター巻き上げ機と、赤外線センサと、光電管センサとの接続関係を示した模式図である。
【図7】(a)はリーダライタ及び無線ICタグの回路図であり、(b)はパソコンからリーダライタに送信されるコマンド、(c)は無線ICタグからリーダライタに送信されるIDデータ、(d)はリーダライタからパソコンに送信されるIDデータ群である。
【図8】検品用ソフトがIDデータをパソコンのデータベースに登録する過程を説明するフローチャートである。
【図9】検品用ソフトの表示画面である。
【図10】(a)は製造された物品の流れを示す図であり、(b)はバケットの積み方及び無線ICタグの貼り方を示す図である。
【図11】検品作業の過程を説明するフローチャートである。
【図12】(a)は検品中の検品ゲートシステムの平面図であり、(b)は検品中の検品ゲートシステムの側面図である。
【図13】(a)は実施例2の検品ゲートシステムの平面図であり、(b)は実施例2の検品ゲートシステムの側面図である。
【図14】実施例3の検品ゲートシステムの斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
2 検品ゲートシステム
4 ゲート
6 電波遮蔽シート
8、9 シートシャッター巻き上げ機
10 アンテナ
14 リーダライタ
16 パソコン
18 コントロールボックス
20、21 赤外線センサ
22、23、24、25 光電管センサ
30 無線ICタグ
32 バケット
【技術分野】
【0001】
本発明は、UHF(Ultra High Frequency)帯RFID(Radio Frequency IDentification)技術を利用した検品ゲートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場で生産された電子基板等の電子部品、その他の物品を出荷する際、一般に、出荷する物品の種類や数量を検査する検品が行われている。従来、物品の種類や数量を記録したバーコードを物品に貼付し、バーコードに記録された物品の種類や数量を携帯型バーコードリーダを用いて読み取り、パソコン等に送信して検品を行っていた。作業員は、携帯型バーコードリーダを、物品又は複数の物品を収納したバケットに貼られているバーコードに近づけて、1枚ずつ読み取って検品作業を行っていた。しかし、この方法では、物品の生産量が増大し、検品する物品やバケット数が増えた場合、読み取り作業時間が長くなり、作業員の負担感も大きくなって作業ミスの頻度が高まるという問題があった。
【0003】
この問題を解決するものとして、通信距離が数m程度のUHF帯952MHzから954MHz(国内電波法による)の電波を使用するRFID技術を利用した検品ゲートシステムが導入された。このゲートは、物品の入出庫個所に設置され、作業者が、物品の種類や数量を記録した無線ICタグが付されたバケットの数個から数十個をハンドリフトや台車等に乗せてゲートを通過すると、ゲートに設けられた送受信機が、アンテナを介してバケットに付された無線ICタグと交信して検品を行うようになっている。これにより、検品作業の大幅な効率化が図れるようになった。
【0004】
しかし、バケット内に電子基板等の導電性の物品が収納されていた場合、これらの物品が電波を反射するため、バケットを多数積み重ねると内部まで電波が到達しにくくなり、無線ICタグの読み取り率が悪くなるという問題があった。このような問題を解決するものとして、例えば、特許文献1がある。特許文献1では、送受信機から送信された電波を、複数の反射板からなる電波指向部を経由して、検品対象の無線ICタグに照射させるようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開2007―88518公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1では、一度に検品するバケット数が多くなると外形も大きくなり、周囲全面を交信領域としてカバーすることは難しく、電波が当たらない箇所が発生しやすくなり、読み取り率が低下する可能性がある。また、一般的に、出庫個所のゲートの入口側には、出荷準備完了品置場があり、出荷準備が完了したバケットが多数積み上げて置かれている。出荷準備完了品置場が狭く、場所に余裕がないときには、ゲートの出口側にもバケットが積み上げて置かれている場合がある。このような場合、特許文献1では、ゲート外部周辺に置かれているバケットの無線ICタグも誤って読み取ってしまうという問題がある。すなわち、UHF帯の電波は遠くまで届くため、作業者自体あるいは、検品のためゲート内に山積みしてあるバケット内の導電性の物品等で反射された反射波や、アンテナからの直接波がゲート外部に漏洩し、反射、回折によって遠方に積み上げてあるバケットの無線ICタグを読み取る可能性がある。それを防止するために電波の出力を下げると、無線ICタグの読み取り率が低下する。そこで、不要な無線ICタグの読み取りを防止するための電波吸収用ボードを検品対象ではないバケットとアンテナとの間に設置すること等が考えられるが、作業者の作業量が増えることになり好ましくない。また、電波の伝搬遅延時間を計測して無線ICタグまでの距離を推定することで読み取るべき領域と、読んではいけない領域を判別するという技術があるが、伝搬遅延時間の計測用モジュールを設けると高コストとなる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、特別な設備を設けることや作業者の作業量を増やすことなく、電波の漏洩を防止し、かつ、無線ICタグの読み取り率を向上させる検品ゲートシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の検品ゲートシステムは、物品又はバケットに収納された複数の物品を検品対象として複数の検品対象が通過されるゲートと、ゲート内に設けられたアンテナと、アンテナに接続された送受信機と、送受信機と通信可能に接続された情報処理端末とを備え、送受信機は、アンテナを介して検品対象にそれぞれ付された無線ICタグと交信し、各無線ICタグに格納された識別情報と物品種類と物品数量の少なくとも1つのデータを読み取って、情報処理端末に送信するように構成された検品ゲートシステムにおいて、ゲートは、検品対象が通過される通路を形成する少なくとも左右の側面と、通路の入口に設けられた開閉可能な入口扉を備えてなり、通路の少なくとも左右の側面と入口扉は、電波遮蔽機能を備えて形成されてなることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ゲートの通路内部が電波遮蔽機能を備えた少なくとも左右の側面と入口扉で覆われているために、検品中、電波がゲート外部に漏洩することがなく、不要な無線ICタグを誤って読み取ることがない。また、電波が通路内部で何度も反射しながら回り込むように伝搬するため、電子基板等の導電性の物品が収納されたバケットに付された無線ICタグにも当たるようになり、読み取り率を向上させることができる。また、ゲート外部に電波吸収用ボードなどの特別な設備を設ける必要がなく、作業員の作業量は殆ど変わらず、現場の作業環境を損なうことがない。さらに、検品ゲートを設置する際に、アンテナと無線ICタグの交信領域形成のため、電波の出力やアンテナの取り付け位置、角度の細かい調整等を行う必要がない。
【0010】
また、ゲートは通路を形成する天井と、通路の出口に設けられた開閉可能な出口扉とを備えてなり、通路の天井と出口扉に、電波遮蔽機能を備えて形成することもできる。
【0011】
この場合において、通路の左右の側面と入口扉を、電波遮蔽機能を備えた電波遮蔽シートで形成することもできる。電波遮蔽シートは透明度が高いものが好ましい。これによれば、周囲からはゲート内部の様子が、ゲート内部の作業者からは外部の様子が見てとれるため、作業者に閉塞感を与えることがない。また、ゲート内部に照明器具等を設ける必要がない。なお、通路の天井と出口扉に電波遮蔽シートを備えることもできる。また、電波遮蔽シートに替えて、一定の大きさの開口を備えた金網で形成することもできる。
【0012】
また、入口扉は、通路の上部に設けられた駆動ロールに電波遮蔽シートを巻回して設けられ、駆動ロールにより電波遮蔽シートを巻き上げ又は巻き出して開閉する開閉装置を備えて構成することもできる。これによれば、作業者は、開閉装置を操作して入口扉を開閉することができる。また、出口扉に上記開閉装置を備えることもできる。
【0013】
また、通路の入口外部近傍に設けられた赤外線センサと、開閉装置と赤外線センサとに接続されたコントロール装置とを備え、コントロール装置は赤外線センサが人又は検品対象を感知したとき、開閉装置を駆動させて入口扉を開けるように構成することもできる。これによれば、作業者又は検品対象が、ゲートの入口に近づくだけで、開閉装置を操作することなく入口扉を開けることができる。また、出口扉に上記赤外線センサを備えることもできる。
【0014】
また、通路の入口内部近傍に設けられ、コントロール装置に接続された光電管センサを備え、コントロール装置は光電管センサが人又は検品対象の通過を感知したとき、開閉装置を駆動させて入口扉を開閉するように構成することもできる。これによれば、作業者又は検品対象が通路の入口を通過した後、開閉装置を操作することなく入口扉を閉めることができる。また、入口扉が閉じる動作中に、作業者や検品対象が光電管センサを塞いだとき、障害物が存在すると判断し、コントロール装置を介して入口扉を開けるように構成することもできる。これにより、作業者が入口扉に挟まれることを防止できる。また、通路の出口内部近傍に上記光電管センサを備えることもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、特別な設備を設けることや作業量を増やすことなく、電波の漏洩を防止し、かつ、無線ICタグの読み取り率を向上させる検品ゲートシステムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、バケットに収納された複数の電子基板等の導電性物品を検品対象とし、バケットに付された無線ICタグには識別番号(ID)が記録されており、情報処理端末としてはパソコンを適用する。
【実施例1】
【0017】
図1乃至3を参照して、本発明の検品ゲートシステム2について説明する。図1は、検品ゲートシステム2の斜視図であり、図中の矢印Aはバケットが通過する方向、点線は通信線を示す。図2(a)は、検品ゲートシステム2の平面図、図2(b)は、検品ゲートシステム2の正面図である。なお、図2(a)の平面図は、分かりやすくするために天井の電波遮蔽シート6は図示していない。図3(a)、(b)は、検品ゲートシステム2の図2(a)の点線Bでの断面を、矢印Cの方向から見た側面図である。なお、図3(a)は、ゲート4の入口が開、出口が閉、図3(b)は、入口が閉、出口が開の状態を示す。ゲート4は、鉄骨からなるフレーム構造を有する断面矩形の直方体であり、バケットが通過される通路を有する。また、ゲート4の側面と天井と入口及び出口は、電波遮蔽シート6で形成されており、ゲート4の入口及び出口の外部上部には、それぞれシートシャッター巻き上げ機8、9が設けられている。シートシャッター巻き上げ機8、9は、電波遮蔽シート6を巻き上げ、あるいは巻き出して、入口及び出口の開閉を行う。アンテナ10は、ゲート4の天井に側面方向に渡して設けられたパイプ12に保持されるものが2つ、ゲート4の側面に設けられたパイプ12に保持されるものが、両側面に1つずつあり、それぞれ通信線を介してリーダライタ14と接続されている。リーダライタ14は、ゲート4の天井に側面方向に渡して設けられた鉄骨に保持され、通信線を介してパソコン16と接続されている。パソコン16は、検品用ソフトを備え、パイプ12の上に置かれており、通信線を介してコントロールボックス18と接続されている。コントロールボックス18は、ゲート4の外部に置かれており、通信線を介してシートシャッター巻き上げ機8、9、赤外線センサ20、21及び、光電管センサ22、23、24、25に接続されている。赤外線センサ20、21は、シートシャッター巻き上げ機8、9の表面にそれぞれ設けられ、光電管センサ22はゲート4の入口外部の近傍下部に、光電管センサ23はゲート4の入口内部の近傍下に、光電管センサ24はゲート4の出口内部の近傍下部に、光電管センサ25はゲート4の出口外部の近傍下部に、それぞれ設けられている。また、光電管センサは2つ一組で側面の対向する位置に設けられ、一方は投光器であり、他方は受光器である。なお、ゲート4の入口及び出口には、電波遮蔽シート6の巻き上げ、巻き出しをスムーズにするためのシャッターガイド26、27が設けられている。
【0018】
図4は、電波遮蔽シート6の断面図及び電波遮蔽能力(Shielding Effect)の図である。電波遮蔽シート6は、線径27μmの金属線を用いて、可視光透過率68%になるようなメッシュ構造の金属繊維の布を作り、その布を厚さ0.2mm乃至0.3mmの透明な塩化ビニルシートで挟んで構成されている。電波遮蔽能力は、UHF帯周波数(953MHz)に対して約50dB程度である。
【0019】
ここで、電波遮蔽シート6の効果について、図5を参照して説明する。図5は、検品ゲートシステム2を簡略化したものである。点線の矢印は電波の伝搬を示す。ここでは、ゲート4内部に、無線ICタグ30が付された検品すべきバケット32が12箱置かれており、ゲート4外部に、検品に関係のないバケット33が置かれているとする。図5(a)は、電波遮蔽シート6が用いられてない従来の検品ゲートシステム、図5(b)は、出入口、側面、及び天井に電波遮蔽シート6が用いられている本発明の検品ゲートシステム2である。図5(a)の場合、アンテナ10から出た電波は、無線ICタグ30に当たるものもあれば、バケット32内の電子基板等に当たるものもあり、また、どこにも当たらずそのままゲート4外部に出るものもある。バケット32内の電子基板等に当たった電波は、角度によってはそのままゲート4外部に出る。このようにしてゲート4外部に出た電波は、検品に関係のないバケット33の無線ICタグ30を読み取ってしまう可能性がある。また、電波の伝搬が作業者の体や、バケット32を運ぶのにハンドリフト36を使用した際に、ハンドリフト36の根元の部分(図12(b)の点線で囲った部分)によって妨げられることにより、無線ICタグ30の場所によっては、電波が当たらない可能性がある。
【0020】
これに対し図5(b)の場合、アンテナ10から出た電波は、バケット32内の電子基板等及び側面、天井、入口及び出口に設けられた電波遮蔽シート6に当たって反射され、反射された電波は再びバケット32内の電子基板等及び電波遮蔽シート6に当たって反射され、減衰するまでこれを繰り返す。このように電波遮蔽シート6を用いることにより、ゲート4内部に電波を閉じ込めることができるので、電波がゲート4外部に出て、検品に関係のないバケット33の無線ICタグ30を読み取ることがない。また、電波が反射を繰り返すために、無線ICタグ30に様々な角度から電波が当たるようになり、無線ICタグ30の場所によらず、読み取ることができるようになる。
【0021】
図6は、シートシャッター巻き上げ機8、9と、アンテナ10と、リーダライタ14と、パソコン16と、コントロールボックス18と、赤外線センサ20、21と、光電管センサ22、23、24、25との接続関係を示した模式図である。コントロールボックス18は、赤外線センサ20、21から通知があるとシートシャッター巻き上げ機8、9を駆動させて、ゲート4の入口及び出口を開けるようになっている。また、光電管センサ22、23から通知があるとシートシャッター巻き上げ機8を駆動させてゲート4の入口を閉め、光電管センサ24、25から通知があるとシートシャッター巻き上げ機9を駆動させてゲート4の出口を閉めるようになっている。さらに、コントロールボックス18は、パソコン16と通信線を介して通信可能であり、ゲート4の入口を閉めたという通知をパソコン16に送信するようになっている。また、後述する読み取り完了の通知がパソコン16から送信されると、ゲート4の出口を開けるようになっている。
【0022】
図7(a)は、リーダライタ14及び無線ICタグ30の回路図である。図中点線で囲った部分で交信を行う。なお、ここでは、アンテナ10は図示していないが、実際のリーダライタ14と無線ICタグ30との交信は、アンテナ10を介して行われている。図7(b)は、パソコン16からリーダライタ14に送信される無線ICタグ30の読み取り開始及び読み取り終了コマンド、図7(c)は、無線ICタグ30からリーダライタ14に送信されるIDデータ、図7(d)は、リーダライタ14からパソコン16に送信されるIDデータ群である。
【0023】
ここで、図7を参照して、パソコン16を用いて無線ICタグ30のIDデータを読み取る過程を簡単に説明する。なお、これは周知技術である。パソコン16の検品用ソフトからUSB(Universal Serial Bus)等のインターフェース50、交信制御回路52を経由して符号化回路54へ、図7(b)の読み取り開始コマンドが送信される。リーダライタ14は、符号化回路54でこれを符号化して、UHF帯の電波に重畳させて、アンテナ56を介して無線ICタグ30に向けて送信する。
【0024】
ここで、UHF帯電波の無線通信手順について簡単に説明しておく。なお、この無線通信手順は、ISO/IEC180006Cとして国際標準化されている。各無線ICタグ30は、電源回路60の電力を用いて交信制御回路64により乱数を生成し、リーダライタ14からの読み取り開始コマンド受信毎に乱数を1ずつ減じて、その数値がゼロになった無線ICタグ30から順に応答を行って、複数の無線ICタグ30が同時に反応することによる通信の衝突を回避している。この方式をスロットアロハ方式という。
【0025】
無線ICタグ30は、リーダライタ14から送信された電波をアンテナ58で受信後、電源回路60で動作電力に変換し、これにより無線ICタグ30の内部回路が動き出す。リーダライタ14から送信される各種コマンドは、ASK(Amplitude Shift Keying)変調キャリア信号に重畳されているため、その信号を復号回路62で復号して、コマンドを解読し実行する。無線ICタグ30は、メモリ66に格納されたIDデータを読み出し、図7(c)のような応答データの形に整理して符号化回路68で符号化して、電波に重畳させてアンテナ58を介してリーダライタ14に向けて送信する。リーダライタ14のアンテナ70はこれを受信し、復号回路72でIDデータを抽出後、図7(d)のような読み取り開始コマンドへの応答データの形に整理して、交信制御回路52、インターフェース50を経由してパソコン16へ返信する。ここで、リーダライタ14はパソコン16に対して、無線ICタグ30からのIDデータを1つ1つ送信するのではなく、数個のIDデータをまとめて送信するように構成されている。本実施形態では、10個のデータをまとめて送る設定としたため、図7(d)のようにIDデータが10個ある。パソコン16の検品用ソフトはこれを受け取り、送信されたIDデータを認識する。
【0026】
ここで、図8のフローチャート及び図9を参照して、検品用ソフトがIDデータを、パソコン16のデータベースに登録する過程を説明する。なお、読み取られたIDデータは、図9のように、パソコン16のディスプレイに表示される検品用ソフトの画面に表示されるようになっている。図8のステップ101で無線ICタグ30を読み取り、無線ICタグ30から送信されたIDデータを認識し、ステップ102でそのIDデータと、データベースに予め格納されているIDデータと比較し、不正なものでないかを確認する。不正でなければステップ103に進み、不正であればステップ105に進む。ステップ103で、送信されたIDデータとパソコン16のディスプレイに表示されたIDデータとを比較し、同一データでなければステップ104に進み、同一データであればステップ105に進む。ステップ104で、送信されたIDデータをパソコン16のディスプレイの表示に追加する。ステップ105で、予定していた数量が読み取られたかを判定し、読み取られていればステップ106でデータベースに格納し、読み取られていなければステップ101に戻って再び無線ICタグ30を読み取り、予定していた数量が読み取られるまで繰り返す。なお、ステップ105の読み取り完了の判定は、後述するように作業者が行うため、読み取り途中でも作業者が図9の読み取り完了ボタンを押せば終了させることができる。読み取りが完了するとステップ106で、検品用ソフトはIDデータをデータベースに登録する。
【0027】
ここで、図10を参照して、検品作業までの流れについて説明する。図10(a)において、製造された電子基板は製造ラインにて、バケット32に収納され、一時的に入庫品置場に保管される。作業者は、数個のバケット32を台車に積み、製品置場へ入庫する際に入庫処理(入庫する前の検品)を行う。入庫処理には、従来のゲートシステムが使用される。一般的に、入庫処理の際に検品するバケット32の数は、一度に数箱程度と小規模であるため、従来のゲートシステムでも対応できるからであり、本発明の検品ゲートシステム2を使用してもよいことは言うまでもない。入庫されたバケット32は、製品置場で注文に合わせた数量に調整後、出荷準備完了品置場にて出荷単位に梱包できるように積み上げる。作業者は、数十個のバケット32を出庫する際に出庫処理(出庫する前の検品)を行う。本発明の検品ゲートシステム2は、この出庫処理に使用される。図10(b)は、バケット32の積み方及び無線ICタグ30の貼り方を示す図である。図10(b)は、バケット32を、1段を2箱×3箱として7段積んだ1例であり、この積み方に限るものではない。無線ICタグ30は、1つのバケット32につき1枚だけ貼る場合、積み方の配置によっては、無線ICタグ30がバケット32とバケット32の間に挟まり、読み取りが困難となる可能性がある。これを回避するために、上記のようにバケット32を積む場合は、無線ICタグ30を隣り合う側面に2枚貼り、2枚のうち1枚の無線ICタグ30が表面に出るようにバケット32を積むことで、読み取り率を上げることができる。
【0028】
次に図11のフローチャート及び図12を参照して、検品作業について説明する。作業者34は、顧客からの物品の注文数に応じて、ハンドリフト36にバケット32を積み、後ろ向きに引っ張りながら検品ゲートシステム2に近づく。ステップ201で、赤外線センサ20が作業者34を感知して、コントロールボックス18が、ゲート4の入口を開ける。ステップ202で、作業者34及びハンドリフト36が入口の通過を完了すると、光電管センサ22、23が通過完了を感知して、コントロールボックス18が入口を閉める。なお、入口が閉じる動作中に、作業者34やバケット32が光電管センサ22、23を塞いだときは、障害物が存在すると判断して、入口を開け、障害物がなくなれば再度入口を閉めるようになっている。ステップ203で、入口が閉まると、検品用ソフトにより無線ICタグ30の読み取りが開始される。ステップ204、205で、作業者34は、前述したパソコン16のディスプレイに表示される図9の画面を見て、読み取り個数が実際に積まれているバケット32の数と一致したら、キーボード等で読み取り完了のボタンを押す。ところで、ゲート4内部で電波を反射させると、複数の反射波と進行波が干渉して電波の強い個所と弱い個所が連続的に隣接して生じるため、無線ICタグ30が電波の弱い個所に当たると読めなくなる恐れがある。このときは、作業者34がハンドリフト36を僅かに移動させることで、読めなかった無線ICタグ30が、隣接する電波の強い個所へ移動するので読み取ることができるようになる。ステップ206で、読み取り完了の通知がコントロールボックス18に送信され、コントロールボックス18がゲート4の出口を開ける。ステップ207で、作業者34及びハンドリフト36が出口の通過を完了すると、光電管センサ24、25が通過完了を感知して、コントロールボックス18が出口を閉め、検品が終了する。作業者34が、ゲート4に入って検品し、ゲート4から出てくるまで10数秒程度である。
【0029】
本実施形態によれば、ゲート4の通路内部が電波遮蔽シート6で覆われているために、検品中、電波がゲート4外部に漏洩することがなく、バケット33等の不要な無線ICタグ30を誤って読み取ることがない。また、電波がゲート4内部で何度も反射しながら回り込むように伝搬するため、電子基板等の導電性の物品が収納されたバケット32に付された無線ICタグ30にも当たるようになり、読み取り率を向上させることができる。また、ゲート4外部に特別に設備を設ける必要がなく、作業員34の作業量は殆ど変わらず、現場の作業環境を損なうことがない。さらに、電波の出力やアンテナの角度の細かい調整を行う必要がない。
【0030】
また、電波遮蔽シート6は透明度が高いため、周囲からゲート4内部の様子が、ゲート4内部の作業者34からは外部の様子が見てとれるため、作業者34に閉塞感を与えることがない。また、ゲート4内部に照明器具等を設ける必要がない。
【0031】
また、シートシャッター巻き上げ機8、9がゲート4の入口及び出口の外部上部にそれぞれ設けられ、赤外線センサ20、21が、シートシャッター巻き上げ機8、9の表面にそれぞれ設けられ、光電管センサ22がゲート4の入口外部の近傍下部に、光電管センサ23がゲート4の入口内部の近傍下に、光電管センサ24がゲート4の出口内部の近傍下部に、光電管センサ25がゲート4の出口外部の近傍下部に、それぞれ設けられていることから、作業者34は、無線ICタグ30の読み取り完了の判定の作業のみで検品できる。
【0032】
本実施形態の赤外線センサ21は、検品ゲートシステム2を単なる通路として作業者が通過する際に使用する。
【0033】
なお、本実施形態では、光電管センサはゲート4の入口及び出口にそれぞれ2つ設けていたが、これにより作業者及びバケットの通過方向を検知できる。入口及び出口近傍にそれぞれ1つ設けるのみでもよい。
【0034】
また、作業者34が読み取り完了の判定を行っているが、IDデータの新たな追加がなくなってから一定の時間がたつと読み取り完了と判定するように構成することもできる。この場合、パソコン16をゲート4内部に配置しておく必要はなくなる。
【実施例2】
【0035】
実施例2について、図13を参照して説明する。本実施形態では、ゲート4の出口が開放されており、実施例1との差異は、シートシャッター巻き上げ機9と、赤外線センサ21と、光電管センサ24、25と、出口の電波遮蔽シート6を備えていない点であり、その他の構成は同じである。本実施形態は、ゲート4の出口付近に検品に関係のないバケット33が置かれていない場合に適用できる。バケット33が置かれていなければ、電波がゲート4の出口から漏洩してもなんら問題はない。なお、バケット33が置かれており誤って読み取ったとしても、そのIDデータは図8のフローチャートのステップ102又はステップ103において、排除することもできる。実証実験では、本実施形態でも無線ICタグ30の読み取り率は100%であった。
【0036】
本実施形態によれば、ゲート4の出口を開放できるので、前述したシートシャッター巻き上げ機9と、赤外線センサ21と、光電管センサ24、25と、出口の電波遮蔽シート6とが必要なくなり、検品ゲートシステム2を低コストで構成できる。また、シートシャッター巻き上げ機9を省けることから、その分の設置スペースが不要となる。さらに、作業者34が出口からゲート4の外にはみ出していても、バケット32がゲート4内部に納まっていれば、検品が可能となる。加えて、出口が開放されることにより、通気性、見通しがよくなり作業効率が向上する。
【実施例3】
【0037】
実施例3について、図14を参照して説明する。本実施形態では、実施例1のゲート4の側面及び天井の電波遮蔽シート6に替えて、開口の大きさが約1cm未満の金網を使用する。なお、理論的には、UHF帯の電波の波長の4分の1にあたる7cm未満で電波遮蔽効果を有するが、現実的に、電波遮蔽効果があるのは、約1センチ未満である。また、キャスター38を設け、検品ゲートシステム2を移動可能としている。その他の構成は、実施例1と同じである。上記の金網も電波遮蔽機能を有しているので、電波遮蔽シート6と同様の効果を奏する。
【0038】
本実施形態によれば、電波遮蔽シート6を用いるよりも低コストで構成でき、通気性も高まる。本実施形態を実施例2に適用すると、さらに低コストになる。
【0039】
実施例1乃至3では、ゲート4の天井に電波遮蔽シート6又は金網を備えた場合について説明したが、天井から電波が漏洩しても誤って外部のバケット33の無線ICタグ30を読むおそれがない場合や、読み取り率に問題がない場合は、天井を開放してもよい。また、ゲート4の通路断面は、山形又は円形でもよく、矩形に限られるものではない。無線ICタグ30には、識別番号の他に物品種類及び物品数量を格納することもできる。検品対象となる物品は、導電性物品に限られないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】検品ゲートシステムの斜視図である。
【図2】(a)は検品ゲートシステムの平面図であり、(b)は検品ゲートシステムの正面図である。
【図3】(a)は入口が開、出口が閉のときの検品ゲートシステムの側面図であり、(b)は入口が閉、出口が開のときの検品ゲートシステムの側面図である。
【図4】(a)は電波遮蔽シートの断面図であり、(b)は電波遮蔽能力を示す図である。
【図5】電波遮蔽シートの効果を説明する図である。
【図6】アンテナと、リーダライタと、パソコンと、コントロールボックスと、シートシャッター巻き上げ機と、赤外線センサと、光電管センサとの接続関係を示した模式図である。
【図7】(a)はリーダライタ及び無線ICタグの回路図であり、(b)はパソコンからリーダライタに送信されるコマンド、(c)は無線ICタグからリーダライタに送信されるIDデータ、(d)はリーダライタからパソコンに送信されるIDデータ群である。
【図8】検品用ソフトがIDデータをパソコンのデータベースに登録する過程を説明するフローチャートである。
【図9】検品用ソフトの表示画面である。
【図10】(a)は製造された物品の流れを示す図であり、(b)はバケットの積み方及び無線ICタグの貼り方を示す図である。
【図11】検品作業の過程を説明するフローチャートである。
【図12】(a)は検品中の検品ゲートシステムの平面図であり、(b)は検品中の検品ゲートシステムの側面図である。
【図13】(a)は実施例2の検品ゲートシステムの平面図であり、(b)は実施例2の検品ゲートシステムの側面図である。
【図14】実施例3の検品ゲートシステムの斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
2 検品ゲートシステム
4 ゲート
6 電波遮蔽シート
8、9 シートシャッター巻き上げ機
10 アンテナ
14 リーダライタ
16 パソコン
18 コントロールボックス
20、21 赤外線センサ
22、23、24、25 光電管センサ
30 無線ICタグ
32 バケット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品又はバケットに収納された複数の物品を検品対象として複数の前記検品対象が通過されるゲートと、前記ゲート内に設けられたアンテナと、前記アンテナに接続された送受信機と、前記送受信機と通信可能に接続された情報処理端末とを備え、
前記送受信機は、前記アンテナを介して前記検品対象にそれぞれ付された無線ICタグと交信し、前記各無線ICタグに格納された識別情報と物品種類と物品数量の少なくとも1つのデータを読み取って、前記情報処理端末に送信するように構成された検品ゲートシステムにおいて、
前記ゲートは、前記検品対象が通過される通路を形成する少なくとも左右の側面と、前記通路の入口に設けられた開閉可能な入口扉を備えてなり、
前記通路の少なくとも左右の側面と前記入口扉は、電波遮蔽機能を備えて形成されてなることを特徴とする検品ゲートシステム。
【請求項2】
請求項1において、前記ゲートは前記通路を形成する天井と前記通路の出口に設けられた開閉可能な出口扉とを備えてなり、前記通路の天井と前記出口扉は、電波遮蔽機能を備えて形成されてなることを特徴とする検品ゲートシステム。
【請求項3】
請求項1において、前記通路の左右の側面と前記入口扉は、電波遮蔽機能を備えた電波遮蔽シートで形成されてなることを特徴とする検品ゲートシステム。
【請求項4】
請求項2において、前記通路の天井と前記出口扉は、電波遮蔽機能を備えた電波遮蔽シートで形成されてなることを特徴とする検品ゲートシステム。
【請求項5】
請求項3又は4において、前記入口扉は、前記通路の上部に設けられた駆動ロールに前記電波遮蔽シートを巻回して設けられ、前記駆動ロールにより前記電波遮蔽シートを巻き上げ又は巻き出して開閉する開閉装置を備えてなることを特徴とする検品ゲートシステム。
【請求項6】
請求項5において、前記通路の入口外部近傍に設けられた赤外線センサと、前記開閉装置と前記赤外線センサとに接続されたコントロール装置とを備え、
前記コントロール装置は前記赤外線センサが人又は前記検品対象を感知したとき、前記開閉装置を駆動させて前記入口扉を開けることを特徴とする検品ゲートシステム。
【請求項7】
請求項6において、前記通路の入口内部近傍に設けられ、前記コントロール装置に接続された光電管センサを備え、
前記コントロール装置は前記光電管センサが人又は前記検品対象の通過を感知したとき、前記開閉装置を駆動させて前記入口扉を開閉することを特徴とする検品ゲートシステム。
【請求項8】
請求項1において、前記通路の左右の側面と前記入口扉は、電波遮蔽機能を備えた一定の大きさの開口を備えた金網で形成されてなることを特徴とする検品ゲートシステム。
【請求項9】
請求項2において、前記通路の天井と前記出口扉は、電波遮蔽機能を備えた一定の大きさの開口を備えた金網で形成されてなることを特徴とする検品ゲートシステム。
【請求項1】
物品又はバケットに収納された複数の物品を検品対象として複数の前記検品対象が通過されるゲートと、前記ゲート内に設けられたアンテナと、前記アンテナに接続された送受信機と、前記送受信機と通信可能に接続された情報処理端末とを備え、
前記送受信機は、前記アンテナを介して前記検品対象にそれぞれ付された無線ICタグと交信し、前記各無線ICタグに格納された識別情報と物品種類と物品数量の少なくとも1つのデータを読み取って、前記情報処理端末に送信するように構成された検品ゲートシステムにおいて、
前記ゲートは、前記検品対象が通過される通路を形成する少なくとも左右の側面と、前記通路の入口に設けられた開閉可能な入口扉を備えてなり、
前記通路の少なくとも左右の側面と前記入口扉は、電波遮蔽機能を備えて形成されてなることを特徴とする検品ゲートシステム。
【請求項2】
請求項1において、前記ゲートは前記通路を形成する天井と前記通路の出口に設けられた開閉可能な出口扉とを備えてなり、前記通路の天井と前記出口扉は、電波遮蔽機能を備えて形成されてなることを特徴とする検品ゲートシステム。
【請求項3】
請求項1において、前記通路の左右の側面と前記入口扉は、電波遮蔽機能を備えた電波遮蔽シートで形成されてなることを特徴とする検品ゲートシステム。
【請求項4】
請求項2において、前記通路の天井と前記出口扉は、電波遮蔽機能を備えた電波遮蔽シートで形成されてなることを特徴とする検品ゲートシステム。
【請求項5】
請求項3又は4において、前記入口扉は、前記通路の上部に設けられた駆動ロールに前記電波遮蔽シートを巻回して設けられ、前記駆動ロールにより前記電波遮蔽シートを巻き上げ又は巻き出して開閉する開閉装置を備えてなることを特徴とする検品ゲートシステム。
【請求項6】
請求項5において、前記通路の入口外部近傍に設けられた赤外線センサと、前記開閉装置と前記赤外線センサとに接続されたコントロール装置とを備え、
前記コントロール装置は前記赤外線センサが人又は前記検品対象を感知したとき、前記開閉装置を駆動させて前記入口扉を開けることを特徴とする検品ゲートシステム。
【請求項7】
請求項6において、前記通路の入口内部近傍に設けられ、前記コントロール装置に接続された光電管センサを備え、
前記コントロール装置は前記光電管センサが人又は前記検品対象の通過を感知したとき、前記開閉装置を駆動させて前記入口扉を開閉することを特徴とする検品ゲートシステム。
【請求項8】
請求項1において、前記通路の左右の側面と前記入口扉は、電波遮蔽機能を備えた一定の大きさの開口を備えた金網で形成されてなることを特徴とする検品ゲートシステム。
【請求項9】
請求項2において、前記通路の天井と前記出口扉は、電波遮蔽機能を備えた一定の大きさの開口を備えた金網で形成されてなることを特徴とする検品ゲートシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−190836(P2009−190836A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33225(P2008−33225)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000222015)株式会社ユアテック (26)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000222015)株式会社ユアテック (26)
【Fターム(参考)】
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