説明

検査システムの偏光設定選択のための、コンピュータを利用した方法、キャリアメディアおよびシステム

【課題】
【解決手段】ウエハの層の検査用検査システムの偏光設定を選択するためにコンピュータを利用した方法、キャリアメディアおよびシステムを提供する。1つの方法は、ウエハから散乱される光の照明と集光の検査システムの偏光設定の異なる組合せを使って行われるウエハの走査の各々の結果を使ってウエハの層上の欠陥の母集団を検出するステップを含む。本方法はまた、各々が異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通する欠陥を含む、異なる組合せの各々の欠陥の亜母集団を識別するステップと、当該亜母集団の各々の信号対雑音比の測定の特性を決定するステップも含む。本方法は、特性の最善値を持つ亜母集団に対応する検査に使用される照明と集光の偏光設定を選択するステップをさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、ウエハの層の検査用検査システムの偏光設定の選択のためにコンピュータを利用した方法、キャリアメディアおよびシステムに関する。ある実施形態は、各々が検査システムの偏光設定の少なくとも2つの異なる組み合わせに共通する欠陥を含む、欠陥の亜母集団の信号対雑音比の測定の特性を決定し、その特性の最善値を持つ亜母集団に対応するウエハの層の検査に使用される照明と集光の偏光設定を選択する、コンピュータを利用した方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記の説明と例は、それらが本項に含まれるからといって、先行技術であるとは認められない。
【0003】
論理素子や記憶素子などの半導体デバイスの製造には一般に、半導体デバイスの様々な特徴や複数のレベルを形成するために多数の半導体製造プロセスを使用する、半導体ウエハなどの基板の処理が含まれる。例えばリソグラフィーは、半導体ウエハに配置されたレジストにレチクルからパターンを転写するステップを含む半導体製造プロセスである。半導体製造プロセスのさらなる例には、化学機械研磨、エッチング、堆積、イオン注入が含まれるが、これらに限定されない。複数の半導体デバイスを1枚の半導体ウエハ上に並べ、それから個々の半導体デバイスに分離することもできる。
【0004】
レチクルやウエハなどの試料上の欠陥を検出するために、半導体製造プロセス中の様々なステップでは検査プロセスが使用される。検査プロセスは、集積回路などの半導体デバイスの製造では常に重要な部分であった。しかしながら、半導体デバイスのサイズの縮小化に伴い、基準を満たす半導体デバイスの製造を成功させるために、検査プロセスがますます重要になってきた。例えば、半導体デバイスのサイズの縮小化に伴い、比較的小さな欠陥でさえも半導体デバイスに厄介な異常を生じさせるため、サイズが縮小していくデバイスの欠陥検出が必要となってきた。従って、以前は無視できるほどの大きさだった欠陥を検出することのできる検査システムを製造するために、多くの労力が検査分野で注がれてきた。
【0005】
多くの異なる種類の欠陥の検査が最近ではより重要になってきた。例えば、半導体製造プロセスのモニタと修正のために検査結果を使用するには、どのような種類の欠陥が試料に存在するのかを知ることがたびたび必要とされる。さらに、できる限り高い歩留まりを達成するためには、半導体製造に含まれるあらゆるプロセスの制御が望まれるので、多くの異なる半導体プロセスから生じる可能性のある異なる種類の欠陥を検出する能力を持つことが所望される。検出される異なる種類の欠陥は、特性の点で大幅に異なる。例えば、半導体製造プロセス中の検出が所望される欠陥には、厚さのばらつき、粒子欠陥、傷、パターンの欠落や間違ったサイズのパターンおよびこのような異種の特性を持つその他の欠陥がある。
【0006】
上述の多くの異なる種類の欠陥を検出するために、多くの異なる種類の検査システムが開発されてきた。また、ほとんどの検査システムは、複数の異なる種類の欠陥を検出するように構成されている。いくつかのケースでは、異なる種類の欠陥を検出するように構成されるシステムは、異なる欠陥の検出や厄介な(迷惑な)事象の原因を回避するために異なるパラメータを使用することができるように、調節可能な画像取得と感度パラメータを有することができる。例えば、集光角のスポットまたは画素サイズ、偏光またはアルゴリズム設定は、粒子の欠陥の検出に使用する検査プロセスと傷の検出に使用する検査プロセスとでは異なる。
【0007】
調節可能な画像取得と感度パラメータを持つ検査システムは、半導体デバイスメーカーに重要な利点を提供するが、不正確な画像取得や感度パラメータを検査プロセスに使用するとこれらの検査システムは役に立たない。例えば、不正確なまたは最適化されていない画像取得と感度パラメータは、生成された検査データで欠陥が検出できないほど高いレベルのノイズを引き起こす可能性がある。さらに、レチクルやウエハなどの試料上の欠陥、プロセス条件、ノイズは大幅に変化する可能性があるので(そして試料の特性自体も大幅に変化するので)、特定の試料上の欠陥を検出する最善の画像取得と感度パラメータを予測するのは、不可能ではないとしても難しいだろう。従って、正確な画像取得や感度パラメータの使用は、検査結果に大きな効果を与えるであろうが、現在多くの検査プロセスが不正確なまたは最適化されていない画像取得と感度パラメータで実行されている可能性がある。
【0008】
特定の試料と特定の注目欠陥(DOI:Defect Of Interest)の検査プロセスのセットアップタスクは、特に検査システムが比較的多くの調節可能な画像取得の設定と感度パラメータを持つ場合には、ユーザにとって極めて困難であろう。さらに、画像取得パラメータの可能性のあるあらゆる組み合わせをテストしない限り、最善の検査プロセスが見つかったかどうかを知るのは不可能であろう。しかしながら、ほとんどの検査プロセスは、現在多くの手作業によるプロセス(例えば、画像取得パラメータの手作業による設定、検査データ結果の手作業による分析など)によって設定される。よって、検査プロセスのセットアップには比較的長い時間がかかる。さらに、検査システムで検査される試料の種類により、各々の異なる種類の試料をセットアップするには異なる検査プロセスが必要となるだろう。よって明らかに、検査される異なる試料全ての検査プロセスをセットアップするには極めて長い時間がかかるだろう。
【0009】
プロセス層の検査レシピに1つ以上の偏光設定を選択する従来の方法は、いくつかの反復ステップを含む多大な労力を要するプロセスである。1つのこのような方法の第1ステップは、暗視野検査システムの所定のデフォルト設定を使った検査走査の実行である。このステップの目的は、注目プロセス層のウエハの表面の欠陥(または異常)を見つけることである。この全体の欠陥の母集団で、ユーザはさらに調査を行うためにサブサンプルを手作業で選択する。各欠陥について、(原画素強度に基づいて)信号対雑音比を決定する。基本的に、この信号対雑音比は、その背景(または非欠陥領域)と比べてどれくらい激しく欠陥が散乱するかを測定するものである。ある欠陥の信号対雑音比は偏光の選択に大きく依存する。従って、ユーザは暗視野検査システムで使用可能な偏光オプションを全て繰り返し、どの偏光条件がこの欠陥のサブセットの全体的な信号対雑音比を最大にするのかを決めなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような方法にはたくさんの欠点がある。例えば、このような方法には相当な時間がかかり、そして退屈である。上述の方法では、プロセス層の性質にもよるが、最善の偏光設定を見つけるのに数時間から数日かかる。さらに、ユーザにプロセス層の事前知識がない場合には、ユーザはサブサンプル内の非注目欠陥を選ぶ可能性があり、その結果、実際の注目欠陥に対して不正確な偏光設定が選択されることとなる。
【0011】
従って、従来の方法よりも労力が少なく、より速く、そしてより退屈でないウエハ層の検査の検査システムの偏光設定を選択するために、コンピュータを利用した方法、キャリアメディアおよび/又はシステムを開発することは有利であり、それによって、上述の方法を使って選択する偏光設定よりも適切で、より最適なウエハ層検査の偏光設定の選択が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
コンピュータを利用した方法、キャリアメディアおよびシステムの様々な実施形態に関する下記の説明は、添付の請求項の対象を限定するものとは決して解釈されないものとする。
【0013】
一実施形態は、ウエハの層の検査用検査システムの偏光設定を選択するためのコンピュータを利用した方法に関する。本方法は、ウエハから散乱される光の照明と集光に対する検査システムの偏光設定の異なる組合せによって行われる、ウエハの2つ以上の走査の各々の結果を使ってウエハの層上の欠陥の母集団を検出するステップを含む。本方法は、当該異なる組合せに対して各々の欠陥の亜母集団を識別するステップも含む。各亜母集団は当該異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通する欠陥を含む。さらに本方法は、各亜母集団の信号対雑音比の測定の特性を決定するステップを含む。本方法は、特性の最善値を持つ亜母集団に対応するウエハの層の検査に使用される照明と集光の偏光設定を選択するステップをさらに含む。
【0014】
一実施形態では、2つ以上の走査の各々は、ウエハの一部分のみの走査を含む。別の実施形態では、検出ステップは2つ以上の走査の各々の結果に1つのパラメータ閾値を与えるステップを含む。その1つの実施形態では、信号対雑音比の測定は閾値を与えるステップの結果を含む。追加の実施形態では、本方法の全てのステップは、ウエハの注目欠陥の知識なしに実行される。さらなる実施形態では、本方法の全てのステップはウエハ上の注目欠陥の識別なしに行われる。
【0015】
一実施形態では、異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通する欠陥は、当該異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通しない欠陥よりも顕著な欠陥になる可能性のより高い欠陥を含む。別の実施形態では、当該異なる組合せは、検査システムで使用可能な照明と集光の偏光設定の全ての組合せを含む。追加の実施形態では、信号対雑音比の測定の特性は、平均値を含む。その1つの実施形態では、最善値は当該平均値の最高値を含む。
【0016】
一実施形態では、選択するステップは、集光の1つ以上の偏光設定を選択する前に、照明の1つ以上の偏光設定を選択するステップを含む。別の実施形態では、選択するステップは、照明に1つ以上の偏光設定を選択するステップと、照明に対して選択された1つ以上の偏光設定に対応する亜母集団に基づいて、集光に対して1つ以上の偏光設定を選択するステップを含む。
【0017】
一実施形態では、選択ステップは、亜母集団の第1サブセットを使った照明に対して1つ以上の偏光設定を選択するステップと、亜母集団の第2サブセットを使った集光に対して1つ以上の偏光設定を選択するステップを含む。その1つの実施形態では、第1サブセットは、照明の全ての偏光設定と集光の偏光設定のうちの1つのみの異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通する欠陥を含む亜母集団を含む。その別の実施形態では、第2サブセットは、照明に対して選択される偏光設定と集光に対して使用可能な全ての偏光設定の異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通する欠陥を含む亜母集団を含む。
【0018】
一実施形態では、検査システムは1つ以上の照明チャネルを含み、選択ステップは当該1つ以上の照明チャネルのうちの少なくとも1つに対して少なくとも1つの偏光設定を選択するステップを含む。別の実施形態では、検査システムは2つ以上の集光チャネルを含み、選択ステップは、2つ以上の集光チャネルのうちの少なくとも2つに対して偏光設定を選択するステップを含む。
【0019】
一実施形態では、検査システムは2つ以上の集光チャネルを含む。その1つの実施形態では、選択ステップは、当該2つ以上の集光チャネルのうちの少なくとも2つに対して選択される偏光設定が同じになるように、集光に対して偏光設定を選択するステップを含む。その別の実施形態では、選択ステップは、2つ以上の集光チャネルのうちの少なくとも2つに対して偏光設定を個別に選択するステップを含む。
【0020】
一実施形態では、本方法はウエハ上の異なる層に対して行われる。別の実施形態では、本方法の全てのステップはユーザの介入なしに行われる。
【0021】
上述の方法の各ステップは、下記にさらに記載するように実行することができる。さらに、上述の方法の各実施形態は、本明細書に記載する他のどんな方法の他のどんなステップも含むことができる。さらに、上述の方法の各実施形態は、本明細書に記載するどんなシステムでも実行することができる。
【0022】
別の実施形態は、ウエハの層の検査用検査システムの偏光設定を選択するためのコンピュータを利用した方法を実行するコンピュータシステムで実行可能な、プログラム命令を含むキャリアメディアに関する。コンピュータを利用した方法は、ウエハから散乱される光の照明と集光に対する検査システムの偏光設定の異なる組合せで行われるウエハの2つ以上の走査の各々の結果を使って、ウエハの層上の欠陥の母集団を検出するステップを含む。本方法はまた、当該異なる組合せの各々の欠陥の亜母集団を識別するステップも含む。各亜母集団は、当該異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通する欠陥を含む。さらに、本方法は各亜母集団の信号対雑音比の測定の特性を決定するステップを含む。本方法は、特性の最善値を持つ亜母集団に対応するウエハの層の検査に使用される照明と集光の偏光設定を選択するステップをさらに含む。
【0023】
上述のキャリアメディアは本明細書に記載するようにさらに構成することができる。コンピュータを利用した方法のステップは、本明細書にさらに記載するように行うことができる。さらに、プログラム命令が実行可能なコンピュータを利用した方法は、本明細書に記載する他のどんな方法のどんなステップも含むことができる。
【0024】
追加の実施形態は、ウエハの層の検査の偏光設定を選択するように構成されるシステムに関する。本システムは、ウエハから散乱される光の照明と集光の偏光設定の異なる組合せでウエハの2つ以上の走査を行うことによって、出力を生成するように構成される検査システムを含む。このシステムはまた、2つ以上の走査の各々によって生成される出力を使って、ウエハ上の欠陥の母集団を検出するように構成されるコンピュータシステムも含む。コンピュータシステムはまた、異なる組合せの各々の欠陥の亜母集団を識別するように構成される。各亜母集団は、異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通する欠陥を含む。さらに、コンピュータシステムは各亜母集団の信号対雑音比の測定の特性を決定するように構成される。コンピュータシステムは、特性の最善値を持つ亜母集団に対応するウエハの層の検査に使用される、照明と集光の偏光設定を選択するようにさらに構成される。システムは本明細書に記載するようにさらに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の他の目標と利点は、下記の詳細な説明と下記の添付図面を参照することによって明らかとなるだろう。
【0026】
【図1】ウエハの層の検査用検査システムの偏光設定を選択するための、コンピュータを利用した方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図2】本明細書に記載するコンピュータを利用した方法のうちの1つ以上を実行するコンピュータシステムで実行可能なプログラム命令を含む、キャリアメディアの一実施形態を示すブロック図である。
【図3】ウエハの層の検査の偏光設定を選択するように構成されるシステムの側面を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明には種々の変更や変形が可能であるが、本発明の特定の実施形態は、図面に例によって示され、本明細書に詳細が記載される。しかしながら、図面およびその詳細な説明は、本発明を開示する特定の形態に限定することを意図するものではなく、むしろ、添付する請求項によって定められる本発明の趣旨および範囲に含まれるあらゆる修正品、同等品および代替品をカバーすることを意図すると理解されたい。
【0028】
本明細書で用いられる「ウエハ」という用語は一般に、半導体または非半導体材料で形成される基板のことをいう。このような半導体または非半導体材料の例には、単結晶シリコン、ガリウムヒ素、リン化インジウムが含まれるが、これらに限定されない。このような基板は、通常半導体製造施設で見かけられる、および/又は処理される。1つ以上の層をウエハ上に形成することができる。例えば、このような層には、レジスト、誘電体、導電体、半導体材料が含まれるが、これらに限定されない。多くの異なる種類のこのような層が当技術分野で周知であり、本明細書で用いられる「ウエハ」という用語は、その上でこのような層を形成することのできるウエハを含むことを意図している。
【0029】
ウエハ上で形成される1つ以上の層はパターン化してもよいし、パターン化しなくてもよい。例えば、ウエハは各々が繰り返し可能なパターンの特徴を持つ、複数のダイを含むことができる。このような材料の層の形成と処理により、最終的に完成したデバイスになる。多くの異なる種類のデバイスをウエハ上で形成することができ、本明細書で用いるウエハという用語は、その上で当技術分野で周知のいかなる種類のデバイスも製造されるウエハを含むことを意図している。
【0030】
図面を見ると、図面は一定の縮尺で描かれていない。特に、図面の構成要素のいくつかの尺度は誇張され、当該構成要素の特性を強調している。また、図面は同一の尺度で描かれていない。2つ以上の図面に示す同様に構成される構成要素は、同じ参照番号を使って示している。
【0031】
一実施形態は、ウエハの層の検査の検査システムの偏光設定を選択するためにコンピュータを利用した方法に関する。このようなコンピュータを利用した方法の一実施形態を図1に示す。図1に示すステップは、本方法の実行に必須のものではない。図1に示す方法から1つ以上のステップを削除してもよいし、または加えてもよく、本方法はこれらの実施形態の範囲内でさらに実行することができる。
【0032】
一実施形態では、検査システムは暗視野検査システムを含む。暗視野検査システムは本明細書にさらに記載するように構成することができる。さらに、いくつかの実施形態では、本方法の全てのステップはユーザの介入なしに行われる。例えば、本明細書に記載する方法の全てのステップは自動的に行うことができる。従って、本明細書に記載する方法は完全に自動化したプロセスであってもよい。このように、本明細書に記載する実施形態は、暗視野検査システムの自動偏光設定の選択に使用することができる。具体的に、本明細書に記載する実施形態は、ユーザインタラクションなしに暗視野検査システムのどんな(半導体製造プロセスの)プロセス層に対しても、最適の偏光設定を選択するために使用することができる。従って、本明細書に記載する実施形態は、セットアップ時間を大幅に減らすことによって、暗視野検査システムの使い勝手を向上させることができる。最適の偏光設定のセットアップによって所定のプロセス層の信号対雑音比は大幅に向上し、それによって、暗視野検査の検出感度は大幅に向上する。本方法はまた、ユーザ入力によって偏光選択の性能を向上させるように構成することもできる。
【0033】
一実施形態では、本明細書にさらに記載する2つ以上の走査の各々は、ウエハの一部分のみの走査を含む。例えば、所定のプロセス層に関しては、ウエハ上の層の比較的小さなサンプルエリアで複数の検査走査を行うことができる。この比較的小さなサンプルエリアには、例えば、ウエハの中心にあるダイなどの、ウエハ上のダイのエリアを含むことができる。しかしながら、比較的小さなサンプルエリアは、ウエハ上の他のどんな適切なサンプルエリアも含むことができる。例えば、比較的小さなサンプルエリアは、2つ以上の走査の各々によって発生する結果を処理することのできる時間を無駄に増やすことなく適切な数の欠陥が本明細書に記載する実施形態で検出されるように選択することができる。本方法は、小さなサンプルエリアを選択するステップを含むことができる。例えば、図1のステップ10に示すように、本方法は、データのオーバーロードを避けるために、小さなサンプルエリアを選択するステップを含むことができる。各走査で走査されるウエハの部分は当該ウエハの同じ部分を含んでもよい。つまり、各走査をウエハの同じエリア上で行うことができる。このように、本明細書にさらに記載するように、2つ以上の走査の各々の結果を使って検出される欠陥は、異なる欠陥のあるウエハの異なるエリア上で異なる走査を行うよりも、より正確に決定することができる。各走査はどんな適切な方法でも実行することができる。さらに、走査に使用される偏光設定の組合せは、どんな適切な方法によっても走査と走査の間で変えることができる。
【0034】
本方法は、ウエハから散乱される光の照明と集光の検査システムの偏光設定の異なる組合せによって行われるウエハの2つ以上の走査の各々の結果を使った、ウエハの層上の欠陥の母集団の検出を含む。従って、所定のプロセス層に対しては、複数の検査走査が行われる。例えば、図1のステップ12に示すように、本方法は、検出パラメータのデフォルト値を使って、各々の偏光設定の異なる複数の走査を行うステップを含むことができる。しかしながら、本明細書に記載する実施形態は、偏光設定の異なる組合せによってウエハの2つ以上の走査を行うステップを含むこともできるし、含まないこともできる。例えば、本明細書に記載する実施形態は、2つ以上の走査の各々を行う検査システムまたは検査システムが2つ以上の走査の各々の結果を記憶する記憶媒体(例えば、検査システムの記憶媒体、ファブデータベースなど)から、ウエハの2つ以上の走査の各々の結果を取得するステップを含むことができる。
【0035】
一実施形態では、異なる組合せは検査システムで使用可能な照明と集光の偏光設定の全ての組合せを含む。例えば、各々の走査は、偏光設定の全ての選択が使用されるまでは、偏光設定の選択は異なってもよい。偏光設定の異なる組合せとは、照明と集光の偏光設定の組合せである。一つの具体的な例では、暗視野検査システムの偏光設定の選択に9つの異なる組合せがある場合、本方法は、それぞれが異なる組合せの9つの異なる走査を行うステップを含むことができる。例えば、暗視野検査システム構成は、それぞれが個別の偏光設定の可能な3つの集光器(または検出器)を含むことができる。よって、偏光設定の組合せの例としてX/Y123があり、ここで、Xは照明の偏光設定(例えば、p偏光(P)、s偏光(S)、または円形偏光(C)のいずれか)、そしてY1、Y2、Y3は3つの検出器の各々の集光の偏光設定である。集光の偏光設定のオプションには、例えば、S、Pまたは非偏光(N)がある。このように、上述の各走査は、偏光設定の異なる組合せを使って行われ、全ての可能な組合せを繰り返すことができる。
【0036】
一実施形態では、検出ステップは2つ以上の走査の各々の結果に1つのパラメータ閾値を与えるステップを含む。例えば、本明細書に記載する実施形態は、プロセス層の検査走査中、欠陥を検出するために単一のパラメータ検査アルゴリズムを使うことができる。各走査の欠陥の母集団の検出は、全体の欠陥母集団を決定するために、検出閾値のデフォルト設定を使って行うことができる。検出閾値の設定によって、それを使って欠陥を検出するアグレッシブネス(aggressiveness)が決定される。デフォルト設定は、2つ以上の走査の各々の結果のノイズフロアに実質的に近いが、それよりも上になるように選択することができる。このように、検出閾値のデフォルト値を使って複数の走査を行うことができる。欠陥はまた、セルとセルの比較のような、当技術分野で周知のどんな適切な比較によっても決定することができる。
【0037】
本方法はまた、異なる組合せの各々の欠陥の亜母集団を識別するステップも含む。各亜母集団は、異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通する欠陥を含む。一実施形態では、異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通する欠陥は、異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通しない欠陥よりも顕著な欠陥になる可能性の高い欠陥を含む。例えば、教師なし分類法を、各欠陥の真(TRUE)または偽(FALSE)の何れかへの自動的な分類に使用することができる。この分類は、複数の偏光設定によって取り込まれる各欠陥の可能性に基づくものである。具体的には、真欠陥は、偏光設定の異なる組合せを使って行われる走査のうちの少なくとも2つによって取り込まれる欠陥であると定めることができる。従って、真欠陥は事実上1つの走査から別の走査への、ある相互関係を示す欠陥である。このように、真欠陥は、偽欠陥よりも2つ以上の偏光設定によって取り込まれる可能性が高い。よって、教師なし分類は、偽欠陥が複数の偏光設定を使って取り込まれる可能性が比較的低い一方で、真欠陥は2つ以上の偏光設定によって取り込まれる可能性が比較的高いという事実に基づいている。
【0038】
追加の実施形態では、本方法の全てのステップはウエハ上の注目欠陥の知識なしに行われる。さらなる実施形態では、本方法の全てのステップはウエハ上の注目欠陥を識別せずに行われる。つまり、欠陥の亜母集団は、亜母集団に含まれる欠陥が注目欠陥であろうとなかろうと、本明細書にさらに記載するように識別される。むしろ、それで走査が行われる偏光設定の組合せのうちの2つ以上によって検出される欠陥を識別することによって、亜母集団に含まれる欠陥は、迷惑な欠陥やノイズとは対照的な、最も可能性の高い顕著な欠陥となる。従って、照明と集光の偏光設定は、そのほとんどの部分が迷惑な欠陥やノイズではなく顕著な欠陥を含む亜母集団に基づいて、本明細書に記載するように選択することができる。よって、照明と集光の偏光設定は、ウエハの層上の注目欠陥を識別または見つけることなく、ほぼ正確に決定することができる。
【0039】
一方で、従来使われてきた方法では、ユーザはウエハのクイックスキャンを行い、そのクイックスキャンの結果を使って検出される欠陥のうちのいくつかを再調査することができる。その後ユーザは再調査の結果を使って、層上の少なくともいくつかの注目欠陥を識別することができる。それから異なる偏光設定で追加走査を行い、識別された注目欠陥の画像を取得する。その後その画像を処理し、画像の背景の強度に対する画像の欠陥の強度を決定して、異なる偏光設定を使って検出される欠陥の信号対雑音比を測定する。注目欠陥の画像は、本方法では、当該画像に基づいて選択される偏光設定と当該画像を使って決定される信号対雑音比がウエハの層上の注目欠陥を検出するのに適切であることを確かめるために使用される。そうでないと、ウエハの層の検査に対して、迷惑な欠陥の検出を増やす偏光設定がうっかり選択されることとなり、これは明らかな理由によって不利である。
【0040】
よってこのような方法を実行するためには、ユーザは具体的に、実質的に迷惑な欠陥またはノイズの検出となる、あるいは注目欠陥の検出を減少させてしまう偏光設定でクイックスキャンが行われる場合に、実質的に長い時間を要する可能性のある再調査の結果を使って注目欠陥を識別しなくてはならないだけでなく、常にユーザが利用できるとは限らない注目欠陥に関するいくらかの知識を持っていなければならない。このように、ユーザが、注目欠陥ではない取得すべき画像の欠陥を選択する場合には、このような画像に対して行われる測定に基づいて選択される偏光設定は、真の注目欠陥の検出にとって準最適な偏光設定となる可能性がある。従って、本明細書に記載する実施形態は注目欠陥の知識なしで行うことができるので、本明細書に記載する実施形態は、従来使用していた方法よりも速く、そして注目欠陥に関する知識のあるなしにかかわらず、偏光設定の決定に使用することができる。さらに、本明細書に記載する実施形態を使って選択される偏光設定は、注目欠陥の知識が本明細書に記載する実施形態に使用されなくても、従来使用していた方法を使って選択される偏光設定よりも、注目欠陥の検出には最適である。
【0041】
本方法はまた、各亜母集団の信号対雑音比の測定の特性を決定するステップも含む。一実施形態では、上述の様に、検出ステップは1つのパラメータ閾値を2つ以上の走査の各々の結果に与えるステップを含む。その1つの実施形態では、信号対雑音比の測定には、この与えるステップの結果が含まれる。例えば上述の様に、本明細書に記載する実施形態は、プロセス層の検査走査中、1つのパラメータ検査アルゴリズムを欠陥の検出に使用することができる。このような実施形態では、報告される各欠陥の検出閾値は、原画像走査からの強度値よりも、本明細書に記載する実施形態での信号対雑音比の測定として使用することができる。例えば一般に、1つのパラメータ検出アルゴリズムは、平均ノイズに基づいて決定される1つの閾値を適用して欠陥値を生成する。値が高ければ高いほど、欠陥が画像の背景から「際立っている」ことを示す。従って、閾値と比較した各欠陥からの検出属性は、信号対雑音比の直接的でロバストな測定である。よって、欠陥の結果として生じる閾値は、欠陥の検出可能性に直接対応するものである。信号対雑音比の測定は、当技術分野で周知の他のどんな適切なアルゴリズムを使っても決定することができる。追加の実施形態では、信号対雑音比の測定の特性は平均値を含む。欠陥の各亜母集団の信号対雑音比の測定値の平均は、どんな適切な方法によっても決定することができる。
【0042】
本方法は、特性の最善値を持つ亜母集団に対応するウエハの層の検査に使用される照明と集光の偏光設定を選択するステップをさらに含む。例えば上述の様に、一実施形態では、信号対雑音比の測定の特性は平均値を含む。その1つの実施形態では、最善値は平均値の最大値を含む。例えば、真と偽の欠陥の亜母集団が本明細書に記載するように一旦識別されると、本方法は、真の欠陥の亜母集団の一番高い平均検出閾値を使って偏光設定を決定するステップを含むことができる。このように、真の欠陥として自動的に分類される欠陥は、当該欠陥の信号対雑音比の測定の特性を最大限にする偏光設定を決定するために、さらに処理される。このようにして、最大の平均信号対雑音比が決定される亜母集団に対応する偏光設定を選択することができ、それによって、ウエハ上の層の検査の最高の信号対雑音比を達成する最善の偏光設定を提供することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、偏光設定を選択するステップは、偏光設定の1つ以上の異なる組合せの重み付けステップを含むことができる。例えば、より頻繁に使用される偏光設定の異なる組合せには、より少ない頻度で使用される偏光設定の組合せよりも大きな重み付けを与えることができる。偏光設定の異なる組合せは、異なる組合せのうちの1つに対応する各亜母集団に対して決定される信号対雑音比の測定の特性に重みを与えることによって重み付けを行うことができる。異なる亜母集団に対応する特性のこのような重み付けは、照明と集光の双方の偏光設定の選択のために行うことができる。
【0044】
上述の様に、2つ以上の走査の各々で走査されるウエハのエリアは、ウエハの比較的小さなエリアを含むことができる。走査されるウエハのエリアは、ウエハ上に形成される層の異なる領域を含むこともできる。例えば、走査されるウエハのエリアはアレイ領域とロジック領域を含むことができる。いくつかのこのような例では、本明細書に記載する実施形態で使用される2つ以上の走査の各々の結果は、走査されるウエハのエリアのたった1つの領域、あるいは走査されるウエハのエリアの2つ以上の領域の結果を含むことができる。例えば、走査されるウエハのエリアがアレイ領域とロジック領域の双方を含む場合には、本明細書に記載する実施形態で使用される2つ以上の走査の各々の結果は、アレイ領域のみの結果、ロジック領域のみの結果、またはアレイ領域とロジック領域の双方の結果を含むことができる。エリア内の異なる領域に対応するウエハ上のエリアの2つ以上の走査の各々の結果は、どんな適切な方法でも識別することができる。
【0045】
走査されるウエハのエリアに含まれる領域のうちの1つのみの結果の使用によって、そのウエハのその1つのみの領域のために最適化される偏光設定が選択されることとなる。本明細書に記載する実施形態で使用されるウエハの走査エリアに含まれる領域の結果は、従って、注目領域に基づいて選択され、ユーザによって選択されることができる。さらに、走査されるウエハ上のエリアに含まれる異なる領域の結果の使用によって、異なる偏光設定が選択されることとなる。例えば、本明細書に記載するように決定される信号対雑音比の測定はエリア内の異なる領域で異なるため、信号対雑音比の異なる測定の特性に基づいて異なる偏光設定が選択されることとなる。1つの特定例では、ウエハの異なる領域に対して決定される検出閾値の結果は異なる可能性がある。このような例では、異なる領域に対して決定される検出閾値の結果は、偏光設定が2つ以上の異なる領域または異なる領域のうちの1つのみのために最適化されるように、正常化および/又は重み付けすることができる。
【0046】
一実施形態では、選択ステップは、集光の1つ以上の偏光設定を選択する前に、照明の1つ以上の偏光設定を選択するステップを含む。例えば、本方法は、照明の偏光設定の決定と集光の偏光設定の設定の2つの段階に分けることができる。その一例として、図1に示すように、照明(又は入射)の偏光決定は、ステップ14、16,18を含み、集光の偏光決定は、ステップ20,22,24を含むことができる。照明と集光の偏光設定は、本明細書にさらに記載するように、2つの段階で決めることができる。例えば、図1のステップ14に示すように、入射偏光の決定は、X/YYYとその他の偏光設定に共通する欠陥を真欠陥として識別するステップを含むことができる。その一例として、X/NNNとその他の偏光設定に共通する欠陥は真として分類され、この場合、XはSかPかCの何れかである。共通の欠陥は本明細書にさらに記載するように決めることができる。
【0047】
図1のステップ16に示すように、照明の偏光決定は、全ての真欠陥の最大平均閾値を持つ照明偏光設定を見つけるための真欠陥の処理も含むことができる。このステップでの真欠陥の処理は、本明細書にさらに記載するように行うことができる。さらに、図1のステップ18に示すように、照明の偏光決定は、照明の偏光設定:Xの出力ステップを含むことができる。照明の偏光設定の出力ステップはどんな適切な方法によっても行うことができる。例えば、決定された照明の偏光設定は本明細書にさらに記載するように記憶することができる。
【0048】
別の実施形態では、選択ステップは、照明の1つ以上の偏光設定の選択ステップと、当該照明のために選択された1つ以上の偏光設定に対応する亜母集団に基づく集光の1つ以上の偏光設定の選択ステップを含む。例えば、図1に示すように、照明の偏光設定Xがステップ18で出力された後は、本方法は、集光の偏光決定ステップ20,22,24を含むことができ、これらは選択された照明の偏光設定に基づいて行われる。具体的には、図1のステップ20に示すように、集光の偏光決定は、本明細書に記載するように実行することのできる、真欠陥としてのX/NNN、X/PPP、X/SSSのうちの2つ以上に共通する欠陥を識別するステップを含むことができる。このように、X/NNN、X/PPP、X/SSSの何れかのペアワイズ組合せに共通する欠陥は真の事象として分類される。よって、共通の欠陥は、照明に対して選択される偏光設定の全ての可能性のある組合せと、集光に使用可能な全ての偏光設定を使って検出することのできる欠陥の母集団に基づいて決定することができる。可能性のある組合せのうちの何れか2つに共通する欠陥は、2つの組合せの双方の亜母集団に含まれる。
【0049】
図1のステップ22に示すように、集光の偏光決定は、本明細書に記載するように行うことのできる、全ての真欠陥に最大の平均閾値の結果を与える集光の(検出器毎の)偏光設定を見つけるための、真欠陥の処理ステップを含むことができる。さらに、図1のステップ24に示すように、集光の偏光決定は最終的な集光の偏光設定を調停するステップを含むことができ(例えば、検出器1の偏光設定を検出器2の偏光設定と同じにし、検出器3の偏光設定とは異なるようにする)、これは、本明細書に記載するように行うことができる。図1に示す方法は、ステップ26に示すように、最終偏光設定:X/Y123の出力ステップをさらに含むことができる。最終偏光設定の出力ステップはどんな適切な方法によっても行うことができる。例えば、決定された最終の偏光設定は、本明細書にさらに記載するように記憶することができる。
【0050】
一実施形態では、選択ステップは、亜母集団の第1サブセットを使って照明の1つ以上の偏光設定を選択するステップと、亜母集団の第2サブセットを使って集光の1つ以上の偏光設定を選択するステップとを含む。例えば、本方法は、使用可能なデータを全て使って照明の偏光設定を決定するステップと、その後で、集光の偏光設定を決定するためにデータのサブサンプルを再検討するステップとを含むことができる。このように、照明の偏光設定を決定するために使用するデータのサブセットを集光の偏光設定の決定に使用することができる。その1つの実施形態では、第1サブセットは、照明の偏光設定の全てと集光の偏光設定のうちの1つのみの異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通する欠陥を含む亜母集団を含む。例えば、照明の偏光設定の決定に関しては、上述の様に識別される真欠陥は、設定のP/NNN組合せと設定のその他の組合せのうちのいずれか、設定のS/NNN組合せと設定のその他の組合せのうちのいずれか、および設定のC/NNN組合せと設定のその他の組合せのうちのいずれかに共通する事象として定めることができる。
【0051】
1つの例では、欠陥の母集団は偏光設定のP/NNN組合せを使って検出することができる。欠陥の別の母集団は偏光設定のS/NNN組合せを使って検出することができ、そして欠陥のさらなる母集団は偏光設定のC/NNN組合せを使って検出することができる。従って、母集団の「A領域」は、偏光設定のP/NNN組合せと偏光設定のS/NNN組合せの双方によって検出される欠陥を含むことができる。母集団の「B領域」は、偏光設定のS/NNN組合せと偏光設定のC/NNN組合せの双方によって検出される欠陥を含むことができる。母集団の「C領域」は、偏光設定のC/NNN組合せと偏光設定のP/NNN組合せの双方によって検出される欠陥を含むことができる。母集団の「D領域」は、P/NNN、S/NNN、C/NNNの偏光設定の3つの全ての組合せによって検出される欠陥を含むことができる。従って、ウエハの層上で検出される真欠陥には、A、B、C、Dの領域に含まれる欠陥が含まれる。各領域に含まれる欠陥数は異なる。
【0052】
偏光設定のP/NNN組合せの欠陥の亜母集団は、よって、A、C、D領域に含まれる欠陥を含む。従って、偏光設定のP/NNN組合せに対応する亜母集団の信号対雑音比の測定の特性は、A、C、D領域に含まれる欠陥に基づいて、本明細書にさらに記載するように決定することができる。偏光設定のS/NNN組合せの欠陥の亜母集団は、A、B、D領域に含まれる欠陥を含む。従って、偏光設定のS/NNN組合せに対応する亜母集団の信号対雑音比の測定の特性は、A、B、D領域に含まれる欠陥に基づいて、本明細書にさらに記載するように決定することができる。偏光設定のC/NNN組合せの欠陥の亜母集団は、B、C、D領域に含まれる欠陥を含む。従って、偏光設定のC/NNN組合せに対応する亜母集団の信号対雑音比の測定の特性は、B、C、D領域に含まれる欠陥に基づいて、本明細書にさらに記載するように決定することができる。これら3つの真欠陥の亜母集団のうち、最大の平均検出閾値を持つ亜母集団が照明の偏光設定(例えば、S、P、Cの何れか)を決定する。
【0053】
このような別の実施形態では、第2サブセットは、照明に対して選択される偏光設定と集光に使用可能な全ての偏光設定の異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通する欠陥を含む亜母集団を含む。例えば、照明の偏光設定の選択後、集光の偏光設定の決定は、各検出器またはチャネルのそれぞれの集光の偏光設定を決定するためのデータの再検討ステップを含むことができる。例えば、Xが選択された照明の偏光設定の場合には、真の欠陥は、X/NNN、X/SSS、X/PPPの何れかのペアワイズ組合せに共通する欠陥となる。各検出器に対して3つの欠陥の亜母集団が識別される。
【0054】
一例として、欠陥の母集団は偏光設定のX/PPP組合せを使って検出することができる。欠陥の別の母集団は偏光設定のX/SSS組合せを使って検出することができ、そして欠陥のさらなる母集団は偏光設定のX/NNN組合せを使って検出することができる。従って、母集団の「E領域」は、偏光設定のX/PPP組合せと偏光設定のX/SSS組合せの双方によって検出される欠陥を含むことができる。母集団の「F領域」は、偏光設定のX/SSS組合せと偏光設定のX/NNN組合せの双方によって検出される欠陥を含むことができる。母集団の「G領域」は、偏光設定のX/NNN組合せと偏光設定のX/PPP組合せの双方によって検出される欠陥を含むことができる。母集団の「H領域」は、X/PPP、X/SSS、X/NNNの3つの全ての組合せによって検出される欠陥を含むことができる。従って、ウエハの層上で検出される真欠陥は、E、F、G、H領域に含まれる欠陥を含む。各領域に含まれる欠陥数は異なる。
【0055】
従って、偏光設定のX/PPP組合せの欠陥の亜母集団は、E、G、H領域に含まれる欠陥を含む。従って、偏光設定のX/PPP組合せに対応する亜母集団の信号対雑音比の測定の特性は、E、G、H領域に含まれる欠陥に基づいて、本明細書にさらに記載するように決定することができる。偏光設定のX/SSS組合せの欠陥の亜母集団は、E、F、H領域に含まれる欠陥を含む。従って、偏光設定のX/SSS組合せに対応する亜母集団の信号対雑音比の測定の特性は、E、F、H領域に含まれる欠陥に基づいて、本明細書にさらに記載するように決定することができる。偏光設定のX/NNN組合せの欠陥の亜母集団は、F、G、H領域に含まれる欠陥を含む。従って、偏光設定のX/NNN組合せに対応する亜母集団の信号対雑音比の測定の特性は、F、G、H領域に含まれる欠陥に基づいて、本明細書にさらに記載するように決定することができる。さらに、最大平均検出閾値を持つ真欠陥の母集団は、所定の検出器の集光の偏光設定を決定する。
【0056】
一実施形態では、検査システムは1つ以上の照明チャネルを含み、選択ステップは1つ以上の照明チャネルのうちの少なくとも1つの偏光設定を選択するステップを含む。例えば、システムが2つ以上の照明チャネルを含む場合には、本明細書に記載する実施形態は、照明チャネルのうちの1つ以上(例えば、照明チャネルのうちの1つ、照明チャネルのうちのいくつか、ただし全部ではない、または全ての照明チャネル)の偏光設定を選択するステップを含むことができる。照明チャネルのうちの1つ以上(または各々)の偏光設定は、本明細書にさらに記載のように選択することができる。さらに、照明チャネルのうちの1つ以上(または各々)の偏光設定は個々に選択してもよい。
【0057】
別の実施形態では、検査システムは2つ以上の集光チャネルを含み、選択ステップは2つ以上の集光チャネルのうちの少なくとも2つの偏光設定を選択するステップを含む。例えば、システムが2つ以上の集光チャネルを含む場合、本明細書に記載する実施形態は2つ以上の集光チャネル(例えば、集光チャネルのうちの2つ、集光チャネルのうちのいくつか、ただし全部ではない、または全ての集光チャネル)の偏光設定を選択するステップを含むことができる。集光チャネルのうちの1つ以上(または各々)の偏光設定は、本明細書にさらに記載するように選択することができる。さらに、集光チャネルのうちの1つ以上(または各々)の偏光設定は、本明細書に記載するように、個々に選択してもよい。
【0058】
一実施形態では、検査システムは2つ以上の集光チャネルを含む。例えば、検査システムは本明細書にさらに記載するように構成することができる。その1つの実施形態では、選択ステップには、2つ以上の集光チャネルのうちの少なくとも2つのために選択される偏光設定が同じになるように集光の偏光設定を選択するステップが含まれる。例えば、本方法は、システムの第1検出器(例えば、検出器1)の集光の偏光設定がシステムの異なる検出器(例えば、検出器2)と一致することを確実にする最終調停ステップを含むことができる。その一例として、システムの別の検出器(例えば、検出器3)の集光の偏光設定にはさらなる調停がない。同様なやり方で出力を生成する複数の検出器(例えば、シンメトリの検出器)の偏光設定を同じになるように選択することができるが、異なるやり方で出力を生成する検出器(例えば、非シンメトリの検出器)は同じにならないように選択することができる。このような別の例では、同様の画像を生成する検査システムのチャネルの偏光設定は同じになるように選択することができる。
【0059】
このように、異なる亜母集団が同じ様に光を結像する異なる集光チャネルの特性の最善値を持つと決定された場合には、2つ以上の亜母集団に対して決定される特性の値は組合せて使って、異なる集光チャネルの偏光設定を選択することができる。例えば、集光チャネル1と2が同じ様に光を結像し、そして異なる偏光設定に対応する亜母集団が集光チャネル1と2の特性の最善値を持つと決定される場合には、本方法は、偏光設定のどちらが双方の集光チャネルの特性の最善の全体的な値となるかを決定するステップを含むことができる。別のこのような実施形態では、選択ステップは2つ以上の集光チャネルのうちの少なくとも2つの偏光設定を個々に選択するステップを含む。例えば、検査では、検査システムの集光チャネルの全てまたはいくつかは、ウエハの層の検査中に異なる偏光設定を持つことができる。
【0060】
一実施形態では、本方法はウエハの異なる層に対して行われる。例えば、本方法は、ウエハの異なる層に対して別々に行うことができる。このように、照明と集光の異なる偏光設定は、ウエハ上の異なる層の検査に使用するように選択することができる。ウエハ上の異なる層は同じ検査システムを使って検査することができる。このように、異なる偏光設定をウエハの異なる層の検査用の同じ検査システムに使用することができる。さらに、ウエハの異なる層は異なる検査システムを使って検査することができる。例えば、本明細書に記載する方法は、検査システムで使用可能な偏光設定の異なる組合せに関する知識に基づいて、何れの検査システムでも実行することができる。このように、ウエハの異なる層の各々の検査の偏光設定は、本明細書に記載する実施形態を使って最適化することができる。よって、ウエハの異なる層の各々の検査の偏光設定を最適化することができ、それによって、本明細書に記載する実施形態を使って、異なる層のそれぞれの検査の信号対雑音比と検出感度を最適化することができる。
【0061】
上述の方法の各実施形態は、本明細書に記載する他のどんな方法の他のどんなステップも含むことができる。さらに、上述の方法の各実施形態は、本明細書に記載するどんなシステムによっても実行することができる。
【0062】
本明細書に記載する方法は全て、実施形態の方法の1つ以上のステップの結果を記憶媒体に記憶するステップを含むことができる。結果には本明細書に記載するいかなる結果も含まれ、当技術分野で周知のあらゆる方法で記憶することができる。記憶媒体には、本明細書に記載するあらゆる記憶媒体や当技術分野で周知の他の適切なあらゆる記憶媒体が含まれる。結果が記憶された後は、記憶媒体の中で結果にアクセスすることができ、結果は本明細書に記載する実施形態のいずれかの方法またはシステムで使うことができ、ユーザに表示するためにフォーマット化して、別のソフトウェアモジュール、方法、またはシステムなどでも使用することができる。例えば、本方法によって偏光設定が選択されるステップの後に、本方法は記憶媒体の中の検査レシピに当該偏光設定を記憶するステップを含むことができる。さらに、結果は「永久に」、「半永久に」、「一時的に」またはある時間帯の間記憶することができる。例えば、記憶媒体はランダムアクセスメモリ(RAM)でもよく、結果は記憶媒体の中に必ずしも無期限にとどまる必要はない。
【0063】
本明細書に記載する実施形態には、検査システムの偏光設定を選択する他の方法やシステムよりも多くの利点がある。例えば、本明細書に記載する実施形態は完全に自動化することができ、ユーザが介入する必要性をなくすことができる。本明細書に記載する実施形態は、従って、暗視野検査の偏光選択の従来行われてきた手作業による退屈なプロセスの自動化に使用することができ、それによって、結果が出るまでの時間と検査プロセスの一貫性を向上させることができる。よって、本明細書に記載する実施形態は、セットアップ時間を大幅に減らすことにより、暗視野検査システムの使い勝手を向上させることができる。本明細書に記載する実施形態はまた、ユーザインタラクションなしに、暗視野検査システムのあらゆる所定の(半導体製造プロセスの)プロセス層の最適な偏光設定の選択にも使うことができる。さらに正確な偏光設定は欠陥の信号対雑音比を最大にするので、半導体製造プロセスのモニタに使用される暗視野検査システムにとって、正確な偏光設定の選択は重大である。具体的には、最適な偏光セットアップを使うと、所定のプロセス層の信号対雑音比が大幅に増え、よって、暗視野検査の検出感度を大幅に向上させることができる。従って、正確な偏光設定を使うと検査システムの検出感度が増幅され、これによって、注目欠陥を捕らえる可能性が高まる。
【0064】
追加の実施形態は、ウエハの層の検査の検査システムの偏光設定の選択にコンピュータを利用した方法を実行する、コンピュータシステムで実行可能なプログラム命令を含むキャリアメディアに関する。このような一実施形態を図2に示す。具体的には、図2に示すように、キャリアメディア56はコンピュータシステム60で実行可能なプログラム命令58を含む。
【0065】
コンピュータを利用した方法は、ウエハから散乱される光の照明と集光に対する検査システムの偏光設定の異なる組合せを使って行われる、ウエハの2つ以上の走査の各々の結果を使って、ウエハの層上の欠陥の母集団を検出するステップを含む。欠陥の母集団の検出は本明細書に記載するように行うことができる。本方法はまた、異なる組合せの各々の欠陥の亜母集団を識別するステップも含む。各亜母集団は異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通する欠陥を含む。亜母集団の識別は本明細書に記載するように行うことができる。さらに、本方法は、各亜母集団の信号対雑音比の測定の特性を決定するステップを含む。信号対雑音比の測定の特性を決定するステップは、本明細書にさらに記載するように行うことができる。コンピュータを利用した方法はさらに、特性の最善値を持つ亜母集団に対応するウエハの層の検査に使用される照明と集光の偏光設定を選択するステップをさらに含む。照明と集光の偏光設定を選択するステップは、本明細書に記載するように実行することができる。プログラム命令が実行可能なコンピュータを利用した方法は、本明細書に記載する他のどんなステップも含むことができる。
【0066】
本明細書に記載するような方法を実行するプログラム命令58は、キャリアメディア56を介して送信されるか、またはキャリアメディア56に記憶される。キャリアメディアはワイヤ、ケーブルまたは無線伝達リンクなどの伝達媒体であってもよい。キャリアメディアはまた、リード・オンリ・メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気ディスクまたは光ディスク、あるいは磁気テープであってもよい。
【0067】
プログラム命令は、とりわけ、手続き・ベースの手法、部品・ベースの手法、および/又はオブジェクト・傾向の手法を含む様々な方法のうちのいずれかで実行することができる。例えば、プログラム命令は、記載のように、ActiveXコントロール、C++オブジェクト、JavaBeans(Javaは登録商標)、Microsoft Foundation Classes(「MFC」)またはその他の技術あるいは方法論を使って実行することができる。
【0068】
コンピュータシステムは、パーソナル・コンピュータシステム、画像コンピュータ、メインフレーム・コンピュータシステム、ワークステーション、ネットワークアプライアンス、インターネットアプライアンスまたはその他のデバイスを含む様々な形態をとることができる。一般に、「コンピュータシステム」とう用語は、記憶媒体からの命令を実行する1つ以上のプロセッサを有するあらゆるデバイスを含むと広義に定められる。コンピュータシステムはまた、パラレルプロセッサなどの、当技術分野で周知の適切なプロセッサを含むことができる。さらに、コンピュータシステムは、スタンドアローンまたはネットワークツールの何れかとして、高速処理とソフトを有するコンピュータプラットフォームを含むことができる。
【0069】
別の実施形態は、ウエハの層の検査の偏光設定を選択するように構成されるシステムに関する。このようなシステムの一実施形態を図3に示す。本システムは、ウエハから散乱される光の照明と集光の偏光設定の異なる組合せによってウエハの2つ以上の走査を行うことによって出力を生成するように構成される検査システムを含む。例えば、図3に示すように、検査システムは光源62を含む。光源62は、レーザーなどの当技術分野で周知のいかなる適切な光源も含むことができる。光源62は、当技術分野で周知のいかなる適切な光源も含むことのできる、偏光部品64に光を向けるように構成される。さらに、検査システムは、各々が光源からの光路に個々に位置することのできる、2つ以上の偏光部品(図示せず)を含むことができる。各偏光部品は、異なる方法で光源からの光の偏光を変えるように構成することができる。検査システムは、走査または検査中に、ウエハの照明にどの偏光設定が選択されるかによって、光源からの光の光路の中に、そしてその光路の中から外に偏光部品をいずれかの適切な方法で移動させるように構成することができる。走査または検査中にウエハの照明に使用される偏光設定は、本明細書に記載するように選択することができ、本明細書に記載するいずれの偏光設定(例えば、P、S、C)も含むことができる。
【0070】
偏光部品64から出る光は、あらゆる適切な斜入斜角を含む斜入射角でウエハ66に向けられる。検査システムはまた、光源62から偏光部品64、または偏光部品64からウエハ66に光を向けるように構成される1つ以上の光学部品(図示せず)を含むこともできる。光学部品は、反射光学部品を含むが、これらに限定されない、当技術分野で周知の適切などんな光学部品も含むことができる。さらに、光源、偏光部品、および/又は1つ以上の光学部品は、1つ以上の入射角(例えば、斜入射角、および/又はほぼ通常の入射角)で光をウエハに向けるように構成することができる。検査システムは、いずれかの適切な方法でウエハの光を走査することによって、各走査を行うように構成することができる。
【0071】
ウエハ66から散乱される光は、各走査中と検査中に、検査システムの複数のチャネルによって集光し、検査することができる。例えば、比較的通常に近い角度でウエハ66から散乱される光は、レンズ68によって集光することができる。レンズ68は図3に示すように屈折光学構成要素を含むことができる。さらに、レンズ68は1つ以上の屈折光学構成要素および/又は1つ以上の反射光学構成要素を含むことができる。レンズ68によって集められる光は、当技術分野で周知のどんな適切な偏光部品も含むことのできる偏光部品70に向けることができる。さらに、検査システムは、その各々がレンズによって集められる光路に個々に位置することのできる、2つ以上の偏光部品(図示せず)を含むことができる。偏光部品の各々は、レンズによって集められる光の偏光を異なる方法で変えるように構成することができる。検査システムは、走査または検査中に、レンズ68によって集められる光の検出にどの偏光設定が選択されるかによって、レンズによって集められた光の光路の中に、そしてその光路の中から外に偏光部品をいずれかの適切な方法で移動させるように構成することができる。走査または検査中にレンズ68によって集められる光の検出に使用される偏光設定は、本明細書に記載するように選択することができ、本明細書に記載するいずれの偏光設定(例えば、P、S、N)も含むことができる。
【0072】
偏光部品70から出る光は検出器72に向けられる。検出器72は、電荷結合装置(CCD)またはその他の種類の画像検出器などの、当技術分野で周知のあらゆる適切な検出器を含むことができる。検出器72は、レンズ68によって集光され、集光された散乱光の光路にある場合には偏光部品70によって伝達される散乱光に応答する出力を生成するように構成される。従って、レンズ68、レンズ68によって集光される光の光路にある場合の偏光部品70と検出器72は、検査システムの一チャネルを形成する。検査システムのこのチャネルはフーリエフィルタリング部品などの当技術分野で周知の他のどんな光学部品(図示せず)も含むことができる。
【0073】
ウエハ66から異なる角度で散乱される光は、レンズ74によって集めることができる。レンズ74は上述の様に構成することができる。レンズ74によって集められる光は、当技術分野で周知のどんな適切な偏光部品も含むことのできる偏光部品76に向けられる。さらに、検査システムはその各々がレンズによって集められる光の光路にそれぞれ位置することのできる2つ以上の偏光部品(図示せず)を含む。各偏光部品は、レンズによって集められる光の偏光を異なる方法によって変えるように構成することができる。検査システムは、走査または検査中に、レンズ74によって集められる光の検出にどの偏光設定が選択されるかによって、レンズによって集められる光の光路の中に、そしてその光路の中から外に偏光部品をいずれかの適切な方法で移動させるように構成することができる。走査または検査中にレンズ74によって集められる光の検出に使用される偏光設定は、本明細書に記載するように選択することができ、本明細書に記載するどんな偏光設定(例えば、P、S、N)も含むことができる。
【0074】
偏光部品76から出る光は、上述のように構成することのできる検出器78に向けられる。検出器78はまた、散乱光の光路にある場合には、偏光部品76を通る集光される散乱光に応答する出力を生成するようにも構成することができる。従って、レンズ74、レンズ74によって集められる光の光路にある場合には偏光部品76、そして検出器78は検査システムの別のチャネルを形成することができる。このチャネルは上述の他のどんな光学部品(図示せず)も含むことができる。いくつかの実施形態では、レンズ74は、約20度から約70度の極角で、ウエハから散乱される光を集めるように構成することができる。さらに、レンズ74は約360度の方位角でウエハから散乱される光を集めるように構成される反射光学部品(図示せず)として構成することができる。
【0075】
図3に示す検査システムはまた、1つ以上の他のチャネル(図示せず)を含むこともできる。例えば、検査システムは、レンズ、1つ以上の偏光部品、および検出器などの、本明細書に記載する光学部品のいずれかを含むことのできるサイドチャネルとして構成される追加チャネルを含むことができる。レンズ、1つ以上の偏光部品、そして検出器は本明細書に記載するようにさらに構成することができる。その一例として、サイドチャネルは入射面(例えば、サイドチャネルは入射面に対してほぼ垂直な平面の中心にあるレンズと、そのレンズによって集められる光を検出するように構成される検出器を含むことができる)から散乱される光を集めて検出するように構成することができる。
【0076】
システムはまたコンピュータシステム80を含む。各走査中や検査中に検出器によって生成される出力は、コンピュータシステム80に供給することができる。例えばコンピュータシステムは、当該コンピュータシステムが検出器によって生成される出力を受信することができるように、各検出器に接続させることができる(例えば、当技術分野で周知の適切な伝達媒体を含む図3に点線で示す1つ以上の伝達媒体によって)。コンピュータシステムは、いずれかの適切な方法によってそれぞれの検出器に接続させることができる。
【0077】
コンピュータシステムは、2つ以上の走査の各々によって生成される出力を使って、ウエハ上の欠陥の母集団を検出するように構成される。欠陥の母集団を検出するために使用される出力は、2つ以上の走査の各々の間、検査システムの2つ以上のチャネル(または検出器)によって生成される出力を含むことができる。コンピュータシステムは、本明細書にさらに記載するように、欠陥の母集団を検出するように構成される。
【0078】
コンピュータシステムはまた、異なる組合せの各々の欠陥の亜母集団を識別するように構成される。各亜母集団は異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通する欠陥を含む。コンピュータシステムは、本明細書にさらに記載するように、欠陥の亜母集団を識別するように構成することができる。さらにコンピュータシステムは、各亜母集団の信号対雑音比の測定の特性を決定するように構成することができる。コンピュータシステムは、本明細書にさらに記載するように、測定の特性を決定するように構成することができる。
【0079】
コンピュータシステムは、特性の最善値を持つ亜母集団に対応するウエハの層の検査に使用される照明と集光の偏光設定を選択するようにさらに構成される。コンピュータシステムは、本明細書に記載する実施形態のいずれかに従って偏光設定を選択するように構成することができる。
【0080】
コンピュータシステムは、本明細書に記載するどんな実施形態の方法の他のどんなステップも実行するように構成することができる。コンピュータシステムは本明細書に記載するようにさらに構成することができる。検査システムも本明細書に記載するようにさらに構成することができる。さらに、システムは本明細書に記載するようにさらに構成することができる。
【0081】
本明細書に記載するシステムの実施形態に含むことのできる検査システムの1つの構造を説明するために、図3を本明細書に記載する。本明細書に記載する検査システムの構成は、市販用の検査システムの設計時に通常行われるように、検査システムの性能を最適化するために変更することができるのは明らかである。さらに、本明細書に記載するシステムは、カリフォルニア州サンノゼのKLA−Tencor社から入手可能なPuma9000、9100シリーズなどの既存の検査システム(例えば、既存の検査システムに本明細書に記載する機能を追加することにより)を使って実行することができる。いくつかのこのようなシステムに関しては、本明細書に記載する方法をシステムのオプショナル機能として提供することができる(例えば、システムの他の機能に加えて)。あるいは、本明細書に記載するシステムは、完全に新しいシステムを提供するために、「一から」設計することもできる。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するコンピュータを利用した方法のうちの1つ以上を実行するために構成されるシステムは、上述のような検査システムを含むことができる。しかしながら、本明細書に記載するコンピュータを利用した方法のうちの1つ以上を実行するように構成されるシステムは、検査システムを含まない場合がある。例えば、本システムは、スタンドアロンツールとして構成される1つ以上のプロセッサまたは1つ以上のコンピュータシステムを含むことができる。その一例として、本システムは、本明細書に記載するコンピュータを利用した方法のうちの1つ以上を行うように特に(そしてオプションとして)設計された1つ以上の部品を含むことができる。
【0083】
本記載内容を考えると、本発明の様々な態様のさらなる変形や代替の実施形態が当業者には明白であろう。例えば、ウエハの層の検査用検査システムの偏光設定を選択するためのコンピュータを利用した方法、キャリアメディアおよびシステムが提供される。従って、本記載は一例にすぎず、本発明を実行するための一般的な方法を当業者に教えるためのものであると理解されたい。本明細書に示し、記載する本発明の形態は、現時点で好ましい実施形態として解釈されると理解されたい。本発明の本記載の利益を受けた後で当業者にとって明らかとなるであろうが、構成要素と材料は、本明細書に説明、記載されるものと置き換えることができ、部品やプロセスは逆にすることができ、そして本発明の特定の特徴は個々に利用することができる。下記の請求項に記載するように、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載する構成要素に変更を加えることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハから散乱される光の照明と集光に対する検査システムの偏光設定の異なる組合せを使って実行されるウエハの2つ以上の走査の各々の結果を使って、ウエハの層上の欠陥の母集団を検出するステップと、
前記異なる組合せの各々の前記欠陥の亜母集団を識別するステップであって、該亜母集団の各々は前記異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通する欠陥を含む、識別するステップと、
前記亜母集団の各々の信号対雑音比の測定の特性を決定するステップと、
前記特性の最善値を持つ亜母集団に対応するウエハの層の検査に使用される前記照明と集光の偏光設定を選択するステップと
を含む、ウエハの層の検査用検査システムの偏光設定を選択する方法。
【請求項2】
前記2つ以上の走査の各々は前記ウエハの一部分のみの走査を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出するステップは前記2つ以上の走査の各々の結果に1つのパラメータ閾値を与えるステップを含み、前記信号対雑音比の測定は、該与えるステップの結果を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
本方法の全てのステップはウエハ上の注目欠陥の知識なしに行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
本方法の全てのステップはウエハ上の注目欠陥の識別なしに行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通する欠陥は、前記異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通しない欠陥よりも顕著な欠陥となるより高い可能性を持つ欠陥を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記異なる組合せは前記検査システムで使用可能な照明と集光の偏光設定の全ての組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記信号対雑音比の測定の特性は平均値を含み、そして、最善値は該平均値の最大値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記選択するステップは、集光の1つ以上の偏光設定を選択する前に照明の1つ以上の偏光設定を選択するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記選択するステップは、照明のために選択される前記1つ以上の偏光設定に対応する亜母集団に基づいて照明の1つ以上の偏光設定を選択するステップと、集光の1つ以上の偏光設定を選択するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記選択するステップは、亜母集団の第1サブセットを使って照明の1つ以上の偏光設定を選択するステップと、亜母集団の第2サブセットを使って集光の1つ以上の偏光設定を選択するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1サブセットは、照明の偏光設定の全てと集光の偏光設定の1つのみの異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通する欠陥を含む亜母集団を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2サブセットは、照明のために選択される偏光設定と集光に使用可能な全ての偏光設定の異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通する欠陥を含む亜母集団を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記検査システムは1つ以上の照明チャネルを含み、前記選択するステップは1つ以上の照明チャネルのうちの少なくとも1つに少なくとも1つの偏光設定を選択するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記検査システムは2つ以上の集光チャネルを含み、前記選択するステップは、2つ以上の集光チャネルのうちの少なくとも2つに偏光設定を選択するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記検査システムは2つ以上の集光チャネルを含み、前記選択するステップは、2つ以上の集光チャネルのうちの少なくとも2つのために選択された偏光設定が同じとなるように集光の偏光設定を選択するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記検査システムは2つ以上の集光チャネルを含み、前記選択するステップは、2つ以上の集光チャネルのうちの少なくとも2つのための偏光設定を個々に選択するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
本方法はウエハ上の異なる層に対して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
本方法の全てのステップはユーザの介入なしに実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
ウエハの層の検査用検査システムのための偏光設定を選択するためにコンピュータを利用した方法を実行するコンピュータシステムで実行可能なプログラム命令を含むキャリアメディアであって、該コンピュータを利用した方法は、
ウエハから散乱される光の照明と集光に対する検査システムの偏光設定の異なる組合せを使って実行されるウエハの2つ以上の走査の各々の結果を使って、ウエハの層上の欠陥の母集団を検出するステップと、
前記異なる組合せの各々の欠陥の亜母集団を識別するステップであって、該亜母集団の各々は前記異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通する欠陥を含むステップと、
前記亜母集団の各々の信号対雑音比の測定の特性を決定するステップと、
前記特性の最善値を持つ亜母集団に対応するウエハの層の検査に使用される前記照明と集光の偏光設定を選択するステップと
を含む、キャリアメディア。
【請求項21】
ウエハから散乱される光の照明と集光の偏光設定の異なる組合せを使ってウエハの2つ以上の走査を行うことによって出力を生成するように構成される検査システムと、
コンピュータシステムであって、
前記2つ以上の走査の各々によって生成される前記出力を使って、前記ウエハの欠陥の母集団を検出し、
前記異なる組合せの各々の欠陥の亜母集団を識別し、該亜母集団のうちの各々は前記異なる組合せのうちの少なくとも2つに共通する欠陥を含み、
前記亜母集団のうちの各々の信号対雑音比の測定の特性を決定し、
前記特性の最善値を持つ前記亜母集団に対応するウエハの層の検査に使用される照明と集光の偏光設定を設定する、コンピュータシステムと
を含む、ウエハの層の検査の偏光設定を選択するように構成されるシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−521229(P2011−521229A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509661(P2011−509661)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/043825
【国際公開番号】WO2009/140411
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(502442049)ケーエルエー−テンカー・コーポレーション (77)
【氏名又は名称原語表記】KLA−TENCOR CORPORATION
【Fターム(参考)】