説明

検索画像提示装置

【課題】検索した画像情報が検索者に対してセキュリティが施されたものであっても、セキュリティを損なわない範囲で検索者に提示することができる検索画像提示装置を提供すること。
【解決手段】少なくとも1つの検索用のキーワードに対応する画像領域がそれぞれ定められた画像を表す複数の画像情報のなかから、検索者によって指定されたキーワードに基づいて画像情報を検索する画像検索部11と、画像検索部11によって検索された画像情報が表す画像を閲覧する権限を有する検索者に限り該画像を閲覧できるよう当該画像情報を暗号化する暗号化部12と、暗号化部12によって暗号化された画像情報を検索者に提示する画像提示部13とを備え、暗号化部12は、検索者によって指定されたキーワードに対応する画像領域に基づいて、当該画像情報を暗号化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検索画像提示装置に関し、特に、セキュリティが施された複数の画像情報のなかから、検索者によって指定されたキーワードに適合する画像情報を検索して提示する検索画像提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検索者によってキーボード等を介して指定されたキーワードに適合する画像を検索し、検索された画像をコンピュータのモニタ上に表示するものがある。このような検索画像提示装置としては、検索者の画像情報に対するアクセスレベルを管理する第1管理テーブルと、画像情報に付加されているアノテーション(画像情報中のテキストに対する説明のメモを促すためのラインマーカ等)に対するアクセスレベルとを管理する第2管理テーブルを記憶し、検索者によって指定されたキーワードに適合し、かつ検索者のアクセスレベルを満たす画像情報を第1管理テーブルを参照して検索し、検索された画像情報に付加されているアノテーションのアクセスレベルと検索者のアクセスレベルとを第2管理テーブルを参照して比較し、この比較の結果に基づいて、検索された画像情報から検索結果とする画像情報を出力することにより、画像情報に対するセキュリティを確実にした画像検索を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−99234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の検索画像提示装置においては、検索者に指定されたキーワードに適合している画像を検索することができたとしても、検索した画像に検索者に対するセキュリティが施されている場合には、この画像を検索者に提示することができないといった課題があった。
【0004】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたもので、検索した画像情報が検索者に対してセキュリティが施されたものであっても、セキュリティを損なわない範囲で検索者に提示することができる検索画像提示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の検索画像提示装置は、少なくとも1つの検索用のキーワードに対応する画像領域がそれぞれ定められた画像を表す複数の画像情報のなかから、検索者によって指定されたキーワードに基づいて画像情報を検索する画像検索部と、前記画像検索部によって検索された画像情報が表す画像を閲覧する権限を有する検索者に限り該画像を閲覧できるよう該画像情報を暗号化する暗号化部と、前記暗号化部によって暗号化された画像情報を前記検索者に提示する画像提示部と、を備え、前記暗号化部は、前記検索者によって指定されたキーワードに対応する画像領域に基づいて、該画像情報を暗号化するように構成されている。
【0006】
この構成により、本発明の検索画像提示装置は、検索者に指定されたキーワードに対応する一部の画像領域のセキュリティが解除された画像情報を検索者に提示するため、検索した画像情報が検索者に対してセキュリティが施されたものであっても、セキュリティを損なわない範囲で検索者に提示することができる。
【0007】
なお、前記暗号化部は、前記検索者によって指定されたキーワードに対応する画像領域を全領域から除いた領域に対応する画像情報の符号を暗号化するようにしてもよく、予め定められた画像領域に対応するキーワードが指定されなかったときに、該画像領域に対応する画像情報の符号を暗号化するようにしてもよい。
【0008】
また、前記暗号化部は、前記画像を閲覧する権限を有する検索者の公開鍵で前記画像情報を暗号化するようにしてもよい。
【0009】
この構成により、本発明の検索画像提示装置は、画像を閲覧する権限を有する検索者に対しては、セキュリティが解除された画像を閲覧させることができる。
【0010】
前記暗号化部は、前記画像を閲覧する権限を有する検索者に事前に配布した復号鍵で復号できるよう前記画像情報を暗号化することを特徴とする請求項1に記載の検索画像提示装置。
【0011】
この構成により、本発明の検索画像提示装置は、復号鍵を有する検索者に対しては、セキュリティが解除された画像を閲覧させることができる。
【0012】
前記画像提示部は、前記画像を閲覧する権限を有する検索者に対して、前記暗号化部によって暗号化された画像情報を復号するための復号鍵を送信することを特徴とする請求項1に記載の検索画像提示装置。
【0013】
この構成により、本発明の検索画像提示装置は、画像情報を取得した後に、この画像情報が表す画像を閲覧する権限を有した検索者に対して、セキュリティが解除された画像を閲覧させることができる。
【0014】
また、前記画像情報は、JPEG2000ファイルのコードストリームであってもよい。この場合には、前記画像検索部は、前記JPEG2000ファイルを構成するレイアウトオブジェクトに含まれるメタデータボックスに記述されたHTXから前記検索用のキーワードを取得するようにしてもよい。
【0015】
また、前記暗号化部は、前記HTXで前記検索用のキーワードに対応付けられた画像領域を、前記JPEG2000ファイルを構成するコードストリームに含まれるSECマーカセグメントに指定されたZOIから取得するようにしてもよい。
【0016】
本発明の検索画像提示方法は、少なくとも1つの検索用のキーワードに対応する画像領域がそれぞれ定められた画像を表す複数の画像情報のなかから、検索者によって指定されたキーワードに基づいて画像情報を検索する画像検索ステップと、前記画像検索ステップで検索された画像情報が表す画像を閲覧する権限を有する検索者に限り該画像を閲覧できるよう該画像情報を暗号化する暗号化ステップと、前記暗号化ステップで暗号化された画像情報を前記検索者に提示する画像提示ステップと、を検索画像提示装置に実行させ、前記暗号化ステップでは、前記検索者によって指定されたキーワードに対応する画像領域に基づいて、該画像情報を暗号化させるものである。
【0017】
この方法により、検索者に指定されたキーワードに対応する一部の画像領域のセキュリティが解除された画像情報を検索者に提示するため、検索した画像情報が検索者に対してセキュリティが施されたものであっても、セキュリティを損なわない範囲で検索者に提示することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、検索した画像情報が検索者に対してセキュリティが施されたものであっても、セキュリティを損なわない範囲で検索者に提示することができる検索画像提示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施の形態においては、ISO/IEC−15444に規定されたJPIP(Jpeg2000 Internet Protocol)に基づいて通信を行うJPIPサーバに本発明に係る検索画像提示装置を適用した例について説明するが、本発明に係る検索画像提示装置の用途を限定するものではない。
【0020】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の検索画像提示装置を適用したJPIPサーバを図1に示す。JPIPサーバ1は、少なくとも1つの検索用のキーワードが対応付けられた複数の画像情報を格納する画像情報格納部10と、画像情報格納部10に格納された画像情報のなかから、JPIPクライアント2側のユーザである検索者によって指定されたキーワードに適合する画像情報を検索する画像検索部11と、画像検索部11によって検索された画像情報を暗号化する暗号化部12と、暗号化部12によって暗号化された画像情報をJPIPクライアント2に送信することにより、この画像情報を検索者に提示する画像提示部13とを備えている。
【0021】
より具体的なハードウェア構成としては、JPIPサーバ1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)20と、ROM(Read-Only Memory)21と、RAM(Random Access Memory)22と、ハードディスク装置23と、ネットワークに接続された各機器と通信を行うための通信モジュール26とを備えたコンピュータ装置によって構成されている。
【0022】
ROM21やハードディスク装置23には、当該コンピュータ装置をJPIPサーバ1として機能させるためのプログラムが格納されている。CPU20は、ROM21やハードディスク装置23に格納されたプログラムをRAM22に読み込みながら実行することにより、JPIPサーバ1の各部を制御するようになっている。
【0023】
ここで、画像情報格納部10は、ハードディスク装置23によって構成され、画像検索部11および暗号化部12は、CPU20によって構成され、画像提示部13は、CPU20および通信モジュール26によって構成されている。
【0024】
なお、本実施の形態においては、画像情報格納部10に格納されている画像情報として、ISO/IEC−15444に規定されたJPEG2000ファイル、特に、JPM(JPEG 2000 File Format - Multilayer)ファイルのコードストリームを適用した例について説明するが、本発明に係る検索画像提示装置が扱う画像情報の形式を限定するものではない。
【0025】
図3は、本実施の形態に適用されるJPMファイルの構成を示すファイル構成図である。図3において、JPMファイルは、主に、JPEG2000 Signatureボックス、ファイルタイプボックス、コンパウンドヘッダボックス、ページコレクションボックス、少なくとも1つのページボックス、および、少なくとも1つのコードストリームよりなる。
【0026】
JPEG2000 Signatureボックスには、このJPMファイルがJPEG2000ファイルであることを表す情報が格納されている。ファイルタイプボックスには、ファイルタイプ、バージョンおよび互換性等を表す情報が格納されている。コンパウンドヘッダボックスには、JPMファイルが表す画像全般に関する情報が格納されている。
【0027】
ページコレクションボックスには、JPMファイルが表す画像のページを管理するための情報が格納されている。各ページボックスには、JPMファイルが表す画像の各ページに関する情報が格納されている。
【0028】
また、各ページボックスは、少なくとも1つのレイアウトオブジェクトボックスを有し、レイアウトオブジェクトボックスは、少なくとも1つのオブジェクトボックスを有し、オブジェクトボックスとコードストリームとが対応付けられる。
【0029】
なお、ページコレクションボックス、ページボックスおよびレイアウトオブジェクトボックス等には、各ページボックス等に関する著作権情報やベンダー独自の情報等のような属性情報を格納することができるメタデータボックスを含めることができる。
【0030】
本実施の形態において、レイアウトオブジェクトボックスのメタデータボックス30には、HTX(Hidden Text)が含まれ、HTXには、図4に示すように、検索用のキーワードと画像領域を表す座標とが対応付けられている。
【0031】
図4において、(a)に示すように、キーワード「A社社長」および「A山B男」は、左上座標(480,20)から右下座標(640,400)の矩形領域に対応している。また、(b)に示すように、キーワード「新車」および「A社」は、左上座標(0,20)から右下座標(480,110)の矩形領域に対応している。
【0032】
このようにキーワードと対応付けられた領域は、当該コードストリームが表す画像に対して、該当するキーワードに基づいて検索を要求したが、閲覧する権限を有していない検索者(例えば、JPIPサーバ1による画像検索サービスに加入していない者。以下、「無権限者」という。)に対しても閲覧を許可する領域を示している。
【0033】
例えば、図4に示したHTXは、「A社社長」や「A山B男」がキーワードとして指定された場合には、当該コードストリームが表す画像に対して、左上座標(480,20)から右下座標(640,400)の矩形領域の閲覧が無権限者に対しても許可されることを示している。
【0034】
また、図4に示したHTXは、「新車」や「A社」がキーワードとして指定された場合には、当該コードストリームが表す画像に対して、左上座標(0,20)から右下座標(480,110)の矩形領域の閲覧が無権限者に対しても許可されることを示している。
【0035】
なお、図4の(c)においては、左上座標(0,0)から右下座標(640,20)の矩形領域に対するキーワードが定義されていないが、このような矩形領域は、指定されたキーワードにかかわらず、無権限者に対しても閲覧が許可されることを示している。
【0036】
また、図4の(d)においては、「車」、「A」、「B山」または「C男」のキーワードは、左上座標(0,0)から右下座標(0,0)の矩形とならない領域に対応している。このように、矩形とならない領域に対応するキーワードは、単に、検索用のキーワードとなり、無権限者に対して閲覧を許可するか否かには影響しない。
【0037】
各コードストリームは、図5(a)に示すように、当該コードストリームの開始点を示すSOC(Start Of Codestream)マーカと、当該コードストリーム全般に関する情報を表す複数のマーカセグメント(以下、「メインヘッダマーカセグメント」(Main Header Segment)と総称する。)とからなるメインヘッダを有している。
【0038】
また、コードストリームは、当該コードストリームの終了点を示すEOC(End Of Codestream)マーカを有している。また、図示を省略するが、コードストリームは、メインヘッダマーカセグメントとマーカとの間に、タイルパートと呼ばれる断片化された複数の部分符号を有している。
【0039】
メインヘッダマーカセグメントには、例えば、SIZ(Image and tile size)、COD(Coding Style Default)、COC(Coding Style Component)、QCD(Quantization default)、QCC(Quantization component)等のマーカセグメントが格納されている。
【0040】
SIZマーカセグメントには、当該コードストリームが表す画像のサイズ、タイルのサイズ、タイルのオフセット等の情報が格納されている。また、CODマーカセグメントやCOCマーカセグメントには、レイヤ、解像度、色成分および領域別のタイルパートがどのような順序で格納されているかを表すプログレッションオーダ、ならびに、各タイルパートのレイヤ数、色成分数、解像度の階層数および各領域のサイズを表す情報等が格納されている。また、QCDマーカセグメントやQCCマーカセグメントには、符号化に関するパラメータ等が格納されている。
【0041】
図1において、画像検索部11は、画像情報格納部10に格納された各JPMファイルの各コードストリームに含まれるHTXに設定されたキーワードと、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードとを比較することにより、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードに適合するJPMファイルのコードストリームを画像情報格納部10に格納されたJPMファイルから検索するようになっている。
【0042】
暗号化部12は、画像検索部11によって検索されたJPMファイルのコードストリームが表す画像を閲覧する権限を有する検索者(例えば、JPIPサーバ1による画像検索サービスに加入している者。以下、「有権限者」という。)に対しては、この画像の全領域を閲覧でき、無権限者に対しては、この画像の一部の領域を閲覧できるよう部分符号を暗号化するようになっている。
【0043】
図5(b)に示すように、JPMファイルのコードストリームは、SIZマーカセグメントと、COCマーカセグメントとの間に、SEC(Security)マーカセグメントを含めることができる。
【0044】
SECマーカセグメントは、図6に示すように、SECマーカセグメントを表す識別子を表す「SEC」と、SECマーカセグメントの長さを表すLsecと、SECマーカセグメントが複数ある場合の識別番号を表すZsecと、コードストリーム全体のセキュリティに関するパラメータを表すPsecと、セキュリティを施すための少なくとも1つのツールを表すToolとからなる。
【0045】
Toolは、図7に示すように、当該ツールのタイプtと、当該ツールのインスタンスのインデックスiと、当該ツールの識別番号を表すテンプレートIDと、当該ツールが影響を与える領域であるZOI(Zone Of Influence)の長さLZOIと、ZOIと、当該ツールのパラメータ長LPIDと、当該ツールのパラメータPIDとからなる。
【0046】
図1において、暗号化部12は、画像検索部11によって検索されたJPMファイルのコードストリームに含まれるHTXによって、JPIPクライアント2側で指定されたキーワードに対応付けられた画像領域を抽出するようになっている。
【0047】
ここで、暗号化部12は、JPIPクライアント2側で指定されたキーワードに対応付けられた画像領域が抽出できた場合には、該当するレイアウトオブジェクトボックスに含まれるオブジェクトボックスに対応付けられたコードストリームが表す画像の全領域から、この画像領域を除いた領域をZOIとしたSECマーカセグメントをコードストリームに追加すると共に、ZOIが示す領域にあたる部分符号を暗号化するようになっている。
【0048】
なお、暗号化部12は、当該画像に対する有権限者の公開鍵でZOIが示す領域にあたる部分符号を暗号化するようにしてもよく、有権限者に事前に配布した復号鍵で復号できるようにZOIが示す領域にあたる部分符号を暗号化するようにしてもよい。
【0049】
また、画像提示部13は、有権限者のJPIPクライアント2に当該コードストリームを送信する際に、当該復号鍵を送信するようにしてもよい。また、画像提示部13は、コードストリームを送信した後に有権限者として認証された検索者のJPIPクライアント2に当該復号鍵を送信するようにしてもよい。
【0050】
以上のように構成されたJPIPサーバ1について、図8を参照してその動作を説明する。
【0051】
まず、JPIPクライアント2からキーワードが指定されると(S1)、画像情報格納部10に格納された各JPMファイルの各コードストリームに含まれるHTXに設定されたキーワードと、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードとが画像検索部11によって比較され、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードに適合するJPMファイルのコードストリームが画像情報格納部10に格納されたJPMファイルから検索される(S2)。
【0052】
ここで、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードに適合するJPMファイルのコードストリームが検索されなかった場合には(S3)、この旨が画像提示部13によってJPIPクライアント2に通知される等して、JPIPサーバ1の動作は、ステップS1に戻る。
【0053】
一方、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードに適合するJPMファイルのコードストリームが検索された場合には(S3)、検索された各コードストリームに対して、以下に説明するステップS4乃至S9が実行される。
【0054】
まず、JPMファイルのコードストリームのHTXによって、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードに対応付けられた画像領域が暗号化部12によって抽出される(S4)。
【0055】
ここで、JPIPクライアント2側で指定されたキーワードに対応付けられた画像領域が抽出された場合には(S5)、該当するレイアウトオブジェクトボックスに含まれるオブジェクトボックスに対応付けられたコードストリームが表す画像の全領域から、この画像領域を除いた領域が暗号化部12によって抽出される(S6)。
【0056】
ここで、暗号化部12によって抽出された領域をZOIとしたSECマーカセグメントが当該コードストリームに追加され(S7)、このZOIが示す領域にあたる部分符号が暗号化部12によって暗号化される(S8)。
【0057】
JPIPクライアント2側で指定されたキーワードに対応付けられた画像領域が抽出されなかったコードストリーム、または、暗号化部12によって一部の部分符号が暗号化されたコードストリームは、画像提示部13によってJPIPクライアント2に送信される(S9)。ここで、画像提示部13は、HTXを除去したコードストリームをJPIPクライアント2に送信することが好ましい。
【0058】
画像提示部13によってコードストリームがJPIPクライアント2に送信されると、JPIPサーバ1の動作は、検索された次のコードストリームがある場合には、ステップS4に戻り、検索された次のコードストリームがない場合には、ステップS1に戻る。
【0059】
このように、JPIPクライアント2に送信されたコードストリームに含まれる部分符号は、JPIPクライアント2に設けられた表示装置等に検索結果として画像で表示される。
【0060】
例えば、図9(a)に示すような画像が検索された場合に、有権限者に対しては、図9(a)に示すような画像が表示装置に表示される。一方、キーワードとして「A社社長」や「A山B男」を指定した無権限者に対しては、図9(b)に示すような一部が復号できない画像が表示装置に表示される。同様に、キーワードとして「車」や「A社」を指定した無権限者に対しては、図9(c)に示すような一部が復号できない画像が表示装置に表示される。
【0061】
以上に説明したように、本発明の第1の実施の形態の検索画像提示装置を適用したJPIPサーバ1は、検索者に指定されたキーワードに対応する一部の画像領域のセキュリティが解除された画像情報を検索者に提示するため、検索した画像情報が検索者に対してセキュリティが施されたものであっても、セキュリティを損なわない範囲で検索者に提示することができる。
【0062】
また、暗号化部12が、有権限者の公開鍵で画像情報を暗号化することにより、有権限者に対しては、セキュリティが解除された画像を閲覧させることができる。
【0063】
また、暗号化部12が、有権限者に事前に配布した復号鍵で復号できるよう画像情報を暗号化することにより、復号鍵を有する検索者に対しては、セキュリティが解除された画像を閲覧させることができる。
【0064】
また、画像提示部13が、暗号化部12によって暗号化された画像情報を復号するための復号鍵を有権限者に対して送信することにより、画像情報を取得した無権限者が有権限者として認証されたときに、この有権限者にセキュリティが解除された画像を閲覧させることができる。
【0065】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態の検索画像提示装置を適用したJPIPサーバは、本発明の第1の実施の形態の検索画像提示装置を適用したJPIPサーバに対し、暗号化部12によるHTXの解釈が相違する。
【0066】
すなわち、本発明の第1の実施の形態において、暗号化部12は、指定されたキーワードにHTXによって対応付けられた画像領域を全領域から除いた領域をZOIとして抽出するようになっていた。
【0067】
これに対し、本実施の形態における暗号化部12は、各画像領域にHTXによって対応付けられたキーワードが指定されていない場合には、当該画像領域をZOIとし、各画像領域にHTXによって対応付けられたキーワードが指定されている場合には、当該画像領域をZOIとしないようになっている。
【0068】
例えば、図10に示したHTXにおいて、暗号化部12は、「A社社長」や「A山B男」がキーワードとして指定されていない場合には、当該コードストリームが表す画像に対して、左上座標(480,20)から右下座標(640,400)の矩形領域をZOIとする。
【0069】
逆に、「A社社長」や「A山B男」がキーワードとして指定された場合には、暗号化部12は、当該コードストリームが表す画像に対して、左上座標(480,20)から右下座標(640,400)の矩形領域をZOIとしない。
【0070】
同様に、暗号化部12は、「新車」や「A社」がキーワードとして指定されていない場合には、当該コードストリームが表す画像に対して、左上座標(0,20)から右下座標(480,110)の矩形領域をZOIとする。
【0071】
逆に、「新車」や「A社」がキーワードとして指定された場合には、暗号化部12は、当該コードストリームが表す画像に対して、左上座標(480,20)から右下座標(640,400)の矩形領域をZOIとしない。
【0072】
なお、図10の(c)においては、左上座標(0,110)から右下座標(480,400)の矩形領域に対するキーワードが定義されていない。暗号化部12は、このような矩形領域を、指定されたキーワードにかかわらず、ZOIとする。
【0073】
また、図10の(d)においては、「車」、「A」、「B山」または「C男」のキーワードは、左上座標(0,0)から右下座標(0,0)の矩形とならない領域に対応している。このように、矩形とならない領域に対応するキーワードは、単に、検索用のキーワードとなり、ZOIには影響しない。
【0074】
以上のように構成されたJPIPサーバ1について、図11を参照してその動作を説明する。
【0075】
まず、JPIPクライアント2からキーワードが指定されると(S11)、画像情報格納部10に格納された各JPMファイルの各コードストリームに含まれるHTXに設定されたキーワードと、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードとが画像検索部11によって比較され、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードに適合するJPMファイルのコードストリームが画像情報格納部10に格納されたJPMファイルから検索される(S12)。
【0076】
ここで、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードに適合するJPMファイルのコードストリームが検索されなかった場合には(S13)、この旨が画像提示部13によってJPIPクライアント2に通知される等して、JPIPサーバ1の動作は、ステップS1に戻る。
【0077】
一方、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードに適合するJPMファイルのコードストリームが検索された場合には(S13)、検索された各コードストリームに対して、以下に説明するステップS14乃至S19が実行される。
【0078】
まず、JPMファイルのコードストリームのHTXによって、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードに対応付けられていない、すなわち、他のキーワードに対応付けられた画像領域が暗号化部12によって抽出される(S14)。
【0079】
ここで、他のキーワードに対応付けられた画像領域が抽出された場合には(S15)、該当するレイアウトオブジェクトボックスに含まれるオブジェクトボックスに対応付けられたコードストリームの該当領域が暗号化部12によって抽出される(S16)。
【0080】
ここで、暗号化部12によって抽出された領域をZOIとしたSECマーカセグメントが当該コードストリームに追加され(S17)、このZOIが示す領域にあたる部分符号が暗号化部12によって暗号化される(S18)。
【0081】
JPIPクライアント2側で指定されたキーワードと異なる他のキーワードに対応付けられた画像領域が抽出されなかったコードストリーム、または、暗号化部12によって一部の部分符号が暗号化されたコードストリームは、画像提示部13によってJPIPクライアント2に送信される(S19)。ここで、画像提示部13は、HTXを除去したコードストリームをJPIPクライアント2に送信することが好ましい。
【0082】
画像提示部13によってコードストリームがJPIPクライアント2に送信されると、JPIPサーバ1の動作は、検索された次のコードストリームがある場合には、ステップS14に戻り、検索された次のコードストリームがない場合には、ステップS11に戻る。
【0083】
このように、JPIPクライアント2に送信されたコードストリームに含まれる部分符号は、JPIPクライアント2に設けられた表示装置等に検索結果として画像で表示される。
【0084】
例えば、本発明の第1の実施の形態において、図4に示したHTXに基づいてJPIPサーバ1で処理された画像情報は、JPIPクライアント2に設けられた表示装置において、図9に示すような画像で表示されるのに対し、本実施の形態においても、図10に示したHTXに基づいてJPIPサーバ1で処理された画像情報は、JPIPクライアント2に設けられた表示装置において、図9に示すような画像で表示される。
【0085】
以上に説明したように、本発明の第2の実施の形態の検索画像提示装置を適用したJPIPサーバ1は、本発明の第1の実施の形態の検索画像提示装置を適用したJPIPサーバ1と同様な効果を得ることができる。
【0086】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態の検索画像提示装置を適用したJPIPサーバは、本発明の第1の実施の形態の検索画像提示装置を適用したJPIPサーバに対し、画像検索部11によるコードストリームの検索方法が相違する。
【0087】
すなわち、本発明の第1の実施の形態において、画像検索部11は、画像情報格納部10に格納された各JPMファイルの各コードストリームに含まれるHTXに設定されたキーワードと、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードとを比較することにより、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードに適合するJPMファイルのコードストリームを画像情報格納部10に格納されたJPMファイルから検索するようになっていた。
【0088】
これに対し、本実施の形態における画像検索部11は、各JPMファイルに検索用のキーワードが対応付けられた対応テーブルを参照し、この対応テーブルに含まれるキーワードと、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードとを比較することにより、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードに適合するJPMファイルを画像情報格納部10に格納されたJPMファイルから検索するようになっている。
【0089】
ここで、対応テーブルは、画像情報格納部10を構成するハードディスク装置23等に格納され、各JPMファイルに対応付けられるキーワードは、図12に示すように、当該JPMファイルが表す画像を含むドキュメントにおいて、当該画像に隣接するテキスト、当該画像のキャプション、およびその他数多くの要因に基づいて予め設定されている。
【0090】
以上のように構成されたJPIPサーバ1について、図13を参照してその動作を説明する。なお、以下に説明するJPIPサーバ1の動作においては、本発明の第1の実施の形態の検索画像提示装置を適用したJPIPサーバ1の動作(図8参照)と同一なステップに同一な符号を付して説明を省略する。
【0091】
JPIPクライアント2からキーワードが指定されると(S31)、対応テーブルに含まれるキーワードと、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードとが画像検索部11によって比較され、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードに適合するJPMファイルが画像情報格納部10に格納されたJPMファイルから検索される(S32)。
【0092】
ここで、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードに適合するJPMファイルが検索されなかった場合には(S33)、この旨が画像提示部13によってJPIPクライアント2に通知される等して、JPIPサーバ1の動作は、ステップS31に戻る。
【0093】
一方、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードに適合するJPMファイルが検索された場合には(S33)、検索された各JPMファイルの各コードストリームに対して、本発明の第1の実施の形態で説明したようにステップS4乃至S9が実行される。
【0094】
なお、本実施の形態における画像検索部11は、本発明の第2の実施の形態の検索画像提示装置を適用したJPIPサーバ1の画像検索部11として適用してもよい。すなわち、ステップS33において、JPIPクライアント2側から指定されたキーワードに適合するJPMファイルが検索された場合には、検索された各JPMファイルの各コードストリームに対して、本発明の第2の実施の形態で説明したようにステップS14乃至S19(図11参照)が実行されるようにしてもよい。
【0095】
(変形例)
上述した本発明の各実施の形態において、無権限者に対しても閲覧を許可する領域をHTXとして当該JPMファイルのコードストリームに含めるものとして説明したが、無権限者に対しても閲覧を許可する領域を別ファイルで管理するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1の実施の形態の検索画像提示装置を適用したJPIPサーバを示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の検索画像提示装置を適用したJPIPサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に適用される画像情報としてのコードストリームを含むJPMファイルの構成を示すファイル構成図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に適用される画像情報としてのコードストリームに含まれるHTXの例を示す概念図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に適用される画像情報としてのコードストリームのデータ構成を示すデータ構成図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に適用される画像情報としてのコードストリームに含まれるSECマーカセグメントのデータ構成を示すデータ構成図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に適用される画像情報としてのコードストリームに含まれるSECマーカセグメントのツールのデータ構成を示すデータ構成図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態の検索画像提示装置を適用したJPIPサーバの動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施の形態の検索画像提示装置を適用したJPIPサーバから送信されたコードストリームのJPIPクライアントにおける出力例を示す概念図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に適用される画像情報としてのコードストリームに含まれるHTXの例を示す概念図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態の検索画像提示装置を適用したJPIPサーバの動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第3の実施の形態の検索画像提示装置を適用したJPIPサーバによって参照される対応テーブルを示す概念図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態の検索画像提示装置を適用したJPIPサーバの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0097】
1 JPIPサーバ
2 JPIPクライアント
10 画像情報格納部
11 画像検索部
12 暗号化部
13 画像提示部
20 CPU
21 ROM
22 RAM
23 ハードディスク装置
26 通信モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの検索用のキーワードに対応する画像領域がそれぞれ定められた画像を表す複数の画像情報のなかから、検索者によって指定されたキーワードに基づいて画像情報を検索する画像検索部と、
前記画像検索部によって検索された画像情報が表す画像を閲覧する権限を有する検索者に限り該画像を閲覧できるよう該画像情報を暗号化する暗号化部と、
前記暗号化部によって暗号化された画像情報を前記検索者に提示する画像提示部と、を備え、
前記暗号化部は、前記検索者によって指定されたキーワードに対応する画像領域に基づいて、該画像情報を暗号化する検索画像提示装置。
【請求項2】
前記暗号化部は、前記検索者によって指定されたキーワードに対応する画像領域を全領域から除いた領域に対応する画像情報の符号を暗号化することを特徴とする請求項1に記載の検索画像提示装置。
【請求項3】
前記暗号化部は、予め定められた画像領域に対応するキーワードが指定されなかったときに、該画像領域に対応する画像情報の符号を暗号化することを特徴とする請求項1に記載の検索画像提示装置。
【請求項4】
前記暗号化部は、前記画像を閲覧する権限を有する検索者の公開鍵で前記画像情報を暗号化することを特徴とする請求項1に記載の検索画像提示装置。
【請求項5】
前記暗号化部は、前記画像を閲覧する権限を有する検索者に事前に配布した復号鍵で復号できるよう前記画像情報を暗号化することを特徴とする請求項1に記載の検索画像提示装置。
【請求項6】
前記画像提示部は、前記画像を閲覧する権限を有する検索者に対して、前記暗号化部によって暗号化された画像情報を復号するための復号鍵を送信することを特徴とする請求項1に記載の検索画像提示装置。
【請求項7】
前記画像情報は、JPEG2000ファイルのコードストリームであることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の検索画像提示装置。
【請求項8】
前記画像検索部は、前記JPEG2000ファイルを構成するレイアウトオブジェクトに含まれるメタデータボックスに記述されたHTXから前記検索用のキーワードを取得することを特徴とする請求項7に記載の検索画像提示装置。
【請求項9】
前記暗号化部は、前記HTXで前記検索用のキーワードに対応付けられた画像領域を、前記JPEG2000ファイルを構成するコードストリームに含まれるSECマーカセグメントに指定されたZOIから取得することを特徴とする請求項8に記載の検索画像提示装置。
【請求項10】
少なくとも1つの検索用のキーワードに対応する画像領域がそれぞれ定められた画像を表す複数の画像情報のなかから、検索者によって指定されたキーワードに基づいて画像情報を検索する画像検索ステップと、
前記画像検索ステップで検索された画像情報が表す画像を閲覧する権限を有する検索者に限り該画像を閲覧できるよう該画像情報を暗号化する暗号化ステップと、
前記暗号化ステップで暗号化された画像情報を前記検索者に提示する画像提示ステップと、を検索画像提示装置に実行させ、
前記暗号化ステップでは、前記検索者によって指定されたキーワードに対応する画像領域に基づいて、該画像情報を暗号化させる検索画像提示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−157914(P2009−157914A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266277(P2008−266277)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】