説明

極端紫外光生成システム

【課題】EUV光を生成する部品の位置合わせ精度を向上する。
【解決手段】フレームと、極端紫外光の生成が内部で行われるチャンバと、チャンバの内部にターゲット物質を供給するためのターゲット供給部と、フレームとチャンバとをフレキシブルに接続するための第1の接続部材と、ターゲット供給部をフレームに固定するための機構と、ターゲット供給部をチャンバにフレキシブルに接続するための第2の接続部材と、を備えてもよい。チャンバには貫通孔が形成されてもよく、第2の接続部材は、チャンバの貫通孔の周囲と、ターゲット供給部とをフレキシブルに接続し、チャンバを密閉するためのフレキシブル管であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、極端紫外(EUV)光を生成するための装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴って光リソグラフィーにおける微細化が急速に進展しており、次世代においては、60nm〜45nmの微細加工、更には32nm以下の微細加工が要求されるようになる。そのため、例えば、32nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度のEUV光を生成するための装置と縮小投影反射光学系とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
極端紫外光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することにより生成されるプラズマが用いられるLPP(laser produced plasma)方式の装置と、放電によって生成されるプラズマが用いられるDPP(discharge produced plasma)方式の装置と、軌道放射光が用いられるSR(synchrotron radiation)方式の装置との3種類が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−6716号公報
【概要】
【0005】
本開示の1つの観点に係る極端紫外光生成装置は、ターゲット物質を励起してプラズマ化することにより極端紫外光を生成するための装置であって、フレームと、極端紫外光の生成が内部で行われるチャンバと、前記チャンバの内部に前記ターゲット物質を供給するためのターゲット供給部と、前記フレームと前記チャンバとをフレキシブルに接続するための第1の接続部材と、前記ターゲット供給部を前記フレームに固定するための機構と、前記ターゲット供給部を前記チャンバにフレキシブルに接続するための第2の接続部材と、を備えてもよい。
【0006】
本開示の他の観点に係る極端紫外光生成システムは、ターゲット物質を励起してプラズマ化することにより極端紫外光を生成するためのシステムであって、フレームと、極端紫外光の生成が内部で行われるチャンバと、前記チャンバの内部に前記ターゲット物質を供給するためのターゲット供給部と、前記フレームと前記チャンバとをフレキシブルに接続するための第1の接続部材と、前記ターゲット供給部を前記フレームに固定するための機構と、前記ターゲット供給部を前記チャンバにフレキシブルに接続するための第2の接続部材と、前記ターゲット供給部から前記チャンバの内部に供給された前記ターゲット物質に照射されるレーザ光を出力するよう構成されるドライバレーザと、前記フレームに固定され、前記チャンバの内部に出力された前記レーザ光を反射するためのミラーと、前記ミラーによって反射された前記レーザ光の進行方向に配置されて、前記レーザ光を吸収するためのビームダンプと、を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本開示の第1の実施形態に係るEUV光生成システムの構成を概略的に示す断面図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係るEUV光生成システムにおいてターゲット供給部を支持するための構成を示す断面図である。
【図3A】図3Aは、第1の実施形態における冷却機構の第1の例を示す断面図である。
【図3B】図3Bは、第1の実施形態における冷却機構の第2の例を示す断面図である。
【図3C】図3Cは、第1の実施形態における冷却機構の第3の例を示す断面図である。
【図4A】図4Aは、第1の実施形態における冷却機構の第4の例を示す断面図である。
【図4B】図4Bは、第1の実施形態における冷却機構の第5の例を示す断面図である。
【図5】図5は、本開示の第2の実施形態に係るEUV光生成システムにおいてターゲットセンサを支持するための構成を示す断面図である。
【図6】図6は、本開示の第3の実施形態に係るEUV光生成システムにおいてEUV発光位置センサを支持するための構成を示す断面図である。
【図7】図7は、本開示の第4の実施形態に係るEUV光生成システムにおいてレーザ光中継ミラーを支持するための構成を示す断面図である。
【図8】図8は、本開示の第5の実施形態に係るEUV光生成システムの構成を概略的に示す断面図である。
【図9】図9は、本開示の第6の実施形態に係るEUV光生成システムに含まれるEUV光生成装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図10】図10は、第6の実施形態に係るEUV光生成システムにおいてターゲット供給部を支持するための構成を示す断面図である。
【図11】図11は、本開示の第7の実施形態に係るEUV光生成システムにおいてターゲットセンサを支持するための構成を示す断面図である。
【図12】図12は、本開示の第8の実施形態に係るEUV光生成システムにおいてEUV発光位置センサを支持するための構成を示す断面図である。
【図13】図13は、本開示の第9の実施形態に係るEUV光生成システムにおいてレーザ光中継ミラーを支持するための構成を示す断面図である。
【図14】図14は、本開示の第10の実施形態に係るEUV光生成システムに含まれるEUV光生成装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図15】図15は、本開示の第11の実施形態に係るEUV光生成システムにおいて真空ポンプを支持するための構成を示す一部断面図である。
【図16】図16は、本開示の第12の実施形態に係るEUV光生成装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図17】図17は、本開示の第13の実施形態に係るEUV光生成システムが露光装置の投影光学系に接続された例を示す側面図である。
【実施形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明する実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、以下の実施形態で説明される構成の全てが本開示の構成として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0009】
<1.第1の実施形態>
図1は、本開示の第1の実施形態に係るEUV光生成システムの構成を概略的に示す断面図である。EUV光生成システム100では、LPP方式が採用されてもよい。図1に示すように、EUV光生成システム100は、チャンバ1と、支持フレーム2と、ターゲット供給部3と、EUV集光ミラー4と、ドライバレーザ5と、を含んでもよい。
【0010】
チャンバ1は、EUV光の生成が行われる内部空間を密閉するよう構成されてもよい。チャンバ1の内部は所定の圧力(大気よりも低圧)に保持されてもよい。また、チャンバ1は、円筒状のチャンバ壁1aと、円板状のチャンバ壁1b及び1eとを含んでもよい。円板状のチャンバ壁1b及び1eは、それぞれ円筒状のチャンバ壁1aの両端に、気密に固定されてもよい。
【0011】
チャンバ壁1bの中央には、貫通孔1fが形成されてもよい。チャンバ1内において、円筒部材1cが、チャンバ壁1bの貫通孔1fの周囲と、円板1dの周縁部との間に接続されてもよい。また、円板1dの中央には、貫通孔1hが形成されてもよい。そして、フレキシブル管13が、円板1dの貫通孔1hの周囲と、レーザ光透過窓11を支持するホルダ11aとの間に接続されてもよい。レーザ光透過窓11を、ドライバレーザ5から出力されたレーザ光がチャンバ1の内部に透過してもよい。ホルダ11aは、レーザ光透過窓11の周縁部において、レーザ光透過窓11に対して気密に固定されてもよい。以上の構成により、貫通孔1fが封止されてもよい。
【0012】
チャンバ壁1bにおいて、貫通孔1fの周囲に複数の貫通孔1gが形成されてもよい。貫通孔1gの各々は、後述するように、フレキシブル管55と、ミラーホルダ53aとによって封止されてもよい。
【0013】
また、チャンバ1は、チャンバ1の内部で生成されたEUV光を露光装置の投影光学系等の処理装置に出力するための開口が形成された接続部12をさらに含んでもよい。チャンバ壁1eの中央に形成された貫通孔の周囲と、接続部12の周縁部との間に、フレキシブル管14が接続されてもよい。これにより、接続部12の開口が、フレキシブル管14を介してチャンバ壁1eの開口に連通してもよい。フレキシブル管13及びフレキシブル管14は、チャンバ1内外の圧力差により生じる応力に耐え得る蛇腹を有するのが好ましい。
【0014】
支持フレーム2は、機械的基準面に対して正確に位置決めされて配置されており、ターゲット供給部3や、EUV集光ミラー4等を所定位置に支持し、かつ固定する機能を有してもよい。支持フレーム2には、レーザ光透過窓11を支持するためのホルダ11aと、接続部12とが固定されてもよい。また、支持フレーム2は、弾性部材25を介してチャンバ1とフレキシブルに接続されてもよい。
【0015】
ターゲット供給部3は、EUV光を生成するために用いられるスズ(Sn)やリチウム(Li)等のターゲット物質をチャンバ1内に供給するよう構成されてもよい。ターゲット供給部3は、ターゲット物質を収容するタンク3aと、タンク3a内のターゲット物質をチャンバ1内に出力するためのノズル3bと、を含んでもよい。
【0016】
ターゲット供給部3は、連続流れ(ターゲット噴流)や液滴(ドロップレット)等の、公知の何れの態様でターゲット物質をチャンバ1内に供給するよう構成されてもよい。例えば、ターゲット物質としてスズを溶融した状態で用いる場合には、ターゲット供給部3は、スズを溶融するためのヒータ、溶融スズを加圧して噴出させるための高純度アルゴン(Ar)ガスを供給するためのガスボンベ、高純度アルゴンガスの流量を制御するためのマスフローコントローラ等をさらに含んでもよい。
【0017】
ドライバレーザ5は、ターゲット物質を励起してプラズマ化するために用いられるレーザ光を出力するよう構成されてもよい。ドライバレーザ5は例えば、発振増幅(MOPA)型のレーザ装置でもよい。ドライバレーザ5から出力されたレーザ光は、レーザ光集光ミラー41やレンズ等を含む光学系と、レーザ光透過窓11とを介してチャンバ1内に導入されてもよい。チャンバ1内に導入されたレーザ光は、EUV集光ミラー4に形成された貫通孔を通って、チャンバ1内の所定のプラズマ生成領域PSで集光されてもよい。プラズマ生成領域PSにおいて、ターゲット物質がレーザ光に照射されると、ターゲット物質がプラズマ化し得る。このプラズマから、EUV光を含む様々な波長の光が放射され得る。レーザ光集光ミラー41は、支持フレーム2によって支持されてもよい。レーザ光集光ミラー41を支持フレーム2によって支持することにより、チャンバ1が熱膨張しても、機械的基準面に対してレーザ光集光ミラー41が所望の位置及び姿勢に維持され得る。
【0018】
EUV集光ミラー4は、チャンバ1内に設けられてもよい。EUV集光ミラー4は、所定の波長のEUV光を高い反射率で反射する多層膜がコートされた反射面を有してもよい。例えば、波長が13.5nm付近のEUV光を選択的に反射するミラーとしては、反射面にモリブデン(Mo)とシリコン(Si)とが交互に積層されたミラーが用いられてもよい。EUV集光ミラー4の反射面は回転楕円面の形状で、EUV集光ミラー4は、回転楕円面の第1の焦点位置がプラズマ生成領域PSに位置するように配置されてもよい。EUV集光ミラー4によって反射されたEUV光は、回転楕円面の第2の焦点位置、すなわち中間集光点IFに集光されてもよい。
【0019】
以上のように、チャンバ1内に供給されたターゲット物質にレーザ光が照射されることにより、ターゲット物質がプラズマ化し得る。このプラズマからEUV光を含む様々な波長の光が放射され得る。放射される光の内、所定の波長(例えば、13.5nm)のEUV光が、EUV集光ミラー4によって高い反射率で反射されてもよい。EUV集光ミラー4によって反射されたEUV光は、接続部12の開口を介して、チャンバ1の外部に接続された露光装置の投影光学系等の処理装置に出力されてもよい。
【0020】
第1の実施形態においては、ドライバレーザ5を含むEUV光生成システム100について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、ドライバレーザ5とは異なる外部装置から出力される励起用エネルギーをチャンバ1内に導入し、チャンバ内のターゲット物質を励起してEUV光が生成される装置にも、本開示が適用されてもよい。このように、ドライバレーザ5等の外部装置と組み合わせてEUV光を生成するための装置のことを、本願においては、「極端紫外光生成装置」又は「EUV光生成装置」と称する。また、EUV光を用いて処理を行うための処理装置として露光装置の投影光学系を例示したが、処理装置は、これに限らず、レチクル検査装置(マスク検査装置)であってもよい。
【0021】
<1−1.ターゲット供給部を支持するための構成>
図2は、本開示の第1の実施形態に係るEUV光生成システムにおいてターゲット供給部を支持するための構成を示す断面図である。
【0022】
ターゲット供給部3は、上述のプラズマ生成領域PSにターゲット物質を正確に供給するために、機械的基準面に対して所望の位置に維持されることが好ましい。しかしながら、プラズマからの輻射熱、ターゲット物質を励起するのに使われなかった散乱エネルギー(LPP方式の装置においては、レーザ光の散乱エネルギー)等によって、チャンバ壁1a等のチャンバ1の構成部材が加熱されて膨張し、変形するおそれがある。従って、ターゲット供給部3がチャンバ壁1aによって支持されている場合には、チャンバ壁1aの変形によってターゲット供給部3の位置がずれてしまい、プラズマ生成領域PSにターゲット物質を正確に供給できなくなるおそれがある。そこで、第1の実施形態においては、ターゲット供給部3が支持フレーム2によって支持されてもよい。
【0023】
第1の実施形態においては、支持フレーム2がチャンバ1の外側に配置されてもよい。このため、支持フレーム2はプラズマからの輻射熱やレーザ光の散乱エネルギーに直接曝されにくくなり得る。従って、支持フレーム2の構成部材はチャンバ壁1a等のチャンバ1の構成部材よりも加熱されにくく、支持フレーム2の熱膨張による変形が抑制され得る。
【0024】
支持フレーム2の構成部材の熱膨張率は、チャンバ壁1a等のチャンバ1の構成部材の熱膨張率より小さくてもよく、その場合には、支持フレーム2の変形量はさらに小さくなり得る。熱膨張率の小さい材料としては、例えば、ムライト系セラミック、βコジェライト系セラミック等が用いられてもよい。
【0025】
支持フレーム2には、6軸ステージ30の固定プレート31が固定されてもよい。6軸ステージ30の可動プレート32は、ターゲット供給部3のタンク3aに固定されてもよい。6軸ステージ30のアクチュエータによって、固定プレート31に対する可動プレート32の位置及び傾きが調整され得る。これにより、支持フレーム2に対してターゲット供給部3が任意の位置及び傾きに調整され得る。
【0026】
チャンバ1は、チャンバ壁1aの他に、チャンバ蓋34aを構成部材として含んでもよい。チャンバ壁1aには、開口34が形成されていてもよい。開口34の周囲において、チャンバ蓋34aがチャンバ壁1aに対して気密に固定され、チャンバ1を密封してもよい。チャンバ蓋34aには、チャンバ壁1aに固定された部分に囲まれた領域に、貫通孔34bが形成されてもよい。ターゲット供給部3は、チャンバ蓋34aの貫通孔34bを貫通してもよい。ターゲット供給部3は、タンク3aに可動プレート32が固定された部分と、ノズル3bの先端の開口部3cとの間に、フランジ部38を有してもよい。
【0027】
チャンバ1内において、フレキシブル管35が、チャンバ壁1aと、ターゲット供給部3のフランジ部38との間に接続されてもよい。より詳しくは、フレキシブル管35の一端が、チャンバ壁1aに固定されたチャンバ蓋34aの貫通孔34bの周囲において、チャンバ蓋34aに対して気密に固定されてもよい。また、フレキシブル管35の他端が、ターゲット供給部3のフランジ部38に対して気密に固定されてもよい。このように、フレキシブル管35は、チャンバ蓋34aの貫通孔34bの周囲と、ターゲット供給部3のフランジ部38との間に接続されて、チャンバ1を密閉してもよい。また、フレキシブル管35は、チャンバ1内外の圧力差により生じる応力に耐え得る蛇腹を有してもよい。このように、チャンバ1の気密性を維持しつつ、ターゲット供給部3とチャンバ1とがフレキシブルに接続され得る。
【0028】
このような構成により、チャンバ1内の低圧状態が維持されると共に、ターゲット供給部3が6軸ステージ30によって位置調整可能に保持され得る。また、支持フレーム2は、チャンバ1内で生成された高温のプラズマからの輻射熱に直接曝されにくく、チャンバ壁1a等のチャンバ1の構成部材よりも加熱されにくくなり得るので、熱による変形が抑制され得る。従って、第1の実施形態によれば、ターゲット供給部3が支持フレーム2によって支持されることにより、ターゲット供給部3の位置ずれが抑制され得る。
【0029】
また、第1の実施形態においては、支持フレーム2の全体がチャンバ1の外側に配置されてもよい。このため、チャンバ壁1a等のチャンバ1の構成部材の熱膨張による変形を軽減する目的でチャンバ1を大型化する必要がなく、チャンバ1の軽量化及び薄肉化が可能である。従って、第1の実施形態によれば、チャンバ1を比較的低コストで製作することが可能となる。
【0030】
さらに、第1の実施形態においては、6軸ステージ30はチャンバ1の外側に配置されてもよい。このため、6軸ステージ30は、潤滑油の蒸発抑制等の真空対応を施したものである必要がなく、低コスト化が可能である。また、6軸ステージ30の潤滑油等がチャンバ1内に拡散する可能性が低く、潤滑油等により露光装置の投影光学系等の処理装置が汚染されることが抑制され得る。
【0031】
EUV光生成システム100は、上述の構成部品の他にも、例えば、チャンバ1内においてプラズマ生成時に生成されるイオンを回収ためのイオン回収部、及び、EUV集光ミラー4等をクリーニングするためにチャンバ1内に水素ラジカル(H)を供給するためのラジカル源等を含んでもよい。このようなイオン回収部やラジカル源は、ターゲット供給部3のように精密に位置決めされる必要がないので、チャンバ壁1aによって支持されてもよい。
【0032】
<1−2.EUV集光ミラーを支持するための構成>
再び図1を参照しながら、EUV集光ミラー4を支持するための構成について説明する。EUV集光ミラー4は、露光装置の投影光学系等の処理装置の仕様によって要求される中間集光点IFに対して正確にEUV光を集光できるように、機械的基準面に対して所望の位置及び姿勢に維持されることが好ましい。しかしながら、プラズマからの輻射熱、ターゲット物質を励起するのに使われなかった散乱エネルギー(LPP方式においては、レーザ光の散乱エネルギー)等によって、チャンバ壁1b等のチャンバ1の構成部材が加熱されて膨張し、変形するおそれがある。従って、EUV集光ミラー4がチャンバ壁1bによって支持されている場合には、チャンバ壁1bの変形によってEUV集光ミラー4の位置がずれてしまい、中間集光点IFにEUV光を集光できなくなるおそれがある。そこで、第1の実施形態においては、EUV集光ミラー4が支持フレーム2によって支持されてもよい。
【0033】
支持フレーム2には、6軸ステージ50の固定プレート51が固定されてもよい。6軸ステージ50の可動プレート52には、支持棒(固定部材)53を介してEUV集光ミラー4が固定されてもよい。従って、6軸ステージ50のアクチュエータによって固定プレート51に対する可動プレート52の位置及び傾きが調整され得る。これにより、支持フレーム2に対してEUV集光ミラー4が任意の位置及び傾きに調整され得る。
【0034】
支持棒53は、チャンバ壁1bに形成された貫通孔1gを貫通してもよい。支持棒53の一端は6軸ステージ50の可動プレート52に固定され、支持棒53の他端はEUV集光ミラー4を支持するためのミラーホルダ53aに固定されてもよい。チャンバ1内において、フレキシブル管55が、チャンバ壁1bと、ミラーホルダ53aとの間に接続されてもよい。より詳しくは、フレキシブル管55の一端が、チャンバ壁1bの貫通孔1gの周囲において、チャンバ壁1bに対して気密に固定されてもよい。また、フレキシブル管55の他端が、ミラーホルダ53aに対して気密に固定されてもよい。このように、フレキシブル管55は、チャンバ壁1bの貫通孔1gの周囲と、ミラーホルダ53aとの間に接続されて、チャンバ1を密閉してもよい。また、フレキシブル管55は、チャンバ1内外の圧力差により生じる応力に耐え得る蛇腹を有してもよい。こうして、チャンバ1の気密性が維持されつつ、EUV集光ミラー4とチャンバ壁1bとがフレキシブルに接続され得る。
【0035】
このような構成により、チャンバ1内の低圧状態が維持されると共に、EUV集光ミラー4が6軸ステージ50及び支持棒53によって位置調整可能に保持され得る。また、6軸ステージ50及びこれが取り付けられた支持フレーム2は、チャンバ1内で生成された高温のプラズマからの輻射熱に直接曝されにくく、チャンバ壁1b等のチャンバ1の構成部材よりも加熱されにくいので、熱による変形が抑制され得る。従って、第1の実施形態によれば、EUV集光ミラー4が支持フレーム2によって支持されることにより、EUV集光ミラー4の位置ずれが抑制され得る。
【0036】
上述のように、第1の実施形態においては、支持フレーム2の熱膨張による変形を抑制するために、支持フレーム2がチャンバ1の外側に配置されてもよい。第1の実施形態において、さらに、支持フレーム2が、例えば、冷却媒体通路6を含む冷却機構を有することにより、支持フレーム2の熱膨張を抑制するよう構成されてもよい。
【0037】
図1に示すように、冷却媒体通路6は、ポンプ60及び熱交換部61に連通してもよい。熱交換部61において冷却された水等の冷却媒体は、ポンプ60によって冷却媒体通路6内に送られてもよい。冷却媒体通路6は、支持フレーム2の加熱されやすい部分に形成されてもよい。
【0038】
例えば、上述の6軸ステージ50は、チャンバ1内のEUV集光ミラー4を、支持棒53を介して支持しているので、EUV集光ミラー4からの熱伝導によって加熱される場合がある。6軸ステージ50の熱はさらに支持フレーム2に伝わり、支持フレーム2が加熱される可能性がある。そこで、支持フレーム2の6軸ステージ50を支持する部分付近に、冷却媒体通路6が形成されてもよい。
【0039】
上述の弾性部材25は、チャンバ1と支持フレーム2とを接続しているので、チャンバ1からの熱伝導によって加熱される場合がある。弾性部材25が受けた熱は、さらに支持フレーム2に伝わり、支持フレーム2が加熱される可能性がある。そこで、支持フレーム2の弾性部材25が固定された部分付近に、冷却媒体通路6が形成されてもよい。
【0040】
上述のレーザ光透過窓11及び接続部12は、チャンバ1内の空間に露出しているので、プラズマからの輻射熱やレーザ光の散乱エネルギーによって加熱される場合がある。レーザ光透過窓11のホルダ11a、及び、接続部12は支持フレーム2に固定されているので、ホルダ11a及び接続部12が受けた熱はさらに支持フレーム2に伝わり、支持フレーム2が加熱される可能性がある。そこで、支持フレーム2のホルダ11a及び接続部12が固定された部分付近に、冷却媒体通路6が形成されてもよい。
【0041】
また、図2に示すように、上述の6軸ステージ30は、ターゲット供給部3を支持しているので、ターゲット供給部3からの熱伝導によって加熱される場合がある。6軸ステージ30が受けた熱はさらに支持フレーム2に伝わり、支持フレーム2が加熱される可能性がある。そこで、支持フレーム2の6軸ステージ30を支持する部分付近に、冷却媒体通路6が形成されてもよい。これにより、支持フレーム2の熱膨張が抑制され得る。
【0042】
<1−3.冷却機構の例>
図3A〜図3Cは、第1の実施形態における冷却機構の例を示す断面図である。例えば、図3Aに示すように、冷却媒体通路6となる溝が形成された支持フレーム2の外面に、封止板62をボルト64によって固定してもよい。これにより、支持フレーム2と封止板62との間に冷却媒体通路6が形成され得る。冷却媒体通路6の流路方向(図3Aにおける紙面奥行方向)に沿って、冷却媒体通路6の両側にシール材63が配置されることによって、支持フレーム2と封止板62との接合面からの液漏れが防止され得る。
【0043】
また、図3Bに示すように、支持フレーム2の外面に、冷却媒体配管65を熱伝導性接着材66、熱伝導性セメント等によって固定することにより、冷却媒体通路6が形成されてもよい。
【0044】
また、図3Cに示すように、熱電素子67を含む冷却機構が支持フレーム2の外面に配置されてもよい。熱電素子67として例えばペルチェ素子が用いられる場合には、熱電素子67に直流電源68を接続し、直流電源68を動作させてもよい。これにより、熱電素子67の一方の面側から他方の面側への熱エネルギーの移動が起こり得る。その結果、熱電素子67の一方の面では外部から熱が吸収され、他方の面では外部に熱が放出され得る。従って、熱電素子67の吸熱側の面を支持フレーム2に貼り付けて直流電源68を動作させることにより、支持フレーム2が冷却され得る。
【0045】
図4A及び図4Bは、第1の実施形態における冷却機構の他の例を示す断面図である。図4Aに示すように、チャンバ1はチャンバ1外部の支持フレーム2にフレキシブルに接続されてもよく、支持フレーム2は、フレーム支持台120に支持されてもよい。チャンバ1、支持フレーム2及びフレーム支持台120は、筐体カバー170によって覆われてもよい。冷却機構は、筐体カバー170と、筐体カバー170内の空気を冷却するための空調機130とによって構成されてもよい。
【0046】
また、図4Bに示すように、冷却機構は、筐体カバー170と、筐体カバー170内の空気を排気するための図示しない排熱ブロアに連通した排熱ダクト140とによって構成されてもよい。
【0047】
<2.第2の実施形態>
図5は、本開示の第2の実施形態に係るEUV光生成システムにおいてターゲットセンサを支持するための構成を示す断面図である。第2の実施形態に係るEUV光生成システムは、チャンバ1内に供給されたターゲット物質を撮像するためのターゲットセンサ8をさらに含んでもよく、ターゲットセンサ8は複数設けられてもよい。その他の点は、第1の実施形態と同様でよい。
【0048】
ターゲットセンサ8は、例えば、CCD(charge coupled device)イメージセンサ86と、少なくとも1つのレンズを有する光学系87とを含み、チャンバ1の内部を撮像して画像データを出力するよう構成されてもよい。別途設けられる画像処理装置が、この画像データを解析処理することにより、チャンバ1内に供給されて移動するターゲット物質の軌道を画像処理装置が検出し得る。ターゲットセンサ8が複数設けられる場合、撮像した複数の画像データから、画像処理装置がターゲット物質の軌道の空間的位置を3次元で検出し得る。この検出結果は、例えば、第1の実施形態において説明した6軸ステージ30(図2参照)の制御にフィードバックされ、上述のプラズマ生成領域PSにターゲット物質が正確に供給されるように、ターゲット供給部3の位置が制御されるように構成されてもよい。
【0049】
ターゲットセンサ8は、プラズマ生成領域PSとターゲット物質の軌道との位置関係を正確に検出できるように、機械的基準面に対して所望の位置に維持されることが好ましい。
【0050】
しかしながら、プラズマからの輻射熱、ターゲット物質を励起するのに使われなかった散乱エネルギー(LPP方式においては、レーザ光の散乱エネルギー)等によって、チャンバ壁1a等のチャンバ1の構成部材が加熱されて膨張し、変形するおそれがある。このとき、ターゲットセンサ8がチャンバ壁1aによって支持されている場合には、チャンバ壁1aの変形によってターゲットセンサ8の位置がずれてしまい、ターゲット物質の軌道を正確に検出できなくなるおそれがある。そこで、第2の実施形態においては、ターゲットセンサ8が支持フレーム2によって支持されてもよい。
【0051】
第2の実施形態においては、支持フレーム2がチャンバ1の外側に配置されてもよい。このため、支持フレーム2はプラズマからの輻射熱やレーザ光の散乱エネルギーに直接曝されにくくなり得る。従って、支持フレーム2の構成部材は、チャンバ壁1a等のチャンバ1の構成部材よりも加熱されにくく、支持フレーム2の熱膨張による変形が抑制され得る。支持フレーム2の構成部材の熱膨張率は、チャンバ壁1a等のチャンバ1の構成部材の熱膨張率より小さくてもよく、その場合には、支持フレーム2の変形量はさらに小さくなり得る。
【0052】
支持フレーム2には、XYZステージ80の固定プレート81が固定されてもよい。XYZステージ80の可動プレート82には、ターゲットセンサ8が固定されてもよい。従って、XYZステージ80によって固定プレート81に対する可動プレート82の位置が調整され得る。これにより、支持フレーム2に対してターゲットセンサ8が任意の位置に調整され得る。
【0053】
支持フレーム2には、ホルダ83bが固定されてもよい。ホルダ83bに、観測する光の波長に対して透明な窓83を支持するための窓枠83aが固定されてもよい。支持フレーム2とホルダ83b、ホルダ83bと窓枠83a、窓枠83aと窓83は、それぞれ互いに気密に固定されてもよい。チャンバ壁1aには、貫通孔84が形成されてもよい。
【0054】
チャンバ1の外部において、フレキシブル管85が、チャンバ壁1aと、窓83との間に接続されてもよい。より詳しくは、フレキシブル管85の一端が、チャンバ壁1aの貫通孔84の周囲において、チャンバ壁1aに対して気密に固定されてもよい。また、フレキシブル管85の他端が、窓83の窓枠83aが固定されたホルダ83bに対して気密に固定されてもよい。このように、フレキシブル管85は、チャンバ壁1aの貫通孔84の周囲と、窓83との間に接続されて、チャンバ1を密閉してもよい。また、フレキシブル管85は、チャンバ1内外の圧力差により生じる応力に耐え得る蛇腹を有してもよい。ターゲットセンサ8は、窓83の外側に配置され、窓83及び貫通孔84を介してチャンバ1内のターゲット物質を撮像してもよい。
【0055】
このような構成により、チャンバ1内の低圧状態が維持されると共に、ターゲットセンサ8がXYZステージ80によって位置調整可能に保持され得る。また、ターゲットセンサ8はXYZステージ80を介して支持フレーム2によって保持されてもよい。支持フレーム2は、チャンバ1内で生成された高温のプラズマからの輻射熱に直接曝されにくく、チャンバ壁1a等のチャンバ1の構成部材よりも加熱されにくいので、熱による変形が抑制され得る。従って、第2の実施形態によれば、ターゲットセンサ8が支持フレーム2によって支持されることにより、ターゲットセンサ8の位置ずれが抑制され得る。
【0056】
また、第2の実施形態においては、窓83及びXYZステージ80がチャンバ壁1aに固定される場合に比べて、窓83及びXYZステージ80自体が熱によって変形又は移動してしまうことが抑制され得る。従って、ターゲットセンサ8による検出精度がより良好となり得る。
【0057】
また、上述のように、第2の実施形態においては、支持フレーム2の全体がチャンバ1の外側に配置されてもよい。このため、チャンバ壁1a等のチャンバ1の構成部材の熱膨張による変形を軽減する目的でチャンバ1を大型化する必要がなく、チャンバ1の軽量化及び薄肉化が可能である。従って、第2の実施形態においては、チャンバ1を比較的低コストで製作することが可能となる。
【0058】
第2の実施形態においても、支持フレーム2に冷却機構を設けることにより、支持フレーム2の熱膨張を抑制してもよい。上述の窓83は、フレキシブル管85の内部の空間を介してチャンバ1内の低圧雰囲気に触れているので、プラズマからの輻射熱やレーザ光の散乱エネルギーによって加熱されるおそれがある。窓83は支持フレーム2に固定されているので、窓83が受けた熱は、支持フレーム2に伝わり、支持フレーム2が加熱される可能性がある。そこで、支持フレーム2の窓83が固定された部分付近に、例えば、冷却媒体通路6を含む冷却機構が形成されてもよい。
【0059】
<3.第3の実施形態>
図6は、本開示の第3の実施形態に係るEUV光生成システムにおいてEUV発光位置センサを支持するための構成を示す断面図である。第3の実施形態に係るEUV光生成システムは、チャンバ1内のプラズマ生成領域PSの位置を撮像するためのEUV発光位置センサ7をさらに含んでもよく、EUV発光位置センサ7は複数設けられてもよい。その他の点は、第1の実施形態と同様でよい。
【0060】
EUV発光位置センサ7は、例えば、CCDイメージセンサ76と、少なくとも1つのレンズを有する光学系77とを含み、チャンバ1の内部を撮像して画像データを出力するよう構成されてもよい。別途設けられる画像処理装置が、この画像データを解析処理することにより、EUV光等の光が生成されるプラズマ生成領域PSの位置を画像処理装置が検出してもよい。EUV発光位置センサ7が複数設けられる場合、撮像した複数の画像データから、画像処理装置がプラズマ生成領域PSの空間的位置を3次元で検出してもよい。この検出結果は、例えば、第1の実施形態において説明した6軸ステージ50(図1参照)の制御にフィードバックされ、当該プラズマ生成領域PSにEUV集光ミラー4の第1の焦点が位置するように、EUV集光ミラー4の位置が制御されるように構成されてもよい。EUV発光位置センサ7の支持構成は、図5を参照しながら説明したターゲットセンサ8の支持構成と同様でよい。
【0061】
<4.第4の実施形態>
図7は、本開示の第4の実施形態に係るEUV光生成システムにおいてレーザ光中継ミラーを支持するための構成を示す断面図である。第4の実施形態に係るEUV光生成システムは、チャンバ1の内部に出力されてプラズマ生成領域PSを通過したレーザ光を反射するためのレーザ光中継ミラー42と、レーザ光中継ミラー42によって反射されたレーザ光の進行方向に配置されて、そのレーザ光を吸収するためのビームダンプ59とをさらに含んでもよい。その他の点は、第1の実施形態と同様でよい。
【0062】
第4の実施形態においては、レーザ光中継ミラー42が支持フレーム2によって支持されてもよい。支持フレーム2には、6軸ステージ40の固定プレート48が固定されてもよい。6軸ステージ40の可動プレート49は、支持棒43に固定されてもよい。レーザ光中継ミラー42は、支持棒43の先端に支持されてもよい。
【0063】
チャンバ1は、チャンバ壁1aの他に、チャンバ蓋44aを構成部材として含んでもよい。チャンバ壁1aには、開口44が形成されてもよい。開口44の周囲において、チャンバ蓋44aがチャンバ壁1aに対して気密に固定され、チャンバ1を密封してもよい。チャンバ蓋44aには、チャンバ壁1aに固定された部分に囲まれた領域に、貫通孔44bが形成されてもよい。支持棒43は、チャンバ蓋44aの貫通孔44bを貫通してもよい。支持棒43は、可動プレート49が固定された部分と、レーザ光中継ミラー42を支持する部分との間に、フランジ部43aを有してもよい。
【0064】
チャンバ1内において、フレキシブル管45が、チャンバ壁1aと、支持棒43のフランジ部43aとの間に接続されてもよい。より詳しくは、フレキシブル管45の一端が、チャンバ壁1aに固定されたチャンバ蓋44aの貫通孔44bの周囲において、チャンバ蓋44aに対して気密に固定されてもよい。また、フレキシブル管45の他端が、支持棒43のフランジ部43aに対して気密に固定されてもよい。このように、フレキシブル管45は、チャンバ蓋44aの貫通孔44bの周囲と、支持棒43のフランジ部43aとの間に接続されて、チャンバ1を密閉してもよい。また、フレキシブル管45は、チャンバ1内外の圧力差による生じる応力に耐え得る蛇腹を有してもよい。
【0065】
<5.第5の実施形態>
図8は、本開示の第5の実施形態に係るEUV光生成システムの構成を概略的に示す断面図である。第5の実施形態は、ミラーホルダ53aが支持フレーム2に固定されることによって、EUV集光ミラー4が支持され、EUV光生成システム100が6軸ステージ50(図1参照)を含まない点で、第1の実施形態と異なってもよい。その他の点は、第1の実施形態と同様でよい。
【0066】
第5の実施形態において、EUV集光ミラー4はミラーホルダ53aに支持されており、ミラーホルダ53aは支持棒53に固定されてもよい。支持棒53は、支持フレーム2に直接固定されてもよい。従って、EUV集光ミラー4と支持フレーム2との位置関係はほぼ一定に維持され得る。機械的基準面に対して、支持フレーム2の位置、傾き等を調整することにより、EUV集光ミラー4の位置、傾き等が調整され得る。
【0067】
第1の実施形態において説明したのと同様に、支持棒53は、チャンバ壁1bに形成された貫通孔1gを貫通してもよい。チャンバ1内において、フレキシブル管55は、チャンバ壁1bの貫通孔1gの周囲と、ミラーホルダ53aとの間に接続されて、チャンバ1を密閉してもよい。こうして、チャンバ1の気密性を維持しつつ、EUV集光ミラー4とチャンバ壁1bとがフレキシブルに接続され得る。
【0068】
第5の実施形態においては、EUV集光ミラー4がミラーホルダ53aを介して支持フレーム2に固定されることによって支持される場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、ターゲット供給部3、EUV発光位置センサ7、ターゲットセンサ8、レーザ光中継ミラー42等が、支持フレーム2に直接固定されることによって支持されてもよい。
【0069】
<6.第6の実施形態>
図9は、本開示の第6の実施形態に係るEUV光生成システムにおいて用いられるEUV光生成装置の構成を概略的に示す断面図である。EUV光生成装置90は、チャンバ1と、支持フレーム20と、ターゲット供給部3と、EUV集光ミラー4と、を含んでもよい。EUV光生成装置90においては、支持フレーム20の構成が、図1を参照しながら説明したEUV光生成システム100における支持フレーム2の構成と異なってもよい。また、EUV光生成装置90は、ドライバレーザ5を含んでいない点で、図1を参照しながら説明したEUV光生成システム100と異なってもよい。他の点については、図1を参照しながら説明したEUV光生成システム100と同様でよい。
【0070】
EUV光生成装置90では、ドライバレーザ5等の外部装置から励起エネルギーを導入してチャンバ1内のターゲット物質を励起することにより、EUV光を生成してもよい。EUV光生成装置90にドライバレーザ5を組み合わせることにより、第6の実施形態に係るEUV光生成システムが構成されてもよい。
【0071】
EUV光生成装置90においては、チャンバ壁1bに貫通孔1iが形成されてもよい。貫通孔1iを支持フレーム20の一部が貫通することにより、支持フレーム20の一部がチャンバ1の内部に位置してもよい。従って、EUV光生成装置90においては、支持フレーム20の一部がチャンバ1の内部において加熱される可能性がある。
【0072】
しかし、支持フレーム20の構成部材の熱膨張率が、チャンバ壁1a等のチャンバ1の構成部材の熱膨張率より小さい場合には、支持フレーム20の変形量を小さくし得る。また、支持フレーム20の一部でチャンバ1の外部に位置する部分は高温のプラズマからの輻射熱に直接曝されにくく、熱による変形が抑制され得る。
【0073】
チャンバ1の外部において、管状の弾性部材23が、チャンバ壁1bと支持フレーム20との間に接続されてもよい。より詳しくは、管状の弾性部材23の一端が、チャンバ壁1bの貫通孔1iの周囲において、チャンバ壁1bに対して気密に固定されてもよい。また、管状の弾性部材23の他端が、支持フレーム20に対して気密に固定されてもよい。このように、管状の弾性部材23は、チャンバ壁1bの貫通孔1iの周囲と、支持フレーム20との間に接続されて、チャンバ1を密閉してもよい。こうして、チャンバ1の気密性を維持しつつ、支持フレーム20とチャンバ壁1bとがフレキシブルに接続され得る。
【0074】
また、チャンバ1は、チャンバ1の内部で生成されたEUV光を露光装置の投影光学系等の処理装置に出力するための開口が形成された接続部12を含んでもよい。接続部12は、弾性部材22を介してチャンバ壁1eに接続されてもよい。
【0075】
図10は、第6の実施形態に係るEUV光生成システムにおいてターゲット供給部を支持するための構成を示す断面図である。図10に示すように、ターゲット供給部3は、支持フレーム20の一部であってチャンバ1の内部に位置する部分によって支持されてもよい。
【0076】
チャンバ壁1aには、貫通孔36が形成されてもよい。支持フレーム20の一部であってチャンバ1の内部に位置する部分には、開口26が形成されてもよい。開口26の周囲において、蓋26aが支持フレーム20に対して気密に固定されてもよい。蓋26aには、支持フレーム20に固定された部分に囲まれた領域に、貫通孔26bが形成されてもよい。ターゲット供給部3は、貫通孔36及び貫通孔26bを貫通してもよい。
【0077】
支持フレーム20の貫通孔36側の面であって、開口26の周囲の領域に、ステージホルダ30aが気密に固定されてもよい。ステージホルダ30aには、6軸ステージ30の固定プレート31が固定されてもよい。6軸ステージ30の可動プレート32は、ターゲット供給部のタンク3aに固定されてもよい。従って、6軸ステージ30のアクチュエータによって固定プレート31に対する可動プレート32の位置及び傾きが調整され得る。これにより、支持フレーム2に対してターゲット供給部3が任意の位置及び傾きに調整され得る。
【0078】
チャンバ1内において、管状の弾性部材37が、チャンバ壁1aと、支持フレーム20との間に接続されてもよい。より詳しくは、管状の弾性部材37の一端が、チャンバ壁1aの貫通孔36の周囲において、チャンバ壁1aに対して気密に固定されてもよい。また、弾性部材37の他端が、支持フレーム20に固定されたステージホルダ30aの周縁部において、ステージホルダ30aに対して気密に固定されてもよい。このように、管状の弾性部材37は、チャンバ壁1aの貫通孔36の周囲と、支持フレーム20との間に接続されて、チャンバ1を密閉してもよい。こうして、支持フレーム20上でターゲット供給部3を支持するための6軸ステージ30と、チャンバ壁1aとがフレキシブルに接続され得る。
【0079】
ターゲット供給部3は、タンク3aに可動プレート32が固定された部分と、ノズル3bの先端の開口部3cとの間に、フランジ部38を有してもよい。そして、フレキシブル管35が、支持フレーム20とターゲット供給部3のフランジ部38との間に接続されてもよい。より詳しくは、フレキシブル管35の一端が、支持フレーム20に固定された蓋26aの貫通孔26bの周囲において、蓋26aに対して気密に固定されてもよい。また、フレキシブル管35の他端が、フランジ部38に対して気密に固定されてもよい。このように、フレキシブル管35は、蓋26aの貫通孔26bの周囲とターゲット供給部3のフランジ部38との間に接続されて、チャンバ1を密閉してもよい。こうして、チャンバ1の気密性が維持されつつ、ターゲット供給部3と支持フレーム20とがフレキシブルに接続され得る。
【0080】
このような構成により、チャンバ1内の低圧状態が維持されると共に、ターゲット供給部3が6軸ステージ30によって位置調整可能に保持され得る。また、ターゲット供給部3が支持フレーム20によって支持されているので、熱膨張率が小さい材料で支持フレーム20を構成することにより、ターゲット供給部3の位置ずれが抑制され得る。
【0081】
また、第6の実施形態においては、6軸ステージ30は、管状の弾性部材37によってチャンバ1内の低圧雰囲気から遮断されてもよい。このため、6軸ステージ30に、潤滑油の蒸発防止等の真空対応を施す必要がなく、より低コスト化され得る。
【0082】
再び図9を参照しながら、EUV集光ミラー4の支持構成について説明する。第6の実施形態においては、EUV集光ミラー4が支持フレーム20の一部であってチャンバ1の外部に位置する部分によって支持されてもよい。これにより、EUV集光ミラー4の位置ずれが抑制され得る。支持フレーム20の構成部材の熱伝導率が小さい場合には、EUV集光ミラー4の位置ずれが一層抑制され得る。他の点については、図1を参照しながら説明したEUV集光ミラー4の支持構成と同様でよい。
【0083】
<7.第7の実施形態>
図11は、本開示の第7の実施形態に係るEUV光生成システムにおいてターゲットセンサを支持するための構成を示す断面図である。第7の実施形態に係るEUV光生成システムは、チャンバ1内に供給されたターゲット物質を撮像するためのターゲットセンサ8をさらに含んでもよい。その他の点は、第6の実施形態と同様でよい。図11に示すように、ターゲットセンサ8は、支持フレーム20の一部であってチャンバ1の内部に位置する部分によって支持されてもよい。
【0084】
ターゲットセンサ8は、例えば、CCDイメージセンサ86と、少なくとも1つのレンズを有する光学系87とを含み、チャンバ1の内部のターゲット物質を撮像して画像データを出力するよう構成されてもよい。別途設けられる画像処理装置が、この画像データを解析処理することにより、チャンバ1内に供給されて移動するターゲット物質の軌道を画像処理装置が検出してもよい。ターゲットセンサ8が複数設けられる場合、撮像した複数の画像データから、画像処理装置がターゲット物質の軌道の空間的位置を3次元で検出してもよい。この検出結果は、例えば、第6の実施形態において説明した6軸ステージ30(図10参照)の制御にフィードバックされ、上述のプラズマ生成領域PSにターゲット物質が正確に供給されるように、ターゲット供給部3の位置が制御されてもよい。
【0085】
チャンバ壁1aには、貫通孔84が形成されてもよい。支持フレーム20の貫通孔84側の面には、ステージホルダ80aが気密に固定されてもよい。ステージホルダ80aには、XYZステージ80が固定されてもよい。XYZステージ80には、ターゲットセンサ8が固定されてもよい。従って、XYZステージ80が駆動されることによって、支持フレーム20に対してターゲットセンサ8が任意の位置に調整され得る。
【0086】
チャンバ1内において、フレキシブル管85が、チャンバ壁1aと、支持フレーム20との間に接続されてもよい。より詳しくは、フレキシブル管85の一端が、チャンバ壁1aの貫通孔84の周囲において、チャンバ壁1aに対して気密に固定されてもよい。また、フレキシブル管85の他端が、支持フレーム20に固定されたステージホルダ80aの周縁部において、ステージホルダ80aに対して気密に固定されてもよい。このように、フレキシブル管85は、チャンバ壁1aの貫通孔84の周囲と、支持フレーム20との間に接続されて、チャンバ1を密閉してもよい。こうして、支持フレーム20上でターゲットセンサ8を支持するためのXYZステージ80と、チャンバ壁1aとがフレキシブルに接続され得る。
【0087】
支持フレーム20に固定されたステージホルダ80aには、観測する光の波長に対して透明な窓83を支持する窓枠83aが固定されてもよい。ターゲットセンサ8は、窓83の外側に配置され、窓83を介してチャンバ1内のターゲット物質を撮像し得る。このような構成により、チャンバ1内の低圧状態が維持されると共に、ターゲットセンサ8はXYZステージ80によって位置調整可能に保持され得る。また、ターゲットセンサ8及びXYZステージ80はチャンバ1内で生成された高温のプラズマからの輻射熱に直接曝されにくく、熱による変形が抑制され得る。
【0088】
また、第7の実施形態によれば、ターゲットセンサ8が支持フレーム20によって支持されているので、熱膨張率が小さい材料で支持フレーム20を構成することにより、ターゲットセンサ8の位置ずれが抑制され得る。
【0089】
さらに、第7の実施形態においては、窓83及びXYZステージ80がチャンバ壁1aに固定される場合に比べて、窓83及びXYZステージ80自体が熱により変形又は移動してしまうことが抑制され得る。従って、ターゲットセンサ8による検出精度がより良好となり得る。
【0090】
<8.第8の実施形態>
図12は、本開示の第8の実施形態に係るEUV光生成システムにおいてEUV発光位置センサを支持するための構成を示す断面図である。第8の実施形態に係るEUV光生成システムは、チャンバ1内のプラズマ生成領域PSの位置を撮像するためのEUV発光位置センサ7をさらに含んでもよく、EUV発光位置センサ7は複数設けられてもよい。その他の点は、第6の実施形態と同様でよい。
【0091】
EUV発光位置センサ7は、例えば、CCDイメージセンサ76と、少なくとも1つのレンズを有する光学系77とを含み、チャンバ1の内部を撮像して画像データを出力するよう構成されてもよい。別途設けられる画像処理装置が、この画像データを解析処理することにより、EUV光等の光が生成されるプラズマ生成領域PSの位置を画像処理装置が検出してもよい。EUV発光位置センサ7が複数設けられる場合、撮像した複数の画像データから、画像処理装置がプラズマ生成領域PSの空間的位置を3次元で検出してもよい。この検出結果は、例えば、図9に示す6軸ステージ50の制御にフィードバックされ、プラズマ生成領域PSにEUV集光ミラー4の第1の焦点が位置するように、EUV集光ミラー4の位置が制御されてもよい。EUV発光位置センサ7を支持するための構成は、図11を参照しながら説明したターゲットセンサ8を支持するための構成と同様でよい。
【0092】
<9.第9の実施形態>
図13は、本開示の第9の実施形態に係るEUV光生成システムにおいてレーザ光中継ミラーを支持するための構成を示す断面図である。第9の実施形態に係るEUV光生成システムは、レーザ光中継ミラー42と、ビームダンプ59とをさらに含んでもよい。レーザ光中継ミラー42は、プラズマ生成領域PSを通過したレーザ光を反射してもよい。ビームダンプ59は、レーザ光中継ミラー42によって反射されたレーザ光の進行方向に配置されて、そのレーザ光を吸収してもよい。その他の点は、第6の実施形態と同様でよい。
【0093】
図13に示すように、レーザ光中継ミラー42は、支持フレーム20の一部であってチャンバ1の内部に位置する部分によって支持されてもよい。チャンバ壁1aには、貫通孔46が形成されてもよい。支持フレーム20の一部であってチャンバ1の内部に位置する部分には、貫通孔27が形成されてもよい。レーザ光中継ミラー42を支持する支持棒43は、貫通孔46及び貫通孔27を貫通してもよい。
【0094】
支持フレーム20の貫通孔46側の面であって、貫通孔27の周囲の領域には、6軸ステージ40の固定プレート48が固定されてもよい。6軸ステージ40の可動プレート49は、支持棒43に固定されてもよい。レーザ光中継ミラー42は、支持棒43の先端に支持されてもよい。
【0095】
チャンバ1内において、管状の弾性部材47が、チャンバ壁1aと、支持フレーム20との間に接続されてもよい。より詳しくは、管状の弾性部材47の一端が、チャンバ壁1aの貫通孔46の周囲において、チャンバ壁1aに対して気密に固定されてもよい。また、弾性部材47の他端が、支持フレーム20の6軸ステージ40が固定された部分の周囲において、支持フレーム20に対して気密に固定されてもよい。このように、管状の弾性部材47は、チャンバ壁1aの貫通孔46の周囲と、支持フレーム20との間に接続されて、チャンバ1を密閉してもよい。
【0096】
支持棒43は、可動プレート49が固定された部分と、レーザ光中継ミラー42が固定された部分との間に、フランジ部43aを有してもよい。そして、フレキシブル管45が、支持フレーム20と支持棒43のフランジ部43aとの間に接続されてもよい。より詳しくは、フレキシブル管45の一端が、支持フレーム20の貫通孔27の周囲において、支持フレーム20に対して気密に固定されてもよい。また、フレキシブル管45の他端が、支持棒43のフランジ部43aに対して気密に固定されてもよい。このように、フレキシブル管45は、支持フレーム20の貫通孔27の周囲と支持棒43のフランジ部43aとの間に接続されて、チャンバ1を密閉してもよい。
【0097】
<10.第10の実施形態>
図14は、本開示の第10の実施形態に係るEUV光生成システムに含まれるEUV光生成装置の構成を概略的に示す断面図である。第10の実施形態は、ミラーホルダ53aが支持フレーム20に固定されることによって、EUV集光ミラー4が支持され、EUV光生成装置90が6軸ステージ50(図9参照)を含んでいない点で、第6の実施形態と異なってもよい。その他の点は、第6の実施形態と同様でよい。
【0098】
第10の実施形態において、EUV集光ミラー4はミラーホルダ53aに支持されており、ミラーホルダ53aは支持棒53に固定されてもよい。支持棒53は、支持フレーム20に直接固定されてもよい。従って、EUV集光ミラー4と支持フレーム20との位置関係は一定に維持され得る。機械的基準面に対して、支持フレーム20の位置、傾き等を調整することにより、EUV集光ミラー4の位置、傾き等が調整されてもよい。
【0099】
第6の実施形態において説明したのと同様に、支持棒53は、チャンバ壁1bに形成された貫通孔1gを貫通してもよい。チャンバ1内において、フレキシブル管55は、チャンバ壁1bの貫通孔1gの周囲と、ミラーホルダ53aとの間に接続されて、チャンバ1を密閉してもよい。こうして、チャンバ1の気密性を維持しつつ、EUV集光ミラー4とチャンバ壁1bとがフレキシブルに接続され得る。
【0100】
第10の実施形態においては、EUV集光ミラー4がミラーホルダ53aを介して支持フレーム20に固定されることによって支持される場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、ターゲット供給部3、EUV発光位置センサ7、ターゲットセンサ8、レーザ光中継ミラー42等が、支持フレーム20に直接固定されることによって支持されてもよい。
【0101】
<11.第11の実施形態>
図15は、本開示の第11の実施形態に係るEUV光生成システムにおいて真空ポンプを支持するための構成を示す一部断面図である。第11の実施形態に係るEUV光生成システムは、チャンバ1内を排気するための真空ポンプ15をさらに含んでもよい。その他の点は、第1の実施形態と同様でよい。
【0102】
真空ポンプ15としては、例えばターボ分子ポンプが用いられてもよい。ターボ分子ポンプは、内部のロータが高速で回転し、気体分子を弾き飛ばすことによってガスを排気するよう構成されてもよい。真空ポンプ15を動作させると、例えば、上記のようなロータの回転によって、振動が発生し得る。真空ポンプ15の振動が支持フレーム2に伝わる場合、支持フレーム2が振動して、上述のEUV集光ミラー4(図1参照)、ターゲット供給部3(図2参照)、ターゲットセンサ8(図5参照)、EUV発光位置センサ7(図6参照)等が振動する可能性がある。また、真空ポンプ15の振動がチャンバ壁1aに伝わる場合、チャンバ1には、内外の圧力差により生じる応力に加えて、振動による応力がかかるため、チャンバ1の強度を高めに設計する必要が生じ得る。
【0103】
そこで、第11の実施形態においては、真空ポンプ15が、支持フレーム2とは別の第2支持フレーム18によって支持されてもよい。これにより、真空ポンプ15において発生する振動が支持フレーム2に直接伝わることが抑制され得る。
【0104】
また、チャンバ壁1aには貫通孔16が形成され、第2支持フレーム18には貫通孔19が形成されてもよい。第2支持フレーム18のチャンバ1側の面には、貫通孔19の周囲において、環状部材18aが固定されてもよい。第2支持フレーム18のチャンバ1と反対側の面には、貫通孔19の周囲において、真空ポンプ15の吸気ポート15aが固定されてもよい。
【0105】
そして、チャンバ1の外部において、フレキシブル管17が、チャンバ壁1aと、第2支持フレーム18との間に接続されてもよい。より詳しくは、フレキシブル管17の一端が、チャンバ壁1aの貫通孔16の周囲において、チャンバ壁1aに対して気密に固定されてもよい。また、フレキシブル管17の他端が、第2支持フレーム18の貫通孔19の周囲に固定された環状部材18aに対して気密に固定されてもよい。こうして、チャンバ内部と、真空ポンプ15の吸気ポート15aとが貫通孔16を介して連通してもよい。フレキシブル管17は、支持フレーム2の貫通孔2cを貫通してもよい。また、フレキシブル管17は、チャンバ1内外の圧力差により生じる応力に耐え得る蛇腹を有してもよい。これにより、真空ポンプ15において発生する振動がチャンバ壁1aに直接伝わることが抑制され得る。
【0106】
なお、第11の実施形態においては、支持フレーム2がチャンバ1の外側に配置される場合について説明したが、支持フレーム2の一部がチャンバ1の内側に配置されてもよい。
【0107】
<12.第12の実施形態>
図16は、本開示の第12の実施形態に係るEUV光生成装置の構成を概略的に示す断面図である。EUV光生成装置200では、電極間に放電を生じさせてターゲット物質を励起することによりEUV光が生成される放電生成プラズマ(DPP)方式が採用されてもよい。DPP方式においては、EUV光生成装置を小型化することができ、さらに、EUV光生成装置が低消費電力化され得るという利点がある。EUV光生成装置200は、チャンバ1と、支持フレーム20と、ターゲット供給部3と、EUV集光ミラー4aと、一対の電極9a及び9bと、を含んでもよい。
【0108】
チャンバ1は、EUV光の生成が行われる内部空間を画定してもよい。チャンバ1の内部は所定の圧力(大気よりも低圧)に保持されてもよい。また、チャンバ1は、チャンバ1の内部で生成されたEUV光を露光装置の投影光学系等の処理装置に出力するための開口が形成された接続部12を含んでもよい。接続部12は、弾性部材22を介してチャンバ壁1eに接続されてもよい。
【0109】
支持フレーム20は、機械的基準面に対して正確に位置決めされて配置されており、ターゲット供給部3や、EUV集光ミラー4a等を所定位置に支持するための機能を有してもよい。支持フレーム20には、接続部12が固定されてもよい。また、支持フレーム20は、弾性部材25を介してチャンバ壁1aとフレキシブルに接続されてもよい。
【0110】
また、第12の実施形態においては、チャンバ壁1bに貫通孔1iが形成されてもよい。貫通孔1iに支持フレーム20の一部が挿入されることにより、支持フレーム20の一部がチャンバ1の内部に位置してもよい。
【0111】
チャンバ1の外部において、管状の弾性部材23が、チャンバ壁1bと支持フレーム20との間に接続されてもよい。より詳しくは、管状の弾性部材23の一端が、チャンバ壁1bの貫通孔1iの周囲において、チャンバ壁1bに対して気密に固定されてもよい。また、管状の弾性部材23の他端が、支持フレーム20に対して気密に固定されてもよい。このように、管状の弾性部材23は、チャンバ壁1bの貫通孔1iの周囲と、支持フレーム20との間に接続されて、チャンバ1を密閉してもよい。こうして、チャンバ1の気密性が維持されつつ、支持フレーム20とチャンバ壁1bとがフレキシブルに接続され得る。
【0112】
ターゲット供給部3は、EUV光を生成するために用いられるキセノン(Xe)ガス、リチウム(Li)蒸気、スズ(Sn)蒸気等のターゲット物質を、チャンバ1内の一対の電極9a及び9b間に供給するよう構成されてもよい。ターゲット供給部3は、ターゲット物質を収容するタンク3aと、タンク3a内のターゲット物質をチャンバ1内に出力するためのノズル3bと、を含んでもよい。
【0113】
一対の電極9a及び9bは、チャンバ1内に設けられてもよい。一対の電極9a及び9bは、高電圧パルス生成部9に接続されてもよい。或いは、一対の電極9a及び9bの内の一方が高電圧パルス生成部9に接続され、他方が所定電位(例えば接地電位)に接続されてもよい。高電圧パルス生成部9が高電圧パルスを生成すると、一対の電極9a及び9b間に放電が生じ得る。一対の電極9a及び9b間に供給されたターゲット物質は、この放電によって励起されてプラズマ化し得る。このプラズマからは、EUV光を含む様々な波長の光が放射され得る。
【0114】
EUV集光ミラー4aは、チャンバ1内に設けられてもよい。EUV集光ミラー4aは、径の異なる複数の回転楕円面形状の反射面を含んでもよい。EUV集光ミラー4aは、例えば、ニッケル(Ni)等からなる平滑面を有する基体材料の反射面側に、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、又はロジウム(Rh)等の金属がコーティングされたものでもよい。これにより、EUV集光ミラー4aは、0°〜25°の斜入射角度のEUV光を、高い反射率で反射し得る。
【0115】
EUV集光ミラー4aは、回転楕円面の第1の焦点位置がプラズマ生成領域PSと一致するように配置されてもよい。EUV集光ミラー4aによって反射されたEUV光は、回転楕円面の第2の焦点位置、すなわち、中間集光点IFに集光され得る。そして、EUV光は、チャンバ1の外部に接続される露光装置の投影光学系等の処理装置に出力されてもよい。
【0116】
第12の実施形態においても、EUV集光ミラー4a及びターゲット供給部3が支持フレーム20によって支持されてもよい。また、図11及び図12を参照しながら説明したと同様のターゲットセンサやEUV発光位置センサが支持フレーム20によって支持されてもよい。
【0117】
例えば、EUV集光ミラー4aは、支持フレーム20の一部でチャンバ1の内部に位置する部分によって支持されてもよい。すなわち、支持フレーム20には、EUV集光ミラーステージ50aが固定され、EUV集光ミラーステージ50aには、EUV集光ミラーホルダ4bが固定され、EUV集光ミラーホルダ4bには、EUV集光ミラー4aが固定されてもよい。従って、EUV集光ミラーステージ50aのアクチュエータが駆動されることによって、支持フレーム20に対してEUV集光ミラー4aが任意の位置及び傾きに調整され得る。
【0118】
第12の実施形態においては、支持フレーム20の一部がチャンバ1の内部に位置する場合について説明したが、これに限らず、支持フレームの全体がチャンバ1の外部に位置してもよい。
【0119】
ターゲット供給部3を支持するための構成は、図2及び図10を参照しながら説明した構成と同様でもよい。また、ターゲットセンサやEUV発光位置センサを支持するための構成は、図5、図6、図11、図12を参照しながら説明した構成と同様でもよい。
【0120】
<13.第13の実施形態>
図17は、本開示の第13の実施形態に係るEUV光生成システムが、露光装置の投影光学系に接続された例を示す側面図である。第13の実施形態に係るEUV光生成システムとしては、第1〜第12の実施形態と同様のEUV光生成システムが用いられてもよい。第13の実施形態において、EUV光生成システムを構成するチャンバ1は、チャンバ支持台110によって支持されてもよい。チャンバ支持台110は、熱膨張等によりチャンバ1が変形したり移動したりしても、変形や移動に伴う応力が支持フレーム2に伝達しないようにチャンバ1を支持するのが好ましい。EUV光生成システムを構成する支持フレーム2は、チャンバ支持台110とは独立のフレーム支持台120によって支持されてもよい。フレーム支持台120は、機械的基準面に対して支持フレーム2を所望の位置、角度となるよう調整する位置角度調整装置を備えてもよい。さらに、フレーム支持台120は、調整された位置、角度で固定して支持フレーム2を支持するための位置角度固定装置を備えてもよい。機械的基準面は処理装置の一部として設けられてもよいし、設置床面に設けられてもよいし、チャンバ1周辺に設置された他の装置に設けられてもよい。
【0121】
投影光学系160は、EUV光を用いて処理を行う処理装置の一例であり、マスクにEUV光を照射する光学系であるマスク照射部161と、マスクの像をウエハ上に投影する光学系であるワークピース照射部162とを含んでもよい。マスク照射部161は、EUV光生成システムのチャンバ1から入射したEUV光を、反射光学系を介してマスクテーブルMTのマスクパターン上に照射してもよい。ワークピース照射部162は、マスクテーブルMTによって反射されたEUV光を、反射光学系を介してワークピーステーブルWTのワークピース(半導体ウエハ等)上に結像させてもよい。そして、マスクテーブルMTとワークピーステーブルWTとを同時に平行移動させることにより、投影光学系160はマスクパターンをワークピースに転写し得る。投影光学系を構成する要素の一部に機械的基準面が設けられてもよい。
【0122】
チャンバ1の接続部12には、光路接続モジュール150の一端が固定され、マスク照射部161には、光路接続モジュール150の他端が固定されてもよい。光路接続モジュール150は、チャンバ1とマスク照射部161との間においてEUV光の経路を画定するとともに、EUV光の経路を外部から隔離してもよい。中間集光点IFは、光路接続モジュール150内に位置してもよい。
【0123】
以上の構成により、チャンバ1及び支持フレーム2を含むEUV光生成システムは、露光装置の投影光学系160に接続され得る。マスク照射部161の光路接続モジュール150との接続部に機械的基準面が設けられてもよい。光路接続モジュール150の一部に機械的基準面が設けられてもよい。たとえば、光路接続モジュール150とマスク照射部161との接合面が機械的基準面であってもよい。または、光路接続モジュール150と接続部12との接合面が機械的基準面であってもよい。
【0124】
以上の説明において、弾性部材23及び25は、それぞれ、フレームとチャンバとをフレキシブルに接続するための第1の接続部材に相当し得る。フレキシブル管35は、ターゲット供給部をチャンバにフレキシブルに接続するための第2の接続部材に相当し得る。フレキシブル管55は、チャンバの貫通孔の周囲と固定部材とをフレキシブルに接続し、チャンバを密閉するための第3の接続部材に相当し得る。フレキシブル管17は、チャンバと真空ポンプとを接続するための第4の接続部材に相当し得る。
【0125】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0126】
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される修飾句「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0127】
1…チャンバ、1a、1b、1e…チャンバ壁、1c…円筒部材、1d…円板、1f、1g、1h、1i…貫通孔、2、20…支持フレーム、2c…貫通孔、3…ターゲット供給部、3a…タンク、3b…ノズル、3c…開口部、4、4a…EUV集光ミラー、4b…EUV集光ミラーホルダ、5…ドライバレーザ、6…冷却媒体通路、7…EUV発光位置センサ、8…ターゲットセンサ、9…高電圧パルス生成部、9a、9b…電極、11…レーザ光透過窓、11a…ホルダ、12…接続部、13、14…フレキシブル管、15…真空ポンプ、15a…吸気ポート、16…貫通孔、17…フレキシブル管、18…第2支持フレーム、18a…環状部材、19…貫通孔、22、23、25…弾性部材、26…開口、26a…蓋、26b…貫通孔、27…貫通孔、30…6軸ステージ、30a…ステージホルダ、31…固定プレート、32…可動プレート、34…開口、34a…チャンバ蓋、34b…貫通孔、35…フレキシブル管、36…貫通孔、37…弾性部材、38…フランジ部、40…6軸ステージ、41…レーザ光集光ミラー、42…レーザ光中継ミラー、43…支持棒、43a…フランジ部、44…開口、44a…チャンバ蓋、44b…貫通孔、45…フレキシブル管、46…貫通孔、47…弾性部材、48…固定プレート、49…可動プレート、50…6軸ステージ、50a…EUV集光ミラーステージ、51…固定プレート、52…可動プレート、53…支持棒、53a…ミラーホルダ、55…フレキシブル管、59…ビームダンプ、60…ポンプ、61…熱交換部、62…封止板、63…シール材、64…ボルト、65…冷却媒体配管、66…熱伝導性接着材、67…熱電素子、68…直流電源、76…CCDイメージセンサ、77…光学系、80…XYZステージ、80a…ステージホルダ、81…固定プレート、82…可動プレート、83…窓、83a…窓枠、83b…ホルダ、84…貫通孔、85…フレキシブル管、86…CCDイメージセンサ、87…光学系、90…EUV光生成装置、100…EUV光生成システム、110…チャンバ支持台、120…フレーム支持台、130…空調機、140…排熱ダクト、150…光路接続モジュール、160…投影光学系、161…マスク照射部、162…ワークピース照射部、170…筐体カバー、200…EUV光生成装置、PS…プラズマ生成領域、IF…中間集光点、MT…マスクテーブル、WT…ワークピーステーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲット物質を励起してプラズマ化することにより極端紫外光を生成するための装置であって、
フレームと、
極端紫外光の生成が内部で行われるチャンバと、
前記チャンバの内部に前記ターゲット物質を供給するためのターゲット供給部と、
前記フレームと前記チャンバとをフレキシブルに接続するための第1の接続部材と、
前記ターゲット供給部を前記フレームに固定するための機構と、
前記ターゲット供給部を前記チャンバにフレキシブルに接続するための第2の接続部材と、
を備える装置。
【請求項2】
前記チャンバには、貫通孔が形成されており、
前記ターゲット供給部は、前記ターゲット物質を前記チャンバ内に供給するための開口が形成されたノズルを含み、
前記第2の接続部材は、前記チャンバの前記貫通孔の周囲と、前記ターゲット供給部とをフレキシブルに接続し、前記チャンバを密閉するためのフレキシブル管である、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記フレームに固定され、前記チャンバの内部に供給された前記ターゲット物質の軌道を検出するためのターゲットセンサをさらに備える、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記フレームに固定されて、前記チャンバの内部に位置し、前記チャンバの内部において生成された極端紫外光を集光するための集光ミラーをさらに備える、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記チャンバには、第2の貫通孔が形成される、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記第2の貫通孔を貫通して前記集光ミラーを前記フレームに固定するための固定部材と、
前記チャンバの前記第2の貫通孔の周囲と、前記固定部材とをフレキシブルに接続し、前記チャンバを密閉するためのフレキシブル管である第3の接続部材と、
をさらに備える請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記フレームに固定され、前記チャンバの内部において生成された極端紫外光のエネルギーを検出するための極端紫外光センサをさらに備える、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記フレームを構成する少なくとも1つの材質の熱膨張率が、前記チャンバを構成する少なくとも1つの材質の熱膨張率より小さい、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記チャンバが、弾性部材を介して前記フレームに接続されている、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記フレームの少なくとも一部が、前記チャンバの外部に位置している、請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記チャンバにフレキシブル管である第4の接続部材を介して接続された真空ポンプをさらに備える、請求項1記載の装置。
【請求項12】
ターゲット物質を励起してプラズマ化することにより極端紫外光を生成するためのシステムであって、
フレームと、
極端紫外光の生成が内部で行われるチャンバと、
前記チャンバの内部に前記ターゲット物質を供給するためのターゲット供給部と、
前記フレームと前記チャンバとをフレキシブルに接続するための第1の接続部材と、
前記ターゲット供給部を前記フレームに固定するための機構と、
前記ターゲット供給部を前記チャンバにフレキシブルに接続するための第2の接続部材と、
前記ターゲット供給部から前記チャンバの内部に供給された前記ターゲット物質に照射されるレーザ光を出力するよう構成されるドライバレーザと、
前記フレームに固定され、前記チャンバの内部に出力された前記レーザ光を反射するためのミラーと、
前記ミラーによって反射された前記レーザ光の進行方向に配置されて、前記レーザ光を吸収するためのビームダンプと、
を備えるシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2012−109218(P2012−109218A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192861(P2011−192861)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】