説明

楽曲再生装置、楽曲再生方法、楽曲再生プログラムおよび楽曲再生プログラムを格納した記録媒体

【課題】運転者の運転状況に応じて楽曲の再生を変化させることで、運転者に運転状況を通知することができる楽曲再生が可能な楽曲再生装置、楽曲再生方法、楽曲再生プログラムおよび楽曲再生プログラムを格納した記録媒体を提供する。
【解決手段】Gセンサ2aやGPS2bおよび車速パルス2cから取得したデータ等からエコドライブ判定部3で、エコドライブが成功したか失敗したかを判定し、エコドライブが成功した場合は、エコドライブポイントを加算し、音声処理部4では、楽曲切替タイミングで通常の楽曲接続を行うとともに歓声を付加する。また、エコドライブが失敗した場合は、エコドライブポイントを減算し、音声処理部4では、楽曲切替タイミングでテンポや拍をずらして楽曲接続を行うとともに罵声を付加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車内で楽曲再生が可能な楽曲再生装置、楽曲再生方法、楽曲再生プログラムおよび楽曲再生プログラムを格納した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーや二酸化炭素の排出を抑えるために、自動車などにおいて環境負荷が低い運転(エコドライブ)が推進されている。
【0003】
このようなエコドライブを推進するために、例えば特許文献1に記載されている運転評価装置が提案されている。特許文献1には、走行データに応じてドライバにポイントを付与し、そのポイントに応じてサービスや商品の割引ポイント等に利用可能にしてエコドライブを積極的に推進することが記載されている。
【0004】
特許文献1に記載された運転評価装置は、エコドライブの成功時点で即時にユーザは恩恵や実感を得られないし、急加速や急減速などを行ってエコドライブが失敗した場合は、ポイントが付与されないだけであって、失敗したこと自体は検出できない。そのため、急加速や急減速をしたことは運転者自身が気付かないと、即座に運転を改善することができない。また、ポイントを何らかの表示手段を用いて表示しない限り、エコドライブ状況をユーザが確認することが出来ないなどといった問題がある。
【0005】
エコドライブの成功や失敗を音(音声や効果音等)で通知することで、リアルタイムにユーザ(運転者)がエコドライブの成功や失敗を認識することができるが、楽曲再生中の場合は、当該通知音を気づかない場合もあり、かといって通知音を大きくし過ぎるとユーザが煩わしく感じてしまう。そこで、エコドライブの成功や失敗に応じて楽曲再生に何らかの変化を付けることが考えられる。
【0006】
例えば、特許文献2には、楽曲間で異なるリズムやテンポを調整する目的で、再生速度を調節したり、スクラッチ音と呼ばれる一種のノイズを効果音として挿入したり、或いは、例えば楽曲の「サビ」の部分だけを抜き出してつなぎ合わせる「リミックス」などの行為を自動的に行うことが記載されている。これは、一つの楽曲を最後まで再生せずに接続して(つなぎ合わせて)再生することを可能とするものであり、クラブやディスコ或いはラジオ番組等でDJ(ディスクジョッキー)が行う操作であるが、この特許文献2の技術を用いれば、車内において楽曲再生に変化を付けることが可能となる。
【0007】
また、車内における楽曲再生で、楽曲単位でなく、より細分化した単位で再生を行い、楽曲再生に変化を付けるための技術として特許文献3に記載された楽曲編集・再生装置が提案されている。特許文献3には、リスナーの心情や気分の変化を感知するための外的情報取得手段9と、楽曲の自動選択を行うために用いる楽曲特徴情報生成手段2と、前記外的情報取得手段で感知した前記リスナーの心情や気分の変化と前記楽曲特徴情報から適切な楽曲を選択するための選択手段16と、楽曲を時間方向で細分化するための楽曲分析手段2と、それら情報を基に楽曲を編集する編集手段21と、それにより得られた音響信号を再生する再生手段22とを設けて、リスナーの心情や気分を反映して自動的に選曲を行い、ある楽曲の途中から他の楽曲に再生が移行するときに違和感なくスムーズに移行させることができる、自動選曲及び自動編集機能を実現したことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−262459号公報
【特許文献2】特開2006−337914号公報
【特許文献3】特開2006−106103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に記載の音楽再生装置では、エコドライブの成功や失敗といった外的要因に応じて再生を変化させることは何ら記載されていない。また、特許文献3に記載された楽曲編集・再生装置では、リスナーの心情や気分といった外的要因で楽曲を移行させることができるが、当然のことながらエコドライブに関しては何ら考慮されていない。そのため、これらの文献を単に用いただけでは、楽曲再生を通じてエコドライブの状況(失敗や成功)をユーザが把握することはできないし、どのようにしてエコドライブの状況に応じて楽曲再生を変化させればよいかは分からない。
【0010】
そこで、本発明は、例えば、運転者の運転状況に応じて楽曲の再生を変化させることで、運転者に運転状況を通知することができる楽曲再生が可能な楽曲再生装置、楽曲再生方法、楽曲再生プログラムおよび楽曲再生プログラムを格納した記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の楽曲再生装置は、複数の楽曲データが格納された楽曲格納手段から前記楽曲データを取得して再生する再生手段を備えた楽曲再生装置において、前記複数の楽曲データそれぞれの特徴情報を算出する特徴情報算出手段と、前記楽曲再生装置が設置される車両の走行情報を取得する走行情報取得手段と、前記走行情報取得手段が取得した前記走行情報に基づいて、前記車両の運転者の運転を評価する運転評価手段と、前記特徴情報算出手段が算出した前記特徴情報及び前記運転評価手段が行った評価に基づいて、前記再生手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項10に記載の楽曲再生装置は、複数の楽曲データが格納された楽曲格納手段から前記楽曲データ取得して再生する再生手段と、前記複数の楽曲データの再生順又は前記複数の楽曲データの接続位置の少なくともいずれか一方が定められているプレイリストを取得して、前記プレイリストに基づいて前記複数の楽曲データを接続して前記再生手段に再生させる制御手段と、を備えた楽曲再生装置において、前記制御手段は、前記複数の楽曲データそれぞれの特徴情報と、前記楽曲再生装置が設置される車両の走行情報に基づき評価される前記車両の運転者の運転評価と、に基づいて変更されているプレイリストを取得する、ことを特徴としている。
【0013】
請求項11に記載の楽曲再生方法は、楽曲データを再生する再生ステップを備えた楽曲再生方法において、前記複数の楽曲データそれぞれの特徴情報を算出する特徴情報算出ステップと、楽曲再生装置が設置される車両の走行情報を取得する走行情報取得ステップと、前記走行情報取得ステップで取得した前記走行情報に基づいて、前記車両の運転者の運転を評価する運転評価ステップと、前記特徴情報算出ステップで算出した前記特徴情報及び前記運転評価ステップで行った評価に基づいて、前記再生手段を制御する制御ステップと、を備えていることを特徴としている。
【0014】
請求項12に記載の楽曲再生プログラムは、複数の楽曲データが格納された楽曲格納手段から前記楽曲データを取得して再生する再生手段としてコンピュータを機能させる楽曲再生プログラムにおいて、前記複数の楽曲データそれぞれの特徴情報を算出する特徴情報算出手段と、前記楽曲再生装置が設置される車両の走行情報を取得する走行情報取得手段と、前記走行情報取得手段が取得した前記走行情報に基づいて、前記車両の運転者の運転を評価する運転評価手段と、前記特徴情報算出手段が算出した前記特徴情報及び前記運転評価手段が行った評価に基づいて、前記再生手段を制御する制御手段と、して前記コンピュータを機能させることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施例にかかる楽曲再生装置の構成図である。
【図2】図1に示された楽曲再生装置の音声処理部の構成を示したブロック図である。
【図3】図1に示された楽曲再生装置の動作を示したフローチャートである。
【図4】楽曲の構成例を示した説明図である。
【図5】エコドライブ成功時の楽曲接続を示した説明図である。
【図6】エコドライブ失敗時の楽曲接続を示した説明図である。
【図7】本発明の第2の実施例にかかる楽曲再生装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態にかかる楽曲再生装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる楽曲再生装置は、運転評価手段が、楽曲再生装置が設置される車両の走行情報を取得する走行情報取得手段が取得した走行情報に基づいて、車両の運転者の運転を評価し、制御手段が、特徴情報算出手段が算出した特徴情報及び運転評価手段が行った評価に基づいて、再生手段を制御しているので、運転者の運転の評価状況に応じて、楽曲再生の変更が可能となり、運転者にエコドライブなどの運転状況を聴覚的に通知することができる。
【0017】
また、運転評価手段が、運転者の運転に対して環境負荷が高いと評価をした場合は、制御手段が、聴感上不自然と感じる楽曲データの接続が行われるように再生手段を制御してもよい。このようにすることにより、例えば急加速や急減速などの環境負荷が高いと評価される運転を行った場合は、楽曲の接続が不自然に感じるようになるため、運転者に環境負荷が高い運転を行ったことを気付かせることができる。
【0018】
また、特徴情報には、楽曲のテンポの情報、又は楽曲の拍の情報、の少なくとも一方が含まれ、制御手段は、運転評価手段が運転者の運転に対して環境負荷が高いと評価した場合に、接続される楽曲間のテンポ又は拍をずらして接続するように、再生手段を制御してもよい。このようにすることにより、例えば、環境負荷が高い運転を行った場合には、テンポや拍などを前後で合わせないようにすることで、同様に運転者に不自然さを与えることができる。
【0019】
また、制御手段が、運転評価手段が行った評価と特徴情報に基づいて、楽曲データに所定の効果音を付加するようにしてもよい。このようにすることにより、運転評価手段が行った評価が環境負荷が高いか低いかに応じて所定の効果音を楽曲中の適当なタイミングで付加することができる。そのため、運転者に環境負荷が低い運転または環境負荷が高い運転を行ったことを通知することができる。
【0020】
また、運転評価手段が、走行情報に基づいて、運転者の運転を評価した際に運転評価値を算出し、運転評価値は、運転者の運転に対して環境負荷が低いと評価をした場合は加算され、運転者の運転に対して環境負荷が高いと評価をした場合は減算されるようにしてもよい。このようにすることにより、運転者の運転を運転表価値として持つことができ、この運転評価値に応じて楽曲再生を変化させて、エコドライブの状況を直感的に把握することができる。
【0021】
また、運転評価値と特徴情報に基づいて再生手段に対して再生中の楽曲データに所定のエフェクトを施させてもよい。このようにすることにより、例えば、運転評価値が高い値の場合には、より音楽を盛り上げるようなエフェクトを施すことで、環境負荷が低い運転を行ったことによる恩恵を受けることができる。
【0022】
また、特徴情報には、楽曲データの接続位置の情報が含まれ、制御手段が、運転評価手段が行った評価に基づいて楽曲データの接続位置を決定して再生手段を制御してもよい。このようにすることにより、例えば、環境負荷が高い運転を行った場合には、現在の楽曲のAメロにいきなり次の楽曲のサビを接続するなど、通常では行われないような接続位置で楽曲を接続することで、同様に運転者に不自然さを与えることができる。
【0023】
また、制御手段が、運転評価手段が行った評価に基づいて楽曲データの再生順を決定してもよい。このようにすることにより、例えば、環境負荷が高い運転を行った場合には、前後の繋がりが良くない(特徴情報の差異が大きい)楽曲が接続されるように再生順を入れ替えることで、運転者に不自然さを与えることができる。
【0024】
また、制御手段が、再生手段が楽曲データの再生を停止した時間間隔を計測し、計測された時間間隔が予め定めた所定の時間以上であった場合は、運転評価値を初期化するようにしてもよい。このようにすることにより、再生を停止してある程度時間が経過した場合は、新たな気分で運転を行うことができる。
【0025】
また、複数の楽曲データが格納された楽曲格納手段から楽曲データ取得して再生する再生手段と、複数の楽曲データの再生順又は複数の楽曲データの接続位置の少なくともいずれか一方が定められているプレイリストを取得して、そのプレイリストに基づいて複数の楽曲データを接続して再生手段に再生させる制御手段と、を備えた楽曲再生装置において、制御手段が、複数の楽曲データそれぞれの特徴情報と楽曲再生装置が設置される車両の走行情報に基づき評価される車両の運転者の運転評価に基づいて変更されているプレイリストを取得するようにしてもよい。このようにすることにより、運転者の運転の評価状況に応じて、外部から取得されたプレイリストに基づく楽曲再生が行われ、運転者にエコドライブなどの運転状況を聴覚的に通知することができる。
【0026】
また、本発明の一実施形態にかかる楽曲再生方法は、運転評価ステップで、楽曲再生装置が設置される車両の走行情報を取得する走行情報取得ステップにおいて取得した走行情報に基づいて、車両の運転者の運転を評価し、制御ステップで、特徴情報算出手段が算出した特徴情報及び運転評価ステップが行った評価に基づいて、再生手段を制御しているので、運転者の運転の評価状況に応じて、楽曲再生の変更が可能となり、運転者にエコドライブなどの運転状況を聴覚的に通知することができる。
【0027】
また、本発明の一実施形態にかかる楽曲再生プログラムは、運転評価手段が、楽曲再生装置が設置される車両の走行情報を取得する走行情報取得手段が取得した走行情報に基づいて、車両の運転者の運転を評価し、制御手段が、特徴情報算出手段が算出した特徴情報及び運転評価手段が行った評価に基づいて、再生手段を制御しているので、運転者の運転の評価状況に応じて、楽曲再生の変更が可能となり、運転者にエコドライブなどの運転状況を聴覚的に通知することができる。
【0028】
また、上述した楽曲再生プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよい。このようにすることにより、当該プログラムを機器に組み込む以外に単体でも流通させることができ、バージョンアップ等も容易に行える。
【実施例1】
【0029】
本発明の第1の実施例にかかる楽曲再生装置としてのナビゲーション装置1を図1乃至図6を参照して説明する。ナビゲーション装置1は車両に設置され、図1に示すように、センサ部2と、エコドライブ判定処理部3と、音声処理部4と、アンプ部5と、スピーカ6と、データ格納部7と、楽曲特徴量処理部8と、を備えている。なお、図1に示したブロック図では、ナビゲーション装置1の主に楽曲再生にかかる部分のみを示したが、勿論、ナビゲーション機能の制御を司るブロックや地図データを格納するブロックおよび地図等を表示する表示部等も備えている。
【0030】
走行情報取得手段としてのセンサ部2は、Gセンサ2a、GPS2b、車速パルス2c、ACC電源2dと、を備えている。Gセンサ2aは、加速度センサであり、例えば、車両に設置されて当該車両の急加速や急減速などを検出するために、加速度とその方向のデータをエコドライブ判定処理部3に出力する。
【0031】
GPS2bは、複数のGPS(Global Positioning System)衛星から、自身の緯度及び経度情報や時間情報等の測位用データを含む電波を定期的に受信する受信機であり、受信した測位用データ等から自身の地図上における座標位置を算出することができる。受信した測位用データ等はエコドライブ判定処理部3に出力する。
【0032】
車速パルス2cは、車両の車速を計測するセンサである車速センサ等から出力された信号を受信するブロックであり、受信した車速パルス信号はエコドライブ判定処理部3に出力する。
【0033】
ACC電源2dは、車両のアクセサリ(ACC)電源のONまたはOFFを検出するセンサであり、検出した結果はエコドライブ判定処理部3に出力する。
【0034】
運転評価手段としてのエコドライブ判定処理部3は、センサ部2から入力されたデータや信号等に基づいて、エコドライブが成功したか失敗したかの判定を行い、エコドライブポイントの加算または減算および、エコドライブ失敗フラグのONまたはOFF設定などを行う。
【0035】
再生手段、制御手段としての音声処理部4は、エコドライブ判定処理部3においてなされた判定結果に基づいて、楽曲データのリミックス(接続)やエフェクトなどを施す。音声処理部4は、図2に示したように、音声処理制御部4aと、楽曲データ処理部4b、4cと、効果音データ処理部4dと、DJプレイ用ミキシングおよびエフェクト処理部4eと、ミキシング処理部4fと、を備えている。
【0036】
音声処理制御部4aは、DJMix用プレイリスト7cに基づく再生楽曲の選択や、エコドライブ判定処理部3においてなされた判定結果に基づく効果音の選択および当該判定結果と後述するタイミング情報に基づいて楽曲データを接続して再生する楽曲切替処理の制御などを行う。
【0037】
楽曲データ処理部4b、4cは、データ格納部7の楽曲データ格納部7aから音声処理制御部4aに再生指定された楽曲データを読み出して再生し、再生された楽曲音声信号をDJプレイ用ミキシングおよびエフェクト処理部4eに出力する。また、楽曲データ処理部4b、4cは、音声処理制御部4aからの指示により、再生楽曲のテンポや拍を変化させて再生することができる。
【0038】
また、楽曲データ処理部4b、4cは、2つの楽曲データを接続して再生するために交互に楽曲データを読み出す。例えば、楽曲データ処理部4bで現在再生中の楽曲データを読み出して再生している場合は、楽曲データ処理部4cでは次に再生予定の楽曲データを読み出す、または読み出す準備をする。そして、次の次に再生予定の楽曲データは現在再生中の楽曲データの再生終了以降に楽曲データ処理部4bが読み出す。
【0039】
効果音データ処理部4dは、データ格納部7の効果音データ格納部7bから指定された音声処理制御部4aに再生指定された効果音データを読み出して再生し、再生された効果音声信号をDJプレイ用ミキシングおよびエフェクト処理部4eに出力する。
【0040】
DJプレイ用ミキシングおよびエフェクト処理部4eは、楽曲データ処理部4b、4cから入力された楽曲音声信号を音声処理制御部4aからの指示に基づいてミキシング(接続処理)やエフェクト処理を施してプレイ音声信号としてミキシング処理部4fに出力する。
【0041】
ミキシング処理部4fは、DJプレイ用ミキシングおよびエフェクト処理部4eから入力されたプレイ音声信号と、効果音データ処理部4dから入力された効果音声信号をミキシングして、ミックス後音声信号としてアンプ部5へ出力する。
【0042】
アンプ部5は、音声処理部4から入力されたミックス後音声信号を増幅してスピーカ6に出力する。
【0043】
スピーカ6は、車両の車室内に設けられ、アンプ部5から入力された信号を音声に変換して車室内に向けて放音する。
【0044】
データ格納部7は、例えばハードディスク等の不揮発性の記録媒体で構成され、楽曲データ格納部7aと、効果音データ格納部7bと、DJMix用プレイリスト7cと、楽曲特徴量情報格納部7dと、を備えている。
【0045】
楽曲格納手段としての楽曲データ格納部7aは、ナビゲーション装置1で再生する楽曲データが複数格納されている。
【0046】
効果音データ格納部7bは、エコドライブ判定処理部3においてなされた判定結果に基づいて再生中の楽曲データに加える効果音データが格納されている。効果音としては、例えば、罵声や歓声があり、歓声は大中小の3種類が格納されている。これら罵声や歓声の使用方法は後述する。
【0047】
プレイリストとしてのDJMix用プレイリスト7cは、音声処理部4で再生するための楽曲データの再生予定順等が定められたプレイリストである。また、DJMix用プレイリスト7cには、楽曲データ毎にタイミング情報が設定されており、このタイミング情報は、後述する楽曲特徴量処理部8で算出される楽曲特徴量に基づいて特徴情報として設定され、例えば、当該楽曲のテンポや拍、イントロやAメロ、サビといった楽曲構成が含まれており、このタイミング情報に基づいて、楽曲間の接続位置の決定や接続する際のテンポや拍合わせなどの処理が行われる。即ち、本発明のプレイリストとは、楽曲の再生順のみでなく、楽曲構成やテンポや拍などの特徴量などからなる楽曲切替やエフェクト付加のためのタイミング情報を含むものである。
【0048】
楽曲特徴量情報格納部7dは、楽曲特徴量情報処理部8で算出された楽曲特徴量情報が楽曲データごとに格納されている。
【0049】
なお、データ格納部7は、楽曲データ格納部7a、効果音データ格納部7b、DJMix用プレイリスト7c、楽曲特徴量情報格納部7dが1つの記録媒体を共有するように構成してもよいし、例えば各部毎に別の記録媒体とするなど複数の記録媒体から構成されるようにしてもよい。記録媒体としては、ハードディスクに限らず光ディスクやメモリーカードなどの記録媒体を用いてもよいし、それらが混在していてもよい。
【0050】
特徴情報算出手段としての楽曲特徴量処理部8は、楽曲ごとにテンポや拍、イントロやAメロ、サビといった楽曲構成といった特徴量を算出する。楽曲特徴量の算出方法としては、周知のFFT(高速フーリエ変換)などの手法により、周波数帯域毎のパワーの変化から、テンポ、拍、和声分析、メロディ推定、リズム変化点、転調箇所、メロディの変化などの情報を検出する。算出された特徴量は楽曲特徴量情報格納部7dに格納する。
【0051】
また、楽曲特徴量処理部8は、算出された特徴量から楽曲構成を判定し、楽曲データ毎に、楽曲切替タイミング、エフェクト適用タイミング等が含まれるタイミング情報を生成してDJMix用プレイリスト7cに含める。さらに、楽曲特徴量処理部8は、楽曲特徴量から再生予定楽曲順も作成しDJMix用プレイリスト7cに含める。
【0052】
なお、タイミング情報や再生予定楽曲順は楽曲特徴量処理部8ではなく、例えば、ユーザが手動で作成したり、他のユーザや機器等が生成したものをネットワークや記録媒体を経由して取得してもよいし、楽曲特徴量処理部8が生成したものに、ユーザが手を加えてもよい。
【0053】
次に、上述した構成のナビゲーション装置1の動作を図3のフローチャートを参照して説明する。図3に示したフローチャートは、例えば、エコドライブ判定処理部3、音声処理部4などをCPU等の処理装置で構成した場合に当該CPUで実行される。なお、図3のフローチャートを実行する前に予め楽曲特徴量処理部8により楽曲データ格納部7aに格納されている楽曲データの特徴量の算出およびDJMix用プレイリスト7cのタイミング情報の設定等の処理(特徴情報算出ステップ)は行われている。
【0054】
まず、ステップS1において、ACC ONの時刻を検出してステップS2に進む。つまり、ナビゲーション装置1を起動するために車両のACC電源をONしたことをACC電源2dが検出し、その検出された時刻(日時)をエコドライブ判定処理部3を構成するCPU等に内蔵された時計機能などから検出している。
【0055】
次に、ステップS2において、ACC OFF時間は所定時間以上か否かを判断し、所定時間以上の場合(YESの場合)はステップS3に進み、所定時間未満の場合(NOの場合)はステップS4に進む。本ステップでは、エコドライブ判定処理部3で、後述するステップS14で記憶された前の使用終了時刻(つまり、ACC OFF時刻)からステップS1で検出されたACC ON時刻までの間隔を算出して所定時間以上か否かを判断している。
【0056】
次に、ステップS3において、エコドライブポイントをリセットしてステップS4に進む。即ち、楽曲データの再生を停止した時間間隔を計測し、計測された時間間隔が予め定めた所定の時間以上であった場合は、エコドライブポイントを初期化している。なお、エコドライブポイントとは、例えば、アクセルをゆっくり踏み込み急加速をさせない運転(ふんわりアクセル)や、ブレーキをゆっくり踏み込み急減速をさせない運転(ふんわりブレーキ)など、エコドライブ(環境負荷が低い運転)を行った場合に付与されるポイント(運転評価値)である。
【0057】
次に、再生ステップとしてのステップS4において、楽曲の再生を開始してステップS5に進む。つまり、DJMix用プレイリスト7cに含まれている再生予定楽曲順に沿って音声処理部4が楽曲データを読み出して再生を開始している。
【0058】
次に、走行情報取得ステップとしてのステップS5において、センサ部2からデータを取得して、ステップS6に進む。本実施例では、Gセンサ2a、GPS2b、車速パルス2c、それぞれから測定値やデータ、信号値等を取得している。
【0059】
次に、運転評価ステップとしてのステップS6において、エコドライブ判定を行い、エコドライブ成功の場合はステップS7に進み、エコドライブ失敗の場合はステップS8に進む。即ち、センサ部2からの走行情報に基づいて、運転者の運転を評価している。
【0060】
エコドライブ判定は、エコドライブ判定処理部3において、Gセンサ2a、GPS2b、車速パルス2cから走行情報として加速度を検出することにより行う。具体的な例としては、発進時において、車速が0km/hからx1秒以内にy1km/hに達した場合は、急発進によるエコドライブ失敗、つまり環境負荷が高い運転とみなし、車速が0km/hから5秒経過時に20km/h以下の場合は、ふんわりアクセルによるエコドライブ成功とみなす(x1、y1はエコドライブ失敗とみなせる範囲において任意に設定)。
【0061】
また、走行中において、x2秒分の車速情報を保持し、その期間の速度の変動範囲がy2km/h以内の場合は、ふんわりアクセルによるエコドライブ成功とみなし、変動範囲がz1km/h以上ならばエコドライブ失敗とみなす(x2、y2、z1はエコドライブ成功または失敗とみなせる範囲において任意に設定)。あるいは、車速が0km/hになった時点から遡ってx3秒分の車速情報から算出した減速度がy3以上ならば急減速によるエコドライブ失敗とみなし、z2以下ならばふんわりブレーキによるエコドライブ成功とみなす(x2、y2、z3はエコドライブ成功または失敗とみなせる範囲において任意に設定)。
【0062】
なお、上述した加速度(ふんわりアクセル、ふんわりブレーキ)を検出する以外に、走行情報として燃費情報やアクセル開度によるアイドリング時間などでエコドライブの成功または失敗を判定してもよい。
【0063】
次に、ステップS7において、エコドライブポイントを+1してステップS9に進む。即ち、エコドライブが成功と判定されたのでエコドライブ判定処理部3においてエコドライブポイントを加算している。
【0064】
一方、ステップS8においては、エコドライブポイントを−1するとともに失敗フラグをONに設定してステップS12に進む。即ち、エコドライブが失敗と判定されたのでエコドライブ判定処理部3においてエコドライブポイントを減算するとともに失敗フラグを設定している。なお、エコドライブポイントを増減する値は1に限らず、例えば加速度の値に応じて変化させてもよい。
【0065】
次に、ステップS9において、エフェクトタイミングか否かを判断し、エフェクトタイミングである場合(YESの場合)はステップS10に進み、エフェクトタイミングでない場合(NOの場合)はステップS12に進む。
【0066】
エフェクトタイミングは、例えば以下のように設定されている。まず、楽曲データを楽曲特徴量処理部8で特徴量を算出すると、図4に例示すような楽曲構成が検出される。図4のイントロは楽曲の始まりの部分、Aメロはイントロの後のメイン部分、BメロはAメロとは異なるメイン部分、サビは楽曲の盛り上がり部分、ブレイクは楽曲中盤の音数が減る部分、アウトロは楽曲の終わり部分である。このうち、本実施例では、ブレイクをエフェクト適用箇所とし、エフェクトタイミングか否かは、音声処理部4が、ブレイクを再生中であるか否か判断していることとなる。勿論、ブレイク以外をエフェクト適用箇所としてもよい。
【0067】
次に、ステップS10において、エコドライブポイントは所定値以上か否かを判断し、所定値以上である場合(YESの場合)はステップS11に進み、所定値未満である場合(NOの場合)はステップS12に進む。本ステップでは、音声処理部4がエコドライブ判定処理部3からエコドライブポイントを取得し判定する。また、この所定値は、予め定められている固定値であるが任意に設定すればよい。
【0068】
次に、ステップS11において、エフェクトを適用してステップS12に進む。本ステップでは、音声処理部4において再生中の楽曲データに所定のエフェクトを施している。本ステップで適用するエフェクトは、フランジャー、フィルター、エコー、ディレイなど一般的なDJプレイで使用されるものであるが、どのエフェクトを適用するかはエコドライブポイントの値によって変更してもよい。例えば、エコドライブポイントが多いほど楽曲再生が盛り上がるようなエフェクトを施せば、ユーザに対してエコドライブを行うほど、その恩恵が大きくなることが示せる。即ち、エコドライブポイントとDJMix用プレイリスト7cに含まれているタイミング情報に基づいて再生中の楽曲データにエフェクトを施している。
【0069】
次に、ステップS12において、楽曲切替タイミングか否かを判断し、楽曲切替タイミングである場合(YESの場合)はステップS13に進み、楽曲切替タイミングでない場合(NOの場合)は本ステップで待機する。
【0070】
楽曲切替タイミングは、例えば図4に例示した楽曲構成の場合、サビ、ブレイク、アウトロを切替箇所、つまり、サビ、ブレイク、アウトロのいずれかの終わりで次の楽曲への切り替えることとしている。この切替箇所の選択は、当該楽曲をある程度楽しめることを基準としているので、その基準に沿えばサビ、ブレイク、アウトロに限らない。楽曲切り換えタイミングか否かは、音声処理部4が、サビ、ブレイク、アウトロのいずれかの終わりであるか否かを判断していることとなる。
【0071】
なお、楽曲切替タイミングは、楽曲に応じて予め切り替えるポイントを設定してもよいが、エコドライブ判定が行われた場合は、その判定の直近のサビ、ブレイク、アウトロのいずれかの終わりで行う。このようにすることで、エコドライブの成功または失敗をできるだけ早く通知することができる。
【0072】
次に、ステップS13において、失敗フラグがONまたはOFFのいずれであるかを判断し、ONである場合はステップS16に進み、OFFである場合はステップS14に進む。
【0073】
次に、制御ステップとしてのステップS14において、楽曲切替を行ってステップS15に進む。本実施例では、楽曲切替(接続)時の方法としてはカットインやクロスフェードなどのミキシング処理を用いる。図5はクロスフェードの例である。図5に示したように、音声処理部4で、再生中の楽曲の音量を徐々に低下させながら、次に再生する楽曲の音量を徐々に上昇させる。このとき、再生中の楽曲と次に再生する楽曲のテンポや拍のタイミングを合わせてスムーズに聴感上違和感無く接続する。また、再生中の楽曲の接続位置は上述したサビ、ブレイク、アウトロのいずれかの終わりであるが、次に再生する楽曲の接続位置は本実施例ではイントロとする。
【0074】
次に、ステップS15において、歓声を付加してステップS18に進む。歓声は音声処理部4が効果音データ格納部7bに格納されている効果音データの歓声を読み出してミキシングする。効果音データの歓声(大)、歓声(中)、歓声(小)の使い分けは、エコドライブポイントが多いほど歓声が大きくなるように使い分ければよい。また、歓声は、例えば楽曲切替後(直後から数秒の範囲)に付加する。即ち、エコドライブ判定処理部が行った判定とDJMix用プレイリスト7cに含まれているタイミング情報に基づいて、楽曲データに所定の効果音を付加している。
【0075】
一方、制御ステップとしてのステップS16においては、楽曲切替を行ってステップS17に進む。図6に本ステップにおけるクロスフェードの例を示す。図6に示したように、音声処理部4で、再生中の楽曲の音量を徐々に低下させながら、次に再生する楽曲の音量を徐々に上昇させる。このとき、再生中の楽曲と次に再生する楽曲のテンポや拍のタイミングをずらすことでDJプレイ(接続)が失敗したように接続する。このようにすることで、ユーザは聴感上の違和感や気持ち悪さを感じる。即ち、DJMix用プレイリスト7cのタイミング情報に含まれている楽曲データの演奏速度としての楽曲のテンポや拍を変更するように制御して聴感上不自然にと感じるように接続される。
【0076】
次に、ステップS17において、罵声を付加するとともに失敗フラグをOFFに設定してステップS18に進む。罵声は音声処理部4が効果音データ格納部7bに格納されている効果音データの罵声を読み出してミキシングし、エコドライブ判定処理部3では失敗フラグをOFFに設定している。また、罵声は、例えば楽曲切替後(直後から数秒の範囲)に付加する。即ち、エコドライブ判定処理部が行った判定と、特徴情報であるDJMix用プレイリスト7cに含まれているタイミング情報に基づいて、楽曲データに所定の効果音を付加している。
【0077】
次に、ステップS18において、再生を停止してACC OFFしたか否かを判断し、再生停止してACC OFFの場合はステップS19に進み、そうでない場合はステップS5に戻る。ACC OFFか否かの判断は、ACC電源2dの検出結果をエコドライブ判定処理部3で行う。
【0078】
次に、ステップS19において、ACC OFF時刻を記憶し終了する。本ステップではステップS13でACC OFFと判断されたのでその時刻(日時)を図示しない不揮発性の記憶素子に記憶させる。記憶されたACC OFF時刻は上述したようにステップS2で次にACC ONした時刻と比較され、その間隔に応じてエコドライブポイントがリセットされるか否かが判断される。
【0079】
なお、上述したフローチャートでは、ACC OFFとONの間隔でエコドライブポイントのリセットを行っていたが、再生停止と開始の間隔でもよい。
【0080】
また、上述したフローチャートでは、エコドライブ失敗時の楽曲切替をテンポや拍をずらすことで行っていたが、例えば、AメロやBメロの終わりなど、通常は楽曲切替タイミングとしていないタイミングで接続するようにしてもよい。この場合は、次に再生される楽曲の接続位置もイントロ以外の任意の位置としてよい。このようにすることで、再生中の楽曲のAメロから次の楽曲のサビなど通常のDJプレイでは行われないような接続となり、ユーザは聴感上の違和感や気持ち悪さを感じることができエコドライブ失敗を認識できる。即ち、楽曲データの接続位置を変更するような制御をしてもよい。
【0081】
或いは、次に再生する楽曲を全く曲調が異なる楽曲に変更するように制御してもよい。つまり、プレイリストの再生予定楽曲順を変更してもよい。この場合でも、ユーザは聴感上の違和感や気持ち悪さを感じることができエコドライブ失敗を認識できる。即ち、楽曲データの再生順を変更してもよい。
【0082】
また、上述したフローチャートでは、エコドライブが失敗した際は失敗フラグをONに設定していたが、失敗が連続するにしたがって楽曲の接続が酷くなる、即ち不自然さを大きくするようにしてもよい。例えば、失敗が連続した場合は、失敗ポイント等としてエコドライブポイントとは別に保持し、失敗ポイントが増えるにしたがってテンポや拍をずらす量を大きくしたり、楽曲切替タイミングとしていないタイミングや全く曲調が異なる楽曲への変更と組み合せたりして、接続の失敗度合いが増えるようにする。このようにすることで、エコドライブを行わないと楽曲再生が不快になり、より強く運転者にエコドライブを促すことができる。
【0083】
本実施形態によれば、Gセンサ2aやGPS2bおよび車速パルス2cから取得したデータ等からエコドライブ判定部3で、エコドライブが成功したか失敗したかを判定し、エコドライブが成功した場合は、エコドライブポイントを加算し、音声処理部4では、楽曲切替タイミングで通常の楽曲接続を行うとともに歓声を付加する。また、エコドライブが失敗した場合は、エコドライブポイントを減算し、音声処理部4では、楽曲切替タイミングでテンポや拍をずらして楽曲接続を行うとともに罵声を付加する。このようにすることで、運転者の運転の評価状況に応じて、前後の楽曲の再生を制御して、運転者にエコドライブの成功または失敗を聴覚的に通知することができる。
【0084】
また、エコドライブが成功と判定された場合は、楽曲の接続がスムーズなるとともに、エコドライブポイントに応じて歓声が選択されて付加されるため、エコドライブの状況を直感的に把握することができる。
【0085】
また、エコドライブが失敗と判定された場合は、エコドライブポイントに関わらず楽曲切替が失敗し罵声が付加されるため、エコドライブが慣れてきてエコドライブポイントが高い値である場合でも、失敗を認識させることができる。
【0086】
また、エコドライブが成功と判定された場合に、エコドライブポイントが予め定めた所定値以上であった場合は、エフェクトタイミングでエフェクトを付加するので、運転者にエコドライブ成功を通知するとともに、エコドライブを行うと音楽再生が盛り上がるという恩恵を与えることができる。
【0087】
また、ACCがOFFからONまでの時間間隔を計測し、計測された時間間隔が予め定めた所定時間以上であった場合は、エコドライブポイントをリセットするようにしてもよい。このようにすることにより、再生を停止してある程度時間が経過した場合は、新たな気分で運転を行うことができる。
【実施例2】
【0088】
次に、本発明の第2の実施例にかかる楽曲再生装置を図7を参照して説明する。なお、前述した第1の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0089】
本実施例では、楽曲再生装置が車両に設置されたナビゲーション装置10と、車外の事業所等に設置されたサーバ部20と、に分かれていることが第1の実施例と異なる。
【0090】
即ち、センサ部2と、アンプ部5、スピーカ6はナビゲーション装置10が備え、エコドライブ判定処理部3、音声処理部4、データ格納部7、楽曲特徴量処理部8はサーバ部20が備えている。そして、センサ部2とエコドライブ判定処理部3間と音声処理部4とアンプ部5間は、図示しない無線通信機器等を介して無線通信にて信号を送受信が行われる。この無線通信は、例えば携帯電話網などの公衆回線を用いてもよい。
【0091】
本実施例によれば、エコドライブ判定や楽曲の接続および楽曲特徴量の算出などの処理はサーバ部20で行うことができるので、車両に搭載する機器の処理負荷を軽減することができる。
【0092】
なお、図7に記載の楽曲再生装置の構成は、一例でありこれに限られるものではない。図7は、楽曲再生装置が備える各構成部をナビゲーション装置10とサーバ部20とに分けて備えてもよいことを示しており、例えば、サーバ部20を構成する一部を、ナビゲーション装置10が備えることとしてもよいし、逆にナビゲーション装置10を構成する一部をサーバ部20が備えることとしてもよい。
【0093】
例えば、車両に搭載された加速度センサ等の値をサーバ部20が取得し、サーバ部20でDJMix用プレイリスト7cを作成或いは変更し、ナビゲーション装置10では、その作成或いは変更されたDJMix用プレイリスト7cをサーバ部20から取得し、作成或いは変更されたDJMix用プレイリスト7cに沿って楽曲再生を行ってもよい。つまり、ナビゲーション装置10はDJMix用プレイリスト7cを外部から取得して再生のみを行うようにしてもよい。
【0094】
また、車両に搭載される機器としてナビゲーション装置に限らず、GPSや加速度センサが利用できるスマートフォン等の車両と着脱自在な機器で行ってもよいし、センサ部2と通信部を後付けにして、音出しは元々備え付けられているカーオーディオで行うようにしてもよい。
【0095】
前述した実施例によれば、以下のナビゲーション装置1、楽曲再生方法、楽曲再生プログラムが得られる。
【0096】
(付記1)複数の楽曲データが格納された楽曲データ格納部7aから楽曲データを取得して再生する音声処理部4を備えたナビゲーション装置1において、
複数の楽曲データそれぞれの特徴量を算出する楽曲特徴量処理部8と、
ナビゲーション装置1が設置される車両の加速度を取得するセンサ部2と、
センサ部2が取得した加速度に基づいて、車両の運転者の運転を評価するエコドライブ判定処理部3と、
楽曲特徴量処理部8が算出した前記特徴量及びエコドライブ判定処理部3が行った評価に基づいて、音声処理部4を制御する音声処理部4と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置1。
【0097】
(付記2)楽曲データを再生するステップS4を備えた楽曲再生方法において、
複数の楽曲データそれぞれの特徴情報を算出する特徴情報算出ステップと、
ナビゲーション装置1が設置される車両に搭載され該車両の加速度を取得するステップS5と、
ステップS5で取得した加速度に基づいて、車両の運転者の運転を評価するステップS6と、
特徴情報算出ステップで算出した特徴情報及びステップS6で行った評価に基づいて、楽曲データの再生を制御するステップS16と、
を備えたことを特徴とする楽曲再生方法。
【0098】
(付記3)複数の楽曲データが格納された楽曲データ格納部7aから楽曲データを取得して再生する音声処理部4としてコンピュータを機能させる楽曲再生プログラムにおいて、
複数の楽曲データそれぞれの特徴量を算出する楽曲特徴量処理部8と、
ナビゲーション装置1が設置される車両の加速度を取得するセンサ部2と、
センサ部2が取得した加速度に基づいて、車両の運転者の運転を評価するエコドライブ判定処理部3と、
音声処理部4が、楽曲特徴量処理部8が算出した前記特徴量及びエコドライブ判定処理部3が行った評価に基づいて、再生手段を制御する音声処理部4と、
してコンピュータを機能させることを特徴とする楽曲再生プログラム。
【0099】
これらのナビゲーション装置1、楽曲再生方法、楽曲再生プログラムによれば、運転者の運転の評価状況に応じて、楽曲再生の変更が可能となり、運転者にエコドライブなどの運転状況を聴覚的に通知することができる。
【0100】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 ナビゲーション装置(楽曲再生装置)
2 センサ部(走行情報取得手段)
3 エコドライブ判定処理部(運転評価手段)
4 音声処理部(再生手段、制御手段)
7 データ格納部
7a 楽曲データ格納部(楽曲格納手段)
7c DJMix用プレイリスト(プレイリスト)
8 楽曲特徴量処理部(特徴情報算出手段)
S4 再生開始(再生ステップ)
S5 センサ部からデータ取得(走行情報取得ステップ)
S6 エコドライブ判定(運転評価ステップ)
S14 楽曲切替(制御ステップ)
S16 楽曲切替(制御ステップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の楽曲データが格納された楽曲格納手段から前記楽曲データを取得して再生する再生手段を備えた楽曲再生装置において、
前記複数の楽曲データそれぞれの特徴情報を算出する特徴情報算出手段と、
前記楽曲再生装置が設置される車両の走行情報を取得する走行情報取得手段と、
前記走行情報取得手段が取得した前記走行情報に基づいて、前記車両の運転者の運転を評価する運転評価手段と、
前記特徴情報算出手段が算出した前記特徴情報及び前記運転評価手段が行った評価に基づいて、前記再生手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする楽曲再生装置。
【請求項2】
前記運転評価手段が、前記運転者の運転に対して環境負荷が高いと評価をした場合は、前記制御手段が、聴感上不自然と感じる前記楽曲データの接続が行われるように前記再生手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の楽曲再生装置。
【請求項3】
前記特徴情報には、前記楽曲のテンポの情報、又は前記楽曲の拍の情報、の少なくとも一方が含まれ、
前記制御手段は、前記運転評価手段が前記運転者の運転に対して環境負荷が高いと評価した場合に、接続される楽曲間の前記テンポ又は拍をずらして接続するように、前記再生手段を制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の楽曲再生装置。
【請求項4】
前記制御手段が、前記運転評価手段が行った評価と前記特徴情報に基づいて、前記楽曲データに所定の効果音を付加することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の楽曲再生装置。
【請求項5】
前記運転評価手段が、前記走行情報に基づいて、前記運転者の運転を評価した際に運転評価値を算出し、前記運転評価値は、前記運転者の運転に対して環境負荷が低いと評価をした場合は加算され、前記運転者の運転に対して環境負荷が高いと評価をした場合は減算されることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の楽曲再生装置。
【請求項6】
前記制御手段が、前記運転評価値と前記特徴情報に基づいて前記再生手段に対して再生中の前記楽曲データに所定のエフェクトを施させることを特徴とする請求項5に記載の楽曲再生装置。
【請求項7】
前記特徴情報には、前記楽曲データの接続位置の情報が含まれ、
前記制御手段が、前記運転評価手段が行った評価に基づいて前記楽曲データの接続位置を決定して前記再生手段を制御することを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項に記載の楽曲再生装置。
【請求項8】
前記制御手段が、前記運転評価手段が行った評価に基づいて前記楽曲データの再生順を決定することを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載の楽曲再生装置。
【請求項9】
前記制御手段が、前記再生手段が前記楽曲データの再生を停止した時間間隔を計測し、計測された時間間隔が予め定めた所定の時間以上であった場合は、前記運転評価値を初期化することを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか一項に記載の楽曲再生装置。
【請求項10】
複数の楽曲データが格納された楽曲格納手段から前記楽曲データ取得して再生する再生手段と、前記複数の楽曲データの再生順又は前記複数の楽曲データの接続位置の少なくともいずれか一方が定められているプレイリストを取得して、前記プレイリストに基づいて前記複数の楽曲データを接続して前記再生手段に再生させる制御手段と、を備えた楽曲再生装置において、
前記制御手段は、前記複数の楽曲データそれぞれの特徴情報と、前記楽曲再生装置が設置される車両の走行情報に基づき評価される前記車両の運転者の運転評価と、に基づいて変更されているプレイリストを取得する、
ことを特徴とする楽曲再生装置。
【請求項11】
楽曲データを再生する再生ステップを備えた楽曲再生方法において、
前記複数の楽曲データそれぞれの特徴情報を算出する特徴情報算出ステップと、
楽曲再生装置が設置される車両の走行情報を取得する走行情報取得ステップと、
前記走行情報取得ステップで取得した前記走行情報に基づいて、前記車両の運転者の運転を評価する運転評価ステップと、
前記特徴情報算出ステップで算出した前記特徴情報及び前記運転評価ステップで行った評価に基づいて、前記楽曲データの再生を制御する制御ステップと、
を備えたことを特徴とする楽曲再生方法。
【請求項12】
複数の楽曲データが格納された楽曲格納手段から前記楽曲データを取得して再生する再生手段としてコンピュータを機能させる楽曲再生プログラムにおいて、
前記複数の楽曲データそれぞれの特徴情報を算出する特徴情報算出手段と、
前記楽曲再生装置が設置される車両の走行情報を取得する走行情報取得手段と、
前記走行情報取得手段が取得した前記走行情報に基づいて、前記車両の運転者の運転を評価する運転評価手段と、
前記特徴情報算出手段が算出した前記特徴情報及び前記運転評価手段が行った評価に基づいて、前記再生手段を制御する制御手段と、して前記コンピュータを機能させることを特徴とする楽曲再生プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の楽曲再生プログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−3186(P2013−3186A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131008(P2011−131008)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】