説明

楽音装置及び楽音制御方法

【課題】音色、エフェクトなどに基づいて、響板への出力量と発音体への出力量とが切り換えられ、音色、エフェクトなどの特徴が十分に発揮される。
【解決手段】音色(トーンナンバ)、エフェクトの各データは、デコーダ57でカットオフ周波数データに変換され、5つの右フィルタ31、左フィルタ36、高域フィルタ41、中域フィルタ46、低域フィルタ51に送り込まれ、響板1、2、3、スピーカー7L、7Rで放音される楽音信号の周波数帯域が切り換えられる。また、デコーダ57で音量バランスデータにも変換され、5つの右ボリューム回路32、左ボリューム回路37、高域ボリューム回路42、中域ボリューム回路47、低域ボリューム回路52に送り込まれ、響板1、2、3、スピーカー7L、7Rで放音される上記楽音信号の出力量が切り換えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、楽音装置または楽音制御方法に関し、特に、楽器の響板を振動させて、この響板から楽音を発音・放音させるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような響板(振動板)を振動させるものでは、ボルト、または木ねじなどでピアノの響板に電磁駆動体を固定し、この電磁駆動体に楽音信号を送り込んで、電磁駆動体ではなく、響板を振動させて、この響板から楽音を発音・放音させている。このような響板はフレームなどの取付け部材に取り付けられていた。
【0003】
【特許文献1】特開平5−80748号公報
【特許文献2】特開平8−146949号公報
【特許文献3】特開平8−111896号公報
【特許文献4】特開平4−156799報
【特許文献5】特開昭53−69624号公報
【特許文献6】特開平4−56996号公報
【特許文献7】特開平5−73039報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような響板(振動板)で音を出してみると、ピアノの音が十分に出せるが、他の音色の楽音の全ての音を出せるというものではなく、不十分な場合があった。また、楽音には様々な音楽的な効果を出すためにエフェクトを付加することがあるが、このようなエフェクトを楽音信号に付加しても、響板から放音される楽音に十分にエフェクトが表れないことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本件発明は、複数種類の楽音からなる楽音信号を音響に変換して放音するとともに、当該楽音信号を、音像を形成するためのステレオの各チャンネルそれぞれの楽音信号として放音する、ステレオチャンネル数に応じた数の発音体と、上記複数種類の楽音からなる楽音信号の音楽的ファクタ(音色、エフェクト、タッチまたは音高など)に基づいて、上記電磁駆動体と上記発音体とへの上記楽音信号の出力量を切り換える切換手段とを備えた。
【0006】
また、本件発明は、電磁駆動体または発音体へ送られる楽音信号の周波数帯域は変更され、 上記電磁駆動体と上記発音体とへの上記楽音信号の出力量の切り換えと、この周波数帯域の変更とが連動され、 この楽音信号の周波数帯域の変更と出力量の切り換えとの連動は、上記楽音信号の音楽的ファクタ(音色、エフェクト、タッチ、音高など)の変更に応じているようにした。
【発明の効果】
【0007】
これにより、音楽的ファクタ(音色、エフェクト、タッチ、音高など)に基づいて、電磁駆動体の響板への出力量と、発音体への出力量とが切り換えられ、響板からの放音だけでは不十分な音楽的ファクタにおいては、発音体を使って放音が行なわれ、音楽的ファクタの特徴を十分に発揮することができる。
【0008】
また、音楽的ファクタ(音色、エフェクト、タッチ、音高など)の複数の音楽的要素に応じて、出力される楽音信号の周波数帯域の変更と出力量の切り換えが連動して行なわれれば、選択/設定された「複数」の音楽的要素に最適な周波数帯域の選定と出力量の選定とが「同時」に選択される。
【0009】
しかも、響板から平面波、発音体から球面波/円筒波が放射され、さらに音楽的ファクタの音楽的要素に応じ、響板と発音体とから出力される楽音信号の出力量の切り換えが行なわれるので、音楽的ファクタの音楽的要素に応じて、平面波か球面波かを切り換えるか、または平面波と球面波との混合割合を変更できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1)大響板1、中響板2、小響板3
図1及び図2は、大響板1、中響板2及び小響板3の構造を示す。アコースティックなアップライトピアノの前面の鍵盤が載置される棚6の下には大響板1が配置され、同棚6の上には中響板2及び小響板3が配置される。
【0011】
これら大響板1、中響板2及び小響板3は、長方形の板状で、同じ厚さ、同じ幅(同じ水平方向の長さ)であるが、高さは異なっていて、結果的に大きさが異なっている。大響板1、中響板2、小響板3の順番で、各響板1、2、3の高さは小さくなっており、大きさも小さくなっている。
【0012】
これらの大響板1、中響板2、小響板3の両端は、枠板5、5に接着剤で接着または釘、ボルト、木ねじなどで固定などされている。大響板1、中響板2、小響板3は、両端が節となり中央部分が腹となって振動し、周囲の空気を振動させて発音する。
【0013】
枠板5、5は、側板、枠木、側面の響板、支柱、骨組、屋根、底板、棚、フレームなどの楽器本体側のものである。これら大響板1、中響板2、小響板3の裏面には響棒…(図示せず)が縦または斜めに接合、接着または釘、ボルト、木ねじなどで固定などされている。
【0014】
大響板1、中響板2、小響板3は、木製の方形板状であり、電子ピアノ、電子オルガン、消音ピアノなどの、電子鍵盤楽器、電子楽器またはアコースティック楽器またはこれらの結合楽器といった、実際の楽器の響板である。この響板1の材質は、乾燥されたまたは水分を含んだ木材または樹脂が含浸された、含浸されていない木材、合板、集成材、ガラスまたは硬質樹脂(アクリル)などであり、たわみが少なく、たわみ度が小さく、剛度が大きく、剛体に近い。
【0015】
この響板1は、通常のアコースティックなピアノ・オルガンなどの鍵盤楽器、消音ピアノ、電子ピアノ、電子オルガンなどの電子的な鍵盤楽器に使われる木材と同じものが用いられる。なお、チェロ、バイオリンなどの弦楽器の前板、裏板、側板、胴、指板など、木琴・太鼓などの打楽器の発音体、膜、胴などの木製部分などと同じ材質でもよい。
【0016】
上記響板1の材質は、アルミニウム、ステンレス、鉄、チタン、マグネシウム、真鍮、プラチナまたはこれらの合金、冷間圧延鋼板などの鋼板、ガラス、硬質樹脂(アクリル)などでもよい。なお、フルート、オーボエなどの管楽器の管、本体など、シンバル、トライアングルなどの打楽器の発音体、胴などの金属製部分などと同じ材質でもよい。
【0017】
上記大響板1、中響板2、小響板3は、ほぼ水平方向/ほぼ横向きに延びており、上から、小響板3、中響板2、大響板1の順でほぼ垂直方向/ほぼ縦向きに沿って配置されている。そして、これら小響板3、中響板2の長さは同じで、大響板1の水平方向の長さ(幅)が他より長くなっている。複数種類の楽音からなる楽音信号のうち、高音成分、中音成分、低音成分の順番で、上から下へ分けられて、これら各音域の楽音信号に応じた機械的変位/機械的変化/機械的振動が行なわれ、楽音が発音・放音される。
【0018】
ところで、大響板1、中響板2、小響板3は平坦で、表面は平面になっている。したがって、これら響板1、2、3から発音・放音される音は平面波となり、球面波の場合に比べて、耳の位置によって左右の耳に音圧の差が生じることがなく、響板1、2、3に対する耳の位置がかなりずれても、左右の耳に音圧の差を感じないし、耳の位置によって 音像位置がずれることがなく、聴覚上違和感が生じない。
【0019】
そうすると、上述のように高音、中音、高音、低音がほぼ垂直方向/ほぼ縦向きに並んで配置され、しかもこれら各音が平面波なので、各高音、中音、高音、低音ごとにつき、耳の位置が左右にずれても上下にずれても、左右の耳に音圧の差を感じにくいし、耳の位置によって 音像位置がずれることがなく、聴覚上違和感が生じない。
【0020】
なお、大響板1、中響板2、小響板3がほぼ水平方向/ほぼ横向きに並んで配置されてもよいが、そうすると、高音、中音、高音、低音の各音域の左右の耳への音圧に差が生じるし、各音域の音像位置も耳の位置によってずれることとなり、耳の位置によって 音像位置がずれることになり、聴覚上違和感が生じる。
【0021】
また、高音域の楽音は低音域または中音域の楽音に比べて、指向性が強いため、小響板3のように、広い範囲から楽音を放射させると、広い範囲にわたって均等に高音域の楽音を与えることができ、左右の耳に音圧の差を感じにくいし、耳の位置によって 音像位置がずれることがなく、聴覚上違和感が生じない。
【0022】
上記中響板2及び小響板3の左右両側のピアノ内に固定された棚板の上には、左スピーカー7L及び右スピーカー7Rが設置されている。これら左スピーカー7L及び右スピーカー7Rでは、周囲の空気がスピーカー内のコーン8、9などで振動されて発音され、複数種類の楽音からなる楽音信号が音響に変換されて放音されるし、当該楽音信号が音像を形成するためのステレオの各チャンネルそれぞれの楽音信号としてそれぞれ放音され、音像が形成される。
【0023】
1つの左スピーカー7L及び右スピーカー7Rには、楽音信号を音響に変換する、高音用の小さい高音コーン8と、同じく楽音信号を音響に変換する、中低音用の大きい中低音コーン9とが設けられている。この高音コーン8と中低音コーン9とはほぼ垂直方向/ほぼ縦向きに沿って並んで配置されている。これにより、高音の音像と中低音の音像とがずれない。
【0024】
なお、1つの左スピーカー7L及び右スピーカー7Rに、1つのコーン8、9のみが設けられてもよい。また、この左スピーカー7L及び右スピーカー7Rは、高音コーン8と、中低音コーン9とにつき、上下または左右に2つに分割/分離されてもよい。
【0025】
左スピーカー7L及び右スピーカー7Rの数は、このステレオチャンネル数に応じて2つとなっているが、ステレオチャンネル数に応じて3つ以上となってもよいし、ステレオチャンネル数に応じないで3つ以上となってもよい。
【0026】
この左右2つの左スピーカー7L及び右スピーカー7Rは、ツィータに置き換えられてもよいし、響板に置き換えられてもよい。この場合、左右の響板はほぼ垂直方向/ほぼ縦向きにのび、この響板からの縦長の平面波によって音像が形成され、この響板の裏面にも電磁駆動ユニットが取り付けられる。この置き換えられた響板はほぼ水平方向/ほぼ横向きに延びてもよい。
【0027】
左スピーカー7L及び右スピーカー7Rは、スピーカーボックス全体をピアノの楽器の中に設置するのではなく、スピーカーのコーンとこのコーンの周囲の板部分のみが、上記楽器のフレーム、骨組みなどに固定されても良い。また、左スピーカー7L及び右スピーカー7Rは、大響板1の両側に配置されても良い。
【0028】
上記大響板1、中響板2、小響板3の裏面には、低音電磁駆動ユニット11、中音電磁駆動ユニット12、高音電磁駆動ユニット13が接合(取付け/連結/接着を含む。以下同じ)されている。この接合は接着剤での接着、釘、ボルト、木ねじなどでの固定などである。
【0029】
これら響板1、2、3を表側から見て、低音電磁駆動ユニット11は大響板1の中心から左側にずれた位置にあり、中音電磁駆動ユニット12は中響板2の中心から右側にずれた位置にあり、高音電磁駆動ユニット13は小響板3の中心から左側にずれた位置にある。
【0030】
このように、電磁駆動ユニット11〜13が各響板1〜3の中心からずれた位置にあると、響板1〜3の共振を防ぐことができる。なお、電磁駆動ユニット11〜13は各響板1〜3の中心に位置してもよい。これにより、各響板1〜3を大きく振動/変化/変位させて、より大きな音を出すことができる。
【0031】
これら電磁駆動ユニット12、13は中響板2、小響板3の上下の縁の中央に位置している。これにより、各響板2、3を大きく振動/変化/変位させることができる。一方、電磁駆動ユニット11は大響板1の上縁に近い箇所に位置している。これにより、大きな音は出なくなるが、共振をより少なくすることができる。
【0032】
上記中音電磁駆動体12と上記低音電磁駆動体11とは、中響板2または/及び大響板1の中心に対して、互いに反対側の位置に接合され位置している。したがって、低音と中音とにつき、左右の偏りを少なくできる。
【0033】
以上の大響板1、中響板2、小響板3、左スピーカー7L、右スピーカー7Rは、互いに分離されている。これにより、1つの響板またはスピーカーの発音振動が、他の響板またはスピーカーの発音振動に影響を与えて、発音される楽音に悪影響を与えて、当該楽音を変質/劣化させてしまうことがない。
【0034】
また、大響板1、中響板2、小響板3それぞれには、1つの電磁駆動ユニット11、12、13が取り付けられる。また、高音コーン8と中低音コーン9とは完全に分割/分離されている。これにより、1つの響板1〜3またはコーン8〜9に複数の発音振動が同時に与えられることが無いので、発音される楽音に悪影響を与えて、当該楽音を変質/劣化させてしまうことがない。
【0035】
上記響板1、2、3は、左スピーカー7L、右スピーカー7Rの間またはこの間の延長上に配置されている。これにより、スピーカー7L、7Rからの球面波(ほぼ垂直方向/ほぼ縦向きに延びる響板にすればほぼ垂直方向に延びる円筒面波)の間に、響板1、2、3からの平面波(ほぼ水平方向に延びる円筒面波)が挟まれるので、聴く耳の位置が変化することによる左右の音響エネルギーの変化を、響板1、2、3からの平面波で補って緩和することができる。
【0036】
(2)電磁駆動ユニット11、12及び13の構造
電磁駆動ユニット11、12及び13の外形は円柱状の本体ケース16、17及び18とこの本体ケース16、17及び18の下面に設けられている円形の平坦な振動板21、22及び23とからなっている。
【0037】
この振動板21、22及び23及び本体ケース16、17及び18は金属または硬質樹脂からなり、たわみが少なく、たわみ度が小さく、剛度が大きく、剛体に近い。電磁駆動ユニット11、12及び13の中にはコイルと磁石とが内蔵され、上記本体ケース16、17及び18及び振動板21、22及び23の一方にコイルが連結され他方に磁石が連結される。
【0038】
上記コイルに複数種類の楽音からなる楽音信号が流れると、コイルに生じる磁界と磁石の磁界との相互作用によって、コイルまたは磁石が振動/駆動/変位し、本体ケース16、17及び18に対して振動板21、22及び23が振動/駆動/変位する。
【0039】
本体ケース16、17及び18つまりコイルと磁石のうち一方を、上記響板1、2及び3より重い上記骨組などの楽器本体側に固定し、振動板21、22及び23つまり他方を上記響板1、2及び3に直接またはクッション材(図示せず)を介して当接(接合/取付け/連結/接着/固定を含む)させる。この当接は接着剤での接着、釘、ボルト、木ねじなどでの固定などである。
【0040】
これにより、楽器本体に対して振動板21、22及び23及び響板1、2及び3の方を電磁駆動させて振動させることができる。電磁駆動ユニット11、12及び13、振動板21、22及び23は、周囲の空気が振動されないので、スピーカーとは異なり、それ自体は発音/放音せず、接合された他の物体、例えば上記響板1、2または3を電磁駆動させて振動させ発音/放音させるものである。このような電磁駆動ユニット11…は、特開平8−146949号公報、特開平8−111896号公報などに開示されている。
【0041】
上記振動板21、22及び23と響板1、2及び3との両面は、共にほぼ平坦で互いにほぼ平行になっており、両者の間隔もほぼ均一である。ほぼ平行であれば、平面のほか、球面、円筒面、その他の湾曲した面、多面体の面であってもよい。
【0042】
このように平行/厚さ均一であれば、振動板21、22及び23から響板1、2及び3への音響伝達/振動伝達の特性が均一となって、響板1、2及び3から放音される音質が劣化しなくなる。なお、場合によって、振動板21、22及び23と響板1、2及び3とは平行でなくてもよい。
【0043】
上記電磁駆動体ユニット11、12及び13の振動板21、22及び23はスピーカーのコーンや平板振動板などと異なり、重量があって駆動させるのにパワーのある信号が供給され、それ自体は音を出すものではなく、響板1といった他の物体に振動を伝えて音を出させるものである。
【0044】
上記電磁駆動体ユニット11、12及び13の振動板21、22及び23自身は音を放射しないので、音の放射にあたっては、電磁駆動体ユニット11、12及び13の振動板21、22及び23からの発生音も考慮する必要がなくなり、響板1、2及び3からの発生音だけを考慮すればよく、楽音装置全体からの発生音の分析・解析が容易になる。なお、電磁駆動体ユニット11、12及び13の振動板21、22及び23自身からも音が放射されてもよい。
【0045】
ここで、音を放射するには、振動する物体の周囲の空気を振動させなくてならない。したがって、響板1、2及び3は周囲の空気を振動(有音振動)させるが、電磁駆動体ユニット11、12及び13の振動板21、22及び23は周囲の空気を振動させず(無音振動)、響板1、2及び3を振動(有音振動)させるのみである。
【0046】
周囲の空気に対して振動のエネルギーを伝えることができない材質/形状/重量のとき無音振動となり、周囲の空気に対して振動のエネルギーを伝えることができる材質/形状/重量のとき有音振動となる。したがって、同じ振動を与えても、有音振動には空気抵抗がある分だけ、無音振動の振動形態とは差異が生じる。
【0047】
(3)電磁駆動ユニット11、12及び13のスピーカー7L及び7Rの駆動回路
図3は、上記電磁駆動ユニット11、12及び13のスピーカー7L及び7Rの駆動回路を示す。左端子Lと右端子Rからは、複数種類の楽音からなる楽音信号であって、音像を形成するためのステレオの左右のチャンネルそれぞれの楽音信号が入力される。
【0048】
このステレオの右の楽音信号は、右フィルタ31で特定周波数成分がカットまたはセレクトされ、この周波数帯域の制御された楽音信号は右ボリューム回路32で出力量(出力の大きさ/振幅/音量/レベルを含む。以下同じ)が変えられ、右アンプ33で増幅されて上記右スピーカー7Rから放音される。
【0049】
上記ステレオの左の楽音信号は、左フィルタ36で特定周波数成分がカットまたはセレクトされ、この周波数帯域の制御された楽音信号は左ボリューム回路37で出力量が変えられ、左アンプ38で増幅されて上記左スピーカー7Lから放音される。
【0050】
上記ステレオの左右の楽音信号は、相加的に合成され、高域フィルタ41で中音域と低音域の周波数成分がカットされ、この周波数帯域の制御された高音域の楽音信号は高域ボリューム回路42で出力量が変えられ、高域アンプ43で増幅されて上記高音電磁駆動ユニット13へ送りこまれて、振動板23が振動され、上記小響板3から高音域の楽音が放音される。
【0051】
上記ステレオの左右の楽音信号は、相加的に合成され、中域フィルタ46で高音域と低音域の周波数成分がカットされ、この周波数帯域の制御された中音域の楽音信号は中域ボリューム回路47で出力量が変えられ、中域アンプ48で増幅されて上記中音電磁駆動ユニット12へ送りこまれて、振動板22が振動され、上記中響板2から中音域の楽音が放音される。
【0052】
上記ステレオの左右の楽音信号は、相加的に合成され、低域フィルタ51で高音域と中音域の周波数成分がカットされ、この周波数帯域の制御された低音域の楽音信号は低域ボリューム回路52で出力量が変えられ、低域アンプ53で増幅されて上記低音電磁駆動ユニット11へ送りこまれて、振動板21が振動され、上記大響板1から低音域の楽音が放音される。
【0053】
上記楽器またはこの楽器に接続されたコントローラのパネルスイッチ群56からは、音色(トーンナンバなど)、エフェクト(エフェクトナンバなど)、タッチ(ベロシティ感度、イニシャルタッチ感度など)、音高(キースケーリング、チューニングなど)の各データが入力される。
【0054】
この入力された各データは、デコーダ57で5つのカットオフ周波数データに変換され、レジスタ58にストアされて、上記5つの右フィルタ31、左フィルタ36、高域フィルタ41、中域フィルタ46、低域フィルタ51に送り込まれる。
【0055】
またこの入力された各データは、上記デコーダ57で5つの5つの音量バランスデータにも変換され、レジスタ59にストアされて、上記5つの右ボリューム回路32、左ボリューム回路37、高域ボリューム回路42、中域ボリューム回路47、低域ボリューム回路52に送り込まれる。
【0056】
これにより、手動で入力された上記楽音信号のための音楽的ファクタ、例えば音色、エフェクト、タッチ、音高の制御データによって、楽音信号のカットオフ周波数が制御され、上記響板1、2、3、スピーカー7L、7Rで放音される上記楽音信号の周波数帯域が変更され切り換えられ制御される。
【0057】
また、手動で入力された上記楽音信号のための音楽的ファクタ、例えば音色、エフェクト、タッチ、音高の制御データによって、楽音信号の出力量(出力の大きさ/振幅/音量/レベルを含む)が制御され、上記響板1、2、3、スピーカー7L、7Rで放音される上記楽音信号の出力量が変更され切り換えられ制御される。
【0058】
上記右フィルタ31、左フィルタ36、高域フィルタ41、中域フィルタ46、低域フィルタ51は、デジタルVCF、アナログVCF、カットオフ周波数がプログラマブルなフィルタなどである。また、上記右ボリューム回路32、左ボリューム回路37、高域ボリューム回路42、中域ボリューム回路47、低域ボリューム回路52は、デジタルVCA、アナログVCA、信号レベルの信号の振幅または増幅度がプログラマブルなボリュームコントローラ/アンプなどである。
【0059】
また、上記左端子Lと右端子Rとから入力される左右の楽音信号の音楽的ファクタ、例えば音色(トーンナンバなど)、エフェクト(エフェクトナンバなど)、タッチ(ベロシティ、タッチなど)、音高(キーナンバ、キースケーリング、チューニングなど)は、別の接続ラインを通じて、アサイメントメモリ(図示せず)、楽音を制御するデータを記憶するレジスタ(図示せず)、ミディ(MIDI)回路などから送られてきて、上記デコーダ57で変換されて、上記レジスタ58にストアされて、上記5つの右フィルタ31、左フィルタ36、高域フィルタ41、中域フィルタ46、低域フィルタ51、及び上記5つの右ボリューム回路32、左ボリューム回路37、高域ボリューム回路42、中域ボリューム回路47、低域ボリューム回路52に送り込まれる。
【0060】
これにより、発生されて送り込まれてくる上記楽音信号の音楽的ファクタ、例えば音色、エフェクト、タッチ、音高の制御データによって、楽音信号のカットオフ周波数が制御され、上記響板1、2、3、スピーカー7L、7Rで放音される上記楽音信号の周波数帯域が変更され切り換えられ制御されるし、楽音信号の出力量(出力の大きさ/振幅/音量/レベルを含む)が制御され、上記響板1、2、3、スピーカー7L、7Rで放音される上記楽音信号の出力量が変更され切り換えられ制御される。
【0061】
上記楽音を制御するデータを記憶するレジスタ(図示せず)には、発生される楽音信号の音楽的ファクタ、例えば音色(トーンナンバなど)、エフェクト(エフェクトナンバなど)、タッチ(ベロシティ、タッチなど)、音高(キーナンバ、キースケーリング、チューニングなど)が記憶される。
【0062】
上記アサイメントメモリ(図示せず)にはポリフォニックに発音される時分割処理によって各チャンネルに割り当てられた楽音信号の音楽的ファクタ、例えば音色(トーンナンバなど)、エフェクト(エフェクトナンバなど)、タッチ(ベロシティ、タッチなど)、音高(キーナンバ、キースケーリング、チューニングなど)が記憶される。
【0063】
上記ミディ(MIDI)回路には、外部接続機器からMIDI形式の音楽的ファクタ、例えば音色(トーンナンバなど)、エフェクト(エフェクトナンバなど)、タッチ(ベロシティ、タッチなど)、音高(キーナンバ、キースケーリング、チューニングなど)が送られてきて記憶される。
【0064】
(4)音楽的ファクタ(音色、エフェクト、タッチ、音高など)に応じたカットオフ周波数と音量バランスデータ
図4は、上記デコーダ57に記憶されている、上記音楽的ファクタ、例えば音色、エフェクト、タッチ、音高に応じた、上記カットオフ周波数と音量バランスデータを示す。
【0065】
上記音色(トーンナンバ)がグランドピアノ、エフェクト(エフェクトナンバ)がディレイに設定されると、上記右ボリューム回路32、左ボリューム回路37、高域ボリューム回路42、中域ボリューム回路47、低域ボリューム回路52へ送り込まれる音量バランスデータは、それぞれ「0」「0」「100」「100」「127」とされる。
【0066】
これにより、音色がグランドピアノ、エフェクトがディレイのとき、左スピーカー7L、右スピーカー7Rからは放音されず、響板1、2、3のみから放音されるように、楽音信号の各出力量が変更され切り換えられ制御される。しかも、響板1、2、3からの楽音のうち低音が相対的に強調されるように変更され切り換えられ制御される。
【0067】
また、上記音色(トーンナンバ)がグランドピアノ、エフェクト(エフェクトナンバ)がディレイに設定されると、上記右フィルタ31、左フィルタ36、高域フィルタ41、中域フィルタ46、低域フィルタ51へ送り込まれるカットオフ周波数データは、それぞれ「無」「無」「1000Hz(ハイパス)」「1000Hz(ハイパス)」「1000Hz(ローパス)」とされる。
【0068】
これにより、音色がグランドピアノ、エフェクトがディレイのとき、左スピーカー7L、右スピーカー7Rからは放音されず、大響板1から1000Hz以下の低音域及び中音域の周波数成分が出力されるように変更され切り換えられ制御され、中響板2及び小響板3から1000Hz以上の高音域の周波数成分が出力されるように変更され切り換えられ制御される。したがって、グランドピアノのディレイエフェクトでは、音像形成/音像変化の制御はされない。
【0069】
上記音色(トーンナンバ)がエレクトリックピアノ、エフェクト(エフェクトナンバ)がオートパンに設定されると、上記右ボリューム回路32、左ボリューム回路37、高域ボリューム回路42、中域ボリューム回路47、低域ボリューム回路52へ送り込まれる音量バランスデータは、それぞれ「127」「127」「0」「0」「100」とされる。
【0070】
これにより、音色がエレクトリックピアノ、エフェクトがオートパンのとき、響板2、3からは放音されず、左スピーカー7L、右スピーカー7Rからと大響板1から放音されるように、楽音信号の各出力量が変更され切り換えられ制御される。したがって、音像形成が可能となるし、左右の楽音信号の音量/位相などを制御すれば、音像の位置を変化させることができる。
【0071】
また、上記音色(トーンナンバ)がエレクトリックピアノ、エフェクト(エフェクトナンバ)がオートパンに設定されると、上記右フィルタ31、左フィルタ36、高域フィルタ41、中域フィルタ46、低域フィルタ51へ送り込まれるカットオフ周波数データは、それぞれ「500Hz(ハイパス)」「500Hz(ハイパス)」「無」「無」「500Hz(ローパス)」とされる。
【0072】
これにより、音色がエレクトリックピアノ、エフェクトがオートパンのとき、中響板2及び小響板3からは放音されず、左スピーカー7L、右スピーカー7Rからは500Hz以上の高音域及び中音域の周波数成分が出力されるように変更され切り換えられ制御され、大響板1から500Hz以下の低音域の周波数成分が出力されるように変更され切り換えられ制御される。
【0073】
したがって、500Hz以上の中音および高音において音像形成/音像変化の制御がなされ、500Hz以下の低音においては音像形成/音像変化の制御がなされない。低音については音像形成/音像変化の制御をしなくてもオートパンの効果を出せるからである。むろん、500Hz以下の低音についても、左スピーカー7L、右スピーカー7Rから出力させて、音像形成/音像変化の制御をしてもよい。
【0074】
上記音色(トーンナンバ)がドローバーオルガン、エフェクト(エフェクトナンバ)がロータリーに設定されると、上記右ボリューム回路32、左ボリューム回路37、高域ボリューム回路42、中域ボリューム回路47、低域ボリューム回路52へ送り込まれる音量バランスデータは、それぞれ「127」「127」「0」「0」「100」とされる。
【0075】
これにより、音色がドローバーオルガン、エフェクトがロータリーのとき、中響板2及び小響板3からは放音されず、左スピーカー7L、右スピーカー7Rからと大響板1から放音されるように、楽音信号の各出力量が変更され切り換えられ制御される。したがって、音像形成が可能となるし、左右の楽音信号の音量/位相などを制御すれば、音像の位置を変化させることができる。
【0076】
また、上記音色(トーンナンバ)がドローバーオルガン、エフェクト(エフェクトナンバ)がロータリーに設定されると、上記右フィルタ31、左フィルタ36、高域フィルタ41、中域フィルタ46、低域フィルタ51へ送り込まれるカットオフ周波数データは、それぞれ「500Hz(ハイパス)」「500Hz(ハイパス)」「無」「無」「500Hz(ローパス)」とされる。
【0077】
これにより、音色がドローバーオルガン、エフェクトがロータリーのとき、中響板2及び小響板3からは放音されず、左スピーカー7L、右スピーカー7Rからは500Hz以上の高音域及び中音域の周波数成分が出力されるように変更され切り換えられ制御され、大響板1から500Hz以下の低音域の周波数成分が出力されるように変更され切り換えられ制御される。
【0078】
したがって、500Hz以上の中音および高音において音像形成/音像変化の制御がなされ、500Hz以下の低音においては音像形成/音像変化の制御がなされない。低音については音像形成/音像変化の制御をしなくてもロータリーの効果を出せるからである。むろん、500Hz以下の低音についても、左スピーカー7L、右スピーカー7Rから出力させて、音像形成/音像変化の制御をしてもよい。
【0079】
上記音色(トーンナンバ)がストリングス(弦)、エフェクト(エフェクトナンバ)がディレイに設定されると、上記右ボリューム回路32、左ボリューム回路37、高域ボリューム回路42、中域ボリューム回路47、低域ボリューム回路52へ送り込まれる音量バランスデータは、全て「80」「80」「80」「80」「80」とされる。
【0080】
これにより、音色がストリングス(弦)、エフェクトがディレイのとき、左スピーカー7L、右スピーカー7R、大響板1、中響板2、小響板3全てから同じ音量で放音されるように、楽音信号の各出力量が変更され切り換えられ制御される。したがって、音像形成が可能となるし、左右の楽音信号の音量/位相などを制御すれば、音像の位置を変化させることができるし、全響板1〜3全体から音像のない楽音が放音される。
【0081】
また、上記音色(トーンナンバ)がストリングス(弦)、エフェクト(エフェクトナンバ)がディレイに設定されると、上記右フィルタ31、左フィルタ36、高域フィルタ41、中域フィルタ46、低域フィルタ51へ送り込まれるカットオフ周波数データは、それぞれ「500Hz(ハイパス)」「500Hz(ハイパス)」「1000Hz(ハイパス)」「1000Hz(ハイパス)」「1000Hz(ローパス)」とされる。
【0082】
これにより、音色がストリングス(弦)、エフェクトがディレイのとき、左スピーカー7L、右スピーカー7Rからは500Hz以上の高音域及び中音域の周波数成分が出力されるように変更され切り換えられ制御され、中響板2及び小響板3からは1000Hz以上の高音域の周波数成分が出力されるように変更され切り換えられ制御され、大響板1から1000Hz以下の低音域の周波数成分が出力されるように変更され切り換えられ制御される。
【0083】
したがって、500Hz以上の中音および高音において音像形成/音像変化の制御がなされ、500Hz以下の低音においては音像形成/音像変化の制御がなされないし、全響板1〜3全体から音像のない楽音が放音される。低音については音像形成/音像変化の制御をしなくてもディレイの効果を出せるからである。むろん、500Hz以下の低音についても、左スピーカー7L、右スピーカー7Rから出力させて、音像形成/音像変化の制御をしてもよい。
【0084】
上記音色(トーンナンバ)がギター/ベース、エフェクト(エフェクトナンバ)がオーバードライブ/コーラスに設定されると、上記右ボリューム回路32、左ボリューム回路37、高域ボリューム回路42、中域ボリューム回路47、低域ボリューム回路52へ送り込まれる音量バランスデータは、それぞれ「0」「0」「100」「100」「127」とされる。
【0085】
これにより、音色がギター/ベース、エフェクトがオーバードライブ/コーラスのとき、左スピーカー7L、右スピーカー7Rからは放音されず、響板1、2、3のみから放音されるように、楽音信号の各出力量が変更され切り換えられ制御される。しかも、響板1、2、3からの楽音のうち低音が相対的に強調されるように変更され切り換えられ制御される。
【0086】
また、上記音色(トーンナンバ)がギター/ベース、エフェクト(エフェクトナンバ)がオーバードライブ/コーラスに設定されると、上記右フィルタ31、左フィルタ36、高域フィルタ41、中域フィルタ46、低域フィルタ51へ送り込まれるカットオフ周波数データは、それぞれ「無」「無」「1000Hz(ハイパス)」「1000Hz(ハイパス)」「1000Hz(ローパス)」とされる。
【0087】
これにより、音色がギター/ベース、エフェクトがオーバードライブ/コーラスのとき、左スピーカー7L、右スピーカー7Rからは放音されず、大響板1から1000Hz以下の低音域及び中音域の周波数成分が出力されるように変更され切り換えられ制御され、中響板2及び小響板3から1000Hz以上の高音域の周波数成分が出力されるように変更され切り換えられ制御される。したがって、ギター/ベースのオーバードライブ/コーラスのエフェクトでは、音像形成/音像変化の制御はされない。
【0088】
以上のような変更/切り換え/制御は、音色(トーンナンバなど)、エフェクト(エフェクトナンバなど)以外に、タッチ(ベロシティ、タッチなど)、音高(キーナンバ、キースケーリング、チューニングなど)の各データに基づいても、上述のカットオフ周波数と音量バランスデータのように、数値を種々設定することは可能であり、同様に実行される。
【0089】
このように、電磁駆動ユニット11、12、13、響板1、2、3へ送られる楽音信号の周波数帯域と出力量は変更され切り換えられ制御される。しかも、電磁駆動ユニット11、12、13、響板1、2、3へ送られる楽音信号の周波数帯域の変更と出力量の切り換えとは連動される。しかも、この連動は、上記音色(トーンナンバなど)、エフェクト(エフェクトナンバなど)以外に、タッチ(ベロシティ、タッチなど)、音高(キーナンバ、キースケーリング、チューニングなど)に応じていることになる。
【0090】
したがって、単に、音色だけでなく、また単に、エフェクトだけでなく、音色、エフェクト、タッチ、音高のうちの、複数の音楽的要素に応じて、出力される楽音信号の周波数帯域の変更と出力量の切り換えが連動して行なわれるから、選択/設定された「複数」の音楽的要素に最適な周波数帯域の選定と出力量の選定とが「同時」に選択される。
【0091】
また、上記音量バランスデータは、出力音量の変更ばかりでなく、出力量が「0」に選択/設定される場合もあるので、電磁駆動ユニット11、12、13、響板1、2、3へ上記楽音信号を出力するか出力しないか、出力そのものを切り換えることも含まれることになる。
【0092】
(5)第2実施例
図5及び図6は第2実施例を示す。この第2実施例では、上記楽音信号としては、ステレオの右チャンネルRと左チャンネルLのほか、これらを合成したモノラルチャンネルMONOも発生される。
【0093】
右チャンネルの楽音信号Rは切換スイッチ61を経て、上記右フィルタ31へ送られ、左チャンネルの楽音信号Lは切換スイッチ62を経て、上記左フィルタ36へ送られ、モノラルチャンネルの楽音信号MONOは切換スイッチ63、64、65を経て、上記高域フィルタ41、中域フィルタ46、低域フィルタ51へ送られる。
【0094】
上記左右モノラルの楽音信号R、L、MONOの音色(トーンナンバなど)、エフェクト(エフェクトナンバなど)、タッチ(ベロシティ、タッチなど)、音高(キーナンバ、キースケーリング、チューニングなど)は、別の接続ラインを通じて、アサイメントメモリ(図示せず)、楽音を制御するデータを記憶するレジスタ(図示せず)、ミディ(MIDI)回路などから送られてきて、上記デコーダ57で変換されて、上記レジスタ58、59にストアされるほか、レジスタ66にもストアされて、上記5つの切換スイッチ1、62、63、64、65に送り込まれる。これにより、発生されて送り込まれてくる上記楽音信号の音色、エフェクト、タッチ、音高の制御データによって、楽音信号の出力のオン/オフが切り換えられ制御される。
【0095】
図6は、上記デコーダ57に記憶されている、上記音色、エフェクト、タッチ、音高に応じた、上記スピーカー7R、7L、電磁駆動ユニット11、12、13への上記楽音信号の出力を切り換える出力切換データを示す。
【0096】
上記音色(トーンナンバ)がグランドピアノ、エフェクト(エフェクトナンバ)がディレイに設定されると、左右の楽音信号R、Lがオフ、モノラルの楽音信号MONOが高音、中音、低音ともにオンとされる。これにより、音色がグランドピアノ、エフェクトがディレイのとき、左スピーカー7L、右スピーカー7Rからは放音されず音像は形成されず、響板1、2、3のみから放音されるように、楽音信号の出力が切り換えられ制御される。
【0097】
上記音色(トーンナンバ)がエレクトリックピアノ、エフェクト(エフェクトナンバ)がオートパンに設定、または音色(トーンナンバ)がドローバーオルガン、エフェクト(エフェクトナンバ)がロータリーに設定されると、左右の楽音信号R、Lがオン、モノラルの楽音信号MONOが高音、中音、低音ともにオンとされる。これにより、音色がエレクトリックピアノまたはドローバーオルガン、エフェクトがオートパンまたはロータリーのとき、左スピーカー7L、右スピーカー7R、響板1、2、3の全てから放音され、しかも音像が形成されるように、楽音信号の出力が切り換えられ制御される。
【0098】
上記音色(トーンナンバ)がストリングス(弦)、エフェクト(エフェクトナンバ)がディレイに設定されると、左右の楽音信号R、Lがオン、モノラルの楽音信号MONOが高音、中音、低音ともにオフとされる。これにより、音色がストリングス、エフェクトがディレイのとき、左スピーカー7L、右スピーカー7Rからのみ放音されて音像が形成され、響板1、2、3からは放音されないように、楽音信号の出力が切り換えられ制御される。
【0099】
上記音色(トーンナンバ)がギター/ベース、エフェクト(エフェクトナンバ)がオーバードライブ/コーラスに設定されると、左右の楽音信号R、Lがオフ、モノラルの楽音信号MONOが高音、中音、低音ともにオンとされる。これにより、音色がギター/ベース、エフェクトがオーバードライブ/コーラスのとき、左スピーカー7L、右スピーカー7Rからは放音されず、響板1、2、3のみから放音されるように、楽音信号の出力が切り換えられ制御される。
【0100】
以上のような切り換え/制御は、音色(トーンナンバなど)、エフェクト(エフェクトナンバなど)以外に、タッチ(ベロシティ、タッチなど)、音高(キーナンバ、キースケーリング、チューニングなど)の各データに基づいても、上述のカットオフ周波数と音量バランスデータのように、数値を種々設定することは可能であり、同様に実行される。
【0101】
このように、電磁駆動ユニット11、12、13、響板1、2、3へ送られる楽音信号の出力は切り換えられ制御され、さらに音像形成が切換えられ制御される。しかも、電磁駆動ユニット11、12、13、響板1、2、3へ送られる楽音信号の出力切換は、上述の図4の周波数帯域の変更と出力量の切り換えとは連動される。しかも、この連動は、上記音色(トーンナンバなど)、エフェクト(エフェクトナンバなど)以外に、タッチ(ベロシティ、タッチなど)、音高(キーナンバ、キースケーリング、チューニングなど)に応じていることになる。
【0102】
したがって、単に、音色だけでなく、また単に、エフェクトだけでなく、音色、エフェクト、タッチ、音高のうちの、複数の音楽的要素に応じて、出力される楽音信号の出力切換と音像形成の有無と周波数帯域の変更と出力量の切り換えが連動して行なわれるから、選択/設定された「複数」の音楽的要素に最適な出力の選定/出力の選定と周波数帯域の選定と出力量の選定とが「同時」に選択される。
【0103】
なお、この場合、このような連動はなされず、各制御が独立して実行されてもよい。また、上記図6などにおいて、設定された音色だけ、またはエフェクトだけ、タッチ(ベロシティ、タッチなど)だけ、音高(キーナンバ、キースケーリング、チューニングなど)だけで、各出力の切換えが実行されても良い。
【0104】
さらに、図5において、モノラル楽音信号MONOに対しては1つの切換スイッチのみで切換えが行なわれ、この切換スイッチの出力が各フィルタ41、46、51に入力されてもよい。また、このような切換スイッチ61、62、63、64、65は、上記音色などの音楽的ファクタではなく、手動操作によって切換えられてもよい。他の構成、動作、作用は上述の実施例と同じであり、説明を省略する。
【0105】
(6)他の実施の形態
本件発明は上記実施例に限定されず、本件発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記音楽的ファクタとしては、音色(トーンナンバなど)、エフェクト、タッチ(ベロシティ、タッチなど)、音高(キーナンバ、キースケーリング、チューニング、周波数ナンバなど)のほか、メロディ、伴奏、ベースまたは鍵盤楽器、弦楽器、管楽器、打楽器などの演奏パート、キーオン又は発音開始からの経過時間である発音経過時間(音長)、エンベロープレベル、エンベロープフェーズ、音量レベル、テンポ、高調波成分などでもよい。
【0106】
このような場合でも、上記アサイメントメモリや上記音楽的ファクタを記憶する各種レジスタから、出力される楽音信号のこのような音楽的ファクタが送られてきて、出力される楽音信号の出力切換と音像形成の有無と周波数帯域の変更と出力量の切り換えが連動して行なわれる。
【0107】
また、上記図3の回路のうち、小響板3、中響板2、高域フィルタ41、中域フィルタ46、高域ボリューム回路42、中域ボリューム回路47、高域アンプ43、中域アンプ48、中音電磁駆動ユニット12、高音電磁駆動ユニット13は省略されてもよい。この場合、響板は大響板1のみとなるが、上述の出力される楽音信号の周波数帯域の変更と出力量の切り換えの連動は可能となる。
【0108】
さらに、上記に加えて、または個別に、低域フィルタ51、低域ボリューム回路52、低域アンプ53、低音電磁駆動ユニット11が省略されてもよいし、これらに加えて、または個別に、中響板2、中域フィルタ46、中域ボリューム回路47、中域アンプ48、中音電磁駆動ユニット12が省略されてもよいし、これらに加えて、または個別に、小響板3、高域フィルタ41、高域ボリューム回路42、高域アンプ43、高音電磁駆動ユニット13が省略されてもよい。
【0109】
また、楽音信号が分けられる周波数帯域は、高音、低音の2つでも良いし、これに応じて、中響板2、中域フィルタ46、中域ボリューム回路47、中域アンプ48、中音電磁駆動ユニット12などが省略されてもよいし、4つ以上の周波数帯域に分けられてもよく、これに応じてフィルタ、ボリューム回路、アンプ、電磁駆動ユニット、響板などがさらに設けられてもよい。
【0110】
さらに、上記大響板1、中響板2、小響板3は、左右に2つに分割されても良い。この場合、左右に分割された大響板1、中響板2、小響板3に、電磁駆動ユニットがそれぞれ設けられ、音像を形成するステレオの各チャンネルの楽音信号が送り込まれる。これにより、ほぼ水平方向/ほぼ横向きに延びる横向きの大響板1、中響板2、小響板3からの放音楽音によっても音像が形成される。この場合、左右に分割された大響板1、中響板2、小響板3は、縦にほぼ垂直方向/ほぼ縦向きに延びる形状であってもよい。
【0111】
また、本件発明の装置を取り付ける楽器は、アップライトピアノのほか、グランドピアノでもよい。この場合、響板1、2、3はほぼ垂直方向/ほぼ縦向きではなくほぼ水平方向/ほぼ横向きに配置されるので、電磁駆動ユニット11、12、13もほぼ横向き/水平方向向きにされて取り付けられる。
【0112】
さらに、電磁駆動ユニット11、12、13の取付け位置は、響板1、2、3の端部ではなく、中央に近いところまたは中央でも良い。電磁駆動ユニット11、12、13は、1つの響板1、2、3に複数取り付けられてもよい。この場合、電磁駆動ユニット11、12、13は、響板1、2、3の両端部の互いに対称な位置に取り付けられる。
【0113】
また、上記図4の音量バランスデータが「0」のときには、上記図3の各回路41〜53の出力側にオン/オフスイッチが設けられ、このスイッチがオフされてもよい。これにより、上記電磁駆動ユニット11、12、13、スピーカー7L、7Rへの上記楽音信号の出力そのものを切り換えることになる。
【0114】
さらに、上記複数種類の楽音からなる楽音信号は、複数種類の楽器、音色、音高または/及びタッチの楽音の信号からなっており、ポリフォニックに発音される楽音の信号であり、低音、中音、高音の各周波数帯域の楽音が含まれている。このような楽音信号には、楽器の弦自体、管自体、打自体の部分の楽音の信号ほか、響板部分の楽音の信号も含まれるが、弦自体、管自体、打自体の部分の楽音の信号のみでもよいし、響板部分の楽音の信号のみでもよい。
【0115】
また、上記複数種類の楽音からなる楽音信号はPCMなどのデジタル信号でも良く、高域フィルタ41、中域フィルタ46、低域フィルタ51、高域ボリューム回路42、中域ボリューム回路47、低域ボリューム回路52、高域アンプ43、中域アンプ48、低域アンプ53はデジタル信号を処理するデジタル回路でもよい。
【0116】
さらに、上記スピーカー7L、7Rは、コーン型のほか、ドーム型、平面型、リボン型でもよいし、駆動方式は、ダイナミック形、マグネチック形、コンデンサ形、ピエゾエレクトリック形などでもよい。
【0117】
(7)他の発明の効果
[2]上記電磁駆動体または上記発音体へ送られる楽音信号の周波数帯域は変更され、 上記電磁駆動体と上記発音体とへの上記楽音信号の出力量の切り換えと、この周波数帯域の変更とが連動され、この楽音信号の周波数帯域の変更と出力量の切り換えとの連動は、上記楽音信号の音楽的ファクタの変更に応じていることを特徴とする請求項1記載の楽音装置。
【0118】
ここで、音楽的ファクタ(音色、エフェクト、タッチ、音高など)の複数の音楽的要素に応じて、出力される楽音信号の周波数帯域の変更と出力量の切り換えが連動して行なわれるので、選択/設定された「複数」の音楽的要素に最適な周波数帯域の選定と出力量の選定とが「同時」に選択される。
【0119】
しかも、響板から平面波、発音体から球面波/円筒波が放射され、響板から平面波、発音体から球面波/円筒波が放射され、さらに音楽的ファクタ(音色、エフェクト、タッチ、音高など、場合によってこれらの複数)の音楽的要素に応じて、響板と発音体とから出力される楽音信号の出力量の切り換えが(場合によって周波数帯域の変更も)行なわれるので、音楽的ファクタ(音色、エフェクト、タッチ、音高など)の音楽的要素に応じて、平面波か球面波かを切り換えるか、または平面波と球面波との混合割合を変更できる。さらに、これらの平面波の周波数成分と球面波の周波数成分とが変更されたり、これらの各周波数成分の混合割合が変更されたりする。
【0120】
[3] 上記発音体の中には楽音信号を音響に変換する変換体が内蔵され、 上記響板と上記発音体とは分離されており、1つの響板または発音体には、1つの電磁駆動体または変換体が取り付けられることを特徴とする請求項1または2記載の楽音装置。
【0121】
これにより、1つの響板または発音体の発音振動が、他の響板または発音体の発音振動に影響を与えて、発音される楽音に悪影響を与えて、当該楽音を変質/劣化させてしまうことがない。また、1つの響板または変換体に複数の発音振動が同時に与えられることが無いので、発音される楽音に悪影響を与えて、当該楽音を変質/劣化させてしまうことがない。
【0122】
[4]上記響板は複数であり、この複数の響板それぞれはほぼ水平方向に延びており、当該複数の響板は互いにほぼ垂直方向に並んで配置されており、 上記発音体の中には楽音信号を音響に変換する変換体が複数内蔵され、この複数の変換体はほぼ垂直方向に並んで配置されており、 上記響板は上記発音体の間に配置されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の楽音装置。
【0123】
これにより、各響板からの音(高音、中音、低音)の発生体が縦に並んで配置され、しかもこれら各音が平面波なので、各響板からの音(高音、中音、低音)ごとにつき、耳の位置が左右にずれても上下にずれても、左右の耳に音圧の差を感じにくいし、耳の位置によって 音像位置がずれることがなく、聴覚上違和感が生じない。また、聴く耳の位置が変化することによるステレオの音響エネルギーの変化を、響板からの平面波で補って緩和することができる。
【0124】
[5]上記切換手段は、上記電磁駆動体と上記発音体とへの上記楽音信号の出力そのものを切り換える、または上記電磁駆動体と上記発音体とへの上記楽音信号の出力音量を切り換えることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の楽音装置。これにより、楽音信号の出力音量を大きくしたり小さくしたりするほか、出力そのものも切り換えられる。
【0125】
[6]上記響板は大きさの異なる複数が設けられ、それぞれの響板で、上記楽音信号が低音成分、中音成分、高音成分のうち少なくとも2つに分けられ、この分けられた音成分が放音されることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の楽音装置。これにより、響板の構造が簡単になる。
【0126】
[7]上記ステレオチャンネル数に応じた複数の発音体は、スピーカー、ツィータまたは楽器の響板であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の楽音装置。これにより、スピーカー、ツィータまたは楽器の響板によって、音像を形成できる。
【0127】
[8]上記響板は、電子鍵盤楽器またはアコースティックピアノの響板であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の楽音装置。これにより、響板から電気的な楽音信号を放音させるだけでなく、アコースティックな楽器演奏の楽音も放音させることができる。
【0128】
[9]上記楽器は鍵盤楽器であり、 上記楽音信号は、楽器の弦自体、管自体、打自体の部分のほか、響板の楽音信号も含まれることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の楽音装置。これにより、響板自体の音を響板で聴くことができ響板の音を自然なものにできる。
【0129】
[10]上記響板は複数であり、この複数の響板は、平坦または湾曲しており、互いに同じ厚さまたは異なる厚さであり、上記電磁駆動体も複数であり、この複数の電磁駆動体は、各響板の中心からずれた位置に接合されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の楽音装置。これにより、各響板が共振しにくくなる。
【0130】
[11]振動されて音を放射する楽器の響板と、 複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、上記楽器の響板を駆動させて音を放射させる電磁駆動体と、 上記複数種類の楽音からなる楽音信号を音響に変換して放音するとともに、当該楽音信号を、音像を形成するためのステレオの各チャンネルそれぞれの楽音信号として放音する、ステレオチャンネル数に応じた数の発音体と、につき、 上記複数種類の楽音からなる楽音信号の音楽的ファクタ(音色、エフェクト、タッチ、音高など)に基づいて、上記電磁駆動体と上記発音体とへの上記楽音信号の出力量を切り換えることを特徴とする楽音制御方法。
【産業上の利用可能性】
【0131】
音色、エフェクトなどに基づいて、響板への出力量と発音体への出力量とが切り換えられ、音色、エフェクトなどの特徴が十分に発揮される。音色(トーンナンバ)、エフェクトの各データは、デコーダ57でカットオフ周波数データに変換され、5つの右フィルタ31、左フィルタ36、高域フィルタ41、中域フィルタ46、低域フィルタ51に送り込まれ、響板1、2、3、スピーカー7L、7Rで放音される楽音信号の周波数帯域が切り換えられる。
【0132】
また、デコーダ57で音量バランスデータにも変換され、5つの右ボリューム回路32、左ボリューム回路37、高域ボリューム回路42、中域ボリューム回路47、低域ボリューム回路52に送り込まれ、響板1、2、3、スピーカー7L、7Rで放音される上記楽音信号の出力量が切り換えられる。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】大響板1、中響板2及び小響板3を正面からみた構造を示す。
【図2】大響板1、中響板2及び小響板3を側面からみた構造を示す。
【図3】電磁駆動ユニット11、12及び13のスピーカー7L及び7Rの駆動回路を示す。
【図4】デコーダ57に記憶されている、音楽的ファクタ(音色、エフェクト、タッチ、音高など)に応じた、カットオフ周波数と音量バランスデータを示す。
【図5】第2実施例の電磁駆動ユニット11、12及び13のスピーカー7L及び7Rの駆動回路を示す。
【図6】第2実施例のデコーダ57に記憶されている、音楽的ファクタ(音色、エフェクト、タッチ、音高など)に応じた、各信号の切換データを示す。
【符号の説明】
【0134】
1…大響板、2…中響板、3…小響板、5…枠板、6…棚、
7L…左スピーカー(発音体)、7R…右スピーカー(発音体)、
8…高音コーン(変換体)、9…中低音コーン(変換体)、
11…低音電磁駆動ユニット(電磁駆動体)、
12…中音電磁駆動ユニット(電磁駆動体)、
13…高音電磁駆動ユニット(電磁駆動体)、
16、17、18…本体ケース、21、22、23…振動板、
31…右フィルタ、32…右ボリューム回路(切換手段)、
33…右アンプ、36…左フィルタ、
37…左ボリューム回路(切換手段)、38…左アンプ、
41…高域フィルタ、42…高域ボリューム回路(切換手段)、
43…高域アンプ、46…中域フィルタ、
47…中域ボリューム回路(切換手段)、48…中域アンプ、
51…低域フィルタ、52…低域ボリューム回路(切換手段)、
53…低域アンプ、56…パネルスイッチ群(切換手段)、
57…デコーダ(切換手段)、58、59、66…レジスタ、
61、62、63、64、65…切換スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動されて音を放射する楽器の響板と、
複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、上記楽器の響板を駆動させて音を放射させる電磁駆動体と、
上記複数種類の楽音からなる楽音信号を音響に変換して放音するとともに、当該楽音信号を、音像を形成するためのステレオの各チャンネルそれぞれの楽音信号として放音する、ステレオチャンネル数に応じた数の発音体と、
上記複数種類の楽音からなる楽音信号の音楽的ファクタに基づいて、上記電磁駆動体と上記発音体とへの上記楽音信号の出力量を切り換える切換手段とを備えたことを特徴とする楽音装置。
【請求項2】
上記電磁駆動体または上記発音体へ送られる楽音信号の周波数帯域は変更され、
上記電磁駆動体と上記発音体とへの上記楽音信号の出力量の切り換えと、この周波数帯域の変更とが連動され、
この楽音信号の周波数帯域の変更と出力量の切り換えとの連動は、上記楽音信号の音楽的ファクタの変更に応じていることを特徴とする請求項1記載の楽音装置。
【請求項3】
上記発音体の中には楽音信号を音響に変換する変換体が内蔵され、
上記響板と上記発音体とは分離されており、1つの響板または発音体には、1つの電磁駆動体または変換体が取り付けられることを特徴とする請求項1または2記載の楽音装置。
【請求項4】
上記響板は複数であり、この複数の響板それぞれはほぼ水平方向に延びており、当該複数の響板は互いにほぼ垂直方向に並んで配置されており、
上記発音体の中には楽音信号を音響に変換する変換体が複数内蔵され、この複数の変換体はほぼ垂直方向に並んで配置されており、
上記響板は上記発音体の間に配置されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の楽音装置。
【請求項5】
振動されて音を放射する楽器の響板と、 複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、上記楽器の響板を駆動させて音を放射させる電磁駆動体と、 上記複数種類の楽音からなる楽音信号を音響に変換して放音するとともに、当該楽音信号を、音像を形成するためのステレオの各チャンネルそれぞれの楽音信号として放音する、ステレオチャンネル数に応じた数の発音体と、につき、
上記複数種類の楽音からなる楽音信号の音楽的ファクタに基づいて、上記電磁駆動体と上記発音体とへの上記楽音信号の出力量を切り換えることを特徴とする楽音制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−9236(P2008−9236A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−181135(P2006−181135)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)
【Fターム(参考)】