説明

構内交換システム

【課題】 自装置および他装置で保留した回線を順番に画面表示し、保留した回線に優先順位を設定することにより、優先順位に従って自装置が保留した回線の存在をランプ表示し、保留応答可能な端末装置を備えた構内交換システムを提供する。
【解決手段】 多機能電話機TEL1〜TELnは、自電話機(例えば、多機能電話機TEL1)および他電話機(例えば、多機能電話機TEL2〜TELn)で保留された局回線,ブローカ回線,PBX回線およびホットライン回線などの回線を順番に記憶し、予め管理装置6から設定された回線の優先順位に基づいて保留応答可能な通知をする共通保留受付ボタンおよび表示ランプを有する共通保留受付手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内線に接続された複数の端末装置が自装置および他装置の保留した回線を共通保留受付して画面に表示する構内交換システムに係り、特に保留した回線に優先順位を設定し、優先順位に従って応答可能な回線があることをランプ表示で通知する端末装置を備えた構内交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の構内交換システムにおいて、端末装置は、複数ページの保留専用画面のような画面構成と、複数ページの保留専用画面を切り替える切替えキーの構成とを備え、保留した回線に保留応答をするようなケースでは、対象となる画面が現ページに存在しない時、切替えキーを操作して画面切替えを行い、目的とする画面を選択して表示し、保留応答するものが知られている。
【0003】
また、従来の構内交換システムは、本出願人が「特許文献1」(他ページ話中表示方式)に開示したように、端末装置の画面に、複数のページに亘って表示された話中回線表示を1つのページ画面に一括表示し、扱い者に対して効率的に話中回線を把握できるものである。
【特許文献1】特開平11−122347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構内交換システムは、端末装置にて、普段運用で使用する回線が特定回線で決まっている場合、その特定回線以外に複数の保留を行うような状況になると、扱い者には、回線選択する操作となり、応答操作が煩わしく、時間を要する課題がある。
【0005】
また、「特許文献1」に開示された構内交換システムは、扱い者が端末装置の複数のページに亘って表示された話中回線表示を1つのページ画面に一括表示できるが、自装置および他装置で保留された回線を共通保留受付し、自装置で保留された保留回線を優先順位に従って保留応答することはできない。
【0006】
この発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的は自装置および他装置で保留した回線を順番に画面表示し、保留した回線に優先順位を設定することにより、優先順位に従って自装置が保留した回線の存在をランプ表示し、保留応答可能な端末装置を備えた構内交換システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するためこの発明に係る構内交換システムは、複数の回線、複数の端末装置、管理装置を収容し、回線交換を行う構内交換機と、ダイヤル発信、着信応答などに使用する複数のキー、回線状態や端末装置の状態を表示する複数ページ構成の画面を有する複数の端末装置と、回線の優先順位などを端末装置に設定する管理装置とからなる構内交換システムにおいて、端末装置は、自装置および他装置で保留された回線を順番に記憶し、回線の優先順位に基づいて保留応答可能な保留回線を通知する共通保留受付ボタンおよび表示ランプを有する共通保留受付手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明に係る端末装置は、自装置および他装置で保留された回線を順番に記憶し、回線の優先順位に基づいて保留応答可能な保留回線を通知する共通保留受付ボタンおよび表示ランプを有する共通保留受付手段を備えたので、共通保留受付ボタンを操作することにより、全ての端末装置で保留した回線を保留順に画面に表示するとともに、自装置で保留した保留回線を優先順位に従って保留応答可能な保留回線の存在をランプ表示で通知することができる。
【0009】
また、この発明に係る共通保留受付手段は、トランザクション間の論理結合を示すアドレスリンケージ、保留時の回線を示す回線番号、保留された順序の保留順キー番号、回線の用途を示す回線種別、保留応答時の優先順位および保留が自装置か他装置かを表わす自台/他台フラグを備えたトランザクションメモリを備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明に係る共通保留受付手段は、トランザクション間の論理結合を示すアドレスリンケージ、保留時の回線を示す回線番号、保留された順序の保留順キー番号、回線の用途を示す回線種別、保留応答時の優先順位および保留が自装置か他装置かを表わす自台/他台フラグを備えたトランザクションメモリを備えたので、全ての端末装置で保留された保留回線を保留された順番に画面に表示可能であるとともに、自装置で保留した保留回線を優先順位に従って保留応答可能にすることができる。
【0011】
さらに、この発明に係る共通保留受付手段は、保留応答可能な保留回線が存在している限り、表示ランプを点滅するランプ制御手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
この発明に係る共通保留受付手段は、保留応答可能な保留回線が存在している限り、表示ランプを点滅するランプ制御手段を備えたので、表示ランプの状態によって保留回線の有無を確認することができる。
【0013】
また、この発明に係る共通保留受付手段は、保留応答可能な保留回線の優先順位を任意に変更設定する優先順位設定手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
この発明に係る共通保留受付手段は、保留応答可能な保留回線の優先順位を任意に変更設定する優先順位設定手段を備えたので、個々の端末装置の使用状態に応じて保留回線の優先順位を決定することができる。
【0015】
さらに、この発明に係る管理装置は、複数の端末装置に、保留応答時の回線の優先順位を共通に設定することを特徴とする。
【0016】
この発明に係る管理装置は、複数の端末装置に、保留応答時の回線の優先順位を共通に設定するので、複数の端末装置に一括して回線の優先順位を共通に初期設定することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る端末装置は、自装置および他装置で保留された回線を順番に記憶し、回線の優先順位に基づいて保留応答可能な通知をする共通保留受付ボタンおよび表示ランプを有する共通保留受付手段を備えたので、共通保留受付ボタンを操作することにより、全ての端末装置で保留した回線を保留順に画面に表示するとともに、自装置で保留した保留回線を優先順位に従って保留応答可能な保留回線の存在をランプ表示で通知することができ、保留応答に際して操作性の良さをアピールすることができる。
【0018】
また、この発明に係る共通保留受付手段は、トランザクション間の論理結合を示すアドレスリンケージ、保留時の回線を示す回線番号、保留された順序の保留順キー番号、回線の用途を示す回線種別、保留応答時の優先順位および保留が自装置か他装置かを表わす自台/他台フラグを備えたトランザクションメモリを備えたので、全ての端末装置で保留された保留回線を保留された順番に画面に表示可能であるとともに、自装置で保留した保留回線を優先順位に従って保留応答可能にすることができ、保留応答に際して利便性の向上を図ることができる。
【0019】
さらに、この発明に係る共通保留受付手段は、保留応答可能な保留回線が存在している限り、表示ランプを点滅するランプ制御手段を備えたので、表示ランプの状態によって保留回線の有無を確認することができ、保留応答を簡素化して業務の効率アップを図ることができる。
【0020】
また、この発明に係る共通保留受付手段は、保留応答可能な保留回線の優先順位を任意に変更設定する優先順位設定手段を備えたので、個々の端末装置の使用状態に応じて保留回線の優先順位を決定することができ、自由度のある運用形態を実現することができる。
【0021】
さらに、この発明に係る管理装置は、複数の端末装置に、保留応答時の回線の優先順位を共通に設定するので、複数の端末装置に一括して回線の優先順位を共通に初期設定することができ、各端末装置への保留応答時の回線の優先順位を効率的に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1はこの発明に係る構内交換システムの一実施の形態システム構成図である。図1において、構内交換システム1は、構内交換機2、複数の端末装置を構成する多機能電話機TEL1〜TELn、管理装置6、局回線,ブローカ回線,PBX回線およびホットライン回線などの複数の回線を備える。
【0023】
構内交換機2は、通話路を形成する通話路スイッチ3、通話路スイッチ3に接続される専用内線回路DL1〜DLn,DLx、回線トランクTR1,TR2〜TRz、制御装置4、記憶装置5を備え、通話路スイッチ3、制御装置4および記憶装置5は、制御バスBUを介して接続される。
【0024】
通話路スイッチ3は、マトリクススイッチなどで構成し、制御装置4の制御により、専用内線回路DL1〜DLn,DLxとの相互間、専用内線回路DL1〜DLnと回線トランクTR1,TR2〜TRzとの相互間を接続することによって多機能電話機TEL1〜TELn相互間、多機能電話機TEL1〜TELnと管理装置6との相互間、多機能電話機TEL1〜TELnと局回線,ブローカ回線,PBX回線およびホットライン回線などの回線との相互間の通話路を形成する。
【0025】
制御装置4は、マイクロプロセッサを基本に構成し、記憶装置5に格納された制御プログラム、局データおよび各種テーブルに基づいて構内交換システム1全体の動作やシーケンスを制御する。
【0026】
また、制御装置4は、多機能電話機TEL1〜TELnのいずれかが保留した局回線,ブローカ回線,PBX回線およびホットライン回線などの保留回線の保留データを記憶装置5に格納するとともに、共通保留受付情報として多機能電話機TEL1〜TELnに供給して記憶させる。
【0027】
記憶装置5は、ROM等の固定メモリやRAM等の書替え可能なメモリで構成し、制御プログラム、局データおよび各種テーブルなど、構内交換システム1の動作や制御に必要なデータを格納する。
【0028】
専用内線回路DL1〜DLn,DLxは、内線LT1〜LTn,内線LTxを介して多機能電話機TEL1〜TELn、管理装置6を収容し、通話路スイッチ3に接続する。
【0029】
回線トランクTR1,TR2〜TRzは、局回線,ブローカ回線,PBX回線およびホットライン回線などの回線を収容し、通話路スイッチ3に接続する。
【0030】
管理装置6は、多機能電話機TEL1〜TELnに、局回線,ブローカ回線,PBX回線およびホットライン回線などの保留回線の保留応答に際して、回線の優先順位などのデータを共通に設定し、変更する。また、管理装置6は、多機能電話機TEL1〜TELnの画面ページに普段運用で使用する回線およびその回線名称データの設定を行い、またはデータの修正を行う。なお、回線の優先順位の設定や変更は、個々の多機能電話機TEL1〜TELn単位で実行することもできる。
【0031】
このように、この発明に係る管理装置6は、複数の端末装置(多機能電話機TEL1〜TELn)に、保留応答時の回線(局回線,ブローカ回線,PBX回線およびホットライン回線)の優先順位を共通に設定するので、複数の端末装置に一括して回線の優先順位を共通に初期設定することができ、各端末装置への保留応答時の回線の優先順位を効率的に設定することができる。
【0032】
多機能電話機TEL1〜TELnは、例えば多機能電話機で構成し、それぞれの多機能電話機に、自電話機(例えば、多機能電話機TEL1)で保留した回線、および他電話機(例えば、多機能電話機TEL2〜TELn)で保留した回線の全ての保留回線を共通保留受付情報として格納する。
【0033】
また、多機能電話機TEL1〜TELnは、自電話機(例えば、多機能電話機TEL1)および他電話機(例えば、多機能電話機TEL2〜TELn)で保留された局回線,ブローカ回線,PBX回線およびホットライン回線などの回線を順番に記憶し、予め管理装置6から設定された回線の優先順位に基づいて保留応答可能な通知をする共通保留受付ボタンおよび表示ランプを有する共通保留受付手段を備える。
【0034】
共通保留受付手段を設けることにより、共通保留受付ボタン(11)を操作することにより、全ての端末装置(多機能電話機TEL1〜TELn)で保留した回線(局回線,ブローカ回線,PBX回線およびホットライン回線など)を保留順に画面に表示するとともに、自装置(例えば、多機能電話機TEL1)で保留した保留回線を優先順位に従って保留応答可能な保留回線の存在をランプ表示で通知することができる。
【0035】
図2はこの発明に係る多機能電話機の一実施の形態要部盤面図である。なお、多機能電話機TEL1〜TELnは、同一構成なので、多機能電話機TEL1を例にして説明する。図2において、多機能電話機TEL1は、通話に使用するハンドセット7、画面ディスプレイ8、画面のページ切替えを行う前ページボタン9および後ページボタン10、共通保留受付ボタン11、表示ランプ12および図示しない機能キーやダイヤルキーを備える。
【0036】
画面ディスプレイ8は、例えばタッチパネル式のプラズマディスプレイで構成し、キャラクタおよびグラフィック表示が可能である。また、画面ディスプレイ8は、ページ切替えによる回線表示方式を採用しており、自多機能電話機TEL1に収容する回線を登録するページがあり、回線は数回線づつページ分割し、ページ送り、ページ戻し操作等で順次回線名称の表示を行う。
【0037】
前ページボタン9は、画面ディスプレイ8をページ戻しするボタンであり、後ページボタン10は、画面ディスプレイ8をページ送りするボタンである。
【0038】
共通保留受付ボタン11は、ボタン操作により、自電話機(多機能電話機TEL1)および他電話機(多機能電話機TEL2〜TELn)で保留した局回線,ブローカ回線,PBX回線およびホットライン回線などの回線を順番に共通保留して画面ディスプレイ8に表示した中から、自電話機(多機能電話機TEL1)で保留した保留回線を予め管理装置6で設定された優先順位に従って画面ディスプレイ8に表示する。
【0039】
表示ランプ12は、例えば発光ダイオード(LED)などのランプで構成し、共通保留受付ボタン11に対応して自電話機(多機能電話機TEL1)が保留した保留回線が存在する場合には、ランプを点滅し、保留回線が存在しない、または存在しなくなった場合には、ランプを消灯することにより、自電話機(多機能電話機TEL1)で保留した保留回線の有無を通知する。
【0040】
図3はこの発明に係る多機能電話機の一実施の形態要部ブロック構成図である。図3において、多機能電話機TEL1は、呼制御プロセッサ(MPU)13、固定記憶装置(ROM)14、一時記憶装置(RAM)15、画面コントローラ16、画面メモリ17、ランプドライバ18、キースキャンインタフェース19、呼制御メッセージ送受信バッファ20、受信バッファ21、送信バッファ22、制御バスBUS、図2に示すハンドセット7、画面ディスプレイ8、前ページボタン9、後ページボタン10,共通保留受付ボタン11および表示ランプ12を備え、内線LT1を介して構内交換機2に収容される。
【0041】
呼制御プロセッサ(MPU)13は、制御バスBUSを介して回線名称等のデータを含む局データ、すなわち、収容局毎に異なるデータを格納する一時記憶装置(RAM)15、呼制御プログラムや固定データを記憶する固定記憶装置(ROM)14、表示ランプ12のランプを駆動するランプドライバ18、共通保留受付ボタン11、前ページボタン9、後ページボタン10および図示しないダイヤルキーや機能キーなどの個々のキーを走査して、その開閉を検出するキースキャンインタフェース19、画面ディスプレイ8に表示する画面をコントロールする画面コントローラ16などを接続し、動作およびシーケンスを制御する。
【0042】
交換装置2との間で呼制御メッセージの送受信を行うための呼制御メッセージ送受信バッファ20が制御バスBUSに接続され、呼制御プログラムにより制御されている。呼制御メッセージ送受信バッファ20は、ISDN基本インタフエースの信号用チャネル(Dチャネル)を介して、交換装置2に収容される回線の状態を示す呼制御メッセージを受信する受信バッファ21と、交換装置2に対して多機能電話機TEL1の操作内容などを示す呼制御メッセージを送信する送信バッファ22を接続する。
【0043】
ハンドセット7は、ISDN基本インタフエースの音声、またはデータ用のチャネル(Bチャネル)を介して構内交換機2に接続する。なお、信号用チャネル(Dチャネル)および音声、またはデータ用のチャネル(Bチャネル)は、内線LT1を形成する。
【0044】
画面コントローラ16は、画面ディスプレイ8にグラフィック、あるいはキャラクタ文字(キー枠、回線名称等)を表示するための画面メモリ17を接続し、画面メモリ17の内容は、呼制御プロセッサ(MPU)13経由で書き込み、画面コントローラ16が画面ディスプレイ8の表示処理を行う。
【0045】
自電話機(例えば、多機能電話機TEL1)および他電話機(例えば、多機能電話機TEL2〜TELn)で保留された局回線,ブローカ回線,PBX回線およびホットライン回線などの回線を順番に記憶し、回線の優先順位に基づいて保留応答可能な通知をする共通保留受付手段は、呼制御プロセッサ(MPU)13、固定記憶装置(ROM)14、一時記憶装置(RAM)15、ランプドライバ18、表示ランプ12、キースキャンインタフェース19および共通保留受付ボタン11で構成する。
【0046】
また、共通保留受付手段は、保留応答可能な保留回線が存在している限り、表示ランプ12を点滅するランプ制御手段を備える。
【0047】
ランプ制御手段は、呼制御プロセッサ(MPU)13、固定記憶装置(ROM)14、一時記憶装置(RAM)15およびランプドライバ18で構成する。
【0048】
このように、この発明に係る共通保留受付手段は、保留応答可能な保留回線が存在している限り、表示ランプ12を点滅するランプ制御手段を備えたので、表示ランプ12の状態によって保留回線の有無を確認することができ、保留応答を簡素化して業務の効率アップを図ることができる。
【0049】
さらに、共通保留受付手段は、保留応答可能な保留回線の優先順位を任意に変更設定する優先順位設定手段を備える。
【0050】
優先順位設定手段は、呼制御プロセッサ(MPU)13、固定記憶装置(ROM)14、一時記憶装置(RAM)15、画面コントローラ16、画面メモリ17、画面ディスプレイ8、キースキャンインタフェース19、共通保留受付ボタン11および図示しないダイヤルキーや機能キーで構成する。
【0051】
優先順位設定手段を設けることにより、個々の多機能電話機TEL1〜TELnの使用状況に応じて保留回線の優先順位を決定することができる。例えば、管理装置6による初期設定では、局回線が「1位」、ブローカ回線が「2位」であっても、多機能電話機TEL1ではブローカ回線の受付頻度が高い場合、多機能電話機TEL1からブローカ回線を「1位」、局回線を「2位」に変更設定することができる。
【0052】
このように、この発明に係る共通保留受付手段は、保留応答可能な保留回線(局回線,ブローカ回線,PBX回線およびホットライン回線など)の優先順位を任意に変更設定する優先順位設定手段を備えたので、個々の端末装置(多機能電話機TEL1〜TELn)の使用状態に応じて保留回線の優先順位を決定することができ、自由度のある運用形態を実現することができる。
【0053】
図4はこの発明に係る一時記憶装置(RAM)の一実施の形態トランザクションメモリイメージ図である。図4において、一時記憶装置(RAM)15は、トランザクションメモリ領域15Mを備える。
【0054】
トランザクションメモリ領域15Mは、トランザクション間の論理結合を示すアドレスリンケージ15a、保留時の回線を示す回線番号15b、保留された順序の保留順キー番号15c、回線の用途を示す回線種別15d、保留応答時の優先順位15e、保留が自装置か他装置かを表わす自台/他台フラグ15fから形成する。
【0055】
回線番号15bは、端末装置(多機能電話機TEL1〜TELn)が保留操作を行った場合に、トランザクション内の通話中の回線番号を設定する。
【0056】
保留順キー番号15cは、自端末装置(例えば、多機能電話機TEL1)が保留を行なった順に付与するものであり、回線種別15dは、保留回線が局回線,ブローカ回線,PBX回線またはホットライン回線などを示す回線の種別である。
【0057】
優先順位15eは、保留応答時の保留回線の優先順位であり、自台/他台フラグ15fは、保留されたトランザクションが自端末装置(例えば、多機能電話機TEL1)で行なわれた保留なのか、あるいは他端末装置(多機能電話機TEL2〜TELn)で行なわれた保留なのかを示すフラグであり、構内交換機2から保留情報を受信した際に設定される。
【0058】
このようなトランザクションの構成により、共通保留受付が可能となる。
【0059】
図5はこの発明に係る固定記憶装置(ROM)の一実施の形態回線種別単位優先順位の局データイメージ図である。図5において、固定記憶装置(ROM)14は、局データメモリ領域14Mを備える。
【0060】
局データメモリ領域14Mは、回線種別(局回線,ブローカ回線,PBX回線およびホットライン回線など)単位に、保留応答の優先順位が設定されおり、重複は規制されているものである。また、本局データは、管理装置6からダウンロードされて登録される。従って、優先順位の局データを任意に変更することにより、運用に合わせた保留応答を行うことが可能となる(図4の回線種別15dと優先順位15eの組合せ)。
【0061】
図6はこの発明に係るトランザクションメモリの一実施の形態アイドルチェーン図である。図6において、Ll〜Lnのn個のトランザクションは、保留回線に対するトランザクションメモリであり、ポインタには保留回線Llのトランザクションメモリが登録され、保留回線LlのアドレスリンケージAL1には、保留回線L2のトランザクションメモリが登録され、保留回線L2のアドレスリンケージAL2には、保留回線L3のトランザクションメモリが登録されている。
【0062】
また、保留回線L3のアドレスリンケージAL3には、次の保留がないことを示す‘0’が設定されている。
【0063】
「k0〜kn」は、保留順キー番号を示しており、保留が行なわれた順に割付けられている。また、「Kind」は、回線種別を示しており、「PriNo.」は、回線種別単位の保留応答の優先順位データを示している。「FLG」は、自台(自多機能電話機TEL1)保留なのか、他台(多機能電話機TEL2〜TELn)保留なのかを示している。
【0064】
上述したように、保留回線に対応するトランザクションメモリが、ポインタを先頭にアイドルチェーンに接続されていることにより、保留順を保つことが可能となり、かつ応答操作においては、必要なトランザクションを容易に検索することが可能となる。
【0065】
図7はこの発明に係る実際の保留回線の状態を示すトランザクションメモリの一実施の形態アイドルチェーン図である。図7において、ポインタには、保留回線「A銀行」のトランザクションメモリが登録され、保留回線「A銀行」のアドレスリンケージには、保留回線「F証券」が登録され、保留回線「F証券」のアドレスリンケージには、保留回線「J銀行」が登録されている。
【0066】
「J銀行」のアドレスリンケージには、次の保留がないことを示す‘0’が設定されているために、3回線の保留が存在していることを示している。
【0067】
また、「0」〜「2」は、図4に示すトランザクションメモリ内の保留順キー番号を示している。保留順キー番号「0」〜「2」から、保留回線が3回線存在していることがわかる。さらに、「COT」、「BRK」等の回線種別の次に、保留応答の優先順位「1」、「2」、「1」が設定されている。図5に示したように、局データで予め設定されている優先順位データが回線種別単位に設定されている。「COT」種別は「1」であり、「BRK」種別は「2」で設定されていること示している。また、全ての保留状態として自端末装置で保留された回線(「自台」)であることを示している。
【0068】
このように、この発明に係る共通保留受付手段は、トランザクション間の論理結合を示すアドレスリンケージ15a、保留時の回線を示す回線番号15b、保留された順序の保留順キー番号15c、回線の用途を示す回線種別15d、保留応答時の優先順位15eおよび保留が自装置か他装置かを表わす自台/他台フラグ15fを備えたトランザクションメモリ(トランザクションメモリ領域15M)を備えたので、全ての端末装置(多機能電話機TEL1〜TELn)で保留された保留回線を保留された順番に画面に表示可能であるとともに、自装置で保留した保留回線を優先順位に従って保留応答可能にすることができ、保留応答に際して利便性の向上を図ることができる。
【0069】
次に、トランザクションメモリの制御をふまえ、共通保留受付における保留回線の応答について説明する。図8はこの発明に係る共通保留受付の一実施の形態ランプ制御プログラム概要図である。図8において、自端末(例えば、多機能電話機TEL1)に保留が有るか否かを保留キューヘッドポインタを調べ(ステップS1)、保留有りの場合には順次トランザクションメモリを抽出し(ステップS2)、自台(例えば、多機能電話機TEL1)か、他端末装置(多機能電話機TEL2〜TELn)かのフラグを調べる(ステップS4)。
【0070】
フラグが他台のときは、ステップS2へ戻り、次のトランザクションメモリを抽出して処理を続行する。ステップS4で、フラグが自台のときには、自端末装置(例えば、多機能電話機TEL1)で保留した回線が有ることを示すために、共通保留受付ボタン11に対応する表示ランプ12を点滅させ、本プログラムを終了する(ステップS5)。
【0071】
また、ステップS2で、順次トランザクションメモリを抽出し、ステップS4の条件が成立する前に保留のトランザクションメモリが無くなった場合には、ステップS3で自端末装置(例えば、多機能電話機TEL1)に自台で保留した回線が無いことを示し、共通保留受付ボタン11に対応する表示ランプ12の消灯処理を行い(ステップS6)、本プログラムを終了する。
【0072】
以上の制御により、共通保留受付ボタン11の表示ランプ12を可視表示することにより、扱い者自身が保留した回線が存在することを認識すると共に、保留応答繰作を促すことになる。
【0073】
図9はこの発明に係る共通保留受付釦による保留応答時の一実施の形態制御プログラム概要図である。共通保留応答制御プログラムは、割込制御プログラムにより各種周期で起動される周期プログラムの一つであるキー制御プログラムが起動される(ステップS11)。
【0074】
キー監視を行い、キー入力が有りか否かを判断する(ステップS12)。キー入力が無い場合は、そのまま処理を終了し(END)、一方、キー入力が有る場合は、共通保留受付釦か否かの判断を行う(ステップS13)。共通保留受付ボタン11か否かは、多機能電話機TEL1の固定記憶装置(ROM)14に、固定的に共通保留受付ボタン11であることが記憶されているために判断できる。また、ステップS13で対象外の場合には、処理を終了する(END)。
【0075】
ステップS13で、共通保留受付ボタン11と判断した場合には、保留応答時の優先順位の最も高い回線種別をワークエリアに確保し(ステップS14)、キー押し処理起動要求を行い(ステップS15)、処理を終了する(END)。
【0076】
その後、実行管理プログラムにより非周期プログラムの応答制御プログラムが起動される(ステップS21)。応答制御プログラムは、保留キューヘッドポインタを調べ、保留の有無を判断する(ステップS22)。保留無しの場合には、処理を終了する(END)。
【0077】
保留有りの場合には、順次トランザクションメモリを抽出し(ステップS23)、自台(例えば、多機能電話機TEL1)か、他台(多機能電話機TEL2〜TELn)かを判断する(ステップS25)。他台のときは、ステップS23へ戻り、次のトランザクションメモリを抽出して処理を続行する。
【0078】
一方、自台のときは、ステップS14から設定されてきた優先順位の高い回線種別とトランザクション内の回線種別を比較し(ステップS26)、同一優先順位の場合は、今回の保留応答対象と判断し、共通保留受付ボタン11による保留応答情報を編集し、構内交換機2へ保留応答情報を送出し(ステップS27)、本プログラムを終了する(END)。
【0079】
また、ステップS24で、順次トランザクションメモリを抽出し、ステップS25およびステップS26の条件が成立する前に保留のトランザクションメモリが無くなった場合には、次の優先順位の高い回線種別を設定する(ステップS28)。
【0080】
回線種別の設定が全て終了した場合は(ステップS29)、処理を終了する(END)が、まだ、未設定の回線種別が有る場合は、ステップS23へ戻り、再度トランザクション抽出処理から処理を続行する。
【0081】
以上の制御により、扱い者白身が保留を行った順でかつ、保留応答の優先順位の高い順に応答できることが可能となる。
【0082】
以上説明したように、この発明に係る端末装置(多機能電話機TEL1〜TELn)は、自装置(例えば、多機能電話機TEL1)および他装置(多機能電話機TEL2〜TELn)で保留された回線を順番に記憶し、回線の優先順位に基づいて保留応答可能な通知をする共通保留受付ボタン11および表示ランプ12を有する共通保留受付手段を備えたので、共通保留受付ボタン11を操作することにより、全ての端末装置(多機能電話機TEL1〜TELn)で保留した回線を保留順に画面に表示するとともに、自装置(例えば、多機能電話機TEL1)で保留した保留回線を優先順位に従って保留応答可能な保留回線の存在をランプ表示で通知することができ、保留応答に際して操作性の良さをアピールすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明に掛かる構内交換システムは、自装置および他装置で保留した回線を順番に画面表示し、保留した回線に優先順位を設定することにより、優先順位に従って自装置が保留した回線の存在をランプ表示し、保留応答可能であり、共通受付保留を実行するあらゆる構内交換システムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】この発明に係る構内交換システムの一実施の形態システム構成図
【図2】この発明に係る多機能電話機の一実施の形態要部盤面図
【図3】この発明に係る多機能電話機の一実施の形態要部ブロック構成図
【図4】この発明に係る一時記憶装置(RAM)の一実施の形態トランザクションメモリイメージ図
【図5】この発明に係る固定記憶装置(ROM)の一実施の形態回線種別単位優先順位の局データイメージ図
【図6】この発明に係るトランザクションメモリの一実施の形態アイドルチェーン図
【図7】この発明に係る実際の保留回線の状態を示すトランザクションメモリの一実施の形態アイドルチェーン図
【図8】この発明に係る共通保留受付の一実施の形態ランプ制御プログラム概要図
【図9】この発明に係る共通保留受付釦による保留応答時の一実施の形態制御プログラム概要図
【符号の説明】
【0085】
1 構内交換システム
2 構内交換機
3 通話路スイッチ
4 制御装置
5 記憶装置
6 管理装置
7 ハンドセット
8 画面ディスプレイ
9 前ページボタン
10 後ページボタン
11 共通保留受付ボタン
12 表示ランプ
13 呼制御プロセッサ(MPU)
14 固定記憶装置(ROM)
14M 局データメモリ領域
14a 局線
14b PBX回線
14c ブローカ回線
14d ホットライン回線
15 一時記憶装置(RAM)
15M トランザクションメモリ領域
15a アドレスリンケージ
15b 回線番号
15c 保留順キー番号
15d 回線種別
15e 優先順位
15f 自台/他台フラグ
16 画面コントローラ
17 画面メモリ
18 ランプドライバ
19 キースキャンインタフェース
AL1,AL2,AL3 アドレスリンケージ
TEL1〜TELn 多機能電話機
LT1〜LTn,LTx 内線
DL1〜DLn,DLx 専用内線回路
TR1,TR2〜TRz 回線トランク
BU 制御バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回線、複数の端末装置、管理装置を収容し、回線交換を行う構内交換機と、ダイヤル発信、着信応答などに使用する複数のキー、回線状態や端末装置の状態を表示する複数ページ構成の画面を有する前記複数の端末装置と、回線の優先順位などを前記端末装置に設定する管理装置と、からなる構内交換システムにおいて、
前記端末装置は、自装置および他装置で保留された回線を順番に記憶し、回線の優先順位に基づいて保留応答可能な保留回線を通知する共通保留受付ボタンおよび表示ランプを有する共通保留受付手段を備えたことを特徴とする構内交換システム。
【請求項2】
前記共通保留受付手段は、トランザクション間の論理結合を示すアドレスリンケージ、保留時の回線を示す回線番号、保留された順序の保留順キー番号、回線の用途を示す回線種別、保留応答時の優先順位および保留が自装置か他装置かを表わす自台/他台フラグを備えたトランザクションメモリを備えたことを特徴とする請求項1記載の構内交換システム。
【請求項3】
前記共通保留受付手段は、保留応答可能な保留回線が存在している限り、表示ランプを点滅するランプ制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の構内交換システム。
【請求項4】
前記共通保留受付手段は、保留応答可能な保留回線の優先順位を任意に変更設定する優先順位設定手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の構内交換システム。
【請求項5】
前記管理装置は、前記複数の端末装置に、保留応答時の回線の優先順位を共通に設定することを特徴とする請求項1記載構内交換システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−203678(P2006−203678A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14487(P2005−14487)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】