説明

構内交換機の試験装置

【課題】 容易に構内交換機の評価試験を行うことができる構内交換機の試験装置を提供する。
【解決手段】 構内交換機Aと通信を行う回線インタフェース部14と、回線インタフェース部を介して構内交換機から工注情報を取得し、該工注情報に基づいて外部の情報処理装置Pと通信を行って実装すべき機器の代わりの発着信をシミュレートすることにより、構内交換機の通話試験を行う試験インタフェース部15をもつ構内交換機の試験装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、構内交換機の試験装置に関し、特に、基板をフル実装しなくても評価試験を行うことができる構内交換機の試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、PHS構内交換機の試験装置において、評価試験技術および基板実装前の仮想実装機能が知られている。このようなPHS構内交換機は、一般に、制御部、タイムスイッチ、回線インタフェース部、基地局、携帯機で構成される。
【0003】
従来のPHS構内交換機の試験装置においては、構内交換機を試験するために、試験を行うときの工注情報に従って回線インタフェース部を実装し、基地局、携帯機、有線電話機、専用線、LAN回線を接続し、試験を行っている。
【0004】
また、上記相当量の試験システムの構成を準備し、さらに試験を行うために、その携帯機や有線電話機などを操作する人をその前に配置させ発信操作(ダイヤル発信操作)、着信操作(受話器を上げる)、通話などの試験を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−199644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように従来のPHS構内交換機の試験装置においては、評価試験を行う際に、相当な数量の基地局、携帯機、有線電話機、専用線、LAN回線などを実際に準備して接続しなければならず、また、それらを操作する人を相当人数配備しなければならないので、そのために大きなコストが必要となっている。
【0007】
本発明は、容易に構内交換機の評価試験を行うことができる構内交換機の試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
課題を解決するための一実施形態は、
構内交換機(A)と通信を行う回線インタフェース部(14)と、
前記回線インタフェース部を介して前記構内交換機から工注情報を取得し、該工注情報に基づいて外部の情報処理装置(P)と通信を行って実装すべき機器の代わりの発着信をシミュレートすることにより、前記構内交換機の通話試験を行う試験インタフェース部(15)と、
を具備することを特徴とする構内交換機の試験装置である。
【発明の効果】
【0009】
この実施形態によれば、構内交換機からの工注情報に基づいて外部のパソコンに発着信をシミュレートさせることで、実装すべき基地局等を省略できるため、非常にローコストに構内交換機の通話試験を実現可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態である構内交換機の試験装置の構成の一例を示すブロック図。
【図2】同構内交換機の試験装置であり、実装すべき機器を接続した際のブロック図。
【図3】同構内交換機の試験装置であり、具体的なインタフェースを実装したブロック図。
【図4】同構内交換機の試験装置であり、試験インタフェースを実装した際のブロック図。
【図5】同構内交換機の試験装置に用いられる試験インタフェース部を示すブロック図。
【図6】同構内交換機の試験装置の試験インタフェース部の処理を示すフローチャート。
【図7】同構内交換機の試験装置のコマンド発行処理を示すGUIの説明図。
【図8】同構内交換機の試験装置におけるGUIコマンド受付処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の一実施形態に係る構内交換機の試験装置につき、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態である構内交換機の試験装置の構成の一例を示すブロック図、図2は、同じく構内交換機の試験装置であり、実装すべき機器を接続した際のブロック図、図3は、同じく構内交換機の試験装置であり、具体的なインタフェースを実装したブロック図である。
【0012】
はじめに、試験システム1は、図1等に示すように、被試験装置である構内交換機Aとこの構内交換機Aを試験する試験装置Bからなるものである。
【0013】
構内交換機Aは、全体の動作を制御する制御部11と、入力ハイウェイ、出力ハイウェイと接続され、ハイウェイのタイムスロット毎に時分割交換を行うスイッチであるタイムスイッチ12と、複数のタイムスロットの音声データ(PCM符号のデータ)を合成し、1つの出力ハイウェイのタイムスロットに複数のハイウェイタイムスロットの音声を合成して出力し会議通話状態を作る会議トランク13を有している。
【0014】
また、試験装置Bの方は、回線インタフェース部14と、回線インタフェース部14に含まれる試験インタフェース部15と、運用モードと基盤実装前仮想試験モードの切替を行うためのスイッチ16と、試験インタフェース部15に接続されて外部に設けられる汎用パーソナルコンピュータPを有している。
【0015】
また、図2に示す試験装置Bの方は、上記した構成に加え、実機を交えての試験を行いたい場合に、発着信試験を行うために必要な構成である、複数の基地局17と、複数の有線電話機18と、複数の専用線19と、複数のLAN回線20と、複数の携帯機C1,C2が、回線インタフェース部14に接続されている。また、制御信号とハイウェイが接続されており、基地局回線との制御信号は発信、着信、など公知技術(PHS標準規格 STD−28)の呼制御信号を伝える。
【0016】
ここで、入力ハイウェイ、出力ハイウェイは、すべての会議トランク13および回線インタフェース部と接続されていて、任意のハイウェイのタイムスロットを任意のハイウェイのタイムスロットに交換(接続)できる。
【0017】
また、図3において、構内交換機は、通常はさまざまな運用形態にあうようにインタフェース構成を自由に設定することができる。この設定情報を『工注情報』と称する。
【0018】
図3が示す実施形態では、第1スロットに、BSIF22、第2スロットに、BSIF23、第3スロットに、BSIF24、第4スロットに、COT25と称するインタフェース部を実装した。ここで、BSIFは、1枚で最大4台の基地局を接続することができるインタフェースである。また、COT25は、1枚で最大4台の有線電話機26〜29を接続することができる。
【0019】
また、本発明の一実施形態である試験装置Bは、図4に示すように、回線インタフェース部14に試験インタフェース部15を実装し、試験インタフェース部15と汎用パーソナルコンピュータPをシリアル通信回線で接続する。構内交換機Aを動作(試験)させるために、その工注情報に対応した回線インタフェース部14をすべて実装する必要はなく、また基地局、携帯機、有線電話機なども接続する必要はない。
【0020】
すなわち、本発明の一実施形態に係る構内交換機の試験装置においては、試験インタフェース部15および汎用パーソナルコンピュータPを組み合わせて後述するように機能させることによって、本来、実装すべき機器の代わりの発着信をシミュレートすることができ、構内交換機の通話試験を行うことができる。これにより、全ての基地局、携帯機、有線電話機の操作を疑似的に行わせることができる。
【0021】
また、図5は、この試験インタフェース部15の構成を示している。試験インタフェース部15は、全体の動作およびプログラムを実行するマイコンとその周辺回路である制御部31と、制御部通信部32と、制御部通信部32およびPC通信部35とやり取りするデータを一時的に蓄えるバッファとして使用されるメモリ34と、汎用パーソナルコンピュータPと呼制御信号のシリアル送受信を行う通信用ICとその周辺回路で構成されるPC通信部35を有している。ここで、通信用ICは、シリアル通信データをメモリ34と受け渡しするシリアル−パラレル変換機能とDMA転送機能を有している。
【0022】
このような構成をもつ試験インタフェース部15の動作プログラムは、汎用パーソナルコンピュータPから送信されたデータを受信して、メモリ34に蓄積し、制御部11へ送信する。また制御部11から送信されたデータを受信してメモリ34に蓄積し、制御部11へ送信する機能を有する。
【0023】
このような構成をもつ試験インタフェース部15は、どこのスロットに実装されても、自分の実装スロット番号を意識することなく、汎用パーソナルコンピュータPから受信した信号(スロット番号、回線番号が既に付与されている)を制御部11へ送信し、制御部11から送信された信号を全て受信して汎用パーソナルコンピュータPへ送信するといった透過的な受け渡し動作をする。
【0024】
次に、図6のフローチャートを用いて試験インタフェース部の処理動作を詳細に説明する。試験インタフェース部15は、回線インタフェース部に実装して使用する。通常の実機を使った構成では、運用、試験の構成に従って回線インタフェース部にBSIFやCOTを実装するが、本発明による試験構成では、この試験インタフェース部15を1枚、いずれか1スロットに実装すればよい。すなわち、この試験インタフェース部15を1枚用いることで、複数枚のBSIFやCOT相当と同様の動作を実現することができる。
【0025】
はじめに、試験インタフェース部15における制御部31は、動作プログラムに従って、PC通信部35を通信可能状態に初期化し(ステップS11)、次に、制御部通信部32を通信可能状態に初期化し(ステップS12)、構内交換機Aから『工注情報』を読み出す(ステップS13)。さらに、制御部31は、汎用パーソナルコンピュータPから受信データがあるか監視し(ステップS14)、受信データがあれば汎用パーソナルコンピュータPからの受信データをメモリ34から取り出して、制御部通信部32へ渡して送信起動を行う(ステップS15)。また、制御部31は、汎用パーソナルコンピュータPからの受信データがなければなにもしない(ステップS14)。
【0026】
次に、制御部31は、構内交換機Aの制御部11からの受信データがあるか監視し(ステップS16)、受信データがあれば制御部11からの受信データをメモリ34から取り出し、PC通信部35へ渡して送信起動する(ステップS17)。制御部31は、制御部11からの受信データがなければなにもしない。上記した動作を繰り返す。ここで、信号の中のスロット番号、回線番号に関しては特に判定したり、付与したりすることはない。これにより、汎用パーソナルコンピュータPの送信データを透過的に制御部31へ伝え、制御部31の送信データを透過的に汎用パーソナルコンピュータPへ伝える。
【0027】
次に、図7および図8を用いて、コマンド発行・処理GUIについて説明する。構内交換機Aの制御部11は、視覚的にコマンドの発行・処理を行うために、図7に示すような、連続位置登録チャネル編集画面、連続発呼チャネル編集画面、連続ハンドオーバーチャネル編集画面を持ち、それぞれのコマンド発行時に工注データを検索するために必要なデータを持つ。また、スロット毎に工注情報に設定されたスロットインタフェースに合った画面を持ち、IF画面から単独のコマンド処理を可能とする。
【0028】
また、図8が示すフローチャートに示すように、汎用パーソナルコンピュータP内で動作するコマンド発行・処理GUIは、コマンドを受け付け後、取得した工注情報に従って、コマンドを実行させるためのシーケンスを開始する(ステップS21)。すなわち、汎用パーソナルコンピュータPは、電文作成に必要な実機データ、基板構成データを工注情報から取得し、ステータスを確認し(ステップS22)、電文を作成し(ステップS23)、送信する(ステップS24)。そして、画面変更が必要な場合、表示画面の変更を行う(ステップS25)。また、汎用パーソナルコンピュータPは、シーケンスに従ってステータスを更新し(ステップS26)、終了ステータスの場合、コマンド発行・処理を終了する(ステップS27)。未終了の場合、構内交換機からの受信電文を待つ(ステップS28)。そして、構内交換機Aからの電文受信後、ステータスに従って送信電文を作成・送信する。
【0029】
このように、本発明の一実施形態にかかる構内交換機の試験装置によれば、構内交換機からの工注情報に基づいて外部のパソコンに発着信をシミュレートさせることで、実装すべき基地局等を省略できるため、非常にローコストに構内交換機の通話試験を実現可能とするものである。
【0030】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…試験システム、A…構内交換機、B…試験装置、11…制御部、12…タイムスイッチ、13…会議トランク、14…回線インタフェース、15…試験インタフェース部、16…スイッチ、P…汎用パーソナルコンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構内交換機と通信を行う回線インタフェース部と、
前記回線インタフェース部を介して前記構内交換機から工注情報を取得し、該工注情報に基づいて外部の情報処理装置と通信を行って実装すべき機器の代わりの発着信をシミュレートすることにより、前記構内交換機の通話試験を行う試験インタフェース部と、
を具備することを特徴とする構内交換機の試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−100167(P2012−100167A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247746(P2010−247746)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000166650)株式会社日立国際電気エンジニアリング (100)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】