説明

構成要素及びその製造方法

【課題】ガスタービンエンジンの構成要素に関し、高温ストリーク内に位置する場合にのみ冷却空気を排出する構造を提供する。
【解決手段】ガスタービンエンジンの構成要素132は、冷却アパーチャ194と、冷却アパーチャ194を通る空気流を阻止するため冷却アパーチャ194の少なくとも一部を充填するプラグと、を含む。プラグは、ガスタービンエンジンの作動中に所定温度で溶融して、空気流が冷却アパーチャ194を通ることができるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、全体的に構成要素に関し、より詳細には、ガスタービンエンジンの構成要素及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの公知のガスタービンエンジンは、加圧空気と燃料を混合して混合器を点火させ、燃焼ガスを生成するための燃焼システムを含む。燃焼ガスは、タービンシステムに配向されてタービンを駆動して回転させ、これにより、ファン、圧縮機、及び/又はタービンに回転可能に結合されたファン、圧縮機、及び/又は発電機を駆動する。幾つかのガスタービンエンジン(例えば、航空機上の推進ガスタービンエンジン)では、燃焼ガスがタービンシステムから周囲空気に排出され、これにより航空機に推力を提供する。幾つかの他のガスタービンエンジン(例えば、複合サイクル発電プラントにおけるガスタービンエンジン)では、燃焼ガスは、蒸気生成に使用するためにタービンシステムから熱回収蒸気発生器に配向される。
【0003】
一部の公知の燃焼システムは、燃焼プロセスで使用するための燃料を排出する複数の円周方向に離間した燃料ノズルを含む。これらの燃料ノズルは、異なる流量で燃料を排出することができるので、燃焼システムの下流側により高い燃焼ガス温度(すなわち、高温ストリーク)の円周方向区域が存在する場合がある。これにより、高温ストリークを生じるこれらのエンジン構成要素に大幅な温度上昇をもたらす。しかしながら、高温ストリークの位置を決定することは困難であり、エンジン毎に変わる可能性があり、少なくとも一部の公知のエンジンは、多くの下流側のエンジン構成要素上に形成される冷却アパーチャを有し、これら下流側のエンジン構成要素は、最終的には高温ストリーク内に位置することにならず、冷却を必要とする温度上昇を生じることにはならない。結果として、高温ストリーク内に位置しない下流側のエンジン構成要素は、所望の温度よりも低い温度まで過剰に冷却されることが分かっており、従って、相当量の望ましくない冷却空気は、燃焼ガス流内に排出されることが知られており、これはエンジン全体の動作効率を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、高温ストリーク内に位置する場合にのみ冷却空気を排出する構成要素を有することが有用であり、これにより、エンジン全体の動作効率を維持しながら、エンジンの有効寿命を維持することが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様において、ガスタービンエンジンの構成要素が提供される。本構成要素は、冷却アパーチャと、冷却アパーチャを通る空気流を阻止するため冷却アパーチャの少なくとも一部を充填するプラグと、を含む。プラグは、ガスタービンエンジンの作動中に所定温度で溶融して、空気流が冷却アパーチャを通ることができるように構成される。
【0006】
別の態様において、ガスタービンエンジンの構成要素を製造する方法が提供される。本方法は、構成要素に冷却アパーチャを形成する段階と、冷却アパーチャを通る空気流を阻止するプラグで冷却アパーチャの少なくとも一部を充填する段階と、を含む。プラグは、ガスタービンエンジンの作動中に所定温度で溶融して、空気流が前記冷却アパーチャを通ることができるように構成される。
【0007】
別の態様において、ガスタービンエンジンが提供される。ガスタービンエンジンは、燃焼システムと、燃焼システムの下流側に配置されるタービンシステムと、を含み、燃焼システム及びタービンシステムの少なくとも1つが構成要素を含む。構成要素は、冷却アパーチャと、冷却アパーチャを通る空気流を阻止するため冷却アパーチャの少なくとも一部を充填するプラグとを有する。プラグが、ガスタービンエンジンの作動中に所定温度で溶融して、空気流が冷却アパーチャを通ることができるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】例示的なガスタービンエンジンの概略図。
【図2】図1に示すガスタービンエンジンの燃焼システムの概略図。
【図3】図1に示すガスタービンエンジンのタービンノズルの一部の概略図。
【図4】図3に示すタービンノズルのセグメントの斜視図。
【図5】図4に示すタービンノズルセグメントの概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、限定ではなく例証として、構成要素及びその製造方法について記載している。本明細書は、構成要素を当業者が実施し利用することを可能にするものであり、構成要素に関して現時点で最良の形態であると考えられるものを含む幾つかの実施形態、改良、変更、変形、及び使用法について記載している。本明細書では、構成要素は、ガスタービンエンジンの好ましい実施形態、すなわちガスタービンエンジンに適用されるものとして記載されている。しかしながら、構成要素及びその製造方法は、広範囲に及ぶシステム及び/又は様々な他の商業、工業、及び/又は消費者用途において一般的な用途を有することが企図される。
【0010】
図1は、ファンシステム102、圧縮機システム104、燃焼システム106、高圧タービンシステム108、及び低圧タービンシステム110を含む、例示的なガスタービンエンジン100の概略図である。図2は、燃焼システム106の概略図である。例示的な実施形態において、燃焼システム106は、燃焼プロセス中に燃料を吐出するために複数の円周方向に間隔を置いて配置された燃料ノズルを含み、すなわち、燃焼システム106は、第1の燃料ノズル112、第2の燃料ノズル114、第3の燃料ノズル116、第4の燃料ノズル118、第5の燃料ノズル120、及び第6の燃料ノズル122を含む。他の実施形態では、ガスタービンエンジン100は、あらゆる好適な数の燃料ノズルをあらゆる好適な方法で配列させることができる。或いは、ガスタービンエンジン100は、あらゆる好適菜方法で構成された、あらゆる好適な数のファンシステム、圧縮機システム、燃焼システム、及び/又はタービンシステムを含むことができる。
【0011】
図3は、高圧タービンシステム108の環状タービンノズル130の一部の概略図である。例示的な実施形態において、タービンノズル130は、高圧タービンシステム108の第1段ノズルである。他の実施形態において、タービンノズル130は、高圧タービンシステム108又は低圧タービンシステム110のあらゆる好適な段のものとすることができる。
【0012】
例示的な実施形態において、タービンノズル130は、複数のタービンノズルセグメント132を有し、これらは、円周方向に配列されて内側バンド134及び外側バンド136を形成し、内側バンド134から外側バンド136に延びる間隔を置いて配置されたステータベーンの列、すなわち、第1のベーン140、第2のベーン142、第3のベーン144、第4のベーン146、第5のベーン148、第6のベーン150、第7のベーン152、第8のベーン154、第9のベーン156、第10のベーン158、及び第11のベーン160を有する。従って、第1の流路162は、第1のベーン140と第2のベーン142との間に定められ、第2の流路164は、第2のベーン142と第3のベーン144との間に定められ、第3の流路166は、第3のベーン144と第4のベーン146との間に定められ、第4の流路168は、第4のベーン146と第5のベーン148との間に定められ、第5の流路170は、第5のベーン148と第6のベーン150との間に定められ、第6の流路172は、第6のベーン150と第7のベーン152との間に定められ、第7の流路174は、第7のベーン152と第8のベーン154との間に定められ、第8の流路176は、第8のベーン154と第9のベーン156との間に定められ、第9の流路178は、第9のベーン156と第10のベーン158との間に定められ、第10の流路180は、第10のベーン158と第11のベーン160との間に定められる。他の実施形態では、タービンノズル130は、あらゆる好適な数の流路を定めるあらゆる好適な数のベーンを有することができる。
【0013】
図4は、タービンノズル130の1つのタービンノズルセグメント132の斜視図である。1つの例示的なタービンノズルセグメント132の構成を以下で詳細に説明しているが、あらゆる好適な数のタービンノズルセグメント132を同様に構成することができる。例示的な実施形態において、タービンノズルセグメント132は、内側バンドセグメント182、外側バンドセグメント184、及び内側バンドセグメント182から外側バンドセグメント184に延びるベーンのペア(例えば、第1のベーン140と第2のベーン142)を含む。他の実施形態では、タービンノズルセグメント132は、内側バンドセグメント182から外側バンドセグメント184に延びるあらゆる好適な数のベーンを有することができる(例えば、タービンノズルセグメント132は、ベーンのペアではなく単一のベーンを有してもよい)。例示的な実施形態において、各ベーン140、142は、前縁190及び後縁192において共に接合される凹面状の正圧側面186と凸面状の負圧側面188とを備えた翼形部を有する。各ベーン140、142はまた、前縁190、後縁192、及びこれらの間の区域に近接した正圧側面186及び負圧側面188上に配置される複数の冷却アパーチャ194を含む。或いは、ベーン140、142は、あらゆる好適な翼形部形状を有することができ、タービンノズルセグメント132は、冷却アパーチャ194のあらゆる好適な構成を有することができる(例えば、内側バンドセグメント182及び/又は外側バンドセグメント184は冷却アパーチャ194を有することができる)。
【0014】
図5は、冷却アパーチャ194の第1の冷却アパーチャ196を通る第2のベーン142の断面図である。第2のベーン142の第1の冷却アパーチャ196の構成を以下で詳細に説明しているが、ガスタービンエンジン100のあらゆる好適な構成要素(例えば、タービンシステム108、110のあらゆる好適なタービンノズル構成要素、タービンシュラウド構成要素、及び/又はタービンブレード構成要素など、燃焼システム106及び/又はタービンシステム108のあらゆる好適な構成要素)は、第1の冷却アパーチャ196と同様に構成されたあらゆる好適な数の冷却アパーチャ194を有することができる。同じように、冷却アパーチャ194、196は、例えば、フィルム冷却アパーチャ、後縁冷却アパーチャ、翼形部先端冷却アパーチャ、又はプラットフォーム縁部冷却アパーチャなど、あらゆる好適なタイプのものとすることができる。
【0015】
例示的な実施形態において、第1の冷却アパーチャ196は、第2のベーン12の凹面状正圧側面186を貫通して延び、第1の冷却アパーチャ196が入口198及び出口200を有するようにする。入口198は、第2のベーン142の内部冷却流路202と流れ連通しており、出口200は、タービンノズル130の第1の流路162と流れ連通している。プラグ204は、第1の冷却アパーチャ196内に配置され、第1の冷却アパーチャ196を通る空気流を阻止する。例示的な実施形態において、プラグ204は、出口200に位置付けられる。他の実施形態において、プラグ204は、第1の冷却アパーチャ196に沿ったあらゆる好適な位置にあることができる。例示的な実施形態において、プラグ204は、所定の融解温度を有する硬化材料(例えば、ろう付け用合金、純金属元素、その他)から形成される。他の実施形態では、プラグ204は、プラグ204が本明細書で記載されるように機能することができる所定の溶融温度を有するあらゆる好適な材料から形成することができる。
【0016】
ガスタービンエンジン100の作動中、ファンシステム102を通る空気流は、圧縮機システム104に供給され、圧縮機システム104から加圧空気が燃焼システム106に送給される。加圧空気は、燃料ノズル112、114、116、118、120、122からの燃料と混合され、燃焼ガスが、燃焼システム106から高圧タービンシステム108のタービンノズル130に流れる。
【0017】
例示的な実施形態において、燃料ノズル112、114、116、118、120、122は、円周方向に離間され、異なる流量で燃料を吐出することができるので、タービンノズル130に流入する環状燃焼ガス流内により高温の領域(「高温ストリーク」)が存在する可能性があり、燃焼ガスのこれらの高温ストリークは、燃料ノズル112、114、116、118、120、122と円周方向に整列する可能性が高い。より具体的には、図3に示すように、第1の流路162及び第2の流路164は、第1の燃料ノズル112と円周方向に整列され、従って、燃焼ガスの第1の高温ストリークを受け、これによりタービンノズル130の第1の高温ストリーク領域206を形成する可能性がある。第5の流路170及び第6の流路172は、第2の燃料ノズル114と円周方向に整列され、従って、燃焼ガスの第2の高温ストリークを受け、これによりタービンノズル130の第2の高温ストリーク領域208を形成する可能性がある。第9の流路178及び第10の流路180は、第3の燃料ノズル116と円周方向に整列され、従って、燃焼ガスの第3の高温ストリークを受け、これによりタービンノズル130の第3の高温ストリーク領域210を形成する可能性がある。他方、第3の流路166及び第4の流路168は、タービンノズル130の第1の高温ストリーク領域206と第2の高温ストリーク領域208との間に円周方向に位置付けられ、従って、タービンノズル130の第1の低温領域212を形成する可能性が高く、また、第7の流路174及び第8の流路176は、タービンノズル130の第2の高温ストリーク領域208と第3の高温ストリーク領域210との間に円周方向に位置付けられ、従って、タービンノズル130の第2の低温領域214を形成する可能性が高い。このように、第2のベーン142は、第1の高温ストリーク領域206内に完全に存在することができ、第4のベーン146は、第1の低温領域212内に完全に存在することができ、第6のベーン150は、第2の高温ストリーク領域208内に完全に存在することができ、第8のベーン154は、第2の低温領域214内に完全に存在することができ、第10のベーン158は、第3の高温ストリーク領域210内に完全に存在することができる。
【0018】
例示的な実施形態において、プラグ204の組成は、プラグ204の所定の溶融温度がタービンノズル130の高温ストリーク領域206、208、210の予想される実施可能温度を下回るように選択され、その結果、領域206、208、210の何れかが最終的に高温ストリーク領域になった場合(例えば、ベーン142、150、158の何れかが最終的に所定の溶融温度に到達する場合)に、第2のベーン142、第6のベーン150、及び第10のベーン158のプラグ204がガスタービンエンジン100の作動中に溶融するように構成され、これにより出口200を通じて吐出される冷却空気によりベーン142、150、158を冷却できるようになる。また、ベーン142、150、158の何れかが最終的に高温ストリーク領域206、208、210内には存在しないようになる場合、関連のプラグ204は、出口200を通る冷却空気流を阻止するのに十分な硬度のままとなる。このようにして、冷却空気は、冷却するのが望ましい温度に到達したベーンからのみ吐出される。例示的な実施形態において、タービンノズル130の全てのプラグは、同じ材料から作られる(例えば、各ベーン140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160は、同じ所定の溶融温度のプラグ204を有する)。他の実施形態では、タービンノズル130は、異なる所定溶融温度の材料から作られたプラグ204を有することができる。
【0019】
高温ストリーク領域の位置は、各エンジンの各燃料ノズルが異なる燃料吐出流量を有することから、エンジン毎に変わる可能性がある点に留意されたい。一例として、第1のエンジン及び第2のエンジンは、第1段ノズルの高温ストリーク領域が異なる位置にある場合がある。結果として、第1のエンジンの第1段ノズルのプラグは溶融する場合があるが、第2のエンジンの第1段ノズルにおいて同じ円周方向位置のプラグは溶融しない場合がある。このような位置の変動に対処するために、上述の構成要素及び方法により、全ての第1段ノズルの冷却アパーチャを、高温ストリーク領域の予想される温度を下回る所定溶融温度のプラグで充填することができる。このようにして、各エンジン内の高温ストリークの位置を予想する負担を負うことなく、冷却するのが望ましい温度を生じることになるエンジン構成要素からのみ冷却空気を吐出することができ、冷却が望まれないエンジン構成要素からは冷却空気は吐出されない。
【0020】
同じようにして、高温ストリークの予想される温度は、エンジン毎に変わる可能性があり、単一のエンジン内でも変わる可能性がある。このような温度の変動に対処するために、プラグの組成は、エンジンの予想される動作温度に適合する異なる所定溶融温度を有する複数の異なるプラグ組成から選択することができる(例えば、プラグの組成は、第1の所定溶融温度を有する第1の組成、第1の所定溶融温度よりも高い第2の所定溶融温度を有する第2の組成、及び第1の所定溶融温度及び第2の所定溶融温度よりも高い第3の所定溶融温度を有する第3の組成から選択することができる)。このようにして、異なるエンジンの構成要素は、異なるプラグ組成を備えることができる(例えば、第1のエンジンの第1段ノズルの第1のステータベーンは、第2のエンジンの第1段ノズルの第1のステータベーンとは異なるプラグ組成を有することができる)。同様に、同じエンジンの異なる位置の冷却アパーチャは、異なるプラグ組成を備えることができる(第1のエンジンの第1段ノズルの第1のステータベーンの冷却アパーチャは、第1のエンジンの第1段ノズルの第2のステータベーンの冷却アパーチャとは異なるプラグ組成を有することができ、これにより第1のステータベーン及び第2のステータベーンが異なる動作温度にて冷却を受けるようになる)。加えて、同じエンジン構成要素上の異なる位置の冷却アパーチャは、異なるプラグ組成を備えることができる(例えば、第1のステータベーン上の複数の第1の冷却アパーチャは、第1のプラグ組成を有することができるが、同じ第1のステータベーン上の複数の第2の冷却アパーチャは、第2のプラグ組成を有することができ、その結果、第1の冷却アパーチャは、第1の所定温度で開放され、第2の冷却アパーチャは、第2の所定温度で開放され、これにより第1のステータベーンの段階的冷却が可能になる)。
【0021】
本明細書で記載される方法及びシステムは、エンジン構成要素を冷却するための冷却アパーチャを備えたガスタービンエンジンを提供することができる。本明細書で記載される方法及びシステムは更に、冷却が望まれるエンジン構成要素にのみ冷却空気が提供されるように、ガスタービンエンジンの冷却アパーチャを構成することができる。本明細書で記載される方法及びシステムはまた、所定の温度閾値に一致したときにだけ溶融するよう構成されたプラグで冷却アパーチャを充填することにより高温ストリークの位置及び温度の変動に対処し、これによりガスタービンエンジンの低温区域が過剰に及び不適当に冷却されるのを防ぐことができる。従って、本明細書で記載される方法及びシステムは、冷却が望まれる構成要素を冷却することによりエンジンの有効寿命を維持すると共に、冷却が望まれないエンジン構成要素を冷却することにより生じる冷却空気の過剰な吐出を防ぐことにより、エンジンの全体の動作効率を改善することができる。
【0022】
本願発明のひとつは、ガスタービンエンジンの構成要素であって、冷却アパーチャと、
前記冷却アパーチャを通る空気流を阻止するため前記冷却アパーチャの少なくとも一部を充填するプラグと、を備え、前記プラグが、前記ガスタービンエンジンの作動中に所定温度で溶融して、空気流が前記冷却アパーチャを通ることができるように構成される。前記構成要素は、タービンノズル構成要素、タービンシュラウド構成要素、及びタービンブレード構成要素のうちの1つとすることができる、冷却アパーチャは、フィルム冷却アパーチャ、後縁冷却アパーチャ、翼形部先端冷却アパーチャ、及びプラットフォーム縁部冷却アパーチャのうちの1つとすることができる。冷却アパーチャは、入口及び出口を含み、前記プラグが前記出口に配置されることができる。前記プラグは、硬化金属材料又は硬化ろう付け用合金材料から形成されることができる。
【0023】
本発明のひとつは、ガスタービンエンジンの構成要素を製造する方法であって、前記構成要素に冷却アパーチャを形成する段階と、前記冷却アパーチャを通る空気流を阻止するプラグで前記冷却アパーチャの少なくとも一部を充填する段階と、を含み、前記プラグが、前記ガスタービンエンジンの作動中に所定温度で溶融して、空気流が前記冷却アパーチャを通ることができるように構成される。前記構成要素に冷却アパーチャを形成する段階は、タービンノズル構成要素、タービンシュラウド構成要素、及びタービンブレード構成要素のうちの1つに前記冷却アパーチャを形成する段階を含むことができる。前記構成要素に冷却アパーチャを形成する段階は、フィルム冷却アパーチャ、後縁冷却アパーチャ、翼形部先端冷却アパーチャ、及びプラットフォーム縁部冷却アパーチャのうちの1つとして前記冷却アパーチャを形成する段階を含むことができる。前記構成要素に冷却アパーチャを形成する段階は、入口及び出口を備えて前記冷却アパーチャを形成する段階を含み、前記前記冷却アパーチャの少なくとも一部をプラグで充填する段階が、前記出口に前記プラグを位置付ける段階を含むことができる。前記冷却アパーチャの少なくとも一部をプラグで充填する段階は、前記冷却アパーチャの少なくとも一部を硬化金属材料で充填する段階を含むことができる。前記冷却アパーチャの少なくとも一部をプラグで充填する段階が、前記冷却アパーチャの少なくとも一部を硬化ろう付け用合金材料で充填する段階を含むことができる。
【0024】
本発明のひとつは、ガスタービンエンジンであって、燃焼システムと、前記燃焼システムの下流側に配置されるタービンシステムと、を備え、前記燃焼システム及び前記タービンシステムの少なくとも1つが、冷却アパーチャと、前記冷却アパーチャを通る空気流を阻止するため前記冷却アパーチャの少なくとも一部を充填するプラグとを有する構成要素を含み、前記プラグが、前記ガスタービンエンジンの作動中に所定温度で溶融して、空気流が前記冷却アパーチャを通ることができるように構成される。前記構成要素は、前記タービンシステムのタービンノズル構成要素、タービンシュラウド構成要素、及びタービンブレード構成要素のうちの1つであることができる。前記冷却アパーチャは、フィルム冷却アパーチャ、後縁冷却アパーチャ、翼形部先端冷却アパーチャ、及びプラットフォーム縁部冷却アパーチャのうちの1つであることができる。前記構成要素は、凸面状負圧側面、凹面状正圧側面、及び内部冷却流路を含むステータベーンであり、前記冷却アパーチャは、前記内部冷却流路と流れ連通するように前記凸面状負圧側面及び凹面状正圧側面を貫通して延びることができる。前記タービンシステムは、複数のタービンノズルセグメントを有するタービンノズルを含み、前記タービンノズルセグメントの各々が、前記ステータベーンのペアを含むことができる。前記冷却アパーチャが入口及び出口を含み、前記プラグが前記出口に配置されることができる。
【0025】
以上、構成要素及びその製造方法の例示的な実施形態を詳細に説明した。本方法及びシステムは、本明細書で記載される特定の実施形態に限定されず、むしろ、本方法及びシステムの構成要素は、本明細書で記載した他の構成要素とは独立して別個に利用することができる。例えば、本明細書で記載される方法及びシステムは、他の産業及び/又は消費者向けの用途を有することができ、本明細書で記載されるガスタービンエンジンでの実施に限定されるものではない。むしろ、本発明は、他の多くの産業に関連して実施し且つ利用することができる。
【0026】
種々の特定の実施形態について本発明を説明してきたが、請求項の技術的思想及び範囲内にある修正により本発明を実施することができる点は、当業者であれば理解されるであろう。
【符号の説明】
【0027】
100 ガスタービンエンジン
102 ファンシステム
104 圧縮機システム
106 燃焼器システム
108 高圧タービンシステム
110 低圧タービンシステム
112 第1の燃料ノズル
114 第2の燃料ノズル
116 第3の燃料ノズル
118 第4の燃料ノズル
120 第5の燃料ノズル
122 第6の燃料ノズル
130 タービンノズル
132 タービンノズルセグメント
134 内側バンド
136 外側バンド
140 第1のベーン
142 第2のベーン
144 第3のベーン
146 第4のベーン
148 第5のベーン
150 第6のベーン
152 第7のベーン
154 第8のベーン
156 第9のベーン
158 第10のベーン
160 第11のベーン
162 第1の流路
164 第2の流路
166 第3の流路
168 第4の流路
170 第5の流路
172 第6の流路
174 第7の流路
176 第8の流路
178 第9の流路
180 第10の流路
182 内側バンドセグメント
184 外側バンドセグメント
186 凹面状の正圧側面
188 凸面状の負圧側面
190 前縁
192 後縁
194 冷却アパーチャ
196 第1のアパーチャ
198 入口
200 出口
202 内部冷却流路
204 プラグ
206 第1の高温ストリーク領域
208 第2の高温ストリーク領域
210 第3の高温ストリーク領域
212 第1の低温領域
214 第2の低温領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジン(100)の構成要素であって、
冷却アパーチャ(194、196)と、
前記冷却アパーチャを通る空気流を阻止するため前記冷却アパーチャの少なくとも一部を充填するプラグ(204)と、
を備え、前記プラグが、前記ガスタービンエンジンの作動中に所定温度で溶融して、空気流が前記冷却アパーチャを通ることができるように構成される、構成要素。
【請求項2】
前記構成要素が、タービンノズル構成要素、タービンシュラウド構成要素、及びタービンブレード構成要素のうちの1つである、請求項1に記載の構成要素。
【請求項3】
前記冷却アパーチャ(194、196)が、フィルム冷却アパーチャ、後縁冷却アパーチャ、翼形部先端冷却アパーチャ、及びプラットフォーム縁部冷却アパーチャのうちの1つである、請求項1に記載の構成要素。
【請求項4】
前記冷却アパーチャ(194、196)が、入口(198)及び出口(200)を含み、前記プラグ(204)が前記出口に配置される、請求項1に記載の構成要素。
【請求項5】
前記プラグ(204)が、硬化金属材料から形成される、請求項1に記載の構成要素。
【請求項6】
前記プラグ(204)が、硬化ろう付け用合金材料から形成される、請求項1に記載の構成要素。
【請求項7】
ガスタービンエンジン(100)であって、
燃焼システム(106)と、
前記燃焼システムの下流側に配置されるタービンシステム(108、110)と、
を備え、前記燃焼システム及び前記タービンシステムの少なくとも1つが、冷却アパーチャ(194、196)と、前記冷却アパーチャを通る空気流を阻止するため前記冷却アパーチャの少なくとも一部を充填するプラグ(204)とを有する構成要素を含み、前記プラグが、前記ガスタービンエンジンの作動中に所定温度で溶融して、空気流が前記冷却アパーチャを通ることができるように構成される、ガスタービンエンジン(100)。
【請求項8】
前記構成要素は、凸面状負圧側面(188)、凹面状正圧側面(186)、及び内部冷却流路(202)を含むステータベーン(140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160)であり、前記冷却アパーチャ(194、196)は、前記内部冷却流路と流れ連通するように前記凸面状負圧側面及び凹面状正圧側面を貫通して延びる、請求項13に記載のガスタービンエンジン(100)。
【請求項9】
前記冷却アパーチャ(194、196)が入口(198)及び出口(200)を含み、前記プラグ(204)が前記出口に配置される、請求項13に記載のガスタービンエンジン(100)。
【請求項10】
前記プラグ(204)が、硬化ろう付け用合金材料から形成される、請求項13に記載のガスタービンエンジン(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−96409(P2013−96409A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−234249(P2012−234249)
【出願日】平成24年10月24日(2012.10.24)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】