構築用丁張装置
【課題】丁張材保持部材を設置すべき位置にある縁石に構築用丁張装置を配置する。
【解決手段】線状の丁張材71を保持する丁張材保持部材70を地上に設置する設置脚手段が、丁張材保持部材70を設置すべき位置にある縁石Gに設置される縁石用設置脚体10であり、この縁石用設置脚体10は、面部11Aと、この面部11Aの両側部を直角に屈曲して形成された屈曲部11B、11Cを有する断面コ字形状のチャンネル部材によりなるベース11を備え、一方の屈曲部11Bに、ベース11を縁石Gに固着するベース固定機構12を設けて構成してある。
【解決手段】線状の丁張材71を保持する丁張材保持部材70を地上に設置する設置脚手段が、丁張材保持部材70を設置すべき位置にある縁石Gに設置される縁石用設置脚体10であり、この縁石用設置脚体10は、面部11Aと、この面部11Aの両側部を直角に屈曲して形成された屈曲部11B、11Cを有する断面コ字形状のチャンネル部材によりなるベース11を備え、一方の屈曲部11Bに、ベース11を縁石Gに固着するベース固定機構12を設けて構成してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の表面位置を規定する線状の丁張材を保持する構築用丁張装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ブロック積み、間知石積み、擁壁工事等においては、工事の正確な位置、高さ、角度を図るために、構築用丁張装置が用いられる。この構築用丁張装置としては、例えば、構造物としてコンクリートブロックを積み上げて構築するブロック壁の場合、先ず、図15に示すように、構築しようとするブロック壁の表面位置に略沿う二つの箇所のそれぞれに、二本の水杭1を所定の間隔をおいて地面に打ち込み固定し、これらの水杭1に二枚の水抜き板2を上下方向に所定の間隔をおいて水平に釘で固定し、これらの上下の水抜き板2に縦板3を釘で固定する。そして、相対向する縦板3に正確な位置、高さ、角度を記して、線状の丁張材4を張る。なお、縦板3の固定箇所は、図15では、水抜き板2のおける二本の水杭1の中間位置であるが、図16に示すように二本の水杭1から離れた水抜き板2の端部に設定するようにしてもよい。
【0003】
丁張材4としては、所謂水糸といわれる糸が用いられる。そして、この水糸によって構造物の表面位置を規定するようにし、この水糸にコンクリートブロックの表面を合わせて、コンクリートブロックを一段ずつ積み上げ、一段毎にコンクリートブロック間にコンクリートを打設してブロック壁を構築する。
【0004】
なお、従来の構築用丁張装置としては、切土や盛土の法面が形成される地盤に立設された水杭と、当該水杭に架設される水平方向の水抜き板と、水杭及び水抜き板に傾斜して架設される法抜き板とを備え、法抜き板の傾斜角度によって、法面の設計勾配が示されると共に、法抜き板の先端部によって、法面の法肩や法尻の位置が示される丁張装置において、法抜き板の基端部と、法抜き板の基端部側に立設される水杭、又は、法抜き板の基端部側に配される水抜き板とに取り付けられた支持部材によって、法抜き板の基端部が回動可能に支持されると共に、法抜き板の先端部と、法抜き板の先端部側に立設される水杭、又は、法抜き板の先端部側に配される水抜き板とに取り付けられた固定部材によって、法抜き板の先端部が法面の設計勾配に合わせて固定されてなるものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−238804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の前者及び後者の構築用丁張装置にあっては、水杭1が打ち込み固定される場所が、縁石である場合、又は硬過ぎる地盤や境界線下方のコンクリート基礎である場合には、水杭1の打ち込み固定が困難かもしくは不可能であって、構築用丁張装置自体の設置が困難かもしくは不可能になるし、また、水杭1の打ち込み固定と同様な効果を生じさせるためには多くの部材と長い作業時間を有するという問題点があった。
【0006】
また、例えば、道路に面した側にブロック壁を構築する場合には、道路に面した側に互いに離間させて少なくとも二つの構築用丁張装置をセットし、道路に対して垂直な方向にブロック壁を構築する場合には、道路に対して垂直な方向に互いに離間させて少なくとも二つの構築用丁張装置をセットしなければならず、道路に面した側と道路に対して垂直な方向とか成すコーナーにおいては、二つの構築用丁張装置を直角に配置しなければならないという問題点があった。
【0007】
本発明は上記した問題点を解決するものであり、その第1の目的とするところは、丁張材保持部材を設置すべき位置にある縁石に配置することができて、従来の構築用丁張装置の縁石への設置に要する多くの部材が省略できるし、また、短い作業時間で縁石に設置することができる構築用丁張装置を提供することである。
【0008】
また、本発明の第2の目的とするところは、丁張材保持部材を設置すべき位置にある地盤もしくはコンクリート基礎に配置することができて、従来の構築用丁張装置の地盤もしくはコンクリート基礎への設置に要する多くの部材が省略できるし、また、短い作業時間で設置することができる構築用丁張装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の第1の目的を達成するために、本発明に係る構築用丁張装置は、構築しようとする構造物の表面位置を規定するために設けられる線状の丁張材を保持する丁張材保持部材と、この丁張材保持部材を地上に設置する設置脚手段とを有する構築用丁張装置であって、設置脚手段が、丁張材保持部材を設置すべき位置にある縁石に設置される縁石用設置脚体であり、この縁石用設置脚体に保持部材支持手段を介して丁張材保持部材を支持するようにしたことを特徴とする。
【0010】
かかる構成により、丁張材保持部材を配置すべき位置にある縁石に縁石用設置脚体を容易に設置することで、この縁石上に丁張材保持部材を配置することができる。このために、従来の構築用丁張装置の縁石への設置に要する多くの部材が省略できるし、また、短い作業時間で構築用丁張装置を設置することができる。
【0011】
しかも、道路に面した側に、例えば、ブロック壁を構築する場合には、道路に面した側に互いに離間させて少なくとも二つの構築用丁張装置をセットし、道路に対して垂直な方向に、例えば、ブロック壁を構築する場合には、道路に対して垂直な方向に別の構築用丁張装置をセットすればよく、道路に面した側と道路に対して垂直な方向とか成すコーナーにおいては、一つの構築用丁張装置の設置で足りるようになる。
【0012】
また、本発明に係る構築用丁張装置は、上記した本発明に係る構築用丁張装置において、縁石用設置脚体は、面部と、この面部の両側部を直角に屈曲して形成された屈曲部を有する断面コ字形状のチャンネル部材によりなるベースを備え、屈曲部の一方に、ベースを縁石に固着するベース固定機構を設けて構成してあることを特徴とする。
【0013】
かかる構成により、構築用丁張装置の縁石への設置は、ベースを縁石に被せて、このベースをベース固定機構で縁石に固着することで行なわれるために、構築用丁張装置の縁石への設置を容易に且つ短時間で行なうことができる。
【0014】
また、本発明に係る構築用丁張装置は、上記した本発明に係る構築用丁張装置において、保持部材支持手段は、縁石用設置脚体に設けられた軸受部材に回転可能に且つ軸受部材の軸線方向に移動可能に設けられた回転支軸とこの回転支軸をロックする回転支軸ロック手段を有すると共に、この回転支軸にアーム部材を介して当該回転支軸に平行する支持軸を固定した回転支軸機構と、支持軸に回転可能に設けられ且つ丁張材保持部材を支持する支持機構を備えたことを特徴とする。
【0015】
かかる構成により、支持機構を一方向(例えば、左方向)に移動させることで、支持軸をアーム部材を介して回転支軸を支点にして一方向(例えば、左方向)に移動させ、回転支軸ロック手段により回転支軸をロックし、丁張材保持部材を支持機構で支持することで、丁張材保持部材を回転支軸の一側方(例えば、左側方)に位置させることができ、また、支持機構を他方向(例えば、右方向)に移動させることで、支持軸をアーム部材を介して回転支軸を支点にして他方向(例えば、右方向)に移動させ、回転支軸ロック手段で回転支軸をロックし、丁張材保持部材を支持機構で支持することで丁張材保持部材を回転支軸の他側方(例えば、右側方)に位置させることができる。更に、軸受部材に対して回転支軸を軸線方向(例えば、前後方向)に移動させ、この位置に回転支軸ロック手段で回転支軸をロックすることで、丁張材保持部材を軸線方向に移動させることができる。
【0016】
このように、丁張材保持部材の位置調整を行なうことができるために、丁張材保持部材を構造物、例えば、ブロック壁に合わせて容易に位置させることができ、そのため、設置作業を極めて簡単に行なうことができ、作業効率を大幅に向上させることができる。また、現場の環境等に対応して、丁張材保持部材の位置を調整することができ、周囲の邪魔になる事態を防止できる。
【0017】
また、本発明に係る構築用丁張装置は、上記した本発明に係る構築用丁張装置において、支持機構は、支持軸に回転可能に被嵌された基側支持部材と、この基側支持部材を支持軸にロックする基側支持部材ロック手段と、基側支持部材の側部に固着された支持用ボルトと、この支持用ボルトに回転可能に設けられ且つ丁張材保持部材を支持する先側支持部材と、この先側支持部材を所定角度にロックして丁張材保持部材の角度を調整する角度調整機構とで構成してあることを特徴とする。
【0018】
かかる構成により、丁張材保持部材を支持した先側支持部材は支持用ボルトを中心にして、例えば、前後方向に回動できて、丁張材保持部材を、例えば、前後方向に所定量回動させて角度調整を行うことができる。
【0019】
また、本発明に係る構築用丁張装置は、上記した本発明に係る構築用丁張装置において、先側支持部材は、断面コ字形状のチャンネル部材を有していて、このチャンネル部材の一方の屈曲部にねじ孔部を設けて、このねじ孔部に把持用ボルトを螺装し、この把持用ボルトの端部にロックプレートを設けて、このロックプレートとチャンネル部材とで丁張材保持部材把持部を形成して構成してあり、角度調整機構は、一方の屈曲部に設けた孔部に支持用ボルトを挿入して他方の屈曲部に設けたねじ孔部に支持用ボルトを螺合し、この支持用ボルトの先側にロックナットを螺装して構成してあることを特徴とする。
【0020】
かかる構成により、丁張材保持部材の下端部を丁張材保持部材把持部に挿入して、把持用ボルトを丁張材保持部材側に螺進させて、ロックプレートを丁張材保持部材の面部に押し付け、屈曲部とロックプレートとで丁張材保持部材を左右から挟んで固定することができる。
【0021】
また、ロックナットを弛めて先側支持部材及び丁張材保持部材が支持用ボルトを中心にして、例えば、前後方向に回動できるようにして、丁張材保持部材を、例えば、前後方向に所定量回動させて角度調整を行い、ロックナットを締付けて調整角度位置に先側支持部材を固定して丁張材保持部材の角度調整を行なうことができる。
【0022】
また、上記の第2の目的を達成するために、本発明に係る構築用丁張装置は、構築しようとする構造物の表面位置を規定するために設けられる線状の丁張材を保持する丁張材保持部材と、この丁張材保持部材を地上に設置する設置脚手段とを有する構築用丁張装置であって、設置脚手段が、丁張材保持部材を設置すべき位置にある地盤もしくはコンクリート基礎にアンカーもしくは釘を用いて設置される設置脚体であり、この設置脚体に保持部材支持手段を介して丁張材保持部材を支持するようにしたことを特徴とする。
【0023】
かかる構成により、丁張材保持部材を配置すべき位置にある地盤(硬過ぎる地盤)もしくはコンクリート基礎に設置脚体を容易に設置することで、地盤もしくはコンクリート基礎上に丁張材保持部材を配置することができる。このために、従来の構築用丁張装置の地盤もしくはコンクリート基礎上の設置に要する多くの部材が省略できるし、また、短い作業時間で構築用丁張装置を配置することができる。
【0024】
しかも、道路に面した側に、例えば、ブロック壁を構築する場合には、道路に面した側に互いに離間させて少なくとも二つの構築用丁張装置をセットし、道路に対して垂直な方向に、例えば、ブロック壁を構築する場合には、道路に対して垂直な方向に別の構築用丁張装置をセットすればよく、道路に面した側と道路に対して垂直な方向とか成すコーナーにおいては、一つの構築用丁張装置の設置で足りることになる。
【0025】
また、本発明に係る構築用丁張装置は、上記した本発明に係る構築用丁張装置において、設置脚体は、二本のアーム部材と、これらのアーム部材の基端部を開閉可能に支承するロック付きの支軸機構と、アーム部材の先端部にそれぞれ固着された中空円筒形状のアンカー保持部と、これらのアンカー保持部の下端部に、当該アンカー保持部の軸線に対して直角方向に突出し且つ釘孔を有する踏み板と、アンカー保持部に移動可能に保持されたアンカーと、アンカー保持部に設けられてアンカーをアンカー保持部にロックするアンカーロック手段とで構成されていることを特徴とする。
【0026】
かかる構成により、設置脚体において、二本のアーム部材を略直角に開いた状態で踏み板を接地する。そして、アンカーを地中に打ち込み設置脚体を地盤に固定する。また、設置脚体をコンクリート基礎に固定する場合には、踏み板の釘孔に挿入した釘をコンクリート基礎に打ち込み固定する。そして、アンカーロック手段でアンカーをアンカー保持部にロックして、支軸機構におけるロックで二本のアーム部材を固定状態にする。
【0027】
このように、構築用丁張装置の地盤もしくはコンクリート基礎への設置が行なわれるために、構築用丁張装置の地盤もしくはコンクリート基礎への設置を容易に且つ短時間で行なうことができる。
【0028】
また、本発明に係る構築用丁張装置は、上記した本発明に係る構築用丁張装置において、保持部材支持手段は、縁石用設置脚体に設けられた軸受部材に回転可能に且つ軸受部材の軸線方向に移動可能に設けられた回転支軸とこの回転支軸をロックする回転支軸ロック手段を有すると共に、回転支軸にアーム部材を介して当該回転支軸に平行する支持軸を固定した回転支軸機構と、支持軸に回転可能に設けられ且つ丁張材保持部材を支持する支持機構を備えたことを特徴とする。
【0029】
かかる構成により、支持機構を一方向(例えば、左方向)に移動させることで、支持軸をアーム部材を介して回転支軸を支点にして一方向(例えば、左方向)に移動させ、回転支軸ロック手段により回転支軸をロックし、丁張材保持部材を支持機構で支持することで、丁張材保持部材を回転支軸の一側方(例えば、左側方)に位置させることができ、また、支持機構を他方向(例えば、右方向)に移動させることで、支持軸をアーム部材を介して回転支軸を支点にして他方向(例えば、右方向)に移動させ、回転支軸ロック手段で回転支軸をロックし、丁張材保持部材を支持機構で支持することで丁張材保持部材を回転支軸の他側方(例えば、右側方)に位置させることができる。更に、軸受部材に対して回転支軸を軸線方向(例えば、前後方向)に移動させ、この位置に回転支軸ロック手段で回転支軸をロックすることで、丁張材保持部材を軸線方向に移動させることができる。
【0030】
このように、丁張材保持部材の位置調整を行なうことができるために、丁張材保持部材を構造物、例えば、ブロック壁に合わせて容易に位置させることができ、そのため、設置作業を極めて簡単に行なうことができ、作業効率を大幅に向上させることができる。また、現場の環境等に対応して、丁張材保持部材の位置を調整することができ、周囲の邪魔になる事態を防止できる。
【0031】
また、本発明に係る構築用丁張装置は、上記した本発明に係る構築用丁張装置において、支持機構は、支持軸に回転可能に被嵌された基側支持部材と、この基側支持部材を支持軸にロックする基側支持部材ロック手段と、基側支持部材の側部に固着された支持用ボルトと、この支持用ボルトに回転可能に設けられ且つ丁張材保持部材を支持する先側支持部材と、この先側支持部材を所定角度にロックして丁張材保持部材の角度を調整する角度調整機構とで構成してあることを特徴とする。
【0032】
かかる構成により、丁張材保持部材を支持した先側支持部材は支持用ボルトを中心にして、例えば、前後方向に回動できて、丁張材保持部材を、例えば、前後方向に所定量回動させて角度調整を行うことができる。
【0033】
また、本発明に係る構築用丁張装置は、上記した本発明に係る構築用丁張装置において、先側支持部材は、断面コ字形状のチャンネル部材を有していて、このチャンネル部材の一方の屈曲部にねじ孔部を設けて、このねじ孔部に把持用ボルトを螺装し、この把持用ボルトの端部にロックプレートを設けて、このロックプレートとチャンネル部材とで丁張材保持部材把持部を形成して構成してあり、角度調整機構は、一方の屈曲部に設けた孔部に支持用ボルトを挿入して他方の屈曲部に設けたねじ孔部に支持用ボルトを螺合し、この支持用ボルトの先側にロックナットを螺装して構成してあることを特徴とする。
【0034】
かかる構成により、丁張材保持部材の下端部を丁張材保持部材把持部に挿入して、把持用ボルトを丁張材保持部材側に螺進させて、ロックプレートを丁張材保持部材の面部に押し付け、屈曲部とロックプレートとで丁張材保持部材を左右から挟んで固定することができる。
【0035】
また、ロックナットを弛めて先側支持部材及び丁張材保持部材が支持用ボルトを中心にして、例えば、前後方向に回動できるようにして、丁張材保持部材を、例えば、前後方向に所定量回動させて角度調整を行い、ロックナットを締付けて調整角度位置に先側支持部材を固定して丁張材保持部材の角度調整を行なうことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る構築用丁張装置によれば、丁張材保持部材を設置すべき位置にある縁石に縁石用設置脚体を設置することで、この上に丁張材保持部材を設置することができる。このために、従来の構築用丁張装置の縁石への設置に要する多くの部材が省略できるし、また、短い作業時間で構築用丁張装置を縁石に設置することができる。
【0037】
また、本発明に係る構築用丁張装置によれば、丁張材保持部材を設置すべき位置にある地盤もしくはコンクリート基礎に設置脚体を設置することで、地盤もしくはコンクリート基礎上に丁張材保持部材を設置することができる。このために、従来の構築用丁張装置の地盤もしくはコンクリート基礎への設置に要する多くの部材が省略できるし、また、短い作業時間で構築用丁張装置を地盤もしくはコンクリート基礎に設置することができる。
【0038】
また、本発明に係る構築用丁張装置によれば、道路に面した側にブロック壁を構築する場合には、道路に面した側に互いに離間させて少なくとも二つの構築用丁張装置をセットし、道路に対して垂直な方向にブロック壁を構築する場合には、道路に対して垂直な方向に別の構築用丁張装置をセットすればよく、道路に面した側と道路に対して垂直な方向とか成すコーナーにおいては、一つの構築用丁張装置の設置で足りるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る構築用丁張装置について詳細に説明する。
【0040】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置を図1乃至図8に示す。図1は本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置の前面図、図2は同構築用丁張装置の平面図、図3は同構築用丁張装置の側面図である。なお、説明の便宜上、前後方向、左右方向及び上下方向を図に示すように設定する。
【0041】
本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置Tは、道路側等の縁石に沿ってコンクリートブロックを積み上げて構築される構造物であるブロック壁の場合に適用されるものであって、この構造物の表面位置を規定するために設けられる線状の丁張材71を保持するものである。丁張材71としては、水糸のような線状の部材が用いられる。
【0042】
本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置Tは、設置脚手段としての縁石用設置脚体10と、この縁石用設置脚体10に設けられた保持部材支持手段と、この保持部材支持手段により支持される垂木のような丁張材保持部材70を備えており、保持部材支持手段は、回転支軸機構20とこの回転支軸機構20に回動可能に保持された支持機構30とで構成してある。
【0043】
縁石用設置脚体10はベース11を備えており、このベース11は、面部11Aと、この面部11Aの両側部を直角に屈曲して形成された屈曲部11B、11Cを有する断面コ字形状のチャンネル部材により構成してある。そして、ベース11の屈曲部11Bにはベース固定機構12が設けてある。このベース固定機構12は、図3に示すように、屈曲部11Bの中央に貫通孔部13を設けると共に、屈曲部11Bの外面部に貫通孔部13に重ねて雌ねじ部材であるナット部材14を固着し、ナット部材14に固定用ボルト15を螺装して構成してある。
【0044】
回転支軸機構20は、図1乃至図3に示すように、べ−ス11の面部11Aに固着された中空円筒形状の軸受部材21を有しており、この軸受部材21は、その軸線を面部11Aの前後方向に沿わせてある。そして、この軸受部材21には回転支軸22が回転可能に且つ前後方向に移動可能に支承してある。この回転支軸22の後端部にはアーム部材23の下端部が固着してあり、このアーム部材23の上端部には支持軸24の一端部が固着してあり、この支持軸24は回転支軸22に平行している。
【0045】
また、軸受部材21には、その上部に位置させて回転支軸ロック手段である回転支軸ロック機構25が設けてある。この回転支軸ロック機構25は、図1に示すように、軸受部材21に貫通孔部26を設けると共に、軸受部材21に貫通孔部26に重ねてナット部材27を固着し、ナット部材27にはロック用ボルト28を螺装して構成してある。
【0046】
支持機構30は、図1乃至図3に示すように、支持軸24に回転可能に被嵌された円筒形状の基側支持部材31を有しており、この基側支持部材31には、その上部に位置させて基側支持部材ロック手段である基側支持部材ロック機構32が設けてある。この基側支持部材ロック機構32は、図1に示すように、基側支持部材31に貫通孔部33を設けると共に、基側支持部材31に貫通孔部33に重ねてナット部材34を固着し、ナット部材34にロック用ボルト35を螺装して構成してある。また、基側支持部材31には、支持部材ロック機構32の貫通孔部33に対して90°位相をずらせた位置に、先側支持部材37の取付け部材を兼ねる支持用ボルト36が固着してある。
【0047】
先側支持部材37は、図2に示すように、端面部38Aと、この端面部38Aの左、右側部を直角に屈曲して形成された屈曲部38B、38Cを有する断面コ字形状のチャンネル部材38を有しており、屈曲部38Bにはねじ孔部39Bが、屈曲部38Cには孔部39Cがそれぞれ設けてある。
【0048】
また、チャンネル部材38には丁張材保持部材把持機構40が設けてある。この丁張材保持部材把持機構40は、図2に示すように、屈曲部38Cの後側部にねじ孔部41を設け、このねじ孔部41に把持用ボルト42を螺装し、この把持用ボルト42の先端部にロックプレート43を固着して、このロックプレート43とチャンネル部材38の屈曲部38Bとで丁張材保持部材把持部Pを構成している。また、ロックプレート43には孔部39Cに対向する貫通孔部44が設けてある。
【0049】
そして、図2に示すように、先側支持部材37は、その孔部39Cに支持用ボルト36を挿通させ、この支持用ボルト36をねじ孔部39Bに螺合し、この支持用ボルト36の先端部にロックナット45を螺合することで、支持用ボルト37を介して基側支持部材31に固着してある。この場合、支持用ボルト36はロックプレート43の貫通孔部44を貫通している。また、支持用ボルト36と先側支持部材37のねじ孔部39Bとロックナット45とで角度調整機構が構成される。
【0050】
次に、上記のように構成した構築用丁張装置Tを用いて、丁張を行なうときは、以下のようにして行なう。今、図8に示すように、道路F側等の縁石Gに沿ってコンクリートブロック(図示せず)を積み上げて構築されるブロック壁(図示せず)等の場合について説明する。
【0051】
構築用丁張装置Tの縁石Gへのセットは、図4及び図6に示すように、ベース11を縁石Gに被せて、このベース11の屈曲部11Bと縁石Gの道路側面部G−1との間に当て板部材Hを介在させ(図6参照)、固定用ボルト15を当て部材H側に螺進させて、この固定用ボルト15で当て板部材Hを縁石Gの道路側面部に押し付け、この当て板部材Hとベース11の屈曲部11Cとで縁石Gを前後から挟んで固定することで行なわれる。
【0052】
丁張材保持部材70を回転支軸22の軸線に対して右方に位置調整する場合には、まず、回転支軸ロック機構25のロック用ボルト28を弛めて、回転支軸22を軸受部材21に対して回転可能に且つ前後方向に移動可能にすると共に、基側支持部材ロック機構32のロック用ボルト35を弛めて、基側支持部材31を支持軸24に対して回転可能にする。
【0053】
そして、先側支持部材37を右方に押すことで、基側支持部材31を支持軸24に対して回転させ、支持軸24を回転支軸22を中心にして右方に回動させて、図4に示すように、先側支持部材37を右方に移動し、この状態で、ロック用ボルト28を締めて、回転支軸22を軸受部材21に対してロックすると共に、ロック用ボルト35を締めて、基側支持部材31を支持軸24に対してロックして先側支持部材37を回転支軸22の軸線に対して右方に位置させる。
【0054】
次に、図1に示すように、丁張材保持部材70の下端部を丁張材保持部材把持部Pに挿入して、把持用ボルト42を丁張材保持部材70側に螺進させて、ロックプレート43を丁張材保持部材70の面部に押し付け、屈曲部38Bとロックプレート43とで丁張材保持部材70を左右から挟んで固定する。
【0055】
また、丁張材保持部材70を角度調整する場合には、図1に示すように、ロックナット45を弛めて先側支持部材37及び丁張材保持部材70が支持用ボルト36を中心にして前後方向に回動できるようにする。そして、丁張材保持部材70を前後方向に所定量回動させて角度調整を行い、ロックナット45を締付けて調整角度位置に先側支持部材37を固定して丁張材保持部材70の角度調整を完了する。
【0056】
また、丁張材保持部材70を回転支軸22の軸線に対して左方に位置調整する場合には、まず、回転支軸ロック機構25のロック用ボルト28を弛めて、回転支軸22を軸受部材21に対して回転可能に且つ前後方向に移動可能にすると共に、基側支持部材ロック機構32のロック用ボルト35を弛めて、基側支持部材31を支持軸24に対して回転可能にする。
【0057】
そして、先側支持部材37を左方に押すことで、基側支持部材31を支持軸24に対して回転させ、支持軸24を回転支軸22を中心にして左方に回動させて、図5に示すように、先側支持部材37を左方に反転移動し、この状態で、ロック用ボルト28を締めて、回転支軸22を軸受部材21に対してロックすると共に、ロック用ボルト35を締めて、基側支持部材31を支持軸24に対してロックして先側支持部材37を回転支軸22の軸線に対して左方に反転した状態で位置させる。
【0058】
次に、図1に示すように、丁張材保持部材70の下端部を丁張材保持部材把持部Pに挿入して、把持用ボルト42を丁張材保持部材70側に螺進させて、ロックプレート43を丁張材保持部材70の面部に押し付け、屈曲部38Bとロックプレート43とで丁張材保持部材70を左右から挟んで固定する。
【0059】
また、丁張材保持部材70を角度調整する場合には、図1に示すように、ロックナット45を弛めて先側支持部材37及び丁張材保持部材70が支持用ボルト36を中心にして前後方向に回動できるようにする。そして、丁張材保持部材70を前後方向に所定量回動させて角度調整を行い、ロックナット45を締付けて調整角度位置に先側支持部材37を固定して丁張材保持部材70の角度調整を完了する。
【0060】
また、丁張材保持部材70を前方に位置調整する場合には、まず、回転支軸ロック機構25のロック用ボルト28を弛めて、回転支軸22を軸受部材21に対して前後方向に移動可能にすると共に、基側支持部材ロック機構32のロック用ボルト35を弛めて、基側支持部材31を支持軸24に対して前後方向に移動可能にする。
【0061】
この状態で、図6に示すように、支持機構30及び丁張材保持部材70を矢印イのように前方向に所定量移動させてロック用ボルト28を締めて、回転支軸22を軸受部材21に対してロックにすると共に、ロック用ボルト35を締めて、基側支持部材31を支持軸24に対してロックして丁張材保持部材70を前方に位置調整する。
【0062】
同様に、丁張材保持部材70を後方に位置調整する場合には、図7に示すように、支持機構30及び丁張材保持部材70を矢印ロのように後方向に所定量移動させて、回転支軸ロック機構25のロック用ボルト28を締めて、回転支軸22を軸受部材21に対してロックにすると共に、基側支持部材ロック機構32のロック用ボルト35を締めて、基側支持部材31を支持軸24に対してロックして丁張材保持部材70を後方に位置調整する。
【0063】
上記したように、構築用丁張装置Tにおいて、丁張材保持部材70の角度調整、左右方向の位置調整及び前後方向の位置調整を実施することで、図8に示すように、この丁張材保持部材70の後端面部70aを縁石Gと敷地Jとの境界線S上に位置させ、丁張材保持部材70の右側面部70bを既設塀Kの端面K−1と敷地Jとの境界線U上に位置させる。
【0064】
また、縁石G上の別の箇所に、上記した構築用丁張装置Tと離間させて他の構築用丁張装置(図示せず)を設置し、更に、構築用丁張装置Tの後方(道路Fに対して垂直方向)に他の別の構築用丁張装置(図示せず)を設置し、構築用丁張装置Tの丁張材保持部材70の後端面部70aと他の構築用丁張装置の丁張材保持部材の後端面部に丁張材71を架設し、また、構築用丁張装置Tの丁張材保持部材70の右側面部70bと他の別の構築用丁張装置の丁張材保持部材の右側面部に丁張材71を架設する。
【0065】
次に、丁張材71にコンクリートブロック(図示せず)の表面を合わせて、コンクリートブロックを一段ずつ積み上げ、一段毎にコンクリートブロック間にコンクリートを打設することでブロック壁を構築する。
【0066】
上記した本発明に実施の形態1によれば、構築用丁張装置Tの縁石Gへの設置は、ベース11を縁石Gに被せて、このベース11をベース固定機構12で縁石Gに固着することで行なわれるために、この縁石G上に丁張材保持部材70を容易に配置することができる。このために、従来の構築用丁張装置の縁石Gへの設置に要する多くの部材が省略できるし、また、短い作業時間で構築用丁張装置Tを縁石Gに設置することができる。
【0067】
また、丁張材保持部材70の位置調整を行なうことができるために、道路Jに面した側と、道路Jに対して垂直な方向にそれぞれブロック壁を構築する場合、道路Jに面した側と道路Jに対して垂直な方向とか成すコーナーに、一つの構築用丁張装置Tを設置することで、それぞれのブロック壁の表面に沿う丁張材71を張ることが可能になる。
【0068】
また、本発明に実施の形態1によれば、丁張材保持部材70を回転支軸22の軸線に対して左、右方に位置調整することができ、丁張材保持部材70を前、後方に位置調整することができるばかりか、丁張材保持部材70を前後方向に所定量回動させて角度調整を行うことができる。
【0069】
このために、丁張材保持部材70を構造物に合わせて容易に位置させることができ、そのため、設置作業を極めて簡単に行なうことができ、作業効率を大幅に向上させることができる。また、現場の環境等に対応して、丁張材保持部材の位置を調整することができ、周囲の邪魔になる事態を防止できる。
【0070】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る構築用丁張装置T−1を図9乃至図14に示す。この構築用丁張装置T−1は、道路側等の縁石Gに沿ってコンクリートブロックを積み上げて構築されるブロック壁の場合に適用されるものであるが、構築用丁張装置T−1の設置位置を縁石G上ではなく、敷地J内の地盤(硬過ぎる地盤)もしくはコンクリート基礎にする場合に適用される。
【0071】
本発明の実施の形態2に係る構築用丁張装置T−1は、上記した本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置Tと異なるところは、その設置脚手段の構成であり、他の構成は、本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置Tと同様であるために、設置脚手段の構成を説明し、他の構成は、同じ符号を付して説明を省略する。
【0072】
本発明の実施の形態2に係る構築用丁張装置T−1における設置脚手段はアンカーもしくは釘使用の設置脚体10−1であり、設置脚体10−1には、図9乃至図11に示すように、軸受部材21を固着したベースプレート50を備えており、このベースプレート50の後部には、二本のアーム部材51、52の基端部がロック付きの支軸機構53により左右方向に回動可能に取付けてある。
【0073】
この支軸機構53は、図10に示すように、二本のアーム部材51、52の基端部に設けたボルト孔51A、52Aに支軸を兼ねたボルト54を挿入して、このボルト54の先部にロックナット55を螺合して構成してある。
【0074】
また、アーム部材51、52の先端部には、中空円筒形状のアンカー保持部56がそれぞれ固着してあり、これらのアンカー保持部56の下端部には、当該アンカー保持部56の軸線に対して直角方向に突出する踏み板57が固着してあり、これらの踏み板57には釘孔57Aが設けてある。
【0075】
アンカー保持部56は、丸棒からなるアンカー58を上下動可能に保持していて、このアンカー58はアンカーロック手段であるアンカーロック機構59によりアンカー保持部56にロックされている。このアンカーロック機構59は、図9に示すように、アンカー保持部56に孔部60を設け、アンカー保持部56に孔部60に重ねてナット部材61を固着し、このナット部材61にロック用ボルト62を螺装して構成してある。
【0076】
次に、上記のように構成した構築用丁張装置T−1を用いた丁張は、道路F側等の縁石Gに沿ってコンクリートブロックを積み上げて構築されるブロック壁の場合等に行われるのであるが、構築用丁張装置T−1は、図12に示すように、縁石Gではなく敷地J内の地盤に設置される。
【0077】
すなわち、設置脚体10−1において、二本のアーム部材51、52を略直角に開いた状態で踏み板57を接地する。そして、アンカー58を地中に打ち込み設置脚体10−1を地盤に固定する。そして、アンカーロック機構59のロック用ボルト62を締めてアンカー58をアンカー保持部56にロックする。そして、支軸機構53におけるナット55を締付けて二本のアーム部材51、52の基端部をベースプレート50に固定する。
【0078】
なお、アンカー58を用いることなく、設置脚体10−1を敷地J内のコンクリート基礎に固定する場合には、踏み板57の釘孔57Aに挿入した釘(図示せず)をコンクリート基礎に打ち込み固定する。
【0079】
そして、丁張材保持部材70の下端部を先側支持部材37に固定するのであるが、この固定は、上記した本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置Tの場合と同様にして行なわれる。また、丁張材保持部材70の角度調整は、上記した本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置Tの場合と同様にして行なわれる。
【0080】
また、丁張材保持部材70の左方向の位置調整は、図12に示すように、また、丁張材保持部材70の右方向の位置調整は、図13に示すようにそれぞれ上記した本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置Tの場合と同様にして行なわれる。なお、丁張材保持部材70の前後方の位置調整は、上記した本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置Tの場合と同様にして行なわれる。
【0081】
上記したように、構築用丁張装置T−1において、丁張材保持部材70の角度調整、左右方向の位置調整及び前後方向の位置調整を実施することで、図14に示すように、この丁張材保持部材70の前端面部70cを縁石Gと敷地Jとの境界線S上に位置させ、また、丁張材保持部材70の右側面部70bを既設塀Kの端面K−1と敷地Jとの境界線U上に位置させる。
【0082】
また、別の箇所に、上記した構築用丁張装置T−1と離間させて他の構築用丁張装置(図示せず)を設置し、更に、構築用丁張装置T−1の後方に他の別の構築用丁張装置(図示せず)を設置し、構築用丁張装置T−1の丁張材保持部材70の前端面部70cと他の構築用丁張装置の丁張材保持部材の前端面部に丁張材71を架設し、また、構築用丁張装置T−1の丁張材保持部材70の右側面部70bと他の別の構築用丁張装置の丁張材保持部材の右側面部に丁張材71を架設する。
【0083】
次に、丁張材71にコンクリートブロック(図示せず)の表面を合わせて、コンクリートブロックを一段ずつ積み上げ、一段毎にコンクリートブロック間にコンクリートを打設することでブロック壁を構築する。
【0084】
上記した本発明に実施の形態2によれば、丁張材保持部材70を設置すべき位置にある地盤もしくはコンクリート基礎に設置脚体10−1を設置することで、地盤もしくはコンクリート基礎上に丁張材保持部材70を配置することができる。このために、従来の構築用丁張装置の地盤もしくはコンクリート基礎への設置に要する多くの部材が省略できるし、また、短い作業時間で構築用丁張装置T−1を設置することができる。
【0085】
しかも、道路Fに面した側にブロック壁を構築する場合には、道路Fに面した側に互いに離間させて少なくとも二つの構築用丁張装置T−1を設置し、道路Fに対して垂直な方向にブロック壁を構築する場合には、道路Fに対して垂直な方向に別の構築用丁張装置をセットすればよく、道路Fに面した側と道路Fに対して垂直な方向とか成すコーナーにおいては、一つの構築用丁張装置T−1の設置で足りることになる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明に係る構築用丁張装置によれば、丁張材保持部材を設置すべき位置にある縁石、地盤もしくはコンクリート基礎に設置脚体を設置することで、この縁石、地盤もしくはコンクリート基礎上に丁張材保持部材を設置することができ、従来の構築用丁張装置の縁石、地盤もしくはコンクリート基礎への設置に要する多くの部材が省略できるし、また、短い作業時間で構築用丁張装置を縁石、地盤もしくはコンクリート基礎に設置することができるという効果を有しており、構造物の表面位置を規定する線状の丁張材を保持する構築用丁張装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置の前面図である。
【図2】同構築用丁張装置の平面図である。
【図3】同構築用丁張装置の側面図である。
【図4】同構築用丁張装置を縁石に設置し丁張材保持部材を左方に位置調整した状態の前面から見た斜視図である。
【図5】同構築用丁張装置において丁張材保持部材を右方に位置調整した状態の前面から見た斜視図である。
【図6】同構築用丁張装置において丁張材保持部材を前方に位置調整した状態の側面から見た斜視図である。
【図7】同構築用丁張装置において丁張材保持部材を後方に位置調整した状態の側面から見た斜視図である。
【図8】同構築用丁張装置をコーナーに設置した状態で丁張を架設した状態の斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る構築用丁張装置の平面図である。
【図10】同構築用丁張装置の後面図である。
【図11】同構築用丁張装置の側面図である。
【図12】同構築用丁張装置を地盤に設置し丁張材保持部材を右方に位置調整した状態の前面から見た斜視図である。
【図13】同構築用丁張装置において丁張材保持部材を左方に位置調整した状態の前面から見た斜視図である。
【図14】同構築用丁張装置をコーナーに設置した状態で丁張を架設した状態の斜視図である。
【図15】従来の構築用丁張装置の説明図である。
【図16】従来の別の構築用丁張装置の説明図である。
【符号の説明】
【0088】
10 縁石用設置脚体
11 ベース
11A 面部
11B 屈曲部
12 ベース固定機構
20 回転支軸機構(保持部材支持手段)
21 軸受部材
22 回転支軸
23 アーム部材
24 支持軸
25 回転支軸ロック機構(回転支軸ロック手段)
30 支持機構(保持部材支持手段)
31 基側支持部材
32 基側支持部材ロック機構(基側支持部材ロック手段)
36 支持用ボルト
10−1 設置脚体
50 ベースプレート
51 アーム部材
52 アーム部材
53 支軸機構
56 アンカー保持部
57 踏み板
57A 釘孔
58 アンカー
59 アンカーロック機構(アンカーロック手段)
70 丁張材保持部材
71 丁張材
G 縁石
J 敷地
K 既設塀
K−1 端面
P 丁張材保持部材把持部
S 境界線
T 構築用丁張装置
T−1 構築用丁張装置
U 境界線
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の表面位置を規定する線状の丁張材を保持する構築用丁張装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ブロック積み、間知石積み、擁壁工事等においては、工事の正確な位置、高さ、角度を図るために、構築用丁張装置が用いられる。この構築用丁張装置としては、例えば、構造物としてコンクリートブロックを積み上げて構築するブロック壁の場合、先ず、図15に示すように、構築しようとするブロック壁の表面位置に略沿う二つの箇所のそれぞれに、二本の水杭1を所定の間隔をおいて地面に打ち込み固定し、これらの水杭1に二枚の水抜き板2を上下方向に所定の間隔をおいて水平に釘で固定し、これらの上下の水抜き板2に縦板3を釘で固定する。そして、相対向する縦板3に正確な位置、高さ、角度を記して、線状の丁張材4を張る。なお、縦板3の固定箇所は、図15では、水抜き板2のおける二本の水杭1の中間位置であるが、図16に示すように二本の水杭1から離れた水抜き板2の端部に設定するようにしてもよい。
【0003】
丁張材4としては、所謂水糸といわれる糸が用いられる。そして、この水糸によって構造物の表面位置を規定するようにし、この水糸にコンクリートブロックの表面を合わせて、コンクリートブロックを一段ずつ積み上げ、一段毎にコンクリートブロック間にコンクリートを打設してブロック壁を構築する。
【0004】
なお、従来の構築用丁張装置としては、切土や盛土の法面が形成される地盤に立設された水杭と、当該水杭に架設される水平方向の水抜き板と、水杭及び水抜き板に傾斜して架設される法抜き板とを備え、法抜き板の傾斜角度によって、法面の設計勾配が示されると共に、法抜き板の先端部によって、法面の法肩や法尻の位置が示される丁張装置において、法抜き板の基端部と、法抜き板の基端部側に立設される水杭、又は、法抜き板の基端部側に配される水抜き板とに取り付けられた支持部材によって、法抜き板の基端部が回動可能に支持されると共に、法抜き板の先端部と、法抜き板の先端部側に立設される水杭、又は、法抜き板の先端部側に配される水抜き板とに取り付けられた固定部材によって、法抜き板の先端部が法面の設計勾配に合わせて固定されてなるものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−238804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の前者及び後者の構築用丁張装置にあっては、水杭1が打ち込み固定される場所が、縁石である場合、又は硬過ぎる地盤や境界線下方のコンクリート基礎である場合には、水杭1の打ち込み固定が困難かもしくは不可能であって、構築用丁張装置自体の設置が困難かもしくは不可能になるし、また、水杭1の打ち込み固定と同様な効果を生じさせるためには多くの部材と長い作業時間を有するという問題点があった。
【0006】
また、例えば、道路に面した側にブロック壁を構築する場合には、道路に面した側に互いに離間させて少なくとも二つの構築用丁張装置をセットし、道路に対して垂直な方向にブロック壁を構築する場合には、道路に対して垂直な方向に互いに離間させて少なくとも二つの構築用丁張装置をセットしなければならず、道路に面した側と道路に対して垂直な方向とか成すコーナーにおいては、二つの構築用丁張装置を直角に配置しなければならないという問題点があった。
【0007】
本発明は上記した問題点を解決するものであり、その第1の目的とするところは、丁張材保持部材を設置すべき位置にある縁石に配置することができて、従来の構築用丁張装置の縁石への設置に要する多くの部材が省略できるし、また、短い作業時間で縁石に設置することができる構築用丁張装置を提供することである。
【0008】
また、本発明の第2の目的とするところは、丁張材保持部材を設置すべき位置にある地盤もしくはコンクリート基礎に配置することができて、従来の構築用丁張装置の地盤もしくはコンクリート基礎への設置に要する多くの部材が省略できるし、また、短い作業時間で設置することができる構築用丁張装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の第1の目的を達成するために、本発明に係る構築用丁張装置は、構築しようとする構造物の表面位置を規定するために設けられる線状の丁張材を保持する丁張材保持部材と、この丁張材保持部材を地上に設置する設置脚手段とを有する構築用丁張装置であって、設置脚手段が、丁張材保持部材を設置すべき位置にある縁石に設置される縁石用設置脚体であり、この縁石用設置脚体に保持部材支持手段を介して丁張材保持部材を支持するようにしたことを特徴とする。
【0010】
かかる構成により、丁張材保持部材を配置すべき位置にある縁石に縁石用設置脚体を容易に設置することで、この縁石上に丁張材保持部材を配置することができる。このために、従来の構築用丁張装置の縁石への設置に要する多くの部材が省略できるし、また、短い作業時間で構築用丁張装置を設置することができる。
【0011】
しかも、道路に面した側に、例えば、ブロック壁を構築する場合には、道路に面した側に互いに離間させて少なくとも二つの構築用丁張装置をセットし、道路に対して垂直な方向に、例えば、ブロック壁を構築する場合には、道路に対して垂直な方向に別の構築用丁張装置をセットすればよく、道路に面した側と道路に対して垂直な方向とか成すコーナーにおいては、一つの構築用丁張装置の設置で足りるようになる。
【0012】
また、本発明に係る構築用丁張装置は、上記した本発明に係る構築用丁張装置において、縁石用設置脚体は、面部と、この面部の両側部を直角に屈曲して形成された屈曲部を有する断面コ字形状のチャンネル部材によりなるベースを備え、屈曲部の一方に、ベースを縁石に固着するベース固定機構を設けて構成してあることを特徴とする。
【0013】
かかる構成により、構築用丁張装置の縁石への設置は、ベースを縁石に被せて、このベースをベース固定機構で縁石に固着することで行なわれるために、構築用丁張装置の縁石への設置を容易に且つ短時間で行なうことができる。
【0014】
また、本発明に係る構築用丁張装置は、上記した本発明に係る構築用丁張装置において、保持部材支持手段は、縁石用設置脚体に設けられた軸受部材に回転可能に且つ軸受部材の軸線方向に移動可能に設けられた回転支軸とこの回転支軸をロックする回転支軸ロック手段を有すると共に、この回転支軸にアーム部材を介して当該回転支軸に平行する支持軸を固定した回転支軸機構と、支持軸に回転可能に設けられ且つ丁張材保持部材を支持する支持機構を備えたことを特徴とする。
【0015】
かかる構成により、支持機構を一方向(例えば、左方向)に移動させることで、支持軸をアーム部材を介して回転支軸を支点にして一方向(例えば、左方向)に移動させ、回転支軸ロック手段により回転支軸をロックし、丁張材保持部材を支持機構で支持することで、丁張材保持部材を回転支軸の一側方(例えば、左側方)に位置させることができ、また、支持機構を他方向(例えば、右方向)に移動させることで、支持軸をアーム部材を介して回転支軸を支点にして他方向(例えば、右方向)に移動させ、回転支軸ロック手段で回転支軸をロックし、丁張材保持部材を支持機構で支持することで丁張材保持部材を回転支軸の他側方(例えば、右側方)に位置させることができる。更に、軸受部材に対して回転支軸を軸線方向(例えば、前後方向)に移動させ、この位置に回転支軸ロック手段で回転支軸をロックすることで、丁張材保持部材を軸線方向に移動させることができる。
【0016】
このように、丁張材保持部材の位置調整を行なうことができるために、丁張材保持部材を構造物、例えば、ブロック壁に合わせて容易に位置させることができ、そのため、設置作業を極めて簡単に行なうことができ、作業効率を大幅に向上させることができる。また、現場の環境等に対応して、丁張材保持部材の位置を調整することができ、周囲の邪魔になる事態を防止できる。
【0017】
また、本発明に係る構築用丁張装置は、上記した本発明に係る構築用丁張装置において、支持機構は、支持軸に回転可能に被嵌された基側支持部材と、この基側支持部材を支持軸にロックする基側支持部材ロック手段と、基側支持部材の側部に固着された支持用ボルトと、この支持用ボルトに回転可能に設けられ且つ丁張材保持部材を支持する先側支持部材と、この先側支持部材を所定角度にロックして丁張材保持部材の角度を調整する角度調整機構とで構成してあることを特徴とする。
【0018】
かかる構成により、丁張材保持部材を支持した先側支持部材は支持用ボルトを中心にして、例えば、前後方向に回動できて、丁張材保持部材を、例えば、前後方向に所定量回動させて角度調整を行うことができる。
【0019】
また、本発明に係る構築用丁張装置は、上記した本発明に係る構築用丁張装置において、先側支持部材は、断面コ字形状のチャンネル部材を有していて、このチャンネル部材の一方の屈曲部にねじ孔部を設けて、このねじ孔部に把持用ボルトを螺装し、この把持用ボルトの端部にロックプレートを設けて、このロックプレートとチャンネル部材とで丁張材保持部材把持部を形成して構成してあり、角度調整機構は、一方の屈曲部に設けた孔部に支持用ボルトを挿入して他方の屈曲部に設けたねじ孔部に支持用ボルトを螺合し、この支持用ボルトの先側にロックナットを螺装して構成してあることを特徴とする。
【0020】
かかる構成により、丁張材保持部材の下端部を丁張材保持部材把持部に挿入して、把持用ボルトを丁張材保持部材側に螺進させて、ロックプレートを丁張材保持部材の面部に押し付け、屈曲部とロックプレートとで丁張材保持部材を左右から挟んで固定することができる。
【0021】
また、ロックナットを弛めて先側支持部材及び丁張材保持部材が支持用ボルトを中心にして、例えば、前後方向に回動できるようにして、丁張材保持部材を、例えば、前後方向に所定量回動させて角度調整を行い、ロックナットを締付けて調整角度位置に先側支持部材を固定して丁張材保持部材の角度調整を行なうことができる。
【0022】
また、上記の第2の目的を達成するために、本発明に係る構築用丁張装置は、構築しようとする構造物の表面位置を規定するために設けられる線状の丁張材を保持する丁張材保持部材と、この丁張材保持部材を地上に設置する設置脚手段とを有する構築用丁張装置であって、設置脚手段が、丁張材保持部材を設置すべき位置にある地盤もしくはコンクリート基礎にアンカーもしくは釘を用いて設置される設置脚体であり、この設置脚体に保持部材支持手段を介して丁張材保持部材を支持するようにしたことを特徴とする。
【0023】
かかる構成により、丁張材保持部材を配置すべき位置にある地盤(硬過ぎる地盤)もしくはコンクリート基礎に設置脚体を容易に設置することで、地盤もしくはコンクリート基礎上に丁張材保持部材を配置することができる。このために、従来の構築用丁張装置の地盤もしくはコンクリート基礎上の設置に要する多くの部材が省略できるし、また、短い作業時間で構築用丁張装置を配置することができる。
【0024】
しかも、道路に面した側に、例えば、ブロック壁を構築する場合には、道路に面した側に互いに離間させて少なくとも二つの構築用丁張装置をセットし、道路に対して垂直な方向に、例えば、ブロック壁を構築する場合には、道路に対して垂直な方向に別の構築用丁張装置をセットすればよく、道路に面した側と道路に対して垂直な方向とか成すコーナーにおいては、一つの構築用丁張装置の設置で足りることになる。
【0025】
また、本発明に係る構築用丁張装置は、上記した本発明に係る構築用丁張装置において、設置脚体は、二本のアーム部材と、これらのアーム部材の基端部を開閉可能に支承するロック付きの支軸機構と、アーム部材の先端部にそれぞれ固着された中空円筒形状のアンカー保持部と、これらのアンカー保持部の下端部に、当該アンカー保持部の軸線に対して直角方向に突出し且つ釘孔を有する踏み板と、アンカー保持部に移動可能に保持されたアンカーと、アンカー保持部に設けられてアンカーをアンカー保持部にロックするアンカーロック手段とで構成されていることを特徴とする。
【0026】
かかる構成により、設置脚体において、二本のアーム部材を略直角に開いた状態で踏み板を接地する。そして、アンカーを地中に打ち込み設置脚体を地盤に固定する。また、設置脚体をコンクリート基礎に固定する場合には、踏み板の釘孔に挿入した釘をコンクリート基礎に打ち込み固定する。そして、アンカーロック手段でアンカーをアンカー保持部にロックして、支軸機構におけるロックで二本のアーム部材を固定状態にする。
【0027】
このように、構築用丁張装置の地盤もしくはコンクリート基礎への設置が行なわれるために、構築用丁張装置の地盤もしくはコンクリート基礎への設置を容易に且つ短時間で行なうことができる。
【0028】
また、本発明に係る構築用丁張装置は、上記した本発明に係る構築用丁張装置において、保持部材支持手段は、縁石用設置脚体に設けられた軸受部材に回転可能に且つ軸受部材の軸線方向に移動可能に設けられた回転支軸とこの回転支軸をロックする回転支軸ロック手段を有すると共に、回転支軸にアーム部材を介して当該回転支軸に平行する支持軸を固定した回転支軸機構と、支持軸に回転可能に設けられ且つ丁張材保持部材を支持する支持機構を備えたことを特徴とする。
【0029】
かかる構成により、支持機構を一方向(例えば、左方向)に移動させることで、支持軸をアーム部材を介して回転支軸を支点にして一方向(例えば、左方向)に移動させ、回転支軸ロック手段により回転支軸をロックし、丁張材保持部材を支持機構で支持することで、丁張材保持部材を回転支軸の一側方(例えば、左側方)に位置させることができ、また、支持機構を他方向(例えば、右方向)に移動させることで、支持軸をアーム部材を介して回転支軸を支点にして他方向(例えば、右方向)に移動させ、回転支軸ロック手段で回転支軸をロックし、丁張材保持部材を支持機構で支持することで丁張材保持部材を回転支軸の他側方(例えば、右側方)に位置させることができる。更に、軸受部材に対して回転支軸を軸線方向(例えば、前後方向)に移動させ、この位置に回転支軸ロック手段で回転支軸をロックすることで、丁張材保持部材を軸線方向に移動させることができる。
【0030】
このように、丁張材保持部材の位置調整を行なうことができるために、丁張材保持部材を構造物、例えば、ブロック壁に合わせて容易に位置させることができ、そのため、設置作業を極めて簡単に行なうことができ、作業効率を大幅に向上させることができる。また、現場の環境等に対応して、丁張材保持部材の位置を調整することができ、周囲の邪魔になる事態を防止できる。
【0031】
また、本発明に係る構築用丁張装置は、上記した本発明に係る構築用丁張装置において、支持機構は、支持軸に回転可能に被嵌された基側支持部材と、この基側支持部材を支持軸にロックする基側支持部材ロック手段と、基側支持部材の側部に固着された支持用ボルトと、この支持用ボルトに回転可能に設けられ且つ丁張材保持部材を支持する先側支持部材と、この先側支持部材を所定角度にロックして丁張材保持部材の角度を調整する角度調整機構とで構成してあることを特徴とする。
【0032】
かかる構成により、丁張材保持部材を支持した先側支持部材は支持用ボルトを中心にして、例えば、前後方向に回動できて、丁張材保持部材を、例えば、前後方向に所定量回動させて角度調整を行うことができる。
【0033】
また、本発明に係る構築用丁張装置は、上記した本発明に係る構築用丁張装置において、先側支持部材は、断面コ字形状のチャンネル部材を有していて、このチャンネル部材の一方の屈曲部にねじ孔部を設けて、このねじ孔部に把持用ボルトを螺装し、この把持用ボルトの端部にロックプレートを設けて、このロックプレートとチャンネル部材とで丁張材保持部材把持部を形成して構成してあり、角度調整機構は、一方の屈曲部に設けた孔部に支持用ボルトを挿入して他方の屈曲部に設けたねじ孔部に支持用ボルトを螺合し、この支持用ボルトの先側にロックナットを螺装して構成してあることを特徴とする。
【0034】
かかる構成により、丁張材保持部材の下端部を丁張材保持部材把持部に挿入して、把持用ボルトを丁張材保持部材側に螺進させて、ロックプレートを丁張材保持部材の面部に押し付け、屈曲部とロックプレートとで丁張材保持部材を左右から挟んで固定することができる。
【0035】
また、ロックナットを弛めて先側支持部材及び丁張材保持部材が支持用ボルトを中心にして、例えば、前後方向に回動できるようにして、丁張材保持部材を、例えば、前後方向に所定量回動させて角度調整を行い、ロックナットを締付けて調整角度位置に先側支持部材を固定して丁張材保持部材の角度調整を行なうことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る構築用丁張装置によれば、丁張材保持部材を設置すべき位置にある縁石に縁石用設置脚体を設置することで、この上に丁張材保持部材を設置することができる。このために、従来の構築用丁張装置の縁石への設置に要する多くの部材が省略できるし、また、短い作業時間で構築用丁張装置を縁石に設置することができる。
【0037】
また、本発明に係る構築用丁張装置によれば、丁張材保持部材を設置すべき位置にある地盤もしくはコンクリート基礎に設置脚体を設置することで、地盤もしくはコンクリート基礎上に丁張材保持部材を設置することができる。このために、従来の構築用丁張装置の地盤もしくはコンクリート基礎への設置に要する多くの部材が省略できるし、また、短い作業時間で構築用丁張装置を地盤もしくはコンクリート基礎に設置することができる。
【0038】
また、本発明に係る構築用丁張装置によれば、道路に面した側にブロック壁を構築する場合には、道路に面した側に互いに離間させて少なくとも二つの構築用丁張装置をセットし、道路に対して垂直な方向にブロック壁を構築する場合には、道路に対して垂直な方向に別の構築用丁張装置をセットすればよく、道路に面した側と道路に対して垂直な方向とか成すコーナーにおいては、一つの構築用丁張装置の設置で足りるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る構築用丁張装置について詳細に説明する。
【0040】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置を図1乃至図8に示す。図1は本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置の前面図、図2は同構築用丁張装置の平面図、図3は同構築用丁張装置の側面図である。なお、説明の便宜上、前後方向、左右方向及び上下方向を図に示すように設定する。
【0041】
本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置Tは、道路側等の縁石に沿ってコンクリートブロックを積み上げて構築される構造物であるブロック壁の場合に適用されるものであって、この構造物の表面位置を規定するために設けられる線状の丁張材71を保持するものである。丁張材71としては、水糸のような線状の部材が用いられる。
【0042】
本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置Tは、設置脚手段としての縁石用設置脚体10と、この縁石用設置脚体10に設けられた保持部材支持手段と、この保持部材支持手段により支持される垂木のような丁張材保持部材70を備えており、保持部材支持手段は、回転支軸機構20とこの回転支軸機構20に回動可能に保持された支持機構30とで構成してある。
【0043】
縁石用設置脚体10はベース11を備えており、このベース11は、面部11Aと、この面部11Aの両側部を直角に屈曲して形成された屈曲部11B、11Cを有する断面コ字形状のチャンネル部材により構成してある。そして、ベース11の屈曲部11Bにはベース固定機構12が設けてある。このベース固定機構12は、図3に示すように、屈曲部11Bの中央に貫通孔部13を設けると共に、屈曲部11Bの外面部に貫通孔部13に重ねて雌ねじ部材であるナット部材14を固着し、ナット部材14に固定用ボルト15を螺装して構成してある。
【0044】
回転支軸機構20は、図1乃至図3に示すように、べ−ス11の面部11Aに固着された中空円筒形状の軸受部材21を有しており、この軸受部材21は、その軸線を面部11Aの前後方向に沿わせてある。そして、この軸受部材21には回転支軸22が回転可能に且つ前後方向に移動可能に支承してある。この回転支軸22の後端部にはアーム部材23の下端部が固着してあり、このアーム部材23の上端部には支持軸24の一端部が固着してあり、この支持軸24は回転支軸22に平行している。
【0045】
また、軸受部材21には、その上部に位置させて回転支軸ロック手段である回転支軸ロック機構25が設けてある。この回転支軸ロック機構25は、図1に示すように、軸受部材21に貫通孔部26を設けると共に、軸受部材21に貫通孔部26に重ねてナット部材27を固着し、ナット部材27にはロック用ボルト28を螺装して構成してある。
【0046】
支持機構30は、図1乃至図3に示すように、支持軸24に回転可能に被嵌された円筒形状の基側支持部材31を有しており、この基側支持部材31には、その上部に位置させて基側支持部材ロック手段である基側支持部材ロック機構32が設けてある。この基側支持部材ロック機構32は、図1に示すように、基側支持部材31に貫通孔部33を設けると共に、基側支持部材31に貫通孔部33に重ねてナット部材34を固着し、ナット部材34にロック用ボルト35を螺装して構成してある。また、基側支持部材31には、支持部材ロック機構32の貫通孔部33に対して90°位相をずらせた位置に、先側支持部材37の取付け部材を兼ねる支持用ボルト36が固着してある。
【0047】
先側支持部材37は、図2に示すように、端面部38Aと、この端面部38Aの左、右側部を直角に屈曲して形成された屈曲部38B、38Cを有する断面コ字形状のチャンネル部材38を有しており、屈曲部38Bにはねじ孔部39Bが、屈曲部38Cには孔部39Cがそれぞれ設けてある。
【0048】
また、チャンネル部材38には丁張材保持部材把持機構40が設けてある。この丁張材保持部材把持機構40は、図2に示すように、屈曲部38Cの後側部にねじ孔部41を設け、このねじ孔部41に把持用ボルト42を螺装し、この把持用ボルト42の先端部にロックプレート43を固着して、このロックプレート43とチャンネル部材38の屈曲部38Bとで丁張材保持部材把持部Pを構成している。また、ロックプレート43には孔部39Cに対向する貫通孔部44が設けてある。
【0049】
そして、図2に示すように、先側支持部材37は、その孔部39Cに支持用ボルト36を挿通させ、この支持用ボルト36をねじ孔部39Bに螺合し、この支持用ボルト36の先端部にロックナット45を螺合することで、支持用ボルト37を介して基側支持部材31に固着してある。この場合、支持用ボルト36はロックプレート43の貫通孔部44を貫通している。また、支持用ボルト36と先側支持部材37のねじ孔部39Bとロックナット45とで角度調整機構が構成される。
【0050】
次に、上記のように構成した構築用丁張装置Tを用いて、丁張を行なうときは、以下のようにして行なう。今、図8に示すように、道路F側等の縁石Gに沿ってコンクリートブロック(図示せず)を積み上げて構築されるブロック壁(図示せず)等の場合について説明する。
【0051】
構築用丁張装置Tの縁石Gへのセットは、図4及び図6に示すように、ベース11を縁石Gに被せて、このベース11の屈曲部11Bと縁石Gの道路側面部G−1との間に当て板部材Hを介在させ(図6参照)、固定用ボルト15を当て部材H側に螺進させて、この固定用ボルト15で当て板部材Hを縁石Gの道路側面部に押し付け、この当て板部材Hとベース11の屈曲部11Cとで縁石Gを前後から挟んで固定することで行なわれる。
【0052】
丁張材保持部材70を回転支軸22の軸線に対して右方に位置調整する場合には、まず、回転支軸ロック機構25のロック用ボルト28を弛めて、回転支軸22を軸受部材21に対して回転可能に且つ前後方向に移動可能にすると共に、基側支持部材ロック機構32のロック用ボルト35を弛めて、基側支持部材31を支持軸24に対して回転可能にする。
【0053】
そして、先側支持部材37を右方に押すことで、基側支持部材31を支持軸24に対して回転させ、支持軸24を回転支軸22を中心にして右方に回動させて、図4に示すように、先側支持部材37を右方に移動し、この状態で、ロック用ボルト28を締めて、回転支軸22を軸受部材21に対してロックすると共に、ロック用ボルト35を締めて、基側支持部材31を支持軸24に対してロックして先側支持部材37を回転支軸22の軸線に対して右方に位置させる。
【0054】
次に、図1に示すように、丁張材保持部材70の下端部を丁張材保持部材把持部Pに挿入して、把持用ボルト42を丁張材保持部材70側に螺進させて、ロックプレート43を丁張材保持部材70の面部に押し付け、屈曲部38Bとロックプレート43とで丁張材保持部材70を左右から挟んで固定する。
【0055】
また、丁張材保持部材70を角度調整する場合には、図1に示すように、ロックナット45を弛めて先側支持部材37及び丁張材保持部材70が支持用ボルト36を中心にして前後方向に回動できるようにする。そして、丁張材保持部材70を前後方向に所定量回動させて角度調整を行い、ロックナット45を締付けて調整角度位置に先側支持部材37を固定して丁張材保持部材70の角度調整を完了する。
【0056】
また、丁張材保持部材70を回転支軸22の軸線に対して左方に位置調整する場合には、まず、回転支軸ロック機構25のロック用ボルト28を弛めて、回転支軸22を軸受部材21に対して回転可能に且つ前後方向に移動可能にすると共に、基側支持部材ロック機構32のロック用ボルト35を弛めて、基側支持部材31を支持軸24に対して回転可能にする。
【0057】
そして、先側支持部材37を左方に押すことで、基側支持部材31を支持軸24に対して回転させ、支持軸24を回転支軸22を中心にして左方に回動させて、図5に示すように、先側支持部材37を左方に反転移動し、この状態で、ロック用ボルト28を締めて、回転支軸22を軸受部材21に対してロックすると共に、ロック用ボルト35を締めて、基側支持部材31を支持軸24に対してロックして先側支持部材37を回転支軸22の軸線に対して左方に反転した状態で位置させる。
【0058】
次に、図1に示すように、丁張材保持部材70の下端部を丁張材保持部材把持部Pに挿入して、把持用ボルト42を丁張材保持部材70側に螺進させて、ロックプレート43を丁張材保持部材70の面部に押し付け、屈曲部38Bとロックプレート43とで丁張材保持部材70を左右から挟んで固定する。
【0059】
また、丁張材保持部材70を角度調整する場合には、図1に示すように、ロックナット45を弛めて先側支持部材37及び丁張材保持部材70が支持用ボルト36を中心にして前後方向に回動できるようにする。そして、丁張材保持部材70を前後方向に所定量回動させて角度調整を行い、ロックナット45を締付けて調整角度位置に先側支持部材37を固定して丁張材保持部材70の角度調整を完了する。
【0060】
また、丁張材保持部材70を前方に位置調整する場合には、まず、回転支軸ロック機構25のロック用ボルト28を弛めて、回転支軸22を軸受部材21に対して前後方向に移動可能にすると共に、基側支持部材ロック機構32のロック用ボルト35を弛めて、基側支持部材31を支持軸24に対して前後方向に移動可能にする。
【0061】
この状態で、図6に示すように、支持機構30及び丁張材保持部材70を矢印イのように前方向に所定量移動させてロック用ボルト28を締めて、回転支軸22を軸受部材21に対してロックにすると共に、ロック用ボルト35を締めて、基側支持部材31を支持軸24に対してロックして丁張材保持部材70を前方に位置調整する。
【0062】
同様に、丁張材保持部材70を後方に位置調整する場合には、図7に示すように、支持機構30及び丁張材保持部材70を矢印ロのように後方向に所定量移動させて、回転支軸ロック機構25のロック用ボルト28を締めて、回転支軸22を軸受部材21に対してロックにすると共に、基側支持部材ロック機構32のロック用ボルト35を締めて、基側支持部材31を支持軸24に対してロックして丁張材保持部材70を後方に位置調整する。
【0063】
上記したように、構築用丁張装置Tにおいて、丁張材保持部材70の角度調整、左右方向の位置調整及び前後方向の位置調整を実施することで、図8に示すように、この丁張材保持部材70の後端面部70aを縁石Gと敷地Jとの境界線S上に位置させ、丁張材保持部材70の右側面部70bを既設塀Kの端面K−1と敷地Jとの境界線U上に位置させる。
【0064】
また、縁石G上の別の箇所に、上記した構築用丁張装置Tと離間させて他の構築用丁張装置(図示せず)を設置し、更に、構築用丁張装置Tの後方(道路Fに対して垂直方向)に他の別の構築用丁張装置(図示せず)を設置し、構築用丁張装置Tの丁張材保持部材70の後端面部70aと他の構築用丁張装置の丁張材保持部材の後端面部に丁張材71を架設し、また、構築用丁張装置Tの丁張材保持部材70の右側面部70bと他の別の構築用丁張装置の丁張材保持部材の右側面部に丁張材71を架設する。
【0065】
次に、丁張材71にコンクリートブロック(図示せず)の表面を合わせて、コンクリートブロックを一段ずつ積み上げ、一段毎にコンクリートブロック間にコンクリートを打設することでブロック壁を構築する。
【0066】
上記した本発明に実施の形態1によれば、構築用丁張装置Tの縁石Gへの設置は、ベース11を縁石Gに被せて、このベース11をベース固定機構12で縁石Gに固着することで行なわれるために、この縁石G上に丁張材保持部材70を容易に配置することができる。このために、従来の構築用丁張装置の縁石Gへの設置に要する多くの部材が省略できるし、また、短い作業時間で構築用丁張装置Tを縁石Gに設置することができる。
【0067】
また、丁張材保持部材70の位置調整を行なうことができるために、道路Jに面した側と、道路Jに対して垂直な方向にそれぞれブロック壁を構築する場合、道路Jに面した側と道路Jに対して垂直な方向とか成すコーナーに、一つの構築用丁張装置Tを設置することで、それぞれのブロック壁の表面に沿う丁張材71を張ることが可能になる。
【0068】
また、本発明に実施の形態1によれば、丁張材保持部材70を回転支軸22の軸線に対して左、右方に位置調整することができ、丁張材保持部材70を前、後方に位置調整することができるばかりか、丁張材保持部材70を前後方向に所定量回動させて角度調整を行うことができる。
【0069】
このために、丁張材保持部材70を構造物に合わせて容易に位置させることができ、そのため、設置作業を極めて簡単に行なうことができ、作業効率を大幅に向上させることができる。また、現場の環境等に対応して、丁張材保持部材の位置を調整することができ、周囲の邪魔になる事態を防止できる。
【0070】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る構築用丁張装置T−1を図9乃至図14に示す。この構築用丁張装置T−1は、道路側等の縁石Gに沿ってコンクリートブロックを積み上げて構築されるブロック壁の場合に適用されるものであるが、構築用丁張装置T−1の設置位置を縁石G上ではなく、敷地J内の地盤(硬過ぎる地盤)もしくはコンクリート基礎にする場合に適用される。
【0071】
本発明の実施の形態2に係る構築用丁張装置T−1は、上記した本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置Tと異なるところは、その設置脚手段の構成であり、他の構成は、本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置Tと同様であるために、設置脚手段の構成を説明し、他の構成は、同じ符号を付して説明を省略する。
【0072】
本発明の実施の形態2に係る構築用丁張装置T−1における設置脚手段はアンカーもしくは釘使用の設置脚体10−1であり、設置脚体10−1には、図9乃至図11に示すように、軸受部材21を固着したベースプレート50を備えており、このベースプレート50の後部には、二本のアーム部材51、52の基端部がロック付きの支軸機構53により左右方向に回動可能に取付けてある。
【0073】
この支軸機構53は、図10に示すように、二本のアーム部材51、52の基端部に設けたボルト孔51A、52Aに支軸を兼ねたボルト54を挿入して、このボルト54の先部にロックナット55を螺合して構成してある。
【0074】
また、アーム部材51、52の先端部には、中空円筒形状のアンカー保持部56がそれぞれ固着してあり、これらのアンカー保持部56の下端部には、当該アンカー保持部56の軸線に対して直角方向に突出する踏み板57が固着してあり、これらの踏み板57には釘孔57Aが設けてある。
【0075】
アンカー保持部56は、丸棒からなるアンカー58を上下動可能に保持していて、このアンカー58はアンカーロック手段であるアンカーロック機構59によりアンカー保持部56にロックされている。このアンカーロック機構59は、図9に示すように、アンカー保持部56に孔部60を設け、アンカー保持部56に孔部60に重ねてナット部材61を固着し、このナット部材61にロック用ボルト62を螺装して構成してある。
【0076】
次に、上記のように構成した構築用丁張装置T−1を用いた丁張は、道路F側等の縁石Gに沿ってコンクリートブロックを積み上げて構築されるブロック壁の場合等に行われるのであるが、構築用丁張装置T−1は、図12に示すように、縁石Gではなく敷地J内の地盤に設置される。
【0077】
すなわち、設置脚体10−1において、二本のアーム部材51、52を略直角に開いた状態で踏み板57を接地する。そして、アンカー58を地中に打ち込み設置脚体10−1を地盤に固定する。そして、アンカーロック機構59のロック用ボルト62を締めてアンカー58をアンカー保持部56にロックする。そして、支軸機構53におけるナット55を締付けて二本のアーム部材51、52の基端部をベースプレート50に固定する。
【0078】
なお、アンカー58を用いることなく、設置脚体10−1を敷地J内のコンクリート基礎に固定する場合には、踏み板57の釘孔57Aに挿入した釘(図示せず)をコンクリート基礎に打ち込み固定する。
【0079】
そして、丁張材保持部材70の下端部を先側支持部材37に固定するのであるが、この固定は、上記した本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置Tの場合と同様にして行なわれる。また、丁張材保持部材70の角度調整は、上記した本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置Tの場合と同様にして行なわれる。
【0080】
また、丁張材保持部材70の左方向の位置調整は、図12に示すように、また、丁張材保持部材70の右方向の位置調整は、図13に示すようにそれぞれ上記した本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置Tの場合と同様にして行なわれる。なお、丁張材保持部材70の前後方の位置調整は、上記した本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置Tの場合と同様にして行なわれる。
【0081】
上記したように、構築用丁張装置T−1において、丁張材保持部材70の角度調整、左右方向の位置調整及び前後方向の位置調整を実施することで、図14に示すように、この丁張材保持部材70の前端面部70cを縁石Gと敷地Jとの境界線S上に位置させ、また、丁張材保持部材70の右側面部70bを既設塀Kの端面K−1と敷地Jとの境界線U上に位置させる。
【0082】
また、別の箇所に、上記した構築用丁張装置T−1と離間させて他の構築用丁張装置(図示せず)を設置し、更に、構築用丁張装置T−1の後方に他の別の構築用丁張装置(図示せず)を設置し、構築用丁張装置T−1の丁張材保持部材70の前端面部70cと他の構築用丁張装置の丁張材保持部材の前端面部に丁張材71を架設し、また、構築用丁張装置T−1の丁張材保持部材70の右側面部70bと他の別の構築用丁張装置の丁張材保持部材の右側面部に丁張材71を架設する。
【0083】
次に、丁張材71にコンクリートブロック(図示せず)の表面を合わせて、コンクリートブロックを一段ずつ積み上げ、一段毎にコンクリートブロック間にコンクリートを打設することでブロック壁を構築する。
【0084】
上記した本発明に実施の形態2によれば、丁張材保持部材70を設置すべき位置にある地盤もしくはコンクリート基礎に設置脚体10−1を設置することで、地盤もしくはコンクリート基礎上に丁張材保持部材70を配置することができる。このために、従来の構築用丁張装置の地盤もしくはコンクリート基礎への設置に要する多くの部材が省略できるし、また、短い作業時間で構築用丁張装置T−1を設置することができる。
【0085】
しかも、道路Fに面した側にブロック壁を構築する場合には、道路Fに面した側に互いに離間させて少なくとも二つの構築用丁張装置T−1を設置し、道路Fに対して垂直な方向にブロック壁を構築する場合には、道路Fに対して垂直な方向に別の構築用丁張装置をセットすればよく、道路Fに面した側と道路Fに対して垂直な方向とか成すコーナーにおいては、一つの構築用丁張装置T−1の設置で足りることになる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明に係る構築用丁張装置によれば、丁張材保持部材を設置すべき位置にある縁石、地盤もしくはコンクリート基礎に設置脚体を設置することで、この縁石、地盤もしくはコンクリート基礎上に丁張材保持部材を設置することができ、従来の構築用丁張装置の縁石、地盤もしくはコンクリート基礎への設置に要する多くの部材が省略できるし、また、短い作業時間で構築用丁張装置を縁石、地盤もしくはコンクリート基礎に設置することができるという効果を有しており、構造物の表面位置を規定する線状の丁張材を保持する構築用丁張装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態1に係る構築用丁張装置の前面図である。
【図2】同構築用丁張装置の平面図である。
【図3】同構築用丁張装置の側面図である。
【図4】同構築用丁張装置を縁石に設置し丁張材保持部材を左方に位置調整した状態の前面から見た斜視図である。
【図5】同構築用丁張装置において丁張材保持部材を右方に位置調整した状態の前面から見た斜視図である。
【図6】同構築用丁張装置において丁張材保持部材を前方に位置調整した状態の側面から見た斜視図である。
【図7】同構築用丁張装置において丁張材保持部材を後方に位置調整した状態の側面から見た斜視図である。
【図8】同構築用丁張装置をコーナーに設置した状態で丁張を架設した状態の斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る構築用丁張装置の平面図である。
【図10】同構築用丁張装置の後面図である。
【図11】同構築用丁張装置の側面図である。
【図12】同構築用丁張装置を地盤に設置し丁張材保持部材を右方に位置調整した状態の前面から見た斜視図である。
【図13】同構築用丁張装置において丁張材保持部材を左方に位置調整した状態の前面から見た斜視図である。
【図14】同構築用丁張装置をコーナーに設置した状態で丁張を架設した状態の斜視図である。
【図15】従来の構築用丁張装置の説明図である。
【図16】従来の別の構築用丁張装置の説明図である。
【符号の説明】
【0088】
10 縁石用設置脚体
11 ベース
11A 面部
11B 屈曲部
12 ベース固定機構
20 回転支軸機構(保持部材支持手段)
21 軸受部材
22 回転支軸
23 アーム部材
24 支持軸
25 回転支軸ロック機構(回転支軸ロック手段)
30 支持機構(保持部材支持手段)
31 基側支持部材
32 基側支持部材ロック機構(基側支持部材ロック手段)
36 支持用ボルト
10−1 設置脚体
50 ベースプレート
51 アーム部材
52 アーム部材
53 支軸機構
56 アンカー保持部
57 踏み板
57A 釘孔
58 アンカー
59 アンカーロック機構(アンカーロック手段)
70 丁張材保持部材
71 丁張材
G 縁石
J 敷地
K 既設塀
K−1 端面
P 丁張材保持部材把持部
S 境界線
T 構築用丁張装置
T−1 構築用丁張装置
U 境界線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構築しようとする構造物の表面位置を規定するために設けられる線状の丁張材を保持する丁張材保持部材と、この丁張材保持部材を地上に設置する設置脚手段とを有する構築用丁張装置であって、
前記設置脚手段が、前記丁張材保持部材を設置すべき位置にある縁石に設置される縁石用設置脚体であり、この縁石用設置脚体に保持部材支持手段を介して前記丁張材保持部材を支持するようにしたことを特徴とする構築用丁張装置。
【請求項2】
前記縁石用設置脚体は、面部と、この面部の両側部を直角に屈曲して形成された屈曲部を有する断面コ字形状のチャンネル部材によりなるベースを備え、前記屈曲部の一方に、前記ベースを前記縁石に固着するベース固定機構を設けて構成してあることを特徴とする請求項1に記載の構築用丁張装置。
【請求項3】
前記保持部材支持手段は、前記縁石用設置脚体に設けられた軸受部材に回転可能に且つこの軸受部材の軸線方向に移動可能に設けられた回転支軸とこの回転支軸をロックする回転支軸ロック手段を有すると共に、前記回転支軸にアーム部材を介して当該回転支軸に平行する支持軸を固定した回転支軸機構と、前記支持軸に回転可能に設けられ且つ前記丁張材保持部材を支持する支持機構を備えたことを特徴とする請求項2に記載の構築用丁張装置。
【請求項4】
前記支持機構は、前記支持軸に回転可能に被嵌された基側支持部材と、この基側支持部材を前記支持軸にロックする基側支持部材ロック手段と、前記基側支持部材の側部に固着された支持用ボルトと、この支持用ボルトに回転可能に設けられ且つ前記丁張材保持部材を支持する先側支持部材と、この先側支持部材を所定角度にロックして前記丁張材保持部材の角度を調整する角度調整機構とで構成してあることを特徴とする請求項3に記載の構築用丁張装置。
【請求項5】
前記先側支持部材は、断面コ字形状のチャンネル部材を有していて、このチャンネル部材の一方の屈曲部にねじ孔部を設けて、このねじ孔部に把持用ボルトを螺装し、この把持用ボルトの端部にロックプレートを設けて、このロックプレートと前記チャンネル部材とで丁張材保持部材把持部を形成して構成してあり、前記角度調整機構は、前記一方の屈曲部に設けた孔部に前記支持用ボルトを挿入して前記他方の屈曲部に設けたねじ孔部に前記支持用ボルトを螺合し、この支持用ボルトの先側にロックナットを螺装して構成してあることを特徴とする請求項4に記載の構築用丁張装置。
【請求項6】
構築しようとする構造物の表面位置を規定するために設けられる線状の丁張材を保持する丁張材保持部材と、この丁張材保持部材を地上に設置する設置脚手段とを有する構築用丁張装置であって、
前記設置脚手段が、前記丁張材保持部材を設置すべき位置にある地盤もしくはコンクリート基礎にアンカーもしくは釘を用いて設置される設置脚体であり、この設置脚体に保持部材支持手段を介して前記丁張材保持部材を支持するようにしたことを特徴とする構築用丁張装置。
【請求項7】
前記設置脚体は、二本のアーム部材と、これらのアーム部材の基端部を開閉可能に支承するロック付きの支軸機構と、前記アーム部材の先端部にそれぞれ固着された中空円筒形状のアンカー保持部と、これらのアンカー保持部の下端部に、当該アンカー保持部の軸線に対して直角方向に突出し且つ釘孔を有する踏み板と、前記アンカー保持部に移動可能に保持されたアンカーと、前記アンカー保持部に設けられて前記アンカーを前記アンカー保持部にロックするアンカーロック手段とで構成されていることを特徴とする請求項6に記載の構築用丁張装置。
【請求項8】
前記保持部材支持手段は、前記設置脚体に設けられた軸受部材に回転可能に且つこの軸受部材の軸線方向に移動可能に設けられた回転支軸とこの回転支軸をロックする回転支軸ロック手段を有すると共に、前記回転支軸にアーム部材を介して当該回転支軸に平行する支持軸を固定した回転支軸機構と、前記支持軸に回転可能に設けられ且つ丁張材保持部材を支持する支持機構を備えたことを特徴とする請求項7に記載の構築用丁張装置。
【請求項9】
前記支持機構は、前記支持軸に回転可能に被嵌された基側支持部材と、この基側支持部材を前記支持軸にロックする基側支持部材ロック手段と、前記基側支持部材の側部に固着された支持用ボルトと、この支持用ボルトに回転可能に設けられ且つ前記丁張材保持部材を支持する先側支持部材と、この先側支持部材を所定角度にロックして前記丁張材保持部材の角度を調整する角度調整機構とで構成してあることを特徴とする請求項8に記載の構築用丁張装置。
【請求項10】
先側支持部材は、断面コ字形状のチャンネル部材を有していて、このチャンネル部材の一方の屈曲部にねじ孔部を設けて、このねじ孔部に把持用ボルトを螺装し、この把持用ボルトの端部にロックプレートを設けて、このロックプレートと前記チャンネル部材とで丁張材保持部材把持部を形成して構成してあり、前記角度調整機構は、前記一方の屈曲部に設けた孔部に前記支持用ボルトを挿入して前記他方の屈曲部に設けたねじ孔部に前記支持用ボルトを螺合し、この角度調整用ボルトの先側にロックナットを螺装して構成してあることを特徴とする請求項9に記載の構築用丁張装置。
【請求項1】
構築しようとする構造物の表面位置を規定するために設けられる線状の丁張材を保持する丁張材保持部材と、この丁張材保持部材を地上に設置する設置脚手段とを有する構築用丁張装置であって、
前記設置脚手段が、前記丁張材保持部材を設置すべき位置にある縁石に設置される縁石用設置脚体であり、この縁石用設置脚体に保持部材支持手段を介して前記丁張材保持部材を支持するようにしたことを特徴とする構築用丁張装置。
【請求項2】
前記縁石用設置脚体は、面部と、この面部の両側部を直角に屈曲して形成された屈曲部を有する断面コ字形状のチャンネル部材によりなるベースを備え、前記屈曲部の一方に、前記ベースを前記縁石に固着するベース固定機構を設けて構成してあることを特徴とする請求項1に記載の構築用丁張装置。
【請求項3】
前記保持部材支持手段は、前記縁石用設置脚体に設けられた軸受部材に回転可能に且つこの軸受部材の軸線方向に移動可能に設けられた回転支軸とこの回転支軸をロックする回転支軸ロック手段を有すると共に、前記回転支軸にアーム部材を介して当該回転支軸に平行する支持軸を固定した回転支軸機構と、前記支持軸に回転可能に設けられ且つ前記丁張材保持部材を支持する支持機構を備えたことを特徴とする請求項2に記載の構築用丁張装置。
【請求項4】
前記支持機構は、前記支持軸に回転可能に被嵌された基側支持部材と、この基側支持部材を前記支持軸にロックする基側支持部材ロック手段と、前記基側支持部材の側部に固着された支持用ボルトと、この支持用ボルトに回転可能に設けられ且つ前記丁張材保持部材を支持する先側支持部材と、この先側支持部材を所定角度にロックして前記丁張材保持部材の角度を調整する角度調整機構とで構成してあることを特徴とする請求項3に記載の構築用丁張装置。
【請求項5】
前記先側支持部材は、断面コ字形状のチャンネル部材を有していて、このチャンネル部材の一方の屈曲部にねじ孔部を設けて、このねじ孔部に把持用ボルトを螺装し、この把持用ボルトの端部にロックプレートを設けて、このロックプレートと前記チャンネル部材とで丁張材保持部材把持部を形成して構成してあり、前記角度調整機構は、前記一方の屈曲部に設けた孔部に前記支持用ボルトを挿入して前記他方の屈曲部に設けたねじ孔部に前記支持用ボルトを螺合し、この支持用ボルトの先側にロックナットを螺装して構成してあることを特徴とする請求項4に記載の構築用丁張装置。
【請求項6】
構築しようとする構造物の表面位置を規定するために設けられる線状の丁張材を保持する丁張材保持部材と、この丁張材保持部材を地上に設置する設置脚手段とを有する構築用丁張装置であって、
前記設置脚手段が、前記丁張材保持部材を設置すべき位置にある地盤もしくはコンクリート基礎にアンカーもしくは釘を用いて設置される設置脚体であり、この設置脚体に保持部材支持手段を介して前記丁張材保持部材を支持するようにしたことを特徴とする構築用丁張装置。
【請求項7】
前記設置脚体は、二本のアーム部材と、これらのアーム部材の基端部を開閉可能に支承するロック付きの支軸機構と、前記アーム部材の先端部にそれぞれ固着された中空円筒形状のアンカー保持部と、これらのアンカー保持部の下端部に、当該アンカー保持部の軸線に対して直角方向に突出し且つ釘孔を有する踏み板と、前記アンカー保持部に移動可能に保持されたアンカーと、前記アンカー保持部に設けられて前記アンカーを前記アンカー保持部にロックするアンカーロック手段とで構成されていることを特徴とする請求項6に記載の構築用丁張装置。
【請求項8】
前記保持部材支持手段は、前記設置脚体に設けられた軸受部材に回転可能に且つこの軸受部材の軸線方向に移動可能に設けられた回転支軸とこの回転支軸をロックする回転支軸ロック手段を有すると共に、前記回転支軸にアーム部材を介して当該回転支軸に平行する支持軸を固定した回転支軸機構と、前記支持軸に回転可能に設けられ且つ丁張材保持部材を支持する支持機構を備えたことを特徴とする請求項7に記載の構築用丁張装置。
【請求項9】
前記支持機構は、前記支持軸に回転可能に被嵌された基側支持部材と、この基側支持部材を前記支持軸にロックする基側支持部材ロック手段と、前記基側支持部材の側部に固着された支持用ボルトと、この支持用ボルトに回転可能に設けられ且つ前記丁張材保持部材を支持する先側支持部材と、この先側支持部材を所定角度にロックして前記丁張材保持部材の角度を調整する角度調整機構とで構成してあることを特徴とする請求項8に記載の構築用丁張装置。
【請求項10】
先側支持部材は、断面コ字形状のチャンネル部材を有していて、このチャンネル部材の一方の屈曲部にねじ孔部を設けて、このねじ孔部に把持用ボルトを螺装し、この把持用ボルトの端部にロックプレートを設けて、このロックプレートと前記チャンネル部材とで丁張材保持部材把持部を形成して構成してあり、前記角度調整機構は、前記一方の屈曲部に設けた孔部に前記支持用ボルトを挿入して前記他方の屈曲部に設けたねじ孔部に前記支持用ボルトを螺合し、この角度調整用ボルトの先側にロックナットを螺装して構成してあることを特徴とする請求項9に記載の構築用丁張装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−291596(P2006−291596A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114605(P2005−114605)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(505135955)横浜エクステリア株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(505135955)横浜エクステリア株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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