説明

構造体およびその製造方法、並びに多層構造の構造体およびその製造方法

【課題】接着剤を使用することなく、流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することのできる構造体およびその製造方法、並びに多層構造の構造体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】立体構造基板は、第1の熱伝導体10と、第2の熱伝導体20と、第1の熱伝導体10と第2の熱伝導体20との間に介在され、空隙31,32を有する第3の熱伝導体30と、を有し、第3の熱伝導体30と第1の熱伝導体10および第2の熱伝導体20とは化学結合されている。この化学結合は、金属結合またはファンデルワールス結合である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の実装部品または該実装部品が実装される実装基板などの温度、湿度あるいは流体濃度など環境管理を適切に設定するための構造体およびその製造方法、並びに多層構造の構造体およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を実装した基板あるいは電子部品の温度を適切に保持するための熱コントロール手段としては、多数の放熱フィンを有する金属製品あるいはヒートパイプなどがある。これらの熱コントロール手段は、主に冷却のみを目的として、前記電子部品あるいは前記基板に設けられる。
【0003】
これらの熱コントロール手段以外の手段としては、発熱体に接するコールドプレート内に冷媒を流すことにより、当該発熱体を冷却するようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
そのコールドプレート内に冷媒を流す構造としては、金属熱伝導体箔が張られた2つの基板の対向する面の所定の部位に、ハーフエッチングして溝を形成し、その後、これら溝が対向するようにして当該2つの基板を接着剤を用いて、当該溝を冷媒の流路として用いる熱回路基板が知られている(特許文献2、特許文献3参照)。
【0005】
また、このような熱回路基板の他の構造としては、絶縁体としてポリイミド(ポリイミド接着剤)を使用し、キュア温度のわずかな相違により熱圧着する構造とすることも考えられる。
【特許文献1】実開昭61−12288号公報
【特許文献2】特開2001−237503号公報
【特許文献3】特開平2−110959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のコールドプレート方式(上記特許文献1)では、機械加工による制限から500μm程度以下の薄いプレートを製作することが困難である。また、熱伝導箔のハーフエッチングによる溝の製造においては、エッチングの進行管理が困難であるため、溝の加工精度を得ることができず、そのため上記従来のコールドプレート方式では、冷媒が流路(つまり溝)の狭窄な部位により流れを阻害され、均一な冷却を得ることが困難であった。
【0007】
また、上記特許文献2,3のもの、および上記ポリイミド接着剤による接合のものでは、2つの基板を接着剤を使用して固着(接着)するようにしているので、これら2つの基板間において十分な剥離強度を得ることができず、流路としての溝に充填される冷媒の漏れや接着剤の液中(冷媒が液体の場合)への溶出、長期不安定性など多くの問題を有している。
【0008】
上記特許文献2,3のものでは、接着剤の耐温度特性が例えば0℃〜120℃程度の狭い温度範囲のみしか使用することができなかった。そのため、0℃より低い超低温あるいは120℃を超える高温の流体を流路(溝)に流通させることは不可能であった。
【0009】
上記従来の技術において、ポリイミドのキュア温度のわずかな相違によるポリイミド(ポリイミド接着剤)の熱圧着(ポリイミド接着法)では、発生するボイド(空孔)を除去することができず、しかも使用するポリイミドも特定の構造のもの(たとえば富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製D10A)のみが接着することができ、他の構造のものは接着することが極めて困難であるという性質を有する。そのため、このポリイミド接着法による熱回路基板の製造法は実用レベルとは言えない。
【0010】
ポリイミドの熱圧着(ポリイミド接着法)においては、現実には300℃以上の加温が密着強度を満足させるために必要であり、この加温に伴って発生する電気伝導体自体あるいは熱伝導体自体の酸化などの劣化、熱伝導体の熱膨張による寸法精度の劣化などの諸問題をクリアするのが困難である。
【0011】
さらには、上記従来の技術においては、熱回路基板の長期使用に伴って接着剤やポリイミド(ポリイミド接着剤)が冷媒中に溶出することがあり、この接着剤やポリイミドの冷媒中への溶出によるセンサ(例えばバイオセンサ、ケミカルセンサなど)精度への悪影響のため、高精度のセンサ類には使用できないという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、接着剤を使用することなく、流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することのできる構造体およびその製造方法、並びに多層構造の構造体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の構造体は、第1の熱伝導体と、第2の熱伝導体と、前記第1の熱伝導体と前記第2の熱伝導体との間に介在され、空隙を有する第3の熱伝導体と、を有し、前記第3の熱伝導体と前記第1の熱伝導体および前記第2の熱伝導体とは化学結合されていることを特徴とする。
【0014】
これにより、接着剤を使用することなく、流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することができるという作用効果を有する。
【0015】
請求項2に記載の本発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記化学結合は、金属結合またはファンデルワールス結合であることを特徴とする。
【0016】
これにより、接着剤を使用することなく、流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することができる作用効果を有する。
【0017】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または2記載の発明の構成に加えて、前記第3の熱伝導体と前記第1の熱伝導体および前記第2の熱伝導体とは絶縁体薄膜を介して結合されていることを特徴とする。
【0018】
これにより、接着剤を使用することなく、流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することができる作用効果を有する。
【0019】
請求項4に記載の本発明は、請求項1〜3のうち何れか一項に記載の発明の構成に加えて、前記第3の熱伝導体は、電気回路の要素、または、電磁波を屈折および反射させる手段として利用されることを特徴とする。
【0020】
これにより、接着剤を使用することなく、流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することができる作用効果を有する。
【0021】
上記課題を解決するため、請求項5に記載の本発明の構造体は、第1の熱伝導体と、第2の熱伝導体と、前記第1の熱伝導体と前記第2の熱伝導体との間に介在され、空隙を有する絶縁体層と、を有し、前記絶縁体層と前記第1の熱伝導体および前記第2の熱伝導体とは化学結合されていることを特徴とする。
【0022】
これにより、接着剤を使用することなく、流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することができる作用効果を有する。
【0023】
請求項6に記載の本発明は、請求項5記載の発明の構成に加えて、前記化学結合は、水素結合、イオン結合またはファンデルワールス結合であることを特徴とする。
【0024】
これにより、接着剤を使用することなく、流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することができる作用効果を有する。
【0025】
請求項7に記載の本発明は、請求項5または6記載の発明の構成に加えて、前記絶縁体層と前記第1の熱伝導体および前記第2の熱伝導体とは絶縁体薄膜を介して結合されていることを特徴とする。
【0026】
これにより、接着剤を使用することなく、流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することができる作用効果を有する。
【0027】
請求項8に記載の本発明は、請求項1〜7のうち何れか一項に記載の発明の構成に加えて、前記空隙は、所定の流体が充填可能であって、当該流体の流路として機能することを特徴とする。
【0028】
これにより、接着剤を使用することなく、流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することができる作用効果を有する。
【0029】
請求項9に記載の本発明は、請求項8記載の発明の構成に加えて、前記所定の流体は、高温および/または高圧力および/または超低温の流体、金属流体、電磁流体またはイオン性流体であることを特徴とする。
【0030】
これにより、接着剤を使用することなく、高温および/または高圧力および/または超低温の流体、金属流体、電磁流体またはイオン性流体などの流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することができる作用効果を有する。
【0031】
上記課題を解決するため、請求項10に記載の本発明の多層構造の構造体は、請求項1〜9の何れか一項に記載の構造体が複数積層されて形成されていることを特徴とする。
【0032】
これにより、接着剤を使用することなく、流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することができる作用効果を有する。
【0033】
上記課題を解決するため、請求項11に記載の本発明の構造体の製造方法は、第1の熱伝導体と第2の熱伝導体との間に介在される第3の熱伝導体に空隙を形成する空隙形成ステップと、前記第3の熱伝導体と前記第1の熱伝導体および前記第2の熱伝導体とを化学結合により結合する結合ステップと、を含むことを特徴とする。
【0034】
これにより、接着剤を使用することなく、流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することができる作用効果を有する。
【0035】
請求項12に記載の本発明は、請求項11記載の発明の構成に加えて、前記化学結合は、金属結合またはファンデルワールス結合であることを特徴とする。
【0036】
これにより、接着剤を使用することなく、流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することができる作用効果を有する。
【0037】
請求項13に記載の本発明は、請求項11または12記載の発明の構成に加えて、前記第3の熱伝導体と前記第1の熱伝導体および前記第2の熱伝導体とは絶縁体薄膜を介して結合されていることを特徴とする。
【0038】
これにより、接着剤を使用することなく、流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することができる作用効果を有する。
【0039】
上記課題を解決するため、請求項14に記載の本発明の構造体は、第1の熱伝導体と第2の熱伝導体との間に介在される絶縁体層に空隙を形成する空隙形成ステップと、前記絶縁体層と前記第1の熱伝導体および前記第2の熱伝導体とを化学結合により結合する結合ステップと、を含むことを特徴とする。
【0040】
これにより、接着剤を使用することなく、流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することができる作用効果を有する。
【0041】
請求項15に記載の本発明は、請求項14記載の発明の構成に加えて、前記化学結合は、水素結合、イオン結合またはファンデルワールス結合であることを特徴とする。
【0042】
これにより、接着剤を使用することなく、流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することができる作用効果を有する。
【0043】
請求項16に記載の本発明は、請求項14または15記載の発明の構成に加えて、前記絶縁体層と前記第1の熱伝導体および前記第2の熱伝導体とは絶縁体薄膜を介して結合されていることを特徴とする。
【0044】
これにより、接着剤を使用することなく、流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することができる作用効果を有する。
【0045】
上記課題を解決するため、請求項17に記載の本発明の多層構造の構造体の製造方法は、請求項11〜16のうち何れか一項に記載の構造体の製造方法により製造された構造体を複数積層して形成することを特徴とする。
【0046】
これにより、接着剤を使用することなく、流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することができる作用効果を有する。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば以下の効果を奏することができる。
【0048】
すなわち、本発明によれば、接着剤を使用することなく、流体の流路としての空隙を容易にかつ高精度に形成することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しつつさらに具体的に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0050】
(実施の形態1)
【0051】
図1は本発明の実施の形態1である構造体を適用した立体構造基板を示す断面図、図2は実施の形態1に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図、図3は実施の形態1に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図、図4は実施の形態1に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図である。
【0052】
本発明の構造体を適用した立体構造基板について、図1を参照して説明する。
【0053】
図1に示す立体構造基板は、第1の熱伝導体10と、第2の熱伝導体20と、第1の熱伝導体10と第2の熱伝導体20との間に介在され、空隙31,32を有する第3の熱伝導体30と、を有し、第3の熱伝導体30と第1の熱伝導体10および第2の熱伝導体20とは化学結合されている。この化学結合は、金属結合またはファンデルワールス結合である。
【0054】
ここでは、第1の熱伝導体10が存在する層を第1の層とし、第3の熱伝導体30が存在する層を第2の層とし、第2の熱伝導体20が存在する層を第3の層とする。
【0055】
図1において、第1の熱伝導体10、第2の熱伝導体20、および第3の熱伝導体30は、それぞれ異種または同種の熱伝導体、あるいは一部のみ異種の熱伝導体である。これらの熱伝導体は例えば金属である。
【0056】
第3の熱伝導体30には、化学エッチング、プラズマエッチング、機械加工、プレス打ち抜き、レーザトリミング、マイクロサンドブラスト法などにより、複数の空隙31,32が形成されている。
【0057】
次に、実施の形態1に係る構造体の製造方法、すなわち図1に示した立体構造基板の張り合わせ(直接張り合わせ)工程について、図2〜図4を参照して説明する。
【0058】
この構造体の製造方法は、次の(1)〜(5)の工程を含んでいる。
【0059】
(1)最初に、第2の層に対応する第3の熱伝導体30に、化学エッチング、プラズマエッチング、機械加工、プレス打ち抜き、レーザトリミング、マイクロサンドブラスト法などにより、複数の空隙を形成する。
【0060】
(2)次に、第1の熱伝導体10、第2の熱伝導体20および第3の熱伝導体30における互いに他の熱伝導体と接触する表面(対向する表面)、すなわち、図2に示すように、第1の熱伝導体10における第2の熱伝導体20と接触する表面10A、第3の熱伝導体30における第1の熱伝導体10と接触する表面30Aおよび第2の熱伝導体20と接触する表面30B、および第2の熱伝導体20における第3の熱伝導体20と接触する表面20Aを、アルカリ性溶液(たとえば5%〜35%苛性ソーダ溶液、5%〜35%炭酸ソーダ溶液など)または酸性溶液(たとえば10%〜35%希塩酸、希硫酸溶液、SSP溶液など)により、当該各表面の酸化皮膜の除去、脱脂洗浄、ソフトエッチングを行い、十分に清浄な状態にする。
【0061】
(3)続いて、上記各表面10A,20A,30A,30Bに関し、アンカ効果を持たせるために面粗度を1μm〜5μmに調整する。
【0062】
(4)さらに続いて、図3に示すように、第1の熱伝導体10の表面10Aと第3の熱伝導体30の表面30Aとを接触させ、250℃〜350℃の温度、10MPa〜50MPaの圧力の下で10分〜120分間、熱圧着して、第1の熱伝導体10と第3の熱伝導体30とを接合させる。この熱圧着のときに、20kHz〜100kHz、出力100W〜1kWの適切な超音波つまり超音波振動を縦向きあるいは横向きに加えてもよい。その結果、この超音波振動による摩擦により、さらに接合を容易にすることができる。
【0063】
(5)そして、図4に示すように、上記(4)の工程の場合と同様に、第3の熱伝導体30の表面30Bと第2の熱伝導体20の表面20Aとを接触させ、250℃〜350℃の温度、10MPa〜50MPaの圧力の下で10分〜120分間、熱圧着して、第3の熱伝導体30と第2の熱伝導体20とを接合させる。この熱圧着のときに、20kHz〜100kHz、出力100W〜1kWの適切な超音波つまり超音波振動を縦向きあるいは横向きに加えてもよい。その結果、この超音波振動による摩擦により、さらに接合を容易に行うことができる。
【0064】
上述した(1)〜(5)の工程を実施することにより、図1に示した立体構造基板が作製されたことになる。
【0065】
本実施の形態1においては、上記(1)〜(5)の各工程による製造方法により、ハーフエッチングなど加工進行途中で加工を止めなければならない加工法で溝を作製する方法などの場合と比較して、高精度に、安定した空隙や溝を作製することができた。
【0066】
ところで、上述した空隙は、所定の流体が充填可能であって、当該流体の流路として機能する。この所定の流体は、例えば、高温および/または高圧力および/または超低温の流体、金属流体、電磁流体またはイオン性流体である。
【0067】
ここで、厚み170μmの熱伝導体として銅を採用したときの、本実施の形態1に係る製造方法の場合と、従来の技術の製造方法の場合との、空隙精度を比較した結果について説明する。
【0068】
本実施の形態1に係る製造方法の場合では、空隙深さ±2μmの誤差範囲内に抑制することができた。また、空隙に関しては、円形、方形、楕円形、およびこれらの組み合わせなど任意の形状のものが高精度に作製することができ、しかも複雑な階段状の空隙も高精度に作製することができた。
【0069】
これに対し、従来の技術の製造方法の場合において、ハーフエッチング方式では空隙深さ±24μmの誤差があった。さらに接着剤を使用した場合は圧着時のプレス圧によりさらに±15μm、つまり{(±24μm)+(±15μm)}のばらつきが生じた。
【0070】
なお、本実施の形態1に係る製造方法により作製された2つの金属(熱伝導体)に関する引き剥がし強度試験においては、張り合わせた金属同士が張り合わせ面以外の箇所で破壊されてしまい測定不能という極めて強いピール強度が得られた。
【0071】
なお、実施の形態1において、第1の熱伝導体と第3の熱伝導体との接合、および第3の熱伝導体と第2の熱伝導体との接合は、それぞれ直接接合するようにしたが、本発明はこれに限定されることなく、絶縁体薄膜を介して接合するようにしてもよい。
【0072】
(実施の形態2)
【0073】
次に、本発明の実施の形態2に係る構造体について説明する。
【0074】
図5は本発明の実施の形態2である構造体を適用した立体構造基板を示す断面図、図6は実施の形態2に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図、図7は実施の形態2に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図、図8は実施の形態2に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図、図9は実施の形態2に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図である。
【0075】
本発明の構造体を適用した立体構造基板について、図5を参照して説明する。
【0076】
実施の形態2は、実施の形態1とは、同一の層においても異種の熱伝導体が用いられている点と、各種の形状の空隙が形成されている点とが相違する。そこで、これらの相違点について説明する。
【0077】
本実施の形態2においても、上記実施の形態1の場合と同様に、第1の層に第1の熱伝導体が、第2の層に第3の熱伝導体が、第3の層に第2の熱伝導体が、ぞれぞれ使用されるものとする。
【0078】
図5に示すように、第1の層には第1の熱伝導体10,50が使用され、第1の熱伝導体10と第1の熱伝導体50とは異種の熱伝導体である。また、第2の層には第3の熱伝導体30,60が使用され、第3の熱伝導体30と第3の熱伝導体60とは異種の熱伝導体である。さらに、第3の層には第2の熱伝導体20,40が使用され、第2の熱伝導体20と第2の熱伝導体40とは異種の熱伝導体である。
【0079】
また、第1の層、第2の層および第3の層の各層に使用される熱伝導体は、それぞれ異種の熱伝導体であり、一部の層においては他の層に使用される熱伝導体と同種の熱伝導体である。これらの熱伝導体は例えば金属である。
【0080】
なお、本実施の形態2においては、第1の層、第2の層および第3の層に使用される熱伝導体は、それぞれが異種または同種の熱伝導体でもよい。また、任意の2つの層に使用される熱伝導体が同種の熱伝導体で、他の1つの層に使用される熱伝導体が前記任意の2つの層に使用される熱伝導体とは異なるの熱伝導体でもよい。さらに、同一の層に使用される熱伝導体おいても、異種または同種の熱伝導体であってもよい。
【0081】
図5に示す立体構造基板においては、化学エッチング、プラズマエッチング、機械加工、プレス打ち抜き、レーザトリミング、マイクロサンドブラスト法などにより、複数の空隙101,102,103,104が形成されている。
【0082】
空隙101は、第1の層の第1の熱伝導体10に形成された空隙101Aと、第2の層の第3の熱伝導体30に形成された空隙101Bと、第3の層の第2の熱伝導体40に形成された空隙101Cとを有している。
【0083】
空隙102は、第2の層の第3の熱伝導体30に形成された空隙である。
【0084】
空隙103は、第2の層の第3の熱伝導体30に形成された空隙103Bと、第3の層の第2の熱伝導体20に形成された空隙103Cとを有している。
【0085】
空隙104は、第2の層の第3の熱伝導体30に形成された空隙104Bと、第3の層の第2の熱伝導体20に形成された空隙104Cとを有している。
【0086】
なお、第2の層に形成されている空隙104Bにおいては、第3の熱伝導体30とは異種の熱伝導体60が配置されている。
【0087】
本実施の形態2において、第2の層における第3の熱伝導体と、第1の層における第1の熱伝導体および第3の層における第2の熱伝導体とは、上記実施の形態1の場合と同様に、化学結合されている。この化学結合は、金属結合またはファンデルワールス結合である。
【0088】
次に、実施の形態2に係る構造体の製造方法、すなわち図5に示した立体構造基板の張り合わせ(直接張り合わせ)工程について、図6〜図9を参照して説明する。
【0089】
この構造体の製造方法は、次の(1)〜(5)の工程を含んでいる。
【0090】
ここで、図5において、空隙101を有する第1の熱伝導体10、第3の熱伝導体30、第2の熱伝導体40に着目して、これらの熱伝導体の接合について説明する。
【0091】
(1)最初に、第1の層に対応する第1の熱伝導体10、第2の層に対応する第3の熱伝導体30、第3の層に対応する第2の熱伝導体40に、化学エッチング、プラズマエッチング、機械加工、プレス打ち抜き、レーザトリミング、マイクロサンドブラスト法などにより、複数の空隙を形成する。
【0092】
(2)次に、第1の熱伝導体10、第2の熱伝導体40および第3の熱伝導体30における互いに他の熱伝導体と接触する表面(対向する表面)、すなわち、図6に示すように、第1の熱伝導体10における第2の熱伝導体40と接触する表面10A、第3の熱伝導体30における第1の熱伝導体10と接触する表面30Aおよび第2の熱伝導体20と接触する表面30B、および第2の熱伝導体40における第3の熱伝導体20と接触する表面40Aを、アルカリ性溶液(たとえば5%〜35%苛性ソーダ溶液、5%〜35%炭酸ソーダ溶液など)または酸性溶液(たとえば10%〜35%希塩酸、希硫酸溶液、SSP溶液など)により、当該各表面の酸化皮膜の除去、脱脂洗浄、ソフトエッチングを行い、十分に清浄な状態にする。
【0093】
(3)続いて、上記各表面10A,30A,30B,40Aに関し、アンカ効果を持たせるために面粗度を1μm〜5μmに調整する。
【0094】
(4)さらに続いて、第1の熱伝導体10の表面10Aと第3の熱伝導体30の表面30Aとを接触させ、250℃〜350℃の温度、10MPa〜50MPaの圧力の下で10分〜120分間、熱圧着して、第1の熱伝導体10と第3の熱伝導体30とを接合させる。この熱圧着のときに、20kHz〜100kHz、出力100W〜1kWの適切な超音波つまり超音波振動を縦向きあるいは横向きに加えてもよい。その結果、この超音波振動による摩擦により、さらに接合を容易に行うことができる。
【0095】
(5)そして、上記(4)の工程の場合と同様に、第3の熱伝導体30の表面30Bと第2の熱伝導体40の表面40Aとを接触させ、250℃〜350℃の温度、10MPa〜50MPaの圧力の下で10分〜120分間、熱圧着して、第3の熱伝導体30と第2の熱伝導体40とを接合させる。この熱圧着のときに、20kHz〜100kHz、出力100W〜1kWの適切な超音波つまり超音波振動を縦向きあるいは横向きに加えてもよい。その結果、この超音波振動による摩擦により、さらに接合を容易に行うことができる。
【0096】
上述した(1)〜(5)の工程を実施することにより、立体構造基板が作製されたことになる。
【0097】
ところで、空隙が大きい場合、例えば図7に示すように第1の熱伝導体10に形成された空隙101Aが、高さH(第1の熱伝導体10の高さHでもある)、幅W、長さD(第1の熱伝導体10の長さDでもある)のサイズで、その幅Wが所定値(例えば3mm)を超える空隙であった場合は、当該空隙に、当該熱伝導体の厚さH(高さH))と同等の厚さを有する補助的スペーサを挿入して熱圧着をするようにする。なお、空隙の幅Wが所定値(3mm)以下の小さい空隙の場合には補助的スペーサは不要である。
【0098】
すなわち、第1の熱伝導体10と第3の熱伝導体30との接合のときには、図8に示すように、第1の熱伝導体10に形成された空隙101Aに補助的スペーサ61を挿入し、また、第3の熱伝導体30に形成された空隙101Bに補助的スペーサ63を挿入して、上記(4)の工程(熱圧着)を実施する。
【0099】
また、第3の熱伝導体30と第2の熱伝導体40との接合のときも、図9に示すように、第2の熱伝導体40に形成された空隙101Cに補助的スペーサ62を挿入して、上記(5)の工程(熱圧着)を実施する。
【0100】
このように、空隙が大きい場合、第1の熱伝導体10、第2の熱伝導体40、および第3の熱伝導体30のそれぞれの熱伝導体と同じ厚さを有する補助的スペーサ61,62,63を該当する空隙に挿入して、熱圧着することにより、圧着の均一性を維持することができる。
【0101】
上述した(1)〜(5)の張り合わせ工程を繰り返すことにより、図5に示したように、空隙102の如く閉じられた空隙、あるいは空隙101,103,104の如く外に開いた多層構造を有する任意の形状の空隙を作製することができる。
【0102】
また、補助的スペーサを組み合わせることにより、高さH、幅W、長さDについて7μm〜100mm以上の自由な大きさの空隙を形成することが可能であり、従来の技術においては不可能であった多層のマルチチャンネルを作製することができる。
【0103】
本実施の形態2においては、上記(1)〜(5)の各工程による製造方法により、ハーフエッチングなど加工進行途中で加工を止めなければならない加工法で溝を作製する方法などの場合と比較して、高精度に、安定した空隙や溝を作製することができた。
【0104】
ところで、上述した空隙は、所定の流体が充填可能であって、当該流体の流路として機能する。この所定の流体は、例えば、高温および/または高圧力および/または超低温の流体、金属流体、電磁流体またはイオン性流体である。
【0105】
ここで、厚み170μmの熱伝導体として銅を採用したときの、本実施の形態1に係る製造方法の場合と、従来の技術の製造方法の場合との、空隙精度を比較した結果を説明する。
【0106】
本実施の形態2に係る製造方法の場合では、空隙深さ±2μmの誤差範囲内に抑制することができた。また、空隙に関しては、円形、方形、楕円形、およびこれらの組み合わせなど任意の形状のものが高精度に作製することができ、しかも複雑な階段状の空隙も高精度に作製することができた。
【0107】
これに対し、従来の技術の製造方法の場合において、ハーフエッチング方式では空隙深さ±24μmの誤差があった。さらに接着剤を使用した場合は圧着時のプレス圧によりさらに±15μm、つまり{(±24μm)+(±15μm)}のばらつきが生じた。しかも、従来の技術においては、空隙は、円形または単なる溝形状のものに限定される。
【0108】
なお、本実施の形態2に係る製造方法により作製された2つの金属(熱伝導体)に関する引き剥がし強度試験においては、張り合わせた金属同士が張り合わせ面以外の箇所で破壊されてしまい測定不能という極めて強いピール強度が得られた。
【0109】
第2の実施の形態では、第1の熱伝導体10と第3の熱伝導体30とが、第1の熱伝導体50と第3の熱伝導体30とが、第3の熱伝導体30と第2の熱伝導体40とが、第3の熱伝導体30と第2の熱伝導体20とが、前もって任意の形状に加工された金属片であって、これらの金属片を、接着剤を使用することなく、原子間接着、水素イオン結合、または水素イオン結合により、直接張り合わせる(結合させる)ようにしてもよい。
【0110】
また、第2の実施の形態では、上述した第1の熱伝導体10,50、第2の熱伝導体20、40、第3の熱伝導体30,60として、市販の硬質基板、セラミック基板、またはフレキシブルプリント基板、などの基板の金属箔部分をそのまま使用するようにしてもよい。
【0111】
さらに、第2の実施の形態では、上述した第1の熱伝導体10,50、第2の熱伝導体20、40、第3の熱伝導体30,60としてのカーボン、カーボン構造体などの難切削材に対しマイクロサンドブラストにより空隙を高精度に作製し、これらの高精度の空隙を有する難切削材を上記(4)および(5)の工程による接合方法(製造方法)により接合するようにしてもよい。その空隙としては、円形、方形、楕円形、およびこれらの組み合わせなど任意の形状のものが高精度に作製することが可能である。これにより、半田などの補助剤を用いずに基板パターン部の良好な電気的接続を同時に行うことができる。
【0112】
さらに、第2の実施の形態においては、上記(1)〜(5)の工程を繰り返すことにより、多層構造の立体構造基板を構成することができる。
【0113】
なお、実施の形態2において、第1の熱伝導体と第3の熱伝導体との接合、および第3の熱伝導体と第2の熱伝導体との接合は、それぞれ直接接合するようにしたが、本発明はこれに限定されることなく、絶縁体薄膜を介して接合するようにしてもよい。
【0114】
(実施の形態3)
【0115】
次に、本発明の実施の形態3に係る構造体について説明する。
【0116】
図10は本発明の実施の形態3である構造体を適用した立体構造基板を示す断面図、図11は実施の形態3に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図、図12は実施の形態3に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図、図13は実施の形態3に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図、本発明の構造体を適用した立体構造基板について、図10を参照して説明する。
【0117】
図10に示す立体構造基板は、第1の熱伝導体210と、第2の熱伝導体220と、第1の熱伝導体210と第2の熱伝導体220との間に介在され、空隙111,112を有する絶縁体(絶縁体層)230と、を有し、絶縁体230と第1の熱伝導体210および第2の熱伝導体220とは化学結合されている。この化学結合は、水素結合、イオン結合またはファンデルワールス結合である。
【0118】
ここでは、第1の熱伝導体210が存在する層を第1の層とし、絶縁体(絶縁体層)230が存在する層を第2の層とし、第2の熱伝導体220が存在する層を第3の層とする。
【0119】
図10において、第1の熱伝導体210および第2の熱伝導体220は、異種または同種の熱伝導体例えば金属である。絶縁体230は、可溶性の絶縁体(例えばポリイミド、液晶ポリマなど)である。
【0120】
絶縁体230には、化学エッチング、プラズマエッチング、機械加工、プレス打ち抜き、レーザトリミング、マイクロサンドブラスト法などにより、複数の空隙111,112が形成されている。
【0121】
次に、実施の形態3に係る構造体の製造方法、すなわち図10に示した立体構造基板の張り合わせ(直接張り合わせ)工程について、図11〜図13を参照して説明する。
【0122】
この構造体の製造方法は、次の(1)〜(6)の工程を含んでいる。
【0123】
(1)最初に、第1の熱伝導体210および第2の熱伝導体220における絶縁体230と接触する表面(対向する表面)、すなわち、図11に示すように、第1の熱伝導体210における絶縁体230と接触する表面210A、第2の熱伝導体220における絶縁体230と接触する表面220Aを、アルカリ性溶液(たとえば5%〜35%苛性ソーダ溶液、5%〜35%炭酸ソーダ溶液など)または酸性溶液(たとえば10%〜35%希塩酸、希硫酸溶液、SSP溶液など)により、当該各表面の酸化皮膜の除去、脱脂洗浄、ソフトエッチングを行い、十分に清浄な状態にする。
【0124】
(2)また、上記第1および第2の熱伝導体における絶縁体と接触する各表面に関し、アンカ効果を持たせるために面粗度を1μm〜5μmに調整する。
【0125】
(3)次に、第2の層に対応する絶縁体230に、化学エッチング、あるいはプラズマエッチング、機械加工、プレス打ち抜き、レーザ加工、マイクロサンドブラスト等により任意のパターンに空隙を形成する。
【0126】
(4)続いて、絶縁体230における第1の熱伝導体210と接触する表面230Aおよび第2の熱伝導体220と接触する表面230Bに対し、その可溶性絶縁体の種類(例えばポリイミド、液晶ポリマなど)に応じて適切な溶剤を0.2μm〜2μmの厚さに塗布する。
【0127】
(5)さらに続いて、図12に示すように、第1の熱伝導体210の表面210Aと絶縁体230の表面230Aとを接触させ、250℃〜350℃の温度、10MPa〜50MPaの圧力の下で10分〜120分間、熱圧着して、第1の熱伝導体210と絶縁体230とを接合させる。この熱圧着のときに、20kHz〜100kHz、出力100W〜1kWの適切な超音波つまり超音波振動を縦向きあるいは横向きに加えてもよい。その結果、この超音波振動による摩擦により、さらに接合を容易に行うことができる。
【0128】
(6)そして、図13に示すように、上記(5)の工程の場合と同様に、絶縁体230の表面230Bと第2の熱伝導体220の表面220Aとを接触させ、250℃〜350℃の温度、10MPa〜50MPaの圧力の下で10分〜120分間、熱圧着して、第3の熱伝導体30と第2の熱伝導体20とを接合させる。この熱圧着のときに、20kHz〜100kHz、出力100W〜1kWの適切な超音波つまり超音波振動を縦向きあるいは横向きに加えてもよい。その結果、この超音波振動による摩擦により、さらに接合を容易に行うことができる。
【0129】
上述した(1)〜(6)の工程を実施することにより、図10に示した立体構造基板が作製されたことになる。
【0130】
本実施の形態1においては、上記(1)〜(6)の各工程による製造方法により、ハーフエッチングなど加工進行途中で加工を止めなければならない加工法で溝を作製する方法などの場合と比較して、高精度に、安定した空隙や溝を作製することができた。
【0131】
ところで、上述した空隙は、所定の流体が充填可能であって、当該流体の流路として機能する。この所定の流体は、例えば、高温および/または高圧力および/または超低温の流体、金属流体、電磁流体またはイオン性流体である。
【0132】
なお、実施の形態3において、第1の層に対応する第1の熱伝導体と第2の層に対応する絶縁体との接合、および第2の層に対応する絶縁体と第3の層に対応する第2の熱伝導体との接合は、それぞれ直接接合するようにしたが、本発明はこれに限定されることなく、絶縁体薄膜を介して接合するようにしてもよい。
【0133】
(実施の形態4)
【0134】
次に、本発明の実施の形態に係る構造体について説明する。
【0135】
図14は本発明の実施の形態4である構造体を適用した立体構造基板を示す断面図、図15は実施の形態4に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図である。
【0136】
本発明の構造体を適用した立体構造基板について、図14を参照して説明する。
【0137】
本実施の形態4においては、立体構造基板は第1の層〜第4の層で構成され、第1の層には第1の熱伝導体が、第2の層および第3の層には絶縁体(絶縁体層)が、第4の層には第2の熱伝導体が、ぞれぞれ使用されるものとする。
【0138】
図14に示すように、第1の層には第1の熱伝導体210が使用されている。また、第2の層には絶縁体231が使用されている。第3の層には絶縁体232,250が使用され、絶縁体232と絶縁体250とは異種の絶縁体である。さらに、第4の層には第2の熱伝導体220,240,260が使用され、第2の熱伝導体220と第2の熱伝導体240と第2の熱伝導体260とは異種の熱伝導体である。
【0139】
第1の層および第4の層に使用される熱伝導体は、それぞれ異種または同種の熱伝導体でもよい。また同一の層に使用される熱伝導体おいても、異種または同種の熱伝導体であってもよい。これらの熱伝導体は例えば金属である。
【0140】
図14示す立体構造基板においては、化学エッチング、プラズマエッチング、機械加工、プレス打ち抜き、レーザトリミング、マイクロサンドブラスト法などにより、複数の空隙201,202,203が形成されている。
【0141】
空隙201は、第2の層の絶縁体231に形成された空隙201Bと、第3の層の絶縁体232に形成された空隙201Cとを有している。
【0142】
空隙202は、第1の層の第1の熱伝導体210に形成された空隙202Aと、第2の層の絶縁体231に形成された空隙202Bとを有している。
【0143】
空隙203は、第1の層の第1の熱伝導体210に形成された空隙203Aと、第2の層の絶縁体231に形成された空隙203Bと、第3の層の絶縁体250に形成された空隙203Cと、第4の層の第2の熱伝導体240に形成された空隙203Dとを有している。
【0144】
本実施の形態4において、第1の層における第1の熱伝導体と第2の層における絶縁体とが、第2の層における絶縁体と第3の層における絶縁体とが、第3の層における絶縁体と第4の層における第2の熱伝導体とが、上記実施の形態3の場合と同様に、化学結合されている。この化学結合は、水素結合、イオン結合またはファンデルワールス結合である。
【0145】
次に、実施の形態4に係る構造体の製造方法、すなわち図14に示した立体構造基板の張り合わせ(直接張り合わせ)工程について、説明する。
【0146】
この構造体の製造方法は、次の(1)〜(8)の工程を含んでいる。
【0147】
(1)最初に、第1の層に対応する第1の熱伝導体210、および第4の層に対応する第2の熱伝導体220,240,260に、化学エッチング、プラズマエッチング、機械加工、プレス打ち抜き、レーザトリミング、マイクロサンドブラスト法などにより、複数の空隙を形成する。
【0148】
(2)次に、第1の熱伝導体210における第2の層に対応する絶縁体231と接触する表面(対向する表面)、第2の熱伝導体220における第3の層に対応する絶縁体と接触する表面と、第2の熱伝導体240における第3の層に対応する絶縁体250と接触する表面と、第2の熱伝導体260における第3の層に対応する絶縁体232と接触する表面とを、アルカリ性溶液(たとえば5%〜35%苛性ソーダ溶液、5%〜35%炭酸ソーダ溶液など)または酸性溶液(たとえば10%〜35%希塩酸、希硫酸溶液、SSP溶液など)により、当該各表面の酸化皮膜の除去、脱脂洗浄、ソフトエッチングを行い、十分に清浄な状態にする。
【0149】
(3)また、上記第1および第2の熱伝導体における絶縁体と接触する各表面に関し、アンカ効果を持たせるために面粗度を1μm〜5μmに調整する。
【0150】
(4)続いて、第2の層に対応する絶縁体231および第3の層に対応する絶縁体232,240に、化学エッチング、あるいはプラズマエッチング、機械加工、プレス打ち抜き、レーザ加工、マイクロサンドブラスト等により任意のパターンに空隙を形成する。
【0151】
(5)さらに、第2の層に対応する絶縁体231における第1の熱伝導体210および第3の層に対応する絶縁体232あるいは絶縁体250と接触する表面と、第3の層に対応する絶縁体232における絶縁体231と接触する表面と、第3の層に対応する絶縁体250における絶縁体231と接触する表面とに対し、その可溶性絶縁体の種類(例えばポリイミド、液晶ポリマなど)に応じて適切な溶剤を0.2μm〜2μmの厚さに塗布する。
【0152】
ここで、溶剤としては、たとえばNNP、苛性ソーダなどの強アルカリ、あるいは塩酸などの強酸が挙げられる。
【0153】
(6)続いて、第1層に対応する第1の熱伝導体210と第2の層に対応する絶縁体231とを接触させ、250℃〜350℃の温度、10MPa〜50MPaの圧力の下で10分〜120分間、熱圧着して、第1の熱伝導体210と絶縁体231とを接合させる。この熱圧着のときに、20kHz〜100kHz、出力100W〜1kWの適切な超音波つまり超音波振動を縦向きあるいは横向きに加えてもよい。その結果、この超音波振動による摩擦により、さらに接合を容易に行うことができる。
【0154】
(7)さらに続いて、上記(6)の工程の場合と同様に、第3の層に対応する絶縁体と第4の層に対応する絶縁体とを接触させ、250℃〜350℃の温度、10MPa〜50MPaの圧力の下で10分〜120分間、熱圧着して、第3の層に対応する絶縁体と第4の層に対応する絶縁体とを接合させる。この熱圧着のときに、20kHz〜100kHz、出力100W〜1kWの適切な超音波つまり超音波振動を縦向きあるいは横向きに加えてもよい。その結果、この超音波振動による摩擦により、さらに接合を容易に行うことができる。
【0155】
上述した(1)〜(7)の工程が終了した時点での構造体(立体構造基板)は、図15に示す状態になっている。
【0156】
(8)そして、図15に示す状態から、第2の層の絶縁体と第3の層の絶縁体とを接触させ、250℃〜350℃の温度、10MPa〜50MPaの圧力の下で15分〜120分間、熱圧着して、第2の層の絶縁体231と第3の層の絶縁体232,250,260とを接合させる。
【0157】
この熱圧着のときに、20kHz〜100kHz、出力100W〜1kW(あるいは出力50〜800W)の適切な超音波つまり超音波振動を縦向きあるいは横向きに加えて化学活性化させ、かつ摩擦による接合を利用するようにしてもよい。これにより、可溶性の絶縁体の接合が達成でき、接着剤の使用による弊害をなくし、極めて良質の設計値通りの複数の空隙を有する立体構造基板を作製することができる。
【0158】
上述した(1)〜(8)の工程を実施することにより、図14に示した立体構造基板が作製されたことになる。
【0159】
ところで、空隙が大きい場合、例えば図7に示した実施の形態2の場合と同様に、熱伝導体あるいは絶縁体に形成された空隙が、高さH、幅W、長さDのサイズで、その幅Wが所定値(例えば3mm)を超える空隙であった場合は、当該空隙に、当該熱伝導体あるいは絶縁体の厚さH(高さH))と同等の厚さを有する補助的スペーサを挿入して熱圧着をするようにする。なお、空隙の幅Wが所定値(3mm)以下の小さい空隙の場合には補助的スペーサは不要である。
【0160】
このように、空隙が大きい場合、第1の熱伝導体、第2の熱伝導体および絶縁体の厚さと同じ厚さを有する補助的スペーサを該当する空隙に挿入して、熱圧着することにより、圧着の均一性を維持することができる。
【0161】
また、補助的スペーサを組み合わせることにより、高さH、幅W、長さDについて7μm〜100mm以上の自由な大きさの空隙を形成することが可能であり、従来の技術においては不可能であった多層のマルチチャンネルを作製することができる。
【0162】
本実施の形態4では、従来の技術においては、ポリイミドのキュア温度のわずかな相違によるポリイミド(ポリイミド接着剤)の熱圧着(ポリイミド接着法)のときに発生する微小なボイドを、完全に抑制することができ、極めて良質な接合構造を得ることができる。
【0163】
また、本実施の形態4においては、上記(1)〜(8)の各工程による製造方法により、ハーフエッチングなど加工進行途中で加工を止めなければならない加工法で溝を作製する方法などの場合と比較して、高精度に、安定した空隙や溝を作製することができた。
【0164】
ところで、上述した空隙は、所定の流体が充填可能であって、当該流体の流路として機能する。この所定の流体は、例えば、高温および/または高圧力および/または超低温の流体、金属流体、電磁流体またはイオン性流体である。
【0165】
ここで、厚み170μmの熱伝導体として銅を採用したときの、本実施の形態1に係る製造方法の場合と、従来の技術の製造方法の場合との、空隙精度を比較した結果を説明する。
【0166】
本実施の形態4に係る製造方法の場合では、空隙深さ±2μmの誤差範囲内に抑制することができた。また、空隙に関しては、円形、方形、楕円形、およびこれらの組み合わせなど任意の形状のものが高精度に作製することができ、しかも複雑な階段状の空隙も高精度に作製することができた。
【0167】
これに対し、従来の技術の製造方法の場合において、ハーフエッチング方式では空隙深さ±24μmの誤差があった。さらに接着剤を使用した場合は圧着時のプレス圧によりさらに±15μm、つまり{(±24μm)+(±15μm)}のばらつきが生じた。しかも、従来の技術においては、空隙は、円形または単なる溝形状のものに限定される。
【0168】
なお、実施の形態4において、第1の層に対応する第1の熱伝導体と第2の層に対応する絶縁体との接合、および第3の層に対応する絶縁体と第4の層に対応する第2の熱伝導体との接合は、それぞれ直接接合するようにしたが、本発明はこれに限定されることなく、絶縁体薄膜を介して接合するようにしてもよい。
【0169】
(実施の形態5)
【0170】
次に、本発明の実施の形態5に係る構造体について説明する。
【0171】
図16は本発明の実施の形態5である構造体を適用した立体構造基板を示す断面図、図17は実施の形態5に係る立体構造基板の利用形態を説明する図である。
【0172】
図16(a)に示す立体構造基板は、図5に示した実施の形態2の立体構造基板の構成において、熱伝導体310,320を追加した構成になっている。図16(a)において図5に示した構成要素と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
【0173】
この立体構造基板において、熱伝導体310,320は例えば金属であり、熱伝導体310と第1の層の第1の熱伝導体とは化学結合されているとともに、熱伝導体320と第3の層の第2の熱伝導体とは化学結合されている。この化学結合は、例えば金属結合またはファンデルワールス結合である。
【0174】
図16(b)に示す立体構造基板は、図14に示した実施の形態4の立体構造基板の構成において、熱伝導体330,340を追加した構成になっている。図16(b)において図14に示した構成要素と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
【0175】
この立体構造基板において、熱伝導体330,340は例えば金属であり、熱伝導体330と第1の層の第1の熱伝導体とは化学結合されているとともに、熱伝導体340と第4の層の第2の熱伝導体とは化学結合されている。この化学結合は、例えば金属結合またはファンデルワールス結合である。
【0176】
上述した熱伝導体310〜340と第1の熱伝導体あるいは第4の熱伝導体とは、上述した実施の形態2における(2)〜(5)の工程を実施することにより化学結合されることになる。ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0177】
次に、図16(a)、(b)に示した立体構造基板の利用形態について、図17を参照して説明する。
【0178】
図17において、実装基板400には、電子デバイス410が実装されており、この電子デバイス410のモールドの上面には、本発明の構造体を適用した立体構造基板、例えば図16(a)、(b)に示した立体構造基板が密着して設けられている。
【0179】
(実施の形態6)
【0180】
次に、本発明の実施の形態6に係る構造体について説明する。
【0181】
図18は本発明の実施の形態6に係る構造体を適用した立体構造基板の利用形態を説明する図である。なお、図18において、(a)は立体構造基板の側面図を示し、(b)は立体構造基板の上面図を示している。
【0182】
立体構造基板は、図18(a)に示すように、第1の層に第1の熱伝導体510が、第2の層に第3の熱伝導体530が、第3の層に第2の熱伝導体520が、ぞれぞれ使用されている。また、第1の熱伝導体510に空隙511および空隙512が形成されているとともに、第3の熱伝導体530に空隙531が形成されている。第2の熱伝導体520には空隙は形成されていない。
【0183】
第1の熱伝導体510、第2熱伝導体520および第3の熱伝導体530は、それぞれ同種または異種の熱伝導体例えば金属である。
【0184】
本実施の形態6において、第3の熱伝導体530と、第1の熱伝導体510および第2の熱伝導体520とは、上記実施の形態1の場合と同様に、化学結合されている。この化学結合は、金属結合またはファンデルワールス結合である。
【0185】
図18に示す立体構造基板は、例えば上記実施の形態1で説明した(1)〜(5)の工程を含む製造方法により作製することができる。
【0186】
なお、上記実施の形態1の(1)の工程に相当する工程においては、第1の層に対応する第1の熱伝導体510および第2の層に対応する第3の熱伝導体530に対して、化学エッチング、プラズマエッチング、機械加工、プレス打ち抜き、レーザトリミング、マイクロサンドブラスト法などにより、空隙を形成する。
【0187】
この場合、第1の熱伝導体510については、所定距離離間した2つの空隙511,512を形成するようにする。一方、第3の熱伝導体530については、図18(a)に示すように、前記2つの空隙511,512に対応して設けられ、断面が45度をもって傾斜される面(傾斜面)531A,531Bを有し、これら面531Aと面531Bとの間に空隙を形成するようにする。
【0188】
そして、作製された立体構造基板においては、空隙(空間)511、空隙(空間)531および空隙(空間)512で、光などの電磁波の導波路600が形成されたことになる。この導波路600の途中は屈曲した構成になっていてもよい。
【0189】
これにより、空隙511の入射口511aに対し垂直に入射する光などの電磁波610は、導波路600を伝播する、すなわち、面531Aおよび面531Bによって反射されて空隙512の出射口512aから上方向(垂直)へ出射されることになる。このようなことから、第3の熱伝導体530は反射率の高い例えば金属を使用するのが好ましい。
【0190】
このようにして光など電磁波を45度の傾斜を有する第3の熱伝導体(金属)で反射させ、効率よく伝播させることができる。
【0191】
このように、空隙531を有する第3の熱伝導体530における空隙531は、電磁波の屈折および反射する手段(導波路)として利用される。換言すれば、空隙つまり導波路600を有する立体構造基板を、電磁波の屈折および反射する手段として利用することができる。
【0192】
(実施の形態7)
【0193】
次に、本発明の実施の形態7に係る構造体について説明する。
【0194】
図19は本発明の実施の形態7に係る構造体を適用した立体構造基板の利用形態を説明する図である。なお、図18において、(a)は立体構造基板の側面図を示し、(b)は立体構造基板の上面図を示している。
【0195】
図19に示す立体構造基板は、図18に示した実施の形態6の立体構造基板の構成において、導波路600に代替して光ファイバ700を採用した構成になっている。図19において、図18に示した構成要素と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
【0196】
光ファイバ700は、空隙511、空隙531および空隙512で形成される空隙(空間)に、ファイバなどの樹脂を充填して形成されている。
【0197】
これにより、空隙511の入射口511aに対し垂直に入射する光などの電磁波610は、光ファイバ700を伝播するして空隙512の出射口512aから上方向(垂直)へ出射されることになる。
【0198】
このように、空隙531を有する第3の熱伝導体530における空隙531は、電気回路の要素(光ファイバ)として利用される。換言すれば、空隙つまり光ファイバ700を有する立体構造基板を、光ファイバを含む電気回路として利用することができる。
【0199】
以上説明したように、本実施の形態1〜7によれば、次の(1)〜(8)の作用効果を得ることができる。
【0200】
(1)ポリイミド接着剤を含む接着剤を使用することなく、第1の熱伝導体と第2の熱伝導体との間に介在され、空隙を有する第3の熱伝導体または絶縁体と、前記第1の熱伝導体および前記第2の熱伝導体とが化学結合されるようになっているので、空隙や溝を容易にかつ高精度(例えば空隙深さ±2μmの誤差範囲内に抑制)に、しかもその空隙に関しては、円形、方形、楕円形、およびこれらの組み合わせなど任意の形状のものが高精度に作製することができ、しかも複雑な階段状の空隙も高精度に作製することができる。
【0201】
(2)上述したように、ポリイミド接着剤を含む接着剤を使用することなく、空隙を有する第3の熱伝導体または絶縁体と、第1の熱伝導体および第2の熱伝導体とが化学結合されるようになっているので、ポリイミド接着剤を使用したことに起因するボイドを防止することができる。しかも、ポリイミド接着剤を使用する必要がないので、ポリイミド接着法のときに必要な密着強度を満足させるための300℃以上の加温が必要ないととなり、これより、従来の技術において発生していた電気伝導体自体あるいは熱伝導体自体の酸化などの劣化、熱伝導体の熱膨張による寸法精度の劣化などを抑制することができる。
【0202】
(3)上述したように、ポリイミド接着剤を含む接着剤を使用することなく、空隙を有する第3の熱伝導体または絶縁体と、第1の熱伝導体および第2の熱伝導体とが化学結合されるようになっているので、接着剤を用いた場合に発生していた、十分な剥離強度が得られないことに起因する流路としての溝に充填される冷媒の漏れや接着剤の液中(冷媒が液体の場合)への溶出を、防止することができる。
【0203】
これにより、空隙は密閉性が確保されるので、当該空隙に高圧力の状態の流体を充填することができる。
【0204】
(4)上述したように、ポリイミド接着剤を含む接着剤を使用することなく、空隙を有する第3の熱伝導体または絶縁体と、第1の熱伝導体および第2の熱伝導体とが化学結合されるようになっているので、接着剤の耐温度特性(例えば0℃〜120℃程度の狭い温度範囲)に依存することなく、0℃より低い超低温あるいは120℃を超える高温の流体を空隙に流通させることができる。
【0205】
(5)上述したように、ポリイミド接着剤を含む接着剤を使用することなく、空隙を有する第3の熱伝導体または絶縁体と、第1の熱伝導体および第2の熱伝導体とが化学結合されるようになっているので、従来の技術の如く熱回路基板の長期使用に伴って接着剤やポリイミド(ポリイミド接着剤)が冷媒中に溶出する、という問題は発生することは無く、これにより、本発明の構造体を適用した立体構造基板を、例えばバイオセンサ、ケミカルセンサなど高精度のセンサ(高感度の化学センサ)類に使用することができる。
【0206】
(6)上述したように、ポリイミド接着剤を含む接着剤を使用することなく、空隙を有する第3の熱伝導体または絶縁体と、第1の熱伝導体および第2の熱伝導体とが化学結合されるようになっているので、第1の熱伝導体あるいは第2の熱伝導体としてセラミックやカーボンなどの難切削材料を用いた場合であっても、第3の熱伝導体または絶縁体と、第1の熱伝導体および第2の熱伝導体とを接合することができる。
【0207】
(7)上述したように、ポリイミド接着剤を含む接着剤を使用することなく、空隙を有する第3の熱伝導体または絶縁体と、第1の熱伝導体および第2の熱伝導体とが化学結合されるようになっているので、スルーホールを用いない多層化による回路の集積密度を向上させることができる。
【0208】
(8)上述したように、ポリイミド接着剤を含む接着剤を使用することなく、空隙を有する第3の熱伝導体と、第1の熱伝導体および第2の熱伝導体とが化学結合されるようになっているので、任意の形状のものが高精度に作製可能な空隙(空間)を有する第3の熱伝導体については、当該空隙(空間)を電磁波の導波路(電磁波を屈折および反射させる手段)として利用することができ、また、当該空隙を、この空隙にファイバなどの樹脂を充填して光ファイバ(電気回路の要素)として利用することができる。
【0209】
なお、上述した(1)および(2)のことから、安定した集熱、放熱特性が得られる流路(空隙)、およびその寸法精度に優れた流路を形成することができる。また、上述した(3)および(4)のことから、流路を流れる気体、液体など流体に対し、広範囲の環境適応特性(例えば高圧、高温、超低温など)を持たせることができる。さらに、上述した(5)のことから、溶出などのない長期安定性に優れた流路(空隙)を形成することができる。
【0210】
このようなことから、本発明の構造体は、再生医学領域や燃料電池電極、科学研究分野において新たな領域を切り開くツールを提供したといえ、かつ工業的にも極めて広範な応用を提供するものである。
【産業上の利用可能性】
【0211】
本発明は、電子デバイス、光デバイスあるいはバイオデバイス、燃料電池電極、またはこれらが実装された実装基板等の温度、湿度あるいは液体、気体濃度など環境管理を適切に設定するための立体構造をもった構造体および基板およびそれらの製造方法に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0212】
【図1】本発明の実施の形態1である構造体を適用した立体構造基板を示す断面図である。
【図2】実施の形態1に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図である。
【図3】実施の形態1に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図である。
【図4】実施の形態1に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2である構造体を適用した立体構造基板を示す断面図である。
【図6】実施の形態2に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図である。
【図7】実施の形態2に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図である。
【図8】実施の形態2に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図である。
【図9】実施の形態2に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図である。
【図10】本発明の実施の形態3である構造体を適用した立体構造基板を示す断面図である。
【図11】実施の形態3に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図である。
【図12】実施の形態3に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図である。
【図13】実施の形態3に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図である。
【図14】本発明の実施の形態4である構造体を適用した立体構造基板を示す断面図である。
【図15】実施の形態4に係る立体構造基板の張り合わせの工程を説明する断面図である。
【図16】本発明の実施の形態5である構造体を適用した立体構造基板を示す断面図である。
【図17】実施の形態5に係る立体構造基板の利用形態を説明する図である。
【図18】本発明の実施の形態7に係る構造体を適用した立体構造基板の利用形態を説明する図である。
【図19】本発明の実施の形態7に係る構造体を適用した立体構造基板の利用形態を説明する図である。
【符号の説明】
【0213】
10,50, 第1の熱伝導体
20,40, 第2の熱伝導体
30,60, 第3の熱伝導体
31,32,101,102,103,104,111,112 空隙
61,62,63 補助的スペーサ
210 第2の熱伝導体
220、240,260 第2の熱伝導体
230,231,232 絶縁体
201,202,203 空隙
310,320,330,340 熱伝導体
400 実装基板
410 電子デバイス
420 立体構造基板
510 第1の熱伝導体
520 第2の熱伝導体
530 第3の熱伝導体
511,512,531 空隙
511a 入射口
512a 出射口
600 導波路
610 電磁波
700 光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の熱伝導体と、
第2の熱伝導体と、
前記第1の熱伝導体と前記第2の熱伝導体との間に介在され、空隙を有する第3の熱伝導体と、
を有し、
前記第3の熱伝導体と前記第1の熱伝導体および前記第2の熱伝導体とは化学結合されている
ことを特徴とする構造体。
【請求項2】
前記化学結合は、金属結合またはファンデルワールス結合である
ことを特徴とする請求項1記載の構造体。
【請求項3】
前記第3の熱伝導体と前記第1の熱伝導体および前記第2の熱伝導体とは絶縁体薄膜を介して結合されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の構造体。
【請求項4】
前記第3の熱伝導体は、電気回路の要素、または、電磁波を屈折および反射させる手段として利用される
ことを特徴とする請求項1〜3のうち何れか一項に記載の構造体。
【請求項5】
第1の熱伝導体と、
第2の熱伝導体と、
前記第1の熱伝導体と前記第2の熱伝導体との間に介在され、空隙を有する絶縁体層と、
を有し、
前記絶縁体層と前記第1の熱伝導体および前記第2の熱伝導体とは化学結合されている
ことを特徴とする構造体。
【請求項6】
前記化学結合は、水素結合、イオン結合またはファンデルワールス結合である
ことを特徴とする請求項5記載の構造体。
【請求項7】
前記絶縁体層と前記第1の熱伝導体および前記第2の熱伝導体とは絶縁体薄膜を介して結合されている
ことを特徴とする請求項5または6記載の構造体。
【請求項8】
前記空隙は、所定の流体が充填可能であって、当該流体の流路として機能する
ことを特徴とする請求項1〜7のうち何れか一項に記載の構造体。
【請求項9】
前記所定の流体は、高温および/または高圧力および/または超低温の流体、金属流体、電磁流体またはイオン性流体である
ことを特徴とする請求項8記載の構造体。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載の構造体が複数積層されて形成されている
ことを特徴とする多層構造の構造体。
【請求項11】
第1の熱伝導体と第2の熱伝導体との間に介在される第3の熱伝導体に空隙を形成する空隙形成ステップと、
前記第3の熱伝導体と前記第1の熱伝導体および前記第2の熱伝導体とを化学結合により結合する結合ステップと、
を含むことを特徴とする構造体の製造方法。
【請求項12】
前記化学結合は、金属結合またはファンデルワールス結合である
ことを特徴とする請求項11記載の構造体の製造方法。
【請求項13】
前記第3の熱伝導体と前記第1の熱伝導体および前記第2の熱伝導体とは絶縁体薄膜を介して結合されている
ことを特徴とする請求項11または12記載の構造体の製造方法。
【請求項14】
第1の熱伝導体と第2の熱伝導体との間に介在される絶縁体層に空隙を形成する空隙形成ステップと、
前記絶縁体層と前記第1の熱伝導体および前記第2の熱伝導体とを化学結合により結合する結合ステップと、
を含むことを特徴とする構造体の製造方法。
【請求項15】
前記化学結合は、水素結合、イオン結合またはファンデルワールス結合である
ことを特徴とする請求項14記載の構造体の製造方法。
【請求項16】
前記絶縁体層と前記第1の熱伝導体および前記第2の熱伝導体とは絶縁体薄膜を介して結合されている
ことを特徴とする請求項14または15記載の構造体の製造方法。
【請求項17】
請求項11〜16のうち何れか一項に記載の構造体の製造方法により製造された構造体を複数積層して形成する
ことを特徴とする多層構造の構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−30419(P2007−30419A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219421(P2005−219421)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(505285618)
【出願人】(599063446)
【Fターム(参考)】